2
帝竜戦役②〜もこもこドラゴン、空を飛ぶ

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸 #もふもふ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ
🔒
#戦争
🔒
#帝竜戦役
🔒
#群竜大陸
#もふもふ


0




●空飛ぶもこもこ
 何もない荒野があった。その荒野ではオブリビオンをドラゴン化させてしまう不思議な風が吹き荒れ、次々とオブリビオンを凶暴化させていった。
 めきめきと生えるのは翼、うろこ、角。まさにドラゴンの象徴とも呼べるそれらがオブリビオンの体を蝕み、その姿を変えていく。

 今日も空を見上げれば、ドラゴンと化した哀れなオブリビオンが飛んでいるだろう。

「めぇ~」
「めぇ~」
「めぇ~」
 そう、小さな翼が生えたもこもこが、ふわふわと浮いている!

●皆殺しの平野
 突如騒がしくなったグリモアベース。グリモア猟兵である知念・ダニエル(壊れた流浪者・f00007)も予知に気付き、すぐさま猟兵達を呼び集めた。
「あぁ、どーもっす。また戦争っすね……今度はアックス&ウィザーズっすか」
 今回の戦いの舞台はアックス&ウィザーズ。目標はオブリビオン・フォーミュラ『帝竜ヴァルギリオス』の撃破。その目標達成の為には『群竜大陸』という広大な戦場を突破しなければならない。
「……とまぁ、全体の流れは分かりましたね? んじゃ、ここからは俺からの依頼の話っす」
 と、気を引き締めた猟兵達に見せたものは……はぁ、と溜め息を吐きながら空を仰ぐダニエルだった。

「空飛ぶもこもこを片付けて欲しいっす」
 またそういう内容ですか。
「いや、真面目な内容っすよ。皆さんに向かって貰う場所はこの荒地なんですけど……オブリビオンをドラゴン化させる厄介な風が吹く場所なんですよ」
 風に当たったオブリビオンには決まってドラゴンの翼、うろこ、角が生え、飛行能力を得るという。
「そして今回俺が予知で見た、ドラゴン化したオブリビオンなんすが」
 両手で何かを触るような仕草を見せる。
「こう、もこもこで……ふわふわな……『まんどらめぇめ』ってヤツっす……」
 まんどらめぇめと呼ばれる木の妖精が、今回の敵であるようだ。
 オブリビオンと化した事で植物ではなく人工物を生やすようになったらしいが……その見た目はとてももこもこでふわふわ。要するにめぇめぇな羊の姿をしているのだという。
 羊に小さな翼が生え、お腹の辺りのうろこが輝き、くるくる角がちょっと格好良くなった、もこもこな生物が空を飛んでいる……と考えればいいのかもしれない。
「飛んでいるっていうか、浮いてるっていうか……ともかく今回のキーワードは『空を飛んでる』って事っす。空中からの奇襲には気を付けて欲しいっす」
 空中戦とまでは言わないが、空中からの攻撃をどうにか対処する事が重要となるだろう、とダニエルは伝える。
「確か、主に急所となる場所にうろこが生えるって聞いたから……お腹が弱点かもっすね。固いうろこを打破する方法も考えていくといいかもっすよ」
 ちなみに、固いうろこに覆われた腹部以外は……?
「もこもこめぇめぇっす」
 とのことで。

「触ってもいいっすけど、ちゃんとやっつけるっすよ! 俺だって我慢してるんすから……」
 少々残念そうにそう言い放ち、ダニエルは説明を終える。
「ま、それじゃあ……準備が出来次第、送りますね。それじゃ、頑張って下さいっすね」


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 アックス&ウィザーズ『帝竜戦役』の戦争シナリオとなります。
 1章で完結します。

 ●戦場ルールについて
 空中を飛ぶ敵との純戦となります。
 ほのぼのとした雰囲気となってますが、戦争ですのでしっかり攻撃してやっつけましょう。
 プレイングボーナスは以下の通りです。

 =============================
 プレイングボーナス……空中からの攻撃に対処し、硬いうろこに覆われた「急所」を攻撃する。
 ====================

 ●プレイングについて
 受付期間は特に設けておりません。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
72




第1章 集団戦 『木の精霊・まんどらめぇめ』

POW   :    マンドラ・ミサイル
レベル×5本の【木】属性の【ふわもこな毛の塊】を放つ。
SPD   :    めぇめぶらすと
【ふわもこな体】から【ざっくりと編みこんだ毛】を放ち、【巻きつけること(痛くはない)】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    必殺!疑似餌封じ
【美味しそうな食べ物】【愛らしいお人形】【魅力的な書物】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。

イラスト:藤乃 はくまい

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 まるで空中にわたあめがふわふわと飛んでいるかのようだった。
 しかしそれはわたあめではなかった。羊のようなものだった。
 小さな翼を生やした複数の羊が、背中に何かを背負って飛んでいる。
 それはぬいぐるみだったり、美味しそうなデザートだったり……。
「めぇ~」
「めぇ~」
「めぇ~」
 猟兵達の視界に飛び込んできた空間は、正に『ファンタジー』という言葉がぴったりだった。

 羊のようなもの改め、まんどらめぇめの体は柔らかそうなもこもこの毛に包まれていた。
 しかし、よく見れば腹部の辺りからきらきらと輝くうろこが見える。
 弱点は分かりやすいのだが……はてさて。
 くるくると回りながら空を飛ぶ(風に飛ばされているようにも見える)まんどらめぇめを、どう捕えようか?
小宮・あき
まんどらめぇめ。
可愛い~~っ! 空中に浮いて、ふわふわしてるんですね。
あ、でも、鎧で覆われてるのかぁ。お腹の部分が弱点なんですね。

空中攻撃は脚武器レガリアスシューズの性能を利用しつつ、
第六感と野生の勘をフル回転。ジャンプ、ダッシュ、スライディング!
でも、出来るだけ距離を取って、私は挑もうかな。

UC【神罰】
祈りの力によってレベルm半径の光の柱で攻撃するUC。
スポットライトのように物体を伴わない光属性の属性攻撃。
現役聖職者である私の祈りは常に神に注がれています。早業の先制攻撃ですね。
全力魔法の半径「73」m、直径146mの柱は、範囲攻撃に。
発動の速さと、広範囲攻撃、早々逃れる事は出来ないでしょう!



 天気は晴天、風は穏やか。空にはわたあめのような雲がふわふわと。
 いや、あれは雲ではなく羊。いや、羊ではなくまんどらめぇめなのである。
「か……可愛い~~っ!」
 空飛ぶもこもこが視界に入るなり小宮・あき(人間の聖者・f03848)は思わず叫んだ。心の底からきゅんとした。
「めぇ~」
 ぬいぐるみのような羊がふわふわと宙を漂い、気の抜けるような可愛らしい鳴き声が空から降って来る。今いる世界がアックス&ウィザーズである事をうっかり忘れてしまいそうな光景だ。
「わぁ、ホテルに持ち帰りたい……!」
 あきがきらきらと目を輝かせながら眺めていると、まんどらめぇめからもきらりと何かが輝いて見えた。
「あ、あれは……」
 くるくる回るまんどらめぇめの体。きらりと輝いたのは目ではなくお腹。そう、腹部を覆ううろこである。
 忘れてはならない、あのめんどらめぇめの群れはドラゴン化しているのだ。カッコいいうろこと、カッコいい翼と、カッコいい角が生えた凶暴なオブリビオンなのだ。
「めぇ~」
「うろこがあっても可愛い~!」
 その姿は、ただただ彼女の心をほっこりさせるだけだったのだが。

 風に揺られた数匹のまんどらめぇめがあきの元へと近付いてきた。ふわふわゆっくりと体を回転させるまんどらめぇめに思わず腕を伸ばしかけるが、本来の目的を思い出し、きゅっと拳を握り締めた。
「……うーん、そうですよね、倒さなきゃいけないんですよね」
 少々残念そうにしつつも心を入れ替えるあき。ぴょん、と体を後方へ跳ね飛ばし、まんどらめぇめの群れとの距離を取る。
「仲良くなりたくても、それは叶わぬ運命。せめて次会う時は、良い羊さんとして出会えますように」
 小さな翼で軌道修正を試みるまんどらめぇめの群れを遠くから見つめ、彼女は神に祈りを捧げる。ふわりと優しい光がまんどらめぇめの群れを包み込む。
「――神罰を与えましょう」
 祈りは力へ、力は光へ。相手を浄化するかの如く、大きな光の柱がまんどらめぇめ達を閉じ込め、力強く輝き出した。
「めぇ~!」
 柱の中でまんどらめぇめ達はぐるぐると目を回しながら空高く飛ばされる。腹部のうろこだけでなく、ドラゴン化した翼や角も消え去り、まんどらめぇめは本来の姿を取り戻した上で静かに消えていったという。

成功 🔵​🔵​🔴​

二天堂・たま
おぉ、アレがドラゴン化したオブリビオンか。
何ともつよそ…つよ……柔らかそう。
でもきっと油断大敵なのだろう、…だよな?

とりあえずUC:親指チックで相棒をワタシから少し離した所に放っておこう。
相手の攻撃や突貫に合わせて場所を入れ替えれば、背後や不意打ちを狙えるからな。
あとはワタシの武器(ねこ、もといケットシーの肉球)で攻撃して、オブリビオンの持つ邪心を打ち払えば倒せると思う。
もふもふに埋もれないように急所…うろこ部分を叩けばいいハズだ。
うろこは硬いけど…急所であるはずのうろこ以外が「もこもこめぇめぇ」ってどうなんだろう。
うろこより防御力高くないか?



 二天堂・たま(神速の料理人・f14723)は空飛ぶまんどらめぇめを下からまじまじと見上げる。
「おぉ、アレがドラゴン化したオブリビオンか。何ともつよそ……」
 と言い掛けたのだが、はて、と首を傾げる。
「……柔らかそう?」
 ドラゴン化と聞いたからにはもっと豹変した姿なのかと思ったのだが、想像と全然違う。どう見ても小さな翼の生えた羊にしか見えない。
「……いや、きっと油断大敵なのだろう」
 相手を見た目だけで判断してはならない。きっとそういう事なのだろう。
「めぇ~」
 ……やっぱり違うかもしれない。

「と、ともかく、だ」
 相手の観察は済んだ。戦闘の準備に取り掛かろう。たまは人差し指を立て、地面へ向かって小さく指を回す。
「ぴー……よっ」
 そう呟くと同時に、ぽんっと小さなひよこが召喚された。目をぱちくりさせるひよこを両掌で抱えると、たまはひよこに話し掛ける。
「さて、今日も頼む。なるべく敵の死角に回り込むんだ」
 ぴよぴよ、と小さなひよこは鳴きながら飛び去り、空へと溶けていく。
 こちらに気付いたまんどらめぇめも、ぱたぱたとこちらへと近付いて来た。
「流石に攻撃くらいはして来るか。いいだろう」
 敵の動きを見極めようと仁王立ちをして待ち構えるたま。そんな彼にまんどらめぇめは自身の背中の毛をしゅるしゅると動かし、何かの形へと作り替えていく。
「なっ……!!」
 たまは思わず目を見開き、鼻をひくひくさせる。何故ならまんどらめぇめは『美味しそうな食べ物』を背負っているのだから。
「あ、あれは……禁断のおやつ、『ちゅ~ちゅる』!!」
 食べると誰でも病み付きになると言われているおやつ、『ちゅ~ちゅる』! 目に入った途端、何故か無性に欲しくなってしまったたまは体が震え出す。
「めぇ~」
「いや待て、落ち着くんだ。あれは偽物だ……!」
 おやつを背負ったまんどらめぇめがたまへと体当たりを仕掛ける。たまはぐっと目を閉じ、咄嗟に脳裏に別のものを思い浮かべる。
 直後、たまの姿は消え、代わりにそこへ現れたのは小さなひよこ。
「ぴよっ!?」
「めぇ~」
 ひよことまんどらめぇめが鉢合わせ。慌てたひよこはばたばたと羽ばたき、何とかまんどらめぇめとの衝突を避けた。
「良い場所を陣取ったな、あとはこうだ」
 消えたたまは何処にいるのか。そう、まんどらめぇめの背後だった。不意打ちにもこもこな体をぺちんと叩いてやったが、まんどらめぇめはぐるぐるとその場で回転するだけだった。
「めめめめぇ~」
「なんと、叩いてもダメージの通らないもこもことは……! ではここはどうだろうか?」
 相手には素晴らしいもこもこと素晴らしいおやつがある。しかしこちらにも素晴らしいものがある。
「これがワタシの武器……肉球だ」
 ぺしん。回転するまんどらめぇめに叩き付けたのはねこ、もといケットシーの肉球。見事に腹部のうろこへ命中させ、邪心を撃ち払う。邪心の象徴だったのであろうドラゴン化した部位が消え去った後、まんどらめぇめの姿も静かに消え去っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アスター・ファラデー
めぇめぇ鳴く、ふわふわドラゴンさん……
かわいいです、ね……

ジャッジメント・クルセイドで上空から光をぶつけて攻撃します
「空を飛んでいても、空から攻撃すれば、関係ないです……」
弱点は、お腹の鱗ですか……?光が貫通して、お腹の弱点を攻撃したり、出来ないでしょうか
「中途半端にドラゴンにされて……かわいいですが、可哀想、です……」

打ち落とすことに成功出来ればもふもふしつつ、弱点のお腹をペンデュラムでぼこっと叩きます
「おやすみなさい……次は普通の羊に生まれてきてくださいね」

アドリブ・連携歓迎



「めぇ~」
「めぇ~」
 晴れときどき羊のようなもの。不思議な天気にアスター・ファラデー(ルーンの繰り手・f02089)も目をぱちくりさせる。
「空から、めぇめぇ……」
 一見まんまるな雲にも見えなくはないが、耳に入るのは気の抜けそうなのんきな鳴き声。やはりあれは空飛ぶ羊のようだ。
「めぇめぇ鳴く、ふわふわドラゴンさん……。かわいいです、ね……」
 ぱたぱたと小さな翼を動かすふわふわドラゴン、まんどらめぇめ。自分で自由に空を飛ぶ事ができないのか、風が吹けば全員が一斉に同じ方向へと飛んで行く。
「……っと。のんびり眺めていたら、逃してしまいそう、ですね……」
 足を止めて和みたい所だが、まんどらめぇめはオブリビオンである。この先へと進まなければいけない。アスターはメイスをぎゅっと握り、祈りを込める。
「少し痛いかもしれませんが……」
 アスターの手が輝き出す。指先を一匹の空飛ぶまんどらめぇめへと向けると、天から光の柱が降り注いだ。
「め゛ぇっ!」
 直撃したまんどらめぇめが地面に叩き落とされる。ぼふっと大きな音が響いたが、もこもこな毛のお陰か物理的なダメージは軽減されているようだった。
 アスターは落ちてきたまんどらめぇめに近付く。そっと上から顔を覗いてみると、まんどらめぇめはぐるぐると目を回していた。
「ごめんなさい……」
 申し訳なさそうに謝るアスター。もこもこしたまんどらめぇめの体を撫でようとしたのだが、なんと小さな手がもっふりと吸い込まれてしまったではないか。
「……なんという、ふわふわ力……」
 ぱちくりさせる目、再び。ドラゴンとは到底思えないもこもこ感触が癖になりそう。もう少しだけ……と、アスターは黙ってもこもこを堪能し続けた。
 しかしそれも長くは続かず。まんどらめぇめをごろりと転がしていると、ふとアスターの視界に入ったのは輝くうろこだ。
 そこで彼女は思い出す。このまんどらめぇめはドラゴン化の影響を受けてしまった者であった事を。いくら一般的なドラゴンの姿形をしていなくとも、彼(或いは彼女)はドラゴンなのだ。
「中途半端にドラゴンにされて……かわいいですが、可哀想、です……」
 矛盾した気持ちがぶつかり合い、しゅん、と耳と尻尾が下がる。アスターはうろこにそっと触れてみた。もこもこ……ではなく、固かった。
「……次は普通の羊に生まれてきてくださいね」
 ドラゴンの要素などなく、普通の可愛い羊として。アスターは鍵の形をしたペンデュラムを巨大化させ、祈りを込めて振り上げた。
「――おやすみなさい」

大成功 🔵​🔵​🔵​

荻原・志桜
うう、もこもこヒツジさん…。
あんなに可愛いのに――いやいや、やっつけないといけない…。
でもかわいい…。うう、なんていう強敵!

もし触れるなら思い残すことがないぐらい堪能するけど…。
だってあんなにもふわふわだよ?
絶対に触り心地だっていいよ…!
それにあの気の抜けるような緩い顔がなんとも言えない!
かわいいよぅ。持ち帰りたい…

堪能できたにせよ、できなかったにせよ
結局やることは変わらない!
ふるふると頭を振って当初の目的を思い出す

杖に自身の魔力を集わせて溜め込んでいき
魔力を炎の属性に変換させて焼却の威力を上げていく
口早に紡ぐのは慣れ親しむ詠唱

鋭き轟焔、穿て――!
その鱗ごと貫けるように全力の魔法を撃ち放つ!



「わぁ、本当にもこもこしてる……!」
 荻原・志桜(桜の魔女見習い・f01141)は目を輝かせた。ふわふわと空に浮かんでいるものは、雲でもわたあめでもない。羊なのだ。
「めぇ~」
「めぇ~」
 気の抜けるような鳴き声が空から降り注いでくる。戦場である事を忘れてしまいそうな光景だ。
「うう、もこもこヒツジさん……。あんなに可愛いのに――いやいや、やっつけないといけない……」
 志桜の中でぐらぐらと天秤が揺れる。そんな悩む彼女の元へ、数匹の羊――まんどらめぇめが空から風に揺られながらふわふわと落ちてきた。
「めぇ~」
「うん……?」
 近付いてきたまんどらめぇめに、志桜は首を傾けながら覗き込んでみる。どうやら背中に何かを背負っているように見える。
「……桜餅と、お人形と、魔導書かな?」
「めぇ~」
 ゆっくり体を回転させながら近付いて来るまんどらめぇめ。背中の毛で疑似餌を作ったようだ。まんどらめぇめという名だけあってか、背中の桜餅も、魔女の格好をした人形も、不思議な魔法陣の書かれた書物も、まるで本物のように形作られていた。
 よく見ると背中の毛と繋がっているので偽物だと分かるのだが、志桜は興味深そうに疑似餌を見つめる。
「へぇ、もこもこな毛でそんな事が出来るんだ! すごいんだね!」
 感心した志桜は思わず両手を伸ばし、桜餅を背負ったまんどらめぇめを掴んだ。

 もふわぁ……。

「わ、手が入っちゃった……!?」
 もこもこな毛の中へ両手が吸収されていった。そしてその感触はまさに……至高のふわふわ。
「めぇ~」
 ふわもこな毛が気持ちいい。そして顔と鳴き声で更に心が和む。これがまんどらめぇめの攻撃なのか……!
「か、かわいいよぅ。持ち帰りた……ん?」
 もぞもぞ。気持ちよくもふもふしていた所に、冷たい何かが指に触れた。
「……うろこ?」
 この固い感触は羊の感触ではない。ドラゴンのうろこだ。
「……うぅん、そうだよね、そうなんだよね……」
 志桜は悲しそうに微笑んだ。ふと本来の目的を思い出したとも言える。そう、自分はドラゴン化したまんどらめぇめを倒しに来たのだ。
「ごめんね、オブリビオンじゃなきゃ良かったんだけど……」
 名残惜しそうにもこもこから手を放す。そして再び触りたくなる欲求を我慢するかのように、志桜は距離を取る様にまんどらめぇめ達から走り去った。
「次会う時は、仲良くなれるヒツジさんになってますように……」
 それは心からの願い。悪しき存在であるオブリビオン、更にその精神を蝕んだドラゴン化から解放する為にも。彼女は強く念じ、自身の魔力を集結させる。
 志桜の周囲に現れる魔法の矢の群れ。それは薄い桃色の炎を纏い、破魔の如き力を宿す。
「鋭き轟焔、穿て――!」
 口早に唱えた詠唱を合図に、炎の矢の群れはまんどらめぇめ達に降り注ぐ。腹部のうろこを貫かれたまんどらめぇめ達は炎に包まれ、気付いた時にはその姿を消していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
やや、荒野での空からの奇襲でっすかー!
それは厄介なのでっす!
ただ奇襲は奇襲であるからこそ厄介なのでしてー
気付いてない演技からのおびき寄せで絶妙の攻撃タイミングをご用意するのでっす!
勿論かわしちゃうのでっすが!
罠にかかれば締めたもの、藍ちゃんくん、黙るのでっす!
(するとなんということでしょう、ブラックホールでっす!
高速移動+浮遊で追いかけるもありでっすが。
痛くないなら巻き付かせてもふもふ堪能、いえいえ本体吸い寄せちゃうのもありでっすねー。
動けなくとも関係ないUCですし。
その方が急所見つけやすいでっしょしー。
うろこは急所ごとブラックホールで吸い込む・削り取っちゃうのです!)



「やや、あれが噂の空飛ぶドラゴンです!?」
 紫・藍(覇戒へと至れ、愚か姫・f01052)は驚いた。ドラゴンと言えば恐ろしくて巨大な存在である。しかし今、視界に映るドラゴンはなんという事だろうか。まんまるでもこもこしたものに小さな翼が生えているだけではないか。
「いやー藍ちゃんくんびっくりですよ! ドラゴンって小っちゃいのですかー! また一つ頭が良くなっちゃった藍ちゃんくんでっす!」
 テンション高く喋る藍だが、その声は普段よりも小さめであった。というのも、空飛ぶドラゴン、まんどらめぇめに『気付いていないふり』を遂行する為である。
「さてさて、作戦開始なのでっす! ふっふふーん、っと!」
 荒野に一人、意気揚々と歌いながら歩く少女、否、少年(彼ならどちらで呼ばれようとも気にしないかもしれない)。
 そこへ早速、一匹のまんどらめぇめがふわふわと藍の背後へと近付いてきた。勿論それに藍は気付いていたが、あえてまだ気付かないふりを続ける。
「めぇ~」
 まんどらめぇめはしゅるしゅると編み込んだ毛を伸ばし、藍を包み込もうとした。毛が藍の腕へ触れようとした、その時。
「……」
 ……あれ、藍ちゃんくんさっきから静かではないですかね?
「…………」
 藍ちゃんくん?
「……………………」
 あのハイテンションな藍ちゃんくんが黙っている、だと……!?

「め゛ぇ!?」
 まんどらめぇめが驚いた声を発しながら、伸ばしていた毛を藍の腕から離していった。それはまんどらめぇめが自ら離したのではない。何かに後方へと引っ張られているのだ。
 何かとは、そう、ブラックホールである。
「めぇ~!?」
「め゛~っ!!」
 突如現れた疑似ブラックホールに次々とまんどらめぇめ達が吸い込まれていく。抵抗しようと翼をはためかせるのだが、その努力も虚しく。うろこもろとも姿を消していくのであった。

 藍が黙ってしまった事によって世界に生まれた静寂、つまり虚。それは疑似ブラックホールを創造し、世界に終焉を齎す。彼が黙ってしまったのは、怒りからなのか、悲しみからなのか。どちらにせよ彼の感情一つで世界は終わりの道を歩んでしまうようだ。
「……(いやー黙ってるのもうずうずして疲れちゃうのでっすよー。うずうずして藍ちゃんくん死んじゃいそうですよ!?)」
 ……壮大な意味があるかもしれないし、そんあ事はないのかもしれない。これはそんなユーベルコード……なのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

吉備・狐珀
まんどらめぇめ…もこもこ、ふわふわ。
かわい…あ、はい。大丈夫ですよ。ウカ、そんな目で見ないで下さい。

UC【協心戮力】使用
黒狐のウカの宝玉で強化された仔龍の月代の風(属性攻撃)とからくり人形の火(属性攻撃)で作りだすのは炎の竜巻。
まんどらめぇめが出した物もまんどらめぇめもろ共燃やしてしまいましょう。
宝玉で強化された(鎧を砕く)ほど強力な竜巻はお腹を覆った鱗も熱風で剥ぎ取るなど容易いこと。
熱風の火傷で(継続ダメージ)を与えつつ、急所のお腹が見えたらウカ、(忍び足)でまんどらめぇめに近づいて(全力)で(衝撃波)を放ちとどめをさしてしまいなさい。



 空に浮かぶまんどらめぇめの数は、数えられるほどに少なくなっていた。
「あれが、まんどらめぇめ……」
 吉備・狐珀(狐像のヤドリガミ・f17210)は不思議そうに空を見上げる。雲ではなく羊がふわふわ浮いている光景など、なかなか見れるものではない。
「もこもこ、ふわふわ……かわい……」
 と、和んでいると、黒狐ウカが足首をぺしぺしと叩いてきた。
「あ、はい、大丈夫ですよ。ウカ、そんな目で見ないで下さい……」
 じっと見つめるウカを宥めながらひょいと抱き上げる狐珀。是非ともあのまんどらめぇめもぎゅっと抱いてみたいのだが……。
「ドラゴン化の風がなく、この様な状況でなければ良かったのですが……」
 今はこの世界の危機。世界を救う為にここへ赴いたのだ。……それを忘れてしまいそうな光景だが、しっかりとやるべき事は果たさなければ。狐珀はぐっと我慢した。

 さて、と一息吐いてから本来の目的を改めて思い出してみる。
「あのまんどらめぇめをやっつける……のですよね。うろこは固いらしいですが、あのもこもこはよく燃えそうです」
 それにまんどらめぇめも自身の翼で飛ぶ事にあまり慣れていない様子。攻撃は当てやすそうだ。
「では、ウカ。月代もよろしくお願いします」
 黒狐ウカと仔龍月代がぴょんと地面に降り立つ。狐珀もからくり人形を取り出す。ウカの宝玉が輝き出すと、月代とからくり人形にふつふつと力が漲っていく。
「……二つの力は一つの力に 我のもとに集いて 敵を貫く剣となれ」
 静かなる詠唱を終えると、からくり人形の両手から輝く炎が噴き出した。月代は風を呼び起こし、その炎を操る。炎は渦を巻き、やがて巨大な竜巻を作り出した。
「めぇ~!!」
 まんどらめぇめ達はいとも簡単に竜巻の中へと吸い込まれていく。抵抗しようにもその力は弱すぎた。
 竜巻の中でぐるぐると回転するまんどらめぇめ。炎によって徐々に毛がちりちりと焦げていくのが分かる。
「お腹が丸見えですね。ウカ、出番です」
 回転しながら地上へ落ちて来るまんどらめぇめに向かってウカは走り出した。まんどらめぇめは目を回して攻撃どころではないようだ。お腹のうろこを狙い、ウカは思い切り衝撃波を放つ。
「めぇ~!!」
 散り散りばらばらに飛び散るうろこ。衝撃波を受けたまんどらめぇめはごろごろと吹き飛びながら、光となってその姿を消していった。

 炎の台風で焦げたまんどらめぇめ達が雨のように降って来る。それは、ちょっと焦げたポップコーンが機械から噴き出してくるようにも見えた……気がする。
 焦げたまんどらめぇめのお腹へ、ウカの衝撃波が的確に命中し破壊する。最後の一匹のうろこを破壊しその姿が消えた時には、雲一つない晴天が空一面に広がっているだけとなっていた。
「……もうちょっと眺めたかったかも……ですね」
 あの気の抜けた鳴き声が聞こえなくなった事に、少しだけ寂しさを覚えた狐珀。しかし、空飛ぶまんどらめぇめが見られたのはドラゴン化した事が原因なのだ。
 空を飛んでいなくとも、次は普通に会える時が来ますように。そう願いつつ、彼女はウカと月代を撫でるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月06日


挿絵イラスト