帝竜戦役②~それが思し召しなれば~
●殉教者の旅路
「ああ、主よ。そうなのですね」
そこに佇んでいたのは、少女達だった。神官服に身を包み、風吹く荒野にて少女たちがただひたすらに祈りをささげていた。
彼女達は神龍派。再び現世に舞い戻って来た神龍を使徒と崇める一派だった。まさしく異端。
にもかかわらず彼女たちは祈る。
なぜなら、
「ああ、やはり……」
感慨深い声が少女達から響く。みれば、その身は翼を背負い、その腕には鱗を生やし、その瞳は爬虫類が如くに割れていた。角すらも顕れていた。
ドラゴン化である。
「これこそまさに神の恩寵」
そしてその変貌を、少女たちは祝福と受け止めた。なら次はこの神威を以て人々を導かねばなるまい。
それは即ち、虐殺。それを使徒たる帝竜が望むのならば。
たとえ己達が死せるとも。少女たちは、殉教の度に出た。
●殉教の手向けをここに
「という訳で、今回はこの皆殺しの荒野におる連中を倒して欲しい、いやはや、信じる者は救われるといえど、それで死んだら意味もないのぅ」
そう言ってアイリ・ガング―ルは笑いながら君達に地図の場所を指示した。
「ここに居るのは、『神龍教派のクレリック』共じゃ。複数人おる。信仰心によって自己を強化し、何よりも強力なのが、《神龍降臨の儀》じゃ。無敵の神龍を想像で作り出してくるぞ。攻略するにはその『無敵』という想像に罅を入れねばならん。くれぐれも気を付けよ」
更には、とアイリは言葉を続ける。
「今回は、クレリック共それぞれがドラゴンの特徴を得ておる。その中でも特筆すべきは飛行能力じゃ。連中、空から攻撃してくるから、それに対処するのじゃぞ?とはいえ利点もある。ドラゴンの特徴を得ているがゆえに、『逆鱗』も存在する。今回であれば、硬い鱗に覆われた胸元がそこじゃ。その『逆鱗』攻撃すれば、明確に致命傷となるであろう」
との事だった。
つまりは、【相手の空からの攻撃に対処して、硬い鱗に覆われた胸元の『弱点』を攻撃すれば戦闘を有利に運べる】という事だ。
「さて、信仰は各々勝手にしてもそれで人を殺されては叶わぬ。しかも竜に変じてはどうしようもなし。せめて引導を渡してやりな」
そういって妖狐は笑った。
みども
こんにちは。戦争シナリオ第二弾です。そういう感じでよろしくお願いします。さらさらっと書き上げたい。
第1章 集団戦
『神龍教派のクレリック』
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POW : 信仰心の証明
自身の【神龍教への信仰心】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 神罰の吐息
【天から降り注ぐ聖属性の突風】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に神龍教徒のみに及ぼす加護が満ち溢れ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : 神龍降臨の儀
無敵の【神龍】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
イラスト:善治郎
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
レパイア・グラスボトル
竜を信じれば強くなって空を飛べる、ね。
まぁ、バカもおだてりゃ人を止めたり、空を飛べたりするしな。
似たようなものだな。
さてと、あちらはワタシやうちの女衆よりも綺麗な司祭様だ。オマエラも楽しいだろ?
【POW】
というわけで、オマエら、楽しい楽しい花火の時間だ。
接敵を許す【不利な行動】での身体能力向上をしがみつき自爆することで無視する。
爆破という範囲攻撃による逆鱗を巻き込む。
もしくは翼を狙い、地に堕とす。
ワタシらみたいな略奪者に不利な姿を見せるのは良くないぞ?
