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#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●侵入者
 かつん、かつん…と、意外にも硬いクッキー生地の回廊に、侵入者たちの靴音が響く。
 ここはアルダワ魔法学園の地下に広がる大迷宮の一角、暫定的に付けられた迷宮名はスイーツ・ラビリンス(お菓子の迷宮)。
 キャンディー型のランタンがクッキー生地の床や壁を照らし、チョコレートの扉が侵入者を遮り、噴水はジュースの水花を咲かせ、至るところにスイーツのオブジェが転がり、迷宮内を鮮やかに彩る。
 驚くべきはこのメルヘンを具現化するスイーツの全てが本物「であろう」ということ。
 しかし侵入者――正確にはアルダワ魔法学園の学生たちなのだが、誰一人としてお菓子に手を伸ばそうとはしなかった。
 学生の誰もが、見た目通りの甘い代物ではないと理解している故に。

 学生達は3人、全員男。内の一人が、先頭を歩くリーダー格と思しき学生におずおずと語りかけた。
「…なぁ、本当に大丈夫かな…?」
「あ?何がよ。」
「ここってまだ未探索の迷宮だろ?もう何人か連れて来たほうが良かったんじゃ…。」
「バカ言え。これ以上取り分を減らせるかよ。」
 災魔(オブリビオン)と戦うアルダワ魔法学園では、生きている内に引退できれば英雄としての余生が約束されている。
 だが英雄の待遇といっても千差万別、良きも悪きも在学中の活躍次第。
 地下迷宮に潜って、何らかの遺物でも発見できれば実績に箔がつき、より良き余生が望めるというわけだ。
 当然、栄誉を分かち合う相手は少ないほど良い。手付かずの迷宮ならばさらに重畳。
「俺たちだって災魔相手に散々腕を磨いてきたんだ。3人もいれば十分だろ。」
 3人もいれば十分…、確かにそうだろう。でもそれは"普通の"迷宮であれば、のお話。
 歩みを進めていくと不意にカチリという音が響き、3人は同時に足を止めた。
「ごめん、何か仕掛けを踏ん…」
 最後尾を歩いていた男の言葉が終わらぬうち、壁の継ぎ目から猛烈に吹き出したガスが、彼の全身を瞬く間に押し包む。
「…お、おい!大丈夫か!?」
 返事はない、否、無くて当然と言うべきか。
 ガスが晴れた後、二人の目に飛び込んできたのは、全身を黄白色の何かに覆われ、物言わぬ彫像と化した仲間の姿であった。
 腰を抜かした仲間を尻目に、リーダー格の男は努めて冷静に状況を確認する。
「…クッキーだ。気をつけろ、壁から出るガスを浴びるとお菓子にされるぞ。」
「ひ…ひいぃぃぃぃ!」
 もう一人の仲間はどうにもメンタルが弱かったらしい。パニックを引き起こし、足をもつれさせながらその場を駆け出す。
 その逃走はすぐに終わりを迎えた。手を付いた壁が赤く光った瞬間、天井から黒褐色の液体が滝のように降り注ぎ、逃走者の体を地面へと縫い付ける。
 小さな池だまりかという程に広がった液体から発せられたのは、チョコレート独特の甘い匂い。
(…くそがっ、ここまでかよ!)
 流石に単騎でこれ以上進むのは危険すぎる。2人が完全に死んだかどうかは定かではないが、自分だけでも帰還できれば、あるいは救出できる見込みもあるだろう。
 仕切り直しに望みを託し、踵を返せど時既に遅し。
 帰り道の回廊を塞ぐように、白くて巨大な球体が猛スピードで転がってくる。
 回避を考える暇すら無い。球体は男の体をまるごと呑み込み、その勢いのまま回廊を転がり続ける。
(…この感触、マシュマロ…。そうかよ、これもお菓子の…)
 男の意識はここでふっつりと闇へと沈み、そのまま浮かび上がることは無かった。

●猟兵来たりて
「甘いものには棘があるとは、よう言うたものよ。…いや、美しいものだったか?」
 まぁどちらでもよいか、ワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・f03745)は読んでいた本を閉じて猟兵たちに向き直る。
「さて今回の任務だが…アルダワ魔法学園地下の迷宮の一つが、幾人かの学生を飲み込んだまま帰さないのでな。お主たちには彼らの救出をお願いしたいのだよ。」
 猟兵たちは互いに顔を見合わせる。聞いた限りでは、学園側で救援隊でも結成すれば何とかなりそうなものだ。
「彼らで対応できるなら、我々にお鉢は回ってこんさ。ともかく状況を説明するぞよ。」
 指を鳴らすと同時に浮かび上がった霊子製ディスプレイに、ダンジョン内と思しき画像が映し出される。
「迷宮名はスイーツ・ラビリンス。ご覧の通り、何から何までお菓子やスイーツで構成されておる。だが見た目程甘くないどころか、極めて悪質でな。」
 続けてディスプレイに映し出されたのは、クッキーやチョコレートの彫像に変えられた学生の面々。そのどれもが苦悶の表情を凍りつかせていた。
「至るところに仕掛けられたトラップは、掛かった者をお菓子に変えてしまうものが多い。壁の隙間から吹き出すガスはクッキーに、天井から降る液体を被れば瞬時にリアルなチョコレート像が完成する。
 特殊な呪縛が施されている故、喰らえば猟兵とて只では済むまい。罠にかかる=一発戦闘不能ということをまずは理解しておくがよい。」
 だとすると、お菓子に変えられた学生の生死は一体どうなっているのか。
「全員生きておるし、呪縛を解けば元に戻るであろう。解呪は学園の教師連中がやるから、お主たちはトラップを突破しつつ、お菓子にされた学生たちを見つけ次第回収して貰いたい。突破方法については、各々の裁量に任せようか。」
 力で押し通るも良し、速さで潜り抜けるも良し、知識を活かすも良し、といったところだろう。
「また、回収については一体ずつ入り口まで運ぶ必要は無い。学園側から提供されたマジックアイテムをお菓子に使えば、瞬時に学園のある場所へと転送される仕掛けだ。」
 ワルゼロムは懐中電灯のようなライトを猟兵たちに手渡していく。つまりはこの光を対象に当てればいいってことか。
 となると、任務は学生を全員回収すれば終わりなのだろうか。
「否。このダンジョンの変容っぷり、恐らくはフロアボスが絡んでおる。被害の拡大を避けるため、そいつをぶっ飛ばして禍根を絶っておく。
 現時点でのフロアボスの情報は全く不明、強いか弱いかすらもわからん。現場の猟兵たち同士で臨機応変に連携し、難事に当たってくれィ。」

 猟兵たちを送り出す間際、そうそうと思い出したように言葉を紡ぐワルゼロム。
「ダンジョン内のお菓子は全て"本物"である…が、絶対に食べてはイカンぞ。例え飢えて死にかけていようとも、だ。各自、おやつはきちんと持参しておくこと!」
 彼女の言葉に何か引っかかるものを覚えつつ、猟兵たちはスイーツ・ラビリンスの攻略へと向かうのであった。


八ツ足皇子
 こんにちは。甘い物より辛い物が好きな八ツ足皇子です、血圧ェ…。
 今回はアルダワ地下迷宮の一つ、スイーツ・ラビリンスを攻略していただきます。

 主な任務内容は、
「トラップを躱しながらダンジョンを探索し、お菓子になってしまった学生を救出」
「迷宮最奥に潜むフロアボスの撃破」
 以上の2つ。
 トラップは無対策で挑むと必ずお菓子に変えられ、戦闘不能になります。
 最悪の場合「評価なし」になってしまうのでご注意ください。
 ただ運に恵まれずお菓子に変えられたとしても、他メンバーのリプレイの過程で救出されることがありますのでご安心を。
(2章は猟兵に関してのみ、全員救助された状態で始まります)

 お菓子に変えられた学生の数は大体10人前後、大抵人型なので見分けが付きます。見つけたらマジックアイテムで転送して上げてください。

●マジックアイテムについて●
 懐中電灯型。お菓子に光を当てると教師陣が控える学園の一室に転送されます。
 お菓子化していない人物などの転送は不可。シナリオ終了後に回収。

 最奥へ向かうのも大事ですが、学生たちの救出も重要事項なので、誰か一人でも救出優先に動くと成功しやすいかもしれません。
 仮に一章で全員救出できなくても、フロアボスを撃破すれば迷宮の変異は解除されますので、あとは学園が何とかしれくれるはずです。
 また猟兵たちは「踏破状況」「トラップの場所」「救出した学生の数」を共有しますので、一度破ったトラップには二度と引っかからず、二章・三章から始める方は一章の踏破ルートをスキップできます。

 最後に、ダンジョン内のお菓子は絶対に食べてはいけません。
 絶 対 に 食 べ て は い け ま せ ん。
 大事なことなので二度申し上げました。

 それでは皆さまの渾身のプレイング、お待ちしております。
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第1章 冒険 『突破難攻?状態変化だらけのお菓子迷宮』

POW   :    トラップをも力任せに突破する

SPD   :    トラップ発動前に走り抜ける

WIZ   :    トラップを発動させないように慎重に進む

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●甘味迷宮の主様
ホゥ、ホゥ、ホゥと迷宮奥の豪奢な一室に響き渡るは、鳥の声にも似た高笑い。
今日も今日とて、迷宮の主様はご満悦。

一昨日は一人、昨日は二人と、魔法学園の小ネズミ共が勧んで迷宮に囚われてくれることが、実に愉快で堪らない。
クッキーやチョコレートに変えられた彼らの苦悶、あるいはマシュマロに呑まれた絶望の表情こそ、私にとって最高の甘露。
この調子で20人、30人と迷い込んでくれよ。せめて100人も飲み込めば、大魔王様の覚えも良くなろうさ。
今日も今日とて、お客様はやって来る。さぁ今回の犠牲者はどんな面だ?
「………ン?」
――違う、違うな。今回の奴等はネズミ共とちょっと違う。
服装が違う。獲物が違う。佇まいが全然違う。どいつもこいつも、それなりに場数を踏んだ奴の足運び。
嗚呼、成程。こいつらがあの噂に聞く、
「猟兵というわけかィ。ホゥ、ホゥ…そうかィ、存外早かったなァ。」
ちょうど一月程前から猟兵なる存在が魔法学園に協力し、地下迷宮の難事をいくつも解決していると聞いた。
我が同族も数体討ち取られたとか。まぁそんな一族の面汚しのことなぞどうでもいい、問題は、
「ネズミ共はもう来ないなァ。稼ぎ頭を潰してくれるとは、ホゥ、はた迷惑な連中だァ。」
然しそれも大した問題では無いかなァと主は思い直す。ネズミが来ないなら、猟兵共を人柱にすればいいだけの話なのだから。
「来るがいいさァ。罠を突破したところで、待ってるのは絶望だけだからなァ。」

ホゥ、ホゥ、ホゥと愉快そうに笑う主様。今日も変わらずご満悦。
マロン・チェスナット
【SPD】

トラップって基本的に地面に設置してあるもんだよね
空を飛んで行けば大丈夫かな
センサー?発動する前に通り抜ければ平気だよね
極力、何にも触れないようにすればいいよね

地面に足が付かないように翡翠月歩でジャンプして行く
翡翠月歩でジャンプできなくなったら翼を広げて滑空して距離を稼ぐ
着地の際は野生の勘を働かせて安全な場所に

着地した場所にお菓子があったらマジックアイテムを使ってみる
転送されたら罠にかかってお菓子化した人、転送されないのは罠だよね
再び、翡翠月歩でジャンプして行く

ここって蜜ぷにでないのかな蜜ぷに
お菓子美味しそうで食べたいけどそれは罠だよね
自分で持って来た蜜ぷに食べて我慢しよう



トーン、トーンと空気を弾くような軽快な音を立てつつ、小柄なキマイラの少年は回廊を駆け抜ける。
マロン・チェスナット(インフィニティポッシビリティ・f06620)のユーベルコード、
「翡翠月歩(ルーンスカイウォーク)」とは空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる能力である。
(トラップって基本的に地面に設置してあるもんだよね。空を飛んで行けば大丈夫かな?)
罠が地面にあるなら空を飛べばいいじゃない!
なるほど、まごうことなき真理といえよう、レベル回数のみという制限が無ければ最高だった。
然しながらここは長大なダンジョン、例え彼のレベルが3ケタに届こうとも足り得ない。
ただ彼もそこは想定済み。空中を跳んだ数が16に届いた瞬間、
「よいしょっ!」
両腕の飛膜を広げ、グライダーのように滑空した。これでさらに十数歩分は稼げるはず。
(…問題はここだよね~。)
そう、滑空での飛行はあくまで一時的なもの。いつかは地面に足をつけなければならない。
さらには滑空の速力を考えると、狙った地面にぴったりと着地するのは難しそうだ。
(でも、やるしかないよね。)
あとは野生の勘と持ち前の反射神経でなんとかしよう、そうしよう。

残り30センチ………

20センチ………

10センチ……

5センチ…

着地。
接地時の衝撃を前転で緩和。背中からカチリ、カチリと聞こえてくる、トラップの起動音。
「……!」
起動音に呼応して、両壁から噴射されたガスが回廊を瞬く間に包み込んだ。



ふうーっ、と大きなため息。
まさに紙一重。ガスによって後ろ髪が舞った感触を覚える程に。
「んー、あぶない、あぶない。」
だがこの少年、ちっとも危なげない声で元気に立ち上がる。
幼く見えても彼は猟兵、この程度の修羅場は最早日常茶飯事。いちいち驚くにはあたらない。
さて、いざ周りを見渡せど、学園生らしきお菓子は見当たらない。ついでに蜜ぷにのオブジェを探して見たが同左。
「ここの主、わかってないよねぇ。お菓子の迷宮なら、ちゃんと蜜ぷにも準備しておかないと。」
丁度空腹を覚えたのでおやつに持参した蜜ぷにに手を伸ばす。…あ、食べるとこは見せられないんだ、ごめんね!

