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骨(ボーン)・トゥ・ビー・ワイルド!

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 ズンズンチャッ! ズンズンチャッ! ズンズンチャッ!
 死霊兵たちが規則正しく足踏みと手拍子をダンジョン内の広間で繰り返す。
 ズンズンチャッ! ズンズンチャッ! ズンズンチャッ!
 そのビートはどこか勇ましく、聞く者の魂を揺さぶるだろう。
 ズンズンチャッ! ズンズンチャッ! ズンズンチャッ!
 広間に備え付けられた特設ステージの袖から、1体の怨霊魔導士が拳を突き上げながらゆっくりと歩を進め、堂々の登場。湧き上がる死霊兵たちの歓声は割れんばかりだ!
 ズンズンチャッ! ズンズンチャッ! ズンズンチャッ!
 そして怨霊魔導士が死霊兵たちに叫んだ。
「お前らァッ、ワイルドに生きたいか!?」
「うおおおおおおおっ!!」

「え~っと、もう死んでるよねっ!?」
 蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)が予知にセルフツッコミ。
「……こほん、という事で、なんだか、またカオスな予知を見ちゃってね? 今回はアルダワ魔法学園世界で、怨霊魔導士率いる死霊兵団が上層階へ向けて侵攻してくるのを猟兵のみんなに防いでもらいたいんだよっ!」
 今回の事件の概要を簡潔に説明しよう。
 怨霊魔導士率いる死霊兵たちは、何故かノリノリのリズムと大合唱と共に攻め上がってくる。猟兵たちは途中、この災魔たちが必ず通過せざるを得ない階層まで先回りして待ち伏せ、足止めをして迎撃に当たってもらいたい。
 なんで死霊兵たちがノリノリなのか、と尋ねられるとレモンはすぐに回答した。
「実は、死霊兵たちが攻め込んでくる数時間後に、学園敷地内の森で精霊さんたちが音楽祭を行うんだって。もしかしたら、死霊兵たちは音楽祭目当てに地上へ攻めてくるのかも……?」
 音楽好きとはいえ、災魔は災魔だ。地上へ脱出させるわけにはいかない。猟兵たちがキッチリ殲滅しなければならないのだ。
「あと、この災魔たちは音楽が好きみたいだから、こっちも音楽系のユーベルコードを使ったり行動を採ると何か反応があるかも?? といっても、戦闘が有利や不利になるわけじゃないっぽいけどね?」
 猟兵たちの中で興味があるのなら、試してみるとよいだろう。
「そうそう! 無事に迎撃完了出来たら、その精霊さんたちの音楽界に猟兵のみんなも参加できると思うよっ! 楽器を演奏したり、踊ったり、歌ってみたりっ! 折角だから、楽しんできたらどうかなっ?」
 レモンは学園内の地図に赤いペンで丸を囲ってみせる。ここでやってるよ、という事らしい。
「それじゃあ、アルダワ魔法学園世界に出発だよっ! みんな、ワイルドに行こうねっ!」
 早速、レモンのグリモアが輝き、転送が始まる。


七転 十五起
 皆さんはどんな音楽がお好みでしょうか?
 七転十五起、なぎてんはねおきです。
 今回、初めてアルダワ魔法学園世界のオープニングを担当するのだわ。
 宜しくお願い致します。

 本シナリオの第一章、第二章では音楽にまつわる行動を猟兵が試みると、災魔から何かしらの反応があります。戦闘が有利になったり不利になる事はありませんが、ご興味ある方は積極的にパフォーマンスや歌唱や演奏をプレイングに盛り込んでみてはいかがでしょうか?

 第三章は音楽好きの災魔(オブリビオン)をすべて撃破したら、精霊たちの音楽会を楽しむことが出来ます。演奏して、踊って、歌ってと好きなだけ大騒ぎしちゃってください。
 今回の第3章の精霊音楽会は、出来るだけ大人数を描写したい考えです。是非、お友達をお誘い合わせの上、奮ってご参加くださいませ!
 お待ちしております!!
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第1章 集団戦 『死霊兵』

POW   :    剣の一撃
【血に濡れた近接武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    弓の一射
【血に汚れた遠距離武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    連続攻撃
【弓の一射】が命中した対象に対し、高威力高命中の【剣の一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トゥリース・リグル
【連携・アドリブ歓迎】

「申し訳ありませんが…気の利いた歌は知りませんので、これでご勘弁を」(攻撃前)

【錬成カミヤドリ】でダガーを複製。
【先制攻撃】で先手を取り、【範囲攻撃】&【2回攻撃】で一気に薙ぎ払う。
その後は混戦に飛び込み、集団を縫うように複製ダガー及び自分自身による【ダッシュ】+【シーブス・ギャンビット】&【2回攻撃】or【範囲攻撃】で仕留めにかかる。
相手の攻撃は【見切り】で見極めたうえで、【ダッシュ】・【ジャンプ】・【スライディング】で場の状況に応じて臨機応変に避ける。
気が向いたら、戦闘の片手間に、無意識に子守唄でも口ずさんでみましょうか。


イヴ・クロノサージュ
▼心情

――死霊兵たちが学園に押し寄せてくる
学園を大切にしているイヴはこの事件に興味を示し…

レモンさん…?
確かあの時一緒にいて
クーちゃんを助けてくれた、ひと?

イヴとの面識は無いけれど
大切な友人を助けてくれたグリモア猟兵をみて

(……助けなくちゃっ!この災魔たちを学園に襲わせていけないのっ!!)

人見知りで言葉にする事はできないけれど
強い想いと共に彼女はアルダワ魔法学園に転送されるのでした

▼戦闘

アドリブをお願いします!
サポートが得意な子で機械鎧兵が強力な戦力ですが本人は全く戦えません

情報収集:
ちょっとこの辺調べてみようかな…?

周辺の細かな地形(柱や床)と遮蔽物
他の猟兵さんの助けになる情報を調べてみよう


ダーシャ・アヴェンダ
死霊兵…毒は効きそうにないわね。でも一応【毒使い】の仕込み武器による【マヒ攻撃】は用意しておくわ。

『死操演舞』でサイファーを増やして陣形を取り、剣の攻撃には同じく剣や回転丸鋸の【武器受け】で対応し、弓の攻撃には銃器や火炎放射機、大砲で【一斉発射】で【吹き飛ばし】【なぎ払う】わよ。
私に攻撃が当たりそうなら【第六感】と【見切り】を使って人形で攻撃を捌くわ。

「さぁ、一緒に踊りましょう?」
音楽会に相応しい開幕のダンスになるといいわね。


ティノ・ミラーリア
音楽…どんなものか、まだよくわからないけど…取り合えず倒すね
こんなに興奮してまで目指す音楽…無事に終わらせたら見てみよう

POW【ブラッド・ガイスト】
『ブラッド・ガイスト』で処刑人の剣に血を吸わせて強化、
「第六感」使いながら「破魔、鎧砕き、鎧無視攻撃、力溜め」の攻撃。
骨みたいなのは銃が当たりにくいから嫌だ…
技術ではなく基礎能力と強化された武器で力任せに戦っている風。
眷属は死角をカバーしながら敵の攻撃から僕や味方を「かばう」。

…やっぱり、これの後は疲れる…血が欲しい……


紅月・美亜
「教えてやろう、STGのBGMこそが至高であると。Operation;RAY、発令!」
 S.F.R.B.S.のちょっとした応用だ。空間の音にハッキングを仕掛けてBGMを流す。流す曲は『閃光の嵐』の1面、幾何学的都市だ。
「STGのBGMはただ聞くだけではない」
 上空を飛ぶ光学兵器搭載戦闘機で死霊兵を次々とロックオン。
「ステージ構成との調和。ロックオンの電子音、レーザーの発射音や爆発等のSEもまたBGMの一部と言える」
 曲に合わせてレーザーを叩き込む。タイミングは完璧だ。音ゲーにもなってる名曲だからな。


マリアドール・シュシュ
アドリブ歓迎

「まぁ!もしかしたら災魔達も音楽祭を一緒に楽しみたいのかしら。
でも迷惑をかけちゃメ、なのだわ!
ごめんなさい。マリアは猟兵だから、ここを通す訳にはいかないのだわ。
楽器ならマリアも少し弾けるのよ。ほんの少しだけなら…いいわよね?
だってマリアは楽しい世界が大好きなんですもの!」

竪琴を奏でながら小さなリサイタル開く
【パフォーマンス・歌唱】で架空言語の唄を透き通る声で歌う
セレナーデの歌声

「…そろそろお終いなのだわ。夢は必ず覚めるものでしょう?」

【高速詠唱】で【透白色の奏】使用
攻撃が届く範囲で距離取る

竪琴を奏でて攻撃
音色に【マヒ攻撃】を付加して攻撃
敵の攻撃は回避
回避不可なら演奏で攻撃し相殺狙い


水鏡・龍眼
ふむ、音楽好きの災魔、か
我としても楽しむ分には放って置いてやりたいのだが、
災魔とあっては仕方ない
「せめて心ゆくまで奏でてから逝くがいい」

我等はユーベルコード【月水竜の旋律】を使用する
『母上と共に奏でよう…響け、我等が旋律!』
母上(月の精霊)と共に歌唱で皆に力を届けよう
…敵も、まあ歌だ。邪魔はするまい

(ジャンルは任せます。相手のリズムに合わせてもOK。母上もノリノリです)
(多分父上(ドラゴンランスのミニドラゴン)も横で踊ったり
ギャオギャオ歌ってます)

◆攻撃を向けてきたら…
「歌う者に攻撃をする…それがお前達の求めるワイルドか?」
と眼鏡をくいっとして真顔で言い放ちます

※他の人との合わせ、アレンジ可


スピレイル・ナトゥア
「えーと……B級映画ですか?」
昔、死霊が踊り続けるだけのB級映画があったって聞いたことがあります……いえ、D級映画でしたっけ?
そう考えるとなんとも気が抜けてしまう光景ですが、彼らは敵です
ちゃんと気合をいれて戦うとしましょう
それと、魔法少女モノから構想を得た新技をいまこそ試すときです!
精霊の幻想的な光に包まれて、剣と鎧と盾のフル武装形態にパワーアップします!
土の精霊の加護による鎧と盾で攻撃を防ぎ、炎の精霊の加護による剣で死霊兵を一刀両断します
「音楽が好きだったなら、生前楽しんでおけば良かったのです。いまのあなたたちは、この世界に害を為す存在でしかありません。私の3種の神器で葬ってさしあげます!」



 ズン! ズン! ズンズンチャッ!
 規則正しいリズムが猟兵たちの元に近付いてくる。
「お前らァッ! ここを通過したら地上は目の前だ! 本物の音楽を味わえるぞ!」
「しゃあああああああっ!」
 骨たちの雄叫びを聞いた猟兵たちは、それぞれの思いを胸に抱いていた。
(……助けなくちゃっ! この災魔たちを学園に襲わせていけないのっ!!)
 イヴ・クロノサージュ(《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113)は人見知りながらも、人一倍学園を守ろうと必死であった。
 ティノ・ミラーリア(ダンピールの咎人殺し・f01828)は、今まで自由のない閉鎖的な環境にいたためか音楽自体に馴染みがないようだ。
「音楽……。どんなものか、まだよくわからないけど……。取り合えず災魔は倒すね。こんなに興奮してまで目指す音楽……、無事に終わらせたら見てみよう」
 この後に開かれる精霊音楽会に期待を寄せながら、少女のような彼は処刑人の剣を鞘から抜き払う。
 その横で、骨たちの歌声にノリノリのマリアドール・シュシュ(無邪気な華水晶・f03102)は楽し気に微笑んでいた。
「まぁ! もしかしたら災魔達も音楽祭を一緒に楽しみたいのかしら。
でも迷惑をかけちゃメ、なのだわ!」
「その通りだ。だが、音楽好きの災魔、か。我としても楽しむ分には放って置いてやりたいのだが、災魔とあっては仕方ない。ここで骸の海へお引き取り願おう」
 水鏡・龍眼(水面に浮かぶ月・f01423)がドラゴンランスのミニドラゴンと月の精霊と共に、骨たちの姿を捕らえる。
 そこへスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)が冷静にツッコミを入れた。
「えーと……B級映画ですか?」
 えっ、どういうことなのと他の猟兵たちがスピレイルの顔を見遣る。
「えっ、マジで? 俺達みたいなファンキーガイが映画になってたって?」
 いつの間にか死霊兵が会話に混ざりたいのか声を掛けてくるカオス。
 すかさずスピレイルは早口で解説を行う。
「昔、死霊が踊り続けるだけのB級映画があったって聞いたことがあります……。いえ、D級映画でしたっけ? もしかしたら、死霊ではなくてゾンビだった気も……?」
「ははっ、ゾンビにグルーヴは理解できねぇよ。俺達みたいに身も心も軽くならねぇとな!?」
 いやだからさ、なんでめっちゃフランクに話しかけてくるのさ?
 猟兵たちの一部が当惑している中、イヴが死霊兵をみて反射的にユーベルコードをぶっ放してしまう。
「災魔……、敵……! お願いです……! 私の騎士達、来て下さい……っ! 魔導召喚―――ディメンションリンク・ガーディアン!!」
 呼び出されたブラスターアームで突撃する機械鎧兵と大型魔術盾でイヴを護衛する魔導巨兵がフランクに話しかけてきた死霊兵を粉砕してしまった。
 災魔側も猟兵側も、何が起こったのか分からぬまま、しばし沈黙が場を支配する。
「あ、あの、わたし、サポートが得意なので……、お役に、立てましたか?」
 敵も味方も答えは出なかった。
 単独だったら一斉に反撃を受けて苦戦していただろう。
 一方、仲間を粉砕された死霊兵団は怒りを露わにしていた。
「やはり猟兵は俺達の敵だ! 災魔になったとしても、音楽を好んで何が悪いのだ!?」
 兵を率いる怨霊魔導士がイヴを指差し抗議をすれば、死霊兵団に向けて演説を行う。
「お前ら! できれば俺は猟兵たちとは戦いたくはなかった! だが猟兵たちが此処で俺達を全滅させるというのなら、俺達はそれを押し通る! いいか? ワイルドにいくぜぇ!!」
「うおおおおおおおっ!!」
 猟兵たちへ物量を活かしてなだれ込んでくる死霊兵たち!
「まぁ、結局こうなりますよね。申し訳ありませんが……、気の利いた歌は知りませんので、これでご勘弁を」
 トゥリース・リグル(刃を為すモノ・f00464)はユーベルコード『錬成カミヤドリ』にてダガーを18本複製すると、まずは突出してきた死霊兵たちに飛び掛かって2連撃を放つ! その斬撃は思いのほか射程範囲が広く、一度に3体の死霊兵を切り刻んでいった。だがトゥリースへ血に汚れた矢の雨が襲い掛かる!
「それは見切っていますよ!」
 敢えて死霊兵たちの中へスライディングで潜り込んで回避。
 そして複製したナイフを駆使して超高速攻撃を繰り出し、次々に死猟兵たちを斬り伏せてゆく。その口から、無意識に鎮魂歌のような子守歌がこぼれていた。
「クックック! ようやく惨劇の舞台が幕を開けたようだな! 心待ちにいていたぞ!」
 紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)が愉悦に満ちた笑顔を浮かべた後、死霊兵たちへ己の視線を向けてユーベルコードを発動させる。
「教えてやろう、STGのBGMこそが至高であると。Operation;RAY、発令!」
 召喚された上空を飛ぶ光学兵器搭載戦闘機で死霊兵を次々とロックオン!
 そしてハッキング技術を応用して空間にSTG(シューティングゲーム)のBGMを流し始めた。
「おお!? これはカッコイイじゃないか!」
 突然流れるBGMに死猟兵たちが歓声を上げる。
 これに紅月は満足そうに答える。
「当然だ。音ゲーにもなってる名曲だからな。STGのBGMはただ聞くだけではない。ステージ構成との調和。ロックオンの電子音、レーザーの発射音や爆発等のSEもまたBGMの一部と言える」
 このようにな、と戦闘機へ攻撃命令を彼女は下せば、音楽に合わせて全てのSEが渾然一体となって完璧な調和をもたらすのだった。
「ふん、今回もタイミングは完璧のようだ」
 流石はSTGをあらゆる世界に布教しようと目論む紅月。ゲーム感覚で死霊兵を次々に撃墜してゆく。死霊兵たちは反撃する間もなく戦闘機のレーザーによって破壊されてゆくのだった。
 そしてダーシャ・アヴェンダ(人形造形師・f01750)も乱戦の中、人形を駆使して戦っていた。
「死霊兵……、やっぱり毒は効きそうにないわね。でも不思議とマヒするのよね。何故かしら?」
 ダーシャは気付いていないが、彼女には気絶攻撃の技能を有している。毒は通じなくても、気絶によるマヒは通る寸法だ。
「イイ感じの音楽もあるし、ここはちょっと盛大に行きたいわね。それこそ、ワイルドに!」
 ダーシャはユーベルコード『死操演舞(シソウエンブ)』を発動!
「人形遣いは操れる人形の数でその者の実力が測れるのよ!」
 すると、彼女が操る人形の数が、一気に19体まで増殖! しかもそれぞれが個別に念力で動かせるので、まさに一騎当千の戦働きが可能だ。
「さぁ、一緒に踊りましょう?」
 飛んでくる矢を第六感と見切りを駆使して人形に防御させると、残りの人形の両掌に仕込んだ火炎放射器や大砲、口から現れたガトリング砲などで死霊兵を一網打尽にしてゆく。死霊兵が慌てて逃げ回る様は、まさに音楽会に相応しい開幕のダンスだ。
「それじゃあ、僕は……」
 ティノは自らの血を処刑人の剣に吸わせて強化。ユーベルコード『ブラッド・ガイスト』だ。殺戮捕食態化した剣を死猟兵へ向けて力を籠めて振り下ろせば、まるでバターをナイフで切るかの如く易々と刃が骨を切り捨ててゆく。だが後ろから仕掛けてきた死霊兵の長剣が、ティノを切断しようと振りかぶられた。それをティノは予知していたかのようにひらりと回避すると、返す刀で振り向きざまに死猟兵を真っ二つに斬り伏せた。
「銃火器で戦っている人は凄いな。僕は銃が当たりにくいから骨は嫌だ……」
 その後も力任せに一体ずつ斬り伏せてゆく。
 乱戦の最中、マリアドールと水鏡は即興で音楽を奏でる事にした。
「死霊兵のみなさん、ごめんなさい。マリアは猟兵だから、ここを通す訳にはいかないのだわ……」
 戦う死霊兵相手に、まずは謝罪を述べるマリア。それは、これから送る彼女と水鏡の音楽が、紛れもない鎮魂歌になってしまう事への最後通告である。
「楽器ならマリアも少し弾けるのよ。ほんの少しだけなら……、いいわよね? だってマリアは楽しい世界が大好きなんですもの!」
「聞いたか、死霊兵よ。せめて心ゆくまで奏でてから逝くがいい」
 マリアが竪琴を奏でながらメロディを紡ぎだすと、水鏡はユーベルコード『月水竜の旋律』を発動させ、竪琴に合わせて歌いだした。
「母上と共に奏でよう……。響け、我等が旋律!」
 月の精霊と水鏡が歌声を響かせると、マリアも架空言語の唄を透き通る声で歌う。それはセレナーデの歌声のように、聞く者の心を震わせるに値するものであった。
 どこかの国の民族音楽のようで、または荘厳な宮中音楽のような旋律。
 水鏡が父上と呼ぶミニドラゴンもギャオギャオ歌いながら楽し気に踊っているし、死霊兵たちもなんだか戦闘しながら楽しそうに浮かれている様子だ。
 その光景を眺めていたスピレイルがすっかり気が抜けてしまっていた。
「まさか本当に音楽で心を通わせられることが出来た光景を見てしまうと、色々とやりづらいですが、彼らは敵です!」
 次第にスピレイルの身体が精霊の幻想的な光に包まれて、剣と鎧と盾のフル武装形態にパワーアップ!
「魔法少女からモノから構想を得た新技をいまこそ試すときです!」
 ユーベルコード『精霊闘姫(トリニティ・エレメンタル・フルドレス)』は、炎の精霊の加護による剣、土の精霊の加護による鎧と盾、雷の精霊の加護による身体能力向上で自身を強化することが可能だ。
「音楽が好きだったなら、生前楽しんでおけば良かったのです。いまのあなたたちは、この世界に害を為す存在でしかありません。私の3種の神器で葬ってさしあげます!」
 切り掛かる死霊兵の一撃を土の精霊の盾で弾き返すと、炎の精霊の剣で一刀両断してしまった。
 演奏中に戦闘が発生したことをよしとしない水鏡は、だいぶ数が減った死霊兵たちへ向けて尋ねた。
「……それがお前達の求めるワイルドか?」
 眼鏡をくいっとして真顔で言い放つ。
 そこへマリアが残念そうに死霊兵たちへ告げた。
「……そろそろお終いなのだわ。夢は必ず覚めるものでしょう?」
 ユーベルコード『透白色の奏(リスタ・エメラルム・カノン)』を演奏し始めた。
「煌き放つ音ノ葉を戦場へと降り注ぎましょう──さぁ、マリアに見せて頂戴? 玲瓏たる世界を」
 彼女の瞳が死霊兵を見定めると、ハープで奏でた旋律が死霊兵の身体を徐々に砕いてゆく。そしてその音色には身動きを封じる効果もある為、一度魅入られたら逃れられないのだ。
 マリアと水鏡に向かって飛んでくる矢の一撃と剣の一撃も、ティノが身を挺して庇う事で事なきを得た。
「……やっぱり、これの後は疲れる……。血が欲しい……」
 ティノは死角からの攻撃に気を配りつつ、真正面から死猟兵を叩き斬った。
 一方、イヴは呼び出した機械兵に自身を守らせながら、何か役に立ちたい一心で戦闘に参加せずに周囲を捜索していた。
「この、スイッチは……?」
 発見したのは、あからさまに怪しいスイッチ。すかさず躊躇せずに押してしまうイヴ。
 すると、突然、ダンジョンが地鳴りを上げて形を変えてゆくではないか!
「こ、これは……!?」
 イヴが目の当たりにしたのは、ステージだった。演劇や歌唱を披露するにはうってつけのステージ。おまけに照明も完備されている。
 周囲が明るくなったことで分かったのは、既に死猟兵たちは全て破壊されたという事だ。その時、ステージから重々しい声が響いた。
「どうやら、残すは俺ひとりになっちまったようだな……」
 そのステージに、堂々と立つのは……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『怨霊魔導士』

POW   :    死霊兵団
【骸の海に揺蕩う罪人達】の霊を召喚する。これは【血に濡れた近接武器】や【血に汚れた遠距離武器】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    死霊の嘆き
レベル×1個の【呻き声をあげる人魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    死霊の誘い
【昏い視線】を向けた対象に、【忌まわしい幻影と心を抉る言葉】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ステージに君臨するボス級オブリビオン、怨霊魔導士は猟兵たちに一礼をした。
「戦闘中の音楽の提供とは、なかなか粋な真似をしてくれるじゃないか。倒された死霊兵たちも、心置きなく骸の海へ戻っていただろう……。感謝するぜ」
 そして、猟兵たちに上がってこいと手招きをする。
「このダンジョンは娯楽が少なすぎる。ちょっと前に俺を目の前にして逃げていった学園生が、楽器と譜面を落としていた。俺は、それを練習して完璧に演奏できるようになった。そこで気が付いたんだ。“音楽はいいものだ”と。そう思わないか? ――猟兵(イェーガー)?」
 一変、怨霊魔導士に殺気が漲る!
 さぁ、武器を取れ、猟兵たち! 明日の音楽を守れるのは、君たちだけだ!
スピレイル・ナトゥア
「ワイルドワイルド言ってるくせに昏い視線で心を抉る言葉を言ってくるとか、実は陰険なクソ野郎ですね!」
だけど、楽器と譜面だけで演奏できるようになったその才能は認めてあげましょう
だって、私だったら楽器と譜面だけで楽器を演奏できるようになるとか無理ですし!
雷の精霊さんにお願いして、他の参加者の方々の機械(ガジェット含む)を強化してもらってから、私も雷の精霊さんと一緒に戦闘に参加します
部族の精霊信仰に伝わる精霊獣も召喚できないし、ハメを外し過ぎたときのお兄様やお姉様からのお説教も怖い私ですが、そんな忌まわしい幻影には負けません
「あなたの目の前に楽器と譜面が落ちていたこと、それがあなたの敗因です!」


紅月・美亜
「そうだな、音楽は良い物だ。全くもってその通りだ」
 再度、空間の音へのハッキングを行い次に流す曲は、
「Born to be free、”自由になる為に生まれて来た”。しかし、我々はオブリビオンと猟兵。戦うしかないのだよ。我々は、引き返せないのだから。Operation;BLACK、発令」
 こちらも同じく音ゲーになっている名曲である。荒廃した地球を背景に、全てを敵に回した一人の男が立ち上がる、そんな曲だ。
「この最終平和兵器によって貴様の罪に私自らが罰を与える。消え去るがよい」
 BGMのリズムに合わせて一糸乱れぬビーム開放だ。



 怨霊魔導士の誘いに乗り、猟兵たちはステージの上に立つ。
 開口一番、紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)が怨霊魔導士に向かって告げた。
「そうだな、音楽は良い物だ。全くもってその通りだ」
 再び空間をハックすると、先程とは異なる音楽が辺りを支配し始めた。
「Born to be free、”自由になる為に生まれて来た”。しかし、我々はオブリビオンと猟兵。戦うしかないのだよ。我々は、引き返せないのだから。Operation;BLACK、発令」
 荒廃した地球を背景に、全てを敵に回した一人の男が立ち上がる。そのような光景をモチーフとしたSTGの名曲だ。このBGMと共に90機の小型の戦闘用新型光学兵器搭載戦闘機がダンジョンの天井付近を集団高速旋回!
 これに怨霊魔導士は皮肉めいた口調でこう返した。
「そうだ、俺は、俺達は引き返せない。それに、Born to be free! いい言葉だな、猟兵! 俺達は自由に音楽を楽しむために死にもの狂いでここまで来たのさ! 俺のワイルドな魂は、そんな玩具で壊せると思うなよ!」
「玩具かどうか、今に分かる。この最終平和兵器によって貴様の罪に私自らが罰を与える。消え去るがよい」
 次の瞬間、BGMに合わせて戦闘機編隊が立て続けにビームを乱射! だが怨霊魔導士は避けようとしない! むしろ全て攻撃を受け止めている!
「うおおおおおおおっ!! まだまだぁ!! やはり玩具じゃねぇか!! 効かねぇぜ!?」
 全て受け切ってから、反撃の死霊の誘いを紅月へ向ける。
 昏い視線を向けた対象に、忌まわしい幻影と心を抉る言葉でダメージを与える闇の攻撃だ。
「ぐっ、なんだと!? STGのBGMの素晴らしさが届かないのか!?」
 紅月は思わぬダメージにたたらを踏んでしまう。
「いや、このBGMは確かに素晴らしい。だが、このBGMは俺をもっと熱くさせる何かが足りない気がする……!」
 怨霊魔導士はもっと熱いジャンルの音楽が好みのようだ。
 そこへスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)のツッコミが飛んできた。
「ワイルドワイルド言ってるくせに昏い視線で心を抉る言葉を言ってくるとか、実は陰険なクソ野郎ですね!」
 さぁ、どんな罵詈雑言が飛んでくるかとスピレイルが身構えていると、怨霊魔導士は紅月から視線を逸らし、悲しそうに答えた。
「ああ、俺の身体も魔力も魂も、すっかり闇と呪いに塗れちまった。今更、音楽の力にすがって誤魔化したところで、何も変わらねぇ……」
「え~っと、反論しないんですか?」
「したところで、現状が何か変わるとでも? 敵同士、このまま永遠にいがみ合うだけだぜ?」
 なんだかやけにしんみりとしてしまったので、慌ててスピレイルが言葉を継いだ。
「だ、だけど、楽器と譜面だけで演奏できるようになったその才能は認めてあげましょう。だって、私だったら楽器と譜面だけで楽器を演奏できるようになるとか無理ですし!」
「そ、そうなのか? そうか。俺って才能があったのか……!」
 そのあまりにも人間臭い挙動の怨霊魔導士に、スピレイルはどうしたものかと考え込む。
(なんか面倒くさい災魔ですね……)
 とりあえず、こういう時は自己強化が重要である。
「そろそろ再開しましょう! 雷の精霊さん。任せました!」
 スピレイルは機械の性能を向上させる雷の精霊を呼び出すと、紅月の戦闘機をパワーアップさせた!
「おお、速度・旋回性・火力! 全てが向上しているだと!?」
「雷の精霊さんは凄いのです! まだまだこれからが本番ですよ!」
 召喚された雷の精霊が100本もの稲妻の矢を生成、それらを一斉に怨霊魔導士へ向けて発射する!
「だが、こちらの方が早いぜ!」
 カウンターで怨霊魔導士の死霊の誘いがスピレイルを襲う!
 途端、彼女の故郷での辛い出来事が幻影となって出現してしまう。
「部族の精霊信仰に伝わる精霊獣も召喚できないし……、ハメを外し過ぎたときのお兄様やお姉様からのお説教は、とても怖かった……、でも!」
 精霊の護身用ナイフで自らの腕を傷付け、正気に戻ったスピレイルは怨霊魔導士に向かって叫んだ!
「そんな忌まわしい幻影には負けません! あなたの目の前に楽器と譜面が落ちていたこと、それがあなたの敗因です!」
「合わせるぞ、スピレイル!」
「分かりました、美亜さん! 雷の精霊さん、お願いします!」
 ダンジョン内に、190本もの光線が怨霊魔導士へ向けて殺到!!
「「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」」
 落雷の轟音とステージが破壊された爆発音が響いた後、爆炎から姿を現した怨霊魔導士が、高らかに笑った。
「いいぞっ! もっとだ! もっと俺の魂を熱くさせろっ! 今のビートはなかなか聞いたぜェ!!」
 無傷、とは言い難いが、それでもまだまだ敵は健在。
 猟兵たちは更に攻撃を加える必要がありそうだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

氏神・鹿糸
明石・鷲穂と参加。

音楽は素敵よね。私も音楽祭を楽しみに、友人と来たのよ。
だから……楽しむために。音楽性の違いから退場してもらいましょう。

「音楽には、踊りも必要よね。さあ、踊って遊んであげて!」
基本は戦闘の補助、引き付け。
後方から、【エレメンタル・ファンタジア】を放つわ。水の精霊を風に乗せて、氷の雨にして攻撃。

「彼らの、踊りはとても上手でしょう?もっと白熱したダンスを踊る?」
少し、隙が出来たら[全力魔法]を込めて、ユーベルコードで[2回攻撃]。
炎の精霊を竜巻に乗せて、相手を取り囲むわ。

(アドリブ歓迎)


明石・鷲穂
友人の氏神・鹿糸と参加だ。

音楽出来るのか!すごいなこのオブリビオン。
俺は獣楽器(笛)でピーって吹くくらいしかできないからな。そこは尊敬だ。

「俺、音楽祭楽しみで学園に来てみたんだよなあ。邪魔はしないでくれよ!」
攻撃方法は、友人と陽動作戦。
友人が引き付けているうちに、[だまし討ち]だ。まずは武器の金剛杵で殴りかかり、すぐ距離を取るということを繰り返そう。

「捕まえぞ。……そら!」
相手の気が散ったら、[グラップル]で距離を取られないよう掴みかかり、[力溜め]。本命の【灰燼拳】をぶち込もう。


(アドリブ等はお任せします)



 氏神・鹿糸(四季の檻・f00815)と明石・鷲穂(門前の山羊・f02320)の2人が見たのは、黒焦げになりながらも笑い狂う怨霊魔導士の姿だった。
「いいぞっ! もっとだ! もっと俺の魂を熱くさせろっ! 今のビートはなかなか効いたぜェ!!」
 先程までのやり取りを後方から聞いていた2人は、驚いていた。
「音楽出来るのか! すごいな、あのオブリビオン。俺はこの笛の獣楽器でピーって吹くくらいしかできないからな。そこは尊敬だ」
 無邪気に災魔を褒める明石に対して、氏神は複雑な心境を抱いていた。
「でも、あれはオブリビオンよ。確かに音楽は素敵よね。私も音楽祭を楽しみに鷲穂と来たのもの。だから……」
 差し出した掌の中で舞力の渦が発生し、精霊が呼応して集まり始める。
「私たちが音楽を楽しむために。あのオブリビオンには、音楽性の違いから退場してもらいましょう」
 まず反応したのは水と氷の精霊。魔力の渦は大きな竜巻となると、その中で精霊たちが飛び込み思い思いのダンスを披露し始めた。
「音楽には、踊りも必要よね。さあ、踊って遊んであげて!」
 これはユーベルコード『エレメンタル・ファンタジア』だ!
 生み出された氷の嵐(ブリザード)が怨霊魔導士を飲み込む!
「ぐっ!? や、やるじゃねぇか! 力加減を知らねぇ荒々しさとビート! 気に入ったぜ! だが俺の眼差しに掛かれば、この程度……」
 だが怨霊魔導士はこの時、反撃が出来ないことを悟った。
「どこだ……? 猟兵どもは、どこだ!?」
 局地的な氷の嵐によって、怨霊魔導士の視界は完全に閉ざされていた!
 これでは視線による闇の攻撃が届かない!
「よし、今だ!」
 だまし討ちの機会を窺っていた明石は、この好機を逃さない。
「俺、音楽祭楽しみで学園に来てみたんだよなあ。邪魔はしないでくれよ!」
 安鎮の霊器……というかもはや単なる槍である金剛杵を、明石は氷の嵐の中で乱暴に突っ込んだ! それを立ち位置を変えながら何度もゴツゴツゴツゴツ!
 悲惨なのは怨霊魔導士だ。見当も付かないところから穂先が飛び出しては、自身の身体を砕いてゆくのだから堪ったもんじゃない。
「畜生っ! 来るなら正面から来いよっ!?」
 災魔の言葉に応じてか、背後から伸びる明石の腕!
「正面からじゃないけど捕まえぞ。……そら!」
 怨霊魔導士の首元を掴んで離さないように力を籠め、その態勢のまま最大まで力を溜めたユーベルコード『灰燼拳』を叩き込んだ!! 左半身に亀裂が入り、左腕は一部が吹き飛んでいった!
「それじゃ、返却だ!」
 再びぽーいっと氷の嵐の中へ災魔を放り込んだ次の瞬間、明石の目の前に骸の海に揺蕩う罪人達の霊が出現する。自分が戦えない代わりに、怨霊魔導士はこの無数の霊たちに証を襲わせようとしたのだ。
「えっ!? ちょっと!? 鹿糸っ! 助けて!!」
 明石の救助の声に、氏家はすかさず反応。再びエレメンタル・ファンタジアを発動させる。
「彼らの、踊りはとても上手でしょう? もっと白熱したダンスを踊る?」
 今度は竜巻との炎の精霊で火災竜巻を発生!
「さぁ、氷と炎の共演よ。って、あら?」
 本当は2つの竜巻で敵を取り囲むはずだったのだが、徐々に2つの距離が狭まってゆく。全く制御が利かない事に気が付き、氏神はボソッと呟いた。
「もしかして、暴走? ……私、やっちゃった?」
「鹿糸! 逃げよう! なんかやばいよ!?」
「そ、そうね! 逃げましょう!」
 2人がステージから逃げていった次の瞬間!
 氷と炎がぶつかり、水蒸気爆発が発生!!
 罪人達の霊は元より、ステージごと怨霊魔導士を吹っ飛ばしていった。
「くっ……はははははっ! これが噂の“ロックンロール”ってやつなのか? 死にかけたがよ、楽しかったぜ……!」
 瓦礫の中から、よろよろと這い出る怨霊魔導士の纏うオーラが、心なしか浄化されているような気配を猟兵たちは感じ取るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

紅月・美亜
「確かに、ボス戦で道中曲では物足りなかったか。熱い曲ではあるのだが……では、分かりやすく熱い曲に変えようか。Operation;EIN、発令!」
 一本腕の戦闘機を離陸させ、空間の音へのハッキング。次の曲は
「熱圏、だ。タイトル通りに熱圏で戦う時のボス曲で、状況的にも非常に熱い曲だろう?」
 そして、死霊の誘いか死霊の嘆きを誘発し片手をかざして防御魔法を展開。コードへのハッキングを仕掛けて奪い取る。
「奪った、ぞ。コード転換!」
 その場で武装ユニットへと転換し、一本腕の戦闘機へと投げ渡す。
「さて、どうなるかな? 実戦で試した事は無いコードだ。撃って、奪って、撃ちまくれ!」


ティノ・ミラーリア
まだ判断中だけど…そうだね、音楽はいいものなんだと思う。
よく確かめるためにも、ここで払わせてもらうよ。
また一つ知ることが出来たことを感謝し喜びながら、それはこれと災魔の討伐に全力を注ぐ。どこか、ここで聞いた”音楽”のリズムに乗るような動作で。

SPD【眷属の召喚】
災魔の放つ人魂に対し影から生み出した眷族をぶつけ、自らも狩猟銃を構えて破魔の力を込めた銃弾を放つ。
炎が自身にまで迫ったら最後の手段にマントを盾に、延焼する炎にまかれる前にマントを投げ捨てる。
必要とあれば処刑人の剣を手に近接戦を挑む。

他参加者との連携やアドリブ可



 既に敵は瀕死。だが、ワイルドに生きると掲げた怨霊魔導士は、なお、その勢いを止めようとしない。
「音楽は……、どんな絶望の中でも立ち上がる力を与えてくれるんだぜぇ!」
 その言葉を災魔である怨霊魔導士ではなく、猟兵が言えば説得力があったであろう。
 ここまでの戦いを観察していたティノ・ミラーリア(ダンピールの咎人殺し・f01828)は、音楽というものについて漠然とした判断を下す。
「まだ判断中だけど……。そうだね、音楽はいいものなんだと思う。それをよく確かめるためにも、ここで払わせてもらうよ」
 あまり表情の変化が豊かではない彼だが、それでも幾分か口元が緩んでいた。
(またひとつ、知ることが出来た喜びに、感謝を……)
 だが、それはこれと災魔の討伐に全力を注ぐと心に決めた。
 ここで、ティノの戦意を感じた怨霊魔導士が先手を打つ!
「今度はこっちから先に行くぜ! この魂の熱量に耐えられるかぁ!?」
 40個の呻き声をあげる人魂の炎が出現すると、ティノへ次々と飛来してゆく!
「それを待ってた。空に地に、満ちろ眷属……」
 詠唱を済ませると、人魂の明かりで出来た影から18体の眷属コウモリたちがわらわらと出現してダンジョンを闊歩する!
「同じタイプのユーベルコード。物量が多い方が勝つ。だったら……」
 ティノは狩猟銃に清めの塩を籠めた特殊な弾丸を装填すると、人魂に向かって次々と乱射して消し飛ばしてゆく! 更に眷属のコウモリと人魂が相殺しあい、人魂は残り17個。
 ここでティノ、再装填(リロード)! 迫る炎を至近距離で吹き飛ばす!
 だがまだ人魂は数が多い。ティノは瓦礫の山となったステージを駆けまわり、地形を利用して防御に徹する。
 だが遂にいくつかの炎がマントに着弾! たちまち炎上すれば、彼はマントを脱ぎ捨てた。
 落としきれなかった火の玉が、呻き声とともにティノへ降り掛からんとしていた。
 その時だった。
「なるほど、そう言う仕組みか。大体わかった」
 瓦礫の影から紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)がティノの前へ飛び出したかと思えば、右腕を突き出し防御魔法を展開! そこへ流星群の如く着弾する炎の弾丸たち!
 防御魔法の内側で紅月は左腕のカタパルトに一本腕の戦闘機を着陸させると、三度目の空間ハッキングを完遂させる。
「確かに、ボス戦で道中曲では物足りなかったか。熱い曲ではあるのだが……。では、分かりやすく熱い曲に変えようか。Operation;EIN、発令!」
 電子音の規則正しいイントロから一変、美しいシンセサイザーのメロディ―に移り変わり、そこから変則的に音がうねり、歪んだ後に広がる解放感溢れる曲展開。荘厳であるにも関わらず、戦闘中の緊迫感が伝わってくる熱の籠ったボスBGMである。
「熱圏、だ。タイトル通りに熱圏で戦う時のボス曲で、状況的にも非常に熱い曲だろう?」
「いいじゃねぇか。こういうのを待ってたんだ、俺はよぉ!」
 再び40個の人魂を呼び出す怨霊魔導士。
「さぁ、これで最後だぜ! 全力で来い!!」
「言われなくともそうするさ。既に貴様のユーベルコードは奪った。コード転換!」
 ユーベルコードが一本腕の戦闘機に“武装ユニット”として換装される!
「さて、どうなるかな? 実戦で試した事は無いコードだ。撃って、奪って、撃ちまくれ!」
 カタパルトから一本腕の戦闘機がテイクオフ!
 40個の人魂に向かって突っ込んでゆく!
 しかし機体は炎ギリギリを掠めて飛び抜き、武装ユニットから放たれる人魂弾が音楽に合わせてリズミカルに音を“奏でて”ゆく!
「眷属も、行っておいで」
 再び人魂の作った影から、今度は眷属狼18体を呼び出すと、炎を無視して怨霊魔導士へ突っ込ませる!
 ティノ自身も狩猟銃でバックアップ。その姿は、どこか、ここで聞いた”音楽”のリズムに乗るような動作で軽快だ。
「STGゲーマーにこの程度の弾幕を張ったところで、痛くも痒くもないな!」
 あっという間に人魂を突破し、狼たちとともに怨霊魔導士に殺到!
 怨霊魔導士の全身を撃ち抜かれ、噛み砕かれ、頭蓋骨だけ転がる。
「……負けたぜ。最後に、熱い曲を聴かせてくれて、ありがとな。猟兵ども……!」
 骨の残骸が徐々に風化してゆく。
「お前らの戦い、ワイルドだったぜ……!」
 そう言い残した災魔の消えた場所には、オカリナとボロボロの楽譜だけが残されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『精霊音楽祭』

POW   :    楽器で演奏するなど

SPD   :    ダンスを踊るなど

WIZ   :    歌を披露するなど

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 君たちは熱いバトルを制して学園へ帰還してきた。
 学園生曰く、ちょうどこれから精霊音楽祭が始まるところだという。
 急げば、まだ前の方で鑑賞できるとのこと。

 折角なので、猟兵の諸君は友人を誘って参加してみてはいかがだろうか?
 大人数で楽しんだ方が、一層、盛り上がるだろう。

 どさくさに紛れて、グリモア猟兵のレモンの姿の見受けられる。
 君達が声を掛けなければ、彼女は観覧者に徹するだろう。
 無論、声を掛けて一緒に参加を促すか否かは諸君たちの自由だ。

 さぁ、精霊音楽祭、心行くまで楽しもう。
紅月・美亜
 基本的には音ゲーを少し齧る位で楽器の類はあまり引けないのだが、何曲か練習しまくって完璧に弾けるようになった曲はある。
「と、いう訳で聞くがよい」
 ピアノを借りて名曲のリミックス『Last Letter 2000』を引こう。原曲とは全く雰囲気の異なるSTGの曲なのだが、同じくエンディング曲であり、演出的にも原曲へのリスペクトが高い。
 激しい激戦の果てに望んでいた姉との再会と、永遠の別れ。懐かしさを感じられるアレンジだし、そうでなくとも儚く、しかしどこか力強い希望を感じられるのがSTG曲として私の評価が高い。
 こう言った演出と音楽を完全にシンクロさせるのはSTGの得意技だからな。



 今回の戦いで、かなり目立った活躍をした紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)は、音楽祭の会場へ到着するなり、ピアノがステージにある事に気が付く。
 精霊たちが既に思い思いに音楽を奏でていたが、猟兵たちがやってくるなり、ステージへ上がってこいと手招きをしていた。
「ふむ……?」
 紅月はしばし思案する。実は彼女、基本的には音ゲーを少し齧る位で楽器の類はあまり引けない。だが、それでも。
「何曲か練習しまくって完璧に弾けるようになった曲はある。と、いう訳で聞くがよい。『Last Letter 2000』だ」
 ピアノの美しい旋律が会場内に響く。そこへ精霊たちがアドリブでストリングスを加えると、音の奥深さが増し、哀愁の度合いがより引き立つ。たった3分間の短い楽曲だが、その中に物語が目に浮かぶようなメロディが聞く者の心を打った。
 演奏を終えた紅月は、この曲について解説を始める。
「原曲とは全く雰囲気の異なるSTGの曲なのだが、同じくエンディング曲であり、演出的にも原曲へのリスペクトが高い。激しい激戦の果てに、望んでいた姉との再会と、永遠の別れ。懐かしさを感じられるアレンジだし、そうでなくとも儚く、しかしどこか力強い希望を感じられるのがSTG曲として私の評価が高い」
 一貫してSTGのBGMを貫き通した紅月は、締めの言葉も勿論、こうである。
「こう言った演出と音楽を完全にシンクロさせるのはSTGの得意技だからな。音楽という側面から楽しむこともできるSTGを、皆も是非やってみてくれ」
 布教は欠かさない紅月であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

氏神・鹿糸
【明石・鷲穂】と参加よ。
行動はSPD

私たちの音楽、ろっくんろーると言うのね。あの爆発が音楽だなんて…少し過激だと思うのだけど。
まあ、良いわ。
こんなにたくさんの精霊たちがいたのね。踊りも音楽も…素敵な音楽祭だわ。

ねえ、踊りましょう!

精霊たちや猟兵たちの音楽や歌に合わせて、くるくるダンス。詳しい踊りは分からないわ。ただ、音楽と一緒に回るだけで楽しいの!

……相方は四本脚だから、踏まれたら確実に骨が折れるのよね。私の足は絶対に踏まないようにさせるわ。

(アドリブ・連携歓迎)


明石・鷲穂
【氏神・鹿糸】と参加だ。

「俺は知ってるぞロックンロール。激しくて頭振る音楽のことだ。いやぁ、ロックな戦いだったな!」
激しい戦いの後の祭りだ。これから、皆で楽しめるような優しい音楽祭で癒されよう。

「よく、くるくる回るなあ。目が回らないのか? 」
鹿糸の踊りに合わせて、手を取ったり支えたり。
楽しそうな友人を見るだけでも十分良いがな、俺も楽しませてもらおう。

技能[楽器演奏]を獣奏器(アイテム『鷹笛』)で奏でよう。精霊たちの演奏に邪魔にならないよう最低限にな。
呼び出した動物たちも一緒に楽しめたら良いな。


(アドリブ等は大歓迎。お任せします。)


ティノ・ミラーリア
無事に終わったことだし、予定通りに音楽祭の鑑賞をしてみよう

観客席に座って演奏もダンスもしない、歌を披露するわけでもないけれど、
この場を満たしていく音楽の楽しさを受け止め吸収していくように。
気が付けば流れる音楽に合わせて体がリズムを取ったり鼻歌を口ずさむ。
いつも通りの無表情だけれど、雰囲気はどこか楽しそう。

これが音楽なんだね…今日は好い日だったよ
そういえば、災魔の後に残った楽譜にはどんな音楽があったんだろう。

アドリブや参加者との絡み可能


スピレイル・ナトゥア
音楽の心得はありませんが、せっかくの音楽祭です
炎の精霊さん、土の精霊さん、雷の精霊さんを順番に召喚して、みんなで楽しく踊るとしましょう
ダンスは素人ですが(というより全部素人ですが)、身体を音楽に合わせて
動かせばきっとそれっぽく見えるはずです!
戦いが終わったあとだからこそ思うのですが、音楽に詳しくない私がオブリビオンさんたちにあそこまでのことを言っても良かったのでしょうか……
なんて、考えてもしかたありませんね
私の素人ダンスじゃどうにもならなそうだったら、私は観客側に回ることにします
お祭りなら食べ物や飲み物も用意されているでしょうし、それらを味わいながらみなさんの音楽を観るのもきっと悪くありません



 氏神・鹿糸(四季の檻・f00815)は同行している明石・鷲穂(門前の山羊・f02320)に対して、疑問をぶつける事にした。
「ねぇ、鷲穂? 私たちの音楽、ろっくんろーると言うのね。あの爆発が音楽だなんて……少し過激だと思うのだけど?」
「俺は知ってるぞロックンロール。激しくて頭振る音楽のことだ。あれだけグルグル嵐で独楽みたいに回って、炎と氷が衝突してどっかーんっ! いやぁ、あれはロックな戦いだったな!」
 明石が納得しながら説明しているので、氏神はそういうものなのかぁと自分も納得する事にした。
「まあ、良いわ。それにしても、こんなにたくさんの精霊たちがいたのね。踊りも音楽も……素敵な音楽祭だわ」
 精霊たちが演目ごとに思い思いに歌って踊って演奏して、個々のリズムや旋律はバラバラなのに、不思議と全体のまとまりがあるへんてこな音楽祭に、明石も思わずリラックスモード。
「激しい戦いの後の祭りだ。これから、皆で楽しめるような優しい音楽祭で癒されよう」
 しばし2人は、周囲の音楽に耳を傾けながら休息をとる事にした。

 一方、ティノ・ミラーリア(ダンピールの咎人殺し・f01828)は途中で合流したスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)とともに音楽祭を鑑賞中。特に歌ったり踊ったりするわけではないけれど、歌と踊りと楽器の演奏の数々は、2人をたちまち魅了して放さない。屋台で売られていたソフトクリームを2人で食べながら、次の演目を待ち侘びていた。
「ティノさん! 今度はケットシーたちが合唱するんですって!」
「うん、そうみたいだね……」
 目を輝かせるスピレイルに対し、ティノは変わらず無表情。
「ティノさん、どうかしましたか? 先程からあまり笑わないので、何か、気になる事でも?」
「いや、これは、……もとからというか。それに僕、音楽というものに触れたのは、恐らく今日が初めてになるね……」
「そうだったんですか!? そうとは知らずに、色々とごめんなさい」
「気にしなくていいよ。それより、これが音楽なんだね……。今日は好い日だ。だって、さっきから驚きの連続だ。いろんな音が、リズムが、僕の身体の中に入り込むとね、不思議と気分が楽しくなってくるんだ。今だって、自然と体がリズムに合わせて動いてしまうよ。なんだかじっとしているのがもったいない気分だ」
「だったら、一緒に踊りませんか!? 私も素人ですけど、一緒に楽しみましょうよ! ほら、精霊さんたちも一緒ですよ!」
 スピレイルは炎と土と雷の精霊を呼び出し、ティノを踊りに誘う。
 差し伸べたスピレイルの手を、ティノは恐る恐る繋いでみせた。
「……よろしく。スピレイル」
「さぁ、こっちですよ!」
 ティノとスピレイルが手を取り合って、ぎこちない動きでステージ上で踊り始める。精霊たちの演奏も、2人が踊りやすいように急遽アドリブでアレンジを施す。
 これに感化されたのは氏神と明石のペア。
「ねえ、踊りましょう!」
「いいぞ! でも踊り方はわからないけどな」
「大丈夫! 私も詳細は分からないわ。でも、ほら、見てて!」
 氏神はステージに上がると、その場で何度も何度もくるくる回転し始める。腕を上げたり、足を上げたり、色々な体勢でくるくるくるくる!
「よく、くるくる回るなあ。目が回らないのか?」
 氏神の手を取って転げないように支える明石が問い掛けると、氏神は楽しそうに答えを返した。
「ただ、音楽と一緒に回るだけで楽しいの!」
「そうか! それじゃ、俺も回ってみるぞ!」
 明石がその場で跳ねながらくるくる回り出す。
「おお~っ! 確かに楽しいな! よく分かんないけど!」
 どったんばったんと、ものすごい音がするのは、キマイラの明石の下半身が四本足だからだ。
(踏まれたら確実に骨が折れるのよね。私の足を絶対に踏まれないようにしないと)
 氏神は回転を止めると、そそくさと氏神から離れた場所で、今一度くるくる回転し始めるのだった。
 この状況を一言で表現するならば、カオスだった。

 カオスが収まってから、ティノが猟兵たちに提案した。
「そういえば、災魔が持っていた楽譜には、一体どんな音楽が?」
 確かに。極悪非道なオブリビオンが、あそこまで夢中になっていた音楽、非常に気になる。ティノは精霊たちにボロボロの譜面を見せてみた。最初こそ精霊たちは首を傾げているだけだったが、水の精霊が汚れを落としてしまうと、譜面がはっきり見えるようになった。
「俺の演奏に加わるぞ。動物たちにも歌ってもらおう」
 ビーストマスターである明石は、鷹笛で演奏に加わることとなった。
 いざ、演奏をしてみると……。
「これは、もしかしたら……?」
 氏神は首を傾げてしまった。
 この曲は、世界が変われど何処でも共通して謳われている、ヒトにとって生涯最初に出会う歌。それは……。
「子守唄だったのか……」
 ティノは何故か、懐かしさを覚えて一緒に口ずさんでしまう。
「蘇った存在(オブリビオン)が子守唄を演奏するなんて、皮肉すぎますね……」
 スピレイルも意外な楽曲に驚きを隠せない。
(戦いが終わったあとだからこそ思うのですが、音楽に詳しくない私がオブリビオンさんたちにあそこまでのことを言っても良かったのでしょうか……)
『音楽が好きだったなら、生前楽しんでおけば良かったのです』
 スピレイルは考えた。
 もしかしたら、オブリビオンとして蘇ったからこそ、子守唄を聞いたことで彼らになんらかの変化が起きたのだろうか、と。
(まぁ、仮定の話ですし、今はそんなことを考えてもしかたありませんね)

 音楽祭はまだまだ続く。
 猟兵たちを交えて、精霊たちの歌や演奏や踊りはまずます激しさを増してゆくのだった。
 全ては、災魔が完全にいなくなる世界を夢見て。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月25日


挿絵イラスト