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舞台はなお、闇を照らす光のように

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 ある男が夢を見ていた。
 夢の中、一人歩き続ける男。辺りを見回せど、闇、闇、闇。一面の黒の中を行く足は、震えることもなくただ前を目指して歩くだけだった。そこに恐怖はなく、安心も、不安もない。先の見えない夜を行く足は、なんとなしに重く感じる。
 しばらく歩けば、そこに大きな館が見えた。古ぼけてはいるが、しかし悪の気配が途端に差し込んでくると、その館はまだ息づいている、そう思うことが出来た。目を凝らせば、先ほどまでいなかったはずの骸の群れ。それがまばらに散って、行くべくところに向かっているような予感。それらから考えて、男は……ただ一言、こう呟いていた。
「……ここには、数多の罪なき人々が恐れる闇が眠っているんだな」
 数の少なくなり、突き刺さる視線が無くなった後には、ただ一人佇む男と、館から響いてくる贄の断末魔が度々取り残されるだけであった。

 その男、グリモアベースのどこかに、たった一つの椅子を立てかけて座り、寝ていた黒髪の青年は、薄暗い微睡みの中から意識を這い上がらせる。
「……また、この夢か」
 今まで安らかに眠っていたこのグリモア猟兵――糸井・真海は頭を上げて不機嫌そうに目を擦る。静かだったような場所に一つ声が零れたので、それを見事に拾った猟兵たちが真海の言葉を聞き届けようと集まってくる。
「その反応からして、お前たちも暇を持て余していたみたいだな。まったく、物好きが……と言っても、俺の話を聞きたいといってどかないんだろう?
 だったら俺も、話してやるか。今見ていた夢の話を、これから起こる未来に照らし合わせるように」
 姿勢を整え、真海はゆっくりと息を吸い、言葉を綴る。
「今回お前たちに向かってもらうのはダークセイヴァー世界にある村……その近くに立地している古い館だ。そこでオブリビオンたちを始末し、しばらくの間村に平和をもたらしてもらいたい…もっとも、時間稼ぎでしかないだろうけどな。敵はまたいずれ訪れる。その時にはまた俺が夢でも見て、その危機をまた予知するかも知れないな」
 真海が言うには、館の主もオブリビオンで、配下の敵をたくさん引き連れて、どっしりとその場に腰を下ろしているのだそうだ。
 現在その配下たちは他の拠点を探しに出向いていたらしく、しばしその領主館の守りが薄くなるようだ。その隙は猟兵たちが狙うべき瞬間。その機会を逃せばまたいつ同じ機会が訪れるか分からない。
「村を支配しながら、闇の舞台でただ眠り、彷徨う者たちの悪意を、お前たちの光で照らし、取り除く。それがお前たちの仕事だ。邪魔者はそいつらと主だけだ、遠慮などもっての他だろう?
 俺はこの通り、お前たちをその舞台に運ぶための準備に徹し、直接戦いに手を加えることはできないが…活躍など、簡単ではないが、難しくもない」
 でも、本当は欲しいのでしょう?
 そんな欲望まみれの質問が、なぜか男の脳裏を過る。一瞬表情を変えた真海は、何かを振り払うかの如く頭を横に振りつつ、再度姿勢を整える。
「さて、やつらはどんな攻撃をしてくるかな……そうだな、数多くの骸骨が警備を任されているようだが、その手に持った、剣にすらなれない何かでも振り回して、脅しにでも使うのか?」
 考えれば考えるほど、真海の表情には笑いがこみ上げる。単体では恐らく何の脅威にもなりはしないだろうが、何しろ集団戦が予想されるために一筋縄では行かないのだろう。
 それでも笑いがこみ上げてくるのは、きっと――。
「ああクソッ、ふざけるな……俺は猟兵だ、混沌なんて求める性質じゃない」
 自分自身が、どうにもならない性格を宿しているからなのだろう。でも彼は、『彼女』は、きっとその舞台で踊りたくてたまらないのだ。それはまるで、不思議で尊きミュージカルのように。しかしそれを彼は振り払う。猟兵としてのプライドを保つため、自分が信じられる自分自身の創生の為に。
「その力を見せてこい。この世界を壊さず、守り通すために」
 ややあって、彼は白銀に光る右手を、猟兵たちに向けて伸ばした。


川内主将
 初めまして、川内主将と申すものです。今回は敵を蹴散らして、舞台で平和を与えようじゃないか、という趣旨のシナリオになっております。
 集団戦、ボス戦、そして日常と続くフラグメントの中で、どうやって華麗に決着をつけていくのでしょうか。マスターとしてとても楽しみです。
 舞台では展開によってアドリブも入ったり、複数人まとめて描写する場合もございます。それ以外のシーンでも、ご希望によっては複数人での戦闘描写もガッチリ書きます。
 何はともあれ、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『スケルトン』

POW   :    錆びた剣閃
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    バラバラ分解攻撃
自身が装備する【自分自身のパーツ(骨)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    骸骨の群れ
自身が戦闘で瀕死になると【新たに複数体のスケルトン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ナハト・ダァト
使用技能
[2回攻撃][武器改造][世界知識][医術]

医者の前ニ、骸骨の敵を配置だなんテ。油断が過ぎるネ
骨格を把握出来れバ、効率的に壊すべき部位、能率的に骨折を起こせる叩き方というのハ実に簡単だヨ

【ブラッドガイスト】【バウンドボディ】デ俊敏性と攻撃の鋭さを上げておこウ

[武器改造]
構成が液体だからネ。武器は変化させた私の体ダ。
硬質化、弾性化、届く距離まデ…大体は変幻自在サ

※アドリブ歓迎



 ナハト・ダァトが目を開けた時、そこには闇に包まれた夜の世界があった。領主館のすぐそこ、近くにいた骸骨たちに目を向けて猟兵は失望の色を浮かべる。
「…医者の前二、骸骨の敵を配置だなんテ。油断が過ぎるネ」
 言葉通りに骸骨たちは、突然の敵の出現に反応が遅れている。それを前にして医者は肉体にしなやかな伸縮性と弾力性を付与し、自身の血を以てその武器……自分の身体の封印を解いてその鋭さを磨いていく。
 気づいたように押し寄せてくる骸骨の群れを、まるで診察のように。
「実を言ってしまうと、骨格さえ把握出来れバ、効率的に壊すべき部位、能率的に骨折を起こせる叩き方というのハ実に簡単だヨ」
 医術に基づき知識を知るナハトの液状の身体は啓蒙、血質、神秘の名の下でさらに唸りを上げ、錆の塊を振り上げる骸骨をひらりと躱しながら「AHIH」の言の葉を呟く。
 液状の身体は剣を潜り抜け、骨格を正確無比に、能率的に砕いていく。
「私の身体は変幻自在なのサ。伸びて、戻って…届く距離さえもネ」
 がしゃっ、ぐしゃり。骨の砕ける音のみを響かせながら、医者は今日も闇を診る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花盛・乙女
ダークセイヴァー…この世界には闇が纏わりついているようだ。
払えどもまた新たな闇が覆いかぶさる。抵抗なぞまるで無意味なように。
…だとしても、私は刀を振るい続けよう。
猟兵とはこの世界において、光をもたらす者だろうからな。

先ずは骸骨退治と洒落込もう。
骨があるどころか骨そのものとはひょうげた奴らだな。
面白い。褒美にこの花盛乙女の剣戟を馳走してやる。

【黒椿】を構え戦いに臨む。
近づく者には剣刃の一閃を叩き込み、群れてくるのなら鬼吹雪で蹴散らしてくれる。
バラバラと分裂するのは目障りだが、花盛乙女の剣技の前では児戯にも未たん。

貴様らの不運は二つある。
猟兵を前に引けぬこと。そしてこの花盛乙女に刀を抜いたことだ。



 ふわりと地に立った羅刹の花盛・乙女。彼女もまた、この夜に纏わりつく闇を、遠目で、延々と続く旅のように。
「…だとしても私は、刀を振るい続けよう」
 一筋の光とならんとするが如く、乙女が極悪刀【黒椿】を携えて。集団戦に飛び込んでいく彼女が見えて、骸骨たちも反撃の能率を上げんと、手に赤黒い、ないしは黒みががった橙を帯びた得物を持って振りかぶるのだ。
「なるほど骨があるばかりか骨そのものとは。ひょうげた奴らよ、褒美に花盛乙女の剣戟をご馳走してやろうか」
 目の前に描かれる軌跡すら気に留めない。目と鼻の先でそれを読む乙女の、美しき構えの先で、不用意に近づいてしまったその骸の、一閃により弾け飛ぶのが見えたのなら。
「鬼の吹雪で乱れ散る貴様らの不運は二つある」
 単体で敵わぬと知った骸骨の群れる様に向かい駆け出して。
「猟兵を前に引けぬこと、そしてそしてこの花盛乙女に刀を抜いたことだ」
 舞うは、無数の剣閃。半径20mに吹雪を吹かせて、静かに息を吐け。
「…猟兵とは何度でも、光をもたらす者だろうからな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユノ・フィリーゼ
暗闇を照らすほどの大きな光にはなれなくても
ひとときの安らぎを、平和の夢を
村に住まう人々へ届けられたらいい

悪意の舞台へ終幕を
―さぁ全力を、尽くそうか

敵の攻撃は見切りと残像で躱しつつ、
基本は単騎狙いのヒットアンドウェイ
複数に包囲されない様、周囲の状況確認は怠らずに行動を

死しても尚、眠りに就くことを赦されない
…それはまるで呪いの様、ね

剣を手にし奏で唄うは盟約の歌
鋼鳥の戯れを喚び、骸の兵へと刃を舞わせる

この舞台は"いま"を歩む生在る者に許された舞台
貴方達の居るべき場所では、もうないの

…沢山動き続けて疲れたでしょう?
ゆっくり休んで…おやすみなさい
次の舞台では佳き日々を過ごせます様に
そんな祈りを込めながら



 時にユノ・フィリーゼは、平和の夢を願っていた。安らぎを、村に住まう人々に届けられるように。
「……さあ、全力を尽くそうか」
 向かってくる骸が新しく骨を作り出し、念力に浮かべて飛ばしてくるのが見えて。ひらり、ぶつり。残像の途切れる音、風のふわりと流れる音と共に、彼女は進み、群れる骸ではなく、独立していた骨組みを一つ一つ、剣でもって壊していく。
 囲まれないようにしていたところへつうっと、骨が頬に紅い線をわずかに作りながら通り過ぎる。死してなおこうして命を傷つけ、眠ることすら赦されない彼らを見て、まるで呪いのようね、と片隅に思いながら。
「この舞台は"いま"を歩む生在る者に許された舞台。貴方達の居るべき場所では、もうないの」
 唄え、盟約を。目の前の骸たちに捧げる、鋼鳥の舞い踊る刃の群れ。動き続けて疲れた骸骨たちを、無慈悲に、しかして優しく眠りに誘うように。
 次の舞台で佳き日々を過ごせるように、小さな祈りを込めながら少女は前を見る。
「ゆっくり休んで…おやすみなさい」

成功 🔵​🔵​🔴​

甘夏・寧子
さて、今日の仕事だね。骨相手ってのは銃が当てづらそうだねぇ……。ふふ、自信がないってわけじゃないんだよ?
とにかく、派手にやりますか!
基本はクイックドロウを相手に当てて確実に相手を削っていくよ。
骨が飛んできたら弾丸で相殺……とかできないかねぇ?
もちろん、周りに障害物があればそれを盾に攻撃を防ぐのもありだね。
なるだけ向こうからのダメージは喰らいたくないからそこら辺は臨機応変に動くよ。
他に味方がいれば連携したいけど、ま、状況によるかね。


フレイ・ブラッドセイバー
集団戦なら私の出番ですね
ユーベルコードの「我は戦神、叛逆の魔神なり」が発揮できるみたいですが…
見知らぬだれかと……いや、連携できなくても問題ないですよね。え?ぼっち?知らない。
一応前衛ですので後衛の方をカバーできるようには立ち位置を調整しておきましょうか

戦闘中はクールなメイドさん
戦闘時、真剣な時の口調はステータスの通り

素晴らしい攻撃です。感動的ですね……だが、無意味、です。
こちらも命もかかっていますので、消えてもらいます。



 猟兵たちが領主館の守りを切り崩していく一方で、甘夏・寧子とフレイ・ブラッドセイバーの視線が偶然にもかち合う。
「ぼっちにさせると思った? 残念、連携タイムだよ」
「いきなり何の話ですか。いやまあ、ぼっちとか知りませんけど」
 見知らぬ者同士の言の葉の綴り合い。初対面であるにも関わらず、流れる空気は共に同じように馴染んでいく。猟兵同士の協力は、表面だけに留まるものではない。
「アタシ、なるだけダメージは喰らいたくないんで…骨相手は銃が当てづらそうでねぇ。ふふ、自信がないわけじゃないんだよ?」
「分かりました。では、私は後衛をカバー出来るようにしておきましょうか」
 あっという間に作戦は決まり、その場の流れに乗じて骸がまた錆の塊を振り回し、ある骸はまた骨を複製し、猟兵たちのもとへ導いていく。では、それらを彼女らがどう対処するか。
「攻撃対象確認。これより攻撃行動に移り、敵を殲滅します」
 フレイが振るうは殲滅の曲芸。同じ力を宿す自分自身を創り出し、骸の道を切り拓く。
「『我は戦神、叛逆の魔神なり』。こちらも命がかかっていますので、消えてもらいます」
 宣言通りに新月の長剣で空気を裂き、骨を薙いで。同じ存在でも、違う動きが周りを美しく、骸骨の破片で仕上げていく。
「派手にやっちゃってるねぇ! どれ、アタシもっ!」
 派手にやりますか、と熱線銃の閃光を飛んでくる骨に一瞬にして直撃させ、撃ち落としながら。舞うフレイを20分の1秒の援護射撃で支え、骨の群れをひたすらに破壊していく寧子。遮蔽物の存在も忘れず、飛来する薄汚れた白のオブジェから身を守り、舞台に立つ骸の群れの数を減らしていった。
 やがて、数が絞られた時に寧子は捉えるのだろう。フレイ本体の背後に骸骨が剣を振り上げるのを。
「素晴らしい攻撃です。感動的ですね……だが、無意味、です」
 フレイが告げる残酷な言葉の後を追い、クイックドロウの閃光が骸の頭蓋を貫いた。
「いい腕じゃないか。道が拓けたみたいだねぇ」
 冷徹なメイドの視界の端で、寧子は残骸をせせら笑う。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『不服従の賢王』

POW   :    贄の叫び
自身が戦闘で瀕死になると【墓場の亡者 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    闇の嘆き
自身の装備武器を無数の【黒百合 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    葬られる孤独
【死の恐怖 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【有象無象の蛇のかたまり】から、高命中力の【恐れを喰らう蛇】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠揺歌語・なびきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 やがて、猟兵たちは次のステップを踏むのだ。それは、闇を明るく照らすうえで必要な仕事。
 領主館の主の排除。それをこなして初めて、村にしばしの平穏が訪れる。だがその実館の扉を潜り抜けた先には、強い悪の気配がある。それを放つのは、まるで梟のような出で立ちをしたオブリビオン。
 名を、『不服従の賢王』。右足に掴み締めていたまっさらな頭蓋を砕き、賢王は鳴き声を轟かせる。
 猟兵たちは打ち砕く必要があるのだ、この王冠を。村に平穏を与え、安寧が続くように。
甘夏・寧子
【SPD判定】
こいつを倒さないと真の平和は訪れないってか。
いいじゃないか、分かりやすくて。
それじゃあ、やっつけてもいいかい? 答えは聞いてないけどね!

基本はクイックドロウで相手に攻撃していくよ。距離が近かったら足技とかで相手に牽制出来ればいいんだけど、そこは状況を見てやるよ。
相手が飛べるなら翼を撃って落とすのもありかね?



「こいつを倒さないと真の平和は訪れないってか。いいじゃないか、わかりやすくて」
 そう笑い飛ばす寧子は先程の骸の群れを切り抜け、ここまで来た後である。賢王もまた、猟兵の登場に小首を傾げながら、重厚な圧でもって賞金稼ぎを威嚇し……やがて、黒百合の花びらを吹かせて嘆きを表現する。
 花言葉は、呪い、復讐。
「それじゃ、やっつけても良いかい?」
 許可など降りるはずがない。言葉に耳も貸さず、賢王は黒百合の舞う宙を、翼をはためかせ。
「答えは聞いてないけどね!」
 猟兵もやはり耳は貸さない。翼を一瞬にして熱線銃の閃光が貫き。クルクルと温度を保ったブラスターを取り回す音、グルグルと錐揉みになりながら低空で寧子に迫る音。
 二重の回転は今や対比の上に。
「ほら、どうしたんだい? もっと本気を出さないとねぇ!?」
 復讐の黒百合の、呪いが染み出すのも構わず、綺麗に身体を捻り、右脚を豪快にその肉体に叩きつけろ。
 賢王の呻く音が、闇に吸い込まれ消えていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

花盛・乙女
賢王とは吹いたものだな。
3歩歩けばなんとやらというのが鳥の性と思っていたぞ。
まぁいい。人に害なす意思が貴様にあるなら、私はそれを叩き斬るだけさ。

鳥だからな。空を飛ばれるとこちらとしては厄介だ。
なので狙うは翼。黒椿と乙女の二振りを構え、奴の風切り羽を落とす。
【雀蜂】、風切り羽を落としたそのままの勢いで不細工な王冠ごと頭蓋を砕いてくれよう。
厄介そうな花びらを舞わせてくる攻撃は鬼吹雪で払いつつ接近だな。


羽ばたけぬ鳥は地に落ちて何を思うか。
答えは死を待つだけだ。

この花盛乙女、未熟なれど剣士の端くれだ。
だが今一時は捕食者として貴様に相対そう。
人々に与えた恐怖に勝る恐怖、その身に受けるがいい。



「3歩歩けばなんとやらというのが鳥の性と思っていたぞ」
 乙女の言の葉は嗤いに色付いている。鳥なれどオブリビオン、命に害をなす意志は根深いものと見定めた。
「この花盛乙女、未熟なれど剣士の端くれだ。だが今一時は捕食者として貴様に相対そう」
 構えるは黒椿に乙女。重く醜い無双の名刀に、母より賜った小太刀の二つは、賢王の瞳に僅かで淡い光を映し出す。
 やがて再び飛び立つ賢王の翼は、走る二振りの光の軌跡によりまた痛みを生む。地に堕ちる鳥は危機を思い、墓場の亡者を作り出す。同じ力に溢れる亡者の、飛ばす花びらを鬼吹雪で払いのける。
 微かに、染み出した呪いも置き去りにする怪力は。
「一撃を避けぬ者には二撃が待つ」
 言葉通りに、亡者を振り切り、正しく勢いを伴う衝撃が、空気をも揺るがしてその王冠に届く。
 空気より骨を伝い、頭蓋と共に王の証の砕ける音が無造作に響いた頃。
「飛べぬ鳥を待つのは恐怖に勝る恐怖だ。覚えておけ」
 死の足音は、闇を切り抜けて闊歩する。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユノ・フィリーゼ
空は貴方だけの舞台じゃない
翼は無くとも貴方に届くこと…証明してあげる

地形を利用しつつスカイステッパーで宙を蹴り、
高所から翼を狙っての剣戟か蹴撃を
既に、彼自身は自由に羽ばたけないかもしれないけれど
亡者もいるし、ね。念には念を

恐怖に瀕しているのは私達ではなく、貴方の方
ねぇ、賢王という名が飾りでないならば、
この窮地を脱する術のひとつやふたつ浮かんでいるでしょう?
…だとしても、逃がしてなんかあげないけれど

そっと指先を向け【花蝕庭園】を放つ

無辜の人々が恐れた闇に今度は貴方が溺れる番
その花達はせめてものはなむけ
然るべき報いを受けて、…眠るといいわ



「空は貴方だけの舞台じゃない」
 今のユノならば、他の猟兵たちと同じように骸を壊していた彼女ならば、翼がなくとも王に届くことが出来るのではないか。たんと優しく地を蹴り、次に宙を蹴り、館の中の地形すらも読んで空で踊れ。
 翼を穿たれている王には、今や空を自由に飛ぶほどの余裕がない。しかし、亡者の放つその嘆きがまともに作用したなら、ユノの心は僅かに震えを起こし、翼を上手く狙うことが出来ず。
 だとしても。
「恐怖に瀕しているのは私たちでなく、貴方の方ねぇ」
 それを読み取ることが出来るのは、彼女自身が手向けの花をくれているから。賢王と亡者が蛇の群れを形成させるのと同時に。
「我が命を糧として、―満ちて、咲け」
 指先より、生命の花の種子。恐れを喰らう蛇がすり抜けてその腕を咬む一方、種子は有象無象を絡めとり、意味を解いてぐるぐるに丸め込み。寿命を削り、育て上げる庭園の出来る様はとても美しい。
「その花達はせめてものはなむけ。然るべき報いを受けて、…眠るといいわ」
 削り削れ、闇の明ける時は近い。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ナハト・ダァト
人間も勿論だガ、ある程度人外にも精通していてネ
君の相手モ、簡単…にしたいところかナ

梟というのハ、夜行性と聞ク
オブリビオンである君もそうなのかイ?

なラ、光は弱点だろウ

ついでにその翼、私の触手で焼いて、凍らせておけば
筋・骨格は血流が滞っテ動かしにくくなるんじゃないかナ?
物理療法ダ
使い方を誤れバ、こうして傷つけてしまうけド
君には正しい使用法だったようダ

使用技能
[2回攻撃][武器改造][目潰し][属性攻撃][傷口をえぐる]
[オーラ防御][カウンター][世界知識][情報収集][医術]

戦闘
触手は使える数だけ光のゲートを使って召喚
【バウンドボディ】【一ノ叡智・王冠】飛距離と攻撃の強化ダ

※アドリブ・連携歓迎



 医者はやはり、賢王の体の組成にも着目している。
「人間も勿論だガ、ある程度人外にも精通していてネ」
 深淵から触手を呼び出そうとしていたナハトがそう呟く根拠は理にかなったものであることがほとんどなのだろう。
「オブリビオンである君も梟で夜行性なのカイ? なラ、光は弱点だろウ」
 ぽっと現れる多くの光の門の深淵から、百の触手が顔を出し。再び弾力と伸縮性が付与されながら、一ノ叡智・王冠は改めて医者に啓蒙、血質、神秘を施す。
「その翼…私の触手で焼いテ、凍らせておけバ」
 言葉の通りに、触手はどこへでも伸び…賢王や亡者がもう一度集めた有象無象も、恐れ知らずの蛇さえも喰らい、一本は翼を、一本はその視界を。あらゆる角度から何度でも施される物理療法が、王の肉体に流れる血を滞らせ、筋と骨格をも鈍らせる。
「使い方を誤れバ、こうして傷つけてしまうけド。君には正しい使用法だったようダ」
 一人納得し、安心したように零すナハト。今や賢王は、あまりの光の洗礼に屈しかけている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナハト・ダァト
さテ…そろそろ限界かナ?
夜はいい加減明けてしまわないとネ。

いつまでも暗いままでハ、世界は面白くないヨ

技能
[2回攻撃][傷口をえぐる][武器改造][早業][カウンター]
[医術][罠使い]

伸縮可能な触手
【八ノ叡智・栄光】で本数を増やしテ
追い詰めるヨ

当てるのが可能な距離まで誘導
近距離は苦手と思わせておいて
[だまし討ち]ダ
効くだろう?君の構造は把握しタ
そこが弱点だネ

※アドリブ歓迎



 ややあって、再び医者の声が闇の空間を駆けぬける。
「さテ…そろそろ限界かナ? 夜はいい加減明けてしまわないとネ」
 賢王は今や、立つこともやっとであると見えた。そんな事実を今一度確かめながら、再び覚えさせるようにして、暗いままの世界に光を差し込まんと、ナハトは再び百の触手を、深淵より王に向け伸ばす。
「いつまでも暗いままでハ、世界は面白くないヨ」
 賢王はその手には乗るまいと、墓場の亡者を呼び出し…先ほどよりも多い数の勇気ある蛇が、有象無象と共に暴れ、着実に抜け道を描いていく。亡者と共に、ナハトを二つの衝撃で貫くために。
 でも、それで良いのだ。それすらもあくまで、医者の診察内であったのだから。
「ありがとウ。君の構造ガ良く把握出来ル」
 観察眼たるや凄まじく、距離はちょうど30cmで。神速の五ノ叡智は厳正の名の如く、賢王と亡者の弱き傷を、2度正確に、深く抉るように。
「効くだろウ? そのまま夜明けを待ちたまエ」
 もうすぐで、夜が終わる。

成功 🔵​🔵​🔴​

蛇塚・レモン
【WIZ】
トドメはボス級オブリビオンの辻斬りに定評のある、
あたい“たち”にまっかせなさぁ~いっ!

今までの戦闘を【学習力】で把握済み
死の恐怖に負けないよっ!
【勇気】を振り絞って【気合】を入れて恐怖心を吹き飛ばす!
あたいには蛇神様がいるもんっ!
一緒に居れば何があったってへっちゃらだよっ!

ユーベルコードで蛇神様を呼び出して、一緒に突撃っ!
飛んで逃げようったって、そうはいかないよっ!
あたいも【念動力】で体を浮かせて【空中戦】だよっ!
蛇神様の呪縛と【呪詛】【マヒ攻撃】からの、
あたいの【念動力】+蛇腹剣の【衝撃波】で地面に墜落させるよ

トドメは神通力で光学【迷彩】を纏い
直上からのオーラガンで【だまし討ち】!



 『光』は突然差し込んだ。
「あたい“たち”にまっかせなさぁ~いっ!」
 叫ぶ蛇塚・レモン。単数形でないのは、彼女には蛇神様と言う存在があるから。
「あたいには蛇神様がいるもんっ! 一緒に居れば何があったってへっちゃらだよっ!」
 恐怖は振り払われ、勇気と気合が彼女を突き動かす。宙に描かれる魔方陣より来たる白き大蛇神は、賢王たちが必死の抵抗で呼び出した蛇たちを喰らい、逃げ回る王を呪いで縛る。加え、振るわれる念の力に蛇腹の黒剣の衝撃波。
 抵抗も出来ずに、地の揺れる音。
「これで、終わりだねっ!」
 纏う騙しの光。神通力による迷彩を得た猟兵は、賢王の真上に。捉えようと見上げた空には何もなく、ただ闇を照らす光のみがある。
 気づいたときには、王はその額を撃ち抜かれ。断末魔を上げて、その闇の床に伏したのである。墓場の亡者も数多の蛇も、気づいた時には影も形もない。まさしく、夜明けは訪れたであろう。
 依然暗いままでも、確かに希望はあった。世界にまた一つ勝利を、刻んだ瞬間が。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『猟兵、舞台に立つ(ダークセイヴァー編)』

POW   :    書き割りの設置など、力仕事なら任せとけ。もちろん、出演もする!

SPD   :    小道具や衣装の製作など、手先の器用さが求められる仕事なら任せとけ。もちろん、出演もする!

WIZ   :    演出や脚本など、センスが必要な役割なら任せとけ。もちろん、出演もする!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 館が静まり、仕事を果たした猟兵たちは村へと向かう。
村では人々が、姿なき圧政より救われた事実をいまだ知らず、不安な面持ちで猟兵たちを見ている。
 猟兵の存在はこのダークセイヴァーにおいては知られていない。しかし、違和感もない。
 人々に希望を示さんがため、希望を今一度、僅かでも与えんがため。猟兵たちは行動を起こすのだろう。それは、確かに光を導く希望の舞台だ。
花盛・乙女
【POW】重視

さて、一先ず悪を退けた訳だが…正直何をしてやれることがあるだろうか。
…生きる糧とは即ち自身の強さを得ることと私は考える。
というわけで、未熟ながら花盛剣術指南として村の若い婦女子に刀の握り方から自己防衛の手段を教えよう。簡易な木刀ならすぐに木を削れば作れるだろう。
なに、最初は難しいかもしれんが日々の積み重ねが肝要だ。
やがて手足の延長のように刀を握ることが出来るさ。

…なに?男には教えないのか、だと?
いや、教えてもいいのだが…男は苦手で…
え?強者を名乗る者がそんな訳ない、だと?
…えーい!わかった!
誰も彼も強くなりたい連中は、この花盛乙女の前に出ろォ!
泣いたり笑ったり出来なくしてやるぞ!



 例えば乙女の場合、強さを生きる糧とし、その種を植えんと村の女子、とくに若い婦女子に剣術を指南する。
「簡単な木刀であれば木を削って作れるだろう。最初は難しいかもしれんが日々の積み重ねが重要だ」
 その言葉に、戸惑っていた者たちは徐々に動き始める。そこら辺の木を言葉通り削って木刀を形作り、またいつ襲い来るか分からぬ闇から己の身を護る手段を猟兵から真剣に拾っていくのだ。やがて手足の延長のように、刀を振るえると信じて。
 しかして、問題一つ。
「な、なあ嬢ちゃん。俺たちにも教えてはくれねえのかい?」
 飛んできた言の葉は意外にも乙女の心を焦らせる。
「なに? …いや、教えてやってもいいが、男は…」
 叩き斬られる文尾。
「あんた、強いんだろ? そんなに強いんだったら、男が苦手なわけは…」
 果たして、一人の剣豪は吹っ切れる。
「…えーい!わかった! 誰も彼も強くなりたい連中は、この花盛乙女の前に出ろォ!」
 乙女がその瞳に有無を言わさぬ光を宿したとき、舞台上の人々の心に微かな希望が灯る。
 今や、花は咲き乱れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

華頂・踏青
【異形の花畑】
院長お困りとあらば噂を聞きつけ合流!
UDCアースで見れるらしいアニメを参考にして…
『ドラゴン少女ドラキュリア』でどーよ!
本当はドラゴンだけどヒーローになって皆を守る正義の味方!

カイジはデカいしナハトはイカついしでビビるけど、
マスコットポジ竜形態の【ドラゴンランス】を槍に変えて応戦!ちょい苦戦!
心揺らいでるヴィサラに【勇気】振り絞って説得!
「あたしだって本当はドラゴンなのに、
皆から好かれるヒーローになれるのかなってずっと悩んでた…
けど!人も人以外も、心から願えばヒーローになれるんよ!」
説得後は二人で力を合わせて!行くよー!
「もち!てかもうあたしら友達だって思ってる!」

アドリブ歓迎


ナハト・ダァト
【異形の花畑】
これモ治療…不慣れな役柄だガ、こなすとモ

・ぴったりといわんばかりの風格と外見で悪役を務める
・謎の世界征服をもくろむ悪の首領。名を「ダァトン」
・ヴィサラ君を「私についたラ、好きなだけ友人をくれてやろウ…」という甘言で誘惑
・他には部下に、忠実な機械。カイジンがいる
・存分に悪役を演じ、最後は正義の味方になったヴィサラ君を踏青クンに倒される。オチは綺麗な爆発演出

※アドリブ歓迎


ヴィサラ・ヴァイン
【異形の花畑】
ナハト先生が困ってると聞きまして、お手伝いに来ました
私の仕事は役者
役柄は
・ゴルゴン。友達が欲しいけど、蛇髪と相手を石化させる視線のせいで畏怖され出来なかった
・悪の首領(ナハト先生)に唆され悪事に協力する……本当は迷っていた。これでいいのかって
・ヒーロー(踏青さん)がやって来て、その真っ直ぐな言葉に心が揺らぐ。そして気がつく。「私は、本当はヒーローになりたかったんだ」
・敵サイドを裏切り味方サイドに寝返る。踏青さんとのコンビで悪の首領を倒す
・戦闘時:蛇髪を巧みに操り、石化の視線を切り札に使用
・決戦後「私と、お友達になってくれませんか?」

……これほぼ私そのまま……恥ずかしいんですけど


カイジ・レッドソウル
【異業の花畑】ナハト医師ノ要請デ合流ダ
本機ハ悪役デ、ヴィサラと踏青ニ倒サレル役カ 悪役ノ基本データハDL済ダ、演ジキロウ
悪役ノ掟
1常ニ猫背
2主役ガ話ストキハ腰ヲ落トシ低クナル ラシイ
本機ハナハト医師演ジル首領二従ウ冷徹ナうぉーましん
ヴィサラが裏切ッタ時に【黒風鎧装】ヲ纏イ
「裏切ルカ、裏切ニハ制裁ヲ」
ト同時ニエナジーブレードヲ出シ
ヴィサラ、踏青ト殺陣ヲ演ジ追い詰めテ行クガ
2人ノ友情パワーノ前ニ
「何故ダ?何故諦キラメナイ」
「グワァー」ト派手に倒サレルゾ
「我が君ヨ、務めを果たせずお許しください」
とナハト医師ニ謝り退場
後は【サイコキネシス】などで臨場感の演出ダ
アドリブ歓迎



 医者ならば、大勢を前にして首を傾げただろう。
「…これモ治療ノ内サ。不慣れナ役柄だガ、こなすとモ」
 そう零しながら、果たしてどうしようかと悩んでいた時に、ふと後ろを見る。
「お困りと聞いて、お手伝いに来ました」
 静かにそよぐ風の一つがある。友の助けを呼んで、連れてくるかのように。
 ヴィサラ・ヴァインは確かにその一人であった。
「舞台に立つなら、いい考えがあるよ! UDCアースで見れるらしいアニメを参考にして…『ドラゴン少女ドラキュリア』でどーよ!」
 舞台の準備を整えるは華頂・踏青。別世界からアイデアを運び、踊る為の助けを差し伸べる。
「舞台カ、悪クナイ。ソレナラバ、悪役ノ基本データハDL済ダ。演ジ切ロウ」
 手筈をさらに堅実なものへと組み上げていくカイジ・レッドソウル。これらの助けがあるおかげで、彼らは舞台上で、光を創り出す為演じることが出来るのだ。
 果たして、その場は異形の花畑が編む暖かな雰囲気で彩られ、何が始まるのかと村人たちがそれを見守る中で。
「…私はゴルゴン。私は、友達が欲しい。でも、それができないのは、この蛇の髪と、人を石化させる視線のせい…」
 いつしか始まった劇場。ヴィサラはこの時、ゴルゴンであった。悪の首領に唆され、傷つけるしかなかった哀れな怪人の有様。
「ねえダァトンさん、本当にこれでいいのかな」
 そう医者を呼ぶ声は、その闇に吸い込まれる。ナハト演じる悪の首領ダァトンが尚もゴルゴンを甘く誘惑する。
「いいのだヨ。言っタだろウ? 私についたラ、好きなだけ友人をくれてやろウとネ…」
 私は、の先の言葉が続かずに、そのまま呑まれてしまいそうなゴルゴンを見ているのはカイジ演じるウォーマシンである。猫背になり、主役が話すと腰を落とし低くなる、そんな悪役のルーティンを満たしながら、機械はなお忠実に。
 ところで、悪があるならばそこにはいつも正義が存在する。
「そこまでだよっ!」
 響く踏青の声。彼女は今やヒーロー、ドラキュリアだった。しゅたっ、とコミカルな着地音すらバックに、30cm程の小さな龍を竜騎士の槍へと転じて走り出す。
「正義の味方…カ。カイジン、行くんダ」
 勿論悪が正義を許すはずはなく、冷酷で無機な機械は少女の討伐に向かう。響く剣戟、感じる気圧。
「くぅ…っ!」
 苦戦する少女の姿に、ゴルゴンは揺らいだ。このままでいいのかと悩んでいたその小さな苦悩の光が。それを視界の端に少女は見る。
「私は怪物、あなたもドラゴン…でも、どうして、」
「あたしだって本当はドラゴンなのに、皆から好かれるヒーローになれるのかなってずっと悩んでた…けどッ!」
 振り絞られる勇気。燃える正義の炎。どうしたって、その言の葉は。
「人も人以外も、心から願えばヒーローになれるんよ!」
 きっと、心のどこかで望んでいたものだから。
「……そっか。私は本当は、ヒーローになりたかったんだ」
 ぽつりと零れた中庸は、真っ直ぐ秩序に傾いて。
「な二……この私ヲ裏切ルのカ。ならばこちらモ、共二始末するだケだヨ」
 程なくして首領は機械に命じる。二つの正義の討伐を。
「裏切ルカ、裏切ニハ制裁ヲ」
 纏えよ黒風凱装。エナジーブレードを描き、鮮やかな軌跡を描いて2人組と共に殺陣を演じ合え。
「よし、力を合わせて! いくよー!」
「はい、正義のヒーローさん」
 呼応する正義の魂で響き合え。引き上げられるサイコキネシスの密度から及ぼされる臨場感に、人々は圧倒されるまま。
 槍で光の弾ける斬撃を躱し、振り乱される数多の髪蛇が正確かつ大胆に機械を追い詰める光景の中で、機械はただ友情の力を認識せざるを得ない。
「何故ダ?何故諦キラメナイ」
 問い。分かり切っていた答えを導くからこそ。
「これが友情の力なんよ! アンタらを倒してっ、」
「私は、私たちは正義のヒーローであり続ける!」
 叫びと共に、石化の視線の感覚と共に一突きの衝撃が機械を駆けぬけたような爽快感。
「グワァー」
「うおおおおおッ!」
 機械は派手に倒されて首領のところへ。
「我が君ヨ、務めを果たせずお許しください」
「くっ、こんなはずでハなかっタ…おのれドラキュリア!」
 派手な爆発と共に、悪は退場する。後に、少女は2人、舞台の中心で向き合って。
「私と、お友達になってくれませんか?」
 差し出された手を、優しく握る音。
「もち!てかもうあたしら友達だって思ってる!」
 ややあって、嵐のような拍手がその場を包み込む。それはまるで、夜明けをさらに明るくする希望のようで。
 勧善懲悪の結末にある友情の証が、闇を照らす光のように輝いていたのだったか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月31日
宿敵 『不服従の賢王』 を撃破!


挿絵イラスト