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神話の記憶~「星神の戦衣」争奪戦

#グリードオーシャン #メガリス

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#グリードオーシャン
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#メガリス


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「やあ、お疲れ様。新しく発見された世界『グリードオーシャン』のことは、もう聞いてるかな?」
 ある日のグリモアベース。広場の片隅に集まってきた猟兵達を出迎えたのは、赤い髪の女。ダンピールのグリモア猟兵、ガーネット・グレイローズである。
 グリードオーシャン。コンキスタドール『渡来人コルテス』や、謎のヴィラン『レディ・オーシャン』の故郷と言われる、未知の領域。その実態が、遂に明らかとなったのだ。
「エンパイアウォーで回収した鉄甲船による航海が成功したことで、ついに海洋世界『グリードオーシャン』への道が開かれたんだ。現地では早速、鉄甲船団による調査活動が始まっているぞ。君たちにも、これから鉄甲船に乗って『ある島』に向かって欲しいんだ。……というのも、グリードオーシャンではグリモアによる予知能力やテレポートが制限されるんでね。不便だが、船に乗って移動するしかないんだ」
 グリードオーシャンは、広大な海原に無数の小さな島々が点在するのみの海洋世界。そしてその『島』とは、猟兵がこれまで旅してきた異世界から『落ちて』きた、いわば世界の断片なのである。他の世界のようにグリモア猟兵のテレポートが使えず、今のところはサムライエンパイアの海を経由することでしか行き来できない。
「おしゃべりなオウムが、私にとっておきの情報を教えてくれたのさ。島の名前は『リトル・ターコイズ島』。この島は、人の住んでいた形跡のない無人島でね……。オウムによると、この島に『メガリス』が隠されているらしい。そして、そのメガリスを奪いにコンキスタドールが現れるかもしれないんだ」
 メガリスとは、所有する資格を持つ者に絶大な力を与えるという秘宝だ。このメガリスを巡り、海賊やコンキスタドールは血で血を洗う激しい戦いを世界中で繰り広げているのだ。そしてその陰で、力を持たぬ弱き人々が虐げられている。奴隷として服従を強いられ、逆らうものは皆殺しに。弱肉強食の苛烈な世界。それがグリードオーシャンだ。
「その島には、廃墟と化した巨大な神殿が建っている。どこの世界のものかは私も知らないが、おそらくUDCアースかヒーローズアースあたりから落ちたんじゃないかと思っている。……あくまで推測だがな」
「なるほどね……で、そのメガリスってのはどんなブツなんです?」
 猟兵からの問いかけに、ガーネットは一冊の古文書を広げてみせた。
「メガリスの名は『星神の戦衣』。この古文書によると、戦いの神に仕える勇者が身に付けた鎧……と書かれている」
 力こそが正義の世界、グリードオーシャン。荒くれ者ならば、誰もがこの鎧を手に入れたいと望むだろう。
「そう、今回の任務はメガリスの争奪戦だ! 残虐なコンキスタドールの手に渡れば、破壊や殺戮に利用されるに決まっている。そうならないために、まずは我々の手でメガリスを確保しなければならない。無事に『星神の戦衣』を入手したら、ひとまず鉄甲船に持ち帰って厳重に保管しておいてくれ。……それでは、よろしく頼んだぞ!」
 そう言ってガーネットはグリモアの力を増幅させ、猟兵達をサムライエンパイアへ贈る準備に取りかかった。


弥句
 こんにちは、弥句です。今回のシナリオは新世界『グリードオーシャン』から、謎の秘宝『メガリス』を巡る戦いです。ちなみに今回の情報はグリモアではなく、謎のおしゃべりなオウムから得た物です。
 シナリオの舞台は、『リトル・ターコイズ島』と呼ばれる、異世界から落ちてきた島です。島全体がひっそりと静まりかえっており、人の気配や生活の痕跡はありません。
 そして、島の中心には廃墟と化した巨大な神殿がそびえ立っています。今回の冒険は、この神殿の調査がメインです。
 今回登場するメガリスは、『星神の戦衣(せいじんのせんい)』。装着すると『天空に輝く星座の加護』を授かり、絶大な戦闘力を得るという超常的な全身甲冑です。ただし、資格なき者が纏うと、たちどころに神の怒りによる雷が頭に落ち、即座に死亡してコンキスタドールに転生します。
 第1章は日常パート。島まではサムライエンパイアの鉄甲船に乗って移動しますが、まずは島に上陸する前に腹ごしらえです。持ち寄った食材やお酒で宴会を開き、士気を高めましょう!
 第2章は冒険パート。メガリスが眠ると言われる謎の神殿を探索し、『星神の戦衣』を探し出しましょう。ただし、神殿内にはメガリスの魔力に惹かれて集まった邪悪な魔物や危険生物がうろついていますので油断は禁物です。
 第3章はボス戦。メガリスの横取りを狙うコンキスタドールの海賊が乱入し、戦闘を仕掛けてきます。これをしばき回してメガリスを確保すれば、任務完了です。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『酒盛りをしよう(未成年はジュース)』

POW   :    飲み比べで勝負する。酒樽全部もってこい!

SPD   :    酒のつまみを用意して、美味しく適度にお酒を楽しむよ

WIZ   :    飲酒は嗜む程度で、会話を楽しみます

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 波を蹴立てて、頑強な船体が蒼き大海原を往く。サムライエンパイアの技術による特別な改造が施された鉄甲船は、外洋から光のゲートをくぐり、未知の世界グリードオーシャンへの突入に成功した。船はこれから数日間におよぶ航海を経て、目的の無人島『リトル・ターコイズ島』を目指す。
 燦々と降り注ぐ陽光と、吹き付ける潮風が心地良い。航海は大きなトラブルもなく、猟兵と乗組員たちは今のところ順調な船旅を続けていた。
「島にたどり着くまで、腹ごしらえしておかないか」
 誰かがそう言った。島に下りれば、コンキスタドールとの戦いが待ち受けている。腹が減っては戦は出来ぬと、エンパイアのことわざにもある。
「飯を食うなら、当然酒も必要だなぁ?」
 船の倉には、樽に詰め込まれた食料と酒がある。ここら辺で、メンバーの士気を高めておくのもいいだろう。ならば……
「宴を始めるぞー!!」
 屈強な船乗りたちは、すこぶるエネルギッシュだ。すぐさま、酒と食料が用意され、宴会の準備が整った。猟兵達の中には、料理が得意な者もいるだろう。出身世界の料理を披露するもよし、持参した珍しい酒を皆に振る舞うもよし。その代わり、飲み過ぎて作戦前に酔い潰れてしまわないように気をつけて。
鳶沢・成美
SPD
未成年者です

そうだなあ、料理できなくもないけどめんどうだし〔贈答用缶詰セット〕を提供しましょう
お高いコンビーフ缶詰をキコキコあけてっと
この缶のまわりを巻き取ってあける缶も絶滅危惧種ですね
僕はコンビーフはそのまま食べるのが好きだったりしますが
どう食べるのかご自由にどうぞ

