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狂った狂騒の果てにて報いは応じる

#UDCアース

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#UDCアース


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●狂気、愉悦、悦楽、快楽、狂々と。
 記す。是ここに記すは星辰の彼方より来たる救済の印。
 記す。是ここに描くは人々に救済をもたらす絶対の刻印。
 記す。是ここに秘すは世界に安楽をもたらす偉大なる主様の賛美。
 嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼!!
 我等が主様、我等が偉大なる王よ、偉大なる我等が存在よ!!
 嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼!!
 巡り、廻り、周り、匝り、匯り、斡り、この遍く世界に救済を!!
 嗚呼、嗚呼、嗚呼、嗚呼!!
 この腐り、汚れ、穢れに満ちた世界に遍く救済を!!
 さすればこの世界、平穏と安楽と悦楽と快楽と愉悦に満ちた安息なる世界の成就也や。
 彼方より此方に参りたまえ、我等が偉大なる主よ!!
 此方より彼方へ去らずんば、我等遍く救済の為に、為に為に。
 さあ、さあ、さあ、さあ、さあ、幾らでも、幾らでも、幾らでも!!
 人々の救いのためならば、幾らでも!!

 狂信に満ちた叫びが響き、ぐしゃり、と言う音が響く。
 鮮血は飛び散り、また一人、此方より彼方に葬られた。
 されど、それに気を止める者はその場にはいなかった。
 ぐしゃり、と言う音がまた響き、ごろん、と転がる首一つ。
 恐怖と悲壮に彩られた子供の首が転がった。
 それを見てげらげらと笑う者がいた。
 それを見て歓喜に咽び泣く者がいた。
 また一つ、主様の為に尊い行いをしたのだと。
 彼らは本当に信じていた、それが正しい行いであると。
 この腐って、汚れて、穢れていると信じた世界が浄化されるのだと。
 この行いを続ければ、主様が降り立って世界が平和と平穏に満たされるのだと。
 ぐしゃり、とまた音が響き、また尊い命が彼方へと去る。
 げらげらと、歓喜に満ちた笑い声は響き続けていた。

●解読書
「イエス、イェーガー、新たなる予知がなされました」
 アリシエル・フィフスガーディ(五天の守護機・f09139)はグリモアベースに集まった猟兵たちを無機質に見回して告げた。
「今回の予知はUCDアースにて、邪教の行いが予知されました」
 アリシエル・フィフスガーディが告げる行いは、悪徳と外道の行い。
 人を惨殺し続け、生贄に捧げると言う儀式。
「しかし、儀式其の物は予知出来ましたが、仔細な場所についてはわかりませんでした」
 彼女はそう言いながら、一つの書物をとん、と猟兵たちの前においた。
 禍々しい雰囲気を漂わせながらも、神秘を纏った一冊の書物である。
「これなるはその教団の保有する邪教の書です」
 なんてもんをいきなり置いてんだこのポンコツ娘。
 非難の眼差しをするり、と流しながらアリシエル・フィフスガーディは告げる。
「この教団はこの書物にて発狂させ、自らの人員を増やしているそうです」
 見えている狂気、狂っている書物、禍々しさを孕んだソレ。
 無機質に見下ろしながら、彼女は口を開く。
「そうして発狂した教団員は、それこそが救いである、と残虐な儀式を行います」
 狂った彼らに良心の呵責などはなく、むしろそれこそが救いであると。
 そうした行いが正しいのであると、むしろ愉悦、悦楽、快楽すら覚えてすすんで惨殺をし始める。
 その果てに救いがあるのだと、その果てに正しい未来が在るのだと心から信じて。
「この魔導書を解読し、教団員の居場所を突き止め、殲滅を要請します」
 淡々と無機質に語りながら、アリシエル・フィフスガーディは猟兵たちを見やる。
「イェーガーたちならば特にさしたる問題もなく殲滅可能な案件と判断します」
 そう告げながら彼女たちは君たちに向き直り、無機質な眼差しを送る。
「イェーガーたちならば問題なくこの予知の打破を完遂出来ると信じています。健闘と武運を祈ります」


虎河豚天
 虎河豚の天ぷら、略して虎河豚天でございます。食べないで。
 UDCアースにて発見された魔導書を解読して邪神教団を殲滅しましょう。
 狂った狂騒の果てにあるのは救いなのか、あるいは報いなのか。
 彼らにとっては救いであれど、正しき報いが応じるのです。
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第1章 冒険 『狂気の解読』

POW   :    狂気は精神力で克服する

SPD   :    狂気に触れないよう器用にやる

WIZ   :    狂気を思考で受け流す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フロッシュ・フェローチェス
(SPD行動)
……全く何てものを持ってくるんだ、グリモア猟兵……。
【呪詛耐性】はあるけれど……まあ、それで何とかなるなら苦労はしないだろうね。
――ここはまず【電脳搭載・魔導刻印ホロデバイスゴーグル】だ。
異様な何かを【見切り】、其処から何とかしてみたいところ。
次は【選択したUC】だ。
【野生の勘】ですら使い方が閃かなくても、何かしらのヒントにはなる筈。

後は本当に気合か……【「 翡翠の龍眼 」】の異能合わせでも、
耐えられるかな?狂気に触れた場合は。


※アドリブ歓迎


上天・シオン
【WIZ】

わたしの咄嗟、とっておき、教えてあげる
きらきらした、動物の仮面、ふだんあんまり外さないの
急に外れるとびっくりしちゃうでしょう?あたまが真っ白になるでしょう?
2、3、5、 そう数えるの
つぎは何なの そう考えるの

文字は絵よ 絵としてながめるといい
絵をおぼえて、読まないように目を閉じて
読み解いてくの
“書物を直接読んで”“頭に入れる”ことで捕まってしまうと思ったのだけど、どうかしら

解読は、ほかの人一緒にできるといいと思うの
危ない時は、相手のことトントンってするの
そうしたら、きっと、狂気の足音は遠ざかっていくわ



●狂気の喧騒
「……全く何てものを持ってくるんだ……!!」
 フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)はこの予知をしたグリモア猟兵に悪態をつく。
 それはそうだ、人を狂わせ呪う呪詛の塊、厄物を目の前にぽん、と出されればそうもなろう。
 電脳搭載・魔導刻印ホロデバイスゴーグルを装着し、解析・認識……。
 ザザ、ザ、とノイズが混ざる。やはり相当の呪詛を秘めていることがわかる。
 立ち込める狂気の瘴気を見切ろうと翡翠の眼を細める。
 ザー、ザ、ザザとホロデバイスゴーグルにまたノイズが走る。
 ガジェットを展開し、形状を変化させ解析を続行する。
 ザザザ、ザ、ザザ……とゴーグルに走るノイズはより大きくなる。
 ノイズに幻聴が混ざり始め、幻視すらを始める。
 天涯孤独のその身の過去を喰らわんとする魔の手が伸び始める。
 幻覚だ、幻だ、解析を続けろ。
 ザザ、ザザ、ザー、ザザ、とゴーグルにノイズが本格的に混ざり始める。
 おいで、おいで、ここにおいで、おいで、と呼びかける声が混ざり始めた。
 幻聴だ、幻だ……嗚呼、ここにいるわけがない。そうだ。
 魔の手は伸び続け、遂には頬にひたり、と触れられる。
 ひやり、とした冷たい感触が頬に伝わる。幻だ、幻覚に過ぎない。
 それが、フロッシュ・フェローチェスを引きずり込もうとする。
 トン、トン、と叩かれる感触。
 ふ、といきなり周りが現実に立ち返る。
 伸びてきた魔手の気配はなく、誘おうとしていた声もない。
 背を叩いた少女、上天・シオン(ふゆのそら・f12495)はふわり、と笑う。
「危ない時は、こうやって、トントンってするの」
 不思議な気配を纏った少女はゆるゆる、と笑いながらフロッシュ・フェローチェスに笑いかける。
 文字は絵である。総体として絵として認識する。
 文字は絵である。描写されたそれを覚え、文字を読まない。
 文字は絵である。読まず、瞳を閉じて、それを解すように読み解いていく。
 頭が真っ白になれば、2、3、5……つぎの数字を読み解いて。
 この書物は魔性。直接読み解けば狂気に囚われる魔性のもの。
 なれば、絵として総体認識されたソレを読み解く。
「ね、一緒に読みましょう?」
「そうだね……アナタが陥ったらアタシがそうしてあげるよ」
 翡翠の龍眼を細め、小さな少女を見やり笑えば、彼女たちは書物に向き合う。
 もう一度ノイズが走る事はなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

嶋野・輝彦
【POW】狂気は精神力で克服する
基本は【覚悟】根性で呑まれない様にしながら読む
場所の特定だよな
ピンポイントでここってば所が書いてありゃ良いんだが…
でなけりゃ儀式手順を中心に必要な物や場所の条件に関する項目を重点的に
必要なものがある場所、揃えやすい地域、儀式の条件にあう場所
該当条件と重ねながら調べていく

相当ヤバいブツなんだろうが【覚悟】で足りないなら…狂気に持って行かれそうになったら自分の足にナイフを刺して意識をはっきりさせる
痛みで気絶とかじゃ話にならんからそこは【激痛耐性】で調整
本ごときに俺を好き勝手されるとかふざけんなよ。それに比べりゃ痛みなんてなぁ
効くかはわからんが【恫喝】も重ねてみるか?



●気合と覚悟と根性
「場所の特定だよな……」
 ピンポイントでここってところが書いてありゃ良いんだが……。
 嶋野・輝彦(人間の戦場傭兵・f04223)はそう呟いた。
 禍々しい人皮にて装いを彩られた魔導書を前に、男は覚悟を決める。
 その書物を開くと同時に立ち込めたるは狂気の瘴気。
 ねえ、おいで、おいで、と誘う幻聴、幻、正気の狂気。
 手が差し伸ばされる、手が伸ばされる、ねえ、おいで、おいで。
 ひたり、ひたり、とそれは嶋野・輝彦の頬にふれる。
 冷たい、ひんやりとした感触、ともすれば生きる為の熱量を奪う。
 こっちは楽しいよ、こっちは美しいよ、こっちは素晴らしいよ。
 誘い、惑わせ、狂わせる美しい声が響く。
 その声をねじ伏せながら、嶋野・輝彦は書物を読み解いていく。
 伸びた手が肩にかかる。ぐい、と強く引き込まれる感覚。
 おいで、おいで……来ないならこっちからいくよ。
 より強くなる引き込まれ方、冷たい感触はさらにじわじわ、と広がる。
 とっさに手に取ったナイフを太腿に突き立てる。
 ぐさり、と言う感覚が伝わり、そこが熱くなる。
 奪われた熱量を取り戻すように、じわじわ、と傷が熱く、鮮血を滲ませる。
 痛みは無論ある、されどそれすらを意思のちからでねじ伏せる。
「ざけんじゃねぇぞ紙切れ如きがぁ……焼き払うぞ!!」
 叫ぶ。意味があるのかもわからぬ恫喝。
 されど、それは誠に意思持たざるモノなれば無意味であろう。
 その一喝は伸びた魔の手を引かせるには十二分。
 狂気に誘う攻勢が怯んだその刹那で読み解ける部分を解いて乱雑にメモに走らせる。
 書物を読む事で狂気に誘われるのであれば、書物を介さずに読めばよい。
 嶋野・輝彦はじわじわと痛みと熱量が広がる傷口を抑え込んだまま、解読を続けていた。
 伸びた手はもう嶋野・輝彦には届かなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナイア・アルハズラット
え、なに?報酬前払い(魔導書が読める)とか気前良すぎない??
こんな餌、飛びつかないわけには行かないじゃない!!!

ま、それでも危険な魔導書だもの、真剣に取り組ませて頂きますわ?
狂気に取り込まれない様にするには……まぁまず、魔導書そのものの魔力を解析してコッチへの干渉を遮断しないとね。
内容じゃなく、魔術的に取り込んでくるのも多いし……。
あとはチャント読み込んで、自分なりに消化する事。
中途半端は良くないわ、想像の余地は自ら闇を大きくしがちだから……。
そんなところかしらね、さぁ、解読するわよ!!


……後でこっそり《空想からの創造》で写本しておくわ。コッソリね?


ヴィネ・ルサルカ
狂気、狂気か…くくくく…狂える王を喰ったワシは何処まで狂えるかのぅ?

はて、この魔導書。禍々しい空気を除けば古ぼけた洋書の様に見えるが…一先ず、中身をぱらぱらと捲ってみるかのぅ。

メモや落書き、人物の名前、地名等を見付ける度に別紙に書き留めておくかのぅ。

狂気で快楽を得られると云うなら流れに敢えて身を任せ、過去の目眩く肉欲の日々を思い出すとするかのぅ。自らを慰める行為に耽るやも知れぬが、狂気と対峙するのじゃ、其くらいは必要であろう。

魔導書を漁って得た情報は他の猟兵と共有すると致すかのぅ。



●元から狂ってる人たち
「え、何? 報酬前払いとか気前良すぎるでしょう?!」
 ナイア・アルハズラット(いずれ深淵に至る魔導書・f04959)は歓喜した。
 この生粋の魔導書狂いの美しき魔導人形はこの手の書物がとても大好きだ、大大好きだ。
 彼女にとっては正に餌である。開く。途端に立ち込める瘴気。
 おいで、おいで、と招く声、知りません。ふんすふんす、と興奮した様子で読み解きにかかる。
 引き込もうと伸びた手をぺしん、と弾く。知りません。はたから見ればシュールなギャグだ。
 されどそれは高度な攻防であった。魔導書の放つ狂気の魔力を瞬時に解析、反作用する属性の魔力障壁を張り巡らせる。
 ありとあらゆる手管でその精神を犯そうとする魔導書の狂気の魔力。
 されど千変万化するその魔力を同じように万華鏡の如く変化させた精神障壁が阻む。
「おお、おお……やっておるのう」
 くくく、とその千変万化する攻防を笑うはヴィネ・ルサルカ(暗黒世界の悪魔・f08694)。
 遥か彼方の暗黒星雲より来たりし悪魔と自称する女はぱらぱら、とめくられていくそれを流し読んでいく。
 おいで、おいで、と誘う声も数多の場を踏み越えたこの狂気の王を食らうた女には些か相手不足。
「魔導書とは、時間を多く踏み越える事も強くなる要因、生まれたばかりのお主にはわしの相手はちと荷が重かったのう」
 差し伸ばされた引き込む手すら、ヴィネ・ルサルカの狂える精神の前に立ちはだかる。
 くくくく、と笑いながら長き時を生きた文字通りの魔性の女は頁一つ一つから情報を読み取っていく。
「いいわ、いいわ!! この厄さを待っていたのよね!!」
 おいで、と差し出される手。邪魔です。ぺしん、と弾かれた。
 おいで、と囁かれた声。邪魔です。ぱちん、と弾け飛んだ。
 ナイア・アズハズラットの持つ魔法障壁の前に生まれたばかりの災いの書は為す術を持たぬ。
 神秘とは、より強い神秘によって打ち負ける。
 その原理に則れば、年若い魔導書たる狂気の書が、より神秘を帯びた魔導書其の物たる絶世の美を誇るこの魔導人形に打ち勝てる道理はなかった。
 狂える王を喰らい、元より狂気に身を浸した魔性の女。
 元よりその身が強い神秘を帯びた狂える狂気すら飲み干す魔導人形。
 元よりそのベクトルが狂気に傾いている連中を前に意思ある狂気の書は思った。
 自分よりこっちの方が性質悪いのでは、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リミティア・スカイクラッド
【WIZ】
邪教の書、ですか。単なる書物でなく、これ自体にも魔術的な性質があるようですね
「情報収集」は得意分野です
リム自身の魔力で精神防御を行いながら読解を進め、必要な情報を拾い上げましょう
同様に解読を行う仲間とも連携し、解読の範囲を分担すれば、一人ひとりの精神負荷も軽くなるでしょうか

魔女としての知識を活用すれば、その内容や教団の目的への理解も進むでしょうか
理解はしても共感はしませんが
迂闊に教団の思想に共感を示せば、それこそ「取り込まれる」恐れがあります
これ以上、この内容を広めさせるわけにはいきませんね



●魔女と邪教の書
「邪教の書……ですか」
 リミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は瘴気漂わせる書を前にしている。
 魔女としての勘が告げている。恐ろしく緻密に編まれた呪いの気配を。
 そもそも論理的に考えて読むだけで狂い発狂する本なんてものは存在し得ない。
 読むと発狂すると言われている奇書『ドグラ・マグラ』などが存在するが、それはそのように呼称されているだけで、読み取る事が至極難解な書籍なだけである。
 本を手に取り、開く。それだけで立ち込める恐ろしい呪いの数々。
 おいで、おいで、と誘う声が響く。シャットアウト。
 精神防壁を張り巡らせ、また頁を1枚、1枚とめくっていく。
 おいで、おいで、と誘う手が伸びる。シャットアウト。
 物理障壁が展開され、物理的な影響を遮断する。
 人を狂わせようと、人を呪おうと数多にも張り巡らされた数々の呪い。
 なるほど、称賛に値しよう。これほどにまで人を狂わせる事に特化した呪いを張り巡らさせた事を。
 なるほど、賛美に値しよう。これほどにまで人を思うがままに操ろうと呪いを張り巡らさせた事を。
 されど、されど、されど。
「魔女として、内容が目的への理解は示します」
 ――――けれど、共感はしない。
 それこそが、この書物にめぐらされた最大の罠。
 そうして思想に触れて、少しでも共感をすれば取り込まれてしまうが為に。
 幾人もの猟兵たちが読みくだし、解いた結果。

 遂に全容は明かされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『嘲笑う翼怪』

POW   :    組みつく怪腕
【羽毛に覆われた手足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪神の加護
【邪神の呪い】【喰らった子供の怨念】【夜の闇】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    断末魔模倣
【不気味に笑う口】から【最後に喰らった子供の悲鳴】を放ち、【恐怖と狂気】により対象の動きを一時的に封じる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狂騒の果ての果て
「ギャハハハハハ」
 魔導書を読み解き、突き止めた儀式の場において。
 げたげたと笑う声が響き渡る。
 狂い、惑い、迷った教団員たちの狂騒の儀式の果て。
 堕ちた者はその身すら歪ませ、変じさせ、形を変えていく。
 げたげた、と笑う声が響き続ける。
 その身を変貌させた者は笑い声をあげながら、へしゃげた肉塊を口にする。
 言うまでにない。その肉の塊は先程までは生きていたはずであったもの。
 儀式と言う忌まわしき行いによって此方から彼方へ去っていったもの。
 ろくな言葉を囀る力すら失った堕落者たちはげたげたと笑いながら肉を貪り続ける。
 それが元はなんであったか、なんてことを考える必要はない。
「ギャハハハハハハ」
 だって彼らにはそんなものを考える余地などもう存在しえないのだから。
 狂いに狂い、狂い堕ちた彼らに人の理性なんてものはもう有り得ない。
 彼らは最早邪悪へと成った。あとはもう転がり落ちて深淵なる奈落の底へたどり着くだけ。

 首をもたげながら堕落者たちが猟兵を見やる。
 嗚呼、嗚呼、新たなる供物が来たぞ。
 嗚呼、嗚呼、捧げよ、捧げよ、捧げよ。
 今宵は殺戮の宴なり!!
ヴィネ・ルサルカ
やれやれ、人間に彼の魔導書は刺激が強すぎるようじゃのぅ…くくくく…邪神では無いが小腹を満たすには丁度善い、この婆が遊んでやろうぞ。

さて、新たに得た大技を使うとしよう。【ネクロポリスの黒嵐】に【先制攻撃】と【衝撃波】【呪詛】を交ぜ、鶏肉共を挽肉にしてやろうぞ。

嵐が収まれば眷族を召喚し【傷口をえぐる】【鎧を砕く】を付与、猟犬には他の猟兵との連携、奴隷には酸による援護射撃を指示すると致すかのぅ。

奴等の狂気とワシの狂気、どちらが格上か確りと刻んでやろうぞ。


虚偽・うつろぎ
おぉ、やけにカッコいい姿である
手羽先を大量に備えているとはユーは優秀なフードであるな
その手羽先に免じて、ユー達の攻撃を全て受けてやろう
さぁ攻撃するのである
さぁもっと強く!もっと強く!
その程度では痛くならないぞ!

可能なら誰かと連携したいかな
かばうで仲間を庇ってからの
おびき寄せで敵を引き付けムテキモードで無敵になり
敵の攻撃を全て引き受けるよ
ただその間は動けないから別の人に攻撃をお任せしたいかな

無敵状態と耐性や防御系技能を駆使して肉壁として役目を果たそう
痛みを快楽にがモットーの肉壁さ

動けないけどとりあえずギャハハハハハって敵の笑い声を
真似て高笑いしておくね



●狂乱の凶鳥
「ぎゃははははははは」
 笑う凶鳥たちは猟兵たちを取り囲む。
 げたげたと笑いながら、その歪な腕を振りかざす。
「やれやれ、人間に彼の魔導書は刺激が強すぎるようじゃのぅ」
 くくく、と低くヴィネ・ルサルカ(暗黒世界の悪魔・f08694)は笑った。
 小腹を満たすにはちょうどよい、と力を練り、解き放つ。
 それは、ヴィネ・ルサルカがかつて喰らった狂える王の呪詛。
 腐食の呪詛を纏った黒い、黒い、禍々しい瘴気を宿した旋風が解き放たれ、笑う凶鳥たちを腐らせ蝕んでいく。
「ぎゃははははははは」
 それでも笑う凶鳥たちは止まらない。
 振りかぶられた腕が振り下ろされる。
 鮮血は舞わなかった。
「やけにカッコいい鳥たちである。手羽先も手羽元もたくさんあってユーは優秀なフードである事これ明白!!」
 虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)がヴィネ・ルサルカをかばったのだ。
 彼はなんか超絶至高っぽい究極防御的ななんかすごそうかポーズを取った。
 何を馬鹿な、と思うがブラックタールたる虚偽・うつろぎにはこの程度のポーズは容易であった。
「ぎゃははははははは」
 笑う凶鳥たちは幾度となくその怪力を帯びた拳を振りかぶり叩きつける。
「ギャハハハハハハハ!!」
 されど、超絶至高で絶対無敵で究極防御っぽいポーズを決めた虚偽・うつろぎには届かない。
 なんとなく声真似をして笑ってみる。
 うぜぇ、と思ったのかはわからない。しかし笑う凶鳥たちは狂ったように虚偽・うつろぎを殴り続ける。
「無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
「何ぞ楽しそうじゃのぅ、わしも混ぜてくれんか?」
 発狂したように虚偽・うつろぎを殴り続ける凶鳥。
 狂ったようにげたげら笑いながらポージングを決める虚偽・うつろぎ。
 そのやりとりに割り込むようにヴィネ・ルサルカは眷属を放つ。
 猟犬たちが凶鳥に喰らいつき、傷口を抉る。
 奴隷たちは殺到し、酸を浴びせかけてその皮膚を溶かし、その防御を砕いていく。
「ぎゃははははははは」
 されど、笑う凶鳥たちは、笑い続けたまま、その数を減らしても猟兵たちに殺到し続ける。
「その狂気、どちらが格上か確りと刻んでやろうぞ」
 ヴィネ・ルサルカが歪んだ笑みを浮かべ、その狂気を具現化させていく。
 狂気と狂気のぶつかり合いは未だ止まらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リミティア・スカイクラッド
騒々しい。そして悪趣味な宴です
あなたたちに与える供物(エサ)はありません。リムは目標を殲滅します

エレメンタル・ファンタジアを使用
現出するは「雷」属性の「嵐」
その喧しい笑いも悲鳴も、まとめて雷鳴でかき消しましょう
恐怖や狂気に囚われそうになれば、自らにも雷を落とし、ショックで呪詛から逃れようと。負傷は覚悟の上です
「雷に打たれ、地に墜ちなさい。あなたたちに空は相応しくありません」

堕ち狂い果てた彼らに同情はすれども慈悲はなく
リムはただ、使命を果たすのみです



●雷天の嵐
「騒々しい。悪趣味です」
 げらげらと笑う声に不愉快そうにリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は眉を潜めた。
 けれど、狂信をこじらせ変貌させた信者には届かない。
「ぎゃはははははははは」
 笑いながら、笑い続けながら、虚ろなまでに笑いながらねじれへしゃげた腕を振り上げる。
 轟音。石畳を粉砕し、地を砕く一撃。
 されど、予見出来ていたそれはかすりもすることはなかった。
 魔法陣が描かれ、金色の魔力が立ち込める。
 バヂッ、と言う爆ぜる音が響く。
 バヂ、バヂッと大気を焦がす匂いを立てながら金色の魔力が立ち上る。
「あなたたちに与える供物(エサ)はありません」
 ――――目標を殲滅します。
 その意思を引き金に、現出するは嵐の雷。
 げたげたと響く哄笑よりも高らかに鳴り響くは神鳴る鼓動。
 響き渡る破壊の嵐は狂信者たちを薙ぎ払い、打ち据え、焼き払っていく。
 狂気も恐怖も閃光の稲光がもろとも消し去り、滅ぼしていく。
「雷に打たれ、地に墜ちなさい。あなたたちに空は相応しくありません」
 堕ち狂い果てた者に同情はあれど、慈悲はなく。
 遍く狂気を雷の嵐が薙ぎ払い浄化していく。
 それはまるで天空神の怒りの如く、大神の怒りのようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋翠・華乃音
――煩い。

……ああ、本当に煩いな。少しは黙っていられないのか?
……こうも煩わしいと、俺の"耳"には障るんだけどな。

(ヘッドフォンを装着)
優れた「視力」を生かし、狙撃手「スナイパー」として戦列に加わる。
狙撃の腕(かいな)が届く可能な限り遠くに陣取り、遠距離から一体ずつ仕留めていく方針。
敵の行動パターンを「見切り」や「第六感」とユーベルコードを併用し、完全に先読みを行って必中を心掛ける。
出来る範囲で味方の猟兵に「援護射撃」を行う。
リロードには「早業」を用い、隙を最小限に。
万が一接近され近接戦闘を余儀無くされた場合には拳銃やナイフ等で応戦。

……雑魚相手なら"目"だけで十分か。"耳"は必要無かったな。



●その目は遍く総てを射ち墜とす
 ――――煩い。
 緋翠・華乃音(prelude finale.・f03169)は断じた。
「……ああ、本当に煩いな。少しは黙っていられないのか?」
 煩わしそうに笑い狂う狂信者たちを睥睨する。
 されど、彼らにその言葉は無意味である。
 最早理性などと言うものには程遠く、狂気に身を沈めた存在が故に。
「ぎゃははははははは」
 狂い狂った彼らは笑い続ける。何故笑っているのかもわからずに。
 げたげた、と笑いながらその腕を振りかぶる。
 発砲音が響く。
 振りかぶられた腕が弾け飛ぶ。
「……こうも煩わしいと、俺の"耳"に障るんだけどな」
 緋翠・華乃音は吐き捨てるように言えば、その騒音の元凶から距離を取る。
 再度の発砲音。今度は狂信の怪物の頭が弾け飛ぶ。
 笑い声が一つ消える。
 二度、三度、四度と発砲音が響き、薬莢が弾かれ、地に墜ちる音が響く。
 その度に笑い声が一つ、二つと消えていく。
「目を瞑って……耳を塞いで」
 ――――それが叶うのなら、どれだけ幸せな事だろうか?
 汚いものを見ずに、汚いものを聞かずにいられるのだから。
 異常なまでに敏感な彼の目は、耳は、どれだけ多くのソレを聞いてきたのだろうか。
 また一度発砲音と薬莢が墜ちる音が響く。
 その度に不愉快な笑い声がまた一つ消えて、汚いものがこの世から一つ消える。
「……雑魚相手なら"目"だけで十分か。"耳"は必要無かったな」
 再度のトリガー。また一つ、笑い声が途絶える。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナイア・アルハズラット
さてさて、儀式に乗り込んだわけだけど……出てくるのは親玉じゃなくて雑魚なのね?
まぁ、いいでしょう!
新しい魔術の試し撃ちにはちょうどいいわ。

試す使い心地を試す様に《救済の極光》で丹念に焼き払うわ。
悪いんだけど、アナタたちの事はもう蒐集済みなの。
特性も把握しているわ、子供を捕食して声を真似る……なんとも趣味の悪い特性だわ。
でも残念……魔女が子供の悲鳴程度で手を緩めると思って?
アナタたちに救いの光を授けましょう!



●た・め・し・う・ち
「さてさて、儀式に乗り込んだわけだけど……」
 くるり、と大仰に天を仰ぐように両手を広げ、舞い踊るは美しき魔導人形。
 ナイア・アルハズラット(いずれ深淵に至る魔導書・f04959)である。
 白魚のような手で、笑う狂信者たちを示せばくすりと笑う。
「出てくるのは親玉じゃなくて雑魚なのね?」
 まぁ、いいでしょう!! 実験台にはちょうどいいわ!!
 不遜なまでに、傲慢なまでに言い切れば指先で示す。
 魔力が収束し、夕日を思わせる黄昏色の光があふれる。
「黄昏の園に在る者」
 彼方が一瞬、きらりと光る。
 それは黄昏を思わせる夕焼けの色であった。
「慈悲深き大母神」
 きらりと光った彼方から黄昏の色が此方へと溢れ出る。
 誰そ彼刻より来たる極光。
「汝の救済を此処に」
 それは彼方より此方から出る救済の光。
 救済を示す為に訪れる福音の極光。
「イア・マグナアータ!!」
 告げる福音の名は救済の極光(トワイライト・レイ)。
 天より降り注ぎし黄昏色の浄化焔。
 彼方より此方に訪れし夕日色の破壊。
 降り注ぎ来たるは破壊の渦動。
 げたげたと笑う狂信者たちを焼き払い、溶かし、浄化していく。
「悪いんだけど、アナタたちの事はもう蒐集済みなの」
 特性も最早把握済み。捕食し、食らった子供の音色を真似て笑う狂信者。
 嗚呼、その悲痛な叫びが、その悲壮の嘆きを聞けば手を緩めてしまう者もいるであろう。
 だが、だが、ここにいるのは美しき魔導書、人の手で造り、編まれた人形姫。
「でも残念!! 魔女が子供の悲鳴程度で手を緩めると思って?」
 再度指を突きつければ天空より降り注ぐ黄昏の浄化。
 また一つ、笑い声をあげる狂信者が浄化の焔に焼かれてゆく。
「さあ、アナタたちに救いの光を授けましょう!!」
 放たれる黄昏色の浄化の乱舞。
 消えてゆく、消えてゆく。嗚呼、嗚呼……!!
 後に残るは狂信者たちが存在した事を示す焼け付いた影のみ。
 黄昏の浄化にて、燃え尽きた灰すらなく。
 焼け付いた影こそが彼ら狂い堕ちた者の末路であり、残影であった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『膨らむ頭の人間』

POW   :    異形なる影の降臨
自身が戦闘で瀕死になると【おぞましい輪郭の影】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    慈悲深き邪神の御使い
いま戦っている対象に有効な【邪神の落とし子】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    侵食する狂気の炎
対象の攻撃を軽減する【邪なる炎をまとった異形】に変身しつつ、【教典から放つ炎】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●邪神を身に宿すもの
「嗚呼、嗚呼……なんと悲しい、なんと酷いことをする」
 男の声が響く。
 焼け付いた影が残る儀式の場に男が現れる。
 されどその身は最早人としての名残はその姿形のみ。
 その頭は膨れ上がり、歪み、人としての形をなしていない。
「彼らはただ、ただ、真摯な祈りを捧げていただけだと言うのに!!」
 大仰に天を仰ぎ、男のようなものは声を張り上げる。
 子供を喰らい、人を殺し、凄惨な惨殺現場を作り上げ続けるだけの儀式。
 それを真摯な祈りと言うのであれば、世の祈りのほとんどが真摯なるものと言えよう。
「嗚呼、なんて惨いんでしょう、なんて残酷なんだ……!!」
 けれど、男のような者はそんなもの知った事ではない、と声を張り上げる。
「無垢なる迷い子たちが真摯に祈りを捧げていただけなのに!!」
 あのような行いが無垢なる者だと言うのであれば、この世に平穏はない。
 されど道を外れ、魔道に堕ちた男には最早真っ当な道理は存在しない。
「さあ、罪深き者よ、悔い改めるのです。さすれば赦しは訪れましょう」
 男のようなものは多くの人間を狂わせ、数多の犠牲者を生み出した教典を開く。
 立ち込める瘴気は焔と化して、空間を揺らがせ燃やす。
「さあ――――さあ、さあ、さあさあ、さあさあさあ赦しを乞うのデェス!!」
 ぼこり、とまた男の頭が膨れ上がり、異形への進歩は加速した。
ヴィネ・ルサルカ
ふん、貴様が養鶏場の主か。ここの鶏共は煩いだけでまるで狂気が足りぬ。せめてお主は“旨い狂気“を堪能させて貰わねば割りに合わぬぞ。

引き継ぎ眷族を使役するかのぅ。
猟犬には【破魔】【呪詛】【傷口をえぐる】を付与し遊撃を
奴隷には【誘導弾】【毒使い】【鎧砕き】を付与し強酸による援護射撃を指示。

膨れ頭が何れかのUCを発動するならば眷族を戻し【喰らい呑む悪食】で防御、模倣して奴を追い詰めるかのぅ。

膨れ頭が瀕死に陥れば使用中のUCを解除し、上半身を【暴食螺鈿怪口】にて変化。【大食い】を併用して膨れ頭を丸呑みにしてやろうぞ。

ふん、不完全な邪神よりも薄い狂気じゃ。腹の足しにも成らぬ。



●狂気なるもの
「ふん、貴様が養鶏場の主か」
 ヴィネ・ルサルカ(暗黒世界の悪魔・f08694)は吐き捨てるように言う。
 彼女にとっては此度の戦は不満しかなかった。
「ここの鶏共は煩いだけでまるで狂気が足りぬ」
 ――――せめてお主は"旨い狂気"を堪能させて貰わねば割に合わぬぞ。
 眷属が放たれ、猟犬は疾駆する。
「嗚呼、嗚呼、嗚呼!! なんたる殺意、なんたる狂気、狂おしい程の殺意(あい)を感じますねぇ!!」
 頭が膨れ上がり続ける男はボコン、と頭が破裂した。
 飛び散った肉片から邪神の堕とし子が生まれ、猟犬と喰らい合う。
 放たれた奴隷は強酸を噴き出し、邪神の眷属を焼き尽くす。
 しかし、ボコンと破裂する度に眷属は生み出され、堕とし子は生まれ征く。
「ふん、そうではないと歯ごたえが足りぬわ」
 メキメキ、と肉体がきしむ音をあげ、ヴィネ・ルサルカの上半身がクリオネと化す。
 これぞ狂いし神を喰らいし魔女の御業、その名を暴食螺鈿怪口(グラトニー・バッカルコーン)。
 ぐしゃり、と言う音とともに膨れ頭の男に食いついていく。
 肉が引きちぎれる音をあげ、男の上半身がちぎれ飛ぶ。
 しかし、ぐちゃり、ぶちゅり、と言う音をあげ、膨れ上がった頭のように、ちぎれた先から膨れ上がり、再生していく。
「嗚呼、嗚呼、素晴らしい殺意(あい)です!! あなたでしたらきっと神のお導きをも聞き遂げられましょう!!」
 最早、成り立たない言葉を口ずさみながら、破裂した肉片が眷属を生み出し続ける。
 それをヴィネ・ルサルカは道端の石を見るような視線で一瞥する。
「ふん、不完全な邪神よりも薄い狂気じゃ。腹の足しにも成らぬ」
 ――――貴様は狗の餌に相応しい。
 猟犬が放たれる、されど邪神の眷属との戦いは終わる気配なく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リミティア・スカイクラッド
許しを請う覚えはありません
リムは己の使命に基き、世界に仇名すものを討ち滅ぼすのみです
ここがあなたの狂気の終着点です。リムは目標を撃破します

相手との距離を保ちつつ、できる限り炎を避けながら魔力を溜めて
「全力魔法」「属性攻撃」エレメンタル・ファンタジアを発動
現出するは「水」属性の「大渦」
狂気の炎は、精霊の水にて消し去りましょう
水はすべてを押し流し、浄化するもの
ここで流された血も、怨念も、狂気も、すべてを浄化し、邪神の力を祓いましょう


クリスティアーネ・アステローペ
その祈りも、それらの無垢も
世界を侵す異物であり罪でしょう

その発端、根幹が貴方だというのであれば最早悔いる必要は有りません
許しを乞うことも要りません
その血と痛苦と死を以て、汝が罪を濯ぐのみでしょう


「処刑人たるアステローペのクリスティアーネより狂気の果てへと至ったモノへ
汝が魂に、永き救いと安寧を」

左手のマルツェラ(高速詠唱・先制攻撃)で紡ぐウィザードミサイルで弾幕を張り
致死性を高める術(傷口を抉る・鎧無視・破魔・怪力)を宿したエヴェリーナを大きく振るっての近接戦へ
敵の攻撃はファイノメナのマント(オーラ防御・見切り・残像)で凌ぎながら詠唱に必要な隙を待ち
《咎を穿て、赫き杭》で串刺し刑に処しましょう



●浄化の奔流、呪詛の磔刑
「赦しを請う覚えはありません」
 リミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)の足元から蒼き奔流が立ち上る。
 足元に走るは六芒の星、描かれるは円陣。
 蒼き魔力の奔流は浄化の力を帯びて場を満たす。
「嗚呼、嗚呼!! 許しを請わぬと!? 嗚呼、嗚呼、なんたること、なんたる悲劇!!」
 理性なき頭の膨れ上がる男はそれでも神の慈悲と愛を叫び続ける。
 ごぼり、ごぼり、と飛び散った血肉から邪悪なるモノがまた生まれる。
「リムは己の使命に基き、世界に仇なすものを討ち滅ぼすのみです」
 そう、こここそが理性なき邪悪の狂気の終着点であると。
 それをここに示す為に、今解き放たれるは蒼き浄化の奔流。
 顕現するは狂気の炎を打ち消し流し去る浄化の大渦。
 古来より、悪しきものは流れる水を超えられぬとされてきた。
 それは即ち浄化の奔流であり、邪悪を打ち払うもの。
「ここで流された血も、怨念も、狂気も、すべてを浄化し、祓いましょう」
 生み出された邪悪なる狂気は渦潮に飲まれ、霧散し、祓われる。
 周りを囲むものがいなくなった理性なき狂気に切り込むは一人の少女。
「その祈りも、その無垢も、世界を侵す異物であり、罪でしょう」
 左手に握りしめられるは詠唱機構、引き金を引き、回す事で解き放たれる魔杖の刃。
 右手に握りしめられるは切っ先なき慈悲深き眠りを与える白刃。
 クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)は理性なき狂気に刃を払い、十字に刻む。
「嗚呼!! 嗚呼!? これを、これを罪と呼ぶならば、世に罪は無く、遍く世界は安寧と平穏でありましょうや!!」
 吼えたける男は、その言葉すら届かず無意味。
 狂いに狂った男には最早許しも祈りも届きはしない。
「その発端、根幹が貴方だというのであれば最早悔いる必要はありません」
 剣を水平に、魔杖の剣を直線に。
 それは十字を刻むような歪な構え。
「許しを乞う事も要りません、その血と痛苦と死を以て、汝が罪を濯ぐのみでしょう」
 朗々と歌うように紡がれるそれは断罪の印。
 立ち込める血よりも赤き、紅にして緋色の魔力。
「生者は止まれ。己が過去を枷として」
 赤き呪詛が地より突き立ち、男の足を縫い止める。
 幾度となく、立ち上るそれは徐々に理性なき狂気を犯していく。
「過去ならば瓦解せよ。骸の海へと立ち返れ」
 それは過ぎ去った過去を溶かし、葬り去る祝詞。
 呪詛にまみれた赤き鉄杭は男の足を貫き、とうとう下腹部に至る。
「汝を裁くは顕世の法理」
 それは祈りによって編まれた呪いの言葉。
 過去を葬り、現世の法と秩序にて裁く鉄槌でもある。
「贖え、己が血潮と痛苦を以て」
 とうとう、緋色の杭は男の胴体に至り、貫いていく。
 その様はかつてこの世を救ったと言う聖人の最期を示すか如く。
 されど、貫かれたるはこの世における邪悪それそのものである。
「――――咎を穿て、赫き杭(カズィクル・ベグザーディー)!!」
 今、ここにその真名によって解き放たれるは裁きの鉄杭。
 男を磔にし、緋色の杭はその身魂を貫き、鮮血を散らす。
「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!? 神よ、神よ、慈悲深き神よ、されど我が術理は御身に届いておらずぅぅぅぅぅ!?」
 されど、その男は今もなお蠢き続ける。
 浄化の奔流に飲まれ、呪詛と祈りによって編まれた裁きの刑罰を受け。
 なおも無垢なまでの純粋な狂気を振りかざし。
 男は吠える、吼える、咆える。慈悲深き神の愛を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナイア・アルハズラット
狂気に屈し、理性を捨てた者……。
同情はしてあげる、憐れんでもあげる。でも、それだけよ。
夕闇で踏みとどまれなかった貴方の弱さが悪いのよ。
ただ……面白い魔導書は見せてもらったし、貴方の事は反面教師として覚えておいてはあげる。
それが私からあなたに送れる精一杯の救いよ。

アゴゥナグア起動……。
その顎に飲まれ、落とし子諸共肉の一片まで消え去りなさい!!


アノニム・ヴァリアント
遅れて参ったモノが掛ける言葉などない。
そもそも、狂い堕ちた者に届く言葉など存在しまい。
「……抑制解除、感情励起」
故に、届けるものはたった一つ。
「心魂焼炉、過重駆動。“名無しの怪物”、起動宣言――」
どうしようもない、終わりを。
「――怪物が来たぞぉ!!」

如何なる攻撃にも愚直に前進し、ただ相手を捕まえ喰らい尽くすために突き進む。
途中受けるダメージは、眷属なり本体なりに喰らい付き貪って【生命力吸収】で回復。
我が身を省みぬ狂気でもって狂気を飲み干しにかかる。

自我の投棄と突き進み貪る覚悟なら勝るとも劣ることはないだろう。もとより、この怪物に出来るのはそれしかないのだから。



●狂気を受け止めるもの、無銘の獣
「狂気に屈し、理性を捨てたもの……」
 ナイア・アルハズラット(いずれ深淵に至る魔導書・f04959)は同情と哀れみを以て磔になりながらも愛を叫ぶ男を見やる。
「でも、それだけよ。夕闇で踏みとどまれなかった貴方の弱さが悪いのよ」
 黄昏を歩んできた美しき狂気の魔導書は語る。
 そう、彼女もまた狂気に魅入られしモノであり、目の前の男は彼女の在り得た未来でもあった。
 しかし、それは"もしも(IF)"でしかないのである。
「貴方の事は反面教師として覚えておいてはあげる」
 それが、彼女から彼に遅れる精一杯の救いなのだから。
 白魚の如き手が抜き放つはその美しさには見合わぬ無骨な散弾銃。
 コッキング、弾頭が装填される。
「魔銃、制限解除……!!」
 その言葉をキーワードに、それは解き放たれる。
 この魔導書たる人形少女の持つ銃が"ただの銃"であるか?
 否、断じて否。これもまた一つの魔導書である。
 引き金を引けば、まるで火球のようなマズルフラッシュ。
 放たれた弾頭は散弾、されどその一粒一粒が灼熱の輝きを以て男に降り注ぐ。
 食い込んだ瞬間、男の身体は一瞬で焼けただれ蒸発する。
 これこそがアゴゥナグアの顎。
 灼熱の弾頭を無数に散らし、相手を焼き払い、蒸発させる恒星の如き弾撃。
「嗚呼、嗚呼!! 神よ!! 神よ!! どうして、どうして!!」
 最早息絶える直前の理性なき狂気は、それでも、どうしても。
 神への狂気(あい)を捨てることは出来ない。
「……抑制解除」
 愛を叫び続ける獣に食らいつくは鋼の怪物。
 四肢がメキメキ、ときしむ音をあげて展開される。
「感情、励起」
 刻まれた刻印に火が灯る。
 それは緋色に明滅し、"彼"を解き放つ。
「心魂焼炉、過重駆動」
 それは心を焼き尽くすかの如き。
 それは魂を焼き尽くすかの如き。
 軋む、軋む、それをする度に男の心は、魂は、軋む。
 過ぎたる重さを心と魂に加えながらも男はそれを解き放つ。
「――――"名無しの怪物"、起動宣言」
 そうして解き放たれるは如何なる神話にも伝説にも存在し得ぬ鋼の獣。
 狂気なる愛を叫び続ける獣と、名も無き狂った鋼の獣。
 捨て去った自我、突き進み貪る覚悟。
 それはある意味では互いに互い、同じ存在である証左。
 されど、それは向かうベクトルがあまりにも違った。
 辿り着いた行き先の差が今、ここで証明される。
「――――怪物が来たぞぉ!!」
「……嗚呼、嗚呼!! 我が終端、我が終着、我が黄昏よ……!!」
 ――――互いに狂った同士。
 行く道さえ交わればあるいは、今ここに共に並んでいたかもしれない二重影。
 されど、彼らの道は決して交わらない平行線。
 だって、彼は狂っていても決してこの道を歩む事などはなかったから。
 そうとも、"彼"の狂気は、"彼"の狂気とは違ったものなのだから。
 鋼の四肢が狂気を上回る狂気にて、振りかざされる。

 ――――これにて終幕。
 狂気(あい)を叫んだ獣の末路。
 それは、それを超える狂気を貪り食らった魔導書と。
 それは、それを超える狂気を纏った名もなき怪物に。
 貪り喰らわれ、祓われた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月29日


挿絵イラスト