蜜ぷにで腹を満たして充電完了。先はまだまだ長いけど、何度だってデッドオアライブを続けますとも。
それこそが猟兵、ボクが生きると決めた道。
「ホップ、ステップ、ジャンプ!」
まだ見ぬゴールを目指し、再びキマイラの少年は跳んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

照崎・舞雪
私、こんなお菓子の迷宮には来た事無いですねー
この学園、こういうところもあるのですか

食らえばひとたまりもない、というのは厄介ですね
慎重にならざるをえないのです
とりあえずレイニーシーカーを召喚して先行させ
壁や床、天井などを徹底的に調べてから進むのですよ
調査結果はどんどん共有していきましょう

あ、お菓子にされた生徒がいたら救出はしますよ、もちろん

……それにしてもあのお菓子化のガスとか、蒐集して研究とかしたいですね……
危ないからやりませんけど



「私、こんなお菓子の迷宮には来たことないですね~…。この学園、こういうところもあったのですか。」
プライベートならば素材を蒐集して、あんなことや、こんなことができたのに、と青髪の少女は夢想する。

照崎・舞雪(未来照らし舞う雪の明かり・f05079)は元アルダワ魔法学園の在学生。
大和撫子の外見とは裏腹に、マッドサイエンティスト気質の持ち主。
お菓子の迷宮が出来たと聞いて、ノリと勢い任せに参戦してみたところ、ええ、実に探究心のくすぐられるダンジョンではないですかと。
内心湧き上がるテンションを抑え、彼女の表情は猟兵のそれに戻る。
はい、お仕事のことは忘れませんとも、プロですからね。

「…でも食らえばひとたまりも無い罠、というのは厄介ですね。どうしても慎重にならざるを得ないのです。」
小首を傾げながらトラップへの対抗策をゆっくりと考える。割とそつなくこなせる自信はあるのだけど、どうしよう。
うん、と舞雪は頷き、目を閉じて詠唱を開始する。
『我が目よ我が耳よ、雨の雫に宿る翼となりて、彼方まで今飛びたたん』
虚空に声が響く。そして象牙のような彼女の指先から、水滴を飛ばして生まれる液体(リキッド)状の小鳥。
それは彼女独自のユーベルコード「レイニーシーカー」、彼女と五感を共有できる小鳥型の分身。
彼女が選んだのは慎重策。分身の小鳥を先行させて、壁や床、天井など徹底的に調べ、虱潰しに罠を暴いていく作戦であった。

至るところに、罠、罠、罠。分身がチョコやクッキーになった回数は、途中から数えるのをやめた。
床はもちろんだが、天井や壁を含めた罠の数はかなりの物だろう。よくもまぁこれだけの数を仕掛けたものだと感心する。
お菓子化するガスを研究してみたいとも思ったが、現物を見て即座にその考えを捨てた。
これは呪詛の類、つまりはサイエンスよりもオカルトの分野であり、自分の関わるべきものでは無さそうだ。
「残念ですけど仕方ありませんね…って、…あら?」
ふと分かれ道の先に見えた、動かぬ人の影。罠を暴きながら近づいてみると、手を伸ばしたまま固まっているクッキー人間の彫像がそこにあった。
かつて自分も袖を通したことがある制服を着ていることから、行方不明になっていた学園生に間違いなさそうだ。
「見つけちゃいましたねー、ほいっと。」
マジックアイテムのライトを当てると、瞬時に消え去る人型クッキー。一人目、無事転送完了。
「ではでは、次の学生さんを探すとしましょうか。」
いずれ最奥へのゴールを誰かが見つけるのであれば焦ることはありません、マイペースに探していけばいいでしょう。
前髪を軽くかきあげ、彼女は次なる目的地へと向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイラ・ツェレンスカヤ
お菓子!
きっとここのフロアボスもお菓子が好きかしら!
でもね、でもね、ここにはお菓子よりも甘くて美味しい、恐怖がたくさん味わえる気がするのだわ!
うふふ、楽しみかしら!

レイラは罠を避けるほど速くないし、罠を解除する技術もないかしら!
だから罠は潰して、刺して、斬り払って進むのだわ!
迷宮の壁ごと串刺しにするなら、血槍に少し血を吸わせておこうかしら!
血の匂いがすれば、罠の位置もわかるのだけれど
ここはお菓子の匂いばかりなのだわ!

途中で見つけた生徒はちゃんと帰してあげるかしら!

ところでこのお菓子、一口くらいだめかしら!
感覚はどうなっているのか気になるのだわ!
……うふふ、うふふふふ!
冗談、かしら!



レイラ・ツェレンスカヤ(スラートキーカンタレラ・f00758)、一体、何故、この子が此処にいるのか。
天真爛漫にて極悪非道、血を愛し、暴虐を慈しむ野心家。対峙した者だけが知る本能的恐怖。
彼女は笑って云うのだ。
「お菓子!きっとここのフロアボスもお菓子が好きかしら!」
でもね、でもね、と彼女は金の瞳を輝かせ、口端を柔和に吊り上げて言葉を紡ぐ。
「ここにはお菓子よりも甘くて美味しい、恐怖がたくさん味わえる気がするのだわ!…うふふ、楽しみかしら!」
さてはて、お菓子の迷宮で演じられる、暴虐の道行きや如何に。

この手の探索は単独(ソロ)が一番なのだわ!とは彼女の談。
罠を避けられるほどの素早さや罠を解除する技術を持ちえないことは、自身がよく分かっていることだ。
なので、
「潰して、刺して、斬り払って進むのだわ!」
自分の血を吸わせて肥大化した彼女の獲物、血槍チェルノボグを壁に突き刺し、壁ごと破壊。
床の罠も、天井の罠も、全て破壊。破壊。破壊。彼女の後ろはさながら怪獣が通った跡の如く。
「血の匂いがすれば罠の位置もわかるのだけれど、ここはお菓子の匂いばかりなのだわ!」
だから仕方ない、と彼女は笑って云う。
セオリー無視を押し通す彼女の探索はソロが一番というより、ついていける猟兵が極めて少ないだけなのかもしれない。

破壊にも少し疲れ、槍を杖に一息つく。
お菓子にされた学生は見つからないが、ケーキやドーナツといったスイーツの類は嫌でも目に入ってくる。
(…そういえば。)
ダンジョン内のスイーツは絶対に食べるなと、釘を刺してきたグリモア猟兵の顔が浮かぶ。
言い方がダメね、食べたらどうなるかまで教えておかないと抑止力として弱すぎるでしょう?
あれでは興味を煽るだけ、そう、
「私みたいなイケない娘の興味をね、うふふ!」
大ぶりのドーナツを手にとって眺める。ふかふかとした感触、砂糖の甘い匂い、紛れもなく本物のようだ。
(…一口ぐらいだめかしら!感覚がどうなってるのか、気になるのだわ!)
理性と興味のせめぎあいを感じつつ、"それ"を一口齧ろうと――



――○○にとっての恐怖とは――

。。。


「……うふふ、うふふふふ!冗談、かしら!」
結局一口も食べなかったドーナツを投げ捨て、レイラはチェルノボグを持ち直す。
理性が勝ったのか、はたまた気まぐれか。
彼女は笑って云うのだ、
「真実は私の胸三寸!…うふふ!」
これ以上無い笑顔がとても眩しかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ローゼマリー・ランケ
「エー、お菓子なのに食べられないんデスカ? ベルにお任せシマース!」
「……人様の命が掛かってる以上、ロミィにも働いてもらいますからね」

基本的にSPD判定とスキルのクライミング、ロープワーク、第六感等を駆使して罠を回避
また、スキルの視力、情報収集、罠使い等で配置や形状が確認できれば破壊を試みる
救出対象の学生や猟兵を発見したら周囲の安全確認後、マジックアイテムで転送

携帯食料や嗜好品も一応持参していく

「ベールー、食べちゃダメ、壊すのもダメって退屈デスヨ!」
「今は我慢なさい、ロミィ。後で暴れる機会はあります」

力や勘はロミィ、技術と知識はベルがそれぞれ担当
ユーベルコードは使う事があれば
遊び、アレンジ歓迎


須野元・参三
【心情】
フフーフ、この気品地面に落ちているような下らぬお菓子など食べるものか!
私には有名ブランドが相応しい、迷宮ブランドなど不要だ

【行動】
哀れにもお菓子にされた情けない者たちをこの気品が華麗に優雅に助けてあげてあげよう
罠なんぞ発動する前に動いてしまえば良かろう
走りつつ『スカイステッパー』も駆使して障害物や罠を気品ステップで踏破していくぞ

ひぃぃぃ、おっ、お菓子になんかになってたまるかー!!わっ、私は気品なんだぞ!?
気品はあっ、慌てな~い!!



ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティーガー&シュバルツシュランゲ・f01147)は大変ご立腹であった。
「お菓子なのに食べられないの、絶対何か間違ってマース!」
探索しながらスイーツを貪れると聞いて来たのに、肝心のスイーツが食べられない。これはもはや詐欺ではないかと。
「ダミーのご褒美で人をコキ使うあたり、あの紅生姜らしいやり口デース。」
ぷりぷりと怒る主人格のロミィを嗜めるのは、副人格のベルだ。
「まぁまぁ。そんな心の狭いことはしない方…とは、言い切れませんが。」
「もう全部メンドー臭いデース!ベルにお任せシマース!」
「馬鹿なこと言わないでください。人様の命が掛かってる以上、ロミィにも働いてもらいますからね…って、おや?」
サボろうとするロミィに釘を刺しながらも、ベルはどこか気品のあるエルフの後ろ姿を見つけていた。

「フフーフ、この気品、地面に落ちているような下らぬお菓子など食べるものか!私には有名ブランドが相応しい、迷宮ブランドなど不要だ!」
別の意味で周りのスイーツには目もくれず、豪奢な軍服を身にまとい、颯爽と回廊を進んでいるのは、須野元・参三(気品の聖者・f04540)その人。
「哀れにもお菓子にされた情けない者たち、この気品が華麗に!優雅に!助けてあげてあげようではないか!」
金髪の前髪をばさぁっとかき上げる様はなんだろう、根拠の無い自信に満ち溢れてる気がする。
ふむ…と、罠がありそうな回廊を前に一考。
「罠なんぞ発動する前に動いてしまえば良かろう?見よ!この気品ある足さばき…」
ユーベルコード「スカイステッパー」で跳躍すべく、一歩踏み出した足元でカチリ、という起動音。
「あ。」
凝固した彼女へ無情にも吹き付ける、呪いのガス。ざんねん、さんみのぼうけんはここでおわってしまった!
「ひぃぃぃ、おっ、お菓子になんかになってたまるかー!!わっ、私は気品なんだぞ!?気品はあっ、慌てな~い!!」
「慌てないナラ、暴れないでクダサイね、参三サン。」
「へっ!?…ろ、ローゼマリー…!?」
目を丸くする参三。ここで初めて、ローゼマリーが服を引っ張って助けてくれたのだと理解した。
参三は襟を正し、咳払いを一つ。
「…今のは慌てたように見えて実はフリなので、本気にしないように。」
「ハイ。そういう事にしてオキマース。」
「しかし、ローゼマリーもこの任務に参加していたとはな。」
二人は同じ旅団に所属しており、一応の面識はあった。共に戦ったことは無いものの、お互いの技量・実力はよく理解している。
「ええまあ。私達の場合は成り行きみたいなものですが。」
急に口調や雰囲気が変わったことに参三は軽く驚いたが、
「…そうか、副人格のベルに変わったんだな。」
「スピードと正確さを要する仕事は、ロミィよりも私(ベル)の方が適していますから。」
参三との会話に応じつつも、ロープを天井の突起物に器用に引っかけ、固定する。ロープワークやクライミングで罠を突破していく算段なのだろう。
「さて、私たちは行きますが…、参三さんはどうします?」
ベルの言葉には共に来ないかという意味も込められている。1人よりも2人で行動するなら、お互いのフォローができてより効率的な結果が生まれるはずだ。
参三は再び前髪をばさぁっとかき上げる。
「フフーフ、それ程私の力を必要とするのなら仕方ない。この気品が華麗に、優雅に、協力してあげようじゃないか。」
「OK、期待してますよ参三さん。」
そして二人は動き出す。スカイステッパーで空中を渡る参三、ロープワーク&クライミングで猿の如く移動するローゼマリー。2人は初めてとは思ない程呼吸ぴったりに、罠がひしめく回廊を駆け抜けていくのだった。

ローゼマリー&参三組、探索過程にて1名の被害学生を救出完了。
残り学生数、約8名前後。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

デナイル・ヒステリカル
完全に振りじゃないですか……いえ、食べませんが。
さすがに人命優先です。
「いやでも……うーん、気になりますね……」

電脳ゴーグルを使用して電脳空間を展開、周辺の地形を情報収集して仮想マップを組み立てます。
UCを使用して機械兵士を召喚、ハッキングによって行動様式を改変して、罠の射出口を塞ぐように移動するよう命じますします。

どんなに悪辣な罠でも、障害物に阻まれてしまえば無力なはず。

何らかのアクシデントによってお菓子化してしまった方が壊れてしまう可能性もあります。
先に進むよりは被害者の方の回収を目指して行きましょう。
案内プログラムとして作られた自分にとって、マップ埋めは非常にイージーです。



(完全に振りじゃないですか……いえ、あれだけ言われたら、流石に食べませんが。)
デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)も、ダンジョン内のスイーツに興味を惹かれた者の一人。
案内プログラムとして作られた彼にとって、知識は摂取してしかるべきもの。それが禁忌であったとしても例外ではない。
ただ一つの問題は、今彼は猟兵としての任務中であるということだ。
「さすがに人命優先です。………いやでも……うーん、気になりますね……。」
チラチラと傍らのスイーツに目を遣ってしまう。知識欲と好奇心がツンツンと刺激される。
それらの本能を強固な使命感で打ち消し、デナイルは回廊の奥へと向き直った。
(謎解きは後でもいい、まずは任務をこなすとしようか。)
電脳ゴーグルを装着して準備は万端。ゴーグルの向こうに在る双眸がきらりと光った。


―電脳空間展開 完了―

―周辺地形の情報収集開始 完了―

―仮想マップ構築開始―

デナイル固有の電脳空間が回廊の隅々までスキャンを行い、迷宮全体の詳細なマップを組み立てていく。
繰り返すが彼は案内プログラムとして作られたバーチャルキャラクター、マップ埋めなどは基本性能として備わっている。
大げさにいえばまず解答を先に暴いてから動くようなものだ。
彼と一緒ならすごく楽できそうとか、そういう話はさておき。
「仮想マップ構築75%完了。さぁ、そろそろ状況開始だよ。」
ここでUC「疲れ知らずの配下たち(バーチャルレギオン)」を展開。
わらわらと散らばっていくのは、電子精霊で構成された100体もの機械兵器。
狙いは罠の射出口。ハッキングによって行動様式を改変した機械兵たちが、数の暴力に任せて次々と射出口を抑えていく。
罠を踏めどもガスは発射されず、デナイルは悠々と回廊を進んでいく。
「よし、探索の方は、とりあえずこれで問題無いかな。」
マップを確認する限り、最奥への到達は先行している猟兵たちに任せて大丈夫そうだ。
「あとはお菓子にされた学生たちの救出だけど…。」
先程からやたら繰り返される破壊音が気になる。…もしかして、誰か迷宮を壊しながら進んでやしないか?
破壊や振動でお菓子になった生徒が崩れたり、壊れたりしたらそれこそ一大事。
仮想マップには学生たちの位置を示す光点が8つ、うち2つは現在地から比較的そう遠くないところに在るようだ。
「行くよ、みんな。」
電子精霊の配下達を引き連れ、電脳の魔術師は目的地へと急いだ。


デナイル・ヒステリカル、行方不明の学生2名転送完了。残りは6名。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パフィン・ネクロニア
おやつに冷凍バナナの束を持参


食べるなと言われれば余計に食べたくなるものじゃが
ああも念を押して言うのなら素直に聞いておいた方がよさそうじゃの
とまれ、おやつも持ったし出発じゃ


トラップ攻略は他の猟兵に任せて、わしは学生の救助優先で行くぞ
リトルを呼んでダンジョン内をひとっ走りして学生を発見次第回収じゃな

罠なんぞ当たらなければどうということはない
基本は一気に駆け抜ける方針で行くぞい
が、そもそも踏まない方がいいに決まっとるしの
極力壁には触れず、なんとなーく怪しいところにはバナナを投げて確認するぐらいはしておこうかの
むろんダンジョン内でのポイ捨てはいかんからな、トラップがなかったらバナナは回収するぞ



トラップを受けてバナナ型クッキーに変わった冷凍バナナの数、これで17本目。

「んーむ…、食べるなと言われれば余計に食べたくなるものじゃが…。」
片手に握ったバナナをもっさもっさと咀嚼しながら、パフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)はクッキーに変化したバナナを拾い上げた。
迷宮内のスイーツに限らず、トラップを受けて変化したクッキーもどうやら本物のようだ。
試しに口にしてみたくはあるが…
「ああも念を押して言うくらいじゃ。素直に聞いておいた方が良さそうじゃの。」
おやつ持参のおかげで、それなりに腹は満たされているから問題ない。危険物は廃棄用袋へシューッ、ポイ捨てはダメ。絶対。

「じゃがのう、困った困った。」
なんとなーく怪しいところにバナナを投げて、安全確認しながら進んでいるものの、意外と罠が多くて17個も無駄にしてしまった。
(これがなぁ、売りもんになればまた別なんじゃが。)
彼女の平時は数多の世界を渡り歩く行商人。商人にとって信用は命、珍妙な品々は売るが、得体の知れないものを売りに出すわけにはいかない。
かといってこれ以上バナナを無駄にするのも正直御免こうむりたい。
「…まぁ、罠なんぞは当たらなければどうということはないか。」
深く考えてもしょうがない、ここはストレートにいこう。
目を閉じてユーベルコード起動、導くはこの状況の最適解。
「盟約に従い来たれ以下略!リトル、出番じゃ!」
掛け声に応じて喚び出されたのは、彼女より一回り大きな白きドードー。
よっこいせとドードーの背中に飛び乗り、パフィンが見据えるは正面に伸びる回廊の奥。
「一気に駆け抜けるぞリトル、わしが良いと言うまで止まるでないぞっ!」
返事の代わりにリトルは尾羽根を軽く振り、短めの脚をまずは一歩。
二歩、三歩、歩くごとに速さを増し、十を踏み出す頃にはかなりの速力を叩き出していた。
何度か罠を踏んだ音が聞こえたが関係ない。トラップが起動する頃には既にその数歩先を走っているのだから。

「さーて、学生たちは一体どこにおるかの?」
疾走するリトルの背中から、周りをぐるりと見渡すパフィン。広大な迷宮といえど、走って走って距離を稼げば1人か2人くらいは見つかりそうなものだ。
「おーおー、いたいた。」
進行方向に在るは人型を模した黄白色のオブジェ。クッキーにされた学生に違いない。
「マジックアイテムびびびーっと…うむ、これでOKじゃな。」
学生が無事転送完了したのを確認し、パフィンは満足そうに頷いた。最初からこうした方が早かったのではと思わなくもない。
「ではリトル、もうひとっ走り行くぞい。まだわしらの助けを待っとる学生がおるかもしれんでな。」
ぽんぽんと背を叩いてやるとリトルは元気そうに跳ね、再び主を乗せて迷宮を駆け抜けるのであった。

パフィン・ネクロニア 1名の学生救出完了、残り5名。

成功 🔵​🔵​🔴​

ディスターブ・オフィディアン
第1人格で行動
心情:
「即死はさせないが、相手をお菓子に変える罠か。
 可能であれば構造を調査して、レプリカクラフトのバリエーションに取り入れたいところだが……。とりあえずは後回しか」

行動:
自身の「罠使い」としての技能を利用して「第六感」と合わせ罠の位置に見当をつけながら探索。
発動させてしまった場合には「見切り」「武器受け」「残像」を利用して回避。
合わせて、お菓子化した生徒を探索。
もし生徒よりも先に既に発動した罠を見つけたら、周囲にお菓子化した生徒がいないか確認。



「アルダワ魔法学園地下に広がるお菓子の迷宮…か。ふん、こんな珍妙な場所にも骸の海の秘密は眠っているものか…。」
クッキー生地の回廊に靴音を響かせながら、ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)は一人呟く。
聞けばこのお菓子の迷宮の構造は、フロアボスが齎す変異によるものだとか。
(連中の主が迷宮最下層に潜む大魔王ということであれば、このお菓子の迷宮も魔王の真実を暴くファクターになり得る。重畳、それでこそわざわざ足を運んだ甲斐があるというものだ。)

ディスターブは体の中に三つの人格を有している。
今、彼を動かしているのは第一人格「叡智の灯」。好奇心のまま、真実を暴き出すことに拘泥するダークヒーロー。
さてこの地にオレが求めるモノが有りや無きや。紅き瞳の奥に、貪欲な炎が灯った。

罠使いとしての技量と第六感を駆使し、罠の位置にあたりを付けながら回廊を疾駆。
「…!」
前足にトラップの確かな感触。考えるよりも先に残像を発動させ、何とか事なきを得る。
(…なるほど、これが即死はさせないものの、相手をお菓子に変える罠か。)
どのようにして対象をそっくりそのまま再構成するのか、非常に興味深い。
(可能であれば構造を調査して、レプリカクラフトのバリエーションに取り入れたいところ…だが。)
どうにもこのガス、ただ単に対象をお菓子に変える"だけ"では無いような気がする。
(面白いな、禁忌の気配を感じる…っと、いかんいかん。)
とりあえず調査は後回し。まずは猟兵としての任務を優先しなければ。
だが肝心の学生たちは一体どこにいるのやら。
迷宮はふざけたレベルで広大だ。闇雲に探してはそれこそ時間を浪費するのみ。
「そういえば…、お菓子にされる直前に彼らもトラップを起動させているはずだな…。」
ガスはその場で霧散してしまうが、チョコの方は何かしら痕跡が残っているかもしれない。
そちらの線を当たってみるか、と方針を統一し、ディスターブは再び行動を開始した。

果たして、地面に注意しながら回廊を進むと、血の痕にも似たシミが数滴残っていることに気付く。
否、血ではなく、これはチョコレート。天井から滝のようにチョコが降り注いだのであれば、しぶきが遠くまで跳ねていても不思議ではない。
痕を辿ってみれば予想通り、行方不明の学生が頭を抱えた状態のまま、チョコレートの彫像と化している。
「やれやれ、手間をかけさせてくれる。」
マジックアイテムの光を当てて転送完了。とりあえずは一段落といったところか。
(そこそこ時間が経ったな。スピードを生かすタイプの猟兵なら、そろそろ最奥へ続く道を発見する頃かもしれん。)
最奥に潜むのは鬼か邪か。だが彼にとってはどちらでも良いこと。
「ああそうとも。このオレの好奇心を満たしてくれるのなら、な。」


ディスターブ・オフィディアン 1名の学生転送完了。残り4名。

成功 🔵​🔵​🔴​

マーシャ・ドラクロフ
★アドリブ、連携大歓迎!

■方針→SPD

技能のダッシュ10を活用して
罠が発動する前に走り抜けるよう、駆け抜ける!


一発で行動不能にするトラップ群……。これ、解析できたら名誉賞ものじゃないかな!

■ユーベルコード
己の分身体を三体出現させるクワイエット・ライオットにて人海戦術で迷宮内の被害者の捜索を行う。

さーて!私たち!
頑張って一人でも多く見つけようね!
あとお菓子は食べちゃダメだよ!

■技能
救助活動5、ダッシュ10



お菓子迷宮攻略開始から約30分が経とうとしていた。
突入した猟兵たちは奇しくも罠を突破して最奥への道を切り開くメンバーと、
囚われた学生を救出するメンバーの二手にバランスよく分かれ、それぞれが一定の成果を上げつつある。

今まさに金髪をなびかせ、回廊をひた走るダンピールの少女、マーシャ・ドラクロフ(金鴉の唄・f01216)もその一人。
お菓子に変えられた学生たちを救出すべく、周囲を注意深く確認しながら迷宮を駆けまわっていた。
「…おっと!」
探索を開始してから何度目かの、罠を踏んだ感触。反射的にスタミナの開放、そして瞬間的なギアチェンジ。
急な加速に付いていけず、空中へ置き去りにしたとんがり帽子をキャッチした直後、虚しく響くはガスの噴射音。
振り返って帽子を深くかぶり直しながら、マーシャはゆっくり霧散していくガスを眺めていた。
「一発で行動不能にするトラップ群かぁ……。これ、解析できたら名誉賞ものじゃないかな!」
好奇心と探究心に従って調査してみたいなぁ…とは思いつつも、彼女は自身が猟兵であることを片時も忘れない。
今はお仕事の真っ最中。私への名誉は置いておき、まずは被害者を救出しないと。

「けど、意外と見つからないものだね~…。」
無理もない話だ。10人程しかいない救出対象に比べ、このお菓子の迷宮はあまりに長大すぎる。
例えるなら砂丘に埋もれた探し物を見つけろというようなもので、常人には途方もない労力と時間を要すものだ。

――そう、それは常人だったらのお話。常識で推し量れぬもの、それが私たち猟兵なれば。
1人でダメなら2人、2人でダメなら3人、「私」を増やして探せばいい。幸いにもマーシャ・ドラクロフは、その術を知っている。


「さ-て!私たち!頑張って一人でも多く見つけようね!」
「「「おーーーー!」」」

元気に拳を突き上げる4人の「マーシャ」が其処にいた。
独自のUC「樹静かならんと欲すれども風止まず(クワイエット・ライオット)」で喚び出したるは、彼女と同じ容姿を持つ3体の分身。
元々は自身の残像を具現化したものであり、一体一体の戦闘力は本体に遠く及ばない。
されど、探索に於いてこれ程有用な能力は他に類を見ないだろう。

「あ、迷宮内のお菓子は食べちゃダメだからね。食べたらね、大変なことになるからね。」
「「「はーーーーい。」」」
訓戒はしっかりと忘れずに。
「んーー、いい返事。それじゃ、行こっか!」
4人のマーシャが一斉に散開し、再び探索を開始した。数分前に比べて探索人数は4倍、探索距離はさらにそれを上回る。
つまり彼女にとって学生救出は、そう難しい問題では無かったのだ。

「みーつけた!」
「どこどこー?」
「あっちかな?」
「こっちにもいたよ!」
迷宮内に彼女たちのカルテットが高らかに鳴り響く。

マーシャ・ドラクロフ、探索に於いて2名の学生を発見、回収完了。残り約2名。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴァーリャ・スネシュコヴァ
ええ!?甘いものは好きだが、自分自身がお菓子になりたくはないな…。

もちろん、救出優先でダンジョンを探索するぞ!
トラップの察知は【第六感】で行い、トラップが発動する前に素早く通り抜けようと思うぞ。
どうやって早く移動するか…もちろん、俺の氷を利用してだな。氷の【属性攻撃】で床を凍らせながら、装備している“トゥーフリ・スネグラチカ”を使用し【ダッシュ】で素早く滑って潜り抜ける!ダッシュでも切り抜けられない場合は、【ジャンプ】+『スカイステッパー』で空中を飛んで避けることにしよう。
生徒の発見も【第六感】を使って探してみるぞ!

い、いや、いくら大食いといえど…もちろん食べはしないぞ!?

(アドリブ大歓迎)



「うーん、…甘いものは好きだが、自分自身がお菓子にはなりたくないなぁ…。」
迷宮内のあちこちに転がるスイーツに見惚れながら、ヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)は独り言ちる。
「そもそも食べられないお菓子に、価値なんてあるのか?」
お菓子の迷宮と聞いて密かに…、いやかなり期待するところはあったのだが!
どれにも手を出してはいけない等と言われた以上、甘味大好物の彼女にとってこの状況はなかなかの地獄であった。
(ちぇっ、おやつでも持ってくればよかったのだ…。)
彼女は内心舌を打つ。別段空腹というわけでもないが、これだけ甘い匂いをばら撒かれては堪らない。
そこでふと、思い出す。途中まで一緒だったヤドリガミの少女が、バナナを束で持参していたっけ。
(うん、あとでおすそ分けしてもらうぞ。)
あれ、食べ物のことを考えると、なんだかすっごくやる気出てきた気がする。
ゴールに待つ(であろう)バナナを活力に、腹ペコ少女はトラップひしめくクッキー回廊へと向き直った。

詠唱は不要。ヴァーリャにとって氷と冷気を操る力は、生まれた頃より持ち得し物。
伸ばした指先を中心に周囲の空気が凍りつき、わずかな水分を結晶化させる。
指で弾いた結晶が接地するや否や、一瞬の内に氷の床が完成した。
「まぁ、これくらいでいいか。」
床全体をアイスバーンで覆いでもしない限りトラップは無効化できないだろうが、彼女にとってはこれで十分。
固有のレガリアスシューズ「トゥーフリ・スネグラチカ」に魔力を流し込み、氷のブレードを精製。即席のスケートシューズを完成させ、凍った地面をすいすいと滑走し始めた。
「ふふん、楽勝楽勝♪」
第六感による罠の察知、さらには滑走によるスピード移動で驚くほど順調に距離を稼いでいく。
もちろん時折罠を踏んでしまうことはあるものの、障害を時にスライディング掻い潜り、時にスカイステッパーで跳躍し、その尽くを華麗に躱していく。
銀盤に美しいトレースを描きつつ、ヴァーリャの後ろ姿は瞬く間に回廊の奥へと消えていった。

「よし、一人発見したぞ!」
滑走先に在ったのは、苦悶の表情を浮かべたまま立つチョコレートの彫像。
マジックアイテムのライトを当てて救出を完了し、ヴァーリャはほっと一息をつく。
(もうだいぶ救出されてたようなのでこちらには居ないかもと心配したが…、とりあえず成果を上げられてよかったな。)
安心した途端、呼び覚まされる空腹。周りには食欲を誘うスイーツの数々。思わず彼女の喉が、ごくりと鳴る。
(い、いや!いくら大食いといえど…もちろん食べはしないぞ!?)
頭をぶんがぶんがと振って、誘惑に負けそうな弱い自分を頭から吹き飛ばす。
早くヤドリガミのあの娘と合流しよう、そうしよう。…バナナ、まだ残っているといいんだけどな。


ヴァーリャ・スネシュコヴァ 探索先で1名回収完了。残る学園生は1名。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水野・花
【テフラくん(f03212)と同行】
【POW】
トラップをテフラくんと協力して強引に突破しますよ。
つまり、テフラくんを盾にしてトラップは全部テフラくんに受けてもらいます!
……分かってますよ、テフラくんこういうの好きでしょ?
一度、お菓子になってしまえばそれ以上お菓子にはならないはずだし、お菓子になった状態なら運ぶのもそんなに力が要らないはず。
最終的に私が無事なら後でテフラくんを解呪してあげれば良いだけの話ですからね。

できる限りトラップを(テフラくんで)潰す事を優先して、他の人がトラップにかかりにくいようにします。でもお菓子に変えられた学生や猟兵を見つけたらマジックアイテムで回収します。


テフラ・カルデラ
【花さん(f08135)と同行】
お菓子の迷宮…とっても甘そうです…
でも食べちゃダメなんですよね…うぅ…気になるぅ…!!
それに!お菓子の像にされた犠牲者さんが羨まし…じゃなくて助けなければ!

ともあれお菓子像の生徒さんを見つけたらすぐに転送します!
トラップにも十分注意して行かなければ…野性の勘で大体どこにあるのかはわかるはず…!
え?わたしが盾になって強引に突破…?こ…これってありですかね…?
そ…そりゃあ…生徒さんが羨まし…あっ…

も…もう覚悟は決めていきますよっ!(どきどき



「うわ~、お菓子の迷宮…!とっても甘そうです…!」
キマイラの少女、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)はきらきらと目を輝かせて周囲を見回している。
…否、修正しよう。かれは列記とした男の子。どう見ても女の子にしか見えないが、現実は時としてフィクションを超えるものだ。
女の子顔負けの仕草やリアクションで迷宮を歩くテフラに対し、後方からやんわりとと呼びかける声があった。
「ダメですよ、テフラくん。食べちゃダメってあれほど言われたでしょ?」
声の主は巫女装束に身を包んだ小柄な妖狐の少女、名は水野・花(妖狐の戦巫女・f08135)。
かつて自分に掛かっていた石化の呪いをコントロールし、今や己が呪術として使いこなす凄腕である。
「うぅ…そうなんですけど…、気になるぅ…!」
「…まぁ、わからない気持ちもないですが。」
テフラは心底残念そうだが、花がこれらのお菓子に抱く思いは少し違う。
このお菓子は僅かながら自分に近いものを感じる、恐らくは何らかの呪いの類。
もちろん詳細は知るべくもないが、いくらテフラくんがドMであっても、こんなものを食べさせるわけにはいかないでしょう。
ただ…花の心配を他所に、テフラは何か別ベクトルにハイテンション。
「それに!お菓子の像にされた犠牲者さんが羨まし…じゃなくて助けなければ!」
「…ふーん…。」
そう、そうでした。テフラくんとはこういう方でしたね。
なら私もやるべきことをしましょうと、花は一人頷いていた。

「ともあれお菓子像の生徒さんを見つけたらすぐに転送しましょう!
トラップにも十分注意して行かなければ…野性の勘で大体どこにあるのかはわかるはず…!」
回廊を前にやる気十分なテフラに対し、冷水をかけるように花が言い放つ。
「野生の勘?…必要ありませんよ、そんなもの。」
「え?…花さんにはまた別に違う作戦が?」
「野生の勘を活かせるのはテフラくんだけ。でも今はコンビを組んでいるのだから、2人で協力して突破するのが最適でしょう?」
…それってつまり…
「テフラくんを盾にしてトラップは全部テフラくんに受けてもらいます!」
「……え……えぇぇェェェェェ~…!?」
テフラくん、驚愕。だが、なんだ。そのまんざらでも無い表情は、一体なんなんだ。
「……分かってますよ、テフラくんこういうの好きでしょ?一度、お菓子になってしまえばそれ以上お菓子にはならないはずだし、お菓子になった状態なら運ぶのもそんなに力が要らないはず。
最終的に私が無事なら後でテフラくんを解呪してあげれば良いだけの話ですからね。」
成程、道理は通っている。倫理的にはだいぶおかしいが。
「わたしが盾になって強引に突破…?こ…これってありですかね…?そ…そりゃあ…生徒さんが羨まし…あっ…」
本音ダダ漏れなテフラくん。
ありじゃないですかね、合意の上なら。何処に止める理由がありましょうや。
「も…もう覚悟は決めていきますよっ!(どきどき)」
「はい、それじゃあ新しい世界へ、行ってらっしゃい。」
花にどん、と背中を押され、トラップを思いっきり踏み抜くテフラ。
両壁のガスの噴射をもろに浴びてクッキーになった彼の表情はとても苦しげで…、でも、…どこか満足そうだった。


テフラ・カルデラ&水野・花両名、ダンジョン探索過程において1名の生徒を救出。
これにてアルダワ学園生は全て回収完了。
なおクッキー化したテフラ・カルデラに関しては、罠避けとして使われているせいか転送されないが、同行者の花に解呪の心得があり、今の所問題無いと思われる。以上。

最奥への道が、これで拓く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ネバメーバ』

POW   :    はじける
【攻撃された際、飛散した肉体の一部 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    からみつく
【ネバネバ 】【ドロドロ】【ベチャベチャ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    ふきつける
レベル×5本の【酸 】属性の【自身の肉体の一部】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●そのスイーツは血のように紅く
「――迷宮内の全猟兵に連絡。」
 各メンバーの通信機からノイズ混じりで聞こえてくるのは、先行して罠を突破した猟兵のものであったろうか。
「ポイントDにて、迷宮最奥に続くと思われる大扉を発見。探索を切り上げ、速やかに該当ポイントへ集合されたし。」

 マップシートに灯る光点を頼りに全員が集合すると、果たしてその扉は在った。
 チョコレート製な点は他と同じだが、他と比べて遥かに大きく、表面には美しい意匠がこれでもかと凝らされている。
 猟兵ならずともこの扉が特別であるということは、容易く理解できるだろう。

 数人がかりで押し開けた扉の先の空間を見て、猟兵たちは思わず息を飲む。
 紅。紅。紅。天井から壁、床に至るまで何もかもが紅。
 途轍もなく広い空間の全てが、血のような紅色で覆われている。
 否、血ではない。猟兵の何れかが試しにと踏み込んだ一歩を、奇妙な弾力が跳ね返す。
「…ゼリーですかね?これは。」
 なるほど、此処はお菓子の迷宮。であるなら、ゼリーの空間があっても何ら不思議ではない…かもしれない。
 ただ、不可解な点が一つだけ。
「この部屋、他に出口が無さそうだな。行き止まりだ。」
 ここが最奥というのならむしろ当然なのだが、フロアボスの気配を全く感じないのは妙だ。
 ―――もしかしてハズレか?最奥へ続く扉が他にあったのか?
 数人の頭にその考えがよぎった刹那。

 脈動。

 ゼリーの空間そのものに命が宿ったかの如く、天地がうねり、壁が波打つ。
 天井と壁の紅がぼた、ぼたと次々に剥がれ落ち、床の紅と融合。床の紅はそこからさらに分裂を繰り返す。
 ―やがて、猟兵たちの前に並べられたるは、おびただしい数のオブリビオン「ネバメーバ」。
 無機質なる捕食者の大群は、明確なる敵意と殺意を以て、来訪者たちへうぞうぞと迫り来る。
 
 だが、その場に立つ猟兵の、何れの顔にも慌てや驚きの表情は無い。
「デザートにはちょっと早くね?メインディッシュもまだだってのに。」
 軽口を叩く余裕すらある。そう、彼らにとってはいつものこと。
 敵を前にいちいち心を動かす時期などとうに越えた。今回もやるべき仕事をやるだけだ。
 やがて彼ら全員、息を吸うように己の獲物を構える。
「だとしても、出された料理は綺麗に片付けるのがテーブルマナーってものでしょう?――皆さん、派手に戦りましょうか。」
ディスターブ・オフィディアン
第一人格で行動
心情:ふむ、呪詛や菓子に係わる技はないか。
本命はこの先だな、手早く済ますとしよう。

行動:ウィザード・ミサイルによる炎の矢で攻撃する
敵からの攻撃は第六感と残像で回避
敵が持っている無差別攻撃での同士討ちも狙っていこう。
知性があるようだからな、フェイントや誘導弾を駆使して、敵が一カ所に集まるように炎の矢を放ち、ある程度固まったら、中央付近のネバメーバへ炎の矢を連射し弾けさせてやる

炎の矢によって崩壊しそうな箇所(チョコレート製の壁等)があれば、
念のため炎の矢をうちこまないように注意しておこう
実はかつて迷い込んだ人間のなれの果て、という事もあり得るしな



●焔にゆらめく反英雄
 続々と迫り来るネバメーバの大群を前に、ディスターブ・オフィディアン(真実を 暴く/葬る モノ・f00053)は残念そうにため息をつく。
「…ふむ、こいつらはどうも、呪詛や菓子に関わる技を持ってはいないようだな…。」
 どう見てもただのスライムだ。彼がこの迷宮に求めている真実には程遠い。
 正直なところ、無視して本命に進みたい気分だったが、他の猟兵と共闘している立場上そうも行かないだろう。
 ――まぁいい、と彼は軽く笑い、双蛇の杖「ケリュケイオン」に指をなぞらせる。
「時間の浪費は御免だ。手早く済ませるとしようか。」

 現在のディスターブを操る第一人格は、骸の海の秘密を追う反英雄。であると同時に第一級の魔術師であり、特に炎の扱いにかけては他猟兵の追随を許さない。
 ケリュケイオンの柄を、地面に向かってトンッと一突き。
 するとたちまち彼の周囲を、三桁に届く炎の魔弾が取り巻く。
「――跳べ」
 静かな掛け声と共に火矢の雨はネバメーバの頭上へと降り注ぎ、一面を紅蓮で包み込んだ。高熱に耐えきなかった数体が弾け飛ぶ…が、足りない。
 圧倒的な物量で勝る群体はお返しとばかりに、酸性の肉片を機関銃の如く飛ばして酬いてくる。
 流石にこの弾幕を第六感や残像で躱しつづけるのには限界があろう。自身に迫ってきた一弾を杖で弾き返し、不満げに舌打ちを一つ。
「数が多すぎるというのも考えものだ。…まったく。」
 作戦変更といくか、彼はフードを被り直し、考えを巡らせる。
(敵が「面」になっているうちは攻撃範囲が広すぎる。…なら、「点」にしてやればいい。)
 一旦攻勢を止めて、敵を一つにまとめることに徹しよう。ここは持久力の勝負だ。
 数分かけて、ディスターブはフェイントや誘導弾、あるいは炎の矢を駆使し、広がっていた敵の群れを少しずつ一点へとまとめていく。

(…そろそろか。)
 敵が点になることで弾幕は限りなく直線状となった。好機は、今。
 跳躍。さらに高速詠唱。集中して叩くは敵の集合体、そのド真ん中!
「爆ぜろッ!!」
 100本近い炎の矢が線となって虚空に弧を描き、群れの中央付近を上空から激しく穿つ。
 一つ所に集まっていたネバメーバはたちまち十数体分が爆発四散し、周囲に己の肉体を激しく撒き散らした。
 一面劫火の中に降り立つその姿は人か、魔か。炎に照らされゆらめく影は、彼自身が一つの焔になったかの如く。
 再び包囲網を敷き始める敵を睥睨しながら、彼はフードの奥の口端をにぃ、と吊り上げた。
 「いいね。オレの好奇心を満たすべくもないが、退屈しのぎにはちょうど良い。」
 紅蓮の魔術師の周りに、再び火の粉が舞った。

成功 🔵​🔵​🔴​

照崎・舞雪
これだけの数をいちいち切り捨てるのも大変ですし
一気に殲滅しちゃえるだけしちゃいましょう

雪花繚乱。凍てつく花吹雪にて美しく散るとよいのです

周囲一帯のベナメーバを凍らせながら退治していくのです
ええ、敵の攻撃のほとんどは、敵の身体の一部をつかったもの
なら凍らせてしまえば脅威度はガクっと下がるわけなのですよ

ところでゼリーって凍らせると美味しいっていうけど、どうなんでしょうね
誰か食べてみません?あ、私はパスなのです。得体が知れないですし


ヴァーリャ・スネシュコヴァ
バナナバナナ……って、食べる暇がないではないか!
むう……また食べ物がお預けだなんて……ここは早く終わらせて食うぞバナナ!

