帝竜戦役①〜黒輪竜、失墜
●黒輪
それはアックス&ウィザーズに伝わる古い言い伝え。
「空に黒い輪状の雲が出たらすぐに逃げろ」
それは破壊者の頂点を戴く者。『黒輪竜』メランシオンの黒輪である。
そして今、『黒輪竜』メランシオンの黒輪が魂喰らいの森の上空へと現れる。
「我が黒輪の前に猟兵たる愚物どもを消し去ってくれる……!」
『黒輪竜』メランシオンは魂喰らいの森の上空にて猟兵を待ち受ける。この森を通る者は何者であろうとも許さぬ。
それは帝竜ヴァルギリオスとの盟約。この世界を滅ぼし、収穫の時を迎えるためである。
「我を滅ぼすに能わず。猟兵なにするものぞ―――!」
黒輪竜の咆哮が、魂喰らいの森を震撼させた。
●帝竜戦役
グリモアベースに集まってきた猟兵たちに頭を下げて出迎えるナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)。
その瞳は緊張にふるえていた。アックス&ウィザーズ世界において帝竜ヴァルギリオスの出現によって引き起こされる戦いに猟兵たちを送り出さねばならぬ重圧だった。
「お集まり頂きありがとうございます。緊急事態です。オブリビオン・フォーミュラ……帝竜「ヴァルギリオス」が出現し、群龍大陸へと猟兵が進行したことを受けて前倒しで、アックス&ウィザーズ世界を滅ぼそうとしています」
現時点で蘇生した配下である「帝竜」達を引き連れ、この世界を滅ぼそうとしているのだ。しかし、いち早く、その危機を予知することができたのは幸いであった。
ヴァルギリオスたちが完全に行動を開始する前に、迅速にヴァルギリオスを滅ぼさなければならない。
「はい、まずは魂喰らいの森を突破していただかなければなりません。私が予知したオブリビオンの名は、『黒輪竜』メランシオン。黒輪と呼ばれる強大な魔力エネルギーを操る竜です」
このオブリビオンは溜め込んだ膨大な魔力を振るう強力な攻撃を仕掛けてくる。
しかし、それ以上に猟兵たちが注意を払わなければならないものがある。
「それは、戦場となる魂喰らいの森と呼ばれる森の特性です。生物の魂を喰らう動植物の生えた森なのです。この森を守るメランシオンは、本来のユーベルコードに魂を啜るという効果を持つのです」
強力な攻撃を放つと同時に、相対する猟兵達の魂を啜るという付随効果まで持ち合わせてくるのだという。
一見するとどうしようもない敵のように思えたかもしれない。
しかし、どんなものにも解決策はあるのだ。
「勿論、そのとおりです。このユーベルコードに付随した能力に対抗する術はあります。心に強く楽しい思い出を念じてください。そうすれば、魂を啜るユーベルコードの効果に抵抗できます。皆さんの心にある楽しい思い出……それを込めたユーベルコードで持って打倒してください」
説明は簡潔に。
緊急を要するため、ナイアルテは猟兵に声を掛ける言葉が思いつかないようだった。
だからこそ、彼女は猟兵の皆をぎこちない笑顔で送り出すのだ。
その笑顔こそが、今回の戦いにおいて猟兵たちを有利な状況へと運ぶ最善の一手であると信じて―――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『帝竜戦役』の戦争シナリオとなります。
魂喰らいの森へと進撃し、森を守るヴァルギリオスの尖兵たる『黒輪竜』メランシオンを打倒しましょう。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……楽しい思い出を強く心に念じ、魂すすりに対抗する。
※この戦場で手に入れられる財宝について。
財宝「魂喰らいの森の核」……最高級の牛肉の味とサボテンの果肉のような食感を持つ球形の核。半径25cm程度で金貨500枚(500万円)の価値。
アイテムとして発行するものではありません。ロールプレイのエッセンスとして扱ってください。
それでは、帝竜戦役を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『『黒輪竜』メランシオン』
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POW : 消え失せろ、愚物共!
【天覆う無数の黒輪に収束する極大エネルギー】を向けた対象に、【超広範囲を破壊し尽くす豪雨の如き魔弾】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD : 我が黒輪に刃向かう愚か者が!
【対象を追跡するレベル×20個の暗黒の輪】【対象の戦意を喪失させる暗黒のブレス】【体に吸着する超高重量高密度の黒い砂礫】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 緩やかに死に逝け、定命の者たちよ。
非戦闘行為に没頭している間、自身の【無数の黒輪が天を覆い、降り注ぐ黒の雨】が【当たった対象を呪詛で侵食する。その間】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
イラスト:ハギワラ キョウヘイ
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠アイン・セラフィナイト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
魂喰らいの森。
それは魂啜る動植物の栄える森。そこへ猟兵たちは進撃を開始する。しかし、その進撃を阻もうとする者もまた存在するのである。
「森の守り人」。この魂喰らいの森の一片を守護する存在―――『黒輪竜』メランシオン。
その黒き輪は極大の魔力を蓄えしものである。
それをいくつも森の上空にて展開し、進撃する猟兵たちを睨めつける。
「これ以上は行かせぬ。我の守護する領域を侵さんとしたのが、猟兵の間違いであると知れ―――!」
メランシオンの咆哮が魂喰らいの森へと轟く。
疾く、これを討ち果たし、進撃せよ!猟兵!
シル・ウィンディア
ドラゴンがいっぱいだぁ~
でも、この世界滅ぼされてたまるかっ!
楽しいことかぁ…
わたしは、やっぱり旅団のみんなとのお話とか
妹たちとのお話とか、かなぁ
みんなとお話していると、ほんわか、あったかい気持ちになれるから
だから、この想いと一緒に立ち向かうよっ!
戦闘機動は【空中戦】に緩急付けた【フェイント】で動き回って
敵の攻撃は【第六感】を信じて動きを【見切り】対処
回避行動は上記機動に【残像】を生み出して撹乱だね
大型だから…
光刃剣と精霊剣を縦列に結合させて2m位の光刃の大剣モードで切るよ
でも、これはあくまで牽制…
本命は…
【高速詠唱】で隙を減らして【多重詠唱】と【全力魔法】で選択UC
一気に撃ち抜くよっ!
魂喰らいの森。それは魂を啜る動植物が栄える森である。
この森を抜け、オブリビオン・フォーミュラである帝竜ヴァルギリオスを倒さねば、この帝竜戦役は終わらない。
そして、この森を守護するオブリビオンもまた竜の一柱である。
空に浮かぶは黒き輪。
それがかつての言い伝えに残る『黒輪竜』メランシオンの持つ蓄えられし膨大な魔力の塊である。
それがいくつも空に浮かび、進撃する猟兵たちを迎え撃たんと待ち構えているのだ。
さらに加えて、魂喰らいの森を守護するオブリビオンは、その扱うユーベルコード全てに魂を啜る付随能力まで有するのだ。
これを払いのけなければ、ヴァルギリオスまで辿り着くことなどできようはずもない。
ル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は見上げる。その黒輪竜メランシオンの巨躯は、彼女にとっては畏怖すべきものであったのかもしれない。
「ドラゴンがいっぱいだぁ~……でも、この世界を滅ぼされてたまるかっ!」
その畏怖を振り払うのが猟兵という存在の有り様であったのかも知れない。
戦いに挑んで恐れていては、猟兵達の背中に負った世界の人々は守れないのだ。
そして、彼女は胸に思い描く。楽しいこと。その思い出が、魂喰らいの森の力に対抗する唯一の方法!
浮かぶのは旅団の仲間たちの顔。その声。何よりも妹たちのおしゃべりは、彼女の心にほんわかと暖かいものを生み出していく。それは彼女だけの思いである。
それは誰にも奪われることのない思い出。
「だから、この想いと一緒に立ち向かうよっ!」
そんな彼女が対するは、メランシオン。黒輪竜と名乗るそれは、膨大な魔力を込めた黒い輪を大空に展開させる。
「緩やかに死に逝け、定命の者たちよ」
降り注ぐ雨のような呪詛が、シルに襲いかかる。それを空中に舞い踊るようにして、緩急をつけたフェイントが躱していく。
第六感とも言うべき直感に従って、彼女は黒い雨の呪詛を躱し続ける。
「なんでもかんでも自分の思い通りにいくって思っているから、誰かを呪ったり奪ったりできるんだよ!それを―――!」
残像生み出すシルの空中機動を呪詛が捉えようと置い続ける。
光刃剣と精霊剣のニ刀がメランシオンの防壁に穴をあける。彼女の言葉は、メランシオンの心に刃を立てるように、防御にほころびを生む。
「ほざけ、猟兵が―――!我を―――!」
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ…。我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
シルの高速詠唱によるユーベルコード、エレメンタル・ファランクスが発動する。4つの属性を束ねた魔力砲撃がメランシオンの体を撃つ!
「それをわからないっていうなら―――!」
空中で傾いたメランシオンの体をさらなる魔力砲撃が襲う。それは多重詠唱に依る全力魔法。
二度の魔力砲撃を受けて、メランシオンは深く痛手を負う。
魂を啜る能力は、シルの胸のうちから溢れ出る暖かな想いによって阻まれる。
この想いがあるからこそ、シルは闘える。まだまだ始まったばかりの帝竜戦役を戦い抜けると、信じられるのだ!
成功
🔵🔵🔴
レパイア・グラスボトル
空気が綺麗でツライな、この世界は。
ま、宝があるならもらって帰ろうか。
楽しい記憶:
少し前に花火をした時は楽しかったな。
拠点に引き籠ったヤツらを拠点ごとドーン、とな。
慌てて中から出てくる様とか、火傷治療されるヤツらの顔も面白かったな。
基本好き勝手に楽しく生きている。
【POW】
花火で思い出したな。
愚物が空を飛び竜にしがみつく。
竜の魔弾を受けて誘爆、自傷ダメージを狙う。
怪我をした家族はすぐに【医術】により治療する。
まだ元気な家族は再度空を飛ぶ。
宝:
とりあえず、皆で食べる。
食べきれない分は家族や子供達へのおみやげ。
持って帰れない分はその他の物資に交換。
アックス&ウィザースの空は綺麗だと思った。
それは己の知る空とは違うような気がしたからだ。だが、それを咎めるわけでもなければ、嫉むわけでもない。
世界はいくつもあって、それぞれの空を見せている。中には宇宙そのものであり、銀河が空の模様となっている世界だって在る。
だからといって、何だというのだとレパイア・グラスボトル(勝利期限切れアリス・f25718)は思ったが、宝が手に入るのであれば、もらって帰ろうか、位の気持ちであった。
「猟兵……!後から後から湧いて出る……!我の領域を侵す者たちに鉄槌をくれてやる……!」
『黒輪竜』メランシオンの咆哮が、魂喰らいの森に響き渡る。
それは進撃してきた猟兵に対する怨嗟であった。それを聞いて怖気づくレパイアではない。むしろ、なんだオマエは。と思っているくらいだ。
この魂喰らいの森は、魂を啜る動植物が栄える森である。この森の守りを担うメランシオンのユーベルコードには全て、魂を啜る効果があるのだ。
これに対する対策は一つ。
楽しい記憶を念ずること。たったそれだけで防げるというのだから、ある意味インスタントだな、と思うかも知れない。
「……少し前に花火をした時は楽しかったな。拠点に引きこもったヤツらを拠点ごとドーン、とな」
あれは傑作だったと笑いがこみ上げてくる。
泡得てて中から出てくる様とか、やけど治療されるヤツらの顔を面白かったな。
だが、それは特別ということではない。レパイアは基本、好き勝手楽しく生きている。だからこそ、彼女の魂を啜る効果は、別段思い描かなくても対策は獲れていたのだ。人生楽しんだもん勝ちだよな!とレパイアは空に舞うメランシオンを睨む。
「花火で思い出したな!」
「消え失せろ、愚物共!」
メランシオンの爪先が天覆う無数の黒輪に収束する極大エネルギーをレパイアへと向ける。
そのエネルギーの奔流を向けた瞬間、レパイアが何かを投げつけた。
それは人であった。彼女のユーベルコード、ショウタイム・オン・ザ・ファイアワーク(ミグルシイハナビ)にて呼び出されたレイダー、それを彼女は投擲したのだ。
しかも、メランシオンの巨躯へと!
「心配するな!バラバラになっても治してやるから!」
導火線のついたレイダーはメランシオンが引き剥がそうとしても離れることはない。肩パッドやらに突いた棘が刺さって引き抜けなくなっているのだ。
導火線の付いたレイダーが爆薬を爆発させる。空の上でメランシオンの巨躯がぐらつく。その爆風に押されて、レイダーがレパイアの前へと転がり落ちてくる。
「……生きてるな。なら、治してやるから、もう一回だ!」
即座にレパイアの治療によって、元気になった家族……レイダーは再度空を飛び、爆散してくる。
「な!笑えるだろ!なあ!笑えよ!」
こうやるんだよ!とレパイアは笑う。心底おかしそうに、たのしそうに。その笑い声は魂喰らいの森において、高らかに爆発の音と混ざり合って響き渡るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ナァト・イガル
【POW・アドリブ/連携歓迎】
(空の黒輪を見上げ)なるほど、伝承通りだわ。わかりやすく絵になる光景ね!
これは冒険歌の題材としてちょうどいいんじゃないかしら。
悪いドラゴンが退治されるなんてお話は、いつだって大人気なのよ。
他者に喜び楽しみを配り歩くのが吟遊詩人のお仕事。
私はいつだってこの人生を楽しんでいるし、楽しい思い出には事欠かないわ。
聖痕の魔法陣による【盾受け】からUC『聖者の決意』を発動、
攻撃力を重視のうえで【祈り・破魔・多重詠唱】をのせて黒輪竜へ攻撃を返すわ。
面倒だから、できるだけ翼を狙って墜としてしまいたいわね。
自分の力を倍化で返される気分はどうかしら
格好良くやっつけられてちょうだいね?
『黒輪竜』メランシオン。
その姿は強大であり、なおかつ黒き輪と共に在る。それはアックス&ウィザーズ世界に伝わる古き言い伝え。
その言い伝えの通り、その黒輪は禍々しい光を発している。それがメランシオンの溜め込まれた膨大な魔力の塊であることは、猟兵にしかわかり得ぬことであたことだろう。
それを見上げるのは、魂喰らいの森を進撃する猟兵の一人であるナァト・イガル(さまよえる小夜啼鳥・f26029)である。
「不敬である!我の預かる魂喰らいの森の一角を攻め落とそうなど―――!」
『黒輪竜』メランシオンの咆哮が森を新歓させ、ナァトの黒きブラックタールの肌を震わせる。
しかし、それで怯む彼女ではない。むしろ、嬉々としてすらいるのだ。
「なるほど、伝承通りだわ。わかりやすく絵になる光景ね!」
ああ、とナァトは嬉しそうに笑うのだ。これは冒険歌の題材としてちょうどいいのではないかと。
「悪いドラゴンが退治されるなんてお話は、いつだって大人気なのよ」
メランシオンの顔が歪む。何を言っているのだと。その価値観、立ち振舞、何もかもがメランシオンにとっては怒りという感情に油を注ぐようなものであった。
咆哮が今一度響き渡り、黒き輪の溜め込まれた魔力が溢れ出すようにして迸るのだ。
天覆う無数の黒輪に収束する極大エネルギーがナァトへと向けられる。
「他者に喜び楽しみを配り歩くのが吟遊詩人のお仕事。私はいつだって、この人生を楽しんでいるし、楽しい思い出には事欠かないわ」
そう、彼女は人生という旅路を楽しんでいる。続く旅路のはてに何が待っているのか、想像しただけで、楽しいという感情が念ずることなく溢れ出るのだ。
それはこの魂喰らいの森の万人であるメランシオンのもつユーベルコードに付随する能力を打ち消すには十分すぎるほどに、楽しい思い出であったのだ。
なにかもがキラキラとしている。
だから、黒き輪より放たれる豪雨の如き魔弾の雨ですら、彼女には冒険譚の一節にしか思えなかったのだ。
「光よ、抗いの手をここに」
雨のような魔弾を、彼女のユーベルコード、聖者の決意(セイジャノケツイ)が発動することによって展開される光の魔法陣が受け止める。
聖痕の魔法陣と光の魔法陣が重なる。メランシオンの放ったユーベルコードの魔弾は即座に分解、無効化されていく。
それは純粋な力へと転化され、ナァトの体の中へと取り込まれていく。
「な―――!?我の力を取り込んだ、だと!?」
メランシオンの瞳が驚愕に見開かれる。それは、傲慢で不遜であった己の絶対的な破壊の力が一切通用しないという異例の事態に動揺が走った証であった。
それを見てナァトは微笑むようにして言うのだ。
「取り込んだのではないわ。分解して、無効化して……そして、あなたとは反対の属性の力に変えただけ」
彼女の戦闘力が跳ね上がる。ぞわりと粟立つ感覚をメランシオンは覚えたのかも知れない。
だが、そんな感覚を覚えた次の瞬間、ナァトの聖痕の魔法陣から放たれるは祈りを込めた破魔の力。
それはメランシオンの翼を瞬時に貫き引き裂いていく。
「面倒だから、翼を無くしてもらうわ?」
さらなる詠唱がナァトの口から謳うように紡がれていく。そこにきて漸くメランシオンは己の慢心を悟った。
もはや手遅れであるが、それは彼のこれまでの暴虐の数々が返ってきた結果だった。
「自分の力を倍化で返される気分はどうかしら?」
放たれる破魔の力。
ナァトの聖痕より再び放たれた光の輪は魂喰らいの森へと堕したメランシオンの体を散々に貫き、巨躯を討ち果たすのだった。
骸の海へと返っていく様子を見送りながら、ナァトは微笑む。
「格好良くやっつけられたかしら?この冒険譚でまた、誰かが楽しんでくれるといいのだけれど―――」
それは遠くない未来にナァトの口より紡がれる冒険譚の一端となることだろう。
彼女の心に浮かぶ楽しい思い出は、いつまでも色褪せることなく。
一片たりとて、魂喰らいの森に奪われることはなく、森の守り人の一角を突き崩したのだった―――!
大成功
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最終結果:成功
完成日:2020年05月02日
宿敵
『『黒輪竜』メランシオン』
を撃破!
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