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息吹の竜が求めるもの

#アックス&ウィザーズ #息吹の竜『グラスアボラス』 #謎解き

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#アックス&ウィザーズ
#息吹の竜『グラスアボラス』
#謎解き


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●息吹の竜が求めるもの
 冬の寒風にさらされた夜の山々に、ふわりと大きな影が落ちる。
 巨大な影は、小さな山村の上を悠々と通り過ぎると、その裏にある広大な森の上を、ぐるりと旋回し始めた。
 短い咆哮と共に、影がぶわっと大きく羽ばたく。
 一拍置いて、ほのかに香るのは、冬に似つかわしくない、濃厚な花と緑の匂い……。
 雲間から一瞬だけ顔を覗かせた月が、影を竜の形へと鮮明に照らした。

 その竜の名は、息吹の竜『グラスアボラス』という。

 花の香りを、ふわりと纏わせたドラゴンは、森の奥の1点を真っ直ぐ見据える。
 そして、広大な森の中へ、吸い込まれるように、悠々と降りていった――。

●災厄の予兆
 グリモアベースの一角。
 そこに集まった猟兵達に向けて、ユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴーストのフードファイター・f12064)は、ぺこりと頭を下げた。
「わしはユーゴ・メルフィード。シャーマンズゴーストのコックじゃ」
 コック姿のシャーマンズゴーストは、手のひらに、ふわりとグリモアを顕現させる。
 猟兵達の目と鼻の先にあらわれたのは、アックス&ウィザーズの景色だ……。
「さっそくなんじゃが、アックス&ウィザーズのとある山村近くの森から、動物たちが一斉に逃げ出してしまう事件があってな。森にオブリビオン――息吹の竜『グラスアボラス』が住み着いてしまったことが、原因なんじゃが……」
 ……いたって、ごく普通の山村。
 けれど、ひとたび竜が活性化してしまったら、この村に危険が及ぶのは、間違いない。
 オブリビオンを倒し、遠からず訪れる災厄を阻止できるのは、猟兵達だけだ……。
「皆の力なら、グラスアボラスを探し出して倒すことは難しくないと思うが、この森は山村の人々が聖域のように大切にしておってな、なるべく穏便に進めて欲しいのじゃ」
 最初の目的は、グラスアボラスの住処を見つけること。
 この森は広い。森の中に洞窟や廃墟があって、そこを寝床にしてるかもしれない。
 また、周りの気候と反して、花と緑であふれているようだと、ユーゴは微笑んだ。
「おそらく、グラスアボラスの能力によるものじゃの。奴の居場所を探す手掛かりにも、なるじゃろうて」
 グラスアボラスは、花を成長、強化させる能力を持つという。
 他にも、何か痕跡が残されているかもしれないと、ユーゴは付け加えると……。
「グラスアボラスも理由があって、この森に留まったと思うのじゃが、森の奥に素敵な住処でも、美味しい食べ物でも、あったのかのう?」
 ふと呟いたユーゴの眼差しは、少年のように、きらきらと輝いているように見えて。
 慌てて視線を戻したユーゴは「宜しく頼むぞい」と、深々と頭を下げ、アックス&ウィザーズの世界へと、猟兵達を導く。


御剣鋼
 初めまして、御剣鋼と申します。
 このシナリオは『アックス&ウィザーズ』での冒険になります。
 冒険活劇は大好物です、どうぞ宜しくお願いいたします。

 ボス戦は第3章のみです。
 1章と2章は冒険パートになりますので、心赴くままに楽しんでください。

 1章の目的は『グラスアボラスの住処を見つける』ことです。
 調査というよりも「どうやって奴の住処を見つけようかな」の方向で考えると、
 より楽しくなるかなと思います。

●同行者について
 単独描写の希望、旅団の仲間と冒険したいなど、
 プレイングにご指定頂ければ、可能な限り対応いたします。

 ご一緒したい方がいる場合は【相手のお名前】を明記して頂けますと助かります。
 グループでご参加の場合は【グループ名】でお願いいたします。

 猟兵の皆様のプレイング、心よりお待ちしております!
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第1章 冒険 『逃げ出す動物たち』

POW   :    大胆に調査

SPD   :    慎重に調査

WIZ   :    アイテムや技能を活用

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

作図・未来
見た限り穏やかな感じの土地に見えるけれど、本当にこんなところにいるのだろうか?
グラスアボラスは平穏を望んでいる、みたいな線もあるかもしれないね。
だとすると、花や緑が多い方……より自然豊かで、穏やかな方に行くと出会えるのかもしれないな。

下手に刺激をしない方がいいかもしれないね。【目立たない】ことに長けている僕ならばゆっくり探索もできるかもしれない。
ユーベルコードも今回は使うのをやめておこう。こうやって、自然豊かな土地を自分の足で歩いていくのもたまにはいいかもしれないね。

実際に目で見るととても自然の綺麗な場所だね。
こんなところにドラゴンが本当にいるのだろうか?

(アレンジ、複数描写、歓迎です)


茲乃摘・七曜
心情
花を咲かせるですか…話に聞くだけなら素敵な技能にも聞こえるのですけど

行動:Wiz
事前に【世界知識】と【情報収集】で村人から森の事を確認
・狩猟や採取などで利用していればその場所
・森に住む動物や水場の位置、植生等の情報
森の異変を【追跡】で辿るように移動し【聞き耳】や【視力】で変化がないかを警戒
「村の人が見た事の無い植物…というか花があればグラスアボラスが近くを通った可能性がありますよね。不自然な花の匂いにも注意しておきましょう
「強大な捕食者が出れば縄張りを侵された動物が争ったり逃げ出したりすることもあるでしょうからそれにも気を配りましょう

特殊
可能ならば反響の福音をソナーのように使用し周囲を探る



●深き森に息吹くもの
 森に足を踏み入れると、頰を叩き付けるような冷たい風がぴたりと収まり、辺りは濃厚な緑の香りで満ち溢れていて……。
 けれど、木の枝々には鳥のさえずりはなく、水場にも動物たちの息吹が感じられない。
 しんと静まった森に、いち早く姿を現した2人の猟兵が、互いに顔を見合わせた。
「見た限り穏やかな感じに見えるけれど、本当にこんなところにいるのだろうか?」
「少しだけですが花が咲いてますね、間違いないと思います」
 作図・未来(朝日の死者のタンツ・f00021)が辿々しく言葉を紡ぐと、茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)は広い鍔の帽子で目元を隠したまま、口元を柔らかく緩ませる。
「村の人は、今の時期は寒風に強い薬草だけで花は咲いていない、と言ってましたから」
 この時期に森に無いという植物――花。
 ならば、花咲く場所に、グラスアボラスの痕跡があるはずだ。
「だとすると、花や緑が多い方……より自然豊かで、穏やかな方に行くと出会えるのかもしれないな」
 このグラスアボラスは平穏を望んでいる、みたいな線もあるかもしれない。
 未来は周囲を刺激をしないように、ゆっくり森奥深くへと、足を踏み込んでいく。
 生き物の気配がないとはいえ、実際に自分の目で見る景色は、とても自然の綺麗な場所で、村の人達が大切にしていることが、肌身に染みて良くわかる……。
「この足跡は森の動物が揃って逃げ出した痕跡ですね」
 村の人が口を揃えて「この森は神聖な場所なので、狩猟はしていない」と答えたことを、七曜は思い出す。
 逆をいうと、圧倒的な強者の来訪に対して動物たちは、為す術もなく逃げ出すしかなかったのだろう。
「こうやって、自然豊かな土地を自分の足で歩いていくのも、たまにはいいね」
 注意深く周囲に視線を巡らせる七曜に、未来がポツリと呟く。
 口下手で話すのは、ちょっと苦手だけど、喋るのは好きだから。
「そうですね、ただ広過ぎるというのが難点ですが……」
 この森に対して、グラスアボラスは点のようなもの。だからこそ、闇雲に探そうとすれば、すぐに体力が消耗してしまう。
 その言葉に力強く頷いた未来は帽子を被り直し、深呼吸するように、大きく息を吸う。
 七曜も少しの変化も見落とすまいと、更に五感を研ぎ澄ませた、その時だった。
(「花の香り?」)
 ふと感じた違和感に未来はハッと顔を上げ、七曜も確信を持って頷く。
「この先から不自然な花の匂いがしますね」
 これまでよりも濃厚な花の香りに向かって、七曜は素早く茂みをかき分ける。
 その背を追うように未来も慎重に足を早め、開けた視界に茶色の双眸を一瞬、細めた。

