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駆け抜け、れない!

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●千差万別、多種多様ともいえる迷宮の宝庫にして、災魔(オブリビオン)の墓標。地下迷宮『アルダワ』。その上に建つアルダワ魔法学園では、地下迷宮に封じられた災魔を倒すための学生を育て、学生たちはその迷宮に挑戦し日々経験を積んでいる。
 いつも通りの迷宮探索、災魔が出た場合は力を合わせて倒せばいい。
 今日も迷宮探索に励む3人の学生たちは、各々の獲物を手に一本道の迷宮を歩く。この迷宮は先にリーダーが見つけたもので、その仲間たちはリーダーに便乗する形で迷宮に入った。地雷原の罠があったらしいがリーダーが先に入って取り除いてくれたようで、3人はこの後リーダーと合流し本格的にこの一本道迷宮を探索する。
 ……予定だった。

 一本道を塞ぐように存在する巨大な扉。その前にリーダーである男子学生が背を向けて立っていた。
 3人の中のうちリーダーと親しかった女子学生がさっそく声をかけるが、後ろにいた残りの2人の男子学生は、リーダーから違和感と何か形容しがたい恐怖感を察知した。
 だらりとした猫背。リーダーが愛用していた杖はどこにもなく、怒り狂った犬が発するような唸り声がリーダーの口から聞こえる。
 嬉しそうに近づいた女子学生がそれに気づいた時には、既にリーダーの皮は剥がれていた。血肉と錆でできた禁忌の災魔が大きく口を開き、そして──。

●「とまあ、こんな感じで現地の学生には倒せないオブリビオンが出ちまった」
 面倒臭そうに、戦場傭兵の妖狐ヘクター・ラファーガ(加速するデュランダル・f10966)はモニターを迷宮の断面図に切り替えながら説明する。
 場所はアルダワ魔法学園の地下迷宮。その一つ。
 入り口から最奥の部屋まで一本道。壁に柱が出っ張っていたり、扉や小石もない。最奥には広い空間があり、そこは巨大な扉で仕切られている。丸底フラスコを思わせる、スプリントしたくなるようなほどのストレートでシンプルな形状の迷宮だ。
 ヘクターはモニターを背に、集まった猟兵たちにニッと笑みを浮かべる。
「ここに丸い部屋があるだろ?そこがボス部屋。アンタたちにはこの一本道ダンジョンを攻略して、ここにいるオブリビオンを倒してもらうぜ」

 まず最初に一本道の立体図が拡大され、そこを太い点線が塗りつぶすようにマークする。点の一つ一つには"Mine"と表示されており、これを見たクリスタリアンの猟兵が青ざめた表情になった。点全てが地雷だ。何もない一本道ではなく、この道には歩く場所を埋めるように地雷が仕掛けられている。
「この図にある通り、最奥にあるボス部屋前までは地雷で埋められている。普通に歩いて行けると思うなよ」
 地雷とは"相手を殺すもの"ではなく、"相手を負傷させるもの"だ。彼の言う通り、普通に歩こうとすれば足の一本が爆風によって吹き飛ばされ、片足がないというトラウマを植え付けられるだろう。
「地雷を撤去して堅実に進むか、己の脚を信じて爆発する前に前へ進み続けるか、だな。そもそも地雷なんて関係ないぜーって奴なら余裕だろ」

 次に拡大された場所は、ボスフロアであろう広い空間の前。その空間につながる巨大扉の前には何やら緑色でマークされた人型のシルエットがいくつかある。地下迷宮名物、場所を弁えずお茶会をする精霊たちだ。
「コイツらは肝心のボス部屋前の扉を塞いでる上に、目標のオブリビオンがいる部屋の扉を封印しちまってる。ある意味ありがたいがこっちにとっちゃ迷惑だ」
 モニター端にあるエクスプローラから一枚の写真を表示する。楽しそうにお茶会をする精霊たちと、その隣で集団でダンスをしている猟兵たちの写真だ。
「精霊たちは攻撃しちゃならねぇ。オブリビオンじゃないし、こうして彼女たちの本意ではないがオブリビオンのいるフロアの扉を封印してくれる。だから退かせたいならこのようにダンスや歌でも歌って遊び相手になってやるか、まあ他にもなんかあるだろ」

「ちなみにオブリビオンの情報は不明だ。ただ、生還した生徒の話によりゃソイツは一緒のチームにいたリーダーに化けていたらしい」
 モニターを電源の電源を切り、ヘクターは猟兵たちに向き直る。
「アルダワ魔法学園のウワサの転校生になれる機会だ。かっこいいところ見せて、歴史の教科書に載ってやろうじゃねぇか」


天味
 初めまして。
 今回より猟兵たちのかっこいいプレイングを書かせていただきます。天味(あまみ)という者です。トミーウォーカーはこれが初めてで、シナリオライターも初めての経験となります。何卒温かく見守っていただけると幸いです。

 初のシナリオ内容は、攻略系。
 舞台はアルダワ魔法学園。ダンジョンに出現してしまったオブリビオンの討伐が今シナリオの最終目的となります。
 第一章では、ボスフロア前まで一直線という特徴的なダンジョンを進行するというものですが、道にはびっしりと地雷が詰まっており簡単に行かせてくれません。なのでどうこの地雷原を攻略するかは、猟兵たちのプレイングに委ねられます。
 第二章では、ボスフロア前にいる精霊たちと遊び扉の封印を解いてもらうというものです。独自解釈ですが、精霊たちは猟兵たちと同じくオブリビオンを良いモノと思っていないので、部屋に閉じ込めたり、オブリビオンが蔓延る場所への道を封印しお茶会を荒らされないようにしている。と考えました。つまるところ、遊びたいがためにオブリビオンに交通規制をかける警察のような役割を意図せず担っているのだと思っています。
 第三章では、このシナリオのボスとの戦いになります。姿で察しがつく方もいると思いますが、ヘクターが言っていた通り変身が得意な災魔です。

 なお、オープニングでヘクターが真剣に語っていましたが、2章まではギャグテイストな書き方になるかもしれません。
 それでは、皆さまの自由なプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『地雷原』

POW   :    爆発物を処理しながら進む

SPD   :    爆発する前に移動し終える

WIZ   :    飛んで回避する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

宙夢・拓未
一本道の地雷原……か。
普通に歩いていくと地雷が爆発するんだよな……。
よっしゃ! なら、俺の愛機の出番だ!

ヘルメットを被って、準備OK!
いっくぜー!

『ゴッドスピードライド』を使用。
宇宙バイクを流線型のフォルムに変形させて、
【騎乗】技能を使用して、颯爽とバイクに跨る。

あとはアクセルを踏んで、ひたすら加速!
爆発する前にガンガン進むぜ!
うおおおおーーーっ!!

……そろそろ地雷原抜けたよな!?
もう大丈夫だよな!?
ハンドル切って急ブレーキ、ギャリリッとタイヤ痕を残しつつ急停止!
巨大扉に正面衝突したら精霊にも迷惑だしな!

どうか、爆発……しませんように!
ヘルメットの奥でぎゅっと目をつぶって祈るぜ。



「一本道の地雷原か……」
 サイボーグのスターライダー、宙夢・拓未は真っ白な一本道の通路を見据えひとりごちる。入り口から一歩踏み出せばそこから先は地雷の園。歩いて進もうとすればただでは済まない。
 ここで彼にできることは一つ。
「作戦通り、颯爽と走ってやるぜ!!」
 拓未の隣に現れたのは、メタリックで鋭利なフォルムをした宇宙専用のバイクだ。本来宇宙空間で使用され、マニューバによる戦闘を可能とする大型バイクだ。しかしここは宇宙ではない。ここはアルダワ魔法学園の地下迷宮であり、地上と同じく重力が存在する場所。できることは通常走行とジャンプくらいだ。
 自信満々に彼は愛機に乗り、バイクにキーを通したところで彼は搭載されたコンソールをタッチする。数度パネルに触れパスコード入力が出ると、思い切り彼は叫んだ。
「『ゴッドスピードライド』ォォォッ!!」
 ギュルルルル!!とエンジンから爆音が鳴り、背部にあるバーニアから青い光が放たれる。鋭利だったフォルムはさらに凶暴さを増し、先頭についていたライトが格納されバイクの形状が騎士槍(ジャベリン)を思わせる形状へ変化する。
 アクセル全開。スタンドを蹴り鼻息を吹かすバイクを解放すると、彼は神速で一本道を駆けた。
 数秒遅れて鳴り響くのは地雷の爆発音。バイクが通った一秒後に地雷が起爆し、隣の地雷が誘爆され、そして連鎖してゆく。
 砂煙の代わりに吹き荒れる爆風を背に、彼は地上を走る彗星となった。

「うおおおおおおォォォォォーーーーーーーッッッ!!!!」
 そういえば地雷原はどこまであったか。正確な距離は?
 時速はとっくに100を超えている。ゴールに近づくにつれて、彼の心に不安がよぎる。なにせゴールには今も精霊たちがお茶会を開き楽しんでいるのだ。
 一人のライダーとして人身事故など絶対に起こしたくない。一本道を駆ける爽快感と、迫りくる連鎖爆発から逃れるスリル、そして寸で止めて精霊たちを轢かずに止まらなければならないというミッション。
 目の前の光が、広がったような気がした。
「ここだァッ!!」
 変形を解除。バーニアをパージし、減速システムを作動させながら機体を横にしタイヤでブレーキをかけた。自身をプレスせんと襲いかかる急停止時のGに耐えながら、ハンドルを必死に掴み歯を食いしばる。
 ギャリギャリとタイヤ跡を刻みながら数秒。ようやく静寂が訪れた時、拓未は無意識に瞑ってしまった目を開く。
 唖然としケーキを取るスプーンを落す精霊たちの姿。そして背後にはすっかり真っ黒になった先の見えない一本道。
 作戦は成功した。緊張が一気にほぐれた拓未は深く息を吐き、自分ごと倒れたバイクを起こし始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最上・空
地雷原に美幼女が参上です!

地雷の位置が判明してるので、空は爆発に巻き込まれない位置に陣取り、【ウィザード・ミサイル】を「高速詠唱2」で地面に片っ端から撃ち込んで排除を目指そうかと思います。

密集してるみたいなので、誘爆してまとめて吹き飛んでくれると楽ですしね。他に参加者が居る場合は爆発に巻き込まないように注意します。

爆破の影響で土や煙が邪魔そうなら、「属性攻撃5」&「衝撃波4」で風を起こして薙ぎ払ってみますよ。

「事情は分かりました、吹き飛ばしましょう!」
「空は堅実に確実に爆破して進みますよ!」
「……所で精霊さん達は大丈夫ですかね? まとめて爆散とかしてませんよね?」

※アドリブ&まとめご自由に


須賀原・あすむ
地雷ってすごく怖いんだよね。昔引っかかって足がもげそうになったし。

POWで判定
移動する上で危険度が高い地雷を優先的に解除していきます。地雷解除用のツールと探知機(どこまで通用するかはともかく)を持ちこみ発見したら慎重に信管、またはそれに相当する部分を解体していきます。
「爆発物処理は毎回緊張するなあ」


アト・タウィル
さてさて、中には何があるでしょうか
謎に包まれたオブリビオンの探索と参りましょう

飛んで回避……といきたいところですが、飛べないので素直に解除しながら進みましょう(POW)
ふふ、こうしてコツコツと作業をするのは嫌いじゃありません
時間はかかるでしょうけども、慎重にいきましょう



「予想通り、ですね」
「え、何が?」
 ミレナリィドールのサウンドソルジャー、アト・タウィルは、黒焦げになった一本道を訝し気に観察する。その隣にいるのはドラゴニアンの戦場傭兵、須賀原・あすむだ。
「先ほど、一人のライダーが爆走してこの道を攻略したのを見たんです。地雷は全部起爆して、誘爆も起こり全部撤去されました。ですが、これをご覧ください」
 アトはあすむに説明するように、足元の黒焦げになった床を指す。すると床の焦げが絵具の雫を落されたようにじわじわと白色に変わり、今度はそこから地雷がにょきっと生えた。きのこを成長を倍速で見ているかのような、地雷が次々と生えてゆく光景。地雷原とは"地雷まみれのエリア"を指すのではなく、"地雷が自生するエリア"のことを指すのであった。
「不思議に思ったんですよね。一個でも爆発すれば誘爆で全部の地雷が爆発する。それではトラップとして成り立たないんです」
 そしてふっくらとパンケーキのような形状になり、地雷の中心にある魔宝石が起動する。無数に成長した地雷は一斉に魔力のヴェールを纏い、透明化して見えなくなった。ブリーフィングで説明された通りの真っ白で柱や小石の一つもない、ストレートな一本道へ元通りだ。
「ズルいよこれ!何が地雷原だよ、地雷園じゃん!」
 酷い言われようをされたのか、地雷たちの透明化が少し薄れた気がした。
「でも、ヘクターさんはちゃんとヒントをくれましたよ?」
 駄々をこねるあすむを横に、アトは金属箱から工具類を取り出す。スコップ、ペンチ、ピンセット、±ドライバー、ゴム手袋……と、一つずつ確認しながら並べる。
「私たちが来る前にこの迷宮を攻略した方は、事前に罠を解除していたみたいなんです。その方のお連れの方はそこに便乗する形でこの迷宮に乗り込みました」
 ピンセットを使い、ヴェールを纏う地雷の先端に触れる。躊躇ないアトの行動に咄嗟に目を瞑ったあすむだが、数秒経っても爆発音がしないことに気づくと、そっと目を開いた。魔宝石が摘出され、蓋も空いて信管も取り外された円盤型の踏圧感知式地雷。アトが優しく微笑むと、先ほどの行動が恥ずかしくなったのかあすむは反射的にそっぽを向いた。
「恐らくですけど、この地雷原は一つずつ解体して進むのが正解なんです。こうして爆発することをできなくすれば、そのまま残って次の地雷が生えなくなります」
 一つ一つ、丁寧に解体してゆくアト。ピンセットで透明化した地雷の姿を露わにし、ドライバーで器用に蓋を開け信管を抜き取ってゆく。手際はいいが、まだ一歩進める程度しか地雷を取り除けていない。これでは日が暮れてしまうだろう。
「ボクも手伝うよ」
 あすむが取り出したのは、地雷探知機。アトは地雷が踏圧感知式だと気づいているためか手探りで透明化した地雷を探しているが、傭兵時代に地雷で足を失いそうになったトラウマがあるあすむにとって、その光景はあまりにも恐ろしい。付属の電子モニターで見えない地雷を検知し、ピンセットを取って魔宝石を取り除く作業に入る。
 ちまちまとした、あまりにも気の長いリスキーな作業。だが時間をかけてゆくにつれその作業も効率化し、アトは編み物をする気分で地雷を無効化し、あすむは無心で地雷を解体することに没頭する。
 互いに同じ作業をして、静かにこの地雷原を攻略してゆく。無意識に生まれるユニゾンに、アトは少しだけ悪くないと感じた。

「といい感じに終わらせません!空参上!」
 デーン!!という効果音と共に地べたで地雷撤去をする二人の背後に現れたのは、一人の"美幼女(人間のウィザード)"、最上・空だ。
 作業に集中していた二人だが、突然の乱入者を無視できるわけもなく、その手を止める。
「……キミ、ボクらに何か用?」
 無心でありながらも、作業のスピードはノリに乗っていた。それをこのような形で中断され、怒りを空に向ける。対して空はあすむの怒りにものともせず、フリルやリボンのついた可愛らしいピンクの杖を出し、まだ解体されていない地雷の園へそれを向けた。
「甘いですねぇ。地雷を解体し続ければ道は開ける。なーんて、本当に信じてるのですか?」
 にんまりと目尻と口元を緩ませ、振り向いた状態で首を傾げる空。煽りにも近いその言動に、あすむ苛立ちは増した。
 だが、そこにアトが割り込む。
「あなたは、何か知っているのでしょうか?」
 空のペースには乗らず、冷静さを保ち質問する。
 ジッと見つめてくる彼女に空はため息をつくと、先ほどのキメ顔と変わり真剣な表情であすむの持つ地雷探知機を指した。
「そうですね。それで10メートルほど先を見て貰えるとわかると思います」
 表情がコロコロ変わる彼女に若干引きつりながらも、地雷探知機の先端を指示通りの方向へ向ける。
「……なっ!?」
 電子モニターに映っているのは、床にびっしりと詰まった円盤型地雷……だけではない。壁にはアンテナの生えた地雷がずらりとかけられており、さらには天井にも洞窟にいるコウモリのように徳利の形をした地雷が並んでいる。
「空は美幼女ですから、これくらいすぐ見破れちゃうんです。にしても、よくこの迷宮の半分まで地雷を解体しましたね」
 アトとあすむは顔を見合わせる。
「「半分!?」」
「……まさか何も考えずにここまで?」
 こくりと二人は頷く。むしろまだ半分だったのかという落胆が垣間見えたような気がしたが、空はスルーした。
 二度目のため息。空は杖に魔力を注ぎながら二人の前へ。
「お二方、ここは賢く進みましょう。空は堅実に確実に爆破して進みますよ!」
 嫌な予感がする。アトとあすむは即座に道具を持って後退し空から走って離れる。
 魔力はやがて熱のこもったひし形の結晶となり、轟々と燃え上がり宙に浮かぶ。その数90本。
 杖をくるくる回し短めの詠唱を紡ぐ。結晶は炎を纏う魔力のミサイルとして物質化し、空は高らかに叫んだ。
「『ウィザード・ミサイル』!!」
 光が、訪れた。

 一方その頃。一本道を抜けた先、巨大な扉のある少し広めの空間にて。
 お菓子を楽しむ精霊たちと、その隣でバイクの整備をする青年。他に猟兵が来るまでのどかな時間を過ごしていた青年だが、突如一本道の方から盛大に爆発音が鳴り響き、驚きのあまり握っていたタオルをぶん投げた。
 シュウシュウと噴き出る熱風と土煙。そこから出てきたのは、煤まみれになった三人の少女だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ニュイ・ルミエール
WIZ

地雷……えっとふんだら、爆発しちゃうの?

は、初めて迷宮にきたけどっこここ怖いトラップがたくさんなんだねっ!(涙目)

でも、まぁ
踏んだら爆発するなら
雨雲の翼で空を飛んでっちゃったら関係ないもんねっ♪


鉄の棒持参(床に刺されば他でも問題ないけど
それを【怪力】で床の割れ目に突き刺して
ちょっと離れてから……

『バウンドモード!』

にゅいーんと伸ばした腕で棒に【手をつなぐ】
【学習力】で狙いをつけ
【怪力】【グラップル】を使用し一気に体を引き寄せ


自分を【投擲】して【空中戦】!

イメージはパチンコ!
粘液でできた翼を開いて飛んでくよ!

…ぁ゛、止まるのどうしよ!?

げ、【激痛耐性】【防具改造】【盾受け】か【かばうぅ!】



「んしょっ」
 ガンッ!と思い切り鉄の棒を床に突き刺し、それを逆ハの字に二つ並べる。
 ブラックタールの聖者ニュイ・ルミエールがとった作戦は、この二つの鉄の棒を用い自身をスリングショットの要領で飛ばすというものだった。
「踏んだら爆発するなら、"雨雲の翼"で空を飛んでっちゃったら関係ないもんねっ♪」
 丸っこい透明な体から、羽化するかの如く水飛沫を上げ煌めく翼を生やす。高粘性の液体の翼。片翼ずつ先端を鉄の棒に巻き付け固形化させると、ズリズリと本体をゆっくりと後退させ伸ばしてゆく。
 "雨雲の翼"の伸縮性の上昇、スライム特有の可塑性が極限まで低下しているのは、ブラックタール固有のユーベルコード『バウンドボディ』によるものだ。
「んっ、ん……ぅっ……ここまで引っ張れば、十分かな」
 自身の体重と、空中で空気抵抗を受けにくい姿に変えることを考慮して数十メートルまで引っ張る。細く、絞り上げられたように伸びる雨雲の翼はブルブルと震えており、ニュイ自身も床に付着させている一部をうっかり離さないよう細心の注意を払っていた。
 照準固定、射角安定、飛距離予測完了。迷宮は屋内のため風は無し。大きく深呼吸し、ニュイは覚悟を決め床に付着させた足を離す。
 しゅぽんっ!と小気味のいい音と共にニュイは発射された。
「ひゃああぁぁぁぁぁぁ……!!」
 予測より勢いが強すぎる。見えないとは言え地雷まみれな通路の空中をまっすぐ飛ぶニュイは、あまりの速度に空中で変形できずにいた。変形せずともニュイは弾丸に近い容姿なため空気抵抗を受けずにいるが、このままでは通路の途中で落下してしまうのではないか。そんな心配が脳裏ならぬ水まんじゅう裏をよぎる。
 そういえばこの先にはお茶会を楽しむ精霊たちがいたような。途中落下の心配事を思い浮かべていると、ふとそのことを思い出す。
『コイツらは肝心のボス部屋前の扉を塞いでる上に、目標のオブリビオンがいる部屋の扉を封印しちまってる。ある意味ありがたいがこっちにとっちゃ迷惑だ』
 ブリーフィングで作戦指揮者がそんなことを言っていたような。
「あ゛っ、止まるの……どうしよう」
 瞬間、突如背後から爆発が起こる。ついにニュイはこの一本道の中腹、壁にも天井にも地雷が設置されたエリアに突入する。壁と天井にある地雷は物体感知式で、ニュイが超高速で通り過ぎたことにより反応し起爆したのだ。
「ええええええええ!?」
 当然ブリーフィングにはこんなものがあるとは聞いていなかった。そして今度は地雷の誘爆によって生じた衝撃波がニュイをさらに加速させていることに気づく。止まるどころの話ではない。これでは本当に自分が弾丸となって精霊たちを吹き飛ばしてしまう。
 即座にニュイは全身を傘状に変化させ、硬化しながら速度を落とす。激痛耐性を上げるのも忘れず、そして二度目の覚悟を決めた。

 精霊たちは本日三度目のお茶会中止を食らった。
 地雷道から衝撃波と土煙と共に発射されたのは、一本の半透明な傘。それはふわりと巨大な扉の前にある空間を飛翔し、天井に激突した。
 傘はゆっくりと地雷のない床へ落下してゆく。爆発という恐怖心から解放されたニュイは、既にゴールしていた猟兵たちに起こされるまで硬直していたらしい。

 地雷原ならぬ地雷園、地雷ロード……様々な呼ばれようをした一本道は攻略された。次に訪れる試練は目の前にいる精霊たち。目標のオブリビオンを討つために、彼女たちを説得しなければならない。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『暇を持て余す精霊達と遊ぼう』

POW   :    身体を使って挑戦。<楽器演奏>や<歌唱>など、場を和ませて楽しんでもらおうか。

SPD   :    技術を使って挑戦。<料理>や<パフォーマンス>など、技術を使ってご機嫌を取ってみようか。

WIZ   :    知恵を使って挑戦。<世界知識>や<優しさ>など、感性や知恵で満足させてみようか。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 三度もお茶会を中止された精霊たちはご立腹のようだ。
 お茶やお菓子は全て爆風で台無しになり、さらにここに集結している猟兵たちへ警戒心をむき出しにする。
 当然だろう。精霊たちは誰からも邪魔されないであろう場所にわざわざ陣取ってお茶会を開いたのに、それを台無しにしたのはここに来た猟兵たちだ。意図せずこうなったとはいえ、その分だけ機嫌を直してもらわなければならない。

 この巨大な扉の先にいるであろう、肉体のコピーを行う災魔(オブリビオン)を討つために。
アト・タウィル
……なんとか、地雷原は抜けましたね
さてそれでは、ここは得意な分野で勝負しましょう

普段から持ち歩いているフルートを使い、精霊さん達の好みに合うような曲を演奏しましょう
ふふ、いつもの通りに明るい調子の曲なら、場を盛り上げられるかなと
……UDCアースの邪神たちに触れることで得られるインスピレーション、そこから作った曲でいけるかどうか、少し様子見をしながら徐々に狂気を混ぜるか決めていきましょうか



「では、先に私が」
 ミレナリィドールのサウンドソルジャー、アト・タウィルは持ち前のフルートを手にし精霊たちの前に出る。
 渦潮のように捻じれた、奇妙な形状をしたフルート"Guardian of the Gate"。それが狂気から生まれた代物だということに、精霊たちはいち早く気づく。そして後ろに控えている猟兵たちの何人かも、UDCアースで遭った狂気を思い出し咄嗟に耳を塞いだ。
「大丈夫ですよ。あなたたちの好みに合うような曲を演奏します」
 スゥと一呼吸置き、彼女は魔笛に唇を添えた。
 小鳥のさえずりのような音色。優しく、気分が豊かになるようなフルートの音。アトが演奏する明るい曲は木漏れ日の中で遊ぶ子供たちを想像させ、聴いている者の心を穏やかに変える。
 見た目だけ狂気的な笛からは想像できないような音色に、耳を塞いでいた猟兵たちや、身構えていた精霊たちたちもいつしか美しいフルートの演奏に耳を傾けていた。
「綺麗……」
「癒される……」
「なんだか眠くなってきた……」
 控えていた猟兵たちの大半が彼女の演奏に心を奪われている。
 クラシックは王家の者たちに安眠を与えるために作られている。しかしアトが吹いているこの曲はオリジナル。クラシックと同じように心地よいリズムとメロディが丁寧に組まれており、この明るく目覚めのいい曲でも眠る者が続出した。
 精霊たちだけでなく猟兵たちも癒し始めたアトの演奏。しかし、これはまだ序章。彼女の演奏はここからが本番だ。

「──では、次の曲を」
 豊かな自然。その中で遊ぶ子供たち。
 木漏れ日に照らされ楽しそうにしているところで、一人の子供が洞窟を見つける。興味津々な太っちょの男の子。先の見えない真っ暗闇に飛び込みたくないと怯える他の子供たち。だが太っちょの男の子はその先へ行ってしまう。
 ん?と、聞き入っていた精霊の一人が急に目を覚ます。
 先ほどまでの癒しはどこへ行ったのか。なぜ急に少しリアリティのある描写が目に映ったのか。
 三秒後、洞窟からビュルルルッ!と大量の触手が飛び出し、太っちょの男の子は触手に絡まれ一瞬にして闇の中へと引きずり込まれた。
「!!??!?!??」
 ふと気づけば、目覚めてしまった精霊は暗闇の中にいた。明かりはなく、真っ暗で自分がどこにいるのか足は地面についているかもわからない。必死に辺りを見渡し、声をかける。だが声は反響しない。そして目が暗闇になれることもない。
 必死になって隣にいたはずの仲間を探す。そもそもここはどこだろう。さっきまであんなに綺麗だった光景を見ていたはずが、いつの間にか今にも心臓を握りつぶされそうなほど恐ろしい体験をしている。
 何もかもが恐ろしくなり涙が滲みだした時に見えたのは、自身の腹に巻き付くぬらぬらとした触手だった──

「ストップ!!ストップ!!!!演奏中止!!終わり終わり終わり終わり終わり!!!!」
「え……?」
 慌てて一人の猟兵がアトの演奏を中断させた頃には、もう遅かった。
 演奏を聴いていた者の大半が悪夢にうなされ、目を瞑ったまま何かから逃れようともがいている。演奏に乗せて放たれた狂気は瞬く間に伝染し、この場にいるアト以外の全員が精神的に満身創痍となった。
 様子を見ながら狂気を練り込んでゆくつもりだったが、やり過ぎてしまった。しかし吹いている時の気分は中々心地よかったため、まだ編曲の余地はあるとアトは狂気の魔笛を愛おしそうに握った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

宙夢・拓未
(SPD行動/技術を使って挑戦)

まず、さっきは驚かせてゴメンな!
お詫びといっちゃなんだけれど
Coolな音楽をお茶会にお届けだ!

歌詞で説得も交えつつ行ってみよう
でも、リズムに乗って楽しんでもらうことを第一とするぜ

聞いてくれ、俺の即興ラップ!

▼歌詞(オリジナル)
俺は転校生 Takumi-Sorayume
皆のハートに届けるぜほら夢

夢! 俺の夢 It's Love&Peace
災魔なしで楽しみたい Have a Tea

俺達Student
勝つぜこの腕で
災魔を蹴散らし戻ってくるぜ

感じてくれFeeling
退いてくれSpilits
俺達のために解いてくれSealing!


須賀原・あすむ
うーん どんな曲がいいかな? といっても故郷のお祭りとかで使われる曲しかないけど

POWで判定
故郷から持ち歩いている横笛を取り出します。久しぶりに吹くので感触を確かめながらお祭りの時に吹いたお囃子(はやし)の曲を吹きます。
一通り吹いて精霊たちの反応を確認しつつ吹いていきます。
(うん まだ覚えてる。とはいえこの曲って実は戦勝祈願の意味合いもあるんだけどね)



「ふぅー……まず、さっきは驚かせてごめんな!」
 サイボーグのスターライダー、宙夢・拓未は精霊たちに深々と頭を下げた。
 爆風と共に颯爽と現れ精霊たちのお茶会を邪魔してしまったことと、先ほどの狂気を伝染させる演奏への謝罪だ。
 最も後者に関しては原因は奏者にあるのだが、拓未は悍ましいナニカに取り憑かれるという幻覚に襲われている中で、楽しそうに演奏している奏者の姿を見た。そのため奏者に悪気はなかったと判断したのだ。この謝罪はそれも含めてのものなのだろう。
「だから……そうだな。お詫びといっちゃなんだが」
 音響機器を持ってきた猟兵から投げられたマイクを、拓未は片手でキャッチする。
「Coolな音楽をお茶会にお届けだ!」
 高らかに叫び、盛り上がる一部の猟兵たち。精霊たちは顔を見合わせた。

 静けさが訪れる。拓未はマイクの電源を入れると、唇を尖らせ自身の声でベースを刻み始める。
 単調なボイスパーカッション。それ以外に伴奏はない。これから行うCoolな音楽のメロディは全て彼が行うからだ。
「俺は転校生 Takumi-Sorayume
 皆のハートに届けるぜほら夢」
 皆の視線が拓未に集中する。音響機器からは拓未が先ほど刻んだベースが流れ、本人がラップをしている間もリズムを崩さぬよう丁寧に繋げる。
「夢! 俺の夢 It's Love&Peace
 災魔なしで楽しみたい Have a Tea」
 外野の猟兵たちがウズウズしてきたのか、一人目が手拍子を叩く。二人目は足踏みをし、三人目は拓未の隣へ走りキマイラフューチャーらしい激しくキレキレなダンスをしはじめた。
 各々が体を使い彼の伴奏に入る。盛り上がりはまだ序の口、ステージの中心に立つ彼は湧き上がるボルテージを全身で体感しながら熱唱する。
「俺達Student
 勝つぜこの腕で
 災魔を蹴散らし戻ってくるぜ
 感じてくれFeeling
 退いてくれSpilits
 俺達のために解いてくれSealing!」
 一巡目が終わる。拓未はマイクを突き立て、序奏を終えたことを知らせた。ビートが刻まれる中歓声が沸き、拍手も送られる。精霊たちもいつの間にか、ビートに合わせて体を揺らしていた。
 今度は参加した皆と共に歌おうとしたその時、一人の乱入者が現る。

「戦勝祈願ってことなら、ボクも参加したいな」
 ドラゴニアンの戦場傭兵、須賀原・あすむは横笛を持って拓未に歩み寄る。意外そうに拓未は目を丸くしたが、UDCアース出身である拓未は彼女の持つ横笛を見てすぐにやりたいことを理解した。
「勿論いいぜ!」
 すぐに快諾した拓未。周りにいたラップ通たちも歓声を上げ、あすむの参加を歓迎する。
 拓未の隣へ。横笛を構えベースに乗せて──静かな笛の音色でリズムを合わせ始める。
(うん、まだ覚えてる。故郷のお祭りの曲……!)
 ボイスパーカッションとの同調が終わる。音階も合っている。
 先ほどのCoolなラップとは打って変わり、横笛の凛とした美しい音色は今UDCアースで流行りの"和風ロック"へと進化する。
「俺は転校生 Takumi-Sorayume」
『俺たちは猟兵 Jaeger-Sixth』
「皆のハートに届けるぜほら夢」
『世界を救うぜ俺たちヒーロー』
 ドラゴニアンの戦闘部族に伝わる戦勝祈願の囃子。徐々に盛り上がりテンションを底から引き上げる横笛のメロディに合わせて、拓未とラッパーたちはコラボレーションを始める。
「夢! 俺の夢 It's Love&Peace
 災魔なしで楽しみたい Have a Tea」
『夢! 俺の夢 It's Love&Peace
 災魔なしで楽しみたい Have a Tea』
 気が付けば、スポットライトのない狭い空間は満席のライブ会場へと変化していた。反響する猟兵たちの歓声。精霊たちも片手を上げてノリに乗る。
 今このステージに立つ奏者は、皆主人公だ。それぞれが受け持つ演奏によって、美しくも激しい旋律が狭い空間に雰囲気というスポットライトを照らす。
(……負けて、らんないな!)
 そんな主人公の一人、あすむもラッパーたちのようにヒートアップする。ここからは自身のオリジナル。即興で編んだリズムを囃子に組み合わせ、ラップを加速させる。連符が増える。強弱の差もハッキリと、息継ぎの余裕は少なくなり、一つでも油断すれば詰まるような編曲。だが、今なら可能だ。
 一人の戦闘部族として、皆の士気を最高潮へ導く。
「俺達Student
 勝つぜこの腕で
 災魔を蹴散らし戻ってくるぜ」
『俺たちJaeger
 勝つぜこの戦』
 オブリビオンなんか木っ端微塵さ』
「感じてくれ『Feeling!』
 退いてくれ『Spilits!』
 俺達のために解いてくれ『Sealing!』」
 わぁっ!と歓声が津波のように押しかけ、盛大な拍手が送られる。
 ライブは、大成功に終わった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニュイ・ルミエール
ぐすっひぐっ…し、しんじゃうかと…思った……

えと…ずびっ

あなた達が精霊さん、かな?

騒がしちゃってごめんね?


はじめまして(少女型になってカーテシー
にゅいはニュイ・ルミエールと言いますっ

あの、楽しませれば通してくれるんだよねっ?

なら

UCで分体いっぱい出して

【世界知識】で
別世界のものや興味を引きそうな形に【変装】させて
シルエットクイズを出してみようかなっ♪


迷宮のお外には
長く生きてる精霊さん達でも知らない物が沢山あるんだよっ?

【優しさ】を込めて

ねぇ、見たくない?
素敵な冒険になると思うのっ

その為には
にゅい達この扉の先に進まないと行けないんだ

悪い怪物さんきっと倒してくるから
お願い!そこを通してっ。

【祈り】


以累・ナイ
 お茶会、楽しそう。わたしもまざりたいー。
 お茶会用に、お菓子を持参。買ってきたトリュフ。

 お話相手になるってのは、どうかな?
 好奇心はいっぱいあるから、精霊さんのこと、いろいろ知りたい。
 言葉が通じるかわからないけど、意思疎通って、言葉じゃないよね、きっと。
 わたしからは、外の世界のお話とかをして。

 あと、バウンドボディで、いろんな形になる遊びとか。
 精霊さんにお題を出してもらって、指定したものになるとか。
 わたしが、ヤギとか、羊羹の形になって、それを当ててもらうとか。
 双方向性のコミュニケーションって、多少つたなくても、当事者にとっては楽しいと思うから。ミニゲーム感覚で、一緒に遊ぶよ。



 盛り上がりはそのままに、今度はパーティが開かれた。
 料理を会得している猟兵たちはアルダワ魔法学園から買い込んだ食料と道具を使い料理を始め、他の猟兵たちもそれに便乗し手伝いを行う。迷宮攻略で生徒を育成するという方針をとっているだけあって、購買部で売られていたサバイバルグッズは料理人のテクニックに引けを取らない性能で、料理を任された猟兵たちはこれを用い本格的な下ごしらえを始めるのであった。
 迷宮の中で行われる小さな食事会。いつしか精霊たちをなだめる作戦は、正午の昼食に変わっていた。

 淹れたての紅茶を貰い、昼食を楽しむ猟兵たちの中心でお茶会を再開する精霊たち。激しいラップに心を打たれノリノリになったが、やはりお菓子と紅茶を楽しみながら談話するのが一番楽しい。
 そんなこんなで、まだ心を開けない精霊たちの元に、ぷよぷよとした液体の猟兵がやってくる。
「えと……あなたが、精霊さん、かな?」
 ブラックタールの聖者、ニュイ・ルミエールはおずおずと精霊の一人に尋ねる。精霊はこくりと頷くと、席を立ちあがり何やら両手を大きく振ってアピールをする。何かを伝えたいのは見ればわかるが、そのジェスチャーからどうにもニュアンスを汲み取ることができない。
「……名前?なのかな……んっ」
 ニュイは液体の体から四肢を作り、少女のカタチを形成してカーテシー(UDCアース欧州に伝わる伝統的な挨拶)を行う。
「はじめましてっ。にゅいは、ニュイ・ルミエールっていいます」
 精霊の反応は、なんだか違うようだ。
「えぇっ……?」
「……ふむ、もしかして」
 ふとニュイが横を見ると、そこにもう一人、人型化前のニュイとは違いのっぺりとした液体の猟兵がいた。咎った岩のような、そこに緑色のスカーフをかけたような姿の探索者、以累・ナイは冷静に精霊のジェスチャーを分析する。
「この外のことを話してほしいのかな?」
 精霊の反応は、アタリのようだ。うんうんと頷き、他の精霊たちを呼びに行く。
 ナイの分析にニュイは驚き、ぽかんと口を開く。そんな彼女にナイはペン先のような丸い手を合わせ話しかけてきた。
「お茶会、わたしも参加したいなって。楽しそう、だから」
 のっぺりとした二頭身の体から表情は読めない。だが、半ば片言のような口調からは楽しさを汲み取れる。ニュイは笑みを浮かべながら快諾した。
「うんっ、いいよ♪にゅいも、精霊さんといっしょにお茶会楽しみたいなっ」
 精霊たちが二人に集まる中、ブラックタールの二人は精霊たちと遊ぶことを考えた。

「というわけでっ、第三問!」
 司会ニュイ。問題提供者はナイ。解答者は精霊の三人。精霊はそれぞれ紙とペンを持ち、三人とも視線をナイに向ける。
「『バウンドボディ』」
 ズルリと、ナイの姿が変化してゆく。岩のような形状の体から先端が硬く細身な脚が生え、頭部らしき箇所からゆっくりと首が伸びてゆく。頭の先から臀部まで繊細な毛が生え、そして鞭のような見た目の尻尾が生える。長くしっかりとした太さのある首を持ち、四本の細い脚で立ち上がる四足歩行の生き物。
 頭部には、鋭利な一角がある。
「これはなんでしょうかっ!」
 一番早かったのは、右側にいた精霊だ。ガリガリとペンを動かしてメモに解答を記入してゆく。答えは……
『き り ん』
「違いますっ!」
 次に早かったのは、真ん中にいる精霊。右側のと違いペンを巧みに動かし書いた答えは……
『ユニコーン』
「「正解!」」
 ニュイとナイは同時にファンファーレを送る。
 そう、これは二人が考案したクイズであり、ニュイの世界知識を生かして問題を作り、ナイが体を張って問題を精霊たちに提示するというもの。先ほどの生き物は一角を生やした伝承上の馬、ユニコーンだ。
 現在、真ん中にいる精霊が三問全てを解答しており、隠し持っていた博識さを見せている。右側の精霊も頑張ってはいるのだが、真ん中のほど伝承や他の世界の知識に詳しくないようで、外してばかりいる。変わって左側にいる精霊は、シルエットを作るナイを見てもぽけーっとしており、宇宙を知ったような顔のまま硬直していた。
 ニュイは精霊たちの知らない世界を教えたい。
 ナイは『バウンドボディ』を用い精霊たちの遊び相手になりたい。
 それを考慮した上でできたのが、このクイズ大会だった。問題という形式で精霊たちの持つ知識を引き出しつつ、誰も知らないものがあれば楽しく解説する。
 ナイとの協力のおかげか、言葉がなくとも、体やカタチを使って伝えれる。

 気づけばクイズは三十問目に到達し、最後の問題を正解したのはなんと左側の精霊。ちなみに問題の答えはアルダワ魔法学園名物の『大盛りパフェ』だったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『シェイプシフター』

POW   :    思考の簒奪
【自身を対象の姿へと変化させ思考を読み取り】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    血肉の簒奪
戦闘中に食べた【対象の血肉】の量と質に応じて【捕食した対象の姿と戦闘経験を簒奪し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    秘技の簒奪
対象のユーベルコードを防御すると、それを【強化し体内へ取り込み】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 精霊たちは猟兵たちから楽しさを貰い、信頼を等価として巨大な扉の封印を解いた。手を振る猟兵たちに見送られながら精霊たちは消え、次に開くお茶会の場所取りを始める。
 この先で待つのは、一体の災魔(オブリビオン)。
 血肉と錆で構成された、生き物の真似をする邪悪なる禁忌の魔物"シェイプシフター"だ。
 既に何人も喰らいこの円柱型の空間にある本を読み漁り、ちょうど飽きていた頃らしい。扉を開くと、飢えに飢えていたのか血肉ではなく本に齧りつく災魔の姿が見える。当然だろう。精霊たちの封印によって本棚で埋められたこの大空間に、災魔は今日ここまで閉じ込められていたのだから。

 あの日最初に喰らった男子学生の姿など、もう忘れてしまったようだ。姿を変えることなく、禁忌の魔物は堂々と歪な人型を揺らしながら猟兵たちへ歩み寄る。
 我々猟兵はここで魔物の命を奪い、この迷宮を攻略する未来ある少年少女たちに希望を与えねばならない。
ニュイ・ルミエール
WIZ

生きる為に他の命を欲する粘液
それは
にゅい達と何が違うの?

暗視
世界知識
学習力で予測

ブラッド・ガイスト
バウンドボディ
腕を赤黒く伸し捕食形態:狂狼
グラップル
怪力
呪詛で噛る

独り暗く狭い地下に閉じ込められて
日々飢えに狂っていって

でもね
羨ましいことが一つあるの

その黒い体
にゅいが心から欲しかったものなんだ

破魔
呪詛激痛耐性
盾受け
かばう
防具改造で防御又引き剥し

でもね
今はちょっとだけ違うの

共に戦うたくさんの猟兵
旅団の仲間
大切なお友達

あなたが知らない世界を
にゅいは知れたの

もしかしたらあり得たかもしれない
もう一人のわたし

その背負った罪科
にゅいも一緒に背負ってあげる

祈り
優しさを込めUC

いつか
違う出会い方しよーねっ


アト・タウィル
ふふ……精霊の方々には少し悪いことをしてしまいましたが、相手がオブリビオンなら容赦はいりませんね
いいでしょう、最高の演奏を披露させてもらいます

狂気の行進曲を使います
私は皆さんのサポートに徹しましょう
魔笛の音色での後押しで、皆さんが戦いやすいようにしていきましょうか



「%%%%%%%%%%%%%%%%!!!!」
 金切り声にノイズを組み合わせたような、鼓膜をビリビリと鳴らす咆哮。ようやく餌らしい餌を見つけ歓喜しているのか、それとも単純に自身を討とうとやってきた猟兵たちに怒りがこみ上げたのか、定かではない。
 だが猟兵たちにとってはどちらでもいいことだ。
 ──災魔"シェイプシフター"討伐開始。

「散開しましょう。サポートは任せてください」
 先に指示を出したのは、ミレナリィドールのサウンドソルジャーのアト・タウィル。
 狂気の魔笛を片手に一歩前へ。それを合図に猟兵たちはシェイプシフターを囲むように散開。各々が武器を構え円陣を取る。
 息を整え、アトは笛に唇を添えた。
「"さあ、進みましょう。進めばすべてがうまくいきます"」
 猟兵たちの耳に届いたのは、つい最近聞いた心臓を手でそっと撫でられるような、一瞬でも気を緩ませると悪夢に囚われるあの音色。
 黒に染まる。またあの触手がやってくる。しかし、アトの声が聞こえると自然とソレを受け入れられる。
 『狂気の行進曲(インサニティ・マーチ)』により、音色に耳を傾けた猟兵たちの闘志が強まり、緊張が抑えられてゆく。にじみ出る恐怖を狂気の渦に投げ捨て、冷静さを高める。
 アトの旋律が、シェイプシフターを動かした。
 シェイプシフターは目にも止まらぬ速さでアトに飛び掛かり、右肩部にある翼のような副腕で拳を作り殴りかかる。
 アトは避けようとしない。静かに魔笛を鳴らし続け、信じた。
 もう一つの顎がこの拳を止めてくれることを。
「させ、ない……っ!」
 広い空間を震撼させるほどの衝撃。拳を受け止めたのは、シェイプシフターと同じ血肉に濡れた錆色の狼の顎。顎はシェイプシフターの拳に齧りつき、牙を喰い込ませギシギシと液体同士であるにもかかわらず金属同士が擦れ合うような音を鳴らす。
 青色の少女。ブラックタールの聖者、ニュイ・ルミエールはアトとシェイプシフターの間に割り込み、赤黒く侵食させた右腕でかの魔物と対峙していた。
「……羨ましいなぁ」
 牙はさらに奥深く食い込み、そして千切る。繊維のようなものを伸ばしながら食い千切った拳を投げ捨て、ニュイは狼の顎でさらなる攻撃を加えようとした。しかしシェイプシフターは右肩部にある副腕を切り離し、地面を蹴り垂直に飛翔する。
 旋律が変化した。アトはニュイの戦闘力増強に力を振り、ニュイは旋律に耳を傾け美しい青色の液体で構成された体を、さらに侵食させ黒色に変化させた。
「その黒い体、にゅいが心から欲しかったものなの」
 右腕の狼はたてがみを伸ばし、牙もより鋭利なものとなる。それは"狂狼"と呼べるだろう。頭だけみればオブリビオンとも言えるだろうソレを、ニュイはシェイプシフターが跳んだ先へ向ける。
「でもね、今はちょっとだけ違うの」
 空中でシェイプシフターは変形する。全身を折り畳み丸め、隙間をつめて矢じりのようなカタチになる。それは重力によって加速し、ニュイへ向かって飛来する。
 『秘技の簒奪』。シェイプシフターは先ほどのニュイのユーベルコード『ブラッド・ガイスト』の特性を取り込み、身体の一部ではなく全身を変化させる奥義として進化させ襲い掛かる。
「共に戦うたくさんの猟兵、旅団の仲間、大切なお友達……あなたが知らない世界を、にゅいは知れたの」
 片膝をつき右腕を掲げ、ニュイはそれを真正面から受け止めた。
 再度空間を震撼させ、今度は火花が散る。
 シェイプシフターは驚愕した。先ほど確かに彼女のユーベルコードを解析し強化したはずだ。だが、今の彼女はコピーし強化を施したユーベルコードで対抗しているにもかかわらず、こちらの方が劣っている!!
「その背負った罪科、にゅいも一緒に背負ってあげる」
 "悔い改めよ"。その言葉を耳にした瞬間、シェイプシフターの肉体から光の十字架が突き抜ける。
「%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%!?!?!?!?」
 それは唯一神の処刑のように、シェイプシフターの心臓は十字架によって貫かれ、デフォルトの人型に戻り鼓膜に直接響く叫び声を上げる。
 『Se repentir.(クイアラタメヨ)』と聖者は告げた。罪科の深さに応じ魂を貫く光は、知識欲という原罪の塊たるシェイプシフターに致命的なダメージを与えた。

 四肢をジタバタと動かし、だだをこねるように焼き焦げてゆく心臓から十字架を取ろうと抵抗する。そこからの猟兵たちの行動は早かった。ニュイもまたそれを察知し後退する。
 旋律が変わる。序章を終え、衝突に始まる前の幕間に。
 ブレスのために一つ息を吸い込んだアトは、戦況を見据え思う。
(まだ、終わっていない)
 シェイプシフターに先手を与えられたのは良い傾向だ。それもニュイの功績によるものだろう。だが、シェイプシフターはまだ倒れていない。心臓を貫かれてもなお蠢き、抵抗しようとしている。
「"次のステップです。ここからが正念場ですよ"」
 破の幕が開ける。
 薙ぎ払われる他の猟兵たち。リンチになろうかとしていた形勢は元に戻り、シェイプシフターは光の十字架を自ら抜き取り再度咆哮した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宙夢・拓未
仇は討つからな……!

もし他の猟兵の血肉が食べられそうになったら
【騎乗】『ゴッドスピードライド』で速度を上げ移動し割り込み
身を挺して【かばう】!

……美味いか?
皮膚の下はほとんど機械の、俺の体は。

さて、俺の姿を真似られたら厄介だけど
もし敵に変身されたら、こっちも姿を変えて
見分けがつくようにしてやるぜ!
UC『目覚める正義』を使用。

それから『ガジェットショータイム』
腕輪から召喚されるのは……これは杭打機か?

『ヴァリアブルウェポン』で、掌から銃口を出す
攻撃回数重視。内蔵されたマシンガンで敵の動きを牽制しつつ
そのでっかい目に、ガジェットの杭を正面からぶち込んでやるぜ!
銃と杭の【2回攻撃】、受けてみろ!



「おおおぉぉォォッ!!」
 サイボーグのスターライダー、宙夢・拓未は愛車の宇宙バイクに跨りシェイプシフターに向かって突撃する。
 先手を取り大ダメージを与えたが、それでシェイプシフターが弱ったようには見えない。むしろあの光の十字架の特性も吸収し終えたところだろう。囲んでいた猟兵たちが吹き飛ばされたのを見て、拓未は見ていられなくなった。
 奴の動きはかなり速い。シェイプシフターは左肩部にある副腕を伸ばし、吹き飛ばされた猟兵たちへそれを鞭として振るう。
「『ゴッドスピードライド』ォォッ!!」
 彗星とシェイプシフターが激突する。
 シェイプシフターは鋭利な形状となった宇宙バイクの先端を掴み、鉤爪状の足を床に食い込ませブレーキをかけようとする。それでも速度は落ちず、むしろ増してゆく。その速度、おおよそ時速300キロメートル。あと1秒もすれば拓未ごと壁に激突しこの空間に大穴が空くだろう。
「ツーリングに付き合って貰うぜ」
 壁に乗り上げ、シェイプシフターごと宇宙バイクは本棚で埋め尽くされた壁を登る。激突を想定していたシェイプシフターは二度目の驚愕をし、背中に打たれる本と瓦礫の雨に苛立ち始めた。
 ぴったりと壁にくっつき、シェイプシフターを轢きながら進む宇宙バイク。それを自動操縦に切り替えさせ、拓未はシェイプシフターの目の前で小銃型の"杭打機(パイルバンカー)"を召喚する。『ガジェットショータイム』によって呼び出された武器は、磔刑に最適な武器。原罪の象徴たるシェイプシフターの心臓を砕くにふさわしい、十字架に突き立てる杭の射出装置だ。
 召喚を見られている以上、すぐに終わらせる。杭打機のアイアンサイトに照門と照星を合わせ、心臓に狙いを定めトリガーを引く。
 射出された鉄の杭は、シェイプシフターの胸部に弾かれた。
「!?」
 よく見ると、シェイプシフターの胸部が見たことあるデザインになっている。それは今自動操縦させている宇宙バイクと同じ。ツヤのある鋭利なフォームのフロント。
 シェイプシフターの左肩部にある副腕から、二つの円盤状の物体が生えた。
「嘘だろ、ソイツもコピーするのか!?」
 弾かれ、壁を走っていた二人は空中へ投げ出される。シェイプシフターは自身の体を拓未の乗っているソレと全く同じカタチを取り、赤色の彗星となって宙を駆け出す。
 対して拓未は、宇宙バイクと共に落下し激化したシェイプシフターを見送ることしかできなかった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

須賀原・あすむ
さぁ ここまで来たんだ。しっかり仕留めて帰らないとね。

厄災の契りを使用。周りに注意を促します。
「危なくない時以外はあまり動かないで。間違って襲いたくないからね!」
発動後はシェイプシフターを狙います。剣で体をちぎって分けた部分を潰していきます。
獰猛な獣ような動きで攻撃します


宙夢・拓未
……しまったな
ここは名誉挽回しなきゃな!

身体能力向上のために『目覚める正義』
詠唱はUC設定そのまま
同時に真の姿も解放、機械の翼を背中から広げる

さあ、俺の寿命はカウントダウンスタートだ
一気に片をつけるぜ!

宇宙バイクは一旦乗り捨てて、コピーされたバイクに飛び移る
【騎乗】だ
振り落とされそうになっても、耐える

で、もし俺のバイクの機能までコピーしてるなら
――こうすりゃ動けないだろ?
【鍵開け】。キーを抜いてやる!

変身が解除されれば、しめたものだ
背後から杭打機で貫いて、完全に動きを止めてやるぜ

今だ、やれ!
(とどめは他PCさんに譲ります)

全て終わったらリーダーの冥福を祈る

……さて、精霊とお茶を楽しみに行くか



「バイクに変形した!?」
 驚愕していたのは、下で身構えていた猟兵たちもだった。
 シェイプシフターは宇宙バイクのカタチを取り、そのまま壁に接着。円柱型のフロアを螺旋状に走り加速しながら降下してゆく。
 もはや目で追いつけないほどのスピード。形勢は逆転し、態勢を立て直すべきかという気まずい空気が流れ始める。
 だが、その空気を打ち破り拳を握る少女がいた。
「喰らえ」
 ブチッと、皮膚の一部が黒色になりそこからひび割れが起こる。
 ドラゴニアンの戦場傭兵、須賀原・あすむは右手に剣を逆手に持ち、詠唱を続ける。
「喰らえ、喰らえ」
 ひび割れが増え、なめらかな肌に黒く硬化した龍鱗のようなものが浮き出る。ひび割れからは龍鱗と同じ黒色の煙が吹き始め、それは徐々にあすむの体を包んでゆく。
「すべて、その腹が満ちるまで」
 ついにダウンヒルを終えたシェイプシフターが、超高速であすむに向かって駆ける。この場でアクションを起こしている彼女に目をつけたシェイプシフターは、獲得した宇宙バイクの能力、そして対象に最適な武器を召喚するユーベルコードを試すため、黒い靄(もや)を湧き立たせ何かを準備しているであろう彼女を轢くためにスピードを上げた。
「目に映るものを喰い尽くすまで──!!」
 靄とバイクの先端、それが衝突する寸前、フレームに黒色の何かで包まれた手が触れる。そこからバイクは急停止し、反動で後輪が飛び斜めに傾いた状態で停止する。
 否、停止したのではない。掴まれたのだ。
「『厄災の契り(カラミティ・エンゲージ)』!!」
 少女の咆哮と共に靄が晴れる。バイクを掴んでいたのは、全身が真っ黒なオーラに包まれたあすむの姿。少女のシルエットは巨大な翼と鋭利な角を持つ龍(ドラゴン)に近くなり、理性を捨て殺意を纏った彼女に、シェイプシフターは焦りを感じた。
 そして、そこに乱入者が現る。
「覚悟は、決めた!!」
 バイクのシートに、とてつもない重量の物体が激突し凹む。
 メタリックな機械の鎧と翼。『目覚める正義(トランスフォーム・ジャスティス)』による強化外装を纏ってシェイプシフターに騎乗したのは、サイボーグのスターライダー、宙夢・拓未だ。
 愛車を手放し空中で変身した彼は、シェイプシフターが停止する機会を空中で待っていた。
 賭けではあったが、女神は彼に微笑んだ。拓未はハンドルを掴み、シェイプシフターの動きを制する。
「俺ごとやれぇェ!!」
 拓未の声に反応したのか、それとも目の前で動体反応があったから定かではない。あすむはシェイプシフターに乗った拓未ごと持ち上げると、地響きを思わせる叫び声を上げながらそれを空中へぶん投げた。
 構造、性質、能力──それを全てコピーしていたシェイプシフターは、自身が宇宙バイクから戻れないことに焦っていた。
 理由は簡単、鍵まで丁寧に再現していたことが仇となり、拓未にそれを抜かれただのエンジン付きの鉄塊にされたからだ。
 シェイプシフターがそれに気づいた時には、拓未は小さな赤黒い鍵を見せつけながら落下していた。
「ア゛ア゛ァ゛アァ゛ァァアア゛アアァ゛ァァ゛ァァッッッ!!!!!」
 まっすぐシェイプシフターへ向かって飛翔し、あすむは『厄災の契り』によって癒着した右手の剣でシェイプシフターの胴体を勢いよく切り裂く。それだけでは終わらない。天井を蹴って残った部位を真っ二つにし、そして地面をバウンドしさらにもう一度。二度、三度、四度、五度、六、七、八、九──
 何度でも細切れにする。二度と復活しないように、コピーされ対策を取られる前に屠る。復活しようが、バイクになろうが、関係ない。殺意のままに、この手に剣がある限り殴り斬り殺し続ける。
「トド、メダァ゛ッ!!!!」
 最早原型がわからなくなるほど解体され、最後にシェイプシフターの特徴たる眼だけが残った。
 そして、眼にもまた剣が振り下ろされ、塵となった肉片と同じ末路を辿った。

 ──シェイプシフターは猟兵たちの力によって斃れ、骸の海に還った。

●「え、この先にも……?」
 こうして作戦は終了し、迷宮から帰ろうと拓未は扉を開く。だがその先は何やら見たことあるような何もない一本道で、奥が見えないほど距離がある。
 実はシェイプシフターが封印されていたこの広い空間は、この迷宮の休憩地点(レストルーム)。この先にも、さらにこの先にも、地雷ロードが存在するという、いかにも悪趣味な迷宮だった。
 なにせこの迷宮は、拓未のような超高速で移動できる乗り物を持つ挑戦者専用の、"ただひたすら駆け抜けることでクリアできる"迷宮だったのだから。
「帰り道、反対側だよ」
 どこかスッキリした様子のあすむは、呆然と新しく見つけてしまった地雷ロードを眺める拓未に声をかける。
 続々とアルダワ魔法学園へ帰る準備をする猟兵たちを。拓未はバイクになったシェイプシフターから抜いた赤黒い鍵を握り地雷ロードを一瞥すると、ボロボロになった愛車を引いて出口へ向かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月26日


挿絵イラスト