敵に対しては【先制攻撃】+【属性攻撃】で、氷の力と武器での攻撃を組み合わせ、先制して攻撃! その後は【属性攻撃】+【2回攻撃】!見た目的に水分がいっぱいありそうな敵だから、凍らせて動きを鈍らせることを狙うぞ!
回避する際は【残像】+【ジャンプ】+【ダッシュ】。敵を惑わせ、アクロバティックに素早く回避!

敵に囲まれた場合は、『雪娘の靴』を発動し、スピン技を応用し周囲を攻撃だ!

俺はグルメだ、残しはしないが不味そうなゼリーは二度とごめんだな!

(引き続き、アドリブなど大歓迎)



●二輪の雪月花
「んー…こちらは寡、敵は衆。さてはて、どうしたものでしょうか。」
 ネバメーバの大群を前に、照崎・舞雪(未来照らし舞う雪の明かり・f05079)は唇に指を当てつつ思考する。
 剣技は彼女の得意分野の一つ。群れに斬り込んで、一体ずつ斃していくのも難しくはなさそうだが、いかんせん敵が多い。
 そもそもこれはまだ前哨戦であり、本命はこの後に控えているのだろう。…であるなら、ここで体力を費やすのは愚策というもの。
「これだけの数をいちいち斬り捨てるのも大変ですし、…一気に殲滅しちゃえるだけしちゃいましょうか。」
 方針は決まった。あとは、効果的かつ効率的に敵を巻き込むポイントを探すのみ。
 軽めに羽織ったコートをはためかせながら、たんっ、たんっと敵陣に踏み込む二歩三歩。
 左右から迫る肉片を最小限の動きで躱し、或いは刀身で受け流し、彼女は流れるような動きで歩を進めていく。
(ええ、この辺りでいいでしょう。)
 群れの奥深くへ入り込んだところで、彼女は自身の聖剣、祭礼剣ネプトゥナリアを縦に構え、瞳を静かに閉じる。
「――雪花繚乱。…凍てつく花吹雪にて、美しく散るとよいのです。」
 UC展開。聖剣の刀身が光に溶けて無数の花びらへと姿を変え、彼女を中心に猛烈な花吹雪を巻き起こす。
 花びらはその一枚一枚が、触れなば凍る氷雪の刃片。刻んだ切り口に冷気を送り込み、瞬く間に敵を凍結させていく。
 やがて過ぎ去る花嵐。後には一面、凍りついたネバメーバだけが残されていた。
(概ね予想通り。凍らせてしまえば衆といえど、さして脅威でもありませんでしたね。)
 とりあえずこの調子でどんどん退治していきましょうかと歩き出した時、彼女の頭上から声が響く。
「へへっ、なかなかいい氷だな舞雪。ちょっと借りるぞ!」
「…おや?」
 何事かと見上げる暇もなく、彼女の前に降り立つ小さな影。
 薄氷の髪、菫の瞳、頭に乗せたゴーグルが何とも特徴的なダンピールの少女、ヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)が其処に居た。

「ふふん、舞雪が氷を張ってくれたおかげで、余計なスタミナを使わなくて済んだな。」
 背中に舞雪の視線を感じつつ、ヴァーリャは視線の先にひしめく敵の群れに向かって氷上を滑走する。
(一分でも、一秒でも早く、このアメーバみたいな敵を蹴散らしてやるのだ!)
 この強い意志は猟兵としての使命感によるものか、――否。
(早く終わらせてバナナを食べる!)
 実のところ彼女のスタミナは三割を切っている。
 飲まず食わずで探索をした挙げ句、お裾分けして貰ったバナナを食べる暇もなく戦闘が始まってしまった。
 これ以上お預けされてたまるか、とばかりに意気込むのも無理は無い。
 飢餓は時として人を強くする。いつも腹ペコな彼女にとっては尚更のこと。
 かくして敵は、理不尽なまでの飢餓の暴力に曝されることになった。
「おっそい!!」
 滑走の勢いそのままに先制の飛び蹴り。氷の属性が付与された蹴撃は命中した瞬間に敵を凍らせ、その身を砕く。
 一体、また一体。連撃あるいは残像回避からの回し蹴りなど、アクロバティックな動きで敵を粉砕していく。
 例え敵に囲まれようとも彼女は止まらない。
「UC展開!雪娘の靴(トゥーフリ・スネグラチカ)!」
 掛け声と共に靴裏に精製した氷のブレードで周囲を一閃。
 メバネーバの数体がまとめて両断されていく様を、ヴァーリャはゴーグルの奥から静かに見据えていた。

 ひとしきり戦い続け、斃した敵は数知れず。周囲に動く敵影は無く、二人の間に暫時の平穏が訪れる。
「お疲れ様ですね、ヴァーリャさん。流石です。」
 ようやくバナナにありついたヴァーリャに、舞雪はにこにこと笑いながら声を掛けた。
「おっ、舞雪か。そっちのフォローにもだいぶ助けられたな!」
 二人の戦い方はどちらも氷の術を活用する点で共通している。相性はかなり良いかもしれない。
「いえいえ、どういたしまして。…ところでヴァーリャさんは、凍ったゼリーなどお好きでしょうか?」
「凍らせたゼリー?…大好物だけど、それがどうかしたか?」
「ええ、これを少し囓って頂けないかと思いまして。」
 何やら赤黒い氷片が舞雪の手に乗っている。どう見ても食べ物は見えない。
 というか見間違えでなければ…
「…いやこれ、さっき俺達が凍らせた奴等だろ。オブリビオンの死骸だろ。」
 それを囓ってみてくれ、とこの青髪の娘は言うのだ。しかも割とマジな顔で。
「凍らせたゼリーは格別美味だと聞きましたので、バナナとご一緒にどうかな、と。」
「そもそもゼリーじゃないし!俺はグルメだからこんなもの食べないの。気になるなら舞雪が食べてみれば?」
「あ、私はパスなのです。得体が知れないですし。」
「だよな、あはは。――ってこらぁっ、自分が食べたくないものを人に勧めたりするんじゃない!」
 前言を撤回しよう。相性はちょっぴり微妙かもしれない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

須野元・参三
ゼリーを出す?まったくメイン前に腹を膨らませてやろうなど、ダイエットしているわけじゃないんだから……
迷宮の考えていることは理解できんな
だから、この光に愛されし気品の私が蹴散らしてやろう

遠距離から『範囲攻撃』『先制攻撃』を使い「気品力の裁き」の気品力で空間を薙ぎ払う
しかし、『存在感』が無機質に通じるならば避けるしかないだろう
悲鳴と罵詈雑言しつつ『第六感』と『見切り』使って必死の回避
気品はゼリーが服に付いたりして汚れたら嫌いだからな

(アドリブはお好み歓迎)


ローゼマリー・ランケ
「アー、もう暴れてよいんデショウカネ?ベル」
「ええ。ロミィが暴れられる様に、フォローしましょう」

基本的に相手の動きを見て、対応する形で行動する
ユーベルコードと
スキルのロープワーク・地形の利用と武器のワイヤー等を駆使し、敵を集めて文字通りの一網打尽を狙う
また、足場が極端に悪い場合は同じ物を利用し、敵を引き寄せて攻撃を狙う

基本的にSPD対抗で戦闘を進めるが、トドメ等に狙えるならグラウンドクラッシャーを使用

「ンー、コレも食べられ無いデスネ。ワルゼロムさんへお土産にシマショウ」
「まだ、メインが残っていますが……彼女、喜ぶと良いですね」

力・勘はロミィ、スピード正確性はベル
以上の内容の他、遊びアレンジ歓迎



●猟兵とは気品で豪放たるべし
「メインディッシュ前にゼリーを振る舞うか…ふふ、なかなか気が利いているじゃないか。」
 須野元・参三(気品の聖者・f04540)は金髪をかき上げつつ、ゼリーならぬメバネーバの群れを眺めていた。
 豪奢で煌びやかな衣装に圧倒的な存在感、今日も今日とて彼女は気品に満ち溢れている。
 隣に並び立つは、手斧を背負ったバーバリアン、ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティーガー&シュバルツシュランゲ・f01147)。
 女性にそぐわない筋肉質なボディは野性味に富み、参三とはまた違った存在感を感じさせた。
「ええ、…しかし、なかなか数が多いようです。全部殲滅するにしても少々時間がかかりそうですね。」
 体格に合わない丁寧で柔和な口調からして、今は副人格のベルが彼女を動かしているのだろう。
「ふふん、ダイエットしているわけじゃないから、全部平らげてやるさ。ただ、迷宮の主の考えがよくわからないってだけでね。」
「オブリビオンの考えなど、そもそも私たちが推し量れるものではないでしょう。…では、そろそろ?」
「ああ、ゼリーの群れなど、この光に愛されし気品の私が蹴散らしてやろう!」
 散開する二騎の猟兵。それぞれが己の仕事を全うすべく、オブリビオンの大群へと立ち向かう。

「裁きを受けるが良い、これが気品力の光というものだ!」
 初手からUC「気品力の裁き(ノーブルジャッジメント)」を展開し、全力全開の参三。
 気品に満ち溢れたポーズの掌から放たれる「気品の光」が広範囲の空間を薙ぎ払い、メバネーバを次々と吹き飛ばしていく。
 なお、「気品力」や「気品の光」といった力は彼女固有のエネルギーであり、その実体は定かではない。謎でも何でも、敵は問題無く倒せているからOK。とにかく「理解はできないけど何かすごい力」なのだ。あまり深く考えないように。
「…ふっ、今日も気品は絶好調。」
 吹き飛んでいく敵をバックに、気品溢れるポーズ。だが当然、こんな存在感抜群の対象を敵が見逃す訳もなく――
「…ヒッ!」
 数に任せて雨のように撃ってくる酸性の肉片、その全てが自分を狙っているという事実に気付き、参三は思わずその端正な顔を引きつらせた。
「ぬわあぁぁっ、あああー!」
 悲鳴を上げて全力疾走。当たれば重傷必至の肉片が、彼女の髪を、衣服をかすめていく。
 狼狽えて止まるわけにもいかない。止まれば死ぬ。被弾した後の無残な自分の姿を夢想し、参三は思わず身震いした。
「き、気品はこんなところで死んだりしないっ!死んでたまるかー!!」
 悲鳴と罵声が途切れること無く響く。彼女は命がけのチェイスはまだまだ続きそうだ。

 参三のチェイスを遠目から眺めていたベルは一瞬救援すべきか?とも思ったが、
(慌てふためいているように見えて、実のところ巧みに回避し続けている。あの調子ならしばらく大丈夫でしょう。)
 ―ならば今は私達がやるべきことをやるだけ。武器を構え、敵に向き直ったところで、
「…アー、もう暴れてよいんデショウカネ?ベル。」
 ローゼマリーにとって力の象徴、主人格であるロミィが目覚める。
「ええ。ロミィが暴れられる様に、フォローするとしましょう。」
「Ya!では派手にイキマスよー!」
 元気な掛け声と共に、UCオルティナ・ダブルを発動。
 主人格のロミィと副人格のベル、二つの人格がそれぞれ一つの個体を得て、敵の群れへと飛び込んでいく。
 二人共積極的な攻撃は避け、ロープワークを駆使した翻弄、ワイヤーを使った牽制をひたすらに繰り返す。目的は分散した敵勢を一ツ所にまとめる、その一点。そして努力は徐々に結実しつつあった
「…そろそろ頃合いでしょう。後はお願いしますよロミィ。」
 オルティナ・ダブルが解除され、肉体の主導権をロミィへと移譲。
「任さレタ!…オォぉぉッ!」
 獲物を愛斧ロミィ・アックスに持ち替え跳躍。UCグラウンドクラッシャーの一撃を、群れに中心めがけて叩き込む。
 衝撃、そして轟音。グラウンド・ゼロ付近にいた十数体は、既に無残な残骸へとその姿を変えていた。

 ネバメーバだった何かを拾い上げ、含み笑いするロミィ。
「ンー、コレも食べられ無いデスネ。ワルゼロムさんへのお土産にシマショウ。」
「まだ、メインが残っていますが……彼女、喜ぶと良いですね。」
 周囲を見渡すベル。他の猟兵の活躍もあって、あれほどの大群もその数をだいぶ減らしている。壊滅も時間の問題だろう。
「…おーい、ローゼマリー!おーーーい!」
 彼方から聞き覚えのある、参三の声が響いてくる。そういえば彼女が請け負っていた敵は片付いたのだろうか。
「おかわりだ、たすけてくれ!」
 悲壮な表情をした参三を追う、ネバメーバの群れ。
 チェイスする内に他のを巻き込んでしまったのか、既に雲霞の如き数へと膨れ上がっている。
「…ウーン…、メインの前にお腹一杯になりそうデスね…。」
 だがそれも猟兵なら仕方ないノカモ、と思い直し、ロミィは再び己の獲物を構えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マーシャ・ドラクロフ
★アドリブ、連携大歓迎!

■心情
うへー、ベトベトイヤだよー
槍で刺しても、なんだかダメージ通ってなさそうで私苦手だよアレー

だから、すりつぶすね!

■ユーベルコード
G.U.N.R.A.M(ガンラム)

所持しているダンボールと合体することで、何だか既視感のあるロボットになる。

出ろー!ガンラーム!

■戦闘
ガンラムとなって素手による格闘戦を用いて参戦

「アチョー!必殺パンチを喰らえーい!」

殴り、ちぎり、踏みつけをメインに攻撃。


■技能
ダッシュ10を活用して、酸攻撃から逃げる。

溶かされちゃたまらないですから!

※素材に使っているダンボールはマーシャの家。



●お菓子迷宮のG.U.N.R.A.M
「うへー…。ベトベトいやだよ~。」
 メバネーバの大群を前にして、マーシャ・ドラクロフ(金鴉の唄・f01216)は嫌悪感を露わにする。
 この敵はなぜこんなにも嫌われているのだろう。確かに女性が好みそうにない姿ではあるが、マーシャに限っては少々事情が異なる。
「槍で刺しても、なんだかダメージ通ってなさそうで…。私苦手だよあれ~…。」
 彼女は竜騎士、愛槍「影尖槍-チェーニ-」を振るってオブリビオンを討つ者。ゆえに刺突攻撃に耐性のある不定形モンスターとは極めて相性が悪いのだ。
 よってこの難敵に立ち向かう策として、彼女は明瞭かつ単純な解を導き出す。
「…だから、すりつぶすね!」
 敵を燃やす炎も、凍らせる氷も無い代わりに、マーシャにはこの切り札が在る!
『グレート・ウルトラ・ニコニコ・ラピット・アーマー・マーシャ……起動!!』
 一変する空気。拳を元気に突き上げて紡ぐは、無敵装甲装着の合図。
「出ろォー!ガンラーーーム!!」
 説明しよう。「G.U.N.R.A.M(ガンラム)」とは、折り畳み式マイホームである段ボールが変形してマーシャを覆う装甲となり、何だか既視感のあるロボットに変身できるという、実に画期的なUCなのである!
 ハイそこ、ネタ自体に既視感があるとか野暮なことは言わない。
「マーシャ、いきまーす!!」
 あれ、台詞もどこかで聞いたことあるな?とにかく頑張れガンラム、人類の敵オブリビオンを蹴散らすのだ!

 ガンラムに変身したとはいえ、特に武装が追加されたわけでもなく、頼れるのは己の肉体のみという状況。
 然しながら、猟兵の身体能力とロボ(?)の巨体が合わされば、それだけでも兵器としては十分といえよう。
「アチョー!必殺パンチを喰らえーい!」
 接敵したネバメーバを端から殴り、ちぎり、踏み潰し、次々とスコアを稼いでいく。
 もちろん敵もただやられてばかりではなく、ガンラムの格闘攻撃に対して、自身の軟体ボディを振り回して反撃。数えきれないレベルの飛散した肉片が、ガンラムへと襲い掛かる。
「溶かされちゃたまらないよ。ブースト!」
 という名のダッシュで回避。見た目にそぐわないスピード…ではあったものの、流石に全てを躱すには至らず、二、三の肉片が脚部のダンボールを削り取っていく。
「に…にゃあああ!私のマイホームがーーー!」
 ムンクもかくやの表情を浮かべるマーシャだったが…
「…。くっ…まだだ!たかが脚の装甲がちょびっとやられただけだ!」
 マイホームのどのあたりがやられたのかは後で確認すればいい。
 今はとにかく目の前の脅威を排除しよう。このままだとマイホームがボロボロになりかねないからネ!
「――マーシャ、突貫します!」
 やはりどこかで聞いた台詞である。どうか、どうか、彼女のマイホームがこれ以上壊されることのありませんように。

成功 🔵​🔵​🔴​

デナイル・ヒステリカル
お菓子の迷宮にネバメーバ……さしずめ彼らはゼリーといったところですね。
もっとも、この鼻を突く酸の臭いから考えるに、食べられるのは僕たちのようですが。
殺意の高いモンスターハウスでも、僕たち猟兵を飲み込むことは出来ないと証明して見せましょう。

あえて敵集団の中へと進み、周囲を囲まれたタイミングで自分を中心とした範囲攻撃をしようと思います。
ユーベルコード:オーバースターティークを使用して雷撃します。
このUCの特徴は攻撃する相手を選択できるとこ。僕は乱戦状態でも味方を避けて敵だけを倒せると思います。



●奏でるは雷霆(ケラヴノス)の葬送曲
「お菓子の迷宮にネバメーバ……さしずめ、彼らはゼリーといったところですね…。」
 迷宮の主は実に良い趣味をしていらっしゃる、とデナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は皮肉交じりに笑う。
 この鼻を突く酸の臭いから考えるに、普段の捕食者はきっと彼らの方。連中を構成する肉は一体何方のものやら。
 道中のトラップといい、ゼリーを模したオブリビオンといい、お菓子の迷宮というメルヘンを謳いながらあまりに悪意に満ちてはいまいか。
 まるで人の命を弄ぶ沼だ。――然し、僕たちが来た以上、それもここまで。
(殺意に溢れたモンスターハウスであっても、僕たち猟兵を飲み込むことは出来ないと証明して見せましょう。)
 ばちり、と。デナイルの指先に一筋の電流が迸った。

 自分を狙う攻撃を適当に躱しつつ、とにかく敵群の奥へ奥へと突き進む。周辺で奮戦している猟兵に引き付けられているせいか、敵の攻勢は思った以上に緩い。回避に注力すれば、余程のことが無い限り被弾の心配はなさそうだ。
(あとは、…ポイントの厳選ですかね。)
 できるだけ多くの敵を巻きこめる場所を選び抜き、デナイルは反撃のための配置に付いた。
『――PSI回路過剰稼働。』
 紡がれる詠唱は即ち、彼固有のUC。おびただしい程の電流が全身を伝い、右手ただ一点に集積されていく。
 彼自身が発光しているかに見える程の凄まじい帯電量に、周囲の猟兵たちは明らかな範囲攻撃の予兆を感じ取った。
「避難した方がいいか、デナイル?」
 呼びかける猟兵の声に、頭を振って返す。
「要らないよ。僕の電流は、」
 ――ターゲット、選定(ロック)。
「僕の敵だけを確実に射抜く。」
 さあ、葬送の宴をはじめよう。せめて苦しみが一瞬で終わりますように。
『痺れて止まれ!セルフ・オーバースターティーク(身体の芯からバチバチするシステム)!』
 天に掲げる右手と共に放たれしは、雷霆の如き大電流。幾筋もの電流は重なり合って数十を数える青白き蛇となり、周りにひしめくメバネーバへと襲い掛かる。
 驚くべきは味方の猟兵を全て避け、敵だけを確実に射抜いていくその精度。時間にして数秒もかからなかったであろう。彼の周りには、激しい電熱で四散したネバメーバらしき残骸が残されるのみであった。
 ふぅ、と軽いため息ひとつ。過負荷はかなりのものだったが、まだまだ戦える。
(本命が残っているからね。余力は残しておかないと。)
 あれ程の大群だったメバネーバも、今は猟兵によってそのほとんどが駆逐されつつある。そろそろこの幕も終わりが近そうだ。
(気になるのはその本命が何処にいるか…だけど、とりあえずもう一踏ん張りするとしようか。)
 僅かに残る敵を完全に排除すべく、彼は再び己の拳に電流を迸らせるのだった。

●終幕の舞台へ
 メバネーバを残らず沈黙させ、空間にひと時の静寂を取り戻した猟兵達。だが、大きな問題は依然残されたまま。
「…おらんな。」
 フロアボスが、いない。ここが迷宮の最奥であることは確かなのだが、それでも姿形が全く見えないとはどういうことであろう。
「迷宮内のどこかに隠れ潜んでいる可能性は?」
 だとすれば、最悪のケースに近い。今からまた回廊内を虱潰しに探せなど、少々気の遠くなりそうな話だ。
 多対一を避けたいフロアボスの思惑もあるかもしれない。
 だが、メバネーバ戦で若干の体力を消費した彼らにとっては、ここで勝負を決めておきたい気持ちが強かった。

 誰しもの頭に、大なり小なりの焦りが生まれたその時。
《…ホゥホゥ。ストレッチが済んで、十分肉がほぐれた頃合かな?ホゥ、結構ゥ、結構ゥ。》
 空間内に響き渡る声。梟の鳥声をそのまま人間の声に変換したようなトーン。
 誰のものかは聞かなくても理解できる。
「この迷宮の主かい?前菜やデザートの御礼をしたいんでな。ちょいと顔を見せてくれると助かるんだが。」
 猟兵の呼びかけに、再びホゥホゥと、笑い声にも似た鳴き声が返ってきた。
《気にしなくてもすぐに会えるサ。下ごしらえも十分みたいだシィ、――もう"降りて"きていいゾ。》
 その言葉が終わるか終わらぬうち、唐突に足場が消失し、五体は宙へと放り出される。
 フロアボスの狂笑に送られながら、彼らは成すすべなく暗き深淵へと導かれていった。

 ただ、落ちていく猟兵たちの頭に、欺かれたという思いは一片も無い。
 この深淵の先にこそ、我々が倒すべき相手がいるというのなら、それはむしろ喜ぶべきこと。
 なれば今は従おう。この先にどんな罠を張っていようと、最後に勝利を掴むのは我々なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『叡智の守護者』

POW   :    叡智の封印
【翼から放たれた羽】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    叡智の斬撃
【鉈】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    叡智の風刃
レベル×5本の【風】属性の【羽】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠マユラ・エリアルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●食祭
 落ちていく。落ちていく。暗闇の中を、どこまでも。されど終わりは唐突に来たる。

 深淵を抜けた先に広がるは、お菓子が彩る奇妙な空間。眼下に迫るは暗褐色の大地。
 ――やがて、どぷん、どぷんと水音立てつつ、猟兵たちは脚から或いは頭から、次々と大地へ沈み込んでいく。

 ……

 …

「…皆さん、平気ですかー?」

 一人の呼びかけに、めいめいが泥のような何かを払いながら頷き返す。とりあえず全員無事なようである。

「地面かと思ったら、沼だったとはね。…しかも、この甘い匂い…。」

 チョコレートらしいな、と別の誰かが言葉を繋いだ。
 まぁお菓子の迷宮なら、チョコレートの沼もあっていいだろう。問題は沼が腰を浸すほどに深く、さらに四面を見渡せど全く途切れてないように見える点か。
 明らかにこちらの足回りを殺そうという悪意を感じる。

 そして頭上に響く、鳥声の狂笑。

「ホゥ、ホゥ、穴から無様に落ちた挙句の、泥ならぬチョコ塗れ。こいつは傑作、猟兵とは芸人としての素質も十分と見えるなァ。」

 片翼を器用にはためかせながら、彼らを見下ろす影ひとつ。
 右手に血糊跡が生々しい大鉈を携え、えんじ色の軍服に身を包んだミミズク顔の鳥人。
 知る人ぞ知る魔の眷属、人々が畏怖を込めて彼らを"叡智の守護者"と呼ぶことは、猟兵なら割と誰もが識っている。
 勿論、彼らが持ち得る性質(たち)の悪さすらも。

「アンタがこのクッソ趣味の悪い迷宮の主か?」

 守護者はやれやれ、と小さく肩をすくめ、

「そうとも、…しかし悪趣味とはご挨拶よな。まぁ、お前たちのような低俗に、最初から理解を求めようなど思わんよ。」

 見下ろし、嘲る。とことんまで下に見ている。猟兵ならずとも怒りを覚えて当然であろう。

「こんな場所に誘い込まないとまともに戦えないチキン…いや失敬、ミミズクだっけか。低俗だの何だの言われたくないっつーの!」

「……………は?なに、戦う?」

 猟兵の応酬に対して、守護者は目を細め、心底不思議そうに首を傾げた。

「何か勘違いをしているなァ。これはただの"食事"だよ。下ごしらえとデコレーションが済んだので、あとは私が美味しく頂くだけの話さ。
…まさかお前たち、いつも餌側の都合を考えて食事をしてるわけじゃあるまいね?」

 訂正しなければならない。この守護者は我々を見下しているのではなく、そもそも敵として見ていないのだと。
 まとめて罠に嵌めたことで多寡を覆し、一方的に嬲ることができるという絶対的な余裕、自信を感じる。
 なるほど、面倒そうな相手だ。

「…と、小粋な食前のトークも済んだことだし、お揃いでティータイムと逝こう!
本日のスイーツは、"バラッバラ猟兵たちのチョコフォンデュ"ってのはどーかなァ?くけ!くけけけけけけ!!」

 翼を大きく広げて空中に一つ円を描き、一気に急降下。身動きの取れない猟兵たちに、狡猾なる支配者の凶刃が迫る。

 窮地。苦境。劣勢。然れども、己が力を以て切り開く他道は無く。
 SweetsLabyrinthの英雄譚、その最終幕が、開ける。


【MSより連絡】
 正道を鼻で笑うフロアボスが、無理ゲーを仕掛けてきている状況です。どうにかして倒しましょう。
 現在、全員が「チョコレートの沼」に浸かっており、移動がかなり制限されています。沼に浸かった状態のままだと回避がままならず、一方的にぼっこぼこにされる可能性があります。
 加えて守護者は空中を高速で飛び回っているので、回避判定が高めです。当てるにしても一工夫要りそうです。
 有効なUCを持っていなくとも、「連携希望」と書いておくと他猟兵と協力して、どうにかしてくれるかもしれません。数は力です。
 (もちろん、プレイング次第では単騎でも成功・大成功するケースがあります)
 また、三章から参加する方は最奥の部屋から飛び降りるところから始まりますので、上手くいけば守護者の不意を突けそうです。
 窮地ですが、海千山千の猟兵たちなら何とかしてくれる…はず!皆様の奮闘、期待しております!
マロン・チェスナット
誰とでも絡みOK
連携希望

【SPD】技能:おびき寄せ、空中戦

空を自由に動けるのは自分だけとは思うなよ

相手を沼すれすれまでおびき寄せ
翡翠月歩で跳躍して沼から抜け出し飛翔し空中戦に
叡智の斬撃を食らう覚悟で接近

いくら高速で飛び回るといっても攻撃する際には隙ができるよね
肉を切らせて骨を断つ
叡智の斬撃を食らってでも相手を捕らえる
相手を捕まえたら一緒にチョコレートの沼に落ちる

「捕まえた。もう離さないよ。一緒に沼に落ちようね。」

相手を沼に落とせば機動性も落ち回避力も落ちるはず
相手にダメージを与えるより捕まえる事を重視し
同じ土俵に引きずり込んで皆を援護

翡翠とは水面近くを速く直線的に飛ぶ鳥
その姿は美しい


須野元・参三
ハハハ、ついばむ小鳥が何を言っているのかな?
この気品参謀の私がこのような窮地を脱してやろうじゃないか!

さぁ誰かこの気品を傷を付けられぬように盾、もしくは囮になりたまえ
変わりに「生まれながらの気品力」で回復してやろうじゃないか
さて、早くあの雑魚を片付けたまえよ

『存在感』がありすぎる彼女の一つ一つが敵への『挑発』で後ろに控えていても敵を『おびき寄せ』る
敵の攻撃に『第六感』『見切り』で避けながら、大ダメージを負った感を『パフォーマンス』によって『時間稼ぎ』をしながら、
悲鳴と罵倒交じりの『鼓舞』を行う
気品は口が悪くていつも敵を無用に引き寄せるが反省はしないのだ

(アドリブはお好み歓迎)



●序曲(オーバーチュア)
 我ながら存在感がありすぎるのも困り物だ、時に須野元・参三(気品の聖者・f04540)はそう自省する。
 ――なればこそ、こんな危地では意外なほどの効果を発揮する。それが彼女にとって有利か不利かは別にして。

 上空から急降下し、選り取り見取りとばかりに猟兵たちを襲う守護者。
 各々が武器を取って防御行動を取る最中、彼女一人だけが場違いな程、高らかに笑う。
「ハハハ…!ついばむ小鳥が何を言っているのかな?十数分もすれば、バラバラになって沼に浮かぶのは貴様の方だと言うのに!」
 仕草、綺羅びやかな衣装、彼女が纏う雰囲気など、あらゆる要素が敵の目を惹く。さらに前髪をふぁさっと掻き上げつつ、一言。
「皆、臆することはないよ。この気品参謀の私がこのような窮地など、華麗に脱してやろうじゃないか!」
 この場に於いて、彼女の存在感だけが一際輝いていた…が故に、守護者の最初のターゲットも決まるべくして決まった。
「ホゥ、…目障りな餌が耳障りな雑音を鳴らすものよなァ。」
 他の猟兵には目もくれずただ一直線、守護者は参三一人に狙いを絞る。
「まずお前を黙らせんことには、落ち着いて食事もできんよ。」
「…ひぃ!」
 大鉈の一薙ぎが迫る。得意の見切りで回避といきたいところだが、沼の拘束力は思ったよりも深刻であった。
(躱せ…ない、これは…!)
 覚悟を決めるしかない。自分の獲物は銃だが、果たして奴の大鉈を受けきれるだろうか…ということを考える間もなく。
 激しい金属音と共に参三の体が浮いた。かろうじて銃身を使った防御が間に合ったが、その衝撃は参三の細い体をいとも簡単に吹き飛ばす。
 吹き飛ばされた先で体勢を整え、守護者の姿を再確認。滑空しながら迫る守護者の殺意は、明らかに自分へと向けられている。
(…フフーフ、私の存在感が為せる技とはいえ…)
 自分一人であればあと一撃、二撃で終わっていたかもしれない。
 だが彼女は識っている、猟兵とは味方の窮地をみすみす見過ごす存在では無いということに。
「――まずは一人目ェ!」
 再び参三へ大鉈が振るわれる刹那、横合いから弾丸の如く沼を飛び出し、守護者へと迫る一つの影。
「ッ!?」
 攻撃の合間を狙われ、回避する暇も無かったのだろう。体当たりにも似た一撃を受け、大きく弾き飛ばされる守護者。
「……ホゥ、小賢しい…。」
 朱で染まった肩のあたりを押さえながら、ミミズク顔の鳥人は忌々しげに影を睨めつける。
「――空中を自由に動けるのは、自分だけだと思わないことだね。」
 影の正体とは即ちマロン・チェスナット(インフィニティポッシビリティ・f06620)、リス型キマイラの少年猟兵。
 宙をトーン、と一蹴りしつつ、丸いリンゴのような瞳に討つべき敵の姿をくっきりと映し出していた。

「フフ―フ、流石だな!早く、早くあの雑魚を片付けたまえよ!」
 参三の声援(?)を背に、マロンは己のUC「翡翠月歩(ルーンスカイウォーク)」で空中を蹴りながら、一気に対象との距離を詰める。
 さながらその姿は、名の通り水面すれすれを飛ぶ翡翠(かわせみ)の如く。
「……空中を自由に動く?――ガキが、そういう台詞はな、」
 待ち構えるは守護者のUC「叡智の斬撃」、大鉈による超高速かつ大威力の一撃。
「もう少しまとも飛べるヤツが云うものだッ!」
「ッ!」
 あと一歩で届くその距離を、異様な風圧が薙ぎ払う。すんでの所で回避するマロンであったが、
(…思った以上に、このUCは…。)
 疾い、重い、そして広い。
 肉を切らせて骨を断つ要領で、一撃を食らっても敵へ掴みかかり、そのままチョコレートの沼へと落とすつもりであったが…。
(この威力と疾さだと、掴む前に吹き飛ばされそうかな。)
 防御抜きでまともに受ければ、そのまま死に直結しそうな斬撃だ。骨を断つ前に命を絶たれてはあまりにも意味が無い。
 さらに迫る制限時間。翡翠月歩で飛べるのは、果たしてあと何歩だろうか。
「…あと一歩を詰めるための、援護があればいいんだけど。」
 小さく彼が呟いたその時。
「――案ずるなマロン、ここに気品が、私が居るじゃないか!」
 力強い言葉と共に参三の銃が火を吹き、連続発射された銃弾が守護者へと襲いかかる。
 その尽くは鉈に弾き落とされたのだが――隙は、できた。
 翡翠月歩の最後の一歩を以て、守護者へと跳躍。鉈の斬撃はその動きにも対応するほど早かったが、さすがに隙の大きさをカバーする程ではない。
「…こいつ!」
「捕まえた。もう離さないよ。一緒に沼に落ちようね。」
 ぶつかり様に胸ぐらを掴み、そのまま重心を傾けて、落下――、沼に落ちさえすれば飛行能力という、敵の最大のアドバンテージを奪うことも可能だろう。
 …ただ少し計算外だったのは、自身の体重があまりに軽すぎたのと、守護者の体力がまだ十分すぎたという点であったろうか。
「…ホゥ、あまり舐めるな。」
 恐るべき膂力を以て体をねじり、振りほどく。吹き飛ばされたマロンの小さな体を、近くにいた参三が受け止めた。
「惜しかったな。もう少しでヤツをこちら側に引きずり込めるところだったんだが。」
 UC「生まれながらの気品力」で傷を癒やしつつ、参三はマロンを労う。こんな少年がよくも、あの大鉈を畏れずに奴の懐に飛び込めたものだと感心する思いだ。
「そうだね、もう少し体力を減らしてからの方が良かったかな。――でも、まだ。」
 諦めたわけじゃないから、と言葉を紡いで、守護者へと向き直る。戦端はまだ開かれたばかり、好機はいくらでもあるだろう、其の時にこそ。
「行こうか、参三。援護はよろしく頼むよ。」
「任せたまえ。君こそ、この気品を傷つけないように、全力で立ち回ってくれよ?」
 リス型キマイラの少年と、気品に満ちたエルフの淑女、異色即席コンビは再び守護者へと対峙する。戦いの行先に、かの高慢ちきな鳥を地に叩き落とす未来があると信じて。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴァーリ・マニャーキン
又、随分と悪趣味な敵ねえ
こういう敵は浄玻璃の鏡で罪を思い知らせてやりたい所だけど、先ずは足場を
どうにかする方が先かしら?

まあ、でも・・・こうやって私みたいに新しくやってくるのがいるって思ってる
辺り本当に抜けてるわね!


奇襲も兼ねてエレメンタルファンタジアで氷の竜巻を敵に放ちながら降り立つ
此れは自分の足場となるチョコを固めるのも兼ねているので避けられても問題なし

其の後は他の猟兵達が動きやすくなる様に氷の竜巻でチョコの沼を固めつつ戦闘
主に威力ではなく敵の羽を狙い動きを鈍らせるのを目的とした広範囲への
『全力魔法』による『マヒ攻撃』メイン
少しでも攻撃が当れば『傷口をえぐる』等しより動きを鈍らせるのを狙う


パフィン・ネクロニア
ソロ猟兵だけど空気読んで猟兵の皆と連携するよ


ふーむ。ボスフロアにトラップを仕掛けておるとは。これはサボっ…いやさ後方待機してて正解じゃったな。
ここはこーんな事もあろうかと用意しておいた秘密兵器の出番じゃな。
属性攻撃で光属性を付与したこいつを投擲でうまいこと奴にぶつければピカッと光って一時的に動きを鈍らせる事ができる…はず。
動きが鈍ったら部屋から飛び降り剣刃一閃で翼を斬ってチョコレート沼に叩き落とす。
あとは下におる猟兵達とフルボッコじゃ。そのレア立派な羽角を刈り取って売り物にしてくれるわ。



とまあ有効なUCとかは特にないので他の猟兵に妙案があるならそちらへの協力を優先するよ


神元・眞白
【WIZ/アドリブは自由に/連携は存分に】
甘い匂い。お菓子は準備してきたけど、食べるタイミングがありそう?
無ければ無いで後で誰かにあげる事にしよう。

(3章OP状況の様子を見ている前提に)
相手は飛んでる。直線で向かっても避けられる。なら不意打ちと時間差。
汚れるけど死霊と飛威(人形)がまず1陣。挟む様に跳んで圧をかける。
飛威が落としてくれるならいいけど、符雨(人形)を後詰に。
最初のアタックも下の人には悪いけど、待ちが必要なら待ち。

一度落とせば下の状況がアレだし、あとは再度飛ばないように上からけん制。
鳥のフォンデュは美味しくなさそう。焼いた方がいいけど、誰か火使えるかな



●盤面を返す三手
 守護者と猟兵たちが激戦を繰り広げている沼地、そのずっとずっと、ずっと上。
 迷宮の最奥と思われていたフロアは、既に床一面が底へと続く落とし穴。
 …その縁に立ち、頭をかきながら大穴を上から覗く、一人のヤドリガミの少女がいた。
「ふーむ。ボスフロアにこんなトラップを仕掛けておるとは。これはサボっ…いやさ、後方待機してて正解じゃったな。」
 少女の名はパフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)、猟兵でありながら世界を股にかける行商人。
 実を言うと彼女、学生たちの捜索が終わって合流した後、こっそりと迷宮側へと引き返し、売り物になりそうなアイテムを一人もくもくと探していたのだった。
 他の仲間がメバネーバと戦っている最中にどうなの?と思われそうだが、そこはまぁ商人気質ということで、どうぞひとつ。
 とにかく偶然とはいえ難を逃れたパフィンは、大穴を前に次の一手をどうするかと考えていた。
(この穴を落ちていけば恐らく、皆が戦う場所へと辿り着くんじゃろうが…。)
 こんな大がかりなトラップを用意する相手となると、性質の悪さも推して知るべし。どうにも一筋縄では足りない気がする。
(せめてもう一手か、二手は要る気がするのじゃが、………おや?)
 耳を澄ますとこちらへ向かってくる足音が聞こえる、聞き間違いで無ければ二人分の。
「…あら?先客かしら。」
 やがて二人のうちの一人、銀髪紫眼の小柄な少女が髪をかき上げながら姿を現す。
 ゴシックロリータの衣装に透き通るような色白の肌が何とも特徴的である。
「先客…というより、元々の依頼の参加者のようですけど。」
 続くもう一人も美しい銀髪とアンティーク衣装が特徴的な女性であったが、隣の少女よりは幾分背が高く大人びており、さらに側に寄り添うメイドが一際目を惹く。
「ふむ、君ら援軍の猟兵じゃな。2人かと思っておったが、3人とは心強いのう。」
「…いえ、"一応"猟兵は私たち2人で合ってます。」
 パフィンの言葉に微笑しながら、少女の一人、神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)はスカートの端を持ち上げて恭しく礼を返す。
「神元・眞白と言います。死霊の術をたしなむ、人形遣いのミレナリィドールです。よろしくお願いしますね。」
 人形遣いと聞いて得心が行った。なるほど、人間と見まがう程のあのメイドは実は人形であったのだと。
「私はヴァーリ・マニャーキン。貴方と同じヤドリガミで、咎人殺しの精霊術士よ。――早速で悪いんだけど、元々の参加者だというのなら丁度いいわ。詳しい話を聞かせてもらっていいかしら。」
 ヴァーリ・マニャーキン(ヤドリガミの咎人殺し・f02553)の紫紺の瞳に、頷くパフィンの姿が映し出された。


「…又、随分と悪趣味な敵ねえ…。」
 ヴァーリはこめかみをトントンと叩きながら呟く。フロアで戦っていた猟兵たちをまるごと罠へかけるとは、余程用意周到な相手だ。
 だからこそ急がねばならないだろう。遅きに失せば、最悪の状況すら招きかねない。
「お二人とも、…何か策は?」
 眞白が何かをもぐもぐと咀嚼しながら尋ねる。
「一応秘密兵器を準備しておるが、補助じゃな。メインはどちらかに譲る…って、おぬし、何食べとる。」
「甘い匂いに釣られて小腹が空くと思いまして…お菓子を。…食べます?」
 いただくぞい、とパフィンは遠慮なく手を伸ばす。タダより高いも、時と場合に依るだろう。
「私のもどちらかといえば助攻向けね。…眞白さんは何かいい策がありそうに見えるけど?」
 ヴァーリの言葉に、はい、とお菓子をしまいながら、静かに頷く眞白。
「ただ…、そのためにはお二人の力を貸して頂ければと。上手くいけば戦況を覆せそうですから。」
 勿論、と二人は同時に頷く。勝利の布石を打つべく、3人の猟兵が動き出す。


「ホゥホゥ、どーーーしたのかな?いよいよくたびれてきたかな、猟兵ども?」
 一方、穴の底のチョコレート沼では、勝ち誇ったように叡智の守護者が飛び回っている。
 先に飛び掛ってきた猟兵には少し面食らったが、なぁに近づかせねば問題はない。彼らの手の届かぬ位置から風刃の雨をそこら中に降らせれば、一人また一人と倒れていくだろうさ。食事は大人しくなってから、ゆっくり味わえばいい。
 再び大きく羽を広げ、叡智の風刃の発射準備、レディ。
「さぁさぁ、最初にチョコフォンデュになるのは、誰かなぁーーーっと。」
「――そうね、まず鳥のフォンデュというのはどう?あまり美味しくはなさそうだけど。」
「…ッ!?」
 あり得ない場所から声が聞こえた。だが振り向く暇もなく、のしかかる衝撃と強烈な斬撃が守護者の身体を打つ。
「く、くぉあ…、あ、新手、だとォォー…!?」
 UCリザレクト・オブリビオンによって喚ばれた死霊と、眞白の世話役兼近接戦闘用人形「飛威」が挟み込むように跳び、敵の両側から圧をかける。
「直線で向かっても避けられそうだったけど…まぁ、背を向けてくれて手間が省けました。」
 声の主が誰かと苦しげに顔を上げれば、アンティーク風ドレスに身を包んだ少女、神元・眞白が落ちてくるのが見える。
「上の穴から飛び込んできたかッ…、小癪…!」
「そもそも奇襲とはそういうものでしょ?――符雨」
 後詰として控えていたもう一人の戦闘用人形、符雨がダメ押しとばかりに符と銃弾の雨を降らせる…が、さすがに体勢を整えた守護者は無数の羽刃を以ってこれを相殺する。
「あら…、存外しぶとい。」
 眞白はつまらなそうに、ため息をひとつ。
「たかが猟兵一匹増えた程度で、ホゥ、私をどうにかできると思…。」
「援軍が一人と思い込んでいるあたり、本当、――抜けてるわね貴方。」
 時間差で聞こえてきたのは、また別の声色。注意が人形や眞白に逸れていたゆえに気づかなかった、2人目の伏兵、ヴァーリ・マニャーキン。
 銀髪をはためかせながら落ちざまに放つUC「エレメンタル・ファンタジア」は、激しい氷の竜巻となって、動揺する守護者を襲う。
(まずい…、まずい…!態勢を、態勢を整えねばァッ…!)
 氷の竜巻を以ってしても致命とはなり得なかったが、敵の視界を奪い、混乱を誘うには十分。
「こんなものかしら。あとはよろしくね、パフィン。」
「よしきた、まかせておけい。」
 更なる時間差で落ちてくる、最後の伏兵パフィン。光属性を付与したアイテムを敵に向かって投擲すると、眩い光が辺りを包み込んだ。
「ふふん、位置もばっちりじゃ。そのレア立派な羽角、刈り取って売り物にしてくれるわ。」
 狙うは一点、敵を無敵たらしめる翼のみ。簡単には狙えない部位だが、一陣で動きを鈍らせ、二陣で凍らせた今なら。
 ―彼女の愛刀「曇天」が煌く、剣刃一閃。その一撃は見事に守護者の翼を捉え、両断に成功する。
「こっ、こんな…まさかァァ~…!?」
 狼狽、悲鳴混じりに沼へと墜ちる守護者。傲慢なる姿は、今や見る影も無い。
 エレメンタル・ファンタジアで凍らせたチョコレートを足場にして、3人はチョコ塗れとなった敵の姿を見据えていた。
「猟兵三人による時間差の奇襲、とりあえず上手く運んだようで何より。…とはいえ、本体は元気いっぱいなので、まだ油断はなりませんが。」
 両隣に飛威と符雨、二つの人形を控えさせ、眞白はしきりと自分の衣装を気にしていた。…一応、深刻な汚れは今のところ無いようだ。
「そうじゃな、しかし敵の機動力はほぼ失われておる。あとは他の猟兵も交えて、フルボッコじゃ。」
 パフィンの言葉にヴァーリが頷く。既に沼を部分的に凍らせ、味方の足場も作成済みだ。今や敵側のアドバンテージは無きに等しい。
 氷の華の杖を構えるヴァーリの瞳がきらりと、怪しい光を帯びた。
「――では、逆襲の時間ね。…お互い猟兵らしく、いい"狩り"をするとしましょ?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ローゼマリー・ランケ
※連携・遊び・アレンジ希望

「お土産はミミズクの丸焼きデスカネ」
「丸のままで済めば良いのでは?」

ロミィは【怪力・地形の利用・クライミング】で壁を破壊し、側面に足場や取っ掛りを作りながら攻撃を避け、敵に迫る

ベルは【目立たない】でロミィに追従し、適当な高さで【罠使い・ロープワーク・投擲】で動きを制限するワイヤートラップを設置
隙があれば、上記に加えフックによる【盗み攻撃】で鉈を狙う

ロミィが敵を捉えたら【グラップル】で掴み、【捨て身の一撃・力溜め・怪力・鎧砕き・鎧無視攻撃】でグラウンドクラッシャーへ移行

「アーハハハ!悪辣さではベルも負けてマセーン!」
「普段は、ロミィを抑える為に発揮してますけどね……!」


照崎・舞雪
えーっと、このチョコの沼って凍らせたらまずいです?あ、いえ美味しいのは分かってます。でも美味しいけどまずいですよね?はい、分かりましたやめときます
そうなるとちょっと気を付けないとですねー。あーめんど

アイシクルフェニックスを召喚して空を飛ぶ敵との空中バトルを展開させましょう
吹雪を放つ時はこちらに冷気がこないように注意させておくのです
こうなると基本、アイシクルフェニックスは敵の動きを制限・誘導して仲間の攻撃を命中させやすくするサポート要員になりますか

私もアイテム「女郎蜘蛛」の【投擲】でサポートできればいいかなって

連携希望



●ティータイムに別れを告げて
(…ふむ、どうやら幕引きも近そうですね。)
 凍らせたチョコの沼の上に立ち、照崎・舞雪(未来照らし舞う雪の明かり・f05079)は戦況に向かって手をかざす。
 叡智の守護者と複数の猟兵が今なお激闘を繰り広げてはいるが、翼にダメージを受けたことで、守護者の機動力は目に見えて落ちている。
 さらに部分的に凍らせたチョコレートの沼は足場となり、猟兵側の不利もかなり解消された。
 …実のところ、チョコレートを固めて足場にする考えは舞雪の頭にもあったのだが、
(私の場合、全部凍らせて仲間ごと固定しかねませんから。…ええ、面倒が無くて助かりました。)
 猟兵としてはここで大惨事が起きなかったことを、喜ぶべきなのかもしれない。
「それにしても…、翼があの状態でもなお飛んで戦えるというのは、敵にしては見上げた根性です。」
 そのせいもあって、あと一歩を詰め切れていないようにも見える。…となれば、こちらも相応の戦い方を考える必要があるだろう。
『青き空より降り立て、輝ける冬の霊鳥よ!』
 UCの詠唱と共に頭上へ喚び出されるは、氷雪に輝く不死鳥。
 この子で敵の制空権を削れば、味方への大きな一助になるはずですが…と、思っていたところに。
「ナルホド、鳥には鳥で対抗スル…。舞雪サンならではの一手デスね。」
 底抜けな明るい声に振り向くと、筋肉質な金髪バーバリアン、ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティーガー&シュバルツシュランゲ・f01147)が腕を組み、何やらうんうんと頷いている。
「ええ、まぁ。…といっても、メインの攻撃手は他の方に譲ることになりそうですが。」
 アイシクル・フェニックスはあくまでサポート役、火力で敵を仕留めるにはいまいち向かない。
 それを聞いて、ローゼマリーは任せろ、と言わんばかりに己の胸を叩く。
「丁度イイデスね、私の方はフィニッシュを決めるツモリでいましたカラ。…コチラの動きに合わせてモラッても?」
「――ええ、勿論。ただ、この子の吹雪に巻き込まれないよう、気をつけて下さいな。」
「Ja(了解)!」
 伴に従える青き鳥は、果たして幸運の象徴になるか否か。手斧を構え、ローゼマリーは猛進する。狙うべき敵は、叡智の守護者ただ一人。


「サテ、お土産はミミズクの丸焼きデスカネ?」
「…丸のままで済めば良いのでは?」
 疾駆しつつもローゼマリーはUC「オルタナティブ・ダブル」を展開。主人格ロミィと、副人格ベルの2人に分かれ、点在する足場を八艘飛びの如く跳躍しながら、敵への距離を詰めていく。
「…くそ!どいつもこいつも鬱陶しい…!」
 守護者の焦燥とイライラは頂点へと達している。敗色は濃厚、なれど一匹も屠れないというのはプライドが許さない。
「――まだだ、まだ戦れる…!まずはァ、貴様からァッ…!」
 特攻を仕掛ける2人に対して大鉈が振り下ろされる刹那、舞雪のアイシクル・フェニックスが守護者に対して、激しい吹雪を噴霧する。
「…ちっ!」
 攻撃を妨害され、大きく舌打ち。
 更に上空へと一時退避したいところだが、件の鳥が頭上を飛び回って吹雪やら氷の羽根を飛ばして牽制してくるため、簡単には行きそうにない。
(…追い込まれている…!?こ、この、私が…?)
 ありえない。ありえない。必勝の策で臨んだはずだったのに、何をどう間違えばこうなるのか。
 気づけば総身は満身創痍。勝ちの目は既に無くなった…で、あれば、
(…逃げるしか、無い…!)
 反転して飛翔、この翼が健在なうちにあの鳥を突破できれば、仕切り直しも不可能では無いように思えた。
 …が、動かない。というより動けない。見れば自分の足に巻き付く幾本もの鋼糸。それは全て舞雪の指から手繰られたものだった。
「…申し訳ありませんが、タダ食いはご法度でして。ちゃんと精算して頂かないと。」
 さらにベルが跳躍し、ワイヤー&ロープを投擲。守護者の位置を完全に固定する。
「アーハハハ!悪辣さではベルも負けてマセーン!」
「普段は、ロミィを抑える為に発揮してますけどね……!さて、あとはお任せします。」
 ベルに代わり、最後はロミィが敵へ向かって跳んだ。振りかぶるは愛斧ロミィ・アックス、己が獲物にありとあらゆる力を込めて。

「…ホゥ、わ、私のォ、ティータイムは、…まだ。」

 諦観を込めた守護者の呟きを、ロミィはにっこりと笑って否定する。

「Nein、そろそろお開きデス。」

 直後、轟音。UC「グラウンドクラッシャー」の凄まじい一撃と共に、守護者と、猟兵にとっての束の間のティータイムは終わりを告げたのだった。


 …気づけば其処は、ダンジョンの一室。
 フロアボスが倒れたことにより迷宮を取り巻く変異は解かれ、あれだけダンジョンを彩っていたお菓子は影もカタチも消え失せていた。
「…結局、食べちゃいけないお菓子の正体ってなんだったのかな?」
「人をお菓子に変えるトラップってのも、わかんないままかねぇ…。」
 疑問は尽きないが、全ては過ぎた物語。一時共闘もとりあえずここまで、と来た道を引き返し、それぞれの帰途につく。
「アノお菓子持ち帰ッテ、教祖に食べさせレバ、面白いコトになりそーだったんデスがねぇ…?」
「いや、流石にそれはまずいでしょう。…殴り合いの喧嘩じゃ済みませんよ。」
 ロミィとベルもそのうちの2人…否、今は1人のローゼマリー。2つの人格は1つの体に共存し、奇妙に、されど仲睦まじく会話を交わしていた。
 その後ろをゆっくりと歩きながら、舞雪は独り考えを巡らせる。
(お菓子の迷宮…謎は結局、謎のまま…ですか。)
 だからこそ興味も尽きないのだ、と彼女は思う。いずれアルダワ地下迷宮、その全てを紐解く時がきっと来るだろう。
(せめてその時まで、猟兵としてのお仕事を全うするとしましょうか。)

 ダンジョンに、猟兵たちの靴音が木霊する。その跡にひとつまみの、甘い香りを残しながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト