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白い巫女は巨大魚が食べたい

#グリードオーシャン #メガリス

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#グリードオーシャン
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#メガリス


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●桜と鳥居と白い少女
 空へと届かんばかりに伸びる石階段。
 左右に立ち並ぶ桜は、今や満開を迎えていた。
「チ、テル、マッ」
 その階段を、小さな少女が駆けて行く。
 白に近い桜色の髮に水色の瞳、白い着物に朱色の下駄――所謂『和風』の少女。しかしその小さな背中には、金属製の翼が生えている。
 どうやら彼女は、人ではないようだった。
「ル、ストゥルセ、レート」
 異国の歌を紡ぎながら、カランコロンと下駄を鳴らして階段を上って行く。
 三百段ほど上った先に、巨大な鳥居が佇んでいた。
「やっと三番目!」
 少女は嬉しそうな声でそう言うと、足を止めて鳥居を見上げた。
 朱塗りの鳥居は、少女の十倍程の高さがある。太い柱には大きく『参』と描かれていた。
「今日も異常なし――ん?」
 視界の端に動くものを捉え、少女がそちらを見やる。
 どうやら海鳥のようだ。スーッと滑空し、静かに鳥居に止まった。
 その瞬間、少女の翼から赤い光線が放たれ、海鳥を一瞬で塵へと変えた。
「もうっ、鳥居に触ったらダメなんだからねっ」
 少女は頬を膨らませてそう言うと、注意深く辺りを見渡す。もう鳥の影はない。
「確認ヨシ!」
 にこりと微笑んでそう言うと、鳥居をくぐって、果てしなく続く階段を上って行くのだった。

●グリモアベースにて
「グリードオーシャン、遂に辿り着いたわね!」
 グリモアベースの片隅で、桜色の本を抱えたメルティス・ローゼが笑顔で告げる。
「そして早速、予知しちゃったのよねー」
 そう言って本を広げれば、宙に映し出される美しい風景。満開の桜に覆われた、小さな島の姿。
「これは『桜乃島』よ。サムライエンパイアから落ちて来た島のようね。誰も住んでいない無人島らしいわ」
 グリードオーシャンは、各世界から落ちて来た島で構成される。
 サムライエンパイアから落ちて来たという桜乃島は、島全体を覆う桜の木の他に、朱色の鳥居や神社の屋根らしきものが見られた。
「まだコンキスタドールの手に渡っていない、手つかずの無人島。ここには――」
 メルティスは一度言葉を切ると、猟兵たちの顔をゆっくり見渡してから再度口を開いた。
「メガリスがあるわ。それも、人型のメガリスよ」
 呪いの秘宝メガリスを手にした者は、ユーベルコードに覚醒するか、死んでコンキスタドールになると言われている。
 そもそも、メガリス自体が凄まじい力を秘めた兵器という場合もあるのだ、コンキスタドールの手に渡る前に回収しておくに越したことはない。
「このメガリスが、大きな神社にあることは予知できたんだけど……神社のある場所がねぇ……」
 メルティスが言うには、神社は千の階段を上った先にあるとのことだ。
 しかも激しく急勾配で、百段ごとに配置された十基の鳥居がチェックポイントになっているらしい。
「ちゃんと鳥居をくぐらないと、入り口にワープする仕掛けらしいわ。一体何の嫌がらせかしらね……。それより、その先の方が重要なんだけど」
 眉間にシワを寄せながら説明するメルティス。
 曰く、メガリスを守るガーディアンが存在し、それが規格外に強いと言う。
 その強さは、オブリビオンの比ではないとのことだ。
「無理に突破しようとすれば致命傷を追いかねないわ。詳細は予知できていないけど、状況を見極めて対処して頂戴」
 メルティスの曖昧な説明に、猟兵たちは溜め息混じりに頷いた。
 予知は万能ではないということは、猟兵たちもわかっているのだ。
「島までは鉄甲船で向かって貰うわ。転送が限られてるから、不便をかけるわね」
 メルティスはそう告げると、転送の準備に取り掛かった。
「そうそう。メガリスを手に入れたら、オブリビオンが襲ってくるかも知れないわ。この海域、不穏な気配がするから」
 嫌な情報をプラスして、メルティスはグリモアを猟兵へと向ける。
「じゃあ、気を付けて行ってらっしゃい! メガリス見つけたら、わたしにも見せてね?」

●桜乃島で宝探し
 無事島へと辿り着いた猟兵たちは、巨大な鳥居の前に立っていた。
 太い柱には『壱』と描かれている。
 その鳥居から先は、空へ至るのかと思う程の石階段が続いていた。
 メルティスによれば、階段は全部で千段あるらしいが――こともあろうに、上空は飛行を抑止する不可視の力が働いているようだった。
 つまり、自分の足で進むしかないわけだ。

 猟兵たちは、無事メガリスを確保することが出来るのだろうか――。


霧雨りあ
 グリードオーシャンからこんにちは、霧雨です。
 今回ご案内する島は、サムライエンパイアから落ちた桜乃島。見事に咲き誇る桜が自慢の美しい島です。
 依頼についてはメルティスが説明してくれましたが、少し補足いたしますね。

 第一章は日常パートですが、石階段を上りきって神社へ辿り着くことが目的です。
 記載があった通り、飛行や瞬間移動はNGとなります。ご自身の足で踏破してくださいませ。
 また、急勾配のため、工夫しないと途中で体力が尽きてしまいます。
 工夫があればプレイングボーナスとなるので、ぜひ利用してくださいね。
 千の階段を上りきれば、その先には大きな朱色の神社があります。

 第二章は冒険パートです。
 辿り着いた神社に眠るメガリスを手に入れてください。
 ただし、メルティスが言っていた『ガーディアン』が猟兵の前に立ち塞がります。
 ガーディアンとの邂逅は断章で描かれますので、こちらを読んでプレイングをお送り頂けますと幸いです。

 第三章はボス戦です。メルティスのフラグが回収されます。
 メガリスを狙ってコンキスタドールが襲って来るので、奪われないように倒してくださいね。

 それでは、みなさまの冒険が良きものとなりますように。
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第1章 日常 『鳥居の数をかぞえて』

POW   :    長い階段を駆け上る

SPD   :    参道を歩く

WIZ   :    本尊跡に御参りする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーザー・ゴールドマン
様々な世界から落ちて来た島で構成される世界。
転移や島間の飛行を阻害――まあ、この島は島内でも封じられている様だ――なかなか面白いね。
とりあえずは神社まで登るとしようか。自分の脚でね。
体力(POW)には自信があるんで涼しい顔で景色を楽しみながら登ります。
工夫は……必要であれば大気を漂うマナを『生命力吸収』で体内にいれてオドに変換、いつでも体力100%みたいな……



●その男、涼しげに踏破する
 多くの猟兵が辟易しながら壱の鳥居をくぐる中、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は鳥居を背に、海を眺めていた。
 どこまでも続くエメラルドグリーンの海以外、何もない。
 この果てしなく広い海に、一体どれ程の島があるのだろうか。
「この島内でも封じられている、か。なかなか面白いね」
 そう呟いて、鳥居に向き直る。
 グリードオーシャンでは、グリモアの予知とテレポート、そして島間の飛行が阻害されている。それは、異常気象のせいではないかと言われているが、真相はわかっていない。
 それと同じ影響なのか、はたまたメガリスの影響なのか――この島でも同じように飛行が出来ないとなれば、目的地へは徒歩で行くしかないのだ。
「とりあえずは神社まで登るとしようか。自分の脚でね」
 不敵な笑みを湛えたまま、シーザーはゆっくりと鳥居をくぐる。
 急勾配な石段を、その長い脚で一歩ずつ進みながら、視線は左右の桜へと注がれていた。
 咲き乱れる桜は、穏やかな風に乗って、時折はらはらと花弁を散らす。
 石畳と桜、そして木々の合間から覗く海の青のコントラストが、とても美しかった。

 百段上れば、そこには『弐』と描かれた巨大な鳥居が聳え立つ。
 シーザーは相変わらず涼し気な表情で、その弐の鳥居をくぐった。
 代わり映えしない景色かと言えば、意外とそういうわけでもないようだ。
 鳥居を境目に種類が変わるらしく、弐の鳥居をくぐった先の桜は、今までと違う色、花びらの形をしていた。
 シーザーは目を細めてその景色を楽しみながら、同じ速さで階段を上っていくのだった。

 小一時間も経たないうちに、拾の鳥居目前まで上ってきたシーザーは、やはり変わらぬ表情――体力が有り余っているこの公爵に、大気中のマナを生命力に変換して吸収するような補助は必要ないのだ――で景色を楽しみながら、最後の拾の鳥居をくぐった。
 開けた視界には、長く伸びる参道と、その先に朱色の――恐らく拝殿が見える。
 これだけ大きな神社となれば、あれが本殿ということはないだろう。
 そう思いながら、シーザーはメガリスがあると言われる社殿目指し、参道を行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
予知の範囲を広げオブリビオン…コンキスタドールとの戦いを有利に進める為に島の探索や解放は不可欠、積極的に進めましょう
…御伽噺の冒険譚のようで少し気分が高揚するのも確かですが

千の階段だろうと機械に疲労は関係ありません
精々極限まで薄めたUCを関節部に塗布
駆動の際の摩耗を抑え、踏み外さぬ様に足の置き場を●見切る程度で十分でしょう

しかし人型のメガリスにガーディアン…
戦闘力は勿論、ヤドリガミや私の様に非生物にも関わらず高度な自我や思考を持っているか気になります
友好的な接触が出来れば良いのですが

念の為、周囲の戦闘の痕跡を●情報収集し戦力を分析しておきましょう

…この桜を前に少々勿体ない話ですが(苦笑いの声)



●白い騎士は桜に何を想う
 急勾配の石段を、白い鎧に包まれたウォーマシンが規則正しい足取りで上っていく。
 桜色の光に照らされたその場所は、機械ながらにも『美しい』とトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は思う。
 しかし彼のメモリは、この世界のことと、この後に待ち受けるオブリビオンのことで、ほぼ占有されていた。
(予知の範囲を広げ、オブリビオン――コンキスタドールとの戦いを有利に進めるために、島の探索や解放は不可欠。積極的に進めましょう)
 視界にはらりと桜の花びらが舞い、ふと脚を止めて後ろを見やれば、エメラルドの海と、雲ひとつない蒼い空、そして桜のコントラストが目に飛び込んで来る。
(……御伽噺の冒険譚のようで、少し気分が高揚するのも確かですが)
 正に、彼の言う御伽噺の世界のような光景に、僅かながらに微笑する。
 しかしそれも一瞬のこと。
 トリテレイアは再び石段を上り始めた。

 機械の彼の体には、この重労働も苦ではない。
 それだけでなく、『対襲撃者行動抑制用薬剤(ノン・フレクション)』を極限まで薄め関節部に塗布してあるため、駆動の際の摩擦は最低限だ。
 実にスマートに、石段を上ることが出来る。
 数多のウォーマシンの中でも、彼であればこその攻略法である。
 ――ちなみにこの『対襲撃者行動抑制用薬剤』は、盾の表面に塗布して脚部スラスターの噴射との併用することで、陸上サーフィンもできる一品だ。まるで魔法のような代物である。

 何の障害もなく最後の鳥居をくぐり抜け、参道へと出たトリテレイアは、遠くの拝殿を視界に収めながらガーディアンのことを思案していた。
(人型のメガリスにガーディアン……戦闘力は勿論、ヤドリガミや私の様に非生物にも関わらず高度な自我や思考を持っているか気になります)
 参道は綺麗に掃除されている。
 そこをゆっくりと進みながら、ふと言葉を漏らす。
「……友好的な接触が出来れば良いのですが」
 懸念される事柄は、事前に対応しておくが吉。
 周囲の戦闘痕跡を探し、もし見つかれば戦力の分析が出来るだろう。
 トリテレイアは実行しようと脚を踏み出した、その時だった。
 急に強い風が吹き、桜の花びらを舞い上げ――それは桜吹雪となってトリテレイアに降り注いだのだ。
 ほんの一瞬の出来事に、トリテレイアは思わず苦笑した。
「この桜を前に、少々勿体ない話です」
 ――心を奪われるとは、こういうことでしょうか。
 トリテレイアは桜吹雪の中でそんな想いを抱きつつも、ガーディアンの痕跡を探して、参道を進んで行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
何だってサムライエンパイアにはこんな勾配のこんな長い階段があるんだ。
鉄甲船でちょっとは期待したんだぜ?新しい島だっつーから、どんな冒険が待ってるんだろう、ってよ。それなのにこんな長い階段登るハメになるとは…。舐めてた。『勾配?ハハッ、ラクショー』なんて言ってた過去の俺、殴りてぇ。(ゼェゼェ)

瞬間移動やら空を駆けるなんてUCを持ってるのに、全て鳥居にブロックされそうなので自力で。体力には自信があるんだが、鳥居の六個目くらいから流石にバテ始める。
そーなってくるとちょっと休憩だ。石段に腰を下ろして見える背後の景色でも眺めるか。
一面真っ青な海。桜と暖かい気候に包まれて、ま、この景色は悪いもんじゃねぇな



●Black Jackの溜め息
 猟兵たちは様々な想いを胸に、このグリードオーシャンへやって来た。
 ここに来るまでの鉄甲船の中で、桜乃島という無人島での冒険に胸をときめかせた猟兵も少なくない。
 カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)も、そんな一人だった。
 桜咲き乱れる美しい島。
 そこに眠る人型のメガリスと、それを守るガーディアン。
 例えそのガーディアンが強敵だとしても、待ち受ける新たな冒険に期待するなと言う方が難しい。
 しかし――。

「だぁー!」
 ドカッと石段に腰を下ろして汗を拭う。
 カイムは半眼で自身の上にそびえる『陸の鳥居』を見やった。
 そう。まだこの先に400段も残っているのだ。
「……甲船で、ちょっとは、期待したんだぜ? 新しい島だっつーから、どんな冒険が、待ってるんだろう、ってよ。それなのに――」
 荒い息を整えるために一旦言葉を切ると、盛大に溜め息をついた。
「はぁ……それなのに、こんな長い階段登るハメになるとは……舐めてたぜ」
 眼下に伸びる階段は、まるで崖のように急勾配だ。
 カイムはこれでも早い方で、他の猟兵たちがヒィヒィ言いながら上って来るのが見える。まるで、豆粒のようだ。
「勾配? ハハッ、ラクショー……なんて言ってた過去の俺、殴りてぇ」
 そう言って自嘲気味に笑う。
 そんな彼を慰めるように、心地よい風が吹いた。
 桜がさわさわと揺れ、花びらが花吹雪となってカイムを包む。
 その桃色のカーテンと、ターコイズブルーの海とのコントラストは、見事の一言に尽きる。
「この景色は悪いもんじゃねぇな」
 優しい笑みを浮かべてそう呟いたカイムは、暫し休憩することにした。
 何が起こるかわからないので、気を抜くことは出来ないにしろ、今この景色を楽しまない方が罪な気がしたのだ。
 それこそ、羅刹の少女が見たら喜びそうだとか、そんな雑念くらいは許されるだろうと――。

 長いようで一瞬の休憩を終え、カイムは軽く体を伸ばしてから、残りの石段を見上げた。
「瞬間移動やら空を駆けるユーベルコードを持ってるのにな……全て鳥居にブロックされるとか、一体どんな仕掛けだか」
 そうぼやきながらも、恐ろしく急勾配な石段に足を踏み出す。
 この調子なら、それ程かからず上りきれるだろう。
 そう思いながら――そう思わないとやっていけないのが本音――カイムは僅かにスピードを上げて、神社を目指すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふえぇ、アヒルさん、あと何段ですか?
ふえぇ、まだそんなにあるのですか。
この辺で休憩にしましょうよ。
空を飛んではダメだし、坂が急だからアヒルさんを抱えないといけなくて、私ばっかり大変なんですよ。
それにしても、海が近いからでしょうか、潮の香りがしますね。
ふぇ、潮の香りがするのは海から離れてないということだから、そんなにまだ先に進んでないって、それは考えないようにしようと思っていたんですよ。

とりあえず、ゆっくりでもいいから途中で休みつつ先を進みましょうね。



●桜舞い散る石段にアヒルさんは何を想うか
 ほとんどの猟兵が800段を越える頃。
 その少女は『伍の鳥居』の下で、息を切らしていた。
 巨大なその鳥居の下に座り込み、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は眉を思い切り下げて、
「ふぇぇ、アヒルさん、あと何段ですか?」
 バクバク鳴る心臓を何とか落ち着けながら、腕の中からこちらを見上げる可愛らしいアヒル型ガジェットに尋ねる。
 アヒルさんは、そのつぶらな瞳をきらんと輝かせ、ぐいぐいと羽を広げて見せた。
 ――どうやら、まだ500段は残っているようだ。
「ふぇぇ、まだそんなにあるのですか……この辺で休憩にしましょうよ」
 と言いながらも、既に座っているフリル。
 火照った体に石畳の冷たさが心地良い。
「空を飛んではダメだし、坂が急だからアヒルさんを抱えないといけなくて、私ばっかり大変なんですよ」
 泣き言を言いながらも、視線は目の前の光景に釘付けだ。
 島を覆い尽くす程の桜。
 風に舞う花びらが、桃色のカーテンのようで――その向こうに広がるターコイズブルーの海とのコントラストが、それはそれは美しかった。
 そんな景色に目を奪われながらも、フリルは独り言のように呟く。
「――それにしても、海が近いからでしょうか、潮の香りがしますね」
 桜は美しいが、香りはない。
 代わりに、海特有の匂いが辺りに漂っていた。
「ふぇ、潮の香りがするのは海から離れてないということだから、そんなにまだ先に進んでないって、それは考えないようにしようと思っていたんですよ」
 アヒルさんの鋭い指摘に、フリルはぷいとそっぽを向く。
 そんなやり取りをしてる間に、そよそよと吹く心地良い風が、フリルの疲れを幾分か癒やしてくれたようだ。
「――とりあえず、ゆっくりでもいいから途中で休みつつ、先を進みましょうね」
 フリルはそう言って立ち上がると、もう一度海の色を目に焼き付けてから、くるりと反転。
 急勾配な石段を、再びゆっくりと上って行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『フィッシュファイト!』

POW   :    素潜りで大物を捕える!

SPD   :    鍛えられた釣り技術で素早く釣り上げる!

WIZ   :    最新機器を使い投網で大漁だ!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 石段から拝殿へと伸びる参道の中程で。
 猟兵たちの前に白い少女が『降って来た』。
 気配も音もなく、唐突に現れたその少女は、猟兵立ちを見回してにこりと微笑んだ。
「こんにちは! もしかして参拝に来たの?」
 敵意は見られないが、底しれぬ気配を漂わせる少女。
 猟兵の一人がメガリスを探しに来たと告げれば、その柔らかい表情が一瞬で消える。
 まるで機械のような瞳を猟兵に向け、抑揚のない声で告げた。
「メガリスを何に使おうというの? 力がほしいの?」
 しかし、猟兵たちがこの世界に仇なす者ではないとわかれば、再び人間らしい表情を取り戻す。
「そう、コンキスタドールに奪われないように……」
 猟兵の一人が『ガーディアンに守られているというメガリス』という話をすれば、少女はクスクスと笑った。
「ガーディアンに守られる? 面白いこと言うね。でも、残念。メガリスは私よ。そして、貴方たちの言う『ガーディアン』っていうのも、私のことね」
 少女はそう言って腕を振った。
 白く細い腕は、その瞬間刃に変わる。
「私は様々な武器へと変化する人形。この神社に祀られた神さまに創られたメガリス。私を手に入れた者は、百の武器を手に入れたも同然」
 人間味のない声でそう説明し――。

 ――ぐぅぅ。

 派手にお腹が鳴った。
 猟兵立ちの視線が、少女のお腹に集まる。
「め、メガリスだってお腹は減るの! 今日はお魚に逃げられて、私のお腹はぺっこぺこなの!」
 見た目どおりの少女の声で叫んだメガリスは、はっと何かに気付いた。
「そうだ! ねぇ、お魚ちょうだい? いっちばん大きなお魚をくれた人に、ついて行くわ!」

 ――そんなわけで。
 猟兵たちは、せっかく上って来た石段を下り、何故か海で魚釣りをすることになったのだった。

●第二章の補足
 魚を捕まえるプレイングをお送りください。
 メガリスが求める『巨大魚』を捕まえる工夫があれば、ボーナスとなります。
 メガリスも海岸にいるため、再び石段を上る必要はありません。
トリテレイア・ゼロナイン
確かに私達はメガリス回収を目的としていますが…そのような理由でついて行っても宜しいのですか?
この神社の神の許可や管理等の問題もあるかと思いますが…

まあ、その話については食事の後に致しましょうか(苦笑し)
食材はお任せください
騎士として大物をお約束いたします

水中用装備とランスの推進機構の●水中機動と●ランスチャージで沖へ
マルチセンサーの●情報収集で魚影探知
狙うは私の体躯を越える『巨大魚』、発見次第高度な●水中戦を行える運動性を活かし追尾し移動先を●見切ってUC射出
電撃で麻痺させ●怪力で引っ張り陸に水揚げ

…「漁師みたい」とは言わないで頂けると心情的に助かります、ええ

お気に召して頂けましたでしょうか?


シーザー・ゴールドマン
メガリス君は魚を所望か。よろしい、たまには漁というのも良いだろう。
ところで名前は何といのかね?
メガリスは普通名詞であって固有名詞ではないだろう?
【POW】【素潜り??】
オド(オーラ防御)を張ってスーツ姿のまま海中へ。(濡れない)
(移動は念動力)
他の世界の海の知識から大型魚の良そうな場所を思索。
最後は直感だより。(世界知識×第六感)
大型魚を見つけたらオーラセイバーを銛状にして投擲、仕留めます。

釣った後は焼くなり何なり、ご希望に応じて調理。(料理)


カイム・クローバー
腹を空かせたメガリスとは。こいつはとんだ大冒険だ。
オーケー。空腹は辛い。結果は保証しかねるが、釣れるような努力はするさ。

鉄甲船で辿り着いたんだ。一応、船なら釣り道具ぐらいは用意があるだろ。
餌は何がある?…無ければ現地調達の必要があるな。
UCを使って二手に分かれてのんびり釣りだ。巨大魚ってのがどんな魚か分からねぇが、グランドオーシャンの海はどんな魚が釣れるのか……ちょっと楽しみになってきたな。
因みに少女の言う『百の武器』の中に釣り竿はねぇの?(冗談めかして)
……しかし、まさか釣りをする事になるとは。餌をばら撒けば、多少デカイ魚も寄って来そうではあるんだが。
…で、乙女なメガリスは割と食べる方か?


フリル・インレアン
ふぇ?私はどうして海に戻ってきているのでしょうか?
えっと、登っている途中でみなさんが下りてきたから、付いてきたんですよね。
えっと、初めてですけど頑張ってみます。
ふぇ、アヒルさんも釣りに挑戦するんですか?
アヒルさんの場合、直接泳いで捕まえた方が早いんじゃないですか?
ふえぇ、怒らないでください。
ということで、私はアヒルさんと釣りに挑戦です。



 青い海、晴れ渡った空。
 砂浜にやって来た猟兵たちは、気持ち良い太陽の光を浴びながら、束の間の談笑を楽しんでいた。
「腹を空かせたメガリスとは。こいつはとんだ大冒険だ」
 カイムが笑えば、メガリスが頬を膨らましてぴょんぴょん跳ねる。
「おっきい魚! じゃないと、着いて行かないんだから」
「オーケー、空腹は辛い。結果は保証しかねるが、釣れるような努力はするさ」
「よろしい、たまには漁というのも良いだろう」
 シーザーとカイムが楽しげにそう言うと、状況がわかっていないフリルが目を白黒させて問い掛ける。
「ふぇ? 皆さんどうして海に戻って来たのでしょうか? お魚って、どういうことでしょう? そして、その女の子は……」
「彼女がメガリスですよ、フリル様。そして、彼女に大きな魚をお渡しすれば、我々に着いて来て下さるそうです」
 フリルの疑問に、トリテレイアが優しく答える。
 なるほど、と納得顔のフリルに頷いてから、再度メガリスへと向き直った。
「しかし……確かに私達はメガリス回収を目的としていますが、そのような理由でついて行っても宜しいのですか? この神社の神の許可や管理等の問題もあるかと思いますが……」
 トリテレイアの疑問は最もだ。
 ガーディアンのような存在でもあると、メガリス自身が言ったのだ。おいそれとこの場所を離れて良いものでもないだろう。
 しかし、メガリスは眉をへの字にして、
「おなか、すいた……」
 と繰り返すのみだ。
「ハッ、まずは腹ごしらえが先だな。メガリスは飯を所望だとよ」
 カイムが笑ってトリテレイアにそう言えば、彼も苦笑して頷いた。
「そうですね、その話については食事の後に致しましょうか。食材はお任せください。騎士として大物をお約束いたします」
 トリテレイアの言葉に、メガリスが『やった! 大きなお魚!』と喜ぶ。
「因みにお前さんの言う『百の武器』の中に釣り竿はねぇの?」
 カイムがニヤリと笑ってそう尋ねれば、再びメガリスは頬を膨らまして、今度はカイムをぽかぽか叩きながら『そんなものないわよ!』と叫ぶのだった。
「――ところで、名前は何と言うのかね? メガリスは普通名詞であって固有名詞ではないだろう?」
 ふとした疑問をシーザーが口にする。
 メガリスはピタリと動きを止め、表情のない顔で口を開いた。
「名前? そんなもの、必要なかったから……無いわ」
 そっけなくそう答え、沈黙した。
 ――言葉から滲み出る感情が、『淋しい』と言っていた。
 それに気付いたシーザーが何か言うよりも早く、メガリスは軽やかにくるりと回ると、
「ごはん、よろしくね!」
 と言って砂浜を駆けて行ってしまった。
「あ……メガリスさん、行っちゃいましたね」
 フリルが困り顔で見送ると、隣に立ったシーザーが海を見やって皆に告げた。
「それでは、漁といこうか」

●その日、騎士は漁師になった
 トリテレイアはランスを片手に、ざぶざぶと海へ入って行く。
 この島は、遠浅ではない。
 透明度の高い波打ち際は精々三メートルで、そこから先は深くなっていた。
 推進機構を活用し、水中を進む。
 マルチセンサーで魚影を探知するも、この辺は小さな魚群ばかりだ。
 狙うは彼の体躯を越える『巨大魚』。小さな魚には見向きもせず、そのままどんどん沖へと向かった。
 陽光が差し込む海中は、上から見る海とはまた違った美しさだ。
 その中を、白い鎧に包まれた騎士がランスを手に進んでいく姿は、何とも不思議な光景だった。
 ――と、トリテレイアのセンサーが巨大な魚の影を捉えた。
 彼は一気に速度を上げ、水中戦モードへと移行する。
 魚もすぐに彼を知覚し、全速力で海底へ向かって逃げようとした。
(させません)
 何もないこの場だからこそ、この技を放てるというもの。
(少し大人しくして頂きます)
 トリテレイアから高速でワイヤーが伸びる。先についた腕が魚を捉えて電流を流し込めば、魚はびくんと大きく跳ねて動かなくなった。
 それを、彼の怪力で引き寄せ――そのまま遠心力を生かして後方へと放り投げる。
 高速で水中を振り回さた巨大魚は、そのまま海を出て宙を舞った。
 まさに、空飛ぶ魚。
 軌道を予測しての投球だ、巨大魚は綺麗に弧を描くと、桜乃島の砂浜にビタンと落下した。
 こうして、水揚げは成功したのだった。

●二人の便利屋、釣りをする
「……しかし、まさか釣りをする事になるとは」
 鉄甲船に戻ったカイムは、釣り道具を探していた。
「船なら釣り竿ぐらいは用意が――お、あったあった」
 作業着などが片付けられた部屋に、様々な釣り道具がずらりと並んでいた。
「餌は……ないみてーだな。仕方ない、現地調達するか」
 そう言って、釣り竿を二本手にする。
「あったか?」
 後ろから部屋に入って来たのは、もうひとりのカイム。
 ユーベルコードで用意したドッペル・ゲンガーだ。
「ほらよ」
 カイムは、もう一人の自分にぽいと放り投げ、
「餌はないから現地調達だ」
 と言って部屋から出て行く。
「おいおい、これだけ釣具が揃ってるってのに、餌くらいあるだろ?」
「そう言うなら、自分で探しな」
 そう返して、さっさと外に出る。
(仕事の速さと手数は二倍になるから便利だが……ちょっと煩いのが偶に瑕だよな)
 カイムは心の中でぼやきながら、釣り場を探すのだった。

 岩場に立って、海を眺める。
 ここならキャストする際に、何かにぶつかる心配もない。
 餌はその辺りにいたフナムシ――のようなものだ。それをちくちく針に付け、綺麗なフォームで投げる。
「巨大魚ってのがどんな魚か分からねぇが、グランドオーシャンの海はどんな魚が釣れるのか……ちょっと楽しみになってきたな」
 紫の瞳を輝かせながら、リールをくるくる巻いていると、すぐに当たりが来た。
「お、早速――お、おお?」
 思ったより引きが強い。大きくロッドがしなる。
「大物か!?」
 カイムが何とか釣り上げた魚は――。
「……タコ?」
 足がたくさんある、謎の軟体生物だった。
 あまり美味しくなさそうなので、そのままリリースする。
「色んな生物がいそうだな」
 本来の目的を暫し忘れ、カイムは釣りを楽しむのだった。

●真紅の公爵は水中でも濡れない
 島の裏側は、表より広い砂浜になっていた。
 砂粒は真っ白で、同色の貝殻があちこちに落ちている。
 そんな砂浜を、シーザーが海へと向かい歩いて行く。
 真紅のスーツが、白い砂浜によく映えた。
 波打ち際まで進むと、そのまま何の躊躇いもなく海へと入って行く。
 彼自身の魔力であるオドによって、濡れることはないというわけだ。
「ふむ……この透明度で、意外と魚がいるようだね」
 すぐ先から深くなっているというのに、海底がはっきりと見えていた。
 そこに様々な魚が泳ぐ姿を認め、僅かに口端を上げる。
 これだけ小さな魚がいるのなら、大型の魚がいないわけはない。
 しかし、この辺りにはいないようだった。
 時間帯のせいか、はたまた隠れているか――。
 他の世界なら、大型魚はどこにいるだろうか。
 シーザーは思索して幾つかポイントを絞り込むと、優雅に泳いで行った。

 最初のポイントでは――。
「ここは軟体動物の穴場だね」
 タコやイカのような軟体動物が、小魚の群れを追い回していた。

 次のポイントでは――。
「これは毒がある魚のようだ」
 赤、紫、緑という配色の巨大な魚が、海底でのんびり昼寝をしていた。

 次の――。

「これならメガリス君も満足だろう」
 そう呟いて、複雑に絡み合った海藻の向こう側に潜む銀色の巨大な魚を見やる。
 最終的に『勘』で巨大魚を発見したシーザーは、先を銛の形状へと変化させたオーラセイバーを携えている。思索とは……。
 巨大魚は、彼にまだ気付いていないようだ。
 シーザーは魚に気づかれないよう、静かに、しかし鋭くオーラセイバーを投擲した。
 見事急所に命中し、巨大魚は一瞬で絶命した。
 シーザーは満足気に魚を回収すると、陸へと戻るのだった。

●少女とアヒルのふわふわな昼下がり
 磯にやって来たフリルは、アヒルさんを抱えて足場の良い場所を探していた。
 岩から岩へジャンプした際、危うく足を滑らせそうになり体勢を整える。
「ふう、危なかったです」
 ようやく落ち着ける場所を見つけて、一旦すべすべした岩に腰を下ろした。
 海の中に、カニやイソギンチャクが見える。
「わわ、色々いますよ、アヒルさん」
 フリルは色鮮やかな生物たちに、思わず目を奪われた。
 しかし、アヒルさんに引っ張られて本来の目的を思い出す。
「そうでした。魚を釣るんでしたね」
 そう言って立ち上がると、鉄甲船から持ってきた釣り竿を構える。
「えっと、初めてですけど頑張ってみます」
 不安げにそう言うと――足元でアヒルさんも釣り竿を構えていた。
 一体どこにそんなサイズの釣り竿があったのか。
「ふぇ、アヒルさんも釣りに挑戦するんですか? アヒルさんの場合、直接泳いで捕まえた方が早いんじゃないですか?」
 フリルの言葉に、アヒルさんは怒ってしまったようだ。
「ふえぇ、怒らないでください。わかりました、一緒に釣りましょう」
 アヒルさんは、コクリと頷いて釣りをはじめる。
 フリルも気を取り直して、釣り糸を垂らした。
 青い空に、綿菓子のような雲が流れる。
 そよそよと吹く風が心地良く、春の穏やかな気候の中、ピクリとも動かない糸を垂らしたまま、フリルは暫しこの時間を楽しむのだった。

 ――しかし。
 ズドン、とか、ドスドスという音に現実に戻される。
「ふぇ、なんでしょう?」
 慌てて立ち上がって音のする方を見やれば、宙を舞った魚が海岸へと降り注いでいるのだった。
「アヒルさん、お魚が空を飛んでいます」
 フリルの言葉に、アヒルさんは首を左右に振った。
「ふぇ? あれは皆さんの釣りの成果、ですか?」
 目を丸くするフリルの視線の先で、ひときわ大きな魚が、再び宙を舞うのだった。

●盛大なお食事会
 猟兵たちの努力の甲斐あって、浜に魚がズラリと並べられた。
「すごい、すごーい! こんなたくさん、しかも大きーい!」
 盛大に喜ぶメガリスの背中で、機械の羽がピコピコ動く。
 興奮すると動くらしい。
「……で、乙女なメガリスは割と食べる方か?」
 カイムが尋ねれば、メガリスは『もちろん!』と答える。
「たくさん食べるわよ! この体を維持するのに、エネルギーが相当量必要だもの」
 百もの形態へと変化するには、仕方がないということか。
 しかし、それにしても大漁だった。
「ふふ、貴方たちは漁師さんね!」
 メガリスが嬉しそうにそう言うと、トリテレイアが苦笑した。
「漁師、ですか……」
「ハハハ、漁師か」
 シーザーが笑って、魚の前までやってくる。
「さて。焼くなり何なり、ご希望に応じて調理するが?」
 そうメガリスに告げても、メガリスはゆっくり首を左右に振った。
「ごめんなさい。私、このまま食べるの」
 微笑んでそう言うと、シーザーの隣に立ち、小さな羽を広げた。
 機械の羽は赤色に輝き、一気に質量を増す。
 そして放たれた赤い光線は、魚たちを次々と貫いていく。
 貫かれた魚は光の粒子に包まれ、次の瞬間、魚諸共消えてしまった。
「う~~~ん、おいしー!!」
 メガリスが嬉しそうにはしゃぐ。
 羽はいつの間にか閉じられていた。
「これが……食事だって?」
 カイムの呟きは、誰の耳にも届かなかった。
 メガリス――その兵器のような少女は、確かにコンキスタドールの手に渡れば、脅威となるに違いなかった。

「じゃあ約束通り、貴方たちに着いて行くわ」
 満腹でご機嫌のメガリスがそう告げる。
「あ、ここを離れることに関しては大丈夫よ。もうここに私が守るべきものは、何もないわ」
 僅かに淋しげに、しかし気丈にそう言ったメガリスは、もう語ることはないと鉄甲船へと向かう。
「貴女が良いのであれば、何も言いませんが……」
 トリテレイアがそう言った、その時だった。
 海から異様な音が轟いた。
「あれは――」

 どうやら、コンキスタドールがメガリスを嗅ぎつけたようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『海賊キャプテン・シックス』

POW   :    『これはサシの勝負だ!手を出すんじゃねえ!』
【指定した対象以外から攻撃を受けた場合、】【自身の寿命を代償に自身の全能力を6倍に】【する呪いのメガリスの力】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    『こいつ(ら)はてめえらの好きにしていいぞ!』
【性別種族年齢を問わない屈強な手下たちに】【マヒ・催眠・石化・肉体改造・幻覚・】【物理耐性・魔法耐性・状態異常耐性の能力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    『てめえらの命は無駄にしねえ!』
【手下たちの命と肉体】を使用する事で、【触手・触碗・ひれ・サメ牙】を生やした、自身の身長の3倍の【太さの触手を持つサメ・タコ・イカのキメラ】に変身する。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はロニ・グィーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「可憐な少女のメガリス! 遂に見つけたぞ!」
 海賊船から下りて来たのは、不思議な仮面をつけた男だった。
「先客か? ふん、奪うまでだ」
 猟兵たちを認め、スラリと剣を抜く。
 それを合図に、海賊船からゾロゾロと手下たちが下りて来た。
 人間にキマイラ、ヤドリガミにバイオモンスターと、様々な種族で構成された海賊団のようだった。
 それにしても、数が多い。
「コンキスタドール……」
 メガリスが彼らを睨み、そして猟兵へと向き直った。
「雑魚は私が片付けるわ。大将は貴方たちに任せるわね!」
 そう言って、羽を広げる。
 それを合図に、戦闘が開始された。

 さあ。コンキスタドールを蹴散らして、メガリスと共に無事この島を出ようじゃないか。
カイム・クローバー
随分とお転婆な少女だ。ま、この状況じゃ、頼りになるって言い変えても良いか。……こいつは俺達の仕事だ。プロフェッショナルでね。大将は任せとけよ。

海賊ってやつは話が早くて良い。魔剣を顕現し、タイマン。
【二回攻撃】に刀身に紫雷の【属性攻撃】を付与。【残像】と【見切り】で躱しながらUC発動の頃合いを見計らうぜ。
俺の攻撃をワザと【フェイント】にて空振りさせる。態勢を崩したフリをしながら刀身の紫雷を【範囲攻撃】にて放出。痺れさせた相手に追撃のUCって訳だ。
肉体能力では相手が一歩上だとしても、戦闘経験って意味じゃ俺も負けてねぇさ。ココ(人差し指で頭を叩いて)の使い方次第で多少の不利は補える。覚えときな、海賊



●聞こえるは、死神の嘲笑
 メガリスが両腕を刃に変えて海賊たちの中へ突っ込んで行くのを、カイムは苦笑交じりに見送った。
「随分とお転婆な少女だ。ま、この状況じゃ――頼りになるって言い変えても良いか」
 海賊船の大きさから受ける印象より、海賊の数は多かった。
 大将は一筋縄でいかない相手に違いないが、これを相手にしながら、あの数の海賊の攻撃を躱すのは至難の技と言えよう。
「……こいつは俺達の仕事だ。プロフェッショナルでね。大将は任せとけよ」
 ニヤリと笑ってそう告げると、大将の方を見やる。
 大将はメガリスと手下たちが戦闘を始めても、気にする素振りもなかった。視線は猟兵たちに向けられたままだ。
「俺はキャプテン・シックスだ。さて……メガリスを巡って、サシの勝負といこうじゃないか」
 大将――キャプテン・シックスは、そう言って腰からスラリとシャムシールを抜いた。
 それを聞いたカイムが前に出る。
「海賊ってやつは話が早くて良い。それじゃ、俺からいかせて貰おうか」
 そう言って魔剣を右手に顕現させれば、シックスは豪快に笑った。
「ハッハッハ! 海賊と言ってもピンキリだ。俺みたいな正々堂々勝負する奴は珍しいんじゃねぇか?」
 シャムシールを頭上に構え、カイム以外の猟兵へ向けて言い放つ。
「てめぇら、サシの勝負に手ェ出すんじゃねえぞ? 出したら――メガリスの能力で俺の戦闘力は6倍だ!」
「へぇ? ま、6倍だろーと、負けるのはお前だけどな!」
 叫んだカイムは、地を蹴った。
 一瞬でシックスに肉薄し、紫雷を刀身に纏わせた魔剣を素早く振り被る。
 シックスも笑みを絶やさぬままシャムシールで防ぎつつ、反撃を繰り出す。
 二人は何度も切り結び――突然、カイムの放った斬撃が消え、シックスの体勢が僅かに崩れた。
「フェイントか!?」
 リズミカルな剣戟に油断したシックス。
 カイムがこの隙を逃すはずもない。
「甘いぜ!」
 刀身が閃き、紫電がシックスに向かって放たれた。
 直撃を受けたシックスの全身がビクンと大きく跳ね、そのまま動かなくなる。
「……聞こえるかい? これが、死神の嘲笑だ」
 シックスの耳に、カイムの低い囁きが届いた。
 彼の仮面に隠れた表情は見えなくとも、一瞬『恐怖』を感じたことは――カイムには判っていた。
 ユーベルコード『終末の死神』が発動し、カイムの魔剣――神殺しの魔剣から、その名の通り神をも殺すかのような一撃が繰り出される。
 その衝撃は、シックスを海まで吹き飛ばすには十分だった。
「肉体能力ではアンタが一歩上だったとしても、戦闘経験って意味じゃ俺も負けてねぇさ」
 カイムは不敵な笑みを浮かべたまま、海からゆっくり上がって来るシックスに向かって言い放った。
 頭をトントンと指で叩いて続ける。
「ココの使い方次第で多少の不利は補える。覚えときな、海賊」
 シックスは何も言わないまま、再びシャムシールを構えた。
 カイムの与えたダメージによって、シックスから『余裕』が消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
彼女の略取を目論むならば阻ませて頂きます

強化からの攻勢…●武器受け●盾受けでの防御が何時まで持つか
(雑魚を蹴散らすメガリスの姿を見)
●防具改造で装備したスモーク起動し●目潰し
スラスターでの●スライディング移動でメガリスの元へ

騎士としては少々お恥ずかしいのですが
貴女と故郷の島を守る為、一時ご助力頂けますか?
百の武器に変わる御身ならば…私を動力とした超巨大な武器で一掃出来るかもしれません

戦機とメガリス合わせた●限界突破UCを●怪力で●なぎ払い

名は体を表すもの
武器には銘が、人には名が必要です
もし自ら名乗るのであれば貴女が好むもの、自らの誇りに因んだ名が宜しいかと
自分の名を誇らしく誰かに告げる為に


フリル・インレアン
ふえぇ、初めて会うはずなのに、どこかで見たような仮面の海賊さんです。

ふえぇ?どうして私とサシで勝負しようとするんですか?
勝ち目がありそうだからってヒドイですよ。
ふえぇ、アヒルさん隙だらけだからって私以外の人が攻撃したら強化してしまいますよ。
えっと、強化効果にはお洗濯の魔法です。

そういえば、もうメガリスを持っているんですから、もういらないですよね。



●お掃除は盛大に
 キャプテン・シックスは、次なる決闘相手をフリルに決めたようだ。
 シャムシールを携え、ゆらりゆらりと近付いて来る。
 前回の戦いでやられた傷が深いのか、左手で腹部を押さえている。
「ふえぇ、初めて会うはずなのに、どこかで見たような仮面の海賊さんです」
 怯えながら首を傾げるフリルの前に立つシックスは、何故か楽しげだった。
「次はアンタだ、嬢ちゃん。さっきも言った通り、サシで勝負だぜ?」
「ふぇぇ? どうして私とサシで勝負しようとするんですか?」
 フリルが今にも泣きそうな顔でそう尋ねれば、シックスはフリルと同じように首を傾げ、
「そりゃあ、6倍なんてチート状態で勝っても面白くねぇからだよ。さぁ、俺に勝たなきゃメガリスは貰って行くぜ?」
「それは、困ります――って、そういえばメガリスを持っているんですから、もういらないですよね?」
 眉毛をへの字にして、もっともな質問をぶつけてみる。
 しかしシックスは鼻で笑った。
「人型のメガリスだぞ? 俺がメガリスを持っていようがいまいが、関係ねぇ。あれがあれば、島の制圧も今より簡単になるってもんだ」
 そう言って、ゆっくり腹部から左手を離せば――傷は消えている。
 メガリスの力で回復したのだろう。
「勝ち目がありそうだからってヒドイですよ……」
 思わずそう呟くと、腕に抱えたアヒルさんが『グワッ』と鳴いた。
「それだ、そのアヒル。そいつがイヤな気配を放っている。悪いがさっさと倒させて貰うぜ?」
 シックスはそう言ってシャムシールを横薙ぎにすると、かまいたちがフリルに向かった。
 フリルは慌てて光の刀身を顕現させ、何とかそれらを弾き飛ばす。
 しかし、立て続けに放たれた突風にさらされ、思わず尻もちをついてしまった。
「ふえぇ……」
 慌てて身を起こすと、腕の中にいたはずのアヒルさんがいない。
「ふぇ、アヒルさん?」
 きょろきょろと周りを見渡し――。
「おっと」
 シックスがひょいとジャンプすれば、直前まで彼がいた場所を鋭い光線が貫いた。
 いつの間にかシックスの死角に移動し、攻撃の隙を伺っていたようだ。
 そして、実際に『攻撃してしまった』。
「ふえぇ、アヒルさん隙だらけだからって、私以外の人が攻撃したら強化してしまいますよ」
「……攻撃したな? ハーッハッハッハッ! これで俺の戦闘力は6倍だ!!」
 シックスが勝ち誇ったかのように嘲笑する。
 とてつもないオーラが噴き出し、気配が禍々しいものへと変化していった。
 アヒルさんは、何事もなかったかのようにフリルの元へと戻って来ると、その腕の中に収まった。何やら満足げだ。
「アヒルさぁん……」
 フリルが情けない声で咎めながらも、まだ笑っているシックスの方を見やる。
「えっと……強化効果にはお洗濯の魔法です」
 冷静にそう言うと、ユーベルコードを発動させた。
 身嗜みを整えるお洗濯の魔法――ドライクリーニングは、強化効果を発動させているシックスに命中すると、瞬時にその効果を打ち消してしまった。
「な……!?」
 シックスが驚愕に目を見開く。
「これで、強化はできません」
 こくりと頷いてフリルが言えば、シックスはワナワナと体を震わせた。
「それはズルってもんだろ……許さねぇ、切り刻んでやる!」
 血眼でシャムシールを振りかざして突進して来るシックスの前に、
「させません」
 白い騎士が躍り出た。
 トリテレイアだ。
「サシで勝負と言うならば、私がお受けしましょう」
 そう言って、切っ先をシックスへ向ける。
「サシだと? この状況はサシじゃねぇ。ほら見ろ、もう一度6倍強化だ!!」
 フリルが掻き消したメガリスの力は、再度効果を発揮した。
 再び禍々しいオーラに包まれたシックスが、力任せにシャムシールを振り回す。
「フリル様、後ろへ!」
 トリテレイアはフリルを後方へと下がらせながら、シックスの剣を盾で防いだ。
 とてつもない衝撃が、盾から腕へと伝わって来る。
(何時までもつか……)
 シックスの繰り出す斬撃は、止むことがない。
 トリテレイアは、ちらりとメガリスを見やった。
 シックスの部下たちを順調に蹴散らしている。
 トリテレイアは、何とか隙を見てスモークを起動した。
 一瞬で辺りは煙に包まれ、さすがのシックスの攻撃も鈍る。
 とは言え、メガリスの能力で精度が上がっている。
 トリテレイアは急いでスラスターを噴射し、スライディングでシックスの脇をすり抜けると、メガリスの元まで滑るように移動した。

 後方から向かって来るトリテレイアに気付いたメガリスは、海賊たちの攻撃を後方跳躍で避けると、トリテレイアに声をかけた。
「どうしたの?」
「騎士としては少々お恥ずかしいのですが……貴女と故郷の島を守る為、一時ご助力頂けますか?」
「どういうこと?」
 メガリスが首を傾げる。
「百の武器に変わる御身ならば……私を動力とした超巨大な武器で一掃出来るかも知れません」
 放つ向きを調整すれば、部下たちを一層するだけでなく、キャプテン・シックスをも巻き込めるかも知れない。
 トリテレイアの意図を汲んだメガリスは、コクリと頷いた。
「わかったわ……やってみましょう」
 人型であるが故に、自分が振るうための武器にしか変化したことがないメガリス。
 しかし、今はこの目の前に立つ騎士の機構に合わせた武器とならなければならない。
 思考するメガリスの目の端に、小さな白いものが映った。
「グワッ」
「……アヒル?」
 それは、フリルのアヒルさんだった。
 勝手にここまで来てしまったようだ。
「何だか不思議な力で動いているわね……?」
 アルダワの技術『ガジェット』を知らないメガリスは、首を傾げながらも、その機構を読み取っていく。
「――この子、使えるわ! よし、やりましょう!」
 メガリスが何を閃いたのか、アヒルさんを左手に抱え、右手をトリテレイアの右手に重ねた。
 その瞬間光が溢れ――気付けばトリテレイアの手に、白い翼を頂いた巨大な剣が収まっていた。

 ――それはメガリスと魔導蒸気機関の融合した剣。
 ――それはウォーマシンであるトリテレイアでなければ振るえない剣。

 彼は剣の機構を理解し、そして『動かす』。

「……行きます」
 口から溢れた言葉を言い終える前に、翼を広げた白い剣が振り下ろされていた。
 その刀身は、トリテレイアの手に収まった時から、実に十倍以上も巨大化している。
 一瞬で戦場を両断した剣は、そのまま元の姿に戻り――地面に尻もちを着いたメガリスの少女の腕の中に、アヒルさんが収まっていた。
「凄い……こんな経験はじめて……」
 惚けたように呟くメガリスから、アヒルさんは一声鳴いて脱すると、フリルの元へと戻って行った。
 遠くで『ふえぇ~』という声が聞こえる。
「シックスの撃破は難しかったですが、海賊たちは一層出来ましたね」
 トリテレイアがメガリスにそう告げる。
 メガリスはまだぼうっとした表情で頷いた。
「――名は体を表すもの」
 突然のトリテレイアの言葉に、メガリスがようやく現実に戻って来たのか、きょとんとした顔で彼を見つめる。
「武器には銘が、人には名が必要です。もし自ら名乗るのであれば貴女が好むもの、自らの誇りに因んだ名が宜しいかと。自分の名を誇らしく誰かに告げる為に……」
 トリテレイアの言葉は、メガリスの心にコトリと落ち、溶けていった。
「私の誇り……」
 呟いて、島の神社を見やる。
 聞こえない声で、今は亡き神の名を呟き、そしてトリテレイアに向き直った。
「そうね……この戦いが終わって、貴方たちと海へ出たら――きっと名前を見つけられる気がするわ!」
 元気にそう告げ、笑うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
ハハハ、いかにも海賊といった出で立ちだね。
それでは君を倒して、今回の観光を終わりとしよう。
オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
剛柔自在の剣術で『破壊の魔力』で形成したオーラセイバーを振るって戦います。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)等
攻撃に対しては直感による回避からのカウンター
(第六感×見切り×カウンター)

敵POWUCに対してはギアを上げる事で対応。
能力を数倍強化するメガリスか。地力を上げなければ真価を発揮できない類だね。精進する事だ。

戦いの佳境で残像(それまでは見せない)を攻撃させることで体勢を崩させて『カーリーの鏖殺』の痛撃を。



●真紅に染まれ
 海賊たちは倒れ、残るはキャプテン・シックスのみ。
 先刻の戦いで相当なダメージを負いつつも、シックスは不敵な笑みを湛えたまま、シーザーと対峙していた。
「ハハハ、いかにも海賊といった出で立ちだね」
 涼し気な顔でそう告げるシーザーに、シックスは豪快に笑った。
「ハッハッハッ! そりゃそうだ、海賊だからな!」
 自慢のシャムシールを構え、シーザーの出方を伺う。
 腹部からは、じわりと血が滲み出していた。先刻受けたダメージは回復しきっていないようだ。
「それでは――君を倒して、今回の観光を終わりとしよう」
 シーザーがオドを活性化させる。
「観光だと……? メガリスが目的でこの島へ立ち入ったんじゃねぇのか?」
 シックスが笑みを消してシーザーに問い掛けるも、彼は答える代わりに地を蹴った。
「それが答えか! いいだろう!」
 シーザーの『破壊の魔力』によって形成されたオーラセイバーが右手に出現し、シックスのシャムシールと切り結ばれる。
 組成が全く違う二刀が、甲高い音を立てた。
「なかなかのパワーだね」
「アンタもな!」
 力のせめぎ合いから、一旦後方へと跳躍する二人。
 再び肉薄するかと思えば、突然シーザーが身を屈めた。
 死角からの鋭い蹴りを繰り出しつつ、オーラセイバーで薙ぎ払う。
「っとぉ!!」
 シックスはそれをギリギリで躱し、何とか反撃しようと――。
「!?」
 そこにシーザーはいなかった。
 代わりに、背後に生まれる膨大な魔力。
 シックスは背中に巨大な魔力の奔流を受け、真っ直ぐ吹き飛んで行った。
「ハハハ、隙だらけだね」
 シーザーは変わらぬ口調でそう言いながらも、シックスを追撃する。
「能力を数倍強化するメガリス、か。地力を上げなければ真価を発揮できない類だね。精進する事だ」
 先刻の猟兵たちの戦いの総評を告げながら、オーラセイバーを振るう。
 素早く、そして重い斬撃がシックスを襲う。
「グハッ」
 躱しきれず、腕や脇腹を切り裂かれ、シックスが後退していく。
「さて……そろそろ終わりにしようか」
 シーザーの表情は、始終変化がなかった。
 薄い微笑みを浮かべたまま、攻撃のスピードが上がる。
「海賊を……舐めんな!!」
 シックスは咆哮し、渾身の乱舞を放った。
 舞うようにシャムシールを操り――しかしその斬撃が捉えたのは、シーザーではなかった。
「!? なんだぁ?」
 手応えの無さに、一瞬手が止まる。
 そう、彼が攻撃したのは残像だ。

 ――覚悟は良いかね?

 シックスの耳に、そんな言葉が聞こえた次の瞬間には――シーザーのユーベルコード『カーリーの鏖殺』による一撃が、腹部を捉えていた。
 静かに起こる『破滅』。
 シックスの体が、傷口から崩壊していく。
「――なんだ、こんなあっさり逝くことになるなんてなぁ……」
 彼の目は、倒された部下たちを見ていた。
「ああ、テメェらが待ってるもんなぁ」
 その言葉を最期に、シックスは残滓となって消えた。

●そして迎える大団円
「おー、これが船!」
 鉄甲船の甲板で、メガリスがはしゃいでいる。
「これから船旅がはじまるのであったー!」
 どうやら、相当テンションが高いらしい。
 猟兵たちは、そんなメガリスを優しく見守りながら談笑している。

 メガリスは無事、守り通した。
 彼女はこれから自分の名を探しながら、猟兵たちと共にオブリビオンの戦いに身を投じることとなるだろう。
「んー、お腹空いた! おさかなー!」
「では、釣りでもしようか」

 しかし今は、暫しの休息を。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月07日


挿絵イラスト