飽くことなき闘争の空
●天空城
アックス&ウィザーズ。それは剣と魔法と竜の世界。
かつて勇者の一行に滅ぼされたという帝竜ヴァルギリオスが世界にかけていた、群竜大陸の所在を隠す巨大幻術「クラウドヴェール」に綻びが見え始めたということは、猟兵たちの多くが知ることになったことだろう。
巨大幻術「クラウドヴェール」が破れ始めたことで世界の空には、あちらこちらで浮遊する城……つまり「天空城」が散見されるようになったのだ。
それは世界中にお伽噺として残っていた「古代帝国の末路」を裏付けるかのような光景であった。
冒険者たちは未だ見ぬ空を飛ぶ城という遺跡に夢をはせる。だが、冒険者たちでは空に浮かぶ城へと辿り着くことは困難を極めた。
そう、天空城を目指す道程は、空中に浮遊する巨岩を渡って進まなければならないのだ。
特別に空を飛ぶ手段を持たぬ者たちにとっては、あまりにも過酷な道程。
かと言って、空を飛ぶ者たちには魔法の気流が渦巻き、絶対安全という手段はないのだ。
故に、天空城なる遺跡を踏破することを託されたのは、我らが猟兵というわけである―――!
●空への旅路
冒険の旅というのは、それを成す者も、その道程を聞く者にとっても心躍るものであろう。困難な試練を乗り越えた先にあるのは富と名声である。
その膨大な富と名声を夢見て今日もアックス&ウィザーズの冒険者たちは冒険へと繰り出すのである。
そんな欲望と希望が綯い交ぜとなった世界の異変を予知したグリモア猟兵、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)は、集まってきた猟兵たちを出迎える。
深々と頭を下げるのは、彼女自身が冒険へと迎えず、彼らにこの冒険を託さねばならない感謝の現れである。
「お集まりいただきありがとうございます。今回の事件はアックス&ウィザーズ。剣と魔法……そしてドラゴンの危険が溢れる世界です」
そう、アックス&ウィザーズには今、帝竜ヴァルギリオスの幻術によって隠された群竜大陸への道を開かんと天空城の攻略が求められているのだ。
今回ナイアルテの求めに応じた猟兵たちは、その天空城の一つへと赴き、その城の主を撃破しなければならない。
「はい、天空城への道程はとても険しいものです。空中に浮遊する巨岩を渡って進まねばなりませんが……魔法の気流に遮られ、空を飛ぶのも危険です。如何に猟兵の皆さんが丈夫でも危険なものは危険ですので、どうか油断なさらぬようにお願いいたします」
確かに空を飛べたら、飛べないよりは楽であろう。
だが、そこは困難を極める天空城への道程である。魔法の気流が渦巻いており、猟兵達の創意工夫が求められるだろう。
「天空城へと至る道程は、それだけではありません。巨岩を渡る途中、オブリビオンの襲来が予見されています」
そう、天空城の主もまた猟兵たちに攻略されるのを座して待っているだけではない。配下であるオブリビオンを差し向け、妨害してくるのだ。
「集団で襲ってくるオブリビオンですが……その、ゴリラの獣人の方々のようです。一見、乱暴粗暴に見えますが、彼らは生まれ持った一つの属性と武闘術を組み合わせた武人です。ゴリラはすごくつよいんです」
ナイアルテが何に感心しているのかわからない力説をする。何かゴリラに強い思い入れでもあるだろうか?いや、単純に拳を使う者同士のシンパシーのようなものを感じてるのかもしれない。
「―――コホン。すいません。脱線してしまいました。オブリビオン群体を退け、天空城へと入れば、そこは広大な広間になっています。その広間に陣取る天空城の主、魔戦闘姫ファイナと呼ばれるオブリビオンの撃破を持って天空城の制圧となります」
魔戦闘姫ファイナ。
彼女は強者との闘争を愛し、鍛えた肉体と格闘術、帝竜に授かった力を使い戦う闘姫である。
彼女の攻撃はどれも強烈なもので、格闘の術はもちろんのこと、帝竜ヴァルギリオスのアバターを呼び出し連携した攻撃を放ってくることもあるのだという。
「天空城の主を任されているオブリビオンです……流石に一筋縄でいかないでしょう。ですが、皆さんであればきっと勝利を掴むことができると信じております。どうか、群竜大陸への道標を掴むべく、この天空城の制圧をお願いいたします……」
ナイアルテは再び頭を下げる。
この天空城の制圧が進めば、帝竜ヴァルギリオスの巨大幻術「クラウドヴェール」のほころびは益々大きくなり、この世界を襲うであろう未曾有の危機を救う一歩となることだろう。
猟兵たちは未だ見ぬ大空に浮かぶ天空城を見やる。
そこには、これまで以上に困難な試練が待ち受けていることだろう。だが、ナイアルテは信じている。
彼らならば、きっとこの試練を乗り越えてくれるだろうと―――!
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はアックス&ウィザーズでの天空城を巡る戦いになります。天空城へと向かう巨岩を渡るスリリングなシナリオとなっております。
皆さんの天空城攻略の創意工夫溢れるプレイングを託して頂けたらと思います。
●第一章
まずは冒険になります。天空城へと至る道、それは浮遊する巨岩を飛んだり跳ねたり、はたまた道具を使ったりしながら進んでいきます。
オープニングでも述べておりますが、空を飛ぶ行為も魔法の気流によって安全万能ではありません。
そこをどうにか切り抜けるプレイングをお待ちしております。
●第二章
集団戦になります。ゴリラ獣人の武人たちが天空城の道中の巨岩にて待ち受けます。
足場が非常に不安定な場所になりますので、注意が必要です。逆にゴリラ武人たちもまた同じ条件でありますので、状況を上手く利用したり、問答無用の力押しで戦ってもいいでしょう。
空に浮かぶ一風変わったシチュエーションでの戦闘になります。
●第三章
ボス線です。天空城の主である魔戦闘姫ファイナとの戦闘になります。天空城の中はとても広い開けた場所になっています。
障害物などはありませんので、彼女との真っ向勝負になります。
これを倒し、天空城の制圧を持って勝利となります。
それでは、剣と魔法の世界、アックス&ウィザーズでの猟兵の闘いを綴る一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『天空城をめざして』
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POW : 気合や体力で気流に耐え、巨岩を足場に進む
SPD : 素早く気流を切り抜け、巨岩を足場に進む
WIZ : 気流を見極め、回避したり利用したりしながら巨岩を足場に進む
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
巨岩浮かぶ空は、世界が違えば正に異様な光景であったことだろう。
まるで空中階段のように連なって、空浮かぶ天空城へと続く道。一見、翼ある者であれば、一直線に城を目指せるのではと期待するが、目に見えぬ魔法の乱気流が道を阻む。
よほどの力を持つ者か、もしくは巨岩の飛び乗り危なげなく進む術を持つ者か……はたまた、他の誰もが想像し得ないような手段でもって道を切り拓くか。
あまりにも険しく厳しい道程。並の冒険者であれば、ここで引き返すのが常であろう。
だが、そうではない者たちがいる。
そう、猟兵である。世界に選ばれた戦士たちであれば、この困難な道も必ずや踏破し、天空城の主を打倒することだろう。
さあ、空へ向かって猟兵たちよ、進め―――!
シル・ウィンディア
空に浮かぶお城って、幻想的だよねっ!
ま、まぁ、そこに向かうまでに試練はあるけど…
射出式のワイヤーアンカーを用意
これを、腰部の精霊電磁砲にセットしてっと…
浮遊する岩に向かって【空中戦】で飛んでいくけど…
流されそうになったら、精霊電磁砲にセットした射出式アンカーを
浮遊する岩に向かって射出、アンカーで固定するよ
射出したものが、風に流されそうなら
サイコキネシスで軌道を調整して、岩にアンカーを固定するよ
風の発生するタイミングは…
自分の【第六感】を信じて、だね
これを繰り返して、どんどん上に上がっていくけど…
焦らずに、じっくり腰を落ち着けてだね
岩に移動した後は、アンカーを巻き上げて再利用
先は長いなぁ~
世界が違えば、その景色は全てが違って見えることもあるだろう。ときには己の世界との共通点を見つけることも出来る。
だが、今目の前に広がるアックス&ウィザーズの世界は、剣と魔法の世界である。
空に浮かぶ巨岩。その遥か上空に座したるは天空城。その威容はまさにアックス&ウィザーズでなければ見ることの出来ない光景であった。
巨岩と巨岩の間は通常の人間の跳躍力では到底飛ぶことはできないだろう。
それにフェアリーや翼を持つ者にとっては、魔力の風吹く気流は容易には空を飛べぬほどである。
天空城を見上げる一人の猟兵がいた。
シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)である。齢11歳にして彼女は猟兵である。猟兵である以上は年齢の差など些細なことではあるが、冒険者の世界で見れば、彼女の若さ……いや、幼さは目を引くものであったのかもしれない。
「空に浮かぶお城って、幻想的だよねっ!……ま、まぁ……そこに向かうまでに試練はあるけど……」
そう、正に彼女が直面している事態が試練と言えるだろう。
遥か上空にある天空城の道程は直線距離で見ても相当な距離がある。しかも、巨岩を飛び移っていかなければなならいのだから、かなり冒険になることだけはわかった。
彼女は腰部に備えられた精霊電磁砲にワイヤーアンカーを備える。射出式のワイヤーアンカーでもって浮遊する巨岩へと打ち込み、飛び移っていく作戦なのだろう。
それは悪くない作戦に思えた。なぜなら、魔力の風の影響を受けるには、ワイヤーアンカーはあまりに小さい。受ける影響は僅かであるのなら、狙いが風でそれる心配はないからだ。
「……よしっ!準備は万端!いくよ!」
猟兵である彼女にとって巨岩浮かぶ空は、オブリビオンとの空中戦にも似たものであった。故に、巨岩と巨岩の間を跳躍し、流されそうに成ればワイヤーアンカーを射出し、固定。
流されないようにしっかりと岩の上へと飛び乗っていく。
かなり順調な滑り出しである。安定感のあるシルの行動は着々と高度を上げていく。
この調子であれば、すぐに天空城までたどり着けるかも知れない。
だが、冒険にアクシデントは常につきものである。
「よっ!……っと、風、強くなってきたなぁ……流石に高度が上がると風も強くなるんだ……」
風の発生するタイミングを第六感とも言うべき感覚で読み切ってきたのだが、流石に高高度になると完璧に読み切るのが難しい。
アンカーを射出するも今までであれば、風に流されることはなかったのだが、僅かにずれ始めた。
「……うーん、やっぱり流されちゃう。ここは……」
シルのユーベルコード、サイコキネシスが発動する。打ち出したアンカーが風に流されそうになると、放たれたサイキックエナジーによって軌道を修正する。
うまく誘導してアンカーを固定し、また別の巨岩へと飛び乗っていく。地味な作業が続く。
だが、彼女にとって焦りとは失敗へと直結する要因である。それをしっかりとわかっているからこそ、この方法を取ったのだ。
それは間違いではない。徐々にではあるが、徐々に高度は上がっていっている。
「焦らずに、じっくり腰を落ち着けて、だよねっ!」
自分に言い聞かせるように次々と巨岩をクリアしていく。ああ、それにしたって遠い。なんでまたこんなに高い場所に天空城はあるのだろう。そんな愚痴がこぼれてしまいそうだった。
「先は長いなぁ~……」
シルが見上げる先には天空城の外殻。目指すはあの場所だ。けれど、どんな道も山も、最初の一歩がなければ辿り着くことはできない。
一歩、一歩、確かに踏みしめて行けば、時間はかかろうとも確実に辿り着くことができるのだ。
そのことをシルは心に刻んでまたアンカーを打ち込む。彼女の歩みは、確実に天空城へと続いていたのだった。
成功
🔵🔵🔴
テラ・ウィンディア
どうやらシルは先に行ったみたいだな
よし
すぐに追いつくとするかっ(追いかけてきた妹
事前
天空城についての伝承や情報をできうる限り集めておく
上の浮遊する岩を見上げながら
【戦闘知識】で妨害するならどんな位置や風が適しているかを解析
ユベコ発動
重力フィールドを身に纏い
【空中戦】も駆使して
【見切り・第六感】も駆使して突風や気流を見極め突破口を見出す
おれは知っているよ
天の城から見た景色は本当に凄いってな
落下しそうな時は【串刺し】で槍を岩に突刺
途中の岩場で一休みしてしおおにぎりをもぐもぐ
腹ごしらえも大事
よし
元気一杯!
