帝竜戦役②~皆殺しの平野~(作者
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●竜性変異
 それは、或いは怨念と言って良かった。
 それは、ただただ、彷徨う亡霊と言っても良かった。
 滅ぼされた里の長耳、特異とも言える隠形諜報の術式、生まれ譲りの鷹の目に、美麗な容姿、味方であろうと恐れられ、危険分子と判断されるには十分過ぎる要因が揃っていた。
 サムライエンパイア、或いはUDCアースの猟兵ならば、これが、忍術の類である事を認識できるだろう。ここに染み出た彼女達は、望む望まざるに関わらず、通常あり得ない変化に、苦痛の呻きを、歓喜の方向を漏らしながら、その身姿を変えていく。
 頭蓋側面から突起状の異物が髪を押し退けて突き上がり、肩甲骨が盛り上がり、皮膚が剥がれ、骨の生成と共に新たに作られた筋繊維が巻き付くように実体化する、最後に、骨組みの隙間に、薄い膜を生成し、表皮の一部に爬虫類種の硬質皮膚膜、鱗が生成されていく。
 変わった身体に誰かの意思。或いは彼女等の意思。
 この地を害する物に死を。
 この地に害する物に誅を。
 踏み入れる生者郎党、我等が無念に、暫し付き合って貰おう。

●グリモアベース
「みんな竜ってどう思っとるじゃろ? 儂は悪させん竜は好きなんじゃが……」
 まあ今回も、許容は出来んのじゃけど、等と言いながら、のんびりとわらび餅を摘まみ、海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)は猟兵に語りかける。
「アックス&ウィザーズで帝竜ヴァルギリオスからの、実質の宣戦布告があったのは、皆知っての通りよ。戦争の名称は帝竜戦役。この世界については資料に纏めとるけど、合わせてざっくり説明するな」
 食べ終わってから、資料を猟兵に配り回る。簡単に言うと、この世界は文明レベルが中世ヨーロッパ程度の、剣と魔法の世界だ。UDCアースで言うロールプレイングゲームの中を想像して貰えば、分かりやすい。
「猟兵の皆が群竜大陸について地道に調査して貰った結果、場所が分かったという感じじゃな。今回は、その進軍速度を恐れての宣戦布告じゃった事を、付け加えておくよ」
 勿論、過去帝竜を滅ぼした勇者一行にも、感謝を忘れてはならないだろう。彼等は至る所に遺産として、手掛かりを残してくれていた。
「有難うな。依頼の話は此処からよ」
 一度頭を下げてから、続きを語っていく。まず、帝竜ヴァルギリオスまでは随分と距離がある。猟兵達は各所各所で用意された兵や、軍団、或いは自然環境と闘う事になるだろう。
「今回は、その一つ、皆殺しの平野の一角に送るよ。此処は、オブリビオンが竜化する特性を持った所でな。見えたんは、滅ぼされたエルフのくのいち衆が竜に変わる所じゃった。生者に対しては容赦無えと思うよ」
 空中を飛翔する相手が、高所から仕掛けてくる事は違いない。遮蔽物も、荒野故にほぼ無いだろう。対策を考えて挑んで欲しい、と鎮は語る。
「数は大体、20行かん程度かな。やり方は任せるよ。それと、倒すと竜胆石って宝石が体内にある。金貨40枚、UDCアースに換算すりゃあ40万円程度の品じゃけー、欲しい人等は回収するとええ。信頼しとるけー、宜しく頼む」
 説明を終えると、最後に鎮は深く頭を下げ、猟兵を送る準備をし始めた。



●挨拶
 紫と申します。
 帝竜戦役②~皆殺しの平野~です。

●シナリオについて
・竜化した【エルフのくノ一】の討伐です。数は20に満たない程度です。
※くノ一ですが、色気には一切期待しないで下さい。

・遮蔽物はありません。
・上空からの攻撃に対する対策を考えてみて下さい。
・竜胆石は一体一個、体内に生成されています。金貨40枚(UDCアース換算で40万円)。

●その他
・同行、合わせ等の記載が無い場合、個別となります。

●最後に
 なるべく一所懸命にシナリオをお送り致しますので、
 ご縁があれば、宜しくお願い致します。
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第1章 集団戦 『エルフのクノイチ』

POW ●ニンポー・クナイ分身の術
レベル×5本の【の数に分身する毒】属性の【毒の塗られたクナイ】を放つ。
SPD ●ニンポー・変わり身の術
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【身代わりにした物】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ ●ニンポー・房中術
【色仕掛け】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


神薙・沁
空中だと回避しにくいだろう
ということで身を低くして接近
空中から攻撃してきたらそれを忍刀で迎撃しつつ
捕縛封印で攻撃
まず相手の動きを封じる
被害を抑えるため攻撃仕掛けてくる連中を優先的にターゲットに
場合によっては相手を蹴る形で自分も空中に飛んでそのまま空中戦なども推定しています

台詞
「貴方達も刃を向けたなら覚悟もできてるでしょう…まぁ意識があるかも怪しいですけど」


紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎

――それにしても。UCDアースで40万……? それだけあれば、愛車のアレもコレも改造できる……?
「これは、やるしかないでありますね」

「そんな歪んだ姿で……すぐに逝くがいいでありますよ」
完全自作の背嚢型の高出力ブースタ【完武】で飛翔、空対空、【空中戦】を仕掛ける。飛行速度等も負けるつもりはない。
内蔵のミサイルランチャーを【一斉射撃】して弾幕で【目潰し】して動きを制限させる。(援護射撃)

そして、本命は手に持った『[K's]Sisius』(鎧無視攻撃)。ノータイムの連続狙撃(スナイパー、2回攻撃)急所を確りと撃ち穿つ。必要に応じて、『刹那』(串刺し)での近接戦闘も考慮には入れる。


月水・輝命
アド◎
WIZ
空を飛ぶ忍者さんですか。
では、撃ち落とすまでですわね。
「オーラ防御」で守りを固め、「第六感」や「見切り」で危険な攻撃は回避しましょう。
鏡映-想-で「破魔」の矢を宙に設置。
「範囲攻撃」、「なぎ払い」で相手の攻撃を矢で撃ち落としつつ、翼ごと攻撃できるでしょうか。
ほら、数撃てば当たるとも言いますしね?
あら、色仕掛け? 通用すると思いますか?
「破魔」と「オーラ防御」を持って防ぎますわよ。

討伐出来たなら、エルフの方々に冥福をお祈りしましょうか。
どうか、安らかにお眠りくださいませ……。


緋翠・華乃音
……高所からの攻撃に気を付けろと。
確かに人は水平方向に警戒は出来ても、垂直方向に警戒を行うのは不得手だ。
その弱点を突いた有効な戦法だな。

だが、その動きは見切らせて貰おう。

人の形をしたものを相手にするのは得意だ。
一挙手一投足、呼吸や歩法、視線や体幹。
ただ歩くだけでも色んなことが情報を得られるものだ。
注視しているのなら、尚のこと。

対処法は単純に。
見切って躱す、それだけだ。

あと着地の瞬間は案外無防備になりやすいものだ。
その一瞬を“流転の鈴”で攻撃しよう。

近距離ならばアーミーナイフ、遠ければ拳銃による狙撃。

常にこちら側の土俵で戦闘することを意識して。


雨音・玲
【SPD・アドリブ大歓迎】
おぃ…帝竜…
許すまじ…マジ滅ぼす!!
麗しいエルフ子に何やらかしてんだ!変なトラウマ案件作りやがって!!
トカゲの色仕掛けって何得だよ!!
しかも「解除するまで寿命を削る」とかどこまで必死なんだよ!!
ダメだ泣けて来たー…ごめん少し待って

おいおい待ってて言っただろ?まぁもう準備は終わってるけどさ
『群れなす黒影』を発動
足元に描いた魔方陣から大量の烏の群れが一斉の飛び立って
徹底的に邪魔を仕掛けます

失敗すると被害は2倍なんだろ?
まぁなんだ…お疲れさん

ダッシュと空中戦で距離を詰め、限界突破+リミッター解除で強化した属性攻撃で炎を宿した拳を、鳩尾に深々と拳を突き入れます


村崎・ゆかり
皆殺しの平野か。話に聞いていたけど、これがあたしの群竜大陸一歩目。
それを勝利で飾りましょう。

ん、房中術の色仕掛けね。確かに女の子は大好きで侍らせたくなるけど、ここに来る前に秘密の恋人たちと一杯えっちしてきたの。今更色仕掛けなんて引っかからないよ。

敵が空を飛ぶなら、こちらも飛鉢法で空中を三次元機動して「空中戦」で対抗する。
敵の飛行を「見切り」、不用意な動きを見せた敵から「高速詠唱」「全力魔法」火の「属性攻撃」「破魔」を重ねた不動明王火界咒で焼き払うわ。
牽制に「衝撃波」で「なぎ払い」を。

一人くらいお持ち帰りしたかったけど、理性も何もないんじゃね。
このまま残らず殲滅していきましょ。容赦はしないわよ。


天翳・緋雨
【金平糖2号】ルベル君と

戦争の始まりだね
討ち漏らしの無い様に行こう

うん
ニンジャだね
ボクも初めて見るよ
おちついていこうね?

バンダナを解き放つと額の第三の瞳を顕現
自己暗示で戦闘向きの自分へとシフト

ユーベルコードは【浮雲】を
第六感による予測で攻撃を見切り
残像を纏って幻惑しつつ
雷光の刃と体術を駆使しての空中戦で仕留める
第三の瞳がクノイチ達の魔力を削ぐ

ルベル君が下方から牽制する間に上を抑えてしまうのがいいかな
速さで負けたりはしない

うーんニンジャか
ルベル君は動作は滑らかで正確なのだけれどもうちょい機動力があった方がいいかなー

後はテンションのコントロールね?

竜肝石……
今回は見送ろうか
解剖はちょっと苦手なんだ


ルベル・ノウフィル
【金平糖2号】緋雨殿と

エンパイア被れの僕にはわかります、あれはニンジャ!ニンジャでございます!
緋雨殿、ニンジャってご存知ですか、とても疾いのでございますよ(キラキラした目)
飛び回る敵は困ったものですが、鮫牙で対応してみましょう
僕が想像する鮫さんは空を飛びます(キリッ)
彩花を手裏剣みたいに飛ばしてみましょう、念動力でびゅーんって
僕ちょっとニンジャっぽくありませんか?
僕はニンジャの才能があるのかも…

と、少し気が緩みましたが僕は真剣でございます(キリキリッ)
敵は滅ぼすのでございます(彩花を手裏剣の形に折りながら)

宝石は価値があるのです?今度何か食べましょう。というと死亡フラグみたいになるでしょうか


●図書館の影猫
 癖のように集団の視界範囲を探り、それでも長耳特有の、生まれつきの鷹の目が、黒髪黒目の小柄な体躯の少年を見逃さない。頭部には、対照的な赤色のオーバーヘッド、耳元のハウジングにはダイヤ柄があつらえられている。神薙・沁(影に潜みて・f06362)を遠目で捉え、数十の苦無を宙空から投擲する。
 沁はすぐさま、忍刀を逆手に構え、腰を落とす。身を低くしての前傾姿勢。纏う装束の名の如く、その姿が黒猫を連装させる。自身に当たる物のみを瞬時に選別し、一つ残らず叩き落としながら、両耳を覆う音響機器を操作。雑音遮蔽から集音、感度は高め位が丁度良い。聴覚補助を済ませ、蛇行するように走る。
「鷹の目は、お互い様です」
 疾駆の傍ら、流れ込む音と風の流れを頼りに、敵の場所を割り出し、同じく長距離から引きずり出す算段を整える。納刀、小型弓に魔力を流し、非実体の弦と風の矢を生成。雑把に翼膜に狙いを付け、敵の動作を刹那、制限する様に、射掛ける。
「封陣展開、風縛り」
 撃ち終えれば口に銜え、両手を空け、矢継ぎ早に風神の印と言葉を結ぶ。世界法則干渉物質、時軸の糸が物理現象を置き去りに、自由な機動で、目標の2体へと伸びる。
 射掛けられた矢が目標に届くと同時、そちらに気を取られ、移動を制限された死角から、身体を縛り上げる気流、糸が猿轡と縄を作り出し、簀巻きにして運動能力を削ぐ。
「貴方達も刃を向けたなら覚悟もできてるでしょう……」
 糸を五指と腕に巻き付けながら、魚を釣り上げる様に簀巻きにして締め上げ、引き寄せる。竜燐の上から糸が食い込み、血が僅かに染み出す。仲間に断ち切られ無い様、地表から宙空で引き摺り、後退。
 編まれた風の気が、あらゆる力の行き場を締め上げ、2体の敵は抵抗の術を完全にいなされながら、遙か後方、射程外までの撤退を許す事になる。
「意識があるかも怪しいですけど……気は、済んだでしょうか」
 未だに藻掻く、捕縛した2体の喉笛を、忍刀で静かに飛ばす。陽炎の様に揺らめく刀身。問いかけに、和やかな笑みを湛え、黒椿が二つ、散って行く。

●クリムゾン・トリック
「釣りも引き際も、見事でありますね」
 沁の退却に礼を言い、敵の追撃を遮るように、紅葉・智華(紅眼の射手/自称・全サ連風紀委員・f07893)は情報を思い返す。
(それにしても。UCDアースで40万……? それだけあれば、愛車のアレもコレも改造できる……?)
今回の戦争では、現時点で判明している情報から察するに、恐らく、どの地域でも宝物や高級食料と言った戦利品が入手出来る。ガレージに眠る愛車の排気系か、ドレスアップか、ロータリーエンジンの改良か、チャージャーの追加か、はたまたバッテリーの大型化か、車体やフレームの強度改良か、アレコレはざっと予想するだけでも、この程度は容易に想像が出来る。
「これは、やるしかないでありますね」
 赤い瞳に一層、やる気を灯らせ、自作の高出力ブースターに火を入れる。瞬間で高熱に達し、バーナーがそれを示すように青白く変化すると共に、周辺に高温の排気熱を放射、空気を局所的に歪ませた後、大出力が智華の身体を矢の如く射出した。
 蒼空に躍り出る。高度を維持しつつ、出力を減衰。足並みが乱れ、突出し、先行する2体に義眼を介し、長距離からのマルチ・ロック。
「……ファイア!」
 内蔵の、長距離マイクロミサイルを一斉射。熱源を燃料が切れるまで追尾し続ける弾頭が噴煙を撒き散らしながら曲線を描き、ロックした対象を高速で追い回す。予備の時限信管の制限を超え、自爆した弾頭が灰色のスモークと炸薬の匂いを色濃く残し、視界を覆う。
 灰色の煙を切るように投擲された苦無、飛来物を電脳端末が捉える。出力切替、空中戦想定の高速回避機動、義眼に表示される計測数値がめまぐるしく変化するのを頭の隅に留めながら、機動予測、高速追従。
 蒼空をバックにコントレイルが縦横無尽の機動痕跡を描く。弾幕のカーテンの先、レーダーを頼りに照準を合わせ、手動ロック。短い呼気の後、英知の結晶の、銃爪を引く。
 弾幕を抜け、逃走追撃を計る忍者に、一筋の青白色の灼光。間髪入れずに、もう一筋。身の細胞を焼き穿つ高熱線が、1体の心臓部を正確に貫く。血液の流出は最低限、瞳孔を大きく開いたまま、高所から落下。ぐしゃりと果実の潰れるような音を遠くに聞きながら、コンマを切る速度で、再照準。無慈悲にトリガーを引く。射出される光線が、1体目と同じく、その胸部を穿つ。1体目と同じく地表に落下。警戒を続けながら、地表スレスレを低空飛行しながら、粒子となって帰った肉体を認識し、2つの竜胆石を回収する。
「この調子で行きたい所でありますね!」
 空対空火力支援、継続。地表スレスレから飛び交う苦無を蛇行して回避、或いは銃剣で切り払いながら、再び高空へと舞い上がる。

●鏡
「空を飛ぶ忍者さんですか……」
 銀瞳が高空に居る敵を見上げ、柔らかにウェーブ掛かった髪が揺れる。五つの鈴が付いた手鏡を口元に当て、今なお火砲煌めく上空に対して、月水・輝命(うつしうつすもの・f26153)手立てを考える。
「では、撃ち落とすまでですわね」
 幸い、空を舞う猟兵は今も支援を続けてくれている。彼女に合わせて動けば、苦労は無いだろう。
「鏡はうつり、うつし、またうつる。鏡にうつり、鏡にうつし、脅威は鏡像を貫かん」
 手鏡が、言葉と共に込められた霊力に像を結ぶ。自身の身体を覆う様な霞が時に揺らいで、自身を移す。数すら曖昧に作り出される蜃気楼の鏡像に、怪しんだ3人が、わざと火砲に穴を開けた彼女の誘導に従うように、そちらに目を向け、降下する。途切れなく、口唇が霊力と共に術法を編み上げる。飛来する苦無は出現と消滅を繰り返す蜃気楼を虚しく捉え、地面に突き立るのみ。
「想い宿りし、鏡の光よ、悪しき心を、照らし給え」
 周囲に無数の小さな青い蛍火。ふらりふらりと蛍のように漂い、機雷の様に敵の軌道を包囲する網を作る。3体がそれに翼を止めた所で
「祓え給い、清めたまえ……鎮め給う……」
 霊力が送り込まれ、機雷が一瞬脈動し、巨大化する。
「神ながら守り給い、幸え給え」
 下方から翼膜を狙い、280度から飛来する270の光矢。変化に気付いた頃には、上方からの弾雨、逃げ場を無くした彼女等に霊力の矢が突き刺さる。四肢と翼膜を違わず貫き、力無く落ちてきた彼女等に、鏡命はそっと歩いて近付いていく。竜化した長耳の1体が、歩み寄って力なく寄りかかる。
「色仕掛け、ですか?」
 問いかけに、暫く考える様な無言、何方でも無いと言う様に、耳元に口唇を近づけ、自由にならない口を、5度、動かすと、彼女はそのまま事切れて、肉体が消滅する。乾いた音を立て、竜胆石が大地に落ちる。
「あ、り、が、と、う?」
 理由を考えると、一つ、可能性が思い浮かび上がる。つまり、この行為に、付き合ってくれるだけで、良かったのだろう。
「そういう事、なのでしょうね」
 残った竜胆石3つを拾い上げ、仕舞う。来世はどうか、安らかに有る様に願わずには居られない。歌うようにもう一度、唱え言葉を紡ぐ。
 祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、 幸え給え。

●音無しの鈴
「……高所からの攻撃に気を付けろ、と」
 緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)は刹那、目を閉じ、思考を巡らせる。人の意識は水平方向の警戒を容易とする反面、垂直方向警戒は不得手だ。見上げるという動作は振り向くよりも動作幅が広くなる上に、負荷も大きくなる。当然と言って良い。
「確かに友好な戦法だ。見切らせて貰おう」
 逆に言えば、高所に留まる限り、宙空にさえ目を向けていれば良い。後方への急降下にはどうあっても時間が掛かる。彼の異能、彼の両目がそれを捉えるのは、難しい事では無い。
 火砲支援から敵味方の大まかな位置を算出。苦無の投擲、降り注ぐ弾雨を予測と経験からの演算を持って、一時の時雨と合理の瑠璃色が上空を見遣る。遙か先の魔力のブレから体長と横幅、動作から、型、呼吸、体幹を読み取る。黒鉄の雨を惑い無く歩みながら、静かに観察を続けていく。蝶の羽ばたきの様な、悠然とした雰囲気のまま、復讐と銘打ったアーミーナイフを引き抜く。
「そろそろか」
 羽ばたくことに疲れは見えないが、火力支援をしている猟兵が、此方への誘導を試みているのを感じ、逆手に構える。焦れるのにタイミングを合わせ、高空への逃走経路を潰すように炸薬が、上空で鼠色の煙を上げる。
 標的への接近、苦無を両手に構え、こ速度に物を言わせ、低空から首を掻く動作。
「単純だ。お前達は、空戦に適応出来ていない」
 観察から異理の血統、拡張された脳が捉えた結論はそれだ。既に動きから呼吸に至るまで、見切って終わっている。首元に薙がれる苦無よりも早く香る、甘やかな死の匂い。彼女達に向けたこの刃の銘は、余りにも皮肉が効き過ぎている。
 鋭利な切っ先がするりと肉に入り込み、主要血管を静かに深く裂く。頭上からの奇襲を知っていたかのように、僅かに身体を反らし、首元へと刃を滑り込ませると、短く切り揃えた銀髪が僅かに揺かに揺れた。
「その速度では最早、躱す事は不可能だろう」
 反応速度に長耳が瞠目する。皮肉にも、自身の加速が喉笛を裂く為の一助となる。疾風の一閃。音無しの鈴が、ちりりと鳴る。

●正しくは人型ドラゴニアンに近い
「おぃ……帝竜……許すまじ……マジ滅ぼす!!」
 雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)の赤い瞳は余りの怒りに燃え上がり、ついで、ふるふると拳を振るわせる程だ。
「麗しいエルフっ子に何やらかしてんだ! 変なトラウマ案件作りやがって!! 大体、トカゲの色仕掛けって何得だよ!! しかも解除するまで寿命を削るとか、どこまで必死なんだよ!!」
 恋人に誤解されても仕方ない言葉がポンポンと飛び交う。束ねた短いポニー・テイルを振り乱しながら、まだ見ぬ帝竜に向かって、義憤を吐き出し続けていく。
「駄目だ、泣けてきた……ごめん少し待って」
 割と大きな声で捲し立てる人影に気付いた2体の長耳は疑問に思いながら、黒いジャージで目元から溢れて来た涙をごしごしと拭き取る、隙だらけの玲に向かって降下する。
「おいおい待ってって言っただろう? まぁもう、準備は終わってるけどさ」
 隠し持っていた特殊ワイヤーが法陣を形成。自身の火の気を流し込めば、染み込ませた発火性溶液を通じて、轟と燃え上がる。降下を悪手だと言わんばかり、そこから次々と現れる鳥の群れが、温度に怯んだエルフ二体を、翼膜を突き、四肢を爪で引っ掻き、嘴で肉ごと啄む。
「失敗すると被害2倍なんだろ? 落ちてきたら綺麗な肌も焼けちまうぜ」
 鳥類に群がられ、擦過傷をあちこちに刻まれた所で、玲が飛び込み、炎を宿した拳を二体のみぞおちに突き刺す。肉が焼け焦げる生々しい匂い。彼にとっては慣れ親しんでいるものかも知れない。諜報は何時だって損な役回りだ。
「まぁなんだ……お疲れさん。信じてた国に裏切られたら、忍者なんて、やってられないよな。化けて出るのも納得だっての……送ってやるから、迷わず逝きな」
 彼女等を苦しませないよう、火の気を更に練り込み、一瞬で灰燼に変える。法陣は彼女等を迷わず送る導だ。次は、迷わぬようにと。

●小さな支配者
「皆殺しの平野か……話には聞いていたけれど、これがあたしの群竜大陸一歩目。まずは勝利で飾りましょう」
 印を切り、霊気を練り上げ、飛鉢法で自身を宙空に浮かせながら、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は首肯し、高速で飛び回る。まずは観察。幸い、火力支援をしている猟兵が居るので、暫くはそれに甘え、飛行機動を観察。ある程度パターンを頭に入れた所で編隊的な飛行を止め、霊符を浮かべ印を切る。交差、2体の長耳がゆかりに取り付き、肩に手を置いて甘えるようにしな垂れかかる。形の良い口唇を耳元にゆっくりと近付けると、吐息が耳朶を震わせる。
「ん、房中術の色仕掛けね。確かに……貴方達綺麗だし、大好きだし、侍らせたくなるわ」
 褐色の耳に軽く手を伸ばし撫でさする。彼女等流に改変しているのか、妙な気を流し込まれそうになるのを、自身を浮かす霊力を変質させ妨害、毒を流し込まれると厄介なので、抱き込む様に二人の耳を折ったり曲げたり、くすぐったりと、弄ぶ様にいじる。ついで、送られそうになった気を霊符に受け流し、そのまま、送り返すと、ピクリと眉を跳ね上げ、片目を瞑る。
「私も同性相手なら少しだけ、自信は有るし、これくらいじゃ引っ掛からないわよ。まあ、エルフらしいと言うべきなのかしら? 面白い術に仕上げてるわね」
 長い耳を器用にくるくる巻いてみると、艶のある悲鳴が聞こえ、気に入った方に一枚の霊符を貼り付け、耳を弄るのを止め、印を切り、身の自由を縛る。そのまま、地表に寝かせて、ふわりと着地させる。
「貴方達、大半は自分の意思でやっているみたいね。それなら悪いけど、一人貰って行くわ」
 発言と同時、風神の印を更に切り、霊力をを練り上げ、突風でしな垂れかかっていた1体を吹き飛ばす。気付いて失敗を嗅ぎつけ、砲撃を抜けてきた援軍が、ゆかりに襲い掛かる。不動明王の印を結び、口元が小さく咒を素早く刻む。
「ノウマク サラバタタギャテイビャク サラバボッケイビャク」
 清廉な風神の気とは一転、悪心のみを焼く業火が展開された霊符に宿り、ゆかりの周囲を熱気と炎がぐろを巻くように、覆って行く。触れた先から身と心を焼かれ、掴みかかる寸前でゆかりは引き付けるように後退。
「サラバタタラタ センダマカロシャダ ケンギャキギャキ」
 50枚の白一色の霊符に、更なる悪心浄化の炎が宿り、開放の時を今か今かと待ちながら、実体の無い仮初、九十九の龍が咆吼を上げる。
「サラバビギナン ウンタラタ カンマン。貴方達とは、生きている時に出会いたかったわ」 
 練り上げられた炎の倶利迦羅龍が、開放の時へ歓喜するように、天に向かって口を開き、不浄を喰らわんと、接触した耳長二体を追い回す。触れた先から悪心不浄を喰らう炎の顎が捉え、食いつき、残らず染み出た無念を焼いていく。油断なく敵を見据えながら、後は意識を乗せた倶利迦羅龍に好きにさせると決め込んで、捕縛した耳長の方へと降下する。身体に触れ、違和感のある部分から、何かを押し出すように、霊力を流し込む。肉体から剥離し、浮き出てきた竜胆石。共に、竜化していた部位が元に戻り、抵抗が穏やかになる。
「これで後は、ある程度自由意思を残して……式神にしてしまえば、良いかしらね?」
 少し残る倦怠感と共に、戦線を離れ、彼女の扱いを考える。

●金平糖2号-SAME vs NINJA-
「エンパイア被れの僕にはわかります、あれはニンジャ! ニンジャでございます! 緋雨殿、ニンジャってご存知ですか、とても疾いのでございますよ」
 ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)は赤い瞳をキラキラと輝かせ、空を舞う黒装束の竜人を見て、白い尾をパタパタとちぎれんばかりに振りながら、隣に居る茶髪の長身、天翳・緋雨(時の迷い人・f12072)の方を向いて、語りかける。
「うん。ニンジャだね。ボクも初めて見るよ」
 緋雨はルベルとは対照的に、落ち着いた様子で空の竜人を眺め、特殊繊維性のバンダナを解く。力をより緻密に象嵌された義眼、サード・アイが青空に曝される。
「落ち着いていこう、ね?」
「飛び回る敵には困ったものですが、鮫牙で対抗してみましょう。僕が想像する鮫さんは空を飛びます!」
 凄いでしょうと緋雨に語りかける様に、キリッとした表情で、星守の杖をくるくると回し、3度地面を叩き、ぱっと空中を指し示す。想像に伴い、込められた魔力が淡い光で法陣を描き、そこから、子供が想像した空飛ぶ強靱な鮫が現れ、頭に飛び乗った。鳴き声が上げ、鋭利な牙を隠しもせず、自由に空を舞い、泳ぎ始めた。緋雨も、力を用いた強烈な自己暗示で、普段の人格を塗り潰し、合わせて宙空を蹴る。
「緋雨殿、下はお任せ下さい。彩花を飛ばしてみましょう。こう、念動力でびゅーんって」
 射程内に捉えた所で何本かの苦無が飛来するのを鮫が関知して避ける。一枚の手製の札を念動力で少なくなり、ニンジャに飛ばす。下方警戒の1体が避けようとした所で、上方からの念動力によって動作を一瞬縛る。態度とは裏腹、宿った無念怨念が、忍者の生を剥奪しようと、冥府へと引きずり込む。染み出した仮初の肉体が塵に帰り、残った竜胆石が地に落ちた。
「僕ちょっとニンジャっぽくありませんか? ニンジャの才能があるのかも……!」
「うーん、ニンジャか。ルベル君は動作は滑らかで正確なのだけれど、もうちょい機動力があった方がいいかなー。後はテンションのコントロールね」
 一度ルベルの呼び出した鮫の上に乗り、跳ねる回数をリセット。少ない仲間が火線と召喚された倶利迦羅龍から逃げ回るこの宙空は、猟兵が場を物にしていると言って良い。
「はい、緋雨殿。少し気が緩みましたが、僕は真剣でございます。敵は滅ぼすので御座います」
 大丈夫と、表情を作りながら、自身にもくれた彩花を手裏剣状に折るルベルを見て、緋雨はいよいよ気を抜いて淡く笑い、再び戦場の空を跳ねる。空を泳ぐ鮫の曲線状の動作に比べて直角に動き、飛び交う苦無を避けながら、弾丸、苦無を念動力で静止させ、踏み場にして、空対空、人対人のドッグファイト。通常の格闘戦とは違った三次元格闘機動戦。高所の取り合い、或いは僅かな隙の探り合い。演技をするように此方を見た瞬間に視線を逸らし、相手の瞳が動いた所で雷光の剣で瞬時に切り込む。指を切り、痛苦に表情を歪ませ、破れかぶれの回し蹴りを、上体を反らして躱し、そのまま、前転の要領で、顎を砕く回転蹴り。飛び上がり、心臓を雷光の剣で刺す。墜落を見届ける事も無く、勢い良く足場無き足場を蹴って上空へ。ルベルは下方から、手裏剣状に折った彩花を放ち、ついでに鮫によって空を舞う忍者を突き上げる様に追い立て、高所を緋雨に取られた一体は完全に行動を限定され、鋸刃の様な鋭利な牙で食い千切られる。行き場を失った彩花を操るようにステッキで鮫肌を二度叩き、進行方向を変える。丁寧に回転まで加えられた、奪命の呪符が、次の敵を求めて、くるくると飛び回る。
 当たれば終わりと分かったそれをどうにか良ければ、緋雨が飛び込み、いなせる筈の魔力を彼の力で制限され、雷光の剣を忍者が紙一重で苦無で止めたかと思えば、予め組まれていたかのような、継ぎ目のない蹴撃、拳撃がその身を襲う。中段を片足で防ごうとすれば、それがフェイント、鋭い呼気と共に頬を打ち据える掌底。重い打撃に目眩を覚えれば、次の瞬間には胴薙ぎ。二分割された事に気付くのは、身体が塵に返ってからだ。追い回す手裏剣型の呪符を当てる為に、念動力を開放、回避を続け、鮫の攻撃を躱し続けて居た敵1体を縛る。呪符に込められた怨念が先程と同様に絡み付き、抵抗する意識ごと、冥府の門へと引きずり込む。
「残るニンジャは一人でございますね!」
「終わらせようか」
 鮫に乗って飛行するルベルは変わらず上機嫌に白い尻尾をぱたぱたと靡かせる。後方から鮫で食いかかり、残る八方には呪符を撒く、上方を踏みしめ、緋雨が急降下からの雷剣一閃、手裏剣型の呪符が刺さり、溢れ出る呪が肉体を塵に返す。
「竜肝石……解剖は苦手だけど、皆塵になったし……どうしようか」
「宝石は価値があるのです? では今度、これで何か食べましょう。と言うと、死亡フラグみたいになるでしょうか?」
「どうかなあ」
 念動力で回収し、キラキラと光る6つの竜胆石を、両手を広げて見せたルベルの言葉に、じっと覗き込みながら、考え込んだ。
 皆殺しの平野の猟兵の一幕はこうして幕を閉じる。猟兵が日常に戻るのは、もう少し先の事になりそうだ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年05月05日
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