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潜む宿怨

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「宿場町、温泉、和菓子……異国の情緒が感じられてステキですね」
 グリモアベースにて、ノア・ローズタレット(ローズマリーの誓願・f02701)はサムライエンパイアに関する報告書や資料などを読みふけっていた。
 ベース内に引きこもっていると、時折予知をキャッチすることがあった。その瞬間は気まぐれに訪れ、ノアの脳裏に強く焼き付く映像を残し、白昼夢のように現れ去っていく。
「これは――」
 浮かび上がった映像に眉をひそめながら、ノアはつぶやいた。

「皆さん、時には休息を取られることも大事ですよ」
 招集された猟兵たちに向けて、ノアはそう切り出した。
「スペースシップワールドの情勢も沈静したことですし、温泉地の宿場町でリフレッシュされてはいかがでしょう?」
 にこやかに話を進めるノアだが、サムライエンパイアへの門戸を開くのは、無論それだけが目的ではない。
「宿場町でのお楽しみはもちろんついでなのですが……人々の平穏を乱す厄介なオブリビオンは、夜になると現れるのです」
 夜になるまでの間は、宿場町で英気を養うことを優先できる。
 これから向かう宿場町では、夜中まで縁日の屋台が軒を連ねており、民衆の多くが夜の町に繰り出していくだろう。しかし、最近では夜の町で不審者に追いかけられるという事案がいくつか発生している。民衆たちはそのことに関して警戒はしているものの、祭りの夜ばかりは楽観的に構える者も多いと見える。
 「その不審者がオブリビオンです」とノアは言い添えた。
「夜の町を見回りつつ、不審者についての聞き込みをお願いします。目的は何なのか、どのようなオブリビオンが関わっているのかを調査し、人々に危害を加える存在を排除してください」
 グリモアベースに映り込むサムライエンパイアの風景をじっと眺めながら、眉根を寄せた表情のノアは本音を吐露した。
「私もリフレッシュしたかったです、けど……ここは皆さんからのお土産に期待するしかなさそうです」


夏雨
●『サムライエンパイア』の世界に向かいます。
 猟兵達は江戸幕府から「天下自在符(てんかじざいふ)」を与えられており、徳川の紋所が刻まれたその符を見せれば治外法権となり、人々は平伏します。

●第1章 休息も仕事の内
 宿場町でのリフレッシュを目的とした章になります。聞き込みの選択肢は次章からも現れるので、ぜひ思う存分羽を伸ばしてください。不審者の噂を耳にすることもあるかもしれません。
 この章だけでも、お友達同士の参加も歓迎しています。プレイングはできる限り採用させていただきます。

●第2章 捜査開始
 本格的聞き込みが始まります。不審者の情報について、地元民から聞き出しましょう。
 夜の町は縁日の屋台が出て賑やかですが、人気のない裏通りもあります。

●第3章 ボス戦
 2章でオブリビオンである不審者と接触することで、ボス戦への道が開けます。

 個性豊かな猟兵の皆さんの参加をお待ちしています。
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第1章 冒険 『宿場町』

POW   :    宿といえば温泉だ! 薬草風呂に露天風呂に混浴に。お湯に浸かってリフレッシュ!

SPD   :    せっかくだから観光せねば! 町を見て回り、買い物をしたり思い出を作ったり。

WIZ   :    宿場町とならば賭博も欠かせない! 花札に賽の目、上手くいけば一攫千金!?

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

二天堂・たま
【SPD】
ワタシは町中で「情報収集」や「コミュ力」の技能を生かして色々と聞き込みをしておこう。
1つ目は不審者が現れる場所、風貌、人数からだな。
2つ目は追いかけられる人の特長と、その後の行方辺りか。
3つ目は夜の宿場町の人気スポットと言ったところだろう。
これだけ情報を集めれば、おおよその方針も決めやすかろう。

ワタシは情報集めと土産屋の冷やかしに集中するので、歩くのはUCで呼びだした相棒達に任せるのだ。
夜の屋台でしか食べられない美味も、忘れずに聞いておかなければな!



 例えその世界の人々の常識からかけ離れた姿であっても、特別な順応性を兼ね備えた猟兵たちに白い目を向ける者はまずいない。
 黄色いもふもふにクチバシなどがあるからにはひよこなのだが、ケットシーである二天堂・たまが召喚したひよこたちは、およそ80センチというひよこならざる大きさ。たま2人分の大きさを有するひよこたちは、騎馬戦のような状態でたまを支えて宿場町を闊歩する。
 たまが目についた土産物屋を冷かしていると、
「旦那、珍しい動物を飼ってるんですね」
 まげを結った店主らしき男が声をかけてくる。それを皮切りに、彫刻が施された小物をすすめる店主の営業トークが始まるが、たまはのらりくらりとかわしていき、目的の1つである不審者の情報収集に乗り出す。
「――ところで、ここはにぎやかなところだな。宿場という場所柄、各地から客が来るのだろう? 最近の治安はどうなのだ?」
 店主は「そうですねぇ……」と、どこか迷うように言葉を濁したが、声をひそめて話し始めた。
「ここだけの話、妙な輩が夜に出回るようでね……お客さんも気をつけた方がいいですよ」
 「妙な輩?」とたまが相槌を打つと、店主は詳しく続けた。
「酔っぱらい同士の喧嘩が道端で始まったときに、そいつは現れたそうで。そいつが刀で斬りかかってきたから慌てて逃げたんだが、1人は追いかけられてね。川に飛び込むまで追ってきたとか」
「物騒な話だな……喧嘩をしていたという理由だけで襲いかかってきたのか?」
 たまは更に詳しい事件の全容を店主から聞き出す。
 斬りかかってきたのは男で、場所は商店が並ぶ表通りの外れ、南側辺り。「喧嘩両成敗!」と言って斬りかかってきた。その男がどこに去ったのか、誰なのかは判明していない。2人がよく覚えていた男の特徴は、ひどく臭う体臭を放っていたということだ。
 事件に関心を示すたまに対し、店主は一言言い添えた。
「奉行所の方々が夜の見回りを強化し始めたみたいだから、聞いてみちゃあどうです?」
「今夜の祭りにも備えているのだな――ところで、店主。夜の屋台ではどんな美味なものを売っているのだ?」
 ひとしきり情報を集めたところで、たまは観光モードに切り替える。店主はたまの求めに応じて、おすすめの屋台を教えた。
「水飴も人気らしいが、酒のつまみなら焼き鳥屋もおすすめですよ」
 焼き鳥の話題が上がると、たまの下のひよこたちは身震いしたようであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

山路・紅葉
f11808のお姉様や凶津君と参加

🐰お仕事とはいえ、お姉様と温泉…楽しみっ!
🐺楽しむのはいいけど、浮かれ過ぎないでよ?

🐰お姉様達と全力で温泉を楽しむよー!
あ、でも一応仕事だし…温泉を堪能しながら、他にお客さんが居るなら不審者の噂も聞いておく…?
でもやっぱりゆっくり楽しみたいなぁ…

🐺ワタシはオーラの黒犬の状態で凶津に噛付いて目隠ししとくわよ
はーい、アンタ(凶津)はこっちよー!…アンタがそういう意見でもこっちは気にするのよ
まぁ、情けでお湯には付けといてあげるわ
紅葉は桜とゆっくりしていなさい

※アドリブ・絡み歓迎


神代・凶津
今回は、相棒になついてる紅葉の嬢ちゃん達(f14466)と共同ミッションってわけだな。
とはいえ、まずは温泉でも入って英気を養うとしようぜ相棒。

(温泉に入る巫女さんとプカプカ浮かぶ鬼の仮面)
ほぁ~、こりゃいい湯だなぁ。
・・・おい、噛みつくなワンコ。心配しないでもジロジロ見りゃしないよ。

何はともあれ今はおもいっきり羽を伸ばして仕事に備えるとしようぜ。


【アドリブ歓迎】



 宿場町の各所にある浴場の1つ、露天風呂の一角。赤い鬼の仮面が露天風呂の湯船にぷかぷか浮いてるだけのように見えるが、仮面の口からは声がもれ出る。
「ほぁ~、こりゃいい湯だなぁ」
 その仮面の正体は、ヒーローマスクの神代・凶津。凶津に体を貸す巫女の少女、神代・桜と共に温泉を堪能している。
「……おい、噛みつくなワンコ」
 凶津の視線は完全に青空に向けられていたが、その視界を遮る存在がいた。
「はーい、アンタはこっちよー!」
 黒いオーラのような塊が黒犬の姿を見せ、くわえた凶津を温泉の縁へと持ち去っていく。
「心配しないでもジロジロ見やしないよ」
 山路・紅葉の刻印の力そのものである黒犬『織子』は、文句を言う凶津に対し、
「アンタがそういう意見でもこっちは気にするのよ」
 桜のことを『お姉様』と呼び慕ってやまない紅葉は、その桜と肩を寄せ合って温泉に浸かっている。
「お仕事とはいえ、お姉様と一緒に来ることができてよかった!」
 桜と一緒に過ごせることを心底喜ぶ紅葉は、笑顔で話す。
「夜まではゆっくり観光したいなー。どんな屋台が出てるのかな――」
 「そうですね」と言葉少なに相槌を打っていた桜だが、同じように湯につかっている女性客たちの会話が気になるようだ。紅葉も桜の視線の先に気づき、女性客の話に注意を向けた。
「――子どもたちだけでなんて、行かせられないわぁ」
「せっかくの縁日なのに、怖いわよねぇ」
 無口な桜に代わって、紅葉は率先して女性客に尋ねる。
「あの、私たちここの縁日は初めてなのですが、何かあったの?」
 「あら、そうなの〜」と女性の1人はにこやかに紅葉に応じる。
 女性たちは何を心配しているのかというと――。
 日が暮れるまで遊び歩いていた子どもたちが、刀を持った男に追いかけ回されたことがあったのだそうだ。「お前らのような親不孝者共は罰してやる!」などと叫んでいた。地元の人間かどうかまではわからなかった。というのが女性たちが知る事件の概要である。
「でも、奉行所の人たちも夜の見回りを多くしているみたいだから、その内捕まるわよ~」
 奉行所の仕事に期待を寄せる女性は前向きに構えていた。
 物騒な事件のせいで客足が遠退くのを防ぐためか、町民たちもただ手をこまねているだけではないようだ。
 桜は「はやく捕まるといいですね」の一言で女性客との会話を切り上げる。
「温泉を出たら、どこ見に行く?」
 そう尋ねる紅葉だが、桜はどこか考え込んでいる様子で、紅葉の声が届いていないようだ。
 すねた表情になりながらも、紅葉は遠慮がちに桜へ思いを伝えた。
「お姉様が一緒だから、今回ここに来るのすごく楽しみだったの……夜まではお姉様とゆっくり観光したいなー、て思ってるんだけど――」
 「でも、少しはお話も聞かないとだよね」と言いかけた紅葉に対し、桜は笑顔を向けて答えた。
「もちろん、私も楽しみでしたよ」
 紅葉はその一言だけで上機嫌になる。紅葉は満面の笑みを浮かべて言った。
「じゃあ、一緒にいっぱい楽しもうね!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

葛乃葉・やすな
「さすが、サムライエンパイアの宿場町は風情があるのぅ。」

わしはゆったりと町を観光しながら目当ての温泉に向かう。
時折、美味しそうな匂いに誘われては買い食いをして宿場町を堪能している。

「休息も仕事の内とはよう言たものじゃな♪」

道中で焼き団子を食べながら上機嫌に歩く。

気は張っていないものの不測の事態に対応できるように【聞き耳】だけは怠らない。

そろそろ温泉に着きそうじゃな。
滅多にない機会じゃ。
思いっきり羽を伸ばさせてもらおう。
顔を緩ませながら温泉へ向かう。



「さすが、サムライエンパイアの宿場町は風情があるのぅ」
 葛乃葉・やすなは、旅人向けの商店が並ぶ表通りを悠々と歩いていた。
 やすなはおいしそうな匂いに誘われてはその店の名物を堪能し、食べ歩きを楽しんでいた。
「団子ー、うまいよ〜! 団子いかがっすか〜」
 店先で団子を焼く店員の男性の呼び声と、みたらしの甘じょっぱい匂いに引き寄せられ、やすなは団子を買い求めようとする。
「その団子、1本――」
 団子を焼く店員の影から飛び出してくる存在に気づき、ぶつりかそうになったやすなは反射的に避けた。
 やすなの横をすり抜け、表へ飛び出した少年が1本の焼き団子を手にしているのを見て、店員は少年に向かって怒鳴った。
「こらぁぁ! テン坊!! つまみ食いするなって何遍も言ってるだろうがっ!」
 テン坊と呼ばれた少年は、笑いながら店から走り去っていく。遠ざかっていくその背中に向かって、店員は更に声を張り上げた。
「おめぇも悪さばっかしてると、幽霊に斬られちまうぞ!」
 詫びを入れる店員から団子を買いつつ、やすなは店員が口にした『幽霊』という言葉に反応する。
「幽霊に斬られると言っていたが、この地域にはそういう伝承でもあるのか?」
「あぁ、なに……ちょいと物騒な事件があってね、お嬢ちゃんもあまり1人で出歩かない方がいいよ」
 『お嬢ちゃん』と子ども扱いされることに抵抗は感じたが、やすなは気になる事件の概要について聞き込む。
 以前、猫に石を投げつけて悪さをしていた子どもが刀を持った男に追いかけられた。その子どもを助けた同心が男に腕をつかまれたのだが、まるで死人のように冷たい感触だった。同心は男を投げ飛ばして気絶させてしまい、人を呼びに行っている間に跡形もなく消えてしまった。消えた男は幽霊だったのでは? という話だ。
「ほう、妙な話じゃな……」
 やすなは例の不審者に間違いないと見当をつけてつぶやく。怖がる様子を見せないやすなの反応を不思議に思いながらも、店員は言った。
「お嬢ちゃんも、親御さんが心配しない内に帰るんだよ?」
 「わしはおぬしよりも遥かに年上じゃ!」という言葉をぐっと飲み込んで、やすなは団子屋を後にした。
 やすなは買った団子を頬張りながら、湯治場を目指して歩く。
「まあ、団子のうまさに免じて許してやるかのぅ」
 自身の幼い見た目が実年齢と釣り合わないことを自覚しつつも、やすなはつぶやいた。
 ――何にせよ、今は夜を待つしかない。滅多にない機会じゃ。思いっきり羽を伸ばさせてもらおう。
 やすなは頬を緩ませながら浴場へののれんをくぐった。

成功 🔵​🔵​🔴​

朝凪・深月紅
【アドリブ可】
温泉地ですか。ゆったりと暖まることができそうですね。
ゆっくりお酒を飲みつつ楽しめそう…。
せっかくですから、尻尾の毛づくろいも想いっきりやっておきましょう。

ゆるゆると近くの人とお話をしていれば少しは口が軽くなってなにか聞けるかもしれませんね。

お祭りが近いとなると色々な人が出入りするでしょうから人の流れは見ながら
ついでにいい話、悪い話、面白い話も聞けないか探してみましょう。



 狐の尻尾を揺らして表通りを歩く朝凪・深月紅は、温泉を楽しみにして浴場を目指す。
 ――ゆったりと暖まることができそうですね。温泉と一緒にお酒をたしなむのもいいですし、せっかくですから、尻尾の毛づくろいも想いっきりやっておきましょう。
 温泉地を満喫することに思いを巡らせている間に、深月紅は浴場のそばまでやって来た。すぐ横のまんじゅう屋を通り過ぎようとすると、「そこのべっぴんさん」と深月紅に声をかける男の売り子がいた。
「風呂に入る前に、うちのまんじゅうを食べるのがおすすめですよ。甘いもんを食っておいた方が、湯あたりしないと医者の先生もすすめてるんだよ」
 「お1つどうです?」と温泉まんじゅうをすすめられた深月紅は、
「そういえば、聞いたことがあるような……では、1つ買います」
 深月紅がまんじゅうの入った包み紙を受け取った後も、男は会話を続ける。
「ところでお嬢さん、夜の屋台は見て回ったりするんですか?」
 本来の目的を明け透けに話すことはできないと思い、深月紅は言葉を濁す。
「あんたのようなべっぴんさんが1人だけで出歩くなんて、心配になるねぇ」
 男はやたらと深月紅に関心を寄せ、ぐいぐい迫る。
「俺ァ、夜には仕事を抜けられるんだが、お嬢さんのために町を案内させちゃくれないかい?」
 男の言葉に苦笑いを浮かべる深月紅は、「これはナンパというやつでしょうか?」と考えながら、断る口実をひねり出そうとする。
 そこへ男の背後から声をかける中年の女性がいた。
「ちょいと、安兵衛! 美人にうつつ抜かしてないで、真面目にやっとくれ!」
 店の女将らしき女性に注意され、安兵衛と呼ばれた男は途端に萎縮する。
 女将は深月紅のことを気にかけるように言った。
「でも、確かに……最近物騒な輩がうろついてるみたいだからね――」

 町の一角にある浴場で、深月紅はゆったりと湯船に浸かりながら、女将の話を思い返す。
 最近、夜の町の各所で悪餓鬼やもめ事を起こした者たちが何者かに襲われている。女性にしつこく言い寄っていたナンパ男が、斬りつけられそうになったこともあったそうだ。恐らく同一人物による犯行と思われている。
(「襲われた人たちの共通点は――」)
 推理を導き出そうとする深月紅だが、「べっぴんさん」、「美人」と言われたことに対し、うれしさと恥ずかしさが混ざり合う笑みを覗かせていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジンガ・ジンガ
はいはーい、温泉と聞いてェー!
イイよね温泉ー、俺様ちゃんダイスキ!
おヤスミもおシゴトのウチなら、そりゃもう遠慮なくリフレッシュに励むじゃんよ!

ってワケで、全力で温泉に浸かるよねぇ
マジ俺様ちゃん、いつもお疲れサマ的なー
あー……めっちゃ極楽……
ここが極楽……トロットロに蕩けるじゃんよ……

だらだら羽を伸ばしつつ
真っ先に思い出すのは、大好きな友達二人の顔

そーいや、来る途中にオイシそーなお菓子とか
面白そうなモンとか、色々売ってたよねェ
なンかお土産買ってくかにゃー……あいつら、なに喜ぶかなー

一応、【聞き耳】立てて【情報収集】もしとこっか
こーいう気の緩むトコでしか出ねェ零れ話もあるっしょ、たぶん



 浴場同士が隣接する湯治場。その中でも特に広々とした露天風呂にジンガ・ジンガの姿があった。
 「あー……めっちゃ極楽……」という心の内が窺えるほど、湯船に浸かるジンガは緩み切った表情を見せていた。
 大好きな温泉を堪能できると聞いてやって来たジンガは、思う存分リフレッシュに励む。
 露天風呂でだらだらぼんやりしつつ、ジンガは大好きな友人2人の顔を思い浮かべていた。
 ――そーいや、来る途中にオイシそーなお菓子とか、面白そうなモンとか、色々売ってたよねェ。なンかお土産買ってくかにゃー……あいつら、なに喜ぶかなー。
 どんな土産を買おうかと考えを巡らせていたジンガは、ある声を耳にする。
「きっと旅の人じゃない?」
「あんなイケてる男前、この町じゃ見たことないわ」
 ジンガ以外は枯れ切ったじじいばばあだらけに見えた憩いの混浴場に、純情可憐な乙女の声がキャッキャッと響く。
「しっ! 声が大きいわよ、おゆきちゃん」
「あ、ごめんね……でも、そういうおりょうちゃんの方が目ざとく男前さんを見つけたのよね」
「なによ、面食いなのはあんたも一緒でしょうが!」
 ジンガはもしやと思い声の主の姿を探す。
(「純情可憐な――」)
 ジンガは『乙女』の姿を想像してさりげなく視線を動かす。だが、その視線の先にいたのは7、8歳ほどの幼女2人組。
(「――おませなちびちゃんズ!」)
 ジンガと目が合った途端、幼女2人は「きゃー!」と恥じらう声を上げた。
 微笑ましいと言いたげな老人たちの視線に晒され、ジンガはなんとなく面映い気分に陥っていた。
「ねえ、よりちゃんもかっこいいと思わない?」
 おゆきはガールズトークのノリで、80歳は超えているであろう老女に声をかける。
「ワタシがあと70くらい若ければね〜」
 ジンガは冗談半分のより婆さんの一言を耳にして、湯船に沈みそうになった。
 しばらく3人の会話に耳を傾けていると、
「――追い回されているのは悪餓鬼ばかりらしいけど、2人も気をつけなきゃいけないよ」
 より婆さんが例の不審者について触れると、おりょうは言った。
「悪さをする子といえば、団子屋の末っ子の天慈郎よね。よく店の団子をくすねてるもの」

成功 🔵​🔵​🔴​

フォートナム・メイソン
オデット(f04351)と参加
※アドリブ大歓迎

■心情
お散歩?お散歩するの!?わーい!
わーい、おんせんおんせん!……おんせんってなあに?

■行動
あっちこっちにうろちょろと観光
「さむらいえんぱいあ?って変なお家とか格好の人多いね!
 ……おんせんまんじゅうってなあに?美味しいの?」
「あ、お蕎麦知ってるよ!長細くてツルツルしたやつ!よく知ってるでしょ!」
とか、うろちょろおまんじゅうとか食べながら観光してます

温泉に近づいたら匂いにビックリして近づくの拒否したり、

髪の毛洗ってもらって喜んだり
「わーい、ワシャワシャ!もっとワシャワシャして!」
熱めのお湯にビックリしてます
「……百まで数えないと出ちゃダメなの?」


オデット・クレイトン
※アドリブ、悪乗り大歓迎
フォム(f06179)と同行

●行動
まずはお仕事しますかね
【血の追跡者】を使用し猟犬を召喚しますよ
[情報収集]不審者の噂の収集や地理の把握、何処に出たとかあれば行って調査させます

私自身はフォムちゃんと観光してましょう
賭場に行きたいけど、小さい子連れて行く訳にも行かないですし
うん、温泉饅頭とか団子とか釣っておけばいいでしょう

温泉に入ったら、まずは身体洗わないと。アマツカグ……サムライエンパイアの文化には結構詳しいのです!
……何かフォムちゃん洗ってると、飼い犬洗ってる気分になってきます。忙しなくあっちこっちに興味出す辺りが
あ、ちゃんと温泉に肩まで浸かって百まで数えるんですよ?



「さむらいえんぱいあ? って変なお家とか格好の人多いね!」
 そう言って無邪気にはしゃぐフォートナム・メイソンはまさに落ち着きのない子犬で、
「あ、お蕎麦知ってるよ!長細くてツルツルしたやつ! よく知ってるでしょ!」
 興味を引かれるものを見つけては、あっちへこっちへ動き回る。
「……おんせんまんじゅうってなあに? 美味しいの?」
 同行者のオデット・クレインは、そんなフォートナムに保護者のように付き添う。
 オデットはまんじゅう屋の呼び込みを聞いたフォートナムの疑問に答える。
「温泉饅頭は、甘くておいしいお菓子ですよ。食べてみますか?」

 オデットとフォートナムがまんじゅうを味わっているところへ、1匹の猟犬がやって来た。その猟犬は口にくわえている1本の彼岸花を、オデットに向けて差し出す。
 召喚した猟犬を使役するオデットは、猟犬と五感を共有すると共に情報収集に当たらせていた。
「それ、なんのお花?」
 オデットが手にした彼岸花を見つめながら、フォートナムは尋ねた。
「これは墓地の近くに咲いていることが多いようです」
 不審者の目撃情報は、町の墓地から程近い場所に集中していた。それが何を意味するのか、真相が明らかになるかどうかは夜の捜査にかかっている。

 温泉を体験したことがないフォートナムは硫黄の臭いを不審に感じ、始めは浴場に入るのをためらっていた。それでもオデットに手を引かれ、温泉の作法を教えてもらい、フォートナムは体や髪を洗ってもらう。
「わーい、ワシャワシャ! もっとワシャワシャして!」
 いろいろなことに全力ではしゃぐフォートナムの反応を見続けてきたオデットは言った。
「……何かフォムちゃん洗ってると、飼い犬洗ってる気分になってきます」
 全身を洗い終えた2人は湯船につかろうとするが、フォートナムはその温度に驚き、水面を幾度となく弾いていた。
「あつ、熱ッ、あつ〜〜〜い!」
 慣れないお湯の熱さに耐えながら、フォートナムは肩まで湯船に浸かる。一方で、オデットは慣れた様子で言った。
「ちゃんと肩まで浸かって、百まで数えるんですよ?」
 2人は声をそろえ、仲良く百秒を数え始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『徘徊する処刑人』

POW   :    歩き回って処刑人を探す

SPD   :    聞き込みや現場検証で情報を得る

WIZ   :    次の被害者や犯行現場を予測する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 祭りの夜を迎えて賑わいを増す町。
 各々の情報を共有した猟兵たちは、本格的に捜査に乗り出す。
葛乃葉・やすな
他の猟兵達からもたらされた情報を整理してみるかのう。

1.犯人はひどく匂う体臭があった
2.夜遅くまで遊んでいる子を追いかけ回した
3.犯人は死人のように冷たかった
4.目撃情報は墓地近辺に集中している

「死人の起き上がりかも知れぬな」

墓地に向かい【暗視】と【聞き耳】を使い周囲を警戒するぞ。

誰もいない様であれば【破魔】の力を込めた【衝撃波】を墓地に打ち込んでみる。破壊せぬ様に力は弱めじゃ。
その後は、【目立たない】よう【地形の利用】をして隠れて監視じゃ。
何か反応があれば良いがのう。

もし、わしより先に一般人がいる場合は【コミュ力】で話しかけ【手を繋いで】ここから引き剥がすかのう。

※アドリブ・絡み歓迎じゃ



「死人の起き上がりかもしれぬな」
 他の猟兵たちから得た情報を整理してみた葛之葉・やすなは、まず墓地に向かった。
 やすなは周辺を警戒しつつ、起き上がる死人を刺激できないかと、破魔の衝撃波を地面に打ち込んだ。地面に広がった微弱な振動と共に、放たれる破魔の力。その後の反応がないかを監視するために、やすなは墓石の影に隠れて様子を見ていた。
 しばらくすると、そこへ1人の老女がやって来た。ある墓の前で数珠を持った手を合わせ、老女は念仏を唱え始める。
(「あれは……死人ではないようじゃな」)
 一心不乱に念仏を唱える老女は近寄りがたい雰囲気をかもし出し、やすなはどう声をかけようかと一瞬迷う。そこへ老女を追いかけてきたらしい青年が姿を見せる。
「おっかあ! またここにいたのか」
 老女の息子らしい青年は、「辰次はもういないんだよ」、「会えたとしても、こんなところにいたらいつ斬られるかわからんぞ」などと言って老女をなだめ、墓の前から引き離そうとしていた。
 2人が気にかかるやすなは、思い切って声をかけた。
「そこで何をしておるのじゃ?」
 青年は墓石の影から出て来たやすなに対し、「ひいぃっ!」と短い悲鳴をあげ、心底驚いた様子だった。
「お、おどかさないでおくれ、嬢ちゃん。ほら、おっかあ……ここには子どもしかいないじゃないか、もう帰ろう」
 そう言って息子に促される老女は、目に涙をためて何かを訴えたい様子だった。
「ご婦人、なぜここに来たのじゃ?」
 やすながそう尋ねると、母親はぼそぼそと話し始める。
「辰次が……息子が、生き返ったんだよ」
 「生き返った?」とやすなが聞き返すと、母親は続けた。
「あの子が棺桶から出ていくのを、あんたも見ただろう? 甲之助――」
 甲之助と呼ばれた青年は、終始渋い表情を向けながら言った。
「あれは辰次じゃねえよ、おっかあ……辰次の体は、きっと物の怪に憑かれちまったんだ」
 やすなは狐の耳をピンと立て、興味深そうに甲之助の話に聞き入る。
「でなきゃ、あの辰次が――虫も殺さねえようなあいつが、人に斬りかかる訳ないんだ」
 そこまで聞いたやすなは、大よその事情を把握した。
(「息子の起き上がり……オブリビオンが、死体に手をつけたということかの?」)
「後生だよ、せめてまた一目……辰次に会わせておくれ!」
 そう言って墓の前から動こうとしない母親に甲之助が手を焼いていると、やすなも母親を危険から遠ざけるために説得に加わる。
「母君殿。この近辺に物騒な輩がうろついているのは確かじゃ――」
 やすなは真摯に母親に語りかける。
「後を追うような真似をして、一緒に残された者たちを悲しませてもよいのか? そなたをこうして心配している息子の気持ちも考えるのじゃ」
 やすなが母親の手を引いて表通りへと誘導し始めると、
「お嬢ちゃんに叱られているようじゃ、辰次も呆れてしまうわね」
 母親は涙ぐみながらもおとなしく従った。
 「これでもおぬしよりは年上じゃからな」と言い含めるやすなだが、笑っている母親には冗談にしか聞こえないようであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

山路・紅葉
引き続きf11808のお姉様や凶津君と参加っ!

わーい、お祭りでお姉様と屋台巡り―!
全力で楽しむよっ!
…え、お仕事?…だ、大丈夫。オボエテルヨー…

うん、色々と美味しくて満足ー
あ、次はお団子屋っ!おいしそうだなー(※特徴)
…ワ、ワスレテナイヨー?
コレもお仕事の一環…だよ?買いつつ店員さんにお話聞いて"情報収集"してるの

🐺猟兵のお仲間さんの話を聞くに…現れてる不審者ってゾンビな気がするのだけど…

もし不審者を見つけたらお姉様や凶津君からの情報を元に全力で"追跡"するよ
他にも有効そうなのは"視力""ダッシュ"かな?
体力には自信があるし頑張って追いかけようっ!

※協力・アドリブ歓迎


神代・凶津
引き続き紅葉の嬢ちゃんたち(f14466)と共同調査よ。

とりあえずせっかくの祭りだし屋台でも回ろうぜ。
心配するなよ相棒、ちゃんと仕事も忘れちゃいないって。
屋台で買い物しながらそれとなく店主から不審者の情報収集するって寸法よ。
こちらの財布の紐が緩めば店主の口も緩むってもんさ。
冴えてるな俺。

そんで件の不審者を見つけたら『追い雀』で追跡開始よ。
アジトまで道案内してくれるだろうさ。


【使用技能・情報収集】
【アドリブ歓迎】



 山路・紅葉は神代・桜と夜の屋台巡りを楽しんでいた。様々な屋台を通してサムライエンパイアならではの食文化に触れ、紅葉は明らかにはしゃいでいるように見えた。
「うん、色々と美味しくて満足ー」
 屋台の揚げたての天ぷらに舌鼓を打っていると、紅葉は心なしか神代・桜から冷たい視線を向けられていることに気づく。桜は慌てて言い訳を始めた。
「……だ、大丈夫。仕事もちゃんとするよ? あ、ほら! あのお団子屋さん、おいしそう……じゃなくて! あ、あそこで買い物しながら聞き込みしよう」
 不安そうにため息をこぼす桜の頭には、縁日の一部と化す赤い鬼の仮面、神代・凶津がかぶられている。
 桜のため息を聞いた凶津は言った。
「心配するなよ、相棒。こちらの財布の紐が緩めば店主の口も緩むってもんさ」
 大勢の人通りがある中で、刻印の黒犬『織子』はおとなしく紅葉の中に収まっていた。紅葉を通して怪しい者がいないか監視する織子は、
(「猟兵のお仲間さんの話を聞くに……現れてる不審者って、ゾンビな気がするのだけど……」)
 特に周囲に死臭の類がないかを敏感に感じ取ろうとしていた。
「かわいいお嬢さんに、1本おまけしておくよ」
 紅葉は団子屋の店主から気前よく団子をもらい、上機嫌で桜に団子を手渡そうとする。
「おまけでもらっちゃった♪ お姉様も食べる――」
 紅葉は自身に向けられた桜の視線に失意が見え隠れしているのを感じ取り、ごまかすように団子を口に運んだ。
 「……ワ、ワスレテナイヨー?」とアピールする紅葉は、店主の方へと向き直る。しかし、紅葉よりも先に店主に声をかける者がいた。
「団子屋のおじちゃん! てんちゃんはいないの?」
 1人の幼い少女に気づき、店主は言った。
「おや、おゆきちゃん。入れ違いになっちまったな、テン坊なら――」
 そう言いかけた店主は、通りのどこかに視線を向けて声を張り上げた。
「おーい、天慈郎! お前、おゆきちゃんに――」
 店主に名前を呼ばれた男の子、天慈郎は逃げるように走り去ってしまう。通りの向こうに消えていくその背中を目で追いながら、桜は店主に言った。
「知り合いから聞いたのですが、団子をくすねる悪戯っ子がいると」
 店主は「参ったねえ」と頭を掻きながら、きまりが悪そうに話し始める。
「根は悪い息子じゃないんですよ? あいつも最初から素直に言えばいいものを……いっちょ前にほの字の子がいましてね」
 店主はおゆきの方をちらりと見て続ける。
「団子がほしい理由を話すのがこっ恥ずかしかったなんて言いやがるもんで。せっかく駄賃の代わりにおゆきちゃんへの手土産を持たせてやったのに……」
 「そうでしたか」とつぶやく桜は一抹の不安を覚え、ひそかに自らの式神に天慈郎の跡を追わせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

二天堂・たま
喧嘩をしていたり、遊び呆けて家に帰らなかったりと
何かしらの粗相に目を付けられて襲われているのだな。

しかし不審者とやら、ずいぶん変わった特徴をしているな?
「ひどく臭う体臭」
「目撃情報は墓地周辺に集中」
「跡形も無く消える」
まるで亡者の念が硫黄の煙に映し出されたようではないか。
盆や彼岸の時期は生者の住む世界と死者の住む世界が重なり合うとも聞いたことがあるぞ。

この赤い花…幽霊花とも言うらしいが、
店の団子をくすねるような悪ガキがこの赤い花に近づいてしまったら襲われるんじゃないか?
不審者が出たらUCの相棒に乗せて避難させるとしよう。
おそらく赤い花の無い場所なら追っては来れまい。


ジンガ・ジンガ
追い回されてンのは悪餓鬼ばかり、かァ
そーねェ……ばーちゃんと、おませなちびちゃんズのオハナシに出てきた
『団子屋の末っ子の天慈郎ちゃん』でもマークしてみる……?
固有名詞でるくらいだし、相当っしょ

縁日で買い食いやお土産見ながら
ついでに、お店のヒトに【情報収集】
町行く人達の会話も【聞き耳】しとこ
天慈郎ちゃんってどのコだろ
更に真相に迫れそうな情報があれば僥倖

天慈郎ちゃんを見つけたら【暗視】しながら
【目立たない】よう【忍び足】で後をつけよっか
何事も起きなきゃそれでオッケー
起きたら起きたでラッキーってコトで!
不審者とやらが釣れたなら、割って入るなりして守りましょ
斬りかかってくンなら【武器落とし】狙うわ



 ――喧嘩をしていたり、遊び呆けて家に帰らなかったりと、何かしらの粗相に目を付けられて襲われているのだな。
 頭の中で町民が襲われた要因を整理しながら、二天堂・たまは墓地のそばまでやって来た。
(「この赤い花……幽霊花とも言うらしいが――」)
 石塀に沿って密集して咲く彼岸花を見つけ、たまは妙な胸騒ぎを覚えていた。

「天慈郎ちゃんてどのコだろ」
 ジンガ・ジンガは温泉で聞いた団子屋のことが気になり、その付近までやって来た
「おーい、天慈郎!」
 丁度その時、ジンガは名前を呼ぶ店主の姿を目にした。店主の視線の先にいる男児を見つけ、ジンガはもしやと思い走り去っていく背中を負った。
 天慈郎は表通りと墓地に挟まれた裏通りまで突き進み、何やら引き返そうかどうか迷うようにその場をうろうろし始めた。そして、ぶつぶつと独り言をささやく天慈郎の声が静かな夜闇の中に響く。「おゆきちゃん、団子を俺と……」、「一緒に団子を食べよう!」と繰り返し台詞を練習している様子が窺える。
 気配を消して天慈郎の背後に近づいたジンガは「何してんの?」と天慈郎に声をかけた。
「1人でいたら危ないじゃんよ」
 天慈郎は平然としているジンガとは対照的に、見開いた目でジンガを見上げ、驚きと恐れで固まる。
 天慈郎はその手に団子の入った包み紙を抱えていて、みたらしの匂いが香る。
 天慈郎の事情を知らないジンガは、「また盗んできたのかなー?」と天慈郎が持つ包み紙を見つめる。しかし、天慈郎は透かさず反論した。
「ちがわい! これはちゃんとおっとうに頼んでもらったんだ」
 「ほーん……」とジンガは意味深なにやけ顔を向ける。
「おゆきちゃんとやらにあげるためかーい?」
 天慈郎の独り言から察したジンガは、天慈郎をからかうように言った。
 「もう、あっち行けよ!」と怒り出す天慈郎だが、その瞬間ジンガの顔付きが変わる。
 ジンガが背後に感じた気配は気のせいではなく、頭巾をかぶった覆面の男が立ち塞がる。男は抜き身の刀を持ち、ジンガに対し敵意を向けて言った。
「貴様、何を嗅ぎ回っている?」
 男から臭う腐臭を感じ取りながら、ジンガはダガーを構えた。
「嗅ぎ回る? 暴かれちゃ困る秘密があるってことかな?」
 ジンガは刀を見て縮こまった状態の天慈郎をかばうように振る舞い、相手の出方を窺う。すると、男の背後へと真っ直ぐに突き進む黄色い影が見えた。それは巨大ひよこの群れに乗ったたまの姿で、男を突き飛ばす勢いで接近してくる。
 男がわずかな差で衝突を避けると、たまを乗せたひよこたちは家屋の壁を蹴ってジンガの背後へと回り込んだ。
「この子は任せろ」
 そう言って、たまは天慈郎を連れ去るようにしてひよこたちに表通りへと運ばせた。
 たまの出現に怯んだ隙を逃さず、ジンガは男の動きを封じようと動く。
 男は手にした刀を翻し、ジンガから向けられた攻撃を押し返そうと刃を振るう。武芸に精通したものの動きであることがその一太刀からもわかり、激しい動きによって頭巾がずれる。
 ジンガは頭巾の下の男の頭をまじまじと見つめた。町民の誰もかれもがまげを結っていたが、男は頭を丸めている、いわゆる丸坊主だ。頭を丸めるているものの職と言えば――。
 互いを寄せ付けず、しばらくにらみ合っていた両者だったが、式神の追跡により天慈郎の状況を把握していた凶津たちもその場に駆けつけた。
 猟兵たちを前にして、坊主頭の男はその場から逃げ出す行動を取る。男は墓地の更に奥へと進む道をたどり始め、猟兵たちは追跡を開始した――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オデット・クレイトン
※アドリブ、悪乗り大歓迎
フォム(f06179)と同行

●行動
祭りの夜ですし、最初に屋台とかで楽しみますか
……わたあめとか、りんご飴食べます?
いや、焼きそばとかイカ焼きとかの方が良いですかね長丁場になりそうですし
ついでに最近の墓地様子を[情報収集]しておきましょう

さて、墓地で犯人探し……肝試しか何かやってる気分
【血の追跡者】で夜鷹でも召喚しておきましょう
墓地上空を旋回させて不審者が居ないか確認と、不意打ち防止の為の監視させましょう

前回[情報収集]で集めておいた噂と不審者の情報を照らし合わせつつ、
墓地の探索、血痕とか怪しい足跡とかあれば[追跡]していきますよ
[暗視]持ちですし、灯りはいらなそうですね


フォートナム・メイソン
オデット(f04351)と参加
※アドリブ大歓迎

■心情
お祭り!人がいっぱい居てお店がいっぱい並ぶんだよね!
美味しそうな匂い!いっぱい食べていいの!?

■行動
お祭りを楽しむよ!焼きそばとかとうもろこし焼きとかいっぱい食べる!
金魚すくいってなあに?取ったら食べていいの?……飼うの?いらなーい!
しゃてき?倒したらくれるの?じゃあ、[スパイダーウェブ]で倒すよ!……この銃じゃないとダメなの?なんでー?
あ!墓地について最近不審な事なかったか、聞いておくね!しっかり覚えててボク偉いでしょ!褒めて!

お祭り楽しんだら、墓地に行くね!
【暗視】を使いつつ怪しいものが無いか探すよ!
あったら【追跡】で追っていくね!



 フォートナム・メイソンはオデット・クレイトンと腹ごしらえをしつつ、屋台の味覚を味わい尽くしていた。
 オデットが墓地での張り込みの供にとイカ焼きを購入している間にも、じっとしていられないフォートナムは金魚すくいの屋台に出向く。
 大きな桶に張られた水中から金魚をつかみあげるフォートナムに、店主は驚かされる。
「金魚すくいってなあに? 取ったら食べていいの?」
「フォムちゃーーん!」
 金魚をつかんでいるフォートナムに気づき、保護者オデットは慌ててフォートナムのもとに向かった。
 店主から金魚すくいの説明を聞いたフォートナムは、「飼うの? いらなーい!」と金魚を桶の中に放り出した。
 オデットが店主に詫びる間にも、フォムは隣の屋台の射的屋を眺める。
「しゃてき? 倒したらくれるの?」
 そう店主に尋ねるフォートナムは、ルールを最後まで聞かない内に自らの武器を構える。
 細いワイヤーを打ち出すガジェットを構え、フォートナムは飴の入った小袋を狙っていた。しかし、オデットは打ち出される直前でフォートナムの腕をつかんだ。
「フォムちゃん!! お店の銃を使わなきゃだめ!」
「なんでー?」
 2人のやり取りに苦笑しつつ、店主は改めてフォムにルールを説明した。
「この銃で倒したら、なんでもあげるよ」
 「なんでも?」と聞き返すフォートナムに対し、店主は言った。
「ああ、ここに並んでるものならなんでも――痛っ?!」
 フォートナムは店主を狙っておもちゃの弾を連続で打ち出し、店主は悲鳴をあげた。
「イ、イタタタァッ!! おじちゃんは景品じゃねえよ!」
「フォムちゃんんんん?!」
 店主にイカ焼きを差し出し、オデットはフォートナムをたしなめたが、
「最近墓地で変わったことがなかったか、情報をもらうの。ボク覚えてて偉いでしょ! ほめて!」
 フォートナムが欲しかった景品は店主からの『情報』だったことを理解しつつ、オデットはフォートナムの発想にツッコミを入れる。
「あなたはギャングですかフォムちゃん」
 店主は弾が命中した頬をさすりながら、『墓地』に関する事柄を思い浮かべる。
「墓地だって? どうしてそんなことが――」
 店主はそこまで言いかけて、心当たりを話し始めた。
「そういやぁ、最近住職の姿を見かけねぇなあ……弟子の坊さんの話じゃ、遠出をしてるだけらしいが」
 墓地と言えば、そこを管理する寺。寺といえば僧侶、住職。どのような因果関係があるのか、2人はまず墓地に出向いて調査することを選択した。

 墓地に到着し、怪しい痕跡がないかを探すオデットとフォートナムは、騒がしい足音が近づいてくることに気づく。
 その先頭を走るのは、坊主頭の怪しい男。確かに見えた双眸は、死人のように濁った色をしていた。そして、その後にジンガ、紅葉、神代たち、遅れてひよこたちと共にたまの姿が続く。
 皆が追いかける男は、墓地の奥にある寺を目指して走っていく。
「わーい、鬼ごっこだー!」
 フォートナムはそう言ってはしゃぎながら、迷いなく皆の後を追いかける。
 「あれが例の不審者なのでしょうか?」と疑問を浮かべつつも、オデットもフォートナムと同様に後に続いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オルハ・オランシュ
【roost】
ここはやっぱり手分けしようか?

私は子供達に絞って話を聞いてくるね
知り合いが追いかけられたっていう子がいたら、
その子を紹介してもらいたいな
直接話を聞けたら一番
状況はもちろん、
不審者の顔はどこかで見覚えがあるものだったかどうかも

集合したら、みんなが聞いてきた話を整理してみようか
何か新しい情報が得られたかも

ねぇ、ひとつ提案があるの
私達が喧嘩のふりしていたら、不審者を誘き寄せられないかな?
ノアへのお土産選びで意見が割れて口論に
なんてどうだろう

えっ、飲み物一択でしょ!
美味しいお菓子……私も食べたいけど、でも
緑茶っていうのが一番だと思う!
もう、景正はナンパしない!

うう……想像以上に心が痛むね


鞍馬・景正
【roots】
(手分けする案に肯い)
承知しました。一刻も早く町に安寧を齎しましょう。

◆調査
さて、子供に見られる齢でも無し。
墓場を逍遙してみますか。

悪童と言えば近頃は江戸でも傾奇者が流行っているようで。
酷い手合いは墓場から仏を掘り出し、据物切りに使うような不届きな例もあるとか。

――如何にもそれらしい挙措を演じてみれば下手人なり、何か知っている者と遭遇できるかも知れません。

◆合流後
成果に関わらず皆と合流。
喧嘩、それは妙案やもしれませぬ。

――確かしつこい軟派男めも狙われたそうですな。

ヤア、ソコノ娘達。喧嘩ナド止メテ私ト楽シイ事ヲアリオリハベリイマソカリ。
……いえ、これは演技でして(ずーんと落ち込む)


萌庭・優樹
【roost】

情報収集えいえいおー!

子供やお墓への調査はお任せして
おれは人の多そうな食堂へ
噂話も体験談も何でも来い
こういう場には沢山の情報が集まるモンですよッ
きっとね!

合流したら情報共有
良いヒントが見つかればいいな

名案!
ケンカのふり、試してみましょう
おれは子供のケンカ得意です、故郷でよくやってたし
オルハさん相手には心が痛むけど!

お土産は食べ物にするべきですっ
た、たしかにノアさん緑茶も好きそうだけど
この世界にも美味しいお菓子沢山あるらしいし
大福に団子に
あっ違いますよ、おれが食べたいとかでは……

!?
(景正さんを二度見)
す、すごい棒読みだー!!
無理しないで!
いやでもこれは景正さんの魅力の新境地……?


エリカ・ブランシュ
【roost】
オルハが子供達にで、優樹が人の多い食堂。で、景正が墓場ね。……墓場?
なんだか嫌な予感するけど……と、とりあえずアタシは大人の人に対象を絞って色々と聞いて回ろうかしら。

合流後は皆と情報を共有するわ。
集めた情報を合わせれば答えが見えてくるかもしれないし。
喧嘩での誘き寄せもいいわね!【存在感】と【おびき寄せ】を使いながらオルハと優樹の口論に参加するわ。

二人ともお土産の何たるかを分かってないわ!
お土産と言えばその場でしか買えない工芸品みたいな物が良いに決まってるじゃない!
って……!景正はどさくさに紛れてナンパしてんじゃないわよ!
その軟派な根性叩き直すわよ!

演技とはいえキツイわね……これ。



 やすなが甲之助親子と墓地で遭遇していた頃、鞍馬・景正も同様に墓地を調べに来ていた。離れた場所からやすなたちの様子を見聞きしていた景正は1人つぶやいた。
「死人の起き上がりか……」

 町の南側、表通りの外れ付近。そこに集まる景正たちの姿があった。
 景正は手分けして聞き込みを行っていたオルハ・オランシュ、萌庭・優樹、エリカ・ブランシュらと合流し、それぞれが得た情報を照らし合わせる。
「呉服屋の次男の辰次さんて人の遺体が、失くなってるみたいだよ」
 優樹が食事処で聞いた噂と、景正が聞いた親子の会話の内容は合致した。辰次の母親は辰次の死体が動き出す瞬間を見たそうだが、半信半疑の町民たちは、病で子を失ったばかりに母親の気が触れたのでは? と話す者も多かった。
「追いかけられた子の話によるとね、その不審者からは変な臭いがしたんだって……」
 不審者の男はとても不快な体臭を放っていた。子どもたちの記憶にはその特徴が強く刻まれていた。そして、もう1つの特徴は、死んだはずの辰次に似ていたということ。
「死体の辰次さんが動いてるんだとしたら、『変な臭い』の証言も納得できると思うの」
 オルハは『変な臭い』の正体について推察する。
「死体は時間が経てば腐っちゃうし……臭いの原因は死臭だったんじゃないかな?」
「死体が動き出した……けど、辰次さんが生き返ったにしては、妙な点が多いのよね」
 そう話すエリカが得た情報によれば、生前の辰次はとても穏やかな気性で、子どもに対して刀を振り回すような蛮行は考えられないという。
「辰次さんかもしれないけど、言動は別人……どういうことかしらね」
 考え込むエリカの横で、優樹は死体が動き回っている可能性が高いというホラーな展開に、胸のざわめきを抑えられなくなる。夜闇に包まれる周囲を気にしながら、優樹はさりげなく3人との距離を縮めた。
「ねぇ、ひとつ提案があるの」
 オルハはある作戦を提案する。
「私達が喧嘩のふりをしていたら、不審者を誘き寄せられないかな?」
 不審者が現れた今までの状況の1つを再現する試みに対し、他の3人も頷き合って実行を促す。
 頷く景正はつぶやいた。
「それは妙案やもしれませぬ。――確かしつこい軟派男めも狙われたそうですな」

「お土産は食べ物にするべきですっ」
「えっ、飲み物一択でしょ!」
「二人ともお土産の何たるかを分かってないわ!」
 オルハたちはノアへの土産を巡って各々の意見を主張し合う。
「サムライエンパイアといえばおいしい緑茶だよ!」
 緑茶を選ぶのがベストだと主張するのはオルハ。だが、それぞれの意見は見事に分かれる。緑茶を選ぶオルハに対し、優樹はお菓子を選ぶべきだと主張した。
「た、たしかにノアさん緑茶も好きそうだけど、この世界にも美味しいお菓子沢山あるらしいし……大福に団子に――」
「美味しいお菓子……私も食べたいけど、でも! 緑茶っていうのが一番だと思う! お菓子よりは日持ちもするし」
 反論するオルハの眼差しから優樹は本心を見透かされたように感じ、慌てて言い添える。
「あっ、違いますよ。おれが食べたいとかでは……」
「お土産と言えば、その場でしか買えない工芸品が良いに決まってるじゃない!」
 エリカも語気を強めて、自らの主張を通そうとする。
「サムライエンパイアの雰囲気が感じられて、形に残るものの方がいいわよ」
 互いに譲らず、激しく言い争う女子3人を前にして、
「ヤア、ソコノ娘達。喧嘩ナド止メテ私ト楽シイ事ヲアリオリハベリイマソカリ」
 景正なりに言い寄るナンパ男を体現するが、優樹は景正を二度見せずにはいられなかった。
 ――す、すごい棒読みだー!! 景正さん、無理しないで!
 優樹は動揺を隠し切れず、喧嘩の演技も忘れて静かに打ち震えていた。
「もう、景正はナンパしない!」
 オルハはイライラをぶつけるようにきつい口調で言った。オルハに続いてエリカも辛辣な言葉をぶつける。
「どさくさに紛れてナンパしてんじゃないわよ! その軟派な根性叩き直すわよ!」
 ――いえ、これは演技でして。
 本気で怒りを露わにする2人に圧倒され、景正はショックを隠せない表情を浮かべた。今にも地面に指でのの字を書き出しそうな景正の落ち込みようを見て、オルハの良心が痛み始める。
(「うう……想像以上に心が痛むね 」)
 それはエリカも同様で、罪悪感に苛まれる。
(「演技とはいえキツイわね……これ」)
 喧嘩の熱も最高潮に達しようとしたところで、風に乗って運ばれてくる気配に4人は気づく。
「騒がしい奴らめ……」
 暗がりから死臭を漂わせる人影が4人の前に現れ、オルハはその人物の名前を呼んでみる。
「辰次さん……?」
「貴様らのように騒がしい奴らは――」
 辰次の手元で刃が月光を反射した瞬間、4人へと斬りかかっていく。
「罰してやる!!」
 散開する4人は、辰次の大振りの一太刀を易々とかわした。
 辰次は目の前に進み出た景正を斬りつけようとしたが、刀を突き出した両腕を景正は押さえつける。そのまま刀を奪われた辰次は地面に体を投げ出された。すぐ様飛び起きる辰次だが、じりじりと後退し始めた直後に踵を返し、裏通りの方へと走り込む。
 4人は反射的に辰次の跡を追いかけた。墓地の前を通り過ぎ、寺の門に続く角を曲がったところで辰次を見失うが、寺の境内に目を向けた4人は気づく。
 他の猟兵たちが、坊主頭の男を境内に追い詰めていた。そこへ駆けつける4人に対し、背後から飛び出す辰次は再び脇差で斬りかかる。しかし、失敗に終わり、辰次は転がるように猟兵たちの前に姿を現した。
 2体の動く死体と対峙する猟兵たち。やがて、その場の空気が変わる異様な瞬間が訪れる。複数の灯籠に青白い鬼火が瞬時に灯り、境内をその炎で照らし始めた。
「そなたたち、何の用だ?」
 目の前の寺院の中から、その声はこだました。
 閉じられていた寺院の扉が開け放たれ、声の主は猟兵たちの前に姿を現した。
 高貴な生まれを象徴する華美な着物に身を包んだ1人の少女は、猟兵たちに敵意を向けて言った。
「わらわの家臣たちに何用だ?」
 「家臣?」とエリカが疑問を口にすれば、少女は妖しい微笑をたたえて言った。
「家臣たちの体をどう集めようか模索していたところだ……丁度よい。貴様らの体をもらってやろう」
 屍の状態で動く男たちは猟兵たちに向けて刀を構え、少女に従う意思を示す。
「姫様の望みだ、今ここで死ね!」
 少女を姫様と呼ぶ坊主の男。少女に従う動く死体。
 ――貴様らの体をもらってやろう。
 すべての状況が意味するのは――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『怨霊姫』

POW   :    怨霊乱舞
【無数の怨霊の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    怨霊傀儡
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【怨霊を憑依させることで、自らの傀儡】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    怨霊家臣団
【レベル×1体の、怨霊武者】の霊を召喚する。これは【刀や槍】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「わらわの術は完璧ではない――」
 オブリビオン『怨霊姫』はきらびやかな扇を広げ、
「貴様らのような猛者であれば、完璧な屍兵ができるやもしれぬな」
 猟兵たちの体を狂気のこもった眼差しで見つめた。
オデット・クレイトン
※アドリブ、悪乗り大歓迎
フォム(f06179)と同行

●行動
【血の猟犬】を使用
半分は合体させて10体にさせときましょう
3組に分けて連携して攻撃していきますよ

1班が攻撃したら、別方向から他の班で攻撃させて此方の隙を無くしていきます
猟犬は私の[呪血]で作られてますし、『2回攻撃』『マヒ攻撃』『毒使い』で弱めていきましょう
攻撃を喰らった猟犬は合体させて強くしておきます

私自身は『迷彩』『忍び足』で気配を消し、猟犬のサポート
私の血を染み込ませた[紅月]を『2回攻撃』『投擲』『毒使い』『マヒ攻撃』したり、たまに前に出て斬りつけていきます

『時間稼ぎ』はこれくらいでいいですよね?
フォムちゃんやっちゃってください


フォートナム・メイソン
オデット(f04351)と参加
※アドリブ大歓迎

■心情
お姫様!ボクお姫様初めて見た!
すごーい!お城とか家来とかいっぱい持ってるの?

■行動
オデットが時間稼ぎをしてくれてる間に、
[武器改造][防具改造]でウォードックとグラスホッパーのブースターを最大稼働で[力溜め]ていくよ!

後はタイミングを[見切り]、ブースターと共に[ダッシュ]して一気に距離を詰めて
[怪力][属性攻撃:炎][捨て身の一撃]『グラウンドクラッシャー』で力の限り振り抜くね!

攻撃後は勢いそのままに方向転換して距離を一気に離すね!
最初の一撃の後はオデットと連携して攻撃するね!



「何やら物騒なことを言ってますね」
 即座に臨戦態勢を取るオデット・クレイトンはつぶやいた。
「お姫様! ボクお姫様初めて見た!」
 怨霊姫の凶悪性を意に介さず、フォートナム・メイソンは「すごーい!」と目を輝かせる。
 怨霊姫に対し冷めた眼差しを向けるオデットは、
「お姫様でも、彼女は過去の人……そういう点では、彼女も死人と変わらない気がしますけどね」
 自らの鮮血を動力源とする刻印の能力を引き出し、血の猟犬たちを生み出した。赤黒い血のかたまりのような猟犬10体を使役し、オデットは狩りの指示を出す。
 3チームに分かれる猟犬たちは、怨霊姫の屍兵である辰次と坊主の男に向かっていき、連携して各個妨害にあたる。
 猟犬たちに囲まれる辰次と坊主は動きを阻まれ、怨霊姫への接近を許した。
 怨霊姫を照らす鬼火の色が濃くなったように見えたが、それは怨霊姫自身が放っている光だった。妖しい輝きを増すと共に、怨霊姫の周囲には瞬時にモヤが渦巻き始める。
 4体の猟犬が怨霊姫に迫る直前、そのモヤからは怨霊の大群が怒涛の勢いであふれ出し、猟犬たちを一気に吹き飛ばした。
 オデットの猟犬は同じ猟犬を吸収、合体することで、自らを強化していく。無数の霊体にも怯むことなく、短剣を構えたオデットは猟犬たちと共に怨霊姫の注意を引きつける。
 オデットが攻撃を仕掛ける間にも、フォートナムが起動させたブースターの音が大きさを増していく。次第に土煙を巻き上げるほどの火力を帯び、フォートナムはそれぞれにブースターが搭載、内蔵された装備の能力を最大限まで引き出そうとする。
 怨霊姫は刃にも劣らない鉄扇でオデットに応戦していた。寺院の階段の上から飛び退いていくオデットに注意を向けていた怨霊姫は、入れ替わるように突撃するフォートナムに対処し切れない。
 飛び上がるように迫ったフォートナムは巨大なハンマーを構え、怨霊姫に向けてまっすぐに振り下ろす。加速させたブースターの勢いに乗るハンマーは、寺院の階段諸共凄まじい勢いで怨霊姫を吹き飛ばし、直撃を避けようとした怨霊姫は脇の柱に激突した。
 ブースターを利用してすばやく方向転換するフォートナムは、再度切り込んでいくオデットとのタイミングを合わせ、怨霊姫を追い詰めようとする。
 寺院の崩れた足場から飛び退く怨霊姫は、まるで蝶のように身軽に動く。常識外れの動きに翻弄されるようなオデットとフォートナムではなく、周囲の猟犬たちを蹴散らそうとする怨霊姫を止めようと連携を重ねていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

朝凪・深月紅
【アドリブ歓迎】
死者の冒涜、ですか……。
ご家族のためにもあまり傷付けたくないだけに面倒ですね。
なるべく傷付けないようにしなくちゃいけませんね。
動かれるだけでも徐々に壊れてしまいそうですが……。


自身の操る【七ツ海】で現れる傀儡の動きをなるべく傷付けないようにしつつ止めるように動きます。
こちらに視線を奪うためにも【残像】を利用した【フェイント】を絡めて目立つように【パフォーマンス】します。
UCにより呼び出した【七ツ海】と同一の姿をした人形には、有効範囲を自由に動いて貰いながら怨霊姫に手を出すようにお願いしておきましょう。



 朝凪・深月紅の横には、ほぼ同じ背丈のからくり人形『七ツ海』が肩を並べている。
「死者の冒涜、ですか……」
 オデットが生み出した猟犬を蹴散らし始める2体の屍兵を見て、深月紅はつぶやいた。
 ――ご家族のためにも、あまり傷付けたくはありませんね。
 深月紅は屍兵をおとなしくさせることを考え、七ツ海に指示を出す。深月紅は新たに七ツ海の分身のような人形を呼び出し、その人形には怨霊姫への攻撃に加勢するよう指示を出した。七ツ海は屍兵として動く辰次を羽交い絞めにし、抵抗する辰次の動きを封じ込めようとする。
 一方、深月紅は坊主の方に仕掛ける。大太刀を構える深月紅は坊主に接近して攻撃を誘い、残像を追わせるほどの巧みな技で坊主の刃を弾き返す。深月紅はフェイントを繰り返し、相手をおちょくるように攻撃の態勢を崩しにかかる。
 怒りを込めて振るわれる坊主の刃は深月紅から大きくそれるばかりだった。注意をひきつけることが目的の深月紅の手の平の上で、まんまと踊り狂う坊主。深月紅は終始涼しい表情でその相手を努めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神代・凶津
引き続き紅葉の嬢ちゃんたち(f14466)と共闘だ。

怨霊、悪霊退治は俺達の専売特許だぜッ!
・・・だが、紅葉の嬢ちゃんは相棒に良いとこ見せたいようだから今回は援護に回るとするか。

突貫する紅葉の嬢ちゃんを破魔弓で援護射撃するぜ。
そしてタイミングを見計らって【結界射ち】で敵の動きを封じてやる。

派手に決めて相棒に見せ付けてやんな、紅葉の嬢ちゃんッ!


【使用技能・破魔、援護射撃】
【アドリブ歓迎】


山路・紅葉
引き続きf11808のお姉様や凶津君と!

🐺…ちょっと紅葉大丈夫?アンタさっきから空回ってるけど…変わる?
🐰ごめん織子ちゃん、今回は私に頑張らせて!汚名返上したいの!

お姉様が弓をだしたら私も二丁銃で"クイックドロウ"&全力で前へと"ダッシュ"!
怨霊の群れも家臣団もお姉様や凶津君がきっと道を作ってくれる!それに私だって二丁銃で撃ち抜くよ!
接敵したら二丁銃で接近戦、隙ができるまで粘る…動きが止まった!『Black Bite』!
からのっ!よい…しょっ!(噛付いたまま"怪力"を生かして持ち上げ)『Black Breaker』!(頭から地面に叩き付ける)

これ以上平穏は乱させないよ!

※協力・アドリブ歓迎



「怨霊退治は、俺達の専売特許だぜッ!」
 ヒーローマスクの神代・凶津は、仮面として桜に身につけられた状態でやる気を見せる。
 神代・桜は無言で弓を構え、矢をつがえる。
「……ちょっと紅葉、大丈夫? アンタさっきから空回ってるけど……変わる?」
 刻印の黒犬、織子がそう申し出る間にも、山路・紅葉は2丁の銃を構える。
「ごめん織子ちゃん、今回は私に頑張らせて! 汚名返上したいの!」
 刻印の力だけに頼らず、紅葉は自らの技を駆使して桜と共に応戦する姿勢を見せた。
 集中し始める猟兵たちの攻撃に対し、怨霊姫も本気で対抗する。40体近い怨霊と化した家臣団を一挙に呼び寄せ、怨霊姫に接近した者たちを押し返しつつあった。
 霊体の家臣団へと突貫する紅葉の動きに合わせ、桜は家臣たちからの攻撃を寄せつけないよう援護を努める。
 迫る複数の家臣に対し、紅葉から放たれる弾丸は連続で命中し、動きを止める家臣は息をつくまもなく桜の矢に次々と射抜かれる。2人の攻撃にさらされた霊体は続々と形を失い、戦意諸共その姿を打ち消されていく。
 家臣たちは隊列を組み、怨霊姫との間に壁となって立ち塞がった。槍や刀、弓矢を用いて対抗する家臣の動きを見定め、紅葉と桜は協力して家臣たちの掃討にあたる。
 絶え間なく引き金を弾き、紅葉は2丁の銃で家臣たちとの戦闘を制しようとする。攻撃を仕掛けようと紅葉に接近する家臣たちだが、隙のない動きを見せつける紅葉はその刃をかわす度にもれなく相手を撃ち抜いてみせた。
 紅葉に矢を放とうとする弓兵に対し、桜は正確無比な一撃を対象へと射かける。桜の容赦ない射撃により、弓兵たちは抜かりなく駆逐されていく。
 刀を構えた1人の家臣が紅葉の前に躍り出ると、その刃は瞬く間に紅葉の頭上に迫った。紅葉は振り下ろされた刃を銃身で受け止め、そのまま相手の懐に潜り込む。その直後に紅葉は右手の銃を胴体に突きつけ、何発もの銃弾を食らわせた。銃身で刀を弾き落とせるほどに弱った家臣は紅葉に蹴り飛ばされ、他の家臣を巻き込みながらくずおれる。
 桜はタイミングを逃さず、崩れた壁の間を縫って矢を放つ。
「……捕らえた」
 桜がそうつぶやいた直後、結界霊符を結んだ桜の矢は怨霊姫の足元に突き刺さり、その力を発揮した。霊符からあふれ出す結界の光が怨霊姫を包み込み、強力な呪縛の効果を発動する。
「派手に決めろよ、紅葉の嬢ちゃんッ!」
 凶津が紅葉にエールを送る間にも、紅葉は動きを封じられる怨霊姫に向かっていく。倒れ込んだ直後の家臣の顔を踏み台のように踏みつけ、宙へと躍り出た紅葉は怨霊姫の前へと迫る。
「織子ちゃん!」
 そう声を張り上げた紅葉の右腕は、織子が憑依したように変化を見せる。紅葉の右腕は黒犬の頭部と一体化し、怨霊姫の胴体へと食らいつく動きを見せた。
 「よい……しょっ!」と踏ん張る紅葉は織子と共に最大限の力を発揮する。織子を食いつかせたまま持ち上げられた怨霊姫は成すがままに体を回転させられる。そして、脳天を地面に叩きつける態勢となり、あられもない姿を晒すこととなった。
 紅葉の攻撃は凄まじい勢いを見せ、怨霊姫が叩きつけられた地面からは無数の土塊が弾け飛んだ。常人ならばただでは済まないが、オブリビオン相手に加減を気にすることは意味をなさない。その百倍にして返報される恐れがあるのが猟兵たちの相手なのである。
 地面の上に横たわり、天を仰いだ怨霊姫の姿は瞬時に発生したモヤの中に包まれた。怨霊の群れが放たれる前触れを意味する現象に対し、紅葉は機敏に後退していく。
 怨霊姫は乱れ飛ぶ怨霊たちを連続で放ち続け、猟兵たちは攻撃を退けるだけで手一杯の状態となる。何者も寄せ付けない怨霊姫を覆うモヤは消える気配がなく、怨霊姫は攻撃の波を止めない。
 怒り狂う怨霊姫は叫ぶように言った。
「貴様らを地獄に送ってやる!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葛乃葉・やすな
なんじゃなんじゃ。
わしのいない所でずいぶん盛り上がっておるではないか。

わしは【目立たない】よう【忍び足】でわしの攻撃が『怨霊姫』に届く間合いまでゆっくりと忍び寄る。
【地形の利用】をしてこちらの存在を悟られないよう注意を払う。

間合いに入ったとてすぐには行動せん『怨霊姫』の動きを【見切り】ここぞという時にUC【秘技・鬼門封じ】を放つ。

『怨霊姫』は見たところ死者を操る、場合によってはそれ以外のものも操るやもしれん。わしの【第六感】がそう告げておる。
まずはあやつの動きを封じることが先決じゃ。

鬼門封じが命中した後何かしらの攻撃を受けても【オーラ防御】【激痛耐性】で耐え忍ぶぞ。

※アドリブ・連携は歓迎じゃ。



「なんじゃなんじゃ。わしのいないところで、ずいぶん盛り上がっておるではないか」
 甲之助親子を見送って墓地に戻り、寺からの騒ぎを聞きつけて駆けつけた葛乃葉・やすなは人知れずつぶやいた。
 やすなは気配を悟られないよう境内に忍び込み、怒りに任せて怨霊たちを差し向ける怨霊姫の動きを注意深く探った。
 物影から物影へと移り、やすなはこの機に乗じて姫の技を封じようと動き出す。
 死角から怨霊姫の間合いへと忍び寄り、やすなは自らの秘技を発動する瞬間を見極めようとする。
 やすなの気配を感じ取った怨霊姫がやすなの方を顧みようとした瞬間、やすなは逆方向へと機敏に回り込んだ。一瞬翻弄される怨霊姫に向けて、やすなは自らの妖力を源とした波動を放つ。
 かざした右手から波動を当て続けるやすなにより、怨霊姫は再度動きを制限された。すると同時に、辰次と坊主は動きを止め、その場に倒れた状態で動かなくなる。その変化に気づいた怨霊姫は、やすなが放つ能力の影響から脱しようと、
「この……っ! 離れろ!!」
 怨霊の群れをやすなに集中させた。やすなは身にまとうオーラを発現させ、怨霊からの攻撃を遮って耐え忍ぶ。怨霊姫からの攻撃はより激しさを増していき、耐え抜こうとするやすなの意志をくじきにかかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジンガ・ジンガ
やァだ、このお姫ちゃんったら
俺様ちゃんのカラダ狙い?
キャーッ、えっちィー!

なーんて――誰がテメェになんざやるかボケ
俺様ちゃんは俺様ちゃんのモンですし
そもそも死ぬ気がありませェーん!

他の猟兵ちゃんが隙作ってたらビンジョーしつつ
【先制攻撃】がてら
コートを脱ぎ捨て【ダッシュ】で接近
その勢いで、お姫ちゃん……と見せかけて
鉄扇の方を狙って【だまし討ち】の【武器落とし】
そのまま、お姫ちゃん本人への【2回攻撃】ブッ込めたら最高じゃんよ!

アッチの攻撃は
挙動を【見切り】、【フェイント】かけて
【敵を盾にする】ことで回避
辰次ちゃんでも、坊主ちゃんでも、誰でもいーや
減ってくれればラッキーっしょ!

※アドリブ・連携大歓迎



「やァだ、このお姫ちゃんったら。俺様ちゃんのカラダ狙い? キャーッ、えっちィー!」
 怨霊姫を前にしても、ジンガ・ジンガはいつものひょうきんさを失わない。
 多くの家臣団が蹴散らされたところで、怨霊姫は怨霊の群れを繰り出し始める。
 両手それぞれにダガーを構え、ジンガは繰り返し押し寄せる怨霊を斬り伏せていく。
「なーんて――誰がテメェになんざやるかボケ」
 不屈の闘志を覗かせ、怨霊姫に接近するための道を切り開いていく。
 切れ目なくジンガたちへ送り込まれる怨霊とせめぎ合い、怨霊姫との距離を縮めようとするが、きっ抗する勢いは進撃を停滞させる。
 ジンガは倒れたままの坊主の体に目をつけ、宙へと大きく蹴り上げた体を、放たれた直後の怨霊に直撃させた。吹き飛ばされた坊主の屍がジンガの頭上すれすれを飛び越えていき、ジンガがいた跡には身につけていたコートだけが残されていた。
 ジンガは怨霊姫へと突撃するスピードを緩めることはない。瞬時に至近距離へと迫り、怨霊姫に向けて刃を翻す。ジンガの速さに翻弄された怨霊姫は、手にしていた鉄扇を弾き飛ばされ、もう1本のダガーによって斬りつけられた胸元には鮮紅が広がった。
 怨霊姫は再び家臣団の霊体を続々と呼び寄せ、「それで……勝てるつもりか?」と強がる素振りを見せるが、よろよろと家臣たちの後ろへ後ずさっていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

エリカ・ブランシュ
【roost】
うぅ……。やっぱりゾンビ……?
みたいな敵なのね……。
ここまで来て怖いとは言えないし……あぁ!もぅ!やってやろうじゃないのっ!

皆の実力は知ってるから、先陣と打ち漏らしの相手を景正に任せてアタシは本命相手にするオルハ達の援護をするように動くとするわ!
怨霊姫の攻撃を【盾受け】しながらオルハ達に攻撃がいかないよう【かばう】ようにするわね。
隙があればGleipnirを怨霊姫に撃ち込んで、皆が攻撃しやすいように鎖で動きを妨害するわ。
相手がアタシを攻撃してきても【オーラ防御】と【気合い】で耐えてやるんだからっ!

戦闘が終わったらノアへのお土産探し賛成よ♪
今度は仲良く、良いもの探しといくわよっ!


鞍馬・景正
【roots】
人は死すれば仏。
骸も魂も譲り渡す気は無い。
まして仲間たちをその術の贄にさせるなど、断固として。

◆戦闘
怨霊の群れ、気絶した猟兵を操る術――いずれも厄介。
一体一体を祓っていたのでは埒が明きませぬ。

私が突破口を切り開きますゆえ、後はお任せ致す。

敵陣に突撃し、味方を巻き込まぬよう注意しつつ【太阿の剣】で周囲ごと薙ぎ払い。
打ち漏らしは二刀の構えで引き付け、攻撃を【見切り】ながら牽制しておきましょう。

エリカ殿の鉄壁にして誇り高き護り、オルハ殿の迅速怒涛の身の捌き、萌庭殿の変幻自在な攻め、いずれも大いに信じて本命を託せるというもの。

◆戦闘後
無事、勝利出来ればノア殿への土産探しと参りましょうか。


オルハ・オランシュ
【roost】
あなたなんかに、あげるわけないでしょ
その人達も返してもらうから!

危険な目に遭わせたくはないけど、景正なら絶対に大丈夫
先陣を切ってくれる彼を信じよう
頼んだよ!
【力溜め】しつつも
獅子奮迅の勢いに思わず言葉を零しちゃう
――さすがだね
エリカのおかげで怖いものなしだよ、フォローありがとう!

私も後に続かなきゃ!
優樹との目配せが連携の合図
牽制してくれる隙に一気に間合いを詰めて
怨霊姫に【早業】の【2回攻撃】
私の狙いはあなただけ
怨霊を操る暇なんて与えない

みんなの戦法はよく知ってるからね
背中を預けて安心して戦えるよ

戦闘後はノアへのお土産で大賛成!
もう喧嘩のふりも必要ないね
さ、色んなお店を見て回ろう!


萌庭・優樹
【roost】

あるがままに往くままに
命ってそういうモンだろう
おまえのそれは
しかばねへの侮辱じゃあないか

景正さん、お願いしますっ
見惚れるほどの太刀筋が
先を切り開いてくれるうちに

オルハさんの早業に息合わせて
ダガーに風を纏う『属性攻撃』を!
二人での連携で隙は与えません

しまったと肝を冷やすような敵の攻撃にも
エリカさんの強い守りが一緒なら心強くて
『フェイント』だって仕掛けられそう
距離が離れてもガジェット銃で『援護射撃』を

以前の手合わせで知った皆さんの強さ
本物の戦いになると実感します
敵はちょっと……いやだいぶ怖いけど
負ける気がしません!

終わったらお土産探しに行きましょうっ
お茶もお菓子も工芸品も、ですよ!



「あなたなんかに、あげるわけないでしょ。その人達も返してもらうから!」
 怨霊姫から向けられる殺意にも怯まず、オルハ・オランシュは啖呵を切っていた。
 怨霊姫は猟兵たちからの度重なる攻撃にも耐え、再度家臣団を差し向ける。鞍馬・景正は率先して先陣を切り、家臣団を一掃しようと臨む。
 振り下ろされる刃を捉え切ることはできず、景正から放たれる神速の一撃は足元を大きく揺るがす。家臣たちは激しく地表を砕くその衝撃に飲み込まれ、大半の家臣が動きを止めた。
 土煙が舞う中、二振りの刀を構える影正は、突貫するオルハ、エリカ・ブランシュ、萌庭・優樹らに手を貸そうと、攻撃を加えようとする家臣たちをけん制し続ける。
 4人を取り囲もうとする家臣たちだが、奮闘するそれぞれの勢いに圧倒されつつあった。
 ――あぁ! もぅ! やってやろうじゃないのっ!
 ゾンビであろうと幽霊であろうと、戦いている暇などない。エリカは自らを奮い立たせ、得意とする盾を扱う戦法で応戦する。敵を斬り伏せて追撃を防ぐ影正と共に、エリカはオルハと優樹への攻撃を防ぐ立ち位置を常に維持していた。
 先攻する景正に追随し、オルハは家臣たちを相手にしつつも怨霊姫にとどめを刺す余力を保つことに傾注した。
 進撃を阻もうとする家臣の動きにも速やかに対処し、すべての攻撃を弾き返すエリカにオルハは頼もしさを感じた。
 ――さすがだね、エリカのおかげで怖いものなしだよ。
 「フォローありがとう!」と声をかけつつ、オルハは優樹を伴って家臣たちの間を駆け抜けていく。
 家臣団の中には弓兵も存在し、混戦に乗じて4人を狙おうと、弓を引き絞る姿があった。フリントロック式のガジェット銃を構える優樹は、透かさず弓兵への射撃を開始する。
 他の家臣に接近されようとも、すばやく立ち回る優樹の刃は確実に相手を捉えた。風の力をまとう優樹のダガーは、相手を斬りつけると同時に暴風のような衝撃を与え、立ち塞がる者を容赦なく吹き飛ばす。
 ――人は死すれば仏。骸も魂も譲り渡す気は無い。
「まして仲間たちをその術の贄にさせるなど、断固として」
 景正は家臣団に対し、一切の隙を許さない気迫を見せて言い放つ。その言葉で注意を引きながら、景正は攻めかかる相手を迎え撃つ。
 隊形を見極めて機敏に立ち回る景正やエリカの後押しを受け、優樹とオルハは怨霊姫との距離を縮めていく。
 ――やっぱり、皆さん強いです。本物の戦いになると実感します。
 それぞれの動きに感心しつつ、優樹は「負ける気がしません!」と奮い立った。
 傷口から真っ赤に染まった着物の部分を鉄扇で隠す怨霊姫は、肩で息をしながらもオルハたちの動きを見逃さない。接近するオルハと優樹を寄せつけないよう、案の定怨霊の群れを放つ。暴風のように体をさらわれそうになるが、2人は地面へと滑り込みながら体を伏せ、一瞬で頭上を過ぎる怨霊をやり過ごす。
 怨霊の群れと入れ替わるようにして、光弾が怨霊姫へと放たれた瞬間をオルハと優樹は目にした。一瞬の間に到達した光弾は、激しい爆発を起こして怨霊姫を飲み込む。すると同時に、光り輝く鎖がエリカと怨霊姫の間をつなぐ。
「逃さないわよ!」
 エリカは自身と怨霊姫をつなぐ鎖を引き寄せ、とどめを刺す隙を作ろうと図った。
 協力して怨霊姫を仕留めることに専念するオルハと優樹。槍をさばくオルハは勢いのままに爆煙の中を突っ切り、優樹もオルハの動きに合わせて怨霊姫を至近距離に捉えた。
 神速の突きを放つオルハは、まず怨霊姫の鉄扇を弾いた。勢いに乗るもう一撃が怨霊姫の心臓を刺し貫くのとほぼ同時に、優樹からの一太刀が怨霊姫を襲う。
 明らかな致命傷を負った怨霊姫はよろけて後ずさり、遂に膝をついて戦意を失う。天を仰いだ怨霊姫の体は青白い炎に包まれ、排出されるべき過去として炎と共に消え去った。
 怨霊姫の痕跡は幻のように消え去り、激しい戦闘の跡だけが残された。

「じゃあ、残る目的は1つですね――」
 「お土産探しに行きましょうっ」と意気揚々と優樹は提案したが、静かになった寺の境内で、オルハは何かを感じ取る。
「ちょっと待って……何か、聞こえない?」
 どこかで見たホラーのような展開に、優樹とエリカは青ざめた表情で身を寄せ合った。
「……寺院の中からのようですな」
 そうつぶやいた景正を先頭にして、4人は開け放たれたままの寺院の中を覗き込んだ。闇の中で目を凝らしてみると、隅に数人の人影が確認できる。
「だ、誰なの!?」
 エリカは思わず上擦る声で人影に向かって話しかけた。しかし、言葉にならないくぐもった声ばかりが返ってくる。動けない様子の人影に更に近寄ると、その正体は拘束された僧侶たちであることがわかった。
 経緯を聞けば、今まで怨霊姫に捕われ、死んで間もない死体を引き渡すよう脅されていたという。そして、1人の僧侶が屍兵にされるために犠牲になった。
「そうか、あの坊主のゾンビ……」
 優樹は納得したようにつぶやいた。
 助け出された1人の住職は、何かお礼をさせてほしいと4人に申し出る。
 4人は顔を見合わせる。そして、たった1つ残された目的のために、オルハは住職に尋ねた。
「この町でおすすめのお土産を教えて!」
 その後、住職に教えられたまんじゅう屋に立ち寄る4人の姿があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月18日


挿絵イラスト