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珊瑚の海とメガリスの宝物

#グリードオーシャン #メガリス

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#グリードオーシャン
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#メガリス


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●その予知は突然に
「皆は海好きやろか? ちょっと無人島とか行ってみいへん?」
 そうグリモアベースに集まった猟兵達に切り出したのは八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)だった。
 グリードオーシャン、それは猟兵達が見つけ出した新たな世界。異常気象が影響していて、グリモア猟兵の予知とテレポートなどが阻害され、その全容は解明されておらず、未踏の地も数知れずだ。
「なんやけどな、グリードオーシャンで発見された地図を眺めとったらこう……宝のイメージが浮かんでしもて」
 聞けば、アックス&ウィザーズの世界から落ちてきたと思わしき、とある無人島の――珊瑚礁が美しい海に宝箱があるのだという。
「それが色んな宝箱がいくつもあるみたいでな、その中にメガリスが入っとるようなんやけど、どれに入っとるかはわからんのよな」
 それにメガリスの気配も一つではないようで、とにかく現地に向かっての調査が必要だと菊花が言う。
「メガリスはな、見ればこれがメガリスなんやなってわかるやろから、どれがメガリスかわからんってことはないよって安心してな。ただなぁ……問題があってな」
 メガリスの影響を受けてしまっているのだろう、宝箱は簡単には開かないようになっているようなのだと菊花が少し困ったような顔で告げる。
「これを開く為の鍵が必要になるんよ」
 この鍵は島の至るところにあり、宝箱と引き合うようにできていて、宝箱が指し示すままに進んでいけば見つけることができるのだ。
「できるんやけど、宝箱が指し示す場所が宝箱によって様々やし、危険な場所にあったりするみたいでなぁ」
 首尾よく鍵を手に入れて浜辺に戻ってきたら、宝箱を開けてほしいと菊花が言うと、その場で開けてはいけないのかと質問が飛んだ。
「ええ質問や、うちも絶対その場で開けたいもんな!」
 めっちゃわかる、と菊花が頷く。
「宝箱開けてな、メガリスが入っとるとなぁ? コンキスタドールが出てくるんよな」
 なんでも、メガリスの力を求めてどこからともなくコンキスタドールが現れ、メガリスを奪うべく戦闘を仕掛けてくるのだという。
「周囲になんもないほうが戦いやすいやろ? 無人島とはいえ、今後誰かが住んだりするかもしれへんし。せやから、鍵を手に入れたら浜辺まで戻ってきてな!」
 煌めく海に宝箱、鍵探しとコンキスタドールとの戦い。胸踊るグリードオーシャンへの冒険に、いざ出発! と菊花が腕を振り上げて、思い出したように付け足した。
「せや、島の名前がないと不便やろ? 島の名前は桜珊瑚島にしよ思て。桜色の珊瑚が綺麗な海の島やっていうし、ちょっと安直やけど分かりやすくてええかなぁって。あ、あとグリードオーシャンへは転送ゲートは使えへんよってな、鉄甲船での移動やよ!」
 準備万端にしてから来てな! と、菊花が微笑んだ。


波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 今回はグリードオーシャンでのメガリス探しとなります、海でたっぷり遊び、宝箱の解錠に挑み、敵と戦ってくださいませ。

●第一章
 日常パートです、海を思いっきり楽しんでいただければと思います。鉄甲船から皆様が下船し、浜辺に到着した後からの描写になります。
 水着でも、動きやすい服のままでも構いません。水着お任せとかも大丈夫です。
 泳げない方は浜辺付近で足を浸ける程度の水遊びでも、遊んでいればなんだか怪しかったり綺麗だったりする宝箱を発見できます。
 発見した宝箱の大きさや形状などは好きにしていただいて構いません、オーソドックスな宝箱やからくり細工が施された箱まで自由にお考えください。
 断章は挟みませんが、受付期間はMSページを参照くださいませ。

●第二章
 一章で発見した宝箱を開けるための行動をしていただく、という冒険パートになります。
 開ける為の鍵の捜索で、島を探検してください。
 探す場所は無人島で想定されるような場所であれば、皆様の希望の場所で構いません。
 例・崖、洞窟、探索して見つけた泉、小さな遺跡等々。特に思い付かなければお任せでも大丈夫です。
 探索に付き物なアクシデントや危険など、こんなことが起きたらいいなというのがあればお書き添えください。無ければこちらで適宜挟んで参ります。
 宝箱の中にどのような形状の宝物が入っているか、鍵の形なども教えていただけると嬉しいです。お任せもOKです。
 中にメガリスが入っている場合と普通の宝物が入っている場合があり、ダイスの目によってメガリスか普通の宝物か判定します。
 見つけた宝箱や宝物は持ち帰る事が可能ですが、メガリスは回収となります(アイテムとしての配布はありません)RPの一助にしてくださいませ。
 プレイング受付前に断章を挟みます、締切などはMSページをご覧ください。

●第三章
 メガリスを狙ってやってきたコンキスタドールとの戦いになります。
 プレイング受付前に断章を挟みます、締切などはMSページをご覧ください。

●同行者がいる場合について
 同行者がいらっしゃる場合は複数の場合【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。例:【宝3】同行者の人数制限は特にありません。
 プレイングの送信日を統一してください、送信日が同じであれば送信時刻は問いません。
 複数人でご参加の場合、それぞれ宝箱を見つけても皆で一つの宝箱を見つけても構いませんが、鍵を見つけに行く場所は同じとしてください。

●注意点について
 注意点としましては、海だからといって何も着ていないなどのプレイングや、公共良俗に反するような内容を含んだプレイングなどは採用自体が見送りとなります、恐れ入りますがご了承くださいませ。

 それでは、皆様の素敵な物語をお待ちしております。
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第1章 日常 『珊瑚礁の海』

POW   :    大きく息を吸って長時間潜水

SPD   :    魚と泳ぎ回る

WIZ   :    船の上から観察

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ケイ・エルビス
SPD
アドリブ連携歓迎

「煌めく海に宝箱!鍵探しとコンキスタドールとの戦い!
くう~っ、堪らないね♪ 胸踊る桜珊瑚島への冒険にいざ出発!」

浜辺に到着したら所持してるお気に入りの水着姿で
上着のシャツを脱ぎ指定UCで自己強化

ダッシュし綺麗な海に飛び込んで泳ぎ島の周囲を安全に配慮して遠泳し
海の底をゴーグル付けて宝箱がないか視力と野生の勘で探したり
人が普段寄れなそうな崖や山をクライミングしてみたりして
念入りに散策兼ねて情報収集と宝探し

発見した宝箱は気合の潜水や怪力等で運搬して浜辺まで持ち帰る
オーソドックスな形のモノで結構大きめで重い



●煌き冒険譚
 胸躍る桜珊瑚島への冒険にいざ出発! と、ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)が鉄甲船から元気いっぱい飛び出していく。浜辺に到着し、お気に入りの水着姿で空を仰ぐ。カーキ色のサイドに白ラインが入ったサーフパンツは彼の肌によく馴染んでいたし、羽織ったアロハシャツとの相性もばっちりだ。
「煌めく海に宝箱! 鍵探しにコンキスタドールとの戦い! くう~っ、堪らないね♪」
 まるで男の浪漫が詰まっているようじゃないかと、ケイが満面の笑みを浮かべた。
「よし、さっそく宝探しといくか!」
 アロハシャツを脱ぎ捨て、気合を入れる。
「ぶっ飛ばすぜ!」
 太陽に向け、にかっと笑みを浮かべると手のひらに創り出した光のエネルギーを自分の胸へと叩き付ける。そうして自身の能力を向上させ、その勢いのまま煌く海に飛び込んでいく。暫くの間クロールや平泳ぎを使い分け、沖の方へ向いて泳いだ。
「この辺りでいいかな」
 くるんと後ろを振り向けば、島まではそれなりに離れた場所に見えた。折角の海だ、パトロール気分で島の周囲を泳ぎ、なんとなくこの辺! という勘を頼りに、ゴーグルを付けて息を深く吸い込む。そして、とぷん、と海面から姿を消して海の中へと潜る。
 こんなに離れた場所でも、海は透き通った美しさを損なうことなくケイの目を楽しませた。
 桜色の珊瑚は太陽の光を受けてゆらゆらと煌いていたし、魚の群れが泳ぐ様は雄大で思わず息を飲むほどだ。
「おっと、宝探しだったな」
 息継ぎをしに海面から顔をだし、当初の目的を思い出してもう一度大きく息を吸い込んで潜る。珊瑚礁の影になるような場所や、光が当たってきらきらしている場所を探す。
「うーん、見当たらないな」
 よし、と頷いて後で行こうと思っていた人が近寄るには少し危ない、崖の方へと向かう。断崖絶壁、とまではいかないがロッククライミングには少々不向きな岩場だ。
 けれど、猟兵である自分には何の問題もない。散策も兼ねた情報収集だと、ひょいひょいとケイが登っていく。登り切ったその先に、それっぽい遺跡のようなものを見つけてケイが目を輝かせた。
「お、いかにもって感じだな!」
 意気揚々と中へと入るが、目的のものは見つからない。それでも、ケイはく気を悪くしたような表情を浮かべることもなく、心躍るような探検を楽しんでいた。
「ここはあれだな、初心に戻るべきだな?」
 来た道を戻り、目の前に広がる青い海を見る。
「絶景! よーし」
 来るときに確認したが、この下なら飛び込んでもそれなりに深さのある海だし障害物もない。
「いっきまーす!」
 誰に宣言するでもなく、ケイが綺麗なフォームで海へと飛び込む。途中で一回転なんかも決めて、華麗に着水する。そのまま、底の方まで潜り――。
「見つけた!」
 大きな宝箱を発見した。いかにもな宝箱といった風な、丸みのある木箱だ。
 引き上げる為に箱を掴むと、水中だというのに中々の重さで、気合を入れて持ち上げる。そのまま水面へと顔をだし、浜辺へと向かった。
「やっぱり、鍵が掛かってるよな」
 力尽くで開けてみようと試みたけれど、それでは浪漫がないとケイが頷く。
「待ってろよ、鍵も探してみせるからな!」
 それは楽しそうな笑顔で、宝箱をぽんと叩くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルデルク・イドルド
ディルク(f27280)と

(海辺に小舟を浮かべてまったり宝探し)
【航海術】【宝探し】
珊瑚の海で宝探し…実にいいねぇ。
お宝目当てで他の世界の戦争にも行ってみたがやっぱりこの世界が一番しっくりくるな。
綺麗な海だし泳ぐのもいいかもしれないが俺はとりあえず舟の上から探させてもらうか。
キルケは上空から探索頼む。お前の好きな「オ宝」だぞ。
ディルクとシュタインは潜って探してくれるんだな。
上から見えないとことか大物が隠れてるかもしれないぜ。
…まぁ、なんだこの間の戦争はお前もいろいろ頑張ってくれたし。今日は楽しむくらいの気持ちで探したらいい。

ハハ、楽しそうだな!…いつもありがとう。


ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と

シュタインに乗りながら海中に潜って宝探しするぞ!
【騎乗】【野生の勘】
宝探しか!海賊らしくていいなっ
アルの為に、宝石が入ってそうな宝箱が見つかるといいな~♪
アインはアルの傍で護衛頼むなっ【動物使い】

おお~っ、海の中はすっごい綺麗だなぁ
珊瑚がいっぱい、少し採ってアルに持っていこうかな
海の中を楽しみながら【第六感】で
お宝がありそうな場所を探すぞ!

お宝だけじゃなく、珍しいものが見つかったら
アルのとこまで戻って見せに行くぞ!
「アル、こんなの見つかったぞ!」

へ…?(目を丸くした後に顔を真っ赤にして)
……べ、べべべ別にっ、用心棒ならこんくらい当然だしっ!!
(再び海に潜る)



●優雅な宝探し
 乗って来た鉄甲船から少し離れた、しかし見渡せばそれなりに近い位置に砂浜が見える、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)にとって最高のロケーションと思える場所に彼とディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)は居た。
 燦々と照り付ける日射しを避ける為のパラソルを付けた、ぷかぷかと浮かべた小舟の、その上に。
「珊瑚の海で宝探し……実にいいねぇ」
「海で宝探しか! 海賊らしくていいなっ! この間の、違う世界での宝探しも悪くなかったけどっ!」
 先のアックス&ウィザーズでの戦争に、中々のお宝があると聞きつけ行ってはみたけれど。
「やっぱりこの世界が一番しっくりくるな」
 古竜の骨、時の蜘蛛糸、約束の花、高純度の魔力結晶体、宝石トリュフ、ヴァルギリオスの財宝と、危険に見合うだけの宝を手に入れることはできたが、やはり海賊は海だとアルデルクが笑う。
「そういや、宝石トリュフは幾つか食ったんだっけな」
「あ、あのキノコ! あれ、すっげぇ美味かった!」
 大量にあるのだ、少し食べてもいいだろうと調理して口にしてみたが、確かに美味だった。
「さて、と」
 思い出し美味しいをしてしまったが、今は新たな宝物を手に入れるのが先決だ。
「キルケ、空から何か見つからないか見てきてくれ、お前の好きな『オ宝』だぞ?」
『オ宝! オ宝! オ宝ヨコセ!』
 アルデルクの肩に乗っていた蒼い羽のオウムが、ばさばさと羽音を立てて空へと舞う。アルデルクの足元に蹲っていた銀色の毛並みをした狼が、視線だけでそれを追った。
「よし! じゃあオレはシュタインに乗りながら海中に潜ってくる!」
「ハハ、頼むぜ。俺は……そうだな、ディルクとシュタインが潜って探してきてくれるなら船の上から探させてもらうか」
「アインはアルの傍で護衛頼むなっ」
 ディルクの言葉に、狼が一声鳴いて答えた。
「シュタイン!」
 ディルクがその名を呼ぶと、海の中から彼が使役する黒い海竜が現れる。小舟を揺らさぬようにシュタインの背に乗ると、ディルクがアルデルクに振り向いて楽しそうに唇を開く。
「アルの為に、宝石が入ってそうな宝箱を探してくるな~♪ いってくる!」
 大きく息を吸い込み海へと潜っていったディルクに、アルデルクが目を瞬いて笑った。残念ながら、ディルクはその笑顔を見逃してしまったのだけれど。
 海の中へ潜っていったディルクは、その海中の美しさに思わず口を開きかけて慌てて閉じた。
 桜色の珊瑚は勿論のこと、色鮮やかな熱帯魚が群れを成して泳ぐ姿は美しいというより他にない。そっと上を見れば、アルデルクの乗る小舟と海へ降り注ぐ太陽の光が見えた。
 うん、綺麗なもの、全部持っていってやろう! そう気合を入れ直して、ディルクは砂地に落ちている桜珊瑚の欠片や、これはと思った綺麗なものを拾って息継ぎのついでにアルデルクへと届けた。
「アル、こんなの見つかったぞ!」
 それは宝箱ではなかったけれど、ディルクがアルデルクにと思って拾ってきた綺麗な、アルデルクにしか価値のわからないもの。アックス&ウィザーズで手に入れてきたお宝よりも、価値のあるものだ。
「でもさ、肝心の宝箱が見つからないんだよな……」
「……まぁ、なんだ。この間の戦争はお前もいろいろ頑張ってくれたし。今日は楽しむくらいの気持ちで探したらいい」
 きょとん、としたディルクが、へ? と間抜けな声を出す。そして、すぐに顔を真っ赤にして叫んだ。
「……べ、べべべ、別にっ、用心棒ならこんくらい当然だしっ!!」
「ハハ、楽しそうだな! ……いつもありがとう」
「~~~~~~!!」
 声にならない声でディルクが叫んで、また海へと消えていく。そんな主に尻尾をぱたりと揺らし、アインがアルデルクを見た。
「さあ、俺もしっかり探さないとな」
 アインの視線から目を逸らし、ふかふかの銀の毛並みを撫でてアルデルクが変わったものはないかと目を凝らす。キルケはオ宝! と叫びながら空を飛び回っているし、すべて世は事もなし、だ。
 そして、さっきよりも長く潜っていたディルクが片手で抱えられるほどの、緻密な細工が美しいアルデルクの瞳の色をした宝石が嵌まった宝箱を見つけて戻ってくるまではすぐのこと。
 ああ、本当にすべて世は事もなしだ、とアルデルクは笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィゼア・パズル
【白岩】◎
季節は既に初夏……夏と言えば、そう、海だ!!(カッ)
宝探しの珊瑚海…良いだろう?
どうせならひと勝負と行かないか、エスタ。

テンションをいつも以上に上げ探索へ挑む
巨大深海魚は自我を持っている。凝視するエスタへ大きな口を開き挨拶しているが…何とも言えない眼だな、エスタ
新しい仲間、巨大深海魚のDunkleosteusの口内へ入り海へ出る
呼吸はUCで大気の層を作り潜水艦状態へ
【動物と話す・コミュ力】を併用し海の生き物に聞き込みを開始

宝箱…という名の沈没船を狙う形になりそうだな?
一人ではないだろう?力を合わせれば引き揚げも可能だ
…ああ、そう言えば勝負だったか
決着はまたの機会…と言う事で?と笑う


エスタシュ・ロックドア
【白岩】◎

宝探したぁ浪漫があっていいこった
勝負か、いいねぇ面白ぇ
どっちが先にたくさん見つけられっか
よっしゃ負けねぇからな、覚悟しろ、よ
あーヴィゼアの新しい仲間
よろしくな……

完全気密のグリッタリングクラックなら海中もいけんだろ
そいつを着込んでシンディちゃんに【騎乗】
【武器改造】活かして『ゴッドスピードライド』発動
潜航形態に変形
【第六感】を頼りに海ん中を縦横無尽に進んで宝箱を探すぜ
ヴィゼアとはあんま離れすぎねぇように注意しとく
やっぱでっけぇ宝箱を狙いてぇよな
俺の【怪力】ならいっそ小型船舶ぐらい海上に投げ上げられるだろ、多分
手伝ってくれるか、ありがてぇがそーなると勝負は引き分けってことになるかぁね



●珊瑚の海で、君と宝探し
 季節は既に初夏だ、とヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)がエスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)に言った。
 確かに夏の始まりを思わせる気温だな、とエスタシュは反論せずに頷く。
「夏と言えば、何かわかるか?」
「夏、夏ねぇ……」
 UDCアースを拠点とするエスタシュからすれば、夏と言えば――。
「海だな」
「そう、海だ!!」
 カッとアクアブルーの猫目をかっぴらいて、ヴィゼアが眼前に広がる海を指さす。
「無限に広がる空と珊瑚の海、そして宝探し……最高のロケーションだとは思わないか」
「宝探したぁ浪漫があっていいこった、それでヴィゼアは何をしようってんだ?」
 横に並ぶように立っているヴィゼアを見下ろし、エスタシュが問う。
「どうせならひと勝負と行かないか、エスタ」
「勝負か、いいねぇ面白ぇ……その話乗った!」
 勝負を仕掛けられたなら、乗らないという選択肢はない。どうせなら派手にやってやろうとエスタシュはヴィゼアの申し出を受ける。
「それでこそエスタだ。場所は海中だが、遠慮はなしだ」
 ヴィゼアが自分の三倍はあるだろうエスタシュを見上げて言う。ヴィゼアはケットシーなので、どうしたって体格差ができてしまうのだ。けれど、その体格差を埋める術をヴィゼアは持っている。そして、それを正しく理解しているエスタシュはこういうのだ。
「勿論だ!」
「よし、それでは早速いくとしよう!」
 いつもよりテンションが上がっているヴィゼアが、波打ち際へ駆ける。そして、高らかに彼の新しい仲間の名を呼んだ。
「Dunkleosteus!」
 ヴィゼアの呼び掛けに応えるように、自我を持った巨大深海魚が現れる。
「さあ、勝負だエスタ」
「よっしゃ、負けねぇからな。覚悟しろ、よ……なあ、そちらさんは?」
 ヴィゼアの前に現れたそれに、エスタシュが何とも言えない表情を浮かべて問う。
「最近仲間になった、巨大深海魚のDunkleosteusだ」
 紹介を受け、巨大深海魚がエスタシュに向かって甲冑にも似た大きな口を開き、挨拶をする。
「あー……ヴィゼアの新しい仲間……よろしくな……」
「頼んだぞ、Dunkleosteus」
 よいしょ、と自動車にでも乗るような気軽さでヴィゼアがDunkleosteusの口内へ入ると、ゆっくりとその口が閉まっていく。完全に閉じはせず、ヴィゼアが外を眺められる程度の隙間を開けたところで止まると、ヴィゼアがエスタシュに声を掛けた。
「では、お先に失礼するとしよう!」
 その声を聞き、Dunkleosteusがゆっくりと海へ出る。
「おい、呼吸はどうするんだ?」
 猫が魚に喰われてく……と思いながら半ば呆然と眺めていたエスタシュが慌てて声を掛ける。
「そんなもの、ユーベルコードでどうとでもなるだろう」
 その言葉通り、ヴィゼアが星脈精霊術を操って大気の層をDunkleosteusに纏わせていく。
「もう潜水艦みたいなもんだな、あれ」
 海へ向かう巨大深海魚に後れを取ってなるものかと、エスタシュも海へ入る準備をする。
「グリッタリングクラックなら海中もいけんだろ」
 完全気密である宇宙服に着替えると、彼の愛機でもある宇宙バイク――シンディーちゃんを呼び出して、そのシートに跨った。
「うーん、今日もイかしてるぜシンディーちゃん!」
 口笛を吹きたい気分だ、とエスタシュもヴィゼアに負けずテンションが上がっている。
 ゴッドスピードライトを発動して愛機を潜航形態に変形させると、ヴィゼアを追うように海へと突っ込んだ。
「お、いたいた」
 巨大深海魚はすぐに見つかって、エスタシュが少し前に出るとヴィゼアに向かって手を挙げる。そして、お先に! とばかりにハンドサインを送るとシンディーちゃんのスピードを上げた。
 それでも、ヴィゼアの巨大深海魚から離れすぎない範囲で、宝箱の捜索をしている。お互いが、お互いの見える範囲で宝探しをしていると、不意にエスタシュの目を惹くものが眼前に現れた。
「……沈没船じゃねぇか!」
 ピカピカと、エスタシュがヴィゼアに向かってシンディーちゃんのライトを照らす。その合図に気が付いたヴィゼアが、Dunkleosteusをエスタシュに向かわせる。
「どうし……おや、沈没船か」
 大気の層を軽くエスタシュの方にまで広げると、エスタシュがフェイス部分のカバーを解く。
「あれ絶対宝箱あるやつだよな?」
「宝箱……という名の沈没船だな」
 かといって海の中で沈没船の中を探し回るのは骨が折れる、ならいっそ引き上げるかとエスタシュが言った。
「俺の怪力ならあれくらい海上に投げられるだろ、多分」
「それでは中がどうなってしまうかわからないだろう?」
 勢いよく投げてしまっては、船の傷み具合にもよるだろうがバラバラになり兼ねないとヴィゼアが笑う。
「あー、んじゃどうすっかな」
「君、目の前にいる私をなんだと思っているんだ? 力を合わせれば引き揚げも可能だろう」
 そう言ったヴィゼアに、エスタシュがきょとんとした表情を向ける。
「手伝ってくれるのか?」
「今そう言っただろう……ああ、そう言えば勝負中だったか」
 なら、決着はまたの機会……と言うことで? とヴィゼアが笑うと、エスタシュも破顔して、そうしてくれと笑った。
 斯くして、引き上げられた沈没船をDunkleosteusの背に乗せ、中を二人で検分してみればエスタシュよりも大きな宝箱が見つかって、二人で目を瞬かせることとなるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