アドリブ・絡み・可





 船のあちこちから、賑やかな話し声や歌声が聞こえてくる。鉄甲船の上は、宴もたけなわ。猟兵達も船乗りも、皿に盛られた料理をつまみながら酒を酌み交わしている。
「缶詰持ってきたんですけど、食べてみますか?」
 酒の肴を求めてうろついていた船乗りの男に、鳶沢・成美(探索者の陰陽師・f03142)が声をかけた。成美はUDCアース――現代日本からやってきた猟兵の少年だ。
「おっ、なんでえ兄ちゃん。何か食うモンあるのか?」
「保存食ですけど」
 成美が持参したのは、贈答用の缶詰セット。お中元やお歳暮用に販売される、それなりにお高いものだ。そのラインナップはカニや鯖をはじめとする海産物から、コンビーフまで幅広い。
「……それ、どうやって食うんだ?」
「まあ、開け方を教えますよ。こうやってね」
 成美はポケットから取り出した缶切りで、器用に蓋をキコキコと切り開ける。加工技術の発達によって、こういう缶切りを使うタイプの缶も今ではほとんど見られなくなってしまった。もはや絶滅危惧種といっていい。
 程なくしてパカっと蓋が開き、中から美味そうな肉の塊が顔を覗かせた。
「パスタとか、料理に使えますけど……これ結構いい肉使ってるんで、そのままどうぞ」
 プラスチックのフォークを手渡すと、船乗りはその未知の食器を不思議そうに眺めた。そして、コンビーフをゆっくりと口へ運ぶ。
「……んん、これは美味いな! いい酒のあてになるわい」
 お高いコンビーフなので、肉の味付けにはこだわりがある。噛みしめると口の中にガツンと濃厚な牛肉のうまみが広がり、男はこれまでに味わったことのない深い味わいに驚きを見せた。
「サムライエンパイアの人には、あまりなじみのない味かもしれませんね」
「わしは好みだがな。どれ、皆にも食わせてみるか」
 男は成美に礼を述べると、缶詰を持って意気揚々と去っていった。
「よう若ぇの! 飲んでるか!?」
 今度は、背後から年老いた船乗りが声を掛けてきた。かなり飲んだのか、日焼けした顔が赤く染まりつつある。
「僕、未成年なので。お茶かジュースもらえますか?」
 なんとなく酒を勧められそうな予感がしたので、成美は笑いながらやんわりと断っておいたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

冬原・イロハ
連携・アドリブ歓迎

グリードオーシャンは先の見えない……真白な地図のようですね
どんな色で、皆さんの軌跡が描かれていくのか、楽しみです

海の方を向いてお絵かき
持ってきたペイントブギでシュシュと
白のキャンバス一面を、青系に染めてみます
きらきらな海色に染まるかしら?

満足したところで鞄に片付けて
宴会の場に入っていきます~
わあ、皆さんもうデキアガッテイル?

差し入れは唐辛子醤油漬け
保存食ですが、お魚に凄く合うと思います
だいじょぶそうな料理に盛り付けますね
私自身は甘~いジュースをいただきたいです

あと、宴会には音楽!
ドンガッキな竪琴で軽快にぽろんぽろん
乾杯の音や皆さんの笑い声も、素敵な音楽です





「本日は南西の風……天気は晴天」
 デッキを吹き抜ける潮風が、冬原・イロハ(戦場の掃除ねこ・f10327)の白い毛を撫でていく。降り注ぐ太陽の光をたっぷりと浴び、イロハは目を細める。
「グリードオーシャンは先の見えない……真白な地図のようですね」
 どこまでも広がる水平線。視界を遮るものは何もなく、イロハはこの世界で待ち受ける冒険に思いを馳せる。ふと思い立ち、鞄から取り出したのは真っ白なキャンバスと、愛用のペイントブキ『レインボーシャワーズ』。
「どんな色で、皆さんの軌跡が描かれていくのか、楽しみです」
 航路は、自分たちの思うままに。キャンバスに、これからの旅の門出にかける想いを重ね合わせ、イロハは霧吹きで魔法の水をシュシュッと吹き付けていく。
「こんな感じかなっ」
 霧吹きで描いた風景は、一面に広がるターコイズブルーの大海原。仕上げにきらめく陽光を表す銀色の霧を軽く吹きかけると、イロハは満足げに頷いた。
「さて……なにやらあちらから、お料理のおいしそうな匂いがしますね……」
 白い耳をぴこぴこ。ピンクの鼻をひくひくさせ、イロハは人々の宴の輪へと近づいていく。
「こんにちわ~。皆さん、お酒飲まれてますか~?」
「「ウイ~~!!」」
 威勢のいい男たちは、肩を組んで歌ったり、酒の飲み比べをして大いに盛り上がっている。大きな皿の上には、サザエのつぼ焼きやイカの姿焼きといった海の恵みが盛り付けられている。
「わあ。皆さん、もうデキアガッテイル……? そうだ。これを……唐辛子の醤油漬けです。おつまみにと思って持ってきたんですけど」
 イロハが取り出したのは、刻んだ青唐辛子をしょうゆベースのタレに漬け込んだ料理だった。そのまま食べると少し辛いが、薬味に使ったり、ご飯のおかずが無いときなどには何かと役に立つ一品だ。
「おっ! 猫ちゃん、気が利くねえ」
「保存食ですが、お魚に凄く合うと思います」
 わさびの代わりに、刺身に添えるとイイ感じになるだろう。イロハは唐辛子の醤油漬けを、捌いたばかりの魚の切り身に並べて盛り付けていく。船には漁師も乗っているので、新鮮な魚をその場で調理することも可能なのだ。イロハもまた、マンゴージュースを片手に宴の中へと加わった。漁師たちから様々な海の珍味を勧められ、至福の時間である。
「くわー! こりゃあ、ピリッと辛ぇ! 口から火がでるみてえだ」
 一気食いしたのが災いしたか、涙ぐむ男を見て仲間たちが大笑い。水を求めて慌てふためく彼は、まるで踊りを踊っているかのようで。彼の姿を真似て、男たちが一斉に踊り始めた。
「あ、そぉ~れ!」
 軽快な手拍子と共に、海の男たちの舞が始まる。酔った勢いに任せた、作法も技術も何もない未熟な踊り。だが、それゆえに愉しい。
「あらあら……では、私も参加させてもらいますね!」
 こういう場合は、楽しんだ者勝ちだ。イロハは鞄の中から、愛用の竪琴『ドンガッキ』を取り出した。固く張られた弦を爪弾き、奏でるのはアックス&ウィザーズのある地方でお祭りの時に演奏される舞踊曲。その軽快な調べに、船乗りたちもノリノリだ。
「ふふ、皆さんの笑い声、乾杯の音も素敵な音楽ですね!」
 尻尾をゆらゆらと揺らしながら、イロハは人々が楽しむ様子を見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神代・凶津
戦いの前に腹ごしらえは必要だよな、なら酒を呑むのも仕方ないってもんだなッ!
よっしゃ呑むぞッ!
おっと、相棒は未成年だからジュースじゃなきゃ駄目だぜ。
「・・・羽目を外し過ぎないようにね。」
分かってるって相棒ッ!
(ふよふよ宙に浮きながら酒盛りしている船乗り達に混じりに行く鬼面)

いっちょ飲み比べと洒落混もうかッ!
まずは、駆け付け三杯いってみようッ!
なかなか良い酒じゃねえかッ!
どんどんいい気分になってきたぜえ、がっはっはっはっ!!

(この後、散々呑んでへべれけになった鬼面が巫女の少女に海に叩き込まれた光景があったとか何とか。)


【アドリブ歓迎】


ノイン・フィーバー
「おやおや、皆さんお揃いで。腹は膨れませんが、肴の一つも如何デ?」
心情:こう言った場所で公演しなければ何が道化か。というワケで、マジックショーを一つ。

安酒を1,2,3でハンカチをかけることで上等なウイスキーにしてみたり(そのあとちゃんと振舞いますヨー)口から火を拭いたり、揺れる船上でナイフをジャグリングしたりと芸を披露しますヨ。
新技で口から(どこだよ)火を吹いたりもできますヨー。

アシスタントに呼び出したバニー姿の『彼女』に手を出す輩ニハ、その御身をナイフと一緒にジャグリングする所存です、ハイ。
まぁそんな方、我々の中にハいないと思いマすけどネ?(HAHAHA)





「おっ、やってるねェ!」
 さらなる盛り上がりを見せる、宴の席。そこに、巫女装束を纏った小柄な少女が現れた。しかし、その風体はいささか趣が異なる。その素顔は、厳めしい鬼の面で隠されていたのだ。
「戦いの前に腹ごしらえは必要だよな、なら酒を呑むのも仕方ないってもんだなッ! よっしゃ呑むぞッ!」
 鬼面から発せられる声は、紛れもなく無頼漢風の男のものだ。この鬼面こそが、異界からやって来た猟兵の正体。ヒーローマスクの神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)である。その鬼面が少女の顔から外れると、ひとりでにふよふよとホバリングしながら宴の輪の中へと入っていく。端から見れば、かなりシュールな光景だ。
「……羽目を外し過ぎないようにね、凶津」
 宴に向かう凶津に釘を刺すのは、彼と共生関係にある少女、神代・桜。凶津が封印されていた、UDCアースにある神社の娘である。
「分かってるって相棒ッ! おっと、相棒は未成年だからジュースじゃなきゃ駄目だぜ。はっはっは」
「はぁ……」
 分かっているようないないような、微妙な返答をしながら、凶津は船乗り達に酒をねだりにいくのだった。

「さて、いっちょ飲み比べと洒落混もうかッ! まずは、駆け付け三杯いってみようッ!」
「オウ、威勢のいい奴だなぁ! まぁ飲め飲め」
 船乗り達に勧められるまま、サムライエンパイア産の酒やつまみを存分に味わう凶津。言うまでも無く、凶津の見た目は明らかにただの面である。しかし、すべての猟兵はどんな世界にいても人々に違和感を与えないという、特殊な力を持っている。凶津はあっさりと船乗り達と打ち解け、次々と徳利を空にしていった。
「おやおや、皆さんお揃いで。腹は膨れませんが、肴の一つも如何デ?」
 鉄甲船の甲板に、こつこつと革靴の音が響く。酒を酌み交わす男たちの前に現れたのは、タキシードに身を包んだ長身のマジシャン。ブラウン管テレビ型の頭部が特徴のヒーローマスク、ノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)である。こういった場所で公演しなければ何が道化かと、ノインは人々の前でお得意のマジックの数々を披露する。
「では、アシスタントをお願いしますヨ」
 ノインがそう言うと、彼の頭部モニターの中から長い黒髪の女がずずっと姿を現した。彼のユーベルコードの力で召喚した『謎の彼女』である。長い髪で表情は見えないが、今日の『彼女』はセクシーなバニーガールに扮していた。
「ハイ、よく見ていてくださいね。この安酒が、アッという間に高級なウイスキーに早変わり!」
「…………」
 ノインのアシスタントを務める『彼女』が、トレイにカップ酒を乗せてノインの前に差し出すと、ノインはハンカチを取り出して上からかぶせた。カウント3の後に指を鳴らし、素早くハンカチを取ると、そこには上質なウイスキーの酒瓶とグラスが用意されていた。
「おお、すげえ! ……なかなか良い酒じゃねえかッ! どんどんいい気分になってきたぜえ、がっはっはっはっ!!」
「よろしい! お次は、火吹きパフォーマンスを披露しまショウ!」
 凶津のリアクションに気をよくしたノイン。すると今度は頭部のTVモニターを上空へ向け、勢いよく火炎を噴射した。いったいどこに仕掛けがあるのかわからないが、オーディエンスは大盛り上がりだ。
「サア皆さん、現地に着くまで、存分に楽しんでくだサイ!」
 ノインは揺れる船の欄干に飛び乗り、ナイフ投げのジャグリングで宴の席を大いに盛り上げた。ショーのクライマックスは『彼女』が紙吹雪を盛大に散らして締めくくり。一方で凶津は羽目を外しすぎたのを桜に咎められ、海に投げ込まれるなどの折檻を受けているのを船員によって目撃されたとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桐嶋・水之江
◆なんでも歓迎
星神の戦衣…伝説に語られる程なんだからさぞ強力なメガリスなんでしょうね
コンキスタドールに渡すなんてとんでもない、私に…じゃなかった、私達にこそ有効活用されるべきよ

目的地まではゆらり船の旅…腹が減っては何とやら…
食材?これから獲るのよ?(指ぱっちん)
鉄甲船にオートモードで追従させてるワダツミから誘導魚雷を発射してちゅどーん
すると何という事でしょう、色んなお魚がぷかーっと浮いてきたではありませんか
これなんて言うんだったかしらね…ダイナマイト漁?
ほら冬風達、さっさと回収してきなさい
お魚は鮮度が命なのよ
調理方法は…やっぱりお刺身よね
捌くのは船乗りさんにお任せするわ
そういうの得意そうだし





「星神の戦衣……伝説に語られる程なんだから、さぞ強力なメガリスなんでしょうね」
 長いポニーテールを風になびかせ、水平線の彼方を見つめるのは涼やかな目の美女。遙か宇宙の彼方、スペースシップワールドからやってきた猟兵、桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)がこのグリードオーシャンにやってきた目的は、コンキスタドールと海賊が奪い合っているという謎の秘宝、メガリスに他ならない。所有者に絶大な力をもたらすというメガリスを、なんとしても自身の研究に利用したいのだ。
「コンキスタドールに渡すなんてとんでもない、私に……じゃなかった、私達にこそ有効活用されるべきよ」
 その時、きゅるるる……と水之江の胃袋が音を立てた。今日はまだ食事を摂っていない。水之江は腹ぺこだった。空腹では、才女の頭脳もフル回転できない。
「腹が減っては何とやら……食材? これから獲るのよ」
 手を高く掲げ、水之江は指をパチンと鳴らした。すると、鉄甲船をオートモードで追従していた強襲揚陸艦『ワダツミ』が、その武装を起動させる。
 バシュウウウンッ!
 桐嶋技研が誇る高性能の誘導魚雷が、海中へと撃ち込まれていく。すると鉄甲船の傍で爆発音と共に水柱が昇り、海中の魚やら貝やらが大量に打ち上げられてきた。
「な、なんだ!? 敵襲か!?」
「ちょっと漁をしていただけよ……ほら冬風達、さっさと回収してきなさい。お魚は鮮度が命なのよ」
 狼狽える水兵達を尻目に、水之江は軽やかな手つきでタブレット端末を操作。すると電脳空間のフィールドが口を開け、中から妖精の姿をしたドローン『冬風』が61体現れた。冬風達は波間に浮かぶ獲れたての魚を手際よく回収し、鉄甲船へと運搬していく。
「美味しいお刺身が食べてみたかったのよね。これを捌いてちょうだいな」
「かしこまり!」
 長い間海上で生活する船乗り達は、魚を調理する技術に秀でた優秀な板前でもある。魚はすぐに彼らの手で捌かれ、水之江の前に見事な『鯛のお造り』が差し出された。
「へい、お待ち!」
「ふふ……見事なお手並みね。それでは、いただきま~す」
 自分で獲った魚を、その場ですぐにいただく。船の上ならではの贅沢な時間を、水之江はお酒と共にじっくりと楽しむのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『廃墟神殿に隠されたお宝を探せ!』

POW   :    深海人めいた怪物を力づくで追い払って、お宝の下へ進め!

SPD   :    欲に取り付かれた亡者を駆け足で振り切って、お宝の待つ先へ!

WIZ   :    セイレーンの様な亡霊を知略で潜り抜けて、お宝に辿り着け!

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 猟兵達は小舟から砂浜に降り立ち、ついに『リトル・ターコイズ島』への上陸を果たした。沖のほうへと視線をやると、鉄甲船が錨を降ろし、その巨大な船体を水上に晒している。南国特有のカラフルな花々が風に揺れ、真っ白な砂浜とターコイズブルーの海の対比が実に美しい。
 しかし、楽園のように美しいこの島は、不気味なまでの静けさに包まれていた。打ち寄せる波の音以外には何も聞こえず、人の気配がまるで感じられない。現時点では完全な無人島だと言えた。猟兵達は周囲の様子に警戒しながら探索を開始し、島の奥地へと足を踏み入れていった。

 やがて彼らは、はるか古に建てられたであろう、巨大な建造物を目の当たりにすることとなった。その建物は一見、古代ギリシャの神殿に似た造りをしていた。しかしながら、そのディテールはUDCアースの古代文明に見られる意匠がいくつも混ざり合っており、併設された奇怪なオブジェの存在も相まってどの文明のものか特定することは難しかった。
 建物の周囲には霧が立ち込め、神殿の奥からは何か計り知れない『力の波動』が伝わってくるのをひしひしと感じられた。それに加えて、強大な力に引き寄せられるように集まった、何らかの邪悪な気配も。
 ――間違いない、メガリスはここにある。
 猟兵たちは直感的に、メガリス『星神の戦衣』の情報が間違いでは無かったことを確信した。そして互いに顔を見合わせると、彼らは躊躇うことなく神殿の内部へと進んでいった。
神代・凶津
強大な秘宝が眠る謎の古代文明の遺跡への挑戦。
いいねいいねぇ、冒険とはこうでなくっちゃなッ!
「・・・遊びに来たんじゃないんだよ?」
んな事言ったって相棒だって内心ワクワクしてるだろ?
考古学者が冒険する有名なあの映画大好きだもんな?
「・・・知りません。」
くく、んじゃ探索開始と行こうぜ。

さてと、遺跡に入ったら相棒の式神【捜し鼠】で情報収集しながらお宝の場所を目指すとしようぜ。
亡者や亡霊が現れたら破魔弓で射抜いて進むぜ。
この手の輩の相手はむしろ俺達の専売特許だぜ。

さあ、目的のお宝『星神の戦衣』をコンキスタドールより早く見つけだそうぜッ!


【技能・情報収集、破魔】
【アドリブ歓迎】





「……ここが古代の神殿か」
 濃い霧が立ちこめる巨大神殿の入り口に、奇妙な鬼の面をつけた巫女装束の娘の姿があった。
「いいねいいねぇ、冒険とはこうでなくっちゃなッ!」
 先ほどから、赤い鬼の面――凶津が興奮気味に喚いている。謎の強大な秘宝が眠る、古代文明の遺跡。男ならば誰もが一度は夢見る遺跡探検が、ついに実現したのだ。凶津は期待に胸を弾ませ、相棒の少女を遺跡の中へと誘う。
「ほれほれ、早速行くぜ相棒。俺たちが一番乗りだ!」
「……遊びに来たんじゃないんだよ?」
「んな事言ったって、相棒だって内心ワクワクしてるだろ? 考古学者が冒険する有名なあの映画大好きだもんな?」
 それは以前、居間でお菓子を食べながら二人で映画を見たときの話である。
「……知りません」
 照れ隠しのように素っ気なく呟くと、桜はそそくさと遺跡の中へと足を踏み入れていく。ここからは、危険が待ち受ける未知の領域だ。
「くく、んじゃ探索開始と行こうぜ」

 古代遺跡の内部は薄暗く、不気味な沈黙が支配する空間だった。長く続く石造りの廊下には、清浄不浄が入り交じった、混沌とした霊力が満ちていた。それが侵入者の方向感覚を狂わせ、心身を消耗させるのだ。
「んん、霊気がグチャグチャに混じり合って、どっちに進めばいいかわからんな。……よし相棒、アレを頼むぜ!」
「……はいはい」
 他力本願な凶津にため息をつくと、桜は懐から何枚かの霊符を取り出した。
「……式、召喚【捜し鼠】」
 桜が符に念を込めると、程なくしてそれは無数の鼠型の式神となった。
「財宝……メガリスがどこにあるのか教えて」
 ざっくりした指示だったが、式神鼠たちは命令に忠実だ。素早く散らばり、迷宮のように入り組んだ遺跡の奥へと消えていく。中の構造も、何が待ち受けているかも分からない場所を探索するなら、この方法がベストなのだ。
 鼠たちは分かれ道で立ち止まり、順路を案内するように凶津と桜を先導して進み始めた。
「さあ、目的のお宝『星神の戦衣』をコンキスタドールより早く見つけだそうぜッ!」
「……凶津、順路はこっち」
 盛り上がる凶津を諫めながら、桜は歩を進めていく。
「さぁて、鬼が出るか蛇が出るか……!」

 神殿の奥は、正体不明の亡霊や仕掛けで満ちていた。メガリスの影響を受けたのか、可視化するほどに力を得た亡霊が体に纏わり付いてくる。凶津と桜は襲い来る亡霊の群れを薙刀で切り払い、破魔弓で射貫いて退けていった。
「亡霊アヤカシ、この手の輩の相手はむしろ俺達の専売特許だぜ。よぅし、お宝の部屋までもうすぐだぜ!」
 薙刀を振るい、少女と仮面は遺跡のさらなる深部へと踏み込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
◆なんでも歓迎
ここがメガリスのハウスね
もうあからさまって感じよね
さっきから空気も妙だし罠があると見た方が良さそうね…水着のまま来るんじゃなかったわ
さて一番乗りは他の猟兵さんに譲って私は様子見…わかってるわよ、ちゃんと働くわよ
さあ冬風達、散開して内部を探索するのよ
宝探しはまずマッピングからよね
道中トラップ床や怪しいスイッチがあるかも知れないから確認は焦らず素早く丁寧に
肝心のメガリスへの道標だけれど…電力魔力放射線重力波その他諸々のエネルギーを観測しておきましょう
レジェンド級の圧倒的パゥワーを秘めてるんだもの、何かしら反応はあるでしょう
因みに私個人の身辺警護はDプラスにやらせてるから抜かり無いわ





「…………」
 巫女装束姿の少女が単身遺跡の中へ入っていく様子を、木陰から見ている者がいた。スペースシップワールド製の黒いハイテク水着を纏い、ハイビスカス型の髪飾りを付けた女だ。
「ここがメガリスのハウスね、もうあからさまって感じよね」
 桐嶋技研の代表、水之江は謎の神殿の入り口で様子を窺っていた。南国のリゾート地に遊びに来たような格好だが、もちろんここがメガリスの眠る秘境であることは忘れていない。
「さて一番乗りは他の猟兵さんに譲って私は様子見……わかってるわよ、ちゃんと働くわよ」
 先ほどから、水之江のドローン『冬風』が彼女の周囲をふよふよと飛び回り、『早く行こうよ』と言いたげにしているのだ。
「さあ冬風達、散開して内部を探索するのよ」
 美しい妖精の姿をした冬風たちは散開し、遺跡の深部を目指して飛び立っていく。その後を、水之江はモデルのような歩き方で悠然と追跡する。
「さぁ、愛しのメガリスはどこかしらー」
 宝探しの基本はマッピングからだ。ダンジョンの中には、どんなトラップや危険生物が潜んでいるか分からない。先行した冬風が撮影した映像がタブレット端末『モノリス』に転送されてくると、自動更新で遺跡のマップが作成されていく。
「怪しいスイッチや床トラップなんかも見逃さないでね。確認は焦らず素早く丁寧に、頼んだわよ」
 メガリスが存在するのならば、何らかのエネルギー反応がある筈だろうと水之江は推理した。電力、魔力、放射線、重力波……いわくつきの物品はそういったエネルギーを帯びていることが多い。
「レジェンド級の圧倒的パゥワーを秘めてるんだもの、何かしら反応はあるでしょう」
 さらに水之江は母艦ワダツミにコールをかけ、護身用のウォーマシン『Dプラス』を呼び出した。すると、程なくして電脳空間を介して3機の白いウォーマシン型ドローンが水之江の傍に転送されてきた。
「これで身辺警護もバッチリね」
「…………」
 厳つい人型メカに固められ、水之江は神殿の奥へと進んでいく。目標は、冬風がエネルギー反応を捉えた区画だ。

「確かに、この部屋から高エネルギー反応が出ているわね。でもやけに小さい部屋ね……」
 冬風に導かれ、水之江はとある部屋の前にやって来た。だが、水之江は妙な胸騒ぎを感じた。念のため、部屋の前で冬風に内部をスキャンさせる。
「棺の中に白骨死体……どうせ入ったら中から死体がコンニチワするんでしょう? この部屋はスルーね」
 どうやら、何らかの呪術的トラップが発動する部屋だったようだ。この部屋は素通りするのが正解のようだ。
 ゴゴゴゴゴゴ……
「!」
 部屋の前を通過した直後、重々しい石の扉がスライドして中から開かれた。すると、ボロボロの海賊服を纏った白骨死体がひとりでに這い出て来たではないか。
「オォ……オォ……」
 しかも骸骨は全身に大量の亡霊を帯び、どす黒い霧のような怨念に包まれている。一目でわかる、悪霊である。骸骨船長は服の袖から覗く真っ白な手を、水之江に伸ばしてきた。
「あら、船長のお目覚め? 駄目よ、死体は大人しく眠ってなさい」
 水之江の号令の下、Dプラスが一斉にビームライフルのトリガーを引く。3つの銃口から放たれた熱線を浴び、骸骨船長は手下の亡霊もろとも跡形もなく焼却されていった。
「あの程度の相手なら、私の力を使うまでもないわね」
 ブラスターの残り火が揺らめく廊下を振り返ることなく、水之江は神殿の奥へと進んでいく。探索は迅速に行わなければならないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノイン・フィーバー
神殿の中で乗り物にのってはいけない。そんなルールはありませんよネ?

「コール、ブーストスライガー」

ノインのコールに応じて爆音と共に鉄甲船の積み荷から飛び出し、ノインの元に駆け付ける。
小舟で来た意味?「ありませんガ、何カ?」(画面には何も表示されていない)

というわけでブーストスライガーにて神殿を突っ走ります。
低速コーナーを上手い事速度を落とさず疾走。
当たり前ですが、コースにぶつかるなどという愚は犯しません。
亡者?
「――憑いてこれるか?」(某弓兵調で)
なお、戦闘行為には戦闘行為、ユーベルコードで対抗。

協力等々、歓迎です。


冬原・イロハ
こっちは可愛い、あっ、こっちはヘンテコ
奇怪なオブジェを見上げながら探索すると、ちょっとだけ観光気分ですね
マッピングをしましょう(ノートとペンを手に取って)きっと記念になるのです

でも、ここは邪悪な気配を感じる場所……気を付けて進みますがやっぱり探検隊気分♪
…………、
やっぱり、ココには色んな思い出が詰まっている気がしますね(オブジェを見上げて

【SPD】
欲に取り付かれた亡者は、欲故に他者の存在も邪魔なのでしょうかね…
立って歩いてましたが、ノートとペンを咥えて四足で駆けます!
オブジェの上にのぼったり、跳んで伝っていったり

時々安全な場所でマッピングしますね



「さて、ここですカ。メガリスが眠る神殿というのは」
 ノインは砂浜から2㎞ほど離れた森の中にある、謎の巨大神殿の前に立っていた。神殿はUDCアースの古代ギリシャの建築様式に似た造りだが、細かな部分に世界中の遺跡の特徴が複雑に取り入れられており、明確にどこにあったものかを特定することは困難だ。さらに、随所に鎮座する奇妙なオブジェが、遺跡の異常さをいっそう際立たせていた。
「神殿の中で乗り物にのってはいけない。そんなルールはありませんよネ?」
 ノインは手元の携帯端末を起動させ、愛用の宇宙バイク『ブーストスライガー』のアイコンをタップする。すると、沖に停泊中の鉄甲船に搭載されていた彼の愛機が自動的に起動。水上をホバリングしながら猛スピードで砂浜に上陸し、さらにそこから森を突っ切ってノインの元に到達する。
「では、出発進行!」
 身長190センチに達しようかという大男は、これまた大きな宇宙バイクに颯爽と跨がり、神殿の入り口を潜り抜けていった。実は小舟に乗って来た意味は無かったのだが、まあいいじゃない。

「こっちは可愛い、あっ、こっちはヘンテコ」
 奇妙なオブジェが林立する広い通路を、ちょこちょこと歩く小さな影があった。白い毛のケットシー、イロハである。何本もの腕をもつ半裸の巨人や、馬の上半身と魚の下半身をもつ奇妙な生物。果ては幾何学的な謎の物体といった象が、整然と並んでいる。中には3メートルを超える大きなものもあり、身長40センチ足らずのイロハから見れば山のように巨大である。
「美術館を歩いてるみたいで、ちょっとした観光気分ですね」
 ノートとペンでマップを作りながら、イロハは『ここにはこういうオブジェがあった』と注釈を入れていく。あとで読み返せる、旅の記念品になることだろう。
「! あれは……」
 イロハが探索を続けていると、脇道からカラカラと乾いた音を立てて近づいてくる団体が見えた。海賊のような衣服はぼろぼろに朽ち、錆び付いたカトラスを握りしめている白骨死体の集団だ。どうやら、この遺跡に探索にやって来た先客たちらしい。
「邪悪な気配を感じましたが、あの人たちが原因だったんですね」
 イロハはマッピングを中断し、急いで先の区画へ進むことにした。ペロペロと体を舐めて毛繕いすると、体の摩擦抵抗が減って速く走れる……ような気がした。
「欲に取り付かれた亡者は、欲故に他者の存在も邪魔なのでしょうかね……」
 ノートとペンを口に咥えて、四つ足でいそいそと先を急ぐイロハ。すると、後方から猛々しいエンジン音が聞こえてきた。
 BOOOOOON!!
「あっ、ノインさん!」
 宇宙バイクを駆るTV頭の男を、イロハはよく知っている。ノインは卓越したライディングテクニックでコーナーを曲がり、亡者達を掻き分けてイロハのほうへ近づいてくる。「ハッハッハァ! このブーストスライガーに憑いてこれるか? ……おや、イロハさん。奇遇ですネ!」
 ノインは一礼すると、バイクのリヤシートへとイロハを誘った。
「どうです? 一緒にタンデムなど」
「わあ、いいんですか!」
 迷宮の中で思わぬ再会を果たした二人の猟兵。リアシートにぴょんと飛び乗ったイロハは、再びマップ作成の準備を始める。
「一人で、マップを作ってたんです。なんだか探検隊みたいで、やめられなくて」
「わかりマス。ですがここはなかなかデンジャラスなようで。さっさと次の区画へ参りまショウ!」
 ノインはブーストスライガーを戦闘形態に変化させると、勢いよくエンジンを吹かして機体を加速させた。緩慢な動きの亡者に、宇宙バイクを追跡することなどできるはずもなく。白骨死体の群れはあっという間に遠ざかり、見えなくなった。
「やっぱり、ココには色んな思い出が詰まっている気がしますね」
 通り過ぎていく様々なオブジェを見つめながら、イロハは古代の人々が作品に込めた感情に思いを巡らせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳶沢・成美
うーん、とりあえず長い階段を駆け上がる系じゃなさそうでよかったかな

『力の波動』とやらを”追跡”していけばメガリスのもとにたどり着けますかね
一応”聞き耳”など立てて不意打ちに備えながら進みますか
何やら霊的なものが出てくるなら【冥門案内ノ法】で対処できるかもしれません
まあとりあえず、メガリスのところに急がないとね

アドリブ・絡み・可





 薄暗い石造りの通路に、靴音が鳴り響く。懐中電灯で進路を照らしながら歩みを進めるのは、頭に白いフェイスタオルを巻きつけた青年だ。
「思った以上に広い遺跡だな……とりあえず、長い階段を駆け上がる系じゃなさそうでよかったかな」
 彼もまた、メガリスの回収の為に島にやってきた猟兵。陰陽師にして探索者の鳶沢・成美である。
「『力の波動』とやらを”追跡”していけば、メガリスのもとにたどり着けますかね……」
 魔力や霊力といった、非物質的な力の流れを追っていくのならば、陰陽師である成美の得意分野だ。『陰陽師入門』を紐解いて呪文を読み上げつつ、遺跡の内部に満ちた霊力の流れを体で感じ取る。
「まあとりあえず、メガリスのところに急がないとね」
 日々の修行で身に着けた感覚により、成美は神殿の奥から流れてくる強大な霊力を肌で感じ取ることが出来た。あとはこの力の流れを辿っていけば、メガリスの所在地に到達できるだろう。しかし、この先にどのような脅威が待っているのかわからない。成美は感覚をさらに研ぎ澄まし、聞き耳を立てながら慎重に進むことにした。

「……なんだろう? 歌のような声が聞こえる……」
 神殿の通路を進んでいると、成美の耳に奇妙な歌声が聞こえてきた。それは女の声で歌い上げられる、美しいバラード。しかし成美の知識に無い言語で歌われているため、歌詞を理解することはできなかった。
「こちらから聞こえてくるぞ」
 歌が聞こえてきた小部屋の扉は、意外にもすんなりと開けることが出来た。室内に入ると、そこには一体の白骨死体が安置されていた。鎖で石柱に縛り付けられたその死体は、黒いドレスを纏っていた。
「この骸骨が、歌声の主というわけか……!」
 美しい歌声だが、聴く者の精神を蝕む呪いの歌だったのだ。歌の呪力に導かれ、まんまとここまで連れて来られたというわけだ。成美は防具の耐性によってなんとか正気を保てているが、もし耐性の無いまま部屋に入っていればどうなっていたことか。
「後顧の憂いをここで絶つか。……行くべきところに案内しましょう」
 成美は陰陽術に使う特殊な水が入ったビンをポケットから取り出すと、内容物を勢いよく骸骨目掛けて振りかけた。それは霊符を焼いて作った灰を溶かしてある霊水で、邪気を祓う特殊な効果を持っている。秘術【冥門案内ノ法】に必要な触媒である。
「昇天召されよ」
 成美が右手で印を切ると、骸骨は瞬く間に蒼い燐光に包まれた。行き場を失くしていた霊体が枷から解き放たれ、昇天していくのだ。やがてカシャン、と鎖が落ちる音が響き、哀れな女の骸は跡形もなく消え去っていた。
「……よし。先を急ごう」
 ひとつずつ障害を排除しながら、若き探索者はさらなる神殿の奥へと進んでいく。この先に、メガリス『星神の戦衣』の置かれた祭壇の部屋があるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『光翼のフランソワーズ』

POW   :    破砕するl'or
単純で重い【輝氣(かがやき)の大槌】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    斬り裂くl'argent
【煌氣(きらめき)でできた大鎌による斬撃】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    抹殺のl'alliage
【指先から放つ煌氣(きらめき)の弾丸】が命中した対象に対し、高威力高命中の【輝氣(かがやき)の砲弾】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。

イラスト:熊木

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・夢瑪です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




「これが、『星神の戦衣』……!」
 猟兵たちはついに、神殿の最深部にあるメガリスの間に到達した。石造りの広大な空間は、静謐でありながら異様な空気に満ちていた。その原因が、祭壇の最上段に安置されている物体にあることは言うまでもない。
 メガリス『星神の戦衣』は、人型を象った金属製のオブジェであった。その形状は、祈りを捧げるように両腕を組んだ、上半身のみの男性。それが台座の上に鎮座し、眩いばかりに煌めく黄金の光を放っていた。
「――それが、普段の姿。『星神の戦衣』はね、戦いの時にだけバラバラに分解して鎧になるんだよ。知らなかった?」
 猟兵達が咄嗟に振り向くと、そこには軍帽にドレス姿の少女が佇んでいた。海賊でも、仲間の猟兵でもない。彼女から発せられる圧倒的な威圧感は、紛れもなく人外のものだと直感的に推測できた。
「悪いけど後をつけさせてもらったんだ。私の為に障害を排除してくれてありがとうね。というわけでそのメガリス、私に頂戴?」
 この少女が、メガリスを奪いに来たコンキスタドールで間違いないようだ。警戒感を露わにする猟兵達に向かって、少女は悠然と近づいてくる。
「そのメガリスは、私が最強を目指すために必要なんだよ。私の光を操る武術と『星神の戦衣』が合わされば、私は地上最強の戦士になれる! この『光翼のフランソワーズ』こそが、『星神の戦衣』の継承者に相応しいッ!!」
 フランソワーズと名乗ったコンキスタドールの全身から圧倒的な闘気が迸り、巨大な光の翼を形成する。姿こそ神々しい女戦士のようだが、所詮はコンキスタドール。自分が強くなることしか頭にないようだ。こんな女に、メガリスを渡すわけにはいかない。猟兵達は怯むことなく武器を構え、フランソワーズを迎え撃つ準備を整えた。
 決戦の始まりだ。
桐嶋・水之江
◆なんでも歓迎
これは私の…私達の物よ
そんなに欲しければここにいる猟兵さん達を全員倒してみせなさい
という訳で後はよろしく
私?勿論メガリスを持って逃げるのよ?あんなのと生身で戦うだなんてむりむりむりのかたつむりよ
…わかったわよ何とかするわよ

ここじゃワダツミの砲撃はむりだし暴虐の咆哮もメルトフレアも使ったらメガリスごと瓦礫の下で永眠しちゃうわ
切れる手札は…Dプラスね
では機巧の魔女の祝福を
これで本家に及ばずとも動きがキレッキレになるわ
敵は一人…取り囲んで虐めるわよ
一機を犠牲に残りの二機で側面と背面から攻めなさい
私はプロテクトフィールドをフルパワーで張っておくわ
操者本人を狙ってくるのは目に見えてるもの


鳶沢・成美
まあ地上最強の戦士はどうでもいいんですが

”戦闘知識”と”第六感”で間合いを測って
【火雷神道真】を”誘導弾”で”追跡”させて確実にあてましょう
外したフリをして敵からずらして放てば”フェイント”に
そして”2回攻撃”で飽和攻撃です

アドリブ・絡み・可 ””内技能





「あれがメガリス、星神の戦衣……素晴らしいわ」
 そう言って水之江は、祭壇に鎮座している『星神の戦衣』を凝視し、恍惚の声を上げている。あれを今すぐに手に入れ、ワダツミに持ち帰って隈なく調べ尽くしたい衝動に駆られる。だが、今は目の前のコンキスタドールを撃退するのが先決だ。美しさの中にも激しい闘争心を燃やすコンキスタドール・フランソワーズは、猟兵達を敵とみなし戦闘態勢を整える。
「今言ったのが聞こえなかった? メガリスは私のものよ。さっさとここから立ち去りなさい!」
 威圧的な口調で、殺気を叩きつけるフランソワーズ。だが、歴戦の猟兵たちはその程度で怯むことはなく、毅然と彼女を見つめ返す。
「これは私の……私達の物よ。そんなに欲しければ、ここにいる猟兵さん達を全員倒してみせなさい」
「言われるまでもないわ! 私の煌氣(きらめき)で、薙ぎ払ってあげる!!」
 フランソワーズは、光輝くオーラを自在に操る能力を持つ武闘派のコンキスタドール。彼女の闘争心に応じて、練り上げた「煌氣(きらめき)」による大鎌が出現した。
「まあ、地上最強の戦士はどうでもいいんですが」
 真剣なのか、ふざけているのかいまいちわかりにくい態度で、成美が一歩を踏み出す。しかし手には妖魂符をしっかり握っているあたり、戦闘の準備は抜かりないようだ。
「メガリスは重要管理対象なんです。あなた方コンキスタドールには渡しませんよ」
「どうでもいいなら、下がっててもらえる? やる気のない奴に用はないの!」
 光の鎌を振りかざし、フランソワーズが二人の猟兵との距離を一気に詰めてくる。
「という訳で後はよろしく……私? 勿論メガリスを持って逃げるのよ? あんなのと生身で戦うだなんてむりむりむりのかたつむりよ」
「えー……逃げるんです?」
 小粋なギャグをかましながら、メガリスを回収しにいく素振りを見せる水之江。だが、ジト目で睨んでくる成美の冷ややかな声を背に受け、わざとらしく咳払いをしてごまかした。
「……わかったわよ何とかするわよ」
 そうは言っても、肉体労働はからきしの水之江。なので、こういったファイター系の敵を相手にするときは彼らの出番だ。
「Dプラス部隊、出撃よ」
「!」
 水之江と成美に向けて光刃が振るわれる刹那、電脳空間を経由して三機の機械兵が出現した。彼女の使役するウォーマシン型ドローン『Dプラス』である。ビームソードで斬撃を弾くと、三機は精密な動きでコンビネーション攻撃を仕掛ける。
「ふん、機械などに後れはとらないわ!」
 だが、相手は歴戦の征服者。常軌を逸した身軽な動きでDプラス部隊の連携を凌ぎ、巨大な鎌を右へ左へと振るって戦場を駆けまわる。
「武器を振り回して暴れるだけが戦いじゃないのよ……ほらあんた達、もう少し頑張りなさいな」
 水之江は体内に埋め込まれた量子コンピューターを介して、Dプラス部隊の制御系統にアクセス。超高速の演算能力を以てプログラムを瞬時に改良することにより、彼らの潜在能力を大幅に引き上げることに成功した。
「急に性能が上がった……?」
 機械構造をもつ所持品の性能を向上させるのが、【機巧の魔女の祝福】である。その力はDプラス本体だけでなく、彼らが装備する武装にも効果が及んでいた。ビームライフル、ビームソードともに、その威力と射程が3倍に跳ね上がっている。
「援護しますよ。道真さんよろしくー」
 前衛で攻撃を担当するDプラスを援護すべく、成美が符術【火雷神道真】で生み出した雷の礫を放つ。掌から放たれた無数の電撃弾が、フランソワーズに一斉に牙を剥く。
「くっ……」
 さすがのフランソワーズも、猟兵の切り札であるユーベルコードを駆使した猛攻を受けいつまでも余裕ではいられない。鎌をなぎ払ってDプラスの装甲を切り裂きつつ、指先から煌氣で生成した光の散弾を叩きつける。
「コンキスタドールを、みくびるんじゃないわよ!」
 光弾の弾幕を張るとともに、死角から飛び出し水之江を強襲する。プロテクトフィールドを全開にしているとはいえ、まともに攻撃を受ければひとたまりもないだろう。水之江をカバーリングするため、Dプラス達が射線上に飛び出した。
「邪魔をするなッ!」
 極悪なスピードで斬閃が走り、Dプラス三機のうちの一機が敢え無く両断された。しかし、この一機が身代わりとなり水之江の命を救った意味は大きい。水之江がユーベルコードで反応速度を強化していなければ、間に合わなかっただろう。
「まずは一体! すぐに残りの二体も鉄屑にしてやる……うっ!!」
 気勢を張るフランソワーズを、背後から痛烈な衝撃が襲った。耳を劈くような轟音と共に叩きつけられたのは、先ほど躱されたはずの成美の雷撃弾。
「追尾してきたのか……!」
「なに、ほんのフェイントですよ」
 フランソワーズが怯んだ隙に、二機のDプラスがすかさず襲い掛かる。一体が側面からビームライフルで牽制した隙を突いて、もう一体背後が背後からビームソードで斬り込む。そこへさらに、成美が【火雷神道真】の第二波を撃ち込んだ。
「援護射撃は僕にお任せあれ」
 これはビームライフルとのタイミングをずらした時間差攻撃だ。
「敵は一人……取り囲んで虐めるわよ」
 フランソワーズは【抹殺のl'alliage】を乱れ撃ち対抗するが、猟兵の連携に集中を乱され、攻撃は精彩を欠いた。鎌で二体目のDプラスを斬って捨てたまではよかったが、高い誘導性能を持つ成美の雷撃弾を再び喰らってしまい、ついに片膝を突いて蹲ってしまった。
「なんということ……私が追いつめられるなんて」
 ギリギリと歯を噛みしめ、コンキスタドールは燃えるような眼差しで猟兵を睨み付けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
こそこそ後をつけて横からメガリスをかっさらおうとは、随分セコいコンキスタドールだな。
それで最強を目指すとか笑っちまうな、相棒ッ!
「・・・あまり挑発しない。」

こんな奴、さっさと片付けちまおう。
雷神霊装でいくぜ。
「いくぜ、相棒ッ!」
「・・・転身ッ!」

光を操る武術が自慢のようだが此方も雷を操る剣術が得意なんでねッ!
高速移動で翻弄しながら破魔の雷を纏った妖刀の斬撃の放射を叩き込んでやる。
ご自慢の光の武術とやらを仕掛けてきたら見切って避けつつこっちもカウンターを仕掛けるぜ。

この『星神の戦衣』はお前さんには勿体なさすぎるぜッ!


【技能・破魔、見切り、カウンター】
【アドリブ歓迎】


ノイン・フィーバー
〇星神の戦衣を纏ったメンバーが他に居た場合:
その方がもう主人公なのでそれを援護する形で。
破砕するl'orに対抗してUC発動しながらガード。
「折角の遺跡です。ワタシのお得意様を泣かせるわけにはいかないのですヨ」
 
〇星神の戦衣を纏ったメンバーが居ない場合:
星神の戦衣の力を借りられないかトライします。
UC発動してガードする流れはそのままに、吹き飛ばされ、土煙が晴れるとその先にあった星神の戦衣を片腕だけでいいので纏い、UCの能力ブーストも合わせてバーンナックルする方向。
「アナタが地上最強の戦士なラ、ワタシは宇宙最高の道化師です。私のお客様ノ顔を歪ませるのは、許しませんヨ」


冬原・イロハ
アドリブ・連携歓迎

強さを目指すのはいいんですけど
破壊や殺戮に繋がるものとなるのなら阻止しなきゃですね……!

戦斧を手に、UCで風を纏い
ブーツに魔力を注いで跳び回り易く
敵の大鎌攻撃は戦斧で武器受け
そのままいなし、ぐるんと回るように懐に入って攻撃を叩きこみます!
同時に衝撃波をぶっ放して
仲間の一撃が入りやすいように

戦いの神に仕える勇者が身に付けた鎧は…祈っています

きっとあなたの様にひたすら強さを求めたり、破壊したりする『戦い』のための鎧ではないんじゃないかと思います

見てきたオブジェたちは、皆、戦士を象るものだったのでは
戦い、斧を振るえば
ここへメガリスを納めたたくさんの願いが、少しは見えるでしょうか…





「ハァァァッ!!」
 凶津の裂帛の叫びと共に、魔を断ち穢れを祓う薙刀の斬撃が繰り出される。迎え撃つは青白き光で形成される、フランソワーズの処刑鎌。二つの刃が激しく交錯し、メガリスの間を眩い閃光が照らす。
「こそこそ後をつけて横からメガリスをかっさらおうとは、随分セコいコンキスタドールだな。それで最強を目指すとか笑っちまうな、相棒ッ!」
 戦いの高揚感に、凶津の太刀筋は鋭さを増していく。コンキスタドール・フランソワーズの猛攻にも怯むことなく、薙刀でリーチの差を補って大鎌と互角に切り結ぶ。
「喋る仮面とは、面妖なヤツ。でも少しお喋りが過ぎるようだから、叩き割れば静かになるかなぁ!」
 どうやら、フランソワーズの闘争心に火をつけたようだ。彼女が烈風の如き速度で鎌を振るうたび、桜の美しい黒髪は刻まれ宙を舞う。
「……あまり挑発しない」
 冷静な桜は、凶津のストッパー役だ。不用意なことを口走って相手を刺激すれば、こちらの得にはならないだろう。現に、大切な髪を切られる被害を受けているのだから。
 ――BOOOOOM!!
 するとそこへ、勇壮なエンジン音を響かせて大型のバイクが乱入してきた。ノインが駆る宇宙バイク、ブーストスライガーである。リアシートには、イロハも乗っている。
「HAHAHAHA!! イッツ・ショーターイム!!」
「ん!」
 バイクに備え付けられたガトリング・アームドフォートが、猛々しく火を噴いた。フランソワーズは光の翼をシールドのように張り巡らせ、銃弾を防御する。
「強さを目指すのはいいんですけど、破壊や殺戮に繋がるものとなるのなら阻止しなきゃですね……!」
 ブルーのポンチョ型マントを纏ったイロハは、磨き抜かれた長斧を構えてシートから立ち上がる。ハチドリブーツに魔力を注ぐと、イロハの足元に魔方陣が浮かび上がった。
「お覚悟!」
 奥義【ヴィントホーゼ】を発動したイロハが、特殊な気流を纏ってバイクから飛び降りる。強力な追い風を受け、狙うは鎌を携えたコンキスタドールだ。
「喋る猫に鉄仮面……おかしな組み合わせだね!」
 戦斧の一撃を鎌で受け止め、フランソワーズは歯を剥き出して笑う。敵の数が増えようが、その戦意は些かも衰えることはなく。むしろ攻撃の勢いは今まで以上に激しさを増していく。
「いくぜ、相棒ッ!」
「……転身ッ!」
 桜と凶津、二つの力が一つとなって激しい雷が迸る。【雷神霊装】の雷が妖刀に宿ると、刀はひとりでに鞘から抜け出し、少女の右手に収まった。
「光を操る武術が自慢のようだが、此方も雷を操る剣術が得意なんでねッ!」
 バチバチと爆ぜる雷を纏い、凶津が神速の太刀捌きで斬りかかる。それに合わせて、イロハが風に舞うような軽やかな動きで連携に加わった。剛雷と疾風。凶津が剛ならばイロハは柔。性質の異なる二人の戦士が、同時に攻撃を仕掛けてフランソワーズを追い詰める。
「チッ! ちょっこまかと……」
 大鎌の刃で斬撃を受け止め、二人の攻撃に対処するフランソワーズ。
 イロハと凶津のユーベルコードは強力だが、どちらも寿命を削るほど激しく体力を消耗する技だ。そこでフランソワーズは彼らが限界を迎えるのを待ち、反撃する作戦に切り替えた。
「急に速さが衰えたみたいだけど……もう限界なのかい!?」
 体力を消費して動きの鈍ったイロハ目がけ、輝くオーラで作り出された戦鎚がフルスイングされる。その瞬間、後衛で援護射撃を行っていたノインが咄嗟に飛び出した。
「アナタが地上最強の戦士なラ、ワタシは宇宙最高の道化師です。私のお客様ノ顔を歪ませるのは、許しませんヨ!」
 ノインのガードをぶち破り、巨大なハンマーが叩きつけられる。周囲の地形ごと破壊する一撃を受け、ノインは大きく吹き飛ばされた。
「ウグッ……!」
 当たり所が悪ければ即座に昏倒していただろう。土煙が晴れると、ノインの傍には眩く輝く『星神の戦衣』が鎮座していた。メガリスの祭壇まで、一気に飛ばされたのだ。
「大人しく引き下がれば、楽に死ねるものを!」
 ノインにトドメを刺すべく、フランソワーズが距離を詰めてくる。するとその時、『星神の戦衣』がこれまで以上に強い光を発し始めた。同時に、ノインの脳裏に何者かの「思念」が流れ込んでくる。

『地上ノ守護者タル勇マシキ者ニ、力ヲ授ケン……』

「!?」
 ――それは、メガリスに宿りし星神の魂のメッセージか。オブジェとして飾られていた戦衣の一部がひとりでに弾け飛ぶと、ノインの腕にガントレットとなって装着されたのだ。
「なんと!?」
 突然の出来事に、その場にいた誰もが状況を理解できずにいた、戦衣を纏った、ノイン自身も。
「そんな……お前のようなヤツが、『星神の戦衣』を纏っただと……!? ふざけるな! 私は絶対に認めないぞ!!」
 自分のものになるはずのメガリスが、敵の手に落ちた。あまつさえ、自分より弱い者が適合者として認められるなど。現実を受け入れられず驚きと怒りに顔を紅潮させ、フランソワーズが大槌を手にノインに襲いかかる。
「この『星神の戦衣』はお前さんには勿体なさすぎるぜッ!」
「戦いの神に仕える勇者が身に付けた鎧は……祈っています。きっとあなたの様にひたすら強さを求めたり、破壊したりする『戦い』のための鎧ではないんじゃないかと思います」
 イロハと凶津が再びユーベルコードを発動させながら割って入り、コンキスタドールに斬りかかる。二人とも、既に体力は限界に近い。それでも気力を振り絞り、メガリスを守るために武器を振るう。
 大振りな鎌の一撃をイロハが斧で受け、その隙に凶津が電光石火の突きを放つ。雷撃がフランソワーズの胸を貫き、イロハの放った追撃の衝撃波が爆ぜてフランソワーズを突き飛ばした。
「がはっ……!」
 たまらず武器を取り落としたフランソワーズ目がけて、ノインが一気に駆けだした。拳を強く握り込み、黄金の籠手で固めた一撃を全力で叩きつける。
「これで、終わりです!!」
 ユーベルコード【道化の笑顔】の効果に加え、メガリスの力による加速が合わさった一撃は凄まじい破壊力をもたらす。轟音と共に放たれた渾身のストレートが体を貫くと、コンキスタドールの体を覆っていた光のオーラは急速に力を失っていった。
「悔しい……私は、最強になる筈……なのに……」
「メガリスに込められた願いを理解できないなんて、可哀想な人ですね……」
 限界を迎えたフランソワーズの体は蒼い炎に包まれ、足元から灰になって崩れ去っていった。ノインのガントレットに付着した僅かな灰だけを残し、コンキスタドールの娘は骸の海へと還ったのだ。

「よし、取りあえず皆で手分けして、メガリスを持って帰ろうぜ!」
 妖刀を鞘に収め、凶津が声を張り上げる。苦しい戦いだったが、今回も猟兵の勝利だ。そして、メガリス『星神の戦衣』も、コンキスタドールの手に渡ることなく守り抜くことに成功した。
「お疲れ様デス、なかなか貴重な体験でしたヨ。偶には、肉弾戦も悪くないものです
ネ」
 黄金のガントレットを取り外すと、ノインはモニターに笑顔(^-^)の顔文字を浮かべて微笑んだ。神聖な輝きを放つオブジェは、何も語ることはなく、ただ静かにそこに在る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月10日


挿絵イラスト