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メガリス眠る蒼の洞窟

#グリードオーシャン #メガリス

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#グリードオーシャン
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#メガリス


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●トレジャーハント
「うん……?んん?あれ、これって予知ってやつだよね……?」
 宝龍印・ヂュイン(バオロン・f26469)は、グリードオーシャンにある島のマーケットで手に入れた宝の地図を眺めていた。
 海賊王の使ったとされるカットラス……湾曲した刃を持つ剣。その眠っている場所を記したと言われる宝の地図を眺めていた時に、その予知を受けたのであった。

「これメガリスなんだろうな……うーん、うーん……」
 でもなぁ。ヂュインはウンウン唸る。本来であったのなら、即座に行動する即断即決な彼女ではあるのだが、今回は嫌に腰が重い。
 メガリス。
 それは世界中に眠る呪いの秘宝。このグリードオーシャンでは、それに触れた者を海賊とコンキスタドールのどちらかに変える呪われし宝物である。
 だがどうしても彼女は、そのメガリスが眠るアックス&ウィザーズの面影を残す無人島……後に「チャンス・ヴェー島」と呼ばれるようになる島に迎えない理由があったのだ。
 それは……。

●メガリスを求めて
「みんなは宝探しって好きかい?あたしは大好きだよ。良いよね、心躍るよね。色んな罠を踏破してさ、宝物を見つけた瞬間っていうのは、何者にも変えがたい気持ちよさだよ」
 ヂュインは集まってくれた猟兵たちに力説する。
 確かにグリードオーシャン出身である彼女にとっては、宝探しというものに対する思い入れは他世界出身の猟兵たちと比べても高いものであるのかもしれない。
 だが、力説する彼女の顔色が徐々に悪くなっていくのである。
 どうしたのだろう?と集まってきた猟兵たちが先を促す。

「うーん、実はね。今回みんなに向かってもらう無人島に伝説の海賊王と呼ばれた人の使っていた湾曲剣……まあ、カットラスって言ったら通りがいいのかな?それが眠っているんだよ。もちろん、メガリスなんだけど……」
 そう、ヂュインがある島のマーケットで見つけた宝の地図。
 そこに記されているのは海賊王と呼ばれた高名な海賊の所持していた剣の隠し場所である。それならば、彼女も……と思うのが普通であろう。

「あ、あはは……そうなんだけどね。今回はみんなを鉄甲船で近くまで送り届けないといけないから……みんなに譲るよ~……」
 歯切れが悪い。何か隠してる雰囲気がビンビンである。
 う、と痛いところを突かれたのかヂュインが渋々という風に口を開く。

「……ないの」
 なんて?聞こえない。

「……う~……泳げないの!あたし!」
 いや、誰も流石に海を泳いで無人島に行くという話をしていない。なんなら鉄甲船で向かって無人島を探索すればいい。
「違うの。無人島は無人島なんだけど、水没した洞窟の奥にあるんだよ、メガリス……」
 ああ、なるほど。水没した洞窟を進まねば、手に入れられないルートになっているのだろう。確かにカナヅチであれば諦めるほかない。
 悔しそうにヂュインが歯噛みする。どうにかしてカナヅチである事実を隠したかったのだろう。目論見はあっという間に看破されたが。

「もう、ほんとにもう!いい?まずは鉄甲船で無人島に行ってもらうんだけど、途中の海路は比較的穏やかだし、美味しい魚が取れる漁場でもあるから皆で海の幸でも楽しみながら向かって」
 半ば自棄糞のように説明していくヂュイン。豊富な漁場であり、鉄甲船から釣り糸を垂らしてもいいし、素潜りをしてもいい。他の誰かが釣った魚を調理して美味しく食べても良いのだという。

「無人島についたら、洞窟探検だね。ほとんど水没しているから、それに対する備えは必要になるから、そこはみんなの工夫次第。任せるよ。一番奥の洞窟にメガリス……カットラスが突き刺さっているよ」
 メガリスは一般人をコンキスタドールにしてしまう可能性もあるため、むやみに使われないように確保しないとならない。
 でも、とここで終わらないのが猟兵達の冒険である。そう、メガリスに引き寄せられるのは、猟兵だけではない。
 コンキスタドール。オブリビオンである彼らもまた、メガリスを横取りしようと現れるのだ。

「メガリスを確保して鉄甲船に戻ろうっていうタイミングで襲ってくるコンキスタドールがいるんだ。志半ばで死んでいった海賊たちの無念の集合体によって生み出された海賊船が今回みんなに撃破して欲しいコンキスタドールさ」
 死んだ海賊たちの無念と海賊艦隊の残骸が合体して生み出されたオブリビオンなのだという。
 海賊一団のコンキスタドールであるがゆえに、非常に強力なオブリビオンなのだ。これは強敵である。

「彼らは非常に強力かつ、仲間とのコンビネーションも凄まじいよ。みんなが苦労して見つけ出したメガリスを横取りされないように、頑張ってほしい」
 今回メガリス探索にいけないのが、とんでもなく悔しいのかヂュインはじたじたしている。そんな彼女を尻目に猟兵たちは転移の準備を始めるのだった……。

 秘宝眠る無人島探索。
 心躍る冒険譚が今、始まろうとしていた―――!


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はグリードオーシャンでのメガリス探しの冒険となります。いいですよね、秘宝の眠る無人島を目指す冒険譚!ワクワクしてまいります。
 今回皆さんが冒険ししていただく無人島の名は「チャンス・ヴェー島」。アックス&ウィザーズの面影を残す無人島になります。

●第一章
 まずは鉄甲船にて目的地である無人島を目指すのですが、ちょっと遠いので鉄甲船の上で釣りや料理を楽しんでいただきます。
 わりとゆるっとした時間になりますので、みなさんがどんな風に過ごしたいか、どんな魚を釣ったのか、どんな料理を作るのかをプレイングして頂けたら幸いです。
 ちょっとしたバカンスだと思って頂けたらいいかと思います。

●第二章
 無人島到着後、水没した洞窟探検になります。
 入り口と奥以外は全て水没しておりますので、どのような手段で海中に沈んだ洞窟を攻略するかをプレイングしていただきます。
 ユーベルコードを使っても良いですし、アイテムを使ってもいいかと思います。はたまた、猟兵の誇る脅威の身体能力と勢いに任せての行動もいいでしょう。
 海中を突破した先に剣が突き刺さっています。このメガリスの確保をお願いします。

●第三章
 みなさんが洞窟から帰還すると襲ってくるコンキスタドールとの戦闘になります。
 手に入れた宝物を横取りしようと思うのは、いつの時代、世界の悪役も考える手段です。
 海賊一団としての敵ですので強敵です。油断なく横取り野郎たちをぶっ飛ばしましょう!

 それでは、グリードオーシャンの島の一つ。そこに眠る財宝をめぐる冒険のシナリオとなりますので、どうか皆さんのキャラクターの活躍をかっこうよく綴らせていただきます。
 いっぱいがんばりますので、どうぞよろしくおねがいします!
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第1章 日常 『海鮮会戦』

POW   :    魚を素潜りで獲って食べる

SPD   :    魚を釣って食べる

WIZ   :    魚を自分で調理して食べる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 大海原を船足も軽やかに進む鉄甲船。
 波も風もそこそこに順調な航海である。このままであれば、一夜が明ける頃には件の無人島に到着することだろう。
 戦い続ける猟兵達にとっては良い気分転換になるだろう。

 幸いにしてこの海域は、豊富な漁場としても知られている。
 釣りをするにはもってこいの場所なのだ。鉄甲船には釣り竿や撒き餌、それに火を使えるキッチンも常備されている。

 ここで釣りを楽しみながら、料理をしたり皆と交流を深めるのもいいだろう。
マチルダ・メイルストローム
【POW】
島に眠るは海賊王の剣!
いいねぇ、こういう情報が入ってくるだけでも、猟兵ってやつになった価値があるってもんさ。
よーし、お宝の前に腹ごしらえといこうか!

釣り? あたしがのんびり釣り糸を垂らして獲物がかかるのを待てるようなたちに見えるかい?
剣と銃を手に海に飛び込んで魚を探すよ。
あたしが近づきゃ当然魚は逃げるだろうけど、このあたしからは逃げられやしないさ。秘宝「メイルストローム」で海流を操り泳ぎを阻害し、秘宝「レッドオーシャン」でブチ抜いてやるよ。

十分な数が獲れたら船に戻るよ。
料理? 焼けば食えるだろ?(雑)



 グリードオーシャン、それは空より落ちた島々によって形成された海の世界。
 そこには様々な秘宝が眠る島があり、無数のメガリスによって人々はユーベルコードを使う海賊となるか、それとも死してコンキスタドールになるかである。
 またまた海中に棲む生物たちもまたメガリスを捕食することによって、通常では考えられないサイズ……つまり巨大海洋生物へと姿を変えることもある。
 そんなメガリスを誤って人間が触れたりしないように確保するのが、今回の冒険。

 大海原を走る鉄甲船の上は、程よい風によって穏やかと言うほどでもないが、丁度良い波に晒されている。
 いい風に、いい波。それに向かう島に眠るは海賊王の剣。胸躍る期待感に体がウズウズするのを抑えられないといったマチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)。
 彼女もまた自由とお宝を愛する海賊であれば、このような冒険には期待感以上のものを感じているのだろう。
「いいねぇ、こういう情報が入ってくるだけでも、猟兵ってやつになった価値があるってもんさ」
 そう猟兵をやる以上、グリモア猟兵から知らされる事件にはメガリスの影があることが多い。
 それを察知して教えてくれる。そしてお宝を巡る戦いに出る。それだけでマチルダにとって値千金なのだ。

「よーし、お宝の前に腹ごしらえといこうか!」
 幸いにして船足はそう早くない。のんびり釣りをするには丁度いい……のだが、彼女がのんびり釣り糸を垂らす性分であるかどうかは別の話であった。
 銃と剣を手にとって、船の上から海を見下ろす。
 豊富な漁場だけあって食いでの有りそうな魚がいるいる。釣り糸を垂らして待っているだけでも、きっと魚はかかることであろうが……
 どぼん!
 ……どぼん?え、と鉄甲船に乗っていた者たちは一斉に思っただろう。落ちた!?と。
 だが違う。マチルダは直接素潜りで魚を獲るのだ!
 類まれなる身体能力と彼女の所持する秘宝によって、それを可能とする!

「当然、あたしが近づけば魚は逃げるだろうけど、逃げられやしないさ!」
 海流を操り、逃げそびれた魚を囲う。海流に阻まれ逃げ場を失った魚を撃ち抜くことなど、マチルダにとっては朝飯前である。
 それを何度も繰り返し、彼女の胃を満たすに十分な量を確保して鉄甲船に上がる。
 ドサドサと重たい音を立てて魚が打ち上げられているその横で、マチルダは快活に笑う。
 それは獲物を自慢するようでもあり、これから始まる海鮮の美味への期待の笑顔であったのかもしれない。

「……料理?焼けば食えるだろ?」
 だが、その料理は豪快にして男の料理!いや、料理……?塩振って焼けば塩焼きである。そのあまりにも男前なざっくりとした調理は、新鮮な魚であるということも手伝ってか、マチルダ好みの冒険前の腹ごしらえとなったのである!

成功 🔵​🔵​🔴​

エレオノーラ・フィオレンツィ
アドリブ歓迎

釣りと料理ですか…中々好きですよ?愉しくて

適当に釣りでもして時間を潰しましょうか…まぁあまりにも釣れなければ潜って取りに行きますが
どうせ私が満足するほどの量は釣れないでしょうし魚も少し食べた後は皆さんに渡してしまいましょうか
自分の分の魚は丸ごとかじり付いて食べます
(料理が愉しいとは一体なんだったのか)

することがなくなったら島に着くまで寝ますZzz



 海洋世界であるグリードオーシャンには、様々な世界の島々が落ちてきて形成されている。
 だが、ほとんどの島々は元世界の技術や記憶は喪われており、かすかに残った残滓によってその元世界の面影を見ることが出来る。
 グリードオーシャンはそのような世界である。故に、多種多様な生物で溢れており、エレオノーラ・フィオレンツィ(王の腕・揺蕩うモノ・f26188)もまたその一人である。
 巨人―――彼女の見目は麗しい女性そのものではあるが、人間種族の身長の有に2倍以上はあろうかという巨躯である。そんな彼女の見た目に反して、非常に穏やかに鉄甲船の上から釣り糸を垂らして釣りに興じているのだ。

 そんな彼女、船が出発してから周囲の者たちにこぼしていた言葉がある。
「釣りと料理ですか……中々好きですよ?愉しくて」
 やはり女性である。料理が好きであるというのは、なんともほのぼのしていい。彼女の物静かな雰囲気も手伝って、それは非常に期待度を高めさせるには十分なものであった。
 波の音と風の音しか聞こえない鉄甲船の上でエレオノーラは釣り糸を垂らす。
 豊潤な漁場であると聞いていたから、しばらく時間つぶしのつもりでいたのだが、これが中々忙しく釣り竿に当たりがかかるのだ。
 以外にも自分には釣りの才能があったのでは……そう思えるほどの大漁である。だが、どうにもこぶりであると思えてしまうのだ。

 確かに彼女の体の大きさであれば、通常の人間が食べる分には十分な大きさであっても、自身が食するには少し足りないサイズ感。といっても、エレオノーラが満足できる量は獲れないであろうと彼女は思っていたので、がっかりするほどでもない。
 予想の範囲内、といった体でエレオノーラが立ち上がる。
「せっかくですから、潜って獲りに参ります」

 え、と思った瞬間には鉄甲船の直ぐ側で水柱が上がる。
 深く深くエレオノーラが海中へと潜っていくと、おあつらえ向きに強大魚がエレオノーラに気が付き、逃げようとする。
 だがそれを逃がすほどにエレオノーラは俊敏さに欠けるものではない。その手は巨大な水かきのように。その足は鉄甲船にも負けないスクリューのように。
 海中を泳ぎ獲物を見定め、尾を掴んで海面へと顔を出し、獲物を掲げると鉄甲船から歓声が上がるのだ。
「……やりました」
 ぶい。と小さくサインを送る可愛らしさに、ほわほわする。
 鉄甲船に戻ってから、彼女がどんな料理をするのだろうかと楽しみにしていると……
 がぶぅ。
 ん?え、まるかじり!?生!で!?思わず誰かがツッコミそうになる。
 だって、料理愉しいって……言ってたし……それを意に介することなくエレオノーラの獲物は骨だけになっていく。
 ふぅ、と一息つくと彼女はごろりと横になる。え、えぇ……という空気になったものの、彼女は全くマイペース。

「島についたら起こしてくださいね」
 お腹がほどほどに満たされれば、今度は眠気。巨大な眠り姫は鉄甲船の上でのぽかぽか陽気に当てられて、すやすやと寝息を立てるのであった……!

成功 🔵​🔵​🔴​

ギヨーム・エペー
SPD

宝探しってワクワクするよなー。しかも道中で泳げるから楽しい。今だって海上にいるから最高に楽しい
素潜りも面白いが、今回は釣りを行おう。体力温存しときたいし、穏やかに揺れる波を見ていたいしな!何が釣れるかなーこの海は
食べる分だけを釣って、それらを調理するなら無難に塩焼きだろうか。太陽の流水で下処理して、魔術で焼いたら食えるだろ。火加減は少し焦げ目をつけるくらいだ
そのあとは海を見続けるかな。変わらない景色だとしても海は飽きが来ない。不思議だよなー



 海原を行く鉄甲船。多少の波があろうとも突き進むことの出来るこの船の度は、穏やかな波と風によって快適そのものであった。
 波間に揺れることも少なく、船旅の経験が少ない者であっても船酔いとは無縁のようだった。
 それに道中に危険がないというのもありがたい話である。猟兵にとってオブリビオンとの戦いは常である。故に、多少の外敵が襲ってきたとしても、大した問題にはならない。
 だからといって平穏な旅が退屈かと言われたら、そういうわけでもないのだ。
 こうやって海の旅ならではの醍醐味というものもある―――。

 ギヨーム・エペー(日に焼けたダンピール・f20226)は、鉄甲船により船旅と無人島に着いてからの宝探しに胸踊らせていた。
「宝探しってワクワクするよなー。しかも道中で泳げるから楽し。今だって会場にいるから最高に楽しい!」
 宝探しのワクワクもあるが、件の水没した洞窟での探検も楽しみなのだろう。並の人間であれば、生死をかけたような冒険なのだが、猟兵たちに取ってみればワクワクするものなのかもしれない。

「はー……穏やかだなー……」
 ギヨームはゆったりと鉄甲船の上から釣り糸を垂らす。
 穏やかな時間だ。体力を温存しておこうと、今回は素潜りはやめて釣り糸を垂らしての釣りに興じているのだ。
 それに穏やかに揺れる波を見ているだけというのも、こう心癒されるものがあるというものだ。釣りというものを心から楽しんでいるのだ。

「何が釣れるかなーこの海は」
 無人島への道中であるこの海域は漁場が豊かであるという情報はグリモア猟兵から得ていた。ただ、魚が多くいる、というだけでどんな種類がいるのかまではわからなかったのだ。
 釣ってからの楽しみというものもあるだろうが、魚の種類に応じて仕掛けや餌を帰るのもまた釣り人の楽しみというものでもあるのだ。
 ぐぐ、と釣り竿が当たりを見せる。
 慌てること無く、魚との駆け引きを楽しみながら、ギヨームが魚を釣り上げていく。
 ときには小さな。ときには大きな。そして、時には……

「あははは!イカが釣れたと思ったら、か、カニがイカに食いついて……はははっ!イカに今度は大物が掛かってら!」
 そんな偶然もあるのだろう。イカにカニが鋏で食いついて、さらにそのカニを丸呑みしようとした魚まで釣れてしまった。
 一石二鳥というか、なんというか。こんな偶然もあるのだから釣りは愉しい。

「さて、食う分だけ釣ったし……あとは調理するか。無難なとこで塩焼きだよなー……」
 下処理を終えて、魔術で焼いていく。火加減も慣れたもので、焦げ目が付くくらいに落ち着いてる。
 美味しそうな海鮮の匂いが食欲を唆る。ホクホク言いながら頬張る魚の身は淡白な味わいに塩がいい具合になっていたり、濃厚な甘みを感じるような魚の身もあった。
 食事をしながら、眺める海は変わらない。
 けれど、その変わらない景色は飽きが来ないのだ。

「不思議だよなー……海って」
 でかい。広い。飽きない。どんな言葉を使っても、この海原に囲まれた世界の魅力というのは表現しきれないものだろう。
 冒険の前ではあるが、こんな風に心穏やかに過ごせるのであれば、たまにはこういうのもいいかもしれない。
 そう思えるほどに穏やかな海の景色が続いていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『揺蕩う蒼き洞窟の彼方に』

POW   :    気合いがあれば酸素などどうとでもなる

SPD   :    息が切れる前に泳ぎ切ればよいだろう?

WIZ   :    酸素は魔法で作れます

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 遂にたどり着いた無人島。
 後に「チャンス・ヴェー島」と名付けられる島である。
 鉄甲船をつけ、次々と上陸していく猟兵達。グリモア猟兵の情報にあった水没した洞窟というのはすぐに見つかった。
 
 だが、想像以上に洞窟が大きい。
 これは最奥に眠るという海賊王の剣、カットラスが突き刺さる場所までは、かなりの距離があるのがわかる。
 無論、全てが水没しているわけではないようだ。長い年月を経て、潮流で満ち引きがあり、所々に空気溜まりがあるようだ。
 そこで休憩しながら、メガリス眠る最奥を目指すのがいいだろう。

 そうでなくても猟兵たちにはユーベルコードがある。
 どのような状況にあっても、彼らの起点、発想があればたどり着けない秘境などないのだ!
朧・紅
【赫】
アドリブ歓迎
《紅》人格で

水中洞窟!
何か泳いでたり、素敵な風景とか見れたりするでしょうか!

うーん
水中移動できる…かわゆい何か
出てこいです!
薬が一粒
なんでしょう?
飲むとぽふん
わわ、人魚になりましたですー!?

ねこちゃんライトだぁ(きらきら
かわゆき!ありがとです要さん
(確かに要さんかわゆき

いざ!
興味津々あちこち泳ぎ回るですよ!
トドメちゃん、要さん!みてみて真っ白いエビさん!
魚も白っ
お目目ないですね?

天井から光が漏れて鍾乳洞がきれーです……

ぅや、疲れたのです。
トドメちゃーん
電脳結界に入れてもらって休憩

まだ先は長いのでしょうか?
きっとこっち!
【第六感】で楽しく最奥まで突き進むです!


地鉛・要
【赫】アドリブ連携可

海での行動は初めてだからちょっとワクワクしてる。表情には出てないかもしれないけどな
っと・・・その前に、出発前に戦争機構からライトを取り出して紅に渡す。紅の要望通り、ねこちゃんの形の光を出すライト(海底探索改造済み)
・・・ん?百々女もねこちゃんライト欲しい?

空気は属性魔法で作れるから・・・頭をシャボン玉で包むような形で空気の珠を作って呼吸を確保しよう
自分の分の明かりは*海底洞窟を明るく照らす事に適応した海蛍を洞窟に行き渡る様に放つ
・・・それでも照らしきれない場所は有るだろうけど、無いよりはましになると思う


檻神・百々女
【赫】アドリブ歓迎★

うーん、海底洞窟って冒険!ってカンジがして素敵よね!
かなっちの猫ちゃんライト、可愛いが過ぎない?大丈夫?そんな可愛いアイテムもってる男の子で大丈夫…?
ま、まーそれはさておき!
電脳結界を複製、展開してトドメちゃんは電脳結界に乗っかって結界を展開!簡易的な探査船ってかんじ!
疲れたり、必要になったらみんなの分も用意してあるからね!

うーん、くーちゃんは冒険心を解かってるわね!好奇心が強いって素敵よ!
ヨリガミデバイスで写真撮っちゃおっと♪
んー可愛い!

あとは個人的にちょっと生態系を確認しておこっと
何かの役に立つかもしれないしー



 水没した洞窟……本来であれば人類が踏破するためには困難を極める場所であろう。空気はもちろん、水中を照らす機材や、満潮による侵食で複雑になった洞窟は肌をかすめるだけで傷を追うこともある。
 ともかく、これらの要因から洞窟探検というのは兎に角、苦難の連続なのである。
 だが、それは通常の人間の場合、である。
 そう、猟兵であれば問題ない。彼らにはユーベルコードと知識、経験、そして類まれなる冒険心があるのだから!

 朧・紅(朧と紅・f01176)と檻神・百々女(最新の退魔少女・f26051)、地鉛・要(夢幻の果てにして底・f02609)もまたそんな猟兵である。
 三人ともワクワクしている様子が見て取れる。特に紅と百々女はこれよりはじまる冒険に心を踊らせているのだろう。すごくわかりやすい反応を示している。

「うーん、海底洞窟って冒険!って感じがして素敵よね!」
「なにか泳いでたり、素敵な風景とか見れたりするでしょうか!」
 そんな二人が洞窟の中の光景を想像してキャイキャイしている端で要は表情に出さないまでも、内心彼女らと同様にワクワクしっぱなしである。
 顔に出ないから、そこまでとは思われないのであろうが、いそいそと、ねこちゃんの形の光を出すライトを紅に手渡す。

「ねこちゃんライトだぁ!かわゆき!ありがとです要さん!」
 紅のリクエストでライトを取り出したのだが、思った以上のリアクション。さらに百々女が食いつく。
「かなっちの猫ちゃんライト、可愛いが過ぎない?大丈夫?そんな可愛いアイテム持ってる男の子で大丈夫……?」
「……ん?百々女もねこちゃんライト欲しい?」
 心配というか、3人共すでに相当にテンションが高い状態であるということは疑いようがない。
 洞窟探検というだけでもワクワクしているのだが、水没した洞窟に入る機会もそんなにあることでもないのだ。そのテンションの高さも致し方なし。
 まあ、それはさておき、と百々女が仕切り直す。どうやら、3人のまとめ役は彼女のようだ。
 
 彼女のユーベルコード、代替術式(レンタルマジック)によって生み出された電脳結果を多数複製する。百々女は電脳結界にまたがると、さらに結界を展開して結界内の空気を確認する。
 これならば問題なく彼女の狙いである水中探査船のような用途で使えることだろう。
「上手くいったね!二人共、疲れたり必要になったら言ってね。ちゃんと用意できるから!」

 一方、紅は彼女のユーベルコード、空想造血(クウソウゾウケツ)によって、自ら創造するものを引き出そうとしていた。
「うーん、水中移動できる……かわゆい何か。出てこいです!」
 ぽいん!と薬が一粒。なんだろうこれは?と思いながら、ためらいなく口に含むと下半身が魚……つまりは人魚に变化!かわゆい!
 これならば水中を自在に移動することも可能であろう。わーい、と喜び勇んで早速水中にドボン!速い……!

 要はというと、属性魔法で空気を生み出すのだった。頭をシャボン玉のように空気の球で覆うようにすれば、手足を自在に使えるから便利であろう。
 紅に続いて彼もまた水中洞窟に挑む。思った以上に水は冷たくないように思えるのだが、何せ暗い。
 彼が持参したライトだけでは心もとないだろう。ふむ、と少し考えてから、ユーベルコード、監視軍蟲--視線の檻--(カンシグンチュウ)を発動する。
 召喚された多数の海蛍が一斉に洞窟内を照らし出す。
 相当な数の海蛍が要の指示に従って配置され、彼らが移動するのに合わせてゆっくりと周囲を照らしながら着いて着てくれるのだ
「……これでも照らしきれない場所があるんだな……無いよりはマシだと思うけど」

「トドメちゃん、要さん!見てみて、真っ白いエビさん!魚も白っ!……お目々ないですね?」
 紅は水中をあちこち興味津々な様子で見て回っている。水中洞窟内の生物は彼女の目を楽しませるには十分すぎるようで、あちらこちらに探索という名目も忘れたように泳ぎ回っては楽しんでいる。
 そんな彼女の様子に要と百々女の二人もほっこりするのである。
「うーん、くーちゃんは冒険心を解ってるわね!好奇心が強いって素敵よ!」
 バシャバシャ!と彼女はそんな紅や要の様子をヨリガミデバイスで写真を撮って残すのだ。んー可愛い!わかる。同意である。
 洞窟の天井から漏れ出る光は、要の放った海蛍の光と合わさって洞窟内を蒼く照らしている。それはまさに幻想的な光景であり、目を奪われるには十分なものであったことだろう。

「トドメちゃーん、いーれーてー」
 はしゃぎすぎて疲れたのか、百々女の電王結界で紅は休憩しつつ洞窟を進んでいく3人。要は百々女の指示通りに海蛍たちを操り、洞窟内を照らしていく。
 電脳結界の中で紅を休ませつつ、洞窟内の生態系のデータを取っているのだ。
 直接すぐにこのデータが役立つ、ということはないかもしれないが、何か今後役立つこともあるのかもしれない。
「かなっちも疲れたら、電脳結界入っておいでねー?」
 オッケー、という風にハンドサインを送る要を見送りながら、蒼く染まる水中洞窟を進んでいく3人。
 きっと3人にとって、この蒼の水中洞窟を探検したという思い出がメガリスにも勝る宝になることだろう。
 それは今すぐにではないかもしれない。後から、何年か後に振り返った時にこそ、蒼い輝きとなって彼らの心に宿るものになるのかもしれなかった―――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

マチルダ・メイルストローム
他にも何人か来てるみたいだけど、お宝は渡さないよ!

水没した洞窟か。人間だったら困るんだろうがあたしにゃ関係ないね。
あたしらセイレーンは深海生まれの水の精霊、むしろ水中がホームグラウンドだ。何日だって潜ってやるよ。
ま、他にも来てる奴らがいるのにのんびり潜ってる気もないがね。
【アクアティック・プレデター】を使用、邪魔する鮫やら何やらがいたら水中戦で叩っ切って、水中機動で一気に海賊王の剣まで泳ぎ切ってやるよ!



 宝探しというのは、ある意味障害物競走にも似ている。
 困難に向かって進んでいかねばならず、時に障害を取り払い、時には踏み越えていかねばならない。
 それがグリードオーシャンに生きるものであれば、百も承知のことであることは疑いようもない。欲望の海洋とはよく言ったものである。
 だが、競争がなければ、切磋琢磨もない。競争のない世界は停滞が待っているだけだ。そういう意味では、この宝探しは健全なものであるように思えた。

 マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)もメガリス確保に向かった猟兵の一人である。
 彼女の他にも猟兵は、このメガリス確保に赴いている。だからといってお宝を他人に任せる、ということは彼女の性分を考えればありえないことであった。
 何人競争相手がいようと、彼女にとっては負けるわけにはいかないのだ。
「水没した洞窟か……人間だったら困るんだろうが、あたしにゃ関係ないね」
 なぜならば、彼女たちセイレーンは水の精霊。むしろ、水中がホームグランドなのだ。なんなら何日だって潜ってやるよ!と豪快に笑うのだ。

 そう、確かに通常の人間であれば、様々な準備や機材が必要となるはずの秘境である。だが、彼女たちセイレーンにとっては馴染んだ場所のようなもの。
 彼女はユーベルコード、アクアティック・プレデターを発動させる。
 もとより水中に対する適正の高い彼女を、さらなる高みへと引き上げるユーベルコードによって、水中を瞬く間に駆け抜けていく。
 その様子はさながら、流麗な海洋生物と同義である。
「んっ……!のんびり潜ってやるつもりなかったけど……!」

 水中洞窟ということである程度想定はしていが、こういう海中の洞窟は鮫やらのすみかになっているパターンがあるのだ。
 目の前にはゆうゆうと泳ぐ鮫たち。最短で最速ルートを潜ってきたマチルダに思わぬ障害……ではなかった。
「この程度であたしの潜りを邪魔できるたぁ、思ってないだろうね!」
 そう、彼女のユーベルコードはマチルダの水中での戦闘技能をも高めるのだ!
 鮫程度で怯む彼女ではないし、止められるものでもない!

「邪魔をするな!どきな!」
 ユーベルコードによって底上げされた水中戦の技能は、もとより海中の覇者である鮫たちをも凌駕する。
 海中で自在に軌道を変え、鮫たちを翻弄しながら障害である彼らを撃破していく。
 その様は見るものが見れば、海中で踊るようであり、美麗な舞を見ているのと同じことであったことだろう。
 あっという間に進路を邪魔する鮫たちを仕留めてマチルダを進む。

「さあ、目指す海賊王の剣はどこだい―――!」
 彼女の瞳には、秘宝たる海賊王のカットラスしか映っていなかった。だってそうだろう。海賊であるのだから、秘宝を見つけたい、誰よりも先に、という想いは当然である。

 だからこそ、彼女の想いは推進力となって海賊王の剣が眠る最奥まで尽きること無く泳ぎ切ることができるのであった―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

ギヨーム・エペー
POW

さあて、準備運動はバッチリだ
一本道ではないし、水中だと更に方向感覚は狂いやすいから、迷子にならないよう気を引き締めていかないとなー
……あ。そういやワイヤー持ってたな、万が一に備えてガイドラインは用意しておこう

洞窟内に光はあるだろうか?多分暗いと思うから、明かりに氷ランプを生成する
小さな火の玉を、UCの応用で防御力増し増しの氷で覆えば完成だ
あとはー、泳がなくてもいい場所は泳がない。メガリスより空気溜まりを探すことを優先する
休憩は大事。進みが遅くてもおれは安定を求めて進むよ



 冒険に挑むのであれば、準備をしすぎるということはない。
 何よりも不測の事態に陥った時に、どのように混乱を鎮め、持てるもので対処できるか。それが冒険に挑む者たちが持つべきである資質であろう。
 冒険に際して逸る気持ちというのは、当然であるかも知れない。他者に出し抜かれぬよう、他者よりも早く、他者よりも多く。
 そう願う事自体は間違いではない。だが、得てしてそういう者たちは足元を掬われる結果になりがちであるのだ。よほどの実力と天運が無い限り。

 ギヨーム・エペー(日に焼けたダンピール・f20226)は、果たしてどちらであろうか。
 実力持つ者であろうか。それとも天運持つ者であろうか。
「さあて、準備運動はバッチリだ」
 そう、彼は安定を求める者。進み遅くとも、確実に一歩を踏みしめる者である。
 彼の考えは間違っていない。なぜなら、海中の洞窟は一本道ではない。迷路のように探索を進めなければならないし、何より息が続かないこともある。
 身の危険を覚えないというのは、時としてひつようなことかも知れないが、それは麻痺と同じであろう。

「よっし……水中だと方向感覚狂いやすいからな……あ、そういやワイヤー持ってたな。万が一に備えてガイドラインは用意しておこう」
 そう、行きは調子よく行けるかも知れないが、帰る道がわからなくなってしまっては本末転倒だ。
 ギヨームの配したガイドはメガリスを確保した後、戻る道を探す必要なく安全に戻れるために必要なものであった。
 水中に潜ると水温を肌に感じる。
 これなら多少は長く潜って居られよう。だが、無謀と勇気を履き違えてはならない、と気を引き締めるギヨーム。

「太陽とともにまわる」
 彼のユーベルコード、un tournesol(アントゥルヌソル)によって生み出された氷ランプによって海中が照らされる。
 ユーベルコードによって作成されたそれは、万が一に岩などにぶつけたとしても破損することはない。
 ゆっくりと確実に進んでいくギヨーム。空気溜まりを探しながら、一歩一歩確実にメガリス眠る最奥へと近づいていく。
 休憩をはさみつつも進む様子は、さながら熟練のクライマーのようだった。
 海中と山中、場所は違えど、冒険に挑むことには変わりない。彼の進みは遅々として見えたかも知れないが、近道は回り道だったということもある。
 着実に、堅実に、ギヨームは海中洞窟を踏破していったのである。

 そう、回り道に見えた道が、もっと最短であったのかもしれない。
 彼の瞳には最奥の輝きが見えたのだから―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

エレオノーラ・フィオレンツィ
アドリブ歓迎

洞窟探索ですか…この身体だとキツいことに漸く気付いてしまいましたが…仕方ありません…無理矢理行かせていただきましょう

潜水にはまぁそこそこの自信はあります…流石に水中種族とまではいきませんが身体が大きければ一度に掻ける水の量も多いですし
狭い場所は破壊して無理矢理進みます…崩落に気を付け、規模は最小限に抑えますが

地盤が頑丈で尚且つある程度であれば壁を破壊した方が早い可能性もありますね…



 鉄甲船に揺られて、程よい陽気でぐっすり休息をとった女性。
 ふわ、と軽く息を吐きだして体を起こすと、そこは無人島。ああ、もう着いたのかと眠そうな眼をこすりながら立ち上がる。
 体を伸ばすと体の奥から骨が軋む音が聞こえる。弛緩していた筋肉が伸びていく。それが心地よいと思える程度には、此度の船旅は良い波であったのだろう。
 エレオノーラ・フィオレンツィ(王の腕・揺蕩うモノ・f26188)は無人島に降りると、はた、と困ったことに気がついた。

 そう、今回の冒険は洞窟探検。最奥に眠る海賊王の剣であるカットラス……つまりはメガリスである。
 それを確保することが目的であり、その道中である水中に沈んだ洞窟は当然のように狭い場所である。
 人の有に2倍以上の身長を持つ巨人である彼女にとっては些か……その、キツい場所であるということに気がついてしまったのだ。
 だが、安心して欲しい。彼女の身長であっても入り込むことは可能である。ところどころちょっとキツイだろうが、潜れないことはない。

「……仕方ありません……無理矢理行かせていただきましょう」
 洞窟は彼女の身長以上ある。せまい、と感じるところもあるのだが、注意散漫になると、どこかに頭をぶつけそうになる、くらいのものだ。
 どぷん、と水中に潜ると体が軽い。
 潜水にはそこそこの自身のあるエレオノーラであるが、流石に水中種族とまでは言えない。
 だが、彼女の体は通常の人間のサイズの2倍以上あるのだ。ただの手のひとかきが、人間の泳いだ距離を圧倒的に引き離してしまうほどの推進力を生むことだってある。

「……ふむ。ここはショートカットできるのではないでしょうか」
 水中でそう考えるのも、巨人である彼女であればこそだろう。
 崩落しないように破壊すべきところは考えて行わなければならない。狭いと感じた場所は、手にした方天画戟で突き崩す。
 破壊するところは最小限に抑えるように気を使いながら、水中を進んでいく。
 蒼く輝く水中は、エレオノーラの心を震わせる位の光景であったであろうか。
 
 水中を悠々と進む姿は雄々しくも優美であった。
 時折、地盤が頑丈で尚且厚みがありそうな壁をユーベルコード、氷壊(アイシクルストライク)で破壊し、彼女の体が通れるほどの穴を開けて進む。
 効率的なショートカットを行いながら、彼女の大きな手でかき分けて進むのは通常では考えられないほどのスピードで洞窟の中を攻略していくのだ。

「案外早かったですね……ここが一番奥でしょうか……?」
 彼女がたどり着いた時、そこにはぽっかり空いた洞窟の天井から差し込む光を受けて光り輝く海賊王の剣……カットラス。
 ついにメガリスが眠る洞窟の最奥まで踏破したのだ!

 あとは、このメガリスを確保して持ち帰るだけ。だが……グリモア猟兵の予知は告げていた。
 困難を乗り込え、手に入れた者を横からかっ攫おうと狙う者たちの存在を―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『幽霊海賊船合体カイゾクオー』

POW   :    ガレオンバスター
【身体を構成するガレオン船に搭載した大砲 】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    派手に行くぜ!
【両手のカトラスを用いた海賊剣術 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    とんでもない奴ら
【亡霊海賊の中でも最強の5人チーム 】の霊を召喚する。これは【カトラスとピストルを用いた格闘術】や【チームワークが生み出す連携技】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:8mix

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠砲撃怪獣・ガンドドンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 水中洞窟を踏破し、メガリスを無事に確保した猟兵達。
 あとはメガリスを持って戻るだけなのだが……洞窟から帰還した彼らを迎えたのは、幽霊海賊船団のオブリビオン。
 つまりは過去の化身コンキスタドール!
 ただの幽霊海賊船団ではない。猟兵たちの目の前でただの船の残骸であったものたちが、次々と組み合わさり、巨大な人の形になっていく。

「―――幽霊海賊船合体カイゾクオー!」

 冗談だろ。そう呟くものが居てもおかしくないほどの光景。
 巨大な海賊船長のような姿をした、海賊船の残骸で構成されたオブリビオンが、彼らに迫る。
 猟兵たちが手に入れたメガリスを横取りせんと、その巨大な腕を伸ばす。

 だが、猟兵達も怯むばかりではない。
 コンキスタドールが過去の化身であるというのなら、猟兵は世界を進める現在の化身。未来という可能性を守る化身である―――!
マチルダ・メイルストローム
どこのどいつだろうと、このあたしのお宝の手を出そうとする奴は例外なくぶっ殺す!

海の女主人、あんたの本当の姿見せてやりな!
秘宝「シー・ミストレス」を幽霊海賊船合体カイゾクオーに向かってぶん投げる! 大砲は小さい物を狙うものじゃないし、撃ち落とされはしないだろ。さらに指定UCで秘宝「シー・ミストレス」を巨大な海竜に変化させるよ。
あたしの命令も聞かない奴だけど、でかけりゃそんだけ目に付くことになるし、カイゾクオーを狙うだろ。
超耐久で大砲を耐え、長い体による巻き付きと噛みつきで戦ってるのを眺めてようか。

ほどほどのところでシー・ミストレスは元の銃に戻しとくよ。自由に暴れさせたら島が滅茶苦茶になっちまう。



 どのような経緯であれ、一度手に入れたものを横取りしようとする者に対する慈悲など海賊たる彼女には持ち合わせていなかった。
 例え、それは彼女が一般人であっても、猟兵であっても、それは変わることなかったことだろう。
 他者の上澄みを掠め取ろうとする性根が気に入らないのだ。
 マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)は吠える。踏破すべき困難に立ち向かうこともせず、ただただ他者のおこぼれに与ろうとするその性根が許せない。
「どこのどいつだろうと、このあたしのお宝に手を出そうとするやつは例外なくぶっ殺す!」

 彼女の持つ秘宝「シー・ミストレス」の銃口が巨大な海賊船の集合体である幽霊海賊船合体カイゾクオーに向けられる。
 それは彼女の意思表示であると同時に宣戦布告でもあった。
「暴れてきな!シー・ミストレス!」
 空に投げつけられる銃。
 一見すると何を、と思われた行為であるが、彼女の思惑は別にある。
 そう、マチルダのユーベルコードによって、シー・ミストレスは本来の姿へと変化する。巨大な藍色の海竜。それがシー・ミストレスの本来の姿だ。

 咆哮を上げ、カイゾクオーのガレオンバスターの標的にされたことに怒り狂うシー・ミストレス。
 巨大な尾が跳ね上がり、カイゾクオーの土手っ腹を張り倒し、その巨体をぐらつかせる。
「あたしの命令も効かない奴だけど、でかけりゃそんだけ目につくことになるしねぇ……カイゾクオーを狙うだろうさ。かましてきたのはそっちなんだ。売られた喧嘩は買う主義なんでね」

 マチルダがからりと笑う。普段は手のつけようのない海竜であるが、このような状況においては非常に有効な手段に成り得る。
 ガレオンバスターの砲撃を受けても、その巨体はびくともしない。強固な外殻である鱗に遮られて決定打には成り得ないのだ。
 シー・ミストレスが、その長い体を使ってカイゾクオーを締め上げる。ギシギシと幽霊海賊船の集合体である体がきしみを上げる。
「こりゃぁ、ちょっとした怪獣ものだよねぇ……」
 まさにそのとおりな様相を見せる戦場。巨大な者同士が激突し、カイゾクオーの体を構成する海賊船がバラバラと、シー・ミストレスの牙によって崩落していく。
 終始優勢を保っていたシー・ミストレスだが、カイゾクオーが弱ってくると、今度はマチルダの方へと視線を向ける。
 それは持ち主であるマチルダに向けるような視線ではない。睨めつけるような視線。制御できないシー・ミストレスにマチルダは真っ向から視線をぶつける。
 上等な視線だ。やんのかい。
 お互いの視線が交錯する。

「……と、思ったが、アンタが暴れると島がめちゃくちゃになっちまうんでね。大人しく戻っときな」
 マチルダの眼前にシー・ミストレスの顎が迫る瞬間に、ユーベルコードが解除され、元の銃の姿に戻った秘宝が彼女の手の内に戻る。
 やれやれ、とマチルダは嘆息する。
 強力だが、制御できないっていうのは問題だねぇ、と。

 だが、シー・ミストレスの攻撃はカイゾクオーに相当な打撃を与えたことは確かだった。

「ま、今回はこんくらいにしといてやるよ。次、あたしの宝を狙ったときは……覚悟しな?」
 宝銃シー・ミストレスの銃口を向けて、宣言のようにマチルダは弾丸を放ったのだった―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

火土金水・明
「亡霊海賊の中でも最強の5人チームを召喚ですか。6人目を選んでいない事を敗因にしてあげましょう。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【先制攻撃】で【高速詠唱】し【破魔】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【サンダーランス】を【範囲攻撃】にして、『幽霊海賊船合体カイゾクオー』と召喚されたもの達を巻き込めるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



 秘宝を掠奪せしめんとするのは、古より蘇ったオブリビオンである幽霊海賊船合体カイゾクオー。
 いつの世も変わらぬのは、他者より奪おうと算段するものたちであり、彼らの傍若無人たる振る舞いは目に余るものであった。
 無人島に向けて歩み寄る巨大なカイゾクオー。嘗ての海賊船の残骸たちによって組み上げられたその巨躯は、通常の海賊たちでは歯が立たないことだろう。
 だが此処には猟兵たちがいる。
 過去の化身たるオブリビオンであるコンキスタドールがいるのだとすれば、そこには必ず猟兵が姿を現す。
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)もまたその一人である。黒衣はためかせ、その手を掲げる。

 その視線の先にあるのは、幽霊船から召喚された嘗ての海賊団の中でも最強の5人。
 カトラスや銃で武装した彼らは、過去において相当な技量を有していたものたちなのであろう。それは明の目から見ても確かなことだった。
「亡霊海賊の中でも最強の5人チームを召喚ですか。6人目を選んでいないことを敗因にしてあげましょう」
 掲げていた掌に集まるは、雷の力。紫電が大気中に走る姿は、まさに神話の体現者。
 彼女のユーベルコード、サンダーランス。5本の雷の槍が掌に形成されていく。

「我、求めるは、新たな雷撃の力」
 5人の亡霊海賊たちが明に襲いかかるよりも早く、煌めくは魔法槍の放出。
 その一撃は遥かに早く、亡霊たちを打ち貫く。だが、足を止めただけにすぎないそれは、攻撃を放って無防備な彼女に向かって襲いかかる海賊たちの次なる行動までを止めることは出来ない。

 そのはずだった。
「たった一度で終わりかとお思い……?」
 さらなる追撃のサンダーランスが放たれる。高速詠唱からの連続攻撃は、最大出力で持って、亡霊海賊とカイゾクオーを巻き込み、雷槌の雨を降らせる。
 轟音響き、散々に打ちのめされたカイゾクオー。だが、一方的にやられるオブリビオンではない。
 亡霊海賊たちがカイゾクオーと連携し、銃やカトラスでもって明を追い詰める。
 
 それでもなお、彼女には届かない。
「残念、それは残像です」 
 亡霊海賊たちの攻撃を見切り、残像を残しデコイとする。何もかもが彼女の掌の上で行われているような、そんな錯覚すらする戦い推移。
 バチ、と大気がまた震える音がする。 
 掲げた手には、再び形成される雷の槍。まさにその姿は魔女であり、夜闇のウィザードの名に相応しい実力。

「……6人目、やはり選んでいればよかったでしょう?」
 再び、5本の雷撃がカイゾクオーたちの頭上から降り注ぎ、止めどない雷鳴を響かせたのであった―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

夜神・静流(サポート)
「夜神の剣は魔を討つ刃。悪しき魔物が出たならば、何時でもこの剣を振るいましょう」
破魔技能に特化した退魔剣士。あるいは悪い人外絶対殺す女。
妖怪や悪霊、魔物、邪神等を討つ事を得意としており、その手の依頼には積極的に参加する。
一般人や仲間、友好的な相手には礼儀正しく接するが、討つべき邪悪に対してはとことん冷徹非情で、一切の慈悲を持たない。

戦闘中は抜刀術と退魔の術を合わせた独自の剣術(ユーベルコード)を状況に合わせて使用。
逆に戦闘と退魔以外の事に関しては不得手で、機械や横文字が苦手。

シナリオ中の行動に関しては、魔を討ち、人々を護るという自分の使命を第一に考える点以外は全てお任せします。



  メガリス眠るは、水中に沈んだ洞窟がある無人島。後にチャンス・ヴェー島と呼ばれるようになる島である。
 かの島へと乗り込んだ猟兵たちは、水中に沈んだ洞窟を踏破し、メガリスである海賊王の剣、カットラスを手に入れ戻ってきた。
 メガリスは一般人を生きて海賊へと変ずるか、死して過去の化身たるコンキスタドールへと帰るかの二択を迫る。危険な秘宝であるがゆえに、メガリスを確保しなければならないのだ。

 だが、メガリスを狙うのは猟兵や海賊だけではない。過去の亡霊たるコンキスタドールもまたメガリスを常に狙っているのだ。
 猟兵たちが確保したメガリスを横取りせんと島へと迫ったのは幽霊海賊船の残骸が集合した存在、幽霊海賊船合体カイゾクオーである。
 その幽霊船となって破損したガレオン船たちによって構成された巨人とも言うべき姿はまさに異様なものであった。

 そのさまをみあげるのは、夜神・静流(退魔剣士の末裔・f05903)である。黒髪の退魔の剣士はゆっくりと歩みを進める。
 彼女こそが退魔のスペシャリストであり、破魔技能に特化した剣士なのである。
「夜神の剣は魔を討つ刃。悪しき魔物が出たならば、何時でもこの剣をふるいましょう」
 鯉口を切る静流。その構えは抜刀の構え。彼女の流儀は魔を討ち、邪を払うことである。幽霊海賊船ともあれば、それは彼女の領分であろう。

 幽霊海賊船合体カイゾクオーから放たれたのは、召喚されし海賊船団の中でも最強の5人の精鋭亡霊たち。
 彼らは一直線に静流へと向かう。ある者はカトラスを。ある者は銃を。だが、静流は意に介さない。
 どんな獲物を持っていようとも、悪しき魔物であるというのであれば、彼女にとって得手不得手遠近関係などない。
 それに彼女の獲物は二振りの愛刀のみ。それに、もとよりこの刀を抜く以上がひつようとなる相手ではない。
 視線は逸らさない。多数に無勢である。だが、それすらも関係がない。

 ざ、と足を半歩後ろに流す。呼吸が整う。
 これより彼女が放つは、絶技にして妙技。凄絶なる鍛錬と弛みない研鑽の歴史が紡いだ抜刀の業。

「我が剣は氷。凍りつけ、四ノ太刀・氷雨!」
 裂帛の呼吸。彼女の愛刀、十六夜の刀身が煌めく。その抜刀はあまりに疾く、その全容を見ることは叶わなかったことだろう。
 だが、彼女の放つユーベルコード、四ノ太刀・氷雨(ヨンノタチ・ヒサメ)は、確かに冷気と共に吹雪が荒び、その斬撃は5人の精鋭亡霊たちを一瞬にして切り裂く。
 それで終わる彼女の退魔の斬撃ではない。

 斬撃はなった瞬間から、その傷口から溢れるようにして凍結していく亡霊たち。氷の棺とでも言おうか。彼女の斬撃に寄って放たれた冷気は、亡霊すらも切り裂き凍結させるのだ。
「魔を討ち滅ぼすのが私の使命です……死して尚、他者から奪うことを止めぬ者には、氷の棺の中へと返っていただきます」
 愛刀十六夜が鞘に収められる音と共に、氷棺が砕け散る。
 これが退魔剣士の末裔たる静流の実力。
 一瞬の攻防。
 
 その刹那において、彼女の討魔の剣閃は役目を終えたのだった―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

ギヨーム・エペー
おー、でっかい出迎えだな!それに人数も用意しているとは、仲がいいね
歓迎しているのはおれじゃなくてお宝なのが残念だ

どう崩していくかなー。連携が取れている相手を真っ向から受け止めるのは粋だが、花を持たせるつもりはない
おれも数で対抗しよう。間合いを取って、遠距離からUCを発動して攻撃を行う
今気を付けるのは銃弾かなー。詰めてきたら銛の長さを利用して牽制しつつ、各個撃破だ
できれば一人ずつ相手をしたいから、一人だけ弾幕を薄くしてこちらに近づきやすくしてもいいかもしれないな!



 いつの時代であっても他者の上澄みをかっ攫おうとする者たちは絶えることはない。どの時代であっても、どれだけ年月を重ねようとも、その欲望の本質は変わることはない。
 だからといって、安々と奪われる道理もない。それは猟兵達もまた同じである。
 海賊船団の残骸で組み上げられた幽霊海賊船合体カイゾクオーの体が今も健在である。その姿は禍々しくも、その欲望の集積した姿であることは疑いようもない。
 他者から常に何かを奪い取って生きてきた者たちの残滓であるとするのならば、彼らの姿は確かに真なるものであるのだろう。

 堅実さ、そのようなものは海賊には似つかわしいものであろう。だが、ギヨーム・エペー(日に焼けたダンピール・f20226)にとって、それは己の身を守る最低限の備えである。
 彼は海を愛しているが、侮ってはない。いつだって海は彼に牙を剥く存在であり、寄り添ってくれる存在でも在ることを忘れることはない。
「おー、でっかい出迎えだな!それに人数も用意しているとは、仲がいいね。歓迎しているのはおれじゃなくてお宝なのが残念だ」
 幽霊海賊船から現れたのは海賊船団最強と呼ばれる5人。彼らのコンビネーションは折り紙付きであろう。
 それにカトラスと銃による攻撃も侮れない。それだけのことをギヨームは即座に判断する。油断はしない。侮ることはしない。

 軽口を叩く彼は、迫る敵を前にして思考する。
 どう崩していくのが良いか。考える。思考こそが彼の最大の武器である。多数に無勢。1対5という圧倒的数による不利。それに連携が売りである海賊亡霊たち。
「真っ向から受けて立つっていうのも粋だとは思うが、花をもたせるつもりはない」
 彼の掲げた掌に集まるは魔力。高純度の魔力は、冷気へと姿を変えていく。
 大気が凍る音が聞こえてくるようだった。彼のユーベルコード、Prune des neiges(プリュネデネージュ)が発動する。

 掲げたギヨームの頭上には、空を覆わんばかりの氷槍の大群。それが彼の出した答えだった。
「おれも数で対抗しよう。まあ、これもある意味真っ向勝負って……言うには数が多いか。けどな、そっちは銃だって持ってるんだ。飛び道具が卑怯だとは言わないよな」
 快活に笑うギヨームが間合いを取るように後方に下がった瞬間、号令のように腕が振られる。
 同時に氷槍の大群が、まるで空を覆う雹のように5人の亡霊海賊と幽霊海賊合体カイゾクオーへと降り注ぐ。
 それはまさに弾幕を張るような豪雨。無人島でよかった、とギヨームは安心する。なぜなら、これが有人の島であるのなら、確実に港や島へのダメージを気にしなければならなかったからだ。

「おっ、と!できれば一人ずつ着てくれたら助かるんだけどな!」
 弾幕の雨をかいくぐって亡霊海賊の一体が眼前に飛び出す。だが、それはギヨームの狙い通りであった。
 わざと弾幕を一箇所薄くして、突出してきた亡霊海賊を仕留める算段だったのだ。
 彼の持つ魔力で生成された長柄の氷銛が亡霊海賊の体を貫く。
 まずは一つ!

「さあ、どんどん行く……!穿て、氷花!」
 さらなるユーベルコードの発動に寄って氷槍が生み出される。それはまるで魚を追い込むような漁じみた戦いであった。
 ギヨームの誘いに釣りこまれた亡霊海賊はそれと気が付かぬ内に討たれ、数を減らす。それはまるで熟練の漁師を思わせる戦いだった。

「あんたで最後だよ……!悪いね、おれ、結構グリードオーシャンの海は気に入ってるんだ。だから……少しでも亡霊には骸の海に還ってもらわないとな!」
 最後の一体を氷槍と銛が仕留める。
 これで敵の攻撃力は最大にこそぎ落とされたことだろう。
 彼の快活な笑みは最後まで陰ること無く、彼の戦いを彩ったのだった!

大成功 🔵​🔵​🔵​

エレオノーラ・フィオレンツィ
アドリブ歓迎

……確か、UDCアースの創作物でありましたよねこういう奴
まさかこのような場で目撃するとは…
まぁ良いですよ…正直、別にこのメガリスが絶対に欲しいわけでも無いので差し上げても構わないかなと個人的には思いますが、依頼ですので…
ええ、申し訳ありませんが…
(【破壊王】発動)
デカブツめが…消えるがよかろう?

UC発動後正面から戦闘…
接合部を狙って足元から崩し、凍結させて端から砕いていく
砲撃は氷の壁を多重展開して勢いを殺す



 後にチャンス・ヴェー島と呼ばれることになる無人島のメガリスを巡る戦いは佳境を迎えようとしていた。
 水中に没した洞窟より確保せしメガリスを巡る幽霊海賊合体カイゾクオーとの戦いは苛烈を極めていた。何せかのコンキスタドールは幽霊船であるガレオン船の残骸の集合体であり、その巨躯は猟兵たちを持ってしても戦いづらい相手であった。
 何せ巨大すぎるのだ。的が大きいと言っても限度がある。
 
 だが、ここはグリードオーシャンである。ここには彼らコンキスタドールの天敵とも言うべき種族もまた存在しているのだ。
 エレオノーラ・フィオレンツィ(王の腕・揺蕩うモノ・f26188)もまた、その一人である。
 巨人である彼女の体躯は人の2倍以上はあろうかという姿。
「……確か、UDCアースの創作物でありましたよねこういう奴」
 のんびりとした物言いではあるが、彼女もまた猟兵である。幽霊船合体カイゾクオーとの彼我の身長差は未だエレオノーラに歩が悪いと言っても、打倒できないサイズではない。
 むしろ、他の猟兵たちと比べても彼女の攻撃はカイゾクオーに有効であろう。

「まさかこのような場で目撃するとは……」
 彼女が読んだ創作物がどんなものであったかは、想像するほかないが、きっと活劇物であったことだろう。
 しかし、彼女にとってメガリスとは絶対に必要であるというものではない。なんなら渡してしまってもいいのでは?と思える程度のものである。
 だが、エレオノーラは依頼で受けたことはしっかりと守る者である。グリモア猟兵からの依頼であるのであれば、それを放棄することは考えられないのである。

 故に彼女は一度だけ礼をして侘びた。申し訳ありませんが……と。その仕草はコンキスタドールであるカイゾクオーから見れば奇異に映ったことだろう。
 オブリビオンと猟兵である以上、敵以上の認識はない。だと言うのに、エレオノーラは、申し訳ありませんと殊勝にも頭を下げたのだ。
 だが、彼女はカイゾクオーに侘びた理由は別にあるのだと、後に知ることになるだろう。それは徹底的な破壊に対する侘びであったと―――!

「それでは…参りますよ」
 彼女のユーベルコード、蒼海氷原の破壊王(フローズン・デストロイヤー)が発動する。
 エレオノーラの姿が氷に包まれていく。まるで大気中の水分全てを持って氷結させていくかのような絶対零度の空間に彼女の3倍はあろうかという異空の氷巨人が現れる。
 絶対零度を操る蒼氷の刃を纏う姿は、まさに蒼海氷原の破壊王。
「デカブツめが……消えるがよかろう?」
 まさに王たる風格。その姿は己を見上げるカイゾクオーを不敬とみなした。
 ガレオン船から放たれた砲弾は、彼女に届く前に絶対零度の氷壁の前に凍結し、海面へと没する。
「その砲、我への不敬である。疾くと砕け散るがよい……」
 海面が氷結し、カイゾクオーの足を凍結させる。逃げ場のない、逃げる足も封じられたカイゾクオーがたじろぐ。その凍結させた脚部を払うように放たれたエレオノーラの足払いがカイゾクオーを砕く。
 巨躯が凍結した海面へと激突し砕けるも、それだけでは飽きたらぬというように伸ばしたエレオノーラの手がカイゾクオーを次々と凍結させていく。
 砕く。破砕する。粉砕する。
 凍結と粉砕のループは永遠に続かのように思えたが、それはカイゾクオーの全身を尽く破壊し尽くすことによって止まる。

「我の前にしても、王を名乗る者に氷槌を下す……我が名は蒼海氷原の破壊王である。汝、不敬。故に汝罪あり―――」
 エレオノーラの裁決が下り、カイゾクオーは氷解と共に骸の海へと還るのであった。

 こうしてメガリスは無事に確保され、無人の島はこれより新たな人々の居住島として名を「チャンス・ヴェー島」として改めることになる。
 そこにはメガリスを巡ってコンキスタドールと戦った猟兵達の姿の記された石碑がいつまでも島を見守ることになるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月09日


挿絵イラスト