帝竜戦役②〜空から襲い来るスライム女?
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アックス&ウィザーズのオブリビオン・フォーミュラ「帝竜ヴァルギリオス」。
群竜大陸に猟兵達が侵攻した事に危機感を感じた帝竜は、当初の計画を前倒しする。
「総員、急ぎ軍備を整えよ!」
ヴァルギリオスは現時点で蘇生できた配下の「帝竜」達を引き連れ、この世界を破壊に着手し始めた。
幸いにも、猟兵達はいち早くその危機を予知することができた。
敵が完全に行動を開始してしまう前に、帝竜ヴァルギリオスを滅ぼさねばならない。
その為に猟兵達は広大な群竜大陸を踏破、帝竜打倒を目指して『帝竜戦役』に参戦するのである。
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新たな戦争の勃発もあって、グリモアベースは非常に慌ただしい。
皆、グリモア猟兵からもたらされる予知による依頼を確認し、現地へと向かっていく。
「アックス&ウィザーズでの戦争……故郷の存亡がかかっているとなれば、黙ってはいられないわ」
金髪エルフのセレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)も、故郷を守る為にできることを全力でやりきる構えだ。
その為にも、彼女はグリモア猟兵として予知を行い、オブリビオンの討伐を猟兵達へと依頼する。
「皆には『皆殺しの平野』へと向かってほしいの」
オブリビオン・フォーミュラである帝竜ヴァルギリオスを討伐する為には、群竜大陸を進んでいく必要がある。
『皆殺しの平野』も踏破すべき場所の1つ。
この地に吹き荒れる風は、オブリビオンをドラゴン化させてしまう効果がある。
凶暴性が高まったオブリビオンの集団が互いに潰し合う光景も、これまでの依頼では確認することができた。
「今回は帝竜が直接使役しているからかしら。向かってくる皆……猟兵達へと集団で襲い掛かってくるわ」
今回はそのうちの『スライムテイマー』という女性集団と交戦することになる。
「元は特殊なスライムと共生しているアマゾネスの部族なのだそうよ」
普段はそれをボディスーツとして纏い、必要に応じて敵へとけしかけるのだという。
なお、嗜虐的な性格をしており、無力化した獲物をじわじわとスライムの餌にしてしまうのだとか。
「あと、先に説明した通り、彼女達はドラゴン化しているわ」
頭には角、背には翼、体は腹以外が固い鱗で覆われている。スライムもその上から纏わりついているようだ。
翼を羽ばたかせて空から強襲してくるスライムテイマー達に対し、急所となる腹を狙って迎撃したい。
「どうか、皆の行く末に幸があらんことを」
最後にセレインは聖女らしく、戦いに赴くメンバーの為にと祈りを捧げるのである。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
アックス&ウィザーズ、戦争シナリオへの参加を願います。
『帝竜戦役』、及びダンジョンマップについては以下のURLのページをご参照くださいませ。
(https://tw6.jp/custom_event/form/9?access_token=96bbdc8dfe6a2d72)
こちらのシナリオは1章構成、集団戦シナリオです。
オブリビオンをドラゴン化する風が吹く「皆殺しの平野」にて、ドラゴン化した『スライムテイマー』の集団の討伐を願います。
ドラゴンの翼、うろこ、角を生やし、空から襲い来るこれらのオブリビオンの攻撃に対処し、硬いうろこに覆われた「急所」……今回は腹を攻撃することでプレイングボーナスが付きますので、ご配慮いただければと思います。
●執筆予定
現状は4~5日執筆の見通しです。4日朝8時半までにプレイングを頂けますと幸いです。その後はできる範囲で採用させていただきます。
なお、断章執筆の予定はございません。
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 集団戦
『スライムテイマー』
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POW : スライムコンビネーション
【スライムをけしかけての拘束】が命中した対象に対し、高威力高命中の【バトルアックスやボディアタックによる一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : カウンターフォーメーション
【スライムが防御形態】に変形し、自身の【攻撃速度】を代償に、自身の【防御力と、カウンターの威力・射程】を強化する。
WIZ : スライムウェーブ
自身が操縦する【スライム】の【体積】と【拘束能力】を増強する。
イラスト:オギナノ
👑7
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サオササ・テセル
防御形態をなぶるのはどう考えても悪手。「全武装…同期完了」敵から相当な遠距離から全攻撃武装一斉掃射で一点突破を試みる。反撃も防御もできうる限り死角を探した上で。敵の思惟は生存・攻撃で目前の敵を大きく屠るのが目的そう。でも油断なく2手目は3方向からの包囲斜線での狙撃も計画
泉・星流
結構敵も多いうえに…相手は固いと来たか…
初手はあえて普通の魔力弾を放って様子見&相手の油断を誘う(あえて食らうものもいるだろう)
じゃあ…今度はどうかな?
