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カカオぜーんぶ奪っちゃうぞ♥ チョコレート滅殺計画

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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●アイドル海賊の逆恨み!
 居住可能な惑星が滅び去って久しいスペースシップワールド。
 そんな空っぽな宇宙の中を、一つの船がゆっくりと航海していた。
 かの船の名前は、ライズランド号。
 内部には巨大な農業プラントがあり、様々な果物や野菜を育てていた。

 ライズランド号の近くに、ある船がやって来た。
 きゃぴきゃぴキラキラの装飾が一杯の、桃色の宇宙船だ。
 その船の中では、慌ただしく何かの準備をしていた。
 いかにも海賊、という風な見た目の男たちが、撮影機材を持って駆けまわる。
「照明よーし」「背景よーし」「通信ジャック準備よーし」
 そんな男たちを眺めながら、化粧に化粧を重ねている女性が居た。
 彼女はキャプテンラブリーマリー。この船の主で、ずんとソファに座っていた。
「カメラよーし」「音声よーし」「撮影準備よーし」
「おっ、準備出来たー? それじゃ始めちゃうよー、あたしの放送!」
「「「イエス・マム!」」」
 男たちが一斉に機材のスイッチを入れ、照明がバッと照らされた。

「いえーい♪ どーもどーも、聞こえるぅ~? キャプテンラブリーマリーで~す!」
 カメラに向かってピースサイン。アイドルスマイルも忘れない。
「世間じゃそろそろバレンタイン。皆幸せそうにチョコ作るんだよね~」
 ここで彼女は少し言葉をため……きゃぴっとポーズを決めた。
「でもすっごく、ム・カ・つ・く♥」
 最高にいい笑顔で、とんでもない事を言った。
「という訳で今からライズランド号に乗り込んで、カカオぜーんぶ盗っちゃいまーす!
 あ~っはっはっはっはっは! 幸せなカップル全滅しちゃえ~♪」
 マリーはそう言うと、どっかとソファに座った。
 男たちは機材の電源を切りながら、ふと呟いた。
「今からカカオを?」「回りくどいよね」「てかチョコ盗めばよくね?」
「シャーラップ! 口を閉じな!」
 ぴしゃりとマリーは言うが、男たちの呟きは止まらない。
「チョコは要らないのだ」「え? 贈る相手は?」「ばっかお前、船長は年齢=独身歴のオバさんだ……」
 バギッ!
 ソファの肘掛けが粉砕される音が響き、空気が凍る。
「今、乙女に対してなんて言ったオメェ……?」
「マズい、ガチギレモードだ」「謝れ、謝れ!」「すっ、すいません! ついホントの事を!」
「ブ・チ・コ・ロ・ス!」
 ……そしてしばらく、キャプテンラブリーマリーの船の中からは、騒乱の音が絶えなかったという。

●グリモアベース
「皆さんは、贈り物なんてしたことはありますか?」
 グリモアベースの中で、板チョコレートを片手に、一人の女性が呟いた。
 彼女はノルナイン・エストラーシャ(旅する機械人形・f11355)。ミレナリィドールのグリモア猟兵だ。
「贈り物。それは、人と人の間に繋がりを作ってくれる特別な物です」
 板チョコレートをぱきりと割り、彼女はチョコを頬張る。
「とは言え、今の時期ですと、贈り物と言えば一つ……バレンタイン。
 好意をのせて、チョコレートを贈る大きなイベントですね。
 私には贈る相手はおりませんので、こうやって一人で食べるのですが」
 ぱくりと残ったチョコレートを呑み込んでしまい、彼女は顔を上げた。

「さて、ブリーフィングを始めます。
 今回皆さんには、スペースシップワールドの船……ライズランド号に向かってもらいます。
 ここは大きな農業プラントを抱えているのですが、それを狙う海賊がやってきました」
 彼女はぱちりと指を鳴らした。
 すると、ホログラム状の映像が浮かび上がった。
 そこに映っているのは……とても厚化粧でフリフリな衣装の女性と、なんだか黒光りするぶよぶよとした黒い塊だった。
「こっちの女性が事件の首謀者で、キャプテンラブリーマリーと言います。
 彼女は既にライズランド号に乗り込んでおり、ぶよぶよを使って暴れているようです。
 なのでぶよぶよを倒し、キャプテンラブリーマリーを倒してください」
 ノルナインはそう言った後、少し考えて、何かを思い出したかのように言った。
「ああそうそう。この事件が解決すれば、農業プラントの方から謝礼が出るそうです。
 果物、野菜を採り放題。調理機材も完備だそうで。
 ここでチョコレートを作ってみる……なんていうのも、楽しいかもしれませんよ?」
 彼女はそう言って微笑んだ。

●大切な贈り物
「バレンタインというイベントは不思議です。チョコレートを贈る、なんて」
 ノルナインは、食べ終わった板チョコレートの包み紙を眺めていた。
「けれど、その贈り物と一緒に届く思いは、とても大切な物です。
 それを妨害するなんて、とんでもない。
 ですからどうか皆さんの手で、スペースシップワールドのバレンタインを守って下さい。
 どうぞよろしくお願いします」
 そう言って、彼女は一礼した。


苅間 望
 初めまして or こんにちわ。苅間望です。
 バレンタインが近づいてきましたね!
 という訳で今回は、スペースシップワールドのバレンタインを守って貰いたいと思います!