 眼前に広がるのは、色取り取りの花々……。
 その花畑は、息吹の竜に挑む猟兵達を導くように、森の奥へと伸びていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナミル・タグイール
能力的にはメルヘンで穏やかそうなのににゃー。
でもオブリビオンだし、退治しないとデスにゃ。

【POW】で脳筋ゴリ押し
素敵な住処でお宝を見つけて守ってる…とかがいいにゃー!
聖域扱いされてるならお宝がありそうデスにゃ!
お宝探しのノリでざくざく森を進みまくって意味深な遺跡とかがないか探すにゃ。
森だから【野生の勘】も役に立ったりしないかにゃ。直感を信じていくマスにゃ。
怪しい建物かお花畑を見つけるまではひたすら直進にゃ!
お花畑があったら一応周りを確認。のんびり眠くなっちゃいそうだけどにゃ。
邪魔なものはグラウンドクラッシャー!…したいけど穏便にでしたにゃ。
敵じゃなければ迂回にゃ。我慢にゃー。
アドリブなど歓迎



●深き森を突き進むもの
「聖域扱いされてるなら、お宝がありそうデスにゃ!」
 金の瞳にメラメラと闘志の炎を燃やし、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は、己の直感を信じて、ひたすら真っ直ぐ森を突き進む!
 脳筋ゴリ押しじゃあ……なんて言っちゃあいけません、脳筋だって立派な戦法ですっ!
 ……きっと、たぶん。
「にゃ! 行き止まりですにゃー」
 ナミルの眼前に立ち阻んだのは、大きな岩。
 邪魔なものはグラウンドクラッシャー!……としたいところですが、グリモア猟兵から穏便にして欲しいと頼まれたことを、ナミルは思い出した。
「迂回にゃ。我慢にゃー」
 ぐっと耐えて見せたナミルは、軽く大地を蹴り上げ、大きく伸びやかに駆け出す。
 野生の勘を研ぎ澄ませ、森の風となったナミルの鼻腔を、不意に違和感が刺激した。
「怪しいお花畑発見にゃ!」
 眼前に広がる花畑に、ナミルは注意深く視線と鼻を巡らせる。
 グラスアボラスが花畑にいる痕跡は見られない。別の場所を寝床にしているのは間違いないだろう。
(「のんびり眠くなっちゃいそうだにゃ」)
 少しだけ安堵を覚えたナミルの身体が、ウトウトと眠りの淵へと落ち始めて……。
 その時、身に纏った装飾品がシャランと鳴るやいなや、ナミルはガバッと飛び起きた。
「ここで寝たらダメにゃ! きっとオブリビオンは素敵な住処でお宝を見つけて守ってるにゃ!」
 身体と気力を大きく奮い立たせたナミルは、再び森の風になる。
 そして、その野生の勘と推測が、ほぼ的中していたことを、遠からず知ることになる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高野・エドワード
花の香りを纏わせた息吹の竜、か。興味深いね。オブリビオンでさえなければお友達になりたかったかも。…少し、残念だよ。

さて、まずは一番情報を握っているであろう動物達を探すよ。
【世界知識】で彼らが隠れていそうな所を見つけたり、【聞き耳】で耳を澄ませて声を聞く。
見つけたら【忍び足】で驚かせないようになるべく静かに近づいて、【動物と話す・コミュ力・優しさ】で【情報収集】だ。

やぁ、突然ごめんね小鳥さん。ああ大丈夫安心して。君達を傷つけたりはしないよ。
この森の何処で、一体何があったのか…知っていることを教えて欲しいんだ。

おや、逃げているときに怪我をしたのかい?任せて、僕の愛で癒してあげる♪

アドリブOK♪


シリル・アルバ
森の散策なら割と得意だし
いやいや分かってるよ、ネムス
探索、探索だよね、うん

大切にされている森はイイよね
折角なんだし荒らされないよう、荒らさぬよう頑張ろう
もも勿論、本音ですとも
決して美味しい食べ物なんだろとかついで位にしか思ってないから
はは、やだなネムスってば

さて森へ行く前に村人に森での留意点や
動物がどの方向から逃げてきたか分かればなど聞き込み

自身の森とは勝手も違うだろうけど
大事にするとこはそう変わらないだろとネムスに意見聞きつつ
村人からの留意点守りつつ慎重に探索を
季節外れの花や緑の匂いなどには特に注意

依頼も人里も慣れぬばかりなので他の猟兵が居たら心強い
けど、一人でもそれなりに頑張れる、はず


アルファ・オメガ
「がう、動物たちもたまったもんじゃないね」
本能的に逃げ出してるから安全だとは思うけど、
やっぱり住処は落ち着いた所がいいよね。

さて、と。
まずはグラスアボラス探さないと。
森を傷つけないように慎重に調査するね。
大切な聖域は大切に扱わないと。
森に入る前にはぱんぱんと手を叩いてお辞儀してから入るね。

んー、森に入ると、ボクの身長じゃ上の様子がまったくわからないね!
でもケットシーなボクなら森の茂みとか人の大きさでは通れない所とかでも、
森を傷つけずに入っていけるし、
草の陰になってて隠れてるようなグラスアボラスの痕跡も見つけやすいはず。
できる限り奥に行くぞー。

