時間は深夜、ビルの屋上。
「お、おい、君!」
警備員が屋上に出てみれば、欄干に高校生と思しき少女が座っていた。
バランスを崩せば、そのまま落ちかねない……言葉をかける警備員へ、少女は視線を向ける。
「危ないから、降りなさ」
「……ダメ、来ないで。」
「ひっ!?」
気が付けば……警備員の周りには、刃が突き刺さった絵画が浮かんでいる。
悲鳴を上げた警備員だが、腹の辺りを抑えてうずくまってしまう。
……まるで、何者かに腹を包丁で突き刺されたように。
「が、は……。」
そして、そこにいない誰かの腕を掴むようにうずくまる警備員の背を、絵画を貫く刃が突き立つ。
絶命した警備員から引き抜かれ、刃は赤い血を滴らせ……、
「だから、ダメって……言ったのに。」
それを見つめる少女の瞳は、悲しみに満ちていた。
「どうも皆さん、お疲れ様です。」
ここはグリモアベース。
集まった猟兵達を、アトはにこやかに迎え入れた。
「今回は、UDCアースでの事件を解決してもらおうと思います。
深夜のビルの屋上に、過去に囚われた者たちが現れてしまいました。
皆さんには、『彼女ら』を退治してもらいます。」
そう言って、アトは胸元から何枚かの写真を取り出した。
「まずは1人目、『臼氷・みしろ』さん。
自殺しようと、ここに来てしまった少女の意識につられて、少女の身体を代償に呼び出されてしまいました。
生前の臼氷さんも、自身の意思と関係なく発生するユーベルコードに悩まされ、周囲の視線に耐えられずに自殺してしまったそうです。
……皆さんにも、その力は牙を剥きます。
彼女自身は諦念に支配されていますので、動くことはないでしょう……おそらく。」
次に示したのは、バニーガールのような姿の女性の写真。
「2人目、『王華崎・うさぎ』さん。
UDC組織が捕まえた、現実を改変する力を持った女性です。
臼氷さんを倒したのち、その体を支配して現れます。
自身を複製し、幾人にも分かれて襲ってくるでしょう。
生き延びたい……その一心で。」
最後に、スマホを手にしたセーラー服の少女の写真を示し、
「そして……3人目、『薄雪・詩帆』さん。
皆さんが王華崎さんを何人も倒し、その意識を消すことで内から現れます。
自殺者の怨念に同情し、自殺に追い込んだ者をネットを介して追い詰め、最後には狂死させる力を持ちます。
彼女は少し、優しすぎた……のかもしれません。
……以上、この方々を退治してください。」
そう言ってアトの手のグリモアが輝くと、深夜のビルの屋上へとゲートが繋がった。
ヨグ
ヨグです、UDCアースの物語をお送りします。
悲劇を生む力を、皆さんで止めてください。
第1章 ボス戦
『臼氷・みしろ』
|
POW : 虚色の破片-赤-
【自分の意思に関係なく過去を体験させる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【傷害事件の刃物で刺された被害者役にする事】で攻撃する。
SPD : 虚色の破片-藍-
【自分の意思に関係なく何も無い場所】から【水流】を放ち、【溺れさせる】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 虚色の破片-黒-
自身が【何かの感情や想い】を感じると、レベル×1体の【意思を持つ刃が刺さり赤い絵具が垂れた絵画】が召喚される。意思を持つ刃が刺さり赤い絵具が垂れた絵画は何かの感情や想いを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:Atori.
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「天星・零」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリス・セカンドカラー
おまかせプレイング。
人の手はあまりにも小さく、掬いとるよりも取り零すモノの方が多い。
助けることと救うことは違う。命を助けても心を救えなければ結局は……
誰も救えない、それでも手を伸ばすことを諦めない。
さて、シャーマンとしてのお仕事だ。心通わせ召喚したUDC(念動力/祈り)達は未来を予知(第六感)しこの身を守ってくれる。(オーラ防御/各種耐性)
ならば、私は秘蹟の使用のみに専念できる。
在り方が正反対の私には彼女の悩みを真に理解はできないしかけるべき言葉も持ちはしない。だけど、
「私はあなたの力で傷つかないわ」
歩みより傍にあることは出来る。たとえ骸の海に返るまでの一時の間でも、
「お友達になりましょう」
化野・花鵺
「つまりそれ、せぇふく少女三連戦ってことかな?」
狐、いつものごとく自分に都合良く依頼内容を聞き齧った
「やるやるぅ!カヤのやる気度200%アップだよぉ、ヒャッハァ!」
狐、最近覚えた世紀末的雄叫びをあげゲートに飛び込んだ
敵を視認するなり「フォックスファイア」使用
狐火連打し弾幕代わりに使用
絵画は通常の狐火で追尾狙撃するが敵本体には数十個まとめて大きくした狐火をぶつけ骨も残さず焼き尽くそうとする
「トルソーみたいにどんどんオブリビオンを着込んでくせぇふくちゃんなんだね、凄いなぁ。ほっといたら邪神が気分良く爆誕しそうだねえ。最初が制作に悩む美術部ぶれざぁちゃんなら、次はどんな子かなぁ。ワクワク、ワクワク」
「つまりそれ、せぇふく少女三連戦ってことかな?」
……化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)が、グリモアベースでの説明を要約した結果である。
腕まくりをしながら、
「やるやるぅ! カヤのやる気度200%アップだよぉ、ヒャッハァ!」
「……まぁ、間違ってはいないわね。」
世紀末的な雄叫びと共にゲートをくぐるのを見送って、一つため息をついたのはアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)。
「在り方が正反対の私には、彼女の悩みを真に理解はできないけれど。」
何かは、できるはず……そう呟いてゲートをくぐっていった。
月や星の明かりが差すだけのビルの屋上に複数の炎が浮かび、一気に明るくなる。
「ヒャッハァ! 美術部ぶれざぁちゃんだぁ!」
漂う狐火は、化野のテンションに合わせるように燃え盛っていた。
そんな様を、少女は変わらずぼーっと眺め、
「そう、ね……絵は好きだった。」
少女の周りに、ナイフに貫かれた絵がいくつも浮かぶ。
それを見る目は若干曇り……欄干を掴む手に力が篭もる。
「好き、だけど……。」
絵を貫き、赤い絵具が滴るナイフが、化野へと向かう。
「だったらいっぱい描こうよぉ!」
そんな絵画たちに、化野は狐火を叩きつける。
破裂する火の粉と共に燃え上がり、ナイフだけが床に転がっていく。
「だって、好きなんでしょ?」
「それができないから、自ら命を絶った……ってところかしら?」
うつむいていた少女が顔を上げれば、すぐ横から問いかけるアリスの姿。
「なんで……。」
「解ったのかって? さてね、そんな気がしたのよ。」
アリスを見つめる目は、絶望に濁っている。
寒気を感じるほど、沈んだ心。
「……悪いけど、」
気が付けば、アリスの背後にはナイフを持つ手。
少女の意思によらず、振るわれてしまう手が振り下ろされ、
「私は、あなたの力では傷つかないわ。」
かつて、アリスが心を通わせたUDC達……それらは触手状のオーラとなり、ナイフを弾き飛ばす。
アリスの意思とはかかわりなく、それはアリスを守るため。
「だから、お友達になりましょう?」
「それは……。」
問いかけと共に、アリスの手が伸びる。
魔術刻印の浮かぶ掌が少女に触れた時、誘惑の催眠術が少女を捕えた。
「だめ……できない。」
しかし、少女は頭を振り、差し出された手を強く振り払う。
触れていたアリスが読み取った少女の意識は……友達ならなおさら、力に襲われ続けるのを視たく、ない。
「……でしょうね。」
「じゃあ、仕方ないね!」
ため息一つと共にアリスが離れ、化野の狐火が少女へ叩きつけられる。
数十もの狐火を合わせた炎は少女を一気に包み込み、骨まで焼き尽くさんとする。
「この子もそうだけど、トルソーみたいにどんどんオブリビオンを着込んでく、せぇふくちゃんなんだね、凄いなぁ。ほっといたら邪神が気分良く爆誕しそうだねえ。」
楽しそうに、嬉しそうに、化野の呟きが響く。
「次はどんな子かなぁ。ワクワク、ワクワク。」
「でも、もう少し先になりそうね。」
アリスの言葉と共に炎が消え、そこには服が少し焦げた程度の少女が座っていた。
「……助けることと救うことは、違う。命を助けても心を救えなければ結局は……誰も救えない。それでも、」
より強く魔術刻印を輝かせ、
「手を伸ばすことを、諦めたくない。」
「あはは! 難しそうだねぇ!」
「……本当ね。」
楽し気に燃えさかる狐火の下で浮かべられた、自嘲気味な笑み。
二人の様子を変わらずぼーっと、少女は見つめていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
過度なグロNG
POW
制御できない力に目覚めてしまい
孤独な死を迎えたのね……
私もね、人間とオブリビオンの混血というだけで
人間達から迫害を受けてきたの。
だから孤独の辛さは痛いくらい分かるわ
私が貴女を救ってあげる。
忌まわしい力も、孤独も、私が奪ってあげる
優しく微笑んで歩み寄る。
刃物で刺されて瀕死になっても『永劫火生』で強化復活!
守護霊の憑依【ドーピング】で更に戦闘力を高め
【オーラ防御】を纏えば、もう私の体は刃物を通さない
大丈夫、私を見て。
私は死なない。貴女を独りぼっちにさせない。
だから……お友達になりましょう?
【誘惑・催眠術】で安心感を与え
抱きしめて髪を撫で【慰め】ながら
【生命力吸収】のキス
「制御できない力に目覚めてしまい、孤独な死を迎えたのね……。」
欄干に座る少女に優しく語り掛けつつ歩み寄る、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。
憐みと同情が入り混じった眼差しを、少女は変わらず濁った目で見つめ返していた。
「私もね、人間とオブリビオンの混血というだけで、人間達から迫害を受けてきたの。だから、孤独の辛さは痛いくらい分か……うっ、ぐ……。」
と、いつの間にか現れていたナイフに、ドゥルールは腹部を刺されていた。
腹部を押さえて苦しむ姿から、少女は目を逸らし、
「私なんかに……近づかなければ、いいのに。」
「……ふふ。」
呟きに応えたのは、自信にあふれた笑み。
顔を上げた少女の目に映るのは、灰となって崩れ……その中から起き上がる、ドゥルールの姿。
「私が貴女を救ってあげる。忌まわしい力も、孤独も、私が奪ってあげる。」
優しく微笑みながら、少女へと歩み寄る。
ドゥルールが周囲に纏うオーラは、不意に現れるナイフをも押しとどめ、その刃が身を傷つけることもなかった。
「大丈夫、私を見て。」
「……あなた、は。」
気が付けば、ドゥルールは少女の手の届くところまで近づいていた。
少しの驚きと共に見つめる少女へと腕を伸ばすドゥルール。
「私は死なない。貴女を独りぼっちにさせない。」
「あ……。」
そのまま抱き留め、少女の髪を撫であげる。
しばらく感じていなかった、人の温もり……。
「だから……お友達になりましょう?」
「え……むぅっ!」
その言葉に顔を上げると、柔らかい唇に口を塞がれていた。
さらに力が抜けていく……気が付けば、少女はドゥルールの身体を突き飛ばしていた。
「あらら、嫌われちゃったかしら?」
「……。」
おどけて言うドゥルールに対し、少女の顔は明らかにドゥルールを警戒していた。
しかし……先ほどの力ない眼差しから比べれば、生気が宿った表情に満足し、
「まぁいいわ。」
笑みを残し、ドゥルールは離れていった。
成功
🔵🔵🔴
シホ・エーデルワイス
単独
アドリブ歓迎
薄雪詩帆
依頼≪濃藍のレミニセンス≫第2章で思い出した異世界の私
彼女はただ皆と仲良くなりたかった
けど…彼女は積極的過ぎた…
他人の問題に断りもなく口を挟み
他人の思惑を顧みず率先して行動し
学友の「ありがとう」を鵜呑みにしてしまった
表情に不快感がある事を読取れず…
そうして彼女はいつの間にか孤立し…生贄になった…
心を病んだ彼女は刃物で自殺を試みて失敗…
結局崖から投身自殺
私も刃物で手首を傷つけ…
(世界を滅ぼす私達を止めて!私達を助けて!)
躯の海へ沈む直前の私達から託された願いが脳裏に響き
「私は!まだ死ねません!」
無意識に【盾娘】が発動し<覚悟と勇気で抗い
祈りの誘導弾で敵の眉間をスナイパー>
「あなた、も……?」
欄干に座る少女の前でナイフを手に佇む、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)。
その目は今を映しておらず、虚ろな瞳でつぶやきながら、右手に持ったナイフを見つめている。
刃先がゆっくりと、シホの左腕へと動いていった……。
『ありがとう……。』
それは、他人の問題を片付けた時に。
『ありが、とう。』
それは、他人よりも先に物事を進めた時に。
『あ……ありが、とう。』
その言葉は、こう告げていた……迷惑だ、と。
なぜ、それをやった?
なぜ、あなたが?
なぜ?
……あなたが手を出さなければ。
あなたが手を出さなければ、上手くいったのに。
「そう……『私』は、あの子達の表情に、気が付かなかった……。」
呟くのはシホ……いや、詩帆。
オラトリオではなく、黒髪の人間である、薄雪・詩帆。
「気が付いたのは、だいぶ後……『私』が、謝った時には……もう、遅かった。」
詩帆の孤立は、必然だった。
それに気が付いた時には、周りに味方は居なかった。
「そのまま『私』は……生贄に、なった……。」
心を病むまで、時間はかからなかった。
「これで……もう……。」
右手に握ったカッターナイフ……それを、左の手首に
『世界を滅ぼす私達を止めて! 私達を助けて!』
ナイフが左の手首に触れた瞬間、シホの目に光が宿る。
右手はナイフを捨てながら、左手は黒の拳銃を抜き、
「私は! まだ死ねません!」
正確に、少女の眉間を狙って撃ち放たれる。
「くっ……あ……。」
眉間の傷は、致命傷となりうるもの。
だがそれでも……少女はうめき声をあげつつも、欄干に座ったままだった。
「私は……あなたの中にいる『私』に、用があります。」
それは、『私達』から託された願い……世界を滅ぼす者たちからの願い。
世界を護るシホと同じにして、道を違えた者からの願いだった。
「……そう。」
対する少女は……微笑みを浮かべていた。
なんにせよ、私を殺してくれる……そう待ち望む、笑みだった。
成功
🔵🔵🔴
四王天・燦
アタシの業は女の子の幸せを守ること。
目の前の少女―依代もみしろも助ける!
暴走UCは仕方ない。
アークウィンドを抜き、水流の出現を見切って武器受けとカウンター。
属性攻撃:風で斬り散らす。
顔面覆われても同じさ。
耐えきるんだ。
「殺さずに済んだぜ。アタシの手ははみしろに届く!」
接近して頭を撫でて慰める。
符術『魔封じの儀』の三枚符を貼り付けてドヤ顔だ。
「これでしばらく力は出ない。その娘を解放してもらう前に…お喋りしようや」
世間話、家族への言伝、未練…聞いてあげるんだ
「そろそろ眠る時間か」
破魔の符でみしろの魂を祓うよ
―忘れない。躯の海でまたお喋りしような
※親友がいても声をかけれぬ雰囲気を感じ一定距離を置くよ
ルルチェリア・グレイブキーパー
自殺なんて心の弱い人がする事
……なんて私は思わないわ
望まない、制御できない力で
不幸になる人は少なくないもの
その力でもし、大切な人を傷つけてしまったらと考えたら
正気では居られないわ
臼氷さんが沢山の絵画を召喚するなら
私はUC【お子様幽霊たちの海賊団】で空飛ぶ海賊船を召喚
全門斉射で絵画を纏めて焼き払うわ
……私に当てるんじゃないわよ!?
舐めないでくれる?本人に殺意がない力じゃ私は死なないわ。
……もう人を傷つけたくないんでしょう?終わらせてあげるわよ。
「自殺なんて心の弱い人がする事、っていう人もいるけど……私はそうは思わないわ。」
すでに傷ついた少女の様子を見ながら呟く、ルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)。
周囲に浮かぶ、少女の意思と関係なく動く絵画を見やり、
「望まない、制御できない力で不幸になる人は、少なくないもの。」
「そうだな、アタシらみたいな方が珍しいだろうぜ。」
風を巻き起こす短剣を引き抜きつつ、ルルチェリアに笑みを返す、四王天・燦(月夜の翼・f04448)。
手の中でクルリと弄び、逆手に握って、
「思い通り、使いたいようには力を扱えないもんだ……普通の人は。」
「そうね……それに、その力で大切な人を傷つけてしまったらと考えたら、正気では居られないわ。」
「だろうな。」
そう話をする二人を、少女は眺めていた。
私を止めてくれる……そんな期待を少し、視線に込めながら。
「アタシの業は、女の子の幸せを守ることさ。あの依代もみしろも助ける!」
燦が駆け出し、残されたルルチェリアの周囲に霊たちが集まり始めた。
「……もちろん、私もそのつもりよ。」
「うわっぷ!」
不意に、燦の顔に浴びせかけられる水。
手にした短剣で斬ってもまとわりつき……さらに燦の周囲に、絵画を貫き赤い絵具を滴らせるナイフが浮かんだ。
「さぁ、キリキリ働きなさい!」
ルルチェリアの掛け声に合わせ、砲撃が始まる。
集まった子供たちの霊は空飛ぶ海賊船に乗り、装着されたカルバリン砲が火を噴いていた。
ケラケラと笑う霊たちの砲撃に、浮かび上がる絵画とナイフが撃ち落され……気まぐれに放たれた1発が、ルルチェリアの頭の上を飛んでいった。
「ちょっと! 私に当てるんじゃないわよ!?」
「ぷっ……ふふ。」
そんなやり取りに、少女が思わず吹き出す。
「……なに笑ってんのよ?」
「だって、面白くって……。」
周囲に浮かぶ絵画はなくなっていた。
……見れば、水流に巻き込まれた燦の姿がない。
「取った!」
「きゃっ!?」
弱まった水流を斬り裂き、一気に距離を詰めた燦が少女を抱きとめ、欄干から引き下ろす。
魔を封じる夢見・石化・魔断の3枚の符を張り付けつつ、少女の頭を撫でながら語り掛ける。
「よーし、これでしばらく力は出せないぜ。」
「……そう、なんだ。」
少女の様子を見れば、すっかり諦め……燦に身を任せていた。
ルルチェリアも、呼び出した霊たちを再び還して近づいて覗き込み、
「うまくいって良かったわ。」
「ああ、助かったぜ。……なぁ、その娘を解放してもらう前に、最後に言い残すことはないかい?」
問いかけに少女は少し考え、思いついたように呟いていた。
「私は、別に……あぁ、もしかして、『この子』の言葉?」
「……ああ、そうさ。」
促され、依り代になった娘について考えながら、目をつぶって少女は言葉を選ぶ。
「人の中に溶け込めなくて、いじめられたって。……よくある話。」
「……よくあっちゃ困るわよ。」
「ふふ……そう、かもね。」
思わずルルチェリアの口から出た言葉に、自嘲気味に笑みを浮かべていた。
「みしろに聞くのは間違ってるかもしれないけど、その子を助けられるかい?」
「ん……。」
少し考え、
「私たちを、倒して。この子はまだ……元の世界に、帰れるから。」
「解った。……そろそろ眠る時間か。」
燦が破魔の符をその顔に張り付けると、少女の身体から一人の魂が抜けていくのを感じた。
「……終わったのね。」
「ああ、みしろはな。」
「そっか……じゃあ、次ね。」
ルルチェリアの見ている前で、少女の身体が変化していく。
大人の女性へと変わり、その目を開いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『『レベル3現実改変能力者』王華崎・うさぎ』
|
POW : 私は死なない、死にたくない!
自身が【命の危機】を感じると、レベル×1体の【王華崎・うさぎ】が召喚される。王華崎・うさぎは命の危機を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD : 全部、ぜぇーんぶ! 私の好きにしちゃうもんね!
【現実改変による、物体の滅茶苦茶な形状操作】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 消えろ消えろ、消えろッ!
対象のユーベルコードに対し【悪態と否定の言葉】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:黒江モノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「やっと、私の身体になった!」
バニーガールの女性は跳び上がり、空中でくるりと回れば……地面に降り立つその姿を二人に増やしていた。
「辛気臭いのはここまで!」
「ここからは私の好きにしちゃうもんね!」
言葉を紡ぐごとに、女性の後ろから同じ顔の女性が現れる。
「「「だから消えてよ、私のためにさ!」」」
女性たちは立ちふさがる猟兵達へ、現実を改変する力を向けてきた。
ルルチェリア・グレイブキーパー
あら、奇遇ね
私も辛気臭いのはあんまり得意では無いの
ただ、お互いが生き残る為に闘う
その方がシンプルで有難いわね
王華崎さんが現実改変で物体の形状を操作して攻撃するのなら
私はUC【お子様幽霊たちは成長期】で幽霊の子供たちを巨大化させ
敵も操作された物体もまとめて叩き潰す!
敵味方区別無しの三回攻撃よ!さあ、好きに暴れなさい!
……だから、私を攻撃するんじゃないわよー!
UDC組織に捕まえらえて、色々酷い目に遭ったんでしょうけど
だからといって大人しくやられてあげる程
慈悲の心を持ち合わせてもいないわ
アリス・セカンドカラー
おまかせプレイング。お好きなように。
あら、あらあらあら。そちらが好きにするならこちらも好きにさせてもらうわ、と『夜』としてのリミッター解除して真の姿の封印を解く。
ふふ、現実改変なら私も得意なの♪だって私自身が星辰(アストラル)界なんですもの、自由自在よ☆そして、この空間内ならいくらでも端末(多重詠唱/集団戦術/範囲攻撃)を生み出せるわ♪
狭い隙間に入り込む特性でうさぎちゃん達のアストラル体に寄生(ハッキング)して、内側からエナジードレイン(生命力吸収/盗み攻撃/略奪/捕食/継続ダメージ)による意識が飛ぶ(気絶攻撃/マヒ攻撃)程の限界突破した快楽属性攻撃で蹂躙してあげる♡
魂を吸われる快楽は如何?
「あら、奇遇ね。私も辛気臭いのはあんまり得意では無いの。」
不敵な笑みを浮かべ、ルルチェリアは手にしたカンテラをゆらりと揺らす。
周囲に浮かぶ子供の霊たちが、普通の人でも見えるように変わる。
「ただ、お互いが生き残る為に闘う。その方がシンプルで有難いわね。」
「ふふん、だったら罷り通るまで」
「……あら、あらあらあら♪」
その声に振り向くと、頬に手を当てたアリスが呟いていた。
獲物を……いや、玩具を見つけた者の瞳で女性たちを見ている。
「そちらが好きにするなら、こちらも好きにさせてもらうわ♪」
「何を……ひっ!?」
精神に寄生しエナジーを奪い取る、真の姿を現したアリスの背からあふれ出す、桃色の触手と宵闇の空間。
逃げる間もなく女性の一部が巻きとられ、空間に呑み込まれていった。
「ふふ、現実改変なら私も得意なの♪ だって私自身が星辰(アストラル)界なんですもの、自由自在よ☆」
「や、やめ……ひあぁ!?」
「……それはそれとして、あなた達は逃がさないわよ!」
「ふ、ふん。やれるかしら?」
夜に包まれたの空間から洩れる声に、目を逸らしたルルチェリアと女性たち。
屋上の床が歪み、壁が生み出され……ルルチェリアの視界を遮っていく。
「ふん、本当に逃げるだけのつもりなのね。……あなた達!」
ルルチェリアはふわふわと浮かぶ子供の霊へと声をかけ、相手の居るであろう場所を指さし、
「さぁ、好きに暴れなさい! 押し潰してやるのよ!」
キャッキャと無邪気に笑いながら、子供たちの霊が見上げるほどに大きくなる。
そのまま振り下ろされる霊体の手だが、実体があるかのように壁を壊し、女性を掴み上げる。
「くっ、何なのこれ!」
いくらもがこうと、女性は霊体に干渉できなかった……現実に存在すれど、物体ではない霊たちの手が、その頭を掴む。
「あなたも、UDC組織に捕まえらえて色々酷い目に遭ったんでしょうけど。」
「や、やめ……!」
子供たちの霊は苦しむ女性を見て、楽しげに笑いながら手に力を込める。
「だからといって大人しくやられてあげる程、慈悲の心を持ち合わせてもいないわ。」
ごぎり……人形の首を引きちぎるように、ねじ切られる。
動かなくなった体に興味を失ったか、子供たちはそのまま体を放り捨てた……ルルチェリアの方へ。
「うわっちょ!? だから私を攻撃するんじゃないわよー!」
ケラケラ笑う子供たちへ叫ぶルルチェリアの足元で、死体は黒い塵へと変わっていった。
「うふふふ……さぁ、もっと中に入っていくわよ♪」
「ひあぅ!? そ、そんなところ……!」
「そんなに締めても無駄よ☆ 私の触手は狭いほど入り込んでいくわ♪」
「ひゃめ……ひゃめへ……。」
「さぁ……あなたの魂を吸いつくしてあげる♪」
「……あ……ぅ……。」
夜の空間から洩れる、アリスと女性の声と吐息。
「……この子たちに聞かせていい声じゃないわね。」
ルルチェリアはカンテラを揺らし、霊たちを帰す。
……ちらりと目を向ければ、捕えられた女性の耳や口からアリスの触手が入り込み、女性の脳髄から精神を蹂躙しているところだった。
「ほらほら……あなたはもう、ほとんど残ってないわよ♪」
「ひゃ……め……。」
「……早く終わらせてよ、もう。」
真っ赤にした顔を逸らし、ルルチェリアは呟いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
四王天・燦
未練も聞けず、他にも悩みを抱えるアタシ
辛気臭いはここまで・好きにする・私のため―うさぎの言葉に両頬を叩いて気合入れ直し。
「良い言葉だ。アタシも好きにする!好きにさせる!」
『最初のうさぎ』を見切る。
自傷し血を投擲し目印に
残像を囮に使用。
変化を五感・第六感で察し回避。
地形に引っ掛かりが増えれば真威解放・デストラップで鋼糸を張り巡らせ罠で動きを封じるぜ
複製にも謝って神鳴で斬葬。
最初のうさぎに慰めの符を貼る。
「みしろとの約束だ…依代を返してもらう。願わくば魂の片鱗―生存欲求を依代に遺せますよう。うさぎが現世に甦った意味を遺せますよう」
一方的に願いて破魔符で除霊
『好きにする』
言葉を胸に留めて御霊に一礼さ
化野・花鵺
「うーん……網タイツじゃないし、おしっぽボンボンもないけど……ありっちゃありなのかなぁ」
狐、目を眇めた
「ウサギは大好物なんだけどなぁ。どーもこのばにぃさんには萌えを感じないぃ。うーんうーんうーん…チェンジで」
「七星七縛符」で敵のユーベルコードを封じる
「ウサギの割に美味しくなさそうだしぃ、何か悪意滴ってる感じがするしぃ?年増でお肉が固くなっちゃっても困るしぃ、⁰次のせぇふくちゃんに期待するぅ」
素で煽って他の猟兵が攻撃しやすい隙を作る
衝撃波で敵に攻撃したり敵の攻撃をそらしたりする
当たりそうな攻撃はオーラ防御
「次のせぇふくちゃんはどんな子かなぁ。ワクワク、ワクワク」
「うーん……。」
首をひねりながら考えている燦。
先ほどのみしろは救えたのか、本当に未練はなかったのか……そう考えている時、みしろだった女性の言葉が響く。
「辛気臭いのはここまで、好きにする、私のため……か。」
パチン! 両頬を叩き、気合を入れ直す。
そうだ……考えることは、後でもできる。
「……良い言葉だ。アタシも好きにする! 好きにさせる!」
「ふふん、あなたにできる?」
「あぁ、やってやる!」
燦は懐から鋼糸を引き、指先をわざと傷つける。
手を振って鋼糸を床へと仕掛ける中、一人だけ目を付けていた女性……最初に現れたうさぎへと、自身の血を飛ばして目印にする。
「逃がさないぜ……絶対に。」
雷を帯びた刀を抜き、女性たちへと踏み込んだ。
「うーん……。」
後ろから、目を眇めて唸っている化野。
その視線はバニーガール姿の女性へと向いていた。
「網タイツじゃないし、おしっぽボンボンもないけど……ありっちゃありなのかなぁ。」
……確かに、衣装としてはバニーガールではある。
だからこそ、ひっかかる。
「ウサギは大好物なんだけどなぁ。どーも、このばにぃさんには萌えを感じないぃ。うーんうーんうーん……。」
そんなことを呟いている目の前で、燦が女性たちへと踏み込む。
斬られてはたまらないと、女性たちが逃げようと動くのを見て、
「チェンジで。」
「……っくあ!?」
女性たちの意識が燦の方へ向いている中、化野の手から放たれた符が一人の足に絡む。
そうして逃げ遅れた女性へと、燦の刀が振り下ろされた。
「すまない、せめて苦しまずに!」
「きゃあああ!」
祈りと共に雷を曳き、斬られた女性は黒い塵となってその場に散る。
改めて化野の存在に気が付き、身構える女性たちを見渡し、
「なーんか、ウサギの割に美味しくなさそうだしぃ……何か、悪意滴ってる感じがするしぃ?」
化野が感じたことを、包み隠さずに口から解き放つ。
「ちょっと、どういう」
「ほらぁ、眉間に皺が寄ってるよぉ? 実はぁ、けっこう年増なんじゃないのぉ? お肉も固そうだよねぇ。」
なお、全て素でつぶやいている。
「……カチンときた。」
女性たちは怒りに身を震わせ、化野を一発殴ろうと飛び掛かるが、
「おっと、そこは危ないぜ?」
「え、あ……ふぎ!?」
怒りに眼がくらんだ一人の足を、仕掛けられた鋼糸が捉え……勢いよく絡み付いた鋼糸に全身を斬り断たれ、塵へと変わる。
「くっ……。」
「さて。残ったのはうさぎ、あんただけだぜ。」
服の一部に血の跡がある女性へと、ゆっくりと近づく燦。
「みしろとの約束だ……依代を返してもらう。」
「何を。」
女性へ貼られるのは、悪しき魂を祓う破魔の符。
「願わくば、魂の片鱗―生存欲求を依代に遺せますよう。……うさぎが現世に甦った意味を遺せますよう。」
「あ、あぁ……。」
符から放たれる光に包まれ、女性の姿が消えていく。
燦はその場へと手を合わせ、
「これで、終わった」
「……なーんてね!」
「何!?」
すぐ横から現れる女性。
驚く燦に対し、胸を張って得意げに言い放つ。
「ふふん。私は私よ、みんな私なんだからきゃああ!」
横合いから化野の放った衝撃波に吹き飛ばされ、鋼糸の罠に絡めとられ……塵へと変わっていった。
「……容赦ねぇなあ。」
「次のせぇふくちゃんはどんな子かなぁ。ワクワク、ワクワク。」
燦がジト目で横を見れば、当の化野の興味は次の子に向いているようだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロNG
POW
いや~ん、素敵なバニーちゃんがいっぱい♥
(目がハートに)
真の姿で背中に黒炎の翼。
守護霊の憑依【ドーピング】に加え
『欲望解放』の愛欲に比例した戦闘力増強と
音速を超えた速さで相手を逃がさない
私は消えないわ。
貴女達を救う為に私が居るの。
この子達のように、私と永遠になりましょう?
強化によって効力の増した【誘惑・催眠術・全力魔法】で
まとめて魅了すれば命の危機を感じさせる事は無いから
彼女達が無限に増え続けるという事態を防げる
彼女達の全身を【慰め・生命力吸収・大食い】
生命力吸収で常に体力満タン。
一人残らず愛し尽くすわ
現実は愛の前に歪む。
愛こそが残酷な現実を変える力。
貴女達に永遠の幸福を
「いや~ん、素敵なバニーちゃんがいっぱい♥」
姿を増やす女性に、目を輝かせるドゥルール。
欲望のままに広がる黒炎の翼がドゥルールの服を焼き焦がし、生まれたままの姿で女性へと飛び掛かる。
「くっ、何なの急に!?」
「ふっふふふ……さぁ、私と一つになりましょう?」
「ちょっ! そんな趣味はないわ……よ……。」
視線を合わせた女性の一人の声が弱まり、近づいたドゥルールにふらりと抱き寄せられ、
「あ……。」
その手に撫でられた途端、生体エネルギーを吸いつくされて塵と化していく。
仲間の一人がやられた……なのに、それを見ていた女性たちの目は蕩け、それを撫でたドゥルールの手を見つめていた。
「その死がショッキングなほど、意識は集まるのよね。」
十分な魅了の効果を感じ、その手を自身の唇をひと撫でしつつ、
「ふふ……貴女達は、どうしたいかしら?」
手に導かれるまま、女性たちの脳を言葉が揺らす。
……あの手に触れたい、導かれたい。
自然とその足は、ドゥルールの下へと向かっていた。
「いい子ね……さぁ、貴女達を救ってあげる。」
その言葉も聞こえているかどうか……集まった女性たちの身体を抱き寄せ、
「……現実は愛の前に歪む。愛こそが残酷な現実を変える力。」
「……あぅ……。」
呟きと共に、その手は女性たちの身体を這いまわる。
「貴女達に、永遠の幸福を。」
最後の一人に手が触れた時……女性たちの身体は全て、塵へと変わっていた。
成功
🔵🔵🔴
シホ・エーデルワイス
単独
余裕が無かったとはいえ
みしろさんの辛さに寄り添えず攻撃した事を後悔
でも皆が寄り添ってくれて良かった
敵の生きたい想いを聞き詩帆の思念が流れ込んでくる
私は…世界から切り捨てられた
誰にも顧みられず世界に居場所は無く
皆の嘆きを受止め
公共の敵として憎まれ
消え逝く弱者
私が贄となる事で正義は成され
多くの人が幸せを享受できる…
詩帆の絶望に聖痕が疼く
本当にそれで良いの?
私は死後も囚われ続ける残酷な宿命から詩帆を解放したい!
敵の動きを<第六感と聞き耳で見切り残像で躱しつつカウンター>で
【祓符】を当てていく
依代が怪我をせず痛くしないよう注意
誰も犠牲にしない!
詩帆もそれを望んでいるから
皆さん
どうか力を貸して下さい
目の前にいるバニーガールの女性へ視線を向け、シホは奥歯を噛みしめる。
「すみま、せん……。」
後悔は、すでに倒された少女……臼氷・みしろに対して。
シホ自身に余裕がなかったとはいえ、
「みしろさんも辛かった、のですよね。」
「……さっきから、何をつぶやいているのよ?」
気が付けば、シホの顔を覗きこんでいる女性がいた。
他の猟兵達と違い、武器を持たずにいる……そこに興味を惹かれ、1人の女性が近づいていた。
「まさか、私の前の子を撃ったことを後悔してるのかしら?」
「……そうじゃないと言ったら、嘘になります。」
「ふん、別にいいけどさ。……あの子はこの世に絶望してたし、殺される事を望んでたよ。」
そう言って女性はひょいと飛び退り、
「でも私は逆、生き延びたいの。自由にね!」
「……そう。」
呟いたシホの頭に、別の思念が流れ込んできた。
『私は……世界から切り捨てられた。』
シホの内から響く声。
『誰にも顧みられず、世界に居場所は無く、』
異世界の……UDCアースの詩帆の思念。
怒りに満ちた、少女の想い。
『皆の嘆きを受止め、公共の敵として憎まれ……消え逝く弱者。』
……本当に?
頭を振り、シホは心を整える。
『私が贄となる事で、正義は成される。』
違う……。
『多くの人が幸せを享受できる……。』
ちがう、チガウ、違う!
全てを諦めた言葉を、シホは拒む。
胸元の聖痕が熱を帯び、シホ自身の意思を取り戻していく。
気が付けば、シホは女性を組み伏せていた。
「本当に……それで良いの?」
問いかけた言葉に、女性はじっとシホを見て呟く。
『あなたなら……わかると思ってた。」
流れ込む思念と同じ、全てを諦めた言葉。
二人の内にいる詩帆に……お互いの言葉を返す。
「誰も、犠牲にしない!」
「逃げちゃいなさいよ!」
逃げようと身じろぎをする女性に、符が張られる。
いざというときに使え、と仲間から手渡された物を。
「燦さん……力をお借りします。」
「……ふふ、逃げきれなかった。」
もがく力が弱まる。
女性は長く息を吐き、シホを見上げて、
「そこまで思われるなんて、中の子は幸せね。」
呟きを残して、抜けていく……女性の意志が。
「……詩帆も、それを望んでいるから。」
起き上がったシホの前で、女性の身体が変わっていく。
セーラー服の少女……どこか、シホに似た顔をした少女へと。
「皆さん……どうか力を貸して下さい。」
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『切り捨てられし弱者』薄雪・詩帆』
|
POW : 死の予告『選ばせてあげる。無残な死か発狂死かを』
【ネット等の通信網を介して遠くにも送れて】【見聞きしたら正気を失い発狂する】【無残な死を予告した文章、写真、音声】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : 大炎上『あんたも同じ目に合わせてやる!』
対象の攻撃を軽減する【ネット等の通信網を移動できる電子情報体】に変身しつつ、【極端な解釈で誹謗中傷し自然発火による炎上】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 公開処刑『もうあんたは外を出歩けない』
【複数のアカウントを同時に操作できるスマホ】から【悪く脚色した対象の個人情報を晒す精神攻撃】を放ち、【更に親しい人になりすました自殺を煽る投稿】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:ヤマモハンペン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「シホ・エーデルワイス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
起き上がるのは、セーラー服の少女。
猟兵達を見渡し、軽くため息と共に呟く。
「で、あたしを止めようっていうわけね。」
黒い瘴気を放つスマホを手の中でくるくると廻し、ひねくれた笑みを浮かべている。
パシっとスマホを掴み、
「……ふざけるなよ!」
怒りのままに、声を上げていた。
「今さらあたしを止めようって? ……遅いんだよ!」
見捨てられ、切り捨てられた弱者……体のいい生贄にされた少女の怒りは、猟兵達へと向いていた。
「あんたらも同じ目に合わせてやるよ……世界から捨てられちまいな!」
少女が翳した手の中のスマホが、勝手に動き出す。
読めば正気を失う投稿、周囲を嗅ぎまわるストーカー、他者への誹謗中傷……すべてが少女の手の中で、蠢きだしていた。
アリス・セカンドカラー
おまかせプレイング。お好きなように。
まずは、詩帆ちゃんのスマホをハッキングして私の配信とリンク。
ああ、はいはいとピストルのジェスチャーの形にした手を自分のコメカミに当てて呪殺弾でぱーん☆と首から上を吹き飛ばします。
大丈夫、私の支援者ってUDC-Pな貴腐神方だから、一般人には配信されてません。詩帆ちゃん視点だと一般配信してるように見えるように偽装しておくけど。
私にとって肉体は飾り、幽体(封印を解く/リミッター解除/念動力/呪詛)となって詩帆ちゃんの背後に回り込んで耳元に
「これで満足かしら?」
と囁いてあげるわ☆(精神攻撃)
さて、何もかも忘れさせてあげる♡と限界突破した快楽属性攻撃で催眠捕食するわね
ルルチェリア・グレイブキーパー
私も人の事は言えないけど……
あなた『達』って、ホント不器用で運が無いわよね
UDCアースのあなたも
アルダワのあなたも
ダークセイヴァーのあなたも
誰かを助けたい、役に立ちたい気持ちは人一倍強いのに
その気持ちが空回って悪い方向に行ってしまう
ホントに……仕方が無い人達だわ
放っておける訳無いじゃない
薄雪さんの攻撃はスマホを媒介とした呪詛の類かしら?
それなら【呪詛耐性】と【狂気耐性】で軽減出来そうね
悪いけど、そういう嫌がらせには慣れているの
UC【サモニング・ガイスト】で古代の戦士を召喚し反撃よ!
炎の槍でスマホなんか破壊してやりなさい!
私は薄雪さんを疲弊させるだけで良い
救うのはシホ達の役目だわ
「あなた『達』って、ホント不器用で運が無いわよね。」
そんな少女、詩帆を見たルルチェリアの口から、ため息と共に言葉が漏れていた。
「どの世界のあなたも、誰かを助けたい、役に立ちたい気持ちは人一倍強いのに。その気持ちが空回って悪い方向に行ってしまうのよね。」
「……何の話?」
「こっちの話。」
詩帆が怪訝に思うのも当然の話、ルルチェリアの言葉は詩帆の前に現れた人格たちの話ではなく、今までに見た異世界の詩帆の同位体達を思い浮かべての物。
アルダワ魔法学園で出会った災魔のルノリスト、そしてダークセイヴァーで生まれた、猟兵で友人でもあるシホ……。
「ホントに……仕方が無い人達だわ。放っておける訳無いじゃない。」
「はん、だったらどうするって?」
「ちょっと、なによこれ!?」
ルルチェリアの後ろからアリスの素っ頓狂な声が響いた。
見れば自身のスマホを持つ手が震え、青ざめた顔をしたアリスがいた。
「支援者さま達に何言ったのよ!」
「ふん、あんたが見るに堪えない性癖を持ってるって伝えただけよ。」
「……もうだめ、生きてられない!」
「え、ちょっと!?」
ルルチェリアが止める間もなく、アリスは自身のこめかみに指を当てていた。
ぱーん☆ ……軽い音と共に、アリスの頭が丸ごと吹き飛ぶ。
詩帆へと振り返り、ルルチェリアはカンテラを構える。
「あなたの攻撃は……スマホを媒介とした呪詛の類かしら?」
「そうよ、次はあんたね。」
「悪いけど、そういう嫌がらせには慣れているの。」
ゆらりとカンテラを揺らすと、古代の戦士の霊が具現化していく。
「向こうはスマホがなければ動けないわ! さぁ破壊しなさい、私の戦士たち!」
「出来ると思う? その槍が貫くまでに、いくらでも指で動かせるのよ。」
戦士が持つ燃えさかる槍を前に、不敵な笑みを浮かべながら指で操作する詩帆だが、
「満足したかしら?」
「な!?」
突然耳元で囁かれる、アリスの声。
周囲を見渡しても姿はなく、さらに異変に気が付く……半透明なピンクの触手に絡まれ、指が動かない。
「どこよ!?」
「ふふ、私にとって肉体は飾りなの。漂う意識、それが私よ。」
「隙あり!」
「くっ!? しまっ」
詩帆の意識がアリスへと向いている中、燃えさかる槍がスマホを弾き飛ばす。
さらにうねる触手が、詩帆の身体を絡めとっていった。
「あんたの心は折ったはず……!」
「あぁ、あれ?」
身動きの取れない詩帆の前に、小さなアリスがふわりと浮かびながら語り掛けていく。
「大丈夫、私の支援者ってUDC-Pな貴腐神方だけなのよ。あなたより私の事をよく知ってるし、よく知らないの。不思議な不思議な私の事を、ありのままに楽しむ支援者様たちなのよ。」
ニコリと微笑むアリスに対し、忌々し気に見返す詩帆。
「それに自殺なんて、服の脱ぎ替え程度にしか思ってないわ☆」
「……騙されてたのは、こっちだったってことね。」
「そういうこと☆」
パチン☆ とアリスが指を鳴らすと、触手が絡む力を強める。
その体を快楽に染めようと、蠢き始め……。
「ふざけるな!」
叫び声と共に、触手が引きちぎられた。
詩帆は荒い息をつきながら、二人を睨みつけている。
「あらら、まだそんな力が残ってたのね☆」
「……人に受け入れられた、幸せなあんたらに!」
まとわりついた触手を床に叩きつけながら叫ぶ。
「負けてあげるもんか!」
「……なんにせよ、だいぶ疲れさせたのは間違いないわね。」
その様子を憐みの目で見ていたルルチェリアの口から、呟きが漏れていた。
「私ができるのはここまで、救うのはシホ達の役目だわ。」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロNG
WIZ
色情狂、人類の敵と悪評を広められ
お世話になっているグリモア猟兵になりすまし
自殺を煽る投稿をされても
とうの昔に世界から捨てられた私には馬耳東風
【呪詛耐性・狂気耐性・気合い】で精神攻撃に耐え
【呪詛・属性攻撃】の黒い雷で【マヒ攻撃】
詩帆の動きを封じ、スマホも機能停止
人間は人間同士で争う愚かな生き物。
正直、私は貴女の行いが正しいと思うわ
詩帆を【怪力】で抱きしめ
『愛の想起・妖狐桃源郷』で76人の妖狐忍を召喚。
同姓も魅了する【誘惑・催眠術】と共に
詩帆の心も体も【慰め・生命力吸収】
だからこそ、貴女を救済(アイ)するの。
苦痛ではなく温もりを与える為に。
貴女の想いを人類に踏み躙らせない為に
「あんたも、あたしを止めるつもり?」
「……まぁ、そうなるわね。」
視線に篭もる怒りを正面から受け止め、ドゥルールはゆっくりと近づいていく。
詩帆は新たに生み出されたスマホへと視線を落としつつ、
「ふん、あんたの知り合いからの評判、解ってる?」
「色情狂、人類の敵……辺りかしら?」
「え……なに、知ってるの?」
事も無げに言葉を返すドゥルールに、詩帆は少し驚いていた。
「もちろんよ。あいつら、言葉に出さなくても視線に篭もってるわ。」
「なるほどね、『ふふ、早急に命を絶つことをお勧めしますよ。』とまで言われるわけね。」
「……あぁ、あいつね。」
思い当たるところがあったか、ドゥルールは少しだけ視線を上げて考えを巡らせていた。
しかし、すぐに視線を戻し、
「だから、なに?」
「え? きゃあ!?」
突如、ドゥルールの手から迸る黒い雷。
力の入らなくなった詩帆の手から、スマホが零れ落ちる。
「人間は人間同士で争う、愚かな生き物。正直、私は貴女の行いが正しいと思うわ。」
するりと近づき、詩帆を抱きとめるドゥルール。
細い腕に似合わぬ強い力で抑えられ、もがく詩帆もほとんど動けない。
「放して!」
「いいえ、離さないわ。私は貴女を救いたいのよ。」
「ひっ!?」
気が付けば、周囲には妖狐のくノ一たちの姿。
微笑みと共に向けられる視線にあてられ、詩帆の抵抗が少しずつ止んでいく。
「やめ、て……。」
「苦しんだ貴女を、救済(アイ)したいの。苦痛ではなく、温もりを与える為に。」
すでに片手で軽く抑えられるほどになり、空いた手はゆっくりと背中を撫でている。
「貴女の想いを、人類に踏み躙らせない為にね。」
とろんとした目を覗き込み、ドゥルールはそのまま詩帆の身体を降ろす。
「……落ち着いたかしら?」
「あ……。」
離れていく温もりに縋りつくように、その手を伸ばすが……ドゥルールの姿はいつの間にか消えていた。
大成功
🔵🔵🔵
四王天・燦
親友を援護。
好きにするは【許し】
電撃属性攻撃の符でマヒ攻撃重視
電撃を範囲展開し通信網諸共ダメージを与えて引きずり出す荒業ハッキング。
破魔で変身強制解除。
炎上は狂気耐性で流す
「親友に死を望むかよ。アタシは一緒に生きたい!」
シホ達を鼓舞
真の姿解放。
読符で過去と心を視て平手打ち!
生前に誰も止めないなら、アタシが母のように私刑と自殺を叱る
「ごめんなさいは?」
謝れば許す。
誰にも許されないのは哀し過ぎる
シホから学んだ『寄添う精神』から至った『慈悲と赦し』で慰め、詩帆自ら凶事を止めるよう祈る
※
「自分らしく好きにしな。人に溶け込むコツだぜ」
【願わくば皆で】宿か白兎宅に泊まり依代の娘と遊びたい
みしろ達の墓参りも
シホ・エーデルワイス
同じ魂故
親近感のある詩帆に怒鳴られ心が酷く痛むも
待ち望んだ機会を逃すまいと覚悟を決め勇気を奮い
優しさで寄り添う
辛いよね
謝罪や弁明の機会は無く
一方的に誹謗され
ネットで歪められた自分が拡散され
心が痛くて哭いて
投稿者が友達だと分かっても
疑いたくなくて
誰にも助けを求められなくて
誤解されたままの最期なんて悔しいと思う
だから
これで終わりにはしない!
独善で憎まれても魂の冒涜だと思われても構わない
私はあの時
詩帆が発したメーデーに応える!
【終癒】で詩帆を吸収
待たせてごめん
今の骸の海は異常で安全ではないと思う
解決するまで私の中に留まって欲しい
眠りに着くのも
私と一緒に世界を旅するのも自由です
詩帆はどうしたいですか?
「なによ。あんたたちも、あたしを笑いに来たの?」
「いいえ。私は……、」
疲れたように問いかける詩帆。
同じ魂を持つ存在……しかし、その濁った目を正面から見た時、シホの決心は揺らぐ。
揺れる瞳を濁った目に映し、嘲笑うように言葉を続ける。
「ふん、だったら何? 零落れたあたしの前に顔を出すのに、ほかの理由がある?」
「……あり、ます。」
シホは拳を握りしめ、動揺した心を落ち着ける。
そうだ……私は、あなたを、
「あなたを……詩帆を、救うために来ました。」
その瞳はもう揺れることなく、真っ直ぐに詩帆を見つめていた。
「……チッ!」
舌打ちと共に目線を外す詩帆。
バチバチという音と共に、その腕が電子情報体へと分解していく。
「だったら止めなさいよ! 止めてみせなさいよ! できるならね!」
「必ず、止めます……止めて、みせます!」
「……よく言ったぜ、シホ。」
ここまで後ろで手を出さずに見ていた燦が、シホの肩に手を置いていた。
肩からは震えが伝わってくるが、すぐに収まる。
「んじゃ、使わせてもらうぜ。」
「お願いします。」
すでに詩帆の身体は半分ほど空間へ溶け、辺りに炎を上げ始めている。
その周囲へ勢いよく放たれる、シホから受け取った符。
「逃がしゃしないぜ!」
「くっ……!」
燦が細長い指で印を切れば、符から放たれるのは紫電の網。
電子へと姿を変えた詩帆を捕え、現実に呼び戻していた。
「ふん、仲間がいるなんて、幸せね。」
「……ええ、そうですね。」
ゆっくりと近づくシホに、嘲いを向ける詩帆。
「でもね……あんたの仲間、本当にあんたの事を信じてると思う?」
「どういうこと、です?」
「後ろのそいつ、あんたの事を……いつも無茶なことをするあんたを、いつも許してると思う?」
「……それは。」
少しの動揺……それを見逃さず、言葉を紡ぐ詩帆。
「本当は……死んでほしいと思ってるんじゃない?」
「そんなことは、ありません!」
「……え……。」
しかし、返ってきたのは動揺を微塵も感じない答え。
仲間を信じることを疑わないシホの眼差しに、詩帆は次の言葉が出せずにいた。
すでに、手の届く距離……そのままシホは、詩帆を抱きとめる。
「そんなことは、ないんです。」
ただ抱きとめているだけ……なのに、詩帆は動けずにいた。
その背をさすりながら、シホは語り掛けている。
「辛いよね……謝罪や弁明の機会は無く、一方的に誹謗されて。」
それは、詩帆のされてきたこと。
「ネットで歪められた自分が拡散され、心が痛くて哭いて。」
それは、詩帆を苦しめた出来事。
「投稿者が友達だと分かっても……疑いたくなくて、誰にも助けを求められなくて。誤解されたままの最期なんて、悔しいと思う。」
「……そうよ。だからあたしは、」
「自殺した、か。」
パチン!
突然の平手打ちに目を白黒させる詩帆を、覗き込む燐。
「だからって、同じことをされた子の復讐をするって?」
「……だって」
「だってじゃない!」
燐の言葉はまるで、悪いことをした子供を叱る母のようで。
「あんたのやったことは復讐じゃない。八つ当たりの私刑だよ。」
「あ、ぅ……。」
「ごめんなさいは?」
「……ご、め」
「はっきり!」
「ごめんなさい!」
「よーし、よく言った。」
先ほどまでの厳しい顔はどこへやら、明るい笑顔を向ける燐。
「アタシから言いたいのはそれだけだぜ。」
燐が身を引いたところで、シホが顔を覗き込む。
「……詩帆はこれから、どうしたいですか?」
「え?」
シホの問い掛けが解らない。
「あんたはあたしを、消すんじゃ……?」
「ええ、この世からは。」
「それってどういう……。」
その時、詩帆は自身の魂が吸い寄せられるのを感じた。
シホの元へ、
「あなたの囚われていた今の骸の海は、異常で安全ではないと思う。解決するまで私の中に留まって欲しい。」
「……あんたは大丈夫なの?」
「ふふ、心配はいりません。これが初めてではありませんから。」
「そっか。」
そのまま抵抗する事もなく、シホの内に移る詩帆。
取り込んだシホは目を閉じ、胸元に手を当てて、
「このまま眠りに着くのも、私と一緒に世界を旅するのも、自由です。」
呟きの後に、改めて問いかける。
「詩帆は、どうしたいですか?」
数日後。
燐は一つの墓の前で手を合わせ、祈りを捧げていた。
「みしろ……あんたが依り代にした子、まだ生きてるよ。」
線香の煙を見つめながら、言葉を続ける。
「むしろ、ぴんぴんしてるさ。あの後、アタシらと遊びに行ったら、すっかり元気になってな。アタシの仲間とも仲良くなって、死にたいって気持ちも消えたようだ。」
そう言って手を解き、最後に告げる。
「……だから、次はみしろの番だ。必ず、救ってやるよ。」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年04月28日
宿敵
『臼氷・みしろ』
『『切り捨てられし弱者』薄雪・詩帆』
を撃破!
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