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禍津ノ魔導機海神

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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●戦略級高機動強襲破砕機士
 それはグリードオーシャンの海に落ちてきた一つの島……いや、一隻の宇宙船が発端であった。
 その宇宙船は巨大であり、海底に突き刺さっても尚、その船体の一部を海上に顕にするほだった。しかし、どれだけ優れた科学技術であっても、時間の流れには逆らえない。
 乗員たちは皆、時間とともに姿を消し、その宇宙船はグリードオーシャンの波間へと消えていく定めであった。

 だが、その宇宙船に残された一騎の戦略級高機動強襲破砕機士が、どのような因果か鮫魔術との融合を果たしたことから事態は一変していく。
「原生魔術との融合を確認。コンバートを開始します……」
 無機質な機械音が宇宙船のハンガー内に響き渡る。それはこれより生まれ出るコンキスタドール、魔導機海神グランダゴンの誕生の瞬間であった。
 如何なる理由で鮫魔術との融合を果たしたのかはわからない。
 だが、わかっていることがある。

 それは、魔導機海神グランダゴンとして新生したコンキスタドールの鮫魔術とウォーマシンによる暴虐が始まるということだ。
「これより敵性宇宙船の排除に入ります―――」

●コンキスタドールの要塞
「やあ。みんな集まってくれてありがとう。助かるよ」
 そう言ってグリモアベースへと集まってきた猟兵たちを見回して頭を下げるのは、宝龍印・ヂュイン(バオロン・f26469)だった。
 彼女はひらひらと手を振り、猟兵たちに事件が起こる世界の話を始めるのだ。

「今回の事件がグリードオーシャン。見つかって新しい世界だからみんな知ってるよね?海しか無かった世界に色んな世界から島とか宇宙船とかが落っこちてきて島になることによって構成されてる世界さ」
 そう、グリードオーシャンには様々な世界から落ちてきたと言われる島々で構成されている。
 今回はそんな島で起こる事件を余地したのだろう。グリードオーシャンにはコンキスタドールと呼ばれるオブリビオンが跋扈している。呪われし秘宝であるメガリスを奪い合うこともあれば、平和に暮らす島民たちを脅かすものまで様々だ。

「今回の島にはね、人は住んでないんだ。無人島ってやつだね。ただ、これ元々はスペースシップワールドの大きな宇宙船が海底に尽き去ったまま残っちゃっているだけなんだ」
 そう、「ギガ・テテュス」と呼ばれる嘗てのスペースシップワールドに存在していたであろう宇宙船の残骸なのである。
 残骸と言っても船体は未だ海洋の侵食に耐えているようだが、その宇宙船としての機能は全て失われている。

「うん、それだけだったらよかったんだけれど、その宇宙船ギガ・テテュスに搭載されていたウォーマシンの内の一機が、グリードオーシャンの鮫魔術と融合しちゃってね。そのコンバートが済むのが君たち駆けつける頃合いなんだよ」
 そして、生まれるのは魔導機海神グランダゴンと呼ばれるコンキスタドールである。鮫魔術と融合しているおかげで深海・水中・空中とあらゆる環境に適応し、搭載された人工知能によって「敵性宇宙船」つまりは他の世界から落ちてきた島を敵と認識して蹂躙を開始してしまうのだ。

 それを止められるのは猟兵しかいない。目覚めた直後であれば、手のつけられない敵ではない。すでに「ギガ・テテュス」に搭載されていたウォーマシンはメガリスによりコンキスタドールとなっており、メカニカルパイレーツと呼ばれる群体オブリビオンとして島となった宇宙船を要塞として守っているのだ。
「そう、まずはそのコンキスタドールとなったウォーマシンの群体を蹴散らしてほしいんだ。そして、要塞となった宇宙船の中で本命の魔導機海神グランダゴンを倒して欲しいんだよね」
 でも、とヂュインは付け加える。注意して欲しい、と。

「魔導機海神グランダゴンを倒した後、この宇宙船に残されていたメガリス……ありていに言っちゃえば、自爆装置だよね。それが発動して要塞諸共、君たちを巻き添えにしようとするんだ。だから、それから無事に逃げて欲しいんだ」
 言いたいことはわかっているよ、とヂュインは微笑む。ふふ、と少し楽しげに笑っているのだが、猟兵たちからすれば、なんでそんなに楽しげなのだと訝しむだろう。

「ああ、ごめんごめん。だいじょうぶ。ギガ・テテュスの中にね水上バイクが残されているんだ。自爆装置を起動されるのと同時にみんなはそれを使って要塞から脱出して。ただ、結構年代物だからね、一回使っちゃったら、壊れちゃうんだ。だから、脱出のチャンスは一回こっきり」
 それだけは気をつけてね、とヂュインは念を押す。

「最後まで危険がつきまとう戦いだけれど、他の島に魔導機海神グランダゴンの暴虐の手が及ぶ前にどうか片付けて欲しい。どうか頼むよ……」
 そう言って再びヂュインは頭を下げる。
 転移の準備はもう整っている。後は欲望と暴虐渦巻くグリードオーシャンに飛び込むだけである。

 暴走する魔導機海神グランダゴンを止め、グリードオーシャンに平和に暮らす人々のためにも未然に伏せがねばならない。
 今、海洋における嘗て宇宙を駆けた戦略級高機動強襲破砕機士との戦いが始まろうとしていた―――!


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はグリードオーシャンでのコンキスタドールの要塞を攻略するシナリオになっております。ロボットかっこいいですよね……好き……!

●第一章
 集団戦です。要塞……ここでは嘗ての宇宙船「ギガ・テテュス」と呼ばれる大きな宇宙っせんが海底に突き刺さった海から生える塔のような島へと侵入します。
 かつての発進口など様々な入り口がありますが、どのルートを通ってもコンキスタドールの群れとの戦闘になります。
 これを蹴散らして、宇宙船の中心部に座す魔導機海神グランダゴンの元へ急行しましょう。

●第二章
 ボス戦です。要塞内部にて鮫魔術とのコンバートを終えた魔導機海神グランダゴンとの戦闘になります。未だ起動したばかりなので、本調子ではありませんが、倒すには絶好の機会です。
 完全起動すれば、どんな島であっても破砕し、海しか残らないほどの破壊力を有する強力なコンキスタドールとなってしまいますので、これを撃破しましょう。

●第三章
 冒険です。倒された魔導機海神グランダゴンは、要塞の自爆装置……メガリスを起動させ、死なばもろともと猟兵を巻き添えにしようとしてきます。
 これからに逃れるために宇宙船「ギガ・テテュス」に残されていた水上バイクを駆り、海上へと脱出しましょう。
 これもまた年代物であるので、奇跡的に皆さんが脱出するまでは機能します。ただ、自爆し爆散する宇宙船の破片や、荒れ狂う波などが障害となります。
 これを上手にかわし、無事に脱出しましょう!

 それではグリードオーシャンの島へと変わり、コンキスタドールの要塞へと姿をかえた嘗てのスペースシップワールドの宇宙船「ギガ・テテュス」。その最期までをどうかみなさんの手で締めくくってください。
 皆さんのキャラクターの活躍を格好良く綴れるように、いっぱいがんばりますので、どうぞよろしくお願いします!
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第1章 集団戦 『メカニカルパイレーツ』

POW   :    目標確認、銃殺で処理
【ビームマスケット】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    目標確認、近接を敢行
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【耐久力及びエネルギーと他の仲間】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ   :    耐久力低下、至近距離自爆を遂行
自身に【エネルギーシールドと高熱】をまとい、高速移動と【自爆による爆発エネルギー】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。

イラスト:ゆりちかお

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 それはまさに海中より出る塔のような島だった。
 いや、島に成ったというべきであったであろう。それは空より堕ちしスペースシップワールドの宇宙船「ギガ・テテュス」。
 銀河の大海原を駆けていた宇宙船はグリードオーシャンの海に突き刺さるようにして機能を停止していた。

 海洋の侵食によって長い年月をかけて海の藻屑へと帰って行く定めであったが、何の因果か鮫魔術と混ざり合うウォーマシンが一機、コンキスタドール……魔導機海神グランダゴンへと変貌を遂げようとしていた。

 それを護るように宇宙船の中に蠢くは、メカニカルパイレーツ!
 かつてのウォーマシンがメガリスを取り込むことによってコンキスタドールへと姿を変じた群体オブリビオンである。

 機械音が要塞と化した嘗ての宇宙船「ギガ・テテュス」の内部で侵入者を内畑産と跋扈する。
 これを打ち払い、グリードオーシャンの平和な島に過ごす住人たちを護らなければ、魔導機海神グランダゴンの圧倒的な力によって島ごと海の藻屑へとされてしまうだろう。

 それをさせないために猟兵は今、コンキスタドールの要塞と化した宇宙船「ギガ・テテュス」へと乗り込むのだった―――。
メルティア・サーゲイト
 そういう事なら海上から攻めればいいじゃねーか。主砲で船体を壊さない程度に砲撃して、上陸地点を確保するぜ。海上の移動手段に困る猟兵が居たら一緒に乗せてもいいな。
 私はこのまま海上に敵を引き付ける。何せ、自分はまだ宇宙に居て敵宇宙船に攻撃を受けているっていう誤認をしてるんだろ? 利用しない手は無い。艦ごとぶっ壊したいがそうも行かないだろうしなァ。壊さない程度に主砲と固定機銃で表面を炙って敵の目をこっちに引き寄せるぜ。
「んでもって、後は無人の野を行くが如くだな」
 その間にドールユニットで水中モーターを使って潜入。ドールは戦闘力低いからな、上手い事潜入するぜ。



 グリードオーシャンの海洋は、時に荒々しく時に鏡面のように凪ぐ。スペースシップワールドの宇宙空間、銀河の海もまた同じようなものであったことだろう。
 かつてはスペースシップワールドの銀河を股にかけていた宇宙船「ギガ・テテュス」も、今はグリードオーシャンに落ち、まるで海中に生えた塔のような威容を見せている。
 その内部ではメガリスを取り込むことによってコンキスタドールへと変貌を遂げたウォーマシンの群れ、メカニカルパイレーツが蠢いていた。以前は発進口であったり、物資の搬入を行う場所であったであろう入口付近には猟兵達の侵入を拒むように多数のメカニカルパイレーツたちがビームマスケット銃を手に対空防備を完璧にしていた。
 あそこまで強固に対空への警備を続けられてしまうと、空を飛ぶなどの手段で侵入しようとした猟兵たちは相当な難儀を被ることになるだろう。

「そういうことなら海上から攻めればいいじゃねーか」
 そんな声が無骨なウォーマシン……ゴーレムユニットであるメルティア・サーゲイト(人形と鉄巨人のトリガーハッピー・f03470)から響く。その内部に存在する女性型のドールユニットが気風の良い声を快活に上げるのだ。
 そう、空からが難しいのであれば海上から攻める。ここはグリードオーシャンである。彼女ならばそれが容易く行えるだけの能力を備えた猟兵なのだ。

 ユーベルコード、MODE DESTROYER(モードデストロイヤー)によってメルティアのゴーレムユニットが艦橋へと変形し、異相次元より召喚された駆逐艦船体と合体する。
 それは空宙潜対応の万能駆逐艦である。
「駆逐艦を舐めるなよ? 今の駆逐艦は凄いんだぜ」
 大きいは強い。小さいは弱い。そう思いがちであるが、実際にそうであるとは言い難い。小回りが効く、回避が容易い、当てられにくい。そう考えれば小さくとも乗り手次第であることは明白であった。

 装備された主砲が火を噴く。かつての宇宙船「ギガ・テテュス」の搬入口付近に陣取っていたコンキスタドール、メカニカルパイレーツたちが吹き飛ぶ。
 船体が崩壊しない程度に威力を抑えてはいるが、それでも凄まじい火力である。
「私はこのまま海上に敵を引きつける。何せ、自分はまだ宇宙に居て敵宇宙船に攻撃を受けているっていう誤認をしてるんだろ?」
 ならば、それを利用しない手はない。ここでメルティアのゴーレムユニットが変形した駆逐艦がメカニカルパイレーツたちの目を引きつけていれば、対空に関する防備も薄くなるだろう。
 そうなれば、後続の猟兵たちにとってもプラスに働くことは間違いない。
 まあ、艦ごとぶっ壊したい、と思ってしまうのはメルティアのトリガーハッピーたる所以だろうが、そうも言っていられない。

 万能駆逐艦の威力を抑えた主砲と固定機銃が火を噴く。それはトリガーハッピーという称号以上の働きを見せつけ続ける。
 巨大な宇宙船と言えど、最新の駆逐艦とでは何もかもが違いすぎるのだ。メカニカルパイレーツの放つビームマスケット銃も海上を自由に駆け回るメルティアの駆逐艦には当たることはない。
「んでもって、後は無人の野を行くが如くだな」
 派手に海上で暴れ続けるメルティアのゴーレムユニットから、水中で切り離されるドールユニット。
 背に負ったナノクラフトバインダーが瞬時に作成したのは水中モーターユニット。海中での推進力を得たメルティアのドールユニットが容易く海中の存在する宇宙船への侵入経路を確保する。

 海上で暴れ馬のごとく敵の目を引きつけ続けるゴーレムユニットと比べると戦闘力が低い。だからこそ、こうして海中から潜入するのだ。
 海中に沈んだ船体の部分にまではメカニカルパイレーツも存在しない。そして、海上ではゴーレムユニットが他の猟兵たちの突入をサポートするように砲火を交え続けている。
「さて、上手いこと行ったぜ……後は、コンキスタドールの親玉っていうか、メインディッシュってとこだな」
 こうして、陽動と潜入を同時にこなしたメルティアのゴーレムユニットとドールユニット。
 ドールユニットは海中の満たされていない場所へと出ると濡れた銀髪をかき上げ、中央部の魔導機海神グランダゴンの元へと駆け出すのだった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
心情
ウォーマシンさんが
コンキスタドールに変えられてしまったとは
お可哀想に

自分の身や仲間を犠牲にした捨て身の戦術は
正に使い捨ての駒のようで哀しいです

猟兵の務めとして
倒すことで解放してあげたいです

手段
魔法の迷彩で姿を隠し猫の如くこっそりと侵入
;迷彩&忍び足&目立たない&見切り&早業

敵に遭遇したらUCで水鏡の分身を纏い防御力強化
水流纏うKナーゲルを一閃
:残像&早業&先制攻撃&フェイント&見切り&属性攻撃&串刺し&優しさ

敵攻撃は残像&早業&見切りで回避
残念!それは水鏡でした

敵の腕や股下を潜り走り抜けて
宇宙船の中心を目指します



 様々な世界より落ちし島々によって構成される海洋の世界、グリードオーシャン。そこにはかつて銀河の海を進む宇宙船もまた同様に落ちてくることがある。
 それは時としてグリードオーシャンを構成する一つの島へと姿を変えることがある。
 宇宙船「ギガ・テテュス」もまたその一つであった。
 しかし、その船体は海底へと突き刺さり、それでもなお巨大な船体は海の波間からそそり立つ塔のような威容を海洋にそそり立たせていた。

 そして、このかつての宇宙船の内部にて一騎のウォーマシンが魔導機海神グランダゴン……コンキスタドールとして起動しようとしていた。それによって引き起こされるのは災害と行っても過言ではないほどの武力の行使。
 このグリードオーシャンに浮かぶ島々を敵性宇宙船と誤認し、海の藻屑へと変えるべく進撃するのだ。
 それを阻止せんと猟兵たちは宇宙船「ギガ・テテュス」の塔じみた船体へと侵入するのだった。

 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)もまたその一人である。ケットシーである彼は愛らしい姿をしながらも、無事に宇宙船の中へと侵入を果たしていた。
 他の猟兵達の行動も相まって彼の小さな体はあっさりと防衛するウォーマシンのコンキスタドール……群体であるメカニカルパイレーツの目を掻い潜ることができたのだ。
 それに、彼の手足もまた猫と同様。忍び足で目立たないように、早業のごとく進めば、誰も彼に気がつくことはできないだろう。
「ウォーマシンさんがコンキスタドールに変えられてしまったとは……おかわいそうに」
 彼の心は、メガリスによって変貌してしまった嘗てのウォーマシンたちへの憐憫の念に支配されていた。
 それはいかなる存在であっても、自分の身や仲間を犠牲にした捨て身の戦術を取ることが、まるで使い捨ての駒のようで悲しかったのだ。

 一刻も早く戦いを終わらせなければならない。この船体の中央部に存在している魔導機海神グランダゴンを撃破し、彼の翡翠の瞳に映る悲しきウォーマシンたちの連鎖を止めたいと想いを新たにしたのだった。
「しかし、中央……ということは、これをどんどん下っていけばいいんですよね……」
 そう、船体は突き刺さるように塔のようになっている。当然、あちらこちらは崩壊しており、気をつけなければ、あっという間に真っ逆さまに落ちてしまうだろう。

 しかしここで怯んでいては何事もなせない。えいや、と仄々は飛び降り、ケットシーならではの俊敏な動きでくだっていく。このままどうか敵と遭遇しないことを願っていたが、それも敵わない。
「……やはり、中央の防備の方が厚いようです。戦いが避けられないのであれば、せめて早く終わらせましょう!」
 彼のユーベルコード、トリニティエンハンスで強化されるのは水の力による防御力強化。
 水鏡のように彼の姿が分身し、メカニカルパイレーツたちのビームマスケット銃のビームの照準を惑わしていく。

「残念!それは水鏡でした!」
 残像の如き存在する水鏡によって彼の姿はいくつも現れては消えていく。そして、彼の持つ魔法剣……細い刀身を持つ「ねこのつめ」。カッツェンナーゲルが水流を纏って一閃される。
 メカニカルパイレーツの体がぐらりと崩れ落ちる。それは彼の優しさでもあった。一刀のもとに倒し切る。
 ウォーマシンは機会ではあろうが、それでも苦痛や痛みを感じないほうが良い。次々と水鏡による翻弄と仄々の一閃が舞う。

 するりとメカニカルパイレーツの股下をくぐり抜け、彼らとの戦闘を早々に切り上げる。急がねばならない。
 未だ起動してはいないとはいえ、完全起動した魔導機海神グランダゴンの強大さは折り紙付きである。
 平和な島々に住む人々の安寧を護るため、急ぎ中央部を目指すのであった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

春乃・結希
宇宙船、ロボ…かっこいい…ロマンですね…!
先鋒の猟兵さんが引き付けてくれている今がチャンス
全速力で行くよっ『with』!

【オーラ防御】を前面へ集中展開
海面スレスレの超低空音速飛行で一直線に宇宙船へ接近【空中線】
多少の被弾は【激痛耐性】で無視
猟兵さんの開けてくれた防衛の穴を潜り侵入します
ありがとう猟兵さん!突撃だー!

進入に成功したら地上戦に切り替え
『wanderar』で強化された脚力で全力【ダッシュ】
全部相手していたらキリがないので
進路上の邪魔な敵だけ『with』で蹴散らし
あるいは頭上を飛び越して
中央部を目指します

ごめんねっ、あなた達と遊んでる場合やないんです
私はかっこいいロボに会いに来たんだ!



 人々の心に浪漫が在る限り、ありとあらゆるものは夢物語にはならない。夢物語では終わらせない。
 それが人の心に在る原動力なのである。それは憧れであったり、好奇心であったり、向上心であったりする。
 グリードオーシャンは人の欲望を飲み込む海洋の世界である。どんなものあれ、それを容認するだけの懐の大きさこそが、この世界の有り様であったのかもしれない。
 あらゆる世界から落ちてきた島々が構成し、今回の事件の発端となったスペースシップワールドの宇宙船「ギガ・テテュス」もまたその一つだ。

 海底に突き刺さった船体は海から覗く塔のようにそそり立っていた。
 今まさに、その中心部に存在する魔導機海神グランダゴンの撃破に赴いているのは猟兵である春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)。
 彼女は大剣『with』を抱え、先鋒の猟兵が切り開いてくれたチャンスを逃さずに進むのだ。
「宇宙船、ロボ……かっこいい……ロマンですね……!先鋒の猟兵さんが引き突けてくれている今がチャンス!全速力でいくよっ『with』!」
 彼女は海面すれすれに音速飛行で一直線に宇宙船「ギガ・テテュス」の船体へと接近する。
 前面にオーラ防御による障壁を発生させて飛ぶ姿は、まさに弾丸のようであった。
 それに気がついたメカニカルパイレーツたちが一斉にビームマスケット銃で応戦するが、もう遅い!

 彼女のユーベルコード、によって彼女自身は強大なエネルギーを持つ風を纏い、彼女自身が大剣『with』と共に在り最強であるという自己暗示の元に強化された戦闘力は、その程度の攻撃では止まりようがないのだ。
「ありがとう!猟兵さん!」
 全速力で飛び、船体の開いた搬入口へと突っ込む結希。彼女の蒸気ブーツが船体の床を火花を散らしてブレーキを掛けて止まる。
 しかし、そこで止まっていては、メカニカルパイレーツのビームマスケット銃の餌食になってしまう。状況を即座に確認。
 一気に強化された脚力が壁を蹴る。くるりと空中を舞い、眼下にメカニカルパイレーツたちを捕らえる。
 群体オブリビオンであるコンキスタドールたちの数を確認するのだ。
「1……2……ああ、全部相手していたらキリがないですね!」
 数えるのをやめた。全てを撃破するのは、今は時間が惜しい。
 少しでも早く中央部にたどり着き、魔導機海神グランダゴンを撃破しなければ、平和な島々に住む人々が危ないのだ。
 地上に降り立ち、蒸気ブーツが床を踏みしめる。轟音がして、彼女が床を蹴ったのだとわかる。
 凄まじいスピードで一気に大剣『with』を横薙ぎに降る。それはユーベルコードによって得られた戦闘力があればこその芸当であった。

 大剣に薙ぎ払われ、胴を両断され、壁へと叩きつけられるメカニカルパイレーツ。さらに蹴散らすように『with』を振るい突破口を開く。
「ごめんねっ、あなた達と遊んでる場合じゃないんです!」
 狭い船体の中をジグザグに床や壁を利用して飛び跳ねながら、メカニカルパイレーツたちを切り捨て、進んでいく。
 彼女の信じる『with』さえいれば、何も恐れることはない。
 それを自己暗示と言うのかもしれないが、彼女にとってそれはそういうものではない。信頼そのものを力に変えて、彼女は進む。

 彼女の表情はどこか晴れやかであり、何か嬉々としたものを感じられるだろう。
 なぜなら―――。

「私はかっこいいロボに会いに来たんだ!」
 そう、彼女もまた浪漫を解する者。
 ただ、今回はめぐり合わせが悪かったということだけだ。彼女が猟兵であり、相手がコンキスタドール……オブリビオンである以上相容れぬ存在。
 それでも、彼女は纏った風と共に中央部を目指して駆け抜けるのであった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガーネット・グレイローズ
ここにも、宇宙から落ちてきた船が…。しかもウォーマシンが鮫と融合してしまうなんて、どうなってるんだ!?
まずは適当なハッチを見つけて潜り込み、〈世界知識〉で宇宙船内部の構造を調べて奥へ進もう。かなり古い作りのようだが、基本的な構造は一般的な宇宙船と似たようなものだろう…。接敵したら、クロスグレイブの〈砲撃〉で応戦しつつ【裁断領域】を展開。戦場一帯が、ワイヤーフレームでできた奇妙な空間に変わる。中に閉じ込めた敵を、〈念動力〉で操る『スラッシュストリング』ワイヤーブレードでまとめて攻撃。〈メカニック〉で構造上脆い部分をピンポイント攻撃し、バラバラに寸断してやろう。



 空から島が落ちてくる世界。それが海洋世界グリードオーシャンである。
 様々な世界よりこぼれ落ちてきたかのように、グリードオーシャンを構成していく。様々な世界の島々は、元世界の文化を僅かに残すばかりではあるが、確かに文化として根付いていくのである。
 しかし、時に落ちてくるのは島だけではない。スペースシップワールド、その銀河を行く宇宙船までもが落ちてくるのだ。
 今回の事件の発端と成った宇宙船「ギガ・テテュス」もまたそのうちの一つであった。
 巨大な宇宙船が海底に突き刺さり、まるで塔のように海より覗く姿。それはあまりにも非現実的な光景であった。
 それでも時間の経過と共にいつかは、波に侵食され崩れ落ちていく運命にあったはずだった。

 だが、今回グリモア猟兵が予知したのは、一騎残されたウォーマシンと鮫魔術の融合によって生まれる魔導機海神グランダゴンの姿である。
 それは他の島々を敵性宇宙船と誤認した魔導機海神グランダゴンが武力によって島を海の藻屑へと変えてしまう事件だった。

 それを阻止するために塔じみた宇宙船の残骸へと向かう猟兵たち。
 その一人であるガーネット・グレイローズは、その威容と、グリモア猟兵から齎された予知の内容に驚愕を隠せないようであった。
「ここにも、宇宙から落ちてきた船が……しかもウォーマシンが鮫と融合してしまうなんて、どうなってるんだ!?」
 彼女の動揺も最もなことであったことだろう。
 グリードオーシャン由来の魔術である鮫魔術。それとスペースシップワールドのウォーマシンがどのようにして結びついたのかは定かではない。
 定かではないが、これを止めなければ、平和な島々が蹂躙されてしまうのであれば、ガーネットが動かぬわけにはいかない。

「ぬ……くっ……流石に適当なハッチを見つけて……と思っていたが……いや、思っていた通りではあるのだが」
 彼女は適当なハッチを見つけてこじ開ける。海の潮に侵食され錆びついているハッチを明けるのは少々難儀ではあったが、猟兵である彼女にとっては軽いものである。
 彼女の中にある知識と照らし合わせれば、確かにスペースシップワールドの宇宙船である。
 しかし、ハッチを開けた先に待ち受けていたのは、この要塞と化した宇宙船の守りである配下のコンキスタドール、メカニカルパイレーツである。
 手にしたビームマスケット銃、そして自身が高熱になるのもいとわずに張られるのはエネルギーシールド。

「こうも早々に接敵するとはな!」
 彼女の持つ巨大な十字架をもした形状の携行型ビーム砲塔デバイスが火線を放つ。
 エネルギーシールドに阻まれるも、それも計算のうちである。
 周囲の壁や床を見やる。それは彼女の知識に在る宇宙船のものと似ていた。彼女とて宇宙に領土を求めて進出した一族の末裔である。
 この宇宙船の年式や構造に似たものは見たことが在るのだ。
「把握した……ならば!」
 彼女のユーベルコード、裁断領域(カッティング・ネスト)が発動する。一瞬で張り巡らされるスラッシュストリングスのワイヤーブレードが張り巡らされる。
 それはもはや結界のようなものであった。
 触れるもの全てを断ち切るワイヤーブレードがメカニカルパイレーツたちの動きを封じる。
 如何にエネルギーシールドと言えど、うかつには動けまい。

「お前はもう、私から逃れられないよ」
 くん、とガーネットの手が動く。それは彼女の念動力によってワイヤーブレードが自由自在に動き回る合図であった。
 一瞬にして、メカニカルパイレーツたちの脆い場所を見抜き、ピンポイントでバラバラニ寸断する。
 それは鮮やかな手品を見ているかのような光景であった。気がつけば、彼女の侵入を拒んでいたコンキスタドールの群体は全て寸断されていた。
 これだけ時間が立っていれば、この船の構造も相当痛みが入っているであろうことはガーネットにもよくわかる。

 急がなければならない。大きな戦いになれば、この要塞と化している船事態の崩壊をも早めるかも知れないからだ。
 それに、完全に起動した魔導機海神グランダゴンは、島一つ容易く消し去ることができるほどの強大なコンキスタドール。
 起動したての機会を逃すわけにはいかない。
 ガーネットは急ぎ、かつての宇宙船「ギガ・テテュス」の船内を駆け、中央部を目指すのだった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェル・トリニィ
アドリブ大歓迎です!

ほぉ… 海賊型のウォーマシンとは驚きだな。
うーん、奴らからは心が感じ取れない…
元からなのか、メガリスの影響なのかは分からないがね。
何にせよ、邪魔する者は倒す… それだけだ!

行動
敵はとにかく数が多いからな…
《念動の幻影》でもう一人の私を増やして熱線銃や四連装ビームランチャーでの援護を任せつつ、私は赫灼の聖剣で〈切り込み〉〈フェイント〉を仕掛けて〈二回攻撃〉だな!
敵の攻撃は〈第六感/見切り/早業〉で出来る限り回避を試みるぞ!



 メガリス。それは呪われし秘宝である。手にした者を生きてユーベルコードに覚醒するか、死んでコンキスタドールへと変えるかのどちらかに導くものである。
 それが例えウォーマシンであっても生命あるものであるというのなら、メガリスの影響を受けるのである。

 宇宙船「ギガ・テテュス」。かつてスペースシップワールドの銀河を駆けた宇宙船が如何なる理由によって、この海洋の世界、グリードオーシャンへと落ちてきたのかは最早定かではない。
 ただ、はっきりしているのは、メガリスを得たウォーマシンはメカニカルパイレーツと姿を変えコンキスタドールへと変貌を遂げているということ。
 そして、彼らの主である、海底に突き刺さり巨大すぎる船体を海面まで貫いて届かせる塔の如き威容を放つ「ギガ・テテュス」の中央部に座す魔導機海神グランダゴンが鮫魔術と融合し、新たなるコンキスタドールとなったということである。

 フェル・トリニィ(敵を穿ち貫く虎頭蜂・f26788)は、その塔の如き要塞となった「ギガ・テテュス」へと乗り込む猟兵の一人である。
 先鋒を務めた猟兵のおかげで彼女もまた背部の四枚羽によって推進力を得て宇宙船へと取り付くのである。
 かつての発進口出会ったであろう場所はコンキスタドールへと変貌したメカニカルパイレーツたちが蠢いている。
「ほぉ……海賊型のウォーマシンとは驚きだな」
 フェルはひと目でわかった。彼女が相対するウォーマシンの成れの果てであるメカニカルパイレーツたちは、どれも心が感じ取れない。
 それが元からなのか、メガリスの影響なのかは解らない。だが、確実に言えることは、彼女の邪魔をしようとしていることだけ。
 ならばどうするか。

「何にせよ、邪魔する者は倒す……それだけだ!」
 フェルのユーベルコード、念動の幻影(サイキックアバター)が発動する。彼女の持つサイキックエナジーが幻影を作り出す。
「私が増えた所で戦況は変わらない… だが、居ないよりはマシだろう?」
 彼女の作り出したサイキックエナジーの幻影は、彼女自身の姿を模していた。これが彼女にとって一番イメージしやすい形であるのだろう。
 それに自分自身の幻影を作り出すメリットというものは、単に人数が増えるということだけではない。

「さあ、いくか……!切り込みは私がやる!」
 フェルが手にしたのは赫灼の聖剣。赤い燃えるようなプラズマ熱線剣が暗い宇宙船の中を仄かに照らす。
 メカニカルパイレーツたちは手にしたビームマスケット銃を構え、フェルを迎え撃つ。ビームの熱線は飛び込んでいくフェルの持つ電磁防壁発声装置によって弾かれる。過信は禁物であるが、これならばとフェルの剣撃が冴え渡る。

 そして幻影のフェルは、彼女の持つ装備……即ち援護に向く装備をシェアすることにより、後方からの攻撃を可能とする。幻影で自分自身を増やす最大のメリットはここにある。
 自身が扱う武装であれば、自身の幻影もまた容易く扱うことが出来る。
 手にしているのは、熱線銃と四連装ビームランチャー。どちらも遠距離からの攻撃に向いている。
「後ろは任せたぞ!敵をこちらが惹きつける!」
 フェルの背後から、彼女の死角をフォローするように熱線や光弾が放たれる。その嵐のように放たれ続ける砲撃を絶妙なタイミングでフェルは剣撃を放ちながら、効率的にメカニカルパイレーツたちを打倒していく。
 それは時にフェイントを含ませた獰猛なスズメバチのように華麗に舞い上がっては、鋭く刺し穿つように切り捨てていく。

 その姿は美しく。まるで戦場にいる華を思わせたかも知れない。
「目的は中央部のコンキスタドール……!こんな所で足を止めるわけにはいかない……」
 そう、完全起動に至れば、島一つを簡単に消し飛ばすことができるほどの力を持った強大なコンキスタドール、魔導機海神グランダゴン。それを早く倒さねば、平和に暮らす人々の島をも蹂躙されかねない。
 それだけは阻止しなければならない。フェルはもう一度、赫灼の聖剣を握りしめ直すと、朽ちかけた宇宙船の中を、中央部目指して飛ぶのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
◆SPD
目標の起動直後を狙いたいなら、あまり時間はかけられないか
道を塞ぐ敵を突破して先へ進む

敵を発見次第、銃の攻撃で敵の撃破を試みる
距離が開いているならそのまま撃ち合い、敵が接近するならその場で迎え撃つ
間合いを取ってもまた詰められるだけだろう
それに、敵に囲まれた方が都合が良い事もある

接近する敵をなるべく多く引き付けて、ユーベルコードを発動する
打撃で敵の持つ武器の軌道を逸らし、目立つアイセンサーごと『零距離射撃』で頭部を撃ち抜く

仲間のウォーマシンを犠牲にしてまで向かってくるとは少し驚いたが
その仲間ごと倒してしまえば問題は無い
犠牲にできるウォーマシンがいなければ十分な効果は発揮できないだろうからな



 時間と波の侵食だけがスペースシップワールドの宇宙船「ギガ・テテュス」を海の藻屑へと変えていく。
 それは覆すことのできない事実である。かつて銀河を駆けたであろう宇宙船であっても、時間とグリードオーシャンの海洋……波の侵食には打ち勝つことなどできようはずもなかったのである。
 しかし、時に時間の経過というものは思わぬ災厄を引き寄せるのかもしれない。
 宇宙船に残されていたウォーマシンはメガリスによって姿をメカニカルパイレーツへと変じ、コンキスタドールへと成り果てた。
 そして、原生魔術である鮫魔術とどのような因果で結びついたかはわからないが、コンキスタドールとして産まれたのが魔導機海神グランダゴンである。
 それはおぞましき戦略級のコンキスタドールとして起動を果たす。島一つを軽々と吹き飛ばすほどの強大さ。

 しかし、未だ完全起動は果たしていない。起動した間もない今ならば、これを完全に討ち果たし、平和な島々が失われることを防ぐことが出来るのだ。
「目標の起動直後を狙いたいなら、あまり時間はかけられないか」
 素早く海面に塔のようにそそり立つ宇宙船……今はコンキスタドールの要塞となっている「ギガ・テテュス」の錆びた搬入口から侵入を果たした猟兵、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は、己に確認するように呟く。
 彼の目標は中央部に座す魔導機海神グランダゴンである。

 しかし、その前に中央部へと向かうルートには確実に配下コンキスタドールであるメカニカルパイレーツが存在する。
 どこが手薄であるなど考える時間すら惜しいと思った。駆け出す。あまり時間は駆けられないと判断したのはシキ自身である。最速最短。それを目指すのだ。

 想像以上にわらわらと通路の端々から現れるメカニカルパイレーツたち。敵、と視認した瞬間にシキはハンドガンの引き金を引く。躊躇はない。
 メカニカルパイレーツたちもビームマスケット銃で応戦してくるが、判断の速さはシキが上であろう。
 次々と駆け抜けながら、すれ違いざまに弾丸を打ち込んでいく。
「判断が遅い……長年放置された弊害か……?」
 だが、それは此方にとっては好都合でしか無い。中央部へと進めば進むほどに増えるメカニカルパイレーツたち。
 ついには囲まれてしまうが、シキは未だに冷静であった。

「敵に囲まれたほうが都合が良い事もある……」
 一斉にシキへと囲い込みを強め、包囲の後にすり潰さんとするメカニカルパイレーツたちを襲ったのは、シキのユーベルコード、フラッシュ・ストーム!
 それは彼の持つ射撃技能、格闘技能全てを刹那に繰り出すユーベルコードである。
 それはもはや一瞬の絶技であった。
 目にも留まらぬ超スピードで放たれた銃弾とシキの拳はメカニカルパイレーツたちを暴風雨のようになぎ払って、囲い込みを突破する。
 だが、それでもメカニカルパイレーツたちはシキへと迫る。なるほど、とシキは得心が行く。

「仲間のウォーマシンを犠牲にしてまで向かってくるとは……」
 そう、シキの攻撃を仲間たちを盾にして防ぐ個体がいたのだ。シキを屠らんと迫るメカニカルパイレーツたちを再び、シキの暴風雨のような銃弾が襲う。
 何も難しく考えることはないのだ。
 仲間を犠牲にして進んでくるというのなら、その仲間ごと貫いて倒してしまえばいい。それに、彼らの行動は全て仲間がいないと成り立たない。

 一人でもこうして闘えるものにこそ宿る強さというものがあるのだ。
 シキは、そんな彼らの最期を見るつもりはなかった。踵を返して中央部を目指す。
「さっき言った通りだ。時間が惜しいんでな……」
 そう、時間は限られている。魔導機海神グランダゴンの完全起動まであと僅か。
 その起動直後を狙う。そのためにシキは宇宙船の中をひた走るのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐田・忌猿
「不運だべなぁ……オブリビオンに取り込まれたばかりに……」
同じ器物由来の者として哀悼を捧げる
そして顔を上げた時には冷酷な殲滅者だ
「だが民を害するなら、お主等は屠らねばならん。一息に滅するぞ」

海上を「鬼神甲」に宿りし鎌鼬由来の忍者脚力で疾走し、【しのび足】で艦を目指す
ギリギリまで隠密し、鋭い蹴りで風【属性攻撃】の真空波を飛ばして戦闘開始
【残像】と【ジャンプ】を駆使する忍者体術で敵を引き付け、大きな円の内部に囲うように誘導を狙う
仕上げは敵中央に移動し、高い跳躍から複雑な手印を結び火球を吹く
事前散布した気化燃料に引火させ大爆発狙いだ

「劫火滅却……火遁・大紅蓮花」

自身はムササビの術で爆風と共に離脱する



 欲望の海洋、グリードオーシャン。
 そこは海賊とコンキスタドールが跋扈し、空より落ちし異世界の島々が浮かぶ世界である。スペースシップワールドの銀河を行く宇宙船であろうとも、何の因果か空より落ち、島として浮かぶこともある。
 この事件の発端である宇宙船「ギガ・テテュス」もまたその一隻であった。
 海底に突き刺さり、塔のような威容を海面から覗かせる姿は、その宇宙船の大きさが如何なるものであるのか想像させるには容易いものであったであろう。

 そして、その宇宙船の中にあったウォーマシンはメガリス……呪われし秘宝によってコンキスタドールであるメカニカルパイレーツへと変貌を遂げていた。
 宇宙船は所々、波に侵食され、あちらこちらが錆びついていた。一つのハッチをこじ開け、侵入を果たしたのは、佐田・忌猿(鬼面忍者・f10152)である。
 彼はヒーローマスクである。彼の出自は神面。この事件の予知を聞いた時に何か思うものがあったのであろう。
 神妙な面持ちで宇宙船の中へと入ると、そこはかつてウォーマシンであったメカニカルパイレーツたちで蠢いていた。
「不運だべなぁ……オブリビオンに取り込まれたばかりに……」
 彼にとっては同じ器物由来の者である。そこに哀悼を捧げるのは何ら間違いではない。しかし、伏せた顔が上げられた時、つかの間の哀悼は終わりを告げる。
「だが、民を害するなら、お主等は屠らねばならん。一息に滅するぞ」
 ―――そこあったのは冷酷な殲滅者。
 忌猿はわかっている。無辜の民の無念の重さを。穏やかに祀られていた己すらも激しい怒りで鬼面へと変じたことを。だからこそ、ここで全て屠らなければならないのだ。

 すでにここまでの海上を行く道中で忌猿の化身体を構成する妖の鎌鼬の力によって疾走し、音も立てぬ忍び足にてやってきたのだ。
 こちらはあちらに気がついていても、あちらはこちらに気がついていない。
 圧倒的なアドバンテージはこちらにある。ギリギリまで隠密行動に徹し、宇宙船の中へと侵入を果たしたのだ。
「しからば……御免!」
 完全なる不意を付いた鎌鼬の力宿りし蹴撃が真空波を飛ばし、一体のメカニカルパイレーツたちを切り裂く。
 その音にメカニカルパイレーツたちも漸くにして自分たちが強襲されたことを悟る。
 しかし、もう遅い。
 この忌猿を相手どって、先手を取らせた事自体が間違いなのである。メカニカルパイレーツたちのあらゆる攻撃は、彼を捉えられない。
 それどころか、敵をひきつけ、時には飛び、時には残像を残しながらメカニカルパイレーツたちは誘導されていく。

「劫火滅却……迦具土神が焔を此処に示さん!!」
 中央に集めたメカニカルパイレーツたちの頭上を飛ぶ忌猿。周囲にはすでに気化燃料を散布してある。
 素早く彼の手が複雑な手印を結ぶ。
 それこそが、彼のユーベルコード、火遁・大紅蓮華(ダイグレンバナ)の発動のトリガーである。
「劫火滅却……火遁・大紅蓮花」
 火遁で噴き出した火球が大きく爆ぜ、宇宙船内に轟くような爆発音が響き渡る。
 一瞬の閃光の後、忌猿の体がふわりと爆風に煽られるようにして宇宙船の中央部へと押し出されていく。
 これぞムササビの術。爆ぜる爆風の光を受けながら、忌猿は中央部へと急ぐ。

 彼が経験したような無辜の民をオブリビオンに虐殺させるわけにはいかないのだ。あのような事、二度とあってはならぬ。
 そう決意を新たにして、忌猿は中央部へと舞い飛ぶのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

明石・真多子
海での潜入任務?それなら軟体魔忍のアタシにお任せ!
ドーンと船盛に乗った気持ちで待っててよ!

まずは潜入だね!鉄の船なんて海が侵食してボロボロだろうし、海中から侵入ルートを探してみようかな!
鉄の船の外壁を吸盤でぺちぺち触りながら脆そうな所を見つけたら引っぺがして侵入しよう!

騒ぎになると面倒だし、『タコの保護色能力』で迷彩しながら天井をぺたぺた…
敵を見つけたら先制攻撃だ!
てりゃっ!『タコ墨』を筋肉の塊のタコ腕で投げた水圧カッターのタコスミケンだ!

仕留めきれずシールドを張られても大丈夫!
【軟体忍法墨潜りの術】!手元の墨と相手に付着した墨を通してワープで暗殺したら即離脱!
いつの時代もニンジャは汚いのだ!



 どんな世界、どんな職業、どんな人種にも必ず存在するものがある。それはプロフェッショナルともいうし、エキスパートとも言う。

 グリードオーシャンは異世界から落ちてきた島々によって構成される海洋世界である。しかし、落ちてくるのは島々だけではない。時にはスペースシップワールドの巨大な宇宙船が落下してくることもある。
 その一つが、この事件の発端と成った宇宙船「ギタ・テテュス」である。
 巨大な船体は海底に突き刺さり、それでもなおその大きさを誇るように海面に塔のようにそそり立ち、威容を放っていた。
 船内にはメガリスによって変貌を遂げたウォーマシン、メカニカルパイレーツたちが蠢く危険なダンジョンと化してた。
 しかし、そう、プロフェッショナルはいるのである。どんな状況、どんな事件に置いても。

「海での潜入任務?それなら軟体魔忍のアタシにお任せ!ドーンと船盛りに乗った気持ちで待っててよ!」
 そう彼女、明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)は胸を張って快活に笑った。転移する前の彼女の自信有りげな雰囲気は歴戦の猟兵たちをしても、彼女の独壇場であることを確信させるほどであった。

 真多子は海の波で侵食を受けている船体に張り付く。思っていた通りである。鉄で出来ているであろう宇宙船が海の潮風に晒されれば、表面やあらゆる場所がもろくなってくるのは当然のことであった。
 軟体魔忍である彼女は海より侵入しようと外壁のハッチなど、もろくなっている場所を探る。
 それはすぐに見つかる。侵食に晒され脆い場所。明らかに外壁に吸い付かせた吸盤から伝わってくる音が違う。それに水に侵食されていない空気がある場所だ。
「びんごってやつだね!よい、っしょ!」
 吸盤の内側が真空状態になり、一瞬でハッチを引っ剥がし内部へと潜入を果たした真多子。その手並みの鮮やかさはまさに軟体魔忍の面目躍如である。

 するりとその体の柔らかさを巧みに操って天上へと張り付く。すぐさま彼女の体が船内の外壁へと同化していく。
「騒ぎになると面倒だしね……」
 ぺた、ぺた、となるたけ音を立てずに天上へと吸盤によって張り付き進む。これでバレるというのであれば、彼女以外の誰であっても見つかることだろう。
 完全なる視界を欺く彼女特有の能力によって得られる先制攻撃能力は絶大であった。

「見つけた!」
 メカニカルパイレーツたちがひしめく場所。だが、数は彼女にとって何の問題にもならない。完全なる死角からの先制攻撃。タコ墨……タコスミで構成された手裏剣が圧倒的なタコ由来の筋肉によって投擲される。
 それは突き刺さるという言葉が生易しいほどの威力でメカニカルパイレーツの首を水圧カッターのように分断する。
「タコスミケン!これが私のとっておき!」
 初撃で一体のメカニカルパイレーツを骸の海へと返すと、一瞬遅れて他のメカニカルパイレーツたちも真多子に気が付き振り返る。だがそれも手遅れである。
 タコスミケンが乱れ放たれる。それは彼女のユーベルコード、軟体忍法墨潜りの術(タコスミセンプク)!

 放たれたタコスミケンは次々とメカニカルパイレーツたちを打倒していく。だが、百発百中とはいかない。船内の床や壁に突き刺さるタコスミケンも多い。それに、群体である以上次々と現れるメカニカルパイレーツたち。
 数で押せばいいという理屈であるが、彼女とて歴戦の猟兵である。数に任せての戦法が通用するような相手ではない。
「軟体忍法、墨潜りの術!油断禁物だよ隙あり~!!」
 そう、彼女のユーベルコードは例え外したとしても、放たれタコスミへと変じ付着した場所へと瞬間移動も可能にするのだ。

 それはあらゆる場所が真多子にとっての扉であり、足場であり、攻撃の糸口であるのだ。
 瞬時に黒い墨が付着した場所より現れたるは、彼女の触腕。腕が多いのは、伊達ではないのだ!
 彼女が通った道にメカニカルパイレーツたちであったウォーマシンの残骸が山積みになる。それを流し見ながら真多子は船内を駆け抜ける。
「いつの時代もニンジャは汚いのだ!でも、とっても強いのだ!」
 颯爽と中央部、魔導機海神グランダゴンの元へと急行する。
 
 完全起動を阻み、平和な島々に住まう人々を救わねばならない。軟体魔忍の戦いはまだ始まったばかりなのだ―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

リジューム・レコーズ
銀河帝国軍の遺物がこんな所にまで…
完全稼働し始める前に止めないと

【アドリブ連携歓迎】

どう侵入しても迎撃は免れなさそうですね
だったら正面から蹴散らすまで!
HDDを起動、バリアを纏い最大加速でギガ・テテュスの発着デッキに強行突入します
展開中の敵機は突入時の衝撃で纏めて撃破
成功後は直ちに中枢部を目指して侵攻開始
道中は屋内の都合上接近戦を強いられそうですね
エインセルの打撃、デュアルムーンの斬撃で処理して行きます
勿論反撃も受けるでしょうけどこちらにはHDDのバリアがあります
ノーマルライフル程度の威力なら回避するまでもありませんよ
こんな所で手間取ってる余裕なんて無い、急がなきゃ



 銀河の海を行く宇宙船。
 その姿は見るものによっては雄大なものであったことだろう。しかし、時にそれは意外な場所で見ることもある。
 ここは海洋の世界グリードオーシャン。異世界より落ちてきた島々によって構成される世界である。
 落ちてくるのは何も島だけではない。時にはスペースシップワールドの宇宙船もまた落ちてくる。それは時に島となり、元世界の文化を薄れさせながらも継承し人々の営みを紡ぐ。

 だが、今回の事件の発端と成った宇宙船「ギガ・テテュス」は違う。それは海底へと船体を突き立てるように存在している。その巨大さ故、海底に逆さまに突き立っているというのに、海面から覗く船体はまさに塔のような威容を放ち、波間に侵食され続けながらも、その姿を維持していた。
 その姿を見やるは、リジューム・レコーズ(RS02・f23631)である。彼女もまたスペースシップワールド由来のウォーマシンであれば、その青い瞳に映るであろう宇宙船「ギガ・テテュス」の残骸とも言うべき遺物に感慨深いものがあったのかもしれない。

「銀河帝国軍の遺物がこんなところにまで……」
 それは彼女のデータベースの中にあったであろう情報。戦略級高機動強襲破砕機士……この世界の島程度であれば、即座に制圧消滅させることが可能なほどの兵器。
 この世界由来の魔術である鮫魔術といかなる因果があって融合したかは理解に苦しむ所があったかもしれない。
 だが厳然たる事実として、戦略級高機動強襲破砕機士は魔導機海神グランダゴンとして誕生し、平和な島々をも巻き込んで暴虐の徒となることはわかりきっていた。
「完全稼働し始める前に止めないと……」

 彼女の瞳はかつての宇宙船「ギガ・テテュス」の船体を捉えていた。どのように侵入しても迎撃されることは免れない。そう分析した彼女が出した結論は非情に単純明快であった。
「だったら正面から蹴散らすまで!」
 リジュームの体を覆う強固なバリア。それは彼女の機能を超高速突撃と破砕に特化させた状態へと変える。
 足を半歩、後ろに引く。それは後退ではない。助走である。
 彼女のユーベルコード、HDD(ハードデストラクションドライバー)が発動した瞬間である。
 彼女のフライトユニットがエンジンを轟かせる。ライトニング。そう名付けられたフライトユニットの最大加速は押して測るべし。ホワイトドレス……スカートアーマーの出力が上がる。

「征きます―――!」
 凄まじ踏み込みの音が轟音のように響き渡ったと思った瞬間、宇宙船「ギガ・テテュス」のかつての発着デッキへと一条の閃光が走った。
 一瞬で発着デッキへと突っ込む光の弾となったリジュームは、対空砲撃も間に合わぬほどのスピードでメカニカルパイレーツたちの群体をなぎ払ったのだ。
 彼女の脚部ユニットが火花を散らして、発着デッキの床を焦げ付かせる。
「強行突破というやつです。あまり時間の猶予がないので、優雅には参りませんが、構いませんよね」

 メカニカルパイレーツたちの残骸を後に中央部へと飛翔するリジューム。しかし、船内に入った途端、予想されていた通りにメカニカルパイレーツたちがわらわらと湧き出てくる。
 彼らを荷電粒子両剣であるデュアルムーンを回転させ、薙ぎ払う。それは正に月光煌めく満月のように彼女の手によって宙を舞い、高速回転によってビームマスケット銃の火線も届かない。
「次っ!中央部への進撃は止められませんよ」
 手にしたエインセル、シールドとブースターの一体となった推進装置に身を任せるままに放たれる打突がメカニカルパイレーツの頭蓋を叩き割る。
 流麗なる白きユニットを身に纏ったリジュームがギガ・テテュスの昏き船内で舞い踊るようにメカニカルパイレーツたちを打倒していく。

「魔導機海神グランダゴン……銀河帝国軍の残滓……それがこの世界に平和に生きる人々を傷つける前に片をつけます」
 ユーベルコードによって堅牢なるバリアを持つリジュームにメカニカルパイレーツの持つビームマスケット銃ごときが太刀打ちできるわけがない。
 急がねばならない。
 圧倒的な戦闘軌道によってリジュームは中央部を目指して飛ぶ。
「こんな所で手間取ってる余裕なんて無い……急がなきゃ!」

 魔導機海神グランダゴンを目指して、リジュームが加速を駆け飛び去った後にはメカニカルパイレーツたちの残骸がその役目を終えて骸の海へと還っていくのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
島一つを消滅…誇大表現ではないでしょうね
SSWには戦艦や小惑星を破壊可能な武装の機体も存在していたのですから
その脅威、周辺地域の人々に向けさせはしません

水中用装備での●水中機動と●ランスチャージで海底から潜入
船の外壁をランスチャージUCで破壊
守衛の同胞を水で押し流し排除しつつ侵入
水から上がればランスを背負い武装を儀礼剣に切り替え

SSWの●世界知識から船の構造を読み取り移動
敵のビームを●武器受け●盾受けで防御し接近
●怪力UC大盾殴打で装甲ごと粉砕

制御中枢が頭とは限りませんからね

この規模の船ならエレベーターシャフトもあるでしょう
ワイヤアンカー●ロープワークを駆使しショートカット
中枢を目指します



 世界は一つではない。
 その言葉は、ある者にとっては絵空事の空想のように捉えられるかもしれない。だが、この世界……海洋世界であるグリードオーシャンを見たものは一様にその言葉に頷きを返すしかないだろう。
 異世界より落ちし島々によって構成される世界。この世界の光景を目の当たりにして、世界がたった一つであると考えるものは最早いないだろう。
 そして、異世界より落ちてくるものは島だけではないのだ。

 スペースシップワールド。その銀河を股にかける宇宙船もまた例外ではない。グリードオーシャンには多数の宇宙船が落下し、島へと変ずるケースも珍しくはない。
 この事件の発端と成った宇宙船もまた、その一つである。
 宇宙船「ギガ・テテュス」。それは海底に突き刺さり、船体を塔のように直立させたまま波間に晒され、海の藻屑へと消える定めであった。
 だが、一騎のウォーマシンが原生魔術である鮫魔術と融合を果たすことによって、戦略級高機動強襲破砕機士が魔導機海神グランダゴンへと変貌を遂げる。

「島一つを消滅……誇大表現ではないでしょうね。スペースシップワールドには戦艦や小惑星を破壊可能な武装を持つ機体も存在していたのですから……」
 かつての宇宙船「ギガ・テテュス」の船体を見つめるのは、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)である。彼もまたウォーマシンである。
 それ故に、彼の記憶データに残る騎士道物語は平和な島に住まう人々の安寧を害するものへの戦意が滾っていたのだろう。

「その驚異、周辺地域の人々に向けさせはしません」
 トリテレイアは海中へと飛び込む。彼の水中用装備によって海中での活動も問題ではない。潜水艦以上の速度で海中に沈んでいる船体の外壁をランスチャージで一気に突き破る。
 それは彼の持つ装備パーツに依るスクリューの推進力があってこその一撃である。まさに対艦装備といっても差し支えのない一撃は、容易く船体を食い破るのだ。
「突入に成功。海水の流入も良好……ではっ、参りましょう!」
 トリテレイアと共に流入してきた海水はウォーマシンであるコンキスタドール、メカニカルパイレーツたちの体を押し流していく。
 これで進入時の敵の機先を制することはできた。あとは中央部へと目指して進撃するのみである。

 ランスを背に負い、狭い船内で闘えるように儀礼剣へと切り替える。
 彼の持つスペースシップワールドの知識から船体の構造を把握する。それは船内の状況から一気に中央部への進撃ルートを割り出す。
 時間を駆けられない以上、最速最短で向かうしかない。駆け出すトリテレイアの進撃を阻もうとメカニカルパイレーツたちのビームマスケット銃が火線を吹き出す。
「その程度の火砲で私を押し留めようなど―――!」
 構えた盾ごと一気に進む。彼のユーベルコード、戦場の騎士(ナグレリャナンデモイイ)が発動する。
 それは急加速によって盾ごと突進してくるトリテレイアを阻止する術を持たぬメカニカルパイレーツたちにとっては、強大な砲弾が飛んでくるのと同じことであった。

 ご、とメカニカルパイレーツたちが一気にひしゃげる音がする。
「実際の戦場の騎士は道具や手段を選ばないものです」
 盾を持ち直すと、壁にめり込むようにして機能を停止しているメカニカルパイレーツたち。制御中枢が頭とは限らぬ以上、盾ですべて圧潰させる。その手腕は大雑把に見えたかもしれないが、計算しつくされているのだ。
「さて、本来ならばショートカットするのは憚られるのですが……急を要するので、失礼します」

 そう言ってデータの中にある船体のルートを再確認する。エレベーターシャフト。それはこの規模の宇宙船であれば確実に備わっている機構であろう。
 駆け出し、次々とワイヤーアンカーによるロープワークを駆使し、通常の猟兵では出来ぬであろうショートカットを行いながら、トリテレイアは中央部を目指す。

 その先には平和な島々に住まう人々を脅かす脅威である魔導機海神グランダゴンが座している。
 完全起動を果たす前に、これを討ち果たさねば、島一つを容易く滅ぼす武装が使われてしまう。
 それだけは彼の騎士道において許されるものではない。
 彼の心は今、騎士道に燃え上がり、無辜の人々を護るために駆け抜けるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『魔導機海神グランダゴン』

POW   :    コンバットパターン《オメガ・ストライク》
レベル×5本の【鋭い歯と高い機動力を持ち、相手に効果的な】属性の【魔導砲による攻撃もできる、シャーク端末群】を放つ。
SPD   :    対拠点級作戦《スーパーストーム・ドミネーション》
【音速のレベル倍で機動し、圧縮深海水の爆雷】を降らせる事で、戦場全体が【高水圧・低水温・暗黒の深海】と同じ環境に変化する。[高水圧・低水温・暗黒の深海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    《海王攻撃》
【アクア防殻を展開して】から【広範囲・極大威力かつ防御困難な大技】を放ち、【大ダメージや装備の損耗を与え、水での拘束】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:タタラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシャーロット・クリームアイスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 宇宙船「ギガ・テテュス」。その中央部に座していた魔導機海神グランダゴンは、静かに起動を果たしていた。
「原生魔術とのコンバートを完了。アップデート完了まで後―――」
 しかし、その微睡むような起動は、中央部に到達した猟兵たちによって断ち切られる。
 完全起動まで猶予はある。
 だが、それでもなお、魔導機海神グランダゴンの巨躯は猟兵たちにとっても脅威そのものであった。
 元は、戦略級高機動強襲破砕機士と呼ばれる一騎。
 その性能はグリードオーシャンへと落ちてきた頃から、長年の放置されたとは言え、衰えを見せては居ない。
 それどころか、原生魔術である鮫魔術と融合し、さらなる力を発揮する。

「シャーク端末群起動確認―――これより敵性存在の排除に移ります」
 座していた魔導機海神グランダゴンが立ち上がり、そのツインアイセンサーが光り輝く。
 彼に内蔵されしエネルギージェネレーターが鮫魔術によって唸りを上げる。その威容、その姿、何一つとして猟兵に油断を揺らさぬプレッシャーを与える。

 今こそ、コンキスタドールへと堕した嘗ての戦略級高機動強襲破砕機士を討ち果たす時―――!
春乃・結希
いたー!ロマンだ…!お供の鮫ロボも可愛いよーっ

鮫達の魔導砲を【ジャンプ】で回避
牙の攻撃を『with』で弾き【武器受け】
【ダッシュ】でロボに接近
空を飛んでたとしても、届いてみせる
『wanderar』の蒸気魔導力を全開に
助走を付けた大ジャンプの勢いのまま拳を叩き付ける
捕まえたー!焔の鎖は、簡単には切れませんよ!
鎖を【怪力】で引き寄せ、常に至近距離で戦います
これだけ本体が近ければ、鮫達の魔導砲も撃ちにくいはず…!
どんな装甲だろうと『with』と私なら砕いてみせます【重量攻撃】【鎧無視攻撃】

壊しちゃうのが勿体無いくらいのかっこよさですけど…お仕事なので…!
この宇宙船と一緒に、海の中に沈んでてください!



 魔導機海神グランダゴン―――それはかつて、宇宙船「ギガ・テテュス」に搭載されし戦略級高機動強襲破砕機士が内の一騎である。
 それが如何なる因果によってかグリードオーシャン由来の鮫魔術と融合することによって誕生したのだ。
 中央に座す姿は、魔導機海神に相応しき姿。立ち上がり、そのかつての戦略級と区分されるに値する能力を遺憾無く発揮し、平和な島々を薙ぎ払うことであろう。
 しかし、それをさせぬと立ち塞がるのは猟兵である。
 鮫魔術と融合し、コンキスタドールへと成り果てたグランダゴンを止められるのは、世界に選ばれた戦士である猟兵をおいて他にはいない。

「いたー!ロマンだ……!お供の鮫ロボも可愛いよーっ!」
 春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)の歓声が宇宙船「ギガ・テテュス」の中央部に響き渡る。
 それは魔導機海神グランダゴンに付随するシャーク群端末を見て、彼女が嬉々とした表情を浮かべて喜んでいる声であった。
 確かに予断を許さぬ状況であるのは間違いないのであるが、結希にとってスペースシップワールドのウォーマシンなどの造形は非常に浪漫を感じるものであったようだ。
 心の琴線を撫でられたと言っても良いのだろう。鋭角なフォルムと流線的なフォルムで構成され、機能美も忘れぬデザイン。
 それは確かに彼女の心の中にある浪漫を刺激したのだろう。

「―――理解不能。猟兵と断定。排除を開始します」
 しかし、そんな彼女の歓声を受け入れられないのはグランダゴンである。グランダゴンの巨躯から放たれるのは、大群とも言っていいほどのシャーク群端末の数々。
 鋭い牙を持つシャーク群端末が結希へと襲いかかる。
 それらを既の所で躱し、彼女は駆ける。グランダゴンへの接近戦を試みているのだ。あれ程の巨躯である。多少の攻撃ではびくともしないであろうことは結希もわかっていた。
 彼女の蒸気ブーツが唸りを上げて、船内中央部を疾駆する。しかし、シャーク群端末たちの口から放たれる魔導砲が雨のように降り注ぐ。それを華麗に宙に舞い、回避する。 
 襲い来るシャーク群端末の牙は彼女の大剣『with』によって受け止め、弾き飛ばす。

「壊しちゃうのがもったいないくらいの格好良さですけど……」
 床に着地すると、結希はクラウチングスタートの態勢を取る。蒸気ブーツの魔導力機関が唸りを上げ、彼女の駆け出すスピードを一気にトップスピードまで跳ね上げる。
 助走をつけた彼女の跳躍はそのまま、シャーク群端末の群れを飛び越え、グランダゴンを捉える。
「どちらが先に倒れるか…勝負です!」
 彼女のユーベルコードが発動する。紅蓮の炎を纏った神速の拳となって放たれるユーベルコードは、グランダゴンの装甲の一部を爆発させる。だが、それで終わる彼女のユーベルコードではない。

「捕まえたー!焔の鎖は簡単には切れませんよ!」
 そう、彼女のユーベルコードによって放たれた紅蓮の炎をまとった拳は、着弾したグランダゴンの装甲と彼女を焔の鎖によって繋ぐのだ。それは互いに逃げられるサドンデスマッチ。
 尋常ならざる膂力で結希はグランダゴンの巨躯を引き寄せる。インファイトに持ち込むという彼女の目論見もあったが、それ以上にシャーク群端末の砲撃を打ち込めないというメリットもあったのだ。

「さあ、どんな装甲だろうと『with』と私なら砕いてみせます!」
 そう、彼女と『with』が共にあるということは、彼女たちが最強であるという証。
 彼女の腕が鎖を盛大に引き寄せ、グランダゴンの態勢を崩した装甲へと大剣『with』が横薙ぎに振るわれ、その強固な装甲を引き剥がすように剣撃をくわえる。
 それは重さを利用した一撃。どれだけ強固な鎧に覆われていようとも、その衝撃は対象の核へと届いてしまう。

 その一撃は、確かに装甲を叩き割り、内部フレームまで届いていた。
「お仕事なので……!仕方ないです……!とっても惜しいのですが……!この宇宙船と一緒に、海の中に沈んでてください!」
 大剣『with』に彼女の膂力を上乗せした、超重の一撃はグランダゴンの巨躯を宇宙船「ギガ・テテュス」の船内へと盛大に叩きつけ、彼女の最強を証明したのであった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
◆POW
完全に覚醒していないにも関わらずこれ程とは、先を急いだのは正解だったな
起動した所で悪いが、もう一度眠ってもらおう

まずは敵の放つ端末群の位置を確認しておく
噛みつきのタイミングを『見切り』回避、敵本体への接近を妨害されない位置へ誘導する
魔導砲は周囲の別の鮫端末を遮蔽物として躱す
これだけいれば、身を隠すには困らないだろう
誘導しきれない物だけに狙いを絞り、ユーベルコードで破壊し接近ルートの確保を試みる

ルートが確保できたら『ダッシュ』で接近、敵本体へ『零距離射撃』でユーベルコードを叩き込む
撃破する端末は最低限、迅速に敵本体へ接近し攻撃を通すことを考える
早い段階でダメージを蓄積させ、後続に繋げたい



 戦いと速さが重要視される。
 情報伝達のスピード、敵の攻撃を回避するために必要なスピード、そして、敵の機先を制し、先んじるスピード。
 そのどれもが重要なものであり、今回の事件……魔導機海神グランダゴンとの戦いにおいては、どれもが重要なものとなった。そのどれをも猟兵たちは見事に満たし、この宇宙船「ギガ・テテュス」の中央部、グランダゴンが座す場所へと駆けつけたのだ。
 完全起動を果たしていないグランダゴンであってもなお、この戦力である。宙に浮かぶはグランダゴンの巨躯より放たれたシャーク群端末。
 その一つ一つが猟兵を飲み込めそうなほどの体躯なのである。鋭い牙も脅威であるが、その口から放たれる魔導砲にこそ注意を払うべきであろう。
 何せ、シャーク群端末の数は、あまりにも多い。集中砲火を浴びれば、如何なる猟兵と言えど無事では済むまい。

「完全に覚醒していないにも関わらず、これほどとは……先を急いだのは正解だったな」
 グランダゴンの放ったシャーク群端末の前に踏み出したのは、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)である。手にしたハンドガン・シロガネに込めた特注弾。これが今回の戦いの鍵になることをシキは予感していた。
 無駄弾を撃つつもりはない。決めるのであれば、一撃である。それ以上はきっとあのグランダゴンは対策を講じてくるに違いない。
 ならばこそ、一射必中の覚悟で挑まねばならない。一気に駆け出す。速度を失ってはならない。
「悪いが、その動きは見切れる……」
 シキの動きはまっすぐグランダゴンを目指している。だが、それでも最小の回避でシャーク群端末の襲いかかる牙を躱しながら進むのだ。
 その見切りは常に襲い来るシャーク群端末の位置を的確に捉えている。自身の進むグランダゴンへのルートを阻害されないように立ち回っているのだ。

「―――っ!」
 しかし、そのシキへと浴びせられるのはシャーク群端末の口から放たれる魔導砲。熱線がシキを襲う。それでもシキに動揺はない。即座に熱線をかいくぐり、別のシャーク群端末を遮蔽物代わりに使って、見事に立ち回るのだ。
「これだけいれば、身を隠すのにも困らないな……悪いが、利用させてもらう」
 遮蔽物へと使ったシャーク群端末が同士討ちのように熱線に当てられ爆発する。
 その爆散四散する影すらも利用して、シキはグランダゴンへと迫るのだ。

「ルートは見えた……後は」
 確信を持って進む。シキは迷いなく駆ける。彼の後を追うようにシャーク群端末の牙と魔導砲の熱線が襲う。
 しかし、そのどれもが彼を捉えることはできなかった。牙を振るおうとするシャーク群端末は、誘導されるように魔導砲の熱線の餌食となる。
 その爆発に後押しされるようにして、シキの体が舞い上がる。捉えたのはグランダゴンの背面ユニット。ここへダメージを与えておけば、後続の猟兵たちにとって固い外殻に手こずらされることもないだろう。

「ウィークポイントではないが、お前の強みを潰すのも、一つの戦略だ」
 ハンドガンを構える。シロガネと呼ばれる彼のハンドガンに装填されし特注弾がグランダゴンの背面ユニットへとゼロ距離射撃によって放たれる。
 轟音が響く。
 それはあまりにも凄まじい轟音だった。閃光が走り、彼のユーベルコード、デストロイ・トリガーによって放たれた特注弾が背面ユニットに食い込み、内部から爆発を起こしていく。

「これならば……そうだな。アクア防殻を展開するのにも手こずるだろうさ」
 一射必中をまさに体現するシキの一撃は、確かにグランダゴンへとさらなる拠点攻撃への遅延を果たしたのだった。
 特注弾の反動によって、シキの体はそのまま吹き飛ばされるようにして離脱していく。それはまさに計算づくの一撃だった。
 まるで最初から、そのルート全てが見えていたかのような流れる戦術。
 かつての戦略級高機動強襲破砕機士を冠するグランダゴンの戦略を戦術で持って打倒せしめたのだった―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

佐田・忌猿
「貴様をここで見過ごす訳にはいかんな」
存在を見て確信を得る
ここに至ってはその存在そのものが侵略行為だ

忍者体術を活かし【スライディング、ダッシュ、ジャンプ】を複雑に繰り返し、鮫端末を引き付けたい
動きを止めない為に攻撃は、鮫端末への【踏みつけ】をメインとして【空中戦】を繰り広げつつ、本体には吹き出す火球の【属性攻撃】でダメージを稼ぐ
不利な環境変化に対しては、味方を「魔性面頬」由来の牛鬼の強靭さで【庇う】行動を取りつつ様子見

隙が有れば、前転の連打で高速回転して外壁にぶつかり、その反動で飛翔しての【天乃八街】を叩き込みに行く。ついでに不利な地形であればその破壊を試みたい

後は残心を取り格闘戦に移行する



 戦略級高機動強襲破砕機士、それは嘗て在りしスペースシップワールドの遺物の一騎である。それが如何なる因果か海洋世界グリードオーシャンにおいて鮫魔術と融合を果たし、魔導機海神グランダゴンへと変貌を遂げたのだ。
 その巨躯はまさに戦略級と呼ぶに相応しき装備を持っていた。島を一つ全て消し去るほどの、という情報はまさにそのとおりであると直感する。
 ありとあらゆるものが、正しき使い方をされるわけではない。悪しき者が悪意を持てば、それは人に害をなす物となるのと同じである。

 鮫魔術が何故融合したのかは、定かではない。しかし、かつての戦略級高機動強襲破砕機士は、魔導機海神グランダゴン……コンキスタドールへと成り果てたのだ。
 それと対峙して正すことが出来るのは、もはや猟兵しかいない。

「貴様をここで見過ごす訳にはいかんな」
 その巨躯を見上げるのは、佐田・忌猿(鬼面忍者・f10152)である。その鬼面が睨めつけるは、この存在を解き放った後に起こるであろう惨禍を思ってのことだろう。
 そう、忌猿は確信したのだ。あの存在そのものが侵略行為であると。
 ならば、その侵略の歩みを止めなければならない。ここで魔導機海神グランダゴンを止める。
 その想いが彼に力を与えるのだ。
「認証―――猟兵と断定。障害として排除します」
 グランダゴンの巨躯から放たれるのはシャーク群端末の群れ。
 しかし、忌猿は慌てることはない。彼には忍者体術がある。シャーク群端末の牙や魔導砲を船内の壁や天上を複雑に変幻自在なる動きで躱し続けるのだ。
「コンバットパターン―――トルネード」
 グランダゴンの号令によってシャーク群端末が忌猿を囲う。しかし、彼は動きを止めない。彼の周囲をシャーク群端末が囲ったとしても彼の忍者体術は止められない。
 足場がないのであれば、シャーク群端末そのものが足場になる。
 端末を踏みつけ、空を飛ぶようにして跳ね回る姿は、グランダゴンのコンバットパターンを無力化していくのだ。

「かような囲い込みで我を止められると思うてか!」
 シャーク群端末の囲いを突破し、火球を吹き出して攻撃する。しかし、分厚い装甲に阻まれ、効果が薄い。
 しかし、それでも先行した猟兵達の与えたダメージの影響だろう、僅かに巨躯がぐらつくのを忌猿は見逃さなかった。
「―――好機!」
 鬼面の瞳が朱く輝く。それは忌猿のユーベルコードを叩き込む絶好の機会であった。
 空中を前転するように飛ぶと、外壁へとぶつかる。その反動を利用してグランダゴンの巨躯よりも高く飛翔する。
 その飛翔は、まさに天を仰ぐほどの頂点。彼のユーベルコードが発動する。

「天より下されし廣矛(ひろほこ)の御魂をここに……オブリビオン滅すべし!!」
 その一撃は単純であればあるほどに、重き一撃となる。放たれる膝落としの一撃は、正に矛である。
 天之八街(アメノヤチマタ)と呼ばれる彼のユーベルコードがグランダゴンの頭部へと炸裂する。センサーユニットが明滅するほどの衝撃が頂点から床まで突き抜ける。
 ごばっ!と中央部の床が衝撃によって凹み、さらなる態勢を崩すグランダゴン。

「ガ―――!?理解不能……無意味な行動であるというのに、なぜ―――」
 そう、忌猿の動きは一見すると無駄な動きが多いように見えたのかも知れない。最適最短をモットーとするウォーマシンであれば尚更、そのように映ったのかも知れない。
 だが、それは無駄な動きなど何一つ無い洗練された忌猿の攻撃行動なのだ。体術によってシャーク群端末を惹きつけ、足場へと利用したのも。足場として利用し、高くとんだのも。全て、彼のユーベルコード、天之八街(アメノヤチマタ)への布石である。

「それがわからぬからこそ、お主はここで討ち果たされなければならぬのよ―――」
 残心を残し、忌猿が告げる。
 それは無辜なる民たちの流血を望まむ彼の怒りの籠もった一撃であったのだから―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガーネット・グレイローズ
あれが、例のウォーマシンか。
古代グリードオーシャンの魔術と、宇宙兵器技術の
夢のコラボレーションってわけだ。
じゃあ見せてもらおうか、魔導機海神の実力とやらを!

敵は水を操る攻撃で、こちらの動きを封じてくるだろう…
ならば、戦場をこちらの有利なように作り替えればいい!
【裁断領域】を展開し、万物を切断する糸を張り巡らせた
空間に敵を引きずり込む。
ワイヤーは<念動力>で操り、敵の強靭な装甲を<鎧無視攻撃>で
切り裂く。私はマシンウォーカーを<操縦>し、
状況に応じて武器を使い分けて攻撃だ。
至近距離では、ヒートクローによる
<グラップル>で格闘戦を展開。多少の被弾は気にせず
<捨て身の一撃>で損傷を与えてやるぞ!



 宇宙船「ギガ・テテュス」の中央部にて起動覚醒を果たした魔導機海神グランダゴン。
 その姿は嘗ての戦略級高機動強襲破砕機士としての面影を残しつつ、グリードオーシャン由来の鮫魔術と融合し、凶悪な容貌へと変じていたのだ。
 それがコンキスタドールへと堕した代償であるのかはわからない。しかし、魔導機海神グランダゴンが完全に起動し、解き放たれれば、海洋世界グリードオーシャンの平和な島々に住まう人々を災厄の如き力によって襲うことを許すことになる。
 それだけは決して許してはならない。
 過去の遺物であるスペースシップワールドから落ちてきた宇宙船。その内部に残されていたというのであれば、遺物のまま鎮めるのもまた猟兵の務めである。

「あれが例のウォーマシン化。古代グリードオーシャンの魔術と宇宙兵器技術の夢のコラボレーションってわけだ」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が、どちらかというと悪夢ってやつだけどな、と嘆息する。
 はた迷惑なことになるのは、いつもこういう場所にそぐわぬ技術ばかりである。
 しかし、ガーネットもまた宇宙へと進出した末裔である。その尻拭いではないが、こうして魔術と兵器技術が融合したもののスペックを測るのはまたとない機会であったのかもしれない。
「じゃあ、見せてもらおうか、魔導機海神の実力とやらを!」
 ガーネットが駆け出す。相手の手の内はわかっている。敵は水を操る。それはこちらの行動、動きを封じるものだ。
 それは大技を放つための溜めを得るための行動であることは容易に想像がつく。

「ならば、戦場をこちらの有利なように作り変えればいい!」
 彼女のユーベルコード、裁断領域(カッティング・ネスト)によって張り巡らせた万物を切断する鋼糸が船内中央部に蜘蛛の巣模様を描く。
 ガーネットは二足戦車であるマシンウォーカーへと乗り込む。鋼糸張り巡らせた結界へとヒートクローでもってグランダゴンを引きずる。
「抵抗。ジェネレータ出力上昇……振り切ります」
 グランダゴンの巨躯を引きずるには、出力差が在りすぎた。しかし、体制を崩すだけで良かったのだ。
 なぜなら、彼女のユーベルコードは念動力によって鋼糸を自由自在に操れるのだ。つまり、鋼糸の結界に近づこうと近づかまいと、ガーネットの念動力の及ぶ範囲であれば、鋼糸はまさに顎のようにグランダゴンを襲う。

「どれだけ強靭な装甲であってもな!」
 裁断領域の鋼糸が念動力によって超振動を起こし、強固なグランダゴンの装甲を引き裂いていく。
 そして、ガーネットの操るマシンウォーカーから放たれるマイクロミサイル、熱線、機関銃が火を吹いてグランダゴンを襲う。
 爆炎が上がり、さらなる鋼糸の寸断が装甲を引き剥がしていく。しかし、それでもなおガーネットは追撃の手を緩めない。
「こういう時は一気呵成に―――!」
 シャーク群端末の魔導砲が熱線を放つ。ガーネットは意に介さない。多少の被弾など気にしていられるものではない。構わず突き進み、グランダゴンの巨躯のツインアイ輝く頭部へと跳躍する。
 まずは、そのはた迷惑な顔面に一撃くれてやらねばならない。

「人型をしているっていうのなら、そこが頭だろう!喰らえ、私の拳を―――!」
 それは捨て身の一撃であった。シャーク群端末が阻止せんと放つ魔導砲の熱線はガーネットのマシンウォーカーの装甲を焼く。
 だが、それでも彼女の拳は止まらない。ヒートクローの炎熱せし鉤爪が真っ赤に燃え盛る。
 その一撃をグランダゴンの頭部へと叩き込むのだ。巨躯が揺れ、クリーンヒットしたガーネットのマシンウォーカーのヒートクローがひしゃげる。
 痛み分け、というところであろう。
 だが、確かに一撃。これが拳闘であれば、ガーネットのノックアウト勝ちであっただろう。
 船内中央部にてグランダゴンの巨躯が、地鳴りのような音を立て、倒れ込んだのだった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
異界の海に墜ちても再起を図るその性能と意志には敬意を表しますが…
コンキスタドール…オブリビオンである以上、再び眠りについてもらいましょう

全方位の端末の動きをセンサーの●情報収集で検知
近接攻撃を頭部、肩部格納銃器での●スナイパー●武器落とし射撃で迎撃
魔導砲はUCを併用した剣での●武器受けと●盾受けを駆使し端末や敵本体へ反射

私に効果的ならば、其方(同胞)にも効果的なのは自明の理
攻撃性能の高さが仇となりましたね

攻撃を悉く迎撃、反射し敵の回避行動や被弾で制限された動きを●見切りワイヤーアンカー射出
●怪力●ロープワークで引き寄せ誤射の危険で端末の使用が制限される超接近戦に移行
剣盾の殴打で装甲ごと圧壊



 スペースシップワールドの銀河を行く宇宙船があった。
 そのいくつかは唐突に信号を消失させ、異なる世界……つまりはこの海洋の世界、グリードオーシャンへと落ちてきていたのだ。
 その宇宙船の名は「ギガ・テテュス」。その宇宙船には一騎の戦略級高機動強襲破砕機士と呼ばれる強大な兵器が存在していた。
 それが何故、グリードオーシャンの鮫魔術と融合し、コンキスタドール、魔導機海神グランダゴンとして再起動したのかは定かではない。
 だが、その戦略兵器としての力を平和な島々に生きる人々に災厄として向けることは許されないのだ。
 宇宙船内部、中央部へとたどり着いた時、その巨躯は再起動を終え、完全起動へといたろうとしていた。

「異界の海に墜ちても再起を図るその性能と意志には敬意を表しますが……」
 そう、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は在る種の憐憫めいた言葉を告げる。
 それは宣告と同じであった。
「コンキスタドール……オブリビオンである以上、再び眠りについてもらいましょう」
 そう、彼は猟兵である。そして、魔導機海神グランダゴンはコンキスタドールである。そこに互いの出自や事情は関係がない。
 彼が思うデータバンクに存在する騎士道に則れば、グランダゴンが行おうとしていることは、ただの非道なる振る舞いである。
 トリテレイアの緑のアイセンサーが輝く。甲冑のフェイスガードの奥で輝くそれは、正しく騎士たらんとする意志の輝きであった。

「対象、猟兵と断定。抹消行動に入ります」
 グランダゴンから放たれるは、未だ健在なるシャーク群端末の群れ。猟兵達の幾多の攻撃を受けても尚、健在なシャーク群端末。
 その数はトリテレイアを取り囲むには十分すぎるほどの数であった。全方位の端末の動きを捉えるセンサーが警告音を発し続けている。
 しかし、トリテレイアは冷静であった。
 牙をむくように襲い来る端末に打ち込まれるのは肩部格納銃器の斉射によって討ち果たす。
「対象猟兵の戦力を上方修正。シャーク群端末、コンバットパターン再入力」
 グランダゴンがトリテレイアの動きに即座に修正を加えていく。
 その時間さえも与えぬとトリテレイアが行動に移す。剣と重質量大型シールドを構える。
 彼のユーベルコード、個人携帯用偏向反射力場発生装置 (リフレクション・シールド・ジェネレータ)が発動する。
 それは生み出された偏向反射力場によって、シャーク群端末から放たれる魔導砲による火線をシールドに受けることなく作用によって打ち返すのだ。
 それはいかに偏光反射力場があるとは言え、ようになせる業ではない。

「宇宙で騎士を名乗るなら当然の芸当です」
 しかし、それを苦もなく行い、火線を反射してはシャーク群端末へと打ち返すのだ。
 それは尽くが打ち返されたシャーク群端末の砲口へと放たれ、内部で膨れ上がって爆散していく。
 その見事な盾捌きは、眼を見張るものがあった。
「私に効果的、と判断したのでしょう。ですが、そちらにも有効的なのは自明の理。攻撃性能の高さが仇となりましたね」
 そう、対する相手に合わせて出力を変えてきたことが裏目に出た形となった。
 トリテレイアもまたウォーマシンである。なれば、その装甲を打ち貫く出力でなければならない。
 だが、裏を返せば、シャーク群端末もまた、その出力を奪えないということだ。

「パターン解析……」
「その時間は与えません!」
 トリテレイアがワイヤーアンカーを射出し、グランダゴンの装甲へと引き抜けぬアンカーを打ち込む。ギリギリとロープが軋む。
 それも構わずにグランダゴンの巨躯を出力限界まで引き上げられたトリテレイアの剛力が引き寄せる。
「この距離であれば、端末の魔導砲も放つこともためらうでしょう!そして、これが私のコンバットパターン!」
 至近距離での剣と盾による殴打。それは斬撃と言うよりも打撃。衝撃は内部フレームを歪ませ、ひしゃげた装甲は圧潰していく。
 その攻撃は鮫魔術と融合を果たしたグランダゴンにとっては理解不能な攻撃であった。

 グランダゴンの装甲がひしゃげるほどの打撃となれば、トリテレイアの内部フレームもまた無事では済むまい。
 だが、それでも構わずにトリテレイアは殴打を続ける。何故。という感情にトリテレイアの答えは簡潔だった。

「―――それが私の騎士道なれば!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェル・トリニィ
アドリブ・協力歓迎です!

な… 何だあれは!
カッコ良い… カッコ良いぞ!
ロマンの塊だな!
しかし… 何故鮫魔術と融合したのだろうか?

行動
他の仲間たちのおかげで、シャーク端末群の数が減ってきているな…
これなら《逆転の一撃》による〈捨て身の一撃〉が当たるかも知れない!
邪魔をする生き残りの機械鮫は、私が出せる限界の速度で空を飛びつつ四連装ビームランチャーを使った〈空中戦〉で処理するぞ!
〈第六感/見切り/残像〉なんかで回避をしたいところだが、数が数だ…
多少の手傷は覚悟しているさ。



 かつての戦略級高機動強襲破砕機士としての姿は最早、鮫魔術との融合によって面影を無くしてしまっていた。
 魔導機海神グランダゴンとはそういうコンキスタドールである。その堕した姿は鮫魔術の色を強く全面に出していた。青白く輝く装甲は魔術による発光現象であろうか。
 その機体の周りを悠然と海を泳ぐようにして宙に浮かぶのはシャーク群端末である。数は未だに健在である。
 そのシャーク群端末がどれほどの数を、あの巨躯に搭載しているのかも定かではない。
 あれもまたスペースシップワールド時代に搭載されていた子機であるのだろう。戦略兵器としての側面をまさか、こんな形で目の当たりにするとは想いもしなかっただろう。
 あのシャーク群端末一つとっても、猟兵にとっては脅威ではないかもしれな。一対一で負けることはないだろう。
 だが、平和な島に住まう人々はどうだ。あの一体のシャーク群端末だけで事は足りるだろう。もはや虐殺と同じである。
 それを許してはならない。だが、何故かわからないが人々は得てして敵役のようなデザインに心を揺さぶられることもあるのだ。

「な……何だあれは!カッコ良い……カッコ良いぞ!」
 フェル・トリニィ(敵を穿ち貫く虎頭蜂・f26788)は己の心が揺さぶられるグランダゴンのデザインに戸惑っていたのかも知れない。
 あれを見て浪漫を感じてしまうのだ。それはある意味で当然の成り行きであったのかもし得ない。
 悪意あるものが扱うからこそ、機械も道具も何もかもが人を害する物へと変ずる。悪意なき善意の者が扱えば、それは人を救うものへとなるのだ。
「しかし……何故鮫魔術と融合したのだろうか?」
 その答えはある意味明白であったのかも知れない。そう、悪意ある者の鮫魔術によるものであったのだろう。
 人を害したい。人を傷つけたい。支配したい。その思いがグランダゴンをコンキスタドールへと堕したのやもしれない。

「だが、考えてもしかたのないこと!今はこれを止めることだけを考えなければ!」
 フェルは気を取り直す。シャーク群端末の数は猟兵達の攻撃によって減っては着ている。減っていても尚、この数である。完全起動を成した後で戦うことになっていれば、どのような苦戦を強いられたかわからない。
 だが、起動したてとは言え、油断ならない。しかし、彼女には勝算があった。
 フェルの体が宙に舞い上がる。
「私が出せる限界の速度だ!付いてこれるか!」
 スズメバチを模したホーネットアーマーに内蔵された反重力発生装置が起動する。背面に装備された四枚羽が推進力を生み出し、彼女の体を弾丸のようなスピードで飛び出すのだ。
 一瞬でグランダゴンとの彼我の距離を詰めるフェル。
 彼女の通った一直線が、数泊の後にシャーク群端末を爆発の閃光へと変える。飛びながら、ビームランチャーによってシャーク群端末を全て撃ち落としていたのだ。
 あまりの早業にグランダゴンの演算装置が解析するスピードを超えていた。

「対象猟兵……速度算出。装甲展開……」
「間に合わせるものか!リミッター解除!」
 彼女のユーベルコード、逆転の一撃(クリティカルヒット)が発動する。それは、彼女の持つ超電磁パイルバンカーの限界を超えた一撃。
 電磁力によって打ち出されるは超重合金の杭。
「もう遅い……!穿ち貫く!」
 轟音が響き渡る。それは放たれた超重合金の杭がグランダゴンの胸部装甲を打ち貫いた音であった。
 装甲が貫かれ、その内部フレームをも砕き、胸部に存在していたジェネレーターの一機を爆砕する。
 その爆発に巻き込まれたかのようにみえたフェルであったが、彼女のパワードスーツのモチーフはスズメバチである。
 空中での素早い機動は、言うまでもなく爆発を避けきり、その無事な姿を見せつけるようにして空に舞うのだ。

「多少の手傷は覚悟していたけれどね!私の針の一撃に穿てないものはないのさ―――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

リジューム・レコーズ
見付けた!こいつがグランダゴン…!
もう起動している?でもまだ最大稼働には至ってないようですね
ここで墜としてやる!

【アドリブ連携損傷歓迎】

鮫型ビットを射出してきますか
機動力と運動性そして空中戦能力を駆使してランダムな回避パターンを取ります
私にはシールドとEMフィールドもありますから多少被弾する程度じゃ墜とされませんよ
合間を縫ってヘレナの射撃モードを装甲貫通力に優れた集束モードに設定しグランダゴン本体へ攻撃
しかしあくまでUC発動タイミングを悟らせない為の牽制に留めておきます
ビットに包囲された瞬間にヘレナを拡散モードに変更しUCを発動
フルバースト・マキシマム!喰らえッ!
本体を巻き揉み纏めて撃破します



 旧式と最新。そのどちらかが優れているかと問われれば、当然最新が優れていると答える物が多いであろう。
 スペースシップワールドにおいて、技術の進歩とは即ち人の生活を豊かにするものであり、脅威から身を守るための力である。ならば、旧式を追い抜き、最新はさらに先をゆく。
 最新は新たなる最新に追い抜かれ旧式となっていく。ならば、かつて宇宙船「ギガ・テテュス」に配備されていた戦略級高機動強襲破砕機士は確かに旧式と呼ばれる部類であったのだろう。
 白亜のドレスのような装備に身を包むリジューム・レコーズ(RS02・f23631)もまた、かつて銀河帝国軍に敗れた旧式であったのかもしれない。
 しかし、目の前に存在する魔導機海神グランダゴンは決して旧式などではなかった。

 欲望と海洋の世界、グリードオーシャン。そこに存在する原生魔術である鮫魔術と融合を果たし、その姿は最新鋭の姿へと変貌を遂げる。旧式であることが、スペックの差であり、戦力の差であるというのなら、勝利は揺るぎないものであろう。
「対象を猟兵と断定します。破壊、排除―――」
 しかし、旧式が最新に劣る理由など尽く覆すのが猟兵という存在である。旧式が最新に勝てぬ道理は何一つ無い。
「みつけた!こいつがグランダゴン……!もう起動している?でもまだ最大稼働には至ってないようですね」
 リジュームは船内中央部へと辿り着くと、魔導機海神グランダゴンの計測スペックに驚愕する。その尽くが自身のスペックを遥かに凌駕しているのだ。
 しかし、急行したおかげで完全起動を果たしたわけではないようだ。ならば、そこに勝機を見出す。
 それは一縷の望みであったのかもしれない。彼女は諦めない。かつて敗れたあの日から、猟兵となったあの日から連なる連綿たる研鑽が彼女の足を止めさせない。

 グランダゴンの巨躯から放たれるはシャーク群端末。
 幾多もの猟兵達の攻撃によって数を減らしているのだが、それでもなお放たれるシャーク群端末の数は圧倒的である。
 アーマードレスであるホワイトドレスのサイドブースターが瞬時に彼女の体を加速させる。
 グランダゴンの強みがシャーク群端末による数なのだとすれば、リジュームの強みは機動力である。
「その程度の機動性で私に追いつこうなど……!」
 アーマードレスのブースターがフレキシブルに動きを変え、彼女の空を舞う機動は変幻自在を描くようだった。
 シャーク群端末たちから放たれる魔導砲による火線を躱し続け、そのランダムな回避パターンは従来のウォーマシンでは不可能な変速機動であった。
 それに加え、彼女の体を包むシールドと電磁障壁は火線を受けても尚、減退させ、彼女の機動を妨害するに値しない。
「コンバットパターン変更……」
 火線の攻撃が通用しないと判断すれば、グランダゴンがシャーク群端末に与えるパターンが変わる。鋭い牙を持って電磁障壁を突破し、リジュームのシールドを食い破る。
 しかし、パターンを変更した隙を突いて、PSG7ヘレナ……過電粒子スマートガンの収束モードに切り替えた射撃がグランダゴンの装甲を貫く。
 装甲の分厚さは圧巻であった。内部フレームにまで貫通が届かないのだ。

「やはり、ユーベルコードを使わねば―――!」
 リジュームの機動を遮るように行動パターンを変えるシャーク群端末たち。その囲い込む動きにリジュームもまた追い込まれていく。電磁障壁に護られているとは言え、特攻覚悟の突撃に晒されれば、彼女とて危ういのだ。
 そこを突かれたと言っても良い。
「当機は最新鋭機である。旧式のウォーマシンに負ける道理はない」
 グランダゴンの勝利を確信した声が響く。そう最新が旧式に負ける道理はないのだと。しかし、彼女は猟兵である。
 一度敗れ、そして再び立ち上がったのだ。それは彼女にとって揺るぎない一歩である。だからこそ、彼女は白亜のアーマードレスの出力をカットする。

「それはウォーマシンの道理です。私達猟兵とコンキスタドール……オブリビオンにもまた当てはまるとは思わぬことです!」
 出力をカットされたアーマードレス。電磁障壁へと回していた出力すらも、荷電粒子砲、へレナへと回す。
 完全包囲されたリジュームへと襲い来るシャーク群端末!しかし、彼女は猟兵である。ならば、この程度の窮地など、窮地のうちにも入らない。
 彼女のユーベルコードが発動する。
「フルバースト・マキシマム!喰らえッ!」

 放たれるは幾条もの火線。彼女の持てる全出力を収束し、荷電粒子砲であるヘレナから拡散して放たれる一撃は周囲に展開していたシャーク群端末たちを一斉になぎ払ってもなお、有り余る出力でもってグランダゴンの装甲を次々と焼き切っていく。
「これが旧式と侮った私の力です―――!オブリビオンに堕した力など、敗北から立ち上がった一歩を持つ私に及ぶとは思わぬことです!」
 放たれる荷電粒子砲の一撃は、定石を覆す一射であった。
 最新鋭の鮫魔術と融合したウォーマシンの成れの果てが、その一撃の前に膝を屈するのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

明石・真多子
あっ遂に見つけたぞ!ここで会ったが8年目、悪いけどお命頂戴!
…って、せっかく雑魚を散らして来たのにまた敵が増えた!?
腕の多いアタシでも流石にこれは手が足りないかも…もしかして大ピンチ?
「見てられんな、いイ加減その腑抜けた根性は捨てろと言っただろう!」
マイカちゃん!極秘任務でたまたま来てたんだね!
よーし、これで手数も倍以上!雑魚なんていくらでもへっちゃらだよ!

二人の軟体魔忍による墨手裏剣と墨刀の乱舞で蹴散らしたらようやくボスだね!
マイカちゃん【軟体忍法混合流派の術】やるよ!
「…くっ、今回だけだ。いイカら手を出せ!」
十と八の合体攻撃!これがアタシ達の十八番だー!螺旋墨手裏剣!!
アタシ達は絶対勝つ!



 友というのは様々な形がある。刎頚の友。莫逆の友。竹馬の友。様々な友情の形があり、その形はどれも一定ではない。
 しかし、友ある者は如何なる窮地に立たされようとも、その淵においてとどまることができる。仮に堕したとしても、それを引き上げる手が差し伸べられるのだ。
 その手が多ければ多いほどに、人のつながりは強固になり、広がっていく。ならば、一人あたりの手が多い者はどうであろうか。
 差し伸べられる手は多く、そのどれもが一つの意思を持って、その行為に注がれる。ならば、友情に量があるとしたのなら、それは友愛の心を手の数だけ持つものであったのかもしれない。

 魔導機海神グランダゴン、それはスペースシップワールドにおいて宇宙船「ギガ・テテュス」に配備されていた戦略級高機動強襲破砕機士の一騎。
 この宇宙船「ギガ・テテュス」が本来の姿で銀河を行く頃、彼は多くの人々に囲まれていただろう。
 しかし、その旅も唐突に終わる。海洋の世界グリードオーシャンへと落ちてきたことが、転落の始まりであったのかも知れない。
 はるか昔には、己が助け、己を助けてくれる者たちがいた。その者たちは悠久の時間の彼方へと去っていった。それを寂しいと理解する感情が搭載されていたかどうかは、もはや知るすべはない。

 だが、それでも鮫魔術と融合を果たし、「ギガ・テテュス」以外のすべての船……つまりは他の島々を敵性と判断した歪んだ基準は放っておけば、かつて彼が守った者たちの末裔をも巻き込む災厄となるだろう。
 それだけは阻止せねばならぬと、立ち塞がるのは明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)である。
「あっ!ついに見つけたぞ!ここで会ったが8年目、悪いけどお命頂戴!」
 勢いよく名乗りを上げた真多子。だが、彼女を囲い込むのは大量のシャーク群端末たち。
「コンバットパターン・スケイルストーム」
 これまで幾多もの猟兵たちが攻撃を加え、数を減らしたシャーク群端末。しかし、グランダゴンはこれまでの攻撃を受けて、新たなるシャーク群端末のコンバットパターンを編み出していた。
 質で勝る猟兵を数で圧するのだ。これまでメカニカルパイレーツたちを蹴散らしてきた真多子であるが、このシャーク群端末の大群には焦りを見せた。
「……って、せっかく雑魚を蹴散らして来たのに、また敵が増えた!?」
 流石に多腕を誇る彼女であろうとも、この数をさばくにはあまりにも多すぎる。多勢に無勢。
「腕の多いアタシでも流石にこれは手が足りないかも……もしかして大ピンチ?」
 襲い来るシャーク群端末の牙を躱し、打倒しながらも徐々に囲い込みは層を厚くしていく。
 この数はあまりにも多い。端末は自動で動くとはいえ、この数である。グランダゴンにとっても相当な演算のキャパシティに圧迫がいっているはずなのに衰える様子がない。
 じりじりと追い詰められていく真多子。その時、声が上がる。

「見てられんな、いイ加減その腑抜けた根性は捨てろと言っただろう!」
 その声は真多子の自称ライバルのイカ流派軟体魔忍マイカである!流派は違えど、彼女にとっては心強い味方である。
「マイカちゃん!極秘任務でたまたま来てたんだね!」
 一瞬、間が開く。も、もちろんだ!とマイカが頷きを返す。なんだろう、その間。だが、真多子は気にしない。自分のピンチにはいつだって駆けつけてくれる友人なのだ。これ以上無い援軍に違いはない。
「よーし、これで手数も倍以上!雑魚なんていくらでもへっちゃらだよ!」
 真多子とマイカ、二人の軟体魔忍による墨手裏剣と墨刀の乱舞が、シャーク群端末たちの囲いを食い破るようにして蹴散らしていく。
 真多子の放つ手裏剣は乱れ打たれ、一瞬でシャーク群端末たちの姿を爆散させる。隙の多い真多子の脇を固めるようにマイカが墨刀によって打ち漏らしたシャーク群端末を切り捨てていく。
 彼女たちのコンビネーションは、真多子の言葉通り、倍以上の戦力となって、あれだけいたシャーク群端末たちを雲散霧消の如く払うのだった。

「ようやくボスだね!さあ、グランダゴン、覚悟してもらうよ!」
「まだまだ隙が多いぞ、真多子!話を……」
 彼女たちの掛け合いの前にグランダゴンは咆哮を上げる。アクア防殻を展開し、最期の大技を放とうとしているのだ。
 島一つを吹き飛ばす大技の気配に真多子が叫ぶ。
「マイカちゃん!軟体忍法混合流派の術、やるよ!」
「……くっ、今回だけだ。いイカら手を出せ!」
 二人の手がきつく結ばれる。それは十の手と八の手による合体忍法である。墨と墨とが混ざりあい、彼女たちの手の内で圧縮される。
 放たれようとするグランダゴンの大技。それを阻止せんと彼女たちの掌から生まれた螺旋墨手裏剣!

「十と八の合体攻撃!これがアタシ達の十八番だー!」
 真多子とマイカの声が重なる。
 放たれる螺旋墨手裏剣がグランダゴンの胸部へと突き刺さり、圧縮された墨が内部フレーム切り裂き、その爆発が分厚いグランダゴンの装甲を爆ぜさせる。
 これこそが、軟体忍法混合流派の合わせ術である!

「アタシ達は絶対勝つ!」
 そう爆発を背後に決める真多子。しかし、後日彼女はマイカと休日に遊び……じゃない。稽古相手をすることを約束させられるのだった。
 これもまた友情の形の一つ。
 かつてありし日のグランダゴンが夢見た銀河の夢。それを終焉へと導く友情の手であった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『駆け抜けろ!海上レース!』

POW   :    全速前進突っ走るッ!

SPD   :    操縦テクニックで駆け抜けるッ!

WIZ   :    海流や風を見極め走り抜けるッ!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 魔導機海神グランダゴンの巨躯が崩れ落ちる。
 かつてのスペースシップワールドにて戦場を駆けたであろうグランダゴンの最期は、海洋の世界グリードオーシャンにて鮫魔術と融合することによって終わりを見せた。
 しかし、ガタガタと震える巨躯は、最期までその運命を宇宙船「ギガ・テテュス」と共にあることを望んだ。

「セーフティ・解除。起動確認……―――メガリス起爆励起開始―――」

 グランダゴンの合成音声が不穏な単語を告げる。
 起爆……?宇宙船「ギガ・テテュス」が振動する。それはこの宇宙船の中枢エンジンであるものが変じたメガリスが自爆シークエンスを開始したということだった。

「このまま海の藻屑へと……還る。還る。カエ、る……帰りたい……」

 そのままグランダゴンは崩れ落ち、爆散する。
 しかし、起動された自爆装置は止められない。猟兵たちは急ぎこの船から脱出しなければならないのだ。
 通常であれば、船体中央部から外へ出るのは確実に間に合わぬ距離と時間。
 だが、グランダゴンが座していた中央部には幸いに水上ジェットバイクが残されている。
 これらを使えば、猟兵達の脱出は間に合う……だが、船内を飛び出しても爆散した破片や荒れ狂う波間が彼らを邪魔することだろう。
 全ての障害を乗り越え、帰還せよ、猟兵―――!
春乃・結希
これ乗った事ないんやけど、大丈夫かな…
…でも普通のバイクとだいたい一緒じゃろ!
無事に家に帰るまでがお仕事ですからね
絶対脱出してみせます!

出口に向かって運転のコツを確かめながら加速
邪魔な障害物があったらUCの杭を投げて破壊します
あっぶなー!脱出失敗で海に沈むのは嫌だなぁ…かっこ悪いもん…
ついでに壊せるだけ壊しておけば、他の猟兵さんも少しは通りやすくなるはずっ
うん、乗り方もだんだん分かってきたかもっ
よーし、アクセル全開だー!

グランダゴン…あなたはカッコ良かったよ
会えて良かった、ありがとう
次に会う時は、猟兵同士として会えると良いなっ



 宇宙船「ギガ・テテュス」から響き渡る警告音。
 それは宇宙船の中枢エンジンであったものが響き鳴らす音。メガリス、自爆装置が作動したということである。
 魔導機海神グランダゴンは骸の海へと還っていった。それはコンキスタドールの定めである。オブリビオンと化してしまった嘗てのウォーマシンが、宇宙船「ギガ・テテュス」にどのような思い入れがあったのかは定かではない。
 しかし、最期の言葉は「かえりたい」であった。あの過去に戻りたいのか、それともあの銀河の大海原へと帰りたいのか。そのどちらであったのか。
 そんな感傷に浸っている暇はないと言わんばかりに警告音は鳴り響く。

 どうしたって別れの時は、心穏やかには訪れないものである。
 猟兵とオブリビオンであるのなら、尚更だ。
「グランダゴン……あなたはカッコよかったよ。会えてよかった、ありがとう。次会う時は猟兵同士として会えると良いなっ」
 そう言ってグランダゴンの残骸へと声をかけるのは、春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)だった。抱えた大剣『with』と共に放置されていた宇宙バイクにまたがる。
 その残骸が名残惜しく思えるほどには、結希は敵同士でありながらもグランダゴンの勇姿に浪漫を感じていたのかも知れない。また、と言った言葉は叶うかどうかはわからない。
 けれど、それは彼女の別れの言葉である。

 しかし、少しだけ問題もあった。
「これ乗ったこと無いんやけど……大丈夫かな」
 そう、水上ジェットバイクにまたがりながら結希が若干不安そうな顔になる。確かに普通のバイクと同じ要領であろう。うん、そうに違いない!と自分を納得させる。
「無事に家に帰るまでがお仕事ですからね!絶対脱出して見せます!」
 早速脱出に向けて運転のコツを確かめながら加速する。水上ジェットバイクとは言え、船内でもホバーして進むところを鑑みると、これはどちらかというと宇宙バイクとしての敵性が高いのだろう。
「わっ!あっぶなー!」
 順調に滑り出したかと思いきや、いきなり障害物にぶつかりそうになってしまっていたが、彼女のユーベルコード、焔の雨(ホノオノアメ)によって放たれた焔で出来た杭が雨のように破壊してことなきを得た。

「うわ……ちょっと危なかったよね……流石に脱出失敗で海に沈むのは嫌だなぁ……かっこ悪いもん……」
 船内をジェットバイクで進む結希は難しい顔をする。このまま宇宙船の残骸と共に海に沈むのは御免被りたい。
 だが、こうにもあちこちの船内でささくれたように通路がめくれ上がっていたり、支柱が倒れてきていたりするのは、障害物としては鬱陶しいことこの上ないのだ。
「あ、そうだ!壊せるだけ壊せばいいんだ!他の猟兵さんたちも少しは通りやすくなるはずっ!」
 こんな簡単なこと、なんで気が付かなかったのだろう!そう思えば結希の顔は迷いも無くなった晴れやかな顔になる。

 景気よく焔で出来た杭が雨のように警告音鳴り響く船内であちらこちらの障害を破壊しつくしていく。
 颯爽とジェットバイクで進むのにも慣れたものだ。
「うん、乗り方もだんだんわかってきたかもっ!よーし、アクセル全開だー!」
 一気にジェットバイクが加速する。彼女のユーベルコードによって、あちらこちらの障害物は取り除かれていく。
 後続の猟兵達の事を考えれば、だいぶショートカットもしやすくなっただろう。

 彼女のジェットバイクが一番乗りで宇宙船「ギガ・テテュス」の残骸から飛び出し、海上へと飛び出す。
 完全にジェットバイクのコツを掴んだ結希は荒れ狂う波間も物ともせずに安全圏まで駆けていく。
「もう少しジェットバイクを楽しんでいたかったけれど……もう限界みたいだね。キミもありがとう。おつかれさま」
 年代物のジェットバイク。これまた過去の残滓であろう。本来の使い方とは違ったかも知れないが、それでも、こうして誰かの生命を救う一助となったのだ。
 崩れていく「ギガ・テテュス」を眺めながら、結希は、グランダゴンの勇姿をもう一度頭に思い描くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シキ・ジルモント
◆SPD
グランダゴンは還ったか
…さて、こちらも迅速に帰還しなければ

風や波での視界不良を防ぐ為、ゴーグルを装備しておく
水上バイクを扱うのは初めてだが、宇宙バイクの操縦方法を応用して運転する

爆風や破片等の危険は、目視とユーベルコードの効果で事前に察知したい
障害物は宇宙バイクの『運転』技術を応用して回避を試みる
重心移動や方向転換のタイミング等、よく似ている部分も多い

波はひどく荒れているが、利用できるかもしれない
『地形の利用』を考え、障害物を飛び越える為のジャンプ台として利用したい
障害物を飛び越えれば最短距離で回避できる
こういう時は下手に速度を落とす方が危険だろう、失速しないよう速度を維持して波に乗る



 魔導機海神グランダゴンと呼ばれたコンキスタドールは骸の海へと還っていった。
 彼の海はもはや、銀河の星々をゆく航路でもなければ、この海洋の世界グリードオーシャンの大海原でもない。
 過去の集積地たる骸の海である。
 そこに感傷を持たない。それはグランダゴンのたどった軌跡であり、己の辿る軌跡ではないのだから。
 この海洋の世界グリードオーシャンは、空から落ちてきた島に残された者たちを尽く過去のものにしていく。取り込んでいく、という表現もまた正しいのかも知れない。
 鮫魔術と融合したグランダゴンが良い例だろう。それを思えば、宇宙船「ギガ・テテュス」もまた数奇な運命をたどったと言えるのかも知れなかった。

 警告音が船内に鳴り響く。メガリスである自爆装置。それが作動した証拠であった。つまりは、それはこの船の中央部に座していたグランダゴンの敗北を意味する。
「グランダゴンは還ったか……さて、こちらも迅速に帰還しなければ」
 グランダゴンの残骸に背を向けて歩き出すのはシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)であった。
 彼の仕事はもう終わりである。後は無事にこの船内から脱出を図るだけである。
 幸いに年代物では在るが、水上ジェットバイクが残されていたのは幸運であった。
 ゴーグルをかぶり、目を保護する。それだけではなく風や波による視界不良を防ぐためだ。
 用意がいいのも、彼の徹底した仕事ぶりからもわかることだろう。
 ふむ、とシキは頷く。

「水上バイクを扱うのは初めてだが、宇宙バイクの操縦方法を応用して運転できるか……?」
 彼の読みは的中している。もとは宇宙船にあったものなのだから、宇宙バイクをこの地に落ちてきてから改造したものであったのかもしれない。
 こうして風化して使えなくなっていない事自体が奇跡なのかもしれなかった。
 エンジンがかかる。よし、とシキは頷き彼の培われた宇宙バイクの運転技術におって水上ジェットバイクは船内を颯爽と駆ける。

「やはり似ている部分も多いな……」
 船内に残る障害物や残骸を重心移動や方向転換のタイミングを合わせながら進んでいく。確かにこれならば、彼の熟練の運転技術も生きるというものであろう。
 船外へと飛び出せば、荒れ狂う波間。
 ひとまず爆発に巻き込まれる心配なはなくなったが、しかし、まだ荒れる波という障害が残っている。
 水上ジェットバイクとしての本分からすれば、ここからが本番であろう。

 彼の狼の耳がピン!と立つ。それは彼のユーベルコード、ワイルドセンスによって鋭敏化した鋭い直感が研ぎ澄まされていくものであった。
 波の音、ぶつかる音、浮いた残骸や様々なものの位置を返ってくる音によって聞き分ける。
 彼のユーベルコードでなければできない芸当である。
「さあ、最期の仕事だ。いくぞ―――」
 そう、水上ジェットバイクにとっては、これが最期の仕事である。エンジンが唸りを上げる。まるで答えているかのようだった。
 水しぶきを上げながら、水上を駆ける。荒い波は障害物を避けるためのジャンプ台だ。波に乗り、宙に舞う。華麗に障害物を避け、波間に着地するも、すぐに加速する。
 波を切って進む様は、これが年代ものの代物であるとはとても思えない。
「こういう時は下手に速度を落とすわけにもいかん……突っ切る!」
 さらに速度を上げる。エンジンが悲鳴を立てているのはわかる。しかし、これが最期の晴れ舞台だ。
 失速せずに最期まで安全圏まで水上ジェットバイクはシキを運ぶ。エンジンが焦げ付き、黒煙を上げながら、波間に揺れる。
 かつての宇宙船「ギガ・テテュス」の最期を見送る。
「……帰るか、俺も」
 誰もがいつしか、朽ち果てていく。
 それがいつなるのかわからないが、必ず訪れる最期。それは最期というのではなく、終着点というのかも知れない。

 そんな一つの終着点としての最期の光景を荒れる波間沈みゆく「ギガ・テテュス」は見せてくれていたのかもしれなかった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

佐田・忌猿
「さよならだべ、グランダゴン」
沈みゆく姿に、同じ器物としての哀悼を告げる
別の形で会いたかったものだ

帰りは水上バイクだ
波を使った【ジャンプ】や落下する瓦礫を砕く【グラップル】で先を進む
大事なのは躊躇わない事だ

避けられない障害物は、水上バイクを飛び降りて鎌鼬の速度で水上を疾走し、大鬼の剛力を宿した肥大化右腕に、火車の火【属性攻撃】力を足して粉砕したい
「化身忍法・紅蓮腕!!」
撃破後は水上バイクに再度乗り込み出口を目指す

「最後まで気を抜けないべな」



 さよならはいつだって、必ずやってくるものだ。
 それが惜しむこともあれば、ようやくというものだってある。しかし、さよならは縁の切れ目であるとは限らない。
 宇宙船「ギガ・テテュス」のかつての乗組員たちが、この海洋世界グリードオーシャンにたどり着いた後の足跡は要として知れず。だが、彼らの道行きは連綿たる歴史となってグリードオーシャンに刻まれていったに違いない。
 ただ、取り残された魔導機海神グランダゴンへと堕したウォーマシンは、このまま海の藻屑へと消える定めである。
 その前に骸の海へと還ることのほうが先であろうが、その姿に同じ器物としての哀悼を感じずにはいられない者もまたあるのだ。

「最後まで気を抜けないべな」
 佐田・忌猿(鬼面忍者・f10152)は、すでに残骸とかしたグランダゴンのフレームを見やる。しかし、ここで時間を潰すわけには行かない。
 宇宙船「ギガ・テテュス」の船内中央部では、警告音がけたたましく鳴り響いている。
 起動されたメガリスである自爆装置が起動したのだ。うかうかしていては、忌猿もまた海の藻屑へと変わる運命を辿ることになるだろう。
 しかし、まだ希望は残っている。グランダゴンを撃破した猟兵たちが見つけたのは、残された水上ジェットバイク。年代物では在るが、どれも使用には問題ない。といっても、今回動かせば、それっきりであることだけはわかる。
 それもまた致し方なし。忌猿は同じ器物として、水上ジェットバイクも朽ちていくことに憐憫の想いを馳せるのだ。

「大事なのは躊躇わないことだべな」
 水上ジェットバイクへとまたがると忌猿はすぐさま加速する。フルスロットルだ。このマシンの限界はわかっている。だからこそ、ためらっていては失敗する。
 障害物を避け、落下してきた瓦礫は忌猿の拳で持って砕いて進む。船内に充満してきた海水が波打つが、それすらもジャンプ台の如く使い障害物を避けていく。

「ぬ―――!」
 しかし、避けきれないほどの大きな瓦礫が道を塞ぐ。水上バイクを走らせたまま、忌猿はバイクより飛び降り、鎌鼬の力が宿りし健脚でもって水上を疾走する。
 それはまさに地球に住まう昆虫の如く、音もなく水上を駆け抜ける。
「我が五体、忌猿が調伏せし六妖が力をここに示さん!」
 彼のユーベルコード、六妖合一・“化身忍者”忌猿(リクヨウゴウイツ)によって得た力は鎌鼬の速度だけではない。
 大鬼の剛力を宿したる巨腕。それに火車の火の力をも得た一撃が大きな瓦礫へと打ち込まれるのだ。
「化身忍法・紅蓮腕!これが我の忍法!」
 轟音がして巨大な瓦礫は吹き飛ばされる。忌猿の背後から追いかけてくる水上ジェットバイクへと飛び乗ると、再び出口を目指すのだ。
 一気に飛び出す水上ジェットバイク。彼が背後を振り返った時、宇宙船「ギガ・テテュス」の大きな船体が傾いだ。
 それを見て彼もまた悟るのだ。形あるものは必ず朽ちていくのだと。だからこそ、
彼は崩れ行く宇宙船を波間に浮かびながら見届ける。

「さよならだべ、グランダゴン」
 それは別れの言葉。激闘を交え、同じ器物でありながら猟兵とオブリビオンへと変じた別の者。沈みゆく姿は彼の哀悼を告げるに値するものであっただろう。
 そして、こうも思うのだ。何かが一つ掛け間違えさえしなければ、こんなことにはならなかったであろうにと。
 だからこそ、忌猿は告げる。

「別の形で会いたかったものだ……去らば」

成功 🔵​🔵​🔴​

リジューム・レコーズ
アブリビオン化した貴方に還る場所はもう…

【アドリブ連携損傷歓迎】

もう時間が無い、離脱しないと
水上バイクは他のイェーガーに譲りましょう
私は大丈夫です、スピードには自信がありますしフライトユニットも搭載していますから
脱出にはここまで来たルートを使います
マップデータは記録済みなので迷う事は無いはず
HDDを起動、バリア出力全開!
障害となるものは全て体当たりで破壊し最短経路を進みます
でも外に出られても油断は出来ません
あれだけの大きさの宇宙船の自爆システムですから、戦略兵器級の爆発規模が発生してもおかしくない
なるべく遠くへ離れないと

ギガ・テテュスが沈む…グランダゴンと共に…
さようなら、お休みなさい



 世界は過去を消費して進む。ならば、消費した過去は全て骸の海へと集積されることだろう。
 それはどんなものであっても変わることはない。そして、猟兵とオブリビオンである以上、互いを滅ぼし合う関係にしかならない。
 魔導機海神グランダゴンは打倒された。猟兵達の攻撃によって、平和な島々を破壊するという最悪のシナリオは避けられたのだ。
 しかし、まだ喜ぶには早い。グランダゴンの最期に、この宇宙船「ギガ・テテュス」の中央部に存在するメガリス……自爆装置が作動してしまう。
 けたたましく鳴り響く警告音。そのどれもがのっぴきならぬ事態を告げている。
 そんな朱く明滅する船内にて、リジューム・レコーズ(RS02・f23631)は、打倒したグランダゴンへと憐憫の感情を浮かべていた。

「オブリビオン化した貴方に還る場所はもう……」
 そう、骸の海である。銀河をゆく航路にも、落ちた海洋であるグリードオーシャンの波間にも最早戻れない。
 それは定めではあるが、そこに感傷という感情を持ち出すのは何も間違いではない。それを悲しいだとか、寂しいだとか、そんな風に感じられるからこそ、彼女は猟兵として覚醒したのかもしれない。

「―――……もう時間がない。離脱しないと」
 彼女は身を包むホワイトドレスのスラスターを吹かす。水上ジェットバイクは他の猟兵へと譲ろうと考えたのだ。
 何せ年代物であるから、数に余裕があっても起動しないものだってあるかもしれない。何事にも予備があるということは大切なことだ。
 彼女は自前で飛ぶことができるのだから、その役を買って出るのは当たり前だと自負していた。
 心配する声もあったが、彼女は大丈夫だと胸を張る。
「私は大丈夫です。スピードには自身がありますし、フライトユニットも搭載していますから」
 だから、大丈夫なのだとリジュームは飛ぶ。船内のマップデータはまるごと保存してある。
 ここまでやってきたルートを使えば、迷うことはない。参照されるマップと照らし合わせて飛べば、あっという間であろう。

「HDD(ハードデストラクションドライバー)―――起動!」
 彼女の身を包む電磁バリアが出力を瞬時に跳ね上がる。障害となるものは全て電磁バリアが体当たりで破壊してくれる。
 スラスターから吹き出した粒子が彼女の体を圧倒的な加速で持って空を滑空させる。マッピングデータを展開し、その最短ルートを算出する。 
 瓦解していく船内である。あちこちに予想しない障害物が存在したとしても、今の電磁バリアの弾丸と化した彼女に阻める障害など一つもないのだ。

 ごっ!と宇宙船「ギガ・テテュス」の壁面を突き破って海上へと飛び出すリジューム。一気に宇宙船より距離を取る。
 それはあれだけの大きさの宇宙船の自爆システムである。戦略兵器級の爆発規模が予想されるのだ。
 距離を取れるだけ取っておいて間違いはないだろう。

 しかし、リジュームの瞳は崩れ行く宇宙船を捉え続けていた。
 その胸の内に去来するのは一体なんであったであろうか。その感情の名を知っているのは、リジュームだけである。
「ギガ・テテュスが沈む……グランダゴンと共に……」
 そして、手向けの言葉が告げられる。誰に届くわけでもない。骸の海へと還ったグランダゴンに届くとも思えない。
 けれど、口より溢れたのは、慰めの言葉であった。

「さようなら、お休みなさい」

大成功 🔵​🔵​🔵​

明石・真多子
おっとと!なんかヤバそうな雰囲気になってきたね!
すタコらさっさと退散させてもらおうかな。

といってもさっきの道はちょっと遠いし…
あ!いいものみっけ!
キマフュのリゾートのやつとそんなに変わらなそうだしイケそう!

全速全開フルスロットルで駆け抜けよう!
邪魔な壁は全速力の勢いと【軟体忍法螺旋触手の術】のタコドリルでぶち破っちゃえ!
タコ腕を前に束ねてグルグルグルグル削り抜く!
この船は元々潮風や海水で痛んでるし、相手が動かない壁なら絶対に外さないからね!

勢いよく外に飛び出たら、腕を反転させて後方へ!
タコプロペラ推進でさらにスピードアップで一気に離れよう!
回転の力は壊すだけじゃないんだよね~!とりゃ~!



 警告音が宇宙船「ギガ・テテュス」の船内に鳴り響く。
 それはメガリスである自爆装置が起動した音であった。そのけたたましくも物々しい音は、本能的に人に不安を与えるものであったであろう。
 魔導機海神グランダゴンを打倒した明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)たちは、その物々しい音に周囲を見回す。
「おっとと!なんかヤバそうな雰囲気になってきたね!すタコらさっさと退散させてもらおうかな」
 真多子はが周囲を見回したのは、脱出に使えそうなものを探していたからだ。侵入に使ったルートは脱出するには遠い。もたもたしてたら、自爆の爆発に巻き込まれてしまう。
 マイカはいつのまにか、颯爽と脱出している。抜け目がないというか、せっかく約束をしたのだから、一緒に逃げればいいのにと思ってしまうが、それはライバル所以だろうか。

 しかし、真多子の視線が床に飛び散ったイカ墨が不自然に矢印を描いていることに気がつく。
 その矢印の方角を見やると……
「あ!いいものみっけ!」
 そう、そこにあったのは、年代物ではあるが使用に耐えうるであろう水上ジェットバイクがあった。あのイカ墨の主が誰であるのかわからないが、これは助かる。一体何カちゃんなんだ……!
 警告音が鳴り響く船内で水上ジェットバイクをいじりながら、感触を掴む。うん!と真多子は頷く。
「キマフュのリゾートのやつとそんなに変わらなさそうだしイケそう!」
 早速水上ジェットバイクにまたがるとエンジンを吹かす。問題ない。これなら脱出にも間に合うかも知れない。

「さあ!全速全開フルスロットルで駆け抜けよう!」
 沈みゆく船内を真多子の駆る水上ジェットバイクが走り出す。水しぶきを上げ、どんどん加速していくのだ。
 船内は崩れ落ちた壁や天上、それに柱などが障害物として進路を邪魔していたが……

「軟体忍法、螺旋触手の術!ぐるぐるドリルパワーだよ!」
 彼女のユーベルコード、軟体忍法螺旋触手の術(オクトバニッシュ)によってドリルのように束ねられた触手を回転させる一撃によって、ぶち抜かれていく。
 彼女の触腕が水上ジェットバイクの前面にまるで突撃衝角のように束ねられ、障害物という障害を全て削り貫いていく。
 このユーベルコードは、命中率に難があるのが問題であったが、対象がこの船の動かぬ壁や障害物であれば何の問題にもならない。
 問題もクリア、障害もクリア!
 あとは突っ込んで逃げるだけである。

「よーし、外に出た!あとは……!」
 勢いよく船体の壁を突き破って飛び出す真多子と水上ジェットバイク。衝角のように前面に向けられていた触腕がほどかれ、今度はバイクの背面へ。
 ドリルからスクリューへと役割を変えた触腕が、一気にタコプロペラ推進でさらなる加速を得て、一気に沈みゆく宇宙船より離れていく。
 普段であれば、敵へと攻撃を加えるユーベルコードであっても、使い方を誤らなければこんな風に何か別のことにも転用が出来る。
 彼女の使う軟体忍法もまたおなじなのだ。

 沈みゆく宇宙船「ギガ・テテュス」。それをエンジンが壊れ、波間に浮かびながら真多子は見つめていた。
「あ、そうだ。マイカちゃんとの遊ぶやくそ……じゃない、稽古の日取り決めなきゃ」
 そう、彼女にはこれから自称ライバルのマイカとの稽古が待っているのだ。
 なんだかんだで助けてくれるんだよね、いつも。

 ―――どこか遠くで、くしゃみをする音が響いたかも、しれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
<メカニック>で水上ジェットバイクのスペックを確かめ、脱出に十分な性能があると確認したら【サーキットの魔女】を発動。
レーシングマシンを駆るように、<運転>と<ダッシュ>の技術を使い
脱出時間を大幅に短縮して、崩れゆく宇宙船「ギガ・テテュス」
を駆け抜ける。
脱出ルートは、メカたまこEXにここまでの道のりを<撮影>させて
いるので迷うことはないだろう。
飛び散った船の破片やら鉄屑やらは、クロスグレイブによる
<砲撃>で始末し、安全に航行できるようにしよう。

古代魔術と科学の融合…私が目指す技術革新のヒントが
見つかると思ったのだがな。すべては海の藻屑か…。
せめてこの戦いの記憶を胸に刻み込み、今回の収穫とするか。



 かつてのスペースシップワールドに在りしウォーマシンと、海洋世界であるグリードオーシャンの原生魔術、鮫魔術との融合を果たした魔導機海神グランダゴンは猟兵達の前に崩れ去った。
 それは猟兵とコンキスタドール……オブリビオンという関係性であれば、当然の結末であった。
 しかし、それでは終わらぬのがグランダゴンである。突如鳴り響くは、警告音。それはこの宇宙船「ギガ・テテュス」の船内中央にあるメガリス、自爆装置が起動した音である。
 この巨大な宇宙船が爆散すれば、中にいる猟兵達もただではすまない。急ぎ脱出しなければならないのだ。

 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が見つけたのは、年代物の水上ジェットバイク。
 彼女のメカニックとしての知識が水上ジェットバイクのスペックを推し量っていく。
「ふむ……宇宙バイクを水上用に急遽改造してあるのか……痛みは激しいが、一度の無理は効く……」
 彼女の見立てでは脱出するには問題ない。
 かつての宇宙船「ギガ・テテュス」の乗組員たちが、このグリードオーシャンに落ちてきた時に改造を施したのだろう。
 彼らの足跡はようとして知れないが、こうして後にガーネットたちの助けになるとは想いもしなかっただろう。
「ありがたく使わせてもらう。さあ、サーキットとは違うが……」
 彼女のユーベルコード、サーキットの魔女(ウィッチオブサーキット)が発動する。
 それは水上ジェットバイクをレーシングマシンのように彼女の手足へと変える。すでにメカたまこEXには侵入時にマッピングさせた船内図がある。
 これを使えば、脱出に困難はないだろう。
 船内のあちらこちらから爆発音が響き始める。ここも、そう長くはないだろう。急がねば。
 ガーネットは水上ジェットバイクを駆り、船内を駆ける。

「障害物……壁や天上が落ちたか……だが!」
 そう、何の問題にもならない。ガーネットが水上ジェットバイクを運転しながら、構えたクロスグレイブによる砲撃が進行の障害となる崩れた壁を吹き飛ばしていく。
 これならば、例え大きな障害があったとしても大丈夫だ。
 彼女の手足となった水上ジェットバイクは、警戒な走りで船外へと飛び出す。
 グリードオーシャンの海洋へと飛び出すと、荒れ狂う波間を抜けて安全圏まで水上ジェットバイクが走り抜けると、役目を終えたようにエンジンから黒煙が噴き上がる。
 もう限界だったのだろう。揺れる波間からガーネットは崩れ行く宇宙船「ギガ・テテュス」を見つめる。

「古代魔術と科学の融合……私が目指す技術革新のヒントが見つかると思ったのだがな」
 彼女が求めているもの。技術革新。そのヒントの一片となり得たかも知れない存在がグランダゴンであった。可能であれば、鮫魔術との融合のヒントだけでもと思ったのだが、それも叶わない。
「すべては海の藻屑か……」
 しかし、彼女の胸には、この戦いの記憶が刻まれている。これがまた別の第一歩となることもあるかもしれない。
 それを思えば、今回の戦いもまた彼女にとって得難い収穫となったことは間違いなかった。

 こうして、スペースシップワールドの残滓はグリードオーシャンの海洋に飲み込まれて消えていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェル・トリニィ
アドリブ大歓迎です!

POWを選択

さらばだグランダゴン…
ロマンを凝縮した様なカッコ良いやつだった…
せめてあいつの写真でも撮っておけば良かった…

行動
せっかくだし水上ジェットバイクを使わせてもらおうか!
とりあえず動く様だが、何せ年代物だからな…
無理をさせずに足りない速力は〈リミッター解除〉した背部の四枚羽で補うぞ!

道中にある瓦礫や荒れ狂う海は〈第六感/見切り〉で避けるか《サイコキネシス》で安全に倒れる様に道を作り出して撤退だ!



 魔導機海神グランダゴンとの激闘を制したのは、猟兵であった。
 崩れ落ちるグランダゴンの鎧装。内部フレームはひしゃげ、崩れ落ちた。それは敗者の姿としては、あまりにも美しいと思える最期であったのかもしれない。
 壊れ、朽ちる人型の巨人。そこに欠けた美を見出すのもまた人の心のなせる技であったのかも知れない。

 フェル・トリニィ(敵を穿ち貫く虎頭蜂・f26788)はまさに、そんな思いを抱く一人であった。
「さらばだグランダゴン……」
 敵に別れを告げる。それはグランダゴンが持つ不思議な魅力ゆえであったのかもしれない。彼女と同じ想いを抱く猟兵は彼女だけではなかったのだから。
 浪漫を凝縮したようなカッコ良いやつだった……そんなふうにフェルは想いにふけってしまったのだが、警告音が彼女のそんな感傷を切り裂く。
「自爆装置……!せめてあいつの写真でも撮っておけばよかった……!」
 しかし、後悔先に立たずというやつである。
 グランダゴンが起動させたメガリス、自爆装置。それはこの宇宙船「ギガ・テテュス」の巨大な船体を消滅させるには十分な威力を持っていた。
 この爆発に巻き込まれては、猟兵といえど無事に済むとは思えない。
 急ぎ脱出を……とフェルが周囲を見回すと、年代物ではあるが水上ジェットバイクが残されている。

「せっかくだし、これを使わせてもらおうか!」
 エンジンを始動させる。問題ないようだ。しかし、一度止めてしまうともう一度エンジンがかかるかどうか怪しい。
「とりあえず動くようだが、何せ年代物だからな……」
 かかったエンジンを温めながら水上ジェットバイクでフェルは船内を駆け抜ける。
 無理をさせずに、フェルの背に負った四枚羽のリミッターを解除して、速力を底上げする。
 これにより、通常よりも早く脱出できそうであった。だが、自爆装置を起動したことによって、あちらこちらで船内が崩れ始めていたのだ。

「道中がこれか……だが、この程度の障害で私を止められると思うな!」
 彼女のユーベルコード、サイコキネシスが発動する。
 見えないサイキックエナジーが放たれ、疾走しながら邪魔な障害物をはねのけて進む。
 船外に飛び出せば、荒れ狂う波。彼女の直感だけが頼りだった。高い波は避け、小さな波は水上ジェットバイクのジャンプ台にして安全圏まで一気に駆け抜ける。
 ぶすん!と嫌な音を立てて水上ジェットバイクのエンジンから黒煙が吹き出したのは、彼女が爆発の安全圏にたどり着いた時だった。

「……おつかれさま。最後まで働いてくれてありがとうな」
 そういって、波間に揺られながら水上ジェットバイクの最期をいたわる。彼女の視線の先には、沈みゆく宇宙船「ギガ・テテュス」。
 海洋世界グリードオーシャンにまた一つ、スペースシップワールドの残滓が飲み込まれ消えていく。
 原生魔術である鮫魔術と融合を果たしたグランダゴンの災厄から平和な島々を守れたことに誇りを持ちながら、事件の結末を迎えるフェルは、グランダゴンの姿をもう一度脳裏に浮かばせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
『帰りたい』……ですか

(グランダゴンの残骸から破片の一片を回収)

再び『骸の海』からこの地に機体が滲み出ることもあるかもしれませんが…
この場にいた『貴方』の願いは少しばかり騎士として叶えたい
ウォーマシンにしては感傷に過ぎるかもしれませんが、ね

さて、ウォーマシン用の水上バイクを見つけるのに手間どりましたが、艦内構造を光学センサーでの●情報収集で●見切り高速で脱出は可能でしょう

船外に脱出と同時に水上バイクを投棄し荒れる波間へダイブ
自前の水中用装備の●水中機動で波や破片の影響少ない深度深くに潜水
背負ったランスを構えてUC作動し退避

帰りましょう
冷たい水の海から、真空の宙の海へ
私達の故郷へ



 魔導機海神グランダゴンの最期の言葉は、猟兵の耳へと届いていたのかもしれなかった。
 銀河をゆく宇宙船「ギガ・テテュス」は、海洋世界グリードオーシャンへと落ちた。それが不幸であったことは確かなことであろう。
 そして、落ちた宇宙船の中に取り残されたグランダゴンが何故鮫魔術と融合を果たしたのかはわからない。
 しかし、理解できるものもあったかもしれない。

「『帰りたい』……ですか」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はグランダゴンの最後の言葉をしっかりと捉えていた。
 その言葉の意味を解する。あの銀河の星と星とを繋ぐ航路をゆく旅。あの頃に戻りたいと思ったのかもしれない。
 そっとトリテレイアはグランダゴンの残骸から破片を一片回収する。
「再び、『骸の海』から、この地に機体がにじみ出ることもあるかもしれませんが……」
 そう、過去の化身であるオブリビオン、コンキスタドールならば、その可能性も否定はできない。そして、再び現れたグランダゴンは、トリテレイアたちが戦ったグランダゴンと同一ではない。
 それでも、とトリテレイアは思うのだ。
「この場にいた『貴方』の願いは少しばかり騎士として叶えたい」
 そっと回収した残骸の一片を見やる。
 ウォーマシンとしては感傷に過ぎるかもしれませんが、ね。そう小さくつぶやいた言葉は警告音のけたたましい音によって遮られた。

 グランダゴンの最期に起動されたメガリス、自爆装置。
 それはこの巨大な宇宙船を吹き飛ばすほどの威力。それに巻き込まれては猟兵も無事ではいられないだろう。
 急ぎ、この場から離れなければならない。トリテレイアはウォーマシン故に、彼の体格に合う水上ジェットバイクを探し出すのに苦労したが、それもなんとかなった。
 大きな水上ジェットバイクを駆り、船内を急ぐ。
「艦内構造をスキャン開始……」
 彼の持つ光学センサーによって艦内の様子をスキャン。最適な脱出ルートを導き出すと、迷いなく飛びだす。

 船外へと脱出すると、荒れ狂う波間がトリテレイアを歓迎する。脱出の際に水上バイクは投棄し、彼の水中用装備へと換装し、海中を深度深く潜っていく。
 これならば、爆発の影響も少ない。それに破片や波の影響を受けなくても済む。
 彼のユーベルコード、艦船強襲用超大型突撃機械槍(ロケットブースターランス・ウォーマシンカスタム)を発動させ、一気に安全圏の海上へと飛び出すのだ。

「退避完了!これで一先ず解決と見て良いでしょう……」
 沈みゆく宇宙船「ギガ・テテュス」。それを見つめる。回収したグランダゴンの破片。それをいだきながら、トリテレイアは帰路へと付くのだ。

「帰りましょう。冷たい水の海から、真空の宙の海へ」
 ―――私達の故郷へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月02日


挿絵イラスト