さぁ上るぞー!
再び重力フィールドを纏って天空の城…そして姉であるシルに追いつくために飛ぶのだー!
天空城の威容は見上げる者にとっては遠き光景であったことだろう。天空城と同様に巨岩浮かぶ空は剣と魔法の世界であるアックス&ウィザーズにおいても奇異な光景であった。
それ以上に空高く浮かぶ城というものは、心の中の何かをくすぐるものであるはずだ。冒険者ならば一度は夢見るお伽噺。
かつての闘争に明け暮れた古代帝国が空へと放逐されたというお伽噺だ。
大地から空へと魔力に寄って城ごと放り出され、決して地上に降りることを許されなくなった古代帝国の残滓。
そこには古代帝国の溜め込んだ財宝が眠っているだとか、人知れず未だに古代帝国の末裔が眠っているだとか、半信半疑の情報ばかりが、まるで人を引きつける財宝のようにあちらこちらに伝承として残っている。
そんな情報を集められる限り集めていたのは、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)である。
漆黒の瞳と髪を持つ幼き少女。彼女が見上げるのは遥か上空に座す天空城。
黒い髪が風になびいて、見上げる先にいるであろう彼女の双子の姉を見やる。
「どうやらシルは先に行ったみたいだな……よし、すぐに追いつくとするかっ!」
テラは先に登っていった彼女の双子の姉を追いかけてきたのだ。彼女は事前に天空城の情報を調べるなどして、下準備を怠らなかった。
それ故の出遅れではあったが、追いつけない距離ではない。
空に浮遊する岩を見上げて、彼女は分析する。情報を集める事前準備を怠らない彼女である、そらに浮かぶ巨岩がどのように動きどのような位置で風が吹くかを解析してしまうのだ。
「グランディアよ…全ての存在がもつ原初の力よ。我が身に宿り力と成せ…!グラビティフィールド…展開!」
解析が終わったテラのユーベルコード、モード・グランディアが発動する。
彼女の体を包む超重力フィールド。ふわりと浮かぶ上がるのは飛翔能力を得たためだ。もはや、眼前にある魔力溢れる乱気流は読み切ったも同然である。
ふわりと飛び上がり、時には巨岩を足場にして跳躍して次なる巨岩へと飛び移っていく。
眼下を見下ろせば、地上はすでに遥か下。もうこんな場所にまで登ってきたのかという感慨もあれば、上を見上げてまだまだあるな、という気持ちにもなる。
だがテラは知っている。天空城から見た景色はもっとすごいものだと。
そう思えば、この道程を辛くはない。それに先に行く姉の姿を追うのだから、こんな所で立ち止まってはいられない。
―――と、思った瞬間、ずる、と足が滑る。あ、と思った瞬間に手にした槍を巨岩に串刺して落下を止める。
「危なかったなぁ……ちょっと休憩しよっかな。焦ってもしかたないしね」
ほ、と一息してテラは巨岩の上で持ってきたお弁当のおにぎりを頬張る。
本当だったら、姉にもと思っていたのだけれど、それはもう少し後になることだろう。
「よし、元気いっぱい!さぁ上るぞー!」
腹ごしらえも大事。しっかりと栄養を補給して、再び超重力フィールドに身を包む。
目指すは天空城!
だが、その前に姉に追いつくことが先決だ。軽やかな跳躍と気流を読みきったタイミングでテラは空へと舞い上がっていく。
さあ、姉の背中はもうすぐそこだ!
大成功
🔵🔵🔵
アメリア・イアハッター
天空城!
とってもとても素敵な響き!
そこから見える空や地上は、いったいどんな景色なんだろう
絶対辿り着いて、その光景を目に焼き付けなくっちゃ!
魔法の気流かぁ
魔法とは言っても、そこには法則性がある筈だし、仮になくとも一瞬の流れを読んでそれに乗れれば、きっと気流が逆に味方をしてくれる筈
UC発動
風を読み、跳び移るタイミングを測る
決して焦らず、しかし風の流れに乗れると確信した時には大胆に!
岩をドンドン跳び移っていこう
それでも危なそうなら、縛霊手「Vanguard」を思いっきり岩に突き刺したりして、体が流されぬ様に気をつけよう
少しずつ空へと近づいていく今この光景も、忘れぬ様に記憶に刻み付け、目一杯楽しもう!
天空城。その言葉の響きは不思議と心に入り込んでくるようだった。
巨大な建築物に心惹かれる者は数あれど、その建築物が空に。ましてや、城が空に飛ぶという光景は、あまりにも想像を絶する光景であったことだろう。
天空城に辿り着く方法は、空に浮かぶ巨岩を飛び乗って上がっていくほか無い。
翼ある者、空を飛ぶ手段を持つ者、様々なものがいるであろうが、天空城の周りには魔法の気流が渦巻いている。
そう安々とたどり着けないことも、天空城にまつわる浪漫であったのかもしれない。
「天空城!とってもとても素敵な響き!」
空を見上げる赤髪を風に遊ばせる女性が嬉しそうな声をあげる。アメリア・イアハッター(想空流・f01896)は、見上げた先にある天空城にキラキラとした瞳を向けていた。
その瞳はまさに目の前に広がる光景。浪漫に対する心が踊るような気持ちをどうにも抑えきれていないようであった。
「天空城から見える空や地上は、一体どんな景色なんだろう!絶対たどり着いて、その光景を目に焼き付けなくっちゃ!」
彼女の言葉は興奮に彩られていた。赤い髪が風とは別に跳ねるのは、彼女の体が期待と冒険心によって小刻みに跳ねているからだ。
それほどまでに見上げる景色は彼女にとって冒険心をくすぐるものなのだ。
彼女の手には縛霊手「Vanguard」。できるだけ身軽な方が巨岩に飛び乗って移動する際には重要であろう考えたのだ。それにもし風に流されて落下の危険があるのであれば、思いっきり岩に突刺して体を固定するのにも使える。
色々と考えては見たものの、まずはチャレンジである。
何事も最初の一歩を踏み出さなければ、その後に続くニ歩目も、辿り着くべきゴールにも届かないのだ。
「さあ、しゅっぱーつ!いくよ!」
彼女の軽やかなステップを踏むような跳躍。巨岩に飛び乗り、さらなる上の巨岩を見やる。
彼女のユーベルコード、風の友(カゼノトモ)が発動する。わかる。魔法の気流とはいえど、そこには法則性がある。もしも完全なランダム性を持つ予測不能な風であっても、一瞬の流れを読み切れば、きっと気流が逆に味方をしてくれるのだ。
彼女のユーベルコードはそのためのものであり、アメリア自身の信条でもある。風は友達なのである。
全身で感じれば、耳をすませば、いつでも風は彼女に語りかけてくれる。
それが例え魔法で作られた風であっても変わらない。
「風が教えてくれる……こっちね!」
決して焦らず、しかし時には大胆にアメリアは風に乗って巨岩を次々とパスしていくのだ。その姿はまるで風と踊る踊り子のような可憐さもあったことだろう。
風と遊ぶようにアメリアはどんどんと上昇を続ける。
少しずつではあるが、確実に空へと近づいていく。空が近い。それだけで彼女の心は喜びに溢れていく。
「わあ……すごい……空がこんなに近い」
どの世界に置いても空はある。でも、同じ空は一つとしてない。だからこそ、アメリアは心に、記憶に刻みつけていく。
それは世界を目一杯楽しんでいる彼女だからこそである。
こんなにも空は広くて、風は心地よい。そして、目指す先にある天空城への道程は未だ遠く。
けれど、それでも尚、疲労はない。だって―――
「あの空にいったい何があるんだろう!」
まだ見ぬ空への憧れは、この胸から溢れているのだから!
大成功
🔵🔵🔵
薙沢・歌織
選択肢はWIZ。ナイアルテさんの募集が魔法学園にも届き、天空城のファイナ討伐を私が課題として受けることになりました。転校から日も浅い私が力になれるでしょうか…?
