帝竜戦役①~昏き石像の森を進め
●昏き森を進め
「アックス&ウィザーズの世界でオブリビオン・フォーミュラである『帝竜ヴァルギリオス』が出現しました」
静かに予知を語り始める嬉乃・抹茶子。
配下となる数々の竜を復活させてゆくヴァルギリオス。このまま手を打たなければ、この世界は瞬く間に滅びの焦土へと変えられてしまうだろう。
「この滅びの運命を変えるため、皆さんの力を貸してください」
異界への門を展開させながら抹茶子は作戦の概要を上げてゆく。
これから猟兵達が向かうのは『魂喰らいの森』と呼ばれる昏い森だ。
まずはそこを攻略し、帝竜の待つ地へと歩を進めてゆくことになる。
「ですが、この魂喰らいの森……。
その名が示す通り『生物の魂』を喰らう動植物の生えた森です。
ここの敵は『森の番人』と呼ばれ、通常のユーベルコードに『魂を啜る効果』という恐ろしい効果が加えられています」
魂を啜られたものがどうなるのか? 恐らくは寿命か人間性かいずれかが失われていくことになるだろう。
「ですが、対抗手段がないわけではありません。
出来る限り、楽しい思い出を強く心に念じれば、魂啜りに対抗できるはずです」
なお、出現が予想される敵は『毒と石化の魔獣・コカトリス』。
進む森の中は、かつて魔獣の犠牲となった石像が所々に立ち並んでいる不気味な場所とのことである。
門の準備が終わり、抹茶子は再び猟兵達へと振り返る。
「恐ろしい場所ですが、皆さんならきっと恐怖に打ち勝つ心の強さを示せるはずです。
一人も欠ける事無く、森の中で再会できることを、私は信じています」
当説明を結び、抹茶子は深く猟兵達に一礼するのだった。
河流まお
河流まおです。精一杯努めさせて頂きますので宜しくお願い致します。
戦争イベントということでなるべく早くお返し出来ればなと思っております。
依頼は一章構成。コカトリスが生息する不気味な森です。
石像に変えられた人々が点在する、恐怖の森を進むことになります。
恐怖に打ち勝つような心の強さ……楽しい思い出を思い返すとプレイングボーナスがあります。
プレイングは心情重視で使用ユーベルコードだけ指定して頂ければ大丈夫です。
敵を倒すと――。
財宝「魂喰らいの森の核」。最高級の牛肉の味とサボテンの果肉のような食感を持つ球形の核。半径25cm程度で金貨500枚(500万円)の価値が手に入るので金銭目的にもいいのかもしれません。
それでは、皆様のご参加お待ちしております。
第1章 ボス戦
『毒と呪いのコカトリス』
|
POW : 魂を捕食
【翼の模様を輝かせ、周囲に撒かれている】【猛毒を活性化。石化されているものを砂に】【変化。凶暴性が増すこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 蝕む吐息
【鶏、蛇の口から猛毒ブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 魔眼
【鶏頭の睨みつける視線】から【強力な呪い】を放ち、【瞬時に変化させる石化】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:井渡
👑8
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「フィーナ・ステラガーデン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
須藤・莉亜
「コカトリスの血は吸ったことないなぁ…。どんな味がするのかな?」
僕の楽しい思い出は、戦いの中で敵さんの血を思う存分吸ってるヤツかな。吸っても吸っても渇きは癒えないけど、ほんのいっときでも渇きが癒えるのは良い思い出として僕の中に残っているんだよ。
だから、僕に新しい楽しい思い出を頂戴?血を、味わったことのない新しい血を僕に頂戴。
UCで竜人モードになって戦う。この状態なら大抵の毒は無効化できるから、強化されたスピードを駆使して、一気に近づいて【吸血】し【生命力吸収】することにしよう。
「部位によっては味が変わったりするのかな?気になるなぁ。」
転送された先は、陽光すら遮られる不気味な森の中だった。
「緑が深い、空気が美味い……なかなかいい森じゃないか」
昏き森の中を、まるで散歩するかのように歩き始める須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)。
大自然の中、ちょっと一服と煙草に火をつける莉亜。
新鮮な大自然の空気と、身に沁み込むような煙草の煙。
この不健康なギャップがまた心地よい。
なによりも、こうして煙草を吸っていると、心の奥底で莉亜を支配する吸血衝動をほんの一時忘れられるのだ。
そんなことを考えながら先に進んでいると、森の中からコカトリスの犠牲になったのであろう人間の石像が現れた。
恐怖に歪んだその表情は今にも叫び出しそうでなかなか不気味であるが――。
「コカトリスの血は吸ったことないなぁ……。どんな味がするのかな?」
莉亜が思うのは、また別のことであった。
「やっぱり鶏みたいな味なのかな、もしかして部位によっては味が変わったりするのかな? 気になるなぁ――っと」
その時、進む先の藪がガサリと大きく揺れた。
どうやら本日のメインディッシュがお出でなすったようだ。
「ケケッ!!」
莉亜の姿を見るなり、羽を振り乱しながら襲い掛かってくるコカトリス。
「おっと、悪いけどキミに魂を啜らせるわけにはいかないんだよ」
大きく跳躍し、石化のブレスを回避する莉亜。
「啜るのは僕の役目だ。ちょうど空腹だったしね」
莉亜が微笑むと、その獰猛な牙が覗く。
手身近な大木を蹴り込み、三角飛びの要領で一気にコカトリスに迫る莉亜。
すれ違いざまにコカトリスの喉笛に牙を突き立てる。
「お、なかなかイケるじゃないか」
肉厚の歯応え。血も不純物が無い天然物らしい美味しさだ。
「僕の楽しい思い出といえば、こうして戦いの中で敵さんの血を思う存分吸ってるヤツかな。
吸っても吸っても渇きは癒えないけど、ほんのいっときでも渇きが癒えるのは良い思い出として僕の中に残っているんだよ」
かつて食べてきた様々な味を思い出しながら莉亜。
「――!」
己が狩る側だと思っていたコカトリスが、恐怖に目を見開く。
「だから、僕に新しい楽しい思い出を頂戴?
血を、味わったことのない新しい血を僕に頂戴」
さて、お次は尾っぽの蛇の部分だ、と莉亜はコカトリスの血を飲み干しながら、冷たく微笑むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
桐府田・丈華
【行動】
「ヴァルギリオスなんて倒して、滅びの運命なんて絶対阻止しないとね!」
と気合を入れて昏き森を進みます
森の雰囲気に少し足が竦んだらしちゃったりするかもしれないけど、楽しい事を考えて再度進みます
主に新しい学校生活、新しい友達の事を考えたりします
「あ、みんなで森林浴なんて良いかもね、もちろんこんなおどろしい場所じゃなくてさ!」
コカトリスを発見したら戦闘開始
バトルキャラクターズを召喚し戦います
コカトリスの魔眼で石になりそうになってしまったり
石にされた人を見て「ボクもあんな姿に?」と弱気になってしまうも何とか自分を奮い立たせてがんばります!
咽返るような緑の匂い。
陽光すらも遮られた昏い森の中を進むのは、一見してこの場に似つかわしくないセーラー服の女の子。
桐府田・丈華(カードバトルゲーマー・f01937)である。
「ヴァルギリオスなんて倒して、滅びの運命なんて絶対阻止しないとね!」
ふんす、と気合を入れる丈華。
いや、むしろ気合いでも入れて己を鼓舞しないとやってられないというか――。
一寸先は闇という森の中である。
「ひっ!」
突然、闇の先から顔を覗かせた石像に丈華は小さな悲鳴を上げる。
死の恐怖に固定されたその表情は、なんとも言えない不気味な雰囲気を漂わせていた。
「大丈夫……大丈夫……まだ泣いてないよ」
スーハ―と必死に気持ちを落ち着かせる丈華。
深夜の肝試し以上に怖い森の雰囲気に飲まれそうになりながら、丈華は竦もうとする脚を必死に奮い立たせて進んでゆく。
「そうだ――。楽しいことを考えなくちゃ」
グリモア猟兵の言葉を思い出して丈華は「うーん」と考え込む。
彼女が思い浮かべるのは、新しい学校での生活の事だ。
最初は緊張して上手く馴染めなかったけれど、最近は友達も出来てきてとっても嬉しい丈華。
みんなと仲良くなるキッカケとなったのは、とあるカードゲームである。
UDCアースで人気沸騰中の新感覚トレーディングカードゲーム『Million mirrors』。
クラスメイトの一人が丈華が『MM』の有名プレイヤーであることを知っていたのだ。
「カードが絆を繫いでくれた……そして、きっとこれからも」
『始まり』とも言える一枚のカードを眺める丈華。
このカードを御守りのようにすると、怖い気持ちが幾分か和らいでくる気がした。
「あ、みんなで森林浴なんて良いかもね。もちろんこんなおどろしい場所じゃなくてさ!」
春が来て、きっとじきに夏が来る。そうしたらみんなで山に出かけたりするのもいいだろう。
そんなことを考えていると――。
ガサリ、と視界の先の藪が大きく揺れた。
現れたのは乗用車ほどの体躯を持つ巨大な鳥。
カードゲームでも度々登場する魔獣、コカトリスだ。
「き、来たな。よーし、ボクが相手になるよ、かかってこい!」
デッキから抜き放つのは開戦を告げる一枚。
「みんな、力を貸してッ!」
MMのバトルキャラクターが丈華の召喚に応じて現れてゆく。
昏き森の恐怖に竦むことなく、丈華は敵を迎え撃つのだった。
大成功
🔵🔵🔵
テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可
WIZ
石化された犠牲者があちこちと…まるで石像に森ですね…(どきどき
と…とりあえず!コカトリス…以前に一度戦ったことありますが、皆さんと共に戦ってやっと倒せた記憶が…
石化されるまでは良いとして、更に砂にされてしまえばいくらわたしでも無事では済みません…
【固化塗料粘液散布】で可能な限り相手の攻撃手段を防ぎましょう!
そうすれば仮に私が石化されてしまっても相手は簡単に動くことはできないはず…
(テフラが石化されるかどうかはお任せします!)
ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
オブリビオンに滅ぼされた都市で自分だけが生き残った過去を悔い、人々を守ることを重視して行動します。
●戦闘において
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
「貴様の相手は、この私だ!」
「なんと強力なユーベルコードだ……! (解説) 直撃すれば一たまりも無いぞ!」
・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。
メイン武器は「黒剣」です。
他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。
その白いお耳を揺らしながら、昏き森を歩くテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)。
森の先は、まるで『闇』が形を成して、その大きな口を開けているかのようで――。
そんな恐ろしき森林の中の道を恐る恐る進んでゆく。
「――大丈夫か? 震えている様だが」
道すがら一緒になったギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)が心配してテフラに振り返る。
「は、はい! 大丈夫です。わたしは石化なんかに絶対負けません……!」
きっとこちらをを心配させないようにだろう――。
気丈に振る舞う少女にギャレットは「そうか」と短く頷く――。
(このような少女が……なんと健気なことだろうか)
と感心するしかない漆黒の騎士ギャレット。
だがしかし――。
ギャレットは2つ大きな思い違いをしていた。
まず、テフラは『彼女』と言うよりどちらかと言うと『彼』――。つまり『男の娘』であり。
なにより、テフラの表情をよく見れば、それはこれから起こる出来事を期待するかのような、熱の入った微笑みであることに気が付いたはずだ――。
要するに、テフラは『状態変化されたい特殊系ドM男の娘』なのであった――。属性過多すぎる。
まぁ、そんなことは露知らず。
「心配するな。君のことは私が命に代えても護ろう」
キリッとしたイケボで姫を護る騎士のようにギャレット。
「は、はい。ありがとうございます――。あっ、あれは……」
暗闇の先に何かを発見したテフラ。
近づき確認すれば、それはこの森でコカトリスの犠牲となった冒険者達の石像である。
恐怖の瞬間で永遠に固まったその表情は、今にも叫び出しそうな異様な迫力を備えていた。
「石化された犠牲者があちこちと……。まるで石像に森ですね……」
消え入りそうな声でテフラが呟く。
(やはり怯えているか)
石像をじっと見つめるテフラにギャレットは思う。
だが、テフラのほうの思いはちょっと違ったものである。
「ああ――」
この冒険者は完全に石にされる瞬間……永遠の死の間際に一体どんなことを想ったのだろう。
その口、表情、瞳、姿勢……その造形が醸し出す『ある種の美しさ』にテフラは震えあがる。
そしてもし、自分自身にそのような不幸が降りかかってきたら、その時ボクは何を想い、誰の顔を思い浮かべるのだろうか――?
恐怖に泣き叫ぶ? こんな森に入らなければよかったと後悔する?
あるいは――そう、歓喜の笑みを浮かべてしまうのかもしれない。
ゾクゾクと、喉の奥が渇いてくるかのような渇望の思い。言いようのない快感が背中を駆け上がるのをテフラは感じる。
「死者を悼む気持ちはわかるが――、弔ってやる時間も無い。先へと進もう」
石像の頬を撫でながら覗き込んでいたテフラにギャレットが声をかける。
「そうですね、行きましょう――」
名残惜しそうに頷くテフラ。
「このまま、何事も無く通過できればいいのだがな」
ギャレットがそう呟いた。
その時――。
視界の先の藪が大きくガサリと揺れた。
闇の先に光る金眼が二つ。『毒と石化の魔獣・コカトリス』だ。
「来たか――!」
黒剣に手を掛けて身構えるギャレットがテフラを庇うようにして前に進み出る。
「コカトリス……。以前に一度戦ったことありますが、皆さんと共に戦ってやっと倒せた記憶が……」
テフラもまた身構えながらコカトリスと相対する。
「石化されるまでは良いとして、更に砂にされてしまえばいくらわたしでも無事では済みません……」
ギャレットが頷く。
「だが、一度戦ったことがある君が傍に居るのは心強い。何か策はあるか?」
黒剣がギャレットの意思に呼応して変形してゆく。敵の巨体を切り裂く大斧形態だ。
「この【固化塗料粘液散布】で可能な限り相手の攻撃手段を防ぎましょう! 敵を逆に固まらせてやるのです!」
「成程、いい作戦だ。
――では私が先行して君が後方からその薬品を……って、ものすごい突っ込むな君は!?」
ギャレットが言い終わるよりも早く、敵に突撃してゆくテフラ。
その姿はまるで戦いの先陣を切る戦女神のように勇ましく――。
「そうか、君は私を護ろうと……。フッ、騎士である私が護られようとは……これは一本取られたな」
僅かに遅れてギャレットも走り出す。
気高き心を持つ少女に遅れぬように、と。
「ふふ、ふふふ……さあ、今日はどんなポーズでいこうかなっ」
被虐の快楽に頬を染めながら固化塗料粘液を散布してゆくテフラ。
戦いの喧騒の中でその呟きはギャレットに届かなかったが――。
うん、それで良かったのかもしれない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
架空・春沙(サポート)
『断罪します』
人狼の女性
ピンク掛かった銀髪と同色の狼耳・狼尻尾、緋色の瞳
スタイルが良い
服装:ぴっちりスーツ
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
罪有る者には「冷徹(私、あなた、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
・性格
通常は明るく人懐っこい女性ですが
罪有る者に対しては冷徹に、処刑人として断罪しようとします
・戦闘
大鎌「断罪の緋鎌」を振るって戦います
ユーベルコードはどれでもいい感じで使います
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
湊戸・絢星(サポート)
『まー、ボクに任せておいてよ』
普段の口調は「くーる(ボク、キミ、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。
◆性格
クールにみせてゆるゆるノリと勢いで生きている
真顔で冗談を言います
雪が好きです
◆戦闘
アリスランスで戦う
ドラゴンランスは二刀流したり子ドラゴン状態で援護してもらったり
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
『毒と呪いの魔獣・コカトリス』の縄張りである昏き森の中を進む二人の猟兵の姿がある。
道すがら一緒になった湊戸・絢星(雪華のアリス・f19722)と架空・春沙(緋の断罪・f03663)である。
「や~、なんか不気味な場所だね~」
どこかノンビリとした口調で絢星。
道中の所々で見かけるのは、かつてこの森に踏み込み『石像』にされた冒険者たちの姿である。
「確かに……あまり長居はしたくない場所ですね」
断末魔の絶叫で固まった石像を横目にしながら春沙も頷く。
咎人殺しを生業とする春沙。魔獣であるコカトリスには『罪』の概念など無いのかもしれないが……こうして数々の被害者が石像となって放置されているのを見ると、惨い仕打ちであると感じざるを得ない。
「コカトリスはどうして、人間を石にするのでしょうね?」
ポツリと思ったところを呟く春沙。
食べるのでもなく、あえて石にする謎の生態。
魔獣だから、といえばそれまでではあるのだが、なんとなく気にはなる。
「うーん、謎だよね」
手持ちのアリスランスをクルクルと廻しながら小首を傾げる絢星だったが、やがて何かを思いついた様に「あっ」と呟く
「そういえば、コカトリスって鳥だよね」
「ええ、見た目的には――」
敵を思い浮かべながら春沙は頷く。
「鳥の中には、自分の巣の周囲を豪華にして雌にアピールする子がいるし、きっとコカトリスもそれ系じゃないかな~」
「成程、石像にされた人々はコカトリスにとって自分の強さを表すトロフィーということですか……」
そんな事情で石にされてはたまりませんね、と春沙は肩を竦める。
「あはは、確かに。でもまー、ボクに任せておいてよ」
ビシッと絢星が槍を構えると、彼女の相棒の子ドラゴンが一鳴きする。
「お詳しいのですね。鳥に」
春沙が小さく微笑むと、絢星はどこか複雑な表情を浮かべる。
「ボクも一時期は『籠の中の鳥』だったから……なんとなくシンパシー感じちゃうんだよね~」
「それは……」
どういうことでしょうか、と春沙が問いかける前に、視界の先の藪がガサガサと大きく揺れた。
ヌルリと顔を覗かせたのは金眼輝く鶏に似た魔獣――コカトリスだ。
「おっと、来たね」
油断なく槍を構え直す絢星。
「ええ、噂をすればなんとやらです」
春沙もまた断罪の緋鎌を抜き放つ。
「コッケェエエエエ!!」
軽自動車ほどもの体躯を持つコカトリスが、羽を広げながら突進してくる。
「――ッ!」
その口元から灰色の煙が溢れ出そうとしているのを見て、二人は左右に飛び退く。
ブワッと放出された石化ブレスが、先程まで二人が居た場所の草花を瞬く間に石に変えてゆく。
「……これは、予想以上にヤバい生き物だね」
空中で態勢を整え、反撃の刺突を繰り出す絢星。
「コケッ!?」
右脚を貫かれたコカトリスが大きく揺らぐ。
「転倒だけに、コケ~って感じ?」
着地と同時に、大地を擦るような低姿勢からの2撃目を放つ絢星。
その真顔からの冗談は兎も角として、槍は正確に敵の左脚を貫く。
絢星の言葉通り、転倒するコカトリス。
「キミには悪いけど、ボクも故郷に帰るまで死に訳にはいかないんだよ」
ヒュンヒュンと槍を回しながら絢星が呟く。
その言葉に、春沙もまた頷く。
「気が合いますね――。私も『あの者たち』を断罪するまで死ぬわけにはいかないのです――」
春沙が緋色の大鎌を持ち上げてゆく。
それはまるで月夜に浮かぶ赤い月のような、美しくも冷たい光景である。
「コケケ――!」
金眼を見開くコカトリス。
最後に聞いたのはヒュッという風の音。
命を刈り取る死神の笛の音だ。
「獣である貴方に、罪はないかもしれませんが――さようなら」
コカトリスの首を断ち切った春沙は、どこか遠い目をしながら、小さくそう呟くのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ミスト・ペルメオス
【SPD】
石化の毒に呪い。
厄介だが――捻じ伏せて進むまでッ。
愛機たる機械鎧(人型機動兵器)を駆って参戦。
マシンヘルム等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。低空を飛翔しつつ索敵。
また念動力は索敵にも応用、超感覚による敵の早期発見を意図しつつ。
命を育む惑星が絶えて久しい世界の出身からすれば、自然溢れる世界は大変に魅力的。
故郷のように科学技術が発達している訳ではないが、だからこそあるがままのものを体感できる。
…この戦争に到るまで、この世界を訪れた機会は数えるほど。
それでも…壊させてなるものかッ!
敵を感知し次第、【クイックショット・ホークアイ】。
――可変速ビームキャノン、レディ。撃ち抜くッ!
魔獣が潜むという昏き森の中を低空で飛翔する黒い機体が一つ。
「本当に、羨ましいぐらいに緑豊かな場所だな」
樹々が陽光を覆い尽くしているせいか、昼間だというのに森の中は薄暗い。
様々な動植物をモニター越しの中で観測しながらミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)。
自分の星を失い、銀河を巡る渡り鳥となったミストにとって自然そのままの姿を残すこの世界の森は魅力的なものに映る。
「外気口、オープン」
ミストの短い命令を機動兵器・ブラックバードはすぐさま応え実行してゆく。
鼻腔を突く咽返るような深緑と腐葉土の匂い。
あまり嗅ぎなれない臭いのはずだが、不思議と懐かしくも感じられる――。
「遺伝子に刻まれた憧憬ってやつなのかな……」
ミストの遠い先祖もかつては母なる星に根差して暮らしていたはずだ、その中にはこうした森に暮らしていた人もいたのかも知れない。
「森での生活か、一体どんなものなんだろう?」
ちょっとした思い付きで口に出したミストの言葉に、ブラックバードの電脳が律儀に反応して解答を寄越してくる。
【Tips:森での暮らし方】
火の起こし方から、薬草の見分け方、飲料水の作り方――。
全部読んでいたら、この帝竜戦役が終わってしまいそうなほどの、膨大な知識の洪水である。
思わず苦笑するミスト。
これも先人たちの知恵と言うやつなのだろう。まるで、色々なことを教えたくてウズウズしているかのようである。
【?】
ブラックバードはミストの笑みの理由を図りかねている様だった。
「――なんでもないよ、ありがとう。ブラックバード」
愛機に応えるミスト。深緑の空気をもう一度吸い込み、再び前を見る。
「星は失われても、こうして知識は受け継がれてゆく。
きっとぼくたちの調査も、いつか誰かの役に立つはずだ」
ブラックバードが頷いた様な気がした。
まるで機械と合一するかのような、良好な感覚。今日はサイキックが冴えているとミストは感じる。
「索敵開始」
マシンヘルムを介して念動力を周囲へと放つミスト。反響定位の応用した超感覚で周囲を広く索敵してゆく。
「――そこかッ!」
【クイックショット・ホークアイ】。こちらを襲撃するために息を潜めていた敵を一早く発見し、先制して射撃を行うミスト。
管制システムの標準が敵を過たずロックし、可変速ビームキャノンの一撃が敵を撃ち抜く。
「コケッ――!?」
心臓部を穿たれたコカトリスが短い断末魔をあげる。
敵の巨体が沈んだのを超感覚越しで確認しながら、ミストは再び道中を急いでゆく。
故郷のように科学技術が発達している訳ではないが、だからこそあるがままのものを体感できるこのアックス&ウィザーズの世界。
「……この戦争に到るまで、この世界を訪れた機会は数えるほど。
それでも……壊させてなるものかッ!」
帝竜の計画を阻止するために、ミストは鋼鉄の羽根で翔ぶのだった。
大成功
🔵🔵🔵
フェルト・ユメノアール
キミたちがどんな存在かは知らないけど、ボクの記憶も魂もそう簡単に奪わせはしないよ!
『パフォーマンス』でお客さんを楽しませていた記憶を思い出し、魂喰らいに対抗する
お客さんたちの笑顔、煌びやかな舞台、それを思い浮かべながら
自分もいつもの芸を演じている時のように笑顔で戦いに望む
さあ、ボクたちの舞台を始めよう!
千客万来の大勝負、食べ物の恨みを思い知れ!
現れろ!【SPゴーストン】!
沢山のゴーストンを召喚、敵の魔眼を遮り呪いを防御
でも、それで終わりじゃないよ!
さらに、ゴーストンのユニット効果発動!
このユニットが撃破された時、相手の能力をダウンさせる!
動きの鈍った相手の背後に回り込み『カウンター』を決めるよ
深き森が陽光を遮る、薄暗い森の中を煌びやかなステージ衣装で身を包んだ少女が進んでいる。
一流の道化師を目指す少女、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)である。
「うーん、ここが石化の魔獣が住まう森か。さすがに雰囲気あるな~……」
所々でまるで道標のように、コカトリスの犠牲となった冒険者の石像が立ち並んでいる。
その表情は一様に恐怖に固まり、虚空を見つめていた。
「――」
今にも叫び出しそうな石像から、なんとか視線を引き剥がすフェルト。
「さ、先を急がないとね」
あまり長いこと眺めていると、こちらまで恐怖に飲まれてしまいそうだった。
振り払うように首を振るフェルト。
だがその時――。
背後の藪がガサリと大きく揺れて、フェルトの心臓が飛び跳ねる。
「もしかして……」
恐る恐る振り返ると、『そいつ』と眼が合った。
ずんぐりとした丸い体躯に、獲物を狙う凶悪な金眼。
体長は4メートルほどだろうか?
とりあえずサーカスに居る熊よりも余裕でデカい。
「――ッ!?」
敵の口元から灰色の煙が溢れ出すのをフェルトは見た。
『石化の魔獣』という事前情報を思い出し、フェルトは咄嗟に身体を後方へ翻す。
「よし、間一髪――! って……」
足元に軽い重み。着地して見やれば、お気に入りのステージ衣装であるトンガリ靴のつま先が少しだけ石化していた。
「ああ~ッ! ななな何するんだよう!?」
倒せば治るのかなコレ!? とか一瞬考えるものの、今はそれどころではないと思い直し、泣く泣く重しとなったそれを脱ぎ捨てるフェルト。
「って、楽しいこと考えないとなんだっけ!」
突然の遭遇戦に混乱しかけた頭を必死に落ち着かせてゆく。
フェルトが思い浮かべるのは『パフォーマンス』でお客さんを楽しませていた記憶だ。
お客さんたちの笑顔、煌びやかな舞台――。
そして、それは彼女がエンターテイナーを目指すきっかけとなった、幼い頃の忘れ得ぬ記憶と繋がってゆく。
「怖がっている姿なんて、お客さんには見せられないよね」
平常心を取り戻し、いつもの芸を演じている時のように笑顔で戦いに望むフェルト。
「さあ、ボクたちの舞台を始めよう!」
師匠から受け継いだ魔法のカードを一枚抜き放つフェルト。
「千客万来の大勝負! 靴の恨みを思い知れ!」
パチンとフェルトが指を鳴らすと、カードが魔力を帯びた光を宿す。
「現れろ! 【SPゴーストン】!」
フェルトの声と共に、ブワッと無数のゴーストンが魔法のカードから召喚される。
「コケッ!?」
驚きに目を見開くコカトリス。己の周りを取り巻くゴーストンを振り払おうと、必死にクチバシを突き立てている。
「これで終わりじゃないよ!
さらに、ゴーストンのユニット効果発動! このユニットが撃破された時、相手の能力をダウンさせる!」
クチバシに貫かれて消滅してゆくゴーストンが「ニシシ」と小悪魔のような笑みを浮かべた。
霧散したゴーストンの身体が、薄い煙となって呪縛のように敵の身体に纏わりついてゆく。
「コッケェエエエッ!」
小癪な、と言うかのように呪縛を受けながらもフェルトに向かって突進してくるコカトリス。
「OK、それなら――」
派手な金装飾が施された無数の投擲用ダガーをジャグリングしてゆくフェルト。
トトトッと小気味よい手首のリズムと共に、美しい楕円の金輪が作り出される。
「これでフィナーレだよッ!」
黄金の裂線が昏き闇を照らす。ドドドドドッと連撃で突き刺さったダガーがコカトリスの巨体を沈めた。
「キミたちがどんな存在かは知らないけど、ボクの記憶も魂もそう簡単に奪わせはしないよ!」
ウィンクで〆ながらフェルトはそう言って微笑むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
李・蘭玲
中東や欧州にも同名の怪物がいたと聞きますが…
なんでも食べる我が国でしたら美味しくローストしていたでしょうねぇ
さて、私は狡いサイボーグなのでわざわざ彼らの射程内に入る気はありません
『戦闘知識』から考えますと、森の木々は障害物となる反面、隠れ蓑として機能してくれるでしょう
なのでまず『目立たない』よう木の上に登り『スナイパー』として『援護射撃』を行います
攻撃のタイミングは誰かが攻撃を当てた直後
この対物ライフル、ドラゴンの鱗すら撃ち抜く超火力に『呪殺弾』を搭載していますの
羽毛程度の『鎧無視』は簡単、暗い森だろうと熱線『暗視』で見えていますのでね
どうしても射線が確保出来ない場合は…数本、木を倒しましょう
魔獣の縄張りである昏き森の中を、粛々と進む侍女の姿がある。
可愛い装飾の施された現代のメイドとは違い、清潔感と勤勉さの感じられる英国風の装い。
纏っているのはスナイパーライフルを抱えた眼光鋭い老女である。
「あらあら……これはこれは――」
道行く視線の先、全滅した行商隊と思われる一団を発見し李・蘭玲(老巧なる狂拳・f07136)はポツリと呟く。