「がうー、がんばるぞー」



●深き森に守られしもの
「動物たちは、東寄りの森の奥を遠ざけるように、逃げてきたみたいだ」
 第一陣から少し遅れて、森の入り口で足を止めるのは、3名の猟兵。
 シリル・アルバ(キマイラの精霊術士・f12861)の提案で、先に村で『動物がどの方向から逃げてきたか』の聞き込みを行ったところ、有益な情報を掴むことができた。
「がう、動物たちもたまったもんじゃないね」
 村の人だけでなく動物たちにとっても、大切な聖域。なおさら大切に扱わないと……。
 アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)はパンパンと肉球を合わせると、深々とお辞儀してから、森の中へそっと足を踏み入れる。
 村の冷たい石畳から打って変わり、森の土は絨毯のように柔らかく、そして温かい。
 けれど、この森に住まう動物たちの多くは、本能的に逃げ出してしまっている。森は花と緑で覆われているのに、生き物の気配は不自然といっていいほど、感じられなかった。
 ――それでもだ。
「さて、まずは一番情報を握っているであろう、動物達を探すよ」
 逃げ遅れたり、怪我を負って隠れている動物が残っている可能性は、十分ある。
 高野・エドワード(愛のガチ勢・f00193)が、森の東寄りを重点的に調査したいと告げると、シリルとアルファは迷いなく首を縦にして、頷いた。
「森の散策なら割と得意だし……いやいや分かってるよ、ネムス。探索、探索だよね、うん」
 依頼も人里も慣れぬばかりのシリルにとって、2人と一緒の調査は、とても心強い。
 けれど、変わらず気儘なままのシリルに、傍にいた精霊が、ふわり揺れて見せて……。
「もも勿論、本音ですとも、決して美味しい食べ物なんだろとか、ついで位にしか思ってないから。はは、やだなネムスってば」
 案の定、シリルは視線を泳がせるものの、すぐに耳を立てて、五感を研ぎ澄ませる。
「大切にされている森はイイよね」
 今の時期は、森に花は咲かないと、聞いている。
 ……だからこそ、花の匂いは、特に注意が必要だ。
「んー、ボクの身長じゃ上の様子がまったくわからないね!」
 高い所の調査は背丈がある2人に託し、アルファは低い茂みを搔きわけていく。
 森を傷つけないように慎重に茂みを探ると、小さな鳥の羽根が、引っ掛っていた……。
「この小鳥さん、怪我をしているかもしれないね」
 羽根を調べようと、片膝を地面につけたエドワードが、神妙に眉を寄せる。
 もしかしたら、この近くで身を隠している小鳥がいるかもしれない。エドワードは姿勢を低くして、耳に意識を集中させる。
 そして、近くの木の根元へと忍び足で近づくと、隠れている羽根の主を驚かさないように、優しくゆっくりと声を掛けた。
「やぁ、突然ごめんね小鳥さん。ああ大丈夫安心して。君達を傷つけたりはしないよ」
 エドワードの穏やかな声色に、可愛らしい小鳥が、恐る恐る根元から顔を出す。
 怯えたまま小さく震える小鳥の身体には、薄っすらと赤色の筋が、刻まれていた。
「おや、逃げているときに怪我をしたのかい? 任せて、僕の愛で癒してあげる♪」
 ――愛は人々を救い、世界を変えるのさ! さぁ、僕の愛を受け取ってっ♪
 エドワードの優しい桃色の光を放つハートが、小鳥の傷を瞬時に癒し、元気付ける。
 身体から痛みが取り払われた小鳥は「ありがとう」と、エドワードの頭の上を嬉しそうに旋回すると、差し出された指先の上に、ふわりと優しく降り立った。
「この森の何処で、一体何があったのか……知っていることを教えて欲しいんだ」
 優しく訪ねるエドワードに、小鳥も敬意を払うように、美しくさえずる。
 ――大きな竜が、森の奥の遺跡を寝床にして、この森も縄張りにしてしまったの。
 ――遺跡は、この先の脇道を真っ直ぐ行ったところに、あるわ。
「がう、脇道?」
 小鳥が示した方向にアルファが視線を向けると、行き止まりのように、見えて……。
 森に造詣が深いシリルが行き止まりを慎重に探ると、これまたグラスアボラスの影響なのだろう、大きなツタの群生が、あたかも行き止まりのように、道を塞いでいた。
「この先はボクに任せて!」
 自分なら、森を傷つけることなく、ツタで隠れた痕跡を辿ることが出来る、はず!
 アルファは摩擦抵抗を極限まで減らすように毛づくろいをすると、ツタの隙間を掻い潜るように、ぐっと身を屈め、飛び込んだ。
「がうー、がんばるぞー」
 茶トラの毛並みに容赦無くツタが絡んでくるけれど、アルファは負けじとグイグイ前へ突き進む!
 そして、全身が葉っぱ塗れになった頃。突然、視界がぱっと開いた。
 焦茶色の瞳に映るのは、ツタが途切れた脇道と、その先に広がる、真新しい花の絨毯。
 ――そして!!
「がぅっ!」
 思わず声を弾ませたアルファは、急ぎ足で来た道を戻ると、2人に知らせる。
 3人は小鳥に礼を述べると慎重にツタの群生を搔き分け、作られたばかりと思われる花の絨毯に足を踏み入れ、同時に『それ』を見上げた。
「すごいね」
 真新しい花の絨毯の終着点にあったのは、大きな木に囲まれた石造りの遺跡。
 おそらく、村の人々が先祖代々、守ってきたものなのだろう……。
 けれど、大切に大切にされてきた場所は、息苦しくなる程の花と緑と、無数の花の香りで侵食されていて……。
「折角なんだし荒らされないよう、荒らさぬよう頑張ろう、ネムス」
 自身の森とは勝手は違うけれど、大事にするところは、そう変わらない。
 そうだろと青色の眼差しを向けたシリルに、傍の精霊も、頼もしく揺れて見せた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『奇怪な遺跡の先に』

POW   :    潜んでいる敵からの奇襲に備える

SPD   :    遺跡内を先行し安全を確保する

WIZ   :    魔力を感知し行き先を特定する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●森奥の遺跡は、花と緑と迷宮の香り
 アックス&ウィザーズの、とある山村。
 その近くの広大な森を縄張りにした息吹の竜は、猟兵たちの調査の結果、森の東寄りに隠された遺跡内部を寝床にしていることが、判明した。
「入りますね」
 遺跡内部へ足を踏み入れた猟兵達を、湿った空気と花と緑の濃厚な香りが混じった風が出迎え、彼らの頬をしっとりと撫でていく。
 息吹の竜が、この遺跡を根城にしているのは、間違いないだろう……。
「奥へ向かう道はいくつかあるな……まるで迷路みたいだぜ」
 遺跡内部は、薄暗い。
 暗闇に慣れてきた瞳を細めると、遺跡内部は迷宮のような構造になっている。
 誰かが「壁、ぶっ飛ばしてもいいか?」と呟くと、残りの猟兵たちが「やめてあげて!!」と言わんばかりに、ブンブンと首を横に振った。
「遺跡壊しちゃうと、村の人たち卒倒しちゃうから!」
「それもですが、先にドラゴンに気づかれて、奇襲されてしまう恐れが高まります」
「……あ、迷宮ってさ、ネズミとかムカデとかゴキブリとかが沢山いるイメージ――」
「嫌あああああ、オブリビオンより、いーやーだぁあああああ!!」
 
 一気に突破するか。
 あるいは、他の猟兵たちと協力しながら、素早く迷宮を突破するのも、手段の1つ。
 息吹の竜が招かざる猟兵たちに気付くのも、そう遠くない、未来なのだから――。
シリル・アルバ
ネムスなら壁とか突き抜けて竜を見つけられるんじゃ?
え、琥珀からそんなに離れられないって
……わ、忘れてたワケじゃないよ

じゃ地道に探索するか

ネムスがあまり離れられなくても、曲がり角の先をちょいと見るくらいはイケるでしょ
ゴキブリとか急に遭遇したら大声出ちゃうかもだし
そういうポイントに来たら偵察ヨロシク

花の匂いはそれほど当てにならないだろうし
野性の勘に任せて進もうかと思うケド
同行者がいて明確な方針があるなら従う心算

遺跡を荒らしたくないので戦闘は避け
襲ってきそうな奴からは出来うる限り逃げ別ルート探索
万が一戦闘になれば遺跡を荒らさぬようUCの使用はギリギリまで控え

どうせなら、純粋に遺跡見物楽しみたかったネ


ナミル・タグイール
やっぱり遺跡あったにゃ!ワクワクしマスにゃー!
早速お宝…じゃなくて龍を探さないとにゃ。
きっと一番奥に良いものがあるニャ!
邪魔な壁は全て壊して…え?駄目デスにゃ?ぐぬぬにゃ…。

・行動 脳筋思考
ナミルが最初に(お宝を)見つけるにゃー!と張り切って突撃
迷宮も何も考えずに奥に行けそうなルートをひたすら選ぶ
いつもなら壁壊して進むのににゃー。ちょっとくらいならばれないかにゃ?
…でも後で怒られるのも嫌にゃ。我慢にゃ。
完全に迷ったら周りに助けを求める

こういう遺跡は罠がつきものにゃ!とトラップを警戒しておく
罠がきたら【ミダスの手】で金ピカ無敵でやり過ごすにゃ。
落とし穴だけはやめてにゃ!

なんでも歓迎



●地下迷宮は、花と緑と罠の香り
「やっぱり遺跡あったにゃ! ワクワクしマスにゃー!」
 早速、お宝を――ゲフン!
 ……ではなく、遺跡を住処にした息吹の竜を一番手で探すため、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は弾む足取りで、迷宮の奥へ奥へと突き進む。
「どうせなら、純粋に遺跡見物楽しみたかったネ」
 その後ろに続くように、そっと迷宮に足を踏み入れたシリル・アルバ(キマイラの精霊術士・f12861)も、野性の勘を研ぎ澄ませて、注意深く周囲を見回した。
 迷宮は入口から想定していたよりも、ずっと広くて、深い。息吹の竜が住処に選んだだけあって、通路も大人数で調査できる広さを、十分持っているようだ。
 おそらく、この遺跡は地下へ地下へと潜っていく、構造になっているのだろう……。
「ナミルが、最初に見つけるにゃー!」
 ときおり、濃厚な花と緑の匂いが、2人の鼻腔を刺激する。
 周囲を警戒しながら進むナミルの足取りはとても軽く、動きを鈍らせるものではなかったけれど、その嬉々とした背中に何となく不安を感じたシリルは、ぽつりと呟いた。
「明確な方針ってある?」
「もちろんにゃ。きっと一番奥に良いものがあるにゃ! 邪魔な壁は全て壊して……」
 ――作戦と書いて脳筋ですね、わかりますっ。
 いや、それは明確な方針じゃなくって、脳筋思考って言うんじゃないのかなああ!
「ちょっとくらいなら、ばれないかにゃ?」
 ノリと勢いを乗せたナミルの金の双眸が、すうっと壁に止まる。危うし壁さんッ!
 だが、一拍置いて、首をゆっくり横に振ると、静かに拳を下げた。
「……後で怒られるのも嫌にゃ。我慢にゃ」
 いつもなら、全力物理の全力投球で挑むナミルも、ここはぐっと我慢。
 その様子に安堵したシリルは、傍に浮かぶ精霊に、そぉっと視線だけを移した。
「ネムスなら壁とか突き抜けて竜を見つけられるんじゃ? ……わ、忘れてたワケじゃないよ」
 ――シリル、お前もかッ!!
 青色の期待に満ちた眼差しに、しかし大樹の精霊は、ブンブンと首を横に振るだけ。
 ……結論。地道に探索するしか、道はなさそうだ。
「でも、曲がり角の先を、ちょいと見るくらいはイケるでしょ」
 暗闇に目が慣れてきたとはいえ、相変わらず迷宮の中は視界が乏しい。
 薄闇に包まれた曲がり角の手前。シリルは足を止め、肘でちょんちょんと精霊を突いた時だった。
「任せるにゃ、こういう遺跡は罠がつきものにゃ!」
 装飾品を多く身に着けているとは思えない身のこなしで、ナミルがしなやかに動いた。
 ――瞬間。薄闇から幾つもの銀閃が煌いて降り注ぐ。ナミルは襲い掛かるトラップを真正面から受け止めるように、右足を半歩前に踏み込んだ。
「金ぴかデスにゃー!」
 その刹那。指先まで四肢が黄金へと変わり、同時に幾つもの金属音と火花が弾ける。
 そして、無数の銀閃は乾いた音を立てて、大地へと屈した。
「大丈夫?」
 ほぼ無敵化の代償で動けなくなったナミルに、すぐにシリルが駆け寄る。
 慎重に足元に落ちた銀閃を調べると、それは全て鋭利な矢だった……。
「この先は行き止まりか……別のルートを探索した方がいいかもね」
 息吹の竜の痕跡も、奥へ奥へと進むほど、薄まっているように見えて。
 おそらく、途中で道を変えたのだろうか。2人は他の猟兵たちとの情報共有もかねて、来た道を戻るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

茲乃摘・七曜
心情
広大な大地に遺跡とは…この世界はやはり面白いですね

指針:Wiz
花の匂いと音を聞いて息吹の竜の場所を探す
「異変の元凶ですから、本来ないものを見極めてゆきましょう

行動
花がより多く生え竜の巨体が移動できそうな経路を慎重に進む
「森で見た限り通った場所に花畑が出来そうなのと…随分大きいようですから呼吸音や最悪移動している音が聞こえたりすれば居場所の検討が付くかもしれませんね
※シンフォニアとしての【聞き耳】で周囲を探り【視力】と【暗視】で花の咲き、竜が踏み潰れた形跡がないかを確認

特殊
手がかりが足りない時は反響の福音を超音波で使用し反響で遺跡構造を探る
「グラスアボラスを刺激しかねないので最終手段ですが…


高野・エドワード
ふふふっ、あぁ美しいね♪ちょっと匂いはキツイけど…折角だ。季節外れの花々を愛でつつ探索しよう。
これだけ咲いてたら僕の花(ブルースター)もあるかな?探しながら探索しても面白いかもね♪

さて、遺跡というからには心臓部ともいうべき重要な場所がある、筈。宝物があったり神聖な場所だったり。
竜の興味を引いたものもそこにあると考えるのが普通かな?
心臓部は奥まった場所、または遺跡の中心に位置するのが定石だけどこの遺跡ではどうなんだろう…(ふむ)

【世界知識】で考察しつつとりあえず匂いが濃く、花が多く咲いているように見える道を選んで進むよ。
不意の襲撃に備えて、UCはいつでも発動できるようにしておこう。

アドリブOK!


アルファ・オメガ
「がう、すごい遺跡ー!」
大きいね、すごいね!
でも遺跡さんもちょっと息苦しそうだ。
もう少し、待っててね。

がう、遺跡の中を先行して行くよ。
ボクひとりなら罠にかかっても脱出の手間がかからないだろうから、最適だと思うんだ。
何があるかわからないし、危険が危ない気もするから、
いざとなったら、体ごと滑って危険回避できるように、毛づくろいしておくね。

「がう、いくぞー」
とてとて先行する猫の図。
ぶらっく・せいばーを杖代わりにして、落とし穴とかそういうのを探るぞー。
残念ながら長さは10フィートもないけど!



●地下迷宮は、花と緑と竜の気配
「がう、すごい遺跡ー!」
 大きく背伸びするように頭上を見上げた、アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)の焦茶色の瞳に飛び込んで来たのは、花と緑と木々に押し潰されそうになっている、大きな大きな遺跡のすがた。
 左右からは木々とツタがギュギュっとサンドイッチしていて、入口からも濃厚な花の香りが嫌というほど漂ってくる。……見ているだけでも、ゲンナリしてしまいそうだ。
(「もう少し、待っててね」)
 視線を戻したアルファは、足音を忍ばせて遺跡内部へと踏み込む。
 そして、「ぶらっく・せいばー」を杖代わりにして異常がないことを確かめると、後方に続く猟兵2人を、肉球で手招いた。
「ふふふっ、あぁ美しいね♪ ちょっと匂いはキツイけど……」
 迷宮に咲き乱れる季節外れの花々を愛でながら、高野・エドワード(愛のガチ勢・f00193)は、すぅっと小さく息を吸う。
 竜の住処と化した遺跡内部は森とは違って、至るところから花の匂いが漂ってくる。
 このままずっと嗅いでいたら、むせ返ってしまいそうだ……。
「異変の元凶ですから、本来ないものを見極めてゆきましょう」
「そうだね、花が多く咲いているように見える道を選んで、進んで行こう」
 遺跡内部には、花の匂いの他にも、痕跡が多く残されている。
 アックス&ウィザーズの奥深さの一端に触れ、柔らかく口元を緩ませた茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)は、エドワードとアルファと共に、花がより多く生え、息吹の竜の巨体が移動できそうな経路を、慎重に選んでゆく。
 ――そして。
 七曜の推測通り、その先には竜の巨体が通ったと思われる花の痕跡が残されており、それによって発動したと思われる盗賊除けのトラップが、軒並み薙ぎ倒されていた。
「がう、凄いね!」
「森で見た限り、通った場所に花畑が出来そうなのと……随分大きいようでしたから」
 小さく声を弾ませたアルファに、七曜も帽子で目元を隠したまま、微笑みを返す。
 隅の方にブルースターの花を見つけたエドワードも愛しげに花を撫でると、2人の方に視線を戻して、ゆっくりと口を開いた。
「さて、遺跡というからには心臓部ともいうべき重要な場所がある、筈。宝物があったり神聖な場所だったり。竜の興味を引いたものも、そこにあると考えるのが普通かな?」
 ――心臓部は奥まった場所か、遺跡の中心のどちらか。
 この遺跡ではどうなんだろうと考え込むエドワードに、七曜は少し先にある分かれ道を指差し、慎重に近づいてゆく。
 そして、丈の長い黒服の裾を整えながらしゃがむと、しなやかな指先で地面に触れた。
「右の経路……中心部へ向かうように、花が踏み潰されたような形跡がありますね。遺跡の中心に、グラスアボラスがいるのかもしれません」 
「がう、いくぞー」
 ――善は急げ!
 七曜の言葉が終わるや否や、素早く毛づくろいを終えて見せたアルファが、先陣を切って、とてとてと歩き出す。
「ボクひとりなら罠にかかっても手間がかからないだろうから、最適だと思うんだ」
 ――ここから何があるかわからないし、危ない気もするから。
 そう、振り向かず、背中だけで語って見せたアルファは、ぶらっく・せいばーでツンツンと落とし穴を探りながら、慎重に歩みを進めていく。
「ふふふっ、よろしくね♪」
 仲間の頼もしい背中にエドワードは穏やかに瞳を細め、不意の襲撃に備えて意識を壁の方に張り巡らせる。
 猟兵としての勘が、いつ竜と遭遇してもおかしくないと、警報を鳴らしていたからだ。
「階段がありますね、慎重に降りましょう」
 中心部に差し掛かると、下に向かう階段がぽっかりと3人の前に姿を見せる。
 ここにも竜が降りていった痕跡がはっきりと残されている。七曜は息吹の竜の気配と息遣いを逃すまいと、耳に意識を集中させた時だった。

 眼前に。
 見事なまでの装飾が彫られた、大きな大きな扉が、姿を見せたのは――。
 
●地下迷宮中心部
 扉から漂ってくる濃厚な花と緑の香りに、オブリビオンの気配が明確に混ざる。
 間違いない。息吹の竜は、この先にいる……。
「がう、扉には罠は仕掛けられてなさそうだね」
 扉には、左右対称になるようにして、バラの文様が美しく刻まれている。
 赤、白、黄、青。どうやら、バラの花の部分だけ、色が塗られているようだ。
「がう、開かない……!」
 先頭で進んでいたアルファが、ぶらっく・せいばーで扉をぐぐっと押して見るものの、開く気配はない。エドワードと七曜も加わって、3人で息を合わせて扉を開けようと試みるものの、扉は頑として動かなかった。
「間近で見ると美しい扉だね♪ ……ん、これは何かな?」
 エドワードが扉の中央付近を調べてみると、文字が刻まれたレリーフがあった。

 ●●●●
 あまぐも かれると いぬは あばれて
 ふらふらに さすらう わすれ されるもの
 ●●●●
 並べ直して左端をよめ

「おそらく、扉を開けるためのヒントでしょう」
「他に方法が見つからない場合、扉を壊すことも視野に入れた方が良さそうだね♪」
 このまま、息吹の竜が遺跡に居座ってしまうくらいなら、扉を壊すなんて軽いもの。
 村の人たちも「扉だけなら……」と、大目にみてくれるだろう、たぶん。
「がうー、グラスアボラスは扉を壊してないよね? 人が集まればゴリ押しでもいけそう?」
「どちらにしても、目立つような方法で突破した場合、グラスアボラスを刺激しかねないですね……」
 どの行動が成功とか失敗とかいうものでなく、息吹の竜の初動が変わるだけ……。
 複数の意見が上がった場合や意見が割れた場合、最も優れている猟兵の行動が、採用されることになるだろう。

 ――扉を壊して、正々堂々と竜との決戦に挑むのか。
 ――謎を解いて扉を開いた場合、中に潜む竜に奇襲を仕掛けることが出来るだろう。
 ――それとも、竜の気分になって、力技で開けちゃう……? 

 決戦は間近。息吹の竜「グラスアボラス」は、すぐこの先にいる――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヴィクトル・サリヴァン
花の遺跡の奥に竜とか御伽噺みたいだね。
こういう探検はこう、ワクワクしてくるよね。

マッピング道具とランプを準備、野性の勘も参考にしつつ探索。
まあ基本は勘に頼り過ぎず罠の発動した痕とか足跡等を辿りつつマッピングし進む。
怪しげな所は銛で叩きつつ探り、矢等は銛で払い対応。
基本は遺跡荒らさないよう慎重に、最悪自分で傷受ける位の気概で。

でかい扉だねえ。んー…答えは赤いバラ触れ、かな。
上下の4つの丸が4文字ごとに区切れで、その後最初の文字を取るとそう読めるし。
グラスアボラスだって扉壊さず中に入ってるしそんな細かな手作業とかはないと思うんだよね。
壊すのはあくまで皆試した後の最終手段、で。

※アドリブ絡み等お任せ



●扉の謎
「花の遺跡の奥に竜とか、御伽噺みたいだね」
 罠の発動した痕や足跡を辿りながら、迷宮内の探索を進めていた、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は、ゆるりと穏かに言葉を紡ぎながら、マッピング道具を取り出す。
 しかし、ヴィクトルは、別の理由で歩みを止めることになる。
 見事なまでの装飾が彫られた大きな扉と、その前で思案に耽る猟兵たちの気配に、気がついたからだ。
「でかい扉だねえ」
 遺跡を壊さないように、ヴィクトルもまた慎重に、扉の中央付近を調べる。
 文字が刻まれたレリーフに少しだけ視線を止めると、柔和な表情をゆるりと崩し、扉の前に集まっていた猟兵たちの方に、向き直した。
「んー……答えは赤いバラ触れ、かな。上下の4つの丸が『4文字ごとに区切れ』で……」
 ヴィクトルはマッピング道具から紙と筆記道具を取り出すと、レリーフに刻まれていた文字を言葉通りに、丁寧に並べかえていく。

 ●●●●
 あまぐも
 かれると
 いぬはあ
 ばれてふ
 らふらに
 さすらう
 わすれさ
 れるもの
 ●●●●
 並べ直して左端をよめ

「その後、指示通りに左端の文字だけ取ると、縦に『あかいばらさわれ』と読めるね」
「おおお!!」
 ヴィクトルの確信を持った柔和な笑みを前に、謎が解けなかった猟兵や、謎の答えに確信を持てなかった猟兵たちの表情が、ぱっと明るくなる。
 そして、それはヴィクトルへの喝采と感謝に、変わっていった。
「やっぱり、この丸は装飾じゃなくって、4文字にしろという意味だったんだね」
「赤い薔薇は、扉の上の方にありますね……丁度、グラスアボラスの頭の位置になるかと思います」
 猟兵たちの視線が、扉の上にある赤いバラの装飾に注がれる。
「なるほど、奴は偶然入れたってわけだ」
 よくよく見ると、中に入りたくて仕方がない息吹の竜が、頭突きを決めたような痕跡があり、くすくすと小さな笑いが広がっていく。
「グラスアボラスだって扉壊さず中に入ってるし、そんな細かな手作業とかはないと思うんだよね」
 ヴィクトルは銛を持ち上げると、慎重に赤いバラのレリーフを、コツンと叩く。
 ――一拍置いて。赤いバラがボタンのように、すっと奥の方へと下がると同時に、左右の扉がふすまのように水平に動き、そして静かに止まった。

 扉の奥は大きな空間が広がっていて、その床一面は見渡す限りの、白と緑……。
 そこから漏れるのは、薄闇に似合わぬ淡い光と、薬草に似た独特な香りだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●花と緑の揺り籠の間
 扉から垣間見える迷宮中央は大きな広間になっており、見渡す限りの白と緑が広がっている。
 ――同時に。柔らかな花の香りと、薬のような独特のにおいが、猟兵たちの鼻孔の奥をねっとりと刺激した。
「あそこに竜が……!」
 広間の左右の壁には、魔法のような光が幾つも灯されており、その温かい光が床一面に広がる白い花と緑……薬草らしきものを照らしている。
 その少し奥には、息吹の竜――グラスアボラスがくるんと丸くなっており、薬草と白き花に包まれた竜は、心地よい寝息を立てていた。
 猟兵の1人が、慎重に慎重を重ね、半歩だけ広間に足を踏み入れる、と。
「この広間、床が土になっているね」
 足底からふわりと伝わるのは、森の中を歩いているような、温かくて柔らかな感触。
 灯りに慣れてきた目を凝らしてみると、床一面に低くしっかりと根を張った薬草たちは、竜の寝返りにも動じない強かさを持っているようだった。
「もしかしたら、遺跡の財宝って、薬草なのかも……?」
「村の大切な資源を護るために、迷宮のような遺跡を作ったのかもしれませんね」
 ここはまるで、花と緑の揺り篭のよう……。
 揺り篭の間の薬草たちは、光が乏しくてもたくましく根を張り、オオバコのように踏みつけに強い性質を、持っているようにみえる。
 けれど、竜との闘いが長期戦に及んだ場合、堪えきれずに四散してしまうだろう……。
「戦う場所を移すのは難しそうね、一気に畳みかけましょう」
 猟兵たちの調査が終始穏やかだったのもあるのだろう、グラスアボラスは、ようやく何かがおかしいと察したようだ。
 息吹の竜は、むくりと首を起こすと、大きく背伸びをするように、翼を広げ――。
「今だ!」
 ――奇襲を仕掛けるのは、今しかない!
 瞬時に武器の鯉口を切った猟兵たちは、鋭く地面を蹴って、風になる。
 一閃。
 灯りを受けて煌めく鋼が、技が、術が、一筋となり、鋭い残像を描く。
 グラスアボラスが驚愕して大きく見開いた双眸にも、その軌跡が鮮明に映し出されていた。
高野・エドワード
OK。花を芽吹かせる息吹の竜。倒すのは気が引けるけど…仕方がない。薬草を守る為にも、速攻で終わらせないとね!!

ボス戦でも普段の調子を崩すつもりはないよ♪愛のガチ勢、その力を魅せてあげよう!

扉から入ったらすぐに翼を広げて飛び、空中から攻撃を行うよ。空中戦はちょっとだけ心得があるのさ。
君の花と僕の愛(花)、どちらが強く美しいかな?全力魔法且つ高速詠唱して【瑠璃花弁の嵐】を使用。

攻撃が来たらできるだけ見切って回避、もしくは花弁で迎撃を試みるよ。
花弁は兎も角、素早さにはあんまり自信がないからユーベルコードの【飛翔】も回避の補助に。
どうしても避けきれないときはオーラ防御で軽減できないかな。

なんでもOK!


ナミル・タグイール
こ、このくさい草がお宝にゃ?こんなのいらないにゃー!!
金ピカ財宝がよかったにゃ…
グラスアボラス倒してもっとこの遺跡を探索しに行くマスにゃー!
・行動
最初は【呪詛】を纏った斧で羽を集中攻撃。飛ばれると手出しできなくなっちゃうからにゃ。
吐息なんて避けれないにゃ!もう食らう覚悟して【捨て身の一撃】狙いにゃ!突撃デスにゃー!
でっかい隙があれば【呪装纏武】を狙ってデッカイ一撃をねらいマスにゃ。
お宝パワー(呪詛)を集めた斧をドッカンしますにゃ!
呪詛のせいで草枯れたりはしないよにゃ…ナミルのせいじゃないデスにゃー!


シリル・アルバ
戦闘は流石のネムスも見てるしかない
ここでビシっと決めてネムスに一人前って認めて貰おうかな

とはいえ
一人で突撃するほど過信はしてない
散歩はともかく戦闘は慣れて無いしね

なので突撃してく皆の後方から
出し惜しみせず【全力魔法】で狙い澄まして
UCウィザード・ミサイルをぶっ放そう

なにせ他のUCは遺跡まで巻き込みそうなのと
使うのが自分でもちょっと怖いのしかないもので

相手がでかいから
そんなに集中しなくても
仲間を巻き込む心配はなさそうだ

あとは竜の息吹だよね、厄介なのは
他の猟兵含めて当たらないように
息吹吐きそうな時は頭部にミサイル集中させて狙い外させるようにとか
息吹を吐きそうな方角にいる猟兵に注意を促すとかしてこう


都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎

大地の揺籠…
彷徨い傷つき疲れた身と心を癒す苑が
安息の地が欲しかったのでしょうか

共存出来ぬ過去と現在
然れど
ひとと貴方は心同じく此の地を愛しんだ

せめて
花の柩で眠りに就けるよう
そして
地を過分に傷めぬよう
早期決着を目指す

先制攻撃で流星の如く符を放ち、2回攻撃
捕縛にて皆の援護
第六感を研ぎ澄ませて見切り回避、オーラで自他共に防御

行きなさい、縫

紅の振袖は白花の地によく映える
慰める如く撫でて祓う、貴方の怒りと悲しみ

終焉時
会話可能なら
貴方が見てきた美しき地
此の花々の優しさを
訪ねてみたい

消え行く姿へと手を伸ばし
微笑んで祈りを

安らかにお眠りなさい

危機晴れしを知った鳥が舞い戻れば
眩し気に空を見上げる


日隠・オク
素早くナイフで懐に潜り込んで攻撃を仕掛けます。
ユーベルコード、シーブズ・ギャンビット使用します。

仲間が攻撃しやすくなるといいと思います。

寝込みを襲うようで可哀想な気もしてしまいますが、みんなの力になれるように頑張ります。

対話は無理でしょうか。
森から出て行ってもらいたいですが…。
薬草が目当てなら傷ついているのですか?

竜相手、気を引き締めていきます。


茲乃摘・七曜
心情
なるほど、聖域とはそういう意味でしたか

指針
可能な限り踏み荒らさなくてよいようにグラスアボラスの動きを制限する
「ここまで、うまくたどり着いたのですから最後も綺麗に締めましょう

戦闘
『流転』にて動きを封じることを主軸に行動
「翼と足…どちらかを釘付けにできれば行動の阻害が出来ると思うのですが

防御・援護
三重の輪唱にて風【属性攻撃】【全力魔法】(風の鎌鼬)か風【属性攻撃】【範囲攻撃】(広範囲の突風)
「息吹を起点に攻撃しているのなら逆風を起こせば弱められないでしょうか?
「攻撃は薬草を傷つけないように射線は斜め上方向…口腔を狙って放ちましょう

真の姿
見た目に変化はなく動きにオルガンを奏でるような音が付随する


アルファ・オメガ
「がう、見た目はかわいのに……」
オブリビオンじゃなければ共存の可能性もあったかもしれないね
でも小さくても、ボクも猟兵だから
この事態を見逃すわけにはいかないんだ!

「がう、先手必勝だー!」
グラスアボラスが本格的に動く前に、れっど・ふぁいあで攻撃するよ
うっかり反動で後ろに転がっちゃったら、急いで戦線復帰
その後はロングボウとれっど・ふぁいあを使って、援護射撃していくね

反撃をうけても、もふもふ(特に効果は無い)で耐えるよ!

グラスアボラスが弱ってきたら、仕留めに入るよ
ボクのシリアス集中力を全部乗せて
千里眼射ちで、グラスアボラスの口を攻撃だー!

※戦っている時の様子は一寸法師のようなイメージ


ヴィクトル・サリヴァン
倒すのも難しいし草花を傷つけないようにというのも難しそうではある。
けれど、俺達ならやれない事はないよね。
さあ、竜退治の時間だ。

周囲の猟兵に合わせ奇襲。出遅れた場合は攻撃に気を取られてるだろう竜の隙を突き側面に回り込む。
横腹、或いは頭の真下に潜り込んで銛を至近距離からぶん投げUC発動、真水で象ったシャチを上方に向けて喰いつかせる。
下から持ち上げるようにやれば少しは草花への被害減らせないかなと。
あと息吹を避ける為可能な限り竜の顔の正面に立たないよう注意。
ただ草花後方にある場合はUCで迎え撃ち少しでも相殺、草花に与える被害を抑えるよう努力。
息吹をぶち抜いて鼻面に喰らわせれば…?

