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帝竜戦役④〜くらくらキノコと小さな兵

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸

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「皆お疲れ様……そして集まってくれてありがとう」
 グリモアベースにて、ネルウェザ・イェルドット(彼の娘・f21838)が笑顔で一礼する。
 彼女の頬はほんのりと朱に染まり、何やら微妙に呂律の回っていない口調で説明を始めた。
「さて、今回皆に向かってもらいたいのはアックス&ウィザーズ『万毒の群生地』……ああいや、別に任務をお願いする立場で酒を飲んだわけではなくてねぇ」
 ぽわ、とネルウェザがグリモアの光に映すのは、彼女が向かってもらいたいと告げた『万毒の群生地』の光景。
 ネルウェザは武器を携えた沢山の妖精達――ではなく、地面を埋め尽くす真っ赤なキノコの方を指さして続ける。
「地名通り、ここには毒キノコの群生地なんだ。試しにとキノコの毒を調べたのだけれど……どうやら、強めの酒と同じような効果を持つらしい」
 ほら、とネルウェザは一本のキノコを猟兵の前に差し出す。
 そこから漂うのは、かなりきついアルコール――に似た、胞子の香りだった。
「一応本物のアルコールではないようだから、今回の出撃に年齢的な制限を設けるつもりはないよ。ただし……皆の体質によるけれど、大抵は酔っ払った状態で戦うことになる。弱い自覚がある人は十分気をつけて行ってきてくれ」

 そしてネルウェザの指はキノコの上、飛び回る妖精達に移る。
「さて。毒に気をつけつつ、この妖精……オブリビオン『謎の空兵』を退治してほしい、というのが今回の依頼だよ」
 という訳で、とネルウェザはグリモアの光に手を翳す。彼女がくるくるとそれを回せば、映像を見せていた光は不思議な力を帯びて輝いた。
「……ああ、そうそう。余談だけれど、キノコの中には金貨四十四枚分の価値がある貴重なキノコ『宝石トリュフ』が混じっているらしい。もし余裕があれば探すといいよ」

 ひっく、と小さなしゃっくりに身を揺らし、ネルウェザは転送を始める。
 光が強まっていけば、猟兵の体はアックス&ウィザーズの世界へ送られて行くのであった。



 猟兵が降り立った地には、先程の映像通り真っ赤なキノコが大量に並んでいた。
 そして突如、ふわりと何かが飛来する。このキノコの毒にあてられぬよう小さなマスクを装着した、『謎の空兵』だ。
 彼等は銃を構え、魔法を紡ぎながら襲いかかってくる。
 帝竜戦役を勝利に導くため――この地を攻略し先に進むため、あのオブリビオン達を退治しなくては。


みかろっと
 こんにちは、みかろっとと申します。
 今回はアックス&ウィザーズ『万毒の群生地』での戦いです。
 こちらは集団戦一章のみの戦争シナリオとなります。

 敵は妖精型オブリビオン達。彼等は毒を吸わないようにして襲いかかってきます。
 出撃時に何らかの対策、もしくは耐性が無い限り、猟兵の皆さんにはキノコの毒で擬似的に泥酔した状態で戦って頂きます。
 それではご参加お待ちしております!
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第1章 集団戦 『謎の空兵』

POW   :    妖精の奮闘
敵を【爆破魔法】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
SPD   :    妖精の早撃ち
見えない【マスケット銃の弾丸】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    小さいからと甘く見るな!
【敵合計レベル×5の謎の精兵(妖精)】の霊を召喚する。これは【マスケット銃を使った弾丸】や【魔法】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:Moi

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

朱酉・逢真
毒かい。そりゃあいい、毒は俺の大得意だ。毒が多けりゃ多いほど、濃けりゃ濃いほど、それは俺の力になる。病毒は俺の得物だ、剣士が自分を切らないンと同じさ。キノコだろうが酒だろうが、毒にゃァあてられんよ。

《虫》の群れ、《鳥》の群れ、飛んでるあいつらを襲っちまいな。腹が減ってるなら、あいつら食っちまってもいいぜ。俺が創造した、俺の眷属だ。毒は効かねえよ。爆破魔法で減らしても雀の涙さ。いくらでも居るんだ。俺を狙うなら《獸》を盾にする。数には数だ。戦の常道だろう?



 辺り一面を埋め尽くす赤。そこから噴き出し続ける、毒、毒――
 直ぐに致死性のあるものでないにしても、此れを吸い続ければいつかは蝕まれる。そんな戦場にて、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)はまるで行楽にでも来ているかのように笑っていた。
 否、彼にとっては『そう』なのだ。
 毒が多ければ多いほど、濃ければ濃いほど、それは逢真の力となる。
 剣士が自分を切らぬように、魚が水で溺れぬように――病毒に戯ぶ神が、毒に喰われることはない。

 そうとも知らぬ『謎の空兵』達は、逢真の様子に首を傾げる。
「……効いていない、というのか?」
 そんな筈はない。そう首を振った空兵達が小さな両の手に光を纏った。
 魔力によって集められたそれは、灼熱と爆風を込めて膨らみ始め――突如、周囲のキノコへと炸裂する。途端に舞い上がった胞子は逢真を囲み、濃い毒霧となって彼を襲った。
「やったか?」

 霧の中、その白肌に微塵も酔いを浮かべぬまま。
「ひひっ、心地いいねえ。温泉に浸かってるみてぇだぜ」
 ――疫病神が嗤う。
 小さきものを沸かせ、翼持つものを飛び立たせ、逢真は空兵達を見遣って言った。
「襲っちまいな。腹が減ってるなら、あいつら食っちまってもいいぜ」
 逢真の眷属、彼の創り出した『鳥』や『虫』に、当然この地の毒など効く訳がない。彼等はその羽や翼で毒霧を払い、ふらつきもせず空兵達へと飛び掛かる。
 その様子に空兵達は思わず目を見開き、慌てて陣形を整えながら叫んだ。
「――ッ!! ば、爆撃用意ッ!!!」
 直後、ドゴォォォッ!!! と勢い良く爆炎が上がる。
「その程度じゃ雀の涙さ。何せいくらでも居るんだ」
 逢真の言葉通り、眷属は一瞬数を減らしながらも直ぐにそれを補っても余る程に増える。そして再び空兵達の方を目指し、一斉に強く羽撃いた。

「チッ……本体だ、あれを作っている本体を狙え!!」
 空兵のひとりがそう声を上げれば、後方からばっと二体が左右へ飛び出す。
 魔術詠唱と共に飛来する彼等は逢真に――接近するより、早く。

 ――がぶり、と大きな『何か』に喰われてしまった。
「!?」
 空兵を黙らせたそれは『獣』――逢真の眷属であった。
「数には数だ。戦の常道だろう?」
「……ぐ……ッ!!!」
 最早、打つ手無し。
 空兵達は成すすべもなく逢真の眷属の群れに呑まれ、毛先のひとつも残さず骸の海へと還されて行くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
……毒々しい景色ですね。
武器は同じ。あちらのは的が小さいとはいえ、撃ち合いで負ける気もありませんが……またの機会としておきましょうか。

胞子を吸い込めば私自身の戦闘力は落ちるでしょうが、それまでは動けますし、命に関わるものではありません。
まともに動けるうちに【冬の尖兵】Ⅶを4体、Ⅷを6体召喚し指示を出します。見えない弾丸を撃ってくるようですし、半数を遮蔽となるように立ち私の護衛を、残りの半数に攻撃するように指示を。

自分がどの程度アルコールに強いかも分かりませんが、これならばあとは毒が効かない氷の兵士たちが戦ってくれます。

本来であれば援護射撃をするところですが、今回はおとなしくしておきましょう。



 視界を埋め尽くす鮮やかな赤、濃く立ち込める酒の匂い。
「……毒々しい景色ですね」
 万毒の群生地を見渡し、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)はぽつりとそう零す。
 吸い込んだ胞子が胸の奥をぐるぐると熱していくのを感じながら、彼女は飛来する『謎の空兵』達の姿を確かに目で捉えていた。
 彼等の手元に構えられているのは、セルマの武器と同じ銃。
 撃ち合いとなれば、的となる体躯の差があろうと負ける気はない――が。
「……またの機会としておきましょうか」
 セルマは銃から意識を離し、召喚のユーベルコードを組み上げる。

 齢十六の彼女は、自身にどれだけ酒の耐性があるかを知らない。
 もしその酔いで視界が歪み、手元が震えてしまうことがあれば。
 それは銃撃戦に於いて、かなりのハンデとなってしまうことだろう。
 現に――ほんの僅かに、セルマの白肌には酔いの色が浮かんでいた。

「行きなさい、兵士たち」
 セルマの声に応えるように現れたのは、七十六の『冬の尖兵』達。 
 飛んできた空兵がその姿にびくりと足を止める中、彼等はセルマの指示に従い身を合わせ、胸の数字を次々に増やしていく。
 そうして十体へと纏まった氷の兵士は、氷の剣を抜いて空兵達の方を向いた。

「構わん……行くぞ!!」
 空兵は銃を構え直すと、五体ずらりと横に並び――一斉に引き金に触れる。
 ダン!!! と見事に揃った銃声。
 直後、地面のキノコが丁度五つ貫かれる。しかし並外れた視力を持つセルマでさえ、そこから出る弾の姿を捉えることは出来なかった。
「見えない弾丸、ですか。では――」
 セルマは兵士の半数へ護衛の指示を出し、もう半数を空兵の方へ向かわせる。

 銃撃と斬撃がぶつかり合い、キノコが大量の胞子を巻き上げる中。
「本来であれば援護射撃をするところですが……今回は大人しくしておきましょう」
 ふわと視界が揺れるのを感じながら、セルマは兵士の背に身を隠す。
 命に関わるものでは無いとはいえ、辺りの毒は戦闘の衝撃でみるみる濃さを増していた。

 暫くして――ぴたり、と音が止む。
 セルマが顔を上げれば、氷の兵士達は静かに剣を収めていた。
 骸の海へ還ったか、彼女の視界にもうあの空兵達の姿はない。
 セルマは軽く息をついてユーベルコードを解くと、体に毒が完全に回り切る前に帰路へつくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒玻璃・ミコ
※スライム形態

◆行動
ふーむ、万毒の群生地とは実に素晴らしい響きです
こう言う場所は【空中戦】の要領で
ほよよんと群生地の中を【念動力】で跳ねつつ
毒の胞子やキノコを少しずつ【捕食】して
私の本領と巧手である【毒耐性】を更に適応させ攻略しましょう
毒食わば大地な果てまで【気合い】と【ドーピング】による勢いで乗り切るのですよー(キリッ)

オブリビオンにはこの地の霊脈を通じて【生命力吸収】をするつもりと見せかけ
その実態は【黒竜の遊戯】による圧倒的な物量で【範囲攻撃】として封殺しましょう

とは言え相応に厄介な強敵です
攻撃は【第六感】に素直に従って回避するとしましょう

◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK


火土金水・明
「まだ未成年ですからお酒は飲めません。でも、奈良漬けとかは大好きですよ。」
毒に対しては【環境耐性】【毒耐性】【地形耐性】の技能を駆使します。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【無酸素詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして『謎の空兵』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】でダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



「ふーむ、万毒の群生地とは実に素晴らしい響きです」
 毒々しい赤に埋め尽くされた大地の上、ほよよんと黒い液体が跳ねていく。
 飛び回る『謎の空兵』達がその姿に気づかぬ内に、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)はスライム姿で少しずつキノコを捕食していた。

 意識と身体を蝕み惑わす、厄介な毒――しかし其れに耐え喰らう力こそ、ミコにとっては本領にして巧手。
 彼女は気合とともに食べたキノコの毒に身体を適応させ、その影響を抑えていく。
「毒食わば大地な果てまで。勢いで乗り切るのですよー」
 ほよほよ跳ねつつキリッ、と表情に自信を浮かべて。
 ミコがぐんぐん突き進む中、ふと彼女の目に一人の猟兵の姿が映った。

 キノコが減り毒が薄まっているとはいえ、そこに立つ火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)の顔に酔いが回った様子はない。
 ミコは明の足元に着地すると、顔を覗き込むように丸い身体をふよりと傾けた。
「毒は大丈夫そうですね。お酒、強いんですか?」
 その声に明は一瞬辺りを見回し、ああ、と視線を下へ動かして。
「まだ未成年ですからお酒は飲めません。でも、奈良漬けとかは大好きですよ」
 ――つまりは、元々耐性はある、ということだろう。
 それによく見れば、明はその会話の最中でさえ深く息を吸っていない。
 彼女が経験から得た、水中でも魔術詠唱を行える技術。この毒漂う地にて、その力は十分に発揮されていた。

「――いたぞ!! かかれッ!!」
 突如、そんな声が響く。
 ミコと明がふっと顔を上げれば、そこには夥しい数の空兵達が飛来するのが見えた。
 いや――違う。本物は数体だ。
 空兵は自分達と同じ姿の霊を喚び、数の力で圧そうと企んでいる。ミコも明もそれを直感的に理解し、素早く戦闘体勢を整えた。

 ――彼等の手が強く光り出す。
 集まっていく熱、徐々に吹き荒れる風。強力な爆破型の魔法が一斉に溜め込まれていく。
 その魔力の流れと性質を察した二人はちらと目を合わせ――異なる魔術を同時に組み上げた。

「我、求めるは、冷たき力」
 空兵の手より生み出された熱へ向けて、明のユーベルコード『コキュートス・ブリザード』が放たれる。四百近い氷の矢が空兵達の羽や身を貫き、その間を凍らせて行けば――
「な、んッ……」
 突如、凄まじい風が空兵を襲う。爆風と氷矢の勢い、そして急激な温度の変化。
 空中に留まっていた小さな兵は容易く風に巻き込まれ、その陣形を崩してしまう。
「くそっ……銃だ! 銃で応戦しろ!!」
 彼等はマスケット銃を慌てて構える。
 風に煽られながらもどうにか狙いを定め、引き金に触れ――るも、その銃弾が貫いたのは地面を覆う毒キノコであった。
「残念、それは残像です」
 ゆらり、と明の姿が霞んで消える。
 空兵達の後ろへ回り込んでいた明は、再びユーベルコードの矢を撃ち出した。

 貫かれ、凍り付く空兵達。思うように身動きの取れない彼等が、ふと視線を移した先。
「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放――」
 ――凄まじい魔力を帯びる、真っ黒なスライム。
 ミコはユーベルコード『黒竜の遊戯』を発動し、空兵達へその力を向けようとしていた。
「あれは……!?」
 息を呑む空兵達は、ミコがこの地の霊脈へ干渉しているのだと――それが吸収の魔術である、と『錯覚』する。させるものかと彼等が防御に入ろうとした、その時。

「黒き混沌より目覚めなさい、第玖の竜よ!」

 屠竜の魔女から放たれるは、その身に宿る七千超の魔力。
 数の力に頼ろうとしていた空兵達は、圧倒的な物量に――避ける間も、防ぐ余裕もなく、ただ呑まれていってしまった。

 ――蟲の如く群れを成していた空兵達が、霊諸共骸の海へと還される。
 ミコと明はそれを見届けると、軽く目を合わせつつ互いを労うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

中村・裕美
「……お酒は飲んだこと無いけど……酩酊って……どんな感じかしら?」
未成年なので、飲酒したことはない

「……ほわっとするけど……このくらいなら……」
【毒耐性】は割と高いほうなので、ある程度は大丈夫だろうが、酔い潰れてしゃがみこんだ振りをしておく。
妖精達がこちらに狙いをつけたところで、周囲に潜ませた【エレクトロレギオン】で一斉射撃を行い【だまし討ち】
更にこちらは妖精のマスクに電脳魔術で【ハッキング】【防具改造】を施し、防毒効果を無くさせる
「……そっちは吸わないなんて……フェアじゃないじゃない」
奉仕を吸って寄ったものから仕留めてゆく

「……これが終わったら……レギオンにトリュフ……探させようかしら?」



 咽返るような酒の匂い。漂う毒の胞子を僅かに吸い込みながら、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)は小さく首を傾げる。
「……お酒は飲んだこと無いけど……酩酊って……どんな感じかしら?」
 未だ飲める年齢でない裕美は、酒の味もその感覚も知らない。
 しかし今、この場に漂うこれは正真正銘のアルコールではなく、キノコが撒き散らす毒だ。
 故に――他の毒に耐性のある彼女の身体はひどく泥酔することなく、頭の奥にじわと重みを増す程度に収まっていた。
「……ほわっとするけど……このくらいなら……」
 と、零すも――ぐらんりと。
 向こうから『謎の空兵』達が飛来する中、裕美はよろめいてその場にしゃがみ込む。
 俯き、酔い潰れたようにくらくらと頭を揺らせば――毒が回ったのだと思い込んだ空兵達が、にやりと笑みを浮かべて裕美に襲いかかろうとしていた。

「まんまと毒にやられたか、だが容赦はせんぞ!」
 そう空兵達が銃を構え、裕美に狙いを定める。
 彼等はその言葉通り、容赦する様子こそ見せていなかったが――動けぬ『振り』をしていた裕美に油断し、僅かに気を緩めていた。
 無数のマスケット銃の引き金が動く、寸前。
 ――黒髪に隠れていた裕美の口元が、微かに動いた。

 ズガガガガッ!!! と凄まじい両の弾丸が空兵を襲う。
「ッ!!?」
 突如周囲から現れたのは、裕美がユーベルコードによって喚び出し潜ませていた『エレクトロレギオン』達であった。
「ぜ、全員標的を変えろ! 早く周りの奴らを……!」
 リーダーらしき空兵が慌ててそう喚く。
 空兵達が銃口をレギオン達の方へ向けようとした瞬間、突如彼等の身体はぐるりと宙で回転した。
「!? よ、避け――」
 ダン!! と空兵の銃弾は近くの空兵を撃ち抜く。
「何してんだ……って、うぇぇぇ気持ち悪ぅ……」
 他の空兵達も仲間を撃ったり、虚しく空や地面を撃ったり。彼等はまるで酒を飲んだように顔を赤くして、ぐるぐるとおかしな方向に回り始める。

 胞子を吸わぬよう対策してきた筈。そう、口元の装甲を確認したリーダーは気づく。
 ――構造が変わっている。
 胞子を防ぐ為に重ねた布の層には大きく穴が開き、寧ろ胞子を集め吸い込むような謎の空気の流れが出来ていた。

 その改造を施したのが、酔い潰れていた筈の裕美だと――気づく前に。
「……そっちは吸わないなんて……フェアじゃないじゃない」
 裕美は小さく笑みを浮かべ、エレクトロレギオンに指示を送る。
 酔って狂った者から次々に撃ち落とされ、空兵達は骸の海へと還されていった。

 静かになった戦場にて、ふと裕美は周囲に生えるキノコに視線を移す。
「レギオンにトリュフ……探させようかしら?」
 そう思いつき、軽く探索を命じて――数分経てば。
 レギオンは真っ赤なキノコの間から小さな塊、金貨四十四枚分の価値があるという『宝石トリュフ』を掴み、てこてこと裕美の元へ運んで来るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秦田・麻弓
お酒に特別強いわけではないので、べろんべろんで参戦です
えへへー、これは、楽しいですねー、戦争でなければまた遊びに来たいですけど、残念です。えへへー。

銃を構えたところで狙いも上手にはつけられそうにないので、遠距離攻撃は一旦置いておいて
主に異性の個体を誘惑とかおびき寄せとかで近くに来てもらいます
サイズとか種族都合でダメ元ですけど、酔っ払ってガード甘そうなゆるーい感じでアピールを。

ある程度数が近付いて来てくれたら、ユーベルコードで攻撃です。
広範囲に撒いた電気が当たれば、あとはでっかいのが自動で当たるので、狙いをつける必要もないかなって



「えへへー、これは、楽しいですねー」
 真っ赤な頬に千鳥足、見るからに泥酔した様子で笑顔を浮かべる秦田・麻弓(びびりびりびり・f00217)。彼女はキノコが撒く毒を全身に回らせ、かなりべろんべろんの状態になっていた。
 空兵達の姿に気づくも、麻弓は武器を取らない。
 しかし、それは決して酔って判断が鈍っている訳ではなく――銃を構えたところで、あの小さな的に狙いを付けられそうにない、という理性的な判断であった。

 そして、その代わりに。
「えへへ……ふわふわしますねー」
 ゆらりふんわり、揺れる豊かな胸。へにゃりと蕩ける表情、無防備に晒される肌――気の緩んだような麻弓の仕草と姿は、毒の酔いを混ぜて一層色気を帯びて空兵を誘う。
 ――小さな妖精の姿とはいえ、全体的な見た目が似ている故だろうか。
 目を奪われた空兵達は、酔わぬようにと着けたマスクの下をぽっと赤く染め、警戒しつつも麻弓の方へ寄っていく。

 そこそこの数が集まる中、ガードの甘いゆるーい感じを装っていた麻弓は――自然な動作でくるりと手を広げ、ユーベルコードを発動させた。
「びりっとしますよー」
 ふにゃっとした顔でそう呟いた彼女は、空兵達を巻き込むように広く『雷撃』を放つ。
 空兵達の小さな羽にバチン、とそれが触れ、彼等が痛みではっと我に還った――瞬間。

 ――目を潰すような閃光が辺りを包む。
「え?」
 空兵が戸惑いの声を漏らした直後、地を震わすような凄まじい音が轟いた。
「……い、今何が――」
 一瞬の出来事に理解が追いつかぬまま、空兵は真っ黒に焦げて堕ちていく。
 麻弓が撒く電気、それに触れることがあの雷撃の引き金――彼等はそう気づくより早く、次々に閃光と轟音を上げて骸の海へと還っていった。

「ふう」
 電撃を止めた麻弓が息をつく。
 彼女は未だくらくらと酔った状態のまま、心地良さそうな笑みを浮かべて拠点へと戻っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アウレリア・ウィスタリア
自分の周囲に【蒼く凍てつく復讐の火焔】の焔を配置しましょう
胞子なのですから
焔で凍てつかせることで多少は毒気を退けられるでしょう

あとは自分の周囲に配した焔以外を敵に向けて放つだけ
凍てつけ、砕けろ
多少の痛みには慣れている
だから凍てつく焔と魔銃で敵の軍勢を退けよう

酔いがまわる
敵がぶれる
より多く見える

だったら焔を纏わせた鞭剣の一振で
ぶれて増えた敵ごと切り裂き凍てつかせよう

キノコも凍てつかせてしまえば
胞子の効果も多少は軽減できるでしょうし

アドリブ歓迎



 一面に広がる赤の中、ぼうと蒼の焔が浮かび出す。
「闇夜より深く暗い感情、蒼く燃え上がる復讐の焔」
 黒猫の面の下、アウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)は静かにユーベルコードを紡ぎ上げていた。
 舞っていた胞子は焔に触れ――凍り、堕ちる。
 燃えるように揺れる其れは絶対零度の冷気を以て、アウレリアの周囲へ漂う毒を退けていく。
 その光景に目を見開く『謎の空兵』達が、援軍をと妖精の霊を喚び出す中。
 ふわり、とアウレリアの手が前へ向けられ――七十に及ぶ焔が、空兵達へと放たれた。

 焔は空気を強く冷やしながら空兵の元へ向かう。
 小さく薄い羽はその温度に触れるや否や、容易く端から凍り付き、空兵の動揺を誘った。
「……!! う、撃て!!」
 焦る空兵が声を上げ、構えた銃の引き金に触れる。
 弾が掠り、白肌に赤を描いても。
 多少の痛みには慣れている。彼女はそう心で呟きながら、破魔の魔銃を手に取った。
「――凍てつけ、砕けろ」
 蒼の焔で彼等の身を蝕み、光の弾丸で貫く。
 そんな中でも空兵が忙しく霊の召喚を続ければ、アウレリアの視界はみるみる内に増えた妖精の影に埋め尽くされ――

 ――否。これは――毒だ。
 僅かに吸い込んだ胞子の毒が、アウレリアの意識を揺らす。
 酔いがまわる。胸の奥が熱を帯び、頭が何処かへ引かれるように重みを増す。
 敵がぶれる。鮮明さを失う視界が、白昼夢のように幻を見せる。
 増えた妖精達が、敵の姿が、より、多く見える――

「……だったら」
 くらっと小さくよろめきながら、アウレリアは蒼の焔を引き寄せた。
 それを纏わせ構えるのは、鋭い牙の如き刀身を持つ鞭剣。アウレリアの手がくると柄を振り上げれば、刃は大きく撓り、空兵の群れへと伸びていく。
「そんなものに当た……、ッ!?」
 空兵はそれを躱すべく羽撃こうとする――が、既にその背は氷に覆われ動かない。
 動けぬ彼等は成す術もなく刃に捕らわれ、纏めて地へと落とされる。
 纏っていた焔が激しくその光を増せば、空兵は文字通り身体の芯まで凍り――沈黙した。

 空兵達がキノコ諸共氷に呑まれ、骸の海へと還っていく。
 肌を刺すような冷気の中、アウレリアは僅かに回った毒の酔いを冷ましながら帰路につくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
酔ってません、酔ってませんよ?

白い中華服の姿に変身
無手となる代わり、四肢に強烈な稲妻を纏う(属性攻撃)
私の宗派では飲酒そのものは罪ではありませんがそれに耽溺することすなわち泥酔・酩酊状態になって理性を失い神から心を離すことを戒めており文献ではブドウを発酵させたお酒をうにゅむにゅ……

誰にともなく捲し立てながら、ふらふらとした千鳥足で敵の爆撃魔法を避ける
酔っ払いのような不規則な動きは酔拳の如く
躱し続け、焦れた妖精が命中精度を上げるために接近(おびき寄せ)してきたところに【天霆轟雷脚】を叩き込む
酔ってませんってばっ!



「酔ってません、酔ってませんよ?」
 誰もいない場所に向かって、弁明するように手と首を振るオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。彼女は四肢に強烈な稲妻を纏う、白の中華服姿へと変身していた。
 そして接近する空兵に気づくや否や――虚空を見つめ、突如何やら捲し立て始める。
「私の宗派では飲酒そのものは罪ではありませんがそれに耽溺することすなわち泥酔・酩酊状態になって理性を失い――」
「……!?」
 びくっ、と空兵が足を止める。何か強力な、それこそ高威力故に詠唱を必要とする魔術か――そう勘違いした彼等は思わず息を呑み、遠距離からの攻撃に判断を切り替えた。

「――理性を失い、神から心を離すことを戒めており文献ではブドウを発酵させたお酒をうにゅむにゅ……」
 オリヴィアの声がフェードアウトした、その時。
「い、今だ! 放て!!」
 空兵達はその手に込めた魔力を一斉に解き放つ。灼熱と爆風がオリヴィアの元へ向かい、周囲のキノコを焼き焦がしていく――が。
「うにゅ……」
 ふらり、くらり、ぐらりんり。
 オリヴィアは見事な千鳥足で空兵達の爆破を避ける。目を瞬いた空兵が再び魔法を紡ぎ出すも、彼女の酔っ払いのような不規則な動きは酔拳の如く攻撃を振り切っていた。
「こン、の……ッ!!!」
 小さなこめかみで怒りを表し、空兵は背の羽をぶわりと動かす。
 強力な魔法や遠距離攻撃が来る気配はない。そう確信した彼等は警戒を緩め、確実に爆破するべくオリヴィアの方へ接近した。

 徐々に空兵が近づき、爆破もオリヴィアのすぐ傍を掠めるまでに精度を上げる――が、当たらない。焦れた空兵達はギリと歯を軋らせて、勢いよくオリヴィアへ突進した。
「――いい加減喰らえ、この酔っ払いッ!」
 そう叫び、至近距離で爆破魔法を紡ぐ空兵に。
「酔ってませんってばっ!」
 オリヴィアはユーベルコード『天霆轟雷脚』を発動し、その脚に纏う稲妻をバリと光らせる。
 直後放たれた蹴撃は勢いよく空兵の身体に命中し――そのまま、遥か彼方へ吹き飛ばした。

 続く空兵も蹴り飛ばし、オリヴィアは彼等の残らず骸の海へと還していく。
 そして、ようやく動きを止めた彼女がふっと顔を上げれば。
 酔っていない、と言う彼女の頬は――真っ赤に染まって熱を帯びていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月06日


挿絵イラスト