なお、墜落した家族達はレパイアが【医術】で治療する。
アドリブアレンジ絡み歓迎
龍ヶ崎・紅音
「世界を滅ぼす龍を信仰しているなら、悪いけど全て倒させてもらうよ」
【POW】
「黒焔竜剣 伍式」で焔【属性攻撃】をして、『黒焔呪縛鎖』を発動
敵を【捕縛】することにより動きを封じ、焔槍形態のホムラで"弱点"に狙いを定めて【槍投げ】することで【串刺し】にするよ
ほかに、地上にいる敵に対して「黒焔竜剣」を一時的に焔に変えてから「壱式」へ形態変化して覆っている鱗ごと"弱点"目掛けて【鎧砕き】を放つたり「弐式」へ形態変化してからこちらも"弱点"を狙った【なぎ払い】による【範囲攻撃】でまとめて蹴散らしたりするよ
ステラ・アルゲン
帝竜が現れたというのであれば、黙って見ているわけにはいきません
故郷たるこの世界を守るため、私も馳せ参じましょう
敵が空を飛ぶというのであれば【属性攻撃】で炎を操り、【オーラ防御】にて炎壁とし、近づく敵を牽制しましょう
お前たちが龍から授かった恩寵とはこの程度なのか?
彼女たちの信仰心をわざと煽って祈るように仕向け、その祈りの最中の隙に【ダッシュ】で勢いを付けてジャンプし敵に近づく
祈っている間は止まっているはずだ。弱点たる胸の逆鱗も狙いやすいだろう
【流星一閃】にて逆鱗を斬るとしよう
お前たちの祈りの為に他の者が殺されるのを私は許せない
悪いがその祈りごと、我が剣にて斬り捨ててくれよう
シズル・ゴッズフォート
自身の信仰の証明の為に、他者に死を押し付けるとは。随分と自分勝手な事を仰る
抑え難い「欲」があるのは私も同じです。それは認めましょう
ですが、こんな私でも騎士の真似事は―――誰かを護ることは、出来るのです!
抜刀せず、片手に楯を持つのみで参戦。UCを起動し、周囲に複製の楯を大量召喚
軌道調節に少々念力を使用しつつ、複製楯を●怪力で以て空中の殉教者へ全力投擲
鱗、逆鱗、細腕の防御。諸共に質量と速度で叩き落とすまでです
反撃の風は手元のオリジナルと複製で簡易陣地を構築し、●盾受けで防御
……元々は神を奉ずるだけの只の少女。短時間でも一方的な戦いになれば、竜の力と自身の優位を拠り所にした意気も挫けるでしょう
「あれは……」
空を、飛ぶ。竜の一部を宿した信徒の一団が、空を飛んでいた。
神龍教派のクレリック達がその割れた瞳孔で見据えたのは、猟兵達。
「ああ、あれは!あれこそが!!!」
そしてそれを見た途端。クレリック達は沸き立った。そう、彼奴らこそは使徒たる帝竜を滅ぼさんとする者達。
それは即ち神敵であり、
「許すまじ!!!」
叫びと共に、急降下してゆく。
「「ああ!聖なるかな!聖なるかな!」」
異形となった少女たちが舞い降りる。本来であれば無視すればいいのだ。猟兵達など。そうして、無辜の人々を虐殺する。
けれど、それでも無視するわけにはいかない。
それは彼女達が信徒であるがゆえに。
着実に、地へと向かってゆく。そうして猟兵達の姿が見える場所まで滞空。
《信仰心の証明》だ。遥か天高くより地に座る神敵へと身を晒す。それは明確に不利な行為であり、だからこそその身に宿る力も増そうと言うもの。
「自身の信仰の証明の為に、他者に死を押し付けるとは。随分と自分勝手な事を」
そうして地を睥睨する竜の乙女達に対して、挑発的な言葉を投げかけるのはシズル・ゴッズフォートだ。
それに対して、乙女達は応える、ただ聖歌の妙なる響きを奏でるのみ。
「はっ、竜を信じりゃ強くなって空を飛べる、ね」
そしてその姿を滑稽とあざ笑うのは、細く白い不健康な体につぎはぎのドレスを纏い、カラフルな装飾をそこかしこにあしらった継ぎはぎの白衣を着た女、レパイア・グラスボトルだ。
