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過去との死合

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 草木も眠る丑三つ時、その男は帰りを急いでいた。酒は少し入っていたものの、足取りは軽くしっかりとしている。鋭い眼光、隙のない身のこなし。男はとある剣術の中伝の腕前を持つ、武士であった。
 男は川辺りを早足で歩きながら帰路を急いでいたが、不意に足が止まった。

「何者だ?」

 達人の域にあるからこそ、男はソレに気付いた。柳の下、夜陰に紛れるその影に。影は、答えない。逆手で腰の刀を抜くと、刹那で斬りかかった。
 男と影が、交差する。男は動かず、影は駆け抜けて――しかし、地に伏したのは影の方だった。いつ抜いたというのか、男の手には抜き身の刀が握られている。あの一瞬で居合による斬撃を放ったのだ。男は刀を鞘に納める事なく、小さく呟く。
「――おのれ、物の怪の類か」
 ザッ! と草履の底を鳴らして、男はすぐさま振り返る。そこには、立ち上がった影……いや、正確には天地逆さまのまま、宙吊りになった影がいた。
「この程度では、我が主と死合う資格なし」
 影の右腕から伸びる真紅の骨、その長き骨の腕が一本だけで影の体を浮かせているのだ。
 男は刃こぼれした己の刀を振るい――しかし、それよりも早く放たれた斬撃にその首を切り飛ばされた……。

「辻斬り、サムライエンパイアではそう呼ぶらしいの」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、そう渋い表情で告げた。
「どうやら、腕の立つ武人が多くそこでは辻斬りにあっておるらしい。しかも、それがオブリビオンとあっては、いかな剣の達人と言えど一筋縄ではいかんじゃろう」
 だからこそ、おぬしらの出番じゃ、とガングランは顎髭を撫でながら語る。
「ただ、次にこの辻斬りがどこで起きるかまでは不明での。まずはそこから調べる必要があるじゃろう」
 おそらく、辻斬りの背後にはさらなる強大な力を持つオブリビオンがいる。このまま、放置などできようはずもない。
「これ以上、被害を広げる訳にはいかん。頼んだぞ」


波多野志郎
剣豪小説とか、そういうノリが大好きです。どうも、波多野志郎にございます。
今回はサムライエンパイアで起きる辻斬り事件、その裏にいる黒幕へ挑んでいただきます。。

まずは、次に辻斬りが現れるだろう場所を見つけ出すために情報収集をしていただきます。



それでは、存分に死合いましょう。
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第1章 冒険 『闇夜に紛れて』

POW   :    辻斬りに真っ向勝負を仕掛ける

SPD   :    事件現場の調査や目撃者探し

WIZ   :    これまでの傾向から次の事件を予測して辻斬りを誘き出す

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ツーユウ・ナン
【POW】
まずは辻斬りとやりあってみたいのう…
直接、夜道で獲物を決める手口ならば足で探すが、市中の評判やらを事前に調べ、目星を付けて狙う手口であれば難しいか?
であれば、こうだ。昼間のうちに市中で「少しばかり派手な挨拶」をしておき、その上で夜道をぶらついてやろうじゃないか。

・昼間、剣術道場や名の通った武芸者に勝負を挑んで名を売っておく(無用な殺生のないよう暴れる)[存在感][戦闘知識]
・市中に話題を作った上で夜道をぶらつく
→ツーユウの武術:近接短打の剛猛な拳法。踏み込み(震脚)からの強い発勁が特徴、肘撃・靠撃も得意とする。
 どうじゃ、わしの拳を試してみるか?


館・美咲
・心情
辻斬り、ですか。
これを撃退…解決すれば私のジェット居合流も名が上がるというものですね。張り切って望まねば。

・事件現場の調査や目撃者探し
辻斬りに真っ向勝負を挑みたいところですが、どこに出るか分からないではどうしようもないですし、まずは情報収集ですね。
これまでに辻斬りがあった現場の地形や並木の種類、位置などを把握しておきましょうか。
目撃者とかが居れば話を聞きたいのですが…。
運よく人通りとかがあるとは限りませんし、ちょっと人目に付くものでも作りましょうか。
ガジェットショータイムで見世物になりそうなものが出てくれば人も集まって、その中に目撃者もいたりするでしょう!

「そーれ、レッツショータイム!」


ファン・ティンタン
辻斬り、ね…
実力誇示したいなら普通に死合えば良い
なのに、そうしないのなら…
“卑怯な勝ち方をした外道”と謗りを受けても、仕方ないよ?

【WIZ】腕試し、始めました

敵が腕の立つ剣客を狙うなら、まずは名を売らないと
領藩主に天下自在符と【コミュ力】で取り入り、剣技御披露目(不殺)の場を設けてもらう
野にいる剣客からの自由挑戦も受け付け、“ファン=強い剣客”と名を広める
暇があれば、剣術指南もして貢献しとこうか
※協力出来る猟兵がいれば模擬戦風でも良し

その上で、藩内に辻斬りを扱下ろす悪評を流してもらう
文面は、そうだね…
『領内ニ辻斬ル不逞ノ輩有リ。闇ニ紛レ虚ニ乗ジル外道為レバ其ノ行イ畜生ニモ劣ル』

さて…釣れるかな


リンタロウ・ホネハミ
剣の達人がやられるとかこっわ……いやぁ、あんまり相手したくねぇ手合っすねぇ
オレっち正面戦闘は苦手な方なんで、特にね……
ま、とは言っても仕事っすから。賃金分は頑張るっすかね

まー何はともあれまずは現場検証っす
【SPD】判定っすね
辻斬りがあったっつー場所を片っ端から探して練り歩いてつぶさに確認
知ってそうな人にも片っ端から話を聞くっすよ
そうやって辻斬りに共通するところを洗い出していくっす
次の犠牲者がいつ出るか分かんねぇ以上、手早くぱぱっとやんないとっすね
「ダッシュ」で現場間を駆け巡り、「気合い」で長時間調査を続ける……
傭兵の体力と根性の見せ所っす!

アドリブ大歓迎


明星・豹麻
多くの人が被害に遭っているからこれ以上被害を増やす訳にはいかないね……。とはいえ闇雲に戦いを挑んでもこちらが不利になるだけだから、まずは情報を集めよう。
事件現場を調査をすれば敵の痕跡や何か知ってる人がいるかもしれないから俺は聞き込みをする。警戒心を与えないように笑顔で真摯に話しかけていく。友好的な印象を与えれば些細な事も答えてくれるかもしれないからね。


田抜・ユウナ
辻斬りなら勝手にやってくれって感じだけど、オブリビオンが相手なら放っておけないわね。

さて、ヒントが足りないかしらね?
ここはひとつ、古式ゆかしく「辻占」でもやってみようかしら。
交差点に突っ立って、ぼうっとしながらインスピレーションが下りてくるのを待つ。
夜風に当たりながら月を眺めているような気持ちで、何も考えず道行く人の話し声に耳を傾けているうちに、自然と心に浮かんできた場所へと向かう。

さて、そこに辻斬りがいるのか、次への手掛かりか、はたまたハズレか。


シナリオの趣旨に合うか分かりませんが、却下上等の気持ちで


セゲル・スヴェアボルグ
死合だか何だか知らんが、力量差のある相手とやりあったところで、そんなものは蹂躙にすぎん。
達人と言えど、一般人である武士にそんな資格を求めていること自体が浅はかだな。

【POW】
武人達は辻斬りにあっているのだろう?
ならば、事件のあった場所を虱潰しに探すまでよ。
むしろ、こちらが待ち構えてやってもいい。
殺気立てでもしていれば【おびき寄せ】るぐらいはできるだろうよ。

遭遇した際には【無敵城塞】で敵の出方よ見るとしよう。
無論、隙があればこちらも打って出るつもりだがな。
少なくとも普通の生物ではないのは明らかだからな。
加減をするほど甘くはないぞ?


芙蓉・葵
【POW】

前回も丑三つ時に出たんじゃし、橋の欄干に腰掛け
漆塗りの盃で日本酒を飲みつつ、現われるのを待つと
しようかのう。
橋なのは、ほら、牛若丸と弁慶も橋で戦ってたじゃろ。

・現われたら
「待っておったぞ、辻斬り」
酒器を欄干に置き臨戦態勢

片手で指笛を作って鳴らし、捜索中の猟兵達へ敵の発見を
知らせる。

あとは時間稼ぎじゃ。ドラゴニアン・チェインで逃亡を
阻止しつつ徒手空拳で応戦。
「どうじゃ? わしはお主の御眼鏡には適ったかの?」

なお、他に仲間がいる場合は全員が揃うまで、互いの隙を
埋めるべくカバーしつつ戦う。

・現われなかったら
「当てが外れたのう。まあ、月を肴に美味い酒が飲めたからよしとするかの」
ともう一杯。


九鬼・雷堂
辻斬りねえ。
しかも腕の立つ武人目当てとは。
こいつは丁度いい。
自分がどれだけあの時から成長したか比べるいい機会だ。

下手な小細工なんか性に合わねえ。
真っ向勝負と行こうじゃねえか。

立て看板に挑戦状を貼り付けて街中に配置するぜ。
果たし合いの場所は、川近くの橋にでもしようか。

あとは橋の真ん中にどんと座ってヤツの来るのをのんびり待つとするかねえ。
ああ、ついでに『天下無双』とでも書いた旗も立てておくか。
のんびりと街はするが常に周りの気配を探るのと、ゆったり剣気を練るのは忘れずにな。

来るも良し、来ないも良し。
奴さんが誘いに乗らず、別所で辻斬り騒ぎが起きた場合は、そっちに急いで駆けつけるぜ。


鷲生・嵯泉
使い走りの辻斬り、か
通り魔と言った方が相応しい気もするが
まあ、どう呼ぼうが始末するべき相手という事には変わらんか

先ずは地図相応の物があれば入手を図る
礼儀作法で礼を失さぬよう注意を払いつつ
今迄に現れた場所や時間、襲われた人物像等を聞き込み
重なる部分や似通った状況、特徴の有無を調べるとしよう
どんな些細なものでも構わん、出来るだけ詳しく聞いておきたい
後はその情報を元に
次に一番現れると思しい辺りを中心に探索を進める

人に害成す連中を何時までも横行させておける程
私は生憎と暢気では無い
背後に潜む者共々、必ず引きずり出してやろう


陰白・幽
辻斬り、お話の中とかでは聞いたことあったけど~ここには本当にいるんだね。どんなオブリビオンなのか、ちょっとワクワク……被害者がいるから、真面目にしなくちゃ……だよね

辻斬りがお侍さんを待ち伏せしてるならこっちも待ち伏せをして正体をつかまなくちゃ。
待ち伏せする場所は皆の調べてくれた情報を元に決めたいと思うな。

木の陰とか、曲がり角の角に隠れて現れるのがお約束だよね。【忍び足】【暗視】を使って上手に夜の闇に紛れるよ。
辻斬りとあったら【野生の勘】を活かして辻斬りの攻撃をぎりぎりで躱して、UCを当てることで逃がさないように捕まえようと思うよ。
「辻斬りの、正体みたり、オブリビオン……最初から~知ってたけど」


ディスターブ・オフィディアン
第三人格で行動
【WIZ】
「これ以上の犠牲者を出さないためにも、一刻も早くこの事件を解決しなくては」
可能であればボク自身が囮を務め、辻斬りをおびき出したいところですが、やみくもにやっても仕方ありません。
まずは事件があった場所や時刻、あるいは犠牲者の服装や持ち物で狙われやすい時間や場所を調査
ある程度の情報がまとまったら現場に向かい、周辺の店や今回の犠牲者がお酒を飲んでいたという店に言って情報収集をしましょう
コミュ力や言いくるめを活用して、何か不審な人間を見なかったか、犠牲者が何か変な話をしていなかったか聞いておきましょうか



●情報を調べに
 夜、五ツ半――二十一時を回った頃。
「へ、お待ち」
「お、美味そうだな」
 蕎麦屋の店主が差し出したどんぶりを受け取り、明星・豹麻(慈愛の流浪剣士・f02965)が目を輝かせた。夜鷹そば、そう呼ばれる担い屋台は、夜にも空いている貴重な外食の場だ。豹麻は熱い蕎麦を啜りながら、店主に語りかける。
「最近は辻斬りがあって物騒なんだろ? 大丈夫か?」
「ははは、辻斬りが出るってもね。何でも腕が立つお侍ばっか狙われてるって話だ。あっしのようなしがない蕎麦屋を狙ったりはしねぇみてぇですぜ?」
 豹麻の屈託のない笑顔に気を良くしたのか、店主も笑顔だ。表情に愛想と同時に、自分には何も関係ないのだという傍観者の余裕がある。それに気付きながら、豹麻は続けた。
「ふぅん、でもついこの間、このあたりで一件あったらしい。何か知らないか?」
「あっしはこの界隈を点々としてやすけど、現場に出くわした事はねぇですからね」
 店主は、考え込む事しばし。思い出したように、言った。
「そうそう、最近ってぇならあれですよ。この辺りの道場に道場破りが出てるらしいですぜ? あっしにはそっちの方が困ったもんっすよ。道場破りに負けた連中、夜には出歩かなくなっちまって、客が減っちまいましてね」
「あー、悪い」
 豹麻は、いっそ痛快と言うように、笑っていった。
「その道場破り、俺の『仲間』かもしれない」

●宵闇に戯れる
「良いのぅ、思った以上に楽しめる」
 夜道を歩きながら笑みをこぼしたのは、ツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)だ。昼間、市中で有名となった道場破りは他ではない、彼女だ。サムライエンパイアの道場もピンからキリがあるものの、ツーユウを楽しませてくれる剣術の使い手もいた。
(「しかし、肝心の辻斬りには会えぬのう」)
 市中の評判やらを事前に調べ、目星を付けて狙う手口かと思い市中で「少しばかり派手な挨拶」を試みて見たのだが――当てが外れただろうか?
 ツーユウが、そう思っていた時だ。

「――ッ!」

 不意にぶつけられた殺気に、ツーユウの総毛が立った。もはや、物理とも見間違うほどの殺気だ。ツーユウはもはや条件反射で身構え、地を蹴った。
 ダン! と強く地面を踏みしめる震脚から、殺気の主の懐へと背中から突撃した。不意打ち気味の靠撃は、しかし、殺気の主の大きな手によって受け止めた。
(「ほう――!」)
 ツーユウの口元が、凶悪に吊り上がる。後ろに引く一歩で振り返り、ツーユウは左右の肘撃を叩き込む! それを殺気の主はその堅牢な大鎧で、耐えきった。
 だが、その肘撃は繋ぎだ。ドン! と相手の股へと深く踏み込む震脚からの靠撃を――。

「む? お前さん、猟兵か?」

 ゴォン! と重盾【スィタデル】を構えた無敵城塞で防いだセゲル・スヴェアボルグ(ドラパラ・f00533)が、苦笑した。
「そういうおぬしもか……歯応えのある相手じゃと思えば。いきなり殺気を叩きつけられて、辻斬りかと思ったじゃろうが」
「ガハハ! いや、すまんすまん。俺もかなりの腕前の者がいたもので辻斬りと思ってついな」
 ズン、と重盾【スィタデル】を地面に下ろし、セゲルが豪快に笑う。ツーユウとしても、それ以上言及するつもりはなかった。ただほんの数十秒の攻防であったが、昼間の道場破りよりの何倍も心躍った事だけは確かだ。
「ここで会ったのも何かの縁だ。情報共有するか?」
「ああ、良いじゃろう」
 セゲルの提案に、ツーユウもうなずく。こうして、彼らは自分の持つ情報を互いに交換した。

●推理する者達
『領内ニ辻斬ル不逞ノ輩有リ。闇ニ紛レ虚ニ乗ジル外道為レバ其ノ行イ畜生ニモ劣ル』
「他の方もうまく動いているようですね」
 ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)が立て看板を見上げ、呟いた。その隣では、鷲生・嵯泉(烈志・f05845)が小さくうなずく。
「道場破りを受けて、夜に出歩く連中が減ったらしい。そのおかげで、辻斬りの被害は最近出ていないみたいだ」
「そうなると、向こうは今はボク達と同じ状況なのでしょう」
 嵯泉の言葉に、ディスターブが自分の予測を口にする。
「向こうは腕が立つ相手を、きちんと下調べして襲っていたようです。でも、その候補連中が道場破りにあって、出歩かなくなりました」
「だからこそ、候補を調べ直しているという事か」
 ディスターブの意図に気付き、嵯泉も自分の中で一度情報を噛み砕く。少なくとも、ツーユウの道場破りは被害の拡大を防ぐ効果はあったのだ。こうなると、後は猟兵達が辻斬りの痕跡を掴むか、誰かが襲撃に合うかの問題だ。
「これ以上の犠牲者を出さないためにも、一刻も早くこの事件を解決しなくては……もう少し、情報を精査したいところですね」
「それなら、もうすぐ合流――」
 するはず、と嵯泉が続ける前に、その声は後ろから投げかけられた。
「仕事っすから。賃金分は頑張ったっすよ」
 そこに立っていたのは、リンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)だ。カリカリ、と骨をかじりながら、嵯泉へと歩み寄る。
「いやー、今回はさすがに骨が折れたっすよ」
「現場の情報を頼む」
「足で稼いだ情報っすからね、結構あるっすよ」
 とにかく足で稼いだリンタロウの情報は、辻斬りがあった現場のものだ。その件数、誰が襲われたのか、その事前の足取り、目撃証言などなど――リンタロウの報告を受けて、嵯泉は事前に入手していた地図に印をつけていく。
「……この川から、100メートル範囲以内で起きているみたいだな」
「そうなると、次もこの川周辺でしょうか?」
 ディスターブの疑問に、答えられる者はいない。ただ、可能性は高い。
「もうちょっと、調べてみるっすよ」
 リンタロウは、その足で再び走り出す。傭兵の体力と根性の見せ所――そして、嵯泉とディスターブは仲間に情報を伝えるために、その場を分かれた。

●剣技御披露目
 ファン・ティンタン(天津華・f07547)は、小さくため息をこぼした。
「思ったより、盛況よね」
 領藩主に天下自在符を見せ、ファンは剣技御披露目の場を設けてもらっていた。そんな彼女と試合をして、名をあげようという自由挑戦も受け付け名も知られるようになっていた。そんなファンの試合を一目見ようと、町の人も集まるようになっていた。
 そんな人混みで、ファンとは違う意味で関心を集める者がいる――館・美咲(ジェット居合流伝承者・f01503)だ。
「そーれ、レッツショータイム!」
 ガジェットショータイムで、さまざまな形のガジェットを召喚する見世物は、特に子供に大人気だ。割れんばかりの拍手を受けて、美咲は優雅に一礼した。
(「目撃者がいたのは、良い成果でしたね」)
 美咲が聞き出せた情報では、辻斬りがあった場所から黒尽くめの男が去っていく姿を見たという目撃証言が得られた。美咲が事前に調べていた辻斬りの現場の一つと、日時も一致した。それが辻斬りと思って間違いないだろう。
(「情報を集められただけでも、目的は果たせたかな――ん?」)
 ふと、ファンが人混みが左右に割れるのを見て、そちらに視線を向ける。人が別れた先からやって来たのは、『天下無双』とでも書いた旗を担いだ九鬼・雷堂(ナインライヴス・f00769)だ。
「オレの挑戦、受けてくれるか?」
「いいわよ」
 互いに相手が猟兵だとわかった上での、試合の申し入れだ。ざわつく人混みに、雷堂は自然な動きでサムライブレイドを抜いた。ファンも、天華をすらりと抜く。ファンがタン、と軽い拍子で一歩踏み込むと――刹那に、数メートルの距離を一気に詰めた。
「――フッ!」
 だが、その時には既に雷堂は刃を振り上げている。構わず振り下ろした雷堂の刃を、ファンは薄皮一枚で見切り横へ。振り上げの斬撃をファンは返すが、雷堂は柄頭で刃を弾き、止めた。
 雷堂の嬉々とした瞳と、ファンの無感動な瞳が交差する。ファンが速度を早め、雷堂がそれをどっしりと迎え撃つ――その高度な技の応酬に、観客達が沸いた。

(「……あれは――」)
 そんな人混みから、離れていく人影を美咲は見つけた。雷堂とファンの戦いは、未だ続いている。それがおかしいと気付いたからこそ、美咲はしっかりとその人影が消えた方向を覚えていた。

●月が見ていた
 丑三つ時。月を見上げ、田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)は小さく微笑んだ。
「さて、ヒントが足りないかしらね? ここはひとつ、古式ゆかしく「辻占」でもやってみようかしら」
 ユウナは交差点に立ち、ぼうっとしながらインスピレーションが下りてくるのを待つ。ヒュウ、と吹き抜ける夜風。何も考えず月を見上げ、風の音へと耳を傾けているとユウナは自然と心に浮かんできた場所へと歩き出した。
「さて、そこに辻斬りがいるのか、次への手掛かりか、はたまたハズレか」
 答えは、まだわからない。ただ、心に従ってユウナは歩き出した……。

(「――さて、どうしたものか」)
 辻斬りは、決めかねていた。次はあのファン・ティンタンという女か、『天下無双』と傾いた侍……後は、あの道場破りの凄腕か。どれもこれも、試すに値する腕前だと悩んでいたのだ。
 まずは手頃なファン・ティンタンを――そう思っていた時だ。
「待っておったぞ、辻斬り」
 橋の欄干に、腰掛けていた女がいた。日本酒をなみなみと注いだ漆塗りの盃を傾け飲み干すと、欄干に盃を置いて立ち上がる。
「ほう?」
 辻斬りは、小さく笑う。ここにもいた、極上の獲物だ。どうした事か、これほどの獲物が一度に集うとは! 辻斬りは、笑わずにはいられなかった。
「どうじゃ? わしはお主の御眼鏡には適ったかの?」
「ク、ハハ! 応よ!」
 辻斬りが、低く身構える。それと同時、女――芙蓉・葵(扶桑花・f11791)は指笛を作って鳴らした。
「――――」
 辻斬りが、体の中からさらけ出した真紅の長き腕の骨を振るおうとする。だが、タン、と橋の欄干に降り立った小さな影が呟いた。

「辻斬りの、正体みたり、オブリビオン……最初から~知ってたけど」

 近くの建物の屋根から降りてきた陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)と葵が同時に放つドラゴニアン・チェインが、辻斬りの体を締め上げた。だが、強引に伸びた骨の腕は止まらない。葵の心の臓をえぐるように伸びた骨の腕は、しかし、葵の回し蹴りに蹴り飛ばされた。
「そう簡単にやられはせんぞ?」
「まだだ」
 ギョオン! と唸りを上げて、骨の腕が再び葵を襲おうとする。それを鞘に納められた封じられし妖刀が弾いた――ユウナだ。
「ええ、たどり着けるものね。いい月の導きだもの」
「――参ります!」
 そして、弾かれた骨の腕へ美咲が駆け込む。蒸気噴射式サムライブレイド――蒸気の力で加速する居合い、ジェット居合流の一閃が骨の腕を断ち切った。
「ぐ、ぬ!?」
「釣れたみたいだね」
「まったくだ」
 そこにファンと雷堂が現れると、辻斬りが目を見張る。この状況、自分が誘い込まれたと気付いたからだ。
「ク、ハ、なるほど……ならば、ここへ行くが良い……」
 辻斬りは、一枚の紙を懐から落とす。そして、ニヤリと笑みを浮かべた。
「我が主の無聊、おぬしらなら晴らせるかも――」
 しれん、と続くはずだった言葉は、降り注いだ言葉にかき消された。
「どうじゃ、わしの拳も試してみるか?」
 ツーユウの豪快な発勁の拳が、辻斬りを容赦なく粉砕した。それを見届け、返り血がつくより早く、セゲルは辻斬りが落した紙に視線を落した。
「どうやら、あいつが言う主のアジトのようだ」
「これじゃあ辻斬りというよりスカウトマンね」
 ユウナの言葉は、的を射ている。辻斬りという行為は、あくまで資格ある者を見つけるための手段であり、目的ではなかったのだ。
「招待されたのならば行かねばならんのぅ」
「ああ、まったくだ」
 葵の言葉に、雷堂が獰猛に笑う。ここからは、こちらから仕掛ける番だ――猟兵達の、反撃が始まった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『妖魔忍者』

POW   :    忍法瞬断
【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    忍法鎌鼬
自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    忍法鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●武家屋敷にて
 辻斬りが残した紙に書かれていたのは、とある武家屋敷の場所だった。一階建ての日本家屋は大きい。その庭も、広い。その武家屋敷には辻斬りと同じ妖魔忍者達が、今か今かと強者を待ち構えていた。

 主は、強者を求めている。しかし、我らを倒せぬ者など、主に面を通す資格なし。

 それは、狂信とも言うべき忠誠心だ。死ぬか殺すか、この屋敷に踏み込めばその二択以外なし。

 ならば、強者よ。資格を示せ。どうか、我が主を落胆させてくれるな。我ら妖魔忍者、命を持って汝らを試さん――。
ファン・ティンタン
さて…まずは雑魚散らしだよ

【天華】は帯刀のみ、剣技は一切見せない
敵のやり方に乗るつもりは無いからね
どうせ何処かで見てるんでしょ、お山の大将さん

何もしないのも悪いし…周りの人の戦闘補助、しとこうか
雑魚相手は【千呪鏡『イミナ』】にお任せ
イミナ、餌だよ

イミナの【大怨声】で妖魔忍者達から【生命力吸収】
外しても【呪詛】を孕む呪場を形成出来るお得な【2回攻撃】仕様だよ
敵に近寄るのは悪手だけど、防戦に徹していれば他の猟兵の攻撃契機になるかな
【殺気】を乗せた【残像】を併用、専ら敵の攻撃を【見切る】

戦闘中は帯刀した【天華】へずっと【力溜め】(敵から奪った生命力の一部を籠める感じ)を続ける
大将戦には備えないと…ね


ツーユウ・ナン
求道者とは己の過去を乗り越えて未来を作り出す生き方。おぬしらの主がかつてそうであったとしても、骸の海に沈んだ今では妄執と呼ばれるものよ……。
 さぁ望み通り参ったぞ。わしの力が主の求めるものか、存分に確かめるがいい!

先ほど(一章)見た、手を伸ばす攻撃は遠距離での主力じゃろうが、逆にそこを攻めてみよう。
・手伸ばし攻撃を誘い、機(柱や壁に刺さる、勢いが減じる等)を見て手を捉える[見切り][戦闘知識][グラップル][怪力]
→捉えた手を制し、他の忍者の腕と絡めて[敵を盾にする]等、たまらず腕を引っ込めたら乗じて突進。突き、捌き崩し、回り込んで靠撃など
そして、反撃に[カウンター]でUC『灰燼拳』


館・美咲
今でこそガジェットに心奪われているわけですが、一度は剣の道を修めた身。
その腕を示せというなれば存分にご覧くださいな。

ところで、私のジェット居合流は基本は蒸気の力で居合の速度を上げるというのが主目的なわけですが、蒸気の力他にも使い道があるんですよ。

そう、こうやって蒸気を噴射することで体捌き以外で体の軸をずらしたり、移動する際に補助とすることでちょっとだけ距離や速さを増してみたり、ましてや上手く使えば壁を走ることだってできちゃうんですよ!
切りつけるときの攻撃の威力があがる、というわけではないですが使い方次第ではとても便利なんですよ。

というわけで、実践講座終了です。授業料は……あれ、聞いてます?


ディスターブ・オフィディアン
心情:「その忠誠心、仕える相手を間違えなければ、良い忍びであったでしょうに。人に仇なすその所業、食い止めさせていただきます」(第三人格)
「どいつもこいつも笑って死んでいく。それほど嬉しいか、強者が主を訪れたことが。それほど信を置くか、なお主の方が強いと」(第一人格)

行動:ここは主とやらの陣中、ならば人格を切り替えて技を隠した状態で戦闘に挑みましょう
第三人格から第一人格に切り替え、エレメンタルミサイルで戦闘
属性は水、水圧によるウォーターカッターだ。可能なら鬼火の相殺も狙おう
誘導弾でフェイントを仕掛け、接近戦を挑んでいるほかのメンバーを支援
隙を見つければ手元で合成強化し全力魔法で吹き飛ばそう


芙蓉・葵
・心情
忍者、強いのであろう? 楽しみじゃな
「さあ、殺し合おうではないか」

・攻撃
技能:勇気、捨て身の一撃、グラップル、ユーベルコード:灰燼拳
作戦も何もなく敵に突っ込み掌打を見舞う
「我が拳にかなうものなし、我が一撃は無敵なり!」

・妨害
敵が後衛の方に向かうのは邪魔させてもらうぞ
技能:勇気、ユーベルコード:ドラゴニアン・チェイン
「わしを無視するとは良い度胸じゃな」

・防御
忍者刀の一撃を人差し指と中指だけで挟んで受け止めるかのう
「つまらんのう…欠伸が出るわ!」

・被弾
ダメージを食らっても嬉しそう
「フハハハハ。さすがは忍者、やれば出来るではないか」

協力・アドリブは全然OKじゃよ


鷲生・嵯泉
此処からが本番だな
首魁の元へ急ぎ向かいたい所ではあるが
敵を残して進むのは不快に尽きる
先ず障害となるものを粉砕して行くとするか

数が多いとなれば烈戒怒涛での能力底上げ
見切りを併用してのカウンターとなぎ払いにて対処
膂力にものを言わせて叩き斬る
その命懸けの忠誠だけは見事と言えるかもしれんな
攻撃は武器受けにて躱す事に努めるが
攻撃は最大の防御と、引く事よりも前へ出る

己が強者であるかどうかなぞ、どうでもいいが……
この戦いがお前達の主の元へ行く手段であるのなら
容赦無く、叩き潰す事としよう
私に資格が有るか否か、其の身を以って確かめるが良い


九鬼・雷堂
さて、招待を受けたんなら行くしかないわなァ。

正門から堂々と向かおうじゃあないか。
扉に閂が掛かっているようなら、扉の隙間から剣刃一閃で閂をぶった切りつつ扉ごと破壊するぜ。

妖魔忍者の一人を見つけたら話しかける。
「よォ、強いヤツ探してんだろ?アンタのお眼鏡にかなうかどうかさ、ちょいと腕試しといこうじゃないか」

基本は剣刃一閃で相手の攻撃を捌きながら切りかかる。
忍法鬼火は懐から風神を取り出し、回転させながら消していく。
かまいたちの高速機動はちょいと厄介なんで、相手の攻撃を受けて動きが止まった所を雷神で突き刺して動きを止めに掛かるぜ。
「ちょこまか煩いのもこれで終わりだな」
あとは仕上げを御覧じろってヤツさ。


明星・豹麻
道場の人達は可哀想だけど敵の本拠地が見つかってよかったよ。聞いた話では一般人が襲われる心配はないし、これで迷いなく仕掛けれる。調査では他の人達に戦いを任せていたから、ここからは俺も力を見せないとね。

これはまだ前哨戦……無用な被害を追う必要はないから誰かと一緒に行動しながら武家屋敷に突入しよう。
空間の広い屋外ではサムライブレイド、遮蔽物が多い屋内ではアサルトウェポンを活用していく。
敵が俺を狙ってきた場合は【超直感】で回避をしていき、攻撃の隙を突いて反撃を狙う。

一撃で倒せるなら問題はないけど積極的に相手の体勢を崩していこう。心強い仲間がいるからね、決して隙は見逃さないはずだ。


陰白・幽
……橋での時に、辻斬りの動きを止めきれなかった……折角のリベンジ?の機会だし、気合いを入れていくよ~

戦闘方針は中距離で回避行動をしながら、隙を見てUCを使って動きを拘束しするよ。その時に鋼糸を使って両腕の自由も封じていくつもりだよ。動きを封じたあとは【怪力】を使って自分の近くに引っ張って飛び膝蹴りを顔面にきめるよ~。その後は鎖で敵を振り回して地面又は敵にたたきつけてフィニッシュ……だよ~。
その後も鎖や鋼糸で敵の腕を狙って妨害をしていくよ。

これだけ回りくどいことをしてまで強者を集めてたんだから、どれだけすごい人?が出てくるか、ワクワクだね。はぁ~、でも疲れてきたからソロソロ決着をつくといいな~


田抜・ユウナ
カタカタと鍔鳴する妖刀を軽く叩き
「黙んなさい。あんたの出番はなしよ」
刀は背中に負ったまま。徒手空拳にて挑む。
こちらは殺傷力もスピードもリーチも劣るけど、だからって抜刀するのは誓いに反するからね。

狙うはカウンターによる一撃必殺。
完全な脱力状態、寝ぼけたような半眼で、敵の動きを《見切り》
「――田抜流、蛇の道」
紙一重《残像》残して回避して、ヌルリと滑るような足さばきで敵の死角に回り込む。

超大威力の斬撃を放った直後の胴体へ、肘鉄を叩き込む。

……で、お眼鏡には適ったかしら?


セゲル・スヴェアボルグ
相手の力量を図るだけのために自らの命を捨てるか。
他人の生き様を否定するのは避けたいところではあるが、何ともつまらん生き方だな。
奴等にとっては本望なのだろうがな。

さて、数が多いのであればまとめて屠ればいい。
奴等が自ら近づいて来て来るのであれば好都合。
可能な限り武器は叩き落すが、刺されようが斬られようが構う必要などない。いくら速かろうと攻撃時は必ず動きが止まる。ならば、その隙を逃すなど愚の骨頂。
集まったところを【朱竜回禄】で広範囲を一気に消し炭にしてやろう。
勿論、周りの猟兵を巻き込まんようには注意せなばならんがな。



●真正面からの訪問
 その武家屋敷は、大通りから外れた場所にある。夜になれば誰の目にも止まらない、奥まった場所――その門を見上げ、明星・豹麻(慈愛の流浪剣士・f02965)が呟いた。
「道場の人達は可哀想だけど敵の本拠地が見つかってよかったよ。聞いた話では一般人が襲われる心配はないし、これで迷いなく仕掛けれる」
 調査では他の人達に戦いを任せていたから、ここからは俺も力を見せないとね、と豹麻が門の横にある出入り口へと歩き出そうとした、した時だ。
「さて、招待を受けたんなら行くしかないわなァ」
 九鬼・雷堂(ナインライヴス・f00769)が、天羅斬魔刀『鬼王丸』を引き抜く。月光に照らされた刃が、ぬるりと輝いた。月山鍛冶初代鬼王丸が鍛えたとされる隕鉄刀は、並の腕力では持つ事は叶わない。しかし、雷堂にとってはこれほどの重量でようやくしっかり竜繰鋼糸ときた。
 雷堂の意図に気付いて、豹麻は笑みを濃いものにする。
「あー……そういうノリなのな」
「正門から堂々と向かおうじゃあないか」
 振り上げた天羅斬魔刀『鬼王丸』を大上段から、豪快に振り下ろす! 門の扉と扉の隙間に刃は正確に滑り込み――閂を、両断した。
 豪快にして、精妙巧緻。雷堂は門を蹴り開けると、トントンと『鬼王丸』で肩を叩きながら大声で言い放った。

「よォ、強いヤツ捜してんだろ? アンタらのお眼鏡にかなうかどうかさ、ちょいと腕試しといこうじゃないか」

 屋敷の屋根からシュタタタタン! と降り立ったのは、三人の妖魔忍者達だ。着地し、即座に動こうとして――妖魔忍者達が、動きを止める。
 それほどの剣気、気迫が雷堂にあったのだ。踏み込めば、断たれる――それがわかるからこその、静止だった。
 しかし、雷堂の言う通りだ。ここを突き止めた程の強者ならば、試さずにはいられない。ゆえに、妖魔忍者達は嬉々として死地へと踏み込んだ。
「カァ!!」
「おっと、ごめんよ」
 裂帛の気合と共に、妖魔忍者達が駆ける。だが、二人の妖魔忍者の足元へ豹麻がアサルトウェポンの銃弾を撃ち込んだ。
「ヌ――!?」
 ヒュオン、と鋭い風切り音と共に、先頭を行く妖魔忍者の両腕が鋼糸によって絡め取られる――妖魔忍者がは反射的に上を見上げた瞬間、小さな白いモノが落下してきた。それが細く小さな膝だと、その妖魔忍者は気づく事無く、顔面を強打された。
「……橋での時に、辻斬りの動きを止めきれなかったから……折角のリベンジ? の機会だし、気合いを入れていくよ~」
 妖魔忍者の顔面に膝蹴りを叩き込んだ陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)が、空中でくるりと前転する。幽の竜繰鋼糸に絡めた妖魔忍者の体が宙を舞い、豹麻の銃弾に足を止められていた二人の妖魔忍者へと叩きつけられた。
「お、のれ!」
 一人はまともに受けて吹き飛ばされるも、もう一人は忍法鎌鼬で風をまとって回避する。すかさず斬撃による衝撃波を繰り出そうとする、二対の刃が付いている短剣――雷神-RAY-ZIN-が刀を振るおうとする忍者の手を刺し貫いた。
「ちょこまか煩いのもこれで終わりだな」
 投擲してから踏み込んだ雷堂の『鬼王丸』の横一線に、妖魔忍者は上下に両断される。それを見届け、豹麻が屋敷を見上げた。
「盛大に歓迎してくれそうだな」
「……だね~」
 屋敷の中で、無数の殺気が膨れ上がっている。豹麻の言葉に、幽が歩き始めた。真っ直ぐに、屋敷の中へ。迷いはない、何故なら戦いにここへ来たのだから。

●屋敷での戦い
 鷲生・嵯泉(烈志・f05845)が、屋敷の廊下を行く。わずかな軋みがする板張りの廊下を歩くその動きに、澱みはない。それは、目の前に妖魔忍者が立ち塞がっても変わらなかった。
「腕試し、参る!」
「己が強者であるかどうかなぞ、どうでもいいが……この戦いがお前達の主の元へ行く手段であるのなら、容赦無く、叩き潰す事としよう」
 真っ直ぐに、妖魔忍者は逆手に構えた忍者刀を振りかぶる。それに対して、嵯泉は歩みを緩めずに――。
「私に資格が有るか否か、其の身を以って確かめるが良い」
 ――殺った、妖魔忍者はそう確信した。己の振るう忍者刀の一閃は、嵯泉の首元へと放たれている。後一寸、首筋に届けば頸動脈を切り裂き、首を落とす……そのはずだった。「!?」
 しかし、寸前でくるりと視界が反転した。刀は嵯泉に届くどころか、あらぬ方向をなぞって失速した。

 ――な、に……?

 妖魔忍者は、見た。嵯泉の足元で力なく倒れる、見慣れた下半身。それは自分のモノだ、と。嵯泉の手には、一本の刀が抜かれていた。秋水、嵯泉の愛刀だ。あの交差の瞬間、妖魔忍者が気付かぬ速度で抜刀、横薙ぎに切り抜いたのだ。
「み、ごと……!」
 妖魔忍者は、床を転がっていく。胴を断ち切られ、上半身だけとなった妖魔忍者はそのまま動かなくなった。
「その命懸けの忠誠だけは見事と言えるかもしれんな」
 引くよりも前へ、振り返る事無く嵯泉は進み続けた。

 中庭で館・美咲(ジェット居合流伝承者・f01503)は妖魔忍者と向かい合っていた。
「女、そのような絡繰で死合うつもりか?」
 石灯籠の上に立ち、妖魔忍者の問う。美咲は腰に下げていた蒸気噴射式サムライブレイドの柄頭を手で撫で、答えた。
「今でこそガジェットに心奪われているわけですが、一度は剣の道を修めた身。その腕を示せというなれば存分にご覧くださいな」
「上等」
 風を踊らせ、妖魔忍者が動いた。それに、ザッと地面を蹴って美咲も駆ける。速さは、高速移動する妖魔忍者が上だ。妖魔忍者は速さで撹乱しようと、中庭を飛び回った。それを美咲は眼鏡越しに視線で追う。
「ところで、私のジェット居合流は基本は蒸気の力で居合の速度を上げるというのが主目的なわけですが、蒸気の力他にも使い道があるんですよ」
「ほう?」
 ならば、見せてもらおう――妖魔忍者は上へ飛び、姿をかき消す! より正確には上に飛んだと見せかけ、低い体勢で闇に紛れたのだ。妖魔忍者は刹那で美咲の背後へ、刀を突き出す。
「な!?」
 だが、突きが外れる。まるでコマ送りを見せられたように、急激に美咲が体の軸をずらしたのだ。
「そう、こうやって蒸気を噴射することで体捌き以外で体の軸をずらしたり、移動する際に補助とすることでちょっとだけ距離や速さを増してみたり、ましてや上手く使えば壁を走ることだってできちゃうんですよ!」
 予備動作なしのその動きに、さすがの妖魔忍者も対応できない。蒸気を噴出しながら横回転、蒸気噴射式サムライブレイドの居合い一閃が妖魔忍者の首を切り落とした。
「切りつけるときの攻撃の威力があがる、というわけではないですが使い方次第ではとても便利なんですよ。というわけで、実践講座終了です。授業料は……あれ、聞いてます?」
 答えは、ない。ただ、満足げに首を失った妖魔忍者が大の字に地面に転がった。

 長い廊下で、ふとツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)が足を止めた。
「求道者とは己の過去を乗り越えて未来を作り出す生き方。おぬしらの主がかつてそうであったとしても、骸の海に沈んだ今では妄執と呼ばれるものよ……」
「――――」
 ツーユウの言葉に、前後から挟んだ妖魔忍者達は答えない。答える意味のない問いだ、そう言外に殺気が語っていた。
「さぁ望み通り参ったぞ。わしの力が主の求めるものか、存分に確かめるがいい!」
「承知」
 まず間合いを詰めたのは、前にいた妖魔忍者だ。振るわれる刀、その腹をツーユウは掌打で捌いていく。互いのすり足は、接触している。それほど近くで行われる白兵戦は、上半身のみで縦横無尽に加速していった。

「なるほどのぅ」

 ツーユウは、ニヤリと笑う。妖魔忍者達の意図に、気付いたからだ。攻防を繰り広げていた妖魔忍者は、構わない。振り上げた刀をツーユウが忍者の手首を掴んで止めた瞬間、ツーユウへ妖魔忍者が抱きついた。
「やれ!」
「応ッ!」
 ツーユウの動きを封じてから、仲間ごと骨の腕で貫く――その命を無視した戦略を、ツーユウは読んでいた。まず、掴んでいた手首を引っ張り、忍者の足を払う。させじと忍者は踏ん張ろうと前に出るが、ツーユウはその勢いを利用して横回転。腕を決めながら、妖魔忍者を盾にした。
「――ォオオ!!」
 ツーユウが、腕の骨を引っ張る。震脚で床を踏み砕きながら、引き寄せられた妖魔忍者へと灰燼拳の拳を叩き込む。放たれた超高速の打撃は、妖魔忍者を粉砕した。
 一分にも満たない、しかし、濃厚な時間。それを存分に味わい、ツーユウは先へと進んだ。

 ふと、妖魔忍者は足を止めた。向かう視線は障子の向こう、座敷だ。妖魔忍者の振り払った骨の腕が障子を吹き飛ばすと――彼女は、そこで盃を傾けていた。
「お主、強いのであろう? 楽しみじゃな。さあ、殺し合おうではないか」
 ゆらりと立ち上がったのは、芙蓉・葵(扶桑花・f11791)だ。葵が無造作に踏み出すのと同時、妖魔忍者が地を蹴った。
「燃えよ!」
 大量の鬼火が集まり、巨大な火球へ変わる。妖魔忍者の忍法鬼火を、葵は掌打で迎え撃つ!

「我が拳にかなうものなし、我が一撃は無敵なり!」

 バン! と火球が、打ち砕かれる。炎が散っていく――だが、既に妖魔忍者の姿は外にはない。火球を囮に跳躍、葵の頭上へと回り込んでいたのだ。
「シィ!!」
 そして放つ、必殺を込めた斬撃。だが、葵はそれを容易く受け止めた。
「つまらんのう……欠伸が出るわ!」
 人差し指と中指だけで挟んで受け止めた葵は、尾の一撃で妖魔忍者を薙ぎ払う。襖に叩きつけられた忍者は、即座に衝撃波を放った。
「フハハハハ。さすがは忍者、やれば出来るではないか」
 その衝撃波を真っ向から受けながら、葵は豪快に笑う。迫る葵に、引く忍者。一合、二合、三合、と刀と手足が鎬を削った。この打ち合いが、十合をいくつか越えた時、不意に妖魔忍者の動きが止まる――零距離で、葵の掌が妖魔忍者の胸を押し付けられたからだ。
「少しは、楽しめたぞ? ではの」

 ドン! と葵が放った一撃に吹き飛ばされ、何度も地面に打ち付けられながら妖魔忍者は動かなくなった……。

●それは、次の戦いのために
 三人の妖魔忍者が、目の前に立ち塞がる。それを見やって、ファン・ティンタン(天津華・f07547)は言い捨てた。
「イミナ、餌だよ」
 千呪鏡『イミナ』から上がる怨嗟の声が、妖魔忍者達の命を吸い取っていく。止めるには至らないが、ファンにとってはそれで十分だ。
「黙んなさい。あんたの出番はなしよ」
 田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)は、己の背でカタカタと鳴る封じられし妖刀を叩く。刀が訴えているのだ、屋敷の各所で行われている戦いに、血の匂いに、己も加えろ、と。しかし、ユウナにはその気は一切ない。
 ユウナが、前に出る。完全な脱力状態、寝ぼけたような半眼でユウナは己に向かってくる妖魔忍者の骨の腕を見切った。

「――田抜流、蛇の道」

 骨の腕が、ユウナを貫いた――そう誰もが思った次の瞬間、ユウナの姿が消える。残像を残し、ヌルリと滑るような足さばきで妖魔忍者の死角に回り込む。そして、妖魔忍者の脇腹へと肘鉄を繰り出した。
 ドォ! という衝撃と共に、妖魔忍者が吹き飛ばされる。そのまま背骨まで砕かれた妖魔忍者が、地面を転がった。
「……で、お眼鏡には適ったかしら?」
「おう……」
 うなずき、妖魔忍者は絶命する。それをユウナは、無感動に見送った。
「その忠誠心、仕える相手を間違えなければ、良い忍びであったでしょうに。人に仇なすその所業、食い止めさせていただきます」
 ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)が、人格を入れ替える。己へと向かってくる妖魔忍者の鬼火の雨を、ディスターブは水の魔力で生み出した無数の刃で迎撃した。
 ジュア! と火と水が相殺される。その中で、セゲル・スヴェアボルグ(ドラパラ・f00533)が言い捨てた。
「火を見たら火事と思え。火種はお前さんだがな」
「――ッ!?」
 ゴォ!! と竜頭より放たれる灼熱の息吹が、妖魔忍者達を飲み込んでいく。口の端から真朱の炎をこぼしながら、セゲルはつまらなそうに鼻を鳴らした。
「ク、ハハ……すべて、を引き出なんだは、心残り、だが……おぬしらならば、我が主の……敵、足り得る、であろうよ……」
「…………」
 炎の中で、笑いながら妖魔忍者が燃え尽きていく。それを見ながら、ファンは天華の柄頭を撫でた。
「大将戦には備えないと……ね」
 ユウナと同じく、ファンも刀は抜いていない。先程から自分達へと向けられる無遠慮な視線が、観察していると察していたからだ。
 この屋敷内の戦いは、何者かに見られていた。その一部始終、こちらの手の内を楽しみながら眺めている誰かがいるのだ――それが、忍者達が語った主なのだろう。
「どいつもこいつも笑って死んでいく。それほど嬉しいか、強者が主を訪れたことが。それほど信を置くか、なお主の方が強いと」
 ディスターブの言葉に、セゲルが言った。
「相手の力量を図るだけのために自らの命を捨てるか。他人の生き様を否定するのは避けたいところではあるが、何ともつまらん生き方だな。奴等にとっては本望なのだろうがな」
 思うところが、ない訳ではない。おそらくは、価値観の差なのだろう。だが、愉快ではない――それだけは、確かだ。
「これだけ回りくどいことをしてまで強者を集めてたんだから、どれだけすごい人? が出てくるか、ワクワクだね。はぁ~、でも疲れてきたからソロソロ決着をつくといいな~」
 そこに降り立った幽が、欠伸をする。そして、その『声』が屋敷に響き渡った。

「――ならば、我も相応の礼を持って答えねばなるまいな。強者どもよ」

 その声に、セゲルが笑う。込められた覇気を聞いただけで、強いとわかったからだ。

 こうして、猟兵達の前にソレが立つ。過去から、死合を求めて蘇りしオブリビオンが……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『戦国武将』

POW   :    合戦具足
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【自分の城の一部もしくは武者鎧】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    乱世斬
【日本刀による衝撃波を伴う斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    戦国兵団
【自分に従う兵士達】の霊を召喚する。これは【火縄銃】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●過去から、戦いを求め
 ガシャン、と屋敷に音が鳴り響く。武者甲冑を身にまとった、一人の武者だ。

「この戦いを忘れし世に、これだけの猛者がいるとは……良い、心躍るぞ」

 思う存分に戦い、そして死んだはずだった。しかし、この世に再び舞い戻った武者にとって、まさに退屈の一言であった。
 血湧き肉躍る戦いがしたい、命の限り戦って、殺したり殺されたり、血みどろの戦いに帰りたい――ただ、それだけだったのだ。武者にとっても、忍者にとっても、それ以上の理由はない。

「ああ、やろうぞ! 合戦ぞ! 死合ぞ! 存分に殺し合おうぞ!」

 己の配下は、戦いの中で散った。生前も、己と共に死地を駆け抜けた配下達だった。ならば、彼らが見定めた敵が敵たりえるか、最後の判断が己が下さねばならぬ。

「覚悟は良いな! 決意は良いな! 今宵、ここはあの懐かしき乱世に戻る! さあ、死力を尽くせ! 奴らが我が敵と認めた者どもよ!!」
館・美咲
既に古き戦の時代は終わり、新しき時代になっていますのに……。
死してなおその妄執に囚われるのならば、私のジェット居合流で断ち切ってみせましょう!

私の生み出した、最先端の剣術をご覧あれ!
その目で見切れるのでしたら、ですけどね。

といったものの、私の攻撃はまだまだ人間大のサイズ向けの技術ですからね……。
ズバッと一閃まっぷたつ、とはいかないわけで。
であるなら、相手の攻撃を避けながら隙を探して、関節部でも狙ってみましょうか。
サイズは違えど人の形で甲冑を身に着けているのであれば。防御の薄い所もあるでしょう!

ジェット居合流の名声を高めるため、張り切りますよー!

アレンジ、絡み、連携どんとこいです。


陰白・幽
……色んな生き方があって、色んな考えがあるんだろうけど……多くの人を巻き込んで、なかなか迷惑な考えだよね。
今を生きるボクとしては、貴方を倒して進ませてもらうよ。

敵との距離は中距離で動き回るように戦い、鋼糸を使って距離を開けたまま敵の四方から敵を攻撃していくよ。
乱世斬を使おうとしたらこちらもUCを発動して一気に相手の目の前に瞬間移動して顔面に踵落としを決めて敵の攻撃を潰してしまえたらな、と思うよ。
敵の攻撃を潰したら油断せずに距離をとるよ~。

戦いのために戦い、か~。やっぱりボクの考えとは違ったね。
さて、頑張って戦ったからお腹減ったよ~。でもおかげでいつもより美味しいご飯が食べれるよね~。


ツーユウ・ナン
わしは酒に酔っても、おぬしの様に力に酔った事はない。時勢に逆らい、我欲によって世を乱すとは、侍の道も踏み外したか。「未来を守る為の戦い」わしらが背負う【覚悟】を甘くみるでないぞ……さぁ、大トラ退治と参ろうか!

・敵の力は強大、序盤は耐え凌ぎなら攻撃を見極める【オーラ防御】【激痛耐性】【戦闘知識】
・『合戦具足』後は巨体の隙、死角を利して戦う【見切り】【敵を盾にする】
・いざとなれば斬撃を鉄箸(装備4)で白羽取りして逸らす【武器受け】【早業】
・機を見て懐へ入り、一気呵成に『UC』へ
→踏み込み突きや横拳、頂肘、回り込んでの靠で膝を折り、胴体に渾身の双爪掌打!【力溜め】【鎧無視攻撃】
呀ヤ!哼フン!哈ハ!


ディスターブ・オフィディアン
第三人格で行動
心情:血に酔った修羅の類ですか。
その力と彼らの忠誠があれば、乱世の内、少しでも人々を救うことができたでしょうに――。
「血で血を洗う乱世を望むか、悪鬼!
 ならばその夢、今宵一幕で切って捨てる!」
UC:葬送の霖
行動:敵具足の巨体にひるまぬ勇気と、多少の傷は負う覚悟、敵の斬撃を見切り武器受けなどで受け流しながら、ダッシュで相手の懐に飛び込みカウンターの斬撃を狙います
「切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ 身を捨ててこそ生きる道あり!」
葬送の霖を発動した際に得物の長さが小太刀から大太刀に変化するので、懐に入り込むまでは小回りを利かせる意味で温存。懐に入り一撃を放つ瞬間に発動させます。


田抜・ユウナ
田抜流の根源は日本刀による剣術。徒手空拳は発展応用の術理だ。
さっきの戦いを見てたなら、見抜かれたか…
ま、何と言われても抜かないけどね。
殺傷力やリーチで劣ろうとも、無刃の誓いは貫徹する。

苦戦は歓迎
徒手空拳で劣勢
背中の妖刀が何かの拍子に落ちかけて、反射的に掴む。
…抜けって? いやよ!
敵の期待には沿えないけれど、こいつを刃物として使う気はない。

「田抜流居合、不抜ノ型。竜尾突き」
刀を鞘に納めたまま、柄頭と鞘尻の両端で連続の打突を見舞う。


ファン・ティンタン
鎧の大将、私が言いたいことは一つだけだよ
亡者の戯言に生者を付き合わせるな、騒ぎは地獄でやってろ

抜刀する【天華】への【力溜め】は十分
その面、不愉快な望みごとまとめて潰そうか

(正々堂々戦いたい人もいるだろうし…参戦時期は柔軟に)

【殺気】を孕む【残像】で的を絞らせないよう撹乱しつつ敵の超至近距離へ
大太刀の無差別攻撃は【覚悟】してる、そのための軽装、身のこなし
狙ってもいないだろう無差別攻撃は刃の軌道から【見切り】、【天華】で受け流して前へ

豪奢な鎧に大太刀、小回り利かないでしょ

相手の意識は【天華】へ向いただろうか
ぽいっと投げて

【フェイント】からの【刀心習合】の【2回攻撃】
足薙ぎからの面正中へ肘打ち

ばーか


芙蓉・葵
・心情
なんじゃ、戦いたいだけか。ならばわしも同じじゃ
思う存分楽しませてやろうぞ

・戦闘方針
上段回し蹴りや掌打(ユーベルコードは灰燼拳)で攻撃
ドラゴニアン・チェインで敵を釘付けにして
後衛へ攻撃が行かないようにすることを最優先
無視されたら「良い度胸じゃな」とカチンとくるわ

自分がダメージ負うのは全然かまわぬ
仲間が傷つくよりは良いし、わし自身も無傷では楽しめん
くらえばくらうほど滾るというものよ

・勝利
強敵との戦いを好むということ自体はわしも同じじゃからな
相容れぬ敵であったのが惜しいのう
「オブリビオンでなければ、美味い酒を酌み交わせたかもしれんな」

協力・アドリブは全然OKじゃよ


明星・豹麻
ついに大将のお目見えか、ある程度予想はしてたけど血気盛んな御人のようだ。
だけど今は乱世じゃない、大人しくあの世に戻ってもらおうか。

【残像】で相手を撹乱しながら霊刀「祓」で攻撃していこう。
威力の高い攻撃はユーベルコードを使用して回避する。
兵士の霊が現れた場合は武器を「トリックスター」に持ち替えて、【2回攻撃】でそれぞれ武器を持つ手と片足を狙い体勢を崩していく。
多人数相手に有効な攻撃手段は持ち合わせてないが、隙を作れば他の仲間がなんとかしてくれるだろう。

敵とはいえ武者としての誇りを持っていた。
だからこそ決着がついた後は彼らを弔おう。


鷲生・嵯泉
死にたがりとは違うのだろうが、配下が配下なら主も主
しかし生憎だがお前と死合う心算など無い
私が求めるのは唯、お前を打ち斃す事のみだ

図れるならば他と連携を以って当たる
此方の手の内を観察していた様だが
其れならば手段を変えるまで
刃に手を滑らせ血を与え、妖威現界を使う
多少の傷など構わず攻撃優先、怯む隙があれば前へ出る
随分と大仰な姿だが、鎧となれば砕いてやろう
基本は見切りとフェイントでの攻撃
攻撃は激痛耐性と武器受けで耐えるとしよう

澱んだ妄念に付き合うのは此処までだ
此方に覚悟を求めた位なのだから
お前自身も覚悟は出来ているのだろう?
……ああ、聞くまでも無かったな
お前の様な輩には斬られ斃れる事すら悦びだったか


九鬼・雷堂
ほう、あの男が出て来ただけで空気が変わりやがった、
この雰囲気懐かしいねえ。紛れもない戦場の空気だ。

「おい、アンタ。オレの名は九鬼雷堂。アンタの名は何てンだ?名乗り合おうじゃねぇか」

名を聞けても聞けなくても
「オーケー、オーケー。それじゃあ行かせてもらうぜ。いざ尋常に勝負!」
と同時に右目のサイバーアイから眼帯が展開し戦闘モードに。

鬼王丸を主に使用。近接攻撃は鬼王丸で【武器受け】、遠距離の弓矢は風神を回転させて叩き落す。

固そうな鎧だが、この刀には通じねえぜ。
刀で受けようとするなら【武器落とし】、鎧で受けるなら【鎧砕き】で隙を作る。
隙が出来たなら、一気呵成の踏込みから九鬼流奥義・電光石火を叩き込むぜ。


セゲル・スヴェアボルグ
強さは一流かもしれんが、強いだけでは上に立つものとしては三流よ。
私利私欲にまみれた力など、所詮は張りぼて。己のみならず部下の身すらも亡ぼす要因にしかならんのだからな。
血みどろになるのは結構だが、生憎、俺は自分のために流す血は持ち合わせていないのでな。

さて……奴に合体能力があるのであれば、そこに槍を叩き込みたいところだな。
誰かUCに便乗するか、無理なら【朱竜回禄】あたりで合体を誘発するとしよう。
重量が増せば増すほど好都合。城や大量の兵士と合体した頃合いを見て【絶巓の帝】で奴を穿つぞ。
多少の妨害など構う必要はない。そいつらごと貫いてしまえば済むだけの話だからな。


ルベル・ノウフィル
WIZ
アドリブ、アレンジ、連携歓迎

「ご支援に参りました」
傷を負った味方の皆様を星守の杯にて癒します。
治癒後は敵味方の位置関係や予備動作を注視し味方を[庇い]ます。
目指すのは囮的な立ち回りとなり。

[殺気]を放てば戦国兵団の気が引き
火縄銃を避けるタイミングは[第六感]に頼り、[ダッシュ]と[ジャンプ]を駆使してなんとか避けてみましょう。
いよいよ危うくなったらトンネルでも掘ってやり過ごしますとも。

僕に見える幾多の世界は乱世のただなかにございますよ。
油断すると過去に食われてしまう……、

「しかし、楽しそうに戦うものでございますな」
 武者とはそういう生き物なのでございましょう。
 嫌いではございません。



●乱世がごとく
 ガシャン、と屋敷に音が鳴り響く。
「戦、戦だ! このつまらぬ世で、ついに戦にありつけた! 感謝するぞ、我らが敵よ!!」
「ついに大将のお目見えか、ある程度予想はしてたけど血気盛んな御人のようだ」
 歓喜と興奮の声を張り上げる戦国武将に、明星・豹麻(慈愛の流浪剣士・f02965)が言った。そして、九鬼・雷堂(ナインライヴス・f00769)が鼻を鳴らす。

 ――ほう、あの男が出て来ただけで空気が変わりやがった、この雰囲気懐かしいねえ。紛れもない戦場の空気だ。

 雷堂は、ニイと口角を上げて名乗った。
「おい、アンタ。オレの名は九鬼雷堂。アンタの名は何てンだ? 名乗り合おうじゃねぇか」
「――ない」
「あ?」
 戦国武将の短い返答に、雷堂は問い返す。くく、と喉を鳴らし、戦国武将は笑った。
「忘れた。捨ててきた。名など、戦の役に立つか? 名など、戦の後にいるものよ」
「鎧の大将、私が言いたいことは一つだけだよ」
 ファン・ティンタン(天津華・f07547)は、天華の柄に手をかけ――告げた。
「亡者の戯言に生者を付き合わせるな、騒ぎは地獄でやってろ」
「生者? これは異な事を」
 戦国武将は、ファンの言葉を笑い飛ばすと面の奥の目を細め、言ってのける。
「年を経た刀ごときが、生者を語るか。いや、認めよう。ぬしは生きておる。我のようにここに己の意志で立つのならば、確かに生きておるのであろうよ」
 揶揄ではなく、ただ愉快だと言いたげに戦国武将が喉を鳴らした。これから行われるだろう命のやり取りに、悲壮はない。あるのは、心躍るという本心のみだ。
 だからこそ、呆れさえ滲ませ芙蓉・葵(扶桑花・f11791)が言う。
「なんじゃ、戦いたいだけか。ならばわしも同じじゃ。思う存分楽しませてやろうぞ」
「良い、存分に死合おうぞ」
 すらり、と戦国武将が二本の刀を抜いた。その戦いの愉悦に輝く双眸を見て、ツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)が言った。
「わしは酒に酔っても、おぬしの様に力に酔った事はない。時勢に逆らい、我欲によって世を乱すとは、侍の道も踏み外したか。「未来を守る為の戦い」わしらが背負う【覚悟】を甘くみるでないぞ」
 ツーユウが、拳を握る。その目の前で、戦国武将の元に倒れた忍者達の武具が集っていく――瞬く間に、二倍の大きさへと巨大化した戦国武将を見上げ、ツーユウが告げた。

「……さぁ、大トラ退治と参ろうか!」

●乱世の戦場
 合戦具足によって巨大化した戦国武将は、大地を踏み砕き右の刀を振り下ろした。巨体でありながら、凄まじい剣速――瞬きの間もなく、雷堂へと振り下ろす!
「……ほう」
 戦国武将が、感嘆の声をこぼした。例え鋼の塊であろうと両断する、そういう一撃だ。それを、雷堂は天羅斬魔刀『鬼王丸』で受け止めていた。
「オーケー、オーケー。それじゃあ行かせてもらうぜ。いざ尋常に勝負!」
 右目のサイバーアイから眼帯が展開、戦闘モードとなった雷堂が全身の力を振り絞って戦国武将の刀を振り払った。右手の刀を弾かれた戦国武将は、即座に左の刀を振るおうとする――そこへ飛び込んだのは、ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)だ。
「血で血を洗う乱世を望むか、悪鬼! ならばその夢、今宵一幕で切って捨てる!」
 刹那の踏み込み、駆け込んだ勢いのままディスターブは小太刀を振るう。だが、合体した甲冑から伸びた骨の腕が、ディスターブの小太刀を受け止め火花を散らした。
「夢か! 良くぞ言った! 乱世と太平、どちらが夢幻か――見せてみよ!」
 ゴォ! と破城槌のような前蹴りが、ディスターブを吹き飛ばす。しかし、ディスターブは空中で回転。流れるような動作で、着地した。
「……色んな生き方があって、色んな考えがあるんだろうけど……多くの人を巻き込んで、なかなか迷惑な考えだよね」
 陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)が、竜繰鋼糸を操る。死角から死角へ、振り上げた蹴り足に鋼糸が巻き付いた。
「……今を生きるボクとしては、貴方を倒して進ませてもらうよ」
 幽は、即座に疾走。その反対側から、館・美咲(ジェット居合流伝承者・f01503)が蒸気を加速剤に跳ぶ。
「既に古き戦の時代は終わり、新しき時代になっていますのに……。死してなおその妄執に囚われるのならば、私のジェット居合流で断ち切ってみせましょう!」
 蒸気噴射式サムライブレイドの柄へ手をかけ、美咲は蒸気機関を機動させた。
「ジェット居合流の威力、その身で味わいなさい!」
 ドン! と蒸気によって加速を得た居合いの一閃が、戦国武将へと放たれる! 美咲の一撃を、戦国武将は両の刀を交差させて受けきった。
「ハハッ!」
 受けきったが、威力を殺しきれた訳ではない。ズサァ! と戦国武将の足の裏が地面を擦った。
「呀ヤ!哼フン!哈ハ!」
「シャア!」
 ツーユウの鋭い震脚からの突きと、葵の右回し蹴りが戦国武将を捉える。渾身の一撃に甲冑が軋もうと、戦国武将は構わず前に出た。
「死にたがりとは違うのだろうが、配下が配下なら主も主。しかし、生憎だがお前と死合う心算など無い。私が求めるのは唯、お前を打ち斃す事のみだ」
 鷲生・嵯泉(烈志・f05845)は、刃へと己の掌を滑らせた。
「――代償はくれてやる。相応の益を示せ」
 妖威現界(ヨウイゲンカイ)、己の血と精神力を代償に自身の装備武器の封印を解き、天魔鬼神へと変化させた。
「ほうほう! まだ、手品を隠しておったか!」
「死合うつもりはないと言った」
 ゴォ! と天魔鬼神と戦国武将が真っ向から激突する。笑いながら打ち合う戦国武将へ、豹麻も駆け込んだ。
「はは! 本当に楽しそうに笑うね」
 霊刀「祓」を抜き、走り抜ける勢いで戦国武将の脛を斬る。ガクリ、と膝を揺らした戦国武将を、天魔鬼神の一撃が強打した。のけぞる戦国武将へ、田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)が迫る!
「言っとくけど、「刃物」がなくたって「斬る」ことはできるんだからね」
「ちょこざいな!」
 無刃の誓い(ムジンノゲッシュ)――自身の刃物を使用しないという誓約によって強化した身体能力で襲いかかるユウナを、戦国武将はのけぞった勢いで足を振り上げ蹴り飛ばした。リーチの差は、明らかだ。しかし、空中で威力をいくらか殺したユウナは着地に成功した。
「ご支援に参りました」
 ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)が、星守の杯(コンペイトウレイン)によって金平糖を空から降らせる。その金平糖がユウナに当たると、体の痛みが瞬く間に消えていく。
「しかし、楽しそうに戦うものでございますな。武者とはそういう生き物なのでございましょう」
 嫌いではありません、とルベルは嬉々として戦う戦国武将を見て言う。それに、セゲル・スヴェアボルグ(ドラパラ・f00533)が低く唸った。
「強さは一流かもしれんが、強いだけでは上に立つものとしては三流よ。私利私欲にまみれた力など、所詮は張りぼて。己のみならず部下の身すらも亡ぼす要因にしかならんのだからな」
 セゲルの声に馴染むのは、確かな嫌悪だ。
「血みどろになるのは結構だが、生憎、俺は自分のために流す血は持ち合わせていないのでな」
「まったくね」
 同意するファンに、セゲルが視線を向ける。ファンの瞳から何かを読み取ったセゲルは、ニヤリと笑った。
「……やるか?」
「ええ」
 短いやり取りで、互いが悟る。敵に付き合ってやる必要など無いのだ――ならば、その機を作るのは自分達であるべきだ、と。

 だからこそ、うかがう。確かにあるだろう、好機を掴むそのために。

●世は乱れ、暴威はここに
「来い! ぬしらにも今一度、戦の愉悦をくれてやる!」
 戦国武将の声に応え、兵士達の霊を召喚される。構えるのは火縄銃――横一列に並んだ兵士の霊に、豹麻は霊刀「祓」から換装式多目的銃「トリックスター」へと持ち替えた。
「おっと、それはやらせない」
 ガガガガガガガガガガガガガ! と豹麻の放つ銃弾が、兵士達の火縄銃に命中していった。銃が弾かれても、兵士達はすぐに構え直す。稼げた時間はわずか――だが、それで構わない。
「俺ではなく、他のみんながやってくれる」
 それに応えたのは、嵯泉だ。嵯泉が駆け込み、天魔鬼神が繰り出す一撃が兵士達を薙ぎ払った。
「澱んだ妄念に付き合うのは此処までだ。此方に覚悟を求めた位なのだから、お前自身も覚悟は出来ているのだろう?」
「ハ、ハハハハハハハハハハ! 然り!」
「……ああ、聞くまでも無かったな。お前の様な輩には斬られ斃れる事すら悦びだったか」
 ゴォ! と戦国武将の刃と嵯泉の天魔鬼神が激突する! 戦国武将は、その打ち合いにこだわらない――大きく、一歩引いて間合いを作ると、刀を大きく振り上げた。
 だが、その瞬間だ。鋭い一撃が、戦国武将の顔面を蹴り飛ばしたのは。

「……させないよ~?」

 幽の永眠龍の夢現(スリーピングドラゴン)による、瞬間移動からの踵落としが決まったのだ。戦国武将が、よろける。そこに迫ったのは、美咲だ。バックパックスチームエンジンから吹き出す蒸気を利用した跳躍、そこから繰り出されたジェット居合流 断霧(ジェットイアイリュウタチキリ)が、戦国武将の右の膝裏を切り裂いた。
「サイズは違えど人の形で甲冑を身に着けているのであれば。防御の薄い所もあるでしょう!」
 ダン! と戦国武将が、片膝を付く。そこに死角から一気に踏み込んだのは、ファンだ。
「来るか、刀!」
 戦国武将は、膝立ちのまま刀の切っ先をカチャリと構える。刀を受け止めようと言うのだ――ファンの戦いは、見ていた。あの刀に怪しげな力が宿っていったのも、承知している。
 ならば、気を配るべきは刀――そう、だから戦国武将は次の瞬間に目を見張る。
 ぽいっと、まるで執着もないように、ファンが天華を放り捨てたのだ。

「一振りの刀なんだよ、私は。心も、身体も……」

 ファンの蹴りが、戦国武将の足を捉える。ミシミシミシ……! と生身とは思えぬ威力に、堪らえようとした戦国武将の体が宙へと舞った。
 そして、ドン! とファンの肘打ちが戦国武将を捉え、吹き飛ばした。
「ばーか」
 これこそが、ファンのユーベルコード刀心習合(トウシンシュウゴウ)。天華の切れ味や強度を乗せた徒手空拳を放つ、絶技だ。
「ぐ、ぬ!!」
 空中で、戦国武将の巨体が回転する。着地しようとした戦国武将は見る――屋敷の屋根に登っていたセゲルの姿を。
「義を見てせざるは勇無きなり。巨城すら穿つ一撃をくれてやろう!」
 セゲルが、応龍槍【ギュールグルド】を無造作に振るった。戦国武将は、それを受け止め――切れない! 絶巓の帝(インペリウム・アブ・ヘイドプント)、その攻撃対象の重量が一時的に加重された突撃槍の一撃は、巨大化していた戦国武将に効果覿面だった。
 地へと叩き落とされた戦国武将が、体中を軋ませ立ち上がる。しかし、その動きに先程までの精彩はない。それほどの連携だった、それほどの一撃一撃だったのだ。

「ハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ――来いッ!!!」

 それでも、笑う。だからこそ、笑う。これが戦だ、これが死合だ。これこそが! そう歓喜に吼える戦国武将へ、セゲルは言った。
「はん、俺の死に場所ぐらい自分で決める。ここじゃねぇ」
 そのセゲルの呟きに、得心がいったと笑いを納めた戦国武将はどこか眩しそうな視線で言った。
「そうか、ならば貫くが良い」
 戦国武将は、前に出る。甲冑は砕けた、兵士達も呼ばない。しかし、まだこの身と刀があるのだ。
「おっと」
 不意に、ユウナの背中から妖刀が落ちかけた。反射的に掴んだユウナは、妖刀の震えの意味をすぐに悟った。
「……抜けって? いやよ!」
「抜かぬのか、妖剣士!」
 戦国武将の声に、妖刀の震えが大きくなる。それを強引に抑えて、ユウナは駆け出した。
「あんたの期待には沿えないけれど、こいつを刃物として使う気はない!」
 それは、どちらに向けた言葉であろう? 敵か、刀か、それをユウナが知るには、交差の刹那は短すぎた。

「田抜流居合、不抜ノ型。竜尾突き」」

 ユウナが放つ柄頭と鞘尻の両端を放つ連続突きを、戦国武将は両の刀で受け止めた。しかし、大きく両腕が弾かれる――そこに飛び込んだのは、ディスターブだ。
 戦国武将は、後ろへ跳ぶ。ディスターブの獲物は、小太刀だ。間合いを離せば、対処の時間が生まれる!
 だが、ディスターブは迷う事無く小太刀を構え、唱えた。
「仁義礼智忠信孝悌――村雨丸、推して参る!」
 右手の中に、重みが来る。ディスターブは、第3人格以外の封印を代償に解き放たれた長大な大太刀を、体ごと横回転して振るった。
「切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ 身を捨ててこそ生きる道あり!」
「ぐ!?」
 突如として現れた葬送の霖(ムラサメマル)の斬撃が、大きく戦国武将の胴を薙いだ。引いていなければ、胴が両断されていただろう――だが、腸を断ち切っても背骨に届いていない!
「ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
 即座に、戦国武将は前に出た。乱世斬の無差別な衝撃波を伴う斬撃、それを読んでいたルベルが墨染で切り払った。
「僕に見える幾多の世界は乱世のただなかにございますよ。油断すると過去に食われてしまう……だからこそ、負けられないのです!」
 ルベルの言葉に、戦国武将はごふりと血を吐いた。笑った、のかもしれない。
「……谷を割り、山を爬い、地を平らげる龍の姿を見よ……!」
 ツーユウが、踏み込み突きからの横拳、頂肘で戦国武将の体躯を浮かせる。そこから横へ回り込んでの靠で膝を折り――。

「哈ハ!」

 胴体に渾身の双爪掌打を叩き込み、戦国武将を宙に舞わせた。そこへ待ち構えていたのは、葵と雷堂だ。
「仕舞いじゃ!」
「神経接続。電磁加速開始。打ち抜け、雷鳴よりも迅く!」
 葵の超高速の掌打と、雷堂の電磁加速した天羅斬魔刀『鬼王丸』の一閃が戦国武将を捉えた。掌打の衝撃と、雷光の斬撃が、ついに乱世から蘇りし戦国武将を討ち取った……。

●乱世は終わりて
「オブリビオンでなければ、美味い酒を酌み交わせたかもしれんな」
 葵は、そうしみじみと呟いた。強敵との戦いを好むということ自体はわしも同じじゃからな、と相容れない敵として出会って事を惜しいと思った。
「生まれる時代は選べないからな」
 敵とはいえ武者としての誇りを持っていた、だからこそ彼らを弔おうと豹麻は黙祷を捧げた。
「戦いのために戦い、か~。やっぱりボクの考えとは違ったね。さて、頑張って戦ったからお腹減ったよ~。でもおかげでいつもより美味しいご飯が食べれるよね~」
 幽は、お腹を撫でながら呟く。その言葉に、いくつか小さな笑いが仲間からこぼれる。

 生きていれば、腹が減るのは当然だ。ならば、食わねばならぬ。生きねばならぬ。それこそが、今を生きる者達の権利であり、義務なのだから……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月26日


挿絵イラスト