 第一章はぶよぶよと戦って、第二章はキャプテンラブリーマリーと戦います。
 第三章は救った農業プラントの中で、色々お楽しみなんかが出来るみたいです。
 第三章ではグリモア猟兵を呼ぶことも出来るので、興味があれば。

 それにしても、スペースシップワールドのバレンタインってどんな感じなんでしょうね?
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第1章 集団戦 『醜き嫉妬の生命体』

POW   :    妬心の暴虐
【対象の優れた部位を狙う触手】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    精巧贋物
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【喉から手が出るほど欲しい他者の所持品】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ   :    縋る腕
【醜い羨望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【粘着性の高いぶよぶよした黒い塊】から、高命中力の【対象の所持品を奪おうとする触手】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リシェリア・エスフィリア
【ロア・ネコンティと行動】

ここが空の上で、船の中で
世界が違えば前提も違うけど、それを一番感じる世界の気がする、ね

よろしく、ロア。大いに頼らせてもらう

【戦闘】【pow】【蒼水銀の魔剣】を使用
「……相手はたくさん。……お互い、戦闘スタイルが全然違う、補いあっていこう、か」
魔剣とそれを振るう使い手……とはまた違った対等の関係
新鮮な感じで、少なくとも悪い気はしない
彼のスピードを殺すような攻撃はこちらで受け止め、互いの長所を生かす
私は頑丈な相手を優先して狙う。魔剣の一撃は鎧を砕き、命を奪う。受ければただでは済まない

「これなら、倒しやすい」
ロアが敵を凍らせてくれたらしめたもの、魔剣の全力でなぎ払う


ロア・ネコンティ
【SPD // リシェリアさん( f01197 )と行動する】

チョコを贈る心を阻み、チョコ好きを敵に回す所業。
極悪です。甘党2人で乗り込みます!

・基本戦術
右手にタガー・左手に精霊銃
先行し精霊銃から氷属性の魔法を打ち出し敵を凍らせて足止め。身軽さを活かして攻撃をかわしながら[シーブズ・ギャンビット]を使い凍った敵を砕いてゆきます。

・仲間のサポート
リシェリアさんに敵の触手が伸びたら即精霊銃で凍らせます。代わりに僕はパワーが無いので力勝負は彼女に任せます。

・敵相手には
さあ、泥棒ねこを相手にして贋作に惑わされたりモノを奪えたりするとでも?考えが甘いね。お前らを倒して、お宝を奪い返してやる!



 ライズランド号、農業プラントの中。
「カハッケハッ」と、嫉妬にまみれた嫌味な笑い声を立てながら、黒いぶよぶよ集団が、暴れて壊して大騒ぎ。
 それを止めるため、空虚を抱く者たちの仮宿から、二人の猟兵がやってきた。

 一人は、童話の魔法使いの様な、温かみを感じるファンシーな衣装を纏うケットシー。
 艶やかな白い毛に、綺麗に透き通る青い瞳が印象的だ。
「チョコを贈る心を拒み、チョコ好きを敵に回す所業。極悪です」
 実は泥棒ねこなロア・ネコンティは、怒りを抱いた。
 彼の信条は、悪党からのみ宝物を盗むこと。
 そして何より……心を踏み躙る悪党が大嫌い。
 そんな彼には、キャプテンラブリーマリーの嫉妬に満ちた暴挙は、許せるものではなかった。
 かさりと音が鳴り、ロアの隣に一人の少女が歩み寄る。
「ここが空の上で、船の中で。
 世界が違えば前提も違うけど、それを一番感じる世界の気がする、ね」
 彼女は、同じ旅団からやって来たもう一人の猟兵だ。
 白磁の肌に、白銀のセミロングが、緑色の農業プラントの中で良く目立つ。
 そして綺麗な蒼い瞳が、黒いぶよぶよ集団をじっと見つめていた。
『蒼水銀の魔剣』、リシェリア・エスフィリアだ。
「よろしく、ロア。大いに頼らせてもらう」
「こちらこそ! あの極悪人たちを倒しましょう!」
 そして二人は、ぶよぶよ集団を退治しに走り出した。

「……相手はたくさん。
 ……お互い、戦闘スタイルが全然違う、補いあっていこうか」
「勿論です、サポートは任せて下さい!」
 片や、黒騎士にしてフォースナイトのヤドリガミ。真正面から、鎧ごと敵を葬るだけの力を持つ。
 片や、シーフにして精霊術師のケットシー。身軽で速さを生かし、精霊たちの力を借りて立ち回る。
 確かに二人は、戦闘スタイルが全然違う。
 しかしながら、それは相反するものでは無く……。

「当たらないよ!」
 ロアがダガーと精霊銃を持って先行する。
 ぶよぶよ集団はうごうごと触手を振り回すが、ロアは身軽にそれらを躱していく。
「こっちだ!」
 そして反撃と言わんばかりに、精霊銃から氷属性の魔法を打ち出す。
 特殊な加工をされた精霊銃は、彼の魔法を増幅させ、音もなく射出する。
 パシン! と氷の魔法が着弾する……。
 と、空気が凍って氷柱が現れる。
 何体も巻き込まれ、カチンコチンに凍ってしまった!
 直後。
「これなら、倒しやすい」
 リシェリアが踏み込み、魔剣の全力を解放して薙ぎ払った。
 バギィン! と氷の砕ける透き通った音と共に……ぶよぶよは砕け散った。
 しかしまだまだ敵は居る。二人は再び、ぶよぶよ集団に対峙した。

(魔剣とそれを振るう使い手……とはまた違った対等の関係。
 新鮮な感じで、少なくとも悪い気はしない)
 リシェリアはそんな風に思いながら、戦っていた。
 使い手と使われるモノではなく……共に肩を並べて戦う戦友として、二人はお互いの長所を生かすように戦っていた。
 ロアは凍らせ足止めをし、リシェリアが動きやすいようにセットアップする。
 一方リシェリアは、ロアのスピードを殺すような重く強い攻撃を受け止め、特に頑丈そうな相手を優先して狙う。
「キシャアアアアアアアアアアア」
 中々上手い事いかない! と嘆くぶよぶよ集団は、息の合った二人を見て怒りに怒った。
「キシャアアアアアアアアアアア」
 お前らもバレンタインデーを待ち望むカップルか!?
 それとも幸せを見せつけに来たってのか!?
 うおおおおおおおおおおおおリア充爆発しろォ!
 ……言葉を喋れていたなら、発声器官を持っているなら、彼らが言ったのはこんな所だろう。
 周りに対する嫉妬で歪みに歪んだ認識の中では、男女が並んで立っているだけで嫉妬の対象になるのだ。
 あんまり怒るモノだから、ぶよぶよ集団は自身の全力を用いて偽物を作り出し、同時に触手を振り回した。
【精巧贋物】&【妬心の暴虐】!
 そこで作り出されたのは……リシェリアの持つ魔剣!
 ヤドリガミの本体を模した偽物を作るとはなんたることか。
 そしてぶよぶよ集団の触手が、ロアの足、目、服、リシェリアの髪、腕、胸……そんな嫉妬を向けうる所に殺到する。
 しかし……。
「さあ、泥棒ねこを相手にして贋作に惑わされたり、モノを奪えたりするとでも?
 考えが甘いね!」
 身軽なロアには、それさえも届かない。
 ダガーを一閃して触手を切り払い、精霊銃で再び氷属性の魔法を放つ。
 氷の魔法は、リシェリアの方へと向かった触手を凍らせ、動きを止める。
「私の偽物なんて……作れるわけもない」
 一族の執念が生み出した奇跡の一刀。それこそがリシェリアの本体。
 そんなものを、簡単に真似られるはずはなかった。
「―――行くよ」
 剣より放たれる水銀の刃が、ぶよぶよを切り飛ばした。

 息の合った二人のコンビ。
 彼らのお陰で、ぶよぶよ集団はかなりの打撃を受け、半壊した……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マルグリット・エーレ
敵【POW】を誘発させる私のないすばでーとか、ルックスがあぶない!
ユーベルコード、ヒロインピンチでドローンを飛ばしつつ、実況配信。だって、わたしかわいいからね。私のかわいい活躍、見たい人が多いと思うので。

あ、このフリフリ衣装も羨ましい?わかる。たまに鏡見ると私可愛すぎてやばいなっておもう…って、あー!お客様あー!あー!いけません、やぶいてはいけませんあー!!

とかなんとかやりながら、やることはフィジカル。スプーン型ロッドで撲殺。ホームラン。

正直なところ、えっと、きゃぷてんだぶりーばぶりーさん?の動画配信を私が食っちゃう可能性あるけど、ごめんなさいね。ほら、私ってば可愛いから。仕方ないことなの。


西院鬼・織久
【POW】
【心情】
食糧は大切です
ダークセイヴァーでは調達も容易ではない
俺にとっては最上級の謝礼です
今回は俺としても我等としても
餓えを慰める良い機会になりそうですね

【戦闘】
「殺意の炎」で「範囲攻撃」
当たった敵に「ダッシュ」で接近、周りごと「範囲攻撃」「なぎ払い」
そこでまだ生き残っている敵には「二回攻撃」「傷口をえぐる」で追撃
生き残った対象が複数いるなら「殺意の炎」の「範囲攻撃」
終われば別の対象を狙う
敵が素早いなら「残像」「フェイント」で撹乱
「串刺し」で縫い止め叩く
防御力が高ければ「鎧無視攻撃」「鎧砕き」

敵の攻撃は「見切り」で回避
狙えるなら「武器受け」で防ぐと同時に「カウンター」


フロッシュ・フェローチェス
相手方の理由は毎度、呆れさせてくれるね。ノータリンしかいないのか。
一般のキマイラの方がもう少し考えて動くよ……。

気が付いてない内に、銃か伸びる短刀で【先制攻撃】を仕掛けたいところ。
気が付いているなら先手を譲って、敢えて回避してから数体を【早業】の蹴りで葬るか。

……船内で戦うなら、ただ【ダッシュ】してばかりじゃあだめだね。壁を走る、天井を蹴る【地形の利用】が活かせそうだ――「速さ」を工夫しよう。
反撃で何作るか知らないけど、アタシの武装を模倣して……で使えるの?

あとは錯乱しながら【フェイント】と【残像】で攪乱しながら、一体を誘き出し――【選択したUC】を使って、奴自身を集団へ向けて叩き込んでやる。



「食糧は大切です。ダークセイヴァーでは、調達も容易ではない」
 農業プラントに入り、西院鬼・織久は呟いた。
 真っ白な肌に漆黒の髪……そして爛々と光る赤い瞳を持つ、ダンピールの猟兵だ。
 そんな彼にしてみれば、農業プラントから食糧を貰える、というのは、非常に魅力的だった。
「俺にとっては最上級の謝礼です。
 今回は俺としても我等としても、飢えを慰める良い機会になりそうですね」
「それにしてもさ」
 ふと、織久の隣から声がした。
 フロッシュ・フェローチェス。少し大きな右眼が特徴の、キマイラの猟兵だ。
 右眼以外は殆ど人間にしか見えないが、体内はそうでは無く……『疾咬の神速者』の名に相応しい、凄まじい速度で戦場を駆けまわる。
「相手方の理由は毎度、呆れさせてくれるね。
 一般のキマイラの方が、もう少し考えて動くよ……」
 彼女は言葉通り呆れたように、そう言った。
 彼女が念頭に置いているのは、キャプテンラブリーマリーの映像だ。
 バレンタインデーがムカつくから今からカカオを盗んで台無しにする、なんて……確かにアホとしか思えない。
「まあいいじゃない。あの動画配信なんてすぐに超えちゃうからさ」
 もう一人、後ろから猟兵が現れた。
 あまーい香りが漂う、灰色の髪のフードファイター。マルグリット・エーレだ。
 アイドルチックなフリフリ衣装が、農業プラントの中ではよく目立つ。
「それじゃ行きましょ」
 彼女の言葉と共に、三人の猟兵はぶよぶよ集団を倒すため、突撃した。

 まず先行したのは、織久だった。
「我等が怨念尽きる事なし」
 彼の言葉とともに現れたのは、黒く禍々しい炎!
 自身に宿る怨念と殺意が籠った、恐るべき炎だ。
「……燃えろ」
 黒い炎が、ぶよぶよ集団を覆うように飛んでいく。
 どうっ、と、辺り一面を燃やしていく。
 農業プラントの中で炎を使うのは危険だ……が、彼にとっては全く関係なかった。
 炎は、彼の意のままに消す事が出来る。植物に燃え移りそうなら、そこだけを消せばいいのだ。
 そして彼は、炎が当たった敵にダッシュで接近、肉薄する。
 そこで取り出したるは、様々な闇器。西院鬼伝承武器の総称で、多種多様な武器がある。
 それらを自在に操り、彼は範囲ごと薙ぎ払う。
「キシャアアアアアアアア!」
 ぶよぶよ達は、理不尽なまでに強い攻撃に叫ぶ。
 両手に花持ちやがって! チクショウ、負けたくない!
 ……恐らくぶよぶよ集団はこのような事を言い、反撃をしようとする……が。
 返す刀で飛んできた攻撃が、傷口をえぐるように入り……絶命した。
 辛うじて生き残ったモノもいる。
 そいつらが織久を狙い、嫉妬まみれの触手を伸ばす。
 しかし、織久の方が数十倍も場馴れしていた。
 攻撃を完全に見切った彼は、攻撃を綺麗に武器で受け止める。
「キシャアアアアアアアアアアア」
 殺れる、殺れるぞォ!
 ぶよぶよ集団は実力差が分からぬままにそんな風に叫び、押そうとする。
 しかし、その一瞬の動きの変化……それを縫うかのように、織久が見事にカウンターを決めた!
 一閃。
 触手は一文字に斬られ、倒れた。

 一方、フロッシュは船内をダッシュし、敵の隙を伺っていた。
(……船内で戦うなら、壁を走る、天井を蹴る、という風に地形が利用できそうだ。
 ――速さを工夫しよう)
 彼女はうまく地形を活用し、縦横無尽に飛び回っていた。
 そして織久がぶよぶよ集団に攻撃を仕掛け、相手の気がそちらに逸れたその瞬間……。
「今だ」
 フロッシュは凄まじい速度で飛び出し、ぶよぶよ集団に先制攻撃を仕掛けた。
 刀身が伸び縮みする短刀・碧穿炉を使って、ぶよぶよを切り裂いていく。
「カハッケハッ」
 ぶよぶよは謎の笑い声をあげながら、フロッシュの武装を模倣する!
 そこで作り出されたのは、彼女が攻撃に用いた碧穿炉だった!
「……アタシの武装を模倣して……で、使えるの?」
「キシャアアアアアアアアアアア」
 フロッシュの言葉に怒ったのか、ぶよぶよは碧穿炉を振り回した。
 しかし。
 ウィンウィン言いながら刀身が勝手に伸び縮みし、思うようには動いていなかった。
「アタシ専用なんだから、無理に決まってるよ」
 フェイントと残像を駆使して攪乱し、フロッシュはその一体を誘き出す。
 そして……。
「機械ブーツ可変完了。目視なんてさせると思う?
 ――飛べ」
 20分の1秒という恐ろしく短い時間で、フロッシュは誘き出した一体に肉薄した。
 そしてさらにそこから、70分の1秒という神の領域に達した速度で蹴撃!
 ありえない神速の攻撃を受け、その一体は弾丸のように飛び、集団へぶち込まれた!
【刹砲『トリニダード・スコーピオン』】。速度を追及する、彼女ならではのユーベルコードだ。

 そしてそんな二人の猟兵が猛威を振るう戦場の中。
(嫉妬する生命体が狙ってきそうな私のないすばでーとか、ルックスがあぶない!)
 そんな事を考えながら、マルグリットはユーベルコードを展開した。
【ヒロインピンチ】! 動画撮影ドローンを召喚し、マルグリットが戦うシーンを生配信する!
 彼女の後ろでは炎が舞い上がり、目にもとまらぬ速さで攻撃が飛び交ってポーンとぶよぶよが飛んで行ったりと、天然の騒がしいエフェクトが沢山あった。この放送はとても盛り上がりそうだ。
 とことこと歩いてきたマルグリットに気付き、まだ生きていたぶよぶよ集団が彼女へと殺到する。
「キシャッカハッケヒャッ」
 アイドルのように可憐な彼女を見て、ぶよぶよたちは何だかいやらしい笑い声を立てた。
 ないすばでーにフリフリ衣装、そして漂ってくる甘い香り。
「あ、このフリフリ衣装も羨ましい? わかる。たまに鏡見ると私可愛すぎてやばいなっておもう……。
 って、あー! お客様あー! あー! いけません、やぶいてはいけませんあー!!」
 欲望に塗れた無数の触手が、彼女を襲う!
 ヤバい! このままでは放送できなくなってしまう! しかし余りにきわどく再生数はうなぎのぼり!
 衣装が破け衣服の破片がひらひらと舞う……!
「やーめーなーさーい!」
 どーん。
 服が破けてパワーアップしたスプーン型ロッドで、ぶよぶよを殴って殴って殴りつけていく!
「正直なところ、えっと、きゃぷてんだぶりーばぶりーさん? の動画配信を私が食っちゃう可能性有るけど、ごめんなさいね」
 多分これっぽっちも謝るつもりもない感じで呟きながら、マルグリットがドローンの方を向いた。
「ほら、私ってば可愛いから。仕方ないことなの」
 ぽーん、と最後の一体を吹き飛ばす。
 逆転サヨナラホームラン! 歓声が沸きに沸く。
 農業プラントを襲っていた黒光りぶよぶよ集団共は、猟兵の活躍により全滅した!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『キャプテンラブリーマリー』

POW   :    今、乙女に対してなんて言ったオメェ?
【年齢を言われる等してガチギレモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ラブリー♡スレイブショット
【ウィンク♡】【投げキッス♡】【可愛いポーズ♡】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    ラブリー♡オンステージ
【渾身の自作ラブソング】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は暴星・メテオです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アイドル海賊逆ギレ!
「ッキィィィィィィィィィィ~~~~!!」
 自分の船に居たキャプテンラブリーマリー。
 彼女は、ドローンを通して映し出されていた、農業プラントの様子を見て……声にならない叫び声を上げた。
 彼女が送り込んだ醜き嫉妬の生命体は、猟兵たちの活躍により全滅。
 そしてなんと猟兵の一人がその様子を撮影して生放送……物凄い再生数を叩き出した。
 あろうことか、キャプテンラブリーマリーの放送の数倍……いや数十倍か? 最早比較にならないほどの再生数だ。
 ……ラブリーマリーは激怒した。
 必ず、かの天香国色のアイドル猟兵と……醜き嫉妬の生命体を倒した猟兵を除かねばならぬと決意した。
 ラブリーマリーにはアイドルを自称しながらアイドルが分からぬ。けれども可愛いものに対しては、人一倍敏感であった。
 ……だって自分より可愛い物が許せないもんね!

 一方、そんな様子を見ながら、青あざがあったりボコボコにされた形跡がある男たちが、ひそやかに話し合った。
「船長が怒り狂ってる」「だって見てみろよこの放送」「うおーすっげえ、語彙が無いから表現できねえけどすっげえ!」
「シャーラップ! アホ部下共! 口を閉じな!」
 怒り心頭に発したラブリーマリーが、ぴしゃりとそんな事を言うが……やはり部下たちは聞かず、喋りつづける。
「私はこのケットシーとヤドリガミの二人組の猟兵が好きだな。息が合ってて良いコンビだ、綺麗な連携だった」「僕はダンピールとキマイラの子かなあ。炎を操る漆黒の騎士に、神速の猟兵! クールだねえ」「俺は断然このマルグリットちゃんだな! 触手にやられそうになるシーンが最高に……最高に良かった!」 
 ……瞬間、ブチッ、と血管が切れる音がして、アホ部下三人衆は黙った。
 背筋を凍らすほどの、絶対零度の空気が辺りを包む。
 アホ部下三人衆は、恐る恐る船長の方を見た。
「…………ッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」
 ガチギレにガチギレを重ねたラブリーマリーの怒りは、オーバーフローして絶対零度の領域に突入していた。
 最早声さえ出ないほどの怒りで、なんか般若を超えた凄まじい形相となっていた。
「……超ガチギレモードだ」「……逃げた方がいいんじゃね?」「……やべぇよ、俺たち死んじゃうよ!」
 アホ部下三人衆は、そそくさと退出した。
 怒髪天を衝くどころか世界をぶっ壊しかねない勢いで怒った彼女は、それにさえ気づかなかった。
「……許さない……一番可愛いのはアタシなんだぞ……!」
 彼女は八つ当たり……いや、ある意味正当な怒りをぶつけるため、ライズランド号へと降り立った。
マルグリット・エーレ
引き続きユーベルコードで動画配信しといたろっと。
ちなみに破けている服はそのまま。衣装の下はデンジャラスなやつ(何が?)

色々ギリギリかもだけど、そこはほら、他のみんなのユーベルコードとか、なんかこう不思議な光とかで?あとは、ドローンの【撮影】技術でね、こうちょいちょいっと最適なカメラアングルで、私の活躍ついでに他のみんなの活躍も。

ほーら、みんなー一緒にイェーガー応援しようね~♡いぇーがーがんばえ~!!

……あ、キャプテンロンリーメリーさんは、見切れてるから、安心して。やっぱ、ほら、みんなみたいのは、かわいい私の活躍だと思うし?

しょうがない。一番可愛いの私だし?ごめんね?可愛くって♡(ばちこーん


西院鬼・織久
【POW】
【心情】
先程の敵では物足りぬ
血飛沫もなく肉もろくに手応えがないとあっては逆に餓える
強き敵こそ良き糧となる
さあ、死合うとしよう

【行動】
自身は無駄に素早く動かずゆっくりと確実に
敵の攻撃やその前兆を「見切る」
防御・回避の時も常に攻撃に転じる機会を狙う

【戦闘】
「先制攻撃」は「影面」を使用
「怪力」でこちらに引き寄せ「串刺し」で縫い留める
更に「二回攻撃」「傷口をえぐる」で追撃
拘束から逃れようとしたら「なぎ払い」「範囲攻撃」で牽制

敵からの攻撃を「見切り」「残像」や「フェイント」回避
攻撃が空ぶった隙を狙って「カウンター」
または「怪力」で「武器受け」して跳ね除け「カウンター」


リシェリア・エスフィリア
【ロア・ネコンティと行動】
体調は、平気?カロリー摂取ならチョコ、あるけど。
……でも、楽しみは、後にあった、ね
勝って、解決しよう。大詰めも、よろしく、ね

【戦闘】
【pow】
【蒼水銀の魔剣】使用

速度に反応する相手だ、ロアの速さなら目を引くに十分。
……囮役を任せる以上、私ができることは速やかに結果を出すこと
……敵の注意がそれたら、協力して、全力の一刀。

私にも氷花弁を操る【魔術師の記憶】があり、氷の魔力の制御は慣れてる
ロアから受け取った災害級の氷の魔力……制御してみせる。
氷嵐を魔剣に収束し、一閃。

防具を打ち砕き、傷は爛れ、生命力を奪い去る、それが魔剣の一撃。
それに氷の魔力が加われば…!


ロア・ネコンティ
【WIZ / リシェリアさん(f01197)と行動】

リシェリアさんは剣、僕は盾。
盾は3次元を自由に跳び回る。

・基本
敵の攻撃は僕が受け、その隙にリシェリアさんに攻撃してもらう。SPD攻撃はなるべく見ない。WIZ攻撃はしっぽで敵の鼻をくすぐって妨害。POW攻撃は囮となり[武器受け]で耐える。

・2人必殺技
[エレメンタル・ファンタジア]氷魔法を僕の生命力と共に、リシェリアさんの魔剣に吸わせて纏わせる。剣を振るう度に爆発的な雪のつむじ風を起こして氷結させる、必殺技です!

・↑を受けた敵に
[言いくるめ]貴女はとても可愛らしいですよ。だから怒った顔はいけない。頭が冷えたら、盗んだものを置いてお帰りくださいね。



「あ~っはっはっはっはっは!」
 ぶよぶよ生命体の一掃されたライズランド号。その中で、ふと甲高い哄笑が響き渡った。
 猟兵たちの視線は思わずそちらの方へと向く。
 そこに居たのは……青筋ピクピクなキャプテンラブリーマリーだった。
「アタシより強くてカッコよくて可愛くて素敵で賢くて魅力的な奴なんて、居ていいはずがないの……! アンタたちを全員倒せば、ここに居る人間で最も魅力的なのは、必然的にアタシ……!」
 中々に詭弁的な事を言い、その視線を、武器を、猟兵たちへと向ける。
「……愚民共! アタシが直々に叩き潰してあげる!」

「先ほどの敵では物足りぬ、と思っていた所だ」
 闇器を持ち替えながら、西院鬼・織久は呟いた。
「血飛沫もなく肉もろくに手ごたえがないとあっては逆に飢える。
 強き敵こそ良き糧となる」
 織久は闇器を構え、じっと敵を……ラブリーマリーを見据えた。
 彼の隣では、リシェリア・エスフィリアとロア・ネコンティが話していた。
「体調は、平気? カロリー摂取ならチョコ、あるけど」
「大丈夫です。全然平気です」
 気遣うリシェリアに、ロアが笑って返す。
 リシェリアもつられて、微笑んだ。
「……そう、良かった。それに、楽しみは、後にあった、ね。
 勝って、解決しよう。大詰めも、よろしく、ね」
「はい。リシェリアさんは剣、僕は盾。頑張ります」
 そして、そんな三人の少し後ろに、マルグリット・エーレが居た。
 先ほどの戦闘から続けて、ユーベルコードでドローンがひらひらと空を舞っている。勿論、今もまだ動画配信が続いている。
 ……そしてこれもまた勿論、マルグリットの服も破けたまま。
 勿論、映しちゃアウトになりそうな場所は、きちんと映さないようにしている。
「よーし、撮っちゃうぞ。ほーら、みんなー、一緒にイェーガー応援しようね~♡
 いぇーがーがんばえ~!!」
 ドローンに向けてスマイルを決め、マルグリットが言う。
 カメラの向こうの動画で、様々なコメントが飛び交ったのは言うまでもない。
 撮影ドローンに気付いてキャプテンラブリーマリーが少し反応したが、ドローンは見向きもしない。
「……あ、キャプテンロンリーメリーさんは、見切れてるから、安心して。やっぱ、ほら、みんなみたいのは、かわいい私の活躍だと思うし?」
「なっ……この小娘!!!!! アタシはキャプテンラブリーマリーだ!!!!」
「いいじゃないそんな細かい事。一番可愛いの私だし? ごめんね? 可愛くって♡」
 怒るラブリーマリーに、キュート感満点のウィンクが飛ぶ。
 怒髪天を衝く。
「……ッキィィィィィィィィ~~~~~~!!! ブ・チ・コ・ロ・ス!」
 キャプテンラブリーマリーがガチギレモードに入り、猟兵たちに突撃していく。
「さあ、死合うとしよう」
 武器を構え相手の動きを見据えながら織久が言い……。
「僕は盾。3次元を自由に跳び回る」
「よろしく、ね。注意がそれたら、協力して、全力の一刀……」
 ロアは飛び、リシェリアは刀を抜きながらアイコンタクトをし……。
「第二ラウンド撮影開始っ!」
 マルグリットがそう宣言し……戦いの火蓋は切られた。

 散々煽られてガチギレモードに入ったキャプテンラブリーマリー。
 彼女はひたすら、早く動く物を無差別に攻撃し続ける。
 四人の中で最も早いのは……ロア。
 彼は縦横無尽に跳び回り、ラブリーマリーの注目を一身に集める。
 そしてその行動を……織久がじっと観察し、隙を捉えた。
「……何人たりとも死の影より逃れる事能わず」
 瞬間、闇器から黒い影が放たれ、ラブリーマリーに命中した。
 そして爆発。爆炎が辺りを包む。
「……ッチィ!」
 しかしガチギレモードのラブリーマリーは、その攻撃を平然と耐えた。
「……これで終わりではない」
「何言って……ハッ!?」
 ラブリーマリーと織久は、影の腕で繋がっていた。
【影面】。黒い影が命中した対象を爆破し……更に互いを影の腕で繋ぐ、二段構えのユーベルコードだ。
 織久は怪力を生かして彼女を引き寄せ……闇器で拘束。
 更に返す刀で傷口をえぐるように追撃を入れた。
 間髪入れぬ、流れるような連撃だ。
「ッアアアアアアア! 邪魔だ!」
 しかし超耐久を得たラブリーマリー、中々倒れない。
 拳を握りしめ、織久へと殴りかかる……が、彼は武器で受け止め、カウンターを叩き込んだ。
 空中に、仄かに血の花が咲く。
 彼女は恥も外聞もかなぐり捨て、憤怒の形相で織久を投げ飛ばす。
「……ッ、我等の膂力を超えるとは」
「ハァ……ハァ……アタシが一番なんだよ……!」
 ラブリーマリーは織久に追撃しようとするが……そこにばちこーん、と邪魔が入った。

 スプーン型ロッドを持ったマルグリットの乱入だ!
「ほーら、みんなが見てるよ~。いぇーがーがんばえ~!!」
「あっ……アンタは……こんなとこでも……!」
 撮影用ドローンを見たラブリーマリーは、怒りの矛先をマルグリットに変えた。
 自分の再生数を大幅に超えたアイドルアイドルしている猟兵……許せるはずもない。
「ほら、そんな顔してたらダメだよ。笑って笑って? アイドル海賊なんでしょ?」
「なら見せてあげようじゃない……ホラ!」
 するとラブリーマリーは、突如としてキラッキラなアイドルポーズを決めた。
 中々ドスの効いたウィンク。押せ押せな投げキッス。可愛いは可愛いが何とも言えない可愛いポーズ。
【ラブリー♡スレイブショット】!!
 カワイイオーラが全身から溢れ出て……目の前に居たマルグリットはモロに影響を受けてしまった!
「お……おう……なんかこう……凄い……」
 謎の力によって撮影用ドローンも操作不能に陥り、マルグリットの配信は突如として終わりを告げた!
「くく……あ~っはっはっはっは! よおし! アタシもまだまだやれるって訳ね!
 でもとりあえず……アンタは……こうだ!」
 ラブリーマリーがマルグリットを追撃する。拳が振り下ろされる……。
 が、鋭い音と共に、拳は止まった。

「貴女のお相手は、僕がしますよ。僕と、リシェリアさんで」
 拳を受け止めたのはロアだった。織久やマルグリットが戦っている間、ある技の準備をしていたのだ。
 彼はそのまま相手の足を止めるように氷魔法を打ち、距離をとった。
「リシェリアさん、今です!」
 氷の花弁が空を飛び、リシェリアがそれを受け取る。
「……分かった。行くよ」
 ロアの生命力と氷の魔力が詰まった花弁。
 リシェリアはそれを魔剣に吸わせた。
 小さい姿で災害級の氷の魔力を秘めているそれを……。
(私にも魔術師の記憶があって、氷の魔力の制御は慣れてる……
 ロアから受け取ったこれを……制御してみせる)
 リシェリアは、その膨大な氷の魔力を……氷の嵐として顕現したそれを、魔剣に収束させる。
「……何、何してんのよ……!」
 恐ろしい魔力を得た魔剣を見て、ラブリーマリーは怯んだ。
 しかし足元が凍っており、動こうにも動けない。
「――行くよ」
 一閃。
 リシェリアの魔剣から……氷の嵐が放たれた。
 防具を打ち砕き、傷は爛れ、生命力を奪い去る、それが魔剣の一撃。
 そして属性と自然現象を合成させた現象を発動させる、大いなる魔法。
 その二つが組み合わさった、恐るべき一撃は……。
「ゥウアアアアアアアアアア!」
 やすやすと、ラブリーマリーを吹き飛ばした。

 もはやラブリーマリーは、戦闘できるような状態では無かった。
 衣装はあっちこっちが破れ、化粧は落ち、血が出たりあざが出来ている。
 そのうえあれほど強大な力を見せつけられては、心が折れるというものだ。
 ロアはその瞬間を見逃さなかった。
「ぐべえ~~~~~~~」
 地面に倒れて呻くラブリーマリーに近付き、ロアはそっと囁いた。
「貴女はとても可愛らしいですよ。だから怒った顔はいけない。
 頭が冷えたら、盗んだものを置いてお帰りくださいね」
 そうしてロアは、微笑みを向けた。
「…………!」
 ラブリーマリーは彼の微笑みを見て何を考えただろうか。
 髪やらまつげやらに氷の破片がくっついており、物理的に彼女の頭は冷やされていく。
「……っふ、ふん! 仕方ないわね、見逃してあげる!
 アタシは負けてないからね、負けてないからね!!」
 そう言い残すと、ラブリーマリーはぱたぱたと自分の船へと逃げ帰っていった。
 ……盗まれたカカオは、箱詰めにされてポイっと船から投げ出された。
 特に品質に問題なし。盗まれたままのカカオだった。

 これにて、ライズランド号には平和が訪れた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『農耕プラントで作物収穫!』

POW   :    とにかく大物狙い! デカそうなのを収穫する。

SPD   :    素早く収穫して量を確保する。

WIZ   :    品質を見極めおいしそうな作物を収穫する。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●自由な時間
 海賊、キャプテンラブリーマリーを撃退した猟兵の君たちは……ライズランド号からの謝礼として、農業プラントから色々とっていい権利を貰った!
 大物をがっつり収穫してもいいし、あちこちを素早く駆け回り、量を沢山確保してもいいだろう。知識や目に自信があれば、品質を見極めて収穫なんていう芸当も可能に違いない。
 そして嬉しい事に、ここには調理器具が完備されている。
 取ったものをその場で食べてもいいし、調理してもいい。
 ……自由に過ごせ。君たちはその権利を勝ち得たのだから。

 勿論、帰って来たカカオを使っても構わない。
 チョコレートを作れるだけの材料も、機材もここにはあるのだから。
マルグリット・エーレ
【POW】で大物狙い。だって、大きなのって、それだけで人目を引くでしょう?うん、インスタ映え。どでかいかぼちゃとか、そういうのって、大きいだけで面白いし。
それに、その隣に小柄で可愛い私。うん、いいよね。さながらミニチュアの世界に紛れ込んだ美少女フィギュアというところよね。
そろそろ私のフィギュアが発売されてもおかしくないと思う。

なんか甘そうな果物もらってから、それを食べてユーベルコードで身体能力強化してから探しましょ。
どでかい大物のかぼちゃを見つけたら、一緒にパシャリっと。
うん、なかなかいいのでは?

問題はあれよね。この南瓜、どうすんのって……ハロウィン来るまでお預けしとく?なんて。投稿してお終い



「大物狙うぞー」
 農業プラント内で決意に溢れたマルグリット・エーレ。
 彼女は言葉通り、大物を狙う事にした。
「だって、大きなのって、それだけで人目を引くでしょう? うん、インスタ映え。どでかいかぼちゃとか、そういうのって、大きいだけで面白いし」
 ハロウィンで街中にあるようなかぼちゃを、想像内で数倍に膨らましてみる。
 その隣にマルグリットを立たせると……不思議な国に迷い込んだようにも感じるだろう。
「うん、いいよね。さながらミニチュアの世界に紛れ込んだ美少女フィギュアというところよね……そろそろ私のフィギュアが発売されてもおかしくないと思う」
 彼女はそう呟き、農業プラント内をずんずん進んでいった。

「ちょっと果物くださいな」
 彼女はライズランド号の従業員に、甘そうな果物をくれないかと打診。従業員は快諾し、甘さ溢れる綺麗なイチゴを彼女に渡した。
「んー、美味しい。やっぱり私は甘いもので出来てるの」
 イチゴをぱくりと食べ、彼女は美味しそうに頬に手を当てた。
 そしてフードファイターである彼女は……その美味なるイチゴにて力を得た。これで大物を引っこ抜いたり担いだりするという思惑だ。
「……ん! アレは中々……ドデカい……!」
 彼女の目の前には何やら巨大な草木が生える、不可思議な温室があった。
 温室の隣には看板が立っている。『巨大化調整作物コーナー』。
 外側から見ても、中が大変大きなものばかりだというのはすぐに分かる。十数人単位で引かねば抜けなさそうなカブ、薙刀みたいな大きさのバナナ、サッカーボールのようにまんまるいみかん……そして、とにかくデカいかぼちゃ畑。
「これもらおっと」
 温室の中に入った彼女は、ひと際おおきなかぼちゃに目をつけた。
 何という大きさだろうか。マルグリットの身長を超えるほどの高さ、車のような太さ……間違いなくこれはドデカい大物だった。
「よし、パシャリっと」
 どでかい大物の隣に立って、パシャリと自撮りを一枚。
 確かにミニチュア世界に紛れ込んだ美少女フィギュア……という感じの写真が撮れた。
「よいしょっと」
 彼女はそのままかぼちゃの蔦を切り、ずんずんと持ち運んだ。
(問題はあれよね。この南瓜どうすんのって……ハロウィン来るまでお預けしとく? なんて)
 そう呟きを投稿し、彼女はライズランド号を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
【POW】
【心情】
敵を倒した上に食糧も頂けるとは
しかし何を取れば良いのやら
焼いて食べるだけで美味い物があればいいのですが

【行動】
拠点のない放浪の身
荷物の大半は武具や薬等戦闘に関係ある物で占められる
括りつけて運べるような大物を狙う

少し切ってその場で「殺意の炎」で焼いて味見
スプリンクラーが反応しそうなら「黒椿」を熱して刀身で焼く
熱している間は「闇焔」に薄切りにした物を乗せて「闇焔」が纏う炎でじっくり炙る
西院鬼の怨念は食べ物には無害なので問題はない
西院鬼は基本敵を求めて放浪するので、調理器具を持たない派は武器を代わりにするし調理法も伝授されている



(敵を倒した上に食糧も頂けるとは……飢えを満たせそうです)
 戦闘終わって一息ついた西院鬼・織久は、少し考えた。
 目の前に広がるは農業プラント。古今東西様々な農作物を取りそろえている他、スペースシップワールド特有の調整を施しているものもある。
(……しかし何を取れば良いのやら)
 そう。織久は悩んでいた。
 取っていいものの種類が多すぎるからだ。
(焼いて食べるだけで美味い物があればいいのですが)
 織久は立ち上がった。
 行動指針を決めた彼は、作物を探し始めた。

 織久は拠点のない放浪の身。そのため荷物の大半は武具や薬など、戦闘に関係あるもので占められる。
 故に彼は、括りつけて運べるような大物を狙っていた。
「……ここは良さそうですね」
 彼が目をつけたのは、『巨大化調整作物コーナー』と書かれていた温室だ。
 中に広がるのは、巨大な作物のオンパレード。
 彼はその中から、ナスやパプリカ、カボチャなど……焼き野菜に適した作物を選んで手に取った。
 その後、闇器から『黒焔』、『黒椿』を取り出す。『黒椿』の表面を布で拭き、一方『黒焔』は地面に刺して固定する。
「我等が怨念尽きる事無し」
『黒椿』の下に、黒い炎がぼうと燃え盛った。
 ……そう。武器での野菜調理である。
 西院鬼は敵を求めて放浪するため、調理器具を持ち歩かない者たちが居る。そんな彼らは、武器を用いて即席の調理器具とするのだ。その為の調理法も伝わっていると言う。
 加えて、西院鬼の怨念は食べ物には無害であり、問題なく調理に使う事が出来るのだ。
 彼は『黒椿』が熱せられる間に、仕込みを始めた。
 手に取った作物から、小ぶりの物を一つずつ選び、スライスしていく。
 小ぶりとは言え元が大きいため、中々豪快な量だ。
 そしてスライスされた色とりどりの野菜たちを、二つのグループに取り分けていく。
 一つのグループを適当な布の上に置いたあと、彼は手元の野菜たちを『黒焔』の上へとかざした。
『黒焔』が纏う血色の炎が、野菜をじっくりと炙っていく……。
 じゅうと音を立て、野菜の表面がじわじわと色を変えていく。
 丁度良さそうな所を見極め、彼は野菜を『黒焔』から離し、口へと入れた。
「……いいですね」
 炙られて綺麗な焦げ目のついた野菜たちの、ぎゅっと詰まった甘さが口の中に溢れていく。

 気が付けば『黒椿』は十分熱せられていた。
 織久は取り置いていたもう一つのグループの野菜たちに、軽く油をかけて馴染ませた。
 そしてそれらを、『黒椿』の刀身の上に並べていく。かなりの重量を持つ『黒椿』は、刀身もまた大きく、調理に使う時には簡易的なフライパンの役目を果たした。
 熱を持った刀身に触れ、野菜たちはじゅうじゅうと音を立てる。
『黒椿』の下に灯る黒い炎の強さを調節しながら、彼はじいっと野菜を見つめていた。
 時折借りた箸を用いて、野菜の焼き色を確認する。そして良さそうなものから、くるりとひっくり返してじっくりと焼いていく。
「…………」
 焦げないように気をつけ、見守りながら……十分に熱の通った野菜は、皿に取りあげていった。
 ゆらゆらと蒸気をあげる野菜たちに塩を振り、焼き野菜の完成だ。
 彼は『黒椿』下の黒い炎を消し、野菜たちを口へと入れた。
「……これもいいですね。味が良い」
 ナス、パプリカ、カボチャ……色とりどりの野菜たちの持つ旨味がぎゅうっとつまり、口の中でほくほくとほどけていく。
 炙っても焼いても十分に美味な野菜たちだった。
 彼は残った野菜たちを荷物に括りつけ、ライズランド号の従業員たちに礼を述べ、また放浪の身へと戻っていった……

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月27日


挿絵イラスト