※アドリブ絡み等お任せ



●奇襲
「こ、このくさい草がお宝にゃ? こんなのいらないにゃー!!」
 ――金ピカ財宝が、よかったのに!!
 ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)が、しょんぼりと肩を落としたのも一瞬、素早く呪詛を纏った斧を構えると、強く大地を蹴って、揺り籠の間の風になる。
 眼前のグラスアボラスは、迫り来る猟兵たちに気付くのが遅れて、狼狽えている。
 この初撃が、この後の戦況を左右することになるのは、間違いないだろう……。
「大地の揺籠……彷徨い傷つき疲れた身と心を癒す苑が、安息の地が欲しかったのでしょうか」
 都槻・綾(夜宵の森・f01786)の青磁色に似た双眸が、真っ直ぐ息吹の竜を捉える。
 花と緑の揺り籠の中心で、ただただ周囲を見回す巨体は、共存できぬ「過去」の残穢(ざんえ)に過ぎない。
 ――それでも、だ。
 ひと時とはいえ、今生きる人々と等しく、この「現実」を愛したのは、事実だから。
「せめて、花の柩で眠りに就けるように」
 ――竜が愛した此の地で、早期決着をつけよう。
 前を見据えた綾の指先に生成された七星の符に迷いはなく、後に続く猟兵たちも皆目を逸らさず、しかりと頷いてみせる。
「OK。花を芽吹かせる息吹の竜。倒すのは気が引けるけど……仕方がない」
「ここまで、うまくたどり着いたのですから、最後も綺麗に締めましょう」
 村の人たちの聖域――薬草の生息地を守るためにも、速攻で終わらせよう。
 先陣を切るように、高野・エドワード(愛のガチ勢・f00193)がふわりと羽根を広げて飛び上がると、鍔の広い夜色の帽子で目元を隠した茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)も、口元を緩め、愚者の名を冠した二丁拳銃を手にする。
「がう、見た目はかわいいのに……」
 オブリビオンでなければ、共存の可能性もあったかもしれない。
 ……けれど。
 アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)は迷いを断つように、ブンブンと首を横に振ると、ケットシー用の大口径熱線銃を構え、しっかり前を見据える。
 小さくても自分は猟兵。この事態とチャンスを見過ごすわけには、行かないから。
「ここでビシっと決めて、ネムスに一人前って認めて貰おうかな」
 単独で倒せるとは、シリル・アルバ(キマイラの精霊術士・f12861)も思っていない。
 シリルは傍の精霊を視線だけで制すると高らかに杖を掲げ、前線に向かう仲間の背中を後押しするように、先端から無数の炎の矢を撃ち放つ。
「善処します」
 そう、一言だけ洩らしてナイフの鯉口を切った日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)も、花畑を駆け抜けるナミルと炎を追うように、鋭く大地を蹴って駆け出す。
 寝込みを襲うようで可哀想な気もしなくはないけれど、仲間の力になりたいのは、オクも同じだから。
 眼前に立ち阻む竜は、只の竜ではない――オブリビオン。
 倒すのも、草花を傷つけないように戦うのも、どちらも難しいように思える、けれど。
「俺達ならやれない事はないよね」
 ――さあ、竜退治の時間だ。
 ゆるりと穏やかに微笑んだ、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は、重みのある金属製の銛を軽く振うと、グラスアボラスの側面に狙いを定めて、回り込む。
 遅れをとった息吹の竜も双眸だけで、真っ直ぐエドワードを見据えていて。
 その刹那。がらんと開いたままの翼目掛けて、七曜を象徴する杭が取り囲んだ。
「万物流転。有限が作り出す無限の円環……幽玄たる時間の監獄へようこそ」
 七曜の微笑みと同時に、丈の長いロングドレスの裾が、ふわりと風に揺れる。
 描かれた魔導回路による封印術式に囚われた息吹の竜は、敵意を帯びた眼差しを返すものの、七曜は口元に柔らかな笑みを保ったまま、怯むことはなく。
「援護しましょう」
 息継ぐ間もなく、綾が流星の如く飛ばした符が絡むように右足に貼り付き、息吹の竜の自由を奪い取る。
 バランスを崩したグラスアボラスが体を傾けた瞬間、ナミルは一気に間合いを狭めた。
「飛ばさせないデスにゃ!」
 僅かに地面に付いた右側の羽根に狙いを定めて、ナミルはしなやかに跳躍する。
 黄金に輝く巨大な斧を勢い良く掲げ、そのまま一気に振り下ろしたタイミングに合わせて、アルファが「れっど・ふぁいあ」の銃口を向けた。
「がう、先手必勝だー!」
 狙い定めることに意識を集中し、アルファは大口径熱線銃の引き金を強く引く。
 銃口から放たれた軌跡が、グラスアボラスの脇腹を轟音と共に貫き、反動で後方にコロコロと転がっていくアルファとすれ違うように、猟兵たちは傷ついたグラスアボラスを取り囲んだ。
 息吹の竜が短く呻く。戸惑いから怒りに変わった咆哮が、猟兵たちの肌を刺激する。
「君の花と僕の愛、どちらが強く美しいかな?」
 刺すような咆哮が轟く中、エドワードは普段の調子で、ゆるりと言葉を紡ぐ。
 けれど、それも一瞬。魔力を集中させるように瞬時に言の葉を紡ぎあげると、自由の翼を模した細身の杖が、ヘッドマイクが、瞬く間に無数のブルースターの花びらへと、姿形を変えていった。
「青き愛の洗礼をその身に刻め」
 エドワードの周囲にふわりと舞う瑠璃色が瞬時に嵐に変わり、息吹の竜に降り注ぐ。
 深手を負って半歩下がろうとしたグラスアボラスに、シリルの炎の矢が爆ぜた。
「相手がでかいから、仲間を巻き込む心配はなさそうだ」
 シリルは呟きを風に流すと、そのまま出し惜しみせず、炎を撃ち出す。
 瑠璃色の花が。炎の華が。息吹の竜に爆ぜる中、死角から回り込むように距離を詰めたヴィクトルが、グラスアボラスの頭の下に張り付く。
 そして、間を置かずに至近距離から重みのある頑丈な銛を、豪快にぶん投げた。
「さあ、追いかけて、齧り付いて――喰い千切れ」
 銛を追い掛けるように生成された真水で象ったシャチが、息吹の竜の顎下に迫る。
 強烈な水撃は辛うじて避けられてしまうものの、下から持ち上げられる形となったグラスアボラスの真下に、素早くオクが滑り込んだ。
 オクは両手に添えた諸刃の短剣を深く刺し込むと、そのまま横に刃を滑らせる。
 腹を裂かれた息吹の竜が短い悲鳴を上げると、オクは僅かに眉根を寄せた。
「翼と足……このまま釘付けにできれば、行動の阻害が出来そうですね」
 奇襲が上手くいったのだろう、グラスアボラスの動きは既に鈍い。
 翼は、ナミルが狙っている。ならば、自分は綾と共に足を止めることに専念しようと、七曜が二丁拳銃を構えた、その時だった。

 ……グオオオオオオオ!!

