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妖婦の諸悪

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 多くの商家が立ち並ぶとある町。
「あれがお奉行様の後妻かい?」
「確かに、驚くほどの美人だが――」
「あの鬼女に目をつけられたら、敵わねえぞ」
「くわばらくわばら……」
 付き人を伴い、表通りを闊歩する見目麗しい奉行の奥方の姿。その姿を目にした商人たちは声をひそめ、戦々恐々としていた。
 仲睦まじい様子で通りを歩いていた父娘は、奥方の姿を見つけて脇へと逸れようとしたが、不意に呼び止められる。
「よい柄の着物を着ているな」
 奥方は娘の着物を指して言った。
「それはどこの店で手に入れたのだ?」
 娘の父親は恭しい態度で質問に答えた。
「この着物は束田の呉服屋で仕立てたものです。手前の女房が、娘が嫁ぐ祝いにと特別に仕立てさせたものでして、この世に一点しかないものでございます」
 奥方はその着物を譲ってほしいと頼むが、
「どうかそれはご勘弁を。この着物は女房の愛情がこもった、思い入れのある品なのです」
 父親の言葉を聞いた奥方は、妖狐の本性を覗かせて妖しい笑みを浮かべた。


「父親は着物を譲ることを丁重に断り、その奥方はあきらめたように思われました」
 ノア・ローズタレット(ローズマリーの誓願・f02701)は招集された猟兵たちに向けて、白艶(はくえん)という名で知られる奉行の後妻の悪行について語る。
 白艶の正体は、オブリビオンの妖狐『傾国の白仙狐』である。後妻となった白艶に篭絡された奉行は、妻の悪事をすべてもみ消している。白艶は悪逆を尽くす鬼女、歩く災厄として町民たちに恐れられている。
 勝ったものに褒美を取らせると言って、数人の若者を集めた白艶は、遊戯と称して若者たちを残虐に弄んだこともあった。事故にあったと称して2人の遺体を突き返してきたが、白艶を咎められる者は誰もいなかった。
 「白艶は着物を譲らなかった父子に目をつけています」とノアは語る。
 白艶はまず、娘・おしずとその嫁ぎ先である米問屋の一家を皆殺しにするために動き出す。盗賊に押し入られたように見せかけるために、多くの家財諸共一家の命を奪う恐ろしい計画を企てている。
 白艶がどのようにして一家を襲わせるのか、手下の詳細などは不明だ。また、白艶の計画はそれだけではないとノアは語る。
「白艶はおしずさんの嫁ぎ先だけでなく、ご実家の皆さんにも罰を与えるつもりです」
 白艶はおしずの実家に対しても何かしら仕掛けるつもりだが、まずはおしずとその義理の家族たちを守らなければならない。
 米問屋を白艶の手下が日没後に襲撃することはわかっている。ノアは猟兵たちをその当日、正午の時間帯に米問屋の付近に転送できるという。
 「例え困難な状況になったとしても、打開するチャンスは訪れます」と意味深な一言を言い添えたノアは、無意識にそう呼称する癖を口から滑らせた。
「白艶を恨み、平穏が訪れることを切に願う町民も多いでしょう……ご主人様のお力添えをお願い致します」


夏雨
●『サムライエンパイア』の世界に向かいます。
 猟兵達は江戸幕府から「天下自在符(てんかじざいふ)」を与えられており、徳川の紋所が刻まれたその符を見せれば治外法権となり、人々は平伏します。

●第1章 白艶の手下から米問屋を守れ
 当日の日没後に襲撃があることはわかっています。転送された正午から襲撃に対する備えを行うことができます。

●第2章 直面する困難
 白艶が仕掛けた罠から、おしずの家族を救い出さなければなりません。

●第3章 ボス戦
 2章の現場に姿を現す白艶との直接対決です。

 個性豊かな猟兵の皆さんの参加をお待ちしています。
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第1章 冒険 『火付盗賊から店を守れ』

POW   :    用心棒として雇われる

SPD   :    罠や仕掛けを作る

WIZ   :    盗賊の襲撃手口を推理

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

不知火・シンク
POW使用。アドリブ&絡み歓迎。不知火は通常時目を閉じ他の感覚を研ぎ澄ませて活動しています。

着物一つで人の命を消しますか…まぁ、オブリビオンの考える事なぞ今更何を言ったって特に何かが変わるわけではないでしょう。私はただ斬れればいいだけですし。結果的に人を救えるのなら一石二鳥ですし……ああ、斬りがいのある者なら良いのですが(浮かべる笑みは人を安心させる微笑み、放つのは狂気。用心棒として雇われた竜の女性は癖なのか自らの愛刀を少し抜いては戻し鞘と鍔が打つ【チン】という音を響かせながら用心棒らしく立っている。自らに注意が集まるように、殺気と狂気を周囲に放ちながら、微笑みをうかべながら…)


四王天・燦
SPD判定

白艶側に察されないよう注意して米問屋に忍び込む。
入ってしまえば「騒ぐな」と自在符を見せて交渉開始

「悪名高い輩が納得してるわけねーわな。そこでアタシらの出番さ」
事情を説明し、罠を組む許可を取る。
不自然に騒いで敵側に察されないよう注意、うっかり罠に嵌まらないよう手筈もしてもらう。
今夜は蔵なり守りやすい場所に隠れてもらうこと。
報酬は米一俵と油揚げ一月分で交渉

して趣味の罠仕掛け。
爆裂つづらに、お得意の斬殺ワイヤートラップ、襖を開けたら落ちてくる黒板消しや殺意全開の漬物石など。
当然、罠使い技能全開だ

犬の遠吠えの真似なり襲撃を報せる合図を決めて、アタシは床の下に忍んでおこう

さあ来い狐の面汚しめ!


オデット・クレイトン
※アドリブ、悪乗り大歓迎
フォム(f06179)と同行

いやー、相手が持ってるレア物とか実際の2倍くらい輝いて見えますよね
ちょっと[盗んでも]……あ、しませんよヤダナー

●行動
ファムちゃんと一緒に用心棒として雇われますか
最近不審な事がなかったか、野盗が潜伏できそうな場所を[情報収集]しておきましょう

【血の猟犬】を使用し、米問屋の周辺、
[情報収集]して得た場所や米問屋の裏手に配置しましょう
火付盗賊を見つけたら、遠吠えさせて位置を教えてもらいますよ

猟犬には私達が来るまでは足止めメインに逃げないよう囲んで追い詰めといてもらいます
……あとはフォムちゃんにボコボコにしてもらいましょうかね


フォートナム・メイソン
オデット(f04351)と参加
※アドリブ大歓迎

■心情
米問屋さんってなあにー?お米扱ってるの?
わー!ボクご飯食べたーい!いっぱい食べていい?
ダメー?じゃあ、ちゃんと守れたらいっぱい食べていい?

■行動
オデットと一緒に用心棒として雇われるよ!
腕を疑われたら【怪力】でこめだわら?を軽く持ち上げるね!
えへへ、もっと重いのだって持てるよ!凄いでしょ!

オデットが周辺の警戒をしてるから米問屋でのんびり……ちゃんと守ってるね!
【野生の勘】を働かせつつ、ゆっくり待ってるね

野盗が来たら【ダッシュ】で現場に急行
野盗が見えたら【ロープワーク】[スパイダーウェブ]で捕らえるね!
ちゃんと捕まえたらいっぱい褒めてね!


乃木坂・御凪
※アドリブ連携歓迎

奉行の方がオブリビオンの悪事に手を貸し、町民を脅かす存在と懇ろになっているとは……
どうにかして止めなければなりませんね
町の平和を取り戻すため、微力ですが猟兵としての仕事を果たしましょう

さて、まずは米問屋さんを守るための準備ですね
ここは正面から用心棒として雇ってもらう形でいきましょう
賊が米問屋さんに目を付けたという情報を手に入れたと話して、自分を雇ってもらえるようにお願いしてみます
必要なら【コミュ力】を活かした説得や「天下自在符」を使いますね
雇ってもらう事が出来たら、守りやすいように屋敷の構造や周辺の地理などを調べておきましょうか
得た情報は他の猟兵の皆さんにも共有しておきますね


国包・梅花
POW

用心棒として雇われるため
米問屋に手っ取り早く天下自在符を見せてしまいましょう
「白艶の悪行見過ごせません。お代は結構ですよ、幕府より十分もらいますれば」

襲撃を乗り切るために必ず日没前には一家には集まっていただきたく
盗まれては困る物は持てるだけ持ってもらいます

あとは襲撃に備えて問屋周りの地形を把握しておきます
どこが入りやすいか、逃げるならどういう道を辿るか
あとは火付けの可能性もありますれば、夜の前に水でも撒いておきましょう

襲撃が来たらば一家のそばを離れないようにしつつ
錬成カミヤドリにて愛刀国包景光を複製し
殺さぬよう襲撃者の肩や足を狙いまする
もしただの雇われ人なれば縛り上げて役人に突き出さねば


ロウガ・イスルギ
アドリブ・連携歓迎
何はともあれ天下自在符で米問屋からの信用を得ておこう

まずは【不空羂索】でグレイプニルを複製
複製品を利用して鳴子の作成(罠作成スキル使用)
これを庭や天井裏・出入りがありそうな場所に設置しておく
日没後引っ掛かった者は念力によるワイヤー操作でそのまま拘束
捕えた手下から実家襲撃に関する情報が引き出せるなら
尋問してみるか

「下手に動かない事と素直に喋る事を薦めるぞ。その気になれば貴様の
身体で達磨落しが出来るほど寸断できるんだから、な」

手下がオブリビオンではないならまあ気絶するぐらいに締め上げて
事が済むまで蔵か牢にでもぶち込んでおこう



 白艶側に感づかれることを懸念した四王天・燦は、先行して米問屋へと忍び込んだ。
 住居や蔵が面した中庭から住人の前に姿を見せた燦は、「騒ぐな」と天下自在符を見せ、直接住人たちと掛け合う。
「――悪名高い輩が納得してるわけねーわな。そこでアタシらの出番さ」
 燦が一通り事情を説明した後、他の猟兵たちは自然な光景を装い、客人として表から招かれる。
「白艶の悪行、見過ごせません。お代は結構ですよ、幕府より十分もらいます
れば――」
 用心棒としての役目を遂行することを謙虚に伝える国包・梅花だが、
「報酬は米一俵と油揚げ一月分で勘弁してやるよ」
 一方で燦は堂々と要求を突きつける。
「ボクご飯食べたーい! ちゃんと守れたらいっぱい食べていい?」
 1つの米俵を軽々と持ち上げて、フォートナム・メイソンは無邪気に言った。

 日没までに家中に罠を仕掛けようと、ロウガ・イスルギと燦はおしずを始めとした米問屋の一家、使用人を含む住人たちを中庭に集合させた。
 「丁度いい蔵があるな」と燦は中庭に面した蔵を指して言った。頑丈な扉と鍵が備えられた蔵を見回した燦は、襲撃時に備えて蔵の中に住人たちを避難させておくことを提案した。それを聞いた梅花は、「では、蔵の見張りは私が務めましょう」と申し出た。
 念力で自在にワイヤーを操作することが可能なロウガ・イスルギは、自らの能力で戦闘に特化したワイヤーを複製し、家屋の周辺や中庭、天井裏などに張り巡らせたものに鳴子を設置していく。
「何も心配はない、簡単に侵入を許すようなへまはしない」
 ロウガはおしずたち一家に頼もしい様子で言い聞かせた。
 趣味も兼ねて仕掛けを作る燦の罠は、開けると爆発するつづら、ふすまを開けると漬物石が振り子のように迫ってくるなど、殺意あふれる仕様となっている。更に燦は、塀や屋根の上から地面に降りようとしたものを細切れにするため、塀と家屋の間に目立たないようワイヤーを張り巡らせていた。
「住居の天井裏も気になりますね……フォムちゃんは、ここの見張りをお願いします」
 オデット・クレイトンは一家の住居にあたる家屋を隅々まで調べ、侵入経路を洗い出す。一家の住居は蔵と同じく中庭に面し、蔵の斜め向かいに位置している。
「何かあれば遠吠えで知らせます」
 日没後の合図を取り決めるオデットは周辺を調べるためにも見回りに乗り出す。フォートナムは「いってらっしゃーい!」と元気よくオデットを見送った。
 オデットと同様に周辺の地理を把握することに努める乃木坂・御凪と梅花。
「これだけ準備をしていれば、賊も簡単に手出しはできないでしょう」
 罠を張り巡らせていた燦とロウガの様子を指して梅花は言った。
 「頼もしい限りですね」と受け答えする御凪は、考え得る侵入経路などを大よそ把握し、日没までの時間を2人で持て余していた。
「あの、ところで梅花さん……すばらしい刀をお持ちですね」
 日本刀好きの御凪は興味津々な様子で梅花の刀を見つめる。そんな御凪に対し、梅花はにこやかに答えた。
「ありがとうございます。これは私を作り出した刀工の最後の作品でして――私はこの『国包景光』のヤドリガミなのです」
「なるほど! つまり、とても歴史のある代物なのですね」
 梅花と御凪はしばし刀トークに花を咲かせた。

 日没が近づき、不知火・シンクは閉店後の店側の正面入り口に立つ。
 鮮やかな赤い髪が際立つ印象を与えるシンクは、愛用する刀を少し抜いては戻し、鞘と鍔が触れ合うチンという音を繰り返し響かせていた。
 まぶたを閉じ、闇ばかりを見つめるその双眸。自らの意志で盲目の境地に立つシンクは、視覚以外の研ぎ澄まされた感覚を頼りにしていた。如何なる状況でも変わらぬ笑みを浮かべ、自らが斬るべき対象を待ちわびて静かに殺気を放っていた。
 ――着物一つで人の命を消しますか……まぁ、オブリビオンの考える事なぞ今更何を言ったって特に何かが変わるわけではないでしょう。私はただ斬れればいいだけですし。結果的に人を救えるのなら一石二鳥ですし……ああ、斬りがいのある者なら良いのですが。
 間もなく現れるであろう敵のことを考えながら、秘めた狂気性をにじませるシンクは笑みを絶やさずにいた。
 一家全員はすでに鍵を閉めた蔵の中に退避を済ませ、梅花は蔵の周辺を中心に警戒を続け、敵の到来を待ち構える。
 フォートナムは住居の縁側に座り、退屈そうに中庭を眺めていた。その縁の下のスペースには、燦が忍者のように潜んでいる。
 自ら仕掛けた罠が存分に力を発揮することを待ち望みながら、
(「さあ来い、狐の面汚しめ!」)
 燦は襲撃に対処するために息を殺していた。
 完全に黄昏時を過ぎ、夜闇に覆われる光景。その時が訪れ、異様な訪問者を知らせる遠吠えが一帯に響いた。
 オデットは群れに近い数の猟犬を呼び出して使役し、裏手を見張らせていた。1匹が敵の襲撃を知らせると、猟犬たちは物影から飛び出してその相手を囲んだ。そこへ真っ先に駆けつけたオデットは、敵の正体を知る。鬼火のように輝く妖狐の霊体が、猟犬たちの間を右往左往していた。その場にシンクと御凪も駆けつけ、威嚇を繰り返す狐の姿に目を見張る。
「なるほど、妖狐の手下は妖狐ということですか」
 そうつぶやくシンクは躊躇なく刀を抜き、妖狐を切り捨てようとすばやい一太刀を放った。シンクに続く御凪も抜いた刀を振り下ろし、追い詰められた妖狐は息絶えると同時に消え失せる。
「奉行の後ろ盾があるとはいえ、形から装う気もないのですね」
 妖狐が消えた跡を眺めて御凪がつぷやいた直後、御凪たちの間を縫って、青白く輝く1匹の姿が塀を乗り越えていく。しかし、「ぎぃっ?!」という悲痛な声と共にその気配は消える。
 燦が相手を斬殺するために仕掛けたワイヤーを気づかない内に潜り、体を刻まれた妖狐の様子をロウガは確かに認めていた。人ならざるものの侵入を確認し、警戒を強めていたロウガは、ある箇所のワイヤーに手応えを感じた。
 一斉に鳴子が鳴り始め、その直後に住居の天井を突き破る存在があった。縁側にいたフォートナムは障子越しにその音を聞きつけ、障子を開け放って正体を確かめる。
 障子の向こうには、天井から片足をワイヤーでつられた状態でぶら下がる妖狐の姿があった。
「あれ?! 狐のどろぼうだ!」
 フォートナムはそう言って目を見張りながらも、ワイヤーから逃れようとする妖狐に狙いを定めた。細いワイヤーを打ち出すガジェットを駆使し、フォートナムはワイヤーをネット状に妖狐の体に巻きつけていく。
 ワイヤーが体に食い込む状態でも暴れ回る妖狐は、体に電流を走らせてフォートナムに威嚇する。
「うわー! ビリビリする、捨てちゃえー!」
 フォートナムは天井のワイヤーから妖狐を引っぺがし、庭へと放り投げた。電流を放つ妖狐の様子を目の当たりにしながらも、駆け寄った梅花は確実に急所を捉え、妖狐の体を刺し貫いた。

「情報を引き出そうにも、言葉すら解せないとはな」
 罠のためのワイヤーを回収しながら、ロウガは人知れずつぶやいた。
 皆で罠の解除を手伝う中、おしずは是非お礼がしたいと猟兵たちを宴に招く。「わーい! ごはんごはーん♪」と中でも最年少のフォートナムは人一倍はしゃいでいた。
 仕事の一段落、ささやかな宴が催されるその晩――騒々しく戸を叩く訪問者が現れる。その男性はおしずの実家の奉公人で、衝撃の事実を伝えにやって来た。
「大変です、お嬢さん! 旦那様たちが――白艶様に咎を働いたという罪で、連れて行かれてしまいました!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『彼の者の陰謀』

POW   :    警備を強行突破して助け出す

SPD   :    騒動を起こして役人たちの注意を引きつける

WIZ   :    無実の証拠を突きつける、綿密さに欠ける役人の調べを指摘する、民衆を味方につける

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 米問屋襲撃の一夜から陽が昇り、時刻は朝方。各所の商店が店開きを始める頃であった。
 すでに多くの野次馬が人垣を作る河原の刑場。役人たちは竹で編まれた柵で刑場と傍観する民衆を仕切り、柵の向こうには数人を磔にするための丸太の柱が並んでいた。
 刑場を取り仕切る役人と共に、縄で拘束された一家族が柱の前に連れて来られる。それはおしずの父親、母親、弟2人、祖母の姿だった。
「こんなことは間違ってらぁ! 俺は何もしちゃいない!!」
 おしずの父親は無実を訴え続けたが、役人たちは取り付くしまもなく、父親たちを柱に縛りつけ始めた。
 幹部の役人が罪状を読み上げ出すと、民衆たちも自然と静まり返る。
「商人、西弥・宗衛……貴様ら家族を、奉行の奥方、白艶様の着物を盗んだ咎で、磔とする」
 刑場に罪状を読み上げる声が朗々と響き渡り、民衆は騒然とする。また、刑場の端には刑が執行される時を見届けようとする白艶の姿があった。広げた扇で口元を覆い隠し、夫である奉行の隣でしおらしくしているものの、民衆たちにもその本性はわかり切っていた。
 「ウソだ!! でたらめだ!」と叫ぶ宗衛に対し、役人は怒鳴った。
「とぼけるな! 呉服屋が貴様の娘が着ていた着物について証言したのだ。白艶様に献上するはずの着物を、なぜお前の娘が着ていたのだ?!」
 宗衛は顔を真っ赤にし、怒りに任せて白艶を罵った。
「なんて性悪な女だ! お奉行様、あなたは騙されている――」
 白艶を侮辱することは許されず、宗衛は槍の柄で激しく打ち据えられた。
 柵の外のおしずは泣き叫ぶように役人に許しを請うが、誰も聞き入れるものはいない。
 おしずの家族の窮地を目の当たりにする猟兵たち。白艶の陰謀と感づきながらも、見ていることしかできない民衆。刑場を警備する十数人の役人たち。奉行の横でひそかにほくそ笑む白艶。
 河原の刑場とを隔てる竹の柵などは役人が支えているだけに過ぎず、救出することは難しくないだろう。
ロウガ・イスルギ
アドリブ・連携歓迎

見せしめ兼俺達を誘き出す罠って処だな、やってくれるぜ。
ならば敢えて釣られて喉元に喰らいつくまでだ

【不空羂索】使用、複製したグレイプニルを操り役人どもを
陽動及び牽制、最終的に捕縛拘束する
「ひいふうみい……全員締めてもお釣りがくるな。まあ死なない程度に
しといてやろう」

混乱に乗じておしずの家族を全員救出
「礼はいらん、行きがけの駄賃ってやつだ……早くここから離れろ」

奉行や白艶も拘束可能ならば捕縛

奉行は天下自在符見せて黙らせるとして
白艶は従わないのは明白だな、まあ正体表して貰おう

「勘違いするな白艶、貴様は裁かれる咎人ではない。只の狩られる
獲物だ!」


国包・梅花
POW

なんと悪辣な女でしょう!
もう堪忍袋の緒が切れそうです

「白鷹」を使用し高速移動を可能にした状態にて竹の柵など斬って道を開け
【ダッシュ】【救助活動】で一気に西弥一家を救出いたします

救出して一家の安全を確保した後白艶を糾弾します
呉服屋の帳簿を細かに検めてみてください、そこに確かな証拠がありますれば
白艶は着物ほしさに出鱈目を並べ、逆らう者の口を封じんとしているのです
このような調子で白艶の嘘と欲深さを衆民の前で明らかにします

天下自在符を無闇に振りかざすのは気が引けますが
役人をけしかけるのであれば躊躇無く取り出しますれば
「なぜこれを持つ者がここに現れたか、もう皆様方おわかりでしょう!」



 河原に面した刑場の前。ひしめく野次馬の向こうにおしずの家族の姿を確認し、猟兵たちは西弥家を救い出すためにそれぞれ働きかける。
 ――何と悪辣な女でしょう! もう堪忍袋の緒が切れそうです。
 刀の束を握りしめ、顔をしかめる国包・梅花は怒りの炎を静かに燃え上がらせた。
 白い梅の花弁が視界にちらついたかと思うと、役人たちの目の前の柵が真っ二つに寸断される。梅花の高速の動きを追うことは常人では敵わず、何が起きたのか把握し切れない役人たちは混乱するばかりであった。
 気がつけば西弥家のもとに駆けつけていた梅花に驚き、役人たちは慌てて梅花を止めようとする。しかし、役人たちはその足元を何かにすくい上げられ、柵の方へと引きずられていく。
 ロウガ・イスルギの念力によって自在に動くワイヤーは次々と役人を絡め取り、斬り倒された柵に多くの役人を括り付けるまでに至った。
(「ひいふうみい……全員締めてもお釣りがくるな。まあ、死なない程度にしといてやろう」)
 ロウガは巧みにワイヤーを操作し、半数以上の役人のを動きを封じた。
 ロウガは梅花と同様に、拘束されている西弥家を解放しようと動く。
 拘束を解く梅花は、槍を向けてくる役人の1人に気づいた。すると、梅花の周囲を舞い散った花弁は白刃と化し、槍の柄を音もなく寸断してみせた。それだけで腰を抜かす役人は地面を這って後ずさる。
 役人を誰1人寄せつけず、西弥家全員を解放する梅花とロウガを見て、奉行は怒鳴った。
「この役立たず共! はやく捕らえよ!」
 ロウガは自らの能力で複製したフック付きワイヤー透かさず奉行に向けて放ち、すぐそばにいた白艶諸共拘束してみせた。ロウガの操るワイヤーは、瞬時に2人の体に何重にも巻きつき、胸から足元までを覆い始める。それによってバランスを崩した奉行は、白艶を下敷きにする形で仰向けに倒れ込む。「ぎゃああ?!」とあられもない声をあげ、下敷きになった白艶は「重いんだよ、このブタッ!!」と奉行を罵った。
「どちらが平穏を乱す役立たずか、この場で聞いてみたらどうだ?」
 堂々と啖呵を切るロウガと、妖刀の怨念の力をまとう梅花。役人たちが2人と護衛される西弥家に対し、遠巻きに武器を向ける中、梅花は白艶の悪事を糾弾しようと声を張り上げた。
「呉服屋の帳簿を細かに検めてみてください、そこに確かな証拠がありますれば。白艶は着物ほしさに出鱈目を並べ、逆らう者の口を封じんとしているのです」
 民衆の1人が呉服屋の主人の姿を見つけ、
「おい、呉服屋の旦那! 本当に西弥の旦那は着物を盗んだのかい?」
 呉服屋の主人は脂汗を浮かべながら、ただ黙って震えているばかりであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
今なら手薄だし奉行の屋敷に忍び込む。
狐のお面とほっかむりで変装。自在符で突破は恰好悪いから最終手段。
塀を越えたり、駆けつけ野次馬を突破するために符術『力場の生成』を使用

白艶の部屋から贅沢品や奪った品。
奉行の部屋から悪事を揉み消した証拠。
これらと金(百両箱など)を盗みダッシュで河原に向かう

騒ぎの中、盗んだものを撒き散らす。
「天下の大泥棒・狐小娘が、悪女白艶と極悪奉行に天誅をくだーす」
スマホから派手なBGM

「役人ども。お前らが目を逸らしてきた奉行の行いの証文よ!」
「町人たち。大切なものを盗り返したぞ。これも取っとけ取っとけ」
盗ってきたものと小判を意気揚々と撒く

「さあさ妖婦の天誅劇。見なきゃ損だぞ」



 梅花とロウガが刑場で騒ぎを引き起こしている間に、四王天・燦はある目的を果たそうと行動を起こしていた。
 サンの計画は刑場の外で進行し、その成果を風呂敷に包める限り盗み出してきた。
 変装した燦はほっかむりに狐の面を身につけ、風呂敷を担いだ状態で刑場のそばまで駆けつける。
 丁度白艶と奉行が拘束され、その瞬間を目の当たりにした群衆からはどよめきが起こった。
 燦は刑場との境界にある松の木に向かってまっすぐに進む。宙に足場があるかのように、燦は難なく松の木の頂へと登った。そこから刑場を見下ろす燦は、スマホから時代劇を彷彿とさせる派手なBGMを流し出した。
 町民たちの視線が頭上の松の木へと集まり、燦は役者のように見得を切る。
「天下の大泥棒・狐小娘が、悪女白艶と極悪奉行に天誅をくだーす」
 『狐小娘』と名乗る燦は、風呂敷の中身を役人や町民に向けてばらまき始める。
「役人ども。お前らが目を逸らしてきた奉行の行いの証文よ!」
 役人たちに向けてばらまかれた数々の帳面には、白艶の機嫌を損ねたことを見逃すと称して、賄賂を徴収した者たちの名前が並んでいた。
「町人たち。大切なものを盗り返したぞ。これも取っとけ取っとけ」
 奉行がそれらの不正な手段で得た小判を、燦は惜しげもなく町民たちに向けてばらまいていく。刑場とその周辺が一層の混乱を来たす中、燦はまるで興行の宣伝でもするかのように一言。
「さあさ妖婦の天誅劇。見なきゃ損だぞ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

不知火・シンク
POW使用。アドリブ絡み歓迎。

全く…どいつもこいつも碌な事しませんね。人間というものはどうしてこう脆いのでしょう…いえ、それ故の強さも勿論ありはしますが今はどうしようもなさが目立ちますね(自らの愛刀と召喚し手に持って)殺しはしません、ただ暫くは眠っていただきましょう(怪力を使っての刀は鞘に収めたまま打撃での攻撃で強行突破。他の味方が悪行を暴いている間は助けた家族の傍で抜刀の構えのまま待機。どのタイミングでこられても良いように周囲に注意を向ける(第六感、野生の勘))



 ロウガと梅花に追随し、刑場の中へと入り込んだ不知火・シンク。
(「全く……どいつもこいつも碌な事しませんね」)
 シンクは燦が松の木の上からばらまいた帳面の一部を拾い上げ、奉行の所業に呆れていた。
 この混乱に乗じて、シンクたちは西弥家を刑場から脱出させようと動くが、刀を構えた4人の役人がその進路を阻む。
 シンクはその手に愛刀を携えているが、鞘から抜こうとはしない。
 ――殺しはしません、ただ暫くは眠っていただきましょう。
 斬りかかってくる役人に対し、シンクは鞘に納めたままの刀で応戦し、その腹部に鋭い一突きを放つ。その場にうずくまる1人を見て役人たちは一瞬怯むが、職務を果たそうと果敢にシンクへ挑む。
 役人の太刀筋では到底シンクを捉えることはできず、次々と峰打ちを加えるシンクに打ち据えられていった。
 役人たちを退けたところで、拘束から抜け出した白艶は本性を現す。
「ふん……町人共で遊ぶのも飽きていたところだ」
 妖狐の耳と尻尾を現し、白艶はその妖艶さと妖気を全面に見せた。
「貴様ら程度でも、暇つぶしにはなるだろう」
 その一言と共に、猟兵らの前に一歩踏み出す白艶。
 シンクは赤い輝きを放つクリスタルの刀身を鞘から抜き放ち、白艶に対し切っ先を向ける。そして、シンクは言い放つ。
「人間がどうしようもない存在であることは確かですが、それを助長した罪は償ってもらいます」
 視覚を閉したシンクの研ぎ澄まされた感覚は、白艶の放つ殺気を確かに感じ取っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『傾国の白仙狐』

POW   :    その精、喰ろうてやろうぞ
【全身】から【魅了の術】を放ち、【幻惑】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    出でよ我が僕、死ぬまで遊んでおやり
【自身に従属する妖狐】の霊を召喚する。これは【剣】や【電撃】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    妾の炎に焼かれて死ぬがよい
レベル×1個の【狐火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御狐・稲見之守です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四王天・燦
眷属か。
「妖狐の面汚しが勢揃いとは丁度良い。狐小娘が一族の恥を清算してくれよう」
小判撒いた時からテンション高い…種族の恥に怒りで我を見失いそうだからな

眷属の雷を見切りでいなし、武器受けで剣を防ぐ。
神鳴で電撃の属性攻撃を乗せて叩っ斬る

魅了は神鳴の刀身を掴んで電撃ショックで幻惑を断つ。
「アタシの中にある精気は特別だ。触れんじゃねえ!」

白艶が他の猟兵に気を取られている隙を見るや符術『百鬼夜行』を発動。
影となり背後に忍び寄りアークウィンドを首裏から突き立てる。
「地獄の奉行所で閻魔様がお待ちだぜ」
頚椎に達したら刃を捻って仕置き完了

奉行には自在符をチラつかせてやろう。
「追って沙汰を申し渡す。多分島流し!」


国包・梅花
文字通り化けの皮が剥がれたらば、最早問答無用にて

【先制攻撃】にて愛刀で斬りつけ
居合いからの【2回攻撃】にてそっ首叩き切らんと狙いますれば
「観念するなら、せめて痛みのう葬りますれば」
とはいえ聞き入れるとは思いませぬが

妖狐の霊や狐火には我が奥義「輪瞳」にて対応しまする
霊も火も、【殺気】を晒し次第、愛刀国包景光にて【カウンター】を仕掛ける奥義にて
相手の攻撃に合わせ後の先を制すれば最早あとは斬り捨てるのみ
【力溜め】を十分乗せた上段斬りにて、天誅をくれてやりまする



「出でよ我が僕、死ぬまで遊んでおやり」
 1つの狐火が白艶の手の平の上で踊ったかと思うと、宙へと繰り出されたそれは瞬時に1体の妖狐に姿を変えた。剣をくわえ、牙をむき出す妖狐は狼のような大きさで、そのどう猛さを覗かせながら複数の尾を揺らした。
 町民たちを虐げ、妖狐の恥をさらす白艶に対し、
「妖狐の面汚しが勢揃いとは丁度良い。狐小娘が一族の恥を清算してくれよう」
 四王天・燦は怒りで我を見失いそうになりながらも、踏みとどまるよう冷静に努めていた。
 表面上は落ち着いて戦闘に臨む燦に対し、白艶は妖狐をけしかける。妖狐と対峙する燦は帯電する特異な刀を抜き放ち、斬りかかろうとする妖狐の刃と火花を散らす。
 燦が妖狐の相手をする間に、国包・梅花は白艶に対して攻撃に出る。梅花が居合の構えを見せて接近すると、白艶は羽衣のような布をひらりと翻してみせた。その衣は刃のように硬質化し、抜刀した梅花の一太刀を弾き返す。
 連続で突き出された梅花の刃は白艶の首筋を狙うが、白艶は梅花の行動を見透かしたように動く。踊るように翻される白艶の衣は、再度刃が達するのを妨げ、梅花の方へと振り向けられる。
 梅花の体をさらうように衣が覆いかかろうとしてきた。しかし、その場でのけぞりながら腰を落とした梅花には、ただ前髪に衣が触れただけだった。その瞬間、はらりと落ちる前髪が衣の切れ味を物語る。
 触れるだけでも危険なことを示した白艶の衣を警戒しつつ、梅花は刀を構え続けた。
「惜しいことをした、真っ二つになって死ねたものを」
 不自然に衣を揺らめかせる白艶は、微笑を浮かべた瞳の奥底から梅花を睨みつけて言った。
「観念するなら、せめて痛みのう葬りますれば」
 白艶の言葉に応酬する梅花に対し、白艶は「やってみるがいい」と挑戦的な態度で狐火を操り始める。
「妾の炎に焼かれて死ぬがよい」
 白艶の周囲に輪を描くようにして集まった無数の狐火は、一気に梅花に向けて放射された。
 凄まじい火炎の中に飲み込まれていく梅花の姿を一瞥しながらも、妖狐を斬り捨てた燦は白艶を妨害しようと突撃していく。その瞬間、燦に向けられる白艶の蠱惑的な笑みが目につく。
「その精、喰ろうてやろうぞ――」
 燦の心を取り込もうとするかのように手招きする白艶。白艶からは色香そのもののようなオーラが発散され、その領域に踏み込んだ燦は思わず膝をついて動きを止めた。
 白艶は勝ち誇ったように固まったままの燦を見下ろし、その体に手を伸ばそうとする。しかしその直前、白艶は炎に飲み込まれたはずの梅花が窮地をはね退ける様を目の当たりにすることになる。
 梅花を覆っていた狐火が火の粉となって爆発四散し、居合を放った直後の梅花は勢いよく白艶へと飛び出していく。
 一気に距離を詰めようとする梅花に呆気に取られ、白艶は一瞬の動揺を見せた。
「アタシの中に――」
 歯を食い縛るように何事かをつぶやく燦に、白艶はふと気づく。
「アタシの中にある精気は特別だ。触れんじゃねえ!」
 そう叫ぶと同時に、正気に戻った燦は白艶へと斬りかかる。油断していた白艶は慌てて飛び退くと、咄嗟に自らの衣で燦の刃を弾いた。
 刀を振る燦の左手には火傷の跡が目立つ。その火傷は、帯電している刀身を握ることで、白艶の能力の影響を振り払った跡だった。
 跳び退る対象を追う梅花の勢いは、かろうじて攻撃を防ごうとする白艶を圧倒する。衣を掲げる白艶だが、刀を振り下ろした梅花は、衣の上から刃を食い込ませる形で白艶を激しく突き飛ばした。
 透かさず自らの肉体を影へと変化させた燦は、踏みとどまった状態の白艶の背後に音もなく忍び寄る。その首筋に短剣が突き立てられようとしたが、白艶にも殺気を感じ取るほどの余力は充分あるようだ。
 皮膚を抉った後の鮮血がほとばしり、白艶はよろめきながらも燦や梅花と対峙し続ける。白艶はあごの左側の辺りを手で押さえていたが、ゆっくりと手を離す。白艶は引きつった表情を浮かべ、真っ赤に染まった手の平と、燦から受けた顔の傷をさらした。
 血に染まった白艶の手は怒りで震え、猟兵たちに一層の覚悟を促した。
「貴様ら……! よくも妾の顔をっ!! この代償、貴様らの命で償うがよい!!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

響納・リズ
ごきげんよう、妖狐様。ですが……おいたが過ぎますわ。
【礼儀作法】でうやうやしく頭を下げ、微笑みつつも、キッと睨み付けましょう。

「ここは一気に攻めて行った方が良さそうですわね」
狐火や妖狐は、「白薔薇の嵐」で一気に消滅を狙いつつ、相手にもダメージが出るよう、距離を保ちたいです。
自分のダメージは【オーラ防御】やヴェールを使った【盾受け】で防ぎます。仲間が傷ついたときは聖痕で、回復を。

ボスにダメージが入りそうなら、【属性攻撃】で電撃を入れて、動きを鈍らせたいです。
「さあ、今のうちに!」
敵が隙を見せたら、【全力魔法】で得意の「白薔薇の嵐」でダメージを重ねていきます。
「私達に隙を見せてよろしいんですの?」



「ごきげんよう、妖狐様。ですが……おいたが過ぎますわ――」
 響納・リズは奉行の後妻である白艶に恭しく頭を下げたが、
「あなたとはここでさよならです」
 リズの微笑は一瞬で険しい表情へと変わり、白艶との戦いに臨む。
 白艶は次々と狐火を放ち、数十近い火の玉が猟兵たちを取り囲もうと浮遊していく。
 リズは狐火から距離を保ちつつ言った。
「ここは一気に攻めて行った方が良さそうですわね」
 リズは自らの武器を無数の白薔薇の花びらへと変え、無数の花びらが宙を舞い始める。
 リズが操る白い花びらは、狐火の勢いを打ち消そうと舞い踊る。弾丸のような速さで標的を捉え、次々と撃ち抜かれる狐火は勢いを打ち消されていく。
 花びらの勢いに圧されていく狐火を見た白艶は狐火を集束させ、更に燃え盛る火炎を生み出し、リズへと向かわせる。
 光り輝くヴェールをかざして炎に耐えながら、リズは花びらによる攻撃に集中して立ち回る。
 火の粉と花びらが幾重にも交り合い、リズと白艶は互いの攻撃を打ち消し合った。紫電をまとう花びらが狐火の間を縫って白艶の周囲に集中していくが、
「消し炭になるがいい!」
 冷静さを欠き、怒りに任せて攻勢を強めるばかりの白艶は、その動きを読むことができない。
「私達に隙を見せてよろしいんですの?」
 そうつぶやいた直後に、リズは花びらの勢いを一気に強め、花びらの嵐が白艶へと押し寄せた。白艶は逃げる間もなく、電流と花びらの渦の中に閉じ込められた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

源・ヨーコ
こりゃまた、絵に描いたような悪党っすね!
やりたい放題したツケは、きっちり支払ってもらうっすよ~

〇POW
ちんまい攻撃が多くて面倒くさそうっすね。
だけど手数や絡め手に頼るのは本手の力量不足を臭わせるし、恐れずガンガンいくっすよ!

基本的な方針は距離を詰めての格闘戦。
眷属や狐火はブレイズフレイムで迎撃、あるいは防御。本体への打ち込みを優先するっす。
幻惑への対抗手段がないっすけど、まぁ、そこは根性っす! 精神攻撃なんて気合で乗り越えるっす!



 ――ちんまい攻撃が多くて面倒くさそうっすね。
 花びらと電流の嵐の渦の中にたたずむ白艶の影。源・ヨーコはその様子を窺いながら白艶の戦力を推測する。
 ――手数や絡め手に頼るのは本手の力量不足を臭わせるし……。
 渦の中で狐火を展開していく白艶は、周囲を囲む渦を押し広げるように狐火を爆散させた。凄まじい風圧と広がる炎がヨーコの体を過っていく。白艶の健在の力に触れてもなお、ヨーコは正面から立ち向かう姿勢を崩さない。
 ――恐れずガンガンいくっすよ!
 白艶は眷属の妖狐を召喚するが、ヨーコは怯むことなく白艶に突貫することを優先する。
 猛獣のような眷属は、鋭い爪と電撃でヨーコを仕留めようと迫った。しかしその直前、ヨーコの皮膚を切り裂いて体内から噴出する炎が眷属の体を覆った。
 悪魔のようなシルエットが立ち上るようにも見えた地獄の炎。ヨーコが噴出させた炎によってその身を焼かれた眷属は、地面の上を転げ回るばかりであった。
 白艶は接近を許すまいと凶器となる衣を手繰ろうとするが、ヨーコから立ち上る炎は勢いを増していく。舞い散る大量の火の粉が白艶の視界を遮り、炎をまとうヨーコは白艶へと急接近した。
 鉄板入りのサポーターをその拳に装着したヨーコは、白艶の腹部目がけて勢いよく正拳突きを放った。白艶の体は大きくはね上がり、その弾みで宙を回転していく。そのまま倒れ込むかと思われたが、手をついて受け身を取った白艶はその体を支え続けた。
「やりたい放題したツケは――」
 ヨーコは攻撃の手を休めず、表情を歪めた白艶に向かっていく。
「きっちり支払ってもらうっす!」
 まともに痛手を受けた白艶だが、攻撃の勢いが衰えることはない。
 突き飛ばされた白艶との距離を詰めようとしたヨーコだが、直前で阻まれる。無数の狐火が白艶の周囲を壁のように覆い始め、猟兵たちを寄せつけないように漂い始めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アレクシア・アークライト
これまで自分が欲しいものを好き勝手に奪ってきたんでしょうね。
綺麗な服から、それこそ人の命まで。
なら今度は、奪われる側の気持ちを味わってもらうわ。

・敵が呼び出す霊や狐火は、遠方から念動力を用いて消滅させ、又は威力を減衰させて力場で防御する。
・UCを用いて敵が使用した魅了の力や、霊や狐火を構成していた力の残滓を含め、周囲に存在する力を分解・吸収。
・吸収した力を念動力に転換し、敵の服や身体を引きちぎり、さらにそれらを分解・吸収する。

欠片一片残さず奪ってあげる。
貴方が今まで人に与えた苦しみ、少しは味わってから死になさい。



 無数に展開される狐火の勢い、動きを見定めながら、
(「これまで自分が欲しいものを、好き勝手に奪ってきたんでしょうね。綺麗な服から、それこそ人の命まで」)
 心中でつぶやくアレクシア・アークライトは、ユーベルコードを用いて動き出す。
 ――なら今度は、奪われる側の気持ちを味わってもらうわ。
 アレクシアの能力により、狐火の動きは乱れ始める。
 白艶の力の一部である狐火を吸収し尽くそうと、アレクシアは全力を引き出して多くの狐火を分解、消失させていく。
 白艶は自らの力を吸収するアレクシアの動きを封じようとするが、念動力を駆使するアレクシアは、白艶に触れることなく危害を加える。
 白艶は自身の身体に違和感を覚え始めた。何かの引力によって引き裂かれる袖に加え、皮膚の一部まで引き剥がされ、遂に脱臼した腕の感覚に悲鳴をあげる白艶。
「貴方が今まで人に与えた苦しみ、少しは味わってから死になさい」
 白艶に向けて手をかざすアレクシアは、拷問とも言える手法で容赦なく白艶を痛めつける。
 白艶の体は、その力を吸収されると同時に剥離を繰り返して崩壊していき、骸の海へと排出され始めた。
 チリばかりを残して消滅した白艶。その後、天下自在符を手にしたアレクシア、猟兵たちによって、奉行を含む役人たちは平伏する。奉行も白艶の悪事をほう助した咎により、罪を償わされることとなるだろう。
 町には平穏が戻り、引き裂かれかけた家族にも安寧がもたらされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月18日


挿絵イラスト