恐らく長い時間ここに放置されていたのだろう、びっしりと苔むした3体の石像。
その中に一際小さな石像があった。
「子供ですか……憐れな」
苔を落としてゆく蘭玲。
石像は最後の瞬間に顔を歪めて永遠に停止していたが、まるで今にも叫び出しそうな不気味な雰囲気を湛えてる。
常人が見れば恐怖に陥りそうな代物であったが、蘭玲は目を伏せ、その子を弔うようにして石の頬を撫でる。
「申し訳ありませんが、私も先を急がなくてはならない身です」
目覚めた帝竜ヴァルギリオス、彼奴を放置すれば被害はコカトリスの比ではない。
アックス&ウィザーズの世界を焼き尽くすほどの災禍が、直ぐ其処まで迫っている。
昏き森の中の石像たちを一体一体弔っている時間は、無い。
「ですが――。あなた達の仇は、この私が替わりに討つとしましょうか」
鋭い殺気が此方に向けて放たれているのを蘭玲は感じ取る。
恐らくはこの一帯の縄張りの主……この行商隊を襲った個体のはず。
「中東や欧州にも同名の怪物がいたと聞きますが……。
なんでも食べる我が国でしたら美味しくローストしていたでしょうねぇ」
ニタリと微笑みながら殺気を返すと、森の先から緊張が伝わってくる。どうやら敵も此方を警戒したらしい。
「さて――」
蘭玲のサイバーアイを以てしても、その正確な位置は未だに掴めない。
野生動物らしい、慎重で狡猾な個体。きっと長年を生きる歴戦の相手だろう。
「知恵比べと行きましょうか。私は狡いサイボーグなので、わざわざあなたの射程内に入る気はありませんよ」
一転して、敵から遠ざかるように走り出す蘭玲。
森の深く、繁みの生茂る方へと押し入ってゆく。
「――!?」
獲物が逃走した、と判断した敵が素早く身を起こす。コカトリスの巨体がまるで疾風のように樹々をすり抜け、恐るべき速度で蘭玲に迫ってくる。
「追いつくのは時間の問題、とでも思っているのでしょうねぇ」
背後から聞こえてくる、敵の自信に満ちた足音を聞きながら蘭玲。
確かにここは彼奴のフィールド、圧倒的不利な敵の縄張りだ。
「ですが、森林での戦闘経験なら、この私も負けていませんよ」
手身近な大樹に身を隠し、先程まで進んでいた方向へ香水の瓶を思いっきり投げる蘭玲。
わりとお気に入りのやつだったが、今はそれどころではない。
樹々を隠れ蓑とし、息を潜める蘭玲。
ドドドドっと腐葉土を蹴り上げながら巨大なコカトリスが通り過ぎてゆく。
(あくまでこれは時間稼ぎ――。敵も直ぐにカラクリに気が付くでしょうねぇ)
目立たないように木の上に登る蘭玲。
態勢を確保し、長年愛用しているスナイパーライフルを構える。
「この対物ライフル、ドラゴンの鱗すら撃ち抜く超火力に『呪殺弾』を搭載していますの。羽毛程度の『鎧無視』は簡単――。
とはいえ、あの大物――。手負いにすると少々厄介ですね」
スコープ越しに敵を視る蘭玲。
香水の瓶に追いつき、化かされたことに気が付いた敵は、スンスンと地面を嗅いで此方の行方を再び辿ろうとしている。
「一撃で仕留めるタイミングといえば、やはり――」
慎重にその時を待つ蘭玲。
道を引き返し、確実に迫ってくるコカトリス。
やがて、敵も『気が付いた』。
ハッと顔を上げ、大樹を見上げるコカトリス。
スコープ越しに敵と眼が合う。
それが蘭玲が待ち望んだタイミングだった。
「それでは、御機嫌よう」
ターンと乾いた音が森に響き渡る。眉間を貫かれた敵が断末魔を上げる暇さえなく崩れ落ちた。
「ふう――。結構走りましたねぇ。全く、歳は取りたくないものです」
木の上から改めて周囲を確認する蘭玲。
「おや? あれは――」
視界の先で森が途切れているのを見て、蘭玲は安堵の息をつく。
昏き森の出口。
よく見れば、この森を抜けてきたであろう幾人かの猟兵の姿も確認できた。
「ふふ、これで第一関門クリアですね」
スナイパーライフルを担ぎなおしながら蘭玲は遅れないように再び進みだすのだった。
大成功
🔵🔵🔵