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残虐なる海魔の瞳

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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●義眼海賊の統べる島
 グリードオーシャンの片隅に、吹き荒れる嵐の島がある。
 大地は枯れ果て、ぽつぽつと見える灰色の建造物は風雨の浸食によっていずれも廃墟の様相を呈している。
 それはまさにアポカリプスヘルそのものの光景。
「……くそっ、こんなの……無理だ……っ」
 ざくり。枯れた大地に粗雑な作りのスコップを突き立てて、島民の一人が嘆いた。
 その手に握り締められているのは、古びた羊皮紙。紙面には適当極まる図面が引かれ、中央に赤墨でバツ印が描き込まれている。
 荒っぽい筆致の但し書きには、こうある。

『掟に従い、宝を見出せ。
 日没までに財宝を献上した者のみ、死を免ずる。
 全ては『大海統べる災厄』ヨハンナ・グスターヴの御心のままに』

 目印となるものも乏しい、どこまで行っても似通った広大な荒野と、時折現れる廃墟群。
 そして、日常的に無謀な宝物探しを強いられ、虐げられし島民たち。
 人々はこの島を『荒廃島』と呼ぶ。

●グリモアベース:ゲネ
「グリードオーシャン開拓いっくぞー! 悪辣なコンキスタドールに支配されている島の解放を頼む!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)がホロモニターに示したのは、グリードオーシャンに浮かぶ荒廃した一つの島と、海賊衣装の冷めた瞳の少女の姿。
「諸君に向かってもらいたいのは、この『荒廃島』だ。由来世界は『アポカリプスヘル』。その名の通り、どこまでも荒廃した世紀末的世界の断片だな」
 『荒廃島』は現在、コンキスタドールの「悪の掟」の支配下にある。
「支配者として君臨しているのは『大海統べる災厄』ヨハンナ・グスターヴ。メガリスは義眼の『海魔の瞳』。幼い見た目にそぐわぬ狡猾かつ残虐な海賊行為を日常的に繰り返し、現在、その首にかかる賞金も略奪した財宝も、共に天文学的数字になっている」
 ヨハンナが島民に科した掟は『指名された島民は定められた期日内に島内から財宝を見つけてくること』。期日や誰が選ばれるかは、もちろんヨハンナの気分で決定される。
 もともとが荒廃した世界から落ちてできた島だ、天然ものの財宝などあるはずもない。ここで行われている宝探しは、いわゆる「やらせ」の部類である。
「ヨハンナの手下には大量の『デサントタンク小隊』がいる。こいつらが島のあちこちに宝を隠して、適当な地図をばら撒いて島民に宝探しをさせてるってわけだ」
 宝に使用されている財宝は、ヨハンナがこれまでに略奪してきた私物が使われている。
 要はマッチポンプであり、当然この行為自体に意味はない。ヨハンナの目的は、理不尽な掟の遵守を強制し、逆らうものを皆殺しにすることで、島民の心や反逆の意志を砕くことにある。
「大した目印もない荒野と廃墟だらけの島で、地図は大雑把、移動手段は徒歩のみ、使える道具は電気も魔法もない大航海時代レベルの代物……はっきり言ってこの宝探しは島民にとって無理ゲーだ。だが、猟兵の知恵と能力、技術を駆使すれば、難しいことではないはずだ」
 現在も数名の島民が無理な宝探しを強制されている。
 島民達はよそ者に対して疑心暗鬼の状態にあるが、宝探しに手を貸し目当ての財宝を見つけ出してやることで、信頼を勝ち取ることができるだろう。
「絶対者であるヨハンナを凌駕する可能性を、猟兵に見出してくれたらこっちのもの。島民の中に少なからず存在する「海賊」達を中心に反乱を起こしてくれるはずだ。その機に乗じてデサントタンク小隊を蹴散らし、敵拠点に踏み込めば、いよいよヨハンナ・グスターヴとご対面、ってな寸法だ!」
 モニターの中のヨハンナ・グスターヴに「ブブーッ」と効果音つきの大きなバツマークを貼り付けると、モニターを反転させて転送術式で埋め尽くした。
「荒廃した土地にも生きる人々はいる。『大海統べる災厄』ヨハンナ・グスターヴの圧政から彼等を開放し、彼等が彼等らしく生きられる未来を勝ち取ってくれ!」


そらばる
 グリードオーシャン、悪の掟からの救出。
 島を支配するコンキスタドールを倒し、人々を理不尽な掟から解放してください!

●『荒廃島』
 アポカリプスヘルから落ちてきた島の一つ。
 環境は一般的なアポカリプスヘルのもの。
 あちこちに財宝(ヨハンナの私物)が埋められたり隠されたりしています。

●第一章:冒険
 悪の掟によって宝探しを強いられている島民を助けます。
 島民は大雑把な地図を持っています。
 島民はよそ者に対して疑心暗鬼だったり警戒心が強い状態です。
 宝物を見つけることができると信頼を勝ち取れます。

●第二章:集団戦『デサントタンク小隊』
 アポカリプスヘル由来の武装をした兵士達。
 島自体の文化レベルは下がっていますが、敵はタンクの主砲や機銃などを問題なく扱います。

 島民が反乱を起こしてくれるので、その機に乗じて大量のデサントタンク小隊を蹴散らしつつ敵拠点に踏み込んでください。

●第三章:ボス戦『『大海統べる災厄』ヨハンナ・グスターヴ』
 邪神に魂を捧げた船乗りの娘。
 義眼型メガリス『海魔の瞳』の力で異形の部下を従え幼い容姿とはかけ離れた海賊行為で大海原を支配する。
 天文学的な額の賞金首で極めて狡猾かつ残虐な存在。

 敵拠点(巨大な教会の跡地)内での戦闘になります。
 屋内であっても、異形や海賊船、邪神の召喚を問題なく行います。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 冒険 『ワクドキ!トレジャーハント!』

POW   :    島中の地面を掘り返して宝を探す

SPD   :    怪しい洞窟や洞穴を探して宝を見つけ出す

WIZ   :    地図其の物をさらに詳しく調べて宝の在処を探る

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィヴ・クロックロック
【WIZ】
よし、まずは地道に宝探しか。まあ見つけても海賊に渡しはしないが…。金貨の一枚でも島民に分けて奴らの宝探しを成功させたことにしてしまおう。
そうと決まればまずは人手だ。この島なら安く骸の海から雇い入れられる気がする…。鬼宿船団出航だ!
船で空から地図と地形を照らし合わせそれっぽい所にカンで幽霊たちをバンバン派遣して、邪魔なものは装備してる爆弾でどんどん吹き飛ばさせる、宝が吹き飛んでもまだ私のモノじゃないから海賊の自業自得だ。知的にごり押しでさっさと宝を見つめてしまおう。私は船の甲板で指示を飛ばしながら余った幽霊と楽器でも弄って遊んでおくか、音楽で交流くらいは良いだろう?



●知的にゴリ押し
「よし、まずは地道に宝探しか。まあ見つけても海賊に渡しはしないが……金貨の一枚でも島民に分けて奴らの宝探しを成功させたことにしてしまおう」
 ヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)は荒廃した大地を見渡したのち、海辺に立って島の近海に視線を馳せた。
「そうと決まればまずは人手だ。この島なら安く骸の海から雇い入れられる気がする……鬼宿船団出航だ!」
 海に向けてパチリと指を鳴らすと、たちまち海の中から海面を突き破って鈍く光る小規模なガレオン船団が浮上した。船上には楽器や爆発物で武装した船員達が賑やかにひしめきあう。いずれも骸の海からサルベージされた、なにがしかの幽霊だ。
 ヴィヴが旗艦に乗り込むと共に、ガレオネスは海を飛び立ち島の上空へと舞い上がった。
 ヴィヴは船の舳先に立つと、島民に交渉したり遺体から回収したりしてかき集めた宝の地図と眼下の地形を照らし合わせ始めた。
「……よし、一番隊・二番隊、北部の廃墟都市群へ! 三番隊は東部の岩石地帯! 四番隊以下は配布する地図の荒野に各々散れ! 邪魔なものがあれば爆弾でどんどん吹き飛ばしてよし! 少しばかり宝が吹き飛んでも問題ない、まだ私のモノじゃないから海賊の自業自得だ!」
 声高に出される指示に従って幽霊達が次々に島に降下していく。しばらくすると地上のあちこちから小さな爆発音が連鎖し始めた。
 船に残った船員達は賑やかに楽器をかき鳴らす。ヴィヴも幽霊達に混ざって打楽器に弦楽に金管に鍵盤、あらゆる楽器の間を踊るように行き交い、気まぐれに奏で音を楽しみ交流しながら、明朗に指示を飛ばしていく。
「三番隊、もう少し南を探してみてくれ! 荒野はもう手あたり次第大穴開けまくってしまったほうが早いかもな。おお二番隊、帰還早いな。余裕がありそうなら他の隊を手伝ってやってくれ。休息したいなら存分に私の音を聴いていくといいぞ!」
 明るくのんきな音楽が上空から降り注ぎ、爆発の散発する地上を軽妙に彩っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マチルダ・メイルストローム
大海を統べるとは大きく出るねぇ。
どっちが上でどっちが下か分からせてやろうじゃないか。

海沿いを歩きながら宝探しをしてる島民を探すよ。宝が海中にありそうな人間の一人や二人くらいはいるだろ。
見つけたら宝の地図を見せてもらおうかね。こっちを信用してないようだけど、説得なんて面倒なことはする気はないね。無理やりでも奪って宝の位置を確認させてもらうよ。

宝の位置を確認したら海に潜って宝を捜索、道具もなしに海中捜索は人間にゃ難しいだろうけどあたしにとっちゃ朝飯前さ。宝を探して引っ張り上げてくるよ。

宝箱の中はっと……金貨か……はぁ。
もっと珍しい物があると思ったんだけどねぇ……地図の持ち主に金貨はくれてやるよ。



●荒磯を掻い潜って
「大海を統べるとは大きく出るねぇ。どっちが上でどっちが下か分からせてやろうじゃないか」
 海には一家言ある海賊として、マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)は荒廃島の大地を踏んだ。
 海沿いをしばし歩くと、波打ち際にうずくまるように膝をついている女性の姿があった。
「こんなの……絶対無理よ……」
 気力の失せた手に握られた地図が潮風にはためいている。マチルダはわざわざ許可を取るようなこともせず、その手からやすやすと地図を取り上げた。
「!? だ、誰!? 返してよっ!」
「ふむ。やはり海中にもお宝があったか。海賊ならばそうでなくては」
 警戒も露わに叫ぶ女性に、マチルダはすっかり記憶し尽くした地図をあっさり返却すると、言葉も視線も交わすことなくざぶざぶと波に逆らって海に突き進んでいく。
「海に入る気……? あ、頭おかしいんじゃないの!?」
 グリードオーシャンの海は異常海流に満ちた荒れ狂う海。生身で入るなど正気の沙汰ではない。
 悲鳴じみた声を上げる女性を、マチルダは自信に満ちた笑顔で振り返った。
「道具もなしに海中捜索は人間にゃ難しいだろうけどあたしにとっちゃ朝飯前さ」
 マチルダは巻き上がった海水を全身に纏わせ、前触れなく盛り上がった大波に呑まれるままに海へと身を投じた。
 青暗い海中、マチルダは暴力的な海流にしばし身を任せ、上下左右前後めちゃくちゃに押し流されたのち、流れを掴んで一気に沖へと到達した。
 地図の記憶と方向感覚をすり合わせ、海流から海流に乗り継ぎ、海底の地形を探る。物を隠しやすく、流されないように固定できる場所は……
(「……見つけた!」)
 視界にかすめた異質な質感めがけて、マチルダは迷いなく深みへと潜行した。

「生きてる……うそでしょ……」
 無事浜に戻ってきたマチルダの姿に、女性は呆然と呟いた。
 マチルダは彼女に構わず、取ってきた宝箱の中身を検めた。
「さーて中身はっと……金貨か……はぁ。もっと珍しい物があると思ったんだけどねぇ……」
 残念そうに肩をすくめると、金貨を満載にした宝箱を女性に向けて示してみせた。
「くれてやるよ」
 こともない一言に愕然とする女性。
 一拍ののち、歓喜と感謝の泣き声が浜を静かに震わせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
おーおー、ここまでワクワクしねぇ宝探しは初めてだぜオイ
さっさと済ませて帰ろうか
「よう、お困りみてぇじゃねぇか。手助けは要るかい?」

「ククク、別に無償の善意でやってんじゃねぇよ。オレの目当てはグスターヴの首にかかった賞金でね。財宝が見つかったら、献上しに行く時にちょいと協力して欲しいのさ」
「ま、それも無事お宝が見つかったらの話だ。そら、日が暮れちまう前にとっとと掘り当てようぜ」

ところでお兄さん、盗みとか鍵開けは得意だがスカウトのマネごとはあんまし得意じゃないんだよねぇ
地図見て【情報収集】でなんかこう、お宝の場所をいい感じに絞って
穴掘りは【グラウンドクラッシャー】で短縮しようそうしよう


李・桃花
【POW】
なるほど、宝さがし!マッチポンプなのが気になるけどゲームだと思えばいいわけよね。
相手もそういう感じなんでしょう?ならノッてあげるわ。

大体の地図で当たりは付けられるわけよね。じゃあ後は掘り返すだけよ。スコップ貸して!ココらへんの地面自慢の【怪力】で全部ひっくり返しちゃうから!
それに【サバイバル】やってるから意外と地図を読む知識はあるのよ?
私一人では効率も悪いかもしれないけどそこは【コミュ力】と【元気】で協力しながらやっていきましょう!

……そういえば岩の下って可能性もあるのかしら。【天狼崩撃拳】で砕けばいい話なんだけどね。

ぃよし!お宝探し始めますか!

【アドリブ・連携OK】



●力押しは道を拓く
「おーおー、ここまでワクワクしねぇ宝探しは初めてだぜオイ。さっさと済ませて帰ろうか」
 気の滅入るような終末的光景を見渡して、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)は気だるげにぼやいた。
 一方、李・桃花(天狼小姐・f25946)は荒廃島の悪の掟を知って、むしろやる気を漲らせている。
「なるほど、宝さがし! マッチポンプなのが気になるけどゲームだと思えばいいわけよね。相手もそういう感じなんでしょう? ならノッてあげるわ」
「いやーゲームなんて可愛らしい話で済むかぁ? ……っと、第一島民発見」
 前方に視線を馳せると、荒野のど真ん中で男がうずくまっていた。財宝探しの挫折者のようだ。
「よう、お困りみてぇじゃねぇか。手助けは要るかい?」
 曲人が男に歩み寄り気安く声をかけてやると、男は打たれたように身体を跳ね上げ、あからさまに距離を取った。
「な、なんだお前ら! よそ者が手助けなんて……一体何が狙いだ!?」
「ククク、別に無償の善意でやってんじゃねぇよ。オレの目当てはグスターヴの首にかかった賞金でね。財宝が見つかったら、献上しに行く時にちょいと協力して欲しいのさ」
「グスターヴ……あの女の……!?」
 あまりの驚愕に、男の手に構えられたスコップの切っ先が揺れる。
 曲人は愉快げに口許を吊り上げ、少し間抜けで物騒な切っ先を指で下ろしてやった。
「ま、それも無事お宝が見つかったらの話だ。そら、日が暮れちまう前にとっとと掘り当てようぜ」
「大体の地図で当たりは付けられるわけよね。じゃあ後は掘り返すだけよ。スコップ貸して! ココらへんの地面、自慢の怪力で全部ひっくり返しちゃうから!」
 地図を曲人に、スコップを桃花に奪われ、男は徒手空拳でぽかんとするばかり。
「ところでお兄さん、盗みとか鍵開けは得意だがスカウトのマネごとはあんまし得意じゃないんだよねぇ」
「大丈夫大丈夫! 私サバイバルやってるから意外と地図を読む知識はあるのよ? ただ、一人だと穴掘りの効率は悪いから手伝ってほしいかな」
「ああ、そっちは役に立てるな。グラウンドクラッシャーで短縮しようそうしよう」
 なんだかんだ言いつつ、二人の猟兵は賑やかに宝探しに興じ始めた。
 何もかも取り上げられた男は所在なげにその背中を見送りかけ、しかし他にするべきこともなく、ふらふらと二人の後についてくる。
 男の持っていた地図は二枚。どちらも荒野のど真ん中を示している。
 適当に描かれた図面の中から桃花はこれはと思う場所にアタリをつけていった。
「こっちの地図は西側のちょっと傾斜がついてるところが怪しいと思う。こっちは手前の岩場だね。……そういえば岩の下って可能性もあるのかしら。まあそれならそれで砕けばいい話なんだけどね」
「なるほど。じゃ、近いとこから掘り進めるかぁ」
 曲人は構えた鉄パイプに極限まで力を集中し始めた。
「ぃよし! お宝探し始めますか!」
 桃花の拳に氣が巡る。立ち向かうは、岩場の中心、ひときわ巨大で武骨な壁の如き岩塊。
「撃ち抜く! 天狼崩撃拳!」
 桃花の全身全霊の力を乗せて、輝く拳が巨岩の芯を捉えて打ち込まれた。手前から奥へ、突き抜ける甚大な衝撃。
 ──次の瞬間、鼓膜を爆発させんばかりの轟音と共に、巨岩は木っ端微塵に爆散した。
 続けざま、巨大な質量を失ったばかりの空間へと躍り出る曲人。
「穴掘りは任せなッ!」
 振りかぶられた鉄パイプが、岩の真下から現れた地面を強烈に穿つ。大地は罅割れ、周囲の岩場を大いに揺るがし砕いていく。
 とてつもない破壊を目撃した男は、ごくりと生唾を呑み込んだ。
「……あの女を倒す……こいつらなら……!」
 絶望にしおれていた瞳が、確かな活力を取り戻して輝いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『デサントタンク小隊』

POW   :    目標を確認した。速やかに制圧射撃を行う。
【機銃か主砲もしくはロケットランチャー】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    目標を確認した。敵の視界外から榴弾を投下する。
【デサント兵が指】を向けた対象に、【主砲を高射砲に転用した攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    戦況劣勢に付き増援を求む。速やかに派遣されたし。
【LMGやミサイルランチャー】で武装した【特殊部隊員】の幽霊をレベル×5体乗せた【装甲を装着した巨大なトラック】を召喚する。

イラスト:ゆりちかお

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大聖堂へ
 地面に積み上げられたのは、一山の金銀財宝。
 見たこともない目映い輝きを前にして、拠点の島民達は言葉を失った。
 これまで悪の掟に従って宝探しに旅立ち、帰還できた者は、たまたま強運だったほんの一握りのみ。
 にも関わらず、今回の面々は全員が拠点に帰還した。それも、指定された以上の財宝を手にして。
「この宝を少しずつ分けてコンキスタドールに献上すれば、当座は凌げるだろう」
 帰還者の男が島民達に向けて声を上げた。
「だがおそらく、敵はこちらを怪しんで内情を探ってくるはずだ。掟の内容をより過酷なものに変えてくるかもしれない。そうなっては意味がない」
 ヨハンナの狙いは無理を強いて島民の心を挫くこと。宝探しが「無理」でないとなれば、出方を変えてくるのは必定だ。

 かくて島民達は決意した。コンキスタドールに反旗を翻すことを。

 島中央、ヨハンナ・グスターヴ座す巨大な聖堂の廃墟の周囲で、戦端は開かれた。
 聖堂周辺の荒野を哨戒する無数の戦車隊。本来ならばその数の多さと背後に控えるヨハンナの存在が反乱を抑止していた。島民だけでまともにやり合える相手ではない。
 しかし今、宝探しで圧倒的な能力の高さを見せつけた猟兵の存在がある。
 猟兵はコンキスタドールの敵。その狙いは、『大海統べる災厄』ヨハンナ・グスターヴの首。これほど頼もしい味方があろうか。
 その道を切り拓くため、島民達は必死に抵抗する。海賊達の力で砲弾やミサイルを弾き飛ばし、投石や弓矢、敵が放棄した戦車に積まれた武器や大航海時代の技術でなんとか組み立てた砲台を駆使して反撃していく。
 様々な殺傷武器が飛び交う戦場に、猟兵もまたその身を投じる。
 出来る限り多くの敵を倒しながら進むか、島民達のフォローをしながら進むか、乱戦を潜り抜けてステルスに徹するか。進み方は各々の自由。
 ただ目指す場所は一つ──荒廃島の独裁者の座す、大聖堂へ。
ヴィヴ・クロックロック
一方的に戦車とは大人げないな…。いやガキ臭い。んん、どっちでも同じか…?

アンナトラは出してるだけ的だな。ひっこめて代わりに兄弟たちを呼び出す。さあ起きろ、出番だ。
人数にはさほど島民と戦車部隊であまり差がない感じだがあまりに武装に差があるな…。ダイナマイトを渡して少しでも差を埋めて兄弟たちと共に私は別行動だ。

誤射防止に胸のリアクターに灯を燈して遠くからも分かるようにしかし本質は隠密、岩陰や粉じんに紛れて戦車の側面に回り込んで武装した兄弟たちを戦車の無限軌道に投げ込んで静止させたらギースバッハで装甲の薄い所をぶち抜きそこから戦車の内部にダイナマイトを投げ込んで無効化していこう。

(共闘アドリブ歓迎)


塩崎・曲人
おー、戦車かぁ
生身で対抗すんのは……まぁ不可能じゃねぇけどめんどくせぇ
「つー訳でちょいと借りるぜ、それ」

【切り込み隊長】の効果で乗り物を現地調達するぜ
この場にある唯一の乗り物……つまりはデサント小隊の戦車を
戦車は上に取り付いた人間を攻撃するようにできてる乗りもんじゃねぇからよ
飛び乗って、乗ってる人間を軽くシバけばほい、空いた
「操作はまぁ、カンでなんとかなるだろ。前に進んでくれりゃそれでいい」
他の戦車にぶっつけて自由に戦えなくするのだけが目的だしな
そもそも敵陣地を突破するためのタンクデサントを、拠点防衛でやんなっつーの
機動力が下がって好き勝手襲われる羽目になるんだ、今みたいになぁ!


李・桃花
戦車の上に兵隊がひぃ、ふぅ…いっぱい居るわね!

身一つなもんだから近づかないと攻撃できないわけだけど……どうやって近づこうかしら。
これだけドンパチやってるわけだし土煙や乱戦に紛れて【オーラ防御】【見切り】で躱しながら【ダッシュ】で一気に近づき【天狼旋体脚】で主に履帯の切断を狙うわ。
動けなくなった後は上の奴らをボコすわね。【覇気】【早業】で一気に片付ける。
銃でやり合う気?この距離で?「……天狼拳は疾いわよ?」

片付けたら次ね。【継戦能力】でどんどん行きましょう。



●爆風の中で
 荒野に砲声が連鎖する。火を噴くデサントタンク、秘宝の力で耐える海賊達、粗末な武器で勇敢に対抗する島民たち。
「おー、戦車かぁ」
 目の上に手で庇をかざして、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)はいささか暢気に戦場に居並ぶ戦車隊を見回した。
「戦車の上に兵隊がひぃ、ふぅ……いっぱい居るわね!」
 李・桃花(天狼小姐・f25946)は好戦的に瞳を輝かせ、拳と拳をぶつけ合わせた。
「一方的に戦車とは大人げないな……。いやガキ臭い。んん、どっちでも同じか……?」
 ヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)は感心しないとばかりにぼやいて、上空の鬼宿船団を骸の海へと還すと別の召喚術を発動した。
「さあ起きろ。出番だ」
 たちまち周囲の地面を腐った腕が突き抜けた。乾いた土を掘り返し、ぞろりと地上に姿を現したのは、白兵武装で固めた四体の実験動物ゾンビ達。
「彼我の人数にはあまり差がない感じだが、あまりに武装に差があるな……頼む、兄弟たち」
 ヴィヴに従い、ゾンビ達は自身の武装の中から大量のダイナマイトを島民達の陣営に持ち込んだ。ゾンビの異様な姿にぎょっとする島民達に、ヴィヴ自身が使い方を伝授し落ち着かせる。
「……以上、上手く使ってくれ。我々は別行動になるのでな」
「ああ、助かるぜ!」
 火力を得た島民達の反撃が始まった。砲弾に反攻してダイナマイトが炸裂し、豪快な火柱を各所に散発させる。
「おっ、強烈! これだけ派手にドンパチやってくれてれば……!」
 桃花は果敢に駆け出した。湧き立つ土煙や爆発に紛れ突き進む。機銃の連射を紙一重で躱し、砲弾やロケット弾の着弾点を横っ飛びの跳躍で避け、かしこに上がる爆発の衝撃をオーラでいなし、一路敵陣へ。
 携えた武器はこの身一つ。ならば戦場での処し方も一つ。
「近づいて──ぶん殴る!」
 飛ぶように通り過ぎていく戦場、急速に迫る武骨なタンク。
「敵接近! 回頭、回頭ー!」
 土壇場で懐に入られたことに気づいたらしいデサント兵の声が響き、タンクのキャタピラが慌ただしく回転し始めた。
 しかしタンクが向きを変え終えるよりも、桃花が間合いを詰めるほうが格段に速い。
「我が蹴りは刃の煌き! 天狼旋体脚!」
 輝くばかりの回し蹴りが鋭く車体へと打ち込まれた。履帯とも無限軌道とも呼ばれるキャタピラが切断され、激しい揺さぶりと共に停止するタンク。
「ぐぬっ、う、撃て、撃てーッ!」
「この距離で?」
 追い詰められた隊長の命令も、遅きに失した。
 目前に跳び上がった桃花の拳は、苛烈な氣を漲らせている。
「……天狼拳は疾いわよ?」
 車上に舞うが如く駆け抜ける、拳、掌底、回し蹴り。
 土煙の向こう側で潰れたカエルのような声が連鎖し、一車輛を平らげた人影が即座に次のタンクへと駆け去っていく様が垣間見えた。
 タンクが一機撃沈したことに、周囲の部隊も色めき立つ。
「B-1がやられただと!? えぇい追撃ー!」
 定かならざる視界の向こうへといち早く回頭しようとするタンクの側面の粉塵の中に、かすかな光点が浮かび上がる。
 が、デサント兵達は気づかず、桃花が暴れているであろう方角に主砲を向けた。
「装填よし、位置確認よし。撃──てぇっ!?」
 発射される直前、側面から割って投げ込まれたのは四体のゾンビ達。強力な武装ごとタンクへと突っ込み、大量の火薬と自身の肉体でキャタピラの動きを完全に止めた。車体全体に甚大な揺れが走り、勢い余って主砲が明後日の方向に飛んでいく。
「なっ、何が起きた!?」
「履帯やられました! 走行及び回頭不能! ──ひぇっ!?」
 側面の装甲弱点を強烈な爆発が食い破り、大穴が穿たれた。突如差し込んだ日射の中に現れたのは、中折れ爆弾銃の大口径を構えたヴィヴ。
「装甲の薄い棺桶だな。ほら、やるよ」
 ダイナマイト一束が、無造作に内部に放り込まれる。
 大爆発を巻き起こす戦車にあっさりと背を向け、ヴィヴの姿もまたリアクターに燈る識別灯と共に土煙の中へと消えた。
 頻発する戦車の爆発に、曲人は口許を吊り上げながら戦場を駆け抜ける。
「生身で対抗すんのは……まぁ不可能じゃねぇけどめんどくせぇ」
 曲人はより手っ取り早い手段を求めて、混乱のさなかに取り残され後退を余儀なくされたタンクに目を光らせた。
「つー訳でちょいと借りるぜ、それ」
 後退しながらの牽制砲撃が地面を抉った衝撃に乗って、曲人は高々と跳躍した。
「ヒャッハー、切り込み隊長MAGATO様参上ォ!」
「何ィ!?」
 デサント兵達は土煙を突き抜けて上空に躍り上がった人影に仰天し、咄嗟に銃火器を差し向けようとしたが、当然間に合わない。曲人が車上に降り立つと共に暴力的に閃く鉄パイプとチェーン。
 戦車は上に取りついた人間を攻撃できるようにはできていない。短い悲鳴の連鎖の末に、タンクはあっけなく制圧された。
 曲人の目的はまさにこれ。敵タンクの収奪である。
「ほい、空いた。操作はまぁ、カンでなんとかなるだろ。前に進んでくれりゃそれでいい」
 デサント兵達を軽くシバいて放り出し、曲人は操縦席に取りついた。操縦桿を握り締め、計器の類は斜め読み、アクセルペダルを迷いなく踏み込む。バック走行をやめ、前進からの急速Uターン、からの全速前進。
「そもそも敵陣地を突破するためのタンクデサントを、拠点防衛でやんなっつーの」
 爆発彩る戦場を最高速で駆け抜けるタンク。多少の被弾は気にすることなく、敵陣営に混乱を及ぼしながら突っ込んでいく。
 戦車を乗っ取った動機は、火力の底上げでも乗り物の調達でもない。
 他の戦車にぶつけて、自由に戦えなくさせるためだ。
「機動力が下がって好き勝手襲われる羽目になるんだ、今みたいになぁ!」
 味方戦車に襲われるとはつゆとも思わぬタンクの無防備な側面に一気に突っ込み大破させ、さらに反転して戸惑う小隊相手に大暴れ。
 砲弾とダイナマイトの爆発が派手に彩る戦場。曲人の戦車が豪快に暴れ回るその周縁でヴィヴと桃花の破壊工作が着々と効を成し、猟兵達の戦いは敵陣を抉るように押し込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マチルダ・メイルストローム
砲弾の爆発音に飛び交う矢弾、火薬の匂い……いやぁいい天気だ! 略奪日和だね!

それじゃあ派手にいこうか! 暴れてきな! シー・ミストレス!
秘宝「シー・ミストレス」を戦場に放り投げて【シー・ミストレス】を使用。巨大な海竜に変化させるよ。

どう考えても敵の武器の方が派手だからねぇ、ほっとけば勝手に敵陣に突っ込んで暴れるだろ。
シー・ミストレスが暴れている間にあたしも戦場を進もうか。あたしも敵陣に着いたらシー・ミストレスを元の銃に戻して回収。ここまで切り込めば主砲やら機銃やらも使えないだろう? 剣と銃で、片端からぶっ殺す!



●陸を蹂躙する海賊
「砲弾の爆発音に飛び交う矢弾、火薬の匂い……いやぁいい天気だ! 略奪日和だね!」
 爆発の連鎖する戦場に、マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)のちょいと剣呑な発言が朗らかに響いた。
 その手に掲げるは銃型メガリス、秘宝「シー・ミストレス」。
「それじゃあ派手にいこうか! 暴れてきな! シー・ミストレス!」
 空中に放り投げられた秘宝が、敵の頭上で大量の海水を吐き出しながら見る間に姿を変えた。青く輝く巨大な海竜へと。
 海竜は吼え猛る。戦闘本能に呑まれた竜眼が、獲物を物色するように地上を睥睨する。
「上空に大型敵性反応!」
「なんて大きさだ……」
「ええい、怯むな! 高射砲用意! 撃てぇ!」
 各タンクの主砲が上空を向き、海竜を照準に捉え火を噴いた。
 その動きをうっそりと見やっていた海竜は、己めがけて高射砲が発射された瞬間、殺気漲る咆哮を上げた。波動が球状の力場となり、煙を上げて迫る高射砲弾をことごとく空中で打ち払った。
 狂乱の竜が戦場に君臨した。蛇の如き長大な体躯を波打たせ次弾を弾き飛ばし、その勢いのまま地上の敵陣へと突撃する。アクセル全開で逃げ回りながら砲弾や銃弾を派手に飛ばしてくる戦車は、海竜の格好の的だ。
 うねりくねる巨体とその周囲を逆巻く水流に蹂躙される敵陣。思惑通り海竜が暴れてくれているうちに、マチルダは一息に敵陣に進軍する。
「見事に釣られてくれたもんだ。けど、これで終わりじゃないよ。戻りな、シー・ミストレス!」
 一声で海竜は秘宝へと戻る。マチルダの手元に戻れば、それは頼もしい愛銃だ。
「ここまで切り込めば主砲やら機銃やらも使えないだろう?」
 秘宝「メイルストローム」、秘宝「シー・ミストレス」。銃と剣のメガリスを両手に構えて、マチルダは海竜の混乱を引きずる戦車部隊へと果敢に斬り込んだ。接近に気づけなかった戦車を一車輛、瞬く間に刃と銃弾で平らげて、即座に次の車輛へ。
 こちらに気づいた他車輛の兵士は銃で撃ち抜き、味方車輛への攻撃をためらった末に飛んできた砲弾は、敵を斬り裂いた勢いのまま返す刀で真っ二つに斬り払い、爆発に紛れてさらなる車輛へ。
「まったくなんていい日だ! ──片端からぶっ殺す!」
 陸に上がった海賊の快進撃が、陸戦のプロである戦車部隊を容赦なく平らげていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋神・美麗
【ダッチマン】
アドリブ・絡み歓迎

敵は地上タンク小隊ねぇ。地上戦だと厄介そうだけど上空からの爆撃ならあっけなく蹴散らせそうね。さっさと片付けて本拠地に乗り込むわよ。

雷天使降臨で飛翔し上空から空爆を行う
フェイントを交えた3次元機動での空中戦を行い敵の狙いを外しながら超巨大電磁砲に属性攻撃・二回攻撃・鎧無視攻撃・先制攻撃・誘導弾・衝撃波を重ねて使用する
敵の攻撃は第六感・野生の勘で察知し見切り回避する
「戦車なんてただの大きい的なのよね」


マリア・フォルトゥナーテ
【ダッチマン】
アドリブ連携歓迎

「ぷぷぷ!ダサいよー!民を虐げる海賊なんて最近のトレンドじゃないんですよ!!」

沖合いに停泊させた、幽霊船フライングダッチマン号の砲撃を敵に浴びせかけながら、部下の悪霊船員達を上陸させ、島民達の代わりに前線に突撃させます!
仲間のーーさんに防御を任せ、美麗さんと共に戦車を破壊します。船の砲撃で撹乱させつつ、悪霊船員達を戦車に突撃させ、戦車の搭乗員を制圧させます。

「弱きを虐げた愚か者共は、更に大きな力に踏み潰される運命しかありません!頭を低くしていれば、長生きできたのにね!」


一一・一一
【ダッチマン号】で参加

「昔とった杵柄、うまくいきますかねぇ」

元、軍人なので小隊戦は過去を思い出し複雑な気分
しかし慣れているといえば慣れている

『地形の利用』による見つかりづらい場所に『目立たない』ようにしながら「バッグワーム」を使い、レーダーなどに映らない状態になっておきます
相手がUCを使ってきたら【Q・T・S】を起動
「イーグレット」と「ライトニング」2丁の『スナイパー』ライフルを使い『2回攻撃』、相手の攻撃を撃ち落とすことによる『援護射撃』を行います
攻撃は味方の皆さんにおまかせ…
まぁ、小隊長が狙撃できそうなら『スナイパー』しますが


弘原海・静寂
【ダッチマン】
アドリブ連携歓迎

へへ……あれが『センシャ』って奴か? 
この目で見るとやっぱり固そうだなぁ
でもよ、上ばっかり見てるんじゃあ話になんねえや。

奴らの進路上に【トンネル掘り】で掘った穴に身を伏せて、UCで【迷彩】すりゃあ、俺の真上を気付かず通るはずだ。

ウニみてえに武器をのせまくったって、下にゃあなーんもねえんじゃあ仕方ねえよなあ!

真下にハッチがあるんだろ? この前『エイガ』で見たぜ。
そこから中に入ればあとはやりたい放題よ!

ハサミの【衝撃波】で中の奴を【気絶】させちまえば、乗っ取って島民のみんなと大暴れだ!!

どんどん分捕って、じゃんじゃん配るぜぇ!!
強え奴から奪う、これが海賊ってもんよ!



●大混戦
「敵は地上タンク小隊ねぇ」
 忙しなく爆発に彩られる戦場に、緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は勝ち気な眼差しを馳せた。
 と同時、少女らしい髪や服の裾がふわりと浮き立ち、バチバチと小さな電流がを爆ぜ始める。
「地上戦だと厄介そうだけど上空からの爆撃ならあっけなく蹴散らせそうね。さっさと片付けて本拠地に乗り込むわよ」
 静電気めいた静けさから一気に膨れ上がり迸る青白い雷。それは瞬く間に美麗の全身に纏いつき、その背に光の翼として実体化した。
「完全開放、天魔滅雷!」
 雷光輝く翼を広げ、たちまち宙に舞い上がる美麗。飛来する火砲を立体的な動きで素早く躱し、照準を絞らせず翻弄していく。
 思いっきり振り回されているデサントタンク小隊を、地上で嗤う女が一人。
「ぷぷぷ! ダサいよー! 民を虐げる海賊なんて最近のトレンドじゃないんですよ!!」
 マリア・フォルトゥナーテ(何かを包んだ聖躯・f18077)は貞淑な修道女姿にそぐわぬ軽薄なテンションで敵陣を囃し立てると、一転、傍若無人な視線を沖合いに転じた。
「最後の審判の時を先延ばしにしたいのだろう? ならば働け!」
 威圧的な命令に従い幽霊船フライングダッチマン号が海を割って沖合いに姿を現すや否や、甲板と側面の大砲が一斉に火を噴いた。絶え間ない砲撃が驚くほどの長距離を飛来し、敵陣に降り注ぐ。
 砲撃の雨の中、悪霊船員達も次々に上陸、島民に先んじる形で最前線に雪崩れ込み、敵陣へ火器を放り込んでいく。
 攻め込まれる側はてんやわんやだ。
「上空の飛翔体、捉えきれません!」
「島民以外の戦力増大! 遠方からの砲撃により視界悪化!」
「僚機と連携! 上空の敵はとにかく弾幕で常に牽制し何もさせるな、地上戦力の殲滅を優先しろ!」
「「「了解!」」」
 敵陣営の動きがよりいっそう統制のとれたものへと移行する。機銃の弾丸が絶えず大量に上空に吐き出され、前線で陣を張る悪霊達に大量の砲口が向けられる。
 その変化を、前線より少し外れた岩陰から窺っている人影が二つあった。
「へへ……あれが『センシャ』って奴か? この目で見るとやっぱり固そうだなぁ」
 己の目で初めて目視した戦車に、弘原海・静寂(深海から来た水棲生物のキメラ・f22225)は異形の口許を愉快げな形に歪めた。
「でもよ、上ばっかり見てるんじゃあ話になんねえや」
 少し離れた岩場に潜む仲間に「地上は頼む」とばかりに合図を送ったかと思えば、静寂は凄まじい速度で足元の地面を掘り返し始め、瞬く間に地下に姿を消した。
「……では僕も、そろそろ打って出るっすかね」
 レーダー対策のマントに身を包んで索敵から逃れつつ身を潜める一一・一一(都市伝説と歩む者・f12570)は、静寂の姿が見えなくなるまで見送ると、手慣れた手つきで二丁のスナイパーライフルを構えた。
 爆風、衝撃、火薬の匂い、乾いた土埃……軍人時代の記憶が刺激されるのは少々複雑だが、悲しいかな、小隊戦は嫌というほど慣れている。
「昔とった杵柄、うまくいきますかねぇ」
 狙撃強化型Sライフル『イーグレット』、軽量型Sライフル『ライトニング』。二種の愛銃の銃口が空中を睨み、各々に照準を合わせる。
 狙いは敵本体ではなく、宙に煙引くロケット弾。
「わかりやすい弾道、感謝っす」
 一切のブレもズレも許さず、一一の指は静かに引き金を引いた。
 抉るように宙を疾る弾丸、弧を描いて射線に飛び込んでくるロケット砲。質量の違う二者の激突が爆発となって悪霊船員達の頭上に花を咲かせた。
「撃ち落とされただと!?」
 敵が驚愕している間に爆発が二度三度と連鎖する。砲撃もロケット弾も放ったそばから次々正確に撃ち抜かれ、用為すことなく爆散していっているのだ。
「僚機の砲撃もことごとく潰されています!」
「スナイパーの位置、掴めません……!」
「ならば目視だ! なんとしても敵の位置を割り出──」
 一発の銃声が高らかに響いたのと、銃弾が一閃したタイミングに、さしたる誤差はなかった。車上で青筋立てて怒鳴り散らしていた戦車長が胸を撃ち抜かれ絶命、敵陣にさらなる混乱が広がっていく。
「そ、総員、姿勢は低く! 足を止めず的を絞らせるな……!」
 慌ただしく戦場を行き交い、走行間砲撃でスナイパーの視線をかき乱そうとするデサントタンク小隊。
 しかしそうやって動き回ってくれるほどに、静寂の仕事はやりやすくなる。
「やっぱちっとも気づいてねぇなぁオイ。ウニみてえに武器をのせまくったって、下にゃあなーんもねえんじゃあ仕方ねえよなあ!」
 そう、車輛にとっての最大の死角は、真下の地面。
 静寂は掘り進めたトンネルを敵の動き回る戦場の地面に繋げて、内部に潜んでいた。穴から見上げた戦場は喧騒に満ち、土埃を立てて時折戦車がかすめて通り過ぎる。人間一人分程度の欠落は、爆発と塵埃に紛れて一向に発見される気配もない。
「真下にハッチがあるんだろ? この前『エイガ』で見たぜ。……ここだ!」
 敵の動きを見極め、静寂は複数繋げた穴の一つから地上に飛び出した。ジャストタイミングで穴の上を通り抜けたタンクの下部に取りつき、ハッチと思しき円形部位を力づくで殴りつけてご開帳。
 車内にひょっこり顔を出せば、何事かと振り返った隊員達のぽかんとした顔とご対面、である。
「やり放題……ってやつだなァ!」
 狭い車内に容赦なく衝撃波が吹き荒れ、悲鳴の重唱が響いたのち、タンクはあっけなく沈黙したのだった。
 騒擾と混乱が敵陣を支配する。スナイパーを恐れ右往左往する戦車隊。なおも砲弾は撃ち落とされ続け、徐々に戦車の頭数も減り出した。
 上空を牽制する弾幕にも乱れが生じ始めた。立体飛行で敵の手数を奪っていた美麗も、翻弄する動きを繰り返しながらその手に超巨大電磁砲を構える。
 その姿を見取り、マリアはいっそう声を張り上げた。
「総員──突撃!」
 悪霊船員達が一斉に敵陣へと飛び出した。凄まじい数の人の波が、彼方からの砲撃に援護を受けながら一気に戦車隊へと押し寄せる。
 と同時、美麗の手の中で十分にエネルギーを蓄えた電磁砲の砲口が光を放ち始めた。
「戦車なんてただの大きい的なのよね」
 目を焼く白光が瞬き、次の瞬間、直線状の輝きが敵陣を射抜いた。電磁砲に晒されたタンクは頑健であるはずの装甲をあっけなく貫通され、凄まじい衝撃に二転三転ころがされたのち、あっさりとスクラップと化した。
「な、なんという……」
 桁違いの威力に敵陣に激震が走る。その隙を捉えて押し寄せる悪霊船員達の波に押しつぶされ、車外へ投げ出され、隊員達は海の藻屑ならぬ地上の塵屑となって消えていく。
「弱きを虐げた愚か者共は、更に大きな力に踏み潰される運命しかありません! 頭を低くしていれば、長生きできたのにね!」
 マリアの高らかな揶揄を背に、次々にタンクを制圧していく悪霊達。
 着々と下部ハッチからの侵略と制圧をこなしていた静寂は、悪霊に制圧され地上に点々と残るタンクも逃さず収奪していく。
 奪ったタンクはもちろん自陣へ横流し。敵の知らぬ間に島民の戦力も厚くなっていたという寸法だ。
「どんどん分捕って、じゃんじゃん配るぜぇ!! 強え奴から奪う、これが海賊ってもんよ!」
 高笑いをたなびかせながら自陣に舞い戻っていく静寂と入れ替わりに、島民たちの駆るタンクも前線に参戦、これまでの鬱屈を晴らすような気持ちの良い砲撃を敵陣に浴びせていく。
「ぐぬぬ……ここはなんとしても死守せねば……!」
「! 増援部隊、到着します!」
「おおっ」
 目を輝かせて後方を振り返ろうとした戦車長の目前を、一筋の弾道が通り過ぎた。一拍遅れて爆発。
 武装と特殊部隊員を満載していたはずのトラックが、前線に到達する遥か手前で一一の狙撃にエンジンを貫かれ爆発四散したのだった。
 攻撃は一一にことごとく潰され、隊員はマリアの悪霊に制圧され、タンクは次々に静寂に収奪され、上空にはとてつもない破壊力の美麗……
「たっ、隊長ぉぉー!」
「もう打つ手がありません……!」
「征くも地獄、退くも地獄……ええい後ろのヨハンナ様のほうが怖いんじゃーいッ!!」
 一台のタンクが猟兵の攻撃を命からがら掻い潜り、島民の陣営へと突っ込んでいく。
 当然、上空の美麗がそれを見逃すはずもない。
「馬鹿ね」
 端的に評して、美麗は引き金を引き、眩い電磁砲で敵を薙ぎ払った。
 大混乱の戦場にて趨勢は決まり、いよいよ敵本拠地への道が猟兵の目の前に開けようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『大海統べる災厄』ヨハンナ・グスターヴ』

POW   :    喜べ、『褒美』は思いの儘だよ
自身の【略奪した天文学的な額の財宝を分配する事】を代償に、【最大でレベル×100体までの異形の海賊達】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【カトラスとマスケット銃による巧みな連携技】で戦う。
SPD   :    ボクの『旗』を見て無事で済むと思うのかい?
【海賊船からの感覚や勘では防げない偏差射撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に海賊旗を掲げて略奪の場として宣言し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    『瞳』が疼くんだ。この世界を滅ぼせと
対象への質問と共に、【義眼型メガリス『海魔の瞳』】から【知覚すれば精神汚染される悍ましき姿の邪神】を召喚する。満足な答えを得るまで、知覚すれば精神汚染される悍ましき姿の邪神は対象を【体と魂をも蝕むレベルの三乗本の巨大な触手】で攻撃する。

イラスト:らぬき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は黒玻璃・ミコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大海の如き大聖堂にて
 彼女は大聖堂にシンプルながら気品に溢れる白い玉座を構え、そこに座して猟兵達を出迎えた。
 義眼の少女海賊、『大海統べる災厄』ヨハンナ・グスターヴ。
「やれやれ、もうここに来たのかい。まったく頼り甲斐のない手下だ」
 声音こそは幼くも、鷹揚な呟きには奇妙な威厳がある。左右異なる眼差しは品定めをするように猟兵達を見回し、そこには超越者の自信が宿っていた。
 『デサントタンク小隊』など彼女にとっては遊戯盤の上の手駒にすぎなかったのだろう。もとより戦力には入っていないのだ。
 彼女は自らの力と富のみで、猟兵に勝利できることを確信している。
「連中ごとき失ったところで痛くも痒くもないが、しかしここでキミたちをおいそれと見逃すわけにはいかないな。数多の財宝をほしいままに手に入れてきたボクが、己の所有物を奪われたとなってはヨハンナ・グスターヴの名折れだからね。ああもちろん、キミたちが倒した連中じゃない、この島と島民のことだよ」
 すっくと玉座から立ちあがるヨハンナ。
 義眼が輝き、その周囲には不自然な潮風が吹き込み始める。
「ここはボクの遊戯盤。荒らしてくれた落とし前は、きっちりつけさせてもらおうか」
 ヨハンナが指揮を揮うように腕を振り抜いた瞬間、その背後に溢れたのは幻影と思しき大波と、実物らしき荘厳な海賊船。
 海賊船は幻の波に乗り、広大な大聖堂を泳ぎ回りながらヨハンナの手足となって猟兵と戦うだろう。そして彼女自身の義眼は、邪神に通ずる力を秘めている。幻の波自体には質量はなく、人体への影響や攻撃力もないようだ。
 立ちはだかるのは幼くして狡猾かつ残虐なる凶悪な海賊。
 今こそこの独裁者を討ち果たし、島民の手に島を取り戻す時だ。
アルタ・ユーザック
幽霊船・・・
生き物じゃないから『幻死痛の連撃』も意味がないし、幻の波だから『軍勢滅ぼす幻想の刻』で凍らせるのも意味がない・・・
当然刀は通らないだろうから・・・

「まずは様子見・・・っ!?」
何・・・あれ?気持ち・・・悪い・・・
【召喚された邪神のおぞましさだけに気を取られて、質問されたことに気付かず触手攻撃の対象に】
「この数・・・逃げる場所が全くない・・・」
「あ・・・うああああぁぁぁぁぁ」

【レベルの三乗本なので当然逃げられず、攻撃を喰らう。攻撃を喰らいながらも精神汚染された影響で『それは防衛本能の様に』発動。精神汚染で質問に答えられる状態じゃないのでずっと攻撃を喰らいながらもUCが敵を自動的に攻撃】



●ウロボロス
 幻の波に乗って大聖堂内を泳ぎ始めた海賊船に、アルタ・ユーザック(クール系隠密魔刀士・f26092)は目を細めた。
「幽霊船……いや、はっきりとはしないが……」
 召喚物であるからには、まともな生物が乗船していると期待するのは難しい。精神攻撃は効くかも怪しく、幻の波を凍結させるのも意味がないだろう。当然刀も通らないだろうから……
「まずは様子見……っ!?」
 視線を返した瞬間、アルタの全身を戦慄が走った。
 片目を輝かせるヨハンナの背後に立ち昇るように纏いつく、ガスマスクらしきもので顔を隠した褪めた肌の女。その曖昧な輪郭がどろりと溶け崩れる。流体と固形物の入り混じった、ねばつくどす黒い闇のようでいて、生物の如く脈打つ物体へと。
(「何……あれ? 気持ち……悪い……」)
 アルタの全身からどっと汗が噴き出す。あまりにも悍ましい。それなのに目を離せない。視界の端でヨハンナの唇が動いたが、その事実も、紡がれたであろう言葉も、アルタの意識に入ってこない──
「ねぇキミ? ……聞こえていないようだね?」
 ヨハンナが軽く首を傾げた瞬間、悍ましき邪神は触手の翼を広げた。
「この数……逃げる場所が全くない……」
 恐怖に囚われ後ずさりかけるアルタ。
 質問に対し回答なき者へ、触手は殺意を露わにする。
「あ……うああああぁぁぁぁぁ」
 非常識な数の触手がアルタの姿を押しつぶすように包み隠した。粘液の爆ぜる音が悲鳴を押し流す。触手の塊が内容物をすりつぶすように流動する。
「なんだ。あっけない」
 ヨハンナが小さく肩をすくめた──その時。
 塊の中心部が、大きく破裂した。
「──っ!?」
 瞠目するヨハンナへと、触手の中から飛び出した赤黒い血液の色をした龍が襲い掛かってきた。咄嗟に身を庇った腕を竜の爪掻っ切られながらも退くヨハンナ。
 鋭い傷跡から溢れる鮮血が、流れ落ちる端から龍に引き寄せられて吸収されていく。
「……吸血能力の具現体。あの女の術?」
 ヨハンナは冷静に状況を読み解く。
 邪神は満足な答えを得るまで攻撃をやめず、アルタは重度の精神汚染状態にあり回答するのは不可能。
 龍は術者の感情が振り切れた状態で発動し続け、術者に敵の血液を供給し続けてしまう。
「半永久機関というところかい。面倒な……!」
 付きまとう吸血龍というハンデを背負って、ヨハンナは異なる両眼を剣呑に細めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
さて、ようやく親玉とご対面か
背はちっこいくせに態度はクソでかいと来たもんだ
「ゲームマスター気取りで高みの見物、ムカつくんでぶち壊させてもらったぜオイ」

まぁ、で、普通に強敵なわけだが
まずは砲撃を凌がなきゃ話にならん
まぁ、海賊船ってことは海側からの砲撃だから
さっきの戦車の残骸に隠れて遮蔽とりゃいいんだ
で、【罪が汝に牙をむく】でグスターヴに接近戦を挑むぜ
どんだけすげぇ力の海賊だろうが、頭殴りゃ死ぬだろ、オイ
「テメェ程懐に余裕があるわけじゃねぇんだがね。財宝代わりにテメェのツラを覚えて帰るとするぜ」

「ところでよぉ。あの女シメた賞金ってのは、どこに言や貰えんのかね」
(つーか払えるのか疑問だが)


ヴィヴ・クロックロック
さーて、やっと出て来たな。三流船主。
そんなにお宝が大事なら大事にしまって一緒に閉じこもっていろ。

砲撃が防げず避けられないなら話は早い。向ってくるを全て叩き落して最速最短でヨハンナに私の輝きを叩きつける!

光刃で砲弾を叩き落し旗もへし折り、群がる雑魚共も蹴散らしただ全力で真っ直ぐに!


(アドリブ連携歓迎です)


李・桃花
おー……船ね。凄いわねーアレも略奪した物なのかしら。

とにかく『先制攻撃』ね『青燐功』を発して『早業』『ダッシュ』で一気に近づくわ。
流石に練度が高そうだから『オーラ防御』『激痛耐性』『武器受け』で堅めておかないと痛い目みそう。
クロスレンジまで近づけたら後はガチンコよ。『覇気』『見切り』で勝負よ!
この距離だとアナタも巻き添えを喰らうかもしれないんだけど対策してる?どうかしら?

尊大な態度も良いけれど、油断してると鳶に油揚げを攫われるものよ?気をつける事ね。

(アドリブ連携歓迎)



●まっすぐ行ってぶっ飛ばす
「さて、ようやく親玉とご対面か」
「さーて、やっと出て来たな。三流船主」
 塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)とヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)は、各々挑戦的にヨハンナへと対峙した。
 ふん、と冷めた眼差しで顎を上げるヨハンナ。
「招かれざる客のくせにご挨拶な連中だな」
「背はちっこいくせに態度はクソでかいと来たもんだ」
 曲人はひょいと肩をすくめたのち、挑発的な視線と笑みで応酬してやる。
「ゲームマスター気取りで高みの見物、ムカつくんでぶち壊させてもらったぜオイ」
「実に腹立たしい限りだよ」
 ヨハンナは言葉を裏切るあっさりとした態度でそう認める。
「我が力をもって得た財宝と我が力をもって屈服させた弱者どもを使って遊戯に興じることの一体何が悪い? 所有物をどう使おうと、ボクの勝手だろう? キミたちにとやかく言われる筋合いも、横取りされる筋合いもないはずだがね」
 一見して筋の通った言い分だが、それは悪党の筋というやつだ。唾棄すべき海賊の理屈にヴィヴは戦意を昂らせた。
「そんなにお宝が大事なら大事にしまって一緒に閉じこもっていろ」
 猟兵の殺意を浴びて、ヨハンナは少々軽薄にかぶりを振った。
「わかってないなぁ。──財宝を略奪し、略奪し、略奪し尽くす!」
 突如張り上げられたヨハンナの声に合わせ、義眼のメガリスを象徴化したらしき海賊旗がはためいた。
「使いどころなど知ったことか、この海の誰よりも財を奪い尽くしこの手に掴む、それが海賊だ! 満足などできものか、この渇望が尽きようものか、閉じこもってなどいられようものかよ!」
 波に運ばれ、ダイナミックに上下しながら海賊船が迫りくる。そのマストにもまた同じ海賊旗。
「まぁ、で、普通に強敵なわけだが。まずはアレを凌がなきゃ話にならんわけか」
 やれやれ、とばかりに海賊船を見やる曲人。
「おー……船ね。凄いわねーアレも略奪した物なのかしら」
 李・桃花(天狼小姐・f25946)は感心混じりに海賊船の動向を眺めつつ、船体の側面から大量の突起物の影がせり出すと同時、自らの身の内よりほの青い微光を発し始めた。
「ま、どんなに立派な船でも、大将の懐に入ってしまえばこっちのものよね!」
 桃花が走り出すと同時、側面からの砲撃が始まった。大量の砲弾が練度の高い偏差砲撃で猟兵に降り注ぐ。
「っ……さすがに無防備だと無茶がすぎるかしらね……っ」
 咄嗟にオーラで防備を固め、拳で砲撃を打ち落とす桃花。逸れた砲弾が床で爆発を巻き起こす。
「そこもまたボクの領地だ!」
 ヨハンナの宣言と共に爆発箇所に突き立つ海賊旗。見れば、ヨハンナ自身も海賊旗の突き立てられた爆発跡に立ち、アンティークな装飾銃を猟兵へ突きつけてくる。
 ヨハンナからの銃撃も加わり、接近はさらなる困難を極めるかと思われた──が。
「砲撃が防げず避けられないなら話は早い……」
 新たに駆け込んでくる人影。光子の輝き纏うヴィヴ。
「全て叩き落す!」
 さらなる偏差砲撃が的確にその動きを捉えるが、着弾の寸前、幾筋もの閃光が砲弾ごと宙を切り裂いた。すっぱりと断ち切られた砲弾が空中で派手な爆発を巻き起こす。
 ヴィヴの高速移動は爆発を後方に置き去りにして突き進む。砲撃をことごとく撃ち落し、進路に突き立つ旗もへし折り、最速最短で一路ヨハンナの懐へ。
 銃撃での牽制も効かぬと判断し、ヨハンナは舌打ちしつつ手元に召喚した大量の金銀財宝を豪快にばら撒いた。
「そら分け前だ、せいぜい働いてくれたまえよ!」
 財宝に引き寄せられたかのように、異形の海賊達がどこからともなくわらわらと現れた。魚介類を思わせる名状し難い手足で金貨を体内に飲み込みながら猟兵へと襲い掛かるも、これもヴィヴの光刃が素早く叩き伏せていく。その足はただただ、全力で前へ。
「……足りないか!」
 さらなる財貨を召喚しようとするヨハンナ。しかし光が海賊たちを振り切って間合いを詰めるほうが速い。
「これが私の輝きだ……受け取れッ!!」
 振り下ろされる光刃。海賊旗ごと少女の体躯を切り裂く一閃。
 小さな悲鳴を上げてヨハンナが背後に退く。袈裟懸けの傷口から噴き出る鮮血。
「──この距離、とったわよ!!」
 同時に踏み込んだ桃花が覇気に満ち満ちた拳を振るう。ヨハンナは咄嗟に身を躱しカトラスで応戦するが、桃花もまたその剣閃をあっけなく躱してみせた。
「この距離だとアナタも巻き添えを喰らうかもしれないんだけど対策してる? どうかしら?」
 ヨハンナは返答の代わりに舌打ちと銃で応戦する。
 が、接近戦においては桃花に大いに分がある。至近距離の銃撃もあっさりと躱し、頬をかすめる痛みは無視、カトラスも軽々押しのけ、最後の間合いに深々と踏み込む──
「尊大な態度も良いけれど、油断してると鳶に油揚げを攫われるものよ? 気をつける事ね」
 燐光纏う拳が、少女の薄い腹を穿つが如く抉り込んだ。血痰を吐きながら大きく吹き飛ばされるヨハンナ。
「くぅ……っ」
 床に叩きつけられる前に、ヨハンナはまた財宝をばら撒いた。即座に現れた異形の海賊達がヨハンナの身体を受け止める。
 その瞬間、物陰より飛び出した第三の影が、その頭上に躍り上がった。
 大聖堂を支える柱の陰から陰へと地道に砲撃を潜り抜けた曲人だ。その目に映っているのは辺りに散らばる財宝ではなく、疑う余地なき罪人、ヨハンナ・グスターヴのみ。
「テメェ程懐に余裕があるわけじゃねぇんだがね。財宝代わりにテメェのツラを覚えて帰るとするぜ」
 閃くチェーンが群れ集る海賊達を一気に捌き、間髪入れず鉄パイプが渾身の力を乗せて振り抜かれる。咄嗟に動けぬヨハンナの側頭部へと。
 骨が砕けたかという不吉な音と共に、今度は横合いに吹き飛ばされるヨハンナ。収まりよく柱の一つに激突したのを確認すると、曲人は仲間達を振り返った。
「ところでよぉ。あの女シメた賞金ってのは、どこに言や貰えんのかね」
 問われ、はた、と顔を見合わせる桃花とヴィヴ。
「言われてみれば……賞金首の発行元ってどこなのかしら?」
「というかむしろ、天文学的額の賞金を支払う財力がどこの国家や集団に存在するのかという疑問が」
「それな」
 和気藹々と言葉を交わす猟兵達の後方で、激突されて脆くなった柱が轟音を立ててあっけなく倒壊していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリア・フォルトゥナーテ
【ダッチマン】
アドリブ連携歓迎

「あらぁ〜?海ですね〜?いいのかなー?陸の上だから肉弾戦で行こうと思ってたけど、海出されたなら、こちらも海戦に応じましょうかぁ?」

陸にはたどり着けない我が幽霊船の特性故、今回は諦めていたが、ここが海と定義されたのなら、限定的に召喚する余地ができた。

ヨハンナの出した海を突き破り、フライングダッチマン号を浮上させ、ペットのクラーケンも呼ぶ。

クラーケンに敵の触手を抑えさせ、ダッチマンの砲撃で敵船とヨハンナを撃ち倒します!

「不死身の幽霊船にどう抗うのか、見せてもらいましょう!撃てええええええええ!!!!」


一一・一一
【ダッチマン号】で参加

「海賊相手ならばこっちも海賊旗を掲げないとね!」

あえて身を前に出し偏差射撃を【答える者の助言】で怪人アンサーからワイヤレスイヤホンでタイミングをきいて『見切り』で回避します
そして相手が海賊旗を掲げたタイミングでこっちも「フライングダッチマン号の海賊旗」を掲げます
そして相手の攻撃を助言を聴きながら『見切り』ながら「スパイダー」で異形の海賊たちを絡めとりながら相手の海賊旗をこっちの海賊旗で「鎧砕き」の勢いで殴って砕こうとします
砕けたなら「海賊旗がない海賊なんて、笑えますねぇ」
といっておちょくりながら、砕けなくてもボスに接近し海賊旗で「鎧砕き」します


弘原海・静寂
【ダッチマン】
ようやくお出ましかい! 
……でもな、大海を『統べる』ってぇのは気に食わねえな。海ってのは誰のモノでもねえし、誰もモノにできねえからこそ海なのさ。
おめえさんの思い通りになんかならねえってことを俺が教えてやるよ!
例えそれが幻であっても、そこに『海』があるってんなら、泳ぎきってみせるぜ!

敵の幽霊船はきっとみんながなんとかしてくれるからよ
仲間を信じて俺が狙うは大将首ダァ!

【迷彩】【水泳】で合間を縫って接近し、【激痛耐性】にあかせたUCで【捨て身の一撃】を叩きこむ!
たったひとカスリでいい、【毒使い】の【継続ダメージ】を与えて、味方に有利な状況が作れるはずだ。

幽霊船長一名様をあの世へご招待さ


緋神・美麗
【ダッチマン】

全く、海賊名乗って略奪行為を行うなら略奪される覚悟もしておきなさいってのよ。名折れどころか存在そのものを完全粉砕してあげるから覚悟なさい。

やたら数だけは召喚してくるわねぇ。これはちまちま潰すのも面倒ね。一気にまとめて薙ぎ払いましょうか
拡散極光砲で異形の海賊達もろともヨハンナを吹っ飛ばす
「雑魚は引き受けるから海賊船とかはお願いね」
「さて、無駄に数ばかり召喚するせいですごい勢いで財宝が消えているみたいだけど、私の相手を続けれるだけの貯蓄は十分かしら?」

ヨハンナを倒したら義眼型メガリスは粉砕しておくわね。
「そのメガリスは気に食わないわね。跡形も残さないわよ。」



●大聖堂海戦を制して
「……っ。クソ……」
 折れ曲がった柱の袂から、小さなうめき声が上がった。
 立ち込めていた塵埃が退き、ヨハンナが頭を押さえて立ち上がる。柱にの残骸には、激突のクッションにされたと思しき異形の遺体が無残に潰れてへばりついていた。
 待ちわびたとばかりに声を上げる弘原海・静寂(深海から来た水棲生物のキメラ・f22225)。
「ようやくお出ましかい!」
「うるさいヤツだな……」
 ヨハンナは頭痛や眩暈を払うように一度頭を振ると、次の瞬間には隠しきれない消耗を無理やりに押さえつけ、強い眼差しで猟兵達へと向き直った。
 口許を吊り上げる静寂。
「ちっこいわりになかなか根性据わってやがる。……でもな、大海を『統べる』ってぇのは気に食わねえな。海ってのは誰のモノでもねえし、誰もモノにできねえからこそ海なのさ」
 静寂は挑戦的な視線を、ヨハンナから戦場の周囲を巡る幻の波へと移す。
「おめえさんの思い通りになんかならねえってことを俺が教えてやるよ!」
「そうかい。やってみればいい。できるものならね」
 ヨハンナは淡々と指を鳴らした。大量の財宝が間欠泉の如く湧き出し、眩い黄金が辺りを彩っていく。
「全く、海賊名乗って略奪行為を行うなら略奪される覚悟もしておきなさいってのよ」
 緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)は大量の敵の出現に備えつつも、敢然とヨハンナへ指を突きつけた。
「名折れどころか存在そのものを完全粉砕してあげるから覚悟なさい」
「……本当にうるさいなあ。揃いも揃って説教好きか」
 呆れるようにぼやくヨハンナの周囲の黄金を、我先にと拾い集める異形が続々と数を増やしていく。十、二十、瞬く間に百……いやそれ以上。
「海が誰のモノでもないなら強い者が手に入れるのが道理、略奪を覚悟するのは弱者の理論。わかっていないのはキミらだよ。……海賊にはゼロか100しかないのさ!」
 戦場が瞬く間に異形に埋め尽くされていく。なおも黄金の噴出は止まらない。
「雑魚は引き受けるから海賊船とかはお願いね」
 仲間達に後方を任せ、美麗は頭上に手を掲げ光を集束させる。その間にも増え続ける異形達。
「やたら数だけは召喚してくるわねぇ。ちまちま潰すのも面倒だし、一気にまとめて薙ぎ払いましょうか」
 目映いばかりに凝縮した手の中の輝きから光線が一閃する。レーザーの如き照射光に薙ぎ払われた異形達がごっそりと消し飛んでいく。
 瞬く閃光、消える異形、尽きず噴出する黄金、尽きず追加されていく異形、さらに瞬く閃光……延々とこの繰り返し。
「さて、無駄に数ばかり召喚するせいですごい勢いで財宝が消えているみたいだけど、私の相手を続けられるだけの貯蓄は十分かしら?」
 ヨハンナを巻き込む形で光線を投げかける美麗。
「心配いただかなくとも結構だ。だがもちろん、支出は抑えるに越したことはない」
 ヨハンナは紙一重で光線を躱しながら、尊大な仕草で片手を掲げた。応えて、大聖堂を周回していた幻の波が海賊船を連れて戦場に舞い戻ってくる。
「きたきたきたァ! 例えそれが幻であっても、そこに『海』があるってんなら、泳ぎきってみせるぜ!」
 静寂は嬉々として宣言するや大波へと立ち向かい、自ら波に呑み込まれ姿を消した。
 海賊船は静寂のことなどどこ吹く風でヨハンナを船首に拾い上げると、その指揮のもと大量の砲台で猟兵陣営を捉えた。
「さっそく来たか……アンサー、8回まで相手の動きを答えるっす!」
 一一・一一(都市伝説と歩む者・f12570)は駆け出しながらワイヤレスイヤホンのマイクに叩きつけた。耳の奥でぼそぼそと、ノイズのような囁き声が響く。怪人アンサーの助言だ。
 一一はあえて敵の射線上に躍り出ると同時、助言に従い複雑な軌道を描いて戦場を駆け抜けた。一一の通り過ぎた紙一重を爆ぜる砲撃。感覚や勘任せの回避はできずとも、都市伝説の力ならば突破するのはわけもない。
「……面倒な奴がいるな。だが、ボクの『旗』を見て無事で済むと思うのかい?」
 船上でヨハンナが呟くと同時、広範囲に広がった着弾点にヨハンナの海賊旗が次々と掲げられていく。
「海賊相手ならばこっちも海賊旗を掲げないとね!」
 一一の手に高々と掲げられたのはフライングダッチマン号の海賊旗。修道女のウィンプルをかずいた骸骨が、幻の潮風に煽られ享楽的な笑みを波立たせた。
 さて。その図案のモデルと思われるマリア・フォルトゥナーテ(何かを包んだ聖躯・f18077)はというと……
「あらぁ〜? 海ですね〜? いいのかなー? 陸の上だから肉弾戦で行こうと思ってたけど、海出されたなら、こちらも海戦に応じましょうかぁ?」
 迫りくる大波に、舌なめずりする勢いで嬉々としていた。
 陸にはたどり着けない特性上、幽霊船については半ばあきらめていたのだが……ここが海と定義されたのならば、限定的にでも召喚する余地ができたと言える。
「というわけで……陸の仕事だ、つべこべ言わずに働けェ!!」
 声高らかに呼ばわれて、幻の海を割って幽霊船フライングダッチマン号が浮上するや否やヨハンナの海賊船への砲撃を開始した。
 ヨハンナを乗せた海賊船も即座に砲撃の標的を変え応戦してくる。二隻の船は有利な位置取りを狙って常に動き回り、大聖堂内部に渦を作るように互い違いに行き交う。
「ふっふっふ。こちらの手駒が海賊船だけだとは思わないことですね!」
 マリアの目がきらりと輝く。
 次の瞬間、敵海賊船の真下からびっしりと吸盤に覆われた触手が伸び、船体に叩きつけるように取りついた。深海の怪物クラーケンの蠢く多肢が海賊船をがんじがらめに押さえつけていく……
 海戦が佳境を迎えたことで、地上の猟兵達は偏差砲撃の脅威から解放された。
「よし。敵陣を突っ切るっすよ、アンサー!」
 一一はフライングダッチマン号の海賊旗を豪快に構え直すと、今度は異形の海賊達がひしめき合う戦場へと突撃を仕掛けた。その動きを察した美麗が光線で一一の進路を薙ぎ払う。
 一直線に拓かれた道を一一は駆け抜けた。寄り集ってくる異形達を射出ワイヤーで絡め取って動きを封じつつ、辺りに突き立てられたヨハンナの海賊旗をダッチマン号の旗で次々に殴り砕いていく。地形の影響力を失って、異形達はいっそう脆く光線に屈していく。
 そして同時に、海戦の決着は目前だった。クラーケンにがんじがらめにされた敵海賊船はまともな方向転換もままならず、砲台の射線を確保できぬまま一方的にフライングダッチマン号の射線に晒された状態へともつれ込む。
「不死身の幽霊船にどう抗うのか、見せてもらいましょう! 撃てええええええええ!!!!」
 喉も裂けよとばかりのマリアの号令が轟き渡り、幽霊船の砲台という砲台が火を噴いた。
 砲撃は余さず海賊船を派手に撃ち抜いた。多発する爆発。海賊船が姿勢を崩し、墜落を開始した。
 その様子を幻の波間に見て、ほくそ笑む影が海中に一つ。
 鎮火と状況収拾に忙しい海賊船はその接近に気づかない。
「やってくれる……!」
 爆発の衝撃に巻き込まれたヨハンナは、ギラつく瞳に屈辱を映して、一人船上からの脱出を試みようとした──その時。
「──!」
 ヨハンナは反射的に身を退いた。鋭い殺気が鋭利に反り上がった針の形をして肩をかすめる。
 振り返ったそこに立っていたのは、幻の海水に全身を濡らした静寂。
「このデカブツはきっとみんながなんとかしてくれるって思ってたからよ。仲間を信じて俺が狙うは大将首ダァ!」
 畳みかける静寂の針。ヨハンナは紙一重の回避を繰り返すが、積み重なった消耗が足をもつれさせ、針がかすめるたびに浅からぬ傷を皮膚に刻みつけられていった。
「海に紛れてこの機を狙ってたわけかい、ずいぶんと周、到……な……」
 不自然なまでの強烈な眩暈が、ついにヨハンナの足をもつれさせた。幼い身体が砲弾に破壊された舷縁をあっけなく乗り越え、船外へと落ちていく。
「幽霊船長一名様をあの世へご招待さ」
 あえなく墜落していくヨハンナを見送る静寂の手の中で、アンボイナの猛毒針がヨハンナの血を滴らせて怪しく輝いた。
 異形の海賊を下敷きになんとか床との激突を免れたヨハンナは、猛毒のもたらす猛烈な吐き気と眩暈と戦いながらなんとか立ち上がる。一拍遅れ、その背後に煙を上げて墜落する海賊船のマストの海賊旗は、すでに炎に食い破られて原型を残していない。
 残されたのは、地上に突き立てた海賊旗のみ。その最後の一流も、ヨハンナの目前で修道女骸骨の海賊旗に砕かれる。
「海賊旗がない海賊なんて、笑えますねぇ」
 おちょくるような声で笑って、一一はヨハンナへの距離を一挙に詰めた。旗の先端が義眼のメガリスを狙う。
 ヨハンナは全余力を義眼に集中させて力場を展開し、海賊旗を押しとどめた。ほんの拳一つぶんの距離でぶつかり合う力と力。
「く、そ……がぁ──っ」
 拮抗は一一の勝利に終わった。力場が弾け飛ぶ衝撃が押し負けたヨハンナをよろめかせ、一一は素早く横に退き射線を開ける。
 大きく見開かれるヨハンナの異なる両眼を、視線の先に集束する光が眩く射る。
「そのメガリスは気に食わないわね。跡形も残さないわよ」
 光の矢の如く戦場を一閃する光輝。
 甲高い少女の絶叫とメガリスの砕ける音は、満ち溢れる白にかき消された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マチルダ・メイルストローム
惜しげもなく財宝を配るとは、さぞかしたんまり溜め込んでるんだろうね。
あたしとしちゃそんなチンケな財宝よりもあんたの目玉に興味があるんだけど、とっとと置いて帰っちゃくれないかい?
だろうね。それなら……首から上ごと貰ってやるよ!

化け物がわらわらと……1万は越えてそうだね。
どれだけいようと本物の怪物には適わないって教えてやるよ!

秘宝「シー・ミストレス」を放り投げ指定UCを発動、シー・ミストレスを海竜に変化させるよ。
海賊船も乗員も残らず叩き潰しな!

海賊どもが片付いたらあたしにも襲い掛かる節操なしだ。海賊どもを襲っている間にあたしはヨハンナに「切り込み」、「怪力」と「早業」の剣術でぶった切る!



●全てが尽きる時
 ヨハンナは義眼を抑えた。割れた義眼から手のひらにポロポロと欠片が零れる。
「負け……る? ボクが……?」
 破滅を前にして絶望に染まりかけた表情が、転瞬、怒りへと染め変えられる。
「いいやまだだ……我が財尽きるまで、ボクの敗北はありえない……!」
 歯止めを失ってばら撒かれる黄金、わらわらと現れる異形達。
「惜しげもなく財宝を配るとは、さぞかしたんまり溜め込んでるんだろうね」
 マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)はさして食指も動かないと肩をすくめる。
「あたしとしちゃそんなチンケな財宝よりもあんたの目玉に興味があるんだけど、とっとと置いて帰っちゃくれないかい? もう壊れかけてるんだ、いらないだろう?」
「うるさい! 誰がやるものかッ!」
「だろうね。それなら……首から上ごと貰ってやるよ!」
 挑戦的に笑って、マチルダも自身のメガリスを掲げた。見渡す戦場には大量の、ゾンビの如き異形の海賊ども。
「化け物がわらわらと……1万は越えてそうだね。どれだけいようと本物の怪物には適わないって教えてやるよ!」
 異形達の直上へと放り投げられる秘宝「シー・ミストレス」。
 燦然とした輝きと共に、巨大な海竜が再び顕現する。
「海賊船も乗員も残らず叩き潰しな!」
 蹂躙が始まった。竜の咆哮が、巨大な躯体が、逆巻く水流が、大量の敵を大いに薙ぎ払っていく。ヨハンナはなんとか幻の波でボロボロの海賊船を立て直そうとするが、海竜の巻き起こす水流が波を押し返し、海賊船を荒波でもみくちゃにしていく。
 一方的な戦いぶりだが、海賊どもが片付いたら召喚主にさえ襲い掛かる節操なしだ、マチルダとて油断できない。大量の敵に執心してくれているうちに、マチルダは海竜の死角を選んで戦場を駆け抜けた。瞬く間に変わる景色。異形の生垣の向こう側にヨハンナの姿が見えてくる。
 海竜の攻勢を異形の壁で食い止めていヨハンナた、新たに飛び込んできたマチルダの姿に慄然と瞠目した。
「くそ──くそっ! 来るなぁっ!!」
 新たな財宝を召喚しようと振りかざされた掌から、黄金は現れなかった。
 無尽蔵と思われた財宝が、ついに尽きたのだ。
「そん……な」
 満足に動かぬ身体、罅の入ったメガリス、尽きた財。
 呆然とした瞳に、渾身の力をもって湾曲した刃を振り抜くマチルダの姿が映り込む。
 棒立ちのまま、ヨハンナはその首に鋭い剣閃を受け入れた。

●未来へと進む島
 『大海統べる災厄』ヨハンナ・グスターヴ。
 財と命を弄ぶ悪辣な独裁者は、大聖堂に斃れた。
 その全身は海水へと変じ、床に無害なシミを作るのみ。義眼の役を担っていたメガリスだけが地面に転がり、それもひずんだ音と共に粉々に砕け散った。
 勝利を手にした猟兵達は踵を返し、大聖堂を後にする。
 無事な姿で戻ってきた猟兵達の姿を一目見て、固唾を呑んで帰還を待っていた島民達が安堵と喜びの歓声を上げた。
 戦場となった荒野はあちこちボコボコで、元戦車だった大量のスクラップが点々と転がり、島民達もボロボロだ。ヨハンナの独裁が終わろうとも、この島の過酷な環境が変わるわけではない。
 それでも、解放に湧き立つ人々の笑顔は、生きる喜びと未来への希望に、確かに満ち溢れているのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月24日


挿絵イラスト