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帝竜戦役③~盤上の支配者・帝竜カダスフィア~

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #帝竜 #カダスフィア #群竜大陸

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●アックス&ウィザーズ・群竜大陸「カダスフィアフォート」
「僅かに一手。僅かに数日……ヴァルギリオス様の仰られた程、我等は後手に回った訳ではない」
 まるでチェス盤が城として形成されたような群竜大陸の一角であるカダスフィアフォート。その主である帝竜は苦々しく表情を歪める。
「しかし、それでも、この最速の我さえも、敵に先手を許す事となった」
 その帝竜の名はカダスフィア。群竜大陸の支配者るヴァルギリオスより甦った帝竜が一体である。そして猟兵に動きを上回れたことに屈辱を感じている。
「我を含む『再孵化』した帝竜に、それ以前の記憶は無い。だが、我が脳裏には、苦い敗北の悪夢が刻まれている。敵の喉元に喰らいついておきながら敗北を喫した、苦い記憶が……」
 その記憶こそ、カダスフィアにとって最も忌むべき記憶。だからこそ払拭せねばならない。ドラゴンたる自分が最強という矜持を再び示すために。
「だが、それはつまり。どのような盤面からでも、勝利の光明は見えるという事。例え捨て駒となろうとも、勝利の栄光をヴァルギリオス様の御元に捧げん!」
 その表情に怒りも屈辱もない。その表情はただ自分が使えるべき主に勝利を捧げんとする、命を捨ててでも成し遂げようとする戦士の顔であった。

 最強の生物たるドラゴンがその決意をする意味は強い。今、最強のドラゴンたる帝竜が猟兵の前に立ち塞がる。

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「ついに帝竜の一体が姿を現したのー」
 そう言いながらメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は電脳ウインドウを開いて説明を始める。そこにはチェス盤のような形をした建造物に君臨するドラゴンがいる。それこそ群竜大陸のドラゴン達を統べる最強個体「帝竜」が一体、カダスフィアなのだ。
「カダスフィアは帝竜の中でも、確かな戦術眼と眷属を利用した軍勢運用は脅威じゃのー。その上、盤上を攻めるようにロジカルな戦術も駆使するらしいけー、今までの力任せのドラゴンと同列に考えない方がいいのー」
 今までのドラゴン達は比べ物にならないので油断は禁物だ。そしてこの帝竜を倒さなければ、この先へ進むことはできない。また時間をかけすぎても、他の帝竜に準備を整えられてヴァルギリオスに準備を整えられてしまう。
 故に的確にカダスフィアを倒し、群竜大陸の攻略を進めなければならない。その困難は険しいなれど、成し遂げなければならない。
「難しいことは確かじゃけど、猟兵諸君ならやってくれると信じておるからのー」
 そう言ってメイスンは転移術式を開始する。群竜大陸最初の帝竜戦となるカダスフィアとの一戦。これからの帝竜戦役の戦局を占う戦いが始まろうとしていた。


ライラ.hack
 チェス盤フィールドが非常に特徴的で特定が早かった印象ですね。
 どうも皆様こんにちわ。ライラ.hackです。

 このたびは群竜大陸を支配する帝竜が一体「カダスフィア」との一戦となります。
 難易度は普通より高めなのでご注意ください。

 そしてこのシナリオでは以下の特殊ルールがあります。
 プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)

 最強種族であるドラゴンの頂点が一体が相手となりますので、十分気合を入れていきましょう。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『帝竜カダスフィア』

POW   :    ビルド・カダスフィア
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【チェス盤化した、半径100m以上の大地】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    ミリティア・カダスフィア
【チェス型ゴーレムの大群】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    形成するもの
自身からレベルm半径内の無機物を【チェス盤やチェスの駒を模した怪物】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:あなQ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レパル・リオン
うおーっ!?力だけじゃなく、ブレインがクレバーでロジカルなドラゴンが相手なのね!
…あからさまな強敵!しかーし、ここで逃げたら魔法少女がすたるっ!
…いざ勝負!

とはいえジャンプ力なら自信があるわ!ドラゴンの巨大な体に足の爪を引っ掛けて登り、飛び降りてからの【虎狼竜・神風脚】でゴーレムをまとめて蹴散らすわ!ゴーレムもあのドラゴンも、爆風で足元が崩れれば重さで倒れる!
足の指から1本ずつ、踏み折っていく方向で!

チェスの駒になくて、あたしにある物があるわ!
それは、広範囲攻撃!でやーっ!


リズ・ルシーズ
アドリブ・連携歓迎だよ!

【SPD】

チェス型ゴーレムなら、空は飛べないよね!

外部装甲をまとい、重力制御装置で【空中戦】で応戦だよ。空中という【地形の利用】でゴーレムの攻撃を避けるつもり。

距離さえ取れれば、あとはこっちの手番だよね!

空を飛んだままゴーレムの移動範囲外まで距離をとった後、【指定UC】で呼び出した大型の攻城砲による【質力攻撃】で竜の頭を【スナイピング】だね

竜と砲弾、どっちが硬いかな!

砲の軌道を見ながら

竜がこの調子でいるなら、アインに頼んで、もうちょっと大型の兵装の準備もしておかないとかな


アイン・セラフィナイト
チェス盤……盤上の支配者。自分を捨て駒だなんて……凄い覚悟だね。
でも、だからこそ負けられない。キミのその盤石の一手、突き崩すよ!

【対策】
敵は圧倒的物量、それなら、それ相応の大魔術が必要だ。
『黒翼・神羅の鴉羽』で『空中戦』、遠距離攻撃の可能性も吟味して、『暁ノ鴉羽』を自分の周囲に纏わせて『オーラ防御』だ。

【反撃】
一撃でも、その身体に傷をつけられればいい!圧倒的な範囲攻撃だ【魔を滅ぼせ】!神羅、万象!鴉羽の嵐と全ての敵を看破し、光の刃で蹂躙しろ!『魔力溜め・動物使い・範囲攻撃・全力魔法・属性攻撃・リミッター解除』

チェスのルール?盤上そのものを突き崩す行為は本当の戦いじゃ反則じゃないよね?



 カダスフィアフォート。群竜大陸において一エリアを占めるそのフィールドは異質を極めている。岩石がまるでチェス盤のように変化し、そこら各地に点在しているのだ。
 だがその地の支配者の能力を考えれば、その地がチェス盤になっているのも納得の理由がある。その支配者こそ、群竜大陸を支配する最強のドラゴン「帝竜」が一体、カダスフィアなのだから。
 その身体能力はドラゴンであることから言うまでもなく高い。だがそれ以上にその力に溺れず、戦略眼に富み、盤上を動かすようにチェスのような配下を生み出し、軍勢を持って敵を殲滅する。そんな異質な能力を持つ帝竜なのだ。
「来たか、猟兵」
 そんな帝竜カダスフィアが、自身が捨て駒ななることも厭わず迎撃に回っている。その事実が空気を引き締める。そんな中で、レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)はカダスフィアの前に立つ。
「うおーっ!? 力だけじゃなく、ブレインがクレバーでロジカルなドラゴンが相手なのね!」
 目の前の迫力だけではなく、こちらを観察するような眼光にレパルも驚きを隠せない。そしてその思慮深い帝竜に対し、アイン・セラフィナイト(精霊の愛し子・f15171)も神妙な表情を浮かべる。
「チェス盤……盤上の支配者。自分を捨て駒だなんて……凄い覚悟だね」
 単体の実力であるならば、どんな猟兵であっても勝てることのない帝竜カダスフィア。だがそんな帝竜が敗北すら想定して挑もうとしている事実。それはかつてない激戦を予感させるものだった。
 だがアインもレパルも全く怯む気配はなく、目の前の強敵を倒すという決意に満ち溢れている。
「でも、だからこそ負けられない。キミのその盤石の一手、突き崩すよ!」
「あからさまな強敵! しかーし、ここで逃げたら魔法少女がすたるっ!……いざ勝負!」
 気勢と共に二人は動くが、カダスフィアの一手は二人の先を行く。すでにその目は猟兵を詰む盤面を映し出している。
「よかろう。我の駒達は軟弱ではないぞ!」
 カダスフィアの咆哮と共に、周辺の岩石から、大小織り交ぜたチェスの駒を模したゴーレム軍団が出現する。これこそ「形成するもの」と渾名されるカダスフィアの真骨頂だ。
 それらのチェス型ゴーレム殺到するのに対し、アインとレパルの行動は一致した。アインは「黒翼・神羅の鴉羽」を羽ばたかせ空中へと飛び立ち、レパルも持ち前の身体能力を持って飛翔する。この位置ならばチェス型ゴーレムの攻撃は届かない。
 だがカダスフィアも対空攻撃は想定していたかのように、大きいチェス型ゴーレムがポーンなどの小型チェス型ゴーレムを投擲し、二人を撃墜しようとする。アインは咄嗟に「暁ノ鴉羽」を自分の周囲に纏わせて防御陣を築きながら、回避運動を行う。だがレパルは大ジャンプしたのみで、空中に無防備を晒す。
 このままではまずい、とレパルは覚悟を決めて防御する。チェス型ゴーレムの投擲が猛スピードで迫る。アインの援護も間に合わず、と思った次の瞬間、チェス型ゴーレムが木っ端微塵に砕かれていた。
「チェス型ゴーレムなら飛べないと思ったけど、やるね」
 チェス型ゴーレムを砕いたのは重力制御装置で空中に浮くリズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)だった。外部装甲を纏った重厚なる装備で、威厳ある姿で飛ぶ姿はまさしく空中要塞と言っても過言ではない。
 空中戦を駆使してレパルに投擲されるチェス型ゴーレムをすべてランスで砕いていく様はまさに流星だ。そしてレパルはその飛翔態勢のまま、カダスフィアへと向かう。
「小癪な真似を!」
「ジャンプ力もだけど、あたしも甘くみないでよ!」
 そう言って巨腕を振り上げて迎撃しようとするカダスフィアの爪に身体を引っかけるように回転し、そのままカダスフィアの身体を駆けあがるレパル。キマイラならではの身体能力でカダスフィアの頭に飛び蹴りしながら、そのままチェス型ゴーレムの方に飛び降りる。
「これで終わりよ! カミカゼキック!」
 そして発動するは必殺「虎狼竜・神風脚(レパル・カミカゼキック)」だ。急降下中、身体能力が強化され、さらに足もライオンの足に変化。そこから繰り出される爆風をまき散らす強烈な蹴撃はチェス型ゴーレムを蹴散らし、カダスフィアの足にもダメージを与える。
「チェスの駒になくて、あたしにある物があるわ! それは、広範囲攻撃! でやーっ!」
 そしてトドメと言わんばかりにカダスフィアの足の指を踏み砕くレパル。それにはさすがのカダスフィアも苦悶の表情を浮かべ、バランスを崩す。だがすべてのチェス型ゴーレムが崩されたわけではない。指揮の元、今度こそレパルを潰そうとする。
 だがすでに好機と見た鴉の羽を羽ばたかせたアインは詠唱を開始している。「魔を滅ぼせ、我が神烏(レイヴンズ・スペル)」の魔力が空気を震わす。
「一撃でも、その身体に傷をつけられればいい! いくよ、『神羅』『万象』!」
 全ての敵を魔法の範囲内に捉え、その鴉羽の嵐と光の刃がチェス型ゴーレムを無尽蔵に斬り裂いていく。アインの魔法解析によって核を看破されたチェス型ゴーレムは効率よく破壊され、ついにその刃がカダスフィアにまで届く。
「おのれ、我が駒達が……!」
「チェスのルール? 盤上そのものを突き崩す行為は本当の戦いじゃ反則じゃないよね?」
 そう悪びれずに言うアインを忌々しく睨みつけるカダスフィア。だがその頭をリズの視線は的確に捉えている。すでにチェス型ゴーレムは全滅し、制空権は確保された。ならば攻撃に集中することができる。
「なら次はボクの手番だね!」
 そう言って「Re-Gnant(レグナント)」を発動し、アーカイブからドラゴンの竜鱗すら吹き飛ばす大型の攻城砲を呼び出す。すでに距離は確認済、後は強大な質量を持ってカダスフィアの頭を撃ち抜くのみ。
「竜と砲弾、どっちが硬いかな!」
 轟音と共に、城門を砕く砲弾が放たれる。すでにレパルによって足元を崩され、アインの光刃によって身体を刻まれたカダスフィアに、リズの砲弾を避ける余裕すらなかった。着弾と共に頭が揺れるカダスフィア。
 さすがに貫通するほどでなかったが、竜鱗は吹き飛び、肉片が飛び散る。そこから最強種たるドラゴンの血が流れ出てくる。頭に走る激痛と共に、カダスフィアは再認識する。
「さすが猟兵よ。だが、負けられぬ」

「……竜がこの調子でいるなら、アインに頼んで、もうちょっと大型の兵装の準備もしておかないとかな」
 さらなる闘志を燃やすカダスフィアに、砲の軌道を見たリズはそう声を零す。さすがは帝竜というだけあって、これだけでは倒すことはできない。
 だが圧倒的な力を誇りながらも、それを破ることを3人は証明できた。それこそが帝竜攻略の一歩となる。まずは初戦は猟兵達がその力を示したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

火土金水・明
「あれが帝竜ですか。こちらも全力で迎え撃ちましょう。」
相手の先制攻撃に対しては、【見切り】【野生の勘】【第六感】【地形の利用】の技能を駆使して回避を試みます。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【破魔】と【継続ダメージ】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『帝竜カダスフィア』と怪物達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【地形耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


フェルト・ユメノアール
最強だろうと何だろうと、みんなの笑顔の為、負ける訳にはいかないんだ!

量も質も向こうの方が上、なら、「搦め手」を使うしかないね!
『トリックスターを投擲』して敵集団を攻撃
囲まれないよう近づく敵を牽制しながら敵を引き付け『ワンダースモーク』を使用
煙幕を作り出し、相手を攪乱して攻撃する!と見せかけて

ボクは既に【SPスマイルスライム】の効果を発動していた!
煙幕は地面の粘液、そしてその発動を隠す為の布石だったのさ
粘液に絡めとられた敵を踏み台に敵集団を一気に突破、そのまま帝竜の元へ
勝負は一撃、その一撃に全てを賭けるよ!
白鳩姿に戻した『ハートロッド』を放ち、帝竜の行動を妨害
その隙を突いて首にダガーを突き立てる



 チェスの盤面を見るかのように帝竜カダスフィアは猟兵の力を再確認し、分析する。そして自らの力の余力をも計算する。偉大なる竜の身体は驚異的な再生能力を持っており、並大抵の傷であれば治癒は可能である。
 だがそれでも猟兵達が刻むダメージは無視できるものではない。いくら帝竜と呼ばれるドラゴンであっても油断は禁物である。
 それにカダスフィアの役割は時間を稼ぐことにある。ここに足止めする時間が多ければ多いほど、他の帝竜の準備は整い、主たる帝竜ヴァルギリオスの勝率は高くなるのだから。
「あれが帝竜ですか。こちらも全力で迎え撃ちましょう」
「最強だろうと何だろうと、みんなの笑顔の為、負ける訳にはいかないんだ!」
 そして的確に戦況を見据えるカダスフィアの瞳に映ったのは、優雅にローブをひるがえし七色の杖を構える火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)と、道化師のような恰好で笑顔を振りまくフェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)だった。
 その表情は気負いはなく、自信に満ち溢れてドラゴンという最強の生物に挑む恐怖は微塵も感じさせない。だからこそカダスフィアはそれを不敬と思わず、全力を持って猟兵を迎え撃つ。
「我が力、形成するものの力を見るがいい」
 そして手をかざすと、周囲のチェス盤が動き出し、チェスの駒が作り出されて動く怪物を生み出していく。その無数の軍勢はカダスフィアの力を象徴するようだった。
 一体一体が強力な力を誇るチェス盤やチェスの駒の怪物達。それを見て明は警戒を強め、フェルトも敵戦力の実力をしっかりと見極めていた。
「量も質も向こうの方が上。なら、『搦め手』を使うしかないね!」
「作戦があるなら、合わせますよ」
 まずは機敏に動く明が前に出る。ウィザードとは思えないほどの的確な回避は、観察眼による見切りや天性の勘によるものが大きい。だがそうやってチェスの怪物達の攻撃は苛烈を極めるのを防ぐ意味で、フェルトは派手な装飾が施された投擲用ダガー「トリックスター」を投げつけて攻撃する。
 まるでピエロのように相手を翻弄するように明と共にチェスの怪物たちを誘引して、一か所に集める。そしてフェルトがワンダースモークを叩きつける。するとカラフルな煙幕が発生して視界が塞がれていく。
「フッ、それで攪乱して攻撃すると? 甘いな」
 その煙幕を見てもカダスフィアは慌てない。むしろそこまでは読み切っている。誘引したというのもわざと一か所に集めるためだ。チェスの怪物達はすでに生命力感知によって二人の場所を正確に捉えている。攪乱のつもりで叩くつもりが、逆に集中攻撃によって叩き潰すというのがカダスフィアの攻め手だった。
 だが合図をしたはずのチェスの怪物達の動きが止まる。いや、動くことができない。足に絡みつく何かに足を取られているというのが正解か。
「これは……!」
「甘いね。ボクは既にSPスマイルスライムの効果を発動していた!」
 能力「<ユニットカード>SPスマイルスライム(スマイルパペット・スマイルスライム)」。煙幕と同時にスライムを召喚し、粘液を地面へとまき散らしていた。煙幕はこの粘液を覆い隠すための目くらましだった
「いい策です。敵は固まり、足が止まってはいい的ですね」
 明は詠唱をし、冷たき力を招来する。発動するは「コキュートス・ブリザード」の氷の矢嵐だ。チェスの怪物達を射抜くように纏めて貫き破壊しながら、カダスフィアまで届くような大魔法は明の力量を示していた。
 だがチェスの怪物達もただでは倒されない。破壊された仲間たちを投げつけながら、氷の矢を放ち続ける明へと投擲する。それを魔力盾で防御しながら、魔力で作った幻影で躱しながらも帝竜への道を作る。
「フェルトさん!」
「OK! 勝負は一撃、その一撃に全てを賭けるよ!」
 フェルトが氷で作られた道を駆け抜ける。もちろん帝竜カダスフィアも巨大なる腕と牙を持ってフェルトを迎え撃つ。それが届く瞬間、フェルトがハートロッドを元の鳩の姿に戻し、視界を覆いつくす。
「ぬううううう!」
 鳩がカダスフィアの行動を妨害している間に、フェルトは一気に懐に入り込みダガーを撃ち込む。その箇所はさきほどのリズの狙撃で竜鱗が回復していないところであった故に、そのダガーは深々と刺さる。その痛みに苦悶の表情を浮かべるカダスフィア。
「でもこれじゃまだ足りない、かー!」
「……見事。それでこそ我が全力に足るというもの」
 間隙を突き、的確に急所を突いたにも関わらずこの余裕ある佇まい。フェルトはまだ余力を残す敵に賛辞を送りつつ、間合いから離脱する。笑いを送るピエロたる者、倒れてはならないという矜持もあるからだ。

 そしてそれを援護するかのように飛んでくる明の氷の矢雨。その甲斐もあってフェルトは無事に死地から脱することができた。
 カダスフィアは強敵ではあるが、その力と頭脳は絶対的ではないことを示した。チェックメイトまではまだ遠いが、それでもそれに前進したことに二人は五体満足の身体で自信を持つのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

玉ノ井・狐狛
※アドリブ連携などお任せ

ふぅん、チェスか。
一局どうだ? ……なんだ、没交渉かよ。仕事熱心なドラゴン野郎だな。

🛡️
モチーフがチェスの駒だってんなら、概念的に、垂直方向への移動は苦手じゃねぇのかな。
仮にそういう事情がなかったところで、飛び道具を使うコマなんてのは居ないハズだ。
障壁を宙空に作って足場にしながら移動、立体的に逃げて時間をかせぐ。
駒を積み上げて登ってくるかもだが、さすがにそんな悠長な動きに捕まる気はしないな。
►紗▻足場習熟▻空中戦▻時間稼ぎ


逃げながらバラ撒いておいた札を起動。
駒を複製、弾にして帝竜サマにぶつける。
ご本人の眷属ってんなら、硬いモノ同士それなりに効くだろうさ。


尾守・夜野
頭を使うような作業は【俺】にはまかせられませんからね

【僕】が相手だ
なんともはやチェスとは…
鏡の国のようではないですか
まぁ模しているだけでルールを守る気は…
ないのですかね?

まぁ僕もありませんが
チェスじゃなくて将棋にしてやりますよ

剣(皆)でゴーレムを破壊し
取り込み適当にまぜ再利用していきます
使える資源は再利用しないとね
数には数をぶつけましょう

チェスには駒の再利用はありませんからね
僕のように使い潰す手は使えないんじゃないですかね

僕のは呼んだのが壊れても、もう一度取り込めばいいだけですし

さて、チェックです
その血をいただきますよ?

なお、僕は他の人格からは腹黒で通ってます
失礼ですよね


ニィエン・バハムート
帝竜…戦える日を心待ちにしておりましたわ。
最強のドラゴンと呼ばれるあなたたち全てに勝利した時、私は本当の意味で真なる竜王に…!

敵の先制UCによる召喚ゴーレムの攻撃に対して【空中浮遊】で頭上を取って躱し【カウンター】気味に【踏みつけ】攻撃。踏みつけた勢いでまた浮いて次のの敵を踏みつけてまた浮いて…を繰り返すことで大軍による先制攻撃に対応しますの。チェス型ゴーレムが空中にいる敵に完璧に対応できるとは考えづらいですしね。

そして空中浮遊&踏みつけの繰り返しで敵軍の中央付近まで移動したらUC発動。大地震の力で大地を【部位破壊】し地割れを引き起こしチェスゴーレムの大軍と帝竜を纏めて呑み込んでやりますの!



 群竜大陸第三領域カダスフィアフォードにて、激戦は繰り広げられる。帝竜カダスフィアに挑むは、数多の猟兵達。その先にある帝竜ヴァルギリオスを倒す為に。
 だがカダスフィアもまた、捨て駒になる覚悟はできている。この戦いにて勝利は最高なれど、敗北は恥ではない。時間を稼ぐことこそ、カダスフィアにとって勝利条件の一つであるのだから。
「我が配下たる、チェス達よ。護れ、ここを一切通すな」
 そういって周囲のチェス盤からチェス型ゴーレム達が出現する。その兵士たちはチェスの駒を見立てたた者達で、それぞれが色とりどりの武器を持って猟兵達を迎え撃つ。
「ふぅん、チェスか。一局どうだ?」
 そう言ってあっけんからんな口調で言うのは、裏社会で代理賭博師として名をはせる玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)。そんな遊び心が込められた視線にもカダスフィアは応じる気配はない。
「戦いであれば指したであろう。だが今は戦によって雌雄を決するのみよ」
「なんだ、没交渉かよ。仕事熱心なドラゴン野郎だな」
 そう言いながらも抜け目なく、チェス型ゴーレムの配置を見ている狐狛。その隣では優雅に挨拶をするニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)がいた。
「帝竜…戦える日を心待ちにしておりましたわ」
 そう言って薄く笑うニィエン。竜王『バハムート』を信仰する彼女にとって、この戦いは数多のドラゴンの戦える機会。それはつまり、自身が目指す先があるということだった。
「最強のドラゴンと呼ばれるあなたたち全てに勝利した時、私は本当の意味で真なる竜王に…!」
「ほう、ドラゴンの因子を持つ者よ。壮大な野望を抱くか。ならば、帝竜の力、その身に焼き付けるがよい!」
 カダスフィアの咆哮と共にチェス型ゴーレムも進軍が始まる。まるで盤面から包囲殲滅するかように屹然と動くチェス型ゴーレム達。
「モチーフがチェスの駒だってんなら、概念的に、垂直方向への移動は苦手じゃねぇのかな」
 そう言って狐狛は障壁を宙空に作って足場にしながら、チェス型ゴーレム達の上へと移動していく。飛び道具を使うコマなんてのは居ないはずなので、立体的に動いて時間を稼ぐことに専念する。
 だがその行動は学習しているチェス型ゴーレム達。手持ちの武器や、大型ゴーレムが小型チェスゴーレムを投擲して狐狛を撃ち落とそうとする。もちろん狐狛一人であっては対応できなかったであろう。
「させませんわ!」
 ドラゴンの因子から発現した翼を羽ばたかせ、ニィエンが飛んでくるチェス型ゴーレムを蹴りや踏みつけで叩き落していく。蹴った反動でさらに宙を舞い、さらに他のチェス型ゴーレムへの蹴撃を繰り返す。この舞いによりゴーレムの大軍に対応するニィエン。
 そして狐狛もまたチェス型ゴーレムの攻撃をひらりっと蝶のように舞い躱しながらも、霊符をばら撒いていく。それは攻撃性もあるものではないが、チェス型ゴーレムにくっついたりしていく。
 そんな狐狛とニィエンの攻防が続く中で、破壊されたチェス型ゴーレムに尾守・夜野(墓守・f05352)が近づく。
「頭を使うような作業は【俺】にはまかせられませんからね。【僕】が相手だ」
 その表層に現れているのは、普段の夜野の人格ではなく、多重人格の一つである頭脳担当の人格である。
「なんともはやチェスとは…鏡の国のようではないですか。まぁ模しているだけでルールを守る気は…ないのですかね?」
 すでに狐狛やニィエンを襲い掛かっているチェスの数は、すでにゲームのチェスの駒を超えている。つまりはチェスのルールとは逸脱している。それに夜野もまた、戦いである今、チェスのルールなど守る気などない。
「ではチェスじゃなくて将棋にしてやりますよ」
 そう言って「還元式混沌創造(テキトウコントンメーカー)」を発動し、破壊されたチェス型ゴーレムに刻印を混ぜ込みキメラ群として自身の戦いの駒として出現させる。ニィエンが破壊した分だけそれを再利用し、キメラゴーレム兵団をチェス型ゴーレム軍団にぶつける夜野。
「お、いいね。そのネタ、いただき!」
 タイミングと見たのか、狐狛もばら撒いていた霊符を発動させ「量産型の文化財(オーダーメイド・ミラーハウス)」によって、チェス型ゴーレムの駒を複製させる。そして夜野のキメラゴーレム軍団と共に挟撃して一気に中央へと追いやる。
 その軍団が最も固まる瞬間を、空から見ていたニィエンは待っていた。さらに空高く飛翔し、渾身の力を持って大地へとその足を踏みつける。
「世界を揺るがす竜王の鉄槌! バハムート・デストラクション!」
 「ナマズのグラグラ大地震(ナマズノグラグラダイジシン)」を発動させ、大地震を巻き起こすニィエン。その力は地割れを引き起こしチェス型ゴーレムやコピーゴーレムやキメラゴーレムを巻き込んで落下させていく。
「ぬうううううう! ここまでの地震を起こすとは……!」
 さすがのカダスフィアもこの大地震は想定外で、自身も巻き込まれそうになりながらも何とか踏ん張っている。だが駒を破壊されるということは、夜野のキメラゴーレムの影響下に置かれるということだ。
 地面の裂け目から巨大になったキメラゴーレムの手がカダスフィアを掴む。そして口を開けると狐狛のコピーゴーレムを射出する。それに激突しバランスを崩すカダスフィア。
「さて、チェックです。その血をいただきますよ?」
 狐狛が激突し竜鱗がはがれた箇所から肉を削ぎ落し、手で血を奪い取る夜野。あまりの鮮やかすぎる連携攻撃にカダスフィアも面を喰らってしまったが、すぐに正気を取り戻し、夜野に攻撃をするも、すでに首元に姿はない。
「なお、僕は他の人格からは腹黒で通ってます。失礼ですよね」
「いやいや、詐欺師でも通用すだろ?」
 黒い笑みを浮かべる夜野の隣には、足場を作って回収した狐狛がいる。敵を倒せないとみるやいなや、戦果だけはしっかりと回収するのはさすがというべき手並みである。

 カダスフィアもニィエンが巻き起こした足場と、キメラゴーレムの制圧に集中せざるをえない状況。まさに力の消耗という意味では、3人の連携が戦果を挙げたと呼べるに値する。カダスフィアはまたチェックメイトへと盤面を持ち込まれたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

中村・裕美
「……これが帝竜……なかなか大きいわね」

ゴーレムの大群に対しては
「……まずは逃げる」
とにかく距離を開けて相手の動きとかを伺う。チェスの駒を模しているのであれば、駒の種類で動き方や機動力に差が出てくるかもしれない
逃げながらも【早業】【ハッキング】【罠使い】で盤面に槍衾やトラバサミなどの罠を仕掛けて数を知らしつつ、追いついたものから順にドラゴンランスで仕留める
「……あいにくこっちは……チェスをしに来たんじゃないのよ」
UCを使う隙ができれば【邪竜降臨】で黒炎を纏い、一気にゴーレムを燃やす。代償は各種耐性で耐える
「……黒炎覚醒……といったところかしら?」
更には飛翔してボスに肉薄して【串刺し】


クラウン・アンダーウッド
チェスはあまり得意じゃないからこの際だ。得意のダンスを披露しようじゃないか♪

人形楽団、音楽始め!
楽器を手にした道化人形達の演奏を背に9体のからくり人形と共に帝竜のもとへと突き進み、1体だけ別行動。


周囲の情報を逐次掌握して、からくり人形と共にゴーレム達の攻撃をまるでダンスをしているが如く受け流しながら怪力で粉砕していく。
おや?この程度なら大したことないなぁ♪
相手を挑発して自身に注目させ、攻撃が集中するように仕向ける。

別行動させているからくり人形(β)は、主人に攻撃が集中している隙に接近して自身のUCの射程に帝竜を納めて使用する。

ボクに付き合ってくれてどうもありがとう♪β!終焉の大火!


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

前座はある程度蹴散らしたし、いよいよ本番ねぇ。
中ボスとはいえドラゴンどもの親玉の一角には変わりないもの。
きっちりと、ブッ潰さないとね?

軍勢の召喚は止められないし、端から潰してったんじゃキリないわねぇ。
ミッドナイトレースに○騎乗して突撃、一気に切り込みかけるわぁ。
囲まれた瞬間に●粛殺を発動。強化された〇範囲攻撃で一気に〇なぎ払うわよぉ。
こいつは戦術眼に優れた竜だって話だし、戦力計算くらい一瞬で終わらせられるはず。
…けど。「計算の終わった相手の戦力値がいきなり三倍になる」なんてことが起きたら、多少は計算狂うでしょ?
こういう状況での〇だまし討ちは、食らうほうが悪いのよぉ?


ナイ・デス
どのような盤面からでも……そう
だから私達の勝機も、決して潰えない
掴み取ってみせます。かつての、勇者のように
私は、勇者のパートナー、ですから!

大群前に怯まない【勇気】を胸に
【怪力ダッシュ】盤面を、王目指しひた走る
阻まれても【見切り、念動力】で自身【吹き飛ばし】て急加速、抜けて
【覚悟、激痛耐性、継戦能力、カウンター】ダメージ受けながらでも、切り払って進み続ける
そうして

王手(チェック)
『今はあなたの後ろにいる』

今の肉体を捨て駒にして、死角から【暗殺、鎧無視攻撃】不意打ちで、黒剣鎧の刃刺して
これだけでは、よくて驚かせるぐらい、でしょうが
刃通して【生命力吸収】急な虚脱感

詰みに繋がる、隙を作ります!


ルネ・プロスト
人形達は死霊憑依&自律行動

転移後直ぐにナイトに騎乗、光学迷彩代わりの幻とルネの姿を模した幻影で時間稼ぎしつつナイトのダッシュ&ジャンプで逃げ回るよ
邪魔な敵駒は都度高圧の水弾で吹き飛ばし、攻撃が届きそうならオーラ防御で身を守る

敵の先制攻撃を凌げたらUC使用、少し卑怯臭いと思わぬこともないけれど
『君の他の帝竜達のこと(情報)、教えてくれるかな』

あぁ、そもそも君の答えなんて期待していない
言葉だけではそれが嘘か真かなど見抜けやしないのだから
だから、ルネが君に質問をした時点でチェックメイトだ
このゴーレム達が固有の意志を持たず、君の指揮だけで動いてるのなら尚更の事
さぁ、己が爪牙で自らの喉首を掻き切るがいい



 地割れによって大きく歪み、チェス盤を模した岩石が割れていく。自身のフィールドであるカダスフィアフォートが徐々に崩壊しつつある現実を感じる帝竜カダスフィア。
 それはまさしく群竜大陸で覇を唱える帝竜である自身に勝るとも劣らない戦いを繰り広げているからであろう。事実、すでに劣勢へと追い込まれている。
 繰り出した策は決して悪いものでないが、それを上回る力を猟兵が発揮した。ならば余力など考えず全力を尽くすのみと、カダスフィアは大きく吠える。
「ならば猟兵! このカダスフィアの全チェスの駒を用いて、ここにて雌雄を決っさん!」
 そう言ってカダスフィアフォートにある全チェス盤から夥しいほどのチェス型ゴーレムが出現する。恐らく、カダスフィアが呼べる全ての兵力を動員した結果であろう。圧倒的な物量を持って猟兵達を押し潰す気だ。

「……帝竜も大きいけど……すごい物量ね」
 帝竜カダスフィアやチェス型ゴーレムの大軍勢からは少し離れた所で戦場を俯瞰しているのは中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。これからあの数を相手にするのかと思うとネガティブな思考になるが、他の猟兵との連携もあるので何とかなるとも考えて踏み留まる。
 ゴーレム出現時に即座に逃げて距離を空けたのも相手の動きとかを伺うためだ。チェスの駒を模しているのであれば、駒の種類で動き方や機動力に差が出てくるかもしれないという考えの元、迎撃態勢の電脳魔術を構築し始める。
「まずは……私が出鼻を挫く……」
 進軍を開始したチェス型ゴーレム軍団に対し、高所に陣取った裕美の電脳魔術が発動する。空間を介して発動される構築魔術トラップ。槍衾でゴーレムを串刺しにしていき、トラバサミで機動力を封じつつ進軍を乱して足を止める。その隙を突いてドラゴンランスの投擲で頭を吹き飛ばして数を減らしていく裕美。
 だがそれでもこの圧倒的数では焼け石に水。このままでは飲み込まれるだろう。だが苦々しくも裕美は口ずさむ。
「……あいにくこっちは……チェスをしに来たんじゃないのよ」

 そして正面の裕美が惹きつけている間、東側で動き出すもの達がいた。
「前座はある程度蹴散らしたし、いよいよ本番ねぇ。中ボスとはいえドラゴンどもの親玉の一角には変わりないもの。きっちりと、ブッ潰さないとね」
「同感です。人形騎士団、でます」
 そこには軍勢の召喚は止められないと思案し、すでにバイク型UFO「ミッドナイトレース」に乗り込んで斬り込み準備完了なティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)。そして人形騎士団と呼ばれる戦闘人形に死霊憑依させ自律行動をさせ、自身もナイトに乗り込んで突撃準備をしているルネ・プロスト(人形王国・f21741)がいた。
 そして二人は同時に行動開始する。ルネは自身が特定されないように光学迷彩を纏い、他の人形にも自身の幻影を出現させる徹底ぶりだ。自身はナイトの機動力を生かし敵陣を突破しつつ、他の人形騎士団にはチェス型ゴーレムとの交戦に向かわせる。
「邪魔よ」
 途中で邪魔に入るチェス型ゴーレムはナイトの四つ足で踏みつけながらも、その都度高圧の水弾で吹き飛ばしていく。攻撃もオーラを展開して不意を突かれないように死角を埋めるルネ。
「一気に切り込みかけるわぁ!」
 そしてルネの人形騎士団が穿った箇所を広げるようにバイクに騎乗して斬り込みをかけるティオレンシア。銃弾を右に左に、正面にばら撒いていく。幸いと的には困らないので、ルネの人形には当てないように気を配る。
 だがカダスフィアもすかさず穴を埋めるべく攻囲へとチェス型ゴーレムを動かす。圧倒的物量はそのためでもある。だがティオレンシアは不敵に笑う。
「戦術眼に優れた竜だって話だし、戦力計算くらい一瞬で終わらせられるわよねぇ」
 すかさずティオレンシアは懐からオブシディアン・アンダラ・グレネードを取り出し、能力「粛殺(リインフォース)」を発動させて、包囲の一角に投げ込む。すると炸裂したグレネードはカダスフィアの想定を超える大爆発を起こす。
「なんだと…!」
 戦力分析を終えたはずにも関わらず、想定外の被害が出る。これこそティオレンシアの能力であり、グレネードの威力を瞬時に3倍まで引き上げた結果であった。それはカダスフィアの計算に狂いを生み出していく。
「こういう状況でのだまし討ちは、食らうほうが悪いのよぉ?」
 にこやかに笑い、グレネードと銃撃でさらに被害を拡大させていくティオレンシア。

 そして反対側の西からはナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)とクラウン・アンダーウッド(探求する道化師・f19033)が激化する戦場を見ている。突撃するタイミングとしては最適だ。
「どのような盤面からでも……そう。だから私達の勝機も、決して潰えない」
 そう言って自らを鼓舞するナイ。その足は決して鈍ることはない。
「掴み取ってみせます。かつての、勇者のように。私は、勇者のパートナー、ですから!」
 勇者に並ぶ勇気を示すため、ナイは躊躇なく敵陣へと突っ込む。それを優雅に笑みを浮かべて、クラウンは見る。
「チェスはあまり得意じゃないからこの際だ。得意のダンスを披露しようじゃないか♪」
 そして指を鳴らせば現れるは、10体の楽器を手にした道化人形達。
「人形楽団、音楽始め!」
 その合図と共に演奏を始め、9体の人形達と共にチェス型ゴーレムの大群へと突き進むクラウン。愉快な演奏に合わせながらもクラウンは周囲の情報を逐次掌握して、からくり人形と共にゴーレム達の攻撃をまるでダンスをしているが如く受け流す。そしてすり抜け様からの怪力で次々と粉砕していく。
「おや?この程度なら大したことないなぁ♪」
 そう言ってクラウンは相手を挑発して自身に注目させ、攻撃が集中するように仕向けていく。まるでサーカスに群がるように。
 そしてナイは王たるカダスフィアに向かって一心不乱の突撃をしていた。勇気をというには度の超えた突貫。阻まれても念動力で身体を飛ばし、相手の隙間縫って急加速をし、邪魔ならば力を振るって粉砕しながらも、盤面を、王目指しひた走る。
 例え負傷を負ったとしてもその速度は落ちることはない。幸いとクラウンがチェス型ゴーレムを引き付けてくれている。軍勢が薄くなっている箇所を突き進む。

 そうして真っ先にカダスフィアに着いたのは、一直線に向かったナイだ。だが満身創痍の身体はもはや攻撃する力すらないように見える。
「よくぞ辿り着いた。これで終わりだ」
 帝竜の無慈悲なる踏み付けがナイの身体を粉砕する。それで猟兵の一人の生命が終わるはずだった。
「王手(チェック)」
 だが次にカダスフィアは驚愕することになる。ナイが瀕死になったことで、「今はあなたの後ろにいる(フェイタルムーブ)」が発動。目の前の体を放棄し、新たなナイが死角から現れたのだから。
 竜鱗が回復していない場所に黒剣鎧の刃を刺し込むナイ。当然これだけでは致命傷に至らない。
「グッ……これは!」
 だが刃を通しての生命力吸収がカダスフィアに虚脱感を与える。振り解こうとするも抵抗するナイ。
「詰みに繋がる、隙を作ります!」
「ナイ、隙をありがとう。β! 終焉の大火!」
 クラウンの大声と共に一体の人形がカダスフィアの足元に張り付く。それこそ、別行動させているからくり人形(β)。クラウンがチェス型ゴーレムを引き付けている内に回り込ませ、ナイの攻撃で接近した一体。そして「人形固有能力・タイプβ(ドールユニークアビリティ・タイプベータ)」が起動する。
「ぐおおおおおおおお!」
 すべてを焼き尽くす却火のオーラが放出される。それによりカダスフィアは掴まれた足を中心に大いに焼かれる。ナイも巻き込まれるが、体を放棄して新しい体になって爆心地から離脱する。
「君の他の帝竜達のこと、教えてくれるかな」
 そして囲みを軍勢を蹴散らしてきたルネの問いが響き渡る。それこそ能力「十糸操縦・七魄篭絡(マリオネット・インヴェイグルナーヴス)」の起動条件だ。身動きを封じ操る十の霊糸がカダスフィアを捉え、それを操って自傷行為へと誘う。
「そもそも君の答えなんて期待していない。言葉だけではそれが嘘か真かなど見抜けやしないのだから」
 だから、ルネが質問をした時点でチェックメイト。助けるチェス型ゴーレムも駆けつけるには時間がかかる。だが恐るべきドラゴンの膂力はその首に向かおうもする腕に抗って止まる。

 驚異的なカダスフィアの力に嘆息するルネではあるが、動きは封じた。そして詰めの一撃は正面から現れる。
「……黒炎覚醒……といったところかしら?」
 それは東西からの挟み撃ちで痩せ細ったチェス型ゴーレムの軍勢を切り裂き飛翔する裕美だった。ドラゴンエナジーを飲み干すことによって「邪竜降臨(ウロボロスインストール)」を発動させていた。その黒炎を纏い、一気にゴーレムを燃やし、カダスフィアまで到達する。
 そして竜の如き破壊力と黒炎を纏ったランスが身体に深々と突き刺さる。その一撃に吐血するカダスフィア。さらに操られた腕の牙が首へと突き刺さる。
「見事、だ。軍勢では敵わず、か。だが、帝竜の力、侮ることなかれ……!」
 そういうとチェス盤の地面が動き出し、残りのチェス型ゴーレムがカダスフィアへと集結していく。かなりのダメージを与えたはずではあるが、まだ倒れないのは帝竜たる底力か。

「しぶといわねぇ」
 チェス型ゴーレムをあらかた殲滅し終えたティオレンシアが溜息を突く。だが彼女は予感もしていた。帝竜カダスフィア、その命脈の終焉は近い、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

才堂・紅葉
「いい気合ね。でも、こっちも初手から指し手を遅らせる訳にはいかないのよ」
敵の気迫を快く受けて獣の笑みを返す

とにかくでかい相手だ。虎の子はあるがきちんと詰めねば無意味になる
「ガジェット」ブーツの跳躍と張り付き機構の【メカニック】を活用し、本体を目指して登山だ
大変な難行だが、大事なのは注意深い【情報収集】と、敵の駒の配置と動きを【戦闘知識】で【見切る】事。そして最後は【野生の勘】と【気合】だ

本体を見極めれば虎の子をぶち込もう
「コード・ハイペリア!」
真の姿の【封印を解き】、超重力弾で地形ごと本体を【吹き飛ばす】

「チェックメイトよ、帝竜!!」
余力が有れば、本体を追撃し超重力の鉄拳で駄目押しをいれたい


ハロ・シエラ
随分と大きいですね。
まだ巨大に変形すると言うのですから大したものです。
まず合体に巻き込まれない様にしなければ。

ですがこれ程大きければ、地面にはかなり影を落とすでしょう。
その影を利用し【闇に紛れる】事で敵の狙いを付け辛くします。
敵の攻撃範囲は広いでしょうから、その動きを【見切り】、【ダッシュ】で走り回って巻き込まれる事も回避します。
一発食らったら終わりでしょうから、手早く接近し、ユーベルコードで一太刀浴びせて撤退します。
この巨大さでは、全力で【ジャンプ】しなければ爪先くらいしか斬れ無さそうですね。
可能であれば、脚等を【部位破壊】して動きを鈍らせておきたい所です。


曾場八野・熊五郎
ほほー、でっかいトカゲでごわすな
皆殺しの平原にいたのも美味しかったからこやつもきっと美味しい

(pow)
近付かないことには始まらないでごわす
接敵したら『ダッシュ・ジャンプ』しながら近づくでごわすよ。我輩は小さいから大きくならなら見えにくいはずでごわす

見つかったら攻撃を『怪力・トンネル掘り』で緊急回避するでごわす。潰れたと思わせて地中から行くでごわすよ
足音を『野生の勘・追跡』して足元に【犬ドリる】で落とし穴を掘るでごわす

落ちて体勢が崩れたら猟兵と協力して総攻撃でごわす
『怪力・傷口をえぐる・捕食・トンネル掘り』で眼鼻傷口から【犬ドリる】で食い込んでいくでごわす

アドリブ・連携歓迎


備傘・剱
こいつ、食えるんだろうかな?
ま、やってみればわかるってもんだ

まずは雷獣駆発動、接近戦を仕掛ける

無機物と融合し始めたら、誘導弾、呪殺弾、衝撃波を鎧無視攻撃、鎧砕きを重ねた零距離射撃で無機物を破壊

巨大になっても、片っ端から削り取ってやる
帝竜の再生と俺の弾幕、どっちが早いか勝負だ

オーラ防御は常に全力展開

ゴーレムの大群と怪物共は、誘導弾、呪殺弾、衝撃波、頭の上の一足りないのダイスを弾幕に、接近されたら、グラップルで破壊

その後、全力で飛行し、全兵装完全起動、帝竜の横っ腹に全力で突っ込んで穴をあけてやる

さぁ、お前の肉はどんな味だ?
おいしく全部食べてやるから、安心して狩られておけ

アドリブ絡み、好きにしてくれ



 猟兵達の猛攻により、帝竜カダスフィアは今、自身の生命の終わりを感じている。それほどまでに追い詰められている実感はかつての敗北の悪夢と合致する。
 もはやチェス型ゴーレムは殆どを壊滅させられ、軍勢としては機能しない。盤の支配権は失われたも同然となった。
「だが……まだだ。一刻でも、一秒であろうとも、時間を稼いでみせようぞ!」
 そしてチェス盤の大地が大きく動き出し、帝竜カダスフィアへと集結していく、それこそカダスフィアの負傷した身体を包み込み、巨大なチェス盤岩のドラゴンと化していく。その巨大さは元より巨大だったカダスフィアの2倍以上。まさに圧巻の巨竜が君臨する。
「いい気合ね。でも、こっちも初手から指し手を遅らせる訳にはいかないのよ」
「随分と大きいですね。まだ巨大に変形すると言うのですから大したものです」
 その巨大なるカダスフィアに対して、正面から相対しても怯まない二人の烈女。才堂・紅葉(お嬢・f08859)は拳を鳴らしながら岩の巨竜を見つめ、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は冷静な眼でその巨体を捉え、レイピア「リトルフォックス」を構える。
 二人の強敵たる猟兵を捉えたカダスフィアはその岩の巨体を動かし、押し潰さんと進撃する。合体に巻き込まれないように注意していたハロの動きは機敏だ。あれだけの巨体を動かすとなれば大きな影が存在する。その影に隠れるように身を翻し、瞬時にハロはカダスフィアの視界から消えて見せる。
 一方の紅葉は敵の気迫を快く受けて獣の笑みと共に、正面から立ち向かう。強烈な巨大な岩の腕の激突を寸前で避け、そのチェス盤の身体へと飛び移る。
「これだけでかい相手だし、虎の子は無駄にはできないわね」
 故に間合いを詰め、とっておきをお見舞いするのみである。そして困難が予想される登山を開始する紅葉。

 それをさせまいと叩き落とそうとするも、側方から迫る猟兵がそれを阻害する。右手側からは曾場八野・熊五郎(ロードオブ首輪・f24420)が猛ダッシュでカダスフィアに突撃する。
「ほほー、でっかいトカゲでごわすな。皆殺しの平原にいたのも美味しかったからこやつもきっと美味しい」
 熊五郎を突き動かすのは飽くなき食への探求。それに比べればドラゴンという最強種への恐怖や畏敬など何のその。野生は置いてきたと言わんばかりに、叩き潰さんとするチェス盤岩の巨竜。
「近付かないことには始まらないでごわす!」
 小さい故に見えにくいという利点を生かしてかなり距離を詰めたが、さすがに距離が近くなれば発見される。カダスフィアの巨大な足が熊五郎を踏み潰さんと迫る。
「ぬおおおおお! 緊急回避でごわす!」
 さすがに潰されてはまずい思った熊五郎は持ち前の怪力を生かして地面にトンネル穴を掘って巨大なスタンプを回避する。咄嗟の掘削作業であったが何とか衝撃の影響がでない深さまで逃げることができた。
「よし、このまま地中から行くでごわすよ」
 そう言って能力「犬ドリる」を発動して高速回転を始める。ドリルと化した熊五郎はそのまま地面に穴を掘り進めていく。
 そして熊五郎とは反対側からは備傘・剱(絶路・f01759)が完全武装でカダスフィアに突撃をしていく。
「こいつ、食えるんだろうかな? ま、やってみればわかるってもんだ」
 劔を動かすは奇しくも反対側に突っ込んでいった熊五郎と同じく、飽くなき食欲であった。それほどドラゴンの肉というのは珍味・美味であるということだろう。
 すでに無機物と融合を果たした今、チェス盤の岩を取り除かなければカダスフィアの身体には届かない。ならばとその外殻を削ぐことに集中する。
「巨大になっても、片っ端から削り取ってやる。帝竜の再生と俺の弾幕、どっちが早いか勝負だ」
 攻撃の軌道を読み、身体を吹き飛ばすような風圧の攻撃を繰り出す岩石の巨竜をいなしながら、劔は無数の弾丸を吐き出していく。衝撃波で岩石をはがし、鉄をも砕く弾丸で打ち砕く。さらに至近距離からの弾丸で徐々にではあるがその外殻を削いでいく。

 劔が下で奮闘している頃、紅葉もまた巨竜の頭を目指して登ってくる。チェス盤の岩石が突然飛び出すように邪魔してくるが、それもガジェットブーツの機構と、注意深く岩石の発生ポイントを見極める観察力で何とか凌いでいく。もちろん戦場を積み上げた勘もフル動員して懸命に攻撃を躱し、頂上を目指す。
 そして戦況が動く。地下で犬ドリルによって掘り進めていた熊五郎の掘削作業が地盤沈下を起こし、巨大な落とし穴となって巨大岩石竜の足を取る。
「な、なに!」
 さすがのカダスフィアもこの巨大でバランスを崩されるとは思っていなかったのか、動揺が激しい。そしてその隙を影からずっと回避しながらチャンスを伺っていたハロも動く。
「一発食らったら終わりの巨体。ならば、この一撃にすべてを賭ける」
 ほぼ全ての体力・魔力を込め、巨大に変形させたレイピアに全てを断つ力を得る、絶技「スターブレイカー」。使い所はここだと言わんばかりに、ハロは全力を込める。狙うは巨竜の取られていないもう片方の足だ。
「ちぇえすとぉおぉおぉおぉぉぉぉ!」
 レイピアが巨大化し、その星をも穿つ一撃は地形すら変形される岩石の巨竜の足を粉砕する。これによりチェス盤岩の巨大な竜は完全にバランスを崩した。
「総攻撃でごわす!」
「さぁ、お前の肉はどんな味だ? おいしく全部食べてやるから、安心して狩られておけ」
 全力を出し尽くし、倒れ込むハロに対し、任せておけと言わんばかりに熊五郎と劔が続く。熊五郎は引き続き犬ドリルで岩石を掘り進め、その外殻を破壊してついには左腕をも切断する。
 そして劔は「雷獣駆(ブレイジングビート)」を発動させ、額から生えた麒麟の角より発生した黒い迅雷を纏い、獰猛な獣となって突撃する。全力で飛行し、全兵装完全起動をし体内のバッテリーが尽きるほどの電流を与えて岩石の巨竜の横っ腹に全力で突っ込んで穴を開ける。
 片足、横っ腹、左腕と切断され、巨大な岩石竜は崩壊へと向かう。そして巨竜の頭部でカダスフィアの本体が露出をするのを、紅葉は捉えていた。
「コード・ハイペリア!」
 紋章が封印を解き、真の姿の真紅の髪が現れる。そして紅葉は愛用の銃から虎の子である「絶・六式詠唱弾(フェイタリティ・グラビトンマグナム)」の超重力弾をぶち込む。
 それは重力術式の刻まれたマグナム弾に紋章の力を相乗し、擬似重力崩壊現象を起こす。僅かに守られたチェス盤をも吹き飛ばし、帝竜カダスフィアの身体が宙に舞う。
「チェックメイトよ、帝竜!」
 全員の力の勝利だと言わんばかりに、竜鱗が剥がれた胸の部分に超重力の鉄拳を叩き込む。その位置はまさしく身体の正中。つまり竜の心臓がある位置であった。
 生命活動の源である心臓を砕かれ、さすがのカダスフィアも壮大に吐血し、その生命の終焉を悟る。
「見事……な攻め、だった……猟兵。だが、最後に勝つは、我ら……ヴァルギリオス様、よ……」
 そして地面が激突すると同時に、カダスフィアの生命は尽きる。チェス盤の岩石で出来た巨大なる竜も崩壊に向かい、カダスフィアフォートも見る影もなく崩れ落ちていく。
「……敵ながら、すごかったです」
 そう言って息絶え絶えのハロは口を開く。それは単純な敵への賞賛であった。トドメを刺した紅葉もその気持ちは同じであった。そして力をほとんど使いつくしたハロを抱えて脱出する。


 こうして第一の帝竜カダスフィアは岩石のチェス盤のフィールドと共に沈んでいった。その指し手は冷徹であり、自分を犠牲にしても目的を達するという気迫に満ちていた。
 これほどの帝竜を最初から兵士としての捨て駒とさせるほどの帝竜ヴァルギリオスの力の深奥。まだ見ぬ帝竜達のこともあるが、今は進むのみである。こうして最初の帝竜は猟兵達によって打倒されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月07日


挿絵イラスト