帝竜戦役②〜反逆のドラゴンターキー
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竜の力与える風が荒野に吹き荒れた。
この世界のオブリビオン・フォーミュラが猟兵を迎え撃つためにこの地に住むオブリビオンへと力を与える。
ぷっくらとした美味しそうな体形に似合わない竜の鱗が体を覆い始めオブリビオンは自身の力が偉大なる帝竜によってパワーアップしていくのを感じる。
もっともっと力をください、にっくき人間達を倒す為に!
その思いに呼応する様に風はさらに力を与え、そのオブリビオンの背中に竜の翼を与え、力の証として竜の角も与える。
元々かぶっていた帽子を突き破る様に生えた角だがどうやら当の本人達はずれ落ちなくなったとかカッコよさが増したなど嬉しそうにお互いの変化を喜び合う。
オブリビオンの群れに風が力を与え終わると彼らは帝竜に感謝し、猟兵達を倒すべくその手に熱々で美味しそうなチキンをどこからともなく取り出し、その出来栄えをしっかりと確かめてからドラゴンの翼で力強く大空に飛び立った。
猟兵達よ……このアツアツのチキンで貴様達を倒す!! と決意を胸に秘め……。
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「アックス&ウィザーズでフォーミュラが見つかりましたにゃー」
なので世界の命運をかけて決戦の開始ですにゃと現れたのはクゥ・チコット(光風のハーピスト・f03424)だ。
「フォミュラーである帝竜ヴァルギリオスと戦うには群竜大陸の踏破が不可欠ですにゃ」
なので帝竜を目指してどんどん攻略していきましょうですにゃ! と皆さんを鼓舞しながらグリモアを起動して予知の説明に入る。
「予知できたのは皆殺しの平野と呼ばれる戦場ですにゃ」
探索したことある人もいるかもしれませんがここはオブリビオンを竜化させる風が吹いてて、その為オブリビオンは空中戦ができるようになったりしてますにゃーと説明する。
「完全にドラゴンに変化しているわけではないですが、鱗とかで防御力上がってますしその防御力をどうやって破るか、また上空からの攻撃にどうやって対処するかなどをしっかり考えて戦いに挑んでくださいにゃ」
とこの戦場での基本的な注意点の説明を終え本題の戦うオブリビオンの話に移るところでクゥの顔がなんともいえない表情に変わる。
「戦ったことある人も居るかもですが……美味しそうだったり可愛い見た目してますがちゃんとオブリビオンなので気を付けて戦ってくださいにゃ」
と言いながらグリモアで投影された敵の姿は……季節外れの赤い帽子を被ったぷっくら美味しそうで可愛い七面鳥っぽいオブリビオンだった。
もちろんちゃんと竜化もしててちょっとばかりカッコよくなってる七面鳥だ。
「なんか沢山食べられた七面鳥の恨みとかが集合体として蘇ったオブリビオンらしいですにゃ」
冬のお祝いと言ったら七面鳥のイメージありますにゃーこの世界でもきっと昨年末とか沢山食べたのでしょうにゃーと少しばかり遠くを見つめながらオブリビオンの起源を語る。
「敵の攻撃方法はこんな感じですにゃー」
とグリモアでその様子を映し出しながら説明に入る。
一つ目は瀕死になると別の仲間を召喚するユーベルコード。
この召喚された仲間は高い攻撃力を有してて瀕死の仲間と同じ技を使う。
二つ目は油のはぜる音、香辛料の香り、鮮やかな彩りで自身の肉体を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するかも選べるらしいが見た目も美味しそうになりそうだ。
そして最後は武器であるチキンに超高温の油・衣、または水飴などをまぶし、熱々出来立てモードに変身してスピードと反応速度を爆発的に上げる技だ。寿命を削る技だが猟兵達を倒すのに効果的と判断したらためらいなく使ってくるだろう。
「それとこれは補足なのですがドラゴン化したオブリビオンの体内には竜胆石と呼ばれる石が生成されるらしいですにゃ」
だいたいこの世界だと金貨40枚(40万円相当)の価値があるらしいので欲しい人は記念に財宝として持ち帰ってもいいかもですにゃーと伝える。
「後、あれですね一応このオブリビオンの武器も食べれるそうですにゃ」
地面に落ちる前にキャッチしたら出来立ての美味しいチキンとして食べられる、本体も食べられそうと予知には出ているがオブリビオンを食べるのは勇気がいるしチキンだけをオススメしますにゃと説明するが本当に食べるかは各自自己責任でお願いします。
「帝竜の元に向かう道のりは長いですが勝利を積み重ねて世界を救いましょうにゃ!」
グリモアで集まった皆さんを転送しながらクゥは笑顔で見送るのであった。
高月 渚
お世話になってます。高月 渚です。
アックス&ウィザーズで決戦の開始です。この依頼は1章で完結する戦争シナリオとなっています。
OPにも記載しましたが以下の行動がプレイングボーナスとして付与されます。
『プレイングボーナス……空中からの攻撃に対処し、硬いうろこに覆われた「急所」を攻撃する。』
『プレイグと執筆について』
OP公開後、参加者様のタイミングで送信していただいて大丈夫です。誰かと一緒に参加する場合は文頭にグループ名や相手のお名前とIDなどを記入後、近いタイミングで送信をお願いします。
執筆にはお時間を頂くことになるかもしれませんのでお急ぎの方はご注意ください。
『財宝とチキンについて』
財宝の設定は、
「竜胆石(りんどうせき)」……ドラゴン化した敵の体内から1匹につき1個取れる美しい宝石。金貨40枚(40万円)の価値。
となっています。実際にアイテムが発行されるわけではなくフレーバー程度のものですが欲しい方はプレイングに明記していただければ、討伐できた場合ゲットできます。
チキンについても同様です。できたてアツアツのチキンを食べたくてかつ、直前まで武器として使われてても気にしない方はプレイングに盛り込んでください。
本体も食べれそうではありますがあまりオススメはしません。(描写もマイルドにするか持ち帰って食べた事にするなどにします)
それでは長くなりましたが皆様のご参加お待ちしてます。
第1章 集団戦
『ケキリキターキー』
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POW : フェニックス・リボーン
自身が戦闘で瀕死になると【別のケキリキターキー】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : パーフェクト・ディナー
【パチパチと油のはぜる音】【香辛料の胃を刺激する香り】【鮮やかな彩り】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : フライド・チキンorローストターキーアタック
【武器に超高温の油・衣、または水飴をまぶす】事で【熱々出来立てモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:橡こりす
👑7
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
グリモアの力で戦場となる荒野へと転移してきた猟兵達。
そんな猟兵達の上空から鳥の鳴き声がする。
見上げるとそこには予知の通りドラゴンの翼で空を舞う七面鳥の集団が美味しそうな匂いと共に待ち構えていた。
戦闘態勢な敵の様子に猟兵達も各々の戦い方で戦闘を開始した。
パルピ・ペルポル
まず宝石はいただくとして。
チキンは…どうしようかしらね。
ともあれ空中戦に持ち込むわよね。
まずは念動力で雨紡ぎの風糸を自らの周囲に張り巡らせておいて、敵の行動を阻兼盾として使用するわ。
そこからさらに蜘蛛の巣状に風糸を展開して、急襲されないように警戒しつつ進んで、敵に糸を絡めて動きを阻害したとに火事場のなんとやらを使って全力で切り裂いてあげるわ。
でも弱点どこなのかしら…鱗のところなのはわかるんだけど。
まぁドラゴンの翼を切り落とせば落下するわよね。自分のにはチキン持ってるわけだし。
弱点がわかればそこ、わからなければ翼を切り落とすのを狙うとするわ。
チキンは落ちずに確保できたら頂くことにするわ。
ナイツ・ディン
「あーうん、なんというか。弱肉強食?」
『喰いがいがあるな!』
紅竜のディロは襲う気満々である。美味しいのかなぁアレ。
ひとまず、空中戦はこっちも得意分野だ。【エアライド・ディロ】を使い、ディロに騎乗する。
「本物のドラゴンってやつを見せてやろうぜ!」
空中で戦闘しながら、時折ディロから飛び降りてそのまま自前の翅で飛んで二面攻撃をしたり。ディロは噛み付いたり。美味そうな匂いがしてるしな……
見切りやカウンターで隙を付いてもう一本の竜槍ローアで鎧貫き攻撃。ランスチャージ、ダッシュなどで勢いを付け、鱗ごと貫いてやろう。
「中途半端な竜じゃ勝てないぜ?」
まあ、まだ沢山いるんだが。食べ放題だな。
波山・ヒクイ
熱々のチキンがあああああああ!たべたい゛!!
わっちの前で油の弾ける音にスパイシーな香りを漂わせよって…
ちょっとトカゲが混じってようが関係ねえ…ぜってー許さんぞ…この鳥野郎!チキン野郎!
お腹のすいたわっちの前に躍り出たのが運の尽きじゃったな、骨の髄までむしゃぶりつくしてじっくりと味わってくれるわ!
わっちの翼でカワセミの如く鋭敏に、鷹のごとく獰猛に飛翔し…やつに喰らいつく!文字通り喰らいつく!
ついでに顔もこう、骨付き肉に変身させて実質チキンが一個プラス!なんかお得!
そんでもってUCで強化した顎でチキンを骨ごとガブガブしちゃうぞっ!
…お高い石もいいけど、今は付け合わせのポテトが欲しいのう…
灘杜・ころな
受験が終わって、やっと猟兵のお仕事を再開したら……いきなり戦争なんてなぁ。
ま、空を飛んどる敵を叩き落とすんなら、これやろ。
(《降神・天照》発動)
……あの鳥共が飛んでおる高さより上から光球を降臨させれば、高低差など関係無く攻撃出来るわ!
妾を前に、頭が高いぞケダモノ風情が!!
とはいえ、墜落させた後はどうしようかえ?
鱗がかなり硬そうじゃし……。
ん? ああ、鱗の無い所を狙えば良かろう。
えいっ(目潰し)。
……と、熱々出来立てモードって何じゃ!?
速過ぎて狙いが……!?
なら、辺り一面を光球で蹂躙するまでじゃ!
下手な鉄砲も数撃てば……って、誰がへたくそじゃとー!!
……折角やし、チキンは頂くで♪
夜暮・白
「なんだかケータリングみたい?」
オブリビオンになっても美味しそうなんだね。食べていいって話だから持ち帰ってもいいのかな?
まずは少ない方に走りつつ、ダガーで攻撃を払いながら勘頼りに避けます。相手は集団だから追い込まれないように気を付けるよ。美味しそうな匂いが強くなったらお持ち帰り用の籠を開けておいて、【夢現のまじない】で猛禽さん達を呼び出しチキンや付け合わせを盗んできてもらいます。
頃合いを見て袖に隠れて貰っていた冥鑑海月さんを空に放り投げ、雷の魔法で敵を攻撃してもらいます。空中にいるからよく効きそう。僕は急所になりそうな口や喉に綺羅針を投擲するよ。
なんだか申し訳ないけど、いただいていきます。
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宝石はいただくとして、チキンは…どうしようかしらね。
向かってくる敵の武器から美味しそうな匂いが漂ってきてチキンを食べるか悩んでいるのはパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)。
落ちる前にキャッチできれば食べてみればいいかと思いながら敵の攻撃をひらりと避けながらフェアリーの羽で空高く飛び空中戦へと持ち込んだ。
彼女を囲むケキリキターキー達は自分からやられに来るとはなと不敵な笑みを浮かべ浮かべながら手に持つチキンから出来立てでパチパチと油がはぜる音、鼻孔をくすぐる香辛料の香りを漂わせ自身を強化していく。
そんな敵の様子にただ中央で飛んでいるように見えるパルピであるが実際はこちらも罠を仕掛けていた。
彼女の持つ雨紡ぎの風糸と呼ばれる蜘蛛糸より細い透明な糸を念動力を使って自分の周囲に展開している。
それは目に見えぬ結界となり敵がどんな出方をしてきても対応できる布陣であった。
糸をさらに蜘蛛の巣上へと展開していくが敵が気がつく様子はない。
「クキュルキュル!」
七面鳥独特の鳴き声をあげながらチキン片手に殴りかかってきた敵が一体、パルピはその敵目掛けて巧みな糸捌きでその突進を弾くと戦場に広めた蜘蛛糸でからめとってその動きを封じた。
「まずは一体捕獲ね」
「キュル!」
見えない何かに動きを封じられもがく仲間を助けるべく他のケキリキターキー達も防御力をあげながらパルピへと向かっていく。
そんな彼らをシーフらしく軽い身のこなしで避けながらまた一体、また一体と蜘蛛の巣の餌食にしていく。
舞踏の様なその身の身のこなしが終わる頃には彼女を取り囲んでいた敵達は全て蜘蛛の巣に捕えられていた。
「さてと、捕えたはいいけど弱点ってどこなのかしら?」
鱗のある部分なのは解るけど……と悩むパルピ。
捕えた敵達を観察すると鱗のある部分はまちまちで弱点を推理するのは難しい。
「まぁ、翼を切り落とせば落下するわよね。それで終いだわ」
「キュル!?」
パルピの不穏な発言に慌てもがく敵達だが、そんな敵の様子はお構いなしにいくつかの糸を手で手繰り寄せるパルピ。
「それじゃあ、さようなら」
可憐なフェアリーの見た目からは想像できない力で糸を引っ張るパルピ、念動力で固定されている蜘蛛の巣はそのままで強烈な力が加わるのだ。
ケキリキターキー達の翼だけでなく防御力を高めた鱗すら切り裂く負荷が糸に伝わっていく。
キュ……キュルと苦しい悲鳴をあげながら翼や全身を引き裂かれ大地へと落ちていく彼らはその時初めて見えない糸で攻撃されたことに気がついたのであった。
「ふぅ、一網打尽ね」
後で石を拾いに行かないと思いながらパルピは雨紡ぎの風糸でうまく絡め取っておいた自身より大きなチキンを両手で抱えるように持つと一口食べてみた。
「はふ……うん、まあまあの味ね」
未だできたてアツアツを保ったチキンを食べパルピはそんな感想を零すのであった。
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『喰いがいがあるな!』
「あーうん、なんというか。弱肉強食?」
傍らで相棒のドラゴンランスの紅竜・ディロに相槌を打つのはナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)だ。
相棒は襲う気満々だけど本体の部分は美味しいのかなぁアレ……と上空で飛んでいる敵を見て思う。
ドラゴンも混じっているから美味しいかは個人差ありそうだ。
『早く食いに行くぞ!』
「わかったから急かすなよ」
普段だったら竜の背に乗ること、誇りに思え! と言ってくるディロだが今は食べるほうが優先のようだ。
地上に居ても解るぐらい美味しそうな匂いをしているのだから仕方のないことだ。
「大空を駆けよ!」
ナイツの掛け声と共にディロは大空へと飛び立つ、振り落とされない様にしっかりと騎乗したナイツはこれより空中戦を開始するのであった。
向かってくるナイツ達に気がついたケキリキターキー達は鮮やかな彩りを放つチキンを片手に臨戦態勢へと移った。
「本物のドラゴンってやつを見せてやろうぜ!」
『勿論だ! 半端物などに我は負けん!!』
相棒に語り掛けながら一直線に敵に向けて飛翔するナイツ達だが、ディロの半端物発言に怒りを覚えたケキリキターキー達、攻撃力をあげたチキンを振り回し連携攻撃で攻め込む。
『ふん、自ら食べられに来るとは食料として立派だな!』
ディロの正面から勇敢にも戦いを挑んだ個体が居たがディロはチキンもろとも口を開けて噛みつくとそのまま美味しそうに食べ始める。
うわー本当に食べちゃったまぁ、美味しそうな匂いしているからなーと多少苦笑いを浮かべながら、もう一体の相棒である蒼竜・ローアの宿るドラゴンランスを操り敵の攻撃をいなしていた。
『まだまだ食い足りぬ!』
そう言いながらスピードを上げたディロ、ナイツはこのままだと振り落とされると思い、落とされる前に自身の翼で飛翔を開始する。
まだまだ沢山いるし食べ放題だなと相棒が食べる様子を見ながら、なら食べやすいように連携攻撃だとディロをサポートする様に立ち回る。
時に攻撃を見切り、カウンターの一撃を叩き込みながらの連携によって敵の数は徐々に減っていった。
そして最後の一体となった時にナイツはディロと視線を合わせると再びその背に乗って槍となったローアを構える。
「一撃で仕留めるぞディロ!」
『言われなくともだ!』
猛スピードで空を駆ける二人、相対するケキリキターキーも負けまいとチキンで応戦する。
だが、ナイツ達のスピードとチキンを掻い潜る様に放たれた槍の一撃が鱗と化した胸部分を破壊力有る一撃で粉砕し絶命に追いやった。
「中途半端な竜じゃ勝てないぜ?」
墜落していく敵を見ながらこれから本物の竜を相手にしていくんだ半端なお前達に負けてられないと思いを呟いた。
そんな彼へと騎乗しているディロから敵の持っていたチキンを差し出される。
『我ばかり食べていたからな』
「あ、ありがとう」
照れながらチキンを差し出すディロに少しばかり驚きながらナイツは受け取ると相棒からの差し入れを一口頬張るのであった。
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「熱々のチキンがあああああああ!たべたい゛!!」
戦場全体に響くかの如くシャウトするのは波山・ヒクイ(キマイラのスピリットヒーロー・f26985)だ。
彼女は今猛烈に空腹だ、お腹と背中がくっついちゃうぐらい腹ペコである。
そんな彼女曰く、わっちの前でぱちぱちジュワっと油の弾ける音に空腹のお腹にダイレクトアタックをお見舞いするスパイシーな香りを漂わせよって……竜化している? 知らん! ちょっとトカゲが混じってようが関係ねえ……ぜってー許さんぞ……この鳥野郎! チキン野郎!
と着物をいつも以上に気崩しながらじゅるりとこぼれそうになる唾液を手で拭い上空の敵を見据えるその様子は腹ペコバーサーカー状態である。
「お腹のすいたわっちの前に躍り出たのが運の尽きじゃったな!」
骨の髄までむしゃぶりつくしてじっくりと味わってくれるわ! と宣言しながら自慢の翼でカワセミの如く鋭敏に、鷹のごとく獰猛に飛翔しながら空中戦に挑むヒクイと相対するケキリキターキー達。
彼らの装備するチキンから油のはぜる音と共に戦場に漂うのは食欲をそそるスパイシーな香り。
ふはは……その肉はどんな感じだ? 一度噛みつけば極上の肉汁が口の中に広がるのかえ?
と、もはや敵と相対していると言うより食事と相対している感じだ。
「キュルルルキュッル!!」
そんなヒクイへと抗議するケキリキターキー、翻訳すると貴様の様な恐ろしい奴がいるから我々七面鳥は立ち上がったのだ! 特別な日だからと感謝しながら食べやがって許さない! みたいなことを講義している。
しかし、ヒクイの耳には届かないそもそも鳴き声にしか聞こえないのだから仕方ない。
「ほーれ鏡を見てみぃ、今のおぬしはとっても美味しそうじゃぞ~」
いつの間にか鏡を取り出してケキリキターキー達に見るように促す。
何が美味しそうだ我々は帝竜の力で強くなったのだ! と誇らしそうにする彼らだったが……。
「キュルルルルルル!?」
鏡を見て驚愕した。なぜなら角の生えた自慢のカッコいいフェイスがいつの間にかジュージューと音を立てて美味しそうな、自分達が装備するチキンの様なチキンフェイスに変化していたからだ。
何が起こったか解らない突然の変化にかろうじで残っている嘴で驚きの声を上げる彼らだが、ヒクイはいたって冷静なまま腹ペコバーサーカー状態を保っていた。
なぜならこれぞヒクイのユーベルコード・必殺・お手軽飯テロ変化だからだ。
ただ敵を食べるなんてもったいないどうせなら美味しそうに変化させてから頂くべきだと思って編み出されたのかもしれない。
「いただきますなのじゃ~」
混乱する敵の隙をつくように急接近したヒクイは敵が反撃する間もなくその頭部を強化された顎でバキボキと音を立てながら骨ごとむしゃぶりついた。
だって実質チキンが一個増えてお得なのだ……遠慮なんてしたら失礼だろ?
「キュールルル!!!」
仲間が食べられてパニックになりながらも果敢にヒクイに挑むケキリキターキーだったが、そのチキンを掴まれて奪い取られるとそのまま食べられてしまう。
「安心せぇ一つ残らず食べてやるからなぁ」
眼光をギラギラと輝かせ迫りくるヒクイの姿は絶対的な捕食者の姿だった。
ケキリキターキー達は震えながらこの猟兵には本能的に勝てないと思ってしまい抱き合いながら震えている。
そんな怯える彼らをせめて苦しまず、早く食べてやるとしようと優しい女神のごとく表情を浮かべ……一匹残らず食べつくした。
「……お高い石もいいけど、今は付け合わせのポテトが欲しいのう……」
捕食しながらもちゃっかりと竜胆石を回収したヒクイは自分の世界に帰ったら今度はポテトを食べに行こうかのうと考えているのであった。
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受験が終わって、やっと猟兵のお仕事を再開したら……いきなり戦争なんてなぁ。
としみじみ思うのは灘杜・ころな(鉄壁スカートのひもろぎJK・f04167)だ。
受験勉強も大変だったけど今回の戦争も大変やなぁと帝竜までの道のりを思い出してみるが、少しずつ一歩ずつ戦うしかないよねと気持ちを切り替えて上空を飛ぶケキリキターキー達を見据える。
「ま、空を飛んどる敵を叩き落とすんなら、これやろ」
と両手に扇を構え舞を踊り始めるころな。
この舞は彼女の実家の御神体に宿る神々をその身に降ろす神楽舞。
神の力を宿すべく優雅な所作で舞う彼女だったがしだいにその様子に変化が訪れる。
「うちを……妾を前にして……随分と頭が高いのう! ひれ伏さぬか、愚物!!」
先ほどまでの彼女とはまったく違う口調で驚くかもしれないがたった今ころなから女神・天照へと肉体の主導権が切り替わったのだ。
不敬にも天照より高く空を飛ぶケキリキターキー達に鉄槌を下すべく彼らのさらに上空に太陽の如き灼熱の巨大光球を発生させるとそのまま彼らを撃墜すべく扇の一振りと共に光球を降り注がせた。
「キュル!?」
ドラゴンの翼は頑丈で燃え尽きることはなかったが光球の熱量により次々と翼をやられ地面へと墜落してくるケキリキターキー。
「妾を前に、頭が高いぞケダモノ風情が!!」
扇で口元を隠しながら冷ややかな視線を送る天照、さて墜落させたはいいがどうやって止めを刺そうかとしばし思案するが……。
「ああ、鱗の無い所を狙えば良かろう」
わざわざ硬い鱗を攻撃する必要はないと墜落して弱り果てている一体に近づくと扇を閉じて相対する。
「えいっ」
可愛い声と共に繰り出されるのは鬼の様な目つぶし攻撃だった。
弱り果てていたケキリキターキーにはたまらず、そのまま悶絶しながら財宝を残して消滅していく。
そんな仲間の無残な姿を目のあたりにした彼らは、仲間の為にも一矢報いねばと己が持つ武器を超高温の油や衣で纏うと高らかに鳴く。
「キュルルルルル!!!!!!!!!」
「な、なんじゃ!?」
突然の鳴き声に驚く天照だったが、そんな彼女の前から残りのケキリキターキー達が姿を消した。
これぞ彼らが寿命を削りながら繰り出す熱々出来立てモードだ。視認できないほどの高速移動で彼女を倒すべく動き出す。
「速過ぎて狙いが……!?」
あまりの速さに狙いが定まらない天照、少しずつ敵の武器であるアツツチキンで攻撃されてしまう。
「っなら、辺り一面を光球で蹂躙するまでじゃ!」
下手な鉄砲も数撃てば……って、誰がへたくそじゃとー!! などと敵の速さに翻弄されて自分でツッコミを始めてしまうぐらい動揺してしまった天照だったが、上空に巨大な光球を発生させると宣言通り辺り一面を覆いつくす一撃を放った。
「ふぅ……妾に逆らうとこうなるのじゃ」
どんなに速く動こうとも戦場を埋めつくす攻撃は避けれなかったケキリキターキー達は全て燃え尽きていた。
そんな彼らがやられながらも死守した天照の攻撃を受けてもちょうどいい焼き加減を何故か保っていたチキンを手に取ると天照は笑顔を浮かべる。
「折角やし、チキンは頂くで♪」
依り代には悪いけどのぉところなに少しばかり謝罪の気持ちを送りながら天照は神降ろしの特権だと言わんばかりに美味しそうにアツアツチキンを食すのであった。
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「なんだかケータリングみたい?」
オブリビオンになっても美味しそうなんだね……と目を細めながらケキリキターキー達を眺めているのは夜暮・白(燈導師見習・f05471)。
明るい色彩を好む彼は少しばかりケキリキターキー達の鮮やかな赤色を羨ましいと眺めていたが、戦闘中だったと気持ちを切り替える。
予知を聞く限り食べていいって話だから持ち帰ってもいいのかな? とケキリキターキー達の持つチキンや付け合わせを持ち帰ろうと心に決める。
そんな静かに決意する彼へと上空からケキリキターキーの群れがその手に持つチキンからパチパチと音をさせて白に襲い掛かった。
群れの攻撃を勘だよりに回避しながらダガーで攻撃を加える白、だがその攻撃はチキンによって阻まれてしまう。
まずいと思いながら敵の少ない方へと荒野を駆ける白、見通しの良い荒野であるが僅かばかりある障害物に気を付けて敵に囲まれない様に立ち回った。
逃げつつもダガーで攻撃を加えているうちに彼の犬の様な顔立ちの鼻にとても美味しそうな匂いが届いてきた。
そろそろいいかなとダガーから杖乱鐘機に持ち替えるとその杖の様な銃を敵へと構え言い放つ。
「出ておいで。手伝ってくれない?」
その言葉と共に杖乱鐘機から放たれたのは乱鐘機杖に封じられた招霊呪、術者の身近な霊的なものを具現化するこの技は白が使えば服に刺繍された猛禽類の姿となる。
「キュールル!?」
突然の天敵の姿をした神霊に驚くケキリキターキー達だったが神霊はお構いなしにその手に持つチキンや付け合わせを奪っていく。
奪われたそれらはいつの間にか白が取り出したお持ち帰り用の籠にしまわれていく。
「なんだか申し訳ないけど、いただいていきます」
ペコリと丁寧にお辞儀をしながら美味しいできたてチキンの数々をしまう白にポカーンと呆気にとられるケキリキターキーであったが、すぐさまどこからともなく追加のチキンを取り出すと抗議する。
「キュールルルキュールル!!!」
お前に食べさせるために持ってきたのではないとプンスカ怒りながら新しいチキンからもパチパチと油の音をさせながら香辛料の香りを振りまいた。
そんな彼らの抗議に少しばかり吃驚しつつそろそろ倒さないとまずいかもと思って袖に隠れててもらった冥鑑海月と言う名の黒いクラゲを呼んだ。
「冥鑑海月さんお願いします」
と断りを入れてから空中へと投げる白、冥鑑海月は体積を自由にできる能力を持っており、本来の大きさに戻りながらメガリスを食べた事で目覚めた神秘の力を解き放つ。
「キュー!!!」
冥鑑海月の雷の魔法は空中を飛んでいたケキリキターキー達にはよく効いており次々と雷に打たれて墜落していった。
どうにか避ける個体も居たのだがそこはすかさず白が綺羅針を口や喉に投擲し、その宝玉が煌めくスローイングダガーへと雷の魔法が狙いを定めてケキリキターキーを襲った。
やがて二人の連携によって最後のケキリキターキーが倒され墜落した。
「なんとか勝てたね。頂いた食べ物は美味しくいただくね」
大切そうにチキンの入った籠を抱えながら美味しいチキンを作ってくれたケキリキターキー達へ感謝の言葉を述べるのであった。
こうして猟兵達のこの戦場での戦いは終わりを告げた。
この決戦はまだ始まったばかり、猟兵達はこれからの戦いに備えて一度それぞれの世界へと戻っていくのであった。
大成功
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