魔法の気流の様子を見て、無風、或いは弱風なら【ジャンプ】し次の岩へと飛びます。強い向かい風で足場が不安定なら【足場習熟】で堪え、追い風が来たら一気に【ダッシュ】【ジャンプ】で遠くの岩へ。
魔導蒸気機関搭載型ロープも【ロープワーク】で岩に引っかけて登ったり、身体を支えるのに使います。
高度差が少なく、岩場間の距離が離れた状況ではUC【精霊が誘う幻想世界】で岩場間の気流を氷精霊の力で凍らせ、氷の橋を作り【足場習熟】で滑らないよう進みます。
アックス&ウィザーズ。それは剣と魔法の世界である。天空城が空に座し、巨岩が浮かぶ空という光景は、アルダワ魔法学園の生徒である薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)にとっても、驚嘆する光景であったことだろう。
魔法学園の生徒である彼女に今回与えられた課題というのが、天空城の主である魔戦闘姫ファイナの討伐である。
彼女自身、魔法学園への転校から日が浅いものであるから自身の実力に不安を覚えているようであるが、グリモア猟兵からの呼びかけに応えるのは猟兵としての務めでもある。
歌織のつややかな黒髪が風になびく。この風もまた魔法の力による気流なのだ。この風を感じられるだけでも、かすかな怯えは収まる。
「転校から日も浅い私が力になれるでしょうか……いえ、課題達成のためにも、ここは奮起せねばなりませんね!」
気を取り直して、彼女は魔法の気流が渦巻く巨岩浮かぶ空を見上げる。
魔法である以上、魔法学園の生徒である歌織にとっては一日の長がある。気流と言っても、ずっと風が吹き荒ぶ状況が続くわけではない。
風が弱まったり、全く風の吹かないときもあるのだ。それを見計らって彼女は巨岩と巨岩の間を飛び跳ねるようにして渡っていく。
「渡れないわけではないですね……これならば、これも使えます」
彼女の手にあるのは魔導蒸気機関搭載型ロープ。追い風を見極めて、巨岩の上を助走をつけて飛ぶ!
一気に距離を稼ぐために巧みなロープワークが岩の突起に引っかかり、体を支えながら登っていく。
普段の彼女の落ち着いた雰囲気を知る者たちからすれば、今の彼女のアグレッシヴな行動は目をみはるものがあったことだろう。
「精霊よ、司る事象の幻想を此処に映し出せ!」
歌織のユーベルコード、精霊が誘う幻想世界(インビテーション・トゥ・ファンタズム)が発動する。
高度差がなく、岩場の間の距離が離れた状況ではロープワークよりも、ユーベルコードによって氷精霊と岩場の間にある気流を利用して氷結させて橋を造ってしまった方が安全なのだ。
一見すると簡単そうに見えるが、このユーベルコードの制御は困難を極めるのだ。一度誤れば暴走を引き起こしかねない。
それにこのような高所での作業であれば、尚更平常心は失われてしまうものだが……歌織はそんな素振りさえ見せずに制御を成功させていた。
彼女自身は己の技量を浅い、と評していたようだが、その自己評価と彼女の実力は乖離していた。
順調に岩場を登っていく歌織。目指す先には天空城が空に座している。
見上げれば見上げるほどに天空城の空に浮かぶ理屈がどんなものであるのか興味をそそられるし、眼下を見下ろせば普段見ることの出来ない絶景が広がっている。
「……すごい光景です。どのような魔法の力を使えば、このようなことができるのか……まずは課題をしっかりとこなさねばなりませんね」
歌織は再び空を見上げる。
あの天空城にいる魔戦闘姫ファイナを退けてこそ、課題達成になるのだ。
踏破すべき試練はまだある。よし、と再び気を張って歌織は空に浮かぶ岩場を登っていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
迅雷・電子
【心情】うわあ…ここのぼるのかい…落ちたらやばそうだね…敵が私の戦法と相性よさそうだから参加してみたけど…行くしかないね!
【作戦】【覚悟】を決めてジャンプしつつ巨岩を登っていくよ!【第六感】で乱気流を読みつつ行くよ!乱気流が来たら【怪力】で腕を岩にめり込ませて吹き飛ばないように行くよ!!「こんなもので…吹き飛ばされるものかい!どすこーい!!」(絡み・アドリブOK)
空を見上げるという行為は、見果てぬ夢を追い求め、手をのばすという行為にも似たものである。
見上げる先にあるものを掴まんと伸ばす手は、常に挑戦心を胸に抱くものでなければならない。
空に天空城浮かぶアックス&ウィザーズの世界は、どの世界よりも奇異なものであったかもしれない。驚嘆した、といっても良いかも知れない。
帝竜ヴァルギリオスが世界にかけた巨大幻術「クラウドヴェール」。そのほころびにより現れた天空城の数々は、その一つ一つに一人の主が存在している。
その主を倒し、天空城を制することができれば、巨大幻術であるクラウドヴェールを剥ぎ、帝竜が隠匿せしめんとした群竜大陸への道を開くのである。
「うわぁ……ここ上るのかい……」
見上げた天空城と、その周囲に浮かぶ巨岩を見て迅雷・電子(女雷電・f23120)は思わず息を呑んだ。
驚嘆の声を抑えることで、どうにか平静を取り戻したものの、未だに多少の恐怖はあるようだった。
「……落ちたらやばそうだね……」
ごくり、と生唾を飲む。如何に猟兵が世界に選ばれた戦士だとは言え、高所の恐怖は根源的な人間の感情に訴えてくるものがあるのだ。
通常、彼女は地に足をつけての戦いが多い。むしろ、大地の力を借りて己の力を増幅させて戦うものだから、足場が浮かぶ場所であるというのはなんとも言い難いものがあった。
それに天空城の主が雷子の持つ戦法と相性が良さそうだから、と呼びかけに応じたのだが、この高さである。
ここは腹を決めるしかないようだった。
「……行くしかないね!どうやったって、あそこまで行かないと、戦えないんだからさ!」
彼女自身、徒手空拳の戦士である。言わば彼女自身の肉体そのものが、この困難な道程を踏破するための道具である。
必要なものは、覚悟だけだ。
「女は度胸!」
そう、そのとおりである。愛嬌、なんて今は言ってられないのだ。跳躍し、岩場へと飛び乗っていく。
案外悪くない。これならば、ショートカットをしようという横着をしなければ、大丈夫そうだ。
と思った瞬間、乱気流に煽られてしまう。序盤から魔法の気流による洗礼を受けたことによって、逆に雷子の闘争心に火が付いた。
「そうかい……!そうくるかい!やれるもんならやってみな!」
より一層の気合でもって岩場を跳躍していく。あわや乱気流に飲み込まれそうになっても、彼女の腕が岩にめり込むほどに打ち込まれる。
「こんなもので……吹き飛ばされるものかい!どすこーい!」
気合一閃。
打ち込んだ腕をまるで楔のようにしながら、風荒ぶ岩場を登っていくのだ。
それはあまりにも力任せでありながらも、確実な方法だったのかもしれない。その光景を見たものは驚愕と共に彼女の偉業を称えることだろう。
「どすこーい!もういっちょ!どすこーい!」
雷子の掛け声がアックス&ウィザーズの空に響き渡るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『戦闘種族『護理羅』』
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POW : 魔闘武術『瞬力』
【自身の属性+武術を合体させた技】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 魔闘武術『歩闘』
【自身の属性+武術を合体させた技】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : 魔闘武術『連魔』
【属性攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自身の属性+武術を合体させた技】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
イラスト:FMI
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ウホッ!ウホッ!ウホホ、ウホ、ウホォ!!」
特別に翻訳すると、「よく来た!強き者!我らが武と仕合ってもらおう!!」。
巨岩浮かぶ空を登り続ける猟兵達の前に現れたのは武人然としたオブリビオン、戦闘種族『護理羅』!
姿形はゴリラそのものであるが、出で立ちは違う。各々が持つ属性に応じた武術を収めた歴戦の武人である!
天空城への道程も終盤。足場も悪く、小さな岩場であったり、魔法の気流が強くなってきた場所での戦闘は本来避けるべきであろうが、オブリビオンである彼らには関係がない。
くいくい、と挑発的な仕草すらして戦闘種族『護理羅』たちは猟兵達と戦う事を望んでいる。
どちらにせよ、彼らを倒して進まねば、天空城の主と相まみえることもできないのだ。
此処は覚悟を決めて戦わねばならない……!
シル・ウィンディア
…ゴリラ?動物さん、だよね?
でも、このプレッシャーは、ただものじゃない…
それなら、わたしも気合入れて行くよっ!
戦場での機動は【フェイント】のジグザグで【空中戦】で飛び回るよ
風は【第六感】を信じて
風の動きは【見切り】で対応
…精霊使いだし、風の精霊を感じてだね
敵の攻撃は【第六感】で感じて動きを【見切り】対処
回避行動は上記機動に【残像】を生み出して撹乱していくよ
風の流れにのったほうが回避できるなら
逆らわずに風に身を任せるよ
接敵時は光刃剣と精霊剣を二刀流で攻撃
【フェイント】を入れて【二回攻撃】
深追いはせずにヒット&アウェイで動くよ
焦れたり隙見せたら…
【高速詠唱】で選択UCを行使
…わたしの全力もってけっ
テラ・ウィンディア
シルに追いつくぞー!
よし追いついたかなっ
シルがいれば動きを合わせるぞ
ごりらかぁ…ちょっと懐かしいな
おれが編み出した技を最初に使った相手だった
【属性攻撃】で炎を全身と剣太刀に付与
【戦闘知識】でごりらの動きと陣形の把握
更に周囲の状況や岩場の位置と魔力の気流も把握しての立ち回りも解析
よし!
シルと息を合わせて【空中戦】で飛び回りながら
攻撃や気流等は【第六感・見切り・残像】を駆使して回避
【早業】で剣と太刀による猛攻
シルや己の斬撃は常に記憶に刻み
多くのゴリラがおれ達が斬撃をふるった空間に入れば
我が悔恨…とくと味わうがいい
消えざる過去の痛み発動
シルのUCと合わせて斬撃の嵐を展開するぞ
(斬斬斬斬斬斬斬斬!)
歴戦の強者の風格は、過去の化身であるオブリビオンであっても色褪せることなく対峙する者たちにプレッシャーを与える。
それが連綿と培われてきた技術と研鑽の結晶であることは疑いようがない。だが、オブリビオンである以上、猟兵とは戦う運命。どれだけの武人であっても、オブリビオン。油断もならず、全力で仕合うのが礼儀というものであったのかもしれない。
空中に浮かぶ巨岩の一つは言わば、リングである。周囲に渦巻く魔法の乱気流はリングアウトしてしまえば、自身の身がただではすまないことを予感させたかもしれない。
戦闘種族『護理羅』たちは、それでも些かの怯みも見せずに巨岩の上で佇んでいる。ゴリラの獣人であるが故の圧倒的な筋肉量に加えて、それぞれが持つ属性を武術にまで昇華させた存在。
彼らの武はまさに種族の中でも類まれなる技量であるのだろう。
それを対峙するシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)はひしひしと感じていた。
「……ゴリラ?動物さん、だよね?でも、このプレッシャーは、ただものじゃない……」
そう、見た目以上のプレッシャーである。一人の護理羅がシルの前に歩み出る。
一斉に襲いかかってくるのかと思っていたが、やはり武人なのだろう。シルが一人であるというのなら、こちらも一人。そういうかのように静かに構える空手着の護理羅。見事な構えである……!
「そなら、私も気合い入れて行くよっ!」
その言葉が合図になった。シルが空へと舞い上がる。
「ウホッ!!」
空中で交錯する互いの拳と攻撃。シルの空中機動は、風を見切っての回避行動。精霊使いたる所以。風の精霊の動きを感じて、流麗さすら感じさせる空中機動へと襲いかかる護理羅の魔闘武術『連魔』!
残像すら残り高速機動。だが、それを読み切るのもまた護理羅の武!拳がシルに迫らんとするが、彼女もまた歴戦の猟兵。
光刃剣と精霊剣が拳を防ぐ。カウンターを入れるように即座に返す刃で斬りつけるも、浅い。
「ウホホ!ウホぅ!」
きっと、やりおる……!とかそんな感じのことを言っているであろう護理羅。仕切り直して……と思った直後、割り込むように声が響く。
「シルに追いつくぞー!よし!追いついたな!」
テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が空に浮かぶ巨岩の上を飛び乗って追いついてきたのだ。
流石にシルも先行していたとは言え、この状況には驚きを隠せない。
「テラ!?」
「ようやく追いついたぞ!おれだって、天空城行ってみたい!」
そんな姉妹の再会を打ち切るように、別の岩場から護理羅が飛び乗ってくる。空手着の護理羅とは別のレスラーの面をかぶった護理羅だ。
「ウホホッ、ホッ、ウホゥ!」
タッグマッチだ!とかなんとかそんな感じの事を行っている気がした!多分!
むしろ、シルとテラにとっては、それは願ってもないことだったのかもしれない。双子の姉妹である彼女たちにとってコンビプレイはお手の物であるからだ。
「ごりらかぁ……ちょっと懐かしいな。おれが編み出した技を最初に使った相手だった」
テラが懐かしむように護理羅を見やる。これもた因縁なのかもしれない。彼女の手にした剣太刀に炎が宿る。彼女の瞳は状況をつぶさに観察、解析せしめる。
それは戦場に生きる者としての直感であり、本能であった。それは護理羅たちも同様である。
ただちに彼らもまたテラが只者ではないことを感じ取っていた。
互いに構えるタッグマッチ。第二ラウンドの開始であった。
「よし!シル!息を合わせていくぞ!」
「わかったよ、テラ!」
テラとシルが息を合わせて空へと舞い上がる。互いに背中を守るように、思いっきりお互いが戦えるように残像を残しながら二人は空に舞う。
それはまるで輪舞曲を奏でるが如く。剣の舞は、その剣閃を護理羅を囲うように放たれる。
「これは我が悔恨…我が無念…そしておれが知る恐るべき刃だ…とくと味わえ…!」
テラのユーベルコード、悔恨「消えざる過去の痛み」(キエザルカコノヤイバ)が発動する。それは彼女の放った剣閃を空間に刻み込み、再び虚空より出現させるのだ。
時間差で放たれる斬撃に護理羅たちは、焦らずに回避していくが、徐々に自分たちが追いやられていることに気がつく。
そう、あの二人の輪舞曲はただの撹乱や攻撃を回避するためのものではなく……!
「そう、それは檻!テラが刻んで」
「シルが討ち滅ぼす!」
テラがシルを守るように舞い上がり、シルがテラの背後から詠唱を完成させる。
まさに完全なる双子のコンビネーションであった。魔力が増大していくのを空気がジリジリと震えることで感じた。
斬撃の檻において逃げ場はなく、その膨大な魔力の塊が完成するのを見上げるしかない護理羅たち。
「これがわたしの全力!闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ…。我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
シルのユーベルコード、エレメンタル・ファランクスが虹色の魔力砲撃を放つ!
膨大な魔力は熱量となって、斬撃の檻にて閉じ込められた護理羅たちを一瞬の内に骸の海へと還す。
あまりの威力に巨岩が一つ消し飛んでしまうほどであった。
それを尻目にシルとテラは高らかにハイタッチをする。
どんな強敵が来たって、二人でならきっと乗り越えていけるのだと。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
迅雷・電子
【心情】はあはあ…なんとかここまで…げっ!あの猿達は情報にあったオブリビオンかい!?まさかこんな場所で襲われるとは…しかも挑発してるね…これに乗らなきゃ女力士じゃないね!来な!(四股を踏みつつ)
【作戦】気流は【怪力】で岩に腕をめり込ませつつ耐えて敵の攻撃は【見切り】や【第六感】でかわすよ!もしくは【怪力】で敵の攻撃を受け止めてそのまま張り手での【吹き飛ばし】を狙うよ!そして敵の攻撃に合わせて【カウンター】で雷電張り手を食らわせ、こっちも反撃だ!最後は【2回攻撃】の連続つっぱりで全員に攻撃だ!(絡み・アドリブOK)
天空城への道程は険しく、空中に浮かぶ岩場を乗り越えるのは大変な労力を要した。あまりの道程の険しさに息は上がり、猟兵である彼女、迅雷・電子(女雷電・f23120)であっても息を切らすほどであった。
普段の稽古よりもキツイ気がしてしまうほどには、天空城へと至る巨岩を渡る行為は彼女にとっては未知の稽古と同じであった。
「はぁ、はぁ……なんとかここまで……げっ!」
そんな雷子が芽にしたのは、グリモア猟兵から得ていた情報通りの戦闘種族『護理羅』の姿!彼らは様々な格好をしている。レスラー仮面の者もいれば、空手着に身を包んだもの。騎士兜とエストックを持った者など、多種多様である。
「まさかこんな場所で出くわすとはね……」
流石に雷子も疲労も蓄積してきている。それだというのに、護理羅ときたら彼女を挑発するように指をクイクイと動かして見せたりするのだ。
なんとも相手を挑発することだけは一丁前であると思わせるほどの挑発。雷子の闘争心に火が付いた瞬間であった。
疲労は溢れる脳内物質によって遥か彼方へと投げ飛ばされている。
「挑発してくるとはね……これに乗らなきゃ女力士じゃないね!来な!」
彼女の四股が空中に浮かぶ巨岩に、ずしりと鳴り響く。その四股は地鎮のためのものではあるが、空中に浮かぶ巨岩にあっても魔法の気流に守られ、巨岩ごと墜ちる心配はなさそうである。
それを見た護理羅の一匹が土俵と化した巨岩の上へと飛び乗ってくる。どうやら、一対一での仕合を所望であるようだった。
その護理羅は雷子と同じく回しを付けた姿であった。奇しくも彼女と同じ相撲を武術として身につけた個体であるようだった。
先程までの挑発を詫びるように、雷子に向かって頭を下げ、四股を踏む仕草。
なるほど、確かに戦士としてのプライドはあるようだった。オブリビオンと言えど、敵に敬意を払うのは好感が持てたが、今はそれを捨て置く。
「いいねぇ……そっちも四股を踏むたぁ……中々の力士と見た」
にやりと、口角が上がる。まったなしだ。何が合図になったのかは、雷子と護理羅の間にしかわからぬこと。
凄まじい轟音がして、巨岩の岩肌を同時に蹴る雷子と護理羅。お互いの怪力がぶつかり合い、がっぷり四つの体制になる。
ぎりぎりとお互いの腕の筋肉が引き絞られていく音を聞く。それは筋肉と筋肉のぶつかり合いである。
雷子の体を振り回すように投げ飛ばす護理羅!だが、雷子もまた土俵際で足が残る。
「―――くっ!回しを締めているだけはあるじゃないか!今度はこっちの番だ!」
突進する雷子に向かって放たれる護理羅の張り手。それを紙一重で避け、カウンターの張り手が炸裂する。
彼女のユーベルコード、雷電張り手(ライデンハリテ)である!それは電撃を纏った張り手!彼女の一撃は、閃光のごとく。さらに威力は雷のごとし!
炸裂した張り手は護理羅の顔面を捉える。だが、一撃は絶える。のけぞり、背が折れるのではと思うほどののけぞり。
しかし、それは護理羅の技量!敢えてのけぞることにより、張り手の衝撃を後ろに逃したのだ。
「―――甘いんだよ!どすこぉぉぉぉい!!」
そう、張り手は一撃だけとは限らない。のけぞりきった護理羅の顔面に二撃目の張り手が繰り出される。
もはや衝撃を流すことも出来ず、雷子の渾身の張り手が炸裂し、護理羅を土俵の外へと突き出すのだった。
―――決まり手、押し出し。
見事な勝利に護理羅たちは雷子に惜しみない称賛を贈るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アメリア・イアハッター
護理羅さん達こんな場所にも生息してるのね
高地トレーニングってやつかな?
ともかく今はあんまり邪魔されたくないんだ
だから大人しく還っていってね!
敵は接近戦主体の筈
この浮遊岩がリングだというのなら、踏ん張りの利かぬスケートリングにしたらどうやって戦うのかな?
おいでおいでと敵を挑発しながらUC発動
自身のいる岩を全面氷で覆う
敵が来れば着地時に滑るか、又は攻撃時にバランス取れずに転ける筈
そうなれば少し小突くか、風に煽られれば岩から落ちていったりしないかな
こちらに来なかったり落ちなかったとしても、氷上ではまともに動けないと思うので、別の岩へ跳び氷漬けにする、これを繰り返して空へ登って行っちゃおう
ばいばい!
剣と魔法の世界アックス&ウィザーズ。それは空に城が浮かび、巨岩が空中回廊のように浮かぶ光景が広がる世界。
ただ巨岩の上を飛び乗っていくだけでも険しい道程。さらに魔法の気流が入り乱れ、空を飛ぶものですら天空城に近づくことが難しい。だが、猟兵であれば違う。彼らの知恵と工夫、そしてユーベルコードがあれば踏破出来ない道などないのだ。
空はどこまでも青く続いている。この空の果てに群竜大陸があるだなんて未だに信じられない。
巨大幻術「クラウドヴェール」。帝竜ヴァルギリオスが世界にかけた巨大な魔術のほころびによって、その一旦である天空城が姿を表したのだ。
この世界の本当の姿は、まだまだクラウドヴェールによって隠されている。そう思えば、ワクワクと胸が高鳴り、逸る気持ちが抑えられなくなってしまう。
赤髪が空に舞い、風と共に巨岩を飛び乗っていく影が一つ。アメリア・イアハッター(想空流・f01896)である。
彼女は風と共に軽快なリズムで巨岩を飛び乗って駆け上がっていっているのだ。
「高度が上がると風がきもちーねー」
危険な道程であるというのにアメリアは風を感じて笑みすら浮かんでしまうようだった。彼女の風舞う姿は観客がいないのが惜しいと思うほどでった。
だが、そんな彼女を見下ろす影に気がつく。
「あら……護理羅さん達こんな場所にも生息してるのね。高地トレーニングってやつかな?」
アメリアが見上げる先の巨岩には、群体オブリビオン、戦闘種族『護理羅』の姿が!様々な姿をしているが、同じ種族なのだろう。ゴリラ型の獣人たちは各々の武術に特化した装いで、巨岩を登ってきたアメリアを見下ろしているのだ。
「ウホッ!ウホホ!ウホ!」
高地トレーニングではない!的な言葉を言っているのかどうかわからないが、アメリは兎も角先を急いでいるのだ。
こんな所で彼らに邪魔されては、せっかくの空の旅も台無しである。大人しく還ってくれないかな、と考えるも戦闘種族であることから考えて、難しいだろう。
「もう!本当にしょうがないんだから……」
おいでおいで、と頭上の巨岩から見下ろす彼らに挑発をするアメリア。そんなに言うのなら相手になってあげる。そういうかのような挑発に護理羅たちはヒートアップ!
「ウホ!ウホホ!ウホホ!!」
ほざいたな小娘!そんな感じの様子で一匹の護理羅が飛び降りてくる。
だが、その瞬間、アメリアのユーベルコード、氷上妖精(フィギュアスケート)が発動する。放たれた氷魔法は彼女の立つ巨岩の上を氷結させ、摩擦抵抗を極限まで減らす。そうすることによって、彼女の立つ巨岩は全面を氷で覆われる。
そんな場所に飛び乗ってくるものだから、護理羅は着地すると、その強靭な体幹を持ってしても耐えきれず、つるんとすってんとん。
そのままつるー!と冗談みたいな滑走で巨岩の外へリングアウトしてしまう。
「!?!?ウホゥ!?」
流石にその自体には護理羅たちもまた驚愕してしまう。何が起こったのかわからずに、死合が始まる前に終わってしまったのだから!
「体幹の鍛え方が足りなかったね!今度はもっと鍛えてこようね!」
アメリアは微笑む。それは静かだが確かな勝利宣言であった。こうすれば、彼らが頭上というアドバンテージを取る以上アメリアに戦いを挑めば、即座に滑り落ちてしまう。
だが、彼女もまた巨岩の上で立ち往生になってしまう。そう思えたが、彼女は氷結した巨岩の上を見事に滑走して、助走に変える。
勢いを増したまま、氷上の妖精のように赤い髪がなびいて尾を引き、別の巨岩へと華麗に飛び乗る。
「あはは!こうすれば、遠くの岩まで飛び乗れるわね!追いつけるものなら、追いついてみてね!」
しかし、それは叶わない。彼女が再び飛び乗った巨岩をスケートリンクのように凍結させ、さらなる助走を持って別の岩へと飛び乗っていくのだ。
そうなれば、護理羅たちは最早追いつくすべを持たない。
慌てて追えば、摩擦抵抗を極限まで減らされた氷上で転んで滑り落ちてしまう。
呆然とアメリアの背中を追うだけしかできなくなった護理羅を後にしてアメリアは悠々と巨岩を上へ上へと登っていく。
少しだけ眼下の護理羅を見下ろして微笑む。ちょっと悪いことしちゃったかな。そんな風に思ったのかも知れない。
「ばいばい!」
またね、とエメラルドのような宝石色をした瞳をウィンクして空へと飛び去っていく。
天空城はもうすぐそこだ。あそこから見たら空の景色はどんなものだろう。
楽しみでしようがない。―――ああ、とっても楽しみ!
軽やかに足が跳ね、空へと高く舞い上がるのだった!
大成功
🔵🔵🔵
薙沢・歌織
選択肢はSPD。
実物のゴリラは生まれて初めて見ました。学園から、ファイナの部下のゴリラには気をつけろと…
実戦経験の差は髪飾りが齎す【戦闘知識】で補い、戦う敵の属性を早期に見極めます。また【足場習熟】で不安定な足場に早めに順応し、気流に乗って自分が巨岩の内側、相手が外側になるよう有利な位置取りを心掛けます。
敵の攻撃は地霊盾で【盾受け】し、【激痛耐性】や判明した敵属性への耐性で衝撃を緩和。その間に【多重詠唱】でUCの詠唱を仕込みながら、緋炎剣の【切り込み】で反撃。敵に隙ができたところへ【全力魔法】【裁きを下す天の光】を発動、止めを狙います。
UC発動時
聖痕から、光の翼が…!?(真の姿の片鱗)
人は未知の存在と遭遇する時、どんな表情を浮かべるだろうか。
知識として頭の中にある存在と目の前に存在するものを見比べるだろうか。知識だけでは足らず、かといって知識なく相対するには、目の前のオブリビオン、魔戦闘姫ファイナのは配下である戦闘種族『護理羅』の姿はある意味超常のものであったかもしれない。
ゴリラ型の獣人。ただそれだけであるのであれば、よかったのかもしれない。彼らは己の持つ属性に合わせた武術を収めた武人。空手着に身を包んだ者もいれば、レスラー仮面をかぶったもの、騎士兜と細剣を手にしたもの、様々である。
襲い来る情報の渦に薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)は、めまいを起こしそうだった。
「実物のゴリラは生まれて初めて見ました……学園からファイナの部下のゴリラには気をつけろと……そう言われていましたが……」
実物を見ると圧力が凄まじい。これがオブリビオンという過去の化身たる存在のもつプレッシャーなのかもしれない。
実戦経験が乏しい歌織にとって、彼らの連携はあまりにも難敵であった。さらに言えば、空に浮かぶ巨岩の上という不慣れな状況。
これを覆すには、歌織自身の応用力が求められる。
「通してください、で通してはくれないのですから、押し通らせて頂きます!」
一斉に襲い来る護理羅たち。
「ウホゥ!ウホホホッ!ウホ!」
小娘と言えど猟兵!容赦せん!的な叫び声とともに歌織のいる岩場へと飛び乗ってくる。だが、即座に歌織はその岩場を捨て、別の岩場へと飛び乗っていく。
それは護理羅たちにとって逃亡と見なされてもしかたのない行動であった。それ故に彼らは戦いを強要するように歌織を追いかけ回す。
「やはり、追ってきました……!」
彼女の髪飾りが齎す戦闘の知識。それは実戦経験の差を埋める知識である。彼らの持つ属性を把握する。炎、風、水……それが分かれば、こちらの攻撃を有効打に変えられるのだ。
不安定な気流と岩場への順応も、移動する度に習熟されていく。巨岩の群の内側へと入り込んでいき、彼らの攻撃が中々通らないように立ち回る姿は、戦巧者と言っても差し支えのない動きであった。
「ウホウ!」
騎士兜の護理羅の持つ剣から放たれた水の刃を機械じかけの地霊盾が受け流す。弾き飛ばされる体を抑えて、歌織は駆ける。攻撃の多さは巨岩を盾にすることによって緩和できている。
だが、彼らの攻撃の一撃が重い。想像以上の攻撃に、歌織もまた反撃に移る。
緋炎剣アメノホアカリを携え、ルーンソードの切込みでもって、護理羅の機先を制する。
「多重詠唱……!間に合いますか……いえ、間に合わせてみせます!」
歌織のルーンソードが炎を上げる。その輝きに護理羅たちがただらぬ気配を感じ、動きが止まった。
今だ!と歌織の瞳が輝く。ユーベルコード、裁きを下す天の光(セレスティアル・レイ)が発動する。
指先を静かに向ける。その示した先に降り注ぐのは天空に描かれた魔法陣から放たれた光線。
強大な魔法陣から編まれた魔力は、詠唱に導かれて光の豪雨のように護理羅たちを貫いていく。
「―――ッ!」
背中が痛む。その痛みに顔が歪む。だが、今は集中しなければならない。
体が熱い。渦巻く魔力が行き場を失うように体の内側で駆け巡っているような感覚。それでも詠唱を止めない。
護理羅たちは光の光線によって骸の海へと還る。詠唱が終わると、歌織の背中に刻まれた聖痕から魔力の残滓が放熱するかのように、光の翼となって開放される。
「ハァ―――!ハァ―――!」
息が上がる。だが、魔力の渦のような熱は体からは感じられない。放出された光の翼が体の排熱を促したのかも知れない。
それがどのような現象であるのか。もしくは、猟兵たる歌織の真なる姿の一端であったのか……。
歌織は見上げる。天空城はすぐそこだ。あそこに今回与えれた課題。その最終目標が座している……!
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『魔戦闘姫ファイナ』
|
POW : 帝竜轟雷衝
【帝竜より授かったオーラの奔流】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 魔戦闘姫の手
技能名「【格闘技】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : サモン・カイザードラゴン
【帝竜ヴァルギリオスのアバター】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:オギナノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ユーフィ・バウム」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
天空城の城門が開かれる。
壮麗なる城。これが巨大幻術「クラウドヴェール」によって隠されていた世界の真なる姿の一端。
たどり着いた今でも、この城が何故空に浮かんでいるのかはわからない。
だが、招かれるように開いた扉の奥は、開けた広間のような空間であった。
「やあ、ようやくのお客人だ。ようこそ。私がこの天空城の主、魔戦闘姫ファイナ」
目の前に現れたのは赤髪をくくった一人の女性。徒手空拳で戦うことを前提としたような鍛え上げられた体。その身に纏うのは、圧倒的強者としての存在感。
「ここに猟兵が来たっていうことは、帝竜ヴァルギリオス様の掛けた幻術の一端が崩れたってことだね。これ以上、幻術を崩させるわけにもいかない。それに……」
凄絶に笑うのは、猟兵という強者を前にしたからか。
血が騒ぐようにファイナは笑う。ぎり、と拳を握りしめる音が広間に響き渡る。
「とても退屈していたんだ……!そろそろ私も運動しなきゃってね!だから、付き合ってもらうよ!」
尋常ではない闘気を放つファイナ。それはこの天空城の主を任されるにたる実力。油断ならぬ強敵を前に、猟兵は立ち向かわなければならない―――!
迅雷・電子
【心情】はあ…はあ…ここが城か…あの子がファイナだね…結構可愛い子だけどあの筋肉…相手にとって不足はないね!(四股を踏みつつ)さあ、始めようか!待ったなしだよ!
【作戦】攻撃は基本【見切り】で避けるか【怪力】で受け止めるよ!
アバターの方はびったんびったんで投げ飛ばして基本ファイナ狙いでいくよ!接近しての鯖折り、ファイナの下着部分を掴んでの上手投げ、そして最後に雷電張り手だ!「これが相撲だよ!」
天空城の広間は思っていた以上に広々としていた。物が少ない、とも感じたかも知れない。それは、この天空城の主の趣向であったのかもしれない。
出迎えた敵を迎え撃つ、一つの闘技場とも言うべき作りなのはオブリビオンにとっても、猟兵にとっても好都合であった。
荒い息を吐き出しながら、天空城へと一番乗りを果たしたのは、迅雷・電子(女雷電・f23120)であった。ほぼ力技で登ってきた上に、戦闘種族『護理羅』との戦いも加わったのだ。かなりの体力を消耗していると言ってもよかった。
「はぁ……はぁ……ここが天空城か……」
雷子の前に立っているのは、魔戦闘姫ファイナ。奇しくも彼女と同じ髪型をしている。
よく鍛えられた肉体。細身ながらも、その身の内に秘められた筋肉量は想像を絶するものであろう。逆に重さがないということは、身軽であるということだ。
可愛らしい外見とは裏腹なパワーファイターであることが伺える。
「ほう、かなりのペースで天空城までやってきたようだね。まずは褒め称えるよ。まさか最初に来るのが君みたいな女の子だとは思わなかったからさ」
ファイアナは見くびるでもなく、雷子を見据える。
その眼差しは強者を見つめるものであった。油断を誘うこともできないということだ。
「ハッ―――!アンタだって結構可愛い子だね!天空城の主、魔戦闘姫ファイナ!相手にとって不足はないね!」
雷子もまた彼女と視線を交わす。それは強者同士に感じるシンパシーのようなものであったかもしれない。
どっかりと、雷子は四股を踏む。天空城の広間に彼女の地鎮の足が重く響く。
「さあ、始めようか!待ったなしだよ!」
凄まじい轟音を立てて、広間の石畳を割るほどの踏み込み。神速の踏み込みはファイナと雷子の彼我の距離を一瞬で詰める。
だが、その踏み込みを見切るようにファイナは横に避け、雷子のこめかみに向けて上段蹴りが飛ぶ。
それを既の所で避ける雷子。彼女のポニーテールにファイナの足がかすめ、髪がちぎれ飛ぶ。
「良い踏み込みだね!見たことのない足さばきだ!この世界の出身じゃないようだけれど―――!」
ファイナの言葉を遮るようにして雷子のぶちかましが決まる。捕まえた、とばかりにファイナの胴を両手で捕まえれば万力のような力でギシギシと骨をきしませる音が響き渡る。
鯖折りであっても、ファイナの体はその圧倒的な筋肉量で抵抗する。それならばと上手投げで投げ飛ばすも、華麗に着地され衝撃を逃される。
「やるじゃないか―――!―――ッ!」
その雷子の眼前に迫るは、ファイナの帝竜轟雷衝!帝竜より授かりし、オーラの奔流が雷子の肌を焼く。常人であれば、丸焦げになってしまうかのような攻撃。
しかし、雷子は膝をつかない。
「これを受けても、まだ動けるんだ!丈夫だね!」
ファイナの一撃を受けても尚、雷子は踏み出す。何度も何度も稽古によって己の体に染み込ませた動き。
例え激痛に体を苛まれようとも、己の体は痛みを越えて動く。それは反復練習によって獲得した動き。
踏み込む―――。
そして、肘から先の感覚を忘れる。至近距離で放たれるは、神速の張り手。
彼女のユーベルコード、雷電張り手(ライデンハリテ)が炸裂する。裂帛の気合と共に放たれた一撃は、確かにファイナの体を捉え、吹き飛ばす。
天空城の玉座まで吹き飛ばされたファイナは、背中から玉座にぶつかり、粉砕される。
そう、これこそが、彼女の持つ業―――。
「これが相撲だよ!」
高らかに雷子は、己の流儀を示すのだった。
成功
🔵🔵🔴
シル・ウィンディア
真の姿を開放っ!
背中に1対の光の翼が現れて
体全体に薄い青白いオーラを纏っています
ファイナさん、それじゃ、限界突破でお相手するよ
…シル・ウィンディア、行きますっ!
接敵・回避機動は
【空中戦】で飛んで緩急・ジグザグを交えた【フェイント】機動
回避時は
【第六感】を信じて【見切り】回避
上記機動に【残像】も生み出して撹乱だねっ!
攻撃は光刃剣と精霊剣の二刀流でヒット&アウェイ!
【フェイント】を交えて撹乱しながら攻撃っ!
敵UCで敵が増えたら…
回避重視の行動で隙を見て切裂いていくけど…
じり貧になりそうなら
隙を作りに行って
【高速詠唱】【多重詠唱】【全力魔法】で
限界突破の全力全開で選択UC
ここで全部出し切るっ!!
天空城は、そこが本当に空に浮かんでいるのかと思うほどに圧倒的な存在感を放っていた。如何なる魔法のからくりがあるのかわからない。だが、しかし現実に城は空を飛び、確かに存在しているのだ。
帝竜ヴァルギリオスが世界に掛けた巨大幻術「クラウドヴェール」、その一端を担う天空城の役割は群竜大陸の存在の隠匿である。
この天空城の主を倒し、クラウドヴェールのほころびを広げていくことこそが今回の最大の目的。その最大の障害となるのが、魔戦闘姫ファイナ。
天空城の開かれた大広間に今だ健在なファイナは、目の前に魔戦闘姫ファイナ立つ少女の姿に感嘆の声を上げた。
「珍しいな、翼あるエルフとは。なるほど、猟兵ならでは、ということだね」
如何に少女の姿をしていたとして、相手は猟兵である。彼女もまた可愛らしい姿の少女ではあるが、その実力はお互いに計り知れないものがあるのだろう。
シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は静かに瞳を開く。
真なる姿を開放した姿。それは彼女の体を薄い青白いオーラが覆い、背中に一対の翼を広げた姿。
神々しささえ感じる姿は目の前のファイナをして構えを取らせるほどである。
「ファイナさん、それじゃ、限界突破でお相手するよ……シル・ウィンディア、行きますっ!」
空に浮かぶシルの体が急加速する。目にも留まらぬスピード。それは真なる姿を開放された力の一端である。
光刃剣と精霊剣のニ刀がファイナの腕にて防がれる。鍔迫り合いのように肉薄する二人の顔。
「魔戦闘姫ファイナ、参るっ!」
火花を散らせる視線と刀身。これ以上押し込めないと判断したのはお互い同時であった。距離を取る二人。
視線は互いに外さぬままに、一瞬の空白のような静けさ。
数泊のうち、シルが先に仕掛ける。フェイントを交えた高速機動によってファイナへと仕掛ける。力と力が互角であるというのなら、打ち合うことを避けなければならない。
打ち付け、離れ、それを繰り返す。消耗させてしまえば、こちらに勝機はある。
だが、それはファイナのユーベルコードの前に御破算となってしまう。
「サモン・カイザードラゴン……!帝竜ヴァルギリオス様の化身よ……!」
彼女の背後に現れるのは、帝竜ヴァルギリオスのアバター!それによってシルの機動は大幅に制限されてしまう。
ファイナの傍を離れられないとはいえ、これでは視覚からの攻撃も無意味である。強襲するための攻撃が通じなくなってしまえば、ジリ貧になるのはシルの方である。
「うっ―――、でもっ!」
無駄だ、と言うようにシルの突撃もまたアバターとファイナの攻撃によって機先を制されてしまう。
空に釘付けになってしまうシル。地上に降りれば、ファイナの格闘術の餌食であり、アバターの攻撃にも晒される。
だが、この程度の境地を乗り越えてこその猟兵である。
手にした光刃剣を投擲する。それは苦し紛れの攻撃であったように見えただろう。
アバターがその投擲を弾くも、さらにシルは己のもう一振りの剣、精霊剣をも投擲する。
「自棄になったか、シル・ウィンディア―――!」
勝負を投げたのかと激高するファイナ。だが、シルは勝負を投げていない。賭けたのだ。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ…。我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
投擲したのは、高速詠唱とはいえ、多重詠唱を行う時間を稼ぐため。全力の魔法を放つための隙を稼ぐだけの時間がほしかったからだ。
頭上に煌めくのは4つの魔法陣。それぞれの属性が収束されていく。強大な魔力の奔流が流れ込んでくる。
さらに重なる魔法陣。それは練り上げられた属性の魔力を更に増大させるための魔法陣であった。
これが、彼女の放つことのできる最大にして最高の一撃。
「ここで全部出し切るっ!」
彼女のユーベルコード、エレメンタル・ファランクス!収束された光の束がファイナとアバターへと向けられる。
圧倒的な熱量を持った魔力の光がアバターを消し飛ばし、ファイナを焼く。それに飽き足らず、魔力の光は天空城の床を貫き、土台の岩すらも砕いていく。
その光線の一条は、アックス&ウィザーズの空に遠くからでも観測できるほどの強烈な光を放ちながら刻まれたのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
タリアルド・キャバルステッド
信念を持って鍛えられ、引き締まった肉体はまさにオーダーメイドの衣服のように美しい。
敵ながら見事な装いに敬意を表しつつ、こちらも全力で挑ませて頂きましょう。
相手の「魔戦闘姫の手」で強化された格闘技に対して真正面から殴り合いを挑み、拳を交える……
と見せかけてUC「HERITAGE」を発動します。
右腕をふかふかのウールに変化させ、相手の拳をクッションで受け止めるように包んで防御。
同時に、私のネクタイピンで「串刺し」にします!
