Drink Drink Drink!
酒。
酒、酒、酒。
酒! 酒! 酒!
女にとって、酒は命の水と呼んでも差し支えないものだった。
喉も相手の船も焼いちまうような火酒が好きだ。
うんちくを垂れるクソを蹴り飛ばしながら浴びる葡萄酒が好きだ。
甘ったるいがぐでんぐでんになれる『Sake』が好きだ。
エールはガキの飲み物だが、たまに飲む分にゃ悪くない。
酒なくして何の楽しみ。
人生は素面では成り立たない。常に世界は波打っているべきだ。この酩酊感があってこそ、最高に生きてるって感じがする。
なのに。
なのに!
だというのに!
「どういう了見だ、オラァ!」
愛銃が火を噴く。クソの頭が風船になったが、まったく気分は晴れなかった。
●
「おお、剣呑剣呑(テリブルテリブル)」
織戸・梨夜(ミズ・オルトロスの事件簿・f12976)は予知の内容を一通り話すと、そんな暢気な感想を漏らした。
「というわけで、分かりやすくヒャッハーな海賊退治です――ああ、失敬。『コンキスタドールの海賊』退治ですね。いやもう、どこに出しても恥ずかしくない暴力の島ですよ」
グリードオーシャンのオブリビオン――コンキスタドールは、根城としている島に苛烈な圧政を敷くことがあるという。
理不尽な掟を以て住民を蹂躙する。そして大抵、その掟に意味はない。『ただ苦しめるために』『自己満足のために』外道の振る舞いをするのだ。
「今回の島の掟は単純で、まずは『アタシに傅け』。過激な女海賊がメガリスを手にした、ということですね。部下も似たような気質です」
ある意味、これ以上無いくらい分かりやすい。暴力の支配する世紀末ということだ。
「それから――こっちがキモだと思うのですが、『新しい酒を貢げ』です。島民も手を変え品を変えやっているみたいですが、まったくお眼鏡に叶わないようで」
島には醸造施設が多数あるらしい。元の世界の遺産だろうが、もはやどこ由来かを考えるのかはナンセンスだ。
重要なのは、コンキスタドールはそれらを目当てにしているということだ。
新鮮な酒を作れ、ではない。『まったく新しいものを毎日開発しろ』と言っている。それは無理難題の類だ。
島の攻略に当たって、梨夜はこんなことを口にした。
「さしあたっては、現地『海賊』の皆さんと交流を図るのがよいのではないかと。酒造の島ということで重宝されていたみたいですし」
グリードオーシャンの能力者である『海賊』にとっても重要な島なら、なるほど確かに協力を仰ぐ価値はある。船旅において酒は娯楽であり、貴重な飲料水でもあるからだ。
「ただまあ……そっちはそっちでアウトローっぽいので、そこは相手の流儀に従っていく感じでいかがでしょう」
こうして、暴力と酒精が渦巻く島へと猟兵たちは乗り込んでいく。
●
「ヘェ、あのネズミ女をぶん殴りに、ねぇ」
島で動いている海賊たちとは早々に接触できた。
絵に描いたようなアウトローの風体ではあるが、明らかに島民を匿うように動いていたのである。
しかし。
「そいつぁ面白い冗談だ。昼間っから飲むのは感心しねえよ」
明らかに歓迎されていない。
ぞろぞろと仲間を引き連れ、今にも殴りかかってきそうな気配がした。
「どうしてもってんなら……そうさな。ちょっと遊んでいこうや」
そうして差し出されたのは、サイコロ、カード、その他諸々の賭博道具。
「収めるもんを収めてくれりゃ、考えてやるよ」
――カモにしてやる。海賊はそう酷薄に笑った。
むらさきぐりこ
(グリードオーシャンは)初投稿です。
世紀末ヒャッハーなハクスラです。
まさに金! 暴力! 世紀末!
お酒の臭いが染みついてむせます。
第一章はギャンブル勝負です。(安易に暴力に訴えるとちょっとまずいかも?)
第二章、第三章は戦闘となります。
基本的に殴り合いです。
以上、よろしくお願いします。
第1章 冒険
『賭博師たちの流儀』
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POW : 所持品などを質に入れて借金! 大口の勝負!
SPD : 指先のテクニックで勝ちを狙う。場合によってはイカサマも……
WIZ : 記憶力や戦略、あるいは心理戦がカギ。このゲームには必勝法がある!
👑11
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ミア・ウィスタリア
ははーん、大層な自信ね(絶対何か仕込んでそうだけど)
いいわ、乗ってあげる。お尻の毛が無くなるまでスッカラカンにしてやるから覚悟しなさい!
UCは最初から発動させておく。
そうねぇ、でもぉアタシお金ないからぁ〜カ・ラ・ダ、でも良い?
勿論エッチな意味でね?(誘惑+挑発)
あぁ気にしないで。アタシ老若男女行けるクチだから。
何で勝負するのか知らないけど、SJ93224も全開にした色仕掛けで勝負に集中出来なくして上げるわ。
その隙を付けばイカサマ仕放題! チョロいもんよね。
ま、万が一バレても色仕掛けで誤魔化すけど。
勝負とは水物であり、時の運である。ましてそれが賭博ならなおさらだ。
運を操作するなど、よほどの権能でもなければあり得ない所業である。
なので。
「ははーん、大層な自信ね」
身長約一メートルの少女がずずいっと前に出る。
むくつけき大男で構成されている海賊と並べると、一見あまりにも頼りない。
「いいわ、乗ってあげる! お尻の毛がスッカラカンになるまでむしりとってあげるから覚悟しなさい!」
ミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)は胸を張って堂々と宣言した。身長に対してあまりにも豊満な胸部に男どもの視線が揺れる。ピンクを基調とした扇情的な服装も相まって、男達の理性が蕩けていく。
「言うじゃねえの嬢ちゃん。で、大口叩いたからには相応の覚悟は出来てんだろうな?」
それでもリーダー格らしき男はつとめて冷静にカードを切る。
ゲームはポーカー。駆け引きが何よりも物を言う心理戦、
「そうねぇ……。でもねぇ、アタシお金ないから~カ、ラ、ダ、でもいい?」
ぐしゃ。男の手元が狂った。
「は――は? 意味分かって言ってんのかガキ」
「えぇ~、エッチな意味以外に何があるのぉ~?」
ぞわり。淫靡な言葉が男の耳朶を打ち、理性を蝕んでいく。
「あぁ、気にしないでね? アタシ老若男女イケるクチだから。――ああ、ダメよぉ。そういうのは、アタシに勝ってから、ね?」
勝てばこの『女』を好きにして良い、と。その言葉はとても情熱的で、蠱惑的だった。
――大丈夫、余裕だ。だってこの手の勝負はいつものこと。ちゃっちゃと済ませて、それから容赦なくいただいてしまおう。
そして、結果は言うまでもなく。
「スペードのロイヤルストレートフラッシュよ! そっちはフォーカード? アタシの勝ちぃ~! チョロいもんよね!」
端から見れば明らかにイカサマの応酬によって、ミアは勝利を収めたのであった。
これでまずは一勝、
「……って、あれ? お兄さんたち、ちょっと目が怖くね?」
勝負は終わった。『掛け金としての』ミアの身体は解放された。
が、それはそれとして、据え膳食わぬは男の恥というか、挑発されて我慢出来るほど海の男達は理性的でも紳士的でもないというか。
たっぷり幻惑と誘惑をかけ続けられた男達は、すっかり野獣の群れと化していたというか。
「いきなりちょーっとこの人数はキッツいかな~~~!?」
ああ、勝負は『水』物ってそういう。
この後どうなったかはご想像にお任せします。
成功
🔵🔵🔴
ユノ・ウィステリア
ギャンブルも突き詰めればゲームですよね。
面白そうです。受けて立ちましょう。
あぁ、一応最初にルールを聞いておいていいですか?
わたしやるのは初めてなので。(初心者を装い油断させる作戦)
賭場に入ると同時にUC発動。
目立たないように昆虫サイズの超小型機を選定して沢山放っておきますね。
後は【学習力】を駆使して普通にプレイします。
皆さんの手の内は、覗かせてもらいますけどね。
「……ミアちゃんったら……」
妹の『戦略』を前に、ユノ・ウィステリア(怪異蒐集家・f05185)はため息を吐く。いざという時はフォローするとして……。
「はーっ、野郎どもはこれだからね」
ユノが相対するのは主に女性の海賊たちだ。
「それで? ピンク同士、嬢ちゃんも色仕掛け?」
「しませんよ。正々堂々、ゲームを楽しみます」
「そうかい。そいつは何より」
ギャンブルとはいえゲームには違いない。言ってしまえば、金品や命をリスクとして賭けるかどうかの違いでしかない。
――面白そうです。受けて立ちましょう。
「あ、すみません。一応、ルールを確認させてもらえますか?」
「うん?」
この卓でも行われるのはポーカーだ。戦略性が高く、かつローカルルールが多いゲームでもある。認識のすれ違いを防ぐためだろうと女海賊は思い、
「私、初心者なので」
「はあ?」
揺さぶってくるつもりか、と眉の端を吊り上げた。役も知らないのでは話にならない。カモではあるが面白くない。
「いえ、ルールだけは知っているんです。けど、実際にやるのは」
「ああ、そうかい」
いずれにせよカモには違いない。そう笑いながら、カードを投げた。
カモの、はずだった。
「レイズ」
「……ッ!」
一見無謀にも思えるレイズ。しかし、ユノの涼やかな笑みには余裕が感じられる。
女の手はフルハウス。普通に考えれば強気に出ていいところだが――。
最初は確かにただのカモだった。セオリー通りの優等生なプレイだったから、足下を掬うのは簡単だった。
なのに、回数を数えるごとに飛躍的に上手くなっていく。
まるでその場で成長しているかのような――。
「どうしました?」
先ほどの痛烈な負けが尾を引いている。突っ張った結果、読み負けた。
「……フォールド」
「はい、ではオープンですね」
果たして、そこにあったのは。
ブタ。役無し!
「はっ、参ったよ! どこが初心者だ。ブラフならもっと上手くやりな!」
「いえ、本当に初心者でしたよ?」
――ただ、皆さんのプレイを参考にさせて貰っただけで。
とても小さな昆虫型のドローンが、女海賊の手を覗いていた。
加えて、この場でポーカー勝負をしている全員の戦略をも観察し、理解し、学習した。
ただ、それだけのことである。
成功
🔵🔵🔴
白斑・物九郎
●海賊ルックでエントリー
遊びで歓待すんのがおたくらの流儀っスか
なかなか殊勝な心掛けじゃニャーですか
褒めて遣わす
(海賊共に囲まれようとも微塵も怯まず臆さず、むしろエッラそうに行く)
・ダイスでクラップスでも丁半でも、極端に運否天賦に寄った種目を選ぶ
・小細工抜き
・ただただ【野生の勘】に任せて出目を言い当てに行く
・逆に相手方に小細工やサマの気配を気取ったら、仕掛けが打たれた器物や箇所を『心を抉る鍵(小)』の指弾(投擲)でブチ抜く
収めるモン、収めて貰いましょっかな
俺めがおたくらに出させてえのはモノじゃねえ
畏れろ
敬え
俺めのコトは、キャプテンと呼べ
(近場の沿岸に【砂嵐の王・死霊大隊】による自船を具現する)
『海賊』といえど、必ずしも全員がいかにもな装束というわけではない。
この世界での『能力者』の生き方が自ずとそうなるから、という理由の方が大きい。
よって。
「――遊びで歓待すんのがおたくらの流儀っスか」
髑髏をあしらった海賊帽。黒に金縁をあしらった装束。
白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)が『いかにも』な海賊ルックで現れたことで、場は騒然となった。賭場の側にはこれまた立派な帆船が出現している。
「なかなか殊勝な心がけじゃニャーですか。褒めて遣わす」
その、あまりにも傲慢な物言いすら様になる。すわ世紀の大海賊かと見まごうような出で立ちだった。
「……って、飲まれるんじゃねえ! 殺されてえのかクソガキ!」
我に返った一人が物九郎の口ぶりに激昂した。
現状がどうあれ、ここは自分たちの縄張りである。
それをどこの馬の骨とも分からぬ奴が、現れて早々どこまでも上から。
聞き流すには到底無理な暴言であった。
「ほー。ちったぁ骨のある奴もいるじゃあねっスか。この俺めに喧嘩を売れるとは、随分とまあ」
「…………ハッ、まあいいさ。ガキを囲むのは趣味じゃねえ。代わりにその尻尾まで毟ってやるよ」
その理性的な判断を、物九郎は内心で評価する。口に出すのは控えておいた。混ぜっ返して時間の浪費をするのも面白くない。
「で、だ。ゲームはどうする」
これまでの流れから、海賊はまたもカードゲームを行うだろうと踏んでいた。この連中は小細工が得意だから、そろそろサマを返してやろうと――。
「ン」
物九郎が選んだのは、シンプルなダイス勝負だった。
「二・五の半」
「出目は2と5――――は?」
一体何が起こっているのか、海賊達は理解出来なかった。
賽子の丁半勝負。それはいい。二分の一を連続で当てるのは、まあないこともない。
だが、『出目まで当ててくる』となってくると話は変わってくる。
「お、おい、テメエ一体どんなサマを……」
「ハ。道具を用意したのはそっち。俺めが一切手を出してないのは、おたくらがよーく知ってるじゃニャーですか」
視線を塞ぐように作られたカップ、隙間のないテーブルとシート。
果たして透視か、あるいはもっと人知を越えた能力か。
「ピンゾロの丁」
「1、1――おいおいおい!」
分かるわけもない。物九郎は『ただの勘だけでこの未来予知を成立させている』。そんな単純にして超常の現象を。
「――さて、収めるモン、収めて貰いましょっかな」
趨勢は決した。この状況を物九郎の圧勝以外に呼称する他はない。
「……何が望みだ」
「俺めがおたくらに出させてえのはモノじゃねえ」
――畏れよ。
――敬え。
「俺めのことは、キャプテンと呼べ」
「……やられた。完敗だ、キャプテン」
重畳、と物九郎は頷いた。
大成功
🔵🔵🔵
玉ノ井・狐狛
アドリブ等お任せ
WIZ
ゲームで決着――イイねぇ、荒事は専門じゃねぇんだ。
むしろ助かるぜ。
そうだな、カードがあるならポーカー系にするか。
ルールがわかるなら、テキサス・ホールデムあたりでどうだい?
方針:
開始からしばらくは、確率上の最善手どおりにプレイ。
そのうち“たまたまこっちの勝ちが続く”タイミングが来るだろ。それを待つ。
そこで言ってやるのさ――「このゲームには、必勝法がある」「島ン中だけでやってたなら、知らなくてもしょうがねぇか」ってな。
実際そんなモンはないが、続いた勝ちと、種目を指定したコトを踏まえて、“あるかもしれない”と思わせるのが狙い。
ポーカーでの動揺したヤツなんて、ただのカモだからな。
「ゲームで勝負か――イイねぇ」
着物を纏った妙齢の少女が、はすっぱな言葉遣いをする。
「あいにく、荒事は専門じゃねぇんだ。むしろ助かるぜ」
その振る舞いはどこか気品があるようで、しかし確かにアウトロー側のそれだった。
玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)は、状況を見て呵々と笑う。
「つっても、ほぼほぼアタシらの勝ちってところかね?」
猟兵たちは着々と勝ちを収めている。流れは完全にこちら側だが――。
「まだまだ。アンタから勝ってトントンだぜ、嬢ちゃん?」
折れていない、と海賊は宣言した。
「そうこなくっちゃあなあ!」
狐狛はまたもからからと笑った。
そうして指定した種目はポーカー。テキサス・ホールデム。
場の五枚のカードと、各人の手札二枚を使って役を作るタイプのゲームである。
主にUDCアースのアメリカ合衆国、ないしそれに近い国で最もメジャーなルールだ。
そしてこのルールの特徴は――。
ハートの8、スペードのK、クラブのJ。
「コール」
「レイズ」
完全に心理戦であることだ。
手札は最初に配られたきり。五枚のコミュニティカードも入れ替えはない。いかにして掛け金を釣り上げるか、あるいは損失の少ない段階で降りるか。
そういう意味で、手札を入れ替えられる麻雀ともまた違う勝負となる。
狐狛が仕掛けたのは、六巡目のゲームだった。
「なぁ、海賊さんたちよ。まさかアンタら、このゲームの必勝法、知らねぇな?」
「……は?」
三巡目、フルハウス。四巡目、Kと10のツーペア。五巡目、Aのスリーカード。
ここまで『狐狛は連勝している』。何かイカサマをしているか、あるいは――。
「ああいや、口が滑った。忘れてくれ。こんな島ン中じゃあ、知らねぇのも無理はねぇ」
「んだとぉ……?」
余裕綽々、といった風の狐狛に訝る海賊たち。手札に関しては完全に運任せのはずだ。どう考えてもそうなるはずだ。――本当に?
それとも、この島の外では自分たちの理解を超えた『戦術』が本当にあると?
あり得ない話ではなかった。だって、そんな実例を見せつけてくる連中がこいつら(猟兵)なのだから。
結論から言えば。
そんなものは、ない。
「ま、狐に化かされたとでも思いねぇ」
平常心を欠いた心理戦で、勝てる道理などあるはずがなかった。
くつくつ笑いながら、狐狛は勝利の余韻に浸ることにした。
大成功
🔵🔵🔵
紅狼・ノア
*アドリブ・絡み大歓迎
あはは!
着てみたらいきなり面白い事になっちゃたなぁ(笑)
今の僕は納められるもの無いんだよねマジで
ん?…サイコロにカード…いろんなのかあるね~
ここにあるすべての賭博で遊ばない?
もちタダでやるつもりじゃないでしょう?(ニヤッ
んじゃ、さっそくどれから行く
今回の相手達は、イカサマばっかりして来るね
まぁ僕に勝てませんけどね
最初、負けるフリしてから最後に勝つ…敗北した顔が楽しみ♪
【野生の勘・第六感・目立たない・挑発・演技】フル活動
誰にもバレないよう全てにイカサマし挑発しながら【情報収集】
さでさでこの後どうする?続ける?やめる?それとも違うので遊ぶ?(黒笑
「あっははははは!」
けらけらと笑う少女の声には、嘲りの色が含まれていた。
「来てみたら、いきなり面白いことになってるなぁ! ほとんどこっちの勝ちムードじゃん!」
黒い髪に狼の耳、中性的な顔立ちに目はとろんと眠たげだ。紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)はそんな自身のかわいげを以て、海賊たちを煽り倒す。
「ねぇ、どんな気持ち? 仕掛けた勝負でよそ者にケツの毛まで毟り取られてどんな気持ち?」
ノアはニタニタ笑う。最高にイイ笑顔だった。
「……よし、ガキ。テメエはその尻尾まで毟り取る」
「えー? それも別の人に言って負けたよねぇ?」
ただでさえ負けが込んでいて、海賊たちも殺気立っていた。
なるべく穏便に。コンキスタドールを倒すという目的は一致しているが、しかし素直に協力を申し出るのも海賊の沽券に関わる。故に落としどころとして選んだのが賭博である。
「はい、僕の勝ちぃ」
「……ッ!」
別に、海賊たちが弱いわけではない。これも彼らの生きる術だ。むしろ本来は強い部類に入る。
しかし紳士的であるのも限度がある。
ましてや面として侮辱されて黙っているようでは、
「でー? そのグラサイでどうするつもりだったの?」
「こんのガキ……!」
ノアの勝負は、完全にイカサマ合戦と化していた。
なりふり構わなくなった海賊たちの、さらにその上を行き続ける。
――言葉で言うなら簡単だが、ここで負けようものならリンチが待っていることだろう。いかんせん煽りすぎたし、ノアには支払えるものがない。
だって、彼らの顔が歪むのが楽しくて楽しくて。それがまた『これが命がけ』であることを演出してくれるから。
「さてさて、この後どうする? 続ける? それとも違うので『遊ぶ』?」
「――――ッ!」
「こんなんじゃ退屈しちゃうよ。ね?」
実際、腕前については期待外れ。
仕方ないから、スリルのレートを上げていこう。
ニタリ、と黒髪の狼は笑った。
成功
🔵🔵🔴
荒谷・つかさ
ギャンブル、ね……
正直言って得意ではないのだけれど。
まあ、要は参らせればいいのよね?
【不撓不屈】発動した状態で挑戦
種目はこちらが掛金の額を自由に決められるものを選ぶ(ルーレットとか)
賭ける対象は大穴一点賭け(0のみ等)
掛金は金貨一枚から開始し、負けたら次は倍額賭けていく(1→2→4→8→16……)
掛金は雪だるま式に膨れ上がっていくけれど、顔色一つ変えずに続けるわ
だって、勝てる可能性があるんだからいつかは勝てるもの
実質、ディーラーがプレッシャーに負けるか、私の(数日コンコンコンして稼いだ)懐が空になるかのチキンレースよ
勝負を降りたいなら全部チャラにすることを要求、ダメならどこまでも続行するわ
荒谷・つかさ(『風剣』と『炎拳』の羅刹巫女・f02032)はおおよそギャンブルに向いている性格とは言えない。
羅刹として強くあれ。筋力を信じろ。何事も正面突破から。
そのスタイル故に、力押しが通じないテーブルゲームとは相性が悪い。
けれど荒谷つかさはへこたれない。
と、いうか。
「お、おい。そろそろ」
「1024」
一〇回目のチャレンジ。既に掛け金は2の10乗に乗り上げた。なおチップ一枚につき金貨一枚とする。
選んだ種目はルーレット。運任せのゲームである。
そして、大胆にもつかさは「0」にのみベットし続けるという大胆不敵な作戦に出ていた。
……転がったボールはあっけなく別の数字に入、
「2048」
「えっ」
「金貨2048枚よ。早く回してちょうだい」
負債は雪だるま式にふくれあがっていくにも関わらず、顔色一つ変えないつかさであった。あまりの気迫と万が一的中した場合に、ディーラーを努める海賊は尻込みする。
荒谷つかさはへこたれない。チャンスがある限り、不撓不屈(ネバーギブアップ)の精神で立ち上がる。
……ちなみに、実際には確率計算で安定して勝つことができるゲームだったりする。そこんとこつかさは苦手なのである。
いわゆる一つの無謀(ロマン)プレイ。
「3万、」
「ま、待て待て! ここまでにしねぇか!? 流石に払えねぇだろ!」
掛け金が2の15乗に乗った辺りで、ディーラーの心が先にくじけた。万が一0に入ったら。ケツの毛どころじゃ済まない。それこそモツを全部売り払うハメになりかねない。
「あらそう? 降りるっていうなら、この分はチャラでいいのよね?」
「そ、それは……い、いや、でもだな。ここまでは俺の勝、」
「それじゃあ続けましょう。回して」
「降ります! チャラでいいです! あざっした!」
ある意味、もっとも恐ろしい『勝ち方』であった。
「数日コンコンし続けた甲斐があったわ……」
ちなみに、掛け金はつかさの手持ちをちょっとオーバーしていた。諦めなくて良かった。これはそういう話である。
そういう話か?
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『海賊団員』
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POW : 身ぐるみを剥ぎなぁ!
【ナイフ】による素早い一撃を放つ。また、【服を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD : おとなしくしろぉ!
【敵の背後】から【アームロック】を放ち、【痛みと締め付け】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 働け奴隷共!
戦闘力のない、レベル×1体の【奴隷】を召喚する。応援や助言、技能「【かばう】」を使った支援をしてくれる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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一部の勝負で一悶着あったものの、無事に海賊たちの協力を得ることに成功した。
「こっちだ」
海賊たちの案内によって、一行は島を進む。
酒精の甘ったるい匂いが漂っていて、今もどこかで醸造施設が稼働しているのだろうと思われた。
「あのネズミ女の根城はこの先だ。……とはいえ、手下の連中もたむろしてる。酒臭ぇからすぐ分かると思うぜ」
コンキスタドールの仲間どもは常に酔っ払っている――そういうことらしい。つくづく、この島と相性が良いようだった。
「……腕の良い職人も多いからな。可能なら助けてくれるとこっちも助かる」
無辜の民を人質として使ってくる。その程度には下衆な連中ということなのだろう。
「俺たちは俺たちで突破してみる。武運を祈るぜ。それじゃな!」
●
鼻を突く、酒の臭いがした。
「ヒャハ、ヒャハハハ!」
泥酔しているのだろう。前後不覚になっている。それでいて、手にした武器は誰かを殺そうと楽しげに動いている。
そのうろんな瞳が、猟兵たちを見た。
「男だぁ! 女だぁ! ガキだぁ! 殺せぇ!」
「よこせぇ!」
「バラバラだぁ!」
そして、問答無用で襲いかかってきた!
(注:現地海賊の協力を得たい場合、プレイングに記載してください。そうでない場合は登場しません)
玉ノ井・狐狛
※アドリブ等お任せ
おいおい、その物騒な得物をしまってくれよ。
こっちァ手ぶらなんだぜ。
いや、ひょっとすると。
刃物をチラつかせねぇと女子供の相手もできない輩かい、お兄サンよ。
そりゃ悪かったな、そっちの事情も知らずに。誰にでも困りごとってのはあるモンなァ。
……と、▻挑発。
キレるか、あるいは逆に油断するか。
どうなるかは相手によって違うかもだが、いずれにせよ平常心でなくなればイイ。そしたら攻撃が雑になるだろうからな。
◈UC使用。
ナイフを▻見切り、そこから▻カウンター。
周囲にテーブルでも椅子でも樽でも、適当に堅いモンがあるならそこに叩きつける。
えぇと、身ぐるみをどうとか言ってたな。
適当にかっぱいでおくか。
「ヒャハハハ! うめえ、うめえよ! よりどりみどりだぜ!」
海賊たちの目は既に正気ではない。完全に酩酊しきっている。
どうやら猟兵たちを『新たに現れた玩具』としか認識していないようだった。
「おいおい、その物騒な得物をしまってくれよ」
故に、玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)が前に出ると、酒臭い男たちは俄然盛り上がった。
「ヒャハア! 上玉だ上玉! カモがネギしょってやってきやがった!」
「破廉恥な格好しちゃってまあ、遊びたいんだなぁ嬢ちゃん?」
げらげらげら。
目の前に現れた和洋折衷の少女を見て、完全に舐め切った態度でいた。
よって、狐狛はこう返した。
「――あァ、なんだ。刃物をちらつかせねぇと女子供の相手もできねぇ手合いか、お兄さんら」
余裕綽々な狐狛の言葉に、ぴたりと哄笑が止んだ。
「いや、いやいや悪かった。誰にでも困り事ってものはあるもんだしなぁ。アタシも配慮が足りなかったよ」
げら。
げらげらげら。
げらげらげらげらげらげらげらげら。
「舐め腐ってんじゃねぇぞこのガキャァ!!」
「刻んでから■してやらァ!!」
男達は血相を変えて、ナイフを狐狛の顔面めがけて振り下ろし、
「――そら、お返しだ」
ごしゃり。
世界がひっくり返って、そのまま戻らなかった。
さながら、格闘ゲームの当て身技のよう。
三人で飛びかかったむくつけき男たちが、狐狛の目の前でくるりと天地が入れ替わる。そしてそのまま酒樽やテーブルに叩き付けられる。
運が悪かったのか一人ほど岩の上に墜落したが――。
「悪いな、親満だ。ハコ割れは自己責任ってことでひとつ」
しっかしケチだねぇ、と狐狛は毒づいた。身包みを剥ごうにも、ろくなもんを持ってやしねえ。
成功
🔵🔵🔴
紅狼・ノア
やっぱり賭博はいいね!
すっごい楽しかった~
ん?…うわっ酒臭い‼⁉
しかも集団でこっちにきたし!
ちょっガルム!闇で【捕縛】
【第六感・野生の勘】をフル活動し【目立たない・闇に紛れる・忍び足】で敵の武器を回収し現地の海賊さん達に渡そうかな【盗み】
捕縛されてる敵に追加酒でぼっくりとイってもらうのもいいね(ニコリ
ガルムの闇に掛からなかった奴らはどうしようか?…まぁ狩る以外にないよな(黒笑
僕とスピード戦する?ガルムと連係で【部位破壊・挑発・怪力】を繰り出すよ
傍から見たらイヤーな戦いに見えるんだろうなぁ
多分、体の部位が待ってるんだろうね(てへ
まぁスリル満載で面白おかしく戦えるのなら何でもいいや~
紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)はほくほくしていた。
――やっぱり賭博はいいね!
煽りまくった手前、決して海賊たちのウケは良くなかったのだが……そこはそれ、共通の敵がいるということで手打ちとなった。
つまり負債はチャラ。これもまたノアを上機嫌にさせてくれており、
「うっわ酒臭ッ! しかも集団でこっち来たし!」
その気分を台無しにさせてくれるくらいには、不愉快な敵だった。
「ヒャア! がまんできねぇ、ガキだ!」
「ウヒョウ、たまんねぇ!」
ノアを見る男たちの目は血走っている。
酩酊状態、つまり理性がなく、そして察するに――。
「ガルム!」
ノアが友の名を呼ぶと同時に闇が奔る。
ここは森の中だ。闇には困らない。余人には影が縦横無尽に伸びたように見えたであろう。
本来質量を持たないはずのそれらが、武器を持っていきり立っている連中を絡め取る。
「はぁ、びっくりしたよ」
言葉とは裏腹に飄々とした様子のノアである。これもまた命の削りあいだ。悪くはない、決して。
「どう、おじさんたち。緊縛プレイとか好きでしょ?」
小悪魔のようににんまりと笑いながら、ノアは捕縛された男たちに近寄る。
「――ッ!!」
「ッ! ッ!」
どうやら怒っているらしい。だが口を塞いでいるため言葉に出来ない。
ノアはニヤニヤと嫌らしく笑った。
「お酒が好きなんでしょ? だったら――」
どん。
瞬間、ノアの背後から首筋に向けて圧が迫ってきた。
捉え損ねた敵がいたのだ。酩酊しながらも隙を伺っていた男はノアの細い首に腕を回して、
「僕とスピード戦するつもりだったの? それで?」
闇に紛れた漆黒の狼に、その腕を丸ごと囓り取られた。次いで首筋を噛み千切られる。
「お膳立てしたんだからさ、もうちょっとスリルを見せて欲しかったなあ」
ノアは捕縛した男たちに酒を飲ませ続せる。オブリビオンとはいえやがて中毒を起こすだろう。
「ま、いっか。武器とかもらっていけば海賊さんたちも許してくれるでしょ」
黒狼の少女は、ニタニタと笑っていた。
大成功
🔵🔵🔵
白斑・物九郎
●POW
●現地海賊に協力要請
おたくらの方が土地の勝手にゃ通じてそうですしな
カタギの衆を見付けて連れ出す方の仕事は任せまさ
・醸造設備、特に可燃性液体の在り処に【野生の勘】でアタリを付けつつ戦場を【ダッシュ】で横断
・現地海賊らの突破の為の猶予を稼いでやるべく敵を一旦引き付ける
・敵を程度引き付けた所で、醸造設備、タンク等を目掛け、拳銃『L95式サイドアーム』から銃弾を【早業】でバラ撒く
・穿ったタンクから可燃物を周囲にブチ撒けた所で【ヒートドライブ】
・炎の【属性攻撃】で周囲を【なぎ払い】【蹂躙】し火の海にする
・延焼をいいように制御
・敵の「人質または現地海賊への干渉のシャットアウト」を目的に炎の路を形成
島自体に酒精の匂いが漂っている。おそらくは平時よりも。
「島民連中は酒造りに追われてる」
過労死するか『ネズミ女』一行のご機嫌取りに失敗して殺されるかの二択というわけだ。
「ほー、ならカタギの衆を見つけて連れ出す方の仕事は任せまさ」
その話に特に気負うことなく、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)はさらっと言った。
「いいのか、キャプテンさんよ。ヒーローの見せ所だぜ?」
「おたくらの方が土地の勝手には通じてそうですしな」
なるほど合理的だ、と海賊は頷いた。
醸造施設の有様は、端的に言って地獄だった。
「おいおいおい、こりゃあ昨日も飲んだぜェ?」
「姐さんは『新しい酒』をご所望なんだ。わかってんのかテメェ?」
ぐでんぐでんになった手下どもが、酒が出来上がった側から飲み干していく。
「ひ、ひぃぃ……。お許しを、お許しを……!」
島民はあらがうすべを持たない。反論しても無意味だと屈服させられてしまっている。
「駄犬」
物九郎は、そんな圧制者どもの頭を思い切り蹴り飛ばした。どこから来たとも分からぬ、神速の移動であった。
「支配する方もされる方も考えなしの犬じゃニャーですか」
そして凄惨に笑う。
「なんだァ……てめぇ!」
突然現れて楽しみを邪魔された敵は、血相を変えて物九郎に襲いかかる。
あまりにも粗暴だ。だからこそ御しやすい。
物九郎はしゃなりと猫そのものの動きで敵の攻撃を潜る。その間に海賊たちが島民を連れ出すのを見届け――
「おたくらは俺めの船にはいらねぇっスわ」
醸造施設、その成果物が詰まったタンクを、引き抜いた拳銃で容赦なく破壊した。
特にアルコール度数の高い液体が床にぶちまけられ、
「ザ・レフトハンド――【属性攻撃・炎】ON」
物九郎の左腕が燃えた。そして気化したアルコールに着火し、どんどん延焼していく。
「ひ、ぎゃ、あぎゃあああああ!」
近くにいた悪漢どもは容赦なく消し炭と化した。すぐに辺り一帯が火の海と化すことだろう。
「おいおいおいキャプテン! これじゃ俺たちも逃げられ……あれ?」
――いや、不思議なことに『炎の道』ができていた。仲間の海賊たちと、島民たちだけを逃がすように作られた不思議な道が。
まったく、底が知れない。海賊はそう内心独りごちると、ありがたくこの機会を利用することにした。
成功
🔵🔵🔴
荒谷・つかさ
※現地海賊に協力要請
現場へ向かう前に【頒布版・超★筋肉黙示録】発動
協力してもらう海賊たちに本を渡して、即席の強化脳筋バーサーカー集団に仕立て上げる
その際私の「怪力」を見せつける事で効能に説得力を持たせつつ、力ずくで統率する
戦法としては丸腰の私が囮を兼ねて斬り込み、海賊たちは私の合図で闇討ちから袋叩きでの殲滅を担当してもらう
「殺れ」「止め」の合図だけ聞いてくれれば上等よ
中々勇ましいじゃない、結構素敵よあんた達。
そうね、ご褒美に一夜を共にしてあげてもいいくらい。
まあ、そこで私をモノにできるかはあんた達の素の筋力次第だけれど。
(拾ったナイフを紙屑のように丸めて棄てながら)
ふふ、期待していいのかしら。
「ヒャッハー!」「ヒャッハー!」
むくつけきオブリビオンたちは汚い声でがなり立てる。
「ど、どうかお許しを……」
「なんだぁ? 金?」「今じゃケツを拭く紙にもなりゃあしねえってのによォーッ!」
「こ、この種籾だけは……麹に使うんです……」
「俺は明日より今日が欲しいんだよォーッ!」
どこに出しても恥ずかしくない世紀末が展開されていた。というかちょっと時代を逆行していた。あるいは蛮族というものはどこもこうなのやもしれぬ。
もっとも、連中が求めるものは酒である。それは終始徹底している。
つまり、こんな茶番は酔漢の余興でしかない。愉悦のためだけの圧政だ。
そこにふらりと一人の女が現れた。
額に赤い角を一本生やした女である。
「お? 女だ女だ!」「こっちによこせよ」「まあ待て、ここは平等に行こうじゃないか」
「おい嬢ちゃん、こっちに来ゲブゥ!!!」
迂闊にも手を伸ばした男を、荒谷・つかさ(『風剣』と『炎拳』の羅刹巫女・f02032)はその腕ごと真正面から殴り抜いた。
男はプレス機にかけたような有様となり、凄惨に骸の海へと還っていく。
「殺れ!」
どよめく男たちを余所に、つかさの号令が響く。
すると、
「筋肉!」「マッスル!」「イェイイェーイ!」
それは海賊たちであった。彼らの中でも選りすぐりの腕っこきは、今やつかさの『超★筋肉黙示録』の熱心な読者である。
「筋肉は?」「マッソー!」
そして鍛え上げられた筋肉はよりソリッドに美しく! 敵を刈り取る形へと成長し! この島にはびこる邪悪をぶん殴る!
「筋肉旋風だ!」「きーんにく! きーんにく!」
筋肉の嵐がオブリビオンを巻き込んで粉砕する! 邪悪な強者に阿ることなく、弱者を救うマッスルストーム!
要するに袋叩き戦法であった。
「止め!」
「マッスル!(了解の意)」
こうして世紀末な邪悪は一掃された。島民たちを安全な場所へ避難させ、いったんのミッションはクリアとなる。
想定以上の結果に、つかさは満足げに頷いた。
「中々勇ましいじゃない、結構素敵よあんた達」
「マッスル!(ありがとうございますの意)」
「――そうね、ご褒美に一夜を共にしてあげてもいいくらい」
「き、きんにく……!(たじたじの意)」
「まあ、そこで私をモノにできるかはあんた達の素の筋力次第だけれど」
つかさはそう言うと、拾ったナイフを紙屑のように丸めて棄てる。鋼の筋肉故に。
「ふふ、期待していいのかしら?」
「マッスル、サー!(はい、がんばりますの意)」
お眼鏡にかなう相手がいたかどうかは、また別の話。
大成功
🔵🔵🔵
ライザー・ヴェロシティ(サポート)
・出身世界「アックス&ウィザーズ」の猟兵だ
元の世界でも傭兵として活動していた
依頼の傾向は純戦闘
重視するのは報酬だ(金銭、食事等)
仕事は仕事として割り切るスタンスだな
あとは強敵と戦う依頼を好む
・性格は荒っぽいほうだろう
デジタルとか近未来の文化にゃ馴染みがない
・風属性の魔法を主体とするマジックナイトだ
剣に風属性を付与して行う近接戦闘を主とするぞ
使用するユーベルコードは主に近接の強化
または攻撃のレンジや範囲を補うモノだ
・耳がいい
乱戦時とかにゃ僅かな音を頼りに見えない敵の位置を把握するぜ
ただ耳がよすぎるんでな、歌や高音は聞きすぎると頭が痛くなる
特に歌は嫌いだ
味方なら兎も角、敵が歌ってんなら全力で止める
「オイオイオイ、これっぽっちってこたぁねぇだろうアーン?」
「昨日はもっと作れたじゃあねぇか」
「分かってんのか? お前らは新しい酒を造らなきゃいけねぇんだぞ?」
酔漢たちは島民たちを取り囲むと、ねちっこく詰る。
とうとう一人の少年が切れた。
「そ、そんなの無理に決まってるだろ! 毎日新しいものの開発なんて出来るわけない! 酒の種だってもうギリギリなんだぞ!」
周りの島民は何も言えない。少年の言うことがもっともだが、逆らっても仕方ないという屈服を植え付けられていた。
男たちはゲラゲラと笑い、口笛を吹く。
「じゃあテメェが材料になれや!」
容赦ない蹴り。そして鼻歌交じりに始まるリンチに、島民たちは怯えるしか出来ず、
ざん。
「黙れ」
一瞬のことに、何が起こったのか理解出来なかった。
「その汚い歌を、今すぐ止めろ」
白銀の髪の男が何度も宙を跳ねる。すると剣閃が幾重にも空を舞う。
その度に暴虐の男たちの身体が切り刻まれ、骸の海へと還っていく。
まるで嵐のようだ、と島民たちは呆然と思った。
「……ったく、酒臭え上に音痴な雑魚と来た」
為済ませたことを確認すると、ライザー・ヴェロシティ(Sturm Jaeger・f00188)は吐き捨てるように言う。
そして頭痛をこらえるように頭を押さえた。鋭敏な聴覚を持つライザーにとって、がなり声の鼻歌など下手な毒より有害である。
「あ、あんたは……」
殴られた少年が身体を起こす。ライザーはわしわしと頭を掻いた。
「とりあえずこの一帯はこれで安全のはずだ。あとは事が済むまで安全な場所に隠れててくれ」
『海賊』たちが提供している隠れ家を示すと、島民たちはにわかにざわついた。どうやら本気でこの島から圧政を取り除く算段らしい、と。
「ところで、俺は傭兵でね。助けたからには報酬をいただきたいわけだが」
先ほどのごろつきは期待外れだった。戦意を持てあましている。
かといって衰弱している島民たちから金品を、というのもどうかと思う。
「作ってるっていう酒を一杯もらえるか。一番自信のあるやつを頼む」
是非、と島民たちは頷いた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『紅のフラップテイル』
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POW : ランバリオン
戦闘中に食べた【酒】の量と質に応じて【酔えない怒りで】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : Hangover!
【意識を混濁させる呪われたラム酒】が命中した対象に対し、高威力高命中の【怒りのこもったラッパ銃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 泥酔の杯
【杯から呪われたラム酒の雨】を降らせる事で、戦場全体が【泥酔している様な状態】と同じ環境に変化する。[泥酔している様な状態]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
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酒が好きだ。
浴びるくらい酒を飲んで、ぐでんぐでんに酔っ払うのが好きだ。
盛り上がるのが好きだ。酩酊感が好きだ。潰れて二日酔いになるのも一つの味というもんだ。
味のうんちくなんか知ったことじゃねえ。そんなのは余裕がある連中がやればいい。明日のことも知れない落伍者には、そのくらいが丁度いい。
ただ、あたしはひたすら楽しくやりたかっただけだった。
●
冒険の末に女が手にした『メガリス』。
たくさんの宝石をあしらった杯は、『無限に酒が湧き出す』という理想を叶えるものだった。
だが、呪いの秘宝は代償を女にもたらした。
『お前は獣に堕ちろ』と。
初めから惨めな畜生のような暮らし。そのくらいなら飲み干せると笑った女は、しかし。
――酔えない。
――いくら飲んでも、酔えない!
ハネオツパイ。
変化した先は、『アルコールを常飲しつつ酩酊状態に陥らない』、すなわち『酔わない』獣。
自身が酒に求めるものを、完全に喪失したことに気がついた。
●
「ああ、畜生、畜生! 死ね、死ね!」
女は激昂していた。
役立たずの部下に、ではない。もはや何に対して怒っているのかも曖昧だ。
ただ酔えない。酒を飲んでも気持ちよくならない。むしろ臓腑を焼くような苦しみが広がるだけ。
「酒は! まだ出来ないのかよ!」
素面でなどいたくないのに、素面でしかいられない。
「あたしを! 酔わせてくれる! 酒は!」
怒号は、どこか悲鳴のようにも聞こえた。
「何でもいいから死ねオラァ!」
女は、猟兵たちに向けて銃を向け、放った。
(注:現地海賊は戦闘の役には立ちません。プレイングに記載しない限りは登場しません)
紅狼・ノア
*アドリブ・絡み大歓迎
おっと!あぶな!(避ける
【第六感・野生の勘】フル活動
あの獣がボスかぁ…なんか厄介だなぁ
さでどうしますかな?
あんまり近づきたくないからさっさとヤルか
ガルムと海賊さんに注意を引いてもらおうかね
酒を壊すとか【おびき寄せ】
一瞬そらしたのを見て闇で手持ちの武器を奪い【捕縛】
その間、僕は【闇に紛れる・目立たない・忍び足】をし一瞬で近づき
『シーブズ・ギャンビネット』【怪力・二回攻撃】神速で繰り出す
おまけにどこかを【部位破壊】しますか
僕のターンは終わり~あとは任せた!
影ながらにサポートはしますよ
「っと、あぶなっ!」
女の放った銃弾は、紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)の黒髪をわずかに掠めた。
致命傷を避けられたのはノアの直感の賜。それは同時に、敵は照準をきちんと合わせられるということでもある。
「避けてんじゃねえ!」
すぐさま二撃目が飛んでくる。女は酒瓶を乱雑に放り投げると、それを撃ち抜いた。
むせ返るような酒精の香りと共にラム酒がぶちまけられ、
――あ、これ当たったらダメなやつ!
ノアは反射的に後ろに跳んで躱す。すると酒の落ちた先に、先ほどよりも強烈な弾丸が奔った。
いわゆる、初撃を食らうとそのままお陀仏な攻撃!
「厄介だなあ……」
――自問自答。さて僕、どうしますか?
答え1。あんま近づきたくない。酒臭いし、ラム酒を避けきれなくなる。
答え2。まだ遭遇して序盤。とどめは他の人に任せて僕は『つなぎ』を作る!
「ガルム――!」
ノアの声に応えて、闇の狼が疾駆する。
それは敵を――ではなく、女の周りに鎮座ましましている酒樽を破壊した。
「ああんッ!?」
女の気が一瞬逸れる。いくら酔えなくなったとはいえ、酒そのものへの愛着――いや、妄執は変えられない。何よりも大切な宝を壊されて、気を逸らすなという方が無理な話だ。
その隙を見逃すノアではない。
黒狼の少女は闇に溶ける。音もなく走る。手にしたダガーに力を込め、女の腕に絡みつく。
「ジャックポット(大当たり)!」
力一杯の連撃が、女の腕を刻んでいく。
「チッ、クソガキがあ……!」
確かな手応え。だが女はまだ銃を握る程度の握力が残っているようだった。
――んー、これは。ターンエンド?
不意打ちは重ねてやっても効果が薄い。ならば、ここは後続の支援に徹するのが吉だろう。
ノアは再び闇に溶ける。
「逃げんなゴラァ!!」
怒り狂う女に対して、ノアはいたずらっぽく舌を出した。
大成功
🔵🔵🔵
白斑・物九郎
【エル(f04770)と】
●POW
『ネズミ女』――
テメエの氏素性をそう伝え聞いてた時から、まあまあテンション上がっちゃいたんスよ
オブリビオンを狩るのは猟兵の仕事
ネズミを狩るのは猫の仕事
この闘争は必然だ
――“天国では狩りが出来ない”
あの世行きを拒絶しろ
集え、者共
俺めのコトはキャプテンと呼べ
ワイルドハント号、出航ォ!
【蹂躙】してやりまさァ、堕獣!
・【砂嵐の王・死霊大隊Ⅱ】発動
・幽霊船を召喚し自ら操船、強襲揚陸艦ばりに突っ込ませる
・艦載武装をブチ込んでやり易いよう、船体を適宜回頭
・第2章で下した敵海賊の中にネズミ女へ弓を引こうと思っていた手合いが居たなら、幽霊の乗組員として召し上げてやらないでもない
エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】
●POW
躯体番号L-95
当機は『ワイルドハント号』艦載武装の運用に高い適性を発揮します
(物九郎が操る船に同乗)
(また自身を艦載武装として自認することで、物九郎のコードによる強化効果をしれっと頂く)
砲煙に酔え、堕獣
これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します
・【ワイルドドライブ】発動
・船の武装を更に生やし、操り、物九郎の操船に併せ【砲撃】
・また、武装群に【メカニック+武器改造】を実施
・マスト上に、銃砲火器群を載せたレールに囲われた天球儀型のコクピット、その名も『暴風の羅針盤』を形成/搭載
・四方八方周囲全周へ射角を展開しつつの【一斉発射】で更に攻め立てる
船。それは海賊を海賊たらしめるに必要不可欠な存在だ。
船の見栄えが格を語ると言っても過言ではない。単純に、性能が高ければ活動しやすいとも言える。
「ああ、ああ、イライラする――!」
獣の女は頭を掻き毟りながら、尽きることのない銃弾を乱射する。
酔えない。身体が過剰に摂取したアルコールを拒否する。
「いいから爆ぜてろクソがァ!」
当たらない。当たっても死なない。猟兵とか言うこのクソどもは、オモチャにすらなりゃしない。
そんな女の『船』は。曲がりなりにも大冒険の末にメガリスを手にしたはずの海賊の象徴は――
「ネズミ女」
不意に、空が陰った。そして女の上から声が降ってきた。
「テメエの氏素性をそう伝え聞いてた時から、まあまあテンション上がっちゃいたんスよ」
船が、浮いていた。
海賊仕様の巨大な帆船が、獣の女を見下すように空を飛んでいる。
「オブリビオンを狩るのは猟兵の仕事」
女は躊躇わずに船に向けて引き金を引いた。
「ネズミを狩るのは猫の仕事」
それを巨大船から放たれた銃撃が綺麗に相殺する。
「――この闘争は必然だ」
黒猫の船長、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は、凄惨に笑った。
「知るかァ!」
ネズミとツパイ。女にとってそこに大差は無い。むしろただのネズミならどれだけ良かったことか。
だって、酒に酔えるのだから!
理性を怒りが燃やしていく。猛烈に腹が立つ。何か、あの相手(クソ)に負けたら致命的な物が壊れる気がして、女はひたすら乱射した。
「躯体番号L-95。当機は『ワイルドハント号』艦載武装の運用に高い適性を発揮します」
だが、その船のマスト上には天球儀がある。一見船のデザインとは不釣り合いな銃火器の群れ。
「迎撃」
それは、容赦なく女の射撃をたたき落とす。相手の銃弾に当て続けるという超絶技巧を、エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は軽々と披露して見せた。
「この、クソ、がァ――ッ!」
船は。船は。女の船は。かつて大海を馳せた自慢の相棒は。
「“天国では狩りが出来ない”」
漆黒のマントをはためかせながら、物九郎は静かに切り出す。
救済など願い下げ。永遠の平和など退屈でしかない。
「あの世行きを拒絶しろ。集え、者共」
なぜなら我らは厄災の嵐の体現者。
狩りに飢えた亡霊たちが、船に所狭しと現出する。
「――俺めのコトはキャプテンと呼べ」
「イエス、キャプテン」
あれこそはまさしく海賊船。暴虐の限りを尽くす、誇り高き海の暴れ者ども。
かつては女もそうだった。そのはずだった。
なのに。
「ワイルドハント号、出航ォ!」
物九郎の鬨の声と共に、巨船は女めがけて一直線に降ってきた。
「蹂躙してやりまさァ!」
物九郎が叫び、
「砲煙に酔え」
エルが淡々と引き金を引く。
「「――堕獣!」」
船の巨体が、数多の銃弾が、砲弾が、幽霊の群れが。
女と女の船だったものを蹂躙する。
「――あ、が……」
海に出なくなり、陸で酒浸り。
そんなものに船はもう必要ない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
玉ノ井・狐狛
乗り気じゃないヤツに酒を勧めるのはいただけねぇなァ。
ここいらじゃ、そういう風潮ってのはないのかね。
それにアタシぁひねくれものだ。そうやって押し付けられると、そりゃもう逆らってみたくなるぜ。
◈狐火を使用。ラム酒=アルコールを気化させて、そのまま燃やす。
火遊びは得意でな。
自分やほかの猟兵を巻き込む心配はねぇよ。
そしてもちろん、アンタを逃がす気もなァ。
(引火=延焼を含めて、アルコールが燃える炎を操作、味方には悪影響がなく敵を焼くように)
▻焼却
酔える酔えないのまえに、呼吸の心配をしたほうがいいぜ。
「クソが、クソが……!」
消えぬ苛立ちが女を焦がす。
ただでさえ過度な飲酒で酷使された臓腑が、これ以上は駄目だと訴える。割れるような頭痛と猛烈な吐き気が、もはや戦いどころではないと全身を蝕む。
今までは、飲めばそんなものは消えたのに。
今じゃ、飲めば飲むほど悪化していく。
それでも、それでも。
「クソがァァア!!」
海賊としての最後の意地が、ギリギリ膝を突かせないでいた。
ツパイの女は、杯から湧き出たラム酒を猟兵たちめがけて振りまいていく。
呪いの酒は雨となり、この場の誰もを酩酊させる。
「乗り気じゃない奴に酒を勧めるのは頂けねぇなァ」
――いや。酩酊させる前に、宙を舞う不思議な炎によって酒精を飛ばされた。
「そういうのは最近じゃ、アルハラって言うんだぜ?」
玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)はぱちんと指を弾く。
「テ、メェ……!」
「残念だがアタシぁひねくれものなんでね。押しつけられると逆らってみたくなるのさ――それより」
ごうごうと炎が燃え盛る。ラム酒のアルコール分を気化させて、それを燃料にしているのだ。
だというのに、炎は同じ猟兵を焼かない。
「呼吸の心配をしな。酔える酔えないの前に」
まるで意思を持つかのごとく、炎は女を取り囲んだ。そして容赦なく獣の身体を炙り出す。
「――ひ、あ、ぎゃ、ああああ!」
燃える。燃える。燃える。
毛皮が、髪が、肺腑が。
元々焼け付くような痛みを訴えていた体内が、そのものずばり焼け付いていく。
苦しく、苦しく、苦しくて。
「さて、これにて仕舞いでございます――なんてな。よぅ、燃えたろ?」
酒浸りの女には似合いの末路と、狐狛は指先を唇に当てた。
大成功
🔵🔵🔵