指定UCを使用…翼を狙って粘着弾で撃ち落とし…身動き出来なくなったところで…(粘着液のついたスライムのボディスーツごと脱ぎすてて回避?…も警戒、その場合すかさず拘束魔力弾の追撃)
【全力魔法・範囲攻撃・制圧射撃・乱れ撃ち・捕縛】
チェックメイト…ってところかな?
弱点の腹を銃器系の武器で攻撃
指定UCを使用後、全弾を攻撃に使わずに幾つかは自分の周囲を旋回させて、特攻してきた場合に対応させる【拠点防御】
また粘液を浴びせかけてきたら回避
一駒・丈一
平時であれば女性に群がられるのは歓迎したいところだが、
相手と状況がこれでは、今回は素直に喜べんな。
さて。
俺は飛ぶことが出来んので、地表から迎撃を行うしかない。
地表から急所の腹を狙うのは中々に難儀だが…
まずは、UC【贖罪の雨】を敵の一団に浴びせよう。狙うは翼だ。
翼を杭で穿ち、敵の攻撃速度、あわよくば飛行速度や能力を落とす。
そうすれば、こちらに向かって攻撃をしかけた時の対処がしやすくなる。
敵が攻撃を行う場合は、此方に、すなわち地表に近づかざるを得ない故に、
そのタイミングで、間合いを一気につめ【早業】にて刀での一閃を腹に食らわせよう。
悪いが、ここで立ち止まる訳にはいかんのでな。道は開けてもらおう。
ミア・ミュラー
ん、アックス&ウィザーズでは温泉に入ったりとか、色んな思い出が、ある。だからわたしも頑張る、よ。
ドラゴンになってるだけでも強そうなのに、スライムが増えて強くなるのはもっと大変、ね。だから、わたしも武器を増やして戦う、よ。【風槍】で作った風の槍を持って空を飛びながら、残りの槍を魔法で操作して敵を、攻撃。敵もお腹をスライムで防ぐだろうから、風を強化した「属性攻撃」で吹き飛ばしてから、お腹に槍を突き立てる、よ。わたしも空を飛びまわれるから敵の攻撃は避けやすいし、スライム攻撃も風の槍を当てて細かくしちゃえば、そう簡単には再生できない、はず。
ん、わたしの風は、たとえドラゴンでも負けない、から。
ソラスティベル・グラスラン
オブリビオンが竜化する風……嫌な空気です
竜の特徴を呪いの証とするのも、気に入りませんっ
こちらも翼を広げ【空中戦】、更に常に彼女たちの上を取るように位置取り
スライムさんにも翼があるか不明ですが、飛べないなら上にいるのが吉ですよねっ
全体の動きを【見切り】、包囲されないように【ダッシュ】で動き回ります
万が一にけしかけられたら『竜の見えざる巨腕』でキャッチ、
スライムさんを投げ返し、その隙に【ダッシュ】し急所に【怪力・鎧砕き】の大斧を!
わたしの魂に眠る竜よ、正しき生命の力よ!
竜が竜である証を、誇り高き【勇気】をここに示しましょう!!
ミニス・クラインシュテルン
アドリブ・連携歓迎
POW
スライムって溶けるのかな
ぷにぷにドロドロしてて溶けそうだよね、よしこれで行こう!
飛ばしてきたスライムをUCの炎で溶かしちゃうよ
何度か溶かして敵がイライラして直接襲ってきたら狙い通り
攻撃を剣で弾いて、できた隙を突いてお腹を斬るよ
一気に複数人来たら、敵の攻撃に先んじてUCの炎をぶわっと広げて、お腹をまとめて焼いちゃおう
タイミングを計り損ねたら大怪我しちゃいそうだけど、自分を鼓舞して勇気出して行くよ!
私にとってもこの世界は故郷なんだ
大切な人も思い出も一杯のこの世界を滅茶苦茶になんてさせない!
まずは早くこの平野を抜けなきゃ、みんな頑張ろう!
赤嶺・愛
SPD判定
アドリブや他猟兵との共闘歓迎
■心情
スライムテイマーの集団かぁ、
空からの奇襲とは厄介だね、でも私たちもそう簡単に負けないよ。
■行動
優しき闘気(UC)を使用して戦うね。
空からの奇襲に対しては、UCの高速移動で避けたり
こちらも【ジャンプ】で空中に飛び【空中戦】で対応。
敵の急所の腹を光の矢で【スナイパー】で狙い【部位破壊】するね。
敵に囲まれない様に、周囲には気を配り
最も弱っている敵から優先撃破するね。
カウンターフォーメーションに対しては
スライムの防御力を【鎧無視攻撃】で攻撃を通しつつ
【鎧砕き】で破壊するよ。
カウンターに対しては【見切り】で避けるようにしつつ
【盾受け】で防御するね。
亜儀流野・珠
スライムを纏った女戦士なあ。
色んな奴らがいて面白いな、この世界は!
さて面白がってばかりもいられん。倒さねばな。
竜鱗の鎧に加え自由に操作できるスライムの鎧か。
奴のスライムによる攻撃も厄介だしな。
先ずはスライムをなんとかしよう!
奥義「焔弾」にて奴の操るスライムを散らしつつ、
奴の体にも撃ち込み爆破させてスライムの膜を吹っ飛ばす!
更に追撃の焔弾を奴の腹に撃ち込んでやる!
熱、衝撃。液状の物にはよく効くだろう!
飛んでて狙いが定め辛かったら適当に奴らの近くで
大きい爆発を起こせば落ちてくるだろたぶん。
落ちてきた奴は木槌「砕」で腹を思い切り攻撃だ!
薙沢・歌織
多次元世界解読書には、スライムを操るアマゾネスの存在も記述されていました。ドラゴンの鱗と軟体のスライムによる二重の防御体質が厄介ですね…。【戦闘知識】と【学習力・第六感】で、敵戦法の基礎知識と実戦での敵の癖を覚えます。
開幕と共にUC【我が身に宿れ、炎の女神】発動。翼と靴の【空中浮遊】能力で飛行し【空中戦】に対応。遠距離から強化されたエレメンタルオーブの炎【属性攻撃・範囲攻撃】魔法で火炎を飛ばし、スライムを燃やしながら腹部へ火が付くのを狙います。
もし接近されて拘束されたら、強化された緋炎剣と翼から炎【属性攻撃】で発火して焼き払い、怯んだところへ【ダッシュ・切り込み】で突撃、腹部を突き刺します。
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アックス&ウィザーズにて開戦した『帝竜戦役』。
猟兵達はオブリビオン・フォーミュラである帝竜ヴァルギリオス打倒を目指し、群竜大陸の土を踏む。
「ん、アックス&ウィザーズでは温泉に入ったりとか、色んな思い出が、ある」
無表情でテンション低めな金髪碧眼の少女、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)だが、義理堅い性格をしている彼女はそんな理由でこの戦いに身を置く。
「だからわたしも頑張る、よ」
そんなミアが前にしていたのは、皆殺しの平野。
猟兵達は倒すべき帝竜の元を目指す為、眼前に広がる荒野の攻略に臨む。
「オブリビオンが竜化する風……嫌な空気です」
吹き付けてくる風に、普段は天真爛漫な少女ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は不快感を示す。
あちらこちらで飛来しているドラゴン化したオブリビオンの集団。竜の特徴が呪いの証にも感じられるのが、ソラスティベルには気に入らない。
ソラスティベルのその言葉が聞こえたからではないだろうが、こちらへと飛来してくる一団が。
「結構敵も多いうえに……相手は固いと来たか……」
とんがり帽子を被った女の子にも見紛う容姿をした泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)が頭上を見上げる。
それらは、多数のドラゴン化した女性オブリビオンの群れだ。
「平時であれば、女性に群がられるのは歓迎したいところだが……」
右腕に大きな傷のある一駒・丈一(金眼の・f01005)は金の瞳でそれらを視認し、さすがに素直に喜べないと肩を竦める。
今回の相手は『スライムテイマー』。
普段からスライムをボディスーツとして着用し、必要に応じてそれを敵にけしかけるという戦い方をするアマゾネス達だ。
「多次元世界解読書には、スライムを操るアマゾネスの存在も記述されていました」
長い黒髪を靡かせたアルダワの女学生、薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)は以前に見たスライムテイマーの記述を思い返す。
ただでさえ軟体のスライムが衝撃を和らげるのに加え、ドラゴン化したことで鱗によって体を覆う二重の防御体質が厄介な相手だと歌織は分析していた。
「色んな奴らがいて面白いな、この世界は!」
銀髪、銀の毛並みを持つ妖狐の少女、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)は興味が先走り、瞳を輝かせる。
「空からの奇襲とは厄介だね。でも、私たちもそう簡単に負けないよ」
平和と平穏を愛する金髪ツインテールの剣士、赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)は全身にオーラを纏い、スライムテイマー達の討伐へと当たっていくのである。
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背に生えたドラゴンの翼を羽ばたかせ、猟兵へと襲い来るスライムテイマーの集団。
地上でそれを待ち構えるメンバーが多い中、ソラスティベルは自らのドラゴンの翼を広げて【空中戦】に臨む。
彼女は降下しようとしていた敵陣を突っ切るように上昇し、スライムテイマー達の頭上を取る。
「飛べないなら、上にいるのが吉ですよねっ」
幸いスライムに翼はないらしいと判断したソラスティベルは全体の動きを【見切り】つつ、包囲されぬよう【ダッシュ】で空中を動き回って敵をかく乱していた。
「スライムって溶けるのかな……。ぷにぷにドロドロしてて溶けそうだよね。よし、これで行こう!」
この世界の出身、羽根付き帽を被る貴族風の格好をした少女、ミニス・クラインシュテルン(コスプレぽんこつ平民ナイト・f04953)は敵が飛ばしてくるスライムに対抗して。
「魔法はあんまり得意じゃないけど、スライム相手なら……!」
ミニスは片手剣『ポラリス』を両手で握り、その刃に炎の魔力を込めて飛んでくるスライムを切り裂き、燃やしていく。
交戦開始直後とあって敵の数も多く、一気にミニスへと複数が襲い掛かってくることも。
「タイミングを計り損ねたら、大怪我しちゃいそうだけど……」
自身を鼓舞して勇気を出すミニスはスライムテイマー達の腹を中心に焼き払うべく、魔法の炎を大きく燃え広げるのである。
スライムテイマーは思った以上に猟兵達が手強いと感じたのか、自らの操るスライムに力を与えて大きく膨れ上がらせて強化していた。
星流はまずは様子見にと、魔力弾を発して牽制する。
簡単に避けられる攻撃であれば、相手の油断を誘えるだろうと星流は考えていたが、上手く敵も乗ってくれて真っ向から仕掛けてくる。
「ドラゴンになってるだけでも強そうなのに、スライムが増えて強くなるのはもっと大変、ね」
なら、ミアは自身も武器を増やして戦おうと考え、ユーベルコード【風槍】を使う。
「其は風……穿ち、吹き荒べ」
ミアは現れた多数の風の槍の内の1本を手にし、風を噴射させて空を飛ぶ。
空中へと舞い上がった彼女は残りの槍を魔法で操作し、スライムテイマー達へと切りかかり、突き刺していく。
「炎の女神よ、我が器を依り代に現世へと降り立て!」
戦いが始まると同時に、歌織は詠唱によって緋炎の翼を背にした炎の女神へと変身する。
炎の翼だけでなく、『魔法騎士の靴』で補助しつつ空を飛ぶ歌織はスライムテイマーから距離を取る。
【戦闘知識】と【学習力】、【第六感】といった技能を駆使して彼女は敵を観察し、しばし敵の癖の把握に努めていた。
「さて、面白がってばかりもいられん。倒さねばな」
興味深く敵を観察していた珠も、間近まで迫ってきている相手に身構える。
全身を覆う竜鱗の鎧に加え、自由に操作できるスライムの鎧。
珠はとりわけ、攻防双方で有用なスライムが厄介だと判断して。
「先ずはスライムをなんとかしよう!」
珠は襲い来るスライムテイマーとスライムに対して、超圧縮した狐火の弾丸……焔弾を撃ち込み、絡みつこうとしてくるスライムを散らす。
「熱、衝撃。液状の物にはよく効くだろう!」
逆側に腕からも珠は焔弾を飛ばし、衝撃によって爆破させる。
それで多少なりともスライムの鎧が剥がれれば、こちらのもの。
「貫き通せ!」
さらに追撃をと珠は相手の腹目がけて焔弾を撃ち込み、痛打を与えて地上へと叩き墜とす。
「じゃあ……今度はどうかな?」
魔力弾で牽制攻撃を行っていた星流も本腰を入れて攻勢を強め、【拘束魔力弾】に切り替えて【制圧射撃】を行う。
今度はしっかりとドラゴンの翼を狙い、星流は【広範囲】かつ【全力】で拘束魔力弾……通称ベトベト弾と呼ばれる粘着弾を【乱れ撃つ】。
一度それが翼に付着すれば、スライムテイマー達は羽ばたくことができなくなり、地上へと落下してしまう。
それだけでなく、翼から外れて体へと付着した粘着は敵の体を【捕縛】する。
しかしながら、スライムにのみ付着していれば、スライムテイマーはスライムを脱ぎ捨てて直接攻撃を仕掛けてくることも。
ただ、予めそれも想定していた星流は、いくつか残していた拘束魔力弾を周囲へと旋回させ、【拠点防御】の構えで敵の特攻を返り討ちにしていた。
スライムテイマーの群れから距離を取って空中を飛んでいた歌織。
彼女は自身の周囲を回る『エレメンタルオーブ』から【広範囲】に【炎魔法】を飛ばし、敵の身体を覆うスライムを焼き払おうとする。
敵の攻防の手段を奪うだけでなく、歌織は鱗の覆われていないスライムテイマーの腹に火をつけようとも狙う。
平然としていたスライムテイマーも、一度腹が引火すれば、慌てて火消しにとスライムを呼び寄せていたようだ。
そうして、空からくる敵を相手に空中戦を繰り広げるメンバーが多い中、飛行できない丈一は地表からの迎撃に臨む。
「地表から急所の腹を狙うのは中々に難儀だが……」
しかも、敵はスライムに防御態勢をとらせ、カウンターの一撃を狙う。
ただでさえ鱗にスライムと防御の固い相手だけに、丈一は劣勢な中での応戦を迫られるが……。
「これは禊だ。その血と共に己の罪を洗い流せ」
そこで、丈一が考えた攻めの一手は、罪の銘を持つ無数の杭の雨による攻撃。
どんなに防御していようが、空を飛ぶ敵軍が羽ばたかせる竜の翼が弱点となるのは変わらない。
上空から降ってくる杭に翼を穿たれて、動きが鈍るスライムテイマー達。挙句、地上へと落ちてしまう者もいた。
翼さえ使えなければ、こちらに向かって攻撃を仕掛けたときの対処がしやすいと、愛用の刀に手をかけた丈一は敵へと切りこんで1体を切り裂いていった。
奇襲しながらも防御を固めて近づく敵の対処へと愛も当たっていたが、彼女も【ジャンプ】して【浮かび上がり】、空中戦に臨む。
相手が防御を固めるならば、愛は高速移動して敵を惑わす。
折を見て、愛はハートの意匠が凝らされたバスタードソード『オーバー・ハートブレイク』から光の矢を撃ち放つ。
敵の【鱗やスライムの鎧を破り】つつ、【それらを無視して】本体へと効果的な攻撃を浴びせかけていく愛。
忌々しげに睨みつけるスライムテイマー達は無事なスライムを飛ばし、あるいは直接大斧で切りかかってくる。
その攻撃を【見切った】愛は素早さを活かして避け、間に合わぬ一撃は【『ハート形の盾』で受け止め】、ダメージを防いでいたようだった。
(「防御形態をなぶるのは、どう考えても悪手」)
そう考えていたのは、実験体として兵器少女とされた過去を持つサオササ・テセル(サイボーグのブラスターガンナー・f15384)だ。
彼女は背のブースターを展開し、他のメンバー達以上に距離を取っていた。
「全武装……同期完了」
かなりの遠距離で『ブラスター』、『サイコ・スフィア・ブラッジ・ライフル』に『サイコ・スフィア・スナイプ・レールガン』と、全武装を展開したサオササは一斉掃射し、空中の敵の一点突破を試みるのである。
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ドラゴン化したスライムテイマー達は防御面にも優れたオブリビオンであり、非常に厄介な相手であったのは間違いない。
だが、事前にその能力を把握していた猟兵達は飛来する敵に対処しつつ、相手の防御を切り崩して一気に攻め込む。
やや攻撃面に重きを置いてスライムをけしかけてくる敵は、ミニスが炎を発して次々に焼き払っていく。
ソラスティベルも【竜の見えざる巨腕】で飛んできたスライムをつかみ取り、逆に敵に向かって投げ返してしまう。
「「…………!!」」
苛立つスライムテイマー達が直接殴りかかってくれば、ミニスの狙い通り。
「私にとっても、この世界は故郷なんだ」
振り下ろされる大斧を、ミニスは両手で握る片手剣『ポラリス』で弾いて一気に攻め込む。
「大切な人も思い出も一杯のこの世界を、滅茶苦茶になんてさせない!」
彼女は露出した敵の腹を切り裂き、そいつを倒してしまう。
続けざまに襲い来る別のスライムテイマー。
「わたしの魂に眠る竜よ、正しき生命の力よ!」
そいつに対して、【ダッシュ】したソラスティベルが肉薄して。
「竜が竜である証を、誇り高き【勇気】をここに示しましょう!!」
自らこそが本物の誇り高き竜だと主張するソラスティベルは【怪力】で蒼空色の大戦斧『サンダラー』を振り下ろし、スライムごと【鱗を砕いた】敵の腹を切り裂いてしまった。
すると、その死骸が消え、竜胆石と呼ばれる宝石が姿を現す。
話によれば、金貨40枚……UDCアース換算で40万円もの価値があるということで、メンバーによってはその回収に当たっていたようだった。
まだ、スライムテイマーの数は残っていたが、勢いに勝る猟兵が強襲してきた敵を返り討ちにしてその数を減らす。
大きく距離を開いての狙撃に当たっていたサオササ。
敵陣を中心として、弧を描くように移動していた彼女は敵の死角を狙う。
スライムテイマーの目的は生きる為に戦うのはもちろんだが、相手を嗜虐してスライムの餌も提供することもある。
比較的無防備と分かった相手なら、敵もサオササを狙ってくる。
射程範囲内ならカウンターで十分潰せると判断し、敵はスライムでの拘束を狙って一気にサオササへと迫っていたのだ。
しかし、敵に攻め込まれた時のことも想定していたサオササは油断することなく、敵の後方へと浮遊した『ライフル』、『レールガン』を展開して。
「一斉掃射、開始」
3方向からの銃撃を浴びせかけ、敵を攻め立てるサオササ。
さすがに抵抗激しく無傷とはいかなかったが、それでも包囲された敵は彼女の銃弾を腹へと浴び、力尽きてしまったのだった。
それまで、自分達の力に自信を持っていたスライムテイマー達だったが、個々の力では猟兵には適わないと踏んだのか、数を活かして襲ってくる。
そんな敵に対し、空を飛び回るミアは敵の攻撃を避け、風の槍でスライムを切り刻んでいく。
愛も負けじと、風に煽られていた敵の腹目がけ、【的確な狙い】で光の矢を撃ち込む。
腹が露出していれば直接敵を弱らせることができるし、スライムが覆っているなら愛は【部位破壊】して続けざまに矢を突き立てる。
囲まれぬようにと愛がその場から逃れれば、またもミアが【風を操り】、吹き飛ばした敵の態勢を崩していく。
「ん、わたしの風は、たとえドラゴンでも負けない、から」
例え守りが硬かろうが、それを全て崩してしまえばいい。
ミアは無防備にさらされた敵の腹目がけ、風の槍を突き立ててとどめを刺していく。
頼もしい共闘相手の存在を実感しながらも、愛も弱った敵を光の矢で穿ち、仕留めていった。
敵を倒すのは、空で交戦するミアや愛ばかりではない。
あちこち飛び回る敵を巻き込むようにして、珠は狐火の弾丸によって空中に大きな爆発を巻き起こす。
それに巻き込まれる敵はさながら、飛んで火にいる夏の虫といったところか。
落下してきた敵の腹目がけ、珠は木槌『砕』を振り下ろし、確実に撃破していく。
地面へと落ちた敵の中には、なおも応戦をとスライムを飛ばしてくる者もいたが、星流はステップを踏んで避けてみせて。
「チェックメイト……ってところかな?」
スライムが剥がれたスライムテイマーは斧を手に身構えるが、星流は『魔導式スナイパーライフル』を掃射して相手の腹を撃ち抜いていく。
地に落ちれば楽勝といった感が出ているオブリビオンだが、相手はアマゾネスの部族である。
中には力を振り絞って奮起する者もおり、スライムをけしかけて歌織の体を拘束してしまう。
だが、彼女は強化された『緋炎剣アメノホアカリ』と燃え上がらせた【炎属性の翼】によって、自らを束縛するスライムを焼き払ってしまう。
「…………!!」
怯んだスライムテイマー目がけ、【ダッシュ】で【切りこむ】歌織は緋色の刀身を敵の腹へと埋め込んでいった。
その彼女へと大斧を振り上げる最後の1体。
そいつには、地表へと落ちてきていた敵を仕留めていた丈一が一気に間合いを詰めて。
「悪いが、ここで立ち止まる訳にはいかんのでな。道は開けてもらおう」
丈一は【早業】で『介錯刀』を一閃させ、相手の腹を切り裂く。
目から光を失った最後のスライムテイマーは音を立てて荒野へと倒れ込み、程なく竜胆石へと姿を変えてしまった。
全てのスライムテイマーを討伐した猟兵達は先を見据えて。
「まずは早くこの平野を抜けなきゃ、みんな頑張ろう!」
ミニスが仲間達へとそう促すのだが、高価な竜胆石が気になるのかその収集に当たるメンバーも少なくないようだった。
大成功
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