少々卑怯ですが殴り合いでは不利なのでお許し下さい。これが私の全力の戦いです。
アックス&ウィザーズ、それは剣と魔法の世界である。
帝竜ヴァルギリオスの巨大幻術「クラウドヴェール」によって隠されていた群竜大陸への道筋。それが猟兵達の活躍により徐々に暴かれ始めていた。
この空を飛ぶ天空城もまたその一つである。巨岩浮かび、空を飛ぶ者は魔法の気流によって押し流され、かといって巨岩を飛び乗って上ることは困難を極める道程を猟兵たちは見事踏破してきた。
その中の一人であるタリアルド・キャバルステッド(紳士服のヤドリガミ・f25640)は右腕のない独特なスーツに身を包んだ女性であった。
おおよそ、冒険者と呼ぶにはあまりにも特異な姿。それに男物のスーツを来た女性であるのだから、人目を惹いたことだろう。
天空城への道程を駆け上がる。天空城の開かれた扉の先には大広間が広がっている。そこにこの天空城の主である魔戦闘姫ファイナがいる。
「信念を持って鍛えられ、引き締まった肉体はまさにオーダーメイドの衣服のように美しい……」
タリアルドは、相対するファイナの肉体の完成された美に驚嘆していた。それは彼女にとっての最高の賛辞であったのかもしれない。
オブリビオンと猟兵という関係であっても、美しいものは美しい。タリアルドにとってそれは至上のものであるからだ。
そこに敬意を払うのは当然のことである。
「あなたも変わっているけれど、只者じゃあないよね。わかるよ」
構えるファイナ。如何に彼女の目の前の女性が、戦いに不向きな姿をしていようとも、対峙すればわかる。互いに互いの実力は相対するに相応しい敵であると認めているのだから。
「こちらも全力で挑ませて頂きましょう……」
タリアルドもまた構える。静けささえ感じる時間。互いの集中が極限まで高まっていることがわかる。互いにリスペクトがあるからこそ、彼女たちの脳内では幾合もの拳が躱されているのだろう。
先に仕掛けたのはファイナ。彼女のスピードは眼を見張るものである。ユーベルコードによって強化された魔戦闘姫の手は、まさに極限まで練り上げられた格闘技の粋を集めたもの!
対するタリアルドもまた真正面からそれに挑み、拳を交える……
「最古より受け継がれし最高の素材を御覧あれ!」
彼女のユーベルコード、HERITAGE(ヘリテイジ)が発動する。彼女の右腕がふかふかの高品質の羊毛へと姿を変える。
それはあまりにも驚きに満ちた光景であった。
練り上げられた拳の一撃が、鋼鉄でもない羊毛が受け止め、衝撃を逃がすのだから。
驚愕の表情を浮かべるファイナ。
「な―――っ!こんな!ものでっ!」
タリアルドは何度でもファイナの拳をウールへと変えた右腕で受け止め防御し続ける。どれだけ重たい一撃であろうとも、それが拳を振るう一撃である以上、ウールに包み込まれることによって衝撃波逃がすことができる。
「見た目は柔らかそうに見えますが、どんな物体も地上に在る限り、空気の層の前には減ずるもの。如何に音速を超える拳といえど、早ければ速いほどに空気の層は分厚い壁となって威力を減ずるものです」
それはタリアルドにとっては当たり前の技量であったのかも知れない。受け流し、受け止め、ファイナの拳の軌道を読み取っていく。
それだけの時間が必要であったことが、タリアルドにとってはファイナの格闘技術の高さへの誤算であった。
やはり、練り上げられた肉体とは、こんなにも美しい。
「やはり、連綿と紡がれたものは美しい……少々卑怯ですが」
先に侘びておきます、とタリアルドが微笑む。それは己のネクタイピンによる串刺し攻撃。ファイナの防御を貫いてタイピンが打ち込まれる。
卑怯と罵られようとも、己の全力の戦いで挑む。それが強者であるファイナに対する最低限の礼儀。
これが、彼女の全力の戦いである。タリアルドの一撃は確かにファイナへと届いたのだった―――。
成功
🔵🔵🔴
アメリア・イアハッター
すっごいお城だね、ここ!
眺めもいいだろうし、いいなー私も欲しい……
でも招いてもらっておいてごめんだけど、折角の天空城なんだもの
空の見える所で戦おうよ!
UC発動
竜巻を敵に向け放ち、外へ出れる箇所、例えば窓や天窓があればそこから外へと敵を放り出す
なければ天井とかぶち破っていこう
2人して外へと舞い上がれば、絶景をバックに空中戦を挑む
格闘技が得意なようだけど、空中で戦う格闘技なんてあるかな?
とは思えど油断はせず、空中でも効果的な関節技には注意して、頭上や背後からの殴打で攻め立てる
最後は空に招いておいてごめんだけど、踵落としで天空城へと落ち帰って貰おう
戦いが終わっても、しばらくこの場所にいたいなー
だめ?
空を駆け上がっていって、よくわかったことがある。
やはり空は素晴らしいということだ。広く、遠くまで見渡せる高さまで上り詰めれば、此処が到達点なのだとわかる。
天空城の城門よりも先に、そこから見える眺めに心を奪われてしまう。
果のない空。その先に帝竜ヴァルギリオスの世界にかけた巨大幻術「クラウドヴェール」に隠された群竜大陸がある。
まだ見ぬ世界の果て。それを想像するだけで、彼女―――アメリア・イアハッター(想空流・f01896)の心は打ち震える。どんな光景が待っているのだろう。自然と足踏みしてしまう。
「すっごいお城だね、ここ!眺めもいいし……いいなー私も欲しい……」
そんな彼女の背後で天空城の扉が開かれる。
驚き、振り返ると大広間が広がっている。そう、アメリアが目指したのは、この天空城の主、魔戦闘姫ファイナを打倒するためであった。
「この天空城は帝竜ヴァルギリオス様から預かりし城故、譲ることはまかりならない。諦めてもらおう」
広間にはファイナがアメリアを出迎える。鍛えられた体は、その連綿と培ってきた技量を感じさせる。
過去の化身といえど彼女の放つプレッシャーは凄まじいものであった。だが、それに気圧されるアメリアではない。
「招いてもらっておいてごめんだけど、せっかくの天空城なんだもの。空の見える所で戦おうよ!」
アメリアの言葉に怪訝な顔をするファイナ。それもそのはずである。武にて決着をつけるというのであれば、広間のほうが互いにとって良いはず。
だというのにアメリアは天空城の中ではないところを―――
そうファイナが思った瞬間、アメリアのユーベルコード、風の瞬きが発動する。彼女の体に纏うは風の魔力。
吹き荒れる風を纏った彼女は、即座にファイナの体をアメリアが放った竜巻が巻き上げる。
「な、に―――!?」
天空城の天上、光を取り込む窓からファイナが城の外へと放り出される。ガラスと窓枠が砕け散りながら、陽光がキラキラと反射する。
ファイナを追ってアメリアもまた天空城の空へと舞い上がる。
「ね!やっぱり絶景だよね!ああ!すっごく綺麗な空!」
「これが狙いだったか、猟兵―――!」
アメリアの嬉々とした声が空に響き渡る。彼女にとって空とは庭であり、ステージである。彼女の舞は、そのままに攻撃へと転ずる。
風の魔力は彼女に浮遊力を与え、まさに独壇場となる。
「格闘技、得意みたいだけれど、空中で闘う格闘技なんてあるかな?」
そう、アメリアの行動は理に適っていた。ほとんどの格闘術がそうであるように、地面の力を借りての行動が起点になる。それ故に今の状況は格闘術を持つ者にとっては致命的な状況である。
「ほざけ―――!我が闘技は場所を選ばない!」
空中の不安定な態勢であっても、アメリアへと飛ぶ殴打。彼女とアメリアの間で拳がぶつかる。けれど、アメリアにとって最も警戒すべきだったのは殴打ではなく、関節技。
それは相手もわかっていることだ。打撃を中心にはしているが、空中で狙うのはアメリアの関節を破壊すること。
「でもね!そういうの私わかっているんだから!」
打撃に見せかけた襟を取ろうとするファイナの手を躱し、空へと翻るアメリアの体。それは宙を舞う赤い踊り子のフラメンコドレスのように華麗に空へと広がる。
その光景にファイナは一輪の赤い花を連想したかもしれない。
「空に招いておいてごめんだけど!そろそろ空のお散歩はおしまい!」
翻るアメリアの体。彼女の体を影にして、脳天より最速で打ち出されるのは踵落とし!
その最も固い踵によって打ち出された蹴りの一撃はまさに脳天を割る一撃であった。
凄まじい衝撃と速度でファイナは天空城へと再び叩き落される。轟音が遅れて響き、彼女の一撃は確実にファイナの意識を奪うに値するものであった。
「……」
それを見下ろしながらアメリアはすぐに視線を空へと向ける。青と濃紺、それに白が混じり合う光景。それを見て惜しいと思ってしまっていた。
戦いはアメリアの勝利であろうことは疑いようがない。だからこそ。
「しばらくこの場所にいたいなー……なんて。だめだよねぇ……ああ、でも、もうちょっとだけ―――」
アメリアは風に舞いながら、その光景を目に焼き付けるのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
薙沢・歌織
選択肢はPOWです。
魔戦闘姫ファイナ、私はアルダワの薙沢・歌織。
…私の魔法であなたの闘技を打ち破ってみせます。
【ダッシュ】で間合い取り精霊銃から【誘導弾】を時間差で【乱れ撃ち】して回避を誘い【スナイパー】で回避先へ狙撃。敵の攻撃は地霊盾の【盾受け】から【吹き飛ばし】。
ファイナに遠距離を保つのは困難。接近戦でも圧倒できる切り札を。
危険な賭けですが…敵のUCに合わせUC【残滓の暴走】!
真の力重ねた緋炎剣と水神剣の闇【属性攻撃・切り込み・2回攻撃】二刀流で全方位乱舞斬り、更に精霊銃から闇【属性攻撃・全力魔法・乱れ撃ち】。
残り7秒で【気絶攻撃】で気絶させ離れ、自分の気絶回復後緋炎剣で止めを狙います。
何のために戦うのか。その理由を人は己の心の内に宿すからこそ、力を振るう。
意志なき力はすでに力ではない。己の内に燃え盛る何かが、それを示すものだ。
天空城の扉が開かれる。広がるのは大広間。そこに座すのは魔戦闘姫ファイナ。鍛えられた肉体。少女の外見をしていてもわかる圧倒的なプレッシャーは、見る者に自然と威圧感を与えることだろう。
それが戦う者の前提条件であると言わんばかりの姿。
「魔戦闘姫ファイナ、帝竜ヴァルギリオス様の命によって、この天空城を預かる者だ」
名乗りを上げるファイナ。
彼女が一歩を踏み出す。もはや後戻りはできない。アルダワ魔法学園からの課題だからという理由であるとか、そんなことはもう関係がない。それほどの強者を今、薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)は目の前にしている。
「魔戦闘姫ファイナ、私はアルダワの薙沢・歌織……私の魔法であなたの闘技を打ち破ってみせます」
やってみせろ、と不敵に笑うのはファイナであった。何が合図になったのかはわからない。
歌織が即座に間合いを取る為に後ずさった瞬間に、肉薄するファイナの拳。手にした精霊銃の銃身で拳を受けても尚、体が吹き飛ぶほどの打撃。
重く、速い拳。軽々と歌織の体は吹き飛ばされる!
「―――っ!くっ……!」
苦し紛れのような精霊銃から放たれる誘導弾。さらに散弾のように乱れ打ち、ファイナの回避を誘う。
だが、弾丸の雨をかいくぐってさらにファイナが肉薄する。速い。距離を保つのも困難であるとわかっていたことであるが、想像を超えるスピード。
翻弄するつもりで放った精霊銃の弾丸は全て躱された。更に打ち込まれれる拳に依る殴打を地霊盾で受け流し、逆に盾を押し出して吹き飛ばす。
「なかなかどうして堪えるではない、猟兵!だが、受けてばかりで私の打撃を見極めたつもりか……!」
ファイナのユーベルコードが発動する。
あれを受けては歌織は致命的なダメージを負ってしまう。あれは受けては駄目だ。だが、彼女は切り札がある。危険な賭けではあるが、この機を逃しては、もはや逆転の目すらない。
覚悟を決め、歌織もまたユーベルコードを発動する。
残滓の暴走(レムナント・ドライブ)。彼女の背中に残された呪詛の残滓……聖痕が輝く。
「力が欲しい…!この状況を覆すだけの力を…!!…あっ、あああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
彼女の叫びに応えるように呪詛の残滓が体中を駆け巡る。それは己の身体能力の限界の先まで引き上げる諸刃の剣。
一度発動してしまえば、1分間しか保たない。故に、この1分間が歌織に残された最大にして、最後の好機。
緋炎剣アメノホアカリ、水神剣アーパスが重なる。真なる力を発揮する剣から放たれるのは乱舞のような斬撃。
ファイナにとっては予測不能な斬撃の網は、天網恢恢疎にして漏らさず、あらゆる角度から襲い来る斬撃と同じであった。
「まだこんな力を―――っ!」
だが、斬撃の網を受けきれば、とファイナは敢えて突っ込む。その突撃じみた突進に放たれるのは精霊銃からの闇の弾丸。圧倒的な魔力の弾丸が、ファイナへと殺到し圧倒する。
「言ったはずです。私の魔法で貴方の闘技を打ち破ってみせます、と……これが、私の―――」
1分間の死闘。感覚でわかる。もう時間がない。ここで昏倒してしまえば、歌織に後はない。ファイナとの距離を離すために打ち払った一撃を最後に歌織の意識は途絶えた。
歌織が目を覚ました時、自身の体に異常がないことを確認する。離れた場所にはファイナが立ったまま、気絶していた。
トドメを刺さなければ……だが、足が震える。未だにユーベルコードから回復しきっていないのだ。
完全な勝利とは言えない。だが、それでも歌織は生きてファイナとの戦いから戻ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
テラ・ウィンディア
真の姿開放だ!
炎を纏い龍を想起させる巫女姿だ
初めましてだな
おれはテラ・ウィンディア
魔戦闘姫ファイナ
あんたに挑む者の名だ
【戦闘知識】
今までの彼女の戦い
その動きと癖
格闘術の系列
それらを冷徹に解析
【属性攻撃】
炎を全身と武器に付与
槍で【串刺し】を狙
回避は【第六感・見切り・残像・空中戦】を駆使して飛び回り多角的に回避
【早業】で剣と太刀に切り替え猛攻
拳には剣で挑むが道理って奴だ!
避け切れない時は両腕で己を庇い致命だけは避
天に飛び
わかるぞ
あんたは全身が武器だ
その在り方にはおれも同意するよ
だって
おれも「そう」だからだ
剣も太刀も槍も届かぬなら!
最後に打ち込むのは我が脚だ!
メテオブラスト!
【踏みつけ】で強化!
猟兵の真なる姿の意味を誰も知らない。猟兵となる者たちの姿は千差万別であり、彼らが内包する真なる姿もまた不確定そのものである。
故に、その姿が開放される時、彼らの胸中に在るのは覚悟である。
テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が開放する真なる姿は、炎を纏い龍を想起させる巫女そのもの。
天空城の扉を開け放った瞬間に彼女は真の姿を開放していた。広がる大広間には、幾多もの猟兵の攻撃を受けて疲弊しきっているとはいえ、今だ闘気の衰えぬ魔戦闘姫ファイナ。
「初めましてだな。おれはテラ・ウィンディア。魔戦闘姫ファイナ、あんたに挑む者の名だ」
テラの名乗りはファイナにさらなる闘気を溢れさせた。消耗しているとは言え、今だ健在である以上彼女は戦い続ける。故に魔戦闘姫と呼ばれるのだから。
「名乗るまでもなく、わかっている。挑まれる以上、私にそれを拒否するつもりもない。久方ぶりだな、ここまで追い込まれてもなお、闘気が溢れてくる!」
炎を纏うテラと相対するのは、帝龍より授かりし雷の闘気を纏うファイナ。
竜呼相打つ、その姿は天空城を震わせる。互いのオーラが渦巻き、互いの間合いを図る。だが、テラはわかっていた。
彼女、ファイナの全身は武器そのものである。互いの間合いは同じだ。測るまでもない。
互いの体が駆ける。視線が交錯し、互いの手の内を見透かすように拳と槍がぶつかる。拳と槍がかわされる度にわかってくる。
ありとあらゆる武術、格闘技を吸収してきたであろうファイナの動き。炎が噴き上がる。それはテラの闘気に連動するようであり、槍さばきをさらに冴え渡らせる。
「わかるぞ!あんたは全身が武器!その動き、その拳!全部があんたの武器なんだ!」
その練度の高さがわかる。だからこそ、一分の隙も見いだせない。ファイナの拳がテラの頬をかすめる。
彼女の第六感とも言うべき勝負勘がなければ、今の一撃で頭を吹き飛ばされていたことがわかってしまう。怖気が走る前に戦いの高揚が勝る。
「長物を振り回すだけでは私に勝てるとは思わないこと!間合いの中に入ってしまえば―――!」
ファイナの肘が槍を弾き飛ばす。避けきれない、そう思った瞬間に頭に閃くのは、退いては駄目だという覚悟。早業のように剣と太刀を引き抜いて拳を受ける。
火花が散るほどの鍔迫り合い。拳一つを受け止めるのに剣と太刀を抜かされたのだ。
「あんたの在り方にはおれも同意するよ。だっておれも『そう』だからだ!」
剣と太刀を交差させ、拳を弾き飛ばす。もはや、この剣と太刀は無用である。
彼女と自身が同じ在り方を持つというのなら、これより先はテラ自身を武器とするしかない。
空高く舞い上がるテラの体だ。纏った炎が昇竜のように天空城の大広間に高く飛び上がる。
「剣も太刀も槍も届かぬなら!」
テラのユーベルコード、メテオ・ブラストが発動する。振り上げられた脚。それは彼女にとって最大にして最後の武器!
「星よ…世界よ…流星の力を我が身に宿せ…!今こそ我が身、一筋の流星とならん…メテオ・ブラスト…受けろぉ!!!」
星の一条は、まさに天よりの鉄槌。強化された彼女の脚は流星の煌めきを持ってファイナへと振り落とされる。
凄まじい衝撃が天空城を瓦解させる。
空の雲を霧散させ、衝撃が空に浮かぶ巨岩をも震わせた。彼女の一撃はそれほどまでのすさまじい威力。
瓦解する天空城の中、最後まで立っていたのは、テラ・ウィンディア。
魔戦闘姫ファイナは、その一撃を持って骸の海へと還ったのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