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チョコレート工場の怪

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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「バレンタインデーを前に、キマイラフューチャーに、怪しいチョコレート工場が出現しましてね」
 グリモアベースに猟兵たちを出迎えたのは、來米良亭・ぱん太(魔術落語家・f07970)であった。
「廃工場、っていうんですか、外見はそんなカンジなんすけど」
 コンコンすれば何でも出てきちゃうキマイラフューチャーの住人に、工場は縁遠いものだが、どんなものかくらいは知っている。
「その廃工場、稼働してる様子もないのに、甘いイイ匂いが漂ってくるんっすよ」
 すると好奇心旺盛なキマイラたちのこと、ついふらふらっとその建物内に入ってしまい……。
「……帰ってこない人が何人もいるんです。人喰いチョコレート工場なんて噂も立ってまして」
 これはオブリビオンの仕業で決まりあろう。
「せめて外観だけでもと、あたし、おそるおそる調査に行ってみたんっすけどね……」
 するとぱん太は、入り口に『チョコレイト工場脱出ゲーム』と、わざと目立たないよう掲げられた看板を見つけたのだという。
「チョコレート、でなく『チョコレイト』ってのが怪しいっすよね? 多分これ、脱出ルートのヒントですよ」
 そして、この工場がオブリビオンに作られたものだとしても、キマイラフューチャーに建っている限り『コンコン』は有効だろう。
「まずはこの工場の内部に侵入し、脱出ルートと、帰れなくなっている人たちを見つけてください」
 出てこれなくなって数日経つ人もいるそうなので、まず救出が優先だ。
 工場を作ったオブリビオンを倒すのはそれからだ。
「じゃ、今から廃工場の中に、皆さんを直接転送しますんで……いいですか、ヒントはチョコレイトと、コンコン、ですよ!」


小鳥遊ちどり
 猟兵の皆様、こんにちは。
 今回はバレンタインぽい脱出ゲームをお楽しみください。

●シナリオの最終目的
 工場の奥で待ち受けているオブリビオンを撃破する。

●1章の目的
 工場内を探索して、脱出ルートや、出られなくなっている人々、オブリビオンに通じるルートを見つける。
 本文でも言ってますが『チョコレイト』に対応した場所を『コンコン』するとヒントが現れます。当てはまる場所をコンコンした『6名様』にそれぞれ1つずつヒントを差し上げます。

●シナリオの構成
 1章:廃工場探索と人々の救出:冒険。
 2章:オリジナル必殺技発表会的な何か:冒険。
 3章:ボス戦。

 1章の謎解きはホント簡単なお遊びですので、考えすぎずネタにして楽しんでくださいね。ではではチョコレート工場の冒険、お楽しみください!
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第1章 冒険 『人食い屋敷からの脱出』

POW   :    扉を蹴破る、屋敷に「喰われた」人を救助する

SPD   :    屋敷の中を調べてヒントを探す、既に暗号を解いた人に答えを聞く

WIZ   :    ヒントをもとに暗号を解く、暗号が解けない人を励ます。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フロッシュ・フェローチェス
(SPD行動)
チョコレートじゃなく、チョコレイト。
……「チ ヨ コ レ イ ト」?
つまり6……かな、この場合は。
まあ取りあえずコンコン叩く前に【電脳搭載・魔導刻印ホロデバイスゴーグル】で何かしらの痕跡をたどってみるか。
【選択したUC】も、屋敷あいてにと使えるなら、使ってみたいところ。
惜しむらくは使い方かな――【野生の勘】と【メカニック】の目が働くと良いけど。

まあ何れにせよ。
ヒントや証拠の有無にかかわらず、
目途がついたとこで「コンコン」してみようかな。
例えばそう――機材の近くとか。


荒久根・ジジ
チョコは大好き!けど食べに行ったのにとって食われるんじゃー、ホンマツテントウってやつだよねぇ。でも…
「これでもコック。食材があるなら、料理にするまでさ!」

チョコレイト…わざわざ言い換えてるならソコが大事はなずだよね?そしてコンコン。…逆さに読んでトイレとか?まぁボクは【野生の勘】で、トイレのドアをコンコンしてみよー。もし合ってて、捕まってる一般人がいたらボクのバンケットルームで安全なところまで運んじゃお。避難ヒナーン!
「工場は残念だったね。ま、今度ボクのダイナーでよかったらチョコケーキサービスしたげるよ!」

あ、合ってても間違ってても情報は他の猟兵にちゃーんと知らせるよ!ホーレンソー、ってね!



「チョコは大好き! けど食べに行ったのにとって食われるんじゃー、ホンマツテントウってやつだよねぇ」
 前文明の遺物然とした機械たちの影は、それこそ人喰いの化け物のように見える。
 荒久根・ジジ(ビザールイーター・f05679)は、転移された部屋の動かぬ機械たちを、薄気味悪そうに見回してから。
「これでもコック。食材があるなら、料理にするまでさ!」
 自分を鼓舞して、探索に繰り出した。
「チョコレイト……わざわざ言い換えてるならソコが大事はなずだよね? そしてコンコン……っとお」
 思案しながら歩いていた彼女は、ちょうど赤と青の男女マークが表示されている扉の前を通り掛かった。
「……逆さに読んでトイレとか? まさかねえ……」
 あまりの安直さに首を捻ったジジだったが、だが彼女の【野生の勘】が、ピコンピコーンと何かを告げている。
 物は試しと女子トイレの扉に手をかけてみるが、押しても引いても開かない。
「うーん、怪しいね。一応、コンコンしてみよーか」
 ……コン、コン。
 すると。
 バタンッ!
「うおっ」
 押しても引いても開かなかったドアが突然激しい勢いで開いた。ジジが驚いて飛び退くと、
「うわあ、助けがきた!」
「あたしたち出られなくなってたんです!!」
 中から若いキマイラのカップルが泣きながら飛び出して、彼女に抱きついた。
「そ、そうなんだ、もう大丈夫だからね、ボクら猟兵が探索中だから……あれ?」
 ふたりを宥め落ち着かせながら、ジジはトイレットペーパーが不自然に引き出され、そこに何か文字が書いてあるのを見つけた。
「何だろ、これ……」
 ピッ、と丁寧に引きちぎると、そこには。
『食べ物を冷やす機械ってなーんだ?』
「……む?」
「クイズかしら」
「幼稚園レベルだな、冷蔵庫っしょ」
「てか」
 ジジはカップルを見比べて。
「あなたたちがこのくっだらないクイズ書いたの?」
「え、まさか。自分、ここまで頭悪くないっす」
「何度かトイレ使いましたけど、こんなの無かったわ」
 と、いうことは。
 ジジは薄汚れた壁や天井を見回した。
「これも脱出ゲームの仕掛けだね……」
 とりあえず冷蔵庫を探してみることにしたジジは、カップルに。
「工場見学は酷い目に遭っちゃって残念だったね。ま、今度ボクのダイナーでよかったらチョコケーキサービスしたげるよ!」
「え、あざっす!」
「猟兵さんに招待されるなんて嬉しい! 絶対いきますね!」
「うん、ぜひ来てね。じゃとりあえずコレに触ってみて」
「これっすか?」
「綺麗なキャンディケースですね……って、きゃあっ!?」
「ポケットサイズのパーティ会場へヨウコソ!」
 カップルたちはみるみるキャンディケースに吸い込まれてしまった。
 これこそジジの秘密兵器【🥞BanquetRoom🧁】なのであった。とはいえ、中はユーベルコード製のカラフルで巨大な料理が並ぶ不思議な部屋だから、快適なはずだ。
「安全が確保できるまで、そこにいてね~」
 ケースの中のカップルに告げると、ジジは、
「そうだ、まずは仲間に、『チョコレイト』の文字がヒントになってることを報告しなきゃ。ホーレンソーってね! そして冷蔵庫探しだよ!」
 元気に走り出した。

「チョコレートじゃなく、チョコレイト……チ ヨ コ レ イ ト ?」
 フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)は【電脳搭載・魔導刻印ホロデバイスゴーグル】で、機材の多くある部屋を慎重に観察していた。早まってコンコンする前に、何らかの痕跡を見つけたい。
 ガジェッテイアゆえに機械の仕組みなどを理解するのはお手の物。しかし彼女にも理解し難いブツがそこにはたくさんあった。
 例えば。
「『ココア研究所』……?」
 小さなドアに、墨痕淋漓とそう書かれた妙に立派な看板がかけてあったりする。
「まあ、ココアもカカオから作る物だからね……でも何か変」
 首を傾げていると、
「わかった、わかったよ!」
 トイレットペーパーをひらひらさせて駆け寄ってきたのはジジである。
「やっぱチョコレイト、の文字が手がかりだよ!」
 と、トイレットペーパーのクイズを見せられたフロッシュは。
「冷蔵庫ならあそこにあるよ」
 指した先には、ウォークインクローゼットほどもありそうな業務用の冷蔵庫。人なら数人は貯蔵できそう。
「うおお、いかにもだね……トントンしてみた?」
「まだ」
 というわけで……トントン。
 がばあっ!
「うおうっ」
 また扉が勝手に開き、そこには。
「大変だ!」
 またキマイラのカップルが……しかし今度は2人共意識がない。
 慌てて冷蔵庫から救出すると、2人共幸い息はある。冷蔵庫には電源が入っていないので凍えてしまったわけではなさそうだが、軽い酸欠状態のようだ。
 ……と。
「なんだこれ」
 2人を介抱しながら、フロッシュは空の冷蔵庫にぽつんと脱臭剤が落ちているのに気づいた。
「空っぽの冷蔵庫に脱臭剤だけ入れといても仕方ないでしょうに……ん?」
 拾い上げたその底に。
『カカオを原料とするチョコレートと並ぶ代表的な食品は?』
またクイズだ。今度は小学生レベルくらいか。
「『ココア』だね」
「だよね……ってか、あ、わかった!」
 ジジがポンと手を叩いた。
「しりとりだよ、これ! チ、ヨ、コ、レ、イ、ト、の6文字を使った!」
 最初が『ト』イ『レ』。
 次が『レ』イゾウ『コ』。
 そして次が……。
「……クイズの答えはココア、だろうけど、それだけじゃあとのチ、ヨ、イ、の3文字のどれにも繋がらないよ」
「ココアの後に何か続くのかな……?」
「うーん、ココアの後にか……あっ」
 フロッシュはつい先ほど調べていたエリアの方を、がばっと振り向いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シエナ・リーレイ
【POW】

「ここにお友達候補がいるの?とシエナはテフラさんに確認します。」

お友達候補がいるとテフラに誘われ廃工場を訪れたシエナ
スカートの中からお友達を呼び出すと人海戦術でお友達候補を探し始めます
無事にお友達候補を見つけられれば後は【友達作りのおまじないで】でお友達にするだけ
ですが、何故かテフラに止められてしまいました

「お預けなんて酷いの!とシエナは壁に八つ当たりしつつ怒ります。」

ご機嫌斜めになったシエナは周囲の壁を片っ端からコンコンして遊び始めます
そして、コンコンが原因で工場の罠が起動してテフラと共にチョコにされるかもしれませんし、テフラだけがチョコとなりシエナがお持ち帰りするかもしれません


テフラ・カルデラ
チョコレート工場に行方不明者…これは怪しいですね…
もしかするとお友達を得られるかもしれないとシエナさん(f04107)を誘っていざ廃工場へ!

しばらく探索していると例のチョコレイトが見えてきました、これをコンコンすれば良いのでしょうか?
…と出られなくなっている人々が全身チョコレート漬けのまま固められてしまっているようです
あ、シエナさん勝手にお友達にしてはいけませんよ?救出が優先ですからね
…って勝手にコンコンしたらダメですって…はわわ!?何これ!?溶けたチョコレートが降ってきた!?
もしかしてコンコンする場所間違えたからみんなが…
うぅ…口の中どころか全身が甘いっ!?あっ…身体固まっちゃ…



「しりとりですって。と、シエナはテフラさんに伝えます」
「チョコレイトの6文字が使われてるしりとりですね」
 立て続けに当たりを出した仲間達の会話を耳にした、シエナ・リーレイ(年代物の呪殺人形・f04107)と、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は、次は自分たちだ、とばかりに探索を再開した。
「ここにお友達候補がいるの? とシエナはテフラさんに確認します」
 シエナは何度目かの念を押す。
「そうですよ、でも、まずはお友達候補を探し出さなきゃ」
『沢山の友達が欲しい』という、かつての所有者の魂と共にあるシエナは、常に新たなお友達候補を求めているのだ。
「じゃあ、皆で一緒に遊びましょう! とシエナはお友達の皆さんを呼び出します」
 召還され、ずらりと並んだシエナの人形たち。人海戦術で探索を行うつもりだ。
 幾つかの部屋を見て行くと。
「これは怪しいですね」
 ロビーらしき空間に、巨大な板チョコがオブジェのように飾られているのを見つけた。しかもその下には、チョコレートで作られたキマイラカップルの像がある。
「あら、お友達ね。とシエナはお友達に近づきます」
 シエナはキマイラカップルの像に喜んで駆け寄っていく。
「あ、ちょっと、ちょっと待ってください、シエナさん」
「あなたもわたしのお友達になって! とシエナは特性のおまじないをお友達候補にかけます」
「待ってください、だってこの像……」
 キマイラカップルの像は、板チョコを見上げ、コンコンしているポーズをとっている……つまりこれは像でなく。
「工場の罠に捕まって、チョコで固められてしまった人なんじゃないかしら……」
 テフラは思案しているが、友達作りを阻止されたシエナは、
「お預けなんて酷いの! とシエナは壁に八つ当たりしつつ怒ります」
 ご機嫌斜めになってしまい、そこら中をコンコンしはじめた。
「……って勝手にコンコンしたらダメですって……まずは救出しないと……ああっ、それはコンコンしちゃ絶対駄目ですっ、チョコレートは脱出しりとりに当てはまらないですよ、もう『ト』は出てるんですからっ」
 テフラが止める暇もなく、シエナは怪しい板チョコオブジェをコンコン……!
 すると。
 ばっしゃああああ!
「……はわわ!? 何これ!? 溶けたチョコレートが降ってきた!?」
 やはり板チョコオブジェは罠だった!
 テフラの頭上へ液状のチョコレートが大量に降り注ぐ。しかもそのチョコレート、どうした加減か、テフラをくるみこむようにみるみる固まっていく。
「うぅ……口の中どころか全身が甘いっ!? あっ……身体固まっちゃ……」
 テフラはシエナを哀れっぽく見つめる姿で、見事なチョコレート像となってしまった。
 シエナはしばしウサギキマイラのチョコレート像を眺めていたが、しばしの後、おもむろに、よいしょ、とテフラ像を担ぎ上げた。
「(え、このままお持ち帰りするつもり? せめて脱出ルートを発見してからにしましょうよー!)」
 担ぎ上げられたテフラは声に鳴らない悲鳴を上げた。大好きな石化に似た状態になれて嬉しかったりもするのだが……。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​


 なんやかやあったが、脱出ルートや行方不明者を捜すためのヒントは『チョコレイト』の6文字を使ったしりとりであることが判明した。
 今のところ、
『ト』イ『レ』。
『レ』イゾウ『コ』。
 からヒントが見つかっている。
 残っているのはチ、ヨ、イ、の3文字。
 冷蔵庫で見つかった次の手がかりのためのクイズは、『カカオを原料とするチョコレートと並ぶ代表的な食品は?』である。おそらくその答えは『ココア』。
 つまり次は『ココア』から、ヨかイにつながる名称の物を探して、コンコンすればいいのだろう。
 先ほどフロッシュが見つけていた看板が怪しいようだが……?
フロッシュ・フェローチェス
なるほどね。つまり看板の「ココア研究所」はそのまま「ココアケンキュウジョ」と読む。
――確かに最後尾に、ョ……【ヨ】が付いている。
つまりこのドアか、部屋の中を叩けば良い訳か……。

此処から更にクイズを解いてみるか。

――ホロデバイスゴーグルや、【野生の勘】と【メカニック】の目だけじゃあ足りない。
万が一「事」が起こったなら【早業】で【ダッシュ】することも考えよう。

……まさかとは思うけど【選択したUC】が必要な場所、あったりしないよね?



 フロッシュ・フェローチェスは、仲間たちを妙な看板のかかる、小さなドア前に連れてきた。
「なるほどね。つまり看板の『ココア研究所』はそのまま『ココアケンキュウジョ』と読むわけね」
 確かに最後尾に、ョ……【ヨ】が付いている。
「つまりこのドアか、部屋の中を叩けば良い訳か……」
 フロッシュは早速ドアをコンコンしようと手を出しかけたが、
「(――ホロデバイスゴーグルや、野生の勘とメカニックの目だけじゃあ足りない。万が一『事』が起こったなら、早業でダッシュすることも考えよう)」
 不測の事態がふと頭をよぎる。このゲームに罠も仕掛けられていることは、仲間たちの活躍――というかヤラカシで知っている。
「……まさかとは思うけど戦闘を必要とするような罠、あったりしないよね?」
 それでも一応ユーベルコードを使えるよう心づもりしてから、フロッシュは思い切ってドアを叩いた。
 コン、コン。
 すると。
 がっばあああ!
 と、またすごい勢いでドアが開き、部屋の中から。
「おめでとーございまーす、大当たりぃ~♪」
 小太りの中年オッサンが出てきた。オッサンは一応スーツ姿だが、Yシャツの裾はスラックスからはみ出、ネクタイは首ではなく、頭髪減退気味の頭にハチマキのように巻かれている。おまけに顔は真っ赤で、千鳥足、おまけにえらい酒臭い。
 つまりは、絵に描いたような酔っぱらいなのだ。
 ……ん?
 酔っぱらい?
 ヨッパライ……『ヨ』ッパラ『イ』!?
「「ヨッパライ!?」」
 猟兵たちが声を揃えると、酔っぱらいのオッサンは、
「はあーい、もひとつ大当たりい~♪ ご褒美にこれあげるねえ~」
 と、手に提げていた折り詰めを猟兵たちに押しつけて、ご機嫌でいずこへともなく去っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​


 呆然とオッサンの後ろ姿を見送った猟兵たちだったが、
「う、うう~ん」
 ココア研究所(?)の室内からうめき声が聞こえてきて、慌てて覗くと、ここにもキマイラのカップルが倒れていた。急いで部屋から連れ出すと……酒臭い。単なる飲み過ぎのようだ。たぶん先刻のオッサンにつきあわされたのだろう。
 大事なくて良かったが、少々同情し難い。
 ――ところで。
 次なるクイズは、オッサンのお土産の折り詰めの中であろう。
 爆発物とかじゃなかろうなと、おそるおそる開いてみると、中には当然お寿司などは入っておらず、1枚のカードが。
 またクイズである。
『魔女とも恐れられたハンガリーの伯爵夫人エリザベート・バートリーは、自分の美貌を保つために、多くの乙女を拉致し残酷な方法で殺した。彼女は乙女の何を欲して、このような所行に及んだのか?』
「――簡単じゃん!」
 大概の猟兵は、こういう方面の問題は大得意……でしょ?
「生き血でしょ! 『イ』キ『チ』!!」
 皆でわいわいと答えていると――。
「ホホホホホ、よくできたわね!」
 突如背後から女性の高笑いが聞こえてきた。
 振り向くとそこには、大層美しい……けれど若作りが痛々しい、中年の貴婦人が現れていた。豪奢なドレスは血にまみれ、鉄の処女をはじめとした拷問具を背景のようにわんさか背負っている。
「ま、まさか、エリザベート・バートリー?」
「そうよ、あたくしが血の伯爵夫人、エリザベート・バートリー。脱出したければ、あたくしを倒してお通りなさい!」
 エリザベートは、拷問器具をガッシャガッシャ言わせて猟兵たちの前に立ちふさがる。
 彼女を倒さなければ、最後のヒントは手に入らないようだ。こうなったら戦うしかない。
 とはいえ彼女も所詮工場の仕掛けのひとつにしかすぎない。単なるエンタテインメント用ロボットのようだし、猟兵の一撃でアッサリ倒せてしまうだろうが――。
桜田・鳥獣戯画
チョコレート工場とあっては出向かねばな!
謎はいくつか溶けている(チョコだけに)ようだがあと少し、参加させてもらおう!
【壁】の者がいれば同行を希望する!

喰われている人々を見つければ順次助けてゆくが、…なぜカップルばかりなのだ。
こんなところにもリア充の波が。
誰かとタイミングが合えば協力し、人々の救助を担当する。

次のヒントは『ココア研究所』をコンコンすればよいと思うが、問題はその次だ。
『ヨ』で始まり『イ』か『チ』で終わる言葉…
『チ』が最後のループに使われるとすると『イ』か。
『四階』『要塞』『ヨーグルトの世界』『余分三兄弟』
………頭脳労働は得意ではない!! WIZ高い人に任せた!!

アドリブ喜びます!!


イデア・ファンタジア
『空色の空』の直射日光でチョコを溶かして助けられないかしら?
試しつつヒントについて考えてみるね。

うーん、問題のレベルがだんだん上がってるのね。次は中学生レベル……ってことは英語?
あっ、『研究所』!ココアラボラトリイ、じゃないかな!?
早速例の看板をノックしちゃうよ。コンコンっと。


ヴィクトル・サリヴァン
生血、チョコレイト、トイレ…成程。繋がったか。
けれどこれではループ、出口には繋がらないから何かあるんだろうね。
まあまずはぶっ飛ばしてから考え…壊し過ぎると怖いし程々に。
水属性で霜を起こして動きを鈍らせてみよう。制御ヤバそうなら銛(獣奏器)でSPD重視で攻める。
動きが止まったら何かヒントを持ってないか探る。

さて、一つ怪しい気がしたのは墨痕淋漓の看板。
工場にも研究所にも唐突でそぐわない気がするんだよね。
WIZ行動で看板自体を探ってみたり。
あとは…甘い匂いが特に強い場所がないか探す。キマイラが引き寄せられる匂いの具体的な発生源求めて。
怪しい所はちょっと考えてから尻尾でコンコン。


※アドリブ絡み等お任せ



「生き血、酔っぱらい、ココア研究所、冷蔵庫、トイレ……なるほどつながったか」
 ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は、仲間たちと共に血塗れの伯爵夫人を包囲しながら思案していた。
「けれどこれではループ、出口にはまだつながらないから、まだ何かあるんだろうね」
 ぶつぶつ呟きながら、サリヴァンはおぞましい拷問道具をたんまり背負った貴婦人の背後に回り込んだ。
「まあまずはこのヒトをぶっとばしてから考えよう……壊しすぎるとマズいかもしれないから、ほどほどに――エレメンタル・ファンタジア!」
 加減しながらユーベルコードを発動して、控えめに霜を発生させてみた。ヴィクトルの足下が白く凍り付き、その霜は巻いたカーペットを転がすかのようにターゲットの足下に広がっていく。
「これで動きが鈍らないかな……?」

 一方。
 桜田・鳥獣戯画(デスメンタル・f09037)とイデア・ファンタジア(理想も空想も描き出す・f04404)は、チョコレート像にされたキマイラカップルの救出を試みてみることにした。先ほど仲間が見つけたロビーに向かう。
「チョコレート工場とあっては、出向かないわけにはいかない! 謎はいくつか溶けているようだが……チョコだけに……あとひと頑張りさせてもらおう!」
 鳥獣戯画は工場に興味津々の様子で、少々の寄り道はしたが、2人は罠オブジェのあるロビーに到着した。
 哀れなキマイラカップルは、まだチョコレート像の姿のまま立ち尽くしている。
「ふうむ」
 鳥獣戯画はしげしげとカップルをあらゆる角度から眺め回し。
「なぜ捕まってるのがカップルばかりなのだ。こんなところにもリア充の波がきているのか?」
「というか、カップルばかり閉じこめているってことじゃないかなあ……私、試してみたいことがあるんだけど、いいかしら」
 イデアは、
「ファンタジアを今ここに、その姿を描き出そう! 君の名は――スカイキャスター!」
 ユーベルコード『空色の空』を発動した。
「おうっ」
 ぎらぎらと陽光が照りつけてきて、鳥獣戯画は思わず掌で庇を作った。
「直射日光でチョコを溶かしてあげられないかしら、と思って。ちょっと様子を見てみましょうよ」
 溶け待ち(?)をしながらも、イデアはヒント考察に余念がない。
「『チ』はチョコレートラボラトリィ、じゃないかと思ったのよ、問題のレベルが上がってきているから。中学生レベルってことでね。でも違ったみたい」
 ふむ、と鳥獣戯画も頷き、
「イキチ、で『イ』は使ってしまったからな。私はココア研究所の後は『四階』『要塞』『ヨーグルトの世界』『余分三兄弟』あたりじゃないかと思ったのだが、お互いハズレだったな。頭脳労働は得意ではない!! 頭のイイ人に任せた!!」
 とかなんとか言っていると。
「あっ、溶けてきたよ!」
 カップルを分厚くくるんでいたチョコレートが日光にじわじわと溶けだしたではないか!
「やったわ、ねえ、動ける?」
 イデアが問うと、カップルがわずかに頷いた。
「少しでも動けるなら、みんなのところに連れていってあげましょうよ。誰かが被害者を保護できる部屋を装備してきていたわよね。あの中ならシャワーもあるかも。熱いシャワーならきっともっと溶けるわ!」
「それはいい考えだ」
 と、鳥獣戯画も反射的に頷いたが。
「えっとこのヒトたち、まだ歩くのは無理だよな? ってことは」
 つい、でろでろねちょねちょのカップルに視線をやってしまう。
「担いでいってあげましょう!」
「えっと……このチョコレートまみれのべっとべとのまま?」
「うん、もちろん。他にどうするっていうの?」
 イデアは邪気のない眼差しで鳥獣戯画を見上げた。
「う、うんわかった……がんばろう」
 ……猟兵もつらいよ。

 場面は戻って。
 サリヴァンの発動した霜は、確かにエリザベートの動きを鈍らせることはできた。
 だが、動けなくなっただけで、次のヒントを出してくる気配はない。足下を凍り付かせ、ぎくしゃくした笑みを浮かべながら、相変わらず、
「オホホホホ、私の屍を踏み越えて通りなさいな!」
 的なことを言ってるだけで、ますます不気味なオバサンになっただけである。
「やっぱり壊さないと駄目みたいだね、ならば」
 ヴィクトルは素早く獣奏器である銛を構え、狙い済まして投げた。
「えいやっ、これで止まるかな……っ」
 ガッ。
 銛はエリザベートの首の関節を捉えた。ツボでいうと、天柱あたりだ。
 ガキッ、ガガ……ピピッ……。
 銛の先端が機構をショートさせたようで、火花と煙が出、
「オホホホ……オホ」
 ……ぷっすん。
 高笑いの反響だけを残し、エリザベートの動きは止まった。
「止まった……ね?」
「もう動かない?」
 猟兵たちがそっと近づいていくと。
 ぱかっ。
「わあっ!?」
 また突然、エリザベートが背負っていた拷問具のひとつ、鉄の処女の扉が開いた。そしてそこから、背中合わせに縛られ、猿ぐつわと目隠しまでされたキマイラカップルが転げ出てきた。
「うわあ、大丈夫ですか?」
 鉄の処女の中にトゲは生えていなかったのでケガはないようだが、青息吐息の様子。猟兵たちはあわてて縄や猿ぐつわを解いて介抱してやる……と。
 ゴ……ゴゴゴゴゴゴ……。
 またまた唐突に地響きが起こった。
 今度は何だ? とあたりを見回していると、製造室のコンクリート壁の一部が崩れ落ち、古びたエレベーターが現れた。
 そして、エレベーターの扉には。
『地下室行き』
 という貼り紙が。
「地下室……『チ』カシツか!」
 チョコレイトの6文字のヒントはこれでクリア、しかも6文字ループから抜け出した単語が示されている。
 いよいよ脱出ルートへと、そしてこの工場を支配しているオブリビオンが近づいてきた気配がするではないか……!
 ヴィクトルはエレベーターに近づき、シャチの鼻でくんくん、と匂いを嗅いでみた。
「うーん、一層甘い匂いがするよ。工場の深層部から上がってきたってことじゃないかな」
 シャチの尻尾が、コンコン、とエレベーターの扉を叩くと。
 ガッシャン!
「うわお」
 またしてもいきなりエレベーターの扉が開いた……猟兵たちを誘うように。
 ヒントは出そろったとはいえ出口がまだ見つかっていないのだから、これに乗って地下に降りていくしかあるまい。
 いかにも怪しいエレベーターではあるが……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『オリジナル必殺技!』

POW   :    力を生かしたオリジナル必殺技を披露する

SPD   :    速さを生かしたオリジナル必殺技を披露する

WIZ   :    魔法的なオリジナル必殺技を披露する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 乗るのを躊躇するくらいレトロでポンコツなエレベーターだったが、猟兵たちは意を決して乗り込んだ。もちろんジジのバンケットルームに入れた、キマイラカップルたちも一緒だ。
 全員が乗ると自動で扉が閉まり、ガクンッ、とドキリとするくらいの揺れ具合でエレベーターは下降を始めた。エレベータ-の中には回数ボタンも、回数表示も無いが、かなり下っていることは確かだ。
 そしてまた、ガタンッ、とかなりの衝撃を受けつつエレベーターは止まり、扉が開いた。
 降りた場所は、薄暗い照明で照らされた、だだっ広いコンクリート打ちっ放しの空間だった。体育館くらいの広さがあるだろうか。ザッと見回したところ、エレベーター以外出入り口はない。
 ここに何かまた手がかりがあるかも? と、猟兵たちが手分けして観察に向かおうとした時
 ガタンッ、ウィーーーーン。
 また唐突に、今度はモーターか油圧ジャッキのような音がして。
 今度は何だ!? と身構えていると、地下空間のど真ん中が持ち上がってきた。直系5メートルくらいの円柱だ。円柱は、1メートルくらいの高さで持ち上がると、動きを止めた。
 まるで舞台のセリのよう……っていうか、ステージ?
 何だろう? と、皆で周りを回ったり、上ってみたりして観察していると。
 ガガガガッガッ。
 また突然耳障りな音が。
 この工場を仕切っているオブリビオンは、よっぽど仕掛け物が好きらしい。
 しつっけえな、今度は何だよ! と半ば怒りながら猟兵たちは音の方を向く。
 すると、コンクリートの壁面の一方がシャッターか緞帳のようにずりずりと持ち上がっていっていた。壁の中は一面の磨りガラス、ガラスの向こうはまた別の空間があるようで、こちら側より少し明るい。
 ガガガガ……ガッ。
 壁の動きが止まり、磨りガラスの向こうに人物のシルエットが映った。但し、大きなハート型の被り物をしているような姿だ。
『諸君、よくここまでたどり着いた!』
 機械的に増幅された大声が体育館的空間に響いた。擦りガラスの向こうのハート人間の声だ。
『私がこの工場の主だ』
 だろうと思った……というのはおいといて、猟兵たちは。
「ちゃんとヒントを手繰ってここまで来たのだから、出口を教えろ!」
『まだ出口を教えるわけにはいかん』
「何でだよ!」
「マジで粘着質だな!」
「具合の悪い人もいるのよ、早く出しなさい!」
 パワー系の者たちが磨りガラスを蹴ったり、武器で殴ったり、コンコンしたりしてみたが、どういう素材なのか傷一つつかない。
「ってか、お前こっちに出てこいよ! 顔くらい見せろ!!」
 ふはっはっはっ、とハート人間は腹立つくらい余裕な笑いを響かせ、
『私にまみえたければ、君たちのオリジナル必殺技を披露するんだな!』
「……は?」
「なんだって?」
『君たちのオリジナル必殺技が、青星11個分に達すれば、私と会うことを許し、出口も示してやろう』
 青星11個分ってのはよくわからないが、とにかくオリジナル必殺技をハート人間に披露しなければならないようだ。
 面倒くさいが仕方がない。
『さあ、誰から披露してくれるんだね?』
 と、ハート人間は謎の円柱……ステージを指した。
 ステージ含め、この体育館のような空間は、磨りガラスと同じく、かなり頑丈に出来ているようだ。
 心置きなくユーベルコードや、武器に秘められた必殺技を、ハート人間に見せつけてやろう!
シエナ・リーレイ
【テフラと同行】
「待って!とシエナはテフラさんを追いかけます。」

必死の形相で逃げるテフラをとてとてと追いかけるシエナ
どうやらテフラをお持ち帰りする最中にチョコが日光で溶けた為に逃げられてしまったようです
だけどテフラの逃げた先はチョコレート工場、あっさりと彼を追い詰めると人形化の【呪詛〕に満ちたスカートの中の世界に入れようと迫ります

「お家に帰りましょう?とシエナはスカートをたくし上げつつ迫ります。」

ですがテフラも怒ったのか巨大蝋燭を呼び出すと溶けた蝋をシエナへ浴びせてきました

哀れにもシエナは蝋人形にされるのか、それとも蝋人形となった犠牲者達をスカートの中へ入れるのか、それは神のみが知る事でしょう


テフラ・カルデラ
【シエナと同行】
ふぅ…危うくお持ち帰りされるところでした…
さすがにチョコで固まるのは良いですがお持ち帰りはさすがに…
ギリギリのところでエレベーターを作動させて逃げれましたが…今度は何なんでしょうか?

黒幕っぽい工場長と名乗る者がユーベルコードを披露するって…
…ってシエナさんが追いかけてきた!?お家とか言ってるけどそれどう見てもスカートの中だよね!?
こうなったらもうヤケだ!周りに被害が出るようなユーベルコードだからあまり使いたくなかったけど…ステージ外に出ながら対生物固化蝋液津波を使います!
そんでもってみなさんステージ上に避難してください!!でないと巻き込まれま…うわぁぁ!?(真っ先に巻き込まれる



 さて、仲間たちがハート人間と硝子越しになんやかんや言い争っている頃、まだ地上階にいる猟兵がいた。
「待って! とシエナはテフラさんを追いかけます」
 シエナ・リーレイが、テフラ・カルデラを追いかけているのだ。
 必死の形相で逃げるテフラは、チョコレートまみれのべっとべとのどっろどろ。テフラといえば、先ほど罠にはまってチョコレート像になってしまったはず。だが、シエナが担いでお持ち帰りしようと工場内をさまよっているうちに、イデアの日光の余波を受け、溶けてきたようだ。
 けれど、テフラの逃げた先は、先ほどまで仲間たちがいた製造室。シエナは、彼を追い詰めながらユーベルコードを発動した。
「お家に帰りましょう? とシエナはスカートをたくし上げつつ迫ります」
 スカート・イン・ザ・ドールワールド――シエナのスカートの内側には、人形たちが暮らす世界があり、触れた者を吸い込むことができるのだ
「よ、よして下さいよ、シエナさん!」
 壁際に追い詰められたテフラは、逃げ場を探してキョロキョロ……その時。
 ゴゴゴゴゴ……。
 地響きのような音が起こり。
「あっ、エレベーターだ!」
 彼の少し左側に、先ほど仲間たちを地下に運んだエレベーターが戻ってきた。
「えいっ、これに乗るしかない!」
 テフラはこびりついたチョコレートで動かない体を叱咤し、エレベーターへと飛び乗った。
 もちろんシエナは追いかけてきたが、彼女の目の前で扉は閉まってくれた。
 ガクンと下降し出すエレベーターの中で、テフラはやっと息を吐いた。
「ふぅ……危うくお持ち帰りされるところでした……お持ち帰りはさすがに……チョコで固まるのは良いですが」
 充分良くないと思うが。
 すぐにエレベーターは地下に到着し、そこには猟兵仲間たちと、磨りガラスの向こうにハート人間がいた。
 仲間たちはテフラの姿に驚きつつも、現状を説明してくれた。
「あの黒幕っぽい人に、ユーベルコードを披露するんですか……?」
 わけのわからない展開に、テフラがチョコレートまみれの瞼をパチパチさせた……その時。
「テフラさん、お家に入りましょう。とシエナは追いかけます」
「……ってシエナさんが追いかけてきた!?」
 シエナも地下室に降りてきてしまった。
 封印が解けたエレベーターは、工場内にいるもの全てを地下室に運ぼうとしているのだろうか。
「それさ、お家とか言ってるけどそれどう見てもスカートの中だよね!?」
 殆どホラーのノリで、どこまでも追いかけてくるシエナに、温厚でドMなテフラもさすがにキレた。
「こうなったらもうヤケだ! 周りにも被害が出るユーベルコードだからあまり使いたくなかったけど……皆さんステージ上に避難してください!!」
 何だかよく分からないながらも、仲間たちは彼の剣幕に押され、急いでステージ上に上った。
「いいですか、発動しますよ……対生物固化蝋液津波、ペイント・ザ・ワックス!」
 にょきっ。
 テフラの傍らに、唐突に火が灯った巨大蝋燭が現れた。蝋燭は生温かい溶けた蝋をでろでろとすごい勢いで垂れ流し、蝋は大波を伴いながらコンクリートの床を埋め尽くしていく。
「大丈夫ですか、皆さん、気をつけてください、でないと巻き込まれま……うわぁぁ!?」
 予想はついていたと思うが、真っ先に蝋の波に巻き込まれたのはテフラであった……。
 ――蝋の波が引いた後、ステージの下にいるのは、シエナとテフラ、2人の蝋人形だけ。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​


『ハッハッハッ、お見事、お見事』
 高笑いと拍手が、地下空間に響いた。
『なかなか面白い必殺技だったな。オリジナリティという面でも素晴らしい』
 磨りガラスの向こうのハート人間だ。
『さあ、どんどん行こう。次に技を披露してくれるのは誰だね?』
青景・黒影
青丸十一個分?
よくわからないけどこれにツッコミいれることは世界の摂理に触れることになりそうだね。
うん、非常によろしくない。火のない所に煙は立たないし、言及はやめとこ。

で、必殺技?ユーベルコードでいいの?
なんか見せたら見せたでそのあと悪い予感しかしないんだけど……
まぁ、いいか。相手を怒らせなきゃいいんだし。
さぁて、君の相手はボクじゃない。……いっておいで、紫い『ワンッ!』……ん?

(紫陰よりも先に別のユーベルコードを発動してしまったようです。)
(キャラクターは多重人格者です。プレイングに登場しているキャラクターは『アオカゲ』です。)



――蝋の洪水が引いて。
「ええと、なんだっけ青丸11個分?」
真っ先に我に帰り、ハットを直しながら口を開いたのは、青景・黒影(くるりくらり・f00707)であった。
「よくわからないけど、そこにツッコミいれることは世界の摂理に触れることになりそうだね。うん、非常によろしくない。火のない所に煙は立たないし、言及はやめとこ」
 ぶつぶつと哲学的(?)なことを呟いてから。
「で、必殺技? ユーベルコードでいいの? なんか見せたら見せたでそのあと悪い予感しかしないんだけど……」
 と、不安げに仲間たちを見回した。
 仲間たちは、いいからやってみろと黒影――現在はアオカゲの人格が現れているようだが――を促す。
「まぁ、いいか。相手を怒らせなきゃいいんだし」
 黒影は曇りガラスの向こうの、むやみにえらそーなハート人間の方に向き直り。
「さぁて、君の相手はボクじゃない……いっておいで、紫い……」
「ワンッ!」
「ん?」
 黒影の足下に……わんこが出現している。ぷりぷりと尻尾を振って嬉しそう。
「い、家にいろって言ったでしょ!?」

 説明しよう!
 黒影は、ユーベルコードで別人格の紫陰を呼び出そうとした。だがその前に、別人格が飼い犬を召還するコードを発動してしまったのだ。
 ううむ、多重人格者って、大変。

「犬を呼び出しただけじゃ、オリジナル必殺技として採点してもらえないんじゃないかなあ?」
 黒影はしゃがみこんで犬を撫でつつ、困った様子。
 だが。
『……きゃ、きゃわいいじゃないかあ~!』
 ハート人間の上ずった声が響いた。みれば、磨りガラスにべったり貼り付いて、黒影の犬にがっつり食い付いている。
『わんこはいい……わんこはいいぞう。素晴らしい必殺技だなあ~! わんちゃん、こっちおいで! おじちゃんにかわゆいお顔見せてごらん!』
 ……どうやらハート人間は犬派らしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バッカンボー・パディストロー
上の階ノ謎掛けはサッパリ分からなかったデース……。ココは必殺技を披露するだけデ良いんですよネ?コレだけ頑丈な施設なラ、ワタシのこのユーベルコードを全力で使っても良さそうですネ!頑張りマース!

ワタシは【破城麦】を披露しマス!コレは、ワタシが経験を積む毎ニ力を増すユーベルコード……具体的にハ、レベル×1トンの麦稈ロールによる質量攻撃デース!

コレで実際ニお城を壊した事もありますガ、ココはきっとそれ以上に頑丈なのでショウ?遠慮なくブチカマシマース!ミーの全力の一撃、ご堪能アレ!
(ステージに叩きつける事を基本的に考えていますが、ハート人間の目の前の磨りガラス目掛けてぶん投げることも考えています)



 ハート人間がご機嫌なうちにと、次にステージ上がったのは、バッカンボー・パディストロー(麦わらおじさん・f03764)である。
「上の階ノ謎掛けはサッパリ分からなかったデース」
 バッカンボーは陽気に笑って肩をすくめた。
「でも、ココは必殺技を披露するだけデ良いんですよネ? コレだけ頑丈な施設なラ、ワタシのこのユーベルコードを全力で使っても良さそうですネ! 頑張りマース!」
 大張り切りで腕まくりをするバッカンボー。
「ワタシは【破城麦】を披露しマス!」
 【破壊麦】とはレベル×1トンの麦稈ロールによる質量攻撃……つまりバッカンボーならば19トンの麦稈ロールが出現する技なのだ。
「コレで実際ニお城を壊した事もありますガ、ココはきっとそれ以上に頑丈なのでショウ? 遠慮なくブチカマシマース! ミーの全力の一撃、ご堪能アレ!」
 ボディビルのフロント・ダブルバイセップスようなポーズを取ったバッカンボーは、力の限り雄叫んだ!
「レッツゴー、バッカンロール!」
 彼の頭上に巨大な麦稈ロールが出現した。
 うおおお、と仲間たちもハート人間も、圧倒的な質量の農作物を、ぽかんと口を開けて見上げている。
 ちなみに、麦稈ロールとは、穂を刈り取った後の麦わらをロール状に丸めたもののことである。北海道によくコロコロ転がってるアレですね。
「ウリャアアアアアァァァ!」
 どぉーーーーん!
 バッカンボーは赤鬼のような顔で、19トンの麦稈ロールをステージに思いっきり叩きつけた。
 ズッシーーーン、と地響きがして地下空間全体が揺れ。
 ゴロ……ゴロゴロ……。
 ロールがゆっくりと転がり出した。
 ステージ上を転がったロールは、
 ずっしん。
 また地響きを立ててステージからコンクリートの床に落ち、そのまま、
 ゴロ、ゴロゴロ、ゴロ……。
 ハート人間がいる磨りガラスの壁向かって、重たい音を立てながら転がっていく――。
 そして。
 ゴロゴロゴロ……ドゥン。
 磨りガラスに静かにぶつかって止まった。
「ドーデス、ワタシの必殺技ハ。スゴイでショ!」
 ドヤ顔のバッカンボーは、パンパンと掌の麦屑を祓いながら訊く。
『……ふ、ふ、ふむ、なかなか力強いな』
 対して、壮大な力技に圧倒されたのか、ハート人間の声は幾分怯み気味。ガラスの向こうのシルエットも、いかにも腰が引けている様子だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
一体何でできてるんだろうねコレ(擦りガラスこんこん)
危なげな一般キマイラ達もいる事だしとりあえずは従ってみる、かな?

銛を取り出しひょいひょいと慣らし運動、準備が出来たら尻尾でぺいっと真上に打ち上げる。
反転して地面に落ちてきた銛に水の巨大鯱がついてくる…当然だけど打ち上げたら巻き込まれないよう退避ね。
シャチだしありきたりと言われちゃ世話ないけどどうかな、とか言いつつ一礼。
…貶したら油断した瞬間銛と水鯱ぶち込もうかな。
褒めてくれたらそれに免じてやらないけど。

もし誰かが相手役がいるとかだったら手伝うよ。演武とか相手がいた方が映えるのもあるし。
あ、あんまり危ないのは勘弁してね。

※アドリブ絡み等お任せ



「一体何でできてるんだろうねコレ」
 19トン麦稈ロールでも壊れない磨りガラスを、ヴィクトル・サリヴァンは興味深そうにコンコンした。
「でもまあ、危なげな一般キマイラ達もいる事だしとりあえずは従ってみる、かな?」
 大きな体で軽やかにステージに跳び乗ると、愛用の銛を取り出した。なにげにひょいひょい、とバトントワリングのように鮮やかに投げ上げ肩慣らしすると。
「じゃ、いくよ」
 そのまま銛をぺいっと尻尾でぺいっと真上に打ち上げた。
 ひゅるるるるる……。
 銛は地下空間の高い天井に吸い込まれそうなほど高々と上がった。そしてキラッと光って最高点で反転した瞬間、ヴィクトルが叫んだ。
「さあ、追いかけて、齧り付いて――喰い千切れ。エモノハココダ!」
 落ちてくる銛が、大量の水を纏う。その水は円錐形に膨れあがっていき……。
「退避して!」
 ヴィクトルの声に、猟兵たちが反射的に飛び退った――その瞬間。
 ざっぱあああ!
 ステージに飛び込んできたのは、水の巨大鯱。
 鯱は大海原に飛び込んだように激しい水しぶきを上げて、うねり、跳ね……そして消えていった。
 ヴィクトルはステージに戻ると、ハート人間の方を向いて一礼し、
「シャチだし、ありきたりと言われちゃ世話ないけどどうかな?」
 と、銛を拾い上げると。
『パチパチパチパチ!』
 拍手が響いた。海水で濡れた磨りガラスの向こう、ハート人間が一生懸命に拍手しているのだった。
『見事見事! ビジュアルも素晴らしい上に、威力も高そうだな』
 水鯱に見とれていた猟兵たちも、惜しみなく拍手を贈る。
「ありがとう、ありがとう」
 ヴィクトルはオーディエンスにもう一度丁寧に頭を下げつつ、
「(貶したら、油断した瞬間に銛と水鯱ぶち込もうかな、って思ってたけど、褒めてくれたからそれに免じて許してあげようっと)」
 ちらり、と磨りガラスの方を横目で見た。

成功 🔵​🔵​🔴​

フロッシュ・フェローチェス
他の猟兵達、いや、ホント何やってんのアイツら……?
まあ良いか。

しかしUCの披露か。
何故敵へと自分の手の内晒さなきゃいけない?
けどそうしないと出られない。業腹だけどやるしか――いやちょっと待って。
不味い……アタシのUC、見たって盛り上がらない奴ばっかだ。
速すぎて見えないのがわんさかだし、「敵がいるor敵に使う事前提」「広い事前提」だ。
このステージじゃどうしようもない……!

――いや待って。そうだ1つある。
手の内も晒さずに済む。
いやでも、アレは……何で作ったのか……出来れば極力封印したい代物。
絶対に周りからなにかしら……ッ!クソッ……!
ああもう!やってやるよ!
出てこい【選択したUC】!!
※アドリブ可



 フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)は、先に自分の技で蝋人形になってしまった仲間を心配そうにコンコンし。
「まだ解けないのか……ホント何やってんだか……まあ良いか」
 いよいよ彼女が披露する順番がやってきてしまった。
「しかしUCの披露か。何故敵へと自分の手の内晒さなきゃいけない?」
 ステージに歩み寄りながら思案する。
「けどそうしないと出られない。業腹だけどやるしか――いやちょっと待って。不味い……アタシのUC、見たって盛り上がらないヤツばっかだ」
 ハタと立ち止まる。
「速すぎて見えないのがわんさかだし『敵がいるor敵に使う事前提』『広い事前提』だ。このステージじゃどうしようもない……!」
 フロッシュは、直径5メートルほどのステージを見回した。
 そうして思案している間にも、猟兵仲間とハート人間の期待に満ちた視線をひしひしと感じる。じわり、と嫌な汗が背中に滲む――。
「――いや待って。そうだ1つある。手の内も晒さずに済む。いやでも、アレは……何で作ったのか……出来れば極力封印したい代物」
 周囲には、フロッシュは精神統一のために突っ立っているように見えたが、その内面は激しく葛藤していた。
「絶対に周りからなにかしら……ッ! クソッ……! ああもう! やってやるよ!」
 思い切りよくステージを駆け上がると。
「出てこい、丸い手足が付いた具材達、超速で動き回る具材達―――ッ!」
「(これを使うたびアタシは思う……何故こんなの作ったの!?)」
 ヤケクソ気味のフロッシュの叫びに召喚されたのは、大根、豆腐、こんにゃく、白滝、卵、餅巾着、半片、蛸、うどん……しかもその食材たちは、超高速でわさわさwと動き回っている。
 えーと……つまりおでん戦隊的な?

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネレム・クロックワーク
チョコレートに呼ばれた気がして来てみたけれど、ここはいったいどこなのかしら?
……必殺技の発表会?
まあ、それならわたしも披露しなくてはいけないわ、ね
とっておきの技があるのよ
頑張って披露する、わ

これが、わたし専用の魔導銃
この銃に全力の魔法を高速で詠唱して魔法力を装填
装填した魔法力を弾丸に変換しているの
効力を上げる為に、今回は星属性を魔法の弾丸にエンチャントする、わ
そうするとね、銃から掌サイズのお星様がポンポン弾け出して、辺りに拡散するの
わたしの今の力量では110個
今回は2回攻撃で220個出す、わ
キラキラひかる、お星様、とても綺麗でしょう?

どうだったかしら?
(本当は着弾後に星が爆発するのだけど、ね)



「チョコレートに呼ばれた気がして来てみたのだけれど、必殺技の発表会なのね。それならわたしも披露しなくてはいけないわ、ね」
 やっと事態を把握したらしく、仲間たちの技を感心して眺めているばかりだったネレム・クロックワーク(夢時計・f00966)が、軽やかにステージに上がった。
「とっておきの技があるのよ。頑張って披露する、わ」
 そう言って抜いたのは、彼女専用の魔導銃。
 その銃を祈るように構え、高速詠唱して全魔法力を装填すると、魔法力は即座に弾丸へと変換されていく。更に効力を上げる為に、星の力をも借りて銃へこめる。
「さあ、用意ができた、わ。みんな、見ててね――耀う、星の幻想夜!」
 ネレムは銃口を天井にむけ、引き金を引いた。
 すると――。
 放たれたのは、掌サイズのきらきら光るたくさんのお星様。ポンポン弾け、地下空間中に拡散していく。
「2回攻撃よ」
 一旦収まりかけたお星様の銃撃は、再び勢いを増し、暗く高い天井のおかげもあり、神秘的に輝いている。まるで無垢な幼子の夢の世界のようだ。
「220個のキラキラひかる、お星様、とても綺麗でしょう?」
 キレイ! 素敵よ! と、天井を見上げる仲間たちから歓声があがり、ありがとう、とネレムは笑顔で礼を返すと、ハート人間の方に向き直り。
「どうだったかしら? 私の必殺技についての感想もききたいけど、みんなのもすばらしかったわよね?」

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ハートブレイク・チョコレート怪人』

POW   :    ジェラシックフレイム
【チョコレートの頭部から噴き出す嫉妬の炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【嫉妬の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    センチメンタル・ギリチョコワールド
戦闘中に食べた【義理チョコ 】の量と質に応じて【過去の悲しみを糧として】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    ジェラシック・ラブイーター
【嫉妬 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【とろけるチョコの塊】から、高命中力の【愛を食らう触手】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠滝舘・穂刈です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『ああ、皆すばらしかった! 合格だ!!』
 ゴ……ゴゴゴ……。
 ハート人間のその言葉を合図にしたように、久しぶりに地響きがし、磨り硝子がゆっくりと持ち上がりはじめた。
『ここまでたどり着いただけのことはある。君たちは私の同士として活動するに相応しい人材だ!』
 ん? 同士? 誰が、誰の同士に相応しいって?
 猟兵たちが疑問満載な顔を見合わせている間にも、磨り硝子はどんどん上がり、とうとうハート人間の全身が露わになった。
 黒い全身タイツにハート型の頭部……頭がハート型なのはシルエットでも見えていたわけだが、実際見てみると、ただのハートではなかった。
 ハートはチョコレートでできており、しかもど真ん中ががっつりひび割れている……!
「ま、まさかお前……!」
 このハート人間の目指すところが、この容姿だけでわかろうと言うもの。工場内にカップルばかりが囚われていた理由も。
 思わず後ずさる……または脱力しそうになる猟兵たちに、ハート人間……いや、正式名称・ハートブレイク・チョコレート怪人は隣室から出て歩みより、
『同士たちよ、忌まわしき日に向けて、私と共に聖戦を始めようではないか』
「……忌まわしき日って?」
『もちろんバレンタインデーだ! 意中の男に女子がチョコレートをプレゼントを上げるなどという、リア充と非リア充の格差を助長する邪悪なイベントを阻止するためにな!』
 ハートブレイク・チョコレート怪人は妙に格好つけてサッと東の空方向を指して。
『さあ、同士よ、進撃の時は来だ。共に戦おう!』
 怪人はひとりで盛り上がっているが、猟兵的にはここは思いっきりツッコむしかないだろう。
「――誰が同士だよ!」
フロッシュ・フェローチェス
――よし【『スコヴィル・サドンデス』】発動(問答無用で突進の構え)。
同志どころか顔見知りにすらなりたくないねお前なんか。
いきなりがどうだとか知った事か、煩いよオマエ、ホント砕かれて消えろ……!

基本はチャリオットでの蹂躙走法で行こう。
敵が御者台に取り付けないなら御の字、そのままダッシュして衝撃波でぶっ飛ばし続ける。
アタシへ注意が向けば、味方の攻撃に対して注意散漫にもなるしね
コッチに注目したならそれも良し。突進で吹っ飛ばそうとしつつ……避ける方向を限定させて仲間の攻撃にぶち当ててやる。

御者台に乗って来たなら、それこそが望んだ好機。
早業で【選択したUC】を発動して、攻撃を避けつつ蹴り落としてやるよ。



「よし、スコヴィル・サドンデス発動! アタシの方が速いけど『力強さ』では此方が上――ComeOn、チャリオット!」
 怪人の台詞を最後まで聞かなかった感アリアリで、チャリオットを出現させ、しゅたっと跳び乗り手綱を握ったのは、フロッシュ・フェローチェス。
 巨大な機械馬二頭が引く刃型の戦車が、問答無用で怪人に突っ込んでいく。
「うわ、わわわわわわ」
 その迫力におたおたしつつも怪人は横っ飛びに逃げたが、
 ザクッ。
「いてっ! 何をするのだ、私の厳選カカオの高級チョコレートをいきなり削るとは!!」
 チャリオットに搭載された刃にチョコを削られてしまった。
「いきなりがどうだとか知った事か、煩いよオマエ、元々ヒビ入ってたくせに! ホント砕かれて消えろ……!」
 ドドドドドド……!
 チャリオットが地下空間を爆走し、更に怪人を蹂躙しようと衝撃波を伴って突っ込んでいく。
「ひええっ」
 やはり怪人はよけるのが精一杯の様子……だが。
「オラオラオラオラァ!」
 部屋の隅でUターンして戻ってきたチャリオットに、
「せ、せ……せーのっ!」
 長縄飛びよろしくタイミングを合わせると、なんと御者台に跳び乗ってきたではないか!
 そして、
「どうだ! 私の華麗なジャンプを見たか!! 真っ赤に燃える嫉妬の炎、ジェラシックフレイムを食らえ! 同士にならぬのなら焼き尽くすまでだ!!」
 ゴオ……ッ!
 ハート頭から激しい炎を噴き出し、ぐりぐりとフロッシュに押し当てようとする。
「あつっ! 何で頭のチョコレートが溶けないんだよ!!」
 嫉妬の炎に接近され、思わず体を反らすフロッシュ。
 しかし、
「まんまと跳び乗ってくるとは、こっちの思うツボだよ――お前にとっての刹那の間は、アタシにとっては酷く遅いから! ヒートアドバンスピーエックス!!」
 ユーベルコード【P・X】を発動すると、自分が体感する1秒を、敵の数分の1まで加速した。その驚異的なスピード感で、炎の揺らめきを容易く躱し、
「同志どころか顔見知りにすらなりたくないね、お前なんか!」
 ドガッ!
 炎の中に思いきりよく足を突っ込み、ハート頭を力一杯キックして、御者台から蹴り落とした。
「ぎゃっ!」
 怪人は、ハート頭のど真ん中に足跡をつけて、御者台から転げ落ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクトル・サリヴァン
なるほどなるほど、俺も同士に見えるんだね。
ちょっと眼科行ってきた方がいいんじゃないかなキミ。
…倒さないと出られないよねきっと(壁とか見やり)

投擲槍投げ活かしUCぶち込む。
水鯱と嫉妬の炎、どっちが強いかなーとか。
こう、カップルの敵と盛り上げる存在(水族館的に)の力比べ。
周囲との連携意識し可能なら目くらましに水鯱使い、他の猟兵が攻撃するのを支援。

それにしても脱出ゲームって書いてたけど、ここまで来れた人いるの?と聞いたり。
ここにも少しはいるんじゃないかなと予想。
…というか突破した人が同士、けれど挑んで捕まったのは大体カップルって根本的に方向性間違ってない?と率直にツッコむ。

※連携アドリブ絡み等お任せ



「いてててて……」
 怪人は、ひどく叩きつけられた腰をさすりながら起きあがろうとしたが。
 ビシイ!
「うわちっ!」
 それを筋肉質な尻尾ではり倒したのは、
「なるほどなるほど、俺も同士に見えるんだね。ちょっと眼科行ってきた方がいいんじゃないかなキミ」
 ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)である。チャリオットに怪人が集中している間に、そつなく接敵していたのだ。
 ヴィクトルは本来愛嬌のある可愛らしい瞳を剣呑に細め、怪人を見下ろした。見るからにアレなハートブレイク・チョコレート怪人に同士認定されたのが、とっても不愉快そうである。
 何しろ彼はシャチである。デートの定番、水族館の人気者なのである。シャチのショーでカップルに水しぶきがかかり『キャー❤️』などとはしゃいでテンションを上げた後、大水槽の前でチョコを渡すとか、なんてステキなバレンタインデー。
 ヴィクトルは不愉快さを隠さず、
「……倒さないと出られないんだろうね、きっと」
 地下空間の壁や床を見回した。
「脱出ゲームってふれこみだけど、他にここまで来れた人いるの?」
「お、お前らの他にはいない」
 怪人はずりずりと尻で後ずさりながら答えた。
 ふうん、じゃここには一般キマイラはいないんだ、と、そこは少々安心した様子のヴィクトル。
「……あとさ、謎解きを突破した人を同士認定して、けれど捕まったのはカップルばっかりって、根本的に方向性間違ってない?」
 率直に疑問を投げかけると……てか、ツッコミを入れると。
「迷い込んだカップルは、バレンタインまで捕まえておくつもりだったのだ。バレンタインを楽しむリア充を少しでも減らすためにな!」
 この怪人、どんだけバレンタイン恨んでんねん。
「ソロで迷い込んできた者……特に非リア充の匂いがする者は、適当なところで外に出してやったのだ」
「ああ、なるほど、そういうことね……」
 そういえば、この工場を訪れても無事に出られた人もいるのだった。
「そこはわかったけど、どっちにしろ俺は君の同士にはなり得ないからね。さあ、追いかけて、齧り付いて――喰い千切れ。エモノハココダ!」
 ずりずり遠ざかっていた怪人に向けて槍を投げ、ユーベルコードを発動した。
「ジェラシックフレイム!」
 同時に怪人も嫉妬の炎を燃え上がらせたが、
「カップルの敵と、カップルの盛り上げ役の戦いだよ!」
 パキッ!
 槍は炎に多少勢いを削がれたが、それでもハート頭の右上部の半円部分を欠けさせ、更にそこに。
 ザバアアアァァァッ!
 水で象った巨大なシャチが襲いかかり。
 バキッ!
 鋭い歯で同じ部分を大きく食いちぎった。
「ぐあああっ!」
 頭の4分の1ほども食いちぎられた怪人は頭を押さえ蹲る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネレム・クロックワーク
『聖戦』とか、『リア充と非リア充』とか……
ごめんなさい、言っていることが良く分からない
でも、バレンタインデーは美味しいチョコレートが沢山食べられる素敵な日なの
それを阻止するだなんて駄目よ、絶対、駄目!

そうだわ、怪人さんにお手製のプレゼントをすればいいのではないかしら?
召喚したガジェットくんを持ち物のトランクケースの中から取り出して、リボンを結んで可愛くしましょう
取り出したのは、ハート型のギフトボックス
怪人さん、これ、わたしが心を込めて作った貴方への贈り物なの
受け取って貰えると、嬉しい、わ(はにかみ)

……わたしの心が詰まったお手製の時限爆弾、たっぷり召し上がれ💝



 水のシャチが元怪人の頭であったチョコをボリンボリン食べている横を、楚々と進み出てきたのはネレム・クロックワーク(夢時計・f00966)。
「『聖戦』とか、『リア充と非リア充』とか……ごめんなさい、言っていることが良く分からない、わ」
ネレムはうるんだような大きな瞳で、ダメージに呻く怪人をひたと見つめ。
「でも、バレンタインデーは美味しいチョコレートが沢山食べられる素敵な日なの。それを阻止するだなんて駄目よ、絶対、駄目! だからわたし、怪人さんにお手製のプレゼントをさしあげる、の」
「え……わ、私にプレゼント?」
 ネレムは怯むことなく怪人に近づき、リボンを可愛く結んだハート型のギフトボックスを差し出した。
「怪人さん、これ、わたしが心を込めて作った貴方への贈り物なの。受け取って貰えると、嬉しい、わ」
 ミルクティ色の髪とチョコレート色の瞳の、はにかんで微笑む美少女にプレゼントを差し出され、ほだされない非リア充がいるだろうか? それが例え、戦っている真っ最中の敵だとしても。
「す、すまんな、ありがたくいただくぞ」
 怪人はあたふたと立ち上がると、全身タイツの腿あたりで手汗を拭き、ハート型の包みを受け取った。
 するとネレムは突如表情を引き締め、機敏に怪人から飛び退いた――その瞬間。
 ちゅっどーーーーーん!!!!!
 ハート型の包みが怪人の手の中で大爆発!
 実はプレゼントの中身は、ネレムがユーベルコードで召還したガジェットだったのだ。
 ネレムはこの上なく愛らしくにっこりすると、黒焦げの怪人に向けて。
「……わたしの心が詰まったお手製の時限爆弾、たっぷり召し上がれ💝」

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒久根・ジジ
妬み嫉みはニガそうだ
それはそれでオイシイけども
せっかくのバレンタイン
とびっきり甘いものが食べたいでしょ?

食料齧ってこっそりコードは発動させつつ

非リアか何だか知らないけど
それなら今日はボクとデートしよう!
コックは炎なんて怖くないし
とろけるチョコも触手も材料にして
キミだけのチョコも作れちゃう
ほら、ボクら相性ピッタリじゃない?
(炎耐性・料理・誘惑)

さ、納得したならこのお皿に頭を預けてね
ボクのエプロン?料理で汚れたら困るからね!
この生クリーム?キミを綺麗に飾るためだよ!
ナイフとフォーク?手では溶けちゃうからね!

――ま、メインディッシュは君だけど
それじゃ、残らず全部
イタダキマス♡

アドリブ絡み歓迎です!



 ボロボロでコゲコゲの怪人に、優しく手を差し伸べた者がいた。
「非リアか何だか知らないけど、それなら今日はボクとデートしよう!」
「え……?」
 ハートブレイク極まった怪人が顔を上げると、そこには荒久根・ジジ(ビザールイーター・f05679)の慈愛に満ちた笑顔が。
「コックは炎なんて怖くないし、とろけるチョコも触手も材料にして、キミだけのチョコも作れちゃう。ほら、ボクら相性ピッタリじゃない?」
 魅惑的な台詞と笑顔に怪人は引き込まれたように。
「そ……そうかな?」
 思わずジジの手を取ってしまう。
「そう、納得してくれたみたいだね。なら……」
 そこでジジが取り出したのは、大きなお皿。
「さ、このお皿に頭を預けてね」
「……こ、ここにか?」
 疑問が過ぎりつつも怪人は、三分の一ほどしか残っていないチョコ頭を皿に載せ……そこでジジの出で立ちが目に入り。
「と、ところでデートとか行ってるのに、どうして君はエプロン姿なのだね?」
「料理で汚れたら困るからね!」
「ど、どうして生クリームなんか持ってるのだ?」
「この生クリーム? キミを綺麗に飾るためだよ!」
 ジジは器用な手つきで怪人の頭をデコレーションし始めた。
「綺麗に飾るって……え、ナイフとフォークまで取り出して、一体何をしようと」
「だって、手では溶けちゃうからね!」
 そこまで答えたジジは、ニカっと自慢のギザ歯を剥き出して。
「――ま、メインディッシュは君だってことだよね。それじゃ、残らず全部、イタダキマス♡」
「え、ええーーーーっ」
 怪人は慌てて身を起こそうとしたが、ダメージの蓄積した体では素早く動くこともできない。
 しかもジジは怪人に絡む直前、こっそり持参の食料を口に入れユーベルコード【💝BizarreEater💘】を発動していたのだ。
「生命尽くしのフルコース……これは前菜、キミがメイン!」
 がぶううううっ。
「ぎゃあああああーーーッ!」
 強化された鮫の歯が、容赦なくチョコレートを食いちぎる。
 むっしゃ、むっしゃ、むっしゃ。

 ――哀れ怪人は、ジジのお腹という骸の海に滅び去ったのであった。

 ジジはぺろりと舌を出して、口の周りにくっついたチョコレートを舐めとり、仲間たちにニヤリと笑いかけた。
「妬み嫉みはニガそうだ。それはそれでオイシイけども、せっかくのバレンタイン
とびっきり甘いものが食べたいでしょ?」

 その時。
 ……ゴゴ、ゴゴゴゴ……。
 本当に久しぶりの地響きが。
「まだ仕掛けが!?」
「今度こそ出口が開くんじゃないのかしら?」
「いや、違う……やばい!」
 パラパラとコンクリート片が落ち始め、天井を見上げると……。
「崩れるぞ!」
 天井と言わず壁といわず、地下空間全体に亀裂が入っている。
「出口、出口はどこだ!」
「結局教えないで逝っちゃったわよ!」
「くっそあの非リア充怪人め!」
 わたわたと地下中を見てまわったが、為す術はない。
 例え地下室が崩壊して埋まったとしても所詮物理だから猟兵はダメージを受けないわけだが、でも痛いのはイヤだし、瓦礫からの脱出も大変そうだし……!
 とか言ってる間に。
 ガラガラガラガラ……!
 本格的に崩壊がはじまってしまった。
「うわわわわわーーーー!」
 猟兵たちは頭を抱えて蹲った。確保した一般キマイラたちを入れたアイテムポケットだけは死守する覚悟で。
 ……しかし。
 次々と瓦礫の衝撃が襲ってくるだろうと覚悟して蹲っていた猟兵たちだが、いつまでたってもその気配がない。薄目を開けて様子を見てみると、天井から落ちてくる瓦礫も、壁が崩れた瓦礫も、地面に落ちる前にスッ、スッ、と消えていっているではないか。
 ――ああ、そうか。このチョコレートも過去の遺物。怪人が滅びたことで、この建物も骸の海に還ろうとしているのか。
 しばしの時間の後、工場は跡形もなく消えて。
 気づけば猟兵たちは、巨大な空き地の地下室跡にいたのだった。
 見上げれば、頭上には夕焼け空。
 吹く風には、少しだけ甘い香りが含まれているような気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト