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鬼と姫と温泉と

#サムライエンパイア

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●粉雪は死も白く染め
「わらわは温泉を独り占めしたいのだ」
 そう言ったのは、美しい少女であった。齢は十四、五。烏の濡れ羽色した艶やかな髪に白い肌、浅葱色も鮮やかな絹をまとっている。
 彼女の前には、この温泉宿場にいた老若男女が集められていた。ちらちらと雪が落ちる中、全員が地面に手と額をつけて平伏させられている。
「よって客は要らぬ。殺せ」
 少女の言葉を受け、金棒を持った赤鬼が進み出た。恐怖に震える湯治客を一人一人掴み上げ、首を折って投げ捨てる。たちまち、生きているのは宿の主や奉公人だけになった。
「さて、長よ。ここにはいくつ温泉宿があるのだ?」
 人外の濁った瞳と目を合わさぬよう、宿場の長は地に額をつけたまま答えた。
「……七つでございます」
「そうか。それなら一晩に一軒ずつ泊まることにしよう。みな、精一杯わらわをもてなすのだ。無礼を働いた宿は潰してやる故心せよ。……さて、最初はどこにしようか?」
 鈴を転がすような声で、地獄の始まりが告げられた。

●オブリビオンは温泉の夢を見るか?
「ごきげんよう、猟兵の皆様」
 グリモアベースにやって来た猟兵達を迎えた神楽火・綺里枝(メイデン・オブ・シグナム・f01297)の表情は厳しかった。
「今回わたくしが予知いたしましたのは、サムライエンパイアにある湯早(ゆのはや)という名前の宿場町がオブリビオンに征服されてしまう、という事件でございます」
 オブリビオンの魔の手に落ちた湯早宿では、訪れていた湯治客は皆殺しにされ、温泉宿を営む人々は段々とエスカレートしていくオブリビオンの要求を叶えるために昼夜を問わず奔走しなくてはならなくなってしまう。
「当然ながら、そのような状態は長続きしません。十日と経たない内に湯早の宿場は滅ぼされてしまいます」
 左手でグリモアを掴み、綺里枝は真剣な瞳で猟兵達を見つめた。
「湯早に向かって進軍するオブリビオンの頭を押さえることができる場所に皆様をお送りします。そのままオブリビオン達と戦闘し、撃破してくださいませ」
 戦場になるのは山間の一本道。広さは十分にあるが、現地では雪が降っている。視界を塞ぐほどの大雪ではないものの、雪の積もった坂道では速度を存分に発揮することは難しいかもしれない。
「まずはオブリビオンの配下である鬼の軍団を倒さなければなりません。彼らが持つ金棒の一撃は大地を抉るほどの威力を持っています。十分にご注意くださいませ」
 鬼達を退けたら、次はオブリビオン――怨霊姫との戦いだ。彼女は怨霊を支配・使役する術に優れ、霊となったかつての家臣を操って攻撃してくる。それらの怨霊の群れを潜り抜けて本体に迫れるかが勝敗を分ける鍵になるだろう。
「難敵ではありますが、湯早の人々に迫る危機を看過するわけにはいきません。どうか、皆様の力をお貸しください」
 綺里枝は深く頭を下げる。
 こうして、雪降る温泉街を守る猟兵達の戦いが始まったのであった。


中村一梟
 猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
 今回のシナリオはサムライエンパイアからお届けいたします。温泉回ですよ、温泉回!

 集団戦からボス戦を経て日常へ、という流れになっております。
 例によって第3章ではグリモア猟兵をお誘いいただくことが可能です。ご希望の際はプレイングの頭に【神楽火・綺里枝を誘う】とお書きください。

 第1章および2章の戦闘シーンでは、SPD基準のユーベルコードと行動は少し成功率を下げて判定します。このペナルティは積雪をなんとかする方法がプレイングに記載されている場合なくなります。と同時に成功率にボーナスを加算させていただきますので皆様奮ってご参加ください。

 それでは、今回も皆様とよい物語を作れることを楽しみにしております。
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第1章 集団戦 『棍棒鬼』

POW   :    鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

紬雁・紅葉
まぁまぁ、見るも厳つい死者亡者がぞろぞろと…
比良坂はこちらではありませんよ?黄泉兵は常夜へ御戻り下さいませ

【氷の魔力】を防御力に付与
雪と自らの「気」を合わせれば雪は私を拒まない…
忍び足でするすると移動
弓、薙刀、ルーンソードを距離に応じ使い分け、氷の属性攻撃で範囲を手数で薙ぎ払い、衝撃波で地形を利用し雪を巻き上げ氷属性を強め、多数の敵を凍らせて砕く

地獄の鬼というならば
命の湯場は不相応
坂を下って地獄に戻り
血の池淵に沈むが良い

涼し気に笑って詠う

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※


御剣・神夜
温泉を征服………なんという蛮行!!
温泉は今まさに至福の場所だというのに!それを独り占めとはなんと酷いことを考えるのですか!
あ、すいません。少し私心が混じりました。こほん、まずは鬼を退治しましょうか

鬼の棍棒は威力が乗り切る前に鍔迫り合いに持って行って振らせない。振られたら野太刀で受け流すようにして回りながら反撃する
怨念の塊になったら移動しようとしてる方向を先読みして移動し、戻ったら即攻撃する
死武者は弓矢で、特に邪魔にならないのなら無視する。刀は進路上にいないなら無視する



 山道に積もった雪をざくざくと踏み締めてやって来る異形の群れを前に、紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)は小さく嘆息した。
「まぁまぁ、見るも厳つい死者亡者がぞろぞろと……比良坂はこちらではありませんよ?」
「温泉を征服………なんという蛮行!! 温泉は今まさに至福の場所だというのに! それを独り占めとはなんと酷いことを考えるのですか!」
 野太刀の鞘を払い、御剣・神夜(桜花繚乱・f02570)が私心混じりの怒声を漏らす。向けられた視線に気づいたのか、彼女はややわざとらしく咳払いをした。
「こほん、まずは鬼を退治しましょうか」
 紅葉が頷き、指先で中空に文字を書く。愛用の魔法剣の刀身に刻まれたものと呼応するそれが導くのは、冷たく鋭い氷の魔力。
「弐の式……来たれ」
 青白の光で体を多い、紅葉は鬼達に向かって踏み出した。魔力を介した歩みは積雪に拒まれることなく、氷上を滑るかのように彼女を進ませる。
「黄泉兵は常夜へ御戻り下さいませ」
 弓に矢をつがえ、射る。破魔の力を与えられた矢が雪舞う空を切って飛ぶ。戦闘の数体が金棒を盾にして矢を防ぎ、後続が左右に分かれて突進してきた。
「私にお任せあれ!」
 そう告げて、神夜が太刀を構えて右方集団の前に立ち塞がった。敵の動きを見切って立ち位置を決めていたのか、白雪を踏む足取りは揺るがない。
 鬼の一体が金棒を振り上げる。振り下ろすよりも早く、龍牙の如き神夜の斬撃が胴を断った。次の一体が反応するよりも速く刃を返し、首を落とす。続けて二体が倒されたことで、他の鬼達の足が鈍った。
「天武古砕奥義、流走!!」
 間髪を入れずに振り下ろされる剛刃。金棒ごともう一体を袈裟斬りにし、その勢いのままに積雪を割って吹き飛ばす。
「地獄の鬼というならば、命の湯場は不相応」
 詠う声と共に、飛び散る雪を割って紅葉が肉薄した。抜き放たれた剣が弧を描き、魔力を纏った刃風が地面の雪をさらに巻き上げる。
「坂を下って地獄に戻り」
 降り積もる雪から集めた魔力が、ルーンソードの柄の紋章を輝かせた。猛烈な凍気が紅葉の剣の軌跡をなぞって吹き荒れ、辺りが真っ白に染まる。
「血の池淵に沈むが良い」
 涼やかな笑みを浮かべた紅葉が剣を鞘に収めた。と同時に、凍りついた鬼達が砕け割れる音がした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウィルトス・ユビキタス
温泉宿が使えなくなるのは困るな。俺はそうでもないんだが、友人達が好きなもんでな。

今回は積雪か……だが関係ないな。
俺の本領は固定砲台でな。むしろ積雪で敵の動きが鈍ってくれて大助かりだ。
敵を視認したら、その場で【高速詠唱】し【全力魔法】で【ルーメン・イグニス】による【属性攻撃】を行い、敵を【なぎ払い】、【範囲攻撃】をする。
敵が攻撃してこようが何をしてこようが梃子でも動かん。
そのためにあらゆる【耐性】を身に付けている。


フォルター・ユングフラウ
【WIZ】

温泉、か…前に一度浸かったが、あれは中々に良きものだった。
独り占めしたくなる気はわかるというものだ。
…が、姫と言ったか?
単純に、気に食わぬな。
跪くのは貴様の方だと、我が鞭にて身体に刻み込んでやる。

その前に、三下共の掃除だな。
遠近共に対応可能とは、愚鈍な容姿に反して芸達者ではある。
幸い戦場の広さは十分、UC:ヒュドラにて蹂躙してやる。
この身体であれば、雪の坂道でも足場を気にせず移動出来るかもしれぬ。
我が移動する事で雪が踏み固められ、他の者の助けになるかもしれぬしな。
9つの顎にて鬼に食い付き、呪詛と催眠を流し込んでやる。
減少した体力は、吸血と生命力を駆使して貪ってやろう。

※アドリブ歓迎


ルトルファス・ルーテルガイト
(眼光鋭く、冷たい表情をしたまま)
…とち狂った真似をする、温泉を独り占めする為に人を殺すとはな。
…そんなに温泉を楽しみたいなら、人のいない場所でも行けばよかろう?
…人の営みを邪魔する鬼には、温泉より熱いモノをくれてやる。

(WIZ型)
…【エレメンタル・ファンタジア】を使用して【炎の突風】、すなわち熱風を発生させ、鬼どもに向けて攻撃する。
…それと同時に、炎の突風による熱で、周囲の積雪を溶かしてみる。
…加減が難しいが、攻撃と積雪除去を狙うには、この方法が一番適当だ。
…除雪してから、などと悠長は言ってられないしな。



「温泉、か……前に一度浸かったが、あれは中々に良きものだった。独り占めしたくなる気はわかるというものだ」
 雪雲に覆われた鈍色の空から視線を下ろし、フォルター・ユングフラウ(嗜虐の乙女・f07891)は呟いた。
「……それにしてもとち狂った真似をする、温泉を独り占めする為に人を殺すとはな」
 応じるルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)の表情と言葉は冷たい。彼は鋭い瞳を敵に向けた。
「……そんなに温泉を楽しみたいなら、人のいない場所でも行けばよかろう?」
「ああ。単純に、気に食わぬな」
 フォルターとルトルファスが見る先で、鬼の群れが二手に分かれた。右方の一団は先行していた二人の猟兵が食い止めるが、もう片方が歩調を緩めつつも向かって来る。
「温泉宿が使えなくなるのは困るな。俺はそうでもないんだが、友人達が好きなもんでな」
 蒸気を噴き出す杖を手にウィルトス・ユビキタス(武闘派デスクワーカー・f01772)が進み出た。固定砲台を自認する彼にとって、積雪というのはさして不利な条件というわけではない。
「むしろ敵の動きが鈍ってくれて大助かりだ」
 詠唱と共にウィルトスが灼熱の光線を放った。百に迫ろうかという光条が複雑な軌道を描きつつ鬼の群れへと殺到し、貫いていく。
「姫と言ったか? 跪くのは貴様の方だと、我が鞭にて身体に刻み込んでやる。……が、その前に、三下共の掃除だな」
 不敵な笑みを浮かべるフォルターの体が膨れ上がった。ユーベルコード「腐爛の血毒(ヒュドラ)」。その名の通り九頭の大蛇へと、赤い瞳の乙女が姿を変える。
「光栄に思え――この威容を目に焼き付けて逝ける事を」
 鬼のユーベルコードによって呼び出された落ち武者の霊が刀や弓で立ち向かうが、傷一つ与えられない。フォルターは尾の一撃で落ち武者達を一掃し、九つの顎でそれぞれ鬼を捕らえる。
「愚鈍な容姿に反して芸達者ではあるが……我の相手をするに相応しくはないな」
 半神の英雄でさえ殺す腐食の毒と生命力を奪う呪詛を流し込まれ、九体の鬼は瞬時に絶命した。朽ち果てていく異形の骸を打ち捨て、フォルターは次の獲物へと首を伸ばす。
 光の弾雨と神話の巨蛇から逃れようと、一部の鬼がさらに距離を取る。自然と固まった鬼達へ向けて、ルトルファスが炎の突風を叩きつけた。
「……人の営みを邪魔する鬼には、温泉より熱いモノをくれてやる」
 赫々と燃える疾風が吹き抜けた。積もった雪が融けて泥濘となり、そこに焼け焦げた鬼達がばたばたと倒れ伏す。
「穿て」
 ルーメン・イグニスの二射目がウィルトスの杖から放たれた。防御を固めてそれに耐えた鬼を、九頭蛇の牙が襲う。両方から逃れられる限られた場所は、ルトルファスが攻撃範囲に収めている。
 どうやっても逃げ場のない状況。落ち武者の霊を召喚しても逆転の決定打にはならず、三人の猟兵の前に鬼達は次々と狩られていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

忠海・雷火
事前に橇を用意していきましょう
これで埋まり難く、且つ滑り難くはなる筈よ
今はまだ別人格には交代しない

進軍してくる鬼達が見えたら、即座にネクロオーブで死霊を喚び出し、彼らへ嗾ける
範囲内の距離に複数の鬼が入ってきたらユーベルコード使用
鬼が召喚した霊が居るなら、それも対象として攻撃に巻き込む

力で攻めてくるタイプなら、第六感と見切りで攻撃は躱し易いと思うけれど
彼らも足場が悪いのは気にしているでしょうし、恐らく怨念疾走で一気に距離を詰めてくる
眼前まで来るようであれば、実体化の瞬間を狙い斬りつける
あとは霊を召喚される度にユーベルコードを使用し複数へ攻撃、それ以外では回避と反撃に専念し、一体一体確実に倒す


仁上・獅郎
ふむ、温泉好きというだけなら良かったのですが……。
それで人に害を為すのでしたら、流石に看過できませんね。

山間なら隠れるに手頃な木々はありますね。
それに身を隠して相手取りましょう――[暗殺]です。
春霞先生(f09880)が鬼の気を逸らした隙を狙い、その首を鋼糸で落としましょう。
僕の存在を気取られるまではそれで。
気付かれて以降は、距離を保ち拳銃の[クイックドロウ]で応戦を。

それから、数宮さん(f03004)のバイクの影に、鋼糸を持たせた影の追跡者を潜ませておきましょう。
鬼とすれ違う瞬間を見計らって影の追跡者が鬼に鋼糸を絡ませて、端をバイクに括り付ければ、あとは勢いですぱり、という寸法です。


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
【SPD】

【夜烏診療所】の皆と一緒に出撃するよ!
手早く終わらせて慰安旅行と行きたいね!
雪、バイクと来ればひとつ。
前輪をそり、後輪をキャタピラ…
いわゆるスノーモービルに変形させて、走り回るよ!
アタシの【騎乗】と【操縦】テクを甘く見ないでよ?

仁上センセの、鋼糸を持った【影の追跡者】を乗っけるから
鬼どもの合間を縫うように、網を張るように走行。
撹乱もかけながら、鋼糸による一網打尽を狙う。
これだけ派手に動けば、囮としても十分じゃないかな、っと!


春霞・遙
仁上先生、数宮さん、忠海さんなど夜烏診療所の方々と参加。ほかの方との共闘も歓迎です。

中にインナー着込んだり雪靴履いて寒さや雪を対策。武器だけど杖があるから多少雪が深くても歩けるかと。万一転びそうな方や雪に埋もれそうな方がいれば「救助活動」しますよ。
白衣の白や雪が音を吸う性質で「目立たない」ように、拳銃での「援護射撃」を行います。
地形を活かして雪玉投げたり、あれば射撃で木の上の雪や氷柱を敵の頭上・傍らに落として注意をそらして敵を誘導したり、鬼が疑問を感じてくれれば【触手】に食わせたりして補助や攻撃を行います。



 待ち受けていた猟兵達に大半が倒されたことで、鬼達の進軍は完全に停止した。残存兵力は浮足立ち、統率は失われている。
 そこに躍りこんだのは、スノーモービルに変形した宇宙バイクを駆る数宮・多喜(疾走サイキックライダー・f03004)だった。牽引するそりの上には忠海・雷火(襲の氷炎・f03441)達の姿がある。
「手早く終わらせて慰安旅行と行きたいね!」
 派手に雪を蹴散らしてバイクを急停車させる多喜。雷火がネクロオーブを掲げて死霊を呼び出し、四方にけしかけた。それに紛れて仁上・獅郎(片青眼の小夜啼鳥・f03866)と春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)も散開する。
「消えろ。もう戻らない、あの春のように」
 雷火の手の中で、ネクロオーブが凍てついた桜の花弁となって散る。それは空から落ちて来る雪と混じり合って吹雪となり、鬼達を凍てつかせていった。
 死をもたらす白の嵐から逃れようと山道に沿って生える林に近づいた鬼の首が、いきなりぼとりと落ちた。木々の陰に潜んでいた獅郎が細く鋭い鋼糸を絡ませ、音もなく切断したのだ。鮮血が雪上に赤い花を咲かせるのを待たず、獅郎は次の標的へと向かう。影の追跡者(シャドウチェイサー)が追っているため、吹雪の中でもそいつを見つけるのは容易い。十数秒後、また一つ雪の中に血の花が開いた。
 同じく雪の色に紛れて、遙も奇襲と援護に徹していた。常と変わらぬ白衣の下に防寒着を着こみ、拳銃を撃ってすぐその場を離れる。
 並行して、遙は伏兵の存在に気づいた勘のいい鬼に対して紫色をした触手の塊を差し向けた。ユーベルコードによって召喚されたそれは、伏兵はどこだと探す鬼に触手を絡め、引き倒して思念を啜る。混乱する鬼に近づいて、至近距離からとどめの一発。そうして自分と獅郎の存在を隠しつつ、遙は敵を追いこんでいく。
 鬼達が追い込まれた先では、縦横無尽に駆け巡る多喜が存分に力を奮っていた。バイクの加速と念動力を乗せた拳の一撃は十分な威力を発揮し、彼女に比べれば遥かに大柄な鬼をも打ち倒す。
 雷火もユーベルコード「氷桜雪花(ヒョウオウセッカ)」と死霊を操り、殺傷圏内に入った敵を一体一体確実に仕留めていく。
 さらに、敵の数が減ったため暗殺戦法は効率が低くなったと判断し、鋼糸から拳銃に得物を持ち替えた獅郎も援護射撃に加わった。
 同じ旅団に所属する彼らのコンビネーションは鉄壁。残っていた鬼達が掃討されるのにそう長い時間はかからなかった。

「ふむ、温泉好きというだけなら良かったのですが……。それで人に害を為すのでしたら、流石に看過できませんね」
 戦闘の最中にずれた片眼鏡の位置を直し、獅郎は雪道の先を見てそう言った。雷火と遙も同じ方向に視線を向ける
「手下は全部片付けたよ。後は親玉のお前だけだ」
 仲間達の隣にバイクを停め、多喜が呼びかけた。
 倒れた鬼達が骸の海へと帰っていく。道の先に佇むオブリビオンはその光景をつまらなさそうに眺めていた。
「はぁ……使えない。恨みの薄い奴らなぞ所詮この程度よな」
 少女の姿をしたオブリビオンの前後左右に、夥しい数の怨霊が現れた。その数は先程まで戦っていた鬼の群れを超える。
「やはり頼れるのは濃い恨みを遺した者。……さてそこな者共、わらわの邪魔をして寒空の中立ち止まらせたことは許してやろう。ゆえに、さっさと退くがよい」
 命を命とも思わぬ狂った瞳が四人を射抜く。それは降り積もる雪とは真逆の黒く濁った色に染まっていた。
「ああ、寒い寒い。早く温泉に入りたい。音に聞こえた湯早の温泉、楽しみ楽しみ。……どうした? そこな者共。さっさと退けと言っておるのが聞こえなかったか?」
 怨霊姫の声に苛立ちが混じる。だが当然、猟兵達はそこから一歩も動かない。
「なんだ、お主ら……死にたいのか。ならば特別に、わらわがとびきり苦しめて殺してやろう。わらわの前に立ち塞がったことを、地獄で後悔するがよい」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『怨霊姫』

POW   :    怨霊乱舞
【無数の怨霊の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    怨霊傀儡
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【怨霊を憑依させることで、自らの傀儡】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    怨霊家臣団
【レベル×1体の、怨霊武者】の霊を召喚する。これは【刀や槍】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

数宮・多喜
へっ、地獄にゃ温泉なんてないだろ?
それならアンタの頼みは願い下げだねぇ。

【アドリブ改変・連携大歓迎】【SPD】

【夜烏診療所】の皆と一緒に行動を前提にするけど、
他の人とも連携取れそうならそうするよ。
バイクは引き続きスノーモービル形態で、
怨霊姫の周りをウロチョロするよ。
誰かと二人乗りでもいいね。
攻撃は雑魚散らしと牽制を目的にして
サイキックブラストがメインなんだけど、
なるべく仁上センセの【白熱縛鎖】に伝わせるのを狙う。
いくつか放ってから頃合いを見て、
聖句を唱えて【黄泉送る檻】を発動。
怨霊姫の拘束を強化するよ!

後のとどめは他の皆に任せたかんね!


春霞・遙
引き続き【夜烏診療所】の面々と共闘を。

【生まれながらの光】による回復と「援護射撃」による補助を。
また、数宮さんのスノーモービルの雪煙や、あれば地吹雪に紛れて攪乱を。
あとは、雪の霧があるならそこに【生まれながらの光】を当てて光を拡散させて敵の視界をホワイトアウトさせたり、人の影を雪煙に映して位置を誤認させたりとみなさんのフォローメインで頑張りましょう。
援護射撃に関してはいよいよ指先がかじかんで正確射撃が難しそうなら怨霊・鬼の死体・怨霊武者を「零距離射撃」や杖の殴打による「だまし討ち」で減らす。

温泉の基本的なルールは「汚さない、騒がない、独占しない」ですよ。
気持ちよく入湯しないとね。


仁上・獅郎
温泉に入りたいのはこちらも同じ。
お姫様とはいえ、礼儀作法のなっていない方にはお仕置きですよ。

【夜烏診療所】の皆さんと共に戦います。
基本は数宮さんや春霞先生と雑魚散らしをしますか。
怨霊は[敵を盾にする]ことで同士討ちを狙いつつ、先程同様に鋼糸でその首を落としていきましょう。
切れ味は御覧の通り。さてでは、お姫様もこの糸で――!

――という素振りで[フェイント]をかけて。
所持する魔導書に触れ[高速詠唱]、【白熱縛鎖】起動。
怨霊姫の周囲の空間を歪め、灼け付く鎖で捕縛を。
寒いと仰ってましたが、どうでしょう。温まりましたか?
更には痺れる事かと思いますが。

御膳立ては良さそうですね。
さあ忠海さん、頼みましたよ。


忠海・雷火
此方としては、此処で死ぬわけにはいかないのよ
温泉の為に、この先にいる人々の為に、斃れて貰うわ

【夜烏診療所】の皆と共闘
よく考えたら別人格を皆に紹介していなかった
面倒だから私のまま戦う

皆がサポートしてくれるなら、親玉を狙い易い状況が出来る
となれば攻撃一択よ
最初は遠距離からネクロオーブで死霊を嗾け、怨霊姫が拘束された瞬間に突撃
近付く途中で攻撃されようが関係無い、捨て身で一撃入れる覚悟の元、姫の懐に飛び込む様に思い切り刺突を繰り出し
同時、左掌の刻印からユーベルコードを胸元に叩き込む

例え拘束が解けていたとしても、内から喰い破られれば痛みでロクに動けないでしょう
刺した刀を力任せに斬り上げ、返す刃で首を狙う



「へっ、地獄にゃ温泉なんてないだろ? それならアンタの頼みは願い下げだねぇ」
 多喜がスロットルを開き、宇宙バイクを怨霊姫とその家臣団へと突っこませた。怨霊武者が迎撃の矢を放つが、疾走する鋼の悍馬には一矢たりとも当たらない。
「どきな!」
 念動力の雷が怨霊を焼き、後方から追って来る仲間達への攻撃を防いだ。その隙を突いて、獅郎が坂を駆け上がる。
「温泉に入りたいのはこちらも同じ。お姫様とはいえ、礼儀作法のなっていない方にはお仕置きですよ」
 粉雪を裂いて、黒く細い鋼が踊った。獅郎の鋼糸が半ば物質化した霊体の首を切断。怨霊が灰色の霧になって散る。
 獅郎はそのまま怨霊姫へと向かおうとするが、数十体の怨霊武者の壁は厚い。取り囲まれ、刃が彼の肩を浅く斬った。
 その傷を、遙が放った優しい光が塞ぐ。治療と引き換えの疲労感に襲われながら、遙は拳銃を構えて引き金を引いた。
「温泉の基本的なルールは『汚さない、騒がない、独占しない』ですよ。気持ちよく入湯しないとね」
 獅郎を追撃しようとした怨霊武者を銃弾が撃ち抜く。綻びた戦列に、エンジンを唸らせた多喜のバイクが切りこんだ。
「ashes to ashes,dust to dust,past to past……収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
 雷電の渦が吹き荒れた。白い輝きが怨霊を砕き、楔となって仲間達の道をこじ開ける。
「では、お姫様もこの糸で――!」
 怨霊武者の包囲を潜り抜け、獅郎がユーベルコードの射程内に怨霊姫を捉えた。右腕を振り上げ、鋼糸を放つ……と見せかけて、左手で魔導書を開く。
「時空の外神よ。その憤激を、深淵よりの光と鋼鉄の束縛と化し、我に貸し与え給え」
 詠唱と共に怨霊姫の周囲の空間が歪み、そこから白熱した鎖が飛び出した。豪奢な衣をまとった体が捕えられ、焼かれる。
「寒いと仰ってましたが、どうでしょう。温まりましたか?」
「小賢しい真似を……!」
 鎖に捕われつつも、怨霊姫が新たに召喚した悪霊を濁流に変えて放った。獅郎と多喜が巻きこまれ、吹き飛ばされる。
「任せたかんね!」
「忠海さん、頼みましたよ」
 坂下へと押し戻されていく二人と、疾走する雷火がすれ違う。致命の一撃を怨霊姫に届かせるための布石となった仲間に一つ頷いてみせて、彼女はオブリビオンの懐へと飛びこんだ。
「我が身に宿る餓犬よ。血道を辿り、内より喰い散らせ」
 雷火の左手が怨霊姫の右腕に触れた。掌に刻まれた刻印が血の色の輝きを放ち、術式誘導用の血針を撃ちこむ。
「此方としては、此処で死ぬわけにはいかないのよ。温泉の為に、この先にいる人々の為に、斃れて貰うわ」
 雷火がその刻印の力をもって食らい、封じていたUDCが解き放たれた。獰猛な牙で怨霊姫の腕を内側から食らい、原型を留めぬまでに破壊しつくす。
「いやああぁぁっ! 我の……我の腕がああぁぁぁ!?」
 消えうせた己の右腕を見て、怨霊姫が金切り声を上げた。
「許さぬ! 許さぬぞ猟兵共! 貴様らには死すらも超えた苦しみを与えてやる!」
 オブリビオンの怒れる瞳が雷火を睨みつける。ユーベルコード「怨霊乱舞」が発動。憎悪に狂った霊体が怨霊姫を縛る鎖を断ち切り、雷火を巻きこんで炸裂する。
 猟兵達を呑みこまんと広がっていく怨霊の嵐を、遥の聖なる光が食い止めた。黒い殺意と救済の輝きがぶつかり合い、相殺される。その激突は一瞬のことではあったが、最前線にいた雷火や獅郎達が退避するには十分。
「すまない、仕留められなかった」
「敵の片腕を奪ったのですから、初手としては上々でしょう」
 再び開いた此彼の距離を、呼び出された怨霊達が埋めていく。だが「夜烏診療所」との攻防が示すように怨霊武者の壁を超えることさえできれば、怨霊姫そのものに痛打を与えることは難しくないようだ。そして、半物質として顕れている怨霊ならは魔法的な攻撃でなくても排除することはできる。
 怨霊姫に与えた傷以上の戦果を、四人は獲得したと言えよう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フォルター・ユングフラウ
【WIZ】

過去の幻影如きが粋がるな。
ふん、姫だと?…我は女帝よ、何人も我に歯向かう事は許さぬ。
美しき白雪を、貴様の血で赤く化粧してやろうではないか。

こうも気に食わぬのは、奴から我と似たものを感じるが故か…まぁ何でも良い、過去の残滓如きに思考を割くのも勿体無い。
回避と攻撃を兼用出来るUC、トーデスシュトラーフェを主軸とし、奴を翻弄してやろう。
我の攻撃には、誘惑や呪詛、催眠が込められている。
これらを駆使し、たっぷり可愛がってやろう。
その白い肌から赤き鮮血が散る様を想像すると、昂ぶりで身体が火照るというもの…温泉の湯に勝る快感であろうよ。
負った傷は、吸血や生命力吸収で賄いたいところだ。

※アドリブ歓迎


紬雁・紅葉
まぁまぁ、愛らしい御方です事♪
ですが、嗜みと慎みを知らぬやんごとなき方は…ただの餓鬼
御鎮めします

"剣神"の神霊体を宿し、弓、薙刀、ルーンソードを適宜使い分け、破魔+雷属性の衝撃波で範囲を薙ぎ払う
また地形を利用し、積もっている雪舞い上がる雪に雷を伝わせて範囲や射程を伸ばす

黄泉に近しき者ならば
雷の威を知っていよう
大火黒折若土鳴伏
八柱の雷威を以て
罷る者を黄泉へと繋ぎ戻さん!!

怨霊の軍勢があれば、尚更能う限り多勢を巻き込み打ち据える

敵の動きが止まったら、力を溜めた渾身の一撃を打ち込みとどめとする
不埒な姫君…去り罷りませい!

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※


御剣・神夜
範囲攻撃、殲滅戦に特化したような敵ですね
ですがその分一人への攻撃は大したことはなさそうです
ですが、油断せずまいりましょう

怨霊の群れを放たれたら怨霊を切り捨てる、出来ないのならば一度距離をとって回避する
傀儡とされないように、意識は失わないように気をしっかり保つ。失いそうになったら下唇を噛んで堪える
怨霊家臣を召喚されたら、刀や槍で特に妨害してくるなら切り捨てる。特に邪魔にならず、弓で遠くから狙ってくるのは集団攻撃でもされない限り放っておく
「我儘ですね。そんな我儘は通らないんですよ。お姫様とはいえ。貴方はすでに死んだ身。もう一度冥府へ送り返してあげます」


ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ、からみ歓迎)

(鬼の苛立ちに対しても冷ややかな視線で)
…嘆かわしい、立ち振る舞いはわがまま姫そのものか。
…人の営みを炉端の小石程にも思わぬ風情に、退けと言われてハイと答えると思ったか?
…少し痛い目を見て、思い知る事だな。(柄だけの剣を抜きながら)

(WIZ型)
…怨霊頼みの攻防だ、自分自身の手足で守る手段に乏しいとみる。
…【精霊剣】を使用し、【精霊の加護】を受けた剣(刀身)を顕現させて、近接戦を狙う。
…だが、無数の怨霊相手に無策の単騎特攻は自殺行為、
他のものが怨霊を吹き飛ばしたりして、防御が薄くなった隙を狙って、切り込みかかるぞ。



「虫けら共め……我に逆らったことを後悔させてやる……どれだけ悔いても絶対に許さぬぞ……!」
 片腕を失ってなお傲慢な視線を向けてくる怨霊姫に、フォルターは刺のある声を投げる。
「ふん、姫だと? ……我は女帝よ、何人も我に歯向かう事は許さぬ。美しき白雪を、貴様の血で赤く化粧してやろうではないか」
 険のこもった瞳のダンピールとは対照的に、ルトルファスの視線は冷やかだ。
「……嘆かわしい、立ち振る舞いはわがまま姫そのものか。人の営みを炉端の小石程にも思わぬ風情に、退けと言われてハイと答えると思ったか?」
 彼が鞘から抜いた剣は、刀身がない。だがそれこそ、ルトルファスのユーベルコードには必須の鍵なのだ。
「……精霊よ……この声に耳を傾け、その力を剣に示せ!」
 ルトルファスに喚ばれた精霊達が柄だけ剣の下に集い、かすかな輝きを放つ刃を形作る。これこそが精霊剣。赤外套の剣士の切り札だ。
「片腕とはいえこの怨霊の数……油断せずまいりましょう!」
 仲間に呼びかけて、上段に太刀を構えた神夜が走る。怨霊武者がすぐさま槍襖を作るも、
「天武古砕奥義、流走!!」
 再び唸った剛刃が槍もろとも怨霊達を叩き斬った。凄まじい剣風に積雪が吹き飛び、露出した地面が抉れる。
「嗜みと慎みを知らぬやんごとなき方は……ただの餓鬼。御鎮めします」
 剣神を降ろして神霊体へと変身した紅葉が薙刀を振るう。ごう、と空気が鳴いて衝撃波となり、怨霊を風前の灯の如くかき消した。
 怨霊武者の戦列に空いた穴に四人の猟兵達は果敢に突入。それぞれの武器を振るって怨霊達を打ち倒していく。
「ええい、邪魔をするな! 我の邪魔をするなと言うのだ!!」
 怒声と共に怨霊姫が形にならない悪霊の群れを呼び出した。瀑布となって猟兵達に襲いかかるはずのそれは、紅葉の放った雷撃に阻まれて雲散霧消する。
「黄泉に近しき者ならば、雷の威を知っていよう」
 神の力を宿した左手を掲げ、紅葉は詠う。
「大火黒折若土鳴伏、八柱の雷威を以て罷る者を黄泉へと繋ぎ戻さん!!」
 剣指を作った手を振り下ろす。特大の雷が滝のように降り注ぎ、怨霊武者達を叩き潰していく。
 落雷の衝撃も消えぬ間に神夜が大太刀を手に切り込み、怨霊武者をなぎ払う。
「「我儘ですね。そんな我儘は通らないんですよ。お姫様とはいえ。貴方はすでに死んだ身。もう一度冥府へ送り返してあげます」
 攻め手に回っていた怨霊武者はもはや壊滅状態だ。
「……少し痛い目を見て、思い知る事だな」
 ルトルファスが剣を振るい、直衛に残っていた数体を一閃で斬り倒す。ついに猟兵達は怨霊姫を間合いに捉えた。
「黙れ黙れ黙れ! 我を誰だと思っておる!?」
「過去の幻影如きが粋がるな」
 怨霊の群れを放とうとした姫の背後で、フォルターの声がした。突如として現れた彼女の姿に、思わず振り返ったオブリビオンの顔が驚愕に歪む。
「我は、死と共に歩む者――何人も、逃げる事能わず。さあ、冥府の門は開かれた」
 フォルターの一撃が、怨霊姫を抉り裂いた。鮮血を振り撒いて雪上に血の花を咲かせるオブリビオンに、紅葉の薙刀と神夜の太刀、ルトルファスの精霊剣が突き出される。
「不埒な姫君……去り罷りませい!」
「嫌だ! 嫌だ嫌だ! 我は、我は――ッ!!!」
 もはや四重の攻撃を防ぐ手だてはない。断末魔の絶叫を上げて、オブリビオンは世界から消え去った。
「……ふふ。温泉の湯に勝る快感だな」
 雪の上に残った赤い花を見下ろして、フォルターは呟いた。心なしか、その白い頬に朱が指しているように見える。
「……ともあれ、これで事件は終わりなのよね?」
 太刀の血を拭って鞘に納めつつ言った神夜の視界の端に、何かが入りこんだ。そちらに目を向けると、サムライエンパイアの住人としては標準的な格好をした初老の男が雪の積もった地面にへたりこんでいる。
「あ、あんたら一体……!?」
 ――こうして、猟兵達の活躍は湯早の人々の知るところとなったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『温泉で一休み』

POW   :    疲労回復の湯に入る

SPD   :    万病退散の湯に入る

WIZ   :    美肌美容の湯に入る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●湯早の七湯
「この度は鬼共を退治していただき、まことにまことにありがとうございます」
 戦いの目撃者に連れられて湯早へとやってきた猟兵達に、宿場の長――この宿場で一番の老舗旅館の主だそうな――は深々と頭を下げてそう言った。
「せめてものお礼に、今晩は我らの宿でごゆるりとお寛ぎくださいませ」
 時期が時期なので豪勢な料理は出せないが、湯治に関して最大限の便宜を計ってくれるという。具体的には、七つある湯早の温泉の中でも三本柱とされる名湯を猟兵達の貸し切りにしてくれる。

 第一の名湯は疲労回復に効果があるという温泉である。曰く、東征で傷を負った武将が狐の精に導かれてたどり着き、傷を癒して京へ生還したという伝承があるそうで、その名も「きつね湯」という。
 第二の名湯は万病退散の効能があるらしい。宿の主によれば諸国を遍歴していた徳の高い僧侶の指導で発見され「般若湯」と名づけられたとか。
 第三の名湯は美肌美容の湯である。かつて、とある荒ぶる神が「この地に温泉が眠っているから開拓して温泉宿を作れ。そして宿の中に我を祭る社を建てよ」などと宣ったことがきっかけで作られたという。そのため、この宿には人間のための湯場の他に神のための湯場がある。もちろん、神様用の温泉は立ち入り禁止である。

 これらの温泉は基本的に混浴である。知る人ぞ知る名湯とは言っても小さな宿場町、男女別の湯場を作れるほど豊かではないのだ。
「だからといって、羽目を外しすぎるのは駄目ですよ? ちゃんと湯着を着用してくださいませ。ふしだら禁止、でございます」
フォルター・ユングフラウ
【WIZ】

ふん、無粋な子供の相手も疲れるものよ
…まぁよい、奴は無へと還った
もう邪魔する者もおらぬ、存分に湯を堪能するとしよう

どうやら効能によって3つに分かれている様だが、我にはこの美肌美容以外考えられぬ
元より並外れた美貌ではあるが、更なる美の追求もまた一興…さて、鮮血を浴びるのとどちらが効果的であろうな?ふふっ
湯に浸かるついでに、周囲の景観も楽しんでおこう
我が故郷のダークセイヴァーに比べると、随分と色彩に溢れた世界よな
もし次の生があるならば、今度はこの世界にて君臨するのも良いかもしれぬな…

※アドリブ歓迎



 湯早三名湯のひとつ、美肌美容の湯。神を憚ってあえて名づけられていないこの無名の湯に、フォルターはやって来ていた。
「ふん、無粋な子供の相手も疲れるものよ」
 足先を湯に浸けて、夜闇に沈んだ山の方を見やる。伝わってくる温度は確かに心地よく、ここを独占しようというオブリビオンの願いは少しだけ理解できる。
「……まぁよい、奴は無へと還った。もう邪魔する者もおらぬ、存分に湯を堪能するとしよう」
 わかるとはいえ、フォルターに長々と感傷に浸るつもりはない。オブリビオンは敗者、彼女は勝者。その結果以上のものは何もないのだ。
「……さて、鮮血を浴びるのとどちらが効果的であろうな? ふふっ」
 薄く笑みを浮かべながらの発言を聞き咎める者はいない。貸し切りの湯に全身を浮かべ、彼女は異邦の夜空を仰いだ。
 細雪を降らせていた雲はいつの間にか消えており、黒天鵞絨に無数の宝石をばらまいたような光景が広がっている。
(我が故郷に比べると、随分と色彩に溢れた世界よな)
 フォルターの目には、こちらの星は向こうよりも眩く映っていた。
「もし次の生があるならば、今度はこの世界にて君臨するのも良いかもしれぬな……」
 白い吐息の混じった呟きが、黒い空に溶けて消えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

紬雁・紅葉
ぅふふ…♪
偶には休養も必要ですね♪

宿の方が渡してくれた湯着を素直に着用
『…胸が、ちょっときつ…』
かけ湯をして汚れを軽く流し、髪を上げてきつね湯に入浴
(美容の湯にもちょっと魅かれるが、荒魂の神湯と聞いて「"剣神"と折り合いは悪そうね…」と断念)

…はぁぁ…

浸かると羅刹紋が浮かび、湯気とは違う雲のような煙が仄かに立ち上る…

思えばついつい体を苛めすぎる
なのにこうして癒された体そのものが告げる

『まだまだ』

わたし…つくづく羅刹なのですね…
ほんのりと苦笑

そしてふと
…高僧に、般若湯ですか…
隣の般若湯の由来を思い出しまた苦笑
(般若湯=お酒を指すお坊さんの隠語)



 疲労回復の「きつね湯」に向かった紅葉。白の千早と緋袴を脱いで、宿で借りた湯着に着替えたものの、どうやらとある一部のサイズが合わないようで。
(……胸が、ちょっときつ……)
 密かに胸元を緩めつつ、かけ湯をして髪をまとめ、紅葉は白い湯気の中へ体を滑り込ませた。
 暖かいと熱いの中間にある湯に触れた紅葉の白い肌に、羅刹紋が浮かぶ。
「……はぁぁ……」
 湯気とは異なる白い煙が彼女の周囲に立ち昇り、その中に薄い息が混じる。
 オブリビオンとの戦いを経た体に、癒しの湯が染み渡っていった。
(まだまだ)
 胸の奥で何かが囁く。
 もっと戦え、と。
 多くの敵を、強い敵を倒せ。そうしたらより多くの敵を、より強い敵を。
 それは長く果てのない道だろう。どれほどの辛苦が待ち受けているのか、紅葉自身にもわからない。けれど、進まなければならない。
 そうしろと、彼女の肉体と魂が駆り立てるのだ。それがお前の生きる意味だ、と。
「わたし……つくづく羅刹なのですね……」
 戦いを終えたばかりだというのに「次」に想いを馳せる自分自身に気づいて、ほんのりと頬を染めた紅葉は苦笑した。

成功 🔵​🔵​🔴​

御剣・神夜
POW行動

疲労回復の湯につかって戦いの疲れを取る
「はぁー、生き返ります。やはり温泉はいいですねぇ」
くぅーと伸びをしつつタオルを巻いて湯船につかってのんびりする
「これでお酒があれば言う所がないんですが………」
と、どこからともなく現れた熱燗に嬉しさをにじませつつ一杯やる
「はぁ。温泉に酒。風情があっていいですねぇ」
スタイルの良い体を付けつつ、のんびりと羽を伸ばす



「はぁー、生き返ります。やはり温泉はいいですねぇ」
 湯の中でぐっと体を伸ばす神夜。オブリビオンとの戦いでこびりついた疲労が溶け出して洗い流されるような気がする。最初にこの温泉にたどり着いたという武将は、狐に化かされているのではないかと思いつつこの湯に浸かったのだろうか。
「これでお酒があれば言う所がないんですが………」
 そんなことを呟く神夜の前に、徳利と猪口が乗った盆が漂ってきた。思わず周囲を見回すが、立ち上る湯気があるばかり。
 首を傾げつつ再び徳利に目を向けて、神夜はあることに気がついた。
 徳利の表面に、擬人化された狐が描かれている。前脚――あるいは手というべきか――で徳利を持って、酌をしている。
 知らず、神夜の頬に嬉しげな笑みが浮かんだ。もしかしたら、傷ついた侍をこの地に誘った神狐はまだここにいるのかもしれない。
「はぁ。温泉に酒。風情があっていいですねぇ」
 しかし真実は湯気の中。神夜は誰にともなく一礼してから、熱燗に口をつけた。

成功 🔵​🔵​🔴​

仁上・獅郎
【夜烏診療所】の皆さんと一緒に行動。
順々に湯巡りしていきたいですねえ。
時間的に無理そうなら、般若湯に入る事にしましょう。
湯着を着て髪を纏めて、いざ入浴。

混浴なので正直面食らいましたが、湯着があってよかったです。
女性客も多いですし、皆さんも女性ばかりですから。
気にせずと言われても、どうしても目のやり場に困ると言いますか、気恥ずかしいと言いますか。
まあ、そういう感じです。あはは……。

……はあ、ほっとしますね。
戦いが終わった後での雪見風呂とは贅沢なものです。
癒されますねえ、また頑張ろうって気になります。
あゝ、でも気が緩み過ぎて、眠気が、睡魔が……ぐう。


春霞・遙
【夜烏診療所】の方々との温泉を楽しみに来たので、無事入湯できることになってよかった。

どのお湯もすごく気になるので本当は湯巡りしたいなぁ、神様用の温泉に神酒を備えたりきつね湯でうとうとしたり。
ひとつに絞るなら般若湯へ。万病退散ってことは湯治宿だったりするのかな、すごい楽しみ!のぼせないように塩飴と水筒にお茶持って、髪がお湯につからないようにアップにして。
温泉ではストレッチしたり、マッサージしたりのんびり楽しむ。疲れてるならほかの人にも肩もみくらいならします。といっても仁上先生は遠慮されそうなので女性陣にかな。

この宿場町は平和になったのだし、温泉宿が七つもあるなら残りも今度個人的に入りに来たいな。


忠海・雷火
【夜烏診療所】の皆と一緒に湯巡りを。或いは般若湯のみを、ゆっくり楽しみましょう
それにしても、温泉に浸かるのは何年振りかしら。効能云々よりも、温泉自体に癒される……
静かで、でも人の活気は感じられて。雪の中で景色も良くて
特別何かをするわけでなくとも、そんな時間を仲間と共有出来るのは最高じゃない
あ、もし肩揉みをするなら私もお返しします。皆には随分助けられたから

名前は……酒は百薬の長とも言うし、それが由来なのかもしれないわね。ほどほどに、という意味でも間違ってはいないのかも
……寝ている人が居るような気がするのだけれど、疲れていたのでしょうし、今はこのままで
うっかり顔が湯に浸からないようにだけ見ておくわ


数宮・多喜
さーて温泉、温泉♪
【夜烏診療所】の皆と一緒にゆっくり湯巡りしたいもんだねぇ!
あ、でも全部を回るのがダメなら、般若湯かな?
猟兵でも風邪やらいろんな病気には気を付けたいからね。
男女混浴ってのもこうして全員で入れるからありがたいよ。
仁上センセも、そんな気にしなくていいからさー?
しっかし名湯というだけあって、体の芯から温まるね。
ゆっくりと浸かって、効能を存分に身体に取り込もうとするよ。
でも確か般若湯ってUDCアースだとお酒って意味じゃ……

ハハ、まさかこのまま入ってると酔っぱらうなんてこたないよね?
(湯あたりはするかもしれないけど……)

【アドリブ改変歓迎】



 名前のない美容の湯、それから「きつね湯」と湯早の温泉を順繰りに堪能していった「夜烏診療所」の面々。彼らが最後にやって来たのは万病退散の効能があるという「般若湯」であった。
「確か般若湯ってお酒って意味じゃ……」
 ゆらゆら揺れる乳白色の湯面を見つめて呟く多喜。その隣で、雷火が小首を傾げた。
「酒は百薬の長とも言うし、それが由来なのかもしれないわね。ほどほどに、という意味でも間違ってはいないのかも
「ハハ、まさか入ってると酔っぱらうなんてこたないよね? 湯あたりはするかもしれないけど……」
 二人の会話に耳を傾けつつ、持参した塩飴と水筒が入った籠を湯のかからなさそうな所に置いて、遙は長い髪を湯に浸からないようまとめて結い上げる。
「七つもあるなら、残りの四つにも今度入りに来たいですね」
「特別何かをするわけでなくとも、そんな時間を共有出来るのは最高よね」
 そんなことを話しながら、湯着をまとった三人は温かな湯の中に体を沈めた。
「……はー」
 三つの唇から、揃って同じようなため息が漏れる。
「それにしても、温泉に浸かるのは何年振りかしら。効能云々よりも、温泉自体に癒されるわ……」
 しみじみと呟く雷火。
「皆さんとの温泉を楽しみに来たので、無事入湯できることになってよかったです」
 言葉通りに先の二つの温泉も存分に楽しんだ遙は嬉しそうだ。
「男女混浴ってのもこうして全員で入れるからありがたいよ。な、仁上センセ」
 多喜の呼びかけに、湯気の向こうに覗いていた獅郎の背中が身じろぎした。
「そうですね。……正直面食らいましたが」
「そんな気にしなくていいからさー?」
 笑みを含んだ多喜の言葉に、獅郎はちらと後ろを振り返ってまた空を見上げる。湯着を着ているとはいっても所詮は薄布一枚。湯を吸って体に張りついた様は、見ようによっては素肌を晒しているよりも艶めかしい。
「気にせずと言われても、どうしても目のやり場に困ると言いますか、気恥ずかしいと言いますか」
「なんだ、照れてんの?」
「まあ、そういう感じです。あはは……」
 星々が煌めく空と夜闇に白く浮かび上がった山々に顔を向けたまま頬を掻く黒一点に、三人は顔を見合わせて笑みを交わした。
「あまり仁上先生を困らせるわけにもいきませんし、そっとしておきましょう」
「そうね。せっかくのいい夜だもの。静かで、でも人の活気は感じられて。雪の中で景色も良くて」
「名湯というだけあって、体の芯から温まるしね」
「あ、そうだ。忠海さん、肩でも揉みましょうか? 戦闘でお疲れでしょう?」
「そうね……お願い。後で私もお返しするわ。皆には随分助けられたから」
「ちょっと、あたしも混ぜてくれよ」
「それじゃあ忠海さんの次は数宮さんですね」
 和気藹々とした仲間の声を肩越しに聞きながら、獅郎は静かに瞳を閉じた。
「……はあ、ほっとしますね」
 五臓六腑に染み渡る、とはこういうことを言うのだろう。熱だけではなく、温泉の効能も体の隅々まで行き渡っていくように感じられる。
「戦いが終わった後での雪見風呂とは贅沢なものです」
 遠い山から運ばれてきたのだろうか、温められた頬にひとひらの雪が触れた。その冷たさでさえも心地よい。
「癒されますねえ、また頑張ろうって気になります」
 普段の忙しさから切り離された、文字通りの別世界。オブリビオンとの戦いも終わったとなれば気も緩もうというもの。疲労と共に、意識も湯の中に溶けていく。
「……寝ている人が居るような気がするのだけれど」
 かすかに舟を漕ぎ始めた獅郎に、雷火が気づいた。湯の中でストレッチをしていた遙が顔を上げる。
「本当ですね」
「湯あたりしてもいけないし、起こす?」
「疲れていたのでしょうし、今はこのままにしておいてあげましょう」
 うっかり顔が浸からないようにだけ注意していればいいだろう。雷火達はやや声を低くして、ゆっくりと三つ目の温泉を楽しむのだった。
 猟兵達が勝ち取った湯早の平和な夜は、静かに更けていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト