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山に咲くのは血桜か徒花か

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 グリモアベース、その一角。
 ライラ・カフラマーンの周りに猟兵たちが集まっていた。
 自らの呼びかけに応じて来たことに感謝すると、ライラは杖を振り上げた。
 すると猟兵とライラの前に薄くもやがたち始める。
「これは魔法の霧、術者の念によってさまざまな姿をとることができるのです」
 ライラはそう言い、もやをかき混ぜるように杖を振り続ける。
 するともやはだんだん濃くなり、やがてそのなかにぼんやりと姿形をとりはじめた。
「私があなた達にお見せするのは一つの予知、私が見た予知でございます」
 猟兵たちはライラによって、一つのヴィジョンを見せられたのだった。

 それはアックス&ウィザーズの世界。
 なんの変哲もない、どこにでもありそうなごく普通の村。
 田畑があり、家畜がいて、民家が立ち並ぶ村落。
 その光景が、朱に染まっていた。
 逃げまどう村人達、それを追う武装した集団。
 ある者は背中から切られ、またある者は命乞いにもかかわらず殺された。
 母は子供を庇いながら逃げるも、二人もろとも刺し貫かれ、若い娘は息絶えた家族から引きはなされ、 なぐさみ物とされた。
 食料は暴かれ、家畜はただの余興に殺された。
 家々は焼かれ、あとには村人たちの死体が転がるばかりであった。

 ライラが杖をさげると、幻は雲散霧消していく。
 凄惨な光景を見せたお詫びかそれともこれから頼むことか、ライラは深々と頭を下げる。
「これは予知、私が見た未来。なにもせずにいた場合に起こりうる未来。かの集団の名は『飢狼団』、徒党を組み村々を荒らしまわる賊の群れでございます。それが一つの村を襲おうとしています。私がみなさんにお願いするのは、賊共の撃破です」
 ライラが再び杖をかざすと、さまざな武器で武装した賊の姿があらわれる。
「敵は多数の武装した荒くれ者たちですが、オブリビオンを相手取るあなた達にとって、さしたる障害ではないでしょう。しかし村人たちにとっては脅威となることも事実、弱者にむけられる刃を、我々が盾となって受け止めこの予知を防ぎましょう」

 もう一度杖を振ると賊徒の姿は消え、今度は村人たちの姿があらわれる。
 農作業にいそしみ、近所の者と楽しげに語らう村人達。
 そのヴィジョンを側に、ライラはもう一度深々と頭を下げた。
「金品のたぐいや功名などは期待できません。ですが村人たちの命は助かるのは事実。きっと感謝されることでしょう。どうぞ皆様、村を襲う賊を追い払い、人々の笑顔をまもってください」


妄想筆
 初めまして、妄想筆といいます。これが初シナリオになります。
 猟兵たちは村人を脅かす山賊たちを撃破することになります。
 山賊たちと戦う場所は村にたどり着く前の場所を想定していますので、村人が人質になったりなどのシチュエーションはありません。安心して暴れてください。
 周りに影響を及ぼしそうな派手な立ち回りをしても大丈夫です。
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第1章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 山から平地へとくだっていく山道。
 そこを山賊たちが群れをなして歩いていた。
 ここを下りれば村が見える。そうすれば楽しい楽しいエンジョイタイムだ。
 待ちきれずに武器を取り出す者もいれば、早くも略奪品の皮算用をする者もいる。
 「なあ、いいオンナいると思うか?」
 「おいおい、まずはカシラが味見してからだろ?」
 「ばっかお前、多ければ俺達にもおこぼれがくるだろ?」
 「ちげえねえな!」

 げへへへへへへっ。
 げははははははっ。

 口々に下卑た笑いを上げながら彼らは道を進んでいく。
 彼らの頭の中にあるのは暴力、略奪、凌辱。
 そこに人間としての理性は無く、ただの獣たちがそこにいた。
エウトティア・ナトゥア
WIZを使用。

他の猟兵と連携、狼の群れを呼び出し猟兵のサポートを行います。

ありふれた村じゃのう。じゃがよい村じゃ故郷を思い出すわい、守らねばのう。

「騎乗」「援護射撃」使用。
まずはマニトゥに騎乗し騎射で出鼻を挫くとするかの。
手製の短弓に矢をつがえ、先頭の者を射抜くのじゃ。
その後は他の猟兵が来るまで、一定の距離を保ち矢を射ながら敵の足止めじゃな。

「騎乗」「鼓舞」使用。
他の猟兵も来てくれたようじゃの。
狼の群れを呼び出し敵中をかき乱すかのじゃ。
狼達は攻撃に参加した猟兵の援護につき、死角のフォローや攻撃の支援を行うのじゃぞ。
わしもマニトゥと共に、狼の爪や牙で戦うのじゃ。


ジョン・グッドマン
間に合う時間があり脅威を排除できる力がある、ならば行く
それが私の役目で矜持だ
村の悲劇と言う可能性を摘み取ろう、『飢狼団』名の如く飢えて逝け

【先制攻撃】を行う
距離があるのなら銃で射撃、ないのなら【捨て身の一撃】

近距離の敵には【トライ・バル】と【怪力】を使用し【なぎ払い】で纏めて吹き飛ばそう
遠距離には【クイックドロウ】で【二回攻撃】で数をばらまく、近距離から攻撃されたら【零距離射撃】で額に風穴を開けてやろう
回避は【第六感】と【見切り】、防御は【武器受け】【オーラ防御】で防ぐ


ジズルズィーク・ジグルリズリィ
SPD判定

飢えたる餓狼たち、荒ぶる欲望を鎮め、武器を下ろすのです
という一心で【祈り】を、もとい誠心誠意の請願、嘆願を捧げます

あくまで欲望に身を委ねるというのであれば、仕方ないです
即決、判決。ジズはこの槌で、そのあやまちを咎めるのです

実力行使の際は〈私に七難八苦を与えたまえ〉でぼこぼこにするのです
相手の反撃や先制攻撃は【見切り】を試みます
派手に動いて戦場をかき乱し、指揮の混乱を誘うのです

…もしも攻撃から逃れて村に向かうような賊がいれば、注視しておきたいですね
手負いの獣は何をするかわからないですから



 山賊たちから離れた場所、山道を見下ろす斜面で銃を構えている男がいた。
 ジョン・グッドマンである。
 林の木々から様子を伺い、狙いを定めている。
 ここからなら山賊たちに気づかれず先制できるだろう。
 スコープ越しに覗く彼らの顔はひどく醜い。おそらく口を開けていてもどうせ大したことは喋ってはないのだろう。
「『飢狼団』か……なるほど獣だな。そのまま、名の如く飢えて逝け」
 そう呟き、グッドマンは引き金を引いた。

 山のどこかで乾いた音が響いた。
 山賊の一団、先頭を歩いていた男が立ち止まる。
 「おい、どうし……」
 た、と仲間が声をかける間もなく男は倒れた。
 グッドマンによって銃撃され、こと切れたのだった。
 あやしみ、今倒れた仲間の周りにあつまる山賊たち。
 その山賊たちにグッドマンの速射がさらに襲いかかった。


 「あっちだ! あそこを見ろ!」
 「やろう、あんなところにいるぞ!」
 ようやくグッドマンに攻撃されいることを知った山賊たちが、怒りのあまりグッドマンのいる斜面の方へと駆け出していく。
 だがその反対側の斜面に、二人の姿があった。
 エウトティア・ナトゥアとジズルズィーク・ジグルリズリィである。
 自分たちに背中をみせることになった山賊にむかって、二人は勢いよく駆け出していった。
「餓狼たち、欲望を鎮め、祈りを」
「さきほど見てきたが良い村じゃ故郷を思い出すわい」

 後方にいた山賊が二人の姿に気づき、踵を返した。
 その男をナトゥアの矢が肩を貫き、ジグルリズリィの槌が幕引きをはかる。
 またもや仲間がやられたことで、後方の山賊たちは二人の新手がいたことにきづいたのだった。
 「なんだぁてめえら! やつらの仲間か!」
 「くそが! ぶっ殺してから犯してやる!」
だが二人は怒号を意に介さず、粛々と己の責任を全うし始める。

「……守らねばのう」
「……無私、不死。ジズの受難は、常しえに苛むのです……私に七難八苦を与えたまえ」

 竜巻。
 いや、巨大な槌を持ったジグルリズリィが旋風となって山賊たちの間を駆け巡っていたのだった。
 その疾風怒濤の攻撃に、山賊たちはなすすべもなく吹っ飛ばされていく。
「あじゃぱーーーーーーっ!」
 相手に反撃の隙をあたえる間もなく巨槌があわれな山賊たちを吹っ飛ばしていく。
 女とみて甘く見た者達は、その欲望を開花させることは二度とできず、肉塊へと変わったのだった。

 ジグルリズリィにむかって行った一団が二の足を踏む。
「だ、だめだ強え!」
 ならばせめてと、山賊は巨狼にまたがり弓を放っているナトゥアに狙いを変えた。
 しかしジグルリズリィの猛攻に気をとられて、山賊たちは気づくことができないでいた。
 「え?」
 ナトゥアが召喚した狼の群れに取り囲まれていることを。
 ぐるるるるる。
 狼たちはジグルリズリィへと押し戻すかのように、山賊たちへ攻撃を始めたのだった。
 「痛え、痛え、いてえよう!」
 「くそっなんでこんなところで」
 狼に咬まれ、ナトゥアに近づいていたものは蛮勇を奮う間もなく殺された。
 運よく近づけていたとしても巨狼の爪と牙によって防がれていたであろう。

 山賊の中で槌を振り回すジグルリズリィ。
 その双眸がある出来事に気づく。逃げ出す山賊の一団だ。
 普通ならば放っておくのだが、逃げる方向には村がある。
 禍根はここで絶ち、ぼっこぼこにしなければならない。
「グッドマンさん!」
 斜面で銃撃しているグッドマンに合図を送り、逃げ出していった山賊に指先をむける。
 合図と指先の山賊たちに気づき、銃口が山賊たちの背中を捉えた。
 そして山賊たちが、予定通りに地に伏せた。

 山賊たちが倒れた事を確認すると、グッドマンは弾を込めた。
 周りにはナトゥアが召喚してくれた狼たちがひかえている。
 向かってきた山賊たちは狼によってはばまれ、近づけないでいる。
 その分、自分は射撃に専念できていた。
「名の如くと言ったな……すまん、まさか狼以下とはね」
 グッドマンは呟き、再び銃撃を開始する。
 すでに山賊たちは大打撃を受け、その半数を失っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ルフトフェール・ルミナ
ささやかな毎日の暮らし。
平凡に見えるけど、実は得難い宝物なんだよ。
それを暴力で奪いにくるとはね。ならばそっちの流儀で応えてあげるよ。
そっちに合わせてるってのに、よもや、逃げたりはしないよねえ?

【WIZでいくよ!】
僕は基本、遠距離戦向きみたいだ。
だから、小高い丘とか視界の良い所で、ウィザード・ミサイルを浴びせることにする。
基本的に村に近い奴から倒すかな。弱った奴は確実にとどめを。
もし囲まれてる猟兵がいたら、ウィザード・ミサイルで援護をする。
盗賊が僕に接近したら、【カウンター】か【敵を盾にする】で応戦。
【敵を盾にする】が決まったら、仲間割れを煽ってみようか。
あれ~、君達仲間じゃなかったの? って。


テリブル・カトラリー
元々そのような性格だったかそうせざるを得なかったのか、
どのような経緯で山賊をするに至ったのかは知らないが、
1人として逃がさない。その獣性は殺す。

UCとしてロボ爆弾を戦場一帯へ配置。破壊工作完了。戦闘を開始。
ブーストダッシュと銃撃によるなぎ払い、砲撃による爆破範囲攻撃で
山賊を追い立て、恐怖を煽り、敵集団を一か所へ集めるように行動。

敵が一か所に集中した所をロボ爆弾で爆破。
既にこの周囲一帯には爆弾を設置済みだ。
逃げる者そうでない者も、皆等しく此処で死んでいけ。

マシンヘルムの補助で操縦している爆弾で残りの山賊も爆破し、
銃撃による攻撃も継続。殲滅を図る。



 猟兵三人達と山賊たちが戦っている山道。
 そこから少し離れた小高い丘で、成り行きを見守る二人がいた。
 ルフトフェール・ルミナとテリブル・カトラリーの両名である。
 二人は瓦解した山賊たちを追い込むための別働隊だ。
 山賊たちは戦意を失った者が多く、右往左往しているのが見てとれた。
 ちりじりなった賊徒をさらに叩くために二人は動く。
 「1人として逃がさない。その獣性は殺す」
 カトラリーが起爆装置を起動する。
 すると戦場を中心として遠く離れた場所が爆発炎上した。
 爆発は火を起こし、燃え広がり炎の壁となる。
 それは飢えた狼たちを囲む炎の輪だ。
 「破壊工作完了。戦闘を開始」
 カトラリーはブースターを吹かしてダッシュし、戦地へとおもむく。
 盗賊にとっては炎の檻だが、ナノマシン装甲の前にはストーブにすらならない。
 またひとつの脅威が山賊たちを追い詰めようとしていた。
 「逃げる者そうでない者も、皆等しく此処で死んでいけ」

 ルミナは小高い丘から戦地となった場所を見下ろしていた。
 ここからだと仲間たちの動きもよくわかる。
 すでに山賊たちは少数となっており、それもほぼ無力化している。
 ルミナは仲間たちが見落とした山賊たちに魔法の矢を浴びせ、止めをさしていく。
 趨勢はほぼ決まったようなものだ。
 風が頬を撫でる。眼下の惨状が嘘のようなおだやかさだ。
 おそらく山道の先の村人も、何事も無く過ごしているのだろう。
 「平凡に見えるけど、実は得難い宝物なんだよ」
 それを奪おうとする山賊たちに、ルミナは魔法の矢を撃つのをためらわなかった。

「なんで? なんで炎!?」
「くっそぉぉぉぉ! 逃げ道はどっちだよぉぉぉ!」
 炎は辺り一面に広がり視界を阻害していた。
 阿鼻叫喚の中、山賊たちはこの場所を離れようとする。
 山賊たちが恐怖に駆られたのは炎だけではない。
 パァンッ。
 乾いた音、それが起こるたびに仲間が倒れていく。
 パァンッ。パァンッ。
 そしてその音は自分たちへと近づいてくるのだ。
 パァンッ。パァンッ。パァンッ。
 「ぎゃびりーーーーんっ!」
 恐慌が頭の毛先まで到達したとき、山賊の前に黒い影が躍った。
 パァンッ。
 恐怖に顔を歪ませながら山賊は倒れた。
 その死体を一瞥し、カトラリーは殲滅を続けるのだった。

 ルミナは感心していた。
 戦地から遠ざかる敵影を発見したのである。
 仲間の猛攻にもかかわらず、一人の山賊が包囲網を脱出していたのだ。
 しかしその身体には矢傷や火傷、とても無傷とは言えなかった。
 それを逃す訳もない、こういう奴を見逃さないためにここにいるのだ。
「暴力が好きだから暴力で応えたのに、なんで逃げるかねぇ」
 魔法の矢を雨あられと浴びせ、危なげなく止めをさす。
 倒れるのを確認すると、改めて周囲を確認した。
 眼下を見ると動いているのは味方だけのようだ。
 猟兵たちは山賊の撃破に成功したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『山賊親分』

POW   :    強欲の叫び
【酒!】【金!!】【女!!!欲望に任せた叫び声をあげる事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    剛斧一閃
【大斧】による素早い一撃を放つ。また、【服を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    手下を呼ぶ
レベル×5体の、小型の戦闘用【山賊子分】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 先遣隊の子分たちから遅れること数刻。
 山賊の頭目、ウルフリックは怒りに身を震わせていた。
 本来なら先遣隊が村を襲い、自分たちは火の手が上がっているのを嘲笑しながら山道を下りているはずだった。
 だが、今火の手が上がっているのは山の中。
 そして多くの死体があたりに転がっている。
 さらに行く手を阻まんとする一行が眼前にいたのだ。
 酒と金と女しか頭のなかにない粗野な男でも、この状況は理解できる。
 「てめえら……飢狼団頭目ウルフリック・メイルシュトローム、嵐のウルフリックの子分を殺していい気分だろうな」
 怒髪天を衝くウルフリックの手元に、子分が二人がかりでよろよろと巨大な斧を運んでくる。
 それを軽々と片手で持ち上げ、ウルフリックは口の端を上げた。
 まるで狼が牙をむくように。
「テメエらの家族も探し出して皆殺しにしてやる!絶対にだ!」
 逆上した獣が猟兵たちをぶっ殺そうと、襲いかかってきた。
ジズルズィーク・ジグルリズリィ
SPD判定

武器を下ろすどころか、呵責すらないですか…
残念です。飢えたる狼、それは満たされないと知るのです

〈咎力封じ〉で敵の戦闘力を削ぐのです
大ぶりな攻撃は【見切り】すでに手負いであれば【傷口をえぐる】としましょう
ともかく、敵の戦意を削ぐのに注力するのです

酒、金、麗しき異性…
それはこの世で求めるべき真理かもしれないです
ですが、それは人から奪うものではない。そうおしえて差し上げてるのです
願わくば、真っ当にその生きがいを追い求めてくださることを
あるいは、悔い改めて来世を生き抜いてくれることを願いましょう


ルフトフェール・ルミナ
命を奪おうとしたから反撃したけど、まずかった?
そう。僕の家族皆殺しにするんだ。それは確かにまずいね、うん。
でもまずは、自分の運に感謝するといいよ? 僕さ、一族でも弱い方でさ。
戦場に生きる者は戦場に死すこともまた覚悟すべし、一族の教えだよ。
一緒に実践しよっか!

【WIZで】
接近戦は苦手だよ。だから、前に立つ仲間の支援を行うね。
魔術『大いなる冬』で動きを止め、隙を作ることができればいいな。
もし、手下を呼ばれたならば、そいつらをフック付きワイヤーで絡めとって、【敵を盾にする】で仲間や僕への攻撃を肩代わりさせようか。
僕が狙われたなら、【敵を盾にする】か、手袋から生成した魔力の反動で【カウンター】を狙う。


テリブル・カトラリー
私に家族はいない。殺しを楽しむ性分もない。
私の目的は殲滅だけだ。

ライトマシンガンによるなぎ払い射撃と
ラストデザートをクイックドロウ、スナイパー併用で使用
一斉発射、二回攻撃で子分や頭目を纏めて範囲攻撃。

ああ、子分を殺した事は謝ろう。すまない。
だが、殺しに来たのはそちらの意志だろう。
なら、迎え撃つ以上手を抜く事も容赦もない。

その後ダッシュで頭目へ怪力を以て
スクラップフィストで殴りかかりそのまま殴り続ける。
攻撃は見切りと武器受けで防ぐ。が、腕は壊れても問題ない。
激痛耐性もある。
壊れた端から即座に戦争腕に換装、戦闘を継続する。


ジョン・グッドマン
引き続き林で射撃を行う
【目立たない】で姿を隠しながら移動しつつ行おう【恐怖を与える】【麻痺攻撃】で相手の動きを鈍らせる
近づくまでに【呪詛】も追加しておこう

接近されたら【怪力】で筋力を上げ【グラップル】【二回攻撃】
数で攻めてきたら【なぎ払い】で纏めて迎撃する。
頭目の攻撃は【第六感】と【見切り】で回避に専念しよう、攻撃を受けても【激痛耐性】で耐え【生命力吸収】で回復する

悪いが接近戦の方が得意なのでな


エウトティア・ナトゥア
SPDを使用

他の猟兵と連携希望

前衛に出て回避盾で敵をひきつけます。

そう激昂されてものう…お主らの所業を考えれば当然の報いじゃろうて。
それに、わしの家族を狙っても構わんが、殺すのは無理だと思うのじゃがなあ…

(前に出て前線を支える)
マニトゥに「騎乗」し、「野生の勘」を研ぎ澄まして敵の攻撃を「見切って」かわしながら狼の爪や牙で反撃するのじゃ
凄まじい剛斧じゃのう。当たればわしなど吹き飛んでしまいそうじゃ。じゃが、当たるかの?

手下共には、「援護射撃」で騎射を馳走してやろうかのう

敵を引き付けた後は、邪魔にならぬようお味方の攻撃に合わせて射線を空けるのじゃ
マニトゥ、頃合じゃ



 頭目と、続けて山賊たちが武器を持って襲いかかってくる。
 その一団の前に立ち塞がったのは、ナトゥアとジグルリズリィだ。
「そう激昂されてものう…お主らの所業を考えれば当然の報いじゃろうて」
「呵責すらないですか…残念です。飢えたる狼、それは満たされないと知るのです」
 二人はまともに攻撃せず、回避に専念する。
 山賊たちが来る前までに打ち合わせた『機』を待つためだ。
 それにはまず注意をひきつけることが重要。
 頭目にはジグルリズリィが、その取り巻きにはナトゥアが相手をする。
「くっ、コイツらちょこまかと!」
 たかが小娘二人、頭目たちはすぐに屠って次にうつる予定だった。
 だが彼らの攻撃は当たらない。自分より小さいそれも女に。
 その事実が頭目たちをさらに激昂させた。
 二人はつかず離れずの距離で間合いをはかり、攻撃を見きろうとしていたのだった。

 そこから離れた場所でルミナが『機』を作ろうとしていた。
 だが多勢に無勢。頭目と一緒に行かなかった者は、ルミナにあたることとなる。
 まともに相手をせず、逃げながらルミナは詠唱を始めた。
「我、己が体熱を代償に――」
「なにブツクサ言ってやがる!」
 一人の山賊が襲い掛かってきた。
 その攻撃を、フック付きワイヤーで絡め取って体勢を崩し、回避する。
「――異なる時、異なる地への途を開かん。三度の――」
「てめえ!」
 腕を絡めた山賊とは、別の山賊が武器を振り上げて襲いかかってくる。
 ワイヤーを引っ張り、絡めた山賊と位置を入れ替え同士討ちを成功させる。
「――冬を経し世の吹雪、この世に阻めるものはなし」
 詠唱は完成した。あとは呪文をぶつけるだけだ。
「大いなる冬!」
 そしてそれは、味方を傷つけ狼狽する雑魚ではなく、敵本隊へと放たれたのだった。

 山賊達の頭上、その空間が、まるで氷が割れるかのように音を立てる。
 それは時空が裂ける音。
 「マニトゥ、頃合いじゃな」
 ナトゥアはジグルリズリィを一緒に巨狼の背に乗せると、頭目たちから距離を取るためにかけだした。
 そして、異界の吹雪が頭目と山賊たちに降り注いだのだった。

 吹雪の中目がけて、グッドマンとカトラリーの銃が火を噴いた。
 二人の扇状射撃にバタバタと山賊たちが倒れていく。
 グッドマンは位置を変えながら、カトラリーは武器を変えながら、それぞれの得意な方法で次々と飢えた狼たちを刈り取っていく。
 先の戦いが灼熱地獄なら、極寒地獄ともいうべき光景が展開されていく。

「もう駄目だ、おしまいだぁ……」
「こんな場所にいられるか! 俺は逃げるぞ!」
 仲間を見捨てて、敗走する山賊が現れ始める。
 村ではなく逆の方、今来た方角へと。
 林の中で移動しながら射撃していたグッドマンが、その行動にいち早く気づいた。
 通常なら見逃しここに残るべきだ。
 だが彼らの誰かが頭目となり、再び惨劇を起こすのかもしれない。
 グッドマンは彼らを追いかけることにした。なぎ払いながら眼前の敵を散らし前へ進もうとする。
 どうやら近づきすぎたようだ。山賊が側面から遅いかかかってくる。
 どこからか、その山賊に矢が刺さった。
 一瞬動きを止めた隙に、グッドマンは武器を捨てて飛びかかった。
 関節技を極め、頸動脈を締め上げる。
「が……ぐ……」
「悪いが接近戦の方が得意なのでな」
 山賊の気を失わせ立ち上がると、巨狼と駆けるナトゥアの姿が目に入った。
「ナトゥア、その相棒を借りたい」
「承知した!」
 二人は仲間にこの場所を任せ、追撃を行うことにしたのだった。

「はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ」
「ぜい、ぜい、ぜい」
 山道を登って逃げていく山賊たち。
 後ろでやられている仲間のことなど、もう知ったことではない。
 武器も何もかも捨てて、彼らは逃げ出していた。
 ここまで来れば……。
 息が切れ、一息つこうとした
 だがそんな彼らを、銃弾と矢雨が追い立てる。
 グッドマンとナトゥアが彼らに追いついたのだ。
「げ……」
「はわわ……」
 その姿は恐怖の何者でもない。それに疲れて満足に動けそうにない。
 仲間を裏切った敗走者たちは、一人、また一人と倒れていった。
 追撃は終わり、グッドマンとナトゥアは仲間のもとへと加勢に行く。
「やはり名前負けだな、ナトゥアの狼の方がよっぽど役に立つ」
「ん、なんぞ言ったか。グッドマン殿?」

 一方その頃。
 三人の猟兵と山賊頭目たちの戦いは、趨勢が決しようとしていた。
 露払いが終わり、残るは頭目と複数の手下のみ。
 頭目をジグルリズリィをカトラリーが抑え、周りの手下が加勢できないようにルミナが彼らを追い散らす。
 山賊たちは先ほどの銃撃戦で敵方は負傷している。
 ルミナへ仮に近づけても魔力でお返しされるだけだった。
 さらに頭目へ加勢しようとする者はワイヤーで邪魔をされる。
 頭目はといえば非常に不利な状況だった。
 すでに巨躯には疲労がみられ、肩で大きく息をしている。
 頭目の巨斧は離れた場所にあり、両腕には手枷が嵌められ、攻撃といえばそれを振り回すばかり。
 そのような力任せの攻撃など、ジグルリズリィとカトラリーに当たるはずもない。
 「子分を殺した事は謝ろう、すまない。だが殺しに来たのはそちらの意志だろう?」
「悔い改めて来世を生き抜いてくれることを願いましょう」
「もがーーーっ! もがががーーーっ!」
 うるせえ、テメエら神父とシスターのつもりかよ。
 そう頭目は言いたかった。
 だが猿轡を嵌められまともに喋ることも出来ない。
 双眸だけが獣の意志を伝えていた。
 カトラリーのボディブローが、頭目の身体をくの字に曲げる。
 「ぐぶぇ……」
 続けてアッパーカット。
 首が折れそうなほどの衝撃に、今度は逆くの字に曲がる。
 頭目は両膝をついた。自然、首をうなだれたような格好になる。
 神がその祈りを聞き入れたのか、猿轡の枷が解けた。
 顔を上げるとカトラリーの姿が見える。
 「た、たす……」
 頭目の双眸から獣性が消えた。
 その顔面をカトラリーのストレートブローが躊躇なくぶっ叩いた。
 吹っ飛び、地に伏せる頭目。
 もはや動くことも出来ない。
 
 近隣を荒らしまわっていた山賊団、飢狼団頭目ウルフリック・メイルシュトロームとその一味は壊滅させられたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『アックスウィザード商店開店』

POW   :    肉体を誇示した大道芸や声の呼びかけを駆使し、聴衆を集める

SPD   :    集まった聴衆達を会計の早さで次々とさばき回転率を上げる

WIZ   :    聴衆達にいかにこの商品が魅力的か話術を試みる

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 そこで開かれている自由市場。
 そこに猟兵たちの姿があった。
 その後ろには絵画書物、武器に薬品。よくわからない物ばかり。
 なぜ彼らはこんなところにいるのだろうか。

 あれから村人に山賊たちを倒したことを猟兵は伝えた。
 最初はなんのことかわからず訝しがる村人たちだったが、山にある山賊たちの死体をみて状況を理解し、猟兵たちに礼を述べた。
 そして申し訳なさそうにお願いをする。
 今回は撃退できたが、もしかしたらまた別の賊がやってくるかもしれない。
 そうなる前に武器や傭兵を雇いたい。それには当座の金がいる。
 だが村人にそんな伝手は無い。
 村を救ってくれた英雄たちに、こんなことを頼むのは厚顔なのかもしれないが、金策を頼まれてくれないか。もちろん、村にある物は使ってもらってかまわない。
 そうお願いされたのだった。

 そして猟兵たちはここにいる。
 商才の腕はないが村人のためだ。最後の仕上げといこう。
 それに、街なら仕事のあとの休息には困らないだろう。
ジズルズィーク・ジグルリズリィ
POW判定

認知、既知。ジズは、一切合切承知です
ひと肌脱ぐのです。……どうしてこちらを見るのですか

聴衆を集めるのに大道芸をしてみるのです
鎖と拘束ロープを軒先や屋根にいくつも放ち、それを伝ってアクロバットをします
【覚悟】を決め【恥ずかしさ耐性】を備えれば
普段はもの静かに、大声を上げないジズでもプロモーションできるのです
その上からビラや広告をばら撒けば、ウケること請け合い

高いところにのぼれば村の様子が見て取れるでしょう
そこで噛みしめるのです
ジズたちが守った笑顔と平穏を
それらがずっと続いていくよう【祈り】を送るのです


ルフトフェール・ルミナ
自衛のためのお金かぁ。
傭兵って基本的に、そこらへんの損得勘定は徹底してるよね。
でも考えてみると、お金だけで解決できるなら楽な方かな。
金策が終わったら、この村の特産を買って食べよう。
ささやかな幸せってこういうのだよね。

【WIZ、かな】
まずは薬品。
この薬だけなら、気休め程度だけど、他の薬草と合わせて調合すると、物凄い薬効を持つ薬だよ! (調薬レシピを具体的に上げつつ)調合によって薬効も変わるんで薬屋泣かせって言われてるんだ。
次に武器ね。
僕、魔術師でさあ。物に魔力付与するの割と得意なんだ。
この剣を……見て見て、すこし輝いてるよね? 切れ味が上がってるよ。これで剣が通じ辛い相手にも太刀打ちできるよ!


エウトティア・ナトゥア
POW 

動物の肉体を誇示した大道芸や声の呼びかけを駆使し、聴衆を集める

なかなか栄えておるのう。ここならよい商いが出来そうじゃわい。

《天空の守護者》「ロープワーク」「楽器演奏」「動物と話す」「鼓舞」
まずは、その辺りの木で作った枝笛で部族楽曲を奏でて客引きをするかのう。
通行人の注意を引いたら、鷹を呼び出して曲芸飛行やロープの輪くぐり等の大道芸で聴衆を集めるのじゃ。

親子連れの子供をターゲットに、マニトゥや鷹とのふれあいコーナーと粗品などで関心を引くのもよいのう。
おお、そこのお坊ちゃん、あまり狼のひげは引っ張るでないぞ。それよりどうじゃ、わしの作った枝笛はいらぬかのう?



 とある街の自由市場、その中央にある噴水広場。
 そこにこの街に見慣れぬ二人がいた。
 色黒エルフと赤茶のキマイラ。どちらもかわいい少女。
 ジグルリズリィとナトゥアである。
 まずは往来多いこの場所で、集客する必要がある。
 二人は金策のためにこの街まできたのだ。
「ここならよい商いが出来そうじゃわい、ジズ殿。よろしいか?」
「覚悟を決めたのです。ジズは、一切合切承知です」
 ナトゥアは木の枝で作った笛で故郷の音楽を吹きはじめた。

「おっ、なんだ」
「大道芸人か」
 聞き慣れぬ曲を耳にして、足を止める者がちらほら出始める。
 掴みは上々、あとは釘付けにするだけだ。
 ジグルリズリィは鎖とロープを用意すると、それを虚空へと投げつけた。
 それは軒先から軒先、屋根から屋根へと、家屋を繋ぐ糸電話のように張り巡らされる。その技に観客は喝采をあげた。
「頃合いじゃな。風の友よ、天空の守護者よ。我が呼びかけに応えよ」
 今度はナトゥアが空に語りかけると、いずこより鷹の群れがやってきた。
 見かけは全て同じ。ご丁寧にみんな背中に「1」と文字が刻印されている。
 その数、なんと100匹。
 その光景に観客はどよめきをあげた。
「おい、あれ見ろよ」
「あれ、奴らあんなところにいるぜ」
 人々が気をとられている隙に、二人は空中に張られた線の上へと移動していた。
 仕掛けは上々、後は仕上げを御覧じろ。
 二人は線上でそれぞれの技を披露しはじめたのだった。

 ナトゥアの周りには鷹の群れが滞空していた。
 いつの間に用意したのか、それぞれ集まり小さい輪っかを咥えている。
 それはちょうどナトゥアがくぐれそうな大きさだ。
 鷹の輪っかたちは、線上へ直線状へと並び始める。
 ナトゥアは、飛び込み前転をする要領で、次々とその輪っかをくぐっていく。
「ブラボー! おお、ブラボー! ブラボー!」
 観客の拍手が、空のナトゥアと鷹達に届かんばかりにひびく。
 ……と、ナトゥアが脚を滑らせて落下した。
 あっと、思わず息を飲む観客たち。思わず両手で顔を塞ぐ者もいる。
 しかしそれは違った。数匹の鷹が集まり足場となってナトゥアを支えていた。
 戦闘用であるため並の鷹とは違う。
 見れば他の鷹達も次々と足場を作っていた。
 それら虚空の足場と輪っかに、ナトゥアは弾むボールのようにぽんぽんと次々とくぐり渡っていく。観客が賞賛の声と拍手を追加する。
 そんな頭上を見上げる観客たちに、パラパラと視界を塞ぐ何かがふってきた。
「なんだぁ?」
 思わず手に取ってしまい、眺める観客。
 そこには「アックスウィザード商店開店」の文字と案内場所が描かれていた。
 ビラを他の場所へ撒くべく、ナトゥアと鷹達は線上を飛び跳ねながら移動し始めたのだった。

 一方、ジグルリズリィは線上で仁王立ちしていた。
 無言のまま佇んでいる。眼下には多数の観客たち。
 はっきりいって恥ずかしいが、これも村人のためだ。
 胸中を押し殺して、ジグルリズリィは動いた。
 両腕をゆっくりと頭のほうへ動かし、両ひじに手をやる。
 そしてゆっくりと腰をくゆらせはじめた。
 両脇と両脇腹が露わになり、尻と太ももが艶めかしく動く。
 見かけは少女のこの舞踊に、たまらず男衆が口笛指笛の野次を飛ばす。
 ゆっくりと腰を動かしながら、両腕を解き水平と伸ばしていく。
 そして、眼下の観衆に見せつけるように歩き出した。
 その左右をいつの間にか籠を咥えた鷹達が滞空していた。
 籠の中にはビラが入っている。
 ジグルリズリィはそこから数枚取り出すと、歩きながら静かに頬、胸、へそ、下腹部へと撫でるように動かしていく。
 そして大股を開き太ももの間で手を開くと、ひらひらとビラが落ちていく。
 またビラを取った。
 今度は背を反らせながら静かにゆっくりと、首筋、背中、尻へと撫でるように動かしてった。
 そしてまたビラを下へと落下させていく。
 そのままジグルリズリィを注視する者、ビラを拾うとする者。
 ジグルリズリィは線上を伝いながら、多くの者に見てもらうべく移動を開始したのだった。

 ナトゥアとジグルリズリィの合流先には、ルミナがいた。
 「アックスウィザード商店」という看板の下で、商品を並べながら。
 その左右にはナトゥアとジグルリズリィがいる。
「見るのじゃ」
「見るのです」
「お客さん、まずはちょっと見ていってよ」
 観客たちは、商店の客引きにまんまとかかってしまったのだ。
 まあ仕方ない見物料とばかりに、客たちは話だけでも聞いてみることにしたのだった。

 集客は成功、あとはどうやって販売するか。
 その役目は口が達者そうなルミナが買って出た。
 商品を手に取りながら、口早にまくしたてる。
「やあやあお客さん、運がいいねぇ。アックスウィザード商店ただいま開店だよ! そんじょそこらにない物ばかり、今日だけ今だけ開店だよ!」
 そういうとまずは薬品を取り出す。
「この薬! これだけなら気休めだけど、他の薬草と合わせて調合するとなんと! 凄い薬効を持つ薬に変わるってわけさ。おやお客さん、信じてないって顔だね!」
 ルミナは指を客にむけた。そこには中年男性が立っている。
 急にさされてキョトンとした顔でルミナを見つめていた。
「お客さん、どこか具合が悪いところない? 目、肩、腰? 関節痛? でも大丈夫! 調合によって薬効も変わるから、ほら、レシピ見せるからちょっと来て!」
「お、おう」
 ふらふらと、ルミナに言われるがままに近づく男。
 ルミナはレシピを広げさらに説明する。
「ほらほら、色々効果が違うでしょ。これさえあれば大体の症状に効くから、別名『薬屋泣かせ』って言われてるんだ。凄いねぇ。よし、わかった! 本来ならこの薬だけだけど、今ならレシピも付けちゃう! お客さん、どう?」
「お、おう」
 まるで催眠にかかったかのように、男は財布から銭を出し薬品を買っていった。

 次にルミナは剣と大根を取り出す。
「次に武器ね。僕、魔術師でさあ。物に魔力付与するの割と得意なんだ」
 よっ、と剣を大根にむかって斬りつける。
 すると切れずに大根は手から離れた。
「ね、なまくらでしょ? でもこうやればぁ」
 なにやらむにゃむにゃと詠唱をはじめるルミナ。
 そしてまた大根に斬りつける。
 すると今度はまるで嘘のようにスパッと切れた。思わずどよめきが起こる。
「見て見て、すこし輝いてるよね? 切れ味が上がってるよ。これで剣が通じ辛い相手にも太刀打ちできるよ!」
 そしてルミナは側にある武器の数々を指差した。
「他にもたくさんあるよ、効果はいま見た通りだよね。形状選んだら付与してあげるよ」
 すると観客たちから、冒険者風の者達が前へ出た。
「なあ、店主」
「なんだい?」
「俺らの武器にも付与してくれるのかい?」
「いいよ! でも武器は買っていってね。そうすればお客さんの武器に付与してあげるよ」
「わかった、いくらだい?」
 きっぷがいい返事に、周りで見ていた冒険者も次々と前へ出る。
 どうやら売り上げはそこそこ出そうだ。

 それから数刻後、商品が大体はけたアックスウィザード商店の面々はそれぞれ思い思いの行動をしていた。
 ナトゥアはご購入感謝なでなでキャンペーン。
 ジグルリズリィは街に張り巡らした鎖とロープの後片付け。
 そしてルミナは、村の特産である果物を頬張っていた。
 往来に行き交い談笑する人々、動物と触れ合い笑顔の親子連れ、動物が悪させぬようにそれを見守るナトゥア。
「おお、そこのお坊ちゃん、あまり狼のひげは引っ張るでないぞ」
 微笑ましい平和な光景にルミナの頬が緩む。
「ささやかな幸せってこういうのだよね」
 ルミナは口中の味を噛みしめていた。

 一方そのころ、後片付けをしていたジグルリズリィはふと遠景を見まわした。
 行き交う人々、その笑顔と平穏を。
 思わず手を合わせて祈りを捧げる。
 ジグルリズリィもまた、幸せを噛みしめていたのだった。

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 これはひとつの物語
 ちいさなちいさな物語
 アックス&ウィザーズ世界の物語

 あるところに村がありました
 へいわなへいわなちいさな村
 その村へ山賊がおそいかかろうとしていたのです
 村人はこまりました
 村には山賊にたえうる武器も力もないからです
 村人は天にいのりました
 どうぞわたしたちをたすけてください
 村をすくってください
 するとどうでしょう
 どこからともなく英雄たちがあらわれました
 山賊たちをたおそうといずこよりあらわれたのです
 戦いはすさまじいものでした
 山をゆるがせんばかりの戦いだったのです
 もちろん英雄たちが勝ちました
 村人はすごくすごくお礼をいったのです
 でもでも英雄はしずかにしずかにたちさったのです
 どこのだれかはわかりません
 名前もしらぬおかたです
 しかし村人は感謝のこころをわすれてません
 今もこの話をつたえています
 その村からみえる山のふもと
 山賊知らずの地名のゆらいなのです

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月20日


挿絵イラスト