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鮮血の魔竜よ、塵へと還れ

#UDCアース

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#UDCアース


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 鮮血が飛び散り、悲鳴が木霊した。
 そこは解体場。そして邪悪にして冒涜的な神を祭る神殿。
 蝋燭と精神を狂わせる香が常に炊かれ、部屋の片隅には様々な動物の死骸が積み上げられている。
 床には血による紋様が部屋中に描かれており、
 中央の祭壇にいる二人の血まみれの白衣を着た人間が、もはやすでに息絶えている哀れな生贄に向かって鉈を何度も振り落とす。
 そして、原型を留めなくなったのを見はからって二人は手を止めた。

「ほいっ。はちじゅうっと……これで足りたか?」
「いや、まだまだ。我らが御霊に降臨してもらうには量が足りないさ。もっともっと肉を血を流さないと」
「そうか?ならまた下処理しないといけんなあ。大変だ」
「罰当たりめ、神への奉仕に愚痴を零すなど」
「大変なのは間違いないんだから、仕方ないんだろお?それに我らが神は寛容で慈悲深いさ。こんなことは一々気にはせんよ」
「周りが気にするんだ。まったく……」

 やれやれと言ったように、一人の男は肩を竦めながら祭壇から踵を返す。
 そして鎖でつながれている、次なる生贄に向かって親愛を籠めた笑顔でこう言った。

「さあ。次は君の番だ。大丈夫。あの男が言ったように神は寛容で慈悲深いんだ。安心して肉塊になってね」


「皆さん、よく集まっていただきました」
 猟兵たちに向かってルウ・メテオル(極彩のリンネ・f00580)は一礼する。
 その表情は真剣そのものだ。

「今回、皆さんにやってもらいたいことは、UDCアースのある邪教集団によって廃墟街で行われつつある邪神復活の儀を阻止することです」
 ただし、と区切り。
「廃墟街といっても広く、どこが教団の根城かわかりません。儀式が行われている場所も不明です。大規模な調査が必要となるでしょう。方法は皆さんにお任せします。また廃墟なので大胆なアプローチも可能かもしれません」
 猟兵たちの目を見ながら、ルウはそのまま説明を続けた。
「そして教団の根城や儀式を行われている場所を見つけたなら、そのまま儀式を妨害してください。これは大まかに分けて二つ、力づくで妨害するか、もしくは儀式に潜入して内から妨害するか、これも各々が得意な方法で行うのがよいでしょう。また、幸いと言って良いもしれませんが、脅威となるような邪神の眷属は今のところ確認できてはおりません。ただし注意は絶対に怠らないでください。どんな危険が潜んでるかわかりませんから」
 どのような方法をとるか、猟兵たちが思案する雰囲気が伝わってくる。
 それを感じ取り、説明の間を開けた。
 そして頃合いを見て、ルウは唸るように口を開いた。

「……彼らは無辜の民を攫い、その身体を解体して神の供物として生贄に捧げています。このような醜悪な行いは断じて許してはおけません」
 彼女の目に嫌悪の光が一瞬宿る。
 猟兵にもそれには同調するように怒りを覚えたものもいたようだ。

「彼らが呼ぼうとしている神は竜神ドゥガ・ヘキナグィ。儀式を行っている教団の主宰神にあたる存在です。もしこの竜神が完全に顕現したのならば、さらなる血肉を貪るために周囲に甚大な被害が出るでしょう。皆さんにはそれをどうか防いでほしいです」
 そう言ってルウは目をつぶりながら、最後に再び猟兵たちに一礼する。

「できれば、私も行きたいところでしたが、予知したのが私ならば是非もありません。サポートに徹しましょう。皆さん、どうかご武運を」


きくらげ
 はじめまして!新人マスターのきくらげといいます。
 初めてのシナリオですが、皆様のお期待に副えるように全力で頑張っていきたいと思います。
 今回のシナリオはUDCアースにおいて邪神復活を防ぐ、ある意味王道のシナリオになっています。
 ルウが説明しているように教団本部の探索→儀式の妨害→不完全な邪神の撃破の流れとなっています。
 世界の秩序を乱す邪教集団の野望を阻止しましょう。
 それでは、皆様のプレイングを楽しみにしています!
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第1章 冒険 『廃墟の探索』

POW   :    障害物を撤去・破壊しつつ、手掛かりを探す

SPD   :    聴覚・嗅覚など感覚を働かせ、手掛かりを探す

WIZ   :    洞察力を活かし、隠された場所や手掛かりを探す

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒玻璃・ミコ
◆心情
ふむむ、感じますよ
我が怨敵である竜なる邪神が目覚めようとしているのを
此処は私自らの手によりその目論見を打ち砕かなければ
ミコさん、ちょっと本気を出しちゃいますよー

◆行動
【黒竜の恩寵】で攻撃力UPです
廃墟街だと灯りも乏しいのでしょうが
【暗視】可能な私には関係のない話です
そして研ぎ澄まされた【第六感】に従い
何となーく怪しそうな障害物やそれっぽい建物を
私の【怪力】溢れ【鎧砕く】【範囲攻撃】で
強行突破しつつ捜索して行きましょう
闇雲にストレス発散している訳ではありませんよ?
こうすれば信者をアジトから【おびき寄せ】られるかもしれませんしね

◆補足
見知らぬ猟兵の方々との連携も大歓迎です



暗く、暗く、邪教集団が潜みし廃墟街に一陣の風が吹いた。
その風は強く、強く辺りを包み込んだ。
そして背徳と汚濁に塗れしこの忘れられた街を裁断するがごとく、猟兵の先駆けたる存在がその姿を現した。
彼女こそは竜を喰らいし黒き粘体、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)。
竜を狂い崇める者たちを駆逐するため戦いに、彼女以上の先駆けたる存在はいないだろう。

「ふーむ。どうしましょうか。とりあえず第六感で怪しいところをかたっぱしから暴れてみましょうかねー。」

廃墟街の一角、もとは商店街だろうだった場所を眺め、呟く。

「とはいえ、闇雲すぎてもしょうがないですし、大まかなあたりくらい欲しいところですが」

彼女が考えながら、廃路地を張って進んでいると、
廃ビル群が見えた。いかにも大人数で潜伏しやすく、生贄をストックしやすそうな場所だ。

「あそこは怪しいですねー。ではとりあえず、いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第壱の竜」

グリモア猟兵が言っていたようにここは廃墟街。遠慮する必要は全くない。

「とはいえ、あそこまであからさまな所にはいるかは微妙なところですが……まあ、暴れてたら邪竜の信者が駆けつけてくれるかもしれませんしねー。そうしたら儲けもの、派手にやりましょうか」

そして彼女の怪力によってビル群に行く手さえぎる障害物を破壊しながら、派手に突破していく。すると、三建目にあたるビルの窓から一人の少女が顔を出した。しかし、ミコを見るとすぐさま窓から顔を引っ込めてしまう。彼女は暗視でそれを見逃さなかった。即座にビルの内部に潜入し、少女がいた場所に登っていった。

「むむ。見たところ教団から逃げ出してきた、生贄の方でしょうか?」

「……!……!」

少女は傍から見ても、ひどい有様だった。ボロボロで傷がないところがなかった。
ミコを見て恐怖を感じているようで、震えながら部屋の隅で縮こまっている。

「うーんとりあえず、連れて行きましょうかね。上手くアジトの場所を聞き取れれば良いのですが」

彼女はそう言って、彼女は目の前の少女をどうやって連れ出すか悩むように、その身体を流動させた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ムルヘルベル・アーキロギア
【WIZ】
アックスアンドウィザーズでもあるまいに、龍などを降ろしてなんとするか
まあ邪教の徒が平穏を享受するわけもなし……無論叩き潰しはするがな
さてともあれ、ワガハイはこの自作ガジェットであるモノクルを使い、怪しい場所を調べるとしよう(〈視力〉、〈情報収集〉)
わかったことがあれば同行している猟兵らにすぐに伝えるぞ
もしも疲弊したり難航しているような者がいるのならば【賢者の箴言】で活力を与え、サポートする
「珠玉の瓦礫に在るが如し、という言葉が、この世界の中国にある。いずれは手がかりも見つかるであろうよ」
「本来は『愚者の中にも傑物はいる』といった意味なのだがな。そう違いはあるまい?」
絡み・アドリブ歓迎



ムルヘルベル・アーキロギア(執筆者・f09868)は黒玻璃ミコが確保した少女が証言した内容を脳内で反芻させていた。
少女は教団のアジトから鎖を緩んだ隙をみて逃げ出し、あのビルの群の中に身を隠したらしい。
無我夢中で逃げてきたらしく、アジトの場所は詳しくわからないらしいが、少女がいた建物は横に広かったことだけは確からしい。

「……なるほどのう」

ムルヘルベルは自身のモノクルを起動させながら、夜の街を廃家屋の屋根の上から見ている。

「あんなに弱った少女がこんな廃墟の街に一週間すら生きながらえるはずもないからのう。しかも儀式はいよいよ大詰め、逃げ出した生贄を捕まえるリソースすら惜しんでほっといたというわけか……だが我らが来ることは予想もしとらんかったみたいだな」

奴らのアジトは横に広い、すると存在する場所は自然と限られる。

「……報いは受けてもらう」

そうポツリともらし、家屋から飛び降りる。
目指すは巨大なショッピングモール跡。
そこに着くと警戒しながら恐る恐る、ショッピングモール中を探ってみる。

「ぬ……ここは……」

そこに目立った形跡はない。何もない廃墟が存在するだけだ。
だが、

「……おかしい。なぜここには何もないのだ?……普通、これだけ大きなショッピングモールの廃墟だというのに、ゴミ一つ落ちている形跡がない。」

ムルヘルベルはモノクルを使い丹念に調べていき、一つの結論に至る。

「調べた結果、ここには大勢の何者がかが居て、もう引き払った後と考えるのが自然か。そして、その者たちとは……考えるまでもないな」

ショッピングモールを出ると、次なる候補地を探すことに集中する。

「ここではないとすると……あとはあそこが怪しいか。それと一応、ここのことについて皆に知らさなければな。ほかの者が無駄に探しにくるのは流石に非効率だからのう。珠玉の瓦礫に在るが如し、という言葉が、この世界の中国にある。いずれは手がかりも見つかるであろうよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

嘴鳴・幽
隠れたアジトを探せ、っすか
あんま経験はないっすけど……ま、傭兵業で斥候ならそれなりにやってるんでね
"骨喰”リンタロウにお任せくださいっす!

そんじゃあオレっちの溢れる知性であぶり出してやるとするっすか(【WIZ】で判定)
まー少なくとも80を超える大人数の生贄がいるんすから
利便性を考えりゃ運び込むのに適した大通り……いや、そこだと目立ちかねないから、そこからちょっと外れた路地に面した建物にいるんじゃないんすかね
さらに、見つかることを怖れて見張りとか……あとえーと、監視カメラ、したっけ?
そういう廃墟にあったらおかしいモノがあるはずっす
そこらへんに注意して見つけてやるっすよ!

アドリブ大歓迎



「さてさて。どんなものっすかねえ」

嘴鳴・幽(ノン・ボードネス・ハート・f12666)は廃墟街の大通りに立っている。
彼があのグリモア猟兵の予知の内容からアジトの場所を推測したのは
単純に邪教集団の行動により生じるリスク、すなわち彼らの必然性を読んだ上のことだった。
大規模な儀式を行うにはそれ相応の準備と規模がいるということ。
それなりの大人数を運用するには最低限インフラが通じなければならないという当たり前のことだ。
それらを逆算して導き出したのが幽の推理だった。

「まあ。ついてるっすよね、新しいタイヤの跡が。」

こんな廃墟街に車が通った真新しい跡、どう考えてもおかしい。つまりビンゴということ。

「このままタイヤの跡を追えば、アジトわかるっすかねえ……そう単純じゃない気もするっすけど」

幽は周囲を確認しながらタイヤの跡を追跡する。
もし、教団のアジトに接近していたのなら、見張りや監視カメラなどがあってもおかしくないためだ。

「はぁ……ほらやっぱり」

行きついた先はムルヘルベルがすでに探索して何もないと結論付けたショッピングモールだ。

「ムルヘルベルの推測と合わせて、やっぱり、ここが奴らのアジトだったんすかねえ。とすると、アジトと儀式場は別ってことになるっすか」

うーむ、と頭を掻くように唸る

「もの家の殻のところを見るに、彼らは儀式の準備を整ったため、この場所から儀式場へと行動の起点を切り替えた。そして数十人が数週間、生きるためにはそれなりの設備がいるっすけど。数日間なら別に問題ないってことっすか」

「……生贄も予知の様子を見る限り、儀式場についたら生かす必要もなくなるみたいっすからね。あの娘は本当に運がよかった。あの子の証言からすると逃げ出したのはここからみたいっすか。いやそれとも……?」

何かを思いついたように神妙な顔をすると

「……とりあえず、行って確かめてみるっすか」

そう言ってあらぬ方向へと足を進めていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
SPD
人間を供物にすることが神への奉仕などと……
異端で邪悪な神はどこの世界にもいるのですね

【守護霊獣の召喚】で黄金の獅子を呼び出し【騎乗】して探し回ります
ネコ科の動物も、犬ほどではありませんが人間とは比べ物にならない嗅覚を持っていると聞きます
あれほど残虐な儀式を行っているなら、血の臭いは隠せないはず
私自身も強化された【視力】で怪しいところがないか【情報収集】を試みましょう
まずは差し当たって……向こうの方へ行ってみましょうか(【第六感】)


ラハブ・イルルヤンカシュ
ん、魔竜……共食い共食い

SPDで判定
【全て喰らう竜の顎】
で右手を竜の頭に変えて瓦礫も障害物も[大食い]で食べて廻る
迷子よろしく[暗視][野生の勘][第六感]で歩き廻ってもぐもぐしてる
「…ん、血の味。辿れば見つかるかも」
味覚と嗅覚で探る

要救助者を見つけたら拾う
「ん、食べれば元気になる。頑張れ。……ところで、何型?」
とりあえず、水代わりに持ち歩いてる血液パックで輸血しよう。



「私たちは他の人とは別のアプローチで行ってみましょうか」

「ん、任せて」

この二人は傍から見ても、凄まじく違和感があるコンビだった。
片やその手に荘厳な槍を持つシスターの姿をしたダンピールのマジックナイト。
片や悪魔とドラゴンのハイブリットというべき姿をしたキマイラのグールドライバー。
彼女たちは肩を並べて共に小高い丘の上に立っていた。

「ではいきます――天来せよ、我が守護霊獣。邪悪を引き裂く爪牙となれ――!」

オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は己のユーベルコード、守護霊獣の召喚(サモン・ガーディアン)を発動させた。
威風を放ちながら顕現する巨大な黄金の獅子。

「ネコ科の動物も、犬ほどではありませんが人間とは比べ物にならない嗅覚を持っていると聞きます。あれほど残虐な儀式を行っているなら、血の臭いは隠せないはずですから。では一緒に行きましょうか。獅子の背に乗ってくださいラハブさん」

「ん、私も血の匂いで探れる。邪魔な瓦礫も障害物も食べちゃうから。……あと、いるかわからないけど、あの子みたい人がいたら救ってあげたい、かな」

そう言ってラハブ・イルルヤンカシュ(悪魔でドラゴン・f04872)は黄金の獅子の背に乗り込む。その後、オリヴィアがその後ろにラハブを覆うように騎乗する。
オリヴィアは微笑を浮かべつつ頷いて。

「はい、その通りですね、わかりました。さあ、行きなさい――」

「ん、出発」

廃墟街を輝く獅子が縦横無尽に駆け巡り、怪しい場所を探し回る。
風景が矢のように過ぎ去る最中、ラハブが瓦礫をパクリと食べる。
そして走り出して、数刻立った後。

「どうですかラハブさん?血の匂いは感じられますか?」

「ん、……微妙。血の匂いはするんだけど微かな感じ。なんだろうコレ」

走る獅子も同じようで、今一、匂いを捉えられてない様子だった。
二人は古ぼけた給水塔の上に獅子を止めて、話し合う。

「弱りましたね……どういうことでしょうか。あの予知からすると大量の血が流れているのは間違いないはず」

「ん、となると……儀式場は遠いところ?もしくはかなり密閉されたところで行われてるのかも。あちこちで匂いがするのはちょっとよくわからないけど……」

「なるほど。とりあえず一応、手がかりになりそうですね。さらにもっと探してみますか」

「……ん、ちょっと待ってあっちの方。何か強い匂いがするかも」

ラハブが街角の一つを指さす。
オリヴィアが自身の視力を強化し見てみるとそこには。
特徴的な衣をかぶった人間が、隠れながら壁に寄りかかりながらこと切れていた。

「死体ですか……。しかもこの服装。教団の人間とみて間違いないみたいですね」

「ん、どういうことだろ?」

オリヴィアが顎に手を当てながら考える。

「あくまで推測ですが、この人間もあの少女同様、教団から脱走してきたんではないでしょうか。その際に制裁を受け、その傷が原因で亡くなったと思われます。でなければ、こんな場所に死体を放置されているのは不自然でしょう。しかしだとすると、これはかなり有益な情報かもしれません。これほどの傷を負いながら逃げられるのは短距離でしか不可能のはずですから」

「ん、つまりこの近くに儀式場があるかもしれないってこと?」

むむ、とラハブは感心したように。

「はい、その可能性は結構高いと思われます」

そう言うとオリヴィアは、胸の前で十字を切り、目の前の死体を弔った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神原・響
【WIZ】
UDC組織から廃墟となる前の地図を入手。地形を移用して高所に陣取り、そこで他の猟兵から得られた情報を基に、儀式場を特定するためのサポートを行う。
(地形の利用、視力、暗視)

ついでに少女への治療を行い、後方のUDC組織のバックアップ班に預けて下がらせます。
(コミュ力、医術)



猟兵の中でも神原・響は(黒の女王の契約者・f06317)は保護された少女の治療を買って出ていた。
簡易的に用意した病室のベッドの傍に、響は寄り添うようにいた。
UDC組織のバックアップ班が到着するまで間だが、それまで彼女を見守るつもりでいた。

「……すまないな。こんなつらい時に根掘り葉掘り聞いてしまって」

奴らの儀式場を特定するためとはいえ、傷ついた少女にさらなる負担をかけてしまった。
響は重い口調で謝罪する。

「ううん……私も、あいつらを許せないもの」

「そうか。君は強いな」

そしてこの傍まで車がやってくる。UDC組織のバックアップ班がついたようだ。

「じゃあ、行ってくる。さっき言った通り、これから来る人達を存分に頼ってくれ」

「……うん。頑張って」

そう言って響は病室から出て、バックアップ班に少女を任せることの旨と、頼んでおいた街の廃墟となる前の地の地図を入手する。
そしてビルの屋上に登り、廃墟街を見渡す。

「他の猟兵たちが集めた情報と少女の証言。この地図を合わせ見ると。……成程、ここか」

響はここしかないと結論する。

「廃駅か。そして実際の儀式場はおそらく地下にある。」

響は納得するように頷いた。少女が言っていた長い建物とは駅の事だったんだろう。
血の匂いが外に漏れづらかったのも、地下の隔離された空間だったためだ。
また威力偵察のような破壊行動をしても、教団がリアクションがなかったのも頷ける。

「地下鉄道から繋がる地下壕。おそらく先の大戦に作られて忘れられた空間を利用しているんだろう。そして、そこに通じるまでの通路にはおそらく教団の人間がごったがえしている。……――ここからが本番だ」

この行きついた真実を猟兵たちに共有すべく、彼は駆け出していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『背徳の儀式を妨害せよ』

POW   :    力尽くで儀式を妨害する

SPD   :    潜入して隠れながら儀式を妨害する

WIZ   :    儀式に潜り込んで儀式に参加しながら妨害する

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


調査を行い、儀式場の場所を特定した猟兵たちは廃墟街の駅から1、2キロ離れた場所に集合していた。
その中にはグリモア猟兵のルウ・メテオル(極彩のリンネ・f00580)の姿も見える。

「邪教集団の儀式場を発見してくださりありがとうございます」

ルウは謝礼の言葉を紡ぐ。

「儀式場は廃駅。そして地下鉄から繋がる地下壕が本丸です。そこには醜悪な儀式が執り行われているのでしょう。最初言った通り、その妨害をお願いします」

「おそらく、廃駅の時点でも教団の人間が大勢いるでしょう。神原さんがおっしゃったとおり、地下に潜るにつれて危険度が増すと思われます。どんな方法をとるにしても、十分に気を付けてください」

ルウの言葉を聞き終えると、
猟兵たちは竜神の復活を妨害すべく、廃駅に向かい各々出陣していった。
黒玻璃・ミコ
◆心情
生贄にされそうだった彼女への外道な行い
そして此方の儀式場の惨状を見るに随分なことをしでかした様ですね
さぁ、貴方達の罪を数える時間ですよ?

◆行動
【黒竜の恩寵】で防御力UPです
他の猟兵の方々と連携し
儀式を妨害出来る様に
私は陽動役として敢えて目立つ様に突入です
信者が待ち伏せしてきそうな場所を【戦闘知識】と【拠点防御】で予想し
【毒使い】で思考力を低下させる成分を風に乗せ
愚かな信者達を【おびき寄せ】ましょうか
うふふふ、【暗視】と【第六感】を備えた私を易々と落とせると思ってましたか?
貴方達の数が多く必死に抵抗すればする程
私の傷を癒す【生命力吸収】と因果応報たる【カウンター】は猛威を奮うのですよ


オリヴィア・ローゼンタール
POW
なるほど、臭いが掴めなかったのはそういうカラクリでしたか
私は正面から突貫して場を乱します
潜入を試みられる方はその隙にどうぞ

【守護霊獣の召喚】に割いていたリソースを【トリニティ・エンハンス】へ
(獅子は弱体化するが、アイテム【黄金の獅子】として装備し【騎乗】ている)
【属性攻撃】で聖槍に炎の魔力を纏い攻撃力増大
狂信の徒とはいえ、眷属ではない普通の人間であるなら、
この槍と炎、そして獅子の威圧を前にすれば怯むでしょう

【怪力】で聖槍を【なぎ払い】、炎の【衝撃波】を起こして吹き飛ばす
獅子を駆け巡らせ、爪牙で蹂躙させる
凄惨な儀式を執り行う者たちよ、この聖槍と獅子を恐れぬならばかかってきなさい


蒼焔・赫煌
【POW】

大立ち回りなら任せて頂戴な!
可愛いボクの参上よ!

正直隠れたりなんだりっていうのは苦手だから、正義の味方らしく正面から突撃突撃!
通路に居る教団員をあちょー!と千切っては投げ千切っては投げ(比喩表現)で気を失わせながら、儀式場を目指して進んでいくよ!
可愛いボクがこんな風に目立って騒いでいればこっそり侵入したり猟兵の皆にも気づかないんじゃないかな、かなっ!

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】



突如、廃駅の外から轟音が響いた。
巻き起こる火炎、輝ける豪槍、響き渡る怒号。

教団の人間たちは突如起きた事態に慌てふためく。
よりにもよって儀式が行われている最中に何者かが攻めてきた――。
教団の人間たちに戦慄が走る。
駅の窓から見ると異業の姿の者たちが、この駅を目指して歩いてくるのがわかる。

そして目立つは、駅のロータリーだった場所に現れる三人、三鬼の猟兵。
三人ともただの人間である信者たちにとってそれぞれ一騎当千の怪物だ。

――敵対する人間を殺すか否か。それは猟兵にとって一番意見が分かれるところだろう。相手は悪人だが人間だが可能な限り、人徳をもって生かして捕らえるべき。いやいや、相手は救いがたき冥府魔道に落ちた外道である、全て鏖殺するべし。

猟兵によってスタンスや倫理観、国の違いどころではなく、果ては生まれ育った世界や種族すら違うのだ。お互いに齟齬が出て当然。ただでさえ、今回のような戦闘においては甚だ顕著だ。

この三人も当たり前のように『違う』のだろう。ただし、そんな当たり前のことは猟兵全員とは言わないが、このような鉄火場に馳せ参じるような猟兵の大部分は承知し、折り合いをつけている。

つまり、

「可愛いボクのスタンスはできるだけ殺さないこと」

「私は場合によりけりです。今回は殺ってもいいと思いますよー」

「同上、です」

「……じゃあ、なるべく殺さないでいきましょう!」

「はい、わかりましたー」

「承知いたしました」

殺したい猟兵、殺したくない猟兵、どっちかに前ならえで全員合わせること。なにせ敵の命どころか自分たちの安全にも関わった問題である。最低でもその場単位で意思を統一しなければ、土壇場で揉めて下手すると猟兵同士の内紛がおこりかねない。だから、ファジーな意見の猟兵がその場を取り持つように全体の意見を踏まえて調整することが多いのだ。
今回はこの場に殺すことに積極的な猟兵がいなかったため、簡単に纏まった。

そして、先陣を切るのはブラックタールの黒騎士たる竜喰らいの彼女。

「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第壱の竜よ。……ふふ、突っ込みつつ、とりあえず毒でも使って奥から出てきてもらいましょうか。籠られるのは厄介ですしね」

自身を強化した、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は跳躍し、駅内に突貫する。
瞬く間に悲鳴があがった。さらには信者を薙ぎ払っていく中、思考力を低下させる毒を風に乗せて放ち、固まって閉じこもった信者を自ら誘い出す。

「あの少女ことといい、散々なことをしてくれましたね。とりあえず殺しはしませんが死ぬほど苦しんでもらいます。さぁ、貴方達の罪を数える時間ですよ?」

飛んで火にいる夏の虫、ミコの毒に誘われ出てきた信者を思いっきり彼女は殴り飛ばす。
残りの二人は、ミコの手際の良さと強さに感嘆しつつ、彼女に続く。

「さあ、私たちも行きましょう」

「はい、オリヴィアさん……行きますっ!」

そう言って、続いて突撃するは蒼焔・赫煌(ブレイズオブヒロイック・f00749)。
飛び蹴りで駅の障壁をぶち抜いていく。細かい障害をその身一つで突破する。信者たちのささやかな抵抗も、彼女はいなし、跳ね返して、彼女に傷一つつけることも叶わない。

「さあ!悪党たちっ。年貢の納め時だよ!たぁあッ!」

徒手空拳。その身に宿した異能を使わず、次々と信者を素手で吹き飛ばし、投げ飛ばしては気絶させていく。蹴りを放っては信者を天井まで蹴り飛ばし、拳で殴っては床にめり込ませる。まさしくその姿は武神の如し。

「さぁ、獅子よ、暴れなさい。ただし、できるだけ命は奪わぬよう手加減するように」

オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)はそばに付き従っている獅子に命令をくだし、信者たちを蹂躙させる。獅子は頷くように小さく吠えると、凄まじい勢いで、二人が明けた穴から駅内へと。信者たちを切り刻まんと唸りをあげた。

「トリニティ・エンハンス……さあ、凄惨な儀式を執り行う者たちよ、この聖槍と獅子を恐れぬならばかかってきなさい」

さらに、オリヴィアは炎を纏った聖槍を振るい、起こした衝撃波で信者を薙ぎ払っていく。その二つの威容を前に信者たちは、怯えすくんでいった。
ミコは二人の様子を横目で見つつ、信者へとカウンターを食らわせていく。

「うーむ、二人もかなりやりますねー。ところでそこそこ経ちましたが、潜入班は無事潜入できたでしょうか」

赫煌が信者を三人同時に投げ飛ばして、意識を刈り取りながら。

「はぁっ!……っと、陽動班としての仕事は完遂できたかな。そろそろボクたちも本気で儀式場まで突破しようか?」

オリヴィアが振るう炎槍の衝撃でガラスを次々に割る衝撃波を起こす。

「そうですね。おおよそ頃合いでしょうか」

三人は行く手を阻む、信者たちを蹴散らしながら、地下壕へと通じる道へ入っていった。彼女たち三人が通った後は、白目を剥いた信者たちと嵐が過ぎ去ったように平静が残るのみ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神原・響
【WIZ】
オリヴィアが見つけた教団員の制服を参考に、人数分の変装衣装を用意して潜入する。
(変装、コミュ力)
囚われている人達を見つけ出し解放する。解放した後は、落ち着かせて安全な場所まで誘導する。
(鍵開け、コミュ力)
邪魔になる教団員は暗殺していきましょう。
(暗殺、だまし討ち、暗視、投擲)
絡みOK


ムルヘルベル・アーキロギア
【使用能力値:WIZ】
さて、事は一刻を争うと見た。
ワガハイの持つ『閉架書庫目録』から禁書を呼び出し、儀式妨害に役立つであろう知識を得る
「目には目を、神には神を、というところであるなあ」
禁書『応報論概説』に封じられし【553ページの悪魔】……
すなわち応報の魔神に、儀式場に集まっているであろう魔力をありったけ食らわせるとしよう
もちろん中心部に近いほうが効果があるゆえ、彼奴らに紛れ込んだ上でな
なに、ワガハイの〈学習力〉ならば、彼奴らと同じ信徒らしきふるまいの一つや二つすぐさま模倣できるとも
「なんと血腥き儀式か。愚かな……」
「さあ応報の魔神よ、たっぷりと食らうがよい!」

絡み・アドリブ大歓迎



「ふむ、即席で用意した割には、この服は整っておるな。あのバックアップ班も良い仕事をする」

「ええ。あの少女の事といい、連続で無理を言って少々申し訳ないとは思いますが」

「カッハッハッ。それがアヤツらの仕事なのだから、仕方あるまい?汝、善の小なるを以って為さざること勿かれ。小さなことからコツコツと。それが大事を成すための基本であろう」

「そうですね……。しかし、“感謝は支払われるべき義務であるが、誰であろうとそれを期待する権利はない”……あとでちゃんと礼を言っておきます」

「むむっ。オヌシ、知っておるな」

先にオリヴィアが見つけた教団員、その制服を模した物を纏い。
ムルヘルベル・アーキロギア(宝石賢者・f09868)と神原・響(黒の女王の契約者・f06317)は背徳の儀式場を目指して地下壕を歩いていく。

「しかし、陽動班は上手くやってくれたようですね。教団員たちの多くが浮足立って、私たちに気づくどころか目もくれません。これなら比較的スムーズに儀式場までいけそうです」

「うむ。ワガハイもかなり近づいてきたのが雰囲気でわかるぞ。……で、手筈はさっき確認した通りでいく。ワガハイが信者に紛れ込んで儀式を妨害。その隙にオヌシが速やかに生贄を救出して安全圏まで誘導する。まあ。大雑把だがな」

「はい。そのように。流石に詳細な内部情報を仕入れる猶予が無かったので、ほとんど臨機応変にならざるを得ません。……生贄を助けるために、殺生も視野に入れておきます」

「……うむ。致し方あるまい。さて着いたようだ」

二人の目の前には異様なうめき声が響く、広く大きな部屋があった。
光源は蝋燭の光のみで、むせ返るほどの血の匂いが充満している。
全ての信者たちは中央の肉と血にまみれる祭壇に、平伏すように頭を下げながら、冒涜的な呪文を唱えている。

「ここから先は別行動ですね。どうかご無事で」

「オヌシもな」

ムルヘルベルは儀式をしている信者たちの中に、持ち前の学習力で儀式の工程を模倣しつつ紛れて。響は生贄の位置を探るため部屋の物陰に潜んだ。
そして響は潜む位置を変えながら、部屋の構造を周到に探っていく。

「あのグリモア猟兵の予知にしたがえば、生贄は鎖に繋がれていたはず……あそこか」

部屋の隅で鎖に繋がれている生贄を確認する。人数にして7人。どの人間もぐったりして、顔を真っ青にしている。響はそれを見て、助け出す手段を頭の中でシミュレートし、もっとも最適の方法を考える。

「……よし。こっちの準備は整った。後は任せます。ムルヘルベルさん」

ムルヘルベルは『閉架書庫目録』をその手元に呼び出した。

「禁書『応報論概説』に封じられし【553ページの悪魔】……すなわち応報の魔神に、儀式場に集まっているであろう魔力をありったけ食らわせるとしよう」

「まあ、目には目を、神には神を、というところである。では――禁書「応報論概説」に曰く、"ヒトは自ら復讐するに能わず。ただ魔の威に任せよ"とある。さあ、いざや来たりて報え、復讐するは汝なり!」

信者たちの頭上に応報の魔神が顕現する。その瞬間、信者たちは混乱、あるいは歓喜が強く巻き起こった。

「よし!今だ!」

響は信者たちが魔神に注意が裂かれたその機会を見逃さず、鎖に繋がれた者たちの元に即座に向かい、繋がれた鎖を次々と破壊していく。

「もう大丈夫です!急いで!」

助けられた者たちをすぐさま、出口まで誘導する。
これで生贄となったものは救出をなんとか完了した。で、あるならばあとは――。

「あとは――さあ応報の魔神よ、たっぷりと食らうがよい!」

ムルヘルベルの号令によって、
魔神が目の前の不浄たる魔力におもいっきり噛り付いた。
目に見えて消える不快感。膨張していた魔力は減衰を起こし、供物を目前に取り上げられた異形の竜神は怒りの咆哮を異空間から上げる。

これにて、儀式はご破算。そして最後の戦いが始まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『黒装の破壊者』

POW   :    砕け散れ
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    贄となれ
自身の身体部位ひとつを【異形の大蛇】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    磔になれ
レベル×5本の【物理】属性の【邪神の肉で作った杭】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は麻生・大地です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

竜神が吠える。空間が震撼する。
部屋に爆音と衝撃がもたらされ、耳を劈く鼓動がまき散らされる。
信者たちは何が起こっているか分からず右往左往し、逃げ惑う。

「な、何がおきてる!?」

己の体であるはずだった魔力を奪われ、
憤怒の竜神が探すのは自分の力を顕現させる器。

――我ガ血肉ヲ奪ッタモノニ、裁キヲ。

そして見つけたのは、祭壇の中心にいるのはこの邪教集団の王である男。
その身の力は矮小なれど器としての相性は、この中でも最も優れてる。

「!?ぐガッガガガガアガアアア!!」

――我ガ意ヲ、体現スベク。ソノ血肉ヲ捧ゲヨ。

男は雷に撃たれたが如く、全身を捩る。異空間からエネルギーが男に収束し爆発。
黒煙が吹き荒れ、部屋を包み込んだ。

「………………」

そして現れたのは、竜神の力を宿した黒き魔人。

「我ガ血肉ヲ奪ッタモノニ、裁キヲ――血ヲヨコセ」

自身の信者たちを変形させた竜神の口で喰らい吸収する。まだだ、もっともっともっと。
何故、どうして、こんなはずじゃなかったのに。
そんな信者の声を踏みつぶして、魔人は祭壇に君臨する。

「血ヲヨコセ。血ヲヨコセ。血ヲヨコセェェェ――!!!!」


――そして、この場に集いし猟兵たちはこの狂った魔人を討滅すべく。
力を振り絞らんと、すべての戦意を滾らせ、戦いに挑んだ。
オリヴィア・ローゼンタール
POW
自ら呼び出した魔物に食われる……種を撒けば刈り取らなければならない、ということです
そちらの魔物も、他者の地を奪って顕現しようとしていたのですから、そもそもあなたの血ではないでしょうに
まったく、揃いも揃って――度し難い
【血統覚醒】により吸血鬼化、神殺しの力を解放し戦闘力を増大
【属性攻撃】【破魔】により槍に聖なる炎を纏う

狂乱しているならば体勢を整える前に一撃を馳走しましょう
【ダッシュ】【先制攻撃】で機先を制する

竜、といえば硬い鱗による堅牢な守りが相場ですね
ならばそれごと貫き粉砕します
【怪力】で聖槍を振るい、【鎧砕き】【串刺し】

叩き込まれる拳は強化された【視力】で【見切り】、槍で受け流す


神原・響
黒の女王を召喚。影の茨を使い敵を拘束、八本の黒剣で飛んでくる杭を切り払う。
自分は、二丁拳銃で邪神を直接攻撃します。

絡み、アドリブOK


黒玻璃・ミコ
◆心情
あぁ、見付けましたよ。我が愛しの怨敵!
血肉をよこせ?
とんでもない、私が貴方の魂魄をも喰らい尽くしましょう


◆行動
【黒竜の災厄】で攻撃力を重視です
うふふふ、良い感じに盛り上がって来ましたよ
此処は【戦闘知識】と【第六感】で魔人の動きを予想し
【気合い】を入れ【怪力】で【鎧砕き】【生命力吸収】してしまう様な
九振りの蛇腹剣でザクザクと【串刺し】にしてしまいましょう
たとえかすり傷であっても【毒使い】の毒が塗られてますので致命傷なのです
竜種を喰らい尽くすまで私は止まりませんよ?
それでも取り敢えずはご馳走様でした( 人 )


ムルヘルベル・アーキロギア
おうおう怒り狂っておる、しかし信徒どもも憐れよな
邪神なんぞを崇めるからこうなるのだ、自業自得である

「ドゥガ・ヘキナグィよ、気分はどうだ?」
遠間から彼奴に問いかけよう
「矮小な人の身に閉じ込められ飢えは募る。実に無様よなあ!」
彼奴の魔力は魔神を通じて我が元に、無視は出来まい
これは挑発よ、隙を生むためのな
目論見通り攻撃を仕掛けてきたならば皆に言う
「驪竜頷下の珠取ったり! 燃料はやる、龍殺しを成し遂げよ!」
奪った魔力を用いて【賢者の箴言】、皆を強化し攻撃を任せる

防御? 皆がどうにかしてくれようさ
最悪我が身が砕けても構わぬ、
蟷螂の斧と笑わば笑え、ワガハイとて彼奴の暴虐に憤っておるのだ

アドリブその他大歓迎


蒼焔・赫煌
むむむむ!! いくら悪人といえどもこれはちょっと、可愛いボクは見過ごせないよ!!

生き残っている信者の人が居れば、食べられちゃう前に【かばう】で魔人との間に割って入るよ!
へいへい! こんな人より可愛いボクの方が美味しそうじゃない?
それともあれかな? もしかして自分より弱い相手しか食べたりできないのかな?
まー、可愛いボクを食べるのは骨が折れるだろうけどね!
可愛いボクが魔人を引きつけてる内に信者の人には逃げてもらうね!

敵とは真っ向からぶつかり合うのが可愛いボクのヒーロースタイル!
拳を叩きつけるのに合わせて、ガシャドクロを発動!
【捨て身の一撃】からの【カウンター】でザクっと思いっきり斬りつけるよっ!!



あるところに、一人の男がいた。
彼は才能も容姿も財産も、何も持たなかった。

――俺は、竜になりたい。

男は世界を呪った。呪わなければ生きていけなかった。
何かを貶めなければ、生きていく意味を見出せなかったのだ。
男は紛れもなく悪党であり、救い難き外道。
人の痛みに鈍感で、猜疑心が強く、そして自分以外まるで信じていなかった。

さんざん周囲に疎まれ蔑まれて糾弾された。お前は生きる価値がない人間だ――。そう何度も何度も言われ続けた。
だが、そんなことは彼が生きない理由にはならなかった

――……こんな世界は間違っている。俺は俺だけで天に坐する神に匹敵する価値があるのだ。無知蒙昧たる愚民ども、今に思い知らせてやる。

男は唯一無二の存在証明たる自身の血筋だけにその価値を求めた。
男はかつて魔竜と呼ばれ、忌避された怪物の血が流れている、呪われた家系の末裔だった。
自分の体に流れる血は高貴で、神の血筋と自負して憚らない。肥大化する妄念と野望。
その悪意は人を狂わせ惑わせ伝播した。疫病のように苦しみをばらまき、火災のように悲しみを生み出した。人を利用することに躊躇いはなく、逆らう人間には死を与えてきた。

――だから、血をよこせ。もっとだ。もっともっと。神を呼ぶために。俺自身が竜神になるために。俺は高貴なる存在、お前たちは俺に消費されるだけの哀れな供物に他ならない。

そして……男の願いは、今、ある意味叶った。
男は神と一体化し、真実、世界を呪わんとする鮮血の魔竜となったのだから。





儀式場は鮮血が飛び交い、魔人による暴食虐殺が行われていた。
魔人に捕食された信者の一人は、膝から下を残して消えてなくなり、
ある信者は頭部だけ残して、苦悶の表情で息絶えた。
その渇望を満たすために食い散らかし、竜たる魔人は血を飲み干す。
しかしその腹を満たすには到底足りない――もっともっともっと。

「モット、モット、モットォォォオォォォオオオオ!血ヲヨコセェェェェェエエエエ!!!」

絶叫。残った信者たちは総じて腰を抜かしたように立ち竦み、絶望の淵に立たされていた。
その顔はかつて自分たちが神に捧げた生贄の最期のように。
まさしく因果応報。彼らには約束された死が訪れようとしていたが……。

「ちょっと、待った―――!」

魔人と信者たちの間に一人の少女が間に割り込むように飛来する。
信者を飲み込もうとしていた邪竜の口の一つを獲物で弾きながら。
彼女の名前は蒼焔・赫煌(ブレイズオブヒロイック・f00749)。
正義の猟兵たる赫煌は魔人に向かって、雄々しく宣告する。

「これ以上はやらせないよ!……君たちは逃げて!」

後ろにいる信者たちを正気に戻すように言った。
その声に信者たちは我に返ったように、この部屋から必死に逃げ始めた。
しかし、魔人は黙ってそれを見逃さなかった。

「貴様ァ!邪魔ヲスルカァア!!」

現れた赫煌に標的を変え、竜神の大口でその血肉を飲み込まんとする。
が、彼女のその手に持つ黒杭によって悉く弾かれる。

「はっあ!可愛くて強い正義の味方にそんな攻撃は通じないよ!」

「……グオオオ!セイギ、正義ダト!」

魔人は癇癪を起したように唸り声をあげる。

「貴様タチハ、何時モ何時モ同ジコトヲ喚ク!正義ノ為ニ、秩序ノ為ニ、俺ニ死ネト言ウ!高貴ナル俺ニ生キルノヲ辞メロト言ウ!フザケルナ。フザケケルナァア!下賤ナ者メ、死ヌノハ貴様タチダ!」

狂乱した魔人は変化させていた竜の口を、拳に変形させる。
そしてそのまま、赫煌に殴りかかった。鈍い音と共に衝撃が降り注ぐ。

「!?……ぐぅう!!」

赫煌は強烈な殴打の余波に巻き込まれて後方へと吹き飛ばされた。
追撃。魔人は二発目の憤激の拳を彼女に叩きつけようとする。だが。

「いえ。死ぬのはあなたですよ?」

「オヌシは……そうか」

黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)とムルヘルベル・アーキロギア(宝石賢者・f09868)がその攻撃を同時に防ぐ。ムルヘルベルはこの猛る魔人を見定めるように見て、息を吐き出しながら言った。

「完全には融合しとらんのか。哀れ、というしかあるまい。ドゥガ・ヘキナグィよ。オヌシは結局のところ、そいつの身体すら満足に手に入れられなかったのだろう。その男のパーソナリティが表出ているのがその証拠だ……さっきのやり取りだけでも凡その事はわかった」

「む。成程、神と呼ばれる割に俗世に塗れていたと思ったら、そういうことですか。事情は察ししました」

ふむふむ、とミコは頷く。が彼女は手を緩みはしない。

「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第弐の竜よ。でも、まあ手加減はしませんけどね。……さあ、我が愛しの怨敵。串刺しになりたくなければ、上手に受けてみてください?」

ミコの九振りの蛇腹剣が獲物を定める。敵を穢し蝕むため、縦横無尽にその刃を突き立てた。その剛と柔を合わさった連続攻撃は魔人を完全に封殺する。

「グギ……!」

魔人はその苛烈な攻撃を防ぐため、その場に釘付けとなってしまう。
全ての腕を防御に回し、攻撃を緩めた。
そして、動きが止まり隙をさらす。

「お返しだよ……ていっ!!」

そのタイミングに戦線に復帰した赫煌が、真横から魔人の横腹を蹴り抜いた。魔人は壁に激突しながら、粉塵を上げる。
赫煌は腕を回しつつ、身体の調子を確かめるように体をほぐす。
そして、後ろにいるムルヘルベルに声をかけた。

「ふう……。ムルヘルベルさん質問があるのだけど良いかな?」

「どうした?戦場であるぞ。手短に頼む」

「完全に融合していないなら……あの中の人を助けるってことはできないかな?」

その赫煌の言葉を聞いて、二人は目を丸くする。数秒程、どちらも熟考するように黙った。
するとミコからその口を開いた。

「いやいやいや、待ってください。支配されてようと、やはり責任を持って死んでもらうのが筋なのでは?多分あの方が邪教集団のトップなわけですし」

流石にそれはどうなのだ、と言う感じにミコは言う。
ムルヘルベルは苦悩するように言葉を絞り出す。

「ワガハイも……助けてもいいと思う。すでに囚われた生贄は救出したわけだからな。生かすのも殺すのも、どちらかに重きを置いても感傷的な問題に過ぎん。我らの労力を度外視すればな。……それに、ワガハイも素面のその男に一つや二つ糾したい事が無いわけでもない」

「げげっ。マジですか」

「だったら、助けよう。助けて罪を償ってもらおう。ボクの我が侭かもしれないけど、貫きたい。だってボクは正義の味方だから」

ミコは赫煌の言葉から、強い決心と覚悟を感じ取る。
そして最終的に根負けし、ため息をついて。

「……そうですか。あなたはブレませんね。では助けましょうかムルヘルベルさん?」

「わかった。できる限りのことをしよう……あの二人が来たらこのことを伝えなければな」





「あの方たちの護衛を引き受けてくれてありがとうございますオリヴィアさん」

「いえ、礼には及びませんし、当然のことです。……さあ急ぎましょう。一刻も早く仲間の元へと駆けつけなければ」

オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)と神原・響(黒の女王の契約者・f06317)は地下壕を駆け抜けていた。彼らは救出した人間を地上へと送り出すための役目を負っていたのだ。何せ、弱りに弱ったいつ力尽きてもおかしくない七人の人間に対してある程度のサポートは必須だった。それは響だけではどうしても手が足りず、やむを得ずオリヴィアに支援を要請したのだった。

「……ちょっと待ってください。誰かが来ます」

「おそらく……この慌てた足音からすると儀式場から逃げ出してきた者たちでしょうか」

暗闇の中から、数人の集団がこちらから駆けてくる音がする。
その足音はどれも慌てふためきながら、沈みゆく船から逃げ出すように乱雑であった。二人は足を止める。

「お前達は!?あの人間と同じ者共か!」

「貴方たちは信者の方ですね。儀式場で何があったんですか?……その様子を見ればなんとなく察しはつきますが」

「同胞たちが生きたまま食われて、バラバラにされたんだぞ!」「くそっ……どうして……こんなことが……」「……お父さん、お母さん……」

嘆き、悲観、絶望。負の感情がその集団を支配していた。
そして信者の中に子供が混じっていたところを見て、
さらにオリヴィアは怒りを隠さずに言う。

「……笑わせますね。何を言っているのですか?貴方たちが今まで散々やってきたことでしょう。貴方たちも生贄と称して、罪のない人間を殺し甚振ってきたのでしょう。それを自分たちがされる番になったら情けなく泣き言などと……。もはや醜悪を通り越して惨めですね。かける言葉が見当たらないです」

「お前たちに何がわかる!」

信者の中の一人が、血走った目で言い放った。

「我々には何もなかったんだ!何もっ!何もかもだっ!金も強さも仲間も!あの神を呼べば理想郷にたどり着けると思っていたのに。ようやく“何か”を手に入れられると思ったのに……!終わりだ……台無しだ……」

「わからないし、わかりたくもありませんよ。どんなご題目を掲げようと、まして人を蝕む神格を降臨させて理想郷など訪れるはずがない。たとえ訪れたとしても、すぐに歪が産まれるのが目に見えている。……あなた方の思想は最初から破綻していたんです」

響も語気を荒くしながら、彼らの理想を否定する。
その言葉を聞いても信者たちは何も変わらず、嘆きを口から垂れ流しながら何処へフラフラと歩き去っていく。

「……行きましょう。神原さん、私たちの仲間が待っています」

「そうですね……」

嘆きを背に二人は決戦の儀式場へと赴く。
そして、ポツリとどちらかが言ったのか

「……何もない?貴方たちにはまだ命がある。生贄に捧げられた人間とは違って……」

憐憫とも怒りとも似つかない声音でそう呟いた。





「お待たせいたしました。皆さん」

オリヴィアは戦場に遅参した。
激闘だった。竜の魔人は力の本領を発揮しつつあり、
頭数が削れていた猟兵たちは徐々に押されつつあった。
しかしここでその拮抗は崩れ去る。

「オリヴィア、来たかっ。早速だが、竜神に取り込まれたアヤツを助けたいので力を貸してほしい!」

ミコの変則的な剣刃が踊り、赫煌の直線的な攻撃が火花を散らす。
さらには、ムルヘルベルの賢者の箴言が全員に力を与える。

「……成程、多少とは言わずかなり気に入りませんが、この場において是非もありませんね。承知いたしました。」

オリヴィアは状況を見極め、血統覚醒し、吸血鬼化する。

「自分が呼び出した魔物に食われる。自分たちが生贄になる。ああ――まったく、揃いも揃って――度し難い」

そして聖なる炎を纏った槍を魔人めがけて構え穿つ。一閃。
魔人の肩を燃やしながら、抉り穿つ。

「グオオオ!!穢ラワシイゾ!忌々シイ炎メ……!」

「いいですか。ムルヘルベルさんの見立てでは、限界までダメージを与えれば竜が身体から抜けるかもって感じですよー。ガンガン攻撃を与えていきましょう。せいっ」

そう言いつつ、ミコ自前の怪力を用いた蛇腹剣が魔人の体表を削りつつ出血させる。飛び散る黒い血液。

「ガアアアアアア!!!」

そして、その剣に宿る毒により、魔人の身体の血管が浮き出るように膨張する。
その毒は普通なら致命傷になるほどの猛毒だ。
いくらこの魔人とはいえ相当な損傷は免れない。

「……血ヲ!血ヲヨコセ!……貴様タチは何ノ権利ガアッテ、俺ノ歩ミヲ止メヨウトスル!俺ハ生キテイタイダケダ!貴様タチコソ悪ダ!塵屑ドモ、報イヲ受ケルガイイ!」

しかし、口から煙を吐きだすが如く、体の中で暴れまわった毒を体外に放出する。

「権利?権利だと!ハッハッ。本当に惨めな事を言いおるな。いや、そいつに言っとるわけではない。オヌシだ、ドゥガ・ヘキナグィ」

ムルヘルベルは嘲笑する。男の内なる竜神に対して。

「本当に無様よなあ。目の前で餌である血を奪われたあげく、最後は駄々を捏ねるように、小さな人形で暴れるのが関の山。しかも操り切れてないときた。オヌシ、本当に神か?竜なのか?本当は低級の餓鬼の類ではないか?」

魔人は激高する。内なる竜神が猛り、ムルヘルベルに向かってその威をぶつけようとする。
魔人の拳が風を切り裂き、唸る。しかしムルヘルベルは“それ”を待っていた


「さあ――驪竜頷下の珠取ったり! 燃料はやる、龍殺しを成し遂げよ!」

「了解!」

「言われずとも、ですよー」

「はいっ」

自分を囮にしての、カウンター。ムルヘルベルの策は功を奏した。
その瞬間、三人の猟兵の、さらなる賢者の箴言によってブーストされた熾烈な同時攻撃が魔人を襲った。
その攻撃を受け、魔人は倒れるようにその場に崩れ落ちた。
衝撃により血が混じった砂煙が立ち上る。
これ以上ないくらい、最高のタイミングだったはずだ。
そう全員が思った。

「さあ、どうだ……!?」

しかし、希望的観測を破壊するような大咆哮。
魔人はすぐさま再び立ち上がって、その鋭い眼光を放つ。
魔人は竜神からさらなる力を引き出し、その身をさらなる高見へと昇華させた。

「……我ガ血肉ヲ奪ッタモノニ、裁キヲ。我名ヲ汚シタモノニ報イヲ」

「!?」

砂煙が舞う中、邪神の肉で作った杭が猟兵めがけて、無数に発射される。
突然の攻撃に対応できず、切り刻まれる猟兵たち。

「ぐっ……大丈夫ですか」

「なんとか……な」

「うーんやりますねー。もう一回あれが来たらやばいかもしれません」

傷つき、疲弊する猟兵たち。ダメージは甚大だった。
それぞれ急所は避けたものの、被害は大きい。
だが。

「――ここは可愛いボクにまかせて。ボクが突破口を作る!」

そう言って、赫煌は一人、魔人へと突進する。
そして、魔人へ真っ向からぶつかった。
ガシャドクロを展開し、その連撃で両断せんとする。

「ナンダト!?」

殴られ、後方に切られながら、吹き飛ぶ魔人。
今度は魔人が完全に不意を打たれ、驚愕した。手ごたえはあったハズだ。
その通り。赫煌のダメージは決して浅くない、だが。

「……可愛いボクならヘッチャラだから!」

やせ我慢のように。骨に響く、その体を鞭打って、目の前の魔人と相対する。

「愚カナ!血ヲヨコセェェェ!」

拳と拳がぶつかり合う。弾き飛ばされながら、竜神の牙が赫煌の身体を傷つける。その少女の身体から血が噴き出し、痛々しく辺りを彩る。しかし、赫煌は折れず、何度も何度も立ち向かう。まるで正義のヒーローのように。

「可愛い正義のボクは無敵だから……!」

「グググウウウウウ!!!目障リナ!全テ消エ失セロオオオオオ!!!」

さっきと同じ杭が発射しようとしていた。全て、皆殺す――そう必殺の意思を込めて。
――だがここで、今まで潜み、機を伺っていた男と黒の女王が初めてその場に顔を出した。

『ほれ、やはりこのタイミングかの?大技を放つ時が、一番隙があるというもの。そこな娘はよくやってくれた』

影の女王は影の茨を使って、魔人を拘束する。技の出がかりを潰された結果、暴発するように魔人の内部で杭を打ち出すエネルギーが逆流し、その身を破壊しつくす。竜神の意識さえ狩り飛ばすほどに。

「グアアアアアアアアアアアア!!!!」

「はい、流石にこれで決まりです。異様なタフネスさはこれで消えました。あとは任せます」

そして見違えるほどにボロボロとなった魔人。さっきまでの威容は消えうせ、朦朧と膝をついている。

戦線に復帰した猟兵たち。その威を持って、この魔人にとどめを刺す。

「さあ、今度こそ――。これで終わりです」

「可愛いボクの正義の鉄拳!」

「はい、お食事タイムですよ。頂きます♪」

「鮮血の魔竜よ、塵へと還れ――」





「ふう…ごちそうさまでした」

ミコは虚空に手を合わせる仕草をしながら、ご機嫌がいいように言う。
その傍らでは今回の事件の首謀者たる男が、横たわるように気を失っていた。
そして、男に指さすように質問を投げかける。

「それで、この人の処遇はどうするんですか?」

「……そうだな。結局、組織に引き渡すのが一番わかりやすいかもしれんな。そしてそこで死刑になろうとも。コヤツは神に……竜になりたかったみたいだからな。……人に罰され、人として死んでいくのがコヤツにとって一番の罰になるのだろう」

「あー。確かに叫んでいましたもんね。俺は竜だーって」

ミコは思い出すように言う。そして、少し朗らかに笑うように。

「結局のところ、人は人、竜は竜ですよ。ブラックタールはブラックタールです。まあ竜は私の食べ物なのでいくら増えてもいいんですが」

そう言うと、鼻歌交じりで、その場を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月25日


挿絵イラスト