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変なアリス 〜学園ラビリンス〜

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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●朱色の月と銀の弾丸
 私は英語の授業を受けていた。
 だが、どうにも集中できない。
 こういうとき私は、授業を聞き流し、意味もなく英和辞典を開いて適当に眺めてしまう。
 その時目に入ったのが……。

「vermilion」

(カッコいい……)

「vermilion,-lion 名・朱色、朱/形・朱色の/動・…を朱色で塗る」

 例文「Vermilion moon and Silver bullet.」
「朱色の月と銀の弾丸」

(カッコいい……!)
 思わずノートの端に書き写した。

「まあ落書きね! 落書きよ! 落書きだわ!」
 気が付いたら英語教師に手元を覗き込まれていた。
 初老といっていい年齢の上品そうなおばさんだが、やたらテンションが高い。怒っているというより、喜んでいる……?
「なんて書いたの? 読んで! 読んで! 皆に教えてあげて!」

 そんなことができるものか。
 朱色の月と銀の弾丸は私だけの秘密だ。

 私はしばし呆然と見ていた。

「読まないの? なら先生が読んであげるわ!」
 ノートに手を伸ばしてくる!

 私はノートを持って教室から駆け出した。
 教室から笑い声が聞こえてくる。

「はぁ……はぁ……」
 一心不乱に走ったので、洗面所の水道で喉を潤す。

 顔を上げれば、16歳頃の、ブレザーの学生服を着た私が鏡に映っている。

 ――おかしい。

 例えばあの辞書。
 あんな気の利いた例文が英和辞典に載っているものか。
 教師の態度もワケがわからない。
 それに私は…… 学校はとうに卒業したのではなかったか?
 鏡に映った姿にも違和感を覚えている。
 そもそも私の名前は? 職業は? 年齢は?

 思い出せない!

 考えるのに疲れたのでトイレに入る。

「ボンジュール! トイレの妖精さんだよー!」

 ――いくらなんでもおかしい!

 便器から白い羽根を生やした幼児が出てきたので慌てて逃げた。
 思わず「ギョワアアアアアアーーー!」とか叫んでしまったが誰かに聞かれなかっただろうか……。

「うふふふ。その様子だと、見てしまったのね?」
 聞かれてしまったのだろうか。女の子が現れた。
 どこか不思議めいた、好奇心の強そうな可愛い娘だ。
「学園の七不思議の一つ、『トイレの妖精さん』を……」
 彼女はその怪談(?)について、たった今見てきたままの説明をしてくれた。
「意味は?」
 私は聞いた。
「特にないの」
 特に害はないらしい。
 そして彼女が言うには七不思議には他に『校内を走る二宮金次郎像』『校庭から出てくる墓地』『13階段』『体育館の幻覚』『首無し学級』『異世界に通じるドア』があるという……。
 聞いてもいないのに教えてくれた。
「七不思議って全部言ったらまずいんじゃないのか?」
「あっ!?」
 女の子は口元を押さえた。
「そ、それじゃ私、行くね!」
 女の子は自分の物らしいノートを抱えると、どこかへ行ってしまった。

「何だったんだ……」
 私も自分のノートを拾う。
 何となく中を見る。

『新しい学校でうまくやっていけるか心配。
 七不思議はあるのかな?
 友達を増やすのもかねて調べてみよう』

「あの女の子の日記だ……」
 間違えて持っていかれたのだろうか。

 あの女の子を探すことにした。

 しばらく校舎を彷徨っていると……。
 誰かが廊下を走ってくる!

「二宮金次郎だ………………。

 いや、違う! メカ二宮金次郎だ!」
「ヴィイー……ガション……。
 target find command attack」
 左手に本を持ち、右手で背負っている薪の中からライトセーバーを取り出し構える、二宮金次郎像モチーフと思われる二足歩行自律型戦闘兵器。
「ええい、これは夢だ! 早く醒めろ!
 さもなくば私にスーパーな力を授けろ!!!」
 腰を落とし、背筋を伸ばし、半身になる。
 左手と左足は前方に。右手は鳩尾をガード。
「行くぞ化け物! キェェェェーーーーー!!!」

●変なエルフによる変なアリスと変なラビリンスの語り
「私の歌を聴け! 猟兵は私の歌を聴くべきだ!
 ただの歌ではないぞ。グリモアの歌だ!」
 ――おお、見よ! 今まさに変なエルフは変なアリスの歌を歌わんとしている!
「Ah~変なアリスが変な世界に迷い込んだよ♪
 変な世界は変な学園♪
 授業も変なら教師も変♪
 クラスメイトも変人奇人♪
 変な七不思議が跋扈する♪
 幻想と幻想の狭間のラビリンス♪」
 最後は無理矢理綺麗に纏めたが、特に意味は無かった。
 変なエルフ――アノルルイ・ブラエニオンが歌った変な歌は変な歌ではあったが、その内容は紛れもないグリモアの『予知』であった。あったのだ。
「この世界は一応、学園だからな。そのままだと警戒されてしまうだろう。
 学生とか教師とか生徒会長とか謎の転校生とかセクシーな女教師とかプラズマを妄信する科学教師だという事にすると、アリスにも納得して貰えるだろう。あっ謎の転校生はすでに居たな」
 変なエルフのグリモア猟兵は真面目な顔で説明する。
 他にも付け加えられた。曰く。
 アリスはユーベルコードが使えるが、使い方を知らないので『市販のDVDで学んだ中国拳法』で戦おうとする(腕前は素人)とか。
 猟兵は変な学園をアリスを探して、あるいはアリスとともに探索することになるが、変な七不思議――例えばメカ二宮金次郎だとか、メカ二宮金次郎MK-IIだとか――が妨害してくるので、戦闘の用意をしろとか。
 勿論オブリビオン絡みの事件であることは忘れるな、集団の敵とボス敵がいる、だとか。
「アレな世界だがアレはアレで危険かも知れん!
 アリスを頼むぞ」
 アノルルイは変なエルフだが、それでもグリモア猟兵だ。
 その言葉に嘘はないし、深刻な部分も確かにある……のだろう。


デイヴィッド
 ハーイ! アイアム デイヴ!
 デイヴの初シナリオデース! ヨーローシークー!

 以下はシナリオの解説です。

 アホシナリオです(一発目から)。
 血沸き肉踊るバトルや思想信条のぶつかり合い、恋人の甘いひとときを御求めの方にはご期待に添えない場合があります。

●今回のアリス
 黒髪ロングヘアーで学生服の凛々しい(笑)少女。
 記憶を無くしていますが、この異常事態に対してノリと勢いでいきあたりばったりに立ち向かいます。

●第一章・冒険
 変な学園を探索し、アリスと合流します。
 基本猟兵はアリスとは別の場所に転送されますが、合流できます。
 冒険と銘打ってはいますが戦闘があるかもしれません。ただし敵はオブリビオンではないので猟兵にとっては脅威になりません。
 アリスを護ったり応援したりしてください。
 登場する敵はOPに登場した七不思議とは関係がありますが、「この七不思議に~」と指定すると被る恐れがあるので指定しないで下さい。

●第二章・集団戦
 召還系のユーベルコードを使うオブリビオンとの集団戦です。叩きのめせ!

●第三章・ボス戦
 ラビリンスの主と対決します。叩きのめせ!

 以上! 放課後ハヤグリーヴァ!
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第1章 冒険 『嫌な現実の国』

POW   :    嫌な奴の嫌がらせに対して、「アリス」を正面から庇う

SPD   :    素早く細工や手回しを行い、嫌な奴の嫌がらせをわかりやすく妨害する

WIZ   :    親身になって「アリス」の話を聞き、慰めてあげる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●嫌がらせ(物理)
「キエェェェェェーーーー!!!」
 威嚇するアリス。
 だがメカ二宮金次郎のライトセーバーの間合いには近づけない。
 今は無事だが……走る速度から判断するに逃げるのは難しいだろう。
 アリスが危険なのは間違いない。
 そして……ここから先も変な学園を探索していかねばならない。
 妨害はメカ二宮金次郎だけではないだろう。
 どんな状況にも対応できる心構えで挑め!

「私は……絶対に帰る!
 理由とか……何処へなのかは解らないが……
 帰りたい理由があることは解る!
 ……誰かの助けがあれば……!」

 アリスと猟兵たちの戦いが、始まる!
月・影勝
オラーッ!妙に小綺麗な学校じゃのう!
オイコラそこのガキ共、なにガン付けとんじゃ!鰐鮫に触ると食われるぞコラァ!

そうドスを効かせたヤクザスラングを吐きながら校舎に乗り入れたわs…俺は影勝15歳。
盗んだ鰐鮫に跨って走り出しては夜な夜な障子紙に穴を開けて喜ぶ札付きのワルにして
泣く子も手を叩く関東塩兎連合筆頭!
この学校にセンチメタルなポエム書いちゃうようなアリスの姉御が居ると聞いて参上じゃあッ
アリスの姉御の為ならどこまでも付いていく次第!
ささっ、なんなりとわし…俺達を使ってくだされ!

…えっ、ガラが悪いの嫌?そ、そんなぁ…
折角こう、鮫を連れてきたんじゃし…せめて背後で応援ぐらいはさせてくれぬかのう…



 ガシャアアアン!
 アリスの目の前で、突如廊下の窓が割れた! 外から来た何かが突き破ったのだ。果たして、それは――ヒトの形をしていた!
「オラァァァーーーーー!」
 それは大きく振りかぶった棒状のものでメカ二宮金次郎を横薙ぎにぶん殴る。
「syntax error」
 プログラム言語で悲鳴をあげて壁に激突するメカ二宮金次郎。
 その前に立つ、窓を突き破って入ってきたモノ。
 少年だ。
 ウサギの耳が生えている。
 瞳はオレンジだ。
「チッ、小奇麗な廊下を汚しちまったわい」
 少年は言う。武器にしているものは櫂だ。それを杖代わりに廊下についてメカ二宮金次郎を見下ろす。
 その間にも次々と窓から何か生き物が入ってきて彼の後ろに並んでいく。ユーベルコードで呼び出された鰐鮫達なのだが、見ているアリスにとっては異様極まりない。
 メカ二宮金次郎は膝立ちになって、ライトセーバーを起動する。
「何じゃあ?! やるんかワレぇ!
 わs…俺を誰じゃと思うとるんじゃ!
 月・影勝(かちかち山の玉兎・f19391)! 15歳!
 盗んだ鰐鮫に跨って走り出しては夜な夜な障子紙に穴を開けて喜ぶ札付きのワルにして泣く子も手を叩く関東塩兎連合筆頭!」
 ドォォォォン……ッ!
 大胆不敵な立ち姿!
 力強く輝くオレンジの瞳!
 背景を埋め尽くす鰐鮫達!
「アリスの姉御に手は出させんわい!!!」
 そして振りおろされる櫂!
 直撃とともにメカ二宮金次郎はbeep音を発して動かなくなった。
「もう大丈夫じゃあ、アリスの姉御」
 影勝はアリスに向き直り、声をかけた。
「おお……それは……私の事か!?」
 アリスの問に影勝は肯定の意を示す。
「この学校にセンチメタルなポエム書いちゃうようなアリスの姉御が居ると聞いて参上した次第じゃッ」
「姉御……ッ!」
【アリス】よりも【姉御】の方に反応した。
(姉御ッ……! つまりそれは舎弟が出来たと言う事ッ……!)
「よし私に着いてこいッ!」
「もちろんじゃああああ! わしの……俺の姉御は世界一じゃああああ!!」
 なんか意気投合した。
「実は私はとても助けて欲しい所だったのだ!」
 アリスは事情を説明した。といっても影勝がグリモア猟兵から聞いた内容と大差ない。
「あとポエムは確かに書く!
 ポエムは言葉の格闘技だ!」
 どうでもよかった。
 それでも影勝はすべて聞いた上で力強く頷いた。
「アリスの姉御の為ならどこまでも付いていく次第!
 ささっ、なんなりとわし…俺達を使ってくだされ!」
「ありがたい! 恩に着る!
 ……ところで、だ……」
 アリスは周囲を見回す。
 影勝が連れてきた鮫達が廊下を占拠している……ように見える。
「ちょっと多すぎないか?」
 ガラが悪かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

隣・人
「?????」
言葉も出ないほど変な世界ですね。取り敢えず邪魔になりそうな人(型)を片っ端から回転椅子に縛り付けてぶん回しましょうか。何。大丈夫です。死にはしません。社会的には死ぬかもしれませんし体調はぶっ壊れるでしょうが問題ありませんね。貴様等のモザイクをブチ撒けろ!!!
あとアリスを見つけたら回転椅子に座らせて回収しましょう。暇さえあればアリスも回したいですが我慢しましょうか
なんか二宮金次郎来てますのでグーパンしてやります。怪力でグーパンですね。それで壊れないならコーヒーカップでもぶつけてやりますよオラァ!!!
あ。アリスさん酔ってないですか。酔ってますね酔ってください可愛らしいのです



「待ってくれ。どこへ向かうべきか考えたい」
 同行者を得たアリスは考える時間を要求した。
 どうしたら帰れるのか? ……さっぱりわからなかった。だが、なんとなくだが、ノートを間違えて持っていったあの女の子が何か知っていそうな気がした。自分のノートも取り返さなくてはいけない。何しろ朱色の月と銀の弾丸、それに類するものが色々と書き綴られている。おぼろげな記憶の中でそんな気がした。
 あの女の子はどこに? ……七不思議だ。きっと追っている。
 七不思議については、彼女のノートに書かれていた。気が咎めたが仕方ない。ここからであれば、校庭……『校庭から出てくる墓地』が近いだろうか。
 そう思って校庭へと向かおうと提案しようとした最中……

 カンカンカンカン!

「足音……ッ!」
 間もなく進行方向から、二体目のメカ二宮金次郎が現れた。
 アリスの方へと向かってくる!

 だが、まだ距離はある!

 メカ二宮金次郎が距離を詰めようとしてくる最中に……
 突然、途中にある教室のドアが開いた。

「椅子……?」
 キャスターがついた椅子だ。それだけが部屋から出てきた。
 メカ二宮金次郎は避けることはせず椅子に接触する。

 どこをどうやったのか……。

 メカ二宮金次郎はいつの間にか椅子に座っていた。そして凄まじい勢いで回転した。当然そんなことで進める訳もなく回転しながら壁に激突して倒れる。
 椅子は止まり、立ち上がろうとするが、
「syntax error」
 エラーメッセージとともに倒れる。メカとはいえ人型であるからなのか、三半規管に相当する器官がバランス感覚を司っているようだ。つまり目を回して起き上がれない。

 先程の教室から誰か出てきた。
「メイドさんだ!」
 アリスは思わず声を上げる。
 学校にメイド……。
 どう贔屓目に見ても浮いている。おまけに目隠しをしていて、なんだか攻撃的な笑みを浮かべているように見える。アリスには妙にエロティックに感じた。
「ようやくノルマ達成ですがモザイクをぶちまけないのが残念ですね。胃に何か入れて生きているタイプではないのでしょうか。こうなるとアリスさんに多少吐いてもらうのもやむなしかと上です!」
「上?!」
 メイドに言われて上を見るアリス。
 天井。に、何か居た。
 四本足で天井にぶら下がっている――おそらくは天井を歩いて来たと思われる――謎の機械!
「これはッ! 『四本足』?!……もはやメカ二宮金次郎を越えたッ……メカ二宮金次郎MK-IIだ……ッ!」
「結構余裕ありますか?」
 反射的に言ったにしては長い台詞を吐いたアリスと、それを見守るメイド。
 もはや原型を留めていない無駄のないフォルムの四本足歩行機動兵器メカ二宮金次郎MK-IIはアリスの頭上から飛び降りてきた。

 ……そして何もない床に着地した。
「……はッ!? 椅子にッ! いつの間に!」
 アリスは椅子に座っていて、敵から距離を取るように移動していた。
 そしてメイドは位置を入れ替わるように動いている。
「何ということでしょう四本足では椅子に座ることができませんね。しかし回収は完了です。そして貴方は改修する機会を得られないまま奇怪な奇塊となるが良いでしょうああなんて喜快じゃなかった愉快」
 一息に喋りながらメイドはメカ二宮金次郎MK-IIに肉薄する。
 そして、叩きつけられる拳!

 ――大 SAN 事 !

 メカ二宮金次郎MK-IIはグーパン一発でスクラップになった。

「このメイドさんは一体何者だ……?」
 アリスは椅子に座ったまま言った。それがはっきり聞こえたのでメイドは応える。
「隣人ちゃんは隣人ちゃんですよ隣人ちゃんと呼んでくd」
 ――隣・人(六六六番外・f13161)と、そう名乗った。名乗ったのである。
「アリスさん酔ってないですか。酔ってますね酔ってください」
「私を酔わせてどうするつもりなのあわわわわわわ」
「可愛らしいのです」
 椅子に座ったアリスを軽く回しだす隣人ちゃん。
 ――至福の時だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

リダン・ムグルエギ
いいわ、その意気よアナタ!
果敢に立ち向かうそのPOWER
Death13階段を越えていけそうなrockな魂!

いいわいいわ、次の学級新聞にピッタリの題材よ
さぁ、今こそ中華サウザンドの歴史を拳に込めてウチ貫けー

というわけで、アタシの目的は保護…
ではなく、新聞部員のノリで全力で七不思議に立ち向かうノリノリアリスの実況&撮影よ

変な教師とかと同じノリで煽りつつ
彼女を話題の中心…皆の応援の対象にする事で…なんとなーく彼女単身でも立ち向かえそうな気がしてこない?

あ、服が破れるような怪我があれば強化改造した学生服とかチャイナ服とか渡すわね

アリスの捜索や交流、敵との戦いは皆に任せて
変な動画撮影、楽しみましょっか



 脅威を取り除いたアリスと猟兵達は、方針通りに校庭へと向かっていた。
 校庭までは大した障害もなく出ることに成功した。見た感じはただの校庭だ。変な所はなく、誰もいない。静かだ。

 しばらく進んだ頃だった。

 突如――まさに突如!
 何の前触れもなく地面から何かが突き出てきた!
 四方から出てきたそれは……墓石ッ!
「何ッ! 出てくるってこう言う事……ッ!?」
『校庭から出てくる墓地』に関しては、ノートに詳しく書かれていなかった。
 間もなく墓石の表面がスライドした。中から何かが出てくる――。
「忍者ーッ!?」
 ナンデ、と続ける余裕も、中に空間があるのは棺桶で入っているのは吸血鬼だろうと突っ込む間もない。
 鎖鎌を振るう忍者だった。複数の墓石が一度に出てきて、それらすべてから忍者が出てきた。それはアリスと猟兵を分断した。
 あれよあれよと言う間に鎖鎌の分銅がアリスの腕に巻き付かれる。
 忍者の一人が鎌を振り上げて迫った。
 猟兵は他の忍者に妨害され、助けに入れない。
「万事休す! アリス絶対絶命!」
「……」
「果たしてこの窮地を脱することはできるのか?! アリスの奮闘が期待されます!」
「……」
「逆境からの逆転……う〜ん燃えるわね!」
「そこの方、見てないで助けて欲しいんだが……」
 突然現れた青い山羊……のような、女性のような人物。
「え、アタシ? 駄目。だってほら、アタシは動画を撮りに来たんだから〜」
 スマホをアリスに向けている。
「動画撮影……?!」
「うん! 申し遅れたわ、実況はアタシ……リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)がお送りするわ!」
「実況中継だと?!」

「鎖を引きながら迫る忍者! 果たしてアリスの運命やいかに!?」
 リダンは本当に実況していた。
 アリスは頑張らなくてはならないという気がしてくるから不思議である。
「……おっと! 墓石の影に隠れたわ! 地形を有効活用する頭脳プレイね!」
 一瞬敵の視界から逃れたチャンスを活かして、鎖分銅を腕から取ることに成功した。
「アリスが拘束から逃れたわ! さあ、ここからどう動くのか?!」
 リダンもアリスが見える位置まで回り込んでいる。
 これはこれで真剣だ。
 アリスは周囲を見回し脱出経路を探すが、すぐに二人の忍者が迫っているのを知る。
「おおっと挟み撃ち! これはどう切り抜ける!」
 アリスは動き回って狙いをつけづらくするが、囲みを突破できない。
「さあ! さあ! アリス頑張っています! ……」
 だがアリスに打つ手はない。
 リダンにもそれが解った。今のアリスには現状を打破する手段がない。
「……さあここでお便りが届いているわ! 早速読んでみるわね!」
 ――お便り?
「1年2組の佐藤さんより。アリス頑張って! 貴方なら出来るわ! 1年4組の田中さんより。追い詰められた時こそ冷静に! 2年9組の藤堂さんより。自分の力を信じろ! 全てを出し切れ!」
「……!」
 その言葉はアリスの心に響いた。こんなにも自分を気にかけてくれる人がいる。自分にはそれだけの価値があるのだと思わされる。

 ……実の所。
 それはお便りなどではなく、『リダンの催眠話術』だった。ちなみに先程からリダンが敵に襲われないのも催眠術の結果である。
(既に事前準備は完了しているわ、いつものようにね!)
 リダンは既にユーベルコードを発動していた。『ゴートリック・フェイス(ゴートリック・フィフス)』。その効果は――『周囲を流行が強さに直結するキマイラフューチャーと同じ環境にする』! そして!
「アリス大人気ね! まさに流行の最先端だわ!」
 結果として、アリスに力を与えた!

 一瞬の閃き。それは迷宮のビジョン。
「現れてくれ――硝子の迷宮!」

 突如として、空間が変異した。
 幾重もの壁。入り組んだ通路。それらが校庭に形成されたのである。アリスを中心に。
 迷路の壁が敵を遮断し、アリスはフリーになった。今が好機!
「これはーーーッ! 土壇場で新たなる力に覚醒したわ! バズる! これはバズる!!!」
「山羊のお姉さん! 早く!」
 すぐ近くで撮影していたリダンを促し、アリスは走る!
 たった一つの出口に向かって――。
「いいわ、その意気よアナタ!
 果敢に立ち向かうそのPOWER! rockな魂! アナタなら、Death13階段だって越えているわ!」
 リダンの実況がそれに続いた。さらなる戦いをも見届けるために――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニオ・リュードベリ
アドリブ連携歓迎

学校ってこんなところだっけ!?
と、ともかくアリスを助けなきゃ
先輩アリスとして頑張るよ!

アリスとどうにか合流出来たら、とりあえず自己紹介してみよう
あたし、ニオ!同じアリスなんだ、よろしくね!

その後はユーベルコード
アリスナイト・イマジネイションで鎧を生み出して着込む
あんまり厳つい見た目にするとアリスが怖がるかな
こう、姫騎士っぽい感じ?で可愛い鎧を着込んでみよう

見た目は可愛くとも鎧としてはしっかり機能するんだよ
これで迫りくる危機からアリスを守るね
痛いのは【激痛耐性】で平気!
怖いのは【狂気耐性】で平気!
だからアリスはあたしの後ろに隠れてて!
先輩は後輩を守るものって聞いたから!頑張るよ!



「学校ってこんなところだっけ?」
 ニオ・リュードベリ(空明の嬉遊曲・f19590)の頭の中で疑問符が乱立する。校庭に降り立った彼女が見たものは、墓石が並び立ち忍者が乱舞する愉快な世界だ。通常の怪談とはかけ離れた、無駄なエナジーに溢れている。
「ともかく、アリスを探さないと」
 こんな所で足止めを食ってはいられない。だが、忍者の何人かが鎖鎌を構えてニオの行く手を阻もうとしていた。
「何で忍者なんだろ」
 考えるだけ無駄そうだ。戦闘態勢に入る。

 ニオの目の前に発生する光。それは彼女が喚んだものだ。それらはいくつものパーツに別れ、ニオの身体に装着される。
 それは、想像から創造される――無敵の戦闘鎧!
 現れたのは、強さと可憐さを兼ね備えた騎士姫の装い。そして右手にはランス!
「チャージで突破するよ!」
 真っ直ぐに征く! 狂気めいた校庭へと向かって!

 ……一方アリスは迷路の出口へと到達していた。そこで彼女が見たものは……変わらず地面から突き出てくる墓石とそこから出てくる忍者。
「なんで忍者が……!」
 それは誰にもわからない。
「こいつら無尽蔵か? こんなに発生したのではもう不思議でもなんでもないぞ!」
 だが、アリスがいくら訴えた所で何も変わらない。
「逃げるだけでは駄目なんだ……武器はないのか、ガラスの剣とか! ナイフとか! ハイヒールとか!」
 最後のはありそうだがなかった。
 ガラスのラビリンスは使えるから『使い方を閃いた』が、ないものは閃きようがない。
 忍者達が迫りくる……!

 その時だった。
 極めて強力な――突進!
 横方向から突進を受けた忍者達は吹っ飛び、そして爆散した!
「えっ爆散するの!?」
 突進してきた本人が驚いていた。
「た、助かった……のか?」
 アリスが見たものは、ランスを携え、金属鎧を纏った可憐な少女の姿だった。
「大丈夫? ちょっと待っててね!」
 少女はそれだけ言うと、まだ周りにいる忍者達を瞬く間に残らず爆散させた。
「ふう……こんなものかな!」
「助けてくれたのか……? 君は?」
 アリスの問に少女は肯定を示し、言った。
「あたし、ニオ! 同じアリスなんだ、よろしくね!」

 ここでアリスは『アリスという言葉の意味』を始めて知る。
「そうか……私を不思議の国のアリスになぞらえるとはロマンチックな言い方だと思っていたが、そういう制度か」
「制度……なのかな?」
 アリス制度。
「私の他にもいるとはな、君もその一人とは……しかし、君は強くて……しかも可愛い!」
 興奮を隠せないといった風に言った。
「その格好もよく似合ってる! それに手枷がロックだ」
「これのこと?」
 ニオは両腕につけている『手枷』を見る。
「そうそう! 服とミスマッチしてて、それがまた良くて……
 いや、今はそんな話をしている場合じゃない。助けて欲しい!」
「もちろんだよ! 先輩アリスとして、後輩は守るものだからねっ! それで、何をすればいいの?」
「人を探しているんだ……」
 アリスはニオに事情を説明した。
 その内にアリスは他の猟兵達との合流できたので、ニオは校庭の様子を見てきて欲しいと言った。
 ニオは笑顔で頷くと、アリス達と一旦別れ、再び校庭を進んだ。 

 相変わらず校庭からは墓石が出てくる! 忍者が出てくる!
「…………」
 ニオはノーコメントだった。
 慣れないが、ツッコんでも無駄だ。
 ニオは正面から突破を図る。
 忍者達は鎖鎌を手にそれに群がっていく。
「【痛み】も! 【恐怖】も平気っ!」
 疑念など感じない。
「行くよ!」
 ニオは征く! 障害などものともせずに!
 忍者達など全く問題にならず、ニオはアリスとの約束を無事果たしたのだった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

エル・クーゴー
●WIZ



躯体番号L-95
当機はクラスメイト的なムーブに高い適性を発揮します
(クラスメイトぶる)

未解決のタスクが存在し、その解決に向けての進捗が捗々しく無い場合、発声を経由した言語化の上第三者へ聴解させることのストレス軽減法としての有用性は広く認知されています
(訳:悩みがあるなら話すだけでも楽になるよ!)


・羽生やした謎のデブ猫マネギをアリスにそっと抱かせてあげる
・ネコチャンにヒーリング効果があることは確定的に明らかなので、1匹と言わずもう1匹抱かせてみる
・なんのもう1匹
・倍プッシュだ! もう1匹
・大は小を兼ねる。もういっそMAX365匹一気にドバドバ出す

・溢れたやつはその辺の哨戒にでも出しとく



「忍者は何にでも合うな……」
 至極どうでもいい感想をアリスは言った。
 結局、校庭にあの女の子はいなかった。
 アリスは次なる七不思議『体育館の幻覚』を求め、猟兵達と共に体育館へと向かうのだった。

 体育館はちゃんとした体育館だ。特に古くも、建てられたばかりということもない。全校生徒が入れる程度には大きい。
 中に入っても、すぐには異常は認められなかった。
「『体育館の幻覚』か。突然背後に気配を感じて振り向くと、幻覚を見るというものだったが」
 アリスは言う。ノートにはそう書かれていた。

 と思っていたら早速、背後に気配を感じた。
 何が起こるか解らない。
 だが、確かめないわけにはいかない……。

 意を決して振り向く。

 突如迫る男の顔!
 気が付くとアリスは壁際にいて、男は右手を壁につき、アリスと向かい合っていた。
 いわゆる壁ドンだった。
「俺がお前のナイトになる」
 男が、至近距離でささやく。
 その指がアリスの顎を持ち上げて、顔はなおも近づき……。

「はぁ……はぁ……」
 中国拳法の技を駆使して逃れた。
 一瞬迷う程度にはイケメンではあったのだが、それでも全く知らない男に迫られるのに戸惑わない程、男慣れしてはいない。
「これが幻覚?」
 物凄くリアルだ。触られた感触もある。
 突如として、また気配が来た。
 振り向きたい。振り向いて何がいるのかを確かめたい。そんな衝動にかられる。
 振り向いた。

 全裸のオッサンがいた。

「ふぬおおおおおおお!!」
「ギョワアアアアアー!?」
 走って迫ってきたので全速力で逃げた。
 いつの間にかいなくなっていた。幻覚だ……。

 その後もアリスは気配を感じては振り向き、色々なものを見た。等身大の虫、ゾンビ、死神、自分の言いそうにないことを言う自分自身……。
「キャラが違う……違和感……!」
 特に最後のが一番応えたようだ。
 もう心身ともに疲れ切っていた。だというのに――また気配だ。
(……確かめないと)

「背後を確認する必要はありません」
 声が聞こえた。
 同時にふわりと、何かが視界に飛び込んでくる。
 白い、柔らかそうな……翼の生えた猫だ。
(幻覚が向こうから来たのか……? だが、これは危険がなさそうだ)
 アリスはしばしそれを見る。
「あなたの背後には何も居ません。この現象は気配を感じて振り向くことがトリガーとなって発生します」
 また声が聞こえた。
 声の主はアリスの前に現れた。
「あ……君は……?」
「躯体番号L-95」
 ――エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)。
 声、というよりは『音声』と言った方がよい方法で答えたのは、金色の瞳と銀色の髪を持つ少女だった。
 先程の猫はアリスのすぐ前まで飛んでくる。にゃーんと鳴いたので両手を出すと、その腕の中に収まった。
 太っているのでアリスの両腕いっぱいに収まる。
「ウイングキャット『マネギ』は高いヒーリング効果を発揮します。アリスにおいては緊張状態を解消することが強く推奨されます」
 エルが『解説』および『推奨』してきたので、アリスは素直に従う。するとエルはもう一体虚空から翼の生えた猫を召喚した。
 アリスはそれを背中を曲げて背負った。
 エルは、なんのもう一匹とばかりに召喚した。
 アリスは床に座って猫達を自分にもたれさせた。
 エルはまた召喚した。
 アリスはスペースを開けて……。

 結局エルはアリスが猫まみれになるまで召喚し続けた。
「報告。現在、360°に展開したマネギの視点によって死角は消失し、これにより背後に気配を感じる余地は消滅しました」
 気が付くとアリスとエルは外側に視線を向けた猫達の背中に囲まれていた。
 そしてエルも座って猫まみれになっている。
 エルは言った。
「当機はクラスメイト的なムーブに高い適性を発揮します」
 アリスは応えた。
「鋼鉄のクラスメイト……!」

 それが何なのかは本人にもわからなかった。

「提案します。未解決のタスクが存在し、その解決に向けての進捗が捗々しく無い場合、発声を経由した言語化の上第三者へ聴解させることのストレス軽減法としての有用性は広く認知されています」
 エルはシステムメッセージをポップアップするように言った。その意味する所は「悩みがあるなら話すだけでも楽になるよ!」といった所だった。
「……確かに……そうかもしれないな」
 誰も訳して無いにも関わらず通じた。
 アリスは自分のこれまでの状況について話した。

 そして、自分の記憶については……。
「私はここに来る以前のことは忘れている。しかし、帰って、どうしてもやりたいことがあるんだ。それが何だったかはわからないが……『舎弟』……『年下の女の子』……?」
 二つ挙げた言葉は、今ある記憶の中にあるものだ。無くした記憶にイメージが近いものを挙げたのだった。
「メッセージを確認しました」
 ――確かに聞き届けた。
 すぐに解決策は示せないが、あなたの想いは確かに自分に伝わった。今のエルの言葉を意訳すれば、こんな所だっただろうか。
「――鋼鉄のクラスメイト!」
「救援要請を受信しました」
 およそ第三者から見れば会話とは思えないが、二人の間では意思疎通が成立していた。
「人を探しているんだ。元の世界に変える手がかりになるかどうかは……まだわからないが」
「パラメータを入力してください」
 アリスはエルに、例の女の子の特徴を教える。
「……タスクを確認しました。これより要人捜索任務を開始します」
 マネギ達の何体かが、エルから信号を受け、飛び立っていく。
「ありがとう……鋼鉄のクラスメイト」
「こちらこそ。当機の活用に感謝します」

 学園の探索は続く――。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『魔法のランプ』

POW   :    蒼の魔法
【魔法のランプ】から、【天候】と【弓】の術を操る悪魔「【蒼穹の魔人】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
SPD   :    翠の魔法
【魔法のランプ】から、【自然】と【成長】の術を操る悪魔「【翠苔の精霊】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
WIZ   :    緋の魔法
【魔法のランプ】から、【獄炎】と【剣】の術を操る悪魔「【緋衣の騎士】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●七不思議『首無し学級』
「校庭でも、体育館でもない……ならばやはり校舎か?!」
 その考えは、果たして正しかった……もはやそれしかない、とも言う。
 猟兵の助けもあって、アリスはあの女の子の居場所をついに発見した。
「やっと、見つけた……!」
「あら、あなたは……あなたも七不思議を探しているの?」
「そうだが、私は、君を探すために……」
「丁度いいわ! 『首無し学級』が現れる教室を私見つけたのよ。一緒に行かない?」
 答えも聞かないうちに女の子は走り出す。
「ああ……待ってくれ!」
 待たなかった。

 そして、ある教室の前まで来た一行。
 窓から中の様子が見える……

「3年B組~~~!」
「「「首無し先生~~~!!!」」」

 とても元気で明るかった。
 だが、『首無し学級』の名は伊達ではない。先生にも生徒にも本当に首はなかった。何故か喋れているが……おまけに裸で、体の色は青っぽくてキラキラしていて、下半身はなんかランプから出てきている。
「首無し以前に……突っ込む所があるような……」
 そう言いつつもアリスは中を見続ける。

 …………

「ハイ、人という字はぁ~、真ん中をバッサリ真っ二つに切れば死にまぁす!」
 授業内容は割と物騒だ。
「ハイそれでは実践してみましょうッ!」
 先生が言うと生徒たちは立ち上がって、ゾロゾロと外に出てきた。
 かれらが移動するときは、上半身が浮いて移動し、ランプがそれに引きずられる。
「まずいぞ、出てくる――」
 覗いてたのがバレると思いアリスは女の子に注意を促そうとするが――女の子は、すでに居なくなっていた。
「そんな、いつの間に?!」
 教室の前後の出入り口から出てきた魔法のランプ……いや今は『首無し学級』の皆は、前後からアリスと猟兵たちを挟み撃ちにした。
「何だ……こいつらも問答無用なのか?!」

●状態
アリス:ガラスのラビリンス使用可能。プレイングに指示がある場合、『その瞬間のみ』発動して敵を分断することができる(発動しっ放しだと邪魔になるかもしれないので)。
戦場:廊下。広い。割と何でも出来る。壊れない。
月・影勝
た、大変じゃ姉御、人という字を真ん中から分割したら…「ノ」と「、」になってしまう!
分かるか、「ノ」と「、」だぞ!「ノ」は単独で言葉として成立するから良いけど
余った可愛そうな「、」をどうする積りなのじゃ
もう我慢ならん、わしが直接あのバカチンを殴ってくれる!

と言うわけで、わしはこの召喚した大砲で突破口を開く事にしました
端的に申し上げると直線にぶち抜いて包囲網を瓦解させるのが目的じゃが…

ここでアリスの姉御にお願いしたいことが
ずばり、相手にネゴシエーションしたりカッコいい見得を切ったりして時間を稼いで頂きたい!
その間にこの召喚した大砲に火薬と「、」とわしを詰めこんで威力を上げますんで!


白斑・物九郎
●POW



・窓ガラスをブチ割ってエントリー
・下駄は普段から履いてるので、合わせて学ランを荒っぽく着こなせばアラ不思議、バンカラスタイルのできあがり

・【喧嘩極意(攻撃回数重視)】発動
・敵攻撃を【野生の勘】で片っ端から掻い潜りざま、ブチのめして回り【蹂躙】


~以下、ボコり方一例~
・火災報知器を押しちゃう
・消火器をブシューッてやる
・盗んだバイクで走り出す
・魔人に「ジャンプしてみなさいや」って追い込み掛けて、ポッケから小銭の音がしたら巻き上げる
・【恫喝】して焼きそばパンを買いに行かせて敵頭数を減らす…etc


~アリスへ~
「矢が射掛けられて来る瞬間にガラス張って射線を分断すれ」

あと
「俺めのコトは番長と呼べ」


リダン・ムグルエギ
ココはNINJA育成学校だったようね
ほら、土遁&墓遁してたし
生徒は火遁?してるし
アナタは鏡遁してたし

アタシも忍者らしく口寄せしましょ
壁や廊下に絵を描くわ
大小様々な便器の

アリスさん、廊下を壁で囲って部屋にして!
…定義
便器のある部屋にそれは出現する
無害確定の七不思議は!

そう、この世界の法則を活かし
トイレの妖精さんの口寄せを試みるの
デコイ要因として

ハイ、妖精という字はー、バッサリ四つに切ると「米」や「女」が出てきまーす
それじゃ実践してみましょ?

試みるのは悪魔達への指示・交渉の妨害
ヘンテコ理論(作品)でブームを起こす虚言はアタシの十八番
彼らの目的を上書き&時間稼ぎを試みるわ

うーん
混ぜるな危険大惨事ね!


隣・人
「三半規管は何処ですか畜生!!!」
首無しと聞いて苛々しながらアリスぶん回して遊びましょうね。あとは隣人ちゃんに任せてください
三倍ゲロイン量産法じゃごらぁ!!!
ゲロインはアリスで魔法のランプにゃ回転椅子での撲殺ですよ
成長する何かを千切っては投げ千切っては投げ、その本体目掛けて突き進んでやります
倍加した射程のコーヒーカップをぶん投げて道を拓き、倍加した威力の椅子で総てをぶっ壊してやりましょう
ついでに名状し難いバールのようなもので叩いて砕きます
グーじゃなくて鈍器です。喰らえってんだこの三半規管無さげなオウガめ!!! 目ん玉出しやがれでんでんむし!!!
最後は限界突破して塵にしてやりましょう

アリスは回す


ニオ・リュードベリ
アドリブ歓迎

漢字の授業をしてるってことはここは日本の学校なのかな?
日本には忍者がいるんだもん
学校にいるのは知らなかったけど

そして次は首無し学級?
どうやって黒板とかノートとか見てたのかな……
分かんないけどオウガならいいや!倒しちゃお!

相手がデカブツを呼ぶならあたしだって
出てきてデモゴルゴン!
デモゴルゴンは影で出来た巨大な魔人
破壊衝動のままに拳や蹴りで暴れるよ
さぁ、変な騎士ごと相手をぶっ飛ばして!

あたし本人はアリスを守れる位置に
迫り来る敵をアリスランスでぶん殴ったりしていこう
アリスも危なくならったらガラスのラビリンスで敵を遮ったりしてみて
この世界では生き残るのが一番大事!先輩からのアドバイスだよ!



「た、大変じゃ姉御!」
「どうした影の字!?」
 アリスは月・影勝(かちかち山の玉兎・f19391)を調子に乗ってあだ名で呼んだ。
「人という字を真ん中から分割したら『ノ』と『、』になってしまう!
 分かるか、『ノ』と『、』だぞ! 『ノ』は単独で言葉として成立するから良いけど余った可愛そうな『、』をどうする積りなのじゃ」
「なにっ! 奴らそんな事を……なんて卑劣なんだ……!」
 影勝に同調するアリス(解っているかどうかはともかく)。
「もう我慢ならん、わしが直接あのバカチンを殴ってくれる!」
 その為に影勝は必要なものを召喚した。自身を弾丸として撃ち出せる、巨大な大砲を……!
「この大砲に火薬と『、』とわしを詰めこんでぶっ放す!
 その間の時間稼ぎを、姉御、お願いできますじゃろか……ッ?!」
「影の字よ……君の心意気しかと受け取ったぞ! 私に任せろッ!」
 アリスは一歩前に出た。
 そして言った!
「教えて! 首無っつぁん!」
 親しみを込めて教師に呼びかける。
「人と言う字を『ノ』と『、』に斬った場合、『、』は切り取られた人体の一部ということでいいのですか!」
 酷いネゴシエーションもあったものだ。
「ならば、それはどこです! はっ、まさか『ピー』か……?! ならば女の人の場合は」
「コラアッ! 授業に関係ない質問はやめなしゃいッ!」
 取り合ってもらえなかった。
「観念せいッ!」
 それはそれとして『首無し学級』は攻撃の姿勢に移る!
 アリスは影勝を見る。
 影勝は砲台の前で必死に手で『もっと伸ばして!』とジェスチャーしている。
 対して、アリスは諦観した笑顔で首を横に振った。
 ……微妙な空気が流れる。

 ガシャアアアン!
 ウーーーーーーーー……
 ブシューーーーーー!

 突然の騒音!
 ――それは援軍ッ!
 窓ガラスをぶち割って乱入してきた白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)がここでエントリーだ!
 物九郎は素早く火災報知機を押し、さらに消火器を敵に向けて噴射した!
 以上のことを一瞬でやり遂げた物九郎は既にアリスの隣にいて、こう言った。
「俺めのコトは番長と呼べ」
 なるほどその格好は下駄と荒っぽく着こなした学ランという校則も時代の流れもガン無視したバンカラスタイルだ。
「俺めが合図したらガラス張って射線を分断すれ」
 番長は驚きまっ最中のアリスに向けて言った。
「え……? あっはい!」
 有無を言わせない。意味を理解したアリスは頷くだけだ。
「3……2……1……今ァ!」
 合図。
 同時に突風が吹き荒れ消火器の煙を吹き飛ばした。
「僕は蒼穹の魔人! 天候を操るのが得意さ! そして――」
 ランプから出た青い体の魔人――やはり首は無い――が学生らしくサワヤカに言った。その手に構えられているのは……。
「――弓もね!」
 風に乗せて、矢を放つ!
 ――だが、不足!
 矢は直前でガラスの壁に弾かれた!
「……ちと遅ェが、ま、及第点をくれてやるッスよ」
「そ、それはどうも、だ」
 番長は形成された迷路を野生の勘で突破し、敵陣へと切り込んでいく!
「よーし、畳み掛けるわよ!」
 そしてリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)が言った。
 その視線の先にあるものは……敵ではない。床だ。
「あっまだ迷路だしといてね!」
 そう言って塗料や筆を出して床に絵を描きだした。
「何やってるんだ山羊姉さん?!」
「ほらここNINJAの学校じゃない」
 リダンは確信めいて言った。
「否定できない……!」
 アリスにはわからなかった、何一つ。
「だからアタシも対抗して口寄せしようってね!」
 口寄せはどっちかというとイタコの技術ではなかろうか。
「まずは一つ!」
 描き終えた――それは便器ッ!
「タイトルは『泉』だろうか……」
 アリスは言った。しかしどう言い繕ったところで便器だ。
 リダンは別の場所を探し、また便器を描き始めた。
「なんの! 心配しないで後は隣人ちゃん達に任せてアリスさんは遊んでいてください!」
「うわっ?!」
 アリスは唐突に隣・人(六六六番外・f13161)に回転椅子に座らされた。
「回しますか回しますよ回さいでか回す!」
「せめて戦闘後にして!」
 割と容赦なくアリスを回す隣人ちゃん。
「さて、こんなものでいいかしらね」
 隣人ちゃんがアリスと(で)遊んでいるうちにリダンは終わらせていた――『事前準備』を。
「そ、そうかこのために便器を……」
 アリスは立派に酔っていた。
「何を言っているのですか虹色は所かまわず吐き散らしていいのですよ!」
「えーと、まあいいわ」
 リダンは二人に何か言おうとしたが、面倒だったのでやめた。
 そして仕切り直した。
「……定義。
 便器のある部屋にそれは出現する――無害確定の七不思議は!」
 これがリダンの狙いだったのだ。
 そして、それは現れる……!

「グーテンターク!」
「ニーハオ!」
「とりあえずビール」
「「「トイレの妖精さんだよー!」」」
 リダンの描いた便器から現れたのは――七不思議の一つ『トイレの妖精さん』たち。
「今よ、迷路を解除して!」
「ええい、もうどうにでもなれ!」
 半ば自棄になったアリスはユーベルコードを解除。
 それを見たリダンは妖精たちに言った。
「ハイ、妖精という字はー、バッサリ四つに切ると「米」や「女」が出てきまーす。それじゃ実践してみましょ?」
「「「キャー!!!」」」
 リダンのただならぬ様子に妖精たちは逃げ惑う。
 何しろ催眠話術の使い手である。説得力が段違いだ。
 妖精達は魔法のランプの背中に隠れようとする。どちらかといえばそちら側だ。
 ランプたちは丁度その頃、物九郎にヤキ入れられたり、カツアゲされたり、焼きそばパン買いにパシらされたり、盗んだバイクで走り出されたりとやりたい放題されている所だった。
 そこにトイレの妖精さんたちが乱入してきたから混乱は大加速した。
「これは乗るしかありませんね! 三倍ゲロイン量産法じゃごらぁ!!!」
 さらに隣人ちゃんがユーベルコードで強化したコーヒーカップ(※回すやつ)をぶん投げつつ自らもダイヴする。
「うーん。混ぜるな危険大惨事ね!」
 リダンは困ったような楽しんでいるような顔をした。
「窓から来ただろ?! バイクどっから?!」
 色々あるがアリスはまず番長に突っ込みを入れていた。
「ア? 俺めのユーベルコードの解説をよく見なさいや。コイツは『なんでもアリ』なんスよ」
 さらりとメタ発言している時点で何でもアリだ。今や物九郎は堂々たる『フリーダム番長』! リプレイにユーベルコードの解説が載らないことなど全く意に介さない!
「うわぁー……!」
 一連の流れを見守っていたニオ・リュードベリ(空明の嬉遊曲・f19590)がここでやっと口を開いた。ずっとアリスの隣で彼女を護ろうとしていたのだが、あまりに濃すぎるやり取りのため仕事がなかったのだ。
 だが、まだ、戦いは始まったばかりだ――。
「やっぱり日本って凄い国だねー」
「日本のイメージを歪めてしまったッ……!」
 ニオの感想に心をいためるアリス。
 よくわからないが日本なのだろう、忍者いるし、二宮金次郎いるし。
「敵は混乱してるみたいだけど油断しないで! あなたがやられたら終わりなんだから!」
「うおっ?!」
「どうしたの?!」
「いや、まともでいてくれるので感動して……」
「俺めもマトモに戦ってますでよ?」
「隣人ちゃんもですよ!」
 焼きそばパン食いつつランプの精をジャンプさせて小銭の有無を確かめてる物九郎と、ランプを魔人ごと椅子に載せてグルグル回してる隣人ちゃんが言った。
「残念だがダウトだ……!」
「姉御おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「うおっ?! 影の字か!」
「準備完了じゃああああああああああああ!」
 影勝は大砲に込められている……!
「これがわしの……『月まで届け人間砲弾』! あのバカチンに目にもの見せちゃるわい……はっ?! これは!」
「どうした影の字!」
「首無し先生はどれじゃ……わからん!」
 魔法のランプはどれも同じに見える。しかも乱戦状態だ。
「これは困ったわい!」
 影勝がどれだけ凝視してもわからない。
「3年B組〜〜〜!」
 その時リダンが唐突に叫んだ。
「「「首無し先生〜〜〜!!!」」」
 魔法のランプの何体かが言いながらその中の一体のもとへ集まっていく。
「コラアッ! なんばしよっとね! 俺は呼んどらんッ!」
 ――コイツだ!
「今よ!」
「恩に着る! 『月まで届け人間砲弾』……発射ああああああ!!!」
 爆音とともに射出される――影勝!
「こンのバカチンがああああああああああああああああ!!!」
 絶叫しながら迫る、砲弾となった影勝が!
 直 撃 !
 固まっていた首無し学級はビリヤードの玉のように四方八方へと飛び散り、床や壁に激突する!
「へっ……『、』の怒りに触れたんじゃ!」
 反動で吹っ飛んだ影勝は床に倒れこんだ。
 同時に……。
「……再放送でまた会いまっショウッ!」
 壁に激突した首無し先生は、そう言い遺して消滅した。巻き込まれた、何体かのランプ達も同様に。
「うわああああ!? よくも先生をー!」
 難を逃れた、蒼穹の魔人が影勝に弓を向けた。影勝はまだ床に倒れている!
 すぐさま物九郎番長が影勝の元へと向かう。
「オラッ捕まんなさいや」
「すまぬのう……!」
 番長は影勝を抱えるが、魔人の弓が狙っている。白兵戦より距離がある、『弓有利の距離』と言える位置にいる。
「食らえ、先生の仇!」
 矢が放たれた。
 ――不発! 
 もう一発とばかりに撃つ。さらにもう一発。
 だが、矢は全て空を切る。
「なんでこの距離で避けられる?!」
「勘ッスわ」
「!」
 至近距離まで接近した番長が魔人の鳩尾に前蹴りを食らわせる。
 影勝を左手に抱えたまま、目にも止まらぬ拳・蹴り・頭突きの連打!
 ――『喧嘩極意(モノクロアーツ)』!
 とどめにランプ部分を下駄で踏みしだく――粉砕!
 その一体は完全に消滅した。
 だが番長と影勝の周囲に、突如として植物が爆発的に広がる!
「おれ園芸部員! 見て! おれの得意な自然と成長の術!」
 それはランプから出ている首のない緑色の身体――翠苔の精霊によるものだ!
「おっと椅子で回したにもかかわらず目を回していませんね許しがたいですね! やはり三半規管が存在しませんかこん畜生」
 その緑色に向かって隣人ちゃんが椅子をぶつける。
「痛えッ! だがなんのこれしき! おれ回るのには慣れてんの。ランプの精は回るのが得意、おたく知らない?」
 緑色の身体はセルフでトルネードみたいに回転した。
「さあ願いは何!」
 そしてポーズをとって言った。
「撲殺、希望!」
 敢えて言葉少なに答える、隣人ちゃん。
 そして背中から棒状の物を取り出す。
 それは曲がっていた。尖っていた。硬く、重く、長い、バールのような、名状し難きモノ――。
「そ……そいつはなんだいベイビー?」
 さしもの精霊も畏怖している。
「バールのような名状し難いもの、若しくは名状し難いバールのようなもの」
 どちらが善いだろう。
「喰らえってんだこの三半規管無さげなオウガめ!!! 目ん玉出しやがれでんでんむし!!」
 暴虐ッ! 荒ぶる隣人ちゃんが凶行に及ぶ!
「ほげええええええええ!!!」
 翠苔の精霊は、最後までデカい声を出して霧散した。
「よし、いい流れだね!
 この流れに乗って一気に倒しちゃおう!」
 アリスの傍らで機を伺っていた、ニオがここで動いた……!
「入り口は頭、出口は影。出てきて、デモゴルゴン!」
 ニオは超常の存在に呼びかける。
 すると、彼女の影が盛り上がるように膨れ上がり、それは何かの形をとっていく。
 天井まで届かんばかりの威容。
 禍々しく暴力的な姿。
 死と破壊の術を操る悪魔。
 魔人デモゴルゴン――。
「あのランプ達を倒して!」
 ニオの呼びかけに、およそこの世のものとも思えぬ雄叫びをあげ、デモゴルゴンは答える。
「はっはっは!よろしい。私、緋衣の騎士がお相手いたします!」
 迎え撃つのは、ランプから緋色の身体を出した、首のない、剣を携えた騎士だ。
「ぬおおおおお! ヘル・フレイム!」
 騎士が手をかざすと地獄に吹き荒れるがごとき炎が巻き上がり、デモゴルゴンを焼かんとする!
 ――笑止!
 そう言わんばかりに、デモゴルゴンは炎を薙ぎ払う!
「ならば、剣の錆にしてくれましょう!」
 騎士は近づくデモゴルゴンに斬撃を見舞おうとする!
 だが、相手は巨大!
 左手が剣を持つ手を押さえ、右拳が騎士の身体を貫いた。 
 そしてランプ部分を容赦なく踏みつけられ、騎士は断末魔も残さず塵へと還った。
「ならば別の悪魔を召喚する!」
 これを脅威と見た別のランプが、出している身体――ランプから召喚した悪魔である――を引っ込め、別のものを喚ぼうとする。
「トイレの妖精さん出てきたぞおい!」
「なぜだ!?」
 異変! ランプ達の間で困惑が広がる!

「流行って……全く関係のないものにも影響を与えることがあるのよね〜」
 リダンは悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。
 そう、彼女こそは……トレンドメーカー!
 地形地域特色文化に囚われぬ、流行の発信源である!

 デモゴルゴンが容赦なく敵を粉砕し、猟兵達も次々と敵を打倒。そして最後のランプが塵となり、アリスと猟兵達は『首無し学級』に勝利した……!

 リダンはスマホを手にしていた。この戦いの様子も一部始終バッチリ撮っていたのだ。
 戦いが終わった今、リダンはスマホのカメラをニオに向ける。
「今の気持ちをどうぞ!」
 ニオは少しはにかみながらも、カメラに向けて応えた。
「この世界で一番大事なのは、生き残ることだよ!」
 まさに今実践してみせた。生き残るために、敵を倒すということを。
 そして、聞いてた? という顔をしてアリスの方を向く。
 アリスは頷いて、拍手するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ミミック・アリス』

POW   :    邪魔だよー!どっか行っちゃえ!
【手にした大剣 】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    私がオウガだって、本当に言えるかしら?
【腰に下げた日記 】を披露した指定の全対象に【この人物はオウガではないという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    悪い人は皆で捕まえちゃおう!
【味方として取り入ったアリス達 】【茨のロープ】【自身の怪力】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アリスティアー・ツーハンドソードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●女の子はどこに?
 首無し教室の恐怖を乗り越えたアリスと猟兵一行は、女の子を捜して再び校舎を彷徨う。
「残る七不思議は『13階段』と『異世界に通じるドア』の一つ……。
『13階段』は、屋上に続く階段は普段は12段だが、夜中には13段に増えている、という内容だ。
『異世界に通じるドア』は……この学園のどこかに異世界に通じるドアがある、としか書かれていない」
 すでに日が落ちていたので、一行は無人になった『首無し学級が使っていた教室』で夜まで休憩を取り、屋上に続く『13階段』を目的地として出発した。

 そして到着した。
 階段を上りきった所でオッサンが寝ていた。
「あの、ふっ! 踏んでください……❤」
「……これが13段目? え、これだけ?」
 アリスはオッサンを無視して帰ろうとした。
 だが、アリスは足を止めた。階段の向こう側にある、屋上に通じる扉が開いたからだ。
 吹き付ける夜風ともに現れたのは、あの女の子だった。
「君か!」
 アリスはすぐに屋上へと飛び込んでいく。

 女の子は手摺に背をもたれ、屋上に現れた一行を迎えてこう言った。
「よく来てくれました、皆さん」
 ――それは、アリスでなく猟兵に向けられていた。
「私は『アリス』……『オウガ』に追われています。そして……オウガとはその人です」
 女の子は『アリス』を指差していた。

「……なーんて信じてもらえるわけないわよね?」
 女の子は態度を一変させた。
「気にしないで! 虚言癖があるの私!
 そうよ! 私がオウガ! ラストバトルの前に色々語らせてね!」
 唐突にオウガの前口上が始まった。
「私のラビリンスに侵入してきたお前達! なんでここはこんな世界なのか? 気になるかしら。
 フフフ……それはね……学園モノがやりたかったからよ!」
 趣味嗜好だった。
「七不思議はね……その子を困らせるために私が用意したのよ……!
 困っているのを見て楽しむためにね! あえて手がかりに見せかけて誘導する目的もあったけれど!
 私はアリスが困っている顔を見るのが好き! すぐ喰べてしまうなんて勿体ないもの」
 好き放題言っている。
 だがそのアリスは怒るどころか、それを聞いても強い困惑の表情を浮かべている。
「嘘だ……君は転校生の女の子だろ?
 この学園は確かにいろいろとおかしいが……『君だけはまとものはずだ』」
 アリスがそう言うのを聞いたオウガは爆笑した。
「そうよ! 『私は最近転校してきた七不思議に興味のある女の子』! おかしなところは何にもないわ、だってそう『日記に書いてある』ものね!」
 ここまで言われてアリスはいまだ腑に落ちない顔をしている。
 オウガは気にも止めずに続けた。
「最初はうまくいっていたのだわ! なのに……! お前達が邪魔をして!
 こんな時のための魔法のランプもやっつけてしまうし……許さないわ!
 私が直々に倒してあげる!」
 殺気――! オウガは手摺から離れ、猟兵達に向けて殺気を向けている!
「この格好も気に入ってはいたけど……折角なんだし真の姿を見せようかしら!」
 オウガの姿が変わっていく……。

 ……

「……何よ……悪かったわね……拍子抜けで……」
 巨大化するとか、化け物になるとか、そういうのは一切なかった。
 日本人的だった容姿が欧米人的になり、髪は金色に、服装は水色の洋服になった。少女の姿であることには変わりはないどころか、少し幼くなったかもしれない。
「言っとくけど、私、強いわよ!」
 何ということであろうか、ラビリンスの主だというのに威厳をまったく備えていないとは!
 色々とぐだぐだだが、それでも最終決戦は始まるのだった!

●状況
 戦場:屋上。広い。障害物はない。落下の危険性はなくはないが、猟兵ならばわずかな注意を向けていれば落ちることはないだろう。
 アリス:オウガのユーベルコードの効果で戦意を喪失している。戦線復帰させたければ発破をかける必要があるだろう。
隣・人
困りましたよ。え。アリスがアリスでアリスがアリスに乗っ取られたオウガに見せ掛けたアリ……あっ。無理。難しい事隣人ちゃんわかんない……のでテメェら纏めてゲロインアリスだおらぁ!!!
成程。貴女も貴女もアリスなら目を回して倒れた方が可愛いですね。なので拷問術使いましょう。これで二人ともモザイクに塗れるついでにユベコ封印してやりますか。そしたら時間稼げるので本物のアリスとオウガを見極めます
見分けついたならオウガに向かって蹴り入れてやります。グーパンも喰らいやがれこれは二宮金次郎の分!!!
うおおおぐるぐるバットしてからてめぇの頭蓋カチ割ってやりますよ!!!



「こっちから行くわよ!」
 偽(ミミック)アリスは最小限の動作で日記を手に取り、素早く投げつけた――標的は隣・人(六六六番外・f13161)。
 目の前で日記が静止し、ひとりでにページがめくれていく。
 隣人ちゃんはなぜか内容がとても気になった――他人の日記だからではない。あらゆる対象に日記の内容を披露できる、そのユーベルコードの特性ゆえに!
「アリスがアリスでアリスがアリスに乗っ取られたオウガに見せ掛けたアリ……あっ。無理。難しい事隣人ちゃんわかんない……」
 隣人ちゃんは目を回した。いつものことではあるが、今回は意味合いが違う。
「……のでテメェら纏めてゲロインアリスだおらぁ!!!」
「はっ!?」「うわっ!?」
 一瞬の出来事!
 ――手枷! 足枷! 回転椅子!
『二人分』の分量が同時に飛んだ!

 偽アリスは気がついたら回転椅子に座らされ、手枷足枷をつけられていた。驚くべき手際!
「本物のアリスもろともやろうっていうの?!」
 偽アリスは精神に揺さぶりをかけようとするが、
「アリスを回す。アリスを助ける。全然同時にできるではないですか」
 隣人ちゃんの正気の有無は始めから定かではない!
「なんで回すの?!」
「うるさいんですよテメエもゲロインになれやおらぁ!!!」
「きゃああーーーーーーーーーーー!」
 可愛い悲鳴を上げて偽アリスは回転した。
 如何にオウガとはいえ、その回転の最中にユーベルコードを使う事は出来ない。なぜなら隣人ちゃんに手枷、足枷、回転椅子の三つを装着させられた者はユーベルコードを封印されるからだ。これが隣人ちゃんのユーベルコード……『隣人ちゃん流拷問術(キサマモゲロインニシテヤロウカ)』!
 もちろん偽アリスだけでなく、本物アリスも仲良く回されている!

「頭がすっきりしてきました。やはり回転は素晴らしい……これまでの展開を思い出しました、あなたはアリスを語る偽物だったのですね!」
 隣人ちゃんへの日記の効果は切れた。
 偽アリスは束縛から逃れたものの、床に手をついてへたりこみ、広がった水色のスカートから脚を力なくはみ出させて、うつむいて息を荒くさせていた。
「目を回してへたりこんでいると多少は可愛いですね。ですが隣人ちゃんは容赦はしません!」
 隣人ちゃんは一気に距離を詰める。
「これは二宮金次郎の分!」
 恨みを込めて、力一杯ぶん殴った!
(※どちらかと言えば恨みを買うのは隣人ちゃんの方なのだが)
「これはトイレの妖精の分! これは忍者の分! これは体育館の壁ドンしてくる先輩の分! これは首無し先生の分! これは13階段の13段目の分!」
 これまで乗り越えてきた七不思議の想いを背負った、容赦のないラッシュが叩き込まれる。
(※どちらかと言えば以下略)
「そしてこれは……隣人ちゃんの怒りだァァーー!!!」
 思いを込めたアッパーカットが、偽アリスの顎を捉えた……!

成功 🔵​🔵​🔴​

白斑・物九郎
●SPD



●アリスに発破
何ヘタり込んでやがらっしゃるんですよ? おたく
ワケわかんねー渦中にブチ込まれたかと思いきや、頼みの相手は裏切者? 認識は改竄されていた?

・・・・・・・
ソレがどうした
冷静に状況見なさいや
ココで立ち直りざまさっきの迷路の力でも使ってみた日にゃ、おたく、超クールな覚醒シーンっスよ

そら、腹案の一ツや二ツあるんでしょうわ?
あの力をスキに名付けてルビを振れ、ンで叫べ


・敵へ「すぐには近付けまい」と思わせる企図を含んで、距離を挟み相対

・敵が日記を扱おうとする瞬間を【野生の勘】で見越し【開門】発動、突如接近(だまし討ち)

・【怪力】で操る魔鍵をしたたかブチ込み、日記を手放させる(武器落とし)



 一方アリスは、回転椅子で拷問を受けていたが、その回転は始まって程なくして止められた。
「はぁはぁ、少しは慣れたつもりだったんだがな……」
 アリスは少し苦しそうなそぶりを見せたが問題はないようだった。そして止めてくれた人物を見る――白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)だ。その手には手枷と足枷も握られている。物九郎はそれを床に捨てた。
「教えてくれ、どういうことなんだ。あの子はまともだぞ!」
 アリスは長時間偽アリスの日記に触れてしまっていたため、その効果から逃れられていない。
「見ての通りですわ。……説明してもわからないって顔ですわな」
 何しろオウガ本人が自分はオウガだと明かしたにも関わらずこれだ。
 だから物九郎はアリスの顔を覗き込んで、その目を真っ直ぐに見据えて言った。
「何ヘタり込んでやがらっしゃるんですよ? おたく。
 ワケわかんねー渦中にブチ込まれたかと思いきや、頼みの相手は裏切者? 認識は改竄されていた?

 ・・・・・・・
 ソレがどうした。

 冷静に状況見なさいや。
 ココで立ち直りざまさっきの迷路の力でも使ってみた日にゃ、おたく、超クールな覚醒シーンっスよ」
「……」
 アリスは物九郎の迫力に押されしばらく黙っていたが、やがて立ち上がった。
「頭は未だにはっきりしないが……。
『今やるべきことがある』……そういうことだな?」
 アリスは言った。屋上に吹き付ける風が、彼女の髪や服をなびかせる。
「わかった……。私を助けてくれた君達を信じてみよう」
「あの力をスキに名付けてルビを振れ、ンで叫べ。腹案の一ツや二ツあるんでしょうわ?」
 物九郎の促しにアリスはほんの一瞬、戸惑った。だが、それはすぐに高揚に変わった。
「行くぞ……!」
 逆風。
 それに立ち向かうような、渾身の叫び!

「金剛不壊の乙女心(デイモニックスティール・メイドゥンハート)!!!」

 彼女の意に沿って、構築される。
 鋼のごとく硬く、美しき硝子の壁が。
 構造は極めて複雑。
 乙女心のように、たやすくは解らない。
 それは、悪魔が嘲笑うかのような――迷い路。

「ニャるほど。悪魔じみた(デイモニック)鋼鉄(スティール)で硬さを、乙女心で複雑さを。よりそれっぽくなったじゃニャーですか」
「迷路を作り出した?! 逃げるつもりね!」
 アリスと物九郎は迷路の奥へと進む。偽アリスはその意図に気づくや、すぐに追った。

 だが、偽アリスの背後から迫るものがある――。
「はっ?」
 気づいた。しかし遅い――刺突!
 孔が穿たれる――偽アリスの持つ日記に。
「コレもらっとくっスよ。入場料っスわ」
 物九郎だ。その手に握られるのは『魔鍵』。鍵ゆえに貫いたものを引っ掛けることができる。日記もすぐに物九郎の手に収まった。
「なぜ、奥に進んだはずじゃ……!」
「ユーベルコードに決まってましょうや」
 その名は『開門(オープン・ザ・ゲート)』。空間と空間を結ぶ門(ゲート)を創造する事により、テレポート通路経由で攻撃する。
 今は、その効果は――迷路のどこから襲ってくるのか想像がつかない、という状況を生み出している。
「そんじゃま――『金剛不壊の乙女心』への侵入を許す。せいぜい頑張って追って来なさいや」
 それだけ言って、チェシャ猫のように笑みを残し――消えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

白鳥・深菜
「ピャアアアアアアアアアア!遅刻遅刻ゥ!」

遅れてやって来たが、最終決戦っぽい雰囲気が、
自前のバイクで殴り込もうとしている私のいる辺りまで
ひしひしと伝わってきている。

敵は――屋上辺りかしらね。
であれば、校庭を精霊術かなんかで隆起させて、
ジャンプ台にして直接飛び込む!!
多分これが一番早い奇襲ルートだと思います!

空中でバイク<パフォーマンス>を決めながら
空を軽やかに舞い、天からオウガに向かって――

「――ちょりゃっ!」

バイクだけを蹴り落とす!
これぞ相手の死角から放たれる盲点への奇襲――【青天白日の暗殺剣】ッ!

「遅刻恐れる通学路にて、死角からの誰かさんと正面衝突――これぞ学園物の王道!(ドピャア顔)」


リダン・ムグルエギ
屋上
学園モノ
なら、やる事は一つよね
貯水塔に登って…

はい、未成年だった人の主張、スタート!
(葉巻とメガホン手に

「助けた女子が言ったの
学園はおかしいが君『だけ』はまとも
アタシ達、『まとも』にカウント、されてなかったー!

あ、誰でも主張OKよ
オッサンもどーぞー

コレは伊達酔狂の遊びじゃないわ
上側の位置取り
葉巻の毒を散布するための主張での時間稼ぎ
そしてメガホンを持つ事を
違和感なく正当化するための建前よ

「ここで金髪転校生に七不思議が襲い掛かる!
NINJAに妖精、メカ首なし学級に体育館オッサンのエントリーだ!

幻覚を見せる声をメガホンで叩きつけるわ
その反応を撮るのは…相手がオウガかどうか関係なく、楽しそうだもの



「ピャアアアアアアアアアア! 遅刻遅刻ゥ!」
 ――と、屋上で最終決戦の真っ只中だというのに、今そこに向かってバイクを走らせている者がある。
 白鳥・深菜(知る人ぞ知るエレファン芸人・f04881)だ。別にトーストを咥えてはいない。バイク走らせながら飯は食えない。
 離れている彼女にも最終決戦の真っ只中だという雰囲気は伝わってきていた。遠くから見て屋上が発信源だと感じられる。
 今校庭に入った所だ。墓石、それも蓋付きで中身はカラというものがいまだ乱立しているその場所に、深菜はバイクを乗り入れる。
 ここで、精霊術士である彼女は大地の精霊に語りかけた。大地を隆起させて屋上まで届くジャンプ台を作ろうと考えたからだ。
 ――グオゴゴゴゴゴゴ!
 呼応するように地面が揺れた。
 ――この世界を滅茶苦茶にした奴! 許せん!
 深菜には大地の声が聞こえた。嫌な予感がした。
「滅茶苦茶荒ぶってる……?!」
 だが、何とかすれば手を貸して貰える可能性もあると見て、深菜は交渉する――。

 ここで時は少し遡る。

「はい、未成年だった人の主張、スタート!」
 屋上では、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)が高らかに宣言していた。
 ……何が起こったのか説明の必要があるだろう。
 ユーベルコードで作り出した迷路を通り、アリスと猟兵達は屋上にある貯水塔の上に登っていた。
 リダンが迷路の中で唐突に葉巻を吸い始めたかと思うと、そこまで誘導したのだった。
 なお偽アリスは絶賛迷路で迷子である。

「助けた女子が言ったの。
 学園はおかしいが君『だけ』はまとも……。
 アタシ達、『まとも』にカウント、されてなかったー!」
 リダンの主張!
 メガホンで思いっきり叫ぶアレである!

 リダンからメガホンを受け取ったアリスは叫んだ!
「山羊のお姉さんは……私の中ではかなりメルヘンだーーー!!!」

「告白(マジレス)されちゃったーー!?」

「と……叫んだはいいが。なんで私達は戦いの最中でこんなことやってるんだ」
「ふっふーん。コレは伊達酔狂の遊びじゃないわ」
 13段目のオッサンが「踏んでくださーい❤❤❤」と叫ぶのを背後に見ながら、リダンはいまだ硝子の迷宮を彷徨う偽アリスを指差す。
 この迷宮には天井がない。高い壁に囲まれてはいるが、声は届く。
「いい? よく見てて」
 リダンは新しいメガホンを手にまた貯水塔の天辺に立った。
「ここで金髪転校生に七不思議が襲い掛かる!
 NINJAに妖精、メカ首なし学級に体育館オッサンのエントリーだ!」

「わあ!? 何!? どうしたの、あなた達!」
 リダンが叫んだら突然偽アリスが狼狽え始めたではないか。
「かかったわね!」
 リダンは喜々としてスマホを偽アリスに向ける。
「一体何が……?」
「コレ、見覚えある?」
 リダンは葉巻の吸い殻をアリスに見せる。
「迷路の中でポイ捨てしてたやつか? 消しもしないで……マナー悪いなと思って見ていたが」
「アレは忘れて! 煙草じゃないわ、毒物よ」
 猟兵にも色々ある。武器も色々だ。リダンの場合は薬物がその一つだ。それはユーベルコード『ゴートリック・フォース』発動の切欠となる。
「コレの香りを嗅いだ人は、アタシの言葉通りの幻覚を見るのよ。迷路の中なら、煙が充満するでしょうね」
「それがさっきの意味不明なシャウトに繋がるわけか……」

「あなたはメカ二宮金次郎! それに首無し先生! そして校庭から墓と一緒に出てくる日本兵まで!」
「あれ日本兵のつもりだったのか!」
 どうみても忍者だった。
「かれらに何をしたの?!」
「みんなアナタの下僕はイヤだって言ってるわよ!」
 リダンはさらに拍車をかける。
「何言ってるのよ、私はラビリンスの主よ! それに勝手にバラエティの要素を持ち込まないでよ! このお話はホラーなんだから!」
「「「「「「どこが!?」」」」」」
 猟兵達とアリスは揃って突っ込んだ。
「うるさい! うるさい! うるさーい! もうほんとのほんとに怒ったんだから!」
 偽アリスは仁王立ちになった。
 その瞬間……突如として、硝子の迷路が崩壊した!
 まるで幻覚など見えていないようにアリスと猟兵達を見据え、その姿は小柄にも関わらず威圧感すら感じさせる。
 猟兵達はオウガ、ミミック・アリスの本気を感じ取った。それだけ追い詰めたということでもあるのだが。
 偽アリスは右手をアリスに向かって掲げる。すると、彼女がまだ持っていた偽アリスの日記が宙に浮かび、彼女の手元に移動していく。
 そして空中でページが外れ、空間を埋め尽くすまでに増え広がった!
「みんなまとめて! 一文字でも見えれば、私をオウガだと思えなくなるわ! ここまでよ!」

「いっけな〜い! 遅刻遅刻〜!」

「?!」
 ズシーーー……ン

 何が起こったのか。
 偽アリスは、バイクの下敷きになっている。
 増え広がった日記のページは風に吹かれてどこかに行った。
 そして屋上に、華麗に着地する影ひとつ。
「遅刻恐れる通学路にて、死角からの誰かさんと正面衝突――これぞ学園物の王道!」
 白鳥・深菜! ――到着ッ!
「そして……大地の怒り、思い知ったか!」
 荒ぶる大地の精霊はその怒りのままに深菜を投げ飛ばした。しかしそこは精霊術士、見事制御してみせたのだった。
 そして死角から盲点を突くユーベルコード『青天白日の暗殺剣』! 敵に認識されていない状態でその真価を発揮した!
 バイクを空中から落とすのが暗殺剣なのかという突っ込みはさておき。
「……クライマックスで導入をやるなんて何考えてるのよ……!」
 偽アリスはバイクをどけて立ち上がろうとしていた。その様子からダメージは確かに入っているのが感じ取れる。
 深菜は偽アリスが立ち直る前に猟兵達に合流した。
「さあ、ここからは私も参戦するわ。何をすればいい?」
 そう言った深菜に、リダンはメガホンを手渡した。

「ピャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 あほづらから放たれる奇声!
(伊達や酔狂)
「はい、ノルマ達成。それじゃ狩るわよ!」
 急にシリアス顔になり、レイピアを抜いた――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニオ・リュードベリ
あなたが犯人ね!
可愛い女の子だからって油断しないんだから!
オウガは殲滅だーッ!!

空明の鎧を着込んで戦うよ
光の翼で空中【ダッシュ】、出来るだけ茨のロープに囚われないように立ち回ろう
っていうかそれ、握ってるあなたも痛くない?
めっちゃちくちくしない?
怪力で握ってるよね痛いよね?

他のアリスを巻き込まないようには注意しないと
狙うのはオウガただ一人
ひゅんひゅん周囲を飛び回ってチャンスを狙うよ

こっちのアリスが危なければ守りに入る
あたし鎧着てるし頑丈だから
絶対にあなたの事は殺させない
先輩に頼ってね!

攻撃出来るタイミングがきたら一気に急降下
アリスランスで【串刺し】にしちゃうよ!
先輩アリスだもん、負けられないよ!


月・影勝
(階段に居たオッサンが気になって仕方ないがさておき)

姉御…なんか謎の転校生の正体は悪いやつだったーって展開じゃったけどさ
こういう時に転校生に、「あやつ」に思いの丈とか思いっきりどーん!とぶつけに行くのが
物語では王道っつーもんじゃろう?
大丈夫じゃ、言葉だろうとパンチだろうとちゃーんと届けてやろうぞ!
アリスの行く先を拓くのが時計ウサギじゃもんね

影にこっそりわしの悪友にしてウラバンの狼次郎もスタンバっておるしな
あやつが何者であろうと、放たれる攻撃は全てわしらのコンビネーションで捌き、アリスを守り抜いて見せようぞ
…勿論、オウガ相手であれば、わしは一切容赦せんからな!



「なあ、姉御」
 すっかりアリスの舎弟ポジションに収まった月・影勝(かちかち山の玉兎・f19391)が、敵から目を離さずにアリスに話しかけた。
「何だ? 影の字」
 アリスはもう定着した呼び方で答える。
「なんか姉御が頼みにしてた謎の転校生の正体は悪いやつだったーって展開じゃったけどさ、こういう時に『あやつ』に思いの丈とか思いっきりどーん! とぶつけに行くのが物語では王道っつーもんじゃろう?」
「影の字……」
「大丈夫じゃ、言葉だろうとパンチだろうとちゃーんと届けてやろうぞ!
 アリスの行く先を拓くのが時計ウサギじゃもんね!
 機会は絶対に作る、待っとってくれ!」

 ――その時。
 こんな時だと言うのに屋上に新たに現れる影があった。
「大丈夫かマスターッ!」
「助けに来たわ!」
 学生服を着た少年少女が五人だ。
 偽アリスを助け起こし、猟兵達から守るように立つ。
「誰? その人達は……?!」
 ニオ・リュードベリ(空明の嬉遊曲・f19590)が聞いた。アリスラビリンスを良く知る彼女には、現れた少年少女がオウガやオウガの作り出した幻影、愉快な仲間とも違うと感じたからだ。
「この子たちは『アリス』よ」
 偽アリスは言った。
「アリスってまさか……帰れなくなったアリス達……?!」
 ニオは少年少女らを見る。
「お前たちもこの子達みたいに、私に取り入れば命は助けてあげるわ……そうすれば、毎日楽しく暮らせるわよ!」
「お断りよ!」
 ニオは拒絶の言葉を突きつける。
 そして光の翼を広げた。その身に纏うのは影の鎧。光と影――ニオの二面性を現したかのようなユーベルコード、『空明の鎧(アンブレイカブル)』!
 ランスを携え、飛翔する!
「私を守りなさい!」
「わかったマスター! ここから先は通さねえぜ!」
 リーダー格のような少年が偽アリスの前に立ちはだかる。
「巻き込む気はないから! 離れてて!」
 ニオは空中から偽アリスを守ろうとする少年少女を威嚇する。
「どいてなさい!」
 偽アリスはいつの間にか茨のロープを持っており、それを振るってニオを囚えようとする。
「あんなの刺さったら外れないね……!」
 ニオは的確に敵の攻撃を見て、空中でダッシュして捕まらないようにする。
「っていうかそれ、握ってるあなたも痛くない? めっちゃちくちくしない?」
「見なさい!」
 そう言ったニオに偽アリスは握っている手を見せる。
 ――握っている所には新聞紙が巻かれていた。
「びっ貧乏くさ!」
「古新聞は学校にたくさんあるのよ! なぜか知らないけど!」
 何かと便利だがそれにしたってそんなに使わないだろう。
 茨のロープでニオを追う偽アリス。彼女を助けに来たはずの少年少女達は偽アリスの茨のロープから逃げ惑う羽目になる。
「まとまってないね……隙だらけ!」
 ニオはロープを寸前でかわすと空中で宙返りするように一気に偽アリスの頭上をとった。
 とはいえランスで貫くだけの助走距離は得られない。
 体を浴びせる!
 ニオはランスの柄で偽アリスの背中を床に押さえ込み、周囲の少年少女達に殺気を向ける。
「ひっ……ひえええええ!」
 リーダー格の少年が真っ先に逃げ、他の少年少女も続く。
「みんな逃げちゃったみたいだけど!?」
「なんの役にも立ちやしない……!」
「あんまり好かれてなかったでしょ?」
 服従か死かを選べ、と言ってくる相手を好きになる奴はいない。
「あたしは降伏しろなんて言わない。オウガはここで殲滅する!」
 止めを刺すべく、ニオはランスの先端を偽アリスに向け、持ち上げる。

 だが、そこに一瞬の隙が生まれた。
 偽アリスは腰を一気に持ち上げた。まだ彼女には武器が残っていた――すなわち【自身の怪力】!
 ニオの体勢を崩させ、一気に離脱する。
 狙うはニオへの反撃でなく――、

 アリスだ。
 走りながら虚空から自身の体格より長い大剣を出現させ、勢いのままに貫かんとする!
「お前だけでも道連れよ!」

 だが、それは阻まれた。突如横から飛び出してきた存在によって!

 その姿は……オオカミ。
「だ……誰?!」
 未知の存在に驚愕する。オオカミから体当たりを食らい、偽アリスは床に転がったのだ。
「……オオカミ参上!」
 それは名乗った。
 すぐさま偽アリスは手元を打たれる。影勝の櫂だ。大剣は派手な音を立てて床に転がった。
「ふん、いつ隠れてるのがバレるかヒヤヒヤしたわい……そいつはな、わしが呼んだ狼次郎じゃ!」
 影勝がユーベルコードで召喚した、悪友にして協力者だ。
 狼次郎は倒れた偽アリスに爪を立てて押さえ込み、影勝も櫂で右手を床に押し付ける。
「何言ってやがる、タイミング完璧だっただろうが? 感謝しろよ」
「お主にいい気になられるのは癪なんじゃが、まぁ善しとするわい」
「それのどこが感謝の言葉なんだよ。このひねくれ兎が!」
「さ、姉御!」
「おい無視か」
 影勝は狼次郎との言い合いを切り上げてアリスを呼んだ。
 アリスは、影勝と狼次郎に抑え込まれて動けない偽アリスの前に立つ。
「今全てがはっきりした。君は私を喰らおうとしたオウガ……というものらしいな」
 偽アリスは、アリスを憎々しげに睨みつけながら聞いている。
「私を騙していたのだな。喰らうために」
「ええ、そうよ!」
 幼い顔に凶暴さをあらわにして、偽アリスは答える。
 虚言癖があるという彼女だが、その言葉には疑いの余地を感じさせなかった。
「だが、そんな事はどうでもいい。私が元の世界に帰るにはどうすれば良い?」
 アリスは問うた。
 偽アリスは拍子抜けといわんばかりに、目を大きく広げ、呆れと怒りが混じった顔になった。
「何それ? 自分の命よりも帰ることの方が大事ってわけ? そんなにしてまで帰りたいの?」
「ああ。帰りたい」
 アリスは頷く。
「無駄よ! お前は帰れない! 諦めて、オウガに狩られるか……あるいはオウガに成り果てるかのどっちかよ!」
「……?」
 影勝は疑問を抱く。偽アリスが『帰る』ことに執着しているように見えたからだ。それは怒りか……あるいは嫉妬か。何らかの感情が見て取れた。
(こやつ、ひょっとして)
 影勝は疑問を抱いたが、アリスが話しているのを遮りたくはなかったので、口には出さなかった。
「くっ、ぐうううう……離しなさい、離せ! 絶対このままで済ませない」
 偽アリスはいまだに殺意を顕にしている。
「アリス、どうする? あたし達はあなたに従うよ」
 ニオが聞いた。その手にはランスが握られ、すぐに偽アリスに向けられるようになっている。
 これ以上は話にならない、と判断したアリスは、ニオに頷いた。
「頼む……」
 ニオはアリスの言葉に頷く。
 そして影勝と狼次郎の方を見て、それぞれから肯定の意を確認すると、偽アリスにランスを向けた。
 ニオのランスがオウガ『ミミック・アリス』を串刺しにした――戦いは、終わった。

●最後の七不思議
「ぐふっ……日記に書いてあることなんてみんな嘘よ! お前は死ぬまでこの学園で過ごすのよ……。日記に書いてあることなんてみんな嘘よ!」
 偽アリスは今際の際にそう残し、消滅した。見え見えの嘘だ。だって『七不思議は実在した』のだから。
 屋上の手すりの向こう側、足場と虚空の境目に、唐突に扉が出現していた。
 それを見たアリスと猟兵達は、七不思議の最後の一つ『異世界に通じるドア』のことを思い出す。
 ……それこそは、アリスが元いた世界に帰るための扉に他ならない。

「すべて思い出したよ」
 アリスは語る。
「私の名はトキ。望月・朱鷺。古めかしい名前だが私は気に入っている。本当の年齢は24歳だ。
 ……私には年下の女の子の親友がいてね。
 男で言うところの舎弟みたいに慕ってくれている。
 その彼女が近々結婚式を挙げることになってね。
 帰りたかったのは……そのためだ」
 アリス……トキは、そう言ってから猟兵一人一人の名を呼んで、感謝の気持ちを示した。
 そして手すりを越えて、扉の前まで行き、再び猟兵達に振り返った。
「君達のおかげで私は元の世界に返れる。
 いくら感謝をしても足りないくらいだ。
 君達のおかげで、元の世界に戻って……。

 花嫁をさらいに行くことができる!

 あははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!
 すぐに! 私が! 行くぞ!
 大好きだーーーーーッ!!!」
 高笑い。そして閉じられる扉。
 ああ、彼女は、檻から解き放たれた……!

 ……

 オウガのいた所に一冊のノートが落ちている。

 それには、結婚式場へ乗り込んで、花嫁をさらって逃げるための計画と、そして、『二人の幸せな生活』についてが事細かに、その時の心情を綴ったポエムを添えて、書かれていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月03日
宿敵 『ミミック・アリス』 を撃破!


挿絵イラスト