豚も煽てりゃ木に登る。ならば人も然り。煽てりゃ容易く人である事を辞めるし、空だって飛ぶ。奢り昂れば人が人を造る事だってありもするのだ。
ならば、所詮目の前に飛ぶ連中も同じ類だろう。
「ああ、そうだな」
けれど一つだけ利点がある。
「なぁ、オマエラ」
それは、己の家族に向けた言葉。女の背後にいるのは、レイダーやモヒカン肩パッド。もしこれが物語の中であるならば、端の悪役として容易く命を消費されるような連中。
「あちらはワタシやうちの女衆よりも綺麗な司祭様だ。……楽しいだろ?」
そう問いかければ、男共は滾り、鬨の声を上げる。さぁ、ここからは戦いだ。奪おうとする連中の信仰を、意味を、命を奪ってやれ。
「あははは!ちょっとこれは、どっちが悪者かわからないかなぁ!」
少し困ったように笑いを一つ。先陣を切ったのは、龍ヶ崎・紅音だ。傍らに白銀の竜、〈ホムラ〉を従え、天真爛漫な少女は今日も征く。
「けれどやっぱり、世界を滅ぼす龍を信仰しているなら、悪いけど全て倒させてもらうよ!!!」
言葉と共に、手に持つ大剣、〈黒焔竜剣〉を振りかぶる。竜の呪炎が吹きあがるそれを見て、戦慄したのは乙女達だ。
「そ……それは……!」
その呪炎。まさしく竜のもの。何時いかなる竜の呪いかはわかりはせぬが、そこに秘められた想いは知る事が出来る。
それは即ち、『己が命を奪ったものに呪いを』。
「貴様!背教者が!」
ならば、目の前の少女は竜を屠りし背教者の末裔という事で、乙女達がその存在を許す事などありはしない。
故に乙女達の攻撃は、容赦なく紅音へ降り注ぐ。
神聖属性の突風が一気にたたきつけられようとして、
「お前たちが龍から授かった恩寵とはこの程度なのか?」
それを防ぐのは、ステラ・アルゲンだ。操る炎が剣先で操る炎がそのまま大楯のように展開して、突風を防いでいった。
「ありがとう!」
「帝竜が現れたというのであれば、黙って見ているわけにはいきません」
並走してきた長身男装の麗人に、紅音が笑いかけ、それに対してステラもまた微笑みを返す。
そしてそのまま鋭い瞳で炎の先を見据える。敵は、今なお中空にある。
「高いですね」
距離が遠い。助走をつけて飛び上がろうにも、未だ距離がある、といった風情であった。
「わたしに任せて!少し動きを封じさせてもらうね!伍式展開!行くよ!!《黒焔呪縛鎖/コクエンジュバクサ》!!!」
振りかぶって構えていた大剣が、振り下ろされる。そうしたなら炎を纏った刀身が、蛇腹形態に展開して、それどころか黒焔の鎖へと転じて、乙女達を拘束する。
「くぅ!!!きつい!!!」
たしかに、ユーベルコードは乙女達を拘束した。とはいえ、拘束した数も多く、それぞれが飛翔しているのだ。てんでバラバラに動こうとする乙女達の動きに、いかな紅音といえど今はどうにか拘束を解かないように、己が吹き飛ばされないように踏ん張るので精いっぱいだ。
「感謝します!」
そして、それだけでステラにとっては十分だった。
助走をつけて、鎖の一つに飛び乗る。そのまま上手くバランスを取って一気に鎖の先へと駆け上がってゆく。
相も変わらずに襲い掛かる突風は先ほどと同じく炎の壁が散らす。それでも僅かに残った衝撃がその髪を揺らし、
「―――」
耳にある〈紫宵星〉をも揺らした。その感触に、口の端がわずか上がる。
黄金城壁にて言祝いだ”彼女”の旅路。いつか、彼女もまた世に生まれるのだ。彼女が再び見る世界は、豊かでならなければならない。
なればこそ、我が故郷もそうでなければ。そうであると、祈ろう。誰の為でもなく、己の心のままの願いに、ステラの剣先は鋭くなる。
つまりは、
―――鈴。
《流星一閃/リュウセイイッセン》。目にも止まらぬ早業が、確かに胸元の逆鱗を刺し貫いた。
そうしたならば叫びと共にクレリックの一人は消滅し、それを拘束していた鎖も張力を失い地面へと堕ちようとする。
それをすかさず蹴って、次の鎖へ。まだまだ敵は、多いのだ。
「よかったなオマエラ」
鬨の声を上げた男達へ、気だるげにレパイアは語り掛けた。けれどもう男達は聞いてなどいない。獲物たちは丁度、鎖で縛られているのだ。ならば躊躇する必要も遠慮する必要もない。
脳みそが溶けたのような、いや実際過酷な世界で生きる彼らの内の何割かは、実際に脳みそが溶けているのだろうか、ともかくも単細胞な男達が、欲望のままに鎖の先に拘束された、”少し変わった飛び切りの美少女”達へ己が欲望を吐き出そうと駆けずりあがってゆく。
「とはいえ、単細胞だからどうにも命中率が悪いねぇ」
そう、己が欲望を吐き出そうと下卑た笑みを浮かべる男達はしかし、単細胞がゆえに容易く突風にあおられて堕ちてゆく。
それでもなお一生懸命駆け上がろうとするのは、なんともはや。
「さて、どうしたもんか……おや?」
クレリック達が突風で男達を蹴落とし、男達がそれでも蜘蛛の糸よろしく鎖を上っていこうとする。千日手の状態を崩したのは、無数に浮かび上がった蒼い盾だ。
「一つ聞きますが」
どこかしらげんなりした表情で、傍らに立った蒼い鎧装束の女、シズル・ゴッズフォートがレパイアに問いかける。
「彼らも、オブリビオンを倒すために戦ってるんですよね?」
その言葉にケラケラと笑いレパイアは返した。
「いいや?アイツラはそんな高尚な事、考えてないさ。ただ奪い、満足したいがために戦ってる。いわば『欲』のためってやつさ。けれど、それで誰かが守られる。それだけの事だ」
「……なるほど」
その言葉に、シズルは神妙に頷いた。ただ、楽しみの為に、欲の為に戦う。思えばそれは、敵も、クレリック達も同じだろう。彼女たちもまた自分達の信仰を証明したいという欲がある。そうであるが故に、人々を虐殺しようと、今飛び立っていたのだ。
―――そして、その欲はシズル本人にも。ただ戦いたいという獣性。欲望。それを自覚した今の己はしかし、それでもなお自分自身に首輪を掛けていた。
何せ、それは確かに首輪であったが、誇りでもあるが故に。
「だからこそ、私は証明して見せましょう!こんな私であろうとも――――誰かを護る事が出来ると!」
そうして縦横無尽に蒼い盾が飛び回り、鎖の上にいるステラを、男達を護り、拘束されながらも突風を放つクレリック達を殴りつける。
そうすればステラも剣閃を翻すことに注力できる事になり、クレリックの殲滅速度は段違いに上がる。
さらには、蜘蛛の糸の先、クレリックに、とある一人のモヒカンがたどり着いて、抱き着いた。
「ヒッ……」
「へへへへ……嬢ちゃん、もう逃げられねぇぜ……」
血走って獣欲に満たされた瞳に、乙女はただただ恐怖した。拘束された体を纏う服に手が伸ばされた瞬間、
「楽しい楽しい花火の時間だ」
瞬間、いつの間にかモヒカンの腰に付けられた導火線が着火、爆発。
「アババババ!!!」
その衝撃で弱点諸共に爆風を喰らったクレリックは言葉もなく地に落ちてゆく。そして、爆発から命からがら生き延びたモヒカンが、体中から煙を立ち上らせながら、レパイアの足元に落ちて来た。
「……生きてるか」
チラとみて生死を確認し、そのまま手慰みに神速の医療術で治して、
「ほら帰れ」
そのまま送還。シズルの援護もあり、宙に浮くクレリックの少女に手をかけ、そこかしこでモヒカンやレイダーが爆発し、レパイアの元に運ばれてくる。
「ワタシらみたいな略奪者に不利な姿を見せるのはよくないぞ?」
そして今だ健在なモヒカンやレイダー達は地に堕ちて来たクレリックの少女達に群がり、またもや爆発。今度こそとどめを刺し、自分達もまた吹き飛ばされていった。
ほぼ無意識のうちに家族たちを治して送還しながら、その豪快な様子に、レパイアは思わず笑みを浮かべた。
「そろそろ、大分楽になったね!ステラ!離れて!全部叩き落とすよ!」
鎖にかかる圧力の弱まりを感じ、紅音が声を上げた。見ればステラとモヒカン達の活躍によって、半数のクレリック達は地面に落ちたか消滅したかしている。
言葉なくステラが離脱。鎖を一度大きく蹴って、両足を広げて後ずさるように着地した。
「ああ、家族は気にしないでいい。地面に叩き落とした段階で連鎖的に爆破させるから」
「いいの!?」
「いいさ。花火は派手にあげるもんだ」
…文化が違う。紅音は少し頬に汗をかきながら、今一度、足に力を入れなおした。
「シズル!手伝って!!」
「承知!」
女の鋭い声が響き、シズルによる念力と、キマイラとしての膂力を載せた盾の投擲が、連続し、一斉にクレリック達を打ち据えてゆく。
そうすれば皆が皆一瞬意識を失い、
「いっけえええええええ!!!!」
紅音の気合い一声、一気にクレリック達を叩きつけた。瞬間、爆発。連鎖してモヒカンやレイダー達がこちらへ吹き飛んできて、レパイアがそれを瞬時に治癒してゆく。
「一気に畳みかけるよ!ホムラ!」
煙の中、僅かに見えるどうにか立ち上がろうとしているそのシルエットに、銀の槍へと変じたホムラを一気に【槍投げ】。
本来ならば弱点を刺し貫かない筈のそれは、意志持つ銀の槍の力によって微調整が加わって、
「……ッ!」
一撃で逆鱗を刺し貫き、煙の中からクレリックを一人叩きだして、そのまま消滅させた。
「つぎぃ!戻ってきてホムラ!」
その戦果に喝さいをあげて、紅音が次の獲物を攻撃するために声をかけた瞬間、
「聖なるかな聖なるかな聖なるかな」
言葉が響く。乙女達にとっても、このままでは勝てない事は明白だった。ならばどうするか。祈るのだ。祈れば、そこには神からの遣いが降りるがゆえに。
天上から光が差し、そこに想像の竜が顕現する。甲羅は固く、体は大きく、顔は雄々しく。
傷付き、命を脅かされた乙女達の願いに顕現するは最強無敵の竜。
「来たね……!」
戦いは、第二ランドに入った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天御鏡・百々
信仰は尊きものであるが……
それで帝竜に与するのは問題だな
彼女らが信奉する神龍とやらも、恐らくは悪神の類いであろう
群竜大陸を進むため、倒させて貰うとしよう
無敵の神龍を降臨させるというなら
こちらはそれを『幻鏡相殺』で映してやろう
如何に無敵といえ、同じもの同士であれば相討ちとなろう
神龍を信仰するが故
それが消えれば隙も出来よう
その隙を突き、天之浄魔弓(武器:弓)より放つ光の矢にて
急所の逆鱗を貫いてやろう
(誘導弾17、スナイパー5、鎧無視攻撃8)
●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、連携歓迎
亜儀流野・珠
信仰とは恐ろしいものだ。
俺も昔それ系のゴタゴタで殺されかけたしな!
まあ深く考えず倒し進むのみだ。覚悟だ竜女たちよ!
しかし飛行も厄介だが神龍の創造か。
……まあ大したことは無いな!
崇める対象、強大な存在をお前達の想像力で創れる筈もない!
しかも作ってるのはお前達の力だ。
お前達の力は神龍に及ぶか?
やるなら俺のように「自分の分身」くらいにしておくがいい!
という訳で俺の番だ!
「焔弾」を空中の偽神龍とクレリック達に撃ち込み爆破!
胸元は直接狙う、若しくは爆発で体勢崩したとこを狙うぞ!
さあ進もう。偽の竜などに時間は掛けてられん!
玉ノ井・狐狛
※アドリブ等お任せ
よぅ、アンタら。
よその世界にゃ、こういう小噺がある。
総てを貫く槍と、総ての武器を徹さない盾、そのふたつを売る商人の話だ。
“無敵”の神龍サマってのは、アンタらがそれぞれ喚べるワケだろう?
たとえばアンタとあっちのアイツ、互いの神龍サマが戦ったら、どういう結果になるんだ?
――ま、このくらいの問答は想定済みだろうし、無視されるかもしれない。
だから答えを聞くためにゃ、実際に戦ってもらわないとな。
◈UCで「他のヤツが喚んだ無敵の神龍が襲ってくる」幻を見せる。
どう対応するにせよ、“無敵”の概念には瑕がつくんじゃねぇかなァ。
信じる者は救われるってんなら、信じられねぇヤツは、さてどうなるやら。
神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
神龍教派。なかなか面白そうな教えですね。信じるだけで強くなれる…。
少しお話を聞いてみましょう。竜になれるとは思えませんが。
良ければ何もせずに帰ってもらうのが一番ですがどうでしょう。
話を聞いてもらえなければその時はその時に。分かり合えないのは悲しい事。
空を飛んでいるのはいい戦術です。高度を取れれば有利でしょう。
とはいえ分かりやすい弱点があるというのは無敵ではないのですね。
かといって直接狙うのもばれそうですし……。
皆に頼んで少しお相手してもらう間に、私はクレリックさんとお話を。
飛威、構えておいて。竜がこちらに来た時に不意をつける様に。
組体操の原理で跳ぶ為の足場を作りましょう。
光輝く竜であった。鱗は強く、首は太く長く、四肢に満ちる力は雄々しく。何者にも傷付かない。傷つかせる事など出来はしない。
その竜の源たる乙女達は、その威容にただただ、涙した。
「ああ、聖なる、聖なるかな……」
これならば、あのにっくき猟兵共を殺せるのだ。
光の竜が咆哮する。そしてそれを迎え撃つのは、
「信仰とは恐ろしいものだ!!」
たった一人、亜儀流野・珠だ。
永き時を生きる中で、それ関係のゴタゴタで殺されかけた側として、やけに実感の伴う頷き一つ。
己の数十倍は在ろうかと巨躯を前に1人立ち、それでも珠は、
「……まあ大したことは無いな!」
なおも笑った。
「崇める対象、強大な存在をお前達の想像力で創れる筈もない!」
そう言って胸を張り、
「『貫き通せ!』」
気合い一声、拳を向けた対象に圧縮した狐火を放つ焔弾が、乙女達と竜に襲い掛かり、
「効かない!?」
そう、無敵なのだ。それが分不相応の力とは言え、奇跡とはそも分不相応の力を与えるモノ。
「ああ、やはり。やはりこの力があれば神敵を滅殺出来る」
その成果に、竜の乙女達はなおも涙し、そして使徒への、神への信心を強くする。
「さぁ、殺しなさい」
己の全力でユーベルコードを放ったのだ。当然、珠にも隙が出来る。
そこに襲い掛かるは、光の竜の爪牙。振りかぶられたそれを、どうにかよけようとバックステップしてもなお、
「くっ」
避けられれない。迫りくるそれからのダメージのダメージを覚悟し、防御態勢を取った瞬間、
「おお!?」
体に糸が巻き付く感覚がして、一気に引っ張られた。
そのまま、紙一重で竜の爪牙を避けて。
「大丈夫か!?珠殿!!すまぬ!ありがとう!」
強制的に後退した珠へと声をかけるのは天御鏡・百々だ。傍らで、静かな瞳で神元・眞白が今しがた珠を回収した糸を巻き取っている。
「は!いいけどよ、俺を道化にしたんだ。上手くいくんだろうな?」
その挑発的な笑みにコクリと一つ、百々は強い頷きを返した。
「うむ!かのブリザードを貫いた焔弾の威力あればこそ、彼奴らもそれを防いだ己の力に絶対の自信を持つであろう。そこを……」
「アタシで天秤を傾けるってぇ寸法さぁ」
そう言ってすたすたと、未だなお迫りくる竜へと軽い足取りで歩いていくのは、妖狐、玉ノ井・狐狛だ。
珠とはまた違った趣の和洋入り混じった装いの、愛らしいスカァトを翻して、狐耳の博徒は皆の前に立つ。
「よぅ、アンタら」
ひらり、竜に遮られて見えない筈のその先におわす、竜の乙女達へと狐狛は気安げに右手をあげた。
「よその世界にゃ、こういう小噺がある」
一度は猟兵の力を跳ね除けたからだろう、信仰心はさらに高まり、より竜の力は増している。
まさに無敵。真っ当な方法で、このユーベルコードを破る事は能わず。だからこそ今、百々が絵面を描いて、それに珠と狐狛は乗ったのだ。
「総てを貫く槍と、総ての武器を徹さない盾、そのふたつを売る商人の話だ」
それ即ち矛盾。あり得ぬ事。道理が通らぬ事。
ならば、
「本来、“無敵”の神龍サマってのは、アンタらがそれぞれ喚べるワケだろう?たとえばアンタとあっちのアイツ、互いの神龍サマが戦ったら、どういう結果になるんだ?」
応えはない。当たり前だ。
―――故に、
ニヤリと狐は嗤った。
「そうかいそうかい、ならば答えを見せてやらぁ」
パン、と柏手一つ。場を清浄に祓い清める音が鳴り、
『さぁさ、さぁさお立合い。これより参るは自分探しの一人旅。片道切符で存分に。終の終まで行ってきな』
呪詞(コトバ)が紡がれる。
そうしたなら、急に竜の侵攻が止まって、
「「「「ああ、あああああああ!!!!!!!!」」」」
今まで揃っていた竜の乙女達の声が千々に乱れた。
「そりゃ、そうだろうねぇ。いくら竜が無敵とて、乙女の心は花が如し。容易く手折られすぐ枯れる。《千夜一夜の夢騙り/スクラップ・アリアドネ》。無敵の夢を見るのなら、無敵の夢に溺れるがいいさ」
そう、それこそが玉ノ井・狐狛のユーベルコード。
幻術を展開するそれは今、それぞれ竜の乙女達に、それぞれ個々に召喚した無敵の竜が相争う幻術を見せていた。
「「「「ああ、ああ使徒よ!使徒よおやめください!!なぜ!?」」」」
紡ぐ言葉は変わらず共、先ほどのように気持ち悪い程にユニゾンしたそれではなく、個々人の声色の差が現れだした。
今確実に、クレリック達は混乱している。その混乱を示すかのように、眼前に召喚された竜もまた暴れ出した。
先ほどのようにこちらへと明確に害意を向けたそれでなく、ただ苦しいというように地にのたうち回りその白き巨躯にも所々に罅が入り、崩壊している。先ほど猟兵の力を一度はものともしなかったからであろう。
より強固になった強さへの確信が、だからこそより強まった矛盾となって竜の体を切り裂いてゆく。
しかし、それでも竜はそこにあるのだ。ただでさえ巨体となれば、その質量が暴れるだけで脅威。
だからこそ、
「よくやった狐狛殿!後は我の番である!」
トドメは百々が。
そも、ここまで念を入れようと提案したのは百々である。亜儀流野・珠の焔弾の力、玉ノ井・狐狛の業を見ていたとしてもなお、斯様に迂遠で安全な策を取ったのは、
「信仰、それそのものは尊きものである」
百々自身が、神鏡、信仰を集めるモノであるがゆえに、その力を重々承知していたからである。
「されど、それで帝竜を信仰するのは問題だな」
それ即ち、悪神なり。人を害し、世界を侵して壊すオブリビオンの信徒なれば、人を助け、人の世を護らんとする百々が、許せるものではなかった。
だからこそ、見よ。天もご照覧あれ。
幼き見目の少女が懐より取り出したるは、鏡なり。真を映す、神鏡なり。
『幻なれど鏡は鏡、映りしは鏡像なれど同じ力、相殺できぬ道理はあるまい』
そう、つまりそれは《幻鏡相殺/ゲンキョウソウサイ》。眼前、竜が暴れまわる景色を鏡が映せば、そこに『竜など在りはせぬ』。それこそが真実であるがゆえに。
もし、竜の乙女達が平静であったなら、鏡に映されたとしても、強固な信仰心が竜の消滅を防いだかもしれない。
だが、千々に乱れた乙女達の心が竜を保つことを能わず、
「信仰の竜、破れたり!」
忽ち竜は消え去った。
自分達の信仰によって、ユーベルコードによって作り出された竜が敗れた事は、すぐさま乙女達にも伝わった。
「……!!!!」
勝てない。少なくとも傷付き、数を減らした自分達では。それは、クレリック達にもわかり切っていた事である。
神敵滅殺を図る事が出来ないならば、せめて一人でも多く人々を殺さねば。自分達の不甲斐なさに唇をかみしめながら、翼で以て再び乙女達が飛び立たんとする。
「待って」
そしてそれを組体操の形でくみ上げた絡繰り人形たちが、一斉に上から降り注いで、飛翔を防いだ。眞白の《百器大波乱/センジュツキ・トニカクタクサン》だ。
「「「キャア!?これは!?」」」
まさしくそのユーベルコードの名の通り、クレリック達は降り注いできた絡繰りに大混乱になり飛び立つ機会を逸する。竜の形質を持ち、信仰心で強化した身からすれば、それぞれの絡繰り人形はあまりも脆弱で、退ける事も容易い。
けれども己達が信仰によって作り出した竜が敗れた今、彼女たちの混乱を助長するのにはあまりにも最適であった。
「これでは……聞けないわね」
今しがた空へと飛び立とうとするのを阻止した眞白が、どこか残念そうに言う。
そもそも何もせずに帰ってくれるの一番であったのだ。総てが救われていればいいなどとは思わないが、ある程度平和に越したことはない。
とはいえ、この状況を見ればそれが叶わぬ事も明らかだった。竜の乙女達は血を望み、そして己達の血を流している。
ならばせめて、それでも信仰について聞きたかったのだが。信じる事で強くなれる、竜に変じるとはどのようなものなのか。なぜ、そこまで信じられるのか。
「主、参ります」
けれどもはや交わす言葉に意味はなく。
そんな主の感慨を無視して、黒の長髪にメイド服。飛威が走ってゆく。もはや趨勢は決した。
「珠殿、お待たせして悪かった!今こそ全力で頼みますぞ!」
ならばあとは殲滅戦だ。〈天之浄魔弓〉で逆鱗を貫きながら、百々が声をかける。
「よっしゃ!わかった。いくぜ!」
言葉と共に、撃ち込まれるは《焔弾》。全力のそれが、胸元の逆鱗共々にブチ抜いてゆく。
炎が舞い、ナイフが翻り、弓が、氷柱が乱舞する。
そうすればもはや如何なる竜の力を得ようとも浮足立ったクレリック達は敵ではなく、遠からず殲滅された。
そうしたなら、遠くで帝竜の嘶きが聞こえる。まだまだ戦いは始まったばかり。けれど着実に、猟兵達は勝ちを稼いでいった。
大成功
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