 深手を負いながらも、しかし息吹の竜は、強く踏み止まって見せて。
 雷のごとくゴロゴロと喉の奥を鳴らした刹那、ヴィクトルに向けて息吹を吐き出した。

●息吹の竜 グラスアボラス
「正面から竜の息吹だ、厄介そうだから気をつけて!」
 恐るべき花の息吹の予兆。即座に反応したのは、シリルだった。
 地を舐めるような濃厚な息吹が、ヴィクトルに迫り来るや否や、シリルは無我夢中で、グラスアボラスの頭部目掛けて、魔法の矢を撃ち放つ。
 無数の炎が鋭い弧を描き、グラスアボラスの頭部に幾つもの炎を咲かせる。たまらず息吹の竜が軌道を逸らした、その瞬間。
 ――ゴオオオオオオオオオオゥ!!
 嵐と化した強烈な花の刃が、息吹を追い掛けるように、轟音と共に戦場を駆け抜けた。
「ありがとう、これで竜の奥の手を封じることができたね」
 高威力の花の刃の直撃は免れたものの、右肩を掠めたヴィクトルは僅かに瞳を細め、守りを固めていたエドワードと、戦線復帰したばかりのアルファも、再び攻撃に転じる。
 シリルが初撃を防いだ功績は大きく、前線で戦う仲間を大いに鼓舞する形となった。
「まだ体力が残ってますね……このまま足を狙いましょう」
 動きを封じることに主軸を置いて弾丸を見舞う七曜の声を受け、オクが即座に動く。
 眼前の息吹の竜の敵意と怒りが、肌を刺して伝わってくる感覚は、今も変わらない……。
「竜相手、気を引き締めていきます」
 手負いとはいえ、一寸足りとも気は抜けない。
 仲間の攻撃の起点になるように、オクは素早く身を屈め、そのまま左足に肉薄する。
 ――一閃。低い姿勢から放たれた横薙ぎの斬撃に合わせて、綾がひらりと袖を振るう。
「行きなさい、縫」
 淡い笑みを湛えた青磁色の眼差しに映るのは、紅唐着物を纏った少女人形……。
 ふわりと舞う紅の振袖は、一面に咲く白き花によく映え、息吹の竜の腹を撫でてゆく。
 まるで、竜を慰め、その怒りと悲しみをも、優しく祓うように――。

 ……グオオオオオオオ!!

 けれど、グラスアボラスの怒りは、収まらない。
 綾に狙いを定めると先程とは異なる吐息を洩らす。それは無数の竜胆の花びらに変わり、刃のごとく猟兵たちに降り注いだ。
 この場所は、誰にも譲るつもりは無い! そう、応えるかのように――!
「グラスアボラス倒して、もっとこの遺跡を探索しに行くマスにゃー!」
 ここまできたら、食らう覚悟も上等!
 腹を括ったナミルは、捨て身の覚悟で勇猛果敢に花びらの嵐の中へ斬り込んでいく。
 無慈悲な花刃に小さく唇を噛むものの、金の双眸は真っ直ぐ前を見据えている――!
「ふふふ、愛のガチ勢、その力を魅せてあげよう!」
 目の前に次々と映し出される様々な愛の形に、エドワードの口元は少し緩んでしまう。
 ――自分も負けられない♪
 エドワードは吹き荒れる竜胆の花びらを見切るように、後方にふわりと飛び退く。
 身体に僅かに刻まれた痛みを無理やり飲み込むように詠唱を早めると、対抗するように幸福な愛を冠する瑠璃色の花びらを、隙間なく展開した。
「大丈夫?」
「がぅっ! もふもふだから、大丈夫!」
 後方から呼び掛けたシリルにアルファは元気よく返事を返し、大型の弓矢を担ぎ直す。
 もちろん、モフモフにそんな効果は無いけれど、気持ちの問題です。……たぶん!
「グラスアボラスが弱ってきたね、仕留めに入るよ!」
 アルファは全神経を集めるがごとく、焦茶色の双眸を、すっとクールに細める。
 ――一点集中。
 大型の弓矢から放たれた軌跡は鋭い弧を描いて、グラスアボラスの下顎を貫く。
 一際高い声を上げた息吹の竜は後方に下がろうとして、翼を大きく広げる、が。
「竜の動きが散漫になってるね、もう少し草花への被害減らせないかな」
「薬草を傷つけないように、射線は斜め上方向……口腔を狙って放ちましょう」
 竜の後方の花と緑に一瞬だけ視線を止めたヴィクトルに、七曜は優しい笑みを返す。
 七曜の心強い援護射撃に後押しされたヴィクトルは、仲間の猛攻に気を取られている、グラスアボラスの側面に、素早く回り込む。
 そして、正面を避けるように身を低く屈めると、そのまま一気に顎下まで肉薄して、頑丈な銛を持ち直した。
「これならどうだ!」
 ぱわーいず、じゃすてぃぃぃす!
 ヴィクトルは強烈なアッパーカットの要領で、重みのある銛を勢い良く振り上げる。
 鼻面に重い打撃と強烈な痛みが浸透した息吹の竜は、まるで脳しんとうでも起こしたかのように、身体を大きく揺らし、ぺたんと尻餅をついた。
「対話は無理でしょうか」
 ――森から出て行ってもらいたい。
 そう祈り、願いながら、オクが声を掛けると「お前達が出て行け」と頭に声が響く。
 満身創痍の息吹の竜は、傷ついた体を花畑に埋めるようにして、力を高めている。
 ……けれど。残された命火が残り僅かなのは、猟兵たちの瞳にも、明白だった。
「貴方が見てきた美しき地、此の花々の優しさを訪ねてみたい」
 綾の唇から、静かに、心に染み入るような優しさを持った言の葉が、紡がれる。
 すると、脳内に再び声が響いた。
 たくさんの花を見てきた。暖かくなったら、南の方にも飛びたかったのに、と。
 ――南。それは、森の直ぐ近くの山村がある、方角でもあった。

 ……グオオオオオオオ!!

 ――だから、お前達を倒す!
 そう返すように、グラスアボラスは腹の底から悲鳴に似た、雄叫びをあげる。
 再び戦場に竜胆が舞う。エドワードの瑠璃色の花びらを起点に七曜の弾丸が、シリルとアルファの矢が、オクの剣閃が奔る。
 休む間もない猛攻。もはや雀の涙と化した命の灯火を前に、ナミルが駆け出した。
「とっておきデスにゃ!」
 花の嵐を斬り裂くがごとく、勇猛果敢に飛び込んだナミルが、高らかに跳躍する。
 大きく息を吸い込み、装飾品に宿る呪詛を集めた巨大な斧に重心を掛ける。そして、渾身の力を持って振り下ろした!
「――!!」
 脳天を砕かれたグラスアボラスは、糸がプツリと切れた人形のように、崩れ落ちる。
 そのまま二度と動くことなく、足の先から消え始めると、安堵に似た歓声が零れた。
「安らかにお眠りなさい」
 透き通るように紡がれる言の葉は、まるで鎮魂歌のよう。
 眠るように消えゆく息吹の竜に、綾は優しく手を伸ばし、淡い笑みをたわむけて。
 ……そして。祈りを捧げるように、憂いを帯びた睫毛を、そっと閉じた。
「呪詛のせいで、草が枯れたりはしないよにゃ……?」
「それは大丈夫みたいだね」
 不安そうに巨大な斧を下ろしたナミルに、ヴィクトルが柔和な笑みで広間を示す。
 武器を下ろした猟兵たちの瞳に広がるのは、ペッタンコになりながらも床一面に優しく揺れる白い花と、低く根を張った薬草たちが青々と輝く、幻想的な光景だった――。

●大団円は晴天の下で
 山村に戻った猟兵たちを、村の人たちは暖かく出迎えてくれた。
 アルファや七曜から話を聞いて、始めは驚いていた村人たちも森や遺跡、そして白き花と薬草の間を大切にしてくれた猟兵たちに、絶えぬ感謝と労いの言葉を掛けてくれて。
 ふと、綾が空を見上げれば、小さな小鳥たちが森に向かって、力強く羽ばたいている。
 その光景に綾は眩しげに瞳を細め、エドワードも嬉しそうに空を見上げて――。

 そしてそして。
 金ピカお宝を求め、ナミルが再び遺跡探検を始めたのは、また別のお話し♪

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト