●ネコのいる島
グリードオーシャン、猫ヶ島。
住民の多くがケットシーという、のどかな島……だった。
過去形なのは、突如襲来した亡霊海賊のコンキスタドールにより、悪の巣窟と成り果てたからである。
そしてここは、島中心部。
コンキスタドールによって設置された牢獄の中には、ケットシー島民が囚われている。
「くそっ、俺様が何したって言うんニャ」
牢屋の1つ、黒猫のケットシーが悪態をついていた。ご自慢の海賊帽をくしゃり、と潰しながら。
すると、向かい側の牢屋から、声が飛んでくる。ぶち猫のケットシーだ。
「お前は『海賊になる!』とか言って島を出ていたから知らないだろうが、今この島を支配しているコンキスタドールは、我々が語尾に『ニャ』と付ける事を禁止しているんだよ」
「それは捕まる時に聞いたっての! そんなくそったれな掟がまかり通ってたまるかニャン」
囚人とは思えぬふてぶてしい態度をとる黒猫に、ぶち猫は、しっ、と指を立てた。
「『ニャン』もよせ。バレたら殺されかねないぞ」
「うっせえ、俺様は海の男ニャ。海賊団長キャプテン・ニャオン様だぞ」
「団員は自分1人なんだろう? 島に戻ってきたのも、仲間は見つけられなかったからだろう」
「こ、これから凄くなる予定ニャ!」
ごろん。黒猫……キャプテン・ニャオンは、ふて寝した。
●メカのいるベース
ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)の背後に、美しい海の景色が浮かび上がった。グリードオーシャンである。
「今回猟兵の皆さまにお集まりいただいたのは、他でもありません。とある島で起きている事件を解決していただきたいのでございます」
島の名は『猫ヶ島』。かつて、アルダワ魔法学園から落下してきた土地である。
「その子孫であるケットシー達が島民の大半を占めておりまして、それが島の名前の由来となっているようでございますね」
しかし、海賊幽霊のコンキスタドールに島が支配されてからというもの、不条理な『悪の掟』によって猫島民は虐げられているという。
「その掟とは、語尾に『ニャ』とつけた島民を牢屋送りにするというものでございます」
無論、『ニャン』もアウトだ。
理不尽な掟だが、コンキスタドールの目的は、恐怖を知らしめる事にこそある。
現在の島民に、落下当時を知るものはいない。だが、ケットシーの誇りを忘れぬよう、人々は語尾に『ニャ』を付ける事を伝統としてきたのだ。
ゆえに、長年染みついた口癖は、そう簡単に抑えられるものではない。既に、相当数の猫島民が囚われ、牢獄に集められているらしい。
「そこで皆様には、この牢獄から猫島民を解放していただきたいのでございます」
牢獄の守りは薄く、突入すれば島民の解放は簡単だ。
だが問題は、そこにたどりつくまでの道のりにこそある。
「牢獄を取り囲むのは、島民も近寄らぬ密林。そこには、古い蒸気機関仕掛けのトラップやアルダワ由来めいた野生動物が隠れているのでございます」
この危険を突破しなければ、島民の解放もままならない。
「島民を無事解放出来たなら、そのままコンキスタドールの本拠地へ攻め込むことになります。ニャーンと頑張ってくださいませ」
よく見れば。
ヴェルタールの頭部には、ネコミミめいたモジュールが取り付けられていた。
七尾マサムネ
ケットシーの楽園がコンキスタドールの支配地に!
●一章
ケットシー達が囚われた牢獄を目指し、密林を突破します。
途中、アルダワっぽい野生動物や、蒸気機関仕掛けの罠がたまに動き出しますので注意してください。
(「こういう動物がいたり罠があったりするかも」とプレイングに書いていただければ、そんな出来事が起きるかもしれません)
●二章
囚われのケットシー達の解放に成功します。
敵の本拠地の場所や、進入方法などを、助けたケットシー達が教えてくれます。
たどりついた本拠地で、護衛の敵と戦闘します。
●三章
敵本拠地の中枢で、亡霊海賊のコンキスタドールとの決戦です。
倒せば島民たちは支配から解放され、語尾にニャと付ける自由を取り戻します。
それでは、皆様のご参加、お待ちしております!
第1章 冒険
『絶海の孤島、その密林の奥に未知を見た!』
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POW : 密林猛獣何するものぞ、鍛えた体と意志で踏破する。
SPD : トラップ仕掛けも何のその、解除し避けて突き進む。
WIZ : 未知なる知識は大歓迎、恐れることなく観察する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猫ヶ島に上陸した猟兵の前に、密林が広がっている。いわば、大自然のダンジョン。
ささっ。今、草むらを駆けて行ったのは、スライム風の生物。
がこん。今、岩陰で動いたのは、蒸気仕掛けの人形。
他にも、様々な困難が待ち受けているようだ。
だが、心の迷いを捨てて進め、猟兵達よ。囚われのケットシー達を救出するために!
杼糸・絡新婦
ほなほな、参りましょうか。
周囲の様子を観察し【情報収集】
行き道を【第六感】【野生の勘】を利用し罠を探し、
襲ってくるものは【見切り】で回避していく。
いやはや壮大なトライアスロンみたいやね。
野生動物に関しては味方がいるなら駆けるモノで
テレポートして先を進む。
足止めされるなら鋼糸で絡め取るようにして攻撃していく。
アベル・スカイウインド
世界は違うが同族の危機とあらば捨て置けないニャ……。フッ、冗談だ。
誇りや尊厳を奪う悪漢はここの奴に代わって俺が仕留めてやる。
密林ではあるが、随所にアルダワの蒸気機械らしきものがあるな。
であればトラップが仕掛けられていても不思議ではないか。
トラップが発動した瞬間に【見切り】を使って回避を試みる。
あるいは【ダッシュ】や【ジャンプ】で駆け抜けてしまうのもいいだろう。
フッ、どんなトラップであろうとも俺を捕まえることはできんさ。
ついでに後続の仲間のために【偵察】してきてやろう。
どんなトラップがあっただとか、敵の見張りがいないかとかな。
フッ、一度見切ったトラップならば俺にとっては少し面倒な道ってだけだ。
1人のケットシーが、密林に現れた。
猫ヶ島の住民ではない。猟兵……アベル・スカイウインド(天翔ける稲妻・f12583)である。
ここは、異世界。だが、どことなく故郷に近い感覚を得るのは、この土地がアルダワ由来という証拠であろう。
「世界は違うが同族の危機とあらば捨て置けない『ニャ』……。フッ、冗談だ」
「これは何とも頼もしい。自分も亡霊に取っって喰われんようにしませんと。ほなほな、参りましょうか」
クールな笑みを浮かべるアベルと共に、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は、謎の密林に足を踏み入れた。
2人は、入り口で別れ、二手に分かれて進む。
危険が野放しにされたこの場所は、猫ヶ島に住まう者達すら恐れると聞く。猟兵たちを待ち受けるのは、果たして……。
遺跡と呼ぶに相応しい、アルダワ風建造物が、アベルの視界に収められる。蒸気機械めいたものもちらほら。
機能不全から生じる予期せぬトラブルか、或いは、亡霊海賊どもによって作為的に改造されたトラップか……。
いずれにせよ、迂闊に近づけば、危険が襲い来る可能性は高い。しかしそれでもアベルは進むのだ。
「誇りや尊厳を奪う悪漢は、ここの奴に代わって俺が仕留めてやる」
『やる』と、アベルが言い切った直後だった。足元の地面が沈み込んだのは。
何が起こったのか、それを理解する前に体が動いていた。とっさにジャンプ、アベルが空中に逃れるのと、ぷしゅう、と淀んだ蒸気が吐かれるのはほぼ同時だった。
ぐわっ! 巨大な手が伸びてきたかと思うと、一瞬前までアベルのいた場所をつかんだ。
「マジックハンドというやつか」
よく見れば、木々に紛れ、檻のようなものが待ち構えている。一歩間違えばあの中に引きずり込まれていた、というわけだ。
「フッ、どんなトラップであろうとも俺を捕まえることはできんさ」
しゅたっ、と木の枝に着地して気障に決めて見せると、アベルは木々を渡っていく。
さて、こちらは絡新婦。頭上では、鳥が鳴き、旋回している。
これもまたアルダワ世界由来なのだろうか。野放図に茂る草木を払いのけ、歩みを進める絡新婦。
絡新婦にとってはさしたる障害ではないが、住民であるケットシーならば高くそびえたつ壁のように感じるのも無理はなさそうだ。
絡新婦が、とっさに土を蹴った。一瞬遅れて、蠢く何かが、がしゃんと音を立てる。
正体は、古代のゴーレムの腕だった。何かの拍子に動き出したらしい。
だが、ろくに機能していないゴーレムなど、絡新婦の脅威ではない。すぐに力を失ったそれを木の根元に置き直し、後続の猟兵達の目につきやすいようにしておく。
すると、絡新婦の第六感が、新たな危機を報せた。今度は息遣いを感じる。野生動物の類である。
草をかき分け、姿を見せたのは、全高五メートルはあろうかという獣だった。
ちょうど逆光になり、その細部は明確ではないが、オブリビオン……アルダワ由来なら災魔というべきか……のなりそこない、といったところか。
威嚇する巨獣。だが、絡新婦がひるむ素振りをみせないと知ると、体当たりを仕掛けて来た。
するり、絡新婦はそれを難なくかわすと、相手の背に向け、鋼糸を放った。
「?」
予想と違う手応え。妙に弾力がある。
果たして、獣の正体は、スライムだった。精一杯体を広げ、獰猛な獣を装っていたらしい。
一方のアベルも、後続の仲間のための偵察も兼ねて、探索を続けていた。
密林をある程度調査して回ったアベルは、一転、道を逆にたどる。もちろん、再び危険にさらされる道行であるが、
「フッ、一度見切ったトラップならば俺にとっては少し面倒な道ってだけだ」
何処までもクールに冒険を進めるアベル。
その耳とヒゲがぴくりと動く。気配だ。だが、アベルは動じない。
ずざざっ、と獣が、アベルの眼前に現れる。大型の四足獣だ。ただし、絡新婦を背に乗せた。
獣の襲撃を受けた絡新婦だったが、呼び出した大型四足獣にまたがり、颯爽と空間を跳躍してきたというわけである。アベルを頼りにして。
「驚かせてしまったやろか?」
「フッ、心配御無用。猟兵と敵の気配を間違えはしないよ」
言葉通り、アベルは落ち着いていた。
「いやはや壮大なトライアスロンみたいやね」
アベルからトラップの数々を聞き、絡新婦は肩をすくめた。
いつの間にかまとわりついていたトゲトゲの実を払い落すと、冒険を続行する。
未知の道を、既知に変えるべく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
マチルダ・メイルストローム
ジャングルかと思いきや変な仕掛けもたっぷりと。いやぁおかしな島だね!
(そう言いつつも楽しそう)
【ディープシー・センス】で空気の流れを感じ取って辺りの状況を把握しながら進むよ。
妙な生き物がいても動けば空気の流れで分かる。襲い掛かってくるやつがいたら、早業で秘宝「メイルストローム」を振るってたたっ切る!
こいつは……体がスライムで出来てるのか、こんな体であんな機敏に動けるとは面白いもんだねぇ。
(ソーダ水の体の自分を棚に上げ)
この能力じゃ止まってる物は感知できないから罠は普通に踏んじまうけどね。
スイッチを踏んで大岩とかが転がってきたら素直に逃げとくよ。やっぱり遺跡探索はこうじゃないとね!
マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)は、襲い掛かって来た四足獣を気絶させながら、密林を進む。
既に、蒸気機械仕掛けのびっくり箱や、金ダライが落ちてくるトラップを体験済みだ。
「ジャングルかと思いきや変な仕掛けもたっぷりと。いやぁおかしな島だね!」
なんて言いつつも、楽しそうなマチルダの聴覚を、鳴き声がくすぐった。
「もふ~ん」
何とも気の抜ける声。
しかし、それを聞いた時には、マチルダは回避行動済み。【ディープシー・センス】が、密林の空気の流れを感じ取り、辺りの状況を伝えてくれるからだ。
声のした方を見やれば、子ライオンのような獣が、のしのしと歩いてくる。
何やら立派な被り物をしているが、敵意は感じない。もふもふとしているくらいで、特別脅威でもなさそう。
しかし、マチルダの勘は、ぴりぴりとした殺気を感じたままだった。とすれば。
「そこだね!」
素早く飛び出してきた影へと、曲刀一閃。手応えあり。
水飛沫を散らして両断された気配の主を、改めて確かめる。正体は、どろり、とした不定形の生物。
「こいつは……体がスライムで出来てるのか、こんな体であんな機敏に動けるとは面白いもんだねぇ」
刀身を濡らす水滴を払い、マチルダは言った。ソーダ水の体を持つ自分の事は、棚に上げて。
そうして野生動物の数々を切り抜けていくマチルダ。順調であるが、ただ1つ気をつけねばならない事があった。
蒸気機械である。マチルダのディープシー・センスでは、静止している物体までは感知できないのだ。例えば、今マチルダが踏んでいるスイッチのように。
「んん?」
マチルダが、後ろを振り返る。地響きを伴って、突然転がって来たのは、大岩!
よく見れば、表面の凹凸がちょうど、怒りの表情のようである。
動いているものなら、感知は楽勝だ。……すでに手遅れ、という感じであるが。
マチルダへと迫りくる大岩。ご丁寧にも、この辺りの地形には傾斜がついていて、次第に加速してくる。
「いやあ、やっぱり遺跡探索はこうじゃないとね!」
あっはっは、と、マチルダの愉快そうな笑い声が、密林に木霊した。
成功
🔵🔵🔴
イスラ・ピノス
ふんふんなるほどね
皆にゃんこのお客さんていうのも良いお相手になりそうな予感!
お仕事で恩も作れるなら良いこと尽くめだね
いざ牢獄ー!
島の様子は僕からするとかなり目新しいかも
ふふ、そういう意味でも嬉しいな
植生見つつ進んで、蒸気機関の跡などを見落とさないようしっかり注意
迂闊に進むと残骸がいきなり動いて、回転して襲って来るとか、
猫が通りたがりそうな道に捕獲トラップとか、
エノコログサ生えてるところに落とし穴とかあるかもしれないし
危なそうな予感がした時にはゴーイング・マイウェイ
金貨は…先行投資、先行投資だから……
絶対たどり着くぞー!
「いざ牢獄ー!」
イスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)は、鼻歌交じりで密林の植物をかき分け進んでいた。
それはそうとイスラは、目の前の困難よりも、それを乗り越えた先の事を考えていたりする。
「皆にゃんこのお客さんていうのも良いお相手になりそうな予感! お仕事で恩も作れるなら良いこと尽くめだね」
ケットシーを新たなお得意様にしようという算段だ。そのためにも、これは助けないわけにはいかない。
とはいっても、ピクニック気分でばかりもいられない。イスラはしっかり目を凝らし、直感も生かして、辺りを観察していた。
アルダワ世界由来のものがグリードオーシャンで成長したことにより、猫ヶ島独特の植生を為している様子。
密林の景色はどこも新鮮なもので、そういう意味でも、イスラの機嫌を好調にしてくれる。……やはりピクニックでは?
もちろん、草木ばかりではなく、イスラの注意は、点在する蒸気機械にも払われていた。
ネコ……ケットシーの好んで通りそうな場所や、ふっさりエノコログサっぽい植物が生えている所などは特に。捕獲トラップや、古典的な落とし穴が隠されているかもしれない。
ぴた、とイスラが足を止めた。
「……怪しいスイッチ発見」
草木で巧妙に隠されているが、地面に確かにそれはあった。
しかもそばには、箱状の物体から、錆びた歯車が幾つも顔をのぞかせている。1つ1つが大きい。回転して襲い掛かってこようものなら、割とピンチな予感がする。
押せ。
無言で訴えかけてくるスイッチの誘惑を振り切って、進むイスラ。
その第六感に、きゅぴーん、と稲妻が走った。
まさかの二段構え。イスラの目の前に、現れたのは極彩色のスライムだった。がばっ、と体を広げて、イスラを包み込もうとしている。 今まさに!
「ぎゃー!」
金貨! 金貨!
とっさに代価を支払い、ユーベルコードを発動。こともなく巨大スライムから逃れたイスラであったが、失ったものは返ってこない。
「……うう、でもあれは先行投資、先行投資だから……」
自分にそう言い聞かせ。
頬をぱしんと叩いて気合を入れ直すと、イスラは再び商売相手……もとい、救出対象の待つ牢獄を目指したのであった。
成功
🔵🔵🔴
ヨナルデ・パズトーリ
ふむ、密林のう
アルダワ所縁の物が多いとはいえ妾にとっては密林は住み慣れた物じゃからなあ
妾の故郷に居らぬような透明になり人を襲う魔物も巧妙に隠された機械仕掛けの罠も・・・この通り、対処可能じゃしの!
守りを固め急いで向かう為にUCを『高速詠唱』で発動
『視力』を強化し『野生の勘』と『第六感』を駆使し罠を探査しつつ高速飛行の
『空中戦』で低速飛行の状態で移動
『物を隠』したり『失せ物探し』をする際の技術と知識を参考にし『暗殺』の
要領で『殺気』を探り『見切』る
魔物は出てきたら一度は岩等を『怪力』による『鎧無視攻撃』で砕き『恐怖を与え』
其れで逃げる様なら見逃す
其れでも向かってくるなら『高速詠唱』の『全力魔法』
ヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)は、平然とした顔つきで、島の密林を闊歩していた。
「アルダワ所縁の物が多いとはいえ、妾にとっては密林も住み慣れた物じゃからなあ」
実際、踏破の進捗は、かなり順調といえた。
やがて、ジャガーを模した鎧に身を包み、低速飛空するヨナルデ。血と骨でくみ上げられた翼を羽ばたかせており、凡百の獣では、追いすがる事さえ難しい。
衣服や肌を傷つけるような荒々しい草木も、黒曜の鎧が防いでくれる。
「むう」
何ものかの気配が、ヨナルデ目がけ、飛び込んできた。
姿は見えぬ。周囲の景色と同化……すなわち透明化する特殊能力をもった動物であろう。
しかし、あくまで野生動物。オブリビオンではない。殺気は駄々漏れ。ヨナルデは空中で身を回転させ、敵の襲撃をあっさりと通過した。
「ぷぎゃっ」
後方で、何かがぶつかったような音がしたが、律儀に振り返ってやる必要はあるまい。
道行に隠された蒸気機械のトラップも、探索術を生かして事前に察知、切り抜けていく。
空振りした巨大のこぎりが、いたずらに木々を伐採するのを眺めていると、またもや殺気が来た。
頭上から降って来たのは、巨大な蝙蝠のような獣。
「この島で独自に進化を遂げたものかのう」
しげしげと、殺気の主を見つめるヨナルデ。さながら観光客の趣である。
速力を落としたヨナルデは、視線を周囲に走らせた。適当な岩石を見つけると、ひょいと持ち上げた。片手で。
その所作1つで怪力が知れるはずだが、巨大蝙蝠はひるまない。
「全く、聞き分けがないの」
むん、とヨナルデが力を込めて、岩石を投射した。
鎧に覆われているとはいえ、その小柄の一体どこからそのような力が、と驚嘆するほどの速さで、岩石は巨大蝙蝠の腹を打った。
ようやくヨナルデの実力を思い知った巨大蝙蝠は、すごすごと退散していくのであった。
「ああ、折角なら安全な道の1つでも教えていってくれればよいのにのぅ」
あっという間に木々の間に紛れた蝙蝠を、ヨナルデは見送った。
そして、猟兵達は辿りついた。密林をくぐり抜けた先、ケットシー達の囚われた牢獄へと。
「……思っていたより小さいのう」
ヨナルデは正直に呟いた。
牢獄は、ケットシー用のサイズだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ウォーマシン・タイプマリン』
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POW : 襲撃は速やかに
【急速接近からの超高温ヒートカトラス 】による素早い一撃を放つ。また、【水中から船・陸上へ強襲出来る推進機構起動】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD : 障害は燃やし沈めて
【機敏な動きで右腕に担いだマルチランチャー】を向けた対象に、【通常炸裂弾頭か高速誘導魚雷】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 命と宝は根こそぎに
自身の【頭部(メガリス探知用センサーユニット)】が輝く間、【敵位置を常に補足し】放つ【銛型高速徹甲弾】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「助かったニャー!」
牢を脱したキャプテン・ニャオンの第一声である。
密林を乗り越えた猟兵達は、無事、ケットシー達の囚われた牢獄へとたどり着いた。
密林自体が警備システムの役割を持っていたのであろう、牢獄への侵入は容易い仕事だった。……ただ、ケットシー用にあつらえられた牢獄は、猟兵達には少し窮屈だったりもしたが。
そして今、囚われのケットシー達を解放し、牢獄の外に連れ出したところである。
「あの密林を越えて来たのかニャ? 凄い! 俺様の海賊団に入れてやってもいいニャ」
少し偉そうなキャプテン・ニャオン。だが、感謝の気持ちは本物である。
安全な帰り道を伝えた猟兵だったが、ケットシー達は戻るつもりはないようだった。
「助けてもらって恩返ししないなんて、ケットシーの誇りに傷がつくってもんニャ! 亡霊海賊の本拠地まで案内するニャ!」
ニャオンだけではない。他のケットシー達も、本拠地へと向けて進軍を始めた。島を支配し、掟で縛るコンキスタドールへ反旗を翻す時が来たのだ!
ニャオン達の案内先に待っていたのは、湖だった。中心には島が浮かび、おどろおどろしい屋敷がそびえたっている。これは普通サイズ。
「あれが亡霊海賊の根城ニャ! ……ニャ?」
ニャオンが指差した先に、蠢く影が現れた。それも、幾つも。
水上を滑走するのは、人型ロボットのようだ。整然と隊列を為して、こちらへ接近してくる。
「あれは亡霊海賊の手下ニャ!」
『侵入者、発見。ケットシー、及び猟兵。速やかに排除行動に移行』
深青の機人が担いだマルチランチャーから、弾頭が射出される。
……が、こちらへ着弾する遥か向こう、空中で爆発を起こし、消滅した。
見れば、船が一隻、岸辺に浮かんでいる。乗組員とおぼしき二足歩行の猫達が、銃を一斉射し、弾頭を撃墜したのだ。
「見たかニャ、俺様のユーベルコード! 【ニャオン海賊団】!」
ニャオンの首にかけられた髑髏の首飾りが、淡い光を放っている。メガリスだ。
キャプテンの名に偽りなし。ニャオンは覚醒者だったのである。
「フフン、どうニャ! まあそんなに強くないけどニャ……にゃふんにゃふん。さあ、俺様も力を貸してやるニャ! いくニャー!」
ニャオンの言葉に甘えるのもよいだろう。
さあ、いざ開戦だ。
マチルダ・メイルストローム
水の上であたしとやろうなんざいい度胸だ。
"渦潮"の由来、とくと教えてやるよ!
【プリミティブ・オーシャン】で「水」属性の「渦潮」……要するにただの渦潮をあいつらが立つ湖面に発生させて渦潮に飲み込むよ。
植木は手元にゃないが、この剣と銃はメガリス、あたしの位置は捕捉されてるんだろうけど、まともに狙えなけりゃ捕捉しようが無駄なこった。
渦潮に飲み込んだ敵は秘宝「シー・ミストレス」で狙い撃ちだ。
あっはっは! このまま湖底に沈むかあたしにぶっ壊されて沈むか、選ばせてやるよポンコツども!
ニャオン海賊団にも渦潮に飲まれてる敵を砲撃させようか。
ほら、あんたらも撃ちな! 渦潮には近づきすぎるんじゃないよ!
キャプテン・ニャオンとニャオン海賊団が、敵ににらみを利かせていると、加勢が現れた。
加勢……海賊帽のマチルダ・メイルストロームが、秘宝『シー・ミストレス』の銃口を敵に向ける。
『猟兵、確認、排除する』
「水の上であたしとやろうなんざいい度胸だ。"渦潮"の由来、とくと教えてやるよ!」
マチルダを視認したマシン達の頭部センサーが、明滅する。
「あたしの秘宝に反応してるようだね。確かに植木は手元にないが……」
代わりに、銃と剣がある。
実際、マチルダのメガリスを目印として捕捉すると、銛型高速徹甲弾の発射準備にかかるマシン達。
「あ、あんなの喰らったら、ひとたまりもないニャ」
「キャプテンを名乗る奴が浮足立ってちゃいけないよ」
わたわたするニャオンを、マチルダが叱咤した。
『シー・ミストレス』の射撃をかわし、水上を駆ける敵群。
だが、マチルダが、ぱちん、と指を鳴らした途端、湖面がざわめき始めた。
水音はまたたく間に激しさを増し、ざわめきは渦潮へと成長する。
水中戦用カスタムでさえ、マチルダの荒ぶる水流には対応しきれない。蒼の機体が、渦へと飲み込まれていく。
渦の圏外へ離脱しようと試みるも、機体は安定せず、連射された銛は、明後日の方向へと跳んでいくばかり。
「あっはっは! このまま湖底に沈むかあたしにぶっ壊されて沈むか、選ばせてやるよポンコツども!」
自由を奪われたマシン達を狙い撃ちながら、選択を迫るマチルダ。
得意なフィールドにもかかわらず、いいようにあしらわれていくマシン達。
「これが猟兵海賊の実力ニャ? スカウトしたいニャ……」
ニャオンの羨望の眼差しに気づいたマチルダは、にっ、と笑って、敵をあごで示した。
「ほら、黙って見てないであんたらも撃ちな! 渦潮には近づきすぎるんじゃないよ!」
「わ。わかったニャ! 野郎ども、撃て撃てー!」
「「ニャー!!!」」
どどぉん!
ニャオン海賊団の集中砲火が、敵を攻めたてる。一発一発の威力こそマチルダに及ばないものの、標的は反撃も防御もままならぬ。
渦潮に呑まれたマシンの装甲がへこみ、ひしゃげ、次々と沈没していくのだった。
成功
🔵🔵🔴
アベル・スカイウインド
フッ、ではキャプテンの期待を裏切らぬよう全力でやらせてもらおう。
湖の上なら俺が手出しできないと思っているのか?その認識は改めたほうがいい。
UC【竜星】による【先制攻撃】と着弾時に発生する【衝撃波】で湖を叩き割ってやろう。
これなら水上の利は得られんだろう?何せ一時的とはいえここは陸地となったのだからな。
水が戻る前に一瞬で勝負を決めるぞ。敵の攻撃は【見切り】で躱し、槍で素早く【串刺し】にする。
水が引き始めたら【ジャンプ】でニャオンの場所まで戻る。
生憎水浴びは苦手でな。フッ、水に濡れたらいい男が台無しだろう?
猫人からなるニャオン海賊団のメンバーが、いつの間にか増えていた。
いや、アベル・スカイウインドだ。しかし、同族ゆえに生まれる親近感というものがある。
「頼りにしてるニャ、猟兵先輩!」
「先輩、ときたか。フッ、ではキャプテンの期待を裏切らぬよう全力でやらせてもらおう」
『後輩』・ニャオンと視線をかわすアベル。
水上の敵群は、アベル達にアタックを仕掛けるタイミングを測っているようだ。
「ケットシーには水が苦手な奴も少なくないのをいいことに、奴等、こんなところに本拠地を作りやがったニャ!」
「なるほど一理ある」
ぐぬぬっ、と悔しがるニャオン。だが、アベルは涼しい顔だ。
「湖の上なら俺が手出しできないと思っているのか? その認識は改めたほうがいい」
『ランスオブアベル』を構えるアベル。そこへ、水しぶきをまき散らし、敵群が一気に接近を試みる。手にしたブレードを赤熱化させて。
だが、敵が間合いに突入するより早く、アベルは岸辺を蹴る。
「ニャニャッ!?」
ニャオンが天を仰ぐ。星が降って来る。それは竜の星。
流星と化したアベルが、湖に『着弾』する。
凄まじき衝撃が、湖面を叩き割る。
隕石落下が、小さくとも莫大な破壊力を有するのと同様、アベルのもたらした破壊は、ただの一撃で、水底を露わにするほどの威力を発揮した。
「これなら水上の利は得られんだろう? 何せ一時的とはいえここは陸地となったのだからな」
自ら作り出したバトルフィールドに、アベルが身を躍らせる。
一転、『地上戦』を余儀なくされたウォーマシン達。だがそこは流石の戦闘機械。冷静にアベルの対処にかかる。
だが、俊敏さではアベルの方が上だった。敵の間を駆け抜けると、ヒートカトラスをかわし、槍を繰りだし、串刺しにする。返って来るのは、機人特有の鋼の手応え。
ウォーマシン、爆散。生じた風も生かし、跳躍するアベル。直後、押しのけられていた水が流れ込み、湖が復元された。
「生憎水浴びは苦手でな。フッ、水に濡れたらいい男が台無しだろう?」
「痺れるニャ……!」
ニャオンの隣に着地したアベルの毛並みは、戦を始める前と一切かわらぬままを保っていた。
大成功
🔵🔵🔵
スピレイル・ナトゥア(サポート)
精霊を信仰する部族の巫女姫です
好奇心旺盛な性格で、世界をオブリビオンのいない平和な状態に戻して、楽しく旅をするために戦っています
自分の生命を危険に晒してでも、被害者の方々の生命を救おうとします
技能は【第六感】と【援護射撃】と【オーラ防御】を主に使用します
精霊印の突撃銃を武器に、弾幕を張ったり、味方を援護したりする専用スタイルです(前衛はみなさんに任せました!)
情報収集や交渉のときには、自前の猫耳をふりふり揺らして【誘惑】を
接近戦の場合は精霊の護身用ナイフで【捨て身の一撃】を繰り出します
マスター様ごとの描写の違いを楽しみにしている改造巫女服娘なので、ぜひサポート参加させてくださると嬉しいです!
キャプテン・ニャオンの元に、新たにスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)が駆け付けた。
「助けに来てくれてありがとニャ!」
「島の皆さんが苦しめられているのなら、放っておけません」
ケットシーのニャオンと目線を合わせたスピレイルは、すっと立ち上がると、湖の上に視線を移した。
頭部に内蔵されたセンサーを明滅させ、こちらを捕捉している敵へと。
「この鋼の戦士達が、亡霊海賊の手下なのですね」
「そうニャ。相手は水の上だから気を付けるニャ。ま、まあ俺様は問題ないけどニャ!」
虚勢を張って見せるニャオンを微笑ましく思いつつ。
スピレイルは、突撃銃を取り出した。精霊印のそれで、水上を駆ける敵に狙いを定めながら、傍らのニャオンに頼み込む。
「すいませんが、前衛はお任せします。私が援護しますので!」
「承知ニャ! いけいけニャオン海賊団!」
船長の号令に従い、海賊船から、猫船員達が銃を放つ。
猟兵ほどではないにせよ、立派なユーベルコード。ウォーマシンの装甲とて無傷ではいられない。
思わずひるんだ敵を、炎弾が貫いた。スピレイルの突撃銃の援護射撃が炸裂したのだ。
スピレイルへと狙いを定めたマシン達。陣形を組むと、味方を盾にすることもいとわず、スピレイルの弾幕を突破するつもりだ。
そして、銛型の高速徹甲弾が、スピレイルをロックオンする。
だが、弾頭の発射を封じたのは、特大の炸裂弾だった。湖の水の精霊の力を借りたそれは、敵陣を丸ごと飲み込んだばかりか、湖面に大きな穴を開ける。舞い上げられた水が、雨となって降り注ぐ。
「す、すげえニャ」
ニャオンも、口あんぐり。
直撃を免れたウォーマシン達も、水という足場を失い、挙動を乱す。圧倒的な破壊力は思考回路にノイズを生じさせ、回避行動もままならない。
そこに、スピレイルによる追い打ちがかかった。正確な狙撃により、撃破されるマシンが数を重ねていく。
「なるほど、水があるなら無くせばいいって事だニャ!」
爆風や敵の残骸を、オーラでしのぐスピレイル。
その頼もしい姿に、ニャオンは感激していた。
成功
🔵🔵🔴
ヨナルデ・パズトーリ
ふむ、機械の先兵、其れもレーダー等も性能の高い輩か
ならば機械の弱点の雷と速さで攪乱するかの
魔法は原則『高速詠唱』『範囲攻撃』『乱れ撃ち』
『高速詠唱』でUC発動
『呪詛』入りで『マヒ攻撃』の力もある雷鳴の『属性攻撃』『全力魔法』で『先制攻撃』
其の侭高速飛行の『空中戦』で敵に肉薄
『怪力』による『薙ぎ払い』で『衝撃波』を撒き散らし同時に『多重詠唱』により
雷鳴の『属性攻撃』『全力魔法』を放ち『マヒ(攻撃)』させる事で敵の動きを
阻害しつつ戦闘
全力で敵を『蹂躙』する
敵の動きは『野生の勘』で見切り『敵を盾にする』様にし肉薄した弾丸は
『オーラ防御』を纏わせた左手や足による『シールドバッシュ』で叩き落す事で
対応
敵は水上。
ヨナルデ・パズトーリは、なおも防衛線を敷くコンキスタドールの戦力を分析する。
猟兵の奮戦により撃墜された数を、いくばくか補充したようだ。
「ふむ、機械の先兵、其れもレーダー等も性能の高い輩か」
「あの箱から飛び出す弾を喰らったら、ひとたまりもないニャ!」
訴えるニャオンに、落ち着け、とヨナルデはなだめる。
「猟兵の力を見たのなら、案ずることはあるまい。機械の弱点の雷と速さで攪乱するまで」
今こそ、有言実行の時。ヨナルデは、高速でユーベルコードの詠唱を成し遂げる。
神力がヨナルデの体に結晶し、黒曜の鎧を編みあげた。
武装の完了とともに、一面を閃光が塗り込める。雷鳴が轟き、光がウォーマシンの機体へと降り注いだ。
海色の装甲を焦がした敵に向け、ヨナルデは翼を羽ばたかせた。破裂音と共に水面を叩いて、空中へ。
光は収まったものの、敵の動きは鈍い。ヨナルデの雷鳴が帯びた呪詛が、マシンの回路に干渉しているためだ。リカバリーにリソースを注いだゆえに、迎撃に移る余裕もなく。
瞬く間に接近したヨナルデの姿が、磨かれた頭部に映りこむ。振るわれる斧。大気と水面を切り裂く衝撃波が、ウォーマシンを吹き飛ばす。
単騎のヨナルデが、ウォーマシンの軍団を圧倒、蹂躙する。弾け飛んだ敵の腕を片翼で跳ね除け、新たな雷鳴を浴びせる。
『迎撃せよ』
合成音声にヨナルデがそちらを顧みれば、矢継ぎ早に射出された銛型高速徹甲弾が、襲来するところであった。
「危ないニャー!」
ニャオンの悲鳴が響く。
だが、1本としてヨナルデの体をかすめる事はかなわなかった。着弾コースを辿ったものも、オーラを展開したキックによって弾き飛ばされる。
目標を失った弾は、敵本拠近くに落下し、想定外の被害をもたらしていく。
鋼の体を引き裂き、まさに一騎当千の様相を披露するヨナルデに、ニャオンの瞳はきらきらしっぱなしだ。ゴロゴロ雷鳴におののいている暇もない。
「す、すごいニャ。まるで獣の神様ニャ」
「まるで、ではなく、まさしく神そのものなのであるがな」
空中で翼を広げたヨナルデが、威厳に満ちた笑みをニャオンに送った。
成功
🔵🔵🔴
杼糸・絡新婦
頼もしいこってやなあ。
ほな、お言葉に甘えさせてもらいましょか。
錬成ヤドリガミで鋼糸をレベル分召喚。
【罠使い】で張り巡らせ、足場に利用。
また【フェイント】をいれ誘い込み
他のメンバーが攻撃しやすいよう隙きを作ったり
こちらも攻撃を行う。
絡みつくようにして拘束し【敵を盾にする】
または、糸を織りなすようにして敵の攻撃を防ぐ。
イスラ・ピノス
にゃんこさん達を助けられたのは良いけど、
なんか思わぬ見た目の敵が出てきたね。
んー、硬くて強そう…数も多いし、ちょっと僕だけで攻めるのも不安だね
だからこちらも応援を
幽霊海賊団を呼んで戦うよ
攻めは海賊団に任せて僕は攪乱と支援をしよう
数はこちらが上の筈、皆で同じ場所を狙って叩いていくよ
湖では【高速泳法】で移動し、敵からの攻撃を避けつつ海賊団の指揮
マルチランチャーからの攻撃は投げ舵輪やクリーピングコインで妨害
妨害は出来たら向こうにダメージが出るくらいすぐ叩き落したいけど流石に難しいかな
【第六感】も使ってタイミングは狙ってみる
頭部が光ったら逃げの一手だね
危なかったら悪いけど幽霊さん達にも守ってもらえたら
杼糸・絡新婦は、猟兵を援護するキャプテン・ニャオンの奮戦ぶりを目撃した。
「来てくれたのニャ? 一緒に奴等を追い払うニャ!」
「頼もしいこってやなあ。ほな、お言葉に甘えさせてもらいましょか」
そこに、ついつい観戦モードになってしまう一般島民達に、湖から離れてもらっていたイスラ・ピノスも駆け付ける。
「にゃんこさん達を助けられたのは良いけど、なんか思わぬ見た目の敵が出てきたね」
増援を呼んだのは、鋼の機体のコンキスタドール。確かに、こんな敵に攻め込まれては、ケットシー達ではひとたまりもないだろう。
「んー、硬くて強そう……数も多いし、ちょっと僕だけで攻めるのも不安だね」
「ほな、自分が隙を1つこしらえましょか」
イスラの援護に取り掛かろうとした絡新婦は、刺さるような殺気を感じた。敵のマルチランチャーの標的に定められたのだ。
ウォーマシン達も、いいようにやられてばかりでは、護衛としてのメンツに傷がつく、という事なのだろう。
しかし絡新婦も、数の不利を放置するつもりはない。即座に錬成ヤドリガミの力を重ねて、鋼糸を召喚。
細い軌跡が、湖上を駆け巡る。絡新婦達を取り囲む結界のように、鈍く輝く糸が展開された。
細糸は敵を穿つことなく、ただひそやかに景色に溶けていく。
絡新婦のフォローに感謝しつつ、イスラは、力を解放した。存分に!
ゆらり、虚空がゆらめき、光の柱をくぐり抜けて現れたのは、幽霊船!
「おおっ、俺様と同じ技を使うニャ!? しかもデカイ!」
キャプテン・ニャオンが、ぴゃーっと尻尾を立てる。驚いているのかと思いきや、感激しているらしい。
「さあ行くよ。一気に攻めよう」
イスラの号令に応えて、幽霊船のクルーがラッパ銃を一斉に向けて、敵を迎撃する。弾幕を貼るのではなく、複数で同じ機体を集中攻撃。
これまでの猟兵との戦いで、ウォーマシン達も戦力は心許ない。イスラの幽霊海賊たちの方が数では勝っているのだ。
そして、海賊団の援護に回るイスラ。高速泳法を披露、敵と水上戦闘を繰り広げながら、海賊団に指示を飛ばす。
『警戒レベル上昇、遠距離から迎撃せよ』
ウォーマシン同士が情報を共有、散開して攻撃に取り掛かった。絡新婦の仕掛けへの警戒も怠ってはいないようだ。
「うああ、こっちに来るニャー!」
慌てふためくニャオン。
その小さな手を取ると、絡新婦は地上を離れた。張り巡らせた鋼糸を足場として上方へと逃れたのだ。
それでも、敵の狙いは、常に絡新婦達を捉えて離さない。だが、敵もまた絡めとられている。絡新婦の仕掛けた罠に。
マルチランチャーが、炸裂弾を吐く。慌てふためくニャオンと裏腹に、絡新婦は糸を繰って、防御陣を構築する。
弾頭、炸裂。だがそれは、十分に威力を発揮できない距離だ。
『!?』
爆風をかきわけ、絡新婦に攻撃を仕掛けようとしたウォーマシンが、突然その場に硬直する。鋼糸に触れた瞬間、その身を拘束されたのだ。
自由を奪われたマシンは、操り人形の如く絡新婦の意志の下に置かれ、攻撃を防ぐ盾となる。
絡新婦が、ニャオンやイスラに目配せする。
その意図に気づいたニャオンは、海賊団に反撃を命じた。
「敵が自由に動けない今がチャンスニャ! こんなんじゃ射撃の練習にもならないかもしれニャいけどニャ!」
海賊団の一斉射を浴びたウォーマシンが、絡新婦の鋼糸に頭部を穿たれ、空中で爆散した。
『撃滅せよ』
敵も、もはやなりふり構う事はない。銛型高速徹甲弾をありったけ発射して、一気にイスラと海賊団を殲滅する策に出た。
海賊メンバーもちろん、絡新婦やキャプテン・ニャオンの海賊船も標的に含まれている。
「ニャニャニャ!? 退避、退避ニャー!!」
「にゃんこさん!」
みなのピンチに、イスラが動いた。
直撃コースをたどっていた弾は、突如空中で爆砕した。湖上に、破壊的な華が咲く。
イスラの手もとに、舵輪やクリーピングコインが帰還する。投じたそれらが、弾頭の軌道を妨害、着弾前に破壊したのだ。
発射直後に爆発したため、ウォーマシン達は、その衝撃や爆風を至近距離で受ける羽目になった。
装甲を損傷したばかりか、視界まで塞がれたマシン達は、センサーでイスラ達の位置を把握しようと試みる。
だが、爆煙を割いて、マシンへと弾丸が降り注いだ。イスラの幽霊海賊団、そしてニャオン海賊団の一斉攻撃だ。
「見たかニャ! これが俺様……っていうか猟兵の力ニャー!」
かくして、猟兵達とキャプテン・ニャオンの共同戦線により、ウォーマシン達は撃破された。
いよいよ、亡霊海賊の本拠・幽霊島に突入だ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『幽霊海賊船合体カイゾクオー』
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POW : ガレオンバスター
【身体を構成するガレオン船に搭載した大砲 】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD : 派手に行くぜ!
【両手のカトラスを用いた海賊剣術 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : とんでもない奴ら
【亡霊海賊の中でも最強の5人チーム 】の霊を召喚する。これは【カトラスとピストルを用いた格闘術】や【チームワークが生み出す連携技】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠砲撃怪獣・ガンドドン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
いよいよ!
猟兵とニャオン達は、敵の潜む島内へと乗り込んだ。
……だが、中に敵の気配はない。護衛の姿も見えぬ。
「もしかして、尻尾を巻いて逃げたニャ?」
「逃走用の秘密通路なら知っているぞ」
島民の1人が、一同を案内し始めた。牢獄に囚われるまで、本拠地で強制労働を強いられていたという。
導きに従って秘密通路をくぐり抜けた先に、幽霊海賊の姿はあった。プールのような場所に、海賊船が何隻も停泊している。出港準備は万端のようだ。
「逃がしはしないニャ!」
「逃げる? 『我々』がここに来たのは貴様らを始末するためだ」
亡霊海賊の姿が、海賊船の中に消えていく。
船は、ざばあ、と空中に浮上すると、次々とドッキングを遂げていく。
「海賊合体……!!」
「が、合体ニャ!?」
腕部分から五指が出現し、虚空から出現した巨大カトラスを握る。
背中からはマントがなびき、眼帯に覆われていない方の目が禍々しく光る。
「完成、カイゾクオー!」
轟音!
本拠地の建物を木っ端みじんに吹き飛ばし、ケットシー達を見下ろす巨人、いや、巨神の誕生だ!
「小さきものどもよ、我々のパゥワーを思い知るがよい。まずは懲りずに『ニャ』をつけている貴様に死を与えよう」
「こ、こっちには猟兵がついてるニャ。でかさでビビらせようとしたって無駄ニャ!」
必死に虚勢を張るニャオンに、巨大カトラスの切っ先が向けられた。
「ならば、やって見せるがよい」
「ひーッ!?」
キャプテン・ニャオン、ピンチ!
この危機を突破し、島民を支配から解放できるのは……猟兵しかいない!
ヨナルデ・パズトーリ
やれやれ、亡霊である以上仕方あるまいが往生際の悪い事よ
何れにしても生者の邪魔をするのなら全力で叩き潰すのみ!
魔法は原則『高速詠唱』で『範囲攻撃』『乱れ撃ち』
又、亡霊対策として攻撃には基本『破魔』の力を籠める
『高速詠唱』でUC発動
『先制攻撃』で闇の『属性攻撃』『全力魔法』で『目潰し』
『野生の勘』と『暗視』で敵の動きを補足
『存在感』を薄れさせ『目立たない』様に『闇に紛れ』『存在感』と『殺気』を持たせた『残像』で攪乱
『怪力』による『破魔』の力を込めた斧の『薙ぎ払い』や雷鳴の『属性攻撃』『全力魔法』による『マヒ攻撃』で亡霊の動きを『蹂躙』し阻害
隙をつき本体に『零距離射撃』で雷鳴の『全力魔法』をぶち込む
ヨナルデ・パズトーリの操る魔法が、巨大海賊の全身を蹂躙する。
大半は、攪乱が目的。本命の闇黒魔法が、カイゾクオーの赤瞳へと叩きこまれた。
「ぐううう」
「やれやれ、亡霊である以上仕方あるまいが往生際の悪い事よ」
瞬時に【第一之太陽再臨】を遂げたヨナルデは、空を舞いながら、カイゾクオーとの激戦を繰り広げていた。
「何れにしても生者の邪魔をするのなら全力で叩き潰すのみ!」
「今のは効いた……だが死せるものがこの程度で消え去ることはない」
瞳から黒煙を上げながらも、カイゾクオーは頭上から光を射出した。その数5つ。レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンク。
いずれ劣らぬ、ツワモノの亡霊海賊の登場だ。
『豪快に決めるぜ』
レッドの決めセリフとともに、一斉に飛びかかって来る5人。
亡霊ゆえ、重力に囚われぬ敵海賊に対し、ヨナルデは大翼で空気を叩き、高速回避。
縦横無尽。亡霊海賊5人と空中戦を繰り広げるヨナルデの数は、いつしか10を軽く超えるものになっている。
残像だ。そして本体の気配は見当たらぬ。
『なら、まとめて蹴散らしてやるぜ』
亡霊海賊5人が集結すると、ピストルを同時に放った。五条の光は1つに束ねられ、奔流となる。
虹色に少し足りぬ輝きが、ヨナルデの残像を掻き消していく。だが、最後の残像の陰に隠れていた本体が、敵陣に飛び込んだ。
黒曜の斧にこめられた破魔の力が、5人の霊体を、あたかもバターの如く切り裂いていく。
決戦とあれば大盤振る舞い。ヨナルデは続けて雷鳴を放つ。乱れ撃たれた稲光は、周囲を光の世界へと書き換える勢い。
全身を駆け巡った雷に、5人が悶えている間に、ヨナルデは首魁・カイゾクオーへと飛び込んだ。
「骸の海より蘇りし亡霊共よ。妾の裁きを受けるが良い!」
零距離から、極大の雷鳴が迸った。
「わ、我が結合部が……!!」
「合体したのなら、其の付け根が弱点なのは道理であろう?」
背後で5つの気配が掻き消えるのを感じながら、ヨナルデが不遜な笑みを浮かべる。
「神様凄いニャー! 崇めよー!」
本拠地のがれきの陰からヨナルデに贈られた声援は、キャプテン・ニャオンのものであった。
大成功
🔵🔵🔵
アベル・スカイウインド
怖気づいたのか?ニャオン。キャプテンならもっとどっしり構えていろ。
安心しろ。ケットシーの気高き誇りを俺がヤツに示してやる。
フッ、任せておけ。
UC【竜撃】を使う。この一撃に全ての力を籠める!
ギリギリまで【力溜め】を行い、ヤツの攻撃が当たる直前に【見切り】【ジャンプ】で回避する。
【残像】を残しておけば攻撃が当たったと勘違いするだろう。
狙うはヤツの右目。禍々しく光るあの眼を【部位破壊】する。
左目の眼帯が飾りでなければ視力を失うことになるかもな。
では、攻撃が当たったと油断してるヤツの意表を突いてやろう……天を仰げ!
フッ、俺にとって大きさはハンデにならん。ケットシーを甘く見た報いだな。
杼糸・絡新婦
盛り上がってきたてことやろ。
確かにそんなデカさではビビらんなあ。
引き続き、召喚した鋼糸で攻撃。
絡みつくようにして動きを阻害しつつ
【挑発】でこちらに意識を向ける。
でかくなったぶん、当たる面も多いニャン、
どうしたでかぶつ
また他の猟兵やキャプテン・ニャオンに攻撃が向いたら
【かばう】ことで攻撃を受ける。
敵の攻撃は【見切り】でタイミングを図り脱力して受け止め、
オペラツィオン・マカブルで跳ね返す。
さあ、出番やでサイギョウ。
アベル・スカイウインドが、キャプテン・ニャオンを鼓舞する。
「今更怖気づいたのか? ニャオン。キャプテンならもっとどっしり構えていろ」
「ふっ、言われるまでもないニャ! 亡霊なんかにビビってちゃ七つの海を股に掛けることなんてできないニャ!」
アベルに励まされたニャオンが、両手を高く掲げて、やる気モード。
「その意気だ。安心しろ。ケットシーの気高き誇りを俺がヤツに示してやる。フッ、任せておけ」
駆け出すアベル。ニャオン達から、この島の存亡を託されて。
「定命のものどもが、不死なる我らにかなうものか」
巨大さを誇示し、カトラスをかざすカイゾクオーを見上げ、杼糸・絡新婦は笑みを浮かべた。
「ふぅん、盛り上がってきたてことやろ。確かにそんなデカさではビビらんなあ」
「頑張るニャ! 俺様も応援してるニャ!」
さしもの海賊団でも、この敵には手も足も出ないと悟ったか、キャプテン・ニャオンが安全圏から絡新婦を応援した。
迫る猟兵達に、カイゾクオーの哄笑が降り注ぐ。
「クカカ、我が支配から逃れる事はできぬ。死神と踊るが良い」
「あいにくとダンスの相手は『自由』と決めているんでな」
たとえアベルがどれほど小さくとも、カイゾクオーは容赦しないつもりのようだ。
「俺が切り込もう」
「ほな、自分もそれに合わせていかせてもらおか」
振り下ろされたカトラスをかわして、アベルに続き。絡新婦が地を蹴った。
手を広げ、鋼糸を敵の巨躯にまとわりつかせる。
細くとも頑丈なる糸だ。敵の腕や足にひとたび絡みつけば、動きは鈍り、停止する。
「おお、海賊から自由を奪い取るとは」
「でかくなったぶん、当たる面も多いニャン。どうしたでかぶつ」
絡新婦の挑発に、カイゾクオーが怒気を放つ。死の匂いをまとう邪念が、巨体から滲み出す。
「『ニャン』だと……掟破りはもはや死罪と心得よ」
カイゾクオーが、カトラス二刀流を披露した。
島を囲む湖すら切り裂く斬撃。しかし絡新婦は、軽やかな体さばきで、カイゾクオーの周囲を跳び回る。
「ならばその無謀に免じて、全力で死をくれてやろうではないか」
カイゾクオーの、二振りのカトラスが閃く。
当たれば海賊船だろうと真っ二つ、海の藻屑と化すことは想像に難くない。
だが、アベルは逃げない。ぎりぎりまで引きつける。刃の先端が髭に触れようかというタイミングまでこらえる。
ずぅん!
カトラスがアベルのいた場所を破壊する。本拠地の残骸が舞い上がり、再び崩壊を引き起こす。
「我が一撃は必中。何人たりとも逃れられぬ」
「ああっ、先輩達っ!」
カイゾクオーの絶望的な宣告、そして実際の惨状を目の当たりにして、ニャオンがその場にへたりこむ。
「……言い忘れていたが、実際のダンスの相手は『ピンチ』のことも多くてな」
フッ、と不敵な笑みが、空に響く。
「この声……先輩ニャ!」
「さあ、天を仰げ!」
目を凝らせば、巨大なるカイゾクオー、その更に上空に、アベルの姿があった。
カイゾクオーがアベルを見つけた時には、既に遅い。眼帯に守られぬ右目へと、凄まじき槍の一撃をお見舞いした。
「うおおおおおっ」
目を押さえるカイゾクオー。手を離れ、落下したカトラスの衝撃が、ニャオンの小さな体を一瞬浮かび上がらせる。
「先ほど仕留めたのは残像だというのか」
地面に突き立つカトラスの柄に降り立ったアベルが、颯爽と返答する。
「フッ、俺にとって大きさはハンデにならん。ケットシーを甘く見た報いだな」
よろめきながらもカイゾクオーは、もう一振りのカトラスを投じた。その切っ先がアベルに届く寸前、絡新婦が飛び出した。
十指で張り巡らせた鋼糸の守りが、カトラスを絡めとり、斬撃力を吸収してしまう。
「邪魔をするな」
ぐおん。絡新婦に、地面から抜かれたカトラスが襲い掛かる。
しかし絡新婦は、その攻撃のタイミングを見切っていた。相手が触れる瞬間、全身から力を縫い無防備をさらす。
「血迷ったか」
答えは否である。
カトラスの一撃は、絡新婦の鼻先で静止している。見えざる力によって。
「馬鹿な、我が攻撃が通じんだと?」
「さあ、出番やでサイギョウ」
不可視の力が具現化する。
絡新婦を守るように現れたのは、狐人の絡繰りであった。
「魂なきものが、怨念の化身たる我らに勝るというのか……!?」
「おっと舐めてもらっては困りますなあ。サイギョウには『魂』がこもってますゆえ」
サイギョウの弾き飛ばしたカトラスが、がれきに突き立つ。
武器を失ったカイゾクオーに向け、サイギョウが跳躍する。その胸に飛び込むと、勢いよく手刀を叩き込む。
船の破片……すなわちカイゾクオーの装甲が、宙に散った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マチルダ・メイルストローム
ずいぶんと心は狭いんだねぇ。そのデカい図体はみせかけか『ニャ』?
このあたしを差し置いて他の奴を狙うなんざさせないよ。適当に挑発して相手をしてもらおうか。
デカかろうが数が多かろうが船相手に海賊が退くはずないだろう?
船じゃなくともあたしは退かないがね!
放たれる砲弾を【エッジ・ストリーム】で両断しながら突撃、足元から敵の体を構成する船に乗りこむよ。
一度乗り込んじまえばこっちのもんだ。そうそう砲弾は撃ち込めないし、『船上戦』は慣れてる、ちょっと揺れたくらいじゃ落っこちやしないさ。
そのまま体を構成する船を乗り移りながら登って【エッジ・ストリーム】の巨大な水の刃でぶったぎる!
これで終わりだ『ニャ』!
マチルダ・メイルストロームは、たび重なる攻撃を受け、全身から霊気の黒煙を上げる巨躯……カイゾクオーを見上げた。
「掟で語尾を縛ろうとは、ずいぶんと心は狭いんだねぇ。そのデカい図体はみせかけか『ニャ』?」
「『ニャ』は禁止だと言ったはずだ」
猫によほど恨みがあるのだろうか。たとえば、メガリスを横取りされたとか。
自身を差し置いて、ニャオン達を狙わせはしない。マチルダの挑発は、損傷し苛立つカイゾクオーの神経を逆なでする。
「デカかろうが数が多かろうが船相手に海賊が退くはずないだろう? 船じゃなくともあたしは退かないがね!」
「ならば力で退かせるまでよ」
ごうん。
カイゾクオーの胸元の船体が開く。中から威容を現したのは、巨大砲・ガレオンバスター!
「これで決まりだ!」
轟音と共に、射出される砲弾。だが、いきなりの必殺技がたどる末路は1つと決まっている。すなわち、
「効かない、だと……!?」
高速で接近する砲弾は、マチルダの放った水の刃によって両断されていた。
空中で虚しく爆散する砲弾。その風を味方につけて、マチルダは突撃を敢行。カイゾクオーの足に侵入した。
巨体を構成するのが海賊船であるなら、人が入り込むスペースが存在するのは、道理だ。
「ふう。一度乗り込んじまえばこっちのもんだ」
巨大な敵を、正面からではなく内部から攻めると言うのは、攻略法の1つだ。
よほどの覚悟がなければ自身に砲弾など撃ち込めないし、なによりマチルダにとって『船上戦』は慣れたもの。
「小癪なぁぁ」
マチルダを追い出そうと、カイゾクオーの四肢が揺れるが、船旅、それも荒れ狂う嵐に遭遇した時など、こんなものでは済まない。
敵の動揺と消耗を悟ったマチルダは、そのまま上方へと乗り移りながら、頂を目指す。
船内に満ち満ちた怨念の数々を払いのけながら、いよいよマチルダは頭部まで到達した。
今こそ。
マチルダは敵の眼前に飛び出し、秘宝メイルストロームを振りかぶる。あふれ出す力が水となって刀身を螺旋で包み、巨大なる刃を形成した。
「これで決まりだ『ニャ』!」
一刀両断。
マチルダ渾身の斬撃が、敵の頭頂から股下までを一気に切り下ろした。
大成功
🔵🔵🔵
イスラ・ピノス
亡霊海賊ってなんか想像してたのと違う!
船ってそうなるものじゃないよね!?
さっきの硬いのもヒントかなんかだったのなぁ…
皆結構平然としてるのすごい
うー、あんまり自信ないけどあれでおしまいなら頑張るよ
こっちの幽霊海賊団はもう働かせちゃったしね
シェイプ・オブ・ウォーターを使い、深海の環境へ
今回も高速泳法で移動だよ
攻撃を受けないよう注意しつつ、まとわりついて攻め続けるよ
誘導と範囲攻撃も狙い、壊れてたり脆そうな所を重点的に!
元は幽霊船の集まりなら見た目より丈夫じゃないでしょ
船は海の上、海の底の怖さ教えてあげる!
めきめきめき。
落下して来る構造物の破片をかわしながら、イスラ・ピノスは、巨大な敵を見上げた。
海賊船合体・カイゾクオーを。
「亡霊海賊ってなんか想像してたのと違う! 船ってそうなるものじゃないよね!?」
先ほど襲ってきたコンキスタドールがロボットだった時点で、敵の正体はほのめかされていたのかもしれない……。
何より、他の猟兵達が、割と平然と対処しているのが凄い。
さすがにキャプテン・ニャオンはびっくりしていた気がするけれど、合体より大きさの方に驚いているみたいだし。
「うー、あんまり自信ないけど、これでおしまいなら頑張るよ」
イスラが、勇気を振り絞った。その心こそ、冒険に欠かせぬ相棒だ。
覚悟を決めたイスラを倒すべく、敵の船体から、5人の亡霊海賊が召喚される。
『俺達が仕留めてやるぜ』
「うわっ! こっちの幽霊海賊団はもう働かせちゃったし……なら!」
突然降り始めた雨に、海賊レッドが不敵な笑いをこぼす。
『この程度、小雨だぜ』
しかし雨の正体はソーダ水。周囲の環境を書き換えていく。深海へと。
水圧を受けたカイゾクオー、そして亡霊5人の速さが、目に見えて低下した。
『こいつはやべえ』
「船は海の上、海の底の怖さ教えてあげる!」
セイレーンであるイスラにとっては、地上よりむしろ動き易い。反面、カイゾクオーは海の上を進む船の合体。その動きが鈍るのは当然だ。
亡霊5人もそれは同じ。ユーベルコードで作られた深海には適応できない。そんな彼らの周りを、素早い泳ぎで、イスラが駆け巡る。
5人のもたついた連携を切り抜け、カイゾクオー本体にまとわりついて攻撃を仕掛けるイスラ。
クリーピングコインで、巨体の破損部分ばかりを狙って、次々と躰を破壊していく。
巨大さばかりに意識が向くが、そもそも、幽霊船の寄せ集めなのだ。合体までこなしてみせても、特別頑丈なわけではない。
「不死の体が朽ちていく、だと……」
「これでっ……おしまい!」
ありったけの力をこめて、イスラが舵輪を投じた。カイゾクオーの胸の砲に飛び込んだそれは、内部で暴れ回った後、背中を突き抜け、飛び出した。
「バカな……不死なる我らが……」
ぱしっ。
戻って来た舵輪を手に取りながら、イスラは支配者の最期を見届けるのだった。
「おお……我らが骸の海に沈む……」
カイゾクオーの腕が、頭部が、崩れ落ちていく。
亡霊の消滅と共に、空を覆っていた暗雲が晴れ、光が差す。
島の支配者の最期を見届けたニャオン、そして島民たちが、一斉に歓声を上げた。
「やったニャ! 俺様達の勝利ニャ」
「もしかして……もう『ニャ』って付けて……いいのか?」
「もちろんニャ!」
「よっしゃあ! やったニャ!」
ニャ。ニャ。ニャ。
島に、『ニャ』の大合唱が響き渡る。
猫ヶ島の解放と、猟兵の活躍を称えて!
成功
🔵🔵🔴