濡れてもいいように水着(空色のハーフパンツタイプ)に紺色のパーカータイプのラッシュガード装備で。たまに日の光に負けるのか、肌が荒れるから装備。
遊ぶというよりふらふら散策中心。伽羅は水龍だし好きにさせて、でも波打ち際で遊ぶ仔虎の陸奥は時々注意したり。時々海に入りはするけど、纏めてるとはいえ髪が濡れると面倒なのもあって泳ぐまではしない、かな?
いやでも珊瑚が綺麗な海なんだよな…どうすっかな。
でも戦争終わったばっかだしできればゆったり過ごしたいし…(理性と好奇心のせめぎあい)

宝箱の場所はお任せ。大きさは片手で持てる程のからくり箱。しかし見た目もからくりも凝ったもの。箱自体に価値が欲しい。



●優しい時間
 ビーチサンダルのまま、特に当てもなく波打ち際を歩いているのは黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)だ。
 時折足を止めては、連れてきた竜の伽羅とまだ子どもの白虎である陸奥が水飛沫を上げながら遊んでいるのを微笑まし気に見ている。
「楽しそうだな」
 声を掛けられた二匹は、主である瑞樹もどうだと言うようにその尾と尻尾で水を掛けようと動く。
「こら、だめだって……ああ、もう」
 そうは言うけれど、濡れてもいいようにと空色をした膝丈のサーフパンツを着ている瑞樹に怒った様子はひとつもない。よく晴れた空を見上げ、太陽の光を遮るように手で影を作る。
「思っていたよりは、日の光りがきつくなくて良かった」
 強い日差しの下では肌が負けてしまうのか、少し荒れてしまうことへの対策として紺色のパーカータイプのラッシュガードを羽織っているのだが、もしかしたら必要なかっただろうか。
「うーん、でも調子に乗るとガサガサになるし、うん」
 やはり脱ぐのは止めて、このまま歩くとしよう。そう決めると、伽羅と陸奥に声を掛けて、再び歩き出す。
 足に当たっては戻っていく波は、水温も穏やかで心地いい。鉄甲船から見た感じ、無人島は周囲10キロといったところだろうか。
「このまま島を一周するのも、ありかな……?」
 どこまでも広がる、澄み切った青を眺めながら歩くのは、多分とても気持ちがいいだろう。
「疲れたら伽羅の背に乗るって手もあるし」
 そう言うと、伽羅が任せろというように瑞樹でも足の届かない場所からぱちゃりと跳ねる。それが楽しかったのか、陸奥が伽羅の方へ行こうとするのを瑞樹が慌てて止めようと海の中へ足を踏み入れた。
「こら、そっちは深いからだめだ。もっと俺の近くで、わ、わ!」
 陸奥を抱き上げると、伽羅も自分もとばかりに瑞樹にしなやかな竜の身体を摺り寄せる。いつもなら踏ん張れるところだが、さらりとした砂地と波のそれに、完全に足を取られ――。
「ま、参った」
 見事に尻もちをつくような形で、胸元まで海に浸かっていた。
 纏めているとはいえ、髪の毛が濡れると面倒だと思って泳ぐのは避けていたが、今のでその努力も水泡に帰したも同然だ。
 戦争が終わったばかりで、ゆったり過ごそうと思っていたのだが――。
「仕方ない、珊瑚が綺麗な海を堪能したいと思っていたのも事実だしな」
 陸奥には無理をしないようにと言い含め、何かあれば助けてやってくれと伽羅に頼み、瑞樹は二匹と共に海へと潜った。
 そこは現実とはかけ離れたような世界が広がっていて、瑞樹は思わず息を飲む。
 桜色の珊瑚が透明な青の中にあって、更には極彩色の熱帯魚がそれを彩っているのだ。それはとても不思議な感覚で、まるで天然の宝箱のようだと笑みが零れた。
 何度か潜って、少し休憩を取ろうと浜辺に戻ると、陸奥がその身を震わせて水気を飛ばす。その仕草が可愛くて笑っていると、伽羅が海から顔を出し、ゆっくりと瑞樹の方へやってくる。
「ん? 何を頭に載せて……木箱?」
 伽羅からそれを受け取って、まじまじと眺める。それは片手で持てる大きさの絡繰り箱のようだった。
「これは随分と綺麗な……」
 寄木細工のようだが、緻密な螺鈿細工も施されていてきらきらと輝いている。どれ、と動かせそうな場所に軽く力を籠めてみるが全く動かない。
「これはもしかして……鍵が必要だったりするかな?」
 なるほど、これは宝箱だったのかと、木箱を光に翳して瑞樹が笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花

「川遊びをしたことはありますし、海を見たことも海中都市を訪問したこともありますけれど、海で泳ぐのは初めてなんですよね…」

初めて水着を着て恐る恐る泳ぐ
淵での着衣水泳は(ちゃぽちゃぽ程度だが)したことがあったので即溺れたりはしない
「海で泳ぐって凄いですね…」
多分途中から調子に乗って潜水で宝箱を探し始める
溺れかけるのは浮上してうっかり波に正面からぶち当たった時?
なお自分や他人が溺れたら、即UC「精霊覚醒・桜」で空中へ飛行で避難(他人を助ける時は背後から近づいて持ち上げる
ゲホゲホ咳が収まるまで空中にとどまる

両手で胸元に抱えるような木の箱で、でもとても軽い宝箱が見つかると良いな、と思います



●桜の君と、桜珊瑚
 恐る恐る、といった風に御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)が波打ち際に立ち、一歩一歩ゆっくりと海に向かって歩を進める。この日の為に新調した水着は、胸元がフリルで覆われたワンピースタイプのもので、ミニスカートのようになっている裾に桜の模様が入っているのがポイントだ。
 水着は可愛いし、桜花に良く似合っていたし、どこまでも続く青い海は綺麗だ。
 でも――。
「川遊びをしたことはありますし、海を見たことも、海中都市を訪問したこともありますけれど、海で泳ぐのは初めてなんですよね……」
 なんなら、水着を着るのだって初めてだ。ちょっと恥ずかしかったけれど、鉄甲船に乗り合わせた人達も水着だったし、これが海での、いわゆるドレスコードのようなものなのだろうと納得している。
 それはそれとして、初めての海なのだ。淵での着衣水泳はしたことがあるし、いきなり溺れたりはしないだろうと桜花が覚悟を決めて、そっと平泳ぎで泳ぎ出す。
「川の水も透明で綺麗でしたけど、海は、海はなんていうか……!」
 同じ透明でも、色が違うのだ。こんなに水色で、どこまでも青くて、唇に触れた海水はしょっぱくて。
「海で泳ぐって凄いですね……!」
 足が付かない場所は少し怖いので、足が付く場所でそろそろと泳ぐ。あ、これもしかして平気かも? そう思うとテンションが上がって来たのだろう、桜花が少し深い方へと向かう。
 平泳ぎからクロール、背泳ぎ、試してみたい泳ぎ方を全部試して、私はもしかしなくても泳ぐのが得意なのでは……? と桜花が立ち泳ぎをしながら水中を見る。
 そうして、誘われるように大きく息を吸い込んで、思い切って海の中へ潜っていった。
 すごい、すごい! 潜水で海の中を見た桜花が、海の外と中との違いに目を瞬かせる。水面は光を受けてきらきらとしていたけれど、その中は砂地に光を反射して光っていたし、桜色の珊瑚は間近で見ると本当に桜色をしていた。
 息の続く限り海中を楽しんで、もう限界というところで水面へと上がる。
「はあ、なんて綺麗なんでしょう……!」
 もう一度、と大きく息を吸い込もうとした時だった。
 ざぱん、と少し大きな波が桜花を襲ったのは。
「きゃ、んん、んー!」
 軽く水中に攫われて、桜花の口からごぼりと空気の泡が水面へと逃げていく。
 溺れる――!? そう思った瞬間、身体が即座に反応し、桜花が自身の力を覚醒させた。
 海中にありながら、桜花の身体を渦巻く桜吹雪が覆い、そのまま煌く太陽に向かって桜花が飛翔する。桜の花びらが、はらはらと水面に落ちては消えていく。
「ゴホッ、げほ、げほ」
 咽たような咳を繰り返し、桜花が涙目になりながら目を開けた。
「び、びっくりしました……!」
 まさか初めての海で、初めて溺れかけるとは思いもしなかったと、桜花が視線を海へと向ける。
「油断大敵です……」
 今度は同じ轍は踏まぬと、もう一度潜水をする為に海の中に戻った。
 海は少し怖いけれど、それを差し引いても余りある美しさがある。水面に上がる時は少し気を付けて、何度か潜水を繰り返す。そうして桜花が見つけたのは――。
「見た目より、とっても軽いです」
 両手で胸元に抱えられるほどの木製の宝箱を持って、砂浜へ戻った。
 まじまじと観察すると、ところどころ彫刻が施されていて、なんだかとてもいいものを拾った気持ちになって桜花が嬉しそうに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロベルタ・ヴェルディアナ
おー!島とか海見るのも初めて…じゃない気がする。
んー…。過去に?あれ?まーいいや。楽しむよ海♪

船の上から眺めてるだけじゃつまんないから海中を探検だ。
うん。泳いだことないけど大丈夫。ただの水溜まりだし。
それに人の身体って浮くってゆーし。生きていけるッ!!
泳ぎ方はわからないから適当に手足を動かしてみる。
…あ。段々慣れてきたみたい。(犬かきでノロノロと泳ぐ)
余裕が出てきたら宝箱を探してみるよ。どこにあるだろ~♪
海の底にもあるみたいだけどそれはまだ僕には難しいかもね。
見つけた宝箱は箱の上に乗って泳いで運ぶよ。

「あはは♪ びしょびしょだじぇ。でも楽しかったぁ!」
陸に上がったら水着をもらって着替えてくる。



●初めての、初めてじゃないかもしれない海にて
 鉄甲船の甲板から見た海はきらきらと煌いていて、ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)がそのきらきらを蒼い瞳に映しこんだかのように目を瞬かせていた。
「おー! 島とか海、見るのも初めて……」
 初めて? 本当にそうだろうかと首を傾げながら、もう一度目の前に広がる海と少し先に見える島を見る。
「んー……? 過去に? あれ?」
 見たことがあるかもしれない、どこでだろうか。しかしどれだけ考えてみても、記憶の中にそれは見つけることができない。元居た世界の記憶を一切合切失くしてしまっているのだから当然か、とからりと笑ってロベルタは潮風を胸いっぱいに吸い込む。
「まーいいや、今はこの海を楽しむよ♪」
 さて、まずはどこから楽しもうかとロベルタが水面を眺め、空を眺め、島を眺める。
「よし、まずは海中を探検だじぇ!」
 思い立ったが吉日を体現するかのような彼女が、柵を乗り越える為に片足を掛けた。
「うん、泳いだことないけど大丈夫、要は大きな水溜まりだし」
 水溜まりにしては随分と広大で、深さもあるのだがロベルタは気にしない。
「それに人の身体って浮くってゆーし。生きていけるッ!!」
 死ぬこと以外は掠り傷、そんな言葉を体現したような思い切りの良さで、一気に海へと飛び込んだ。服を着たままで。
 どぼーん! という勢いのいい音を立て、気泡を纏いながらロベルタが海へと沈んでいく。なんだっけ、こういう時は適当に手足を動かしてみればいいんだっけ? そんなことを呑気に考えながら、適当に手足を動かしてみる。
 足は左右交互に、手はカーテンを勢いよく開ける時のように、そしてそれは上手くいったようでロベルタが海面に顔を出す。
「いけるいける、浮けばこっちのもんだよ!」
 とりあえず、島に向かって泳いでみようかと手足を動かしてみればゆっくりながらも島へと進んでいく。波の力もあるのだろうけれど、ロベルタ自身が泳ぐことに慣れてきたのだろう。
「……あ。段々慣れてきたみたい」
 俗にいう犬かきという泳ぎ方だが、ロベルタにとっては何の問題もない。ちょっと疲れたらぷかぷかと仰向けに浮かんで休み、またすぐに泳ぎ出す。徐々に余裕も出てきて、時折水中に向かって顔をつけて海の中の景色を楽しんだり、宝箱を探してみたりとロベルタなりに海を楽しんでいた。
「宝箱、どこにあるだろ~♪」
 海の底にもあるとは聞いているけれど、さすがに今のロベルタにそれは難しい。それは本人もわかっているようで、思案気な顔をしたあとに島を目指すようにぱちゃぱちゃと手足を動かす。
「さすがに海の底を目指すのは、今の僕には難しいかもだね」
 しっかりと泳ぎをマスターしたら、海の底まで潜ってみたいなあ、なんて考えながらロベルタがくふふと笑う。そうやって、ゆっくりだけれど確実に島へと近付いていたロベルタの爪先が、とうとう砂地を捉えた。
「お、ここなら足が届くね!」
 そっと足先を付けて、砂浜を目指して歩く。その途中、何かがぷかぷかと浮いているのを見て歩みを止めた。
「なんだろ~? ちょっと丸っこいような?」
 よいしょ、と手を伸ばしてそれを引き寄せる。
「木箱? にしてはなんだか丸いよね」
 樽にしては小さく、なんだかロベルタが乗っかるには丁度良さそうな大きさのそれに、よいしょと腹ばいになって乗っかってみる。
「これ、なんだか丁度いいかもだよ~♪」
 そのまま足をバタバタと動かせば、木箱は浮き輪代わりになってロベルタの身体を波打ち際の近くまで連れて行ってくれた。
「あはは♪ びしょびしょだじぇ。でも楽しかったぁ!」
 木箱を抱え、砂浜に腰を下ろす。服はそのうち風で乾くだろう、それよりもこの木箱だ。
「開けてみよう!」
 どれどれ、と開けようとしてみたけれど、鍵が掛かっているのか一向に開く気配がない。
「あれ、これってもしかして、もしかしなくても……宝箱かな?」
 本当だ、遊んでいたら宝箱が見つかった! とロベルタが屈託のない笑顔を浮かべる。無邪気に喜んでいると、衣服のまま海へ飛び込んでいったロベルタを鉄甲船から見ていた誰かが心配してくれたのだろう。
 サイズもぴったりな水着を預かってきたと、ロベルタに手渡してくれた。
「よーし! 着替えたら、今度はこの島を探検しちゃうんだじぇ!」
 まだまだ、ロベルタの楽しみは尽きそうになかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナハト・ダァト
【異形の花畑】で同行
アドリブ◎

海洋世界カ…見識ヲ深める為とハ言エ、
やはリ、海ハ。苦手ダ…

とある理由から極度のカナヅチの為
船上から宝探しに励みます

こうしテ眺めるだけでモ、十分調査ガ行える様だネ。
…ところデ、藍クン。君ハ何ヲ?

六ノ叡智で、生き物に宝箱の位置を聞きながら
同伴者の動向を観察

成程、君ノ芸術活動ハ。世界ガ変わってモ、変わらズ、カ。
それハ君ノ、美徳だネ。

感性に疎くはあるも、価値と情熱は理解できるようで、
視たまま。捉えたまま、考えたままに感想を述べて

ありがとウ。海ノ上は少々、気疲れし易イのだガ。
藍クンのお陰デ。あまリ疲れずニ済んだヨ。


紫・藍

【異形の花畑】でレッツゴーなのでっす!

院長(f01760)さんは海が苦手とのことでっすが!
せっかくの海ですので藍ちゃんくんは泳ぎに泳いで満喫しちゃうのでっす!
水着は礎たちつ絵師の方のなのでっす!

もちろん藍ちゃんくんでっすのでー!
自分が楽しいは言うまでもなく、この楽しさおすそ分けでっすよー?
今日の藍ちゃんくんはセイレーンなのでっしてー
院長さんに届くよう、海や太陽、波音に合ったお歌をお届けするのでっす!
院長さんが眺める世界の風情を壊さぬ範囲で、いえいえむしろとっても絵になるよう、視野に映り込むことも目論んだりしちゃうのでっす!
歌唱&アートなのでっす!

どういたしましてでっすよー、院長さん!



●泳げないあなたと、本日はセイレーンなきみ
 新しく見つかった海洋の世界、グリードオーシャン。そこは異常気象のせいか、グリモア猟兵であっても予知とテレポートが阻害されるという。他の世界から島が落ちてくるという現象も、未だ原理は解明されていないとくれば――。
「なるほド、興味深いネ」
 ナハト・ダァト(聖泥・f01760)が鉄甲船の甲板から、煌く海を見渡す。しかし、しかしだ。
「見識ヲ深める為とハ言エ、やはリ、海ハ、苦手ダ……」
「そっこっで! この藍ちゃんくんの出番なのでっす!」
 両手をピースの形にして、紫・藍(覇戒へと至れ、愚か姫・f01052)が数あるチャームポイントの一つであるギザ歯を見せてナハトの隣に立つ。その名の通り、藍色の髪をなびかせた彼が纏うのはフリルも鮮やかなタンクトップに緩めのショートパンツという藍の為に誂えたような水着。
 夏、海、とくれば藍ちゃんくんなのでっすよー! と楽し気に笑っている彼を見ていると、海への苦手意識もどことなく軽減されていくような気がして、ナハトがローブの奥の瞳を優しく柔らかな色に変える。
「大丈夫なっのでっすよー! 海の中の探索は藍ちゃんくんにお任せなのでっす」
「それハ、頼もしいネ」
 とある事情から極度のカナヅチである為、ナハトは海の中には入れない。けれど、それを補って余りある能力を彼は兼ね備えていたし、何よりも藍がいるのだ。何も問題はない。他よりも少し見えすぎるその目で甲板からの景色を眺めながら、隣で何やら始めた藍に声を掛けた。
「……ところデ、藍クン。君ハ何ヲ?」
「準備運動なのでっす! 急に飛び込むと命が危険なのでっすよー?」
「なるほド」
 確かに激しい運動の前に準備運動は必要なものだ、理にかなっていると医療の心得を持つハナトが納得する。
「さー! 今日の藍ちゃんくんはセイレーンなのでっしてー、華麗なスイミングをお見せしちゃうのでっす!」
「……そこハ、マーメイドでハないのかネ?」
「郷に入っては郷に従えなのでっす! グリードオーシャンでっすのでー! では、いってきますなのでっす!」
 もちろん、それだけではないのだけれど、それはもう少しあとでのお楽しみだと藍がくふふと笑い、透き通る珊瑚の海へと華麗なフォームで飛び込んだ。
 それはさながら、本当に尾ヒレを持つ種族のように美しく、ナハトは思わずローブの裾から触手を数本出して、拍手をしてしまうほど。
「さテ、始めるとしよう、カ」
 藍が泳ぐ様子を眺めながら、ナハトが六の叡智を用いて海の中に住む生き物達に宝箱……変わったものはないかと問い掛ける。声ならざる声を知覚し、彼らが示した場所に視線を向けた。
 少し遠い場所でも、問題なく視える。大抵の場所は魚達にとって変わったものであった為、宝箱ではなかったのだけれど。ふ、と遠くの場所に飛ばしていた視線と意識が引っ張られる。
「何、ガ」
 首を傾げるように引っ張られた方を見れば、そこには高らかに歌声を上げる藍がいた。その歌は、海や太陽、それどころか波音や風の音にまで合わせたような歌で、調和といった言葉がふさわしく思えた。
 歌に合わせて、澄んだ海の中で魚たちが躍っているのが見える。そのダンスはさながら藍を盛り立てるバックダンサーのようで、歌い終わった藍が水中に潜って色とりどりの魚達と呼吸を合わせるように泳ぎ、フィニッシュとばかりにナハトの前に広がる水面に顔を出した。
「如何でっしたかー? これが藍ちゃんくんの郷に入っては郷に従え、セイレーンの歌唱&アートなのでっす!」
 藍の歌唱力は確かに神話世界のセイレーンに匹敵するだろうし、その泳ぎはグリードオーシャンの水の精であるセイレーンに勝るとも劣らないだろう。
「成程、君ノ芸術活動ハ。世界ガ変わってモ、変わらズ、カ。それハ君ノ、美徳だネ」
「褒められたのでっす! ぴすぴす!」
 感性には疎くはあるが、それでもその価値と情熱はナハトにも理解できる。視たまま、捉えたままに感想を述べれば、藍がピースサインで応える。
「ありがとウ。海ノ上は少々、気疲れし易イのだガ」
 じぃん、としたものを感じて、これは余韻というものかと考えながら、ナハトが触手で拍手をしながら藍に話す。
「藍クンのお陰デ。あまリ疲れずニ済んだヨ」
「どういたしましてでっすよー、院長さん!」
 一礼をする代わりに、くるんと水中でターンを決めて藍が笑う。
「あ、話は変わるのでっすがー! 宝箱は見つかったでっすか? 藍ちゃんくんも泳いでる時に探してはみたのでっすがー」
 見つからなかったと藍が言えば、ナハトがそうだったと触手でとある方向を指した。
「ひとつ、それらしイ場所ガあるのだガ」
「ふむふむー、藍ちゃんくんにお任せあれなのでっすよー!」
 一つ返事でぱしゃんと水飛沫を上げ、藍が指定された場所まで泳ぐ。ここだろうかと甲板に立つナハトにハンドサインを送れば、ローブから出た触手が大きく丸を描いた。
「こっこでっすねー!」
 大きく息を吸い込み、真下に向かって潜水を行う。素潜りの要領で海底に向かっていけば、確かになんとなく怪しい場所がある。足を揃え、しなやかに動かせば目的の場所にはすぐ到着した。
 桜珊瑚が美しく並ぶその根元に、それらしい物を発見して藍が両手で抱え、水面へと上がった。
「ありましたでっすよー!」
 その声も、持ち上げてみせた宝箱も、ナハトにはきちんと届いているのだろう。触手が先程よりも大きな丸を描いているのが見えた。
 あとはこれを持って戻るだけ、宝箱を抱え直し、どのように戻れば絵になるだろうかと口元に弧を描くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルゥー・ブランシュ
【庭4◎】
わぁー🌸
海だー!珊瑚さん!!

碧のショートパンツと白いフリルのキャミソール姿で目を輝かせ
枝の桜は満開に!

釣りに行くオズやウルには
いってらっしゃーい!とお魚さんのお土産を頼んで
ねね、アース見てみて!
云われた通りに足元気を付け
ピンクや白い貝殻を見つけては、手持ちの網に入れていく
すっかり夢中になり
食べられる貝よりも、見た目が綺麗な貝たちの比率が増えてゆき…

あれ―?
これなんだろう?

波打ち際で、なんだが大きな螺旋の貝殻の先っぽを見つけ
ちまちまと、熊手さんで掘っていく

出てきた宝箱は
両の手程の大きさがある
銀とピンク色の巻貝の様な姿をしていて

見つけたー!!

皆に見てもらおうと
呼び声と共に宝箱を抱える


オズウェルド・ソルクラヴィス
【庭4◎】

…悪くねぇな

短絡的な呟きとは裏腹に
尻尾を緩やかにゆらゆらさせ
上機嫌な時に出るその癖と共に
海と島の風景に内心で感嘆を

…釣ってくる

土産と夕飯を…と断言しかけ、宝箱もと付け加える
黒のハーフパンツに紺のアロハシャツ姿にて
手にする獲物は無論、釣り竿

女…?
競い甲斐…?
いや、待て…本気が過ぎてんぞ…
岩場にて
同じくルアーに魔力乗せるやらと人の事は云えないが
何故か蛸やイカが多いのは、そのせいか―?と網箱を覗き込み…

まぁ、こういうのも嫌いじゃねぇけどな…
どこか楽しそうなウルや
潮風に乗って届く二人の声を聴きつつ竿を振り―

そしてまた、活きのイイ蛸と共に釣りあげるのは
碧い珊瑚で出来た手の平サイズの小さな宝箱


ウルスラ・クライスト
【庭4◎】
茜色の水着にドレスを纏い
手に持つは釣り竿…ならぬフック付きワイヤー
南国の海で狙うは宝箱…と、夕飯の魚?

浜辺の可愛い子ちゃん達を眺め
ふぅ…そうねぇ…人選ミスじゃあないのよ
アースとルゥちゃんは可愛い貝でも拾ってる方が
お似合いでしょうからね…

そんなわけで、私がお相手でごめんなさいねオズ
細腕の女で競い甲斐ないでしょうけど
男前のお手並みを拝見といきましょうか(にこ

フックの先には魚を誘き寄せる誘惑の花飾り
レプリカクラフトで疑似餌罠を撒きましょ
勿論、全力よ――罠使いの本気をお見せするわ

釣れたはいいけど
丸い宝箱なんて初めてね
貝細工の綺麗な玉…あら?

もしかして玉手箱ってこれ?
開けちゃだめなやつかしら?


アース・ゼノビア
【庭4◎】
髪はポニーテール、白いシャツを羽織り
膝丈に巻き布をした水着姿

浅瀬でルゥ―と食材や綺麗な貝を拾い歩き
この辺ちょっと深いな。ルゥ―、足元気をつけて

ふふ、沢山集めたね
帰ったら貝細工の時間だな

時折、波を眩しく眺め
いい景色。毎日でも眺めたいくらい
泳ぎ放題で水竜もご機嫌だし
今晩はブイヤベース、炭火焼き?
この際カレーもいいな。悩んじゃうね

オズとウルスラ、何釣ってくるんだろう
負けず嫌い同士だからな…
本気出しすぎてなければいいけど

――ん?なに銜えてきたの水竜
螺鈿の白い箱か…漆器の類に見えるけど
海を漂ったにしては傷ひとつない
特殊な魔法が掛かってそうだ

自慢げな水竜の頭を撫で
ありがとうな。鍵を探してみようか



●海と珊瑚と釣竿と
「わぁー! 海だー! 珊瑚さん!!」
 春の陽気のような可愛らしい声で、ルゥー・ブランシュ(白寵櫻・f26800)が見てみて! と波打ち際から珊瑚礁の広がる海を指さす。碧のショートパンツから覗く足でくるりとターンすれば、白いフリルのキャミソールが揺れた。
「……悪くねぇな」
 広がる海と空を眺めながら彼が言った言葉は、とても良いと同義語のようなもの。その証拠にドラゴニアンであるオズウェルド・ソルクラヴィス(明宵の槍・f26755)の尻尾は上機嫌に揺れている。
「あら、可愛くていいわねぇ……」
 波が足に掛かったと喜ぶルゥーを眺め、ウルスラ・クライスト(バタフライエフェクト・f03499)が眩しそうに目を細めると、髪をポニーテールに結い上げたアース・ゼノビア(蒼翼の楯・f14634)がパラソルを立てながら本当だね、と微笑んだ。
「……よし、釣ってくる」
 釣竿を手にし、オズウェルドが黒のハーフパンツと紺のアロハシャツという、由緒正しき釣り人のような恰好でそう言った。
「何を釣るの?」
「土産と夕飯を」
 興味津々で尋ねるルゥーに、そう断言しかけて咳払いをしてオズウェルドが付け加える。
「ンンッ、宝箱も、だ」
「素敵ね! ウルも行くの?」
 茜色の水着にドレスを纏ったウルスラは優雅にルゥーに微笑んで、手に持った釣り竿ならぬフック付きワイヤーを揺らし、狙うは宝箱か夕飯のご馳走かと嘯きながらオズウェルドの隣に並ぶ。
「いってらっしゃーい! お魚さんのお土産、楽しみにしてるね!」
「いってらっしゃい、気をつけて」
 見送るルゥーとアースに軽く手を振って、オズウェルドとウルスラが網箱やクーラーボックスを担いで岩場へと向かう。それを見送って、アースがルゥーに向けて言った。
「それじゃあ、俺達は浅瀬で食材を探すとするかい?」
「するー! それと、宝箱も探す!」
 頭の枝の桜を満開にして、ルゥーがぴょんっと跳ねて海に入る。それを追い掛けるように、拾ったものを入れる為の網で出来た袋を下げて、アースが一緒に海に入った。
「すごい、透明で水色!」
 緩やかに寄せては返す波を掻き分けて、ルゥーが腰まで海に浸してアースに向かって振り返る。
「本当だね、こんなに透明度が高いとは思わなかった。ルゥー、そこから先ちょっと深いから、足元に気をつけて」
「はぁい!」
 言われた通りに足元に気を付けて、ルゥーが先へ進む。足がつかなくなる手前で止まり、大きく息を吸い込むと勢いよく身体を海に沈めた。海中から見る景色はまた一つ違っていて、ルゥーはすぐに顔を出して興奮したようにアースに向かって両手を上げた。
「アース、アース! 海の中も、すごいの! 見てみて!」
「ふふ、勿論。何かいい物があったらこれに入れてね」
 そうして二人で浅い場所を潜っては、食べられそうな貝や珊瑚の欠片を拾う。その楽しそうな声は、オズウェルドとウルスラが絶好の釣り場ポイントとして選んだ岩場にまで届いていた。
「あら、楽しそうでいいわねぇ……」
「羨ましいなら、アンタもあっちにいってくればいいだろう」
「あら、私がお相手では不服かしら?」
 そんなことは言ってねぇ、と釣り糸を垂らしたオズウェルドに笑って、ウルスラが手のひらの上に載せたフックに魚を誘き寄せる誘惑の花飾りを付ける。
「アースとルゥちゃんは可愛い貝でも拾ってる方がお似合いでしょう……? そうなれば私がここにいるのは必然で、人選ミスじゃあないのよ」
 それはまぁ、確かにとオズウェルドも思う。頷きはしなかったけれど。
「そんなわけで、私がお相手でごめんなさいね、オズ」
「別に悪かねぇ」
「あら、でも細腕の女では競い甲斐がないでしょう?」
「……競い甲斐?」
 細腕の女? とは口に出さなかったのは賢明だったな、と思いながらオズウェルドがウルスラに問い返す。
「ええ、釣りの。男前のお手並み、拝見といきましょうか」
 見る者を魅了するような、捕食するような、そんな笑みを浮かべたウルスラがレプリカクラフトを展開する。それは魚を誘き寄せる疑似餌罠で、すぐにそれに惹かれた魚影が見えた。
「いや、待て……本気が過ぎてんぞ……」
「あら、勿論」
 全力よ? と微笑んだ罠使いの女のフックに魚が掛かったのだろう、ワイヤーがくいくいと引っ張られた。
「一匹目、お先に失礼」
 優雅な手付きで魚をフックから外し、クーラーボックスへと入れる。その笑みに、オズウェルドの負けず嫌いに火が付いた。
「すぐに巻き返す」
 釣り竿を巧みに操つりながら、同じようにルアーに魔力を乗せる。これもまた、すぐに釣り竿の先がしなって獲物が掛かったことをオズウェルドに伝え、タイミングよく引き上げれば、そこには。
「……蛸か」
「あら、中々の大物ね」
 手早く網箱に放り込み、釣り針を再び海へと沈める。静かだけれど、白熱した二人の戦いは、いま始まったばかり――。

 一方、和やかな雰囲気で貝を探していた二人はというと、少しずつ砂浜に向かって移動しながら食材を集めていた。
「アース、アース!」
「なんだい、ルゥー」
 沢山採れた! とルゥーが網袋を掲げて見せる。その中には、食べられそうな貝が幾つかと、見た目が綺麗な貝殻が沢山入っていた。
「ふふ、本当に沢山集めたね。帰ったら貝細工でもしようか」
「するー! ルゥーも一緒にしていい?」
 勿論、とルゥーの濡れた頭を撫でて、アースが自分の網袋の中身を確認する。四人分には少し足りないかもしれないけれど、オズウェルドとウルスラがその分を補うだけの魚を釣ってくるだろうと頷いて、ルゥーに問い掛けた。
「そろそろ、浜辺に戻ろうか?」
「うん!」
 拾った貝殻を並べてみたいと考えていたルゥーは一も二もなく賛成する。手を繋いで、今日の夕ご飯は何にしようか? なんて話しながら戻る途中、ルゥーが波打ち際でキラキラと輝く大きな何かを見つけて立ち止まる。
「あれー? これ、なんだろう?」
「掘ってみたらどうだい?」
 はい、と渡した熊手を握ったルゥーがその場にしゃがんだのを見て、アースが念の為と小声で水龍を呼び出す。
「――おいで。水竜」
 肩に乗るくらいのサイズの水竜は、アースの意図を汲んでルゥーをそっと見守る為に海へと飛び込んだ。
 これでよし、とパラソルの下に戻り、岩場の方を眺める。
「オズとウルスラ、何釣ってくるんだろう。負けず嫌い同士だからな……本気出しすぎてなければいいけど」
 そのアースの懸念はしっかりと当たっていて、今現在二人の釣果はかなりのものになっていた。
「ちょっと……」
「釣りすぎたか?」
 クーラーボックスに一杯の魚に、網箱一杯のイカと蛸。そう言っている間にも、ウルスラのワイヤーが何か引っかかったことを告げている。これで最後にしましょうか、と考えながらウルスラが糸を引けば――。
「……丸い宝箱?」
 貝細工の綺麗な玉を手に、ウルスラが首を傾げる?
「ねぇ、オズ。もしかして玉手箱ってこれ?」
「は?」
 何を言って、と言い掛けたオズウェルドの釣り竿がぐん、としなった。ちょっと待ってろ、とウルスラに告げてルアーを巻いて釣り上げると、そこには活きのイイ蛸が絡み付いた、碧い珊瑚で作られた手の平サイズの宝箱があった。
「宝箱、本当に釣れるとはな……」
「ねぇ、これって開けちゃだめなやつかしら?」
 そんなわけあるか、とオズウェルドが言えば、少し疑わし気にしながらもウルスラが納得する。それから二人で、釣りすぎた魚と蛸を少し海へ戻してからルゥーとアースがいる浜辺へと戻る為に岩場を後にした。
「わ、わ! すごいすごい!」
 見つけた! と叫んで、ルゥーが掘り当てたそれを大事そうに両手で持ち上げる。それは銀とピンク色の巻貝のような姿をした、宝箱だった。
「みんなにも、見てもらわなくちゃ!」
 大事そうに宝箱を抱えて、こけないように気を付けながらルゥーがパラソル目掛けて走り出す。
 同じころ、ブイヤベースも炭火焼きもいいし、この際シーフードカレーもありだなと夕飯のメニューに悩んでいたアースが、ルゥーより一足早く戻って来た水竜が口に何か咥えているのを見て声を掛けた。
「ん? なに銜えてきたの水竜」
 誇らしげにしている水竜からそれを受け取って、手の平に載せて眺める。それは螺鈿細工が施された白い箱のようで、漆器の類に見えるが海を漂っていたにしては傷一つないように思えた。
 もしかしたら、特殊な魔法が掛かっているのかもしれない。
 すごいでしょう? と尻尾を揺らす水竜の頭を撫でて、アースが微笑んだ。
「ありがとうな。あとで鍵を探してみようか」
 そうして、四人が顔を突き合わせて自分が見つけた宝箱を見せ合うまでは、あともう少しのこと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時


海!俺様は好きだぜ海!
なんかしかもお宝あるんだろ……
お宝さがし大歓迎さ!

というか俺様もこーゆう船ちょっと欲しいかもだ…

服装はいつもの魔術師服ではなく
水着姿(2019水着イラストイメージ)
海水に浸かると使った肌が宝石のように輝く不思議体質クリスタリアン

よっしゃパル!(なんか最初からいる紙兎(水にぬれても平気な凄い紙)
なら折角だしまずは思いっきり泳ぐぞ!
運動もかねてな!
バシャ―ンと潜って辺りを見渡す
なぜか海だと呼吸できるのは不思議だ
まぁ凄く便利だから良いのだが

見つけた箱はなんだか古びた
しかし明らかに豪華だった面影を感じる箱

すっげぇ……え、中身なんだろう

この世界なら…魔導書が入っててもいいよな!?



●アクアマリンブルーの海と宝箱
 砂浜から、どこまでも広がる海を眺めて、いつもの魔術師服ではなく魔術師服をモチーフに作られた水着を着た兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)がわくわくを抑えきれない表情で叫ぶ。
「海! 俺様は好きだぜ、海!」
 しかも、この無人島から見える海は透き通ったアクアマリンのような色をしていて、アクアマリンのクリスタリアンである彼からすれば親近感を覚える程。
「鉄甲船に乗ってる時は大荒れで海の色も酷かったけど、この島の周辺は穏やかでいいな!」
 ちらりと乗って来た鉄甲船を見て、その頑丈さとかっこよさに零時の少年心が刺激される。
「俺様もこーゆう船、ちょっと欲しいかもだ……」
 同じ物は無理だとしても、グリードオーシャンであれば船を手に入れる機会もあるかもしれない、と零時はまだ見ぬ己の船に思いを馳せた。
 それはすぐに、彼の家族が彼の為を想って贈ってくれた式神『紙兎のパル』が彼の頭の上にぴょんっと乗っかることで霧散したけれど。
「うわ! わかったよ、パル! 折角の海だし、まずは思いっきり泳ぐぞ!」
 勿論、彼の目的は宝探しなのだけれど、目の前に広がる海を放っておくなんて、できるはずもない。
「これは運動! 宝探しをする前の軽い前準備だ!」
 そう言うと、パルを従えて一目散に目前に広がる海へと駆け出していく。不思議なことに、零時の肌は海水が触れた部分から宝石のようにキラキラと輝いている。これも、彼がクリスタリアン故だろうか。
 あっという間に波が肩に当たる程の深さまでやってきた零時は、予備動作もなしにそのまま一気に海底に向けて潜る。バシャーン! という小気味好い音と共に、零時の目の前に広がったのは一面のアクアマリンブルーと桜色に煌く珊瑚。そして色鮮やかな熱帯魚達だ。
「綺麗だな!」
 思わず口から出た言葉は、泡と共にごぼごぼという音と混じったけれど、パルにはちゃんと聞こえていたようで、同意するように零時の傍を泳ぎ回る。
「なんでかわかんねぇけど、海だと水中でも呼吸できるんだよな」
 便利だけれど、よくわからない。宝石でできた髪が、光を弾いて白い砂地に青い煌きを放っているのを見て、まあクリスタリアンだからかな! と納得して零時は海底探索を続けることにした。
 時折水面を見上げ、海と空が重なった不思議な色を瞳に映す。
「贅沢な景色だな!」
 一面に広がる青は、零時にとってはとても気分がいいものだ。鼻歌でも歌いたい気分になりながら、桜珊瑚の根元を探したり、大きな海亀と並んで泳いだりと、海を満喫していた時だった。
「ん? あれって――」
 砂地に少しだけ出ている、角張った何か。お宝の気配を感じて、パルと共に砂を掻き分け掘り出していく。そうして見つけた箱は、なんだか古びた、装飾も剥げてしまったような宝箱だった。
 とりあえず浜辺までそれを持って帰り、まじまじと眺める。
「ここに宝石が嵌まってたっぽいな……いや、でもここの木彫りは魔力の名残があるような……」
 作られた当時はきっとかなり豪華で美しかったのだろう、トレジャーハンターが宝石だけ取り外して持っていったのかもしれないし、沈没した船から零れ落ち長い間海を彷徨っていたのかもしれない。
「めちゃくちゃ浪漫だな!」
 そして気になるのは、勿論その中身だ。
「この世界なら……魔導書が入っててもいいよな!?」
 何せ、この島はアックス&ウィザーズの世界から落ちてきたと思わしき島。
「よーし! 絶対開けてみせる!」
 可能性は充分にあると、零時は期待に胸を膨らませるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『宝箱を開けろ』

POW   :    ガンガンにブッ叩く

SPD   :    鍵穴をどうにかこうにかする

WIZ   :    開けごまー

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●光が導くその場所に
 猟兵達が手にした宝箱はオーソドックスな宝箱の形をしたものから、変わった形状の物までと多種多様であった。
 けれど、全ての宝箱において一つの共通点がある。そう、何をしても開かないのだ。
 猟兵の力を以てすれば、宝箱の一つや二つ開いてもおかしくないはずなのに――。
 そう、彼らが首を捻った時だった。それぞれが見つけた宝箱が、淡い光を放ったのだ。
 それは、桜色であったり。
 それは、青色であったり。
 それは、虹色であったり。
 それぞれ、似ていても異なる色の光は何かを求めるように、とある場所を指し示す。

 鍵の、在処を――。

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 受付期間はMSページを参照ください、散策できる場所などはマスターコメント欄を参考にしてください。
 POW/SPD/WIZは気にせず、思うままに鍵探しを楽しんでいただければと思います。
 それでは、皆様の物語をお待ちしております!
ロベルタ・ヴェルディアナ
宝箱が黄色の光を出してそれが西の方へ…。
行けってことかな?それとも連れてってくれる?
連れてってくれることを期待して箱に乗っかるじぇ!
不思議な力が働くとかでびゅびゅぅーってゴーゴー!
…。
4時間待ったけどダメだった。宝箱は非情である♪
じゃあしかたがないから光が指す方向へ行くねぃ。
罰として頭に箱を乗っけながら目指すじょ。どん!
上手くバランスを取りながら導く方向へ進んでいくよ。

む。少しでも坂があると難易度が上がるじょ。難しい。
平坦な場所は簡単だったんだけどなぁ~♪試練厳しいじぇ♪
そーいえば考えなかったけど…中身なんだろ。
重さ感じない気がするね。そもそもめがりすって何?
到着したら箱を置いて鍵を探すよ。



●宝箱といっしょ
 ワンピースの胸元を飾るリボンと同じ色をした、ターコイズブルーの水着を着たロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)が見つけた宝箱の上に座っていたときのことだった。
「あれ? もしかしてこの宝箱、光ってる?」
 ロベルタが抱えて持てそうな、太鼓のような形をした宝箱が黄色い光に包まれている。そして、その光は一直線に西の方向を示していた。
「行けってことかな?」
 宝箱は答えてはくれなかったが、変わらず黄色い光の道筋を作ったままだ。
「それとも……連れてってくれる?」
 そうであればとっても楽だし、絶対に面白い。期待を込めて、改めて宝箱の上に座り直してみる。
「こう、不思議な力が働くとかで、びゅびゅぅーってゴーゴー!」
 期待に満ちた目で、西の方角を指さしてポーズを付けてから数分、まったく動く気配がない。
「……四時間くらい待ってもダメかな、やっぱり」
 根比べをする時間で余裕で辿り着けちゃうじぇ、と気が付いてしまったロベルタは、陽が高い内に出発するかと宝箱から下りて立ち上がった。
「宝箱は宝箱、やはり非情である♪」
 過剰な期待を掛けたお詫びとばかりに、ひょいっと持ち上げた宝箱を頭に載せる。
「思ったよりバランスがいいじぇ!」
 その姿は、まるで海女さんが頭に桶を載せているかのようで、なんとも可愛らしい。
「よーし、道案内よろしくねぃ!」
 頭上から発せられる光りを目印に、ロベルタが島の西側を目指す。泳ぐのも楽しかったけれど、こうやって海を眺めながら歩くのも楽しいと、思わずスキップをしてしまいそうになる。
「いけないいけない、バランス崩して落としたら可哀想だもんね」
 それで壊れるようならとっくの昔に宝箱は開いているだろうけれど、今この宝箱はロベルタにとっては相棒のようなものだ。
「一人でだって楽しいけど、宝箱が一緒っていうだけでちょっとわくわくしちゃうじぇ♪」
 平坦な砂浜を歩いていると、少し坂になったような岩場が目の前に広がる。
「この先?」
 宝箱は喋らないけれど、光はそうだと言わんばかりに岩場の先を示している。立ち止まっていても仕方ないと、ロベルタがその先へと進んだ。
「む。少しでも坂があると難易度が上がるじょ。難しい……!」
 頭の上から宝箱が転がっていかないように手に力を込めて、確実に前へと進んでいく。段々坂が厳しくなってきて、ロベルタが光りの先を見遣る。
「平坦な場所は簡単だったんだけどなぁ~♪ 試練厳しいじぇ♪」
 これも鍵を手に入れる為の試練と思えば、頑張れなくもない。そうして頑張った先、突然開けた場所に出た。
「うわー! すごい、すごいじぇ!」
 目の前の下方に広がる海は、浜辺で見た景色とは違っていて、ロベルタか感嘆の声を上げる。きらきらの宝石箱のようにも思えて、そういえば……と頭上の宝箱をちらりと見る。
「この宝箱の中身、なんだろ? 重さもあんまり感じないし、そもそもめがりすって何?」
 メガリス、それは世界中に眠る呪いの秘宝。手にした者は生きてユーベルコードに覚醒するか、死んでコンキスタドールになるか……なのだが、ロベルタは帰ったら誰かに聞こう! と頷いて光の終着点の前に立った。
「よいしょっと」
 宝箱を頭から下ろし、光の先を覗き込む。
「これが……宝箱の鍵?」
 真鍮でできた、宝箱と同じような丸っこい鍵だ。
「本当にこれで合ってるのかな?」
 試しに、鍵の先を鍵穴にそっと合わせるようにしてみれば、確かにぴったりと嵌まりそうな形状をしている。
「よし、じゃあ浜辺に戻るじぇ!」
 ここで開けたい気持ちはあれど、浜辺で開けた方がいいだろう。確かそう言ってた気がするし!
「帰り道は仲間が増えた気分だねぃ♪」
 再び頭に宝箱を載せたロベルタは、行きはよいよい、帰りもよいよい♪ と、鼻歌交じりに鍵を手にして来た道を戻るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケイ・エルビス
アドリブ連携歓迎
SPD

鍵は宝箱と引き合うようにできてて
宝箱が指し示すまま進んでいけば見つけられるらしいな
危険な場所にあるかもしれない?
へへへ、そんなのは覚悟の上さ
そう来なくちゃな
こういうシチュエーションオレの好きな冒険映画みたいで憧れてたんだよ

選択UCで自己強化
持ち前のタフさと強い情熱で
険しい地形や危険な野生動物等を
野生の勘、怪力、見切りでくぐり抜け
強化したダッシュ、ジャンプ、クライミング、
武器の鞭やナイフを役立て気合で乗り越える
着込んでるフィルムスーツも役立つかもな

首尾よく鍵を手に入れて浜辺に戻ってきたら
お待ちかねの宝箱に鍵を差し込んで
罠がないか慎重に確認しながら開けてみるぜ



●引き合うその先
 琥珀色の宝石を太陽に透かした時のような、そんな色の光を放つ宝箱を見て、ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)が楽しそうに頷く。
「鍵は宝箱と引き合うようにできてて、宝箱が指し示すまま進んでいけば見つけられる……なんとも不思議な冒険って感じだな!」
 危険な場所にあったって構わない、冒険に危険は付き物なのだから。
 そうと決まれば、冒険へ出発する為の準備だ。
「えーっと、これとこれ、と」
 服の下に薄型のフィルムスーツを着込み、鞭やナイフを役立ちそうな物を身に付ける。最後に愛用のミリタリージャケットを着こめば完璧だ。
「準備はこれで良し、あとは……」
 パン! と力強く両手を打ち鳴らし気合を入れる。ユーベルコードの力が自身に漲るのを感じて、宝箱から放たれる光を辿る為に、真っ直ぐに歩き出した。
 琥珀色の光は、時折キラキラとその屈折を変えているようにも思えたけれど、ケイを道案内する意思があるかのように彼を鍵がある場所へと導いていく。
「……この崖を登れって?」
 頭上に向かって真っ直ぐに伸びている光を見上げ、ケイがニカッと笑みを浮かべる。
「上等上等! こういうシチュエーション、オレの好きな冒険映画みたいで憧れてたんだよ」
 寧ろ望むところだと、ナックルガードを嵌めた手で登れそうな岩を掴む。持ち前の技能に加え、ユーベルコードで強化を施したケイにとっては難しい道行ではない。ひょいひょい、と険しい難所を越えて登り切り、あっという間に崖の上に到着する。
 そのまま、更に光が示す先へと歩を進めていった。
「ジャングル……ってほどじゃないが、南国に近い感じの植物だな」
 緑の多い、道は獣道しかないような森林だが、ある程度の陽光が射しこんでいてトレッキングのような感覚で前へと進んでいく。
「琥珀の光は……こっちか」
 よし、と方向を確認して琥珀の光が示すままに進もうとした時だった、ぐるるぅ! と獣の唸り声が聞こえたのは。
「うおっ!?」
 間一髪で避けたそれは、猫科の動物のように見えた。
「虎……? いや、それにしちゃ身体が小さいな。猫……?」
 猫が一番近いとは思うのだが、猫よりは少し大きい。ぐる、と唸るそれが、再びケイに向かって飛び掛かる。
「おっと!」
 避けながら、猫のようなそれの仲間がいないか周囲を見渡す。幸いなことにそれらしい気配はなく、この一匹をなんとかすれば大丈夫そうだとケイが判断する。
「あんまり痛い目に合わせるのは可哀想だよな、猫だし」
 暫定猫と決めた獣に向かって構えると、強化した脚力で獣の背面を捉えた。
「ごめんな!」
 そう言うと、軽い手刀を獣にあて――気絶させる。
「めちゃくちゃ手加減したけど、大丈夫だよな?」
 そっとあちこち触って、怪我をさせていないことを確かめて胸を撫で下ろす。人食い虎ならまだしも、相手は猫っぽい獣だ。もしかしたら人を食う可能性もあるのかもしれないが、殺す程のものでもないだろうとケイが判断する。そっとその身体を樹の根元に横たえると、再び琥珀の光を追いかけた。
「ここか?」
 光は巨大な樹に当たって、そこから先には伸びていない。
「それじゃあ、木登りだ!」
 樹の太い枝から垂れている蔓をロープ代わりに、光が消えている辺りを重点的に探してみると小鳥が巣にしそうなサイズの、小さな洞があるのが見えた。
 中に生物がいないことを確認して、そっと手を突っ込んでみる。そうして指先に当たったのは、琥珀が付いた木製の鍵であった。
「よっしゃ、鍵もゲットだ!」
 急いで浜辺に戻って、宝箱に何が入っているのか確かめてやるぜ! 期待に胸を膨らませ、ケイはしっかりと鍵を握り締めて浜辺へと戻るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「軽い宝箱で良かったです。これなら抱えて歩けます」

両手で軽い木箱の宝箱を抱え光が示す方へてくてく歩く
あまりにも距離が遠そうだったり海の中を示したりしていたらUC「精霊覚醒・桜」使用
海中だろうと高速飛行して目的地を目指す

「島内を何ヵ所か回った能力で、宝箱を開けてもいいと判断されたら素敵です。海以外にも此の島の素敵な場所を見て回りたいです。滝の裏に祠があって、鍵が安置されていた、なんて浪漫チックです…」
乙女の妄想?に浸りながらワクワク鍵探し

鍵を探し当てたら喜び勇んでUC使用し砂浜へ
「早く開けて中身を確認したいです。メガリスでも違っても…楽しみです」
宝の地図や珊瑚の装飾でも良いな、と思ったのは秘密



●桜色の光りを追いかけて
 よいしょ、と宝箱を抱えて御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)が桜色の光を追い掛ける。
「軽い宝箱で良かったです。これなら抱えて歩けます」
 とりあえず、歩けるところまで歩いてみようと、ビーチサンダルを履いて砂浜を歩く。指先で宝箱の表面をなぞると、彫刻されている部分が指の腹に当たってちょっと楽しくて、自然と笑みが浮かんでしまう。
 自分だけの宝箱というのは思っていたよりもわくわくするものです、と桜色の光を追い掛ける。
「私だけの鍵もあるってことです……それって、とっても素敵です」
 どんな鍵なのだろうか。アクセサリーにできそうな鍵なら、首飾りにするのも素敵かも? そんなことを考えながら歩いていると、桜色の光はどうやら今いる場所の反対側に桜花を導こうとしていることに気付く。
「ううん、これは少し歩いて行くのは大変です……」
 宝箱を見て、光が示す方向を見る。それから、海で溺れかけた時に使った力を発動させた。
「我は精霊、桜花精。呼び覚まされし力もて、我らが敵を……あ、敵じゃないです、ええと、我が求む鍵の為に力を成せ!」
 轟、と桜花の足元から桜の花びらが渦巻いてその姿を覆い尽くす。とん、と爪先を蹴れば、どこかのおとぎ話のように桜花の身体が桜吹雪を纏ったまま空へと浮いた。
「ええと……宝箱の光は……あ、あっちです」
 桜色の光を追い掛け、桜花が空をいく。
「やはり、鍵を見つけるには宝箱に認めてもらうだけの力を示すとか、島内を何ヵ所か回った能力によって開錠する資格を得る、なんて鍵に判断されたりしたら素敵です」
 ちょっとだけ、特別な誰かになれたりしたら。それはとっても素敵なことだと桜花は微笑む。
 そんな乙女な妄想に浸りながら桜色の光を追いかけていると、ついに光が示す終着地点に辿り着いた。
「滝の中……?」
 少し躊躇ったあと、思い切って流れ落ちる水が作るカーテンへと飛び込んだ。
「わぷ、わ、わあ……!」
 水のカーテンのその先、滝の裏側に広がる岩棚のような場所に小さな祠のようなものを見つけて、桜花が声を上げた。
 この島がグリードオーシャンに落ちて来る前にあったものだろうか。
「もしかして、この中に鍵があるのでしょうか?」
 そうだとしたら、なんて浪漫チックだろうと桜花が期待に胸を膨らませてそっと小さな扉を開いた。
 果たして、そこにあったのは――。
「桜色の、鍵です」
 手の平に載せて指先で触れてみれば、石のような硬さと冷たさで桜花が首を傾げて鍵を眺める。
「もしかして……ローズクォーツか何かでできているのでしょうか」
 早く宝箱を開けてみたい気持ちを抑え、桜花が再び桜吹雪を纏って浜辺へ戻る為に空を駆けた。
「早く開けて中身を確認したいです。メガリスでも違っても……楽しみです」
 だって、中身がなんであろうとも自分が見つけた宝箱とその鍵なのだ。
 だったら、その中身もきっと――。
「素敵なものに、違いないです」
 浜辺までは、あともう少し。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルデルク・イドルド
ディルク(f27280)と

アクシデント・宝の中身お任せ

宝箱を見つけたはいいが鍵が開かねぇな。
鍵開けも試してはいるしとりあえず見た感じ罠もなさそうなんだが。
と、宝箱から光が…綺麗な金色だな。
ん?俺の色?いやいやお前の髪の色だって同じだろう。俺は好きだぜこの色。

「髪は琥珀で瞳はルビー。俺の大事な宝物ってな」
って言っても気づかねぇか。
ハハッ、今度じっくり鏡を見てきなそうすりゃ答えがわかるかもしれねぇぜ?

さてさて、お宝探しの続きだ。
中にはどんなお宝が入ってるか楽しみだ。
ん、ディルクが前を歩いてくれるのか?
そうだな、俺の用心棒だもんな。
心強いぜディル。


ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と

アクシデント、宝物お任せ

あれ?なんで宝箱開かないんだ?
ぶっ壊そうとしても全然壊れねぇし…
でもなんかアルの瞳の色と同じ色に光ってるな
これはこれで綺麗だからいいけどなっ♪

アルの宝物…?
(知ってるやつにそんな見た目のやつ居たっけ…オレが知らないヤツか?)
えー、なんで鏡見たら分かるんだよっ

(若干拗ねながら)
まぁいいや、鍵があるみたいだし探してみようぜっ
アインと一緒に野生の勘で周りを探して鍵がありそうな場所を探す!
宝なら洞窟が定番だしそこにあるかもなっ

オレが灯り持って前歩くぜ
んー、暗いからアル足元気をつけてな!
あ!あそこなんか明るくなっててなんか光ったぞっ



●宝物と宝物
 目の前に宝箱があるならば、海賊としてやることは一つだ。
 そう、宝箱の開錠である。この鍵開けを専門とする鍵開師もいるほど、海賊達にとっては当たり前の行為なのだが。
「鍵が開かねぇな……」
 鍵開けにはそれなりに精通しているはずなんだが、とアルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)が思わず零す。
「ぶっ壊すか?」
 待て、とアルデルクが制止する前に、ディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)がその怪力を以てして宝箱を壊そうと試みた。
「……全然壊れねぇ」
「壊すな、中のお宝も壊れたら困るだろう。しかし見た感じそんなに頑丈でもなさそうだし、罠があるようにも見えないんだが」
 開かない宝箱など、宝の持ち腐れにしかならんな……とアルデルクがどうしたものか、と考えた時だった。
 宝箱自体が発光するように光り、鍵穴の位置から真っ直ぐに、何かを示すように光の線が伸びているのだ。
「こりゃまた……綺麗な金色の光だな」
「なんか、アルの瞳の色と同じ色みたいだ」
 綺麗だな、と無邪気に笑ったディルクに向かい、違うものを思い浮かべていたアルデルクが小さく笑う。
「俺の色? いやいやお前の髪の色だって同じだろう」
「ええ、そうか? 絶対にアルの瞳の色だぞ」
 自分の髪はこんなに綺麗な光の色じゃない、と唇を尖らせたディルクに、アルデルクが歌うように答えた。
「髪は琥珀で瞳はルビー。俺の大事な宝物ってな」
「アルの宝物……?」
 そんな特徴をもったヤツ、知り合いにいただろうか。もしかしたら、自分の知らない所でアルデルクが知り合ったヤツか? 悶々とした気持ちでアルデルクに視線を向けると、いつもの笑みを浮かべているのが見えた。
 遠回しに言ってもわからないか、とアルデルクが内心で考えつつ、正解を告げる。
「ハハッ、そんな顔してねぇで、今度じっくり鏡を見てきな。そうすりゃ、答えがわかるかもしれねぇぜ?」
 それは明確な答えのはずだが、ディルクは気が付かない。
「えー、なんで鏡見たら分かるんだよっ」
 何言ってるんだ、と若干拗ねつつもディルクが光を追いかけようぜと提案する。
「そうだな、どうやらこの光の先に鍵があるみたいだしな」
 いつか鏡を見て答えに気付いた時に、どんな顔をして自分を見るのか楽しみだなと考えながらアルデルクが腰を上げる。
「出発だっ!」
 宝箱を小脇に抱え、ディルクがアルデルクの横を歩く。光の道筋は砂浜を真っ直ぐに貫いていて、なんだか散歩でもしているような気分だ。
「なんていうか、長閑な無人島って感じだなっ」
「島の中央の方は遺跡っぽいものや、規模は小さいがジャングルみたいになっている所もありそうだが……浜辺は至って平和だな」
 だからこそ、二人でゆっくり過ごす為にここに来たのだが。おまけは宝探しの方だとは、口が裂けても言えないなとアルデルクが潮風を受けて笑った。
 暫く歩いていると、砂浜から岩場へと景色が変わっていく。足元に気を付けながら、注意深く光りを追っていると大の大人が二人並んで入れるかどうか、というくらいの少し小さめの洞窟のようなものが見つかった。
「ここか?」
「光はこの中に続いてるな、宝なら洞窟が定番だし、この奥にあるかもなっ」
 ワクワクしているのだろう、ディルクのルビーのような赤い瞳がキラキラと輝いている。
「オレが灯り持って先に行くぜ」
 用心棒だからな! と宣言して、火を灯したランプを片手に洞窟の中へと入った。
「そうだな、俺の用心棒だもんな。お前が居てくれて心強いぜ、ディル」
 アルデルクはといえば、ディルクの好きにさせてやろうとその一歩後ろを行く。平和そうに見える無人島であっても、何が起こるかわからない洞窟の中だ、警戒は怠らない。
 もちろん、ディルクもそこは警戒しているがアルデルクの言葉に照れて、赤くなった頬を片手で押さえつつ、先頭を歩くと言って良かったと思いながら先へと進んだ。
「んー、ちょっと暗いから足元気をつけてな!」
「ああ、わかった」
 洞窟の中は、入り口こそ狭かったが中はそこそこ広く、小さな蟹が洞窟の隅っこにいたりと至って普通の洞窟のように見えた。
 少し違うところは、どことなく洞窟の奥の方が発光しているように見えるところだろうか。
「いかにも何かありそうって感じだな!」
「光る洞窟か」
 微生物や、虫によって光る洞窟はあるけれど、それとはまた少し違ったような感じだとアルデルクは思う。
「宝箱の光もあの奥に続いてるし、きっとあの奥だぜっ」
「気を付けてな」
 宝物の手前には罠がある、海賊であればそう考えるのは当然だ。慎重に歩を進め、特に光りを集めている場所の手前で立ち止まった。
「どうした?」
「んー、なんかちょっと、嫌な感じがする!」
 ディルクの野生の勘というものだろう、今までもそれに助けられることがあったアルデルクは、それを軽んじることなく地面に落ちていた石を拾って光りが集まっている場所に向かって投げた。
 瞬間、石を狙ったかのように洞窟の壁から槍のようなものが放たれる。
「あっぶねぇ!」
「無人島になる前に作られた仕掛けか? でも殺傷力は低いみたいだな」
 人体を突き刺すような形ではなく、先が丸くなっているそれを拾って、アルデルクが検分する。ディルクは他にそういった罠がないか確認する為に、何度か石を投げた。
「本当だ、全部先が潰れてる」
 どういった意図なのかはわからないが、仕掛けを作った者は平和主義者なのか洞窟に来た者を揶揄いたかったのか。それも作った者がいないのであればわかるはずもない。けれど、その先に鍵があるのは確かだと、粗方の罠を解除した二人は光りが集まっている場所へと足を踏み入れた。
「すっげー!」
「これは……中々だな」
 天然で出来上がった台のようになった上に、赤い宝石が嵌まった鍵が二人を待っていたかのように置かれている。宝箱と同様に、宝石だけでも価値があるのが見て取れるようだ。
 ディルクがそれを手に取り、アルデルクへと渡す。受け取ったそれをまじまじと見て、アルデルクがディルクを見た。
「なんだよ、どうかしたか?」
「いいや、なるほど宝箱と揃いの鍵だなと思っただけだ」
 それ以上は言わず、きょとんとした顔のディルクを促して洞窟を出る。
「中に何が入ってるんだろうなっ」
「さぁな。楽しみにして浜辺まで戻るとするか」
 宝箱の鍵を開けるまではあと少し。中に何が入っているのか――二人の楽しみはまだまだ尽きないようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

鍵探しの前にいったん着替える。
鍵が海辺にあるならまだいいけど、そうとも限らないみたいだし(島中央部へ延びる光を見て)
…まさか島の反対側とか言わないよな?

(小さくなった伽羅を首に、陸奥を頭の上に乗っけて)四分の一ほど海沿いに歩いて確認してみるか。
それでも中央部に光が向いてればそういう事だろし。
歩きながら考える。からくり箱っぽいから直接の鍵、というよりは持つことで絡繰りが動くようになるのかもしれない。それはそれでとても面白そうだ。
この箱持ち帰れたら先の戦争で得た宝を入れてもいいなぁ。

光の色・鍵の形、隠された場所はお任せ。
多少の崖ぐらいなら伽羅への騎乗やUCで何とかするのでわくどき優先。



●わくわくとどきどきに、少しの冒険を添えて
 鍵を探す前に一度着替えるか、と水着姿からいつもの服装へと戻った黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)が宝箱から伸びる銀色の光を見る。
「……まさか島の反対側とか言わないよな?」
 島の中央部へと伸びている光を見て、思わずそう呟く。ううん、どうしようかと悩んでいると、小さくなった水神の竜でもある伽羅がするりと瑞樹の首へと巻き付いた。
「ふふ、くすぐったいけどそこが一番安全だな」
 すると、足元にいた陸奥が自分はどうすればいいのかと問うように瑞樹に向かって、がうと可愛らしい声で鳴く。
「陸奥は……ここでどうだ?」
 ひょいっと抱き上げると、そのまま頭の上に乗せた。
 がう、がう、と楽し気に鳴く陸奥の背を撫で、もう一度光が指し示す方向を見て考える。
「真っ直ぐに向かうのもいいけど、四分の一ほど海沿いに歩いて確認してみるか」
 それだけ歩いても、光が島の中央部に向いているならばそういうことなのだろう。
「うん、よし。それじゃあ行こうか」
 伽羅と陸奥にそう声を掛けて、瑞樹が浜辺を歩く。歩きながら考えるのは、見つけた宝箱のことだ。
「この箱には鍵穴のようなものは見当たらないし……そうなると、持つことで絡繰りが動くようになる可能性もあるな」
 でも、そうだとしたら見つけたその場で宝箱が開いてしまわないか? と考えて、うーんと唸る。そんな主を心配するように、伽羅と陸奥が尾と尻尾で軽く瑞樹を叩く。
「ああ、ごめんごめん。大丈夫、このからくり箱……宝箱について考えていただけだよ」
 片手で持ったその宝箱を首元の高さにまで持ち上げると、陸奥が前足でちょいちょいと猫パンチならぬ小虎パンチを繰り出そうとして、慌てて嗜める。
「ダメだぞ、傷が付くかもしれないだろ……ん? そういえば海の中にあったって言うのに傷がないな」
 どこから流れてきたのかはわからないけれど、海の中にあったのなら多少の傷が付いていたっておかしくないはずだ。
「よっぽど頑丈なのか、何かしら魔法なり不思議な力なり働いているってこと……かな?」
 それならそれで、中に入っているのがメガリスであろうとなかろうと、宝物を入れる箱としてはかなり価値がある。それに、この宝箱に施された螺鈿細工は、瑞樹も気に入っているのだ。
「うん、持って帰ったら先の戦争で手に入れた宝を入れてもいいなぁ」
 そうして、丁度四分の一程の距離を歩いたところで、やっぱり宝箱から放たれる銀色の光は島の中央を示していると結論付けた。
「よし、それなら光の導きのままに、だな」
 島の中央に向かい、マラソンでもするかの速度で走り出す。頭上の陸奥と首元の伽羅が、走る瑞樹へエールを送るように楽しそうな鳴声を上げた。
 空翔を使い、ひょいひょいと障害物を乗り越え、瑞樹が銀色の光の先を目指す。そのゴールは思ったよりも早く訪れ、瑞樹は小さな遺跡のような場所の前で立ち止まった。
 そこは意図的に並んだ大きな石が円形にならんでいて、自然にできたとは考えにくいような場所だった。
「ストーンサークル……? ここに鍵があるのか」
 ストーンサークルの中に入り、その中央に小さな祭壇のようなものを見つけて瑞樹が宝箱を手に近付く。そこには、同じ螺鈿細工が施された、ピンポン玉くらいの大きさの丸い珠が置かれていた。
「鍵……? には見えないけど、光はここで途切れているから……これなんだろうな」
 手の平に載せたそれを眺めつつ、宝箱が開きはしないかと心配しつつ両方を眺める。
「近付けたら開くのか? いや、試すのは浜辺に戻ってからにしよう」
 うっかり開いてしまって、中身がメガリスだったら困る。
「戻ろうか、陸奥、伽羅」
 その呼び掛けに応えるように、二匹が可愛らしい声で鳴いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エスタシュ・ロックドア
【白岩】◎
いやでけぇな宝箱
こいつぁ期待できそうだ

宝箱は浜に置いて、その示す先を目指す
ヴィゼアに先行してもらうわ
枝とか蔓とか邪魔でかなわねぇ
道拓いてもらって悪ぃな
森を抜けて洞窟に着いたらヴィゼアに続いて入る
ここはここで天井が低い
額をぶつけつつ進む
角折れてねぇな?
OK
しかしこの洞窟だけで結構なお宝……ヴィゼア、なんだって?
そうかぁ
これ最奥狭すぎてヴィゼアしか入れねぇんじゃね?
頼む

鍵ゲットしたら拓いた道を戻って行くぜ
さてお宝拝見
分かりやすいデッケェ宝石
が、なんかの装置にくっついてるな
A&W由来の島の船から出たお宝っつーことは、
船の推進力とその動力源かぁね
【世界知識】と【メカニック】で推察するぜ



●蒼穹の先に求めるもの
 引き上げた沈没船から見つけた宝箱の大きさに、エスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)とヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)の弾む声が響く。
「いや、マジででけぇな宝箱」
 自分の身長を超す大きさの宝箱に、エスタシュが中身にも期待できそうだと笑みを浮かべる。
「予想以上の大漁だ、これだけの大きさとなると……巨人の作った宝箱という可能性もあるな」
 グリードオーシャンには巨人という種族がいるのだ、そうであったとしてもおかしな話ではない。
「巨人の宝箱か、ますます中身が楽しみになって……ん?」
 ヴィゼアの推理に、エスタシュが思わず宝箱を撫でた。
 すると、宝箱が淡く明滅し、蒼穹色の光がどこかを示すようにぐんぐんと伸びていく。
「これはあれか、鍵の在処を示す光というやつか!」
 ヴィゼアがやや食い気味に光に手を触れて、魔力めいたものを感じると呟いた。
「へぇ、それじゃこの光を辿れば鍵とご対面できるってわけだな? そりゃあ」
 行くしかないな! 二人の声が重なって、思わずお互いの顔を見合わせて笑う。そこからは話も早く、宝箱は持っていく訳にもいかないから浜辺に置いて光を辿って行こうと二人で決める。
「さて、私はちまちま歩いて行くわけにはいかないからな」
 風の精霊フロゥラの力を借り、ヴィゼアが空中にふよふよと浮遊した。
「いいな、それ。楽そうで」
 そうだろう? と笑ったヴィゼアの横に並び立ち、エスタシュが蒼穹の光が示す方向に向かって指をびしっと突き付ける。
「いざ! お宝の鍵を求めて!」
「出発だ!」
 青空の下、二人の鍵探しが始まった。
 障害物もなんのその、とばかりに真っ直ぐに光が示すままに二人が行く。途中の岩場をひょいっと乗り越えてみれば、目の前に広がったのはジャングルのような深い森。
「こりゃまた、随分と生い茂ってんな」
 躊躇うことなくずかずかと進むが、複雑に絡み合う蔦や枝が邪魔で仕方ない。手で払うのにも限度があると、エスタシュがいっそ剣で切り払うかと考えた時だった。
「少し待ってくれ」
 何かいい案があるのかと、エスタシュが素直にヴィゼアに従う。
「おいで、力を貸してくれ」
 星脈精霊術を用い、ヴィゼアがそれに応用だと術式を重ねていく。緻密に編まれたそれらを駆使し、目の前に広がる樹々にヴィゼアが道を開けるように指揮をする。
「おお……」
 エスタシュが感嘆の声を上げる。行く手を阻んでいた樹々が、ヴィゼアが指揮するままに道を開けたのだ。
「あれだな、茨に閉じ込められた城に来た王子みたいだな」
「そんなおとぎ話もあったな」
 茨を開くが如く、エスタシュが通れる程に開いた道をヴィゼアが先行して進む。
「めちゃくちゃ楽だわ、道拓いてもらって悪ぃな」
「困ったときはお互い様と言うだろう?」
 ふよふよと上下するヴィゼアの尻尾を見ながら、エスタシュがそうかと笑った。
 森を抜けると、蒼穹の光が岩壁に当たって左に逸れた。その光を追い掛け壁沿いに進むと、今度はエスタシュには少し小さい洞窟に向かって光が伸びる。
「この中か?」
「そうだろうな、引き続き私が先行しよう」
 頼む、と言ったエスタシュに、任されたとヴィゼアが洞窟の中を進む。中は薄ぼんやりと光っていて、何かを感じるとヴィゼアが心持ち早足の速度で前へと飛ぶ。
「やべぇ、天井が低くなってきた」
 中腰になってエスタシュがヴィゼアを追い掛け、時折イテェ! と声が上がる。
「エスタ、大丈夫か?」
「いや無事じゃないかもしれん、角折れてねぇよな?」
「安心してくれ、折れていない」
 エスタシュの額をぺん、と叩いてヴィゼアが再び前を向く。そしてもう少し行くと、光っているものが鉱石だと判明した。
「へえ、この洞窟だけで結構なお宝じゃないか」
「これは……魔力を含んだ鉱石だな……なんと美味そうな」
 じゅるり、と舌なめずりが聞こえて、エスタシュが聞き間違えかと問い返す。
「ヴィゼア、なんだって? 美味そうとか聞こえたんだけど」
「ああ、私は魔鉱石を主食としていてな……少なからず含まれる魔力がそれは美味で」
 要は、目の前にご馳走が大量に置かれているようなものなのだなとエスタシュが理解する。
「そうかぁ」
 そうかぁ、ともう一度呟いて、浮かれ気味なヴィゼアに洞窟の奥を指さして言う。
「これ、最奥は狭すぎてヴィゼアしか入れねぇんじゃね?」
「ん? ああ、そうだな」
 どの魔鉱石から頂こうかと考えていたヴィゼアが、それが目的ではなかったと考え直し奥を見る。確かにヴィゼアなら余裕で進めるが、エスタシュには難しいくらいには狭まっている。無理をすれば嵌まって抜けなくなる可能性もあるな、とヴィゼアがエスタシュを見た。
「何か失礼なこと考えてねぇか?」
「いや、何も。それでは私が行くとしよう」
 了解した、とばかりにヴィゼアが奥へ進む。奥へ進めば進むほど、魔鉱石の魔力含有量が増えているようで、絶対に欠片を持ち帰ろうと心に決める。
「うん?」
 洞窟の行き止まりに、高魔力反応を感知して、ヴィゼアが目を向けた。
「これは……魔晶じゃないか!」
 思わず手に取ると、それが鍵の形をしていることに気付く。
「なるほど、鉱石も鍵になるとは……」
 それにしても、美味しそうな……という考えを首を振って断ち切り、エスタシュの元へ戻った。
「へえ、これが鍵か。綺麗なもんだな」
「エスタ、私には綺麗な上に美味しそうに見える」
 ふよふよ、と浮きながら魔鉱石の欠片をポケットに詰め込みながらヴィゼアが言う。
「食べるなよ?」
「それくらいは弁えているよ」
 ヴィゼアの魔鉱石拾いを手伝いながら来た道を戻り、洞窟を出る。エスタシュが両手を上にあげて全身を伸ばすと、名残惜しそうに洞窟を見ているヴィゼアに向かって、戻るぞ! と笑った。
 来た道を意気揚々と戻り、二人の目の前に見えるのは自分達が見つけた巨大な宝箱。開けるまでは、もうすぐのこと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズウェルド・ソルクラヴィス
【庭4◎】
皆揃って洞窟か…
こっちは暗視が効くが…おぃ、転ぶなよ?
光を辿るのに夢中でコケそうになってる桜の首根っこを引っ張り
ウルとアースの光源を頼りに進む
辿り付いた先は…どうやってできたんだろうな?
天からの光に手を出し自然の神秘に感嘆を―

にしても…この泉…
…なんで鍵ばっかなんだ

あんまりはしゃぐな…本物がどっかいっちまうとルゥーに釘差し
こちらも下ばかり見てアースにぶつかり
ようやく見つけた先は…

わりぃ…足、どけてくれ

ウルの下
在るは小さな金色の鍵

そうだな、宝を共に開ける楽しみってのは中々味わえねぇよな…
ルゥーの声掛けに合わせて鍵を回せば
中には、海の碧さを思わせる珊瑚の型をしたクリスタルが鎮座している


ルゥー・ブランシュ
【庭4◎】
まっくら洞窟さん!
みんな一緒なら、るぅー怖くないもん!
でも、洞窟の中って光ると綺麗なんだね…
カンテラやラムプに照らされる鍾乳石を楽しみながら
時々、首根っこ掴まれて軌道修正されつつ鍵場所へ

わー!鍵さんいっぱい!
天井に空いた穴から差し込む光も
照らされる泉も綺麗で大はしゃぎ!

どこかな~これかな~?

夢中になって手を突っ込んだり、潜ったりと水浸しになり

見つけたー!

勇者の剣如く高らかに掲げるは、光輝くクリスタルの鍵…!

ねぇねぇ、皆で一緒に開けよう!
四人で浜辺で宝箱を並べて、わくわくしながら鍵を手に

いくよー!
せのー!

開いた貝殻の中には
耳に近づける事なくいつでも聞こえてくる
『海の音』が入っている


アース・ゼノビア
【庭4◎】
宝箱発見者の水竜を肩に
水色の光を追って着いたのは洞穴の前
解散したのに全員一緒に来ちゃったね
みんなこの中にあるのか

カンテラを手に情報収集しながら先導を
程なく青天井が開け、白砂にぽっかり丸く眩い泉

銀貨にしては色が多いな…成程、木を隠すには森
あの光ってるの全部、鍵か?

泉の底を手で混ぜ探すも
オズに場所を譲って浮かび――溜息ひとつ

ごめん水竜、手伝ってくれるかい
潜水して目を凝らし
なんとか手にしたのは水晶の鍵
上手く隠したなぁ…水中じゃ透明だね

宝箱開けるの初めてかも?
いつもウルスラにあげちゃうからな

ルゥ―の掛け声で鍵を挿せば箱は溶けるように開き
中には箱と同じ白螺鈿の懐中時計

何処の時間だろう。動いてる


ウルスラ・クライスト
【庭4◎】
虹の光を追ったけど
ふぅん…?近くで見つけたとはいえ
鍵がぜんぶ洞穴の中、ねぇ…
ラムプを手に最後尾を歩くわ
念の為、閉じ込められないようにね?

あら。ルゥちゃん待って
泉に罠がないか確認するわ――うん、大丈夫そうね
留めた可愛い肩を離し、いってらっしゃい

泉の底の鍵の森、なかなか深そうねぇ
気長に探すとしましょうか

水中呼吸の魔法を唱え
毬玉の宝箱に掌を翳して薄闇を覗き
あなたの鍵はどこかしら

頭上に影が…雨雲かと見上げれば、オズじゃない
なぁに、足元?…ふふ。待ってて

光の在処を突き止めてからゆるり足を退かし
手に入れたのは白珊瑚の鍵

そうね、アースにはいつも貰ってばかりね
この白蝶貝の腕輪はあなたにあげましょうか



●虹の光と鍵の泉
 四人が顔を突き合わせ、それぞれが見つけた宝箱を見せ合う。
「ね! ね! すごいでしょ~!」
 銀とピンク色の巻貝のような、不思議な姿をした宝箱を見せてはしゃぐルゥー・ブランシュ(白寵櫻・f26800)の頭を撫でて、ウルスラ・クライスト(バタフライエフェクト・f03499)が貝細工の綺麗な玉をもう片方の手に載せて皆に見せる。
「玉手箱っていうのかしら……? 開けても大丈夫だと思う?」
「ウルスラ、丸いから玉手箱というわけではないよ?」
 そうなの? と問い返すウルスラに、アース・ゼノビア(蒼翼の楯・f14634)が大丈夫だよと頷いた。
「だから言っただろ、そんなわけあるかって」
 碧い珊瑚で作られた宝箱を手の平に載せたオズウェルド・ソルクラヴィス(明宵の槍・f26755)が、まだ心配そうにしているウルスラに言うと、この間玉手箱が出てくる童話を読んだばっかりだからね、とアースが笑った。
「さて、それぞれ宝箱を見つけてきたわけだけれど」
 アースも螺鈿細工が施された白い箱を手にして、三人を見て言う。
「箱、開いたかい?」
 そういえば、とお互い顔を見合わせて、開かなかったと口々に言い合う。
「ってことは……鍵が必要ってことか」
「そうねぇ、宝箱って言うからには鍵が必要よね」
「わぁ、それじゃあ次は鍵探しだね!」
 それってとっても楽しそう! とルゥーが巻貝の宝箱を持ち上げた時だった。
「……宝箱が光ってねぇか?」
 オズウェルドがそう言うと、ルゥーの物だけではなく四人全員の宝箱がそれぞれ違った、不思議な光りを放ち出す。そしてその四つの光りは一筋に絡みあい、どこかへ導くかのように光の筋を伸ばしていく。
「四つの光が合わさった虹色の光……もしかして、これがそうなのかしら?」
「鍵への道案内、といったところだね」
 ウルスラの問い掛けに、アースが答えた。
「全員一緒の方角みたいだな」
「やったー! じゃあ、皆で鍵探しだー!」
 嬉しい! と全身で表現するように、ルゥーがぴょんぴょんと跳ねる。
「よし、それじゃあ……皆で虹の光を追い掛けるとしようか」
 アースが宝箱を手に柔らかく微笑むと、四人で虹色の光の先を目指して歩き出す。途中で光の筋が別れることもなく、四人は浜辺を進む。途中でアースが肩に乗せた水竜の揺れる尻尾をルゥーが目で追い掛けたり、見つけた綺麗な貝を手に取る為に立ち止まったりしたが、至って平和な昼下がりの散策だ。
「あら、光がこっちに向かってるわね」
 真っ直ぐだった光が、岩壁に当たって右へと向いている。
「じゃあ、こっちだね!」
 一番乗り! と岩場に飛び乗ったルゥーが、光の先に洞窟を見つけて指さした。
「ね、ね! あそこ、洞窟があるー!」
「……あの中か?」
 確かに光の筋は洞窟に向かっているように見える。もう少し近付いてみようと、アースが先導するように前に出た。
「ルゥーも!」
「ふふ、わかったよ」
 アースがルゥーの手を転ばないようにと繋ぎ、洞窟まで歩く。足場が少し不安定で、ルゥーがおっかなびっくりで歩く後ろをオズウェルド、ウルスラと続く。洞窟の前に立つと、その入り口はそこそこ大きく、アースが天井に向かって手を伸ばしてもまだ余裕があるように思えた。
「まっくら洞窟さん!」
「持ってきたカンテラを点けるよ」
 縦型のそれに火を入れ、灯りを点けると洞窟の入り口がぽわりと照らされる。
「明るくなったー! これならまっくらでも怖くないね」
 まっくらでも皆がいたら怖くないよ、とルゥーが笑って、アースを先頭にして洞窟へ足を踏み入れた。
 中は暗かったが、カンテラの灯りを白い鍾乳石が反射するのか、思ったよりも前へ進むのは苦にならない。暗視の効くオズウェルドが、時折すぐ前を歩くルゥーの足取りの危なっかしさに気を揉んでいたけれど。
「わー! これ、キラキラ光ってるみたいだよー!」
 綺麗、と横に足を逸らしたルゥーの首根っこを、とうとうオズウェルドが掴んだ。
「おぃ、危ねぇだろ? 転んだら痛いぞ」
「う、気を付ける……!」
 そのあと三回くらいこのやり取りをして、ウルスラが堪えきれなくなった笑いを二人の後ろから零す。じろりと睨んだオズウェルドに、にっこりと微笑んで前を指さす。
「あそこ、やけに明るいみたいだけど……終着地点かしら?」
 洞窟を抜けると、そこには青空が円形に広がっていた。
「これは……綺麗な泉……かな?」
 白砂にぽっかりと現れた丸いプールのような水場に、アースが首を傾げる。
「海水じゃねぇのか?」
「その可能性もあるわねぇ」
 しかし、こんな場所どうやってできたんだと、オズウェルドが青天井を仰ぐ。この円形になった場所だけに降り注ぐ光はいっそ神々しいほどで、思わず手を光りに翳して感嘆の吐息を零す。
「海水か、真水か、舐めてみたらわかると思うんだよー!」
 立ち止まった三人を置いて、ルゥーが泉に向かおうとしたのをそっとウルスラが華奢な肩に手を置いて止める。
「あら、ルゥちゃん待って。泉に罠がないか確認するわ」
 赤い瞳を細め、ウルスラが魔方陣をゆるりと描く。象形化したそれは、彼女が望むままに泉を覆うように拡がり――。
「うん、大丈夫そうね」
 いってらっしゃい、と微笑んで肩に置いた手を離す。
「ありがとう!」
 泉へと駆け出したルゥーを追うように、三人がその後ろを歩く。泉の前に座り込んだルゥーは、まずは匂いと泉の水を掬って鼻に近付ける。
「海水の匂い、しないよー!」
「待て、舐めるな」
 オズウェルドがルゥーを制止すると、アースがそっと彼女の隣へ座った。
「俺が試すよ」
 幸いと言ってはなんだが、毒への耐性もあるしね、とアースが笑って泉の水に口を付ける。
「うん、大丈夫だね」
 舌の痺れもないし変な味もしない、いたって普通の水の味だ。
「ねぇ、箱の光……この泉の中を示してないかしら」
 ほら、とウルスラが手にした宝箱を泉に向けると、確かに光は泉の――水の奥を示していた。
「……よく見ると底の方、鍵が沢山落ちてねぇか?」
 最初は石か何かかと思っていたオズウェルドが、眉間に皺を寄せて泉の中に顔を突っ込んで確認する。
「……なんで鍵ばっかなんだ」
 鍵しかないと、オズウェルドが首を振って言う。
「ええと……それは結構大変じゃないかい?」
 泉の底に光るそれらを、銀貨か何かではと思っていたアースが軽く首を傾げて言う。なるほど、木を隠すには森、鍵を隠すには鍵かと思いながら。
「泉の底の、鍵の森。なかなか深そうねぇ」
 気長に探すとしましょうか、とウルスラが水中呼吸の魔法を唱えた。その効力はすぐに四人を満たし、どうぞ? とウルスラが微笑を湛えて促すと、ルゥーがやったー! と飛び跳ねて泉の中へ飛び込んだ。
「オレ達もいくぞ」
 続いてオズウェルドが飛び込み、アース、ウルスラと泉の中へと飛び込んでいく。泉の中はそれなりに広く、深さはルゥーの身長程。透明度のある水で満たされていて、鍵を探すには悪くない環境だった。
 問題は、その鍵が沢山あるという一点なのだけれど。
「どこかな~これかな~?」
 ルゥーが夢中になって手を突っ込み、時に底に届くように潜ったりと懸命に鍵を探す。
「こら、あんまりはしゃぐな……本物がどっかいっちまう」
「あっごめんね! でも、どの鍵も綺麗で……あっ!」
 どうした、とオズウェルドが聞く暇もなく、ルゥーが泉の底へ姿を消す。そしてすぐに水面に顔を出すと、勇者の剣を掲げるが如く光輝くクリスタルの鍵を手に持ち、満面の笑みを浮かべて、オズウェルドに向かって言った。
「見つけたー! るぅーが一番だー!」
「本当にそれで合っているのかい?」
 アースの問い掛けにも、自信満々でルゥーが答える。
「絶対にこれだよ~! なんかね、これだってわかるんだよー!」
 感覚的に解るのか、と三人が頷いてルゥーが泉から上がった分広くなった泉で鍵探しを続ける。
「っと」
「わりぃ」
 お互い下を見て探しているのだ、ぶつかるのも仕方がない。お互い様だよ、と笑ったアースが場所を譲って、水面に顔を出す。
「ごめん水竜、手伝ってくれるかい?」
 呼ばれた水竜は任せて、とばかりにキュイと鳴き、アースと共に泉に潜った。
 あれでもない、これでもない、と潜水して目を凝らす。すると、泉の端できらりと光った何かを見つけ、迷いなく手を伸ばして水面へと上がる。
「なるほど、これじゃ中々見つからないのも当然だね」
 手にしていたのは透明な水晶の鍵、水の中では透明にしか見えないそれに、上手く隠したなぁとアースが水竜と共に微笑んだ。
 毬玉のような宝箱に掌を翳し、薄闇を覗きながらウルスラが問い掛ける。
「あなたの鍵はどこかしら?」
 なんてね、と笑ったウルスラの頭上に影ができ、雨雲でも出たのかしらと見上げると――。
「あら、オズじゃない」
 どうしたの? と首を傾げた彼女に、オズウェルドが足の下を指さす。
「わりぃ……足、どけてくれ」
 ようやく見つけた、彼の鍵はウルスラの足の下に。
「足元? ……ふふ、待ってて」
 私も今、自分の鍵を見つけたところなの、とウルスラが光りの在処へ手を伸ばしてから、ゆるりと足を退かす。
「やっと見つけたぜ……」
「私もよ」
 オズウェルドの手には小さな金色に光る鍵、ウルスラの手には白珊瑚の鍵が握られていた。
「皆見つけた? ねぇねぇ、早く浜辺に戻って開けよう!」
 早く宝箱の中身を見たいのだと、ルゥーが我慢しきれないと三人を急かす。そんなルゥーを見て、彼らは目を合わせて微笑むのだった。
 浜辺に戻るまではもう少し、宝箱を開ける楽しみはすぐそこに――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時


……ん?なんか光があっち向いてる…?

宝箱の鍵探し
待ち受けるは数多のアクシデント
鬱蒼としたジャングルを超え着くは怪しげな遺跡
此処に来るまでにもジャングルっぽい感じの危険がいっぱい
怪しげな遺跡にも罠がもうわんさかである

いやなんでこんなに罠があるんだ!!!!!!!
もしかしてこの奥にあるの鍵じゃなくてたからじゃねぇの!?

そんなこんなで手に入れた鍵を持って浜辺へ!

鍵の形状はお任せします……!

何が出るかな…魔導書以外の可能性も有るしそもそもメガリスの可能性もあるんだよな?
ドキドキするぜ…!

中に入っていたのは魔導書
特定の属性に関するあらゆる魔術が記載された古びた魔導書

属性は光以外の別属性の魔導書だと嬉しい



●アクアマリンの光を追って
 古びた宝箱を前にして、兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)は困っていた。
「開かねぇな……」
 手に入れた宝箱、中にどんなお宝が入っているのかと期待していただけに、開かないのはテンションが下がる。紙兎のパルも、心なしかしょんぼりしているように見えた。
「うーん、鍵、鍵が必要ってことだよな」
 魔法の力でも、腕力でも開かないとなると、鍵だ。そう、零時が考えた時だった。
「わ、わ、宝箱が光った!?」
 宝飾が取れた古い宝箱が、淡い水色に輝いたのだ。零時が慌てている間にもその光りは強さを増して、とある方角へ向かって光の道筋を作る。
「なんか光があっち向いてる……? もしかして、この先に鍵があるってことか!?」
 あってもなくても、手掛かりはこの光だけだ! と零時が勢いよく立ち上がる。元気を取り戻した主に、パルも嬉しそうに飛び跳ねた。
 意気揚々とアクアマリン色をした光を零時とパルが追い掛ける。示す先は島中で、海じゃないのかと思いはしたが島の内部がどうなっているかは気になっていたところだ。
「それにしても……ちょっと罠が多すぎじゃねぇの!?」
 鬱蒼と樹々が生い茂る、小さなジャングルといった場所に足を踏み入れた零時が空に向かって叫んだ。
 誰が作ったのかは知らないが、落とし穴に落ちそうになったり、蔦で作った古い網のようなものに捕獲されそうになったりと、零時を鍵に辿り着かせないようにしているのでは? と思うような罠がてんこ盛りだ。
 そのどれもにちょっとだけ引っ掛かりつつも間一髪で抜け出してきた零時は、ジャングルから唐突に開けた場所、小さな神殿のような遺跡の前に立っていた。
「ここか?」
 アクアマリンの光が零時に答えることはなかったけれど、光はまっすぐに遺跡の中へと向かっている。
「なんかこう……今にも崩れ落ちそうじゃん?」
 なんか嫌な予感がするんだけど? と思いはしたが、遺跡に入らなくては鍵が手に入らない。ここで引き下がっては男じゃない! と零時が気合を入れて遺跡へと乗り込んだ。
「ちょっと古典的すぎねぇ!?」
 入って早々、遺跡の中で巨大な丸い石に轢かれそうになった零時が壁に張り付きながらパルに言う。パルはといえば、頑張れと言わんばかりに零時の頭の上で跳ねていた。
「うう~~くっそー……絶対手に入れてやるからな!」
 まだ見ぬ鍵を求め、零時が決意も新たに遺跡の奥へと向かう。向かう途中にあったのはオーソドックスな落とし穴に、階段かと思えばつるんと滑る坂。まるでハードなアスレチックのような罠を、零時が根性で攻略していく。
「ぜっ、ぜー、はー……いやなんでこんなに罠があるんだ!!! もしかしてこの奥にあるの鍵じゃなくて宝じゃねぇの!?」
 それはそれで、宝箱が二倍になってお得なのでは? と思ったが、零時が欲しいのは宝箱を開ける鍵である。
 そうして、とうとう最後の部屋へと辿り着く――!
「鍵! 鍵はどこだ!」
 きょろきょろと見渡して、台座のようになっているそこにきらりと煌く何かを発見する。
「これが、俺様の宝箱の鍵……!」
 そこには天井から射し込む光に照らされてキラキラと光る、持ち手が王冠の形をした不思議な形状の鍵があった。
「よし、さっそく……いや待てよ」
 ここに来るまでに散々罠があったのだ、鍵を取った瞬間に矢が飛んできたりするんじゃないか? と零時が床に転がっていた遺跡の破片を手に取る。それをえいっと投げて様子を見るが、別段何も起こらない。
「取り越し苦労……ってやつだったか」
 それなら! とドキドキした気持ちで鍵を手に取る。ずっしりとした重さの、綺麗な鍵だ。もしかしたら宝箱も、本当はこれくらい綺麗だったのかもしれない。
「よーし、鍵が手に入ったならあとは浜辺に戻るだけだな……え?」
 ズズズ、と足元から伝わる地響きに零時が天井を見上げると、ゆっくりと崩れようとする遺跡の姿が見えた。
「さ、最後まで罠満載かよ!!」
 巻き込まれては堪らないと、慌てて零時がパルと一緒に駆けだした。
 どこをどう逃げて、走ってきたのかはもうよく覚えてないけれど、なんとか浜辺まで戻った零時が宝箱の前に膝を突く。
「つ、疲れた……!」
 荒い息を整え、宝箱に向き合う。宝箱の中身がわかるのは、もうすぐ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナハト・ダァト

【異形の花畑】で同行

次ハ、探索カ。
知ヲ啓くのハ得意だガ、こういウ物理的ナ物ハ。どうかナ。

叡智が導くままに、遺跡を探検。
「瞳」を駆使しながら、危険地帯や罠を早期発見し、対処をおこなう

こういうのハ、波乱万丈ガ心躍るト言われる様だガ。
安全ニ、迅速ニ見つけた方ガ効率的だト考えるヨ。

藍クン、君ハどうかネ。

過程を重んじるのが「美徳」と理解はあるものの、当人は全く頓着がなく
淡々と進める事にしている様で

君ガ楽しみたいなラ、「瞳」ハ極力。封じるガ。

だけど其処に他者が挟まれば、変化を見せる風でもあり

中身?何でも良いサ。
君ガ楽しム……報酬ハ既ニ、私ノ中ニ在るヨ。


紫・藍

【異形の花畑】
流石院長さん(f01760)、お目々パチクリなのでっす!
藍ちゃんくんもライブやパフォ時はファンの皆様の反応も感じ取るものでっしてー。
よく見て対応していくことはもったいなくないのではないでっしょかー!
それにでっすねー、藍ちゃんくんほどの藍ドルならアドリブも得意でしてー。
院長さんの見えてるものを活かして、まだ見ぬ未知を見せちゃうこともできるのでっすよー?
というわけでお手をどうぞ、院長さんなのでっす!
よく見えてる院長さんのリードに合わせてのダンス&パフォーマンスで遺跡を舞い進むのでっす!
藍の手の精密操作は罠の解除や院長さんのダンス補助に用いるのでっす!

中身はどきわくお任せでっすよー!



●君とあなたと一緒なら、それは楽しいということで
 紫・藍(覇戒へと至れ、愚か姫・f01052)が海底から引き揚げてきた宝箱を、浜辺にやってきたナハト・ダァト(聖泥・f01760)が触手を伸ばして検分する。
「見目ハ、普通ノ宝箱のようだネ」
 オーソドックスな、木材を金属で補強してあるような宝箱だ。
「いかにも海賊船にあった! と言わんばかりなのでっしてー!」
 宝箱を調べるのはナハトにお任せし、濡れた髪をタオルで拭きながら藍が頷く。
「普通ノ宝箱なのだガ、開かないネ」
「不良品なっのでっすかー!?」
 折角見つけたのに、と藍が宝箱を軽くノックするように叩く。そうではない、と言い掛けたナハトが、藍が叩いた箇所から淡い光りが広がるのを見て藍を触手で宝箱から引き離した。
「どうしたのでっすかー! っと、宝箱が光ってるのでっす!」
 叩けば直るというやつでっすか! と藍が目をキラキラと輝かす。
「いや……これハ、鍵ノ在処ヲ示しているようだガ」
 緑色の光は、二人を導くように線を描いている。なるほど! と藍が立ち上がってナハトに向かって笑う。
「では! ここからは二人の大冒険というわけでっすねー?」
「そのようダ、行クかネ?」
「勿論なっのでっすよー!」
 出発進行なのでっす! と藍が言い、それから宝箱はどうしようかとナハトに問う。
「私ガ、持っテ行こウ」
 するん、と数本ある触手を宝箱に絡ませ、難なく持ち上げて身体の前に抱えると、行こうかと藍を促した。
 島の中央より少し東に逸れる方角に向かって、真っ直ぐに伸びた光の筋を追う。
「緑の光を追って道を進む、どっかで似たような話を読んだことがあるようっなー」
「ふム、黄色イ煉瓦ノ道ヲ歩イたのハ、少女ト、木こりト」
「案山子とライオン、でっすねー?」
 踵をトントンと打ち鳴らした藍に頷き、他にはとナハトが考える。
「光デはないガ、帰ル為ノ目印ニ、パン屑ヲ落としタ話もあるネ」
「ではでは、帰り道の目印にー、貝殻でも落としていくでっすかー?」
 水着の腰に付けた小さなポーチに入れていた貝殻を藍が見せた。
「大丈夫、来タ道なラ、覚えているからネ」
「さっすが院長さんなのでっす!」
 そんな他愛もないお喋りを楽しみながら到着したのは、厳かな雰囲気が漂う遺跡だった。
「知ヲ啓くのハ得意だガ、こういウ物理的ナ物ハ。どうかナ」
「お得意ではないでっすかー? 大丈夫なのでっす、行けば何とかなるものなのでっす!」
 得意か得意でないかと問われれば、どうだろうか。やってやれないことは、あんまりないのでっすよー! と準備体操のように腕をぐるぐる回している藍にふんわりとフードの中の見えぬ表情を和らげて、そうだネと頷いた。
「危険ヲ回避すル為にモ、瞳ヲ使うヨ」
 そう宣言し、元々彼が持つ能力をナハトが駆使する。フードの奥、ぼんやりと光っていた瞳の光が強まった。
「行こうカ」
「はいなのでっすー!」
 遺跡に足を踏み入れれば、そこは長く使われていないのが調べなくてもわかる程に、外から入り込んだ蔦や植物が壁を覆っている。
「藍クン、そっちハ危険だヨ」
「ありがとうなのでっす!」
「ああ、こっちハ……藍クン」
「どうしたのでっすかー?」
 危険の少ない、安全な道を選んでいたナハトが不意に藍に向き直った。
「こういうのハ、波乱万丈ガ心躍るト言われる様だガ。安全ニ、迅速ニ見つけた方ガ効率的だト、私ハ考えるヨ」
「危険が少ないのは、いいことなのでっすよー?」
 こてん、と首を傾げた藍に、ナハトが続ける。
「藍クン、君ハどうかネ」
 どうかネ、と問われた意味を、藍は考える。これはきっと、ナハトの気遣いだ。
「流石院長さん、藍ちゃんくんもお目々パチクリなのでっす!」
 丸く開いて見えるナハトの瞳を真似するように、藍が目を大きく開く。
「藍ちゃんくんも、ライブやパフォーマンスをする時はファンの皆様の反応も感じ取るものでっしてー」
 問うた内容と違う返事のようにも思えるが、これはきっと藍の最大限の答えだとナハトは黙って聞いている。
「よく見て対応していくことは、なーんにももったいなくないのではないでっしょかー!」
「なるほド。しかシ、君ガ楽しみたいなラ、「瞳」ハ極力。封じるガ」
 過程を重んじるのが美徳であるという考えは知っているし、理解もしている。自分が全て事を進めてしまうことで、藍が退屈してしまわないかと、不意にナハト思ってしまったのだ。人一倍誰かを気に掛ける、彼らしい話だ。
 けれどそんなナハトの考えを軽々と飛び越えていくのが、藍ちゃんくんなのだが。
「それにでっすねー、藍ちゃんくんほどの藍ドルならアドリブも得意でっしてー!」
 くるん、とナハトが安全だと言った場所で、藍が華麗なターンを決める。そして、ウィンクを飛ばしながら言った。
「院長さんの見えてるものを活かして、まだ見ぬ未知を見せちゃうこともできるのでっすよー?」
 恭しく一礼をし、藍がまるで騎士のようにナハトに手を差し出す。
「というわけでお手をどうぞ、院長さんなのでっす!」
「……ふム、触手でよけれバ」
 藍が何をするのかなんて、己の叡智でも図り切れない。それはなんと楽しいことだろうか。
「もちろんなのでっす! 触手だって何だって、藍ちゃんくんは大歓迎なのでっすよー!」
 ナハトの触手を手に取った藍が、ナハトに余すところなく視ることをお願いする。藍に乞われるまま、ナハトが罠のある場所、危険な場所を藍に告げた。
「了解なのでっす! ではでは、よく見えてる院長さんのリードに合わせての、藍ちゃんくんの特別ダンス&パフォーマンスをご覧あれなのでっすよー!」
 藍の手、―コールミーアイチャンクン―を発動した藍が、見えざる者の手を借りて罠を解除しながら踊るように遺跡を進む。もちろん、ナハトをエスコートすることも忘れない。
「これハ、凄いネ」
 自分一人では成し得ないことも、二人であれば可能ということか、とナハトが瞳を楽し気に明滅させる。
「院長さんと、藍ちゃんくんでっすのでー!」
 ワルツを踊るかのような優雅さで、緑の光の終着点に辿り着く。そこには、宝箱と対になるようなオーソドックスな鍵が一つ。
 それはまるで、飾らない君とあなたのよう。
「宝箱の鍵をゲットなのでっしてー! さあ、院長さん、帰りもこの調子でいくのでっすよー!」
「よろしク頼むヨ、藍クン」
 お任せあれ! と笑った藍が、宝箱の中身はなんでっしょかー? と来た道を戻りながら呟く。
「中身?何でも良いサ」
 君が楽しければ、それで。ナハトにとっての報酬は、既にナハトの中に在るのだ。
 あれかな、これかな、と楽しそうに話し続ける藍にとって、良いものであればいいとナハトが願う。
 宝箱の中身を知るのは、浜辺に戻ってすぐのこと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『シーサーペント』

POW   :    海神の咆哮
自身の【霊力】を代償に、【邪悪の咆哮】を籠めた一撃を放つ。自分にとって霊力を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    大渦大回転
【体を高速回転させ、強力な水竜巻】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    深海の王者
【海竜の血】を降らせる事で、戦場全体が【グリードオーシャンの深海】と同じ環境に変化する。[グリードオーシャンの深海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●宝箱の中身とメガリスと
 太陽が傾き始め、ゆっくりと海へ向かって行こうとする頃。
 鍵を探しに行った猟兵達が、続々と浜辺に戻ってきていた。
 抱えて持てそうな、太鼓のような形をした宝箱に鍵を差し入れて、まだ幼ない少女が鍵を回す。
「わ、腕輪だじぇ♪」
 ターコイズ色をした、華奢な作りの腕輪だ。鈴も付いていないのに、リィンと綺麗な音色が聞こえる。
 でも、これはメガリスではない。

 オーソドックスな形をした大きめの宝箱の鍵穴に、冒険を楽しんできた彼が琥珀の付いた木製の鍵を差し入れる。重い音を立てて開いたその中には。
「金貨に銀貨だぜ!」
 冒険の報酬としては充分だな! と太陽のような笑みを彼が浮かべた。
 でも、これはメガリスではない。

 中身が入っているのかいないのか、少し不安になりつつも桜色の彼女が軽い宝箱の鍵穴に、桜色の鍵を差し込む。
「これは……桜色のチョーカーです」
 桜珊瑚と桜色の真珠が美しい、首元を彩るチョーカー。何て素敵なんでしょう、と彼女が微笑む。
 でも、これはメガリスではない。

 小さな白虎と黒竜を従えた彼が、螺鈿細工のからくり箱にピンポン玉サイズの丸い螺鈿の球を近付ける。カタカタと音を立ててからくりが動き、箱が開く。
「螺鈿の簪だ」
 黒珊瑚に螺鈿細工が映える、彼の長い銀髪にきっと似合うだろう美しい簪。
 でも、これはメガリスではない。

 2メートルはあるような大きな宝箱の前に、彼と彼が立つ。魔晶の鍵を迷うことなく鍵穴へと差し込む。
 分かり易い程に大きな宝石が、何かの装置らしきものに付いている。顔を見合わせ、男がそれに手を触れた。
「船の推進力と、その原動力かぁね」
「興味深い……帰ったら色々試したいところだな」
 きっと皆驚くぞ、そうお互い笑い合った。
 でも、これはメガリスではない。

 せーの、で開けよー! という可愛らしい彼女の願いに、彼らは頷く。そしてその掛け声と共に各々の宝箱を開いた。
「海の音がするよー!」
 巻貝のような宝箱から、耳を近付けなくとも聞こえるその音に、花が咲いたように彼女の顔が綻ぶ。
 碧い珊瑚で作られた手の平サイズの宝箱を開けた彼の手には、海の碧さを思わせるような色の、珊瑚の形をしたクリスタル。
「……重し代わりにはなりそうだな」
 それでも、思わず緩む口元は隠せない。
 宝箱を開けるのは初めてかもしれないと笑った彼の、螺鈿細工が施された白い箱の中からは――。
「どこの時間だろう、動いてる」
 時間を合わせたら、彼の時間を刻んでくれる。そんな予感がする、箱と同じ白螺鈿の懐中時計が入っていた。
 そういえば、いつも貰ってばかりねと微笑んだ彼女の丸い宝箱からは、細やかな細工が施された白蝶貝の腕輪。
「いつものお礼に、これはあなたにあげましょうか」
 受け取ってくれるかしら? と楽しそうに彼女が笑った。
 でも、これらもメガリスではない。

 古びた宝箱の前で、王冠の形をした鍵を慎重に差し込む。カチリと音がして、罠が飛び出して来ないかとおっかなびっくりで蓋を開ける。
「……魔導書じゃねぇか!」
 大当たりだ! と喜ぶ彼の手には、蒼から碧へと色を絶え間なく変える不思議な表紙の魔導書。水の加護を感じると、彼が小さく、嬉しそうに呟いた。
 でも、これもメガリスではない。

 オーソドックスな、木材を金属で補強してあるような宝箱の前に、彼と彼が並ぶ。
「開けごま! なのでっすよー!」
 開いた宝箱の中には、色とりどりの宝石でできた花冠が二つ。
「二つあるネ」
「仲良く一つずつなのでっす!」
 今日の記念だと、二人の頭上に花冠が煌く。
 でも、これもメガリスではない。

 とろりとした金色の宝石が嵌まった宝箱の前に、金色の目と赤色の目を持つ二人が並ぶ。
「さっそく開けようぜっ」
「ちょっと待って……よし、開いたぜ」
 カチャリという音と共に、宝箱が開く。中には琥珀と紅玉に輝く、髑髏――。
「綺麗だけど、なんかちょっと……ぞわってしたぞっ!」
「これは……」
 ああ、そう。それこそが、メガリス。
 金と赤の光に誘われるように、禍々しい光を放つ大海蛇、シーサーペントが海より現れ出でる――!

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 メガリスによって誘われ出でたシーサーペントを倒してください。倒した後に島の夜を楽しむのもありです。
 戦闘少なめ、桜珊瑚島の夜を楽しむのを多めでもいいですし、がっつり戦闘でというのも構いません。どうぞ、思うように皆様の物語を紡いでください(UCは必ず選択してください)
 受付期間はMSページを参照ください。受付期間前のプレイングは再送をお願いする場合がございますので、よろしくお願いいたします。
エスタシュ・ロックドア
【白岩】◎
来たか、こっちもなかなかの大物じゃねぇか
できればこいつの亡骸も持って帰りてぇがいけるかぁね
いや、今ここにいねぇ俺の相棒によ、お土産に持って帰ろうと思ってな

ちなみにその御馳走、どーやって食うんだ?
直?
へぇ、なるほどな
そんじゃ渡らせてもらうぜ
ヴィゼアの作った氷の道を【ダッシュ】で走る
【怪力】でフリントぶん回して『羅刹旋風』発動
なんか腹にヒビが見えるな
行動を阻まれているところを、
ヒビめがけて思い切り【なぎ払い】【吹き飛ばし】だ

敵の攻撃は【激痛耐性】【呪詛耐性】で耐える
耐えてる間は、ヴィゼア任せたぜ
敵がヴィゼアの攻撃に少しでも怯んだら、
踏み込んでフリントを振るいさらに追い打ちを掛ける


ヴィゼア・パズル
【白岩】◎ 敵へ敬語、仲間へ砕けた口調
お土産…?ああ、なるほど。
了解だ。あの動力装置を積んで…丸ごと持ち帰ろう
巨大な骨が採れるぞ
【空中浮遊・空中戦】常時発動
「早くご馳走にあり付きたいな」
「ああ、こうやって…」
拾った魔晶のカケラ数個口に放り込み、噛み砕けば魔力を補給
そのまま冷気へと呼び掛け【属性攻撃・2回攻撃・範囲攻撃】を応用
「敵が海を作るなら、足場は無限。…行き先に路は出来る」
海を凍らせる絶対零度で敵の行動を阻害しつつ、エスタの路を作ろう
一つ路が潰された所で、此方に攻撃手段は残っている
「__ああ、任せてくれ。」
【カウンター・全力魔法】応用。その血を内側より凍らせ、耐えている間にダメージを稼ぐ!



●凍れる路を奔って
 メガリスを狙って現れたコンキスタドールに、いち早く反応したのはエスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)とヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)で、その大きさにエスタシュが口笛を吹く。
「来たか、こっちもなかなかの大物じゃねぇか」
「メガリスに惹かれてやって来るとは、猫にまたたびのようなものか?」
 お前がそれを言うの? というような顔でエスタシュが鉄塊剣を構える。
「そしてエスタにバイクといったところだな」
「超納得。ところで、できればこいつの亡骸っていうか、骨を持って帰りてぇがいけるかぁね」
「君、そんなものを持ち帰ってどうするつもりだ」
 シーサーペントの骨など、出汁にもなるまいとヴィゼアが青い瞳を瞬かせて問い返す。
「いや、今ここにいねぇ俺の相棒によ、お土産に持って帰ろうと思ってな」
「お土産……?ああ、なるほど」
 骨を愛する白髪の君を思い浮かべ、ヴィゼアが納得したような声を出した。
「了解だ。あの動力装置を積んで……丸ごと持ち帰ろう」
 巨大な骨が採れるぞ、と不敵に言い切ったヴィゼアの身体が空中に浮き、既に臨戦態勢のエスタシュの隣で洞窟で拾った魔晶の欠片をそのふかふかの手でチャリチャリと鳴らす。
 その音に反応したのかは定かではないが、シーサーペントがその大きな口を開いて二人を威嚇するように吼えた。
「ふふ、敵もお待ちかねのようだ。御馳走にありつくとしようか」
「ちなみにその御馳走、どーやって食うんだ?」
 単純な疑問をそのまま言葉にしてエスタシュが問うと、ヴィゼアがシーサーペントの動きを逃さぬように目を向けたまま答えた。
「ああ、こうやって……」
 ぽいぽい、とガムでも噛むような気軽さでヴィゼアが手にしていた魔晶を口の中へと放り込み、
「こうだ」
 と、言うとガリっと氷を噛み砕くような音と共に飲み下した。
「直?」
 腹壊さねぇのか、それ。とエスタシュが言うや否や、ヴィゼアから魔力が湧き上がる。その波動に触発されたのか、シーサーペントが海の中からヴィゼア目掛けて襲い来る。
「おいで、狩りの始まりだ」
 ヴィゼアの呼び掛けに冷気が応え、シーサーペントを阻むように凍て付いた風が渦巻いた。広範囲にわたってシーサーペントが凍る。
「このまま氷漬けにして持って帰れねぇ?」
「……無理だな」
 ピシ、ピキ、ビキ。シーサーペントがその力で氷をひび割ると、傷口からその血を振り撒いた。
 それは戦場をグリードオーシャンの深海と同じ環境に変える血。
「うお、圧がすげぇな」
 気合で何とかなる程度ではあるが、面倒だなとエスタシュが呟いた。
「何、敵が海を作るなら、足場は無限。……行き先に路は出来る」
 エスタシュの足元から、シーサーペント目掛けて氷の路が出来上がっていく。
「へぇ、なるほどな。そんじゃ渡らせてもらうぜ!」
 ヴィゼアが魔法で作り上げた氷の路を、エスタシュが駆け抜ける。肩に担いだフリントを力任せに振り回すと、羅刹の力がエスタシュの身体に満ちた。
「そらよ!」
 シーサーペントの腹に目掛け、重い一撃を放つ。ぴきり、と赤いヒビのようなものがシーサーペントの腹に奔る。
『キシャアァァァ!』
 雄叫びと共に、邪悪な霊力が籠った尾の一撃がエスタシュを襲った。
「ぐ……っ次の手は任せたぜ、ヴィゼア!」
 フリントを盾に防いではいるが、その重さはエスタシュであっても眉根を寄せるほど。
「――ああ、任せてくれ」
 その血、全て凍らせてさしあげましょう。
 手に残していた魔晶も全て噛み砕き、ヴィゼアが口元に笑みを浮かべて凍れる魔力をシーサーペントへと放つ。その魔力は確かに、シーサーペントの体力を奪っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「深海属性…水圧だけで済むのでしょうか。さすがに空気までないと窒息してしまいます…」

UC「幻朧の徒花」使用
高速・多重詠唱で弾丸に破魔と電撃の属性与え制圧射撃しながらUCで回復も試みる
攻撃補助として移動阻害を与えるよりそのまま属性攻撃をして体力回復した方が良い状況になったらそちらを優先
敵の攻撃は第六感や見切りで躱し深海属性の地形効果をなるべく受けないように気を付ける

コンキスタドールでないシーサーペントも多分人間を捕食する共存できない相手ではないかと思うが、それでも通常の命としてまた此の地に生まれるよう破魔と慰め乗せた鎮魂歌は捧げる

宝箱と鍵も気に入ったので誰にも止められなければ持ち帰って部屋に飾る


ロベルタ・ヴェルディアナ
鱗が堅そうだから剣とか銃より足がいいかな…って思ったよ。
だから骨を蹴り砕くじょ!凄くいい物貰った喜びと共に!
「うぇーい♪ 腕 輪 貰 っ た じ ぇ ~!(蹴)」
やっぱり硬くて通じなかった時は遠心力を利用して足先で蹴る。
蹴りのイメージは氷とか砕く鋭いアイスピックかな。うぇい!
【魔女の一撃】使用するよ。他猟兵さん達と連携協力♪
(早業、鎧砕き、鎧防御無視、限界突破)
夜。
倒した蛇の鱗を削ぎ落としてから剣でザクザク斬って。
熾した焚火で焼いてみるよ。…食べられたらいいな。
焼けるまで焚火の周りで踊ってる。んばんば♪めらさ!
そうそう。火を使う時は水を用意してね。
もし食べられて美味しかったら手を合わせる。



●例え海の底であっても桜は咲き誇り、少女は踊る
 目の前に現れたコンキスタドール、シーサーペントを前にして御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は困ったように首を傾げた。
「深海属性……水圧だけで済むのでしょうか。さすがに空気までないと窒息してしまいます……」
 困ります、と呟きながらも、彼女はシーサーペントから目を離さない。逃げる、などという選択肢は桜花にはないのだ。
「だいじょーぶ! 気合でなんとかなるじぇ!」
 そんな桜花の横で、ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)が気楽に笑う。じーっと荒れ狂うシーサーペントを眺め、硬そう鱗だなと考える。
「切るより蹴る殴るの方がいいかな」
 物騒な言葉に、桜花が一瞬シーサーペントから少女へちらりと視線を流す。そしてすぐに、幼くてもここに立っている以上猟兵なのだと意識を切り替えた。
「よろしければ、ご一緒に戦っていただけますか?」
「もっちろん♪ よろしくなんだじぇ!」
 では、と先に動いたのは桜花で、片手で構えた機関銃をシーサーペントに向ける。
「参ります!」
 桜花の唇から紡がれるのは極限にまで高められた詠唱、その力を己が放つ弾丸に載せてシーサーペントへ絶え間なく放つ。そして、シーサーペントの気がこちらに向いた瞬間を狙い、静かに微笑んだ。
「桜の下には死体が埋まっていると言いますけれど。幻朧桜の下に埋まっているのは違うものですの。……咲き誇れ徒花。敵の力を我が糧に!」
 桜花が全身を桜吹雪で覆うと同時に、シーサーペントが海竜の血の雨を降らせた。
「んぐっ、これ結構……でもっ気合でなんとかなーる!」
 ロベルタがふんっと胸を張ると、宝箱に入っていた腕輪を付けた手首を見て、嬉しそうに笑う。その喜びを胸に、シーサーペントを貫くイメージを描いた。
 そして、腰を低くした姿勢から、一気にシーサーペントに向かって跳ね上がる。
「うぇーい♪ 腕輪貰ったじぇ~! Un duro colpo!」
 イメージしたそれは氷を砕く鋭いアイスピック。身体のバネを活かした、ロベルタの華麗な蹴りがシーサーペントの腹部分、赤いヒビわれた箇所へと穿たれた。
「貫くアイスピック、大成功だじぇ!」
 とん、と軽いステップで砂浜に着地したロベルタに向け、シーサーペントの重い一撃が放たれる。それを受け止めるようにショートソードを構えると、魔術式が発動して淡い光を放った。
「んぐ、ぐ、このー!」
 魔方陣が幾つも重なり、シーサーペントの力を逸らす。逸らしきれない力はロベルタがバックステップを踏みつつ何とか受け止める。
「今度は私の番です」
 幻朧の徒花により力を増した桜花が、再びシーサーペントに照準を定めて機関銃の引鉄を引いた。
 唸り声を上げシーサーペントがその尾で弾丸を弾くけれど、弾き切れない分は確実にシーサーペントの体力を削っていく。
「今度は僕だじぇ!」
 ロベルタが前に立ち、桜花がサポートするかのように後ろへ下がる。即席とはいえ、お互いをよく見て連携を取る二人の動きは、シーサーペントを確実に翻弄していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

基本存在感を消し目立たない様に死角に回り、可能な限りマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC剣刃一閃で攻撃。以降通用する限り同じことを繰り返す。
敵の攻撃は第六感で感知し、見切りで回避。回避しきれないものは黒鵺で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。それでも喰らってしまうものは激痛耐性、オーラ防御で耐える。
また相手の攻撃次第では環境耐性、深海適応も駆使。

夜はまた二人(二匹)と一緒に島を散策なりのんびり座って海を見るなりしてゆっくり過ごす。
しかし、二人に手伝ってもらったA&Wの戦争からまだ半月しか経ってないっての信じられないよなぁ。



●夕暮れの海に立つ
 右手に太刀である胡、左手にヤドリガミである黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)の本体――黒い大振りのナイフ、黒鵺を構えて海より出でたシーサーペントの隙を窺いながら瑞樹が呟く。
「さて、こんな身を顰める場所もない場所でどうやって戦ったものかな」
 俺は暗殺向きなんだが、と小さく笑って瑞樹がオレンジの色を濃くした海に向かって踏み出す。闇はなくとも闇に紛れ、潮騒と同化するかのように気配を消す。受け継いだ技術は、瑞樹が意識しなくとも身に染み付いたように瑞樹の身体を動かした。
 シーサーペントの背後に回り込み、波が浜辺に押し寄せるタイミングで胡と黒鵺で斬り付ける。背に走る痛みにシーサーペントが身を捩り暴れ、瑞樹に向かって咆哮と共に尾をしならせた。
「結構重い……っ」
 黒鵺で受け止め、力を削ぐように横へと受け流す。最初の攻撃で含ませた麻痺がある程度効いているのだろう、思っていたよりも動きは鈍く、慣れれば避けることもできそうだと瑞樹は思う。
 次の攻撃に移る為、シーサーペントの目を撹乱するかのように波を蹴り、瑞樹が飛ぶ。くるりと一回転を入れ、シーサーペントの死角を突いた。
「上だよ」
 銀色の髪が落ちゆく太陽の色を受けて、朱色に輝く。手にした胡と黒鵺の刃が、シーサーペント目掛けて振り下ろされた。
『シャアアアアアア!』
 威嚇の声を上げ、瑞樹に向かってシーサーペントが襲い掛かる。それを戦闘の中の勘だけで避け、瑞樹が身体の向きを変えると今一度自分が傷を付けた箇所に目掛けて攻撃を放つ為に駆けた。
 暴れるシーサーペントの体躯をものともしない体幹で尾の部分から駆け上がり、血を流し続けるその場所に向け胡による斬撃を浴びせる。
「おっと」
 激しさを増すシーサーペントの抵抗に、一度離脱する為に再び瑞樹がその背を蹴りつけた。
「タフなコンキスタドールだな」
 まだ暴れようとするシーサーペントから距離を取り、次はどんな手を使おうかと瑞樹が手にした胡と黒鵺を構え直すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルデルク・イドルド
ディルク(f27280)と

おっ、どうやら『当たり』を引いたみたいだな。
よし、こいつを倒したら詳しく調べるか。
UC【眠れる力を呼び起こせ!】
ディル頑張れよ!
俺は、とコインで【援護射撃】させてもらうぜ。

んー…山分けするにしてもこの髑髏はどうやって分ければいいか。
ヘタに解体すると効力がなくなりそうだし…。
ん?一番の宝物があるから自分いいって?
ッ…あー…そのなんだお前も俺の宝物だからなッ
たく…ようやく気づいたか?俺にとっての琥珀とルビーの大事な宝物だからな。
(抱きつかれて照れながらも背中を撫でて)


ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と

へへへ、お宝大当たりだなっ
この蛇倒せば、お宝はオレたちのもん!

UC【竜鬼一体】使用
シュタインに【騎乗】して【空中戦】に持ち込むぜ
敵の高速攻撃くらい、シュタインの速さで回避してやるっ
隙をついてオウガ刀で【怪力】で薙ぎ払って
【鎧砕き】で硬い鱗ごとぶん殴る
アルに攻撃が行きそうなら、【かばう】で盾になる

手に入れたメガリスはアルにやるよ
オレはもう一番のお宝あるし…
(言いつつ前のアルのお宝発言を気にしている)
へ?オレ…?
え、アルそれって…!
やっと思い当たって、嬉しそうにアルに抱きつきにいくぞ!



●本当の宝物
「へへへ、お宝大当たりだなっ!」
 ディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)が現れたシーサーペントを見て、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)に向かって笑う。
「引きがいいのも海賊の資質の一つだな」
 まさかメガリスにぶち当たるとは、とアルデルクが髑髏を隠すように再び宝箱を閉じた。
「こいつを倒したら詳しく調べたいところだが――」
 何せメガリスは回収を頼まれているのだ、勝手に持って帰れはしないだろうなとアルデルクが一つ息を落とす。
「なんだよ、溜息なんてアルらしくないぞ! お宝だぞ、お宝っ」
「持って帰れないお宝じゃあな……ま、宝箱と鍵だけでも価値はあるか」
 なんで持って帰れないんだよ! と頬を膨らませたディルクの頬を突いて、アルデルクがシーサーペントを指さした。
「それより、あっちが先だ」
 既に何名かの猟兵と戦っているのだろう、傷付いているのが見える。その分狂暴性を増している可能性があるな、と考えながらアルデルクがディルクに向かって唇の端を持ち上げる。
「ディル、頑張れよ!」
「アルが言うなら任されたぜ!」
 それはアルデルクによる鼓舞の言葉、素直に受け取るディルクがいるからこそ発揮される力である。
 ディルクの身体が薄い金色に輝くバトルオーラで包まれると、どこからともなく力が湧き出るようで彼のやる気は最高潮に達していた。
「いっくぜー! シュタイン!」
 彼の呼び掛けに、黒い海竜が応える。その背に乗り、正しく竜鬼一体となってディルクがシーサーペントに向かっていく。
「空中戦だ、かっ飛ばせシュタイン!」
 通常のカトラスよりも大振りの、刀身に厚みのあるオウガ刀を手にしてディルクがシュタインと共にシーサーペントに攻撃を仕掛ける。シュタインがその鋭い黒爪で、ディルクが硬い鱗ごと叩き切るようにオウガ刀をぶち込んだ。
 それに怒り狂ったかのようにシーサーペントが反撃態勢に入ったのを見越し、アルデルクが浜辺から己を主人と認める金貨達を呼び寄せ、命令を下す。
「目を狙え、クリーピングコイン!」
 アルデルクの号令の下に、空飛ぶ金貨が礫のようにディルクを狙ったシーサーペントへ降り注いだ。
 その一撃により、ディルクとシュタインを狙ったシーサーペントの身体から突き出た刃のようなそれが、標的から逸れる。怒りを露わにしたシーサーペントが咆哮を響かせ、アルデルクに向かってその身体を突進させた。
「させるかよっ」
 シュタインを操り、ディルクがアルデルクを庇うように彼の前に出る。眼前に迫るシーサーペントの牙にも臆さず、その顎を追うが刀で防いだ。
「は、ぐ……っ、でっかい口しやがって……っ」
 力と力の攻防、僅かにディルクとシュタインが競り負けるかと思われた、その時。
「頑張れディル! お前は誰の護衛だ!?」
「決まってる、アルのだよ!」
「だったら、まだいけるよな?」
「あったり前だ!」
 アルデルクの言葉による鼓舞が、ディルクの身体を淡い黄金の光で包む。それは先程よりも一段と高くディルクの戦闘能力を押し上げた。
「うおおおお!」
 シーサーペントの顎を押し返し、ディルクの刃が唸る。
「喰らえ!」
 オウガ刃の分厚い刀身をシーサーペントの鼻っ面へ叩き込んだ。
 派手な水柱を上げて、その巨躯が海へと沈む。
「やったかっ」
「いや、あれは逃げたな」
 刀を納め、アルデルクの元にディルクが戻る。
「追い掛けるか?」
「ま、他の猟兵が追い詰めるだろう」
 猟兵は俺達だけじゃないしな、とアルデルクがディルクに向かって唇の端を持ち上げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ナハト・ダァト

【異形の花畑】で同行

手に入れた花冠を首元に掛け、現れた敵に対処する

でハ、藍クン
手筈通りニ行くヨ

無限光から強烈な発光を行い
目くらましを起こして隙を作る

混乱を起こした敵が、暴れてマイクを破壊するよう
催眠術や残像、言いくるめで誘導

準備ハ、整ったネ

破壊された瞬間、何事もなかったかのようにアイテムの修復と
ユーベルコードを強化する能力が発動

藍クン
今度ハ、君ノ雄姿ヲ
視せテくレ

戦闘後、海を眺めて

手に入れた宝物を大切にしなければと考える

何故かハ、分からないガ
ソレは君達ヲ「視テ」学ぶトするヨ


紫・藍

【異形の花畑】
藍ちゃんくんでっすよー!
花冠もばっちり似合う藍ちゃんくんなのでっす!
藍ドルたるものファンの目線を集めてこそなのでー!
歌唱存在感挑発騙し討演奏誘き寄せ!
目を離せない藍ちゃんくんをよろしくなのでっすよー! とドヤ顔マイク付きつけ……

あやー!?

マイク破壊にはしょんぼり
思わず黙る藍ちゃんくんなのですがー
なんとなんと演技でっしてー
追撃に来た大回転に逆回転のブラホをぶつけてやるのでっす!
院長さんの声援に身振りで応えるのも忘れませんよー?
引力込で相手の回転速度下げつつ高速移動で回避ブラホでっす!

戦後は院長さんと夜の海なのでっす!
宝石の花冠だけでなく、満点の星空の冠を二人で戴いちゃうのでっす!



●光の中のスターダム
 太陽が沈みゆく浜辺で、両手を望遠鏡のような形にした紫・藍(覇戒へと至れ、愚か姫・f01052)がシーサーペントがこちらに向かってくるみたいだと、ナハト・ダァト(聖泥・f01760)に告げる。
「少々、手負いノ様だネ」
「ボロボロなのでっすよー!」
 二人揃いの、宝石でできた花冠をナハトは落とさぬよう首に掛け、藍はその頭上に飾ってナハトに顔を向けた。
「花冠もばっちり似合う、藍ちゃんくんなのでっす!」
「藍色ノ髪ニ、良ク映えテいるヨ」
「院長さんも、とっても素敵なのでっす!」
 シーサーペントの相手をする前準備はばっちりオッケーとばかりに、藍がくるんとターンを決める。
「でハ、藍クン。舞台ニ、上がル準備ハ、万全かネ」
「完璧なコンディションなのでっすよー!」
 それは何よりと頷いたナハトが、迫りくるシーサーペントに向かって触手を向けた。
「手筈通りニ行くヨ」
 至近距離にまで達していたシーサーペントに向け、ナハトが強烈な発光を浴びせる。それは無限光から出た光、尽きる事の無い光はひたすらにシーサーペントに向けて照射されていた。
「完璧なスポットライトなのでっす!」
 強烈な光に目が眩んだシーサーペントが怯むと、すかさず藍が躍り出る。
「藍ドルたるものファンの目線を集めてこそなのでー!」
 スポットライトの中央に立つアイドルのように、マイクを片手にウィンクを一つ。そして始まるのは――藍ドルオンステージ!
「まずはお近付きのご挨拶に一曲なのでっす!」
 唇から紡がれるのはファンを魅了する歌声。アカペラであろうとも、波の音にもシーサーペントの唸り声にも負けない声量と、どこまでも正確で聴く者の心を揺り動かすような旋律。そして変わらずナハトから放たれる、無限光からの光。
「さすガ、藍クン。一流ノ仕事ト言うやつだネ」
 藍ドルは歌う場所を選ばないのでっす! と投げキッスをシーサーペントに向けて飛ばし、マイクを突き付け決めポーズを藍が取る。
「目を離せない藍ちゃんくんをよろしくなのでっすよー! シーサーペントくん!」
 誘うように揺れたマイクを、混乱と興奮が入り混じったままにシーサーペントが噛み砕く。
「あやー!?」
 完全に破壊し、そのままがっくりと項垂れすっかり黙り込んでしまった藍すらも噛み砕こうとその顎を鳴らした時だった。
「準備ハ、整ったネ。Kaitul」
 醜悪を意味する言葉をナハトが呟くと、それを発動の合図としたように藍が持っていたマイクが即座に元の姿へと戻される。そのマイクをしっかりと握り締めた藍が、黙ったまま顔を上げた。
「………………」
 そう、藍が黙ったままなのだ。それは、世界の終焉なのでは? そんな風に、世界にすら思わせる沈黙。
 ワールドエンド・サアイレンス、それは藍が黙ることで世界に生じた虚を纏う、藍だからこそ成し得るユーベルコード。
「藍クン」
 藍は答えない。
「今度ハ、君ノ雄姿ヲ視せテくレ」
 けれど、ナハトの声援に指をピースの形にして。
 シーサーペントがその身を高速回転させて起こした水竜巻を、逆回転させた疑似ブラックホールをぶつけて相殺させ、更にその引力をl利用してシーサーペント自身の回転速度を落とさせる。
 そこへ、高速移動を可能にした自身をギリギリまで突っ込ませ、至近距離でもう一発疑似ブラックホールを叩き付けた。
「お見事、藍クン」
 ひらり、と着地を決めて、藍が満面の笑みを浮かべて優雅に礼をして見せる。
 幕引きは、もうすぐ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

兎乃・零時



な、なんかへびっぽい竜がいる…!
あれがコンキスタドール、か…?

う、うし、やってやろうじゃねぇか……!
お、俺様はそう簡単に負けな……

…海!?え、血が海になんの!?
なにその技、こっわ!?

幸い俺様は海中でも問題はない【深海適応】
此れが湖だったら危なかった…


い、いや、まぁいい!
やってやんぞパルぅ!


どうにか奴をぶっ倒す!!!

光【属性攻撃】UCを放ち
自身の魔力を
光を塗るかのように滞留させ

その間
パルには【援護射撃・オーラ防御】等で上手くカバーを願う


最大限戦場に魔力を滞留させたら
最後は光【魔力溜め×属性攻撃×リミッター解除×限界突破×全力魔法×串刺し】の極大光線《オーバーレイ》!

負けられるかってんだ…!!



●集う光
 宝箱にそっと魔導書を戻し、兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)が目を凝らしてやや遠くに見えるシーサーペントを眺める。
「な、なんかへびっぽい竜がいる……!」
 あれがコンキスタドール、と呟いて零時がごくりと喉を鳴らす。
「べ、別にあれくらいなんてこたねぇし!」
 よし! と気合を入れるように軽く両頬を叩き、宝箱を少し離れた場所へと置き直した。
「折角手に入れたお宝だからな、戦闘の余波で台無しにされちゃ堪んねぇ」
 これでよし、と再びシーサーペントが見えた方へと視線を遣ると、思ったよりも近い位置に迫ってきていて小さく叫ぶ。
「思ったよりもでっか! いやいや、これくらい戦争で見た竜に比べればなんてこたねぇし!」
 やってやろうじゃねぇか! と藍玉の杖を構えて啖呵を切った。
 先手必勝! とばかりに、零時が射程距離に入ったシーサーペントに向けて眩い程の魔力の光線を放つ。それは確りとシーサーペントの眉間に命中し、その痛みからか暴風のように速度を上げて零時へと血の雨を降らせた。
「えっ」
 問答無用で降り注ぐ血の雨に、零時が軽く引く。目や口に入らぬようにとガードしつつ、周囲の異変に気が付いた。
「……これ、深海と同じ感じがする」
 海の中にいるような、肌を刺す感覚は零時にそう告げていた。
「血が海になんの!? いや見た目はそんな感じじゃねぇけど、それにしたってこっわ!?」
 貧血にならねぇの? と要らぬ心配をしつつも、零時は余裕の笑みを崩さない。それもそのはずで、零時には深海における耐性があるのだ。障害になるどころか、なんだか調子がいい気がする。
「そういう、力なんだな? この状況下に適応するやつの力を増すような……残念だったな! 俺様が相手じゃそいつは効かねぇよ!」
 まあ、これが湖だったら危なかったんだけど。ぼそっと呟いたそれは無かったことにして、零時がパルを呼ぶ。
「やってやんぞ、パルぅ!」
 ぴょんっと零時の肩に飛び乗った紙兎のパルが、零時を鼓舞するように飛び跳ねた。
「さっきより、もっと上手くできる気がするんだ」
 敵の力も全て利用して、零時が魔力を回す。それはキラキラと煌く粒子のような形で具現化し、最初に放ったReuse magicよりも威力が高まっているのが見てとれた。
 光の粒子が藍玉の杖の先へと集まっていく。零時が最高のタイミングで術を放つ為に、パルが防御を担って零時を守りながらシーサーペントの気を引いている。
「行くぜ、パルー!」
 零時の気合と共に、凝縮された光がシーサーペントを狙い撃つ。更に自身の魔力を、まるで光を塗り重ねるかのように滞留させていく。パルの創り出した防壁に、シーサーペントの攻撃が阻まれている間に零時が最大限に魔力を練り上げた。
「これで最後だ、喰らえー!」
 ぶっ倒す! とばかりに全ての魔力の奔流を一つに纏めたそれ、極大光線《オーバーレイ》をシーサーペントへ放つ――!
「あーー! 逃げた!!」
 ダメージは確実に与えたはずなのだが、光線が僅かにシーサーペントから逸れたのだろう。
「ちぇ、仕方ねぇ」
 それに、逃げた先にも猟兵がいる。あれだけ弱っているのだ、そこで間違いなく骸の海に還されるはずだ。零時はうん、と一つ頷いて思考を切り替えると、宝箱に入れた魔導書の無事を確認する為に砂浜を駆けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウルスラ・クライスト
【庭4◎】
待ち伏せの様な出現にころころ笑って
あらあら…首長くして待ってたの、可愛そうに
箱開けられるおててじゃないものね
我慢が上手でいい子
ご褒美がこれでごめんなさいね

高速詠唱で紡ぐは挑発と誘惑の紫雷、はじまりの蝶
そう目で追っては眩んでしまうわよ?
暴れ疲れたら元来た海へお還りなさいな


支度はお世話好き達に任せて
ルゥちゃん、散歩でもしましょうか
蒼い海も綺麗だけど日暮れも素敵だわ
今日は大冒険だったわね

アースが作ってくれたジュースの甘さ
オズと獲りあった魚介達、カレーも
この島の宝と思って有難くいただきましょうか

満天の星と海蛍の海に包まれる散歩道
空になった手毬の宝箱に微笑み
波音の宿る貝殻をひとつ
大事にしまうわ


アース・ゼノビア
【庭4◎】
一度命を奪われてなお
メガリスが欲しいか…そういう呪縛なのか?

環境耐性と雷撃耐性を編んだ風壁で
仲間を深海圧とウルスラの紫雷から護り
水竜の凍てる津波で敵攻撃の阻害を

その姿、尽きない夢の果てなんだろう
そろそろ還ってもっといい夢を見たらいい


オズと一緒にキャンプ支度して
夕飯のシーフードカレーを仕込んだら
鍵探しの道中採った果物でジュース作り
散歩中のルゥ―とウルスラが戻ったら振舞ってあげよう

夜風が涼しくなったら海が輝きだしたね
夕飯片付けたら、寝る前に浜辺を散歩しよう

あぁ…これが海蛍か
昼間も眩かったけど夜もこんなに夢の様とは…

大事な宝物には思い出があってこそ
この海のこと
ずっと忘れずに大切にできそうだ


オズウェルド・ソルクラヴィス
【庭4◎】

…来たな

ったく…野暮をしに来るんじゃねぇよと
槍を持ち立ち上がり
全力魔法で深海と…念の為雷への耐性を更に強化

―じゃぁな

『海』へ還れ、と
真っ向から大海蛇へ
戦場効果もかき消すように閃炎を解き放つ

…そろそろか?
アースと共に張ったテント
その近くで魚やイカ、蛸
二人が獲った食える貝を焼き始め
芳ばしさとカレーのいい匂いがした頃
おい、飯だぞ!
と散歩中の二人を呼び戻す

4人での初の外食がこれっつーのも贅沢だなと食しながら
夕暮れの海も眺め

―光ってたのは海蛍か

オレも初めて見たと幻想的な光の波に心奪われ
感嘆し、貝殻を手に、或いははしゃぐ姿を横目に見ながら
まぁ、ほんとに悪くねぇな…と頬を少し緩ませ
共に海を眺める―


ルゥー・ブランシュ
【庭4◎】
そうなの?
ずっと待ってたの?
でも、メガリスもこれもあげられないの…!

全力魔法で深海と咆哮に負けないよう
しゃぼん玉様の光のバリアを皆に張るの
攻撃は氷の矢で!
でも、もし皆が怪我をしたら愛唄を使うの…!

ほんと、海も色んな姿になるんだね
きらきら
夕日色した水面を見ながらお散歩し
こんな冒険なら何度でもしてみたい!と頷く

いまいくー!

呼び声に手を振り
ジュースやカレー
美味しく焼けた海の幸さんに
感謝を込めて…いただきます!

わぁー…!
ねぇ、海が星空になってる!

ウミホタルの奇跡に思わず海へ駆け寄り
きれいだね…と微笑む

何度か光る波を追いかけ

ねぇ、また海に行こうよ!と

みんなへ振り向き
この先の未来へと目を輝かせる



●海底へ還る時
 広い浜辺のどこかで、猟兵達がシーサーペントと戦う音が聞こえる。それは次第にこちらへと近付いてきていて、オズウェルド・ソルクラヴィス(明宵の槍・f26755)がその青い目を細めて溜息交じりに言う。
「……来たな。ったく……野暮をしに来るんじゃねぇよ」
 紅い宝石が嵌め込まれた二又槍を手に、オズウェルドが立ち上がった。
 水面をのた打ち回るように移動するシーサーペントが、四人を目にしてその速度を上げる。一気に突破してしまおうという魂胆なのだろうか。
「あらあら……首を長くしてメガリスを待ってたの? でも、可愛そうに」
 ころころとウルスラ・クライスト(バタフライエフェクト・f03499)が笑って、杖をくるりと回す。
「そうなの? ずっと待ってたの?」
 ウルスラの言葉を受けて、ルゥー・ブランシュ(白寵櫻・f26800)がこちらに向かってくるシーサーペントを見つめる。ボロボロの身体で、まだメガリスを求めて暴れているのだ。
「でも、メガリスもこれもあげられないの……!」
「一度命を奪われてもなお、メガリスが欲しいか…そういう呪縛なのか?」
 憐憫の色を滲ませて、アース・ゼノビア(蒼翼の楯・f14634)がシーサーペントから仲間を守るための風壁を編み上げる。それを見て、泣きそうに瞳を潤ませたルゥーも風壁に重ねるようにして、シャボン玉のような光りのバリアを瞬時にして編み上げた。
「ふふ、それじゃあ……いくわよ?」
「いつでも」
 ウルスラの合図に、オズウェルドがシーサーペントの攻撃と、それ以上にウルスラが放つであろう魔法の耐性を上げるべく強化魔法を自身へと施す。
 それにクスクスと笑いながら照準をシーサーペントに合わせ、ウルスラが蠱惑的な唇を震わせる。
「蝶よ囁け。その囁きは風のきざはし、幻は駆けあがり渦となりて――霹靂に至らん」
 幾重にも重なって空中に現れたのは紫色に輝く蝶の印章、その一つ一つが雷の属性を帯びている。その空中を埋め尽くさんばかりに現れた印章に、思わずオズウェルドが眉根を寄せて呟いた。
「物騒だな」
「あら、これからよ」
 ウルスラがそう答えると、紫色に輝く蝶の印章がシーサーペントに向かっておびただしい程の数の紫雷を叩き付けた。
「ひゃあっ」
「やっぱり、重ねて張っておいてよかったね」
 その轟音と紫電の余波に思わずルゥーが首を竦めると、アースが笑ってルゥーを後ろへと庇う。
「まぁ……あれに耐えたの? 我慢が上手でいい子」
「言ってる場合かよ! 反撃、来るぞ」
 オズウェルドの言葉通り、シーサーペントが燻った煙を上げながらもその身を震わせて血の雨を降らせる。それは辺りをグリードオーシャンの深海と同じ環境に変え、シーサーペントの動きを活発にさせた。
 咆哮を上げるシーサーペントを油断なく視界に入れつつ、アースが己の水竜へと助力を請う。
「――すまない、水竜。力を貸してくれるか」
 アースの立つ地面が、淡く光る。呼応するように明滅すると、水晶の原石のような鱗で覆われた巨大な蒼い海蛇がアースを守るように現れる。
「頼むよ、水竜」
 きらきらと光る体躯を揺らし、水竜が吼えた。それは凍てる津波となって、シーサーペントの動きを阻む。その隙を突いて、オズウェルドが動いた。
「――じゃぁな」
 お前の『海』へ還れ、とオズウェルドが囁くと同時に、二又槍を天へ向けて掲げる。
「謳え。我が祖にして始なる力を――!」
 力ある言葉により天が緋色に染まり、幻緋竜が姿を現す。それはウルスラが放った紫電に負けぬほどの咆哮と共に、シーサーペントに向かって閃炎を迸らせた。
「その姿、尽きない夢の果てなんだろう? そろそろ還って、もっといい夢を見たらいい」
「ふふ、そろそろ暴れ疲れた頃でしょう? 元来た海へお還りなさいな」
 アースとウルスラが、止めを刺すようにひび割れていくシーサーペントに攻撃を放つ。
「もう来ちゃダメなんだよ? ……おやすみなさい」
 沈みゆく太陽と共に骸の海に還りゆくコンキスタドールに向かって、ルゥーが優しく囁いた。


●桜珊瑚島の夜、浜辺にて
 ロベルタが、倒したシーサーペントの鱗をザクザクと削ぎ落し、その肉を中々の手際の良さで串代わりの枝に刺すと、焚き火に向けて砂地に突き刺した。
「食べられたらいいな~」
「本当にお食べになるのですか……?」
 桜花が控えめに聞いてみると、ロベルタが元気よく立ち上がり、うん! と頷き、焼けるまで焚き火の周りで踊っちゃおうかな♪ と踊り出す。
「もし……お腹が痛くなったりしたら言ってください」
 最大限の気遣いをし、桜花が海を眺める。コンキスタドールになってしまう前のシーサーペントも、恐らくは人間を捕食する側で、倒すべき存在だったのだろう。
「コンキスタドールになって、逆に捕食されるとは思ってもいなかったでしょう……」
 それでも、人の血肉になれるのだとすれば、輪廻が叶うのかもしれない。桜花はせめてもの慰めにと、静かに鎮魂歌を口遊んだ。


 シーサーペントの肉を食べようとするその横で、エスタシュとヴィゼアは顔を突き合わせてどうやって骨を持って帰るかと相談していた。
「丸ごとは、さすがに損傷が激しくて無理っぽいな?」
「なら、頭蓋骨の部分と、持っていけそうな部分の骨だけでも持って帰るのはどうだ?」
 ヴィゼアの提案にエスタシュが頷いて、さっそく解体作業に取り掛かる。
 お土産は骨、喜んでくれるといいな。
 多分きっと、喜んでくれるであろう相手を想い、エスタシュが口元を緩めた。


「陸奥、伽羅、あんまり遠くに行ったらダメだぞ」
 瑞樹の呼び掛けに、勢いよく走りだそうとしていた陸奥が止まる。そうして、瑞樹を窺うように何度か振り向きながら、伽羅と共に砂浜を駆けた。
「ああ、綺麗だな」
 ぽっかりと浮かぶ月は、海にその光りを降りそそぐように輝いている。来てよかったと微笑むと、陸奥と伽羅が遊んでほしそうに瑞樹に擦り寄った。
「よしよし。それにしても、陸奥と伽羅に手伝ってもらったアックス&ウィザーズの戦争から、まだ半月しか経ってないってのは……」
 中々に信じられないな、と濃密な戦争の日々を思い出して瑞樹が呟く。また戦争が起これば、二人に手伝ってもらうことになるだろう。
「その時は頼んだぞ?」
 主の期待に応えるように、陸奥と伽羅が小さく鳴いた。


「あーあー、折角のお宝だったのにな!」
「まあそう言うな、ディル」
 メガリスであった髑髏は回収されてしまったけれど、まだ宝箱と鍵が残っているとアルデルクが笑う。
「いいよ、宝箱と鍵はアルにやるよ」
「ん? いいのか?」
 宝箱と鍵に付いている宝石も、かなりの値打ちものだぞ? とアルデルクがディルクに問う。
「いいって言ったら、いいんだって! それに、オレはもう一番のお宝があるし……」
「一番のお宝? そんなのお前持ってたか?」
 首を傾げたアルデルクに、ディルクがそっぽを向いたまま言う。
「髪は黒曜石で、瞳は金貨。オレの大事な宝物!」
 アルデルクが言った言葉をなぞらえた、ディルクの精一杯。それに気が付かないアルデルクはない。
「ッ、あー……」
 夜で良かった、とアルデルクが口元を押さえる。それから、そっぽを向いたままのディルクを自分の方へ向かせるために唇を開いた。
「その、なんだ。お前も俺の宝物だからなッ」
「へ? オレ……?」
 なんで? と首を傾げてこちらを向いたディルクに、アルデルクが笑う。
「俺にとっての、琥珀とルビーの大事な宝物」
「え、アルそれって……!」
 漸く気が付いたのか? と、アルデルクが呟けば、破顔したディルクが嬉しそうにアルデルクへと抱き着いた。
 少しの気恥ずかしさと、それを上回る喜びに、アルデルクがディルクの背を撫でて抱き締め返す。
 何よりも価値のある宝は、お互いの腕の中に――。


 色とりどりの宝石で出来た花冠が、二人の頭上で月の光を弾いて虹色のように煌いている。
「昼間の海も綺麗だったのでっすがー、夜の海も綺麗なのでっす!」
「そうだネ、これハ綺麗だト、私モ思うヨ」
 そして、手に入れた宝物も。
「この花冠も、今日の記念に大事にするのでっすよー!」
 満天の星空さえも戴いて、藍が嬉しそうに笑う。
 物にあまり執着はないけれど、何故か今日手に入れた宝物は大切にしなければならないと、ナハトは思う。
「私モ、大切にするヨ」
 何故かは解らないけれど、そうした方がいい気がするのだと藍に伝えれば、藍の笑顔が満天の星空に負けない程に輝く。
「藍ちゃんくんは、それはとっても嬉しいって思うのでっすよー!」
 ピスピス! とピースサインを決めた藍を眺め、きっとその理由はナハトを取り巻く彼らを知れば解るような気がして、触手を揺らしてナハトが言う。
「ソレは君達ヲ『視テ』学ぶトするヨ」
「藍ちゃんくんは、いつ視られても大歓迎なのでー!」
 イェイ! とウィンクをした藍に、ナハトもその光る瞳を明滅させて応えるのだった。


 焚き火の傍で、魔導書を開いて零時が顔を緩ませる。
「思った以上のお宝だったぜ!」
 水の加護が掛かった魔導書は、まるで彼の為に誂えたかのように零時の手にしっくりと馴染む。
「相性がいいんだろうな」
 アクアマリンのクリスタリアンである零時にとって、水は親和性の高いものだ。
 きっと少しずつでも研鑽を積めば、魔導書の全てを理解する日が来るだろう。今はまだ、未熟な魔法使いだけど、将来はきっと憧れた最強の魔術師になれるはず。
 その日を夢見て、少年は魔導書をまた一頁と捲るのだ。


 夕飯の支度やその他はお世話好き達に任せて、私達はお散歩でもしましょう? とウルスラに誘われて、ルゥーがアースとオズウェルドを見る。
「任せて貰って大丈夫だよ」
「……オレ達でやった方が早いだけだ」
 二人それぞれの反応だけれど、それはどちらも行ってらっしゃいと同義語だ。
「いってきまーす!」
「呼んだら戻ってくるんだよ」
 アースの言葉にはーい! と答えてルゥーがウルスラと手を繋いで日が暮れゆく浜辺を歩く。昼間とは違った顔を見せる海に、ルゥーが思わず立ち止まる。
「蒼い海も綺麗だけど、日暮れも素敵だわ」
「うん、るぅーも同じこと思ってたの! 海も、色んな姿になるんだね」
 夕日色をした、宝石のような水面を眺めて、再び二人が歩き出す。
「今日は大冒険だったわね」
 宝箱を見つけて、鍵を探して、コンキスタドールを倒して。
「こんな冒険なら、何度でもしてみたい! でも、皆が一緒なのがいいな」
 はにかんで微笑むルゥーに、ウルスラも嬉しそうに微笑んで、そうねと頷いた。
「オズ、そっちの準備はどうだい?」
 二人で張ったテントの近くで、釣った獲物と拾った貝を焼いているオズウェルドにアースが声を掛ける。
「ああ、もう少しだ。アースの方は……出来上がったみたいだな」
 シーフードカレーのいい匂いを嗅いで、オズウェルドが網の上から視線をアースが掻き混ぜる鍋へと向けた。
「うん、そろそろ二人を呼び戻そうと思ってね」
 頼んでもいいかい? と問うアースに頷いて、オズウェルドが浜辺へと向かう。そして二人に向かって大きな声で叫んだ。
「おい、飯だぞ!」
 その声にルゥーとウルスラが手を振って応え、テントの方へ戻ってくると、すっかり準備のできた夕餉に四人がいただきます! と声を揃えて食べ始めた。
「美味しい! カレーも、ウルとオズが釣って来た魚も、るぅーの採った貝も、ぜーんぶ美味しいよー!」
「ほんとね、アースが作ってくれたジュースもカレーに合っててとっても美味しいわ」
「喜んでもらえて何よりだよ」
 何より、美味しそうに食べてくれる皆の顔が一番のご褒美だと、アースが満足気にカレーを口にする。
「四人で食う初の外食がこれっつーのも贅沢だな」
 オズウェルドがそう言うと、ルゥーがほんとだ! と声を上げる。
 満天の星空と月の照明、波音のBGM、なんて贅沢な外食だろうか。全てをぺろりと平らげて、あとはテントで休むだけになった頃、海が星空になってる! とルゥーが叫んだ。
「ああ、本当だ。海が輝いているね」
「……これ、海蛍か」
 実物を見るのは初めてだけれど、何かで見たとオズウェルドが言うと、アースが納得したように頷く。
「あぁ……これが海蛍か。昼間も眩かったけど夜もこんなに夢の様とは……」
「きれいだね、海ってすごいね!」
 ルゥーが楽しそうに微笑み、折角だからお散歩しよう! とキラキラと青く光る波打ち際を四人で歩く。
「満天の星と海蛍の海に包まれる散歩道、中々ない贅沢ね」
 光る波打ち際に、白く綺麗な巻貝を見つけてウルスラが手に取る。空になった手毬の宝箱に仕舞えば、きっとこの思い出を忘れることはないだろうと大事に懐へ仕舞いこんだ。
 幻想的に煌く海を共に眺め、オズウェルドの頬が僅かに緩む。
「本当に、悪くねぇな……」
 思わず呟いた言葉は波音に攫われていったけれど、それすらも悪くない。
「ねぇ、また海に行こうよ!」
 ルゥーが星にも海にも負けないくらいに瞳を輝かせ、未来を口にする。それは皆がいてこその願い。
「ああ、必ず行こうね」
 この海の思い出は、ずっと忘れない大切な思い出になるだろう。でも、この四人ならきっと沢山の新しい思い出を作っていけるはず。そう信じて、アースは約束、とルゥーに向かって小指を差し出した。
「ウルも、オズもだよー!」
 無邪気に笑うルゥーに、ウルスラもオズウェルドも、素直に小指を差し出す。
 四人の小指が、一つに重なって――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月19日


挿絵イラスト