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お尻がバーストストリーム!

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●とあるフロアボスの悲劇……?
 アルダワ魔法学園の地下に広がる、究極の地下迷宮『アルダワ』。
 そこでは今日も封印された災魔……オブリビオンたちが闊歩する。
 その中でも一際強力な個体として、とあるフロアのボスとして君臨しているドラゴンが居た。
 元は錬金術で生み出された彼は、錬金術による強化を自らに重ね、見上げるほどの巨体とそれに見合う膂力、他にも様々な能力を獲得し、極めて高い戦闘力を有している。
 ……ただ、少々巨大になり過ぎたせいか、最近は動くことが億劫になり出していた。
 日課の縄張りの散策を終えたそのドラゴンは、「よっこらせ」と言い出しそうな仕草で、自分が寝床に使っている迷宮の大広間の一角へ、腰を下ろした……。
 ところで……ファンタジー作品のドラゴンと言えば、自身の寝床に金銀財宝を集めているのがお約束である。
 アルダワ魔法学園の世界のドラゴンたちが、等しくそのような性質を持っているのかは謎だが……少なくともこのドラゴンは、創造した者の趣味なのかもしれない。そういう癖を持ち合わせていた。
 彼の寝床には迷宮内のあちこちから拾い集められてきた物品が積み上げられている。
 その大半は見た目がキラキラしているだけのガラクタに過ぎないが……1つ、明らかに他とは一線を画している品があった。
 ――長大な槍である。
 サイズからして人間用ではない。恐らくは、このドラゴンほどではないにせよ、かなりの大きさのゴーレム用として用意された物であろう。相当な業物らしく、その穂先は長い歳月を重ねてきたはずにもかかわらず、錆一つ無い。今なお冷たく輝いている……。
 ……問題は、その巨槍が何かの拍子に崩れた他の品々によって跳ね上げられ、切っ先を若干上に向けていたこと……。
 そして……ちょうどその上に、件のドラゴンが腰を下ろしたことで……。
 ――ブッスゥウウッッ!!
 Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!?!?

●猟兵、覚悟の出陣?
「……そんな悲劇が、アルダワ魔法学園の地下迷宮の一角で起きてしまうんよ……」
 グリモアベースにて、沈痛な面持ちで自らの見た予知を猟兵たちへ伝えたのは、灘杜・ころな(鉄壁スカートのひもろぎJC・f04167)だ。
 いつもは元気いっぱいなこのグリモア猟兵も、今日は予知の内容が内容なだけに、頬を赤らめて大人しい。
 スカートが翻るはずも無く、中身なんて見えるはずも無い。
 ともかく、1体のドラゴンが後ろの初めて(多分)を喪失したところで、本来猟兵たちには何も関係が無いはずであったのだが……。
「ええとなぁ……そのドラゴン、お尻の……んと、穴に、槍が刺さった痛みに耐えかねてなぁ……大暴れしながら迷宮を移動しとるんよ。……お尻に槍が刺さったまんま……。そんで、意識しとるわけやないと思うんやけど……どんどん上層階へ上がってきとるんや」
 即ち――このままだと、迷宮を抜けて学園内にまで突入してくる可能性が出てきたらしい。
「せやから皆には、その前にドラゴンを迷宮内で撃破してほしいんよ。ただ、気ぃ付けてほしいんは、そのドラゴンの大暴れから逃げる形で、他のオブリビオンたちも上層階へ上がってきとるっちゅうことや」
 そちらを逃がして学園内に入り込まれては元も子も無い。ドラゴンの前にそのオブリビオンたちも駆除してほしいとのことだ。
「暴れるドラゴンに立ち向かわず逃げ回っとるわけやから、元来は大人しい性質の子たちなんやろうけど……オブリビオンはオブリビオンや。情けは掛けず、きっちり片付けてな?」
 それが済んだら、本番のドラゴン退治であるわけだが……。
「……んとな。これは皆に注意しとかんとあかんのやけど……」
 ……心持ち、ころなの頬の赤みが増した。
「そのドラゴン、お尻の……あ、穴に槍が刺さっとるわけやん? 現在進行形でお尻に刺激を受けとるわけや。そんで……その状態で……万一、事実上栓になっとる槍が抜けてしもうたらなぁ……」
 ……ころなが何を言いたいのか、多分ほとんどの猟兵は解っただろう。
 ドラゴンの大きさは結構なものである。その分、腹の中に溜め込んでいる量も膨大だと推測出来た。もしも……もしもそれが決壊したら……!?
 ――大惨事である。
「……そんなわけやから、今回の事件は色んな意味で覚悟して臨んでほしいんや」
 自分自身は、他の猟兵たちをアルダワ魔法学園へ転移させる為に参戦出来ないころな。……まるで恋人や子供を死地へ送り出すような顔付きである……。
「……あ、あんな! うち、事件が解決した後、学園に大浴場を貸してもらえるよう、交渉しとくから! 学園のお風呂、とっても広くて気持ちええんやでー? 心身共にリフレッシュ出来るはずや! ……万が一、ほんまに万が一のことがあっても、綺麗に出来るしなぁ……」
 とにかく、そんな感じでアルダワ魔法学園へと猟兵たちを送り出すころなである。
「皆、帰ってきたら、背中くらい流してあげよかなぁ……」


天羽伊吹清
 猟兵の皆様、新人マスターの天羽伊吹清です。

 ……まず、最初に述べておきたいことがございます。
 今回のシナリオ、第2章におきましては、皆様からのプレイング次第ではありますが、大変お見苦しい展開があり得るかもしれません。
 その辺り、心してご参加下さい……。

 ――でも、上手くすれば第3章で、巨乳JCと混浴が出来るよ!
 希望者は、ころなをお風呂へ誘って下され。
 こんな事件に誘った罪悪感があるので、今回のころなは結構攻めたお願いも聞いてくれるかも?
 ……でも、流石にR18には突入出来ないから、そこはご了承下さい。

 そして、第1章の補足としまして。
 迷宮内でドラゴンから逃げてきたオブリビオンたちを退治してもらうわけですが……。
 そもそも、そこまで強いオブリビオンではなく。
 かつ、ドラゴンから逃げ回って疲れ切っております。
 倒すことはそこまで困難ではありません。
 ……見た目が結構可愛いので、良心の呵責さえ抑え込めれば。

 それでは、皆様のご参加、心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『モフィンクス』

POW   :    モフ~ン
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【気の抜けた鳴き声 】から排出する。失敗すると被害は2倍。
SPD   :    モフ~zzz
【眠気を誘うアクビ 】を聞いて共感した対象全てを治療する。
WIZ   :    モフッ、モフッ(実は今欲しい物)
質問と共に【質問の解答が具現化する靄 】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四軒屋・綴
アドリブ改変絡み歓迎

………うんッ!今日も良い天気だなッ!(現実逃避)

ひとまず変身だッ!ユーベルコードを使用して防御力重視の蒸気機関車系ヒーローに変身ッ!……この装甲も少し後には……考えないようにしようッ!

さて、肝心のモフィンクスだが……早い話がユーベルコード以外の攻撃を使えば良いわけだなッ!とりあえず攻撃の起点になりそうな口を塞ぎながら行える攻撃……即ち顔面を【怪力】と【グラップリング】を発揮しつつ片手で掴んでそのまま地面に叩きつけるッ!許せモフィンクスッ!俺達にも事情があるんだッ!寝床の仇は取ってやる……ッ!

「欲しいもの……防護服が欲しいな……」


百地・モユル
お尻に槍が…ぷぷぷ…
って笑ってる場合じゃないよね
もしそういうことになったら…ボクたちが掃除するの?
…まみれになった迷宮なんて探索したくないよな…

ヴァリアブルウェポンで攻撃回数を優先してオブリビオンの群れをけちらしたいぜ
脱力してなさそうなまだ慌ててるやつから狙って
両手から出したビームソードで切り倒す

おとなしいやつを倒すのはちょっとかわいそうかもしれないけど…
ごめんな、緊急事態なんだ!
ここを突破しなきゃとんでもないことになっちまう!

そういえば、迷宮でトイレに行きたくなった人やオブリビオンはどうしてるんだろ…
そこらへんでするしかないのかなぁ?



「…………うんッ! 今日も良い天気だなッ!」
 ……地下迷宮の天井を見上げながらそう言った四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)は、既に色々といっぱいいっぱいだったかもしれない……。
 付近では、百地・モユル(ももも・f03218)が蹲って肩を震わせていた。
「お尻に槍が……ぷぷぷ……」
 グリモア猟兵から聞かされたドラゴンの惨状に、猟兵たちも思うところはそれぞれのようである。
「――って、笑ってる場合じゃないよね。もし『そういうこと』になったら……ボクたちが掃除するの? ……まみれになった迷宮なんて探索したくないよな……」
 気が付いてしまったモユルの不安の声が聞こえ、綴の冷や汗も増してくるようだった。……ヒーローマスクたる綴自身に汗腺があるかは別として、気分はそんな感じである。
「……ひとまず変身だッ! 『来たれマイボディ!』」
 綴の周囲に電子的な光の窓が無数に展開し、そこに凄まじい速さでプログラム言語が走る。瞬時に具現化するのは雄々しき合体用のボディと蒸気機関車を思わせる武装の数々。その心に尽きぬ勇気すら秘めて――綴のヒーローとしての姿が完成した。
「勇蒸連結ッ! ジョウキングッ!!」
「おおーっ」
 間近でヒーローの変身を目の当たりにし、6歳の熱血漢モユルは拍手した。
(……この装甲も少し後には……考えないようにしようッ!)
 ……でも、当のジョウキングは、カッコいいポーズを取りつつ内心で不安が収まらないでいたり。
 何にせよ、ここからはあまり思考に耽る時間は無かった。
 ――とうとう、ドラゴンに追われたオブリビオンたちが姿を見せたのである。
 ここはもう、それなりに迷宮の上層階。猟兵たちは彼らを後ろへ突破させるわけにはいかないのだから。
「……モフィンクスか」
 綴がそのオブリビオンたちの、ウサギに似ているようなそうでもないような、何処かエジプト的な姿形を見詰める。
 彼より一足先に、モユルが仕掛けた。まだ疲れた様子を見せず、短い脚を必死に動かしているモフィンクスの集団へ、装甲化した両腕より伸ばした光の刃で斬り掛かる。
 光刃が流星のような尾を引き、空中に幻想的な軌跡を描いた。
「「「モフ~ン!?」」」
 哀しげに鳴いて、モフィンクスが次から次へと蹴散らされる。本来は、脱力することで敵からの攻撃を無効化出来る生き物なのだが……慌てて逃げているところを狙われた為、脱力する暇も無かったようだ。
「大人しいやつを倒すのはちょっと可哀想かもしれないけど……ごめんな、緊急事態なんだ!」
 ――本当に色々な意味で『緊急事態』である。
「ここを突破しなきゃとんでもないことになっちまう!」
 ――本当に色々な意味でとんでもないことになりかねない。
 地下迷宮の清潔さを守る為、モユルはモフィンクスの中を獅子奮迅に駆けた。
 そんなモユルの奮戦に、ヒーローたる綴も負けるわけにはいかない。
 軽く攻撃を放ちつつ、モフィンクスたちの挙動を観察し、確信を得た彼は、モユルとは逆に疲労困憊となって足を鈍らせているオブリビオンたちの方へ向かう。
 前述した通り、このモフィンクス、脱力状態で敵の攻撃を受けるとそれを無効化出来るのだが……。
「――それがユーベルコードによる攻撃に対してのみなことは見切っているッ! 早い話がユーベルコード以外の攻撃を使えば良いのだなッ!」
 綴はモフィンクスの顔面を鷲掴みにすると、そのまま持ち上げて迷宮の地面へと叩き付けた。……なかなかに凄絶な音がして綴の装甲に赤い飛沫が飛び散るが……綴は屈せぬ心意気で次なるモフィンクスへと手を伸ばす。
「許せモフィンクスッ! 俺たちにも事情があるんだッ! 寝床の仇は取ってやる……ッ!」
 若干、ヒーローっぽくない戦いぶりには目をつむって、綴もまた奮闘していった……。
 ……やがて、光を散らす旋風の如く戦場を疾駆していたモユルは、この近辺に来ていたモフィンクスが大方片付いていることに気が付く。
 ほっと一息吐きつつ……ふと、少年の好奇心が頭をもたげた。
「そういえば、迷宮でトイレに行きたくなった人やオブリビオンはどうしてるんだろ……?」
 迷宮内にもトイレがあるのか、或いは……?
「そこら辺でするしかないのかなぁ――」
「――待つんだッ、少年ッ!」
 モユルの発言を綴が慌てて止める。
 ……オブリビオンや、百歩譲ってアルダワ魔法学園の男子生徒たちはまだ良いだろう。
 けれど……彼の学園には女生徒たちも通い、彼女たちも地下迷宮には潜っているわけで……。
 追及してはいけないことというのは、この世にはある。
 とはいえ……もしかしたら思ったよりも汚いのかもしれないアルダワ魔法学園の地下迷宮を見回し、綴はポツリと呟くのだった。
「……防護服が欲しいな……」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ビリー・ライジング
ミリィ・ライジング(f05963)と共に行動。

……ミリィ、まずは目の前の事を片付けるぞ。
もしも、ドラゴンの事に関して聞いてきたら、「聞くなッ」と返す。

しかし気抜けしそうなオブリビオンだが、とにかく数が多いな。
一体一体ずつウィザード・ミサイルで……何だ、この靄は?

これはアルダワ魔法学園の装飾か?
俺が今欲しい物は……スチームシールドや冒険靴だな。

クソッ、この技、質問に対して本当の事を言わないとダメなのか!?
……気になってる髪飾りや帽子がある、ミリィに似合いそうだなと思ってな……。

……ミリィ、俺のさっき言った事に、妙な期待はするな。
俺達の本番はドラゴン退治だ、ここで赤っ恥をかいてる暇は無いんだ……。


ミリィ・ライジング
ビリー・ライジング(f05930)と共に行動。

ええと、お兄ちゃん。ドラゴンの事なんだけど……。
……分かったけど、でも、このオブリビオン、愛らしい姿し過ぎだよ。
でも、悪く思わないでね?私達が用があるのは奥のドラゴンだから。

数が多いから最初から、全力全開で行かせてもらうよッ!
ユーベルコードは最初の霊符が命中した後、次の霊符を投げる。
モフ~ンで無効化しても、もう一度投げて、無理やり押し通す!

お兄ちゃん、私は気にしてないよ。
それに私はお兄ちゃんから貰うプレゼントなら、何でも嬉しいよ。



 アルダワ学園の地下迷宮の一角で、ビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)は溜息混じりに呟いた。
「……ミリィ、まずは目の前のことを片付けるぞ」
 それは、今まさにこちらに向かって駆けてくるモフィンクスの群れを前にして、至極当然な決意表明であった、が……。
「ええと、お兄ちゃん。ドラゴンのことなんだけど……」
 ビリーの二卵性双生児の妹、ミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)は、グリモア猟兵が話していた……お尻に槍が突き刺さったドラゴンのことが気になっている様子だった。
 そんな妹に、兄の顔が何とも言えない表情へと歪む。
「――聞くなッ!」
 ……まあ、兄として、妹にそういうことを問われても答えに窮するだろう。ミリィもビリーの気持ちを察したようだった。
「……解ったけど、でも……」
 ミリィにはもう一点気になることがあるようだ。
 ……短い脚を必死でちょこまか動かしながら、こちらに向かって駆けてくる糸目のモフモフ……。
「……このオブリビオン、愛らしい姿し過ぎだよ。……悪く思わないでね? 私たちが用があるのは奥のドラゴンだから」
 少々申し訳なさそうにモフィンクスたちへ囁いたミリィは、木火土金水――五行が描かれた符を魔法学園の制服の懐から取り出し、構えた。
「数が多いから最初から、全力全開で行かせてもらうよッ! 『天地万物生滅盛衰、陰陽五行相生相剋。混沌の太極に飲まれて、破滅せよ!』」
 ミリィより投じられた符が、迫ってきていたモフィンクスの1体に貼り付く。符に籠められた呪力により、その個体は稲妻に打たれた如くビクンッと震えた。――間髪入れずに、ミリィが2枚目の符を投じる。そちらは1枚目よりも速く、帯びる呪力も桁違いに大きい。1枚目の符と引き合うように同じモフィンクスへ2枚目が貼り付いた途端、その個体はさらに大きな霊的衝撃を受け、生命活動を停止する。
 ……愛らしい生き物の命を奪ったことに、微かにミリィの顔が曇るが……彼女も猟兵だ。すぐに表情を引き締め、3枚目、4枚目……と符を投じていく。
 それによって2体目、3体目と絶命する仲間を目の当たりにし、モフィンクスたちが急ブレーキを掛けた。そのまま即座に脱力……そんな彼らに当たった符は、含んだ呪力を見る見る毛並みの中に吸い込まれて……ぺらりと剥がれて地に落ちた。
 代わりに「モフ~ン」という気の抜けるような鳴き声をモフィンクスたちは上げ――符から奪った呪力を空気中へと霧散させる。
「ユーベルコードを無効化する能力……!?」
 流石は一応オブリビオンとミリィは瞠目するが――五行の霊符を投じる手は、動くことを止めはしない。
「無効化されるならもう一度――無理矢理押し通す!」
 諦めることを知らぬように繰り返し放たれるミリィのユーベルコード。彼女1人であれば、それは符の無駄撃ちに過ぎなかったかもしれないが……。
「……脱力して動かないのなら、いい的だよ、お前ら!」
 別方向からビリーが、85本にも達する魔法の矢を放った。炎を纏うそれは、ミリィの符とは僅かにタイミングをずらし、モフィンクスの群れへ殺到する。
 ……ミリィの符を無効化すれば、それによって脱力が解けた一瞬にビリーの魔法が着弾。ビリーの魔法を無効化するには、ミリィの符の方は甘んじて受けなければならない……。そんな二択を迫られたモフィンクスたちは迷いに迷って……。
「「「「「モフーン!?」」」」」
 ……結局どちらも選ぶことが出来ず、兄妹双方のユーベルコードを喰らってしまった。
 図らずもビリーと連携する形となって、ミリィは彼へ満面の笑みを向ける。対してビリーは何でもないことのように肩をすくめた。
「しかし、気抜けしそうなオブリビオンだが……とにかく数が多いな。さっきみたいに、1体ずつウィザード・ミサイルで――」
 ――その時、ビリーは自らの身体に纏わり付く靄に気が付いた。
「……何だ、この靄は? これはアルダワ魔法学園の装飾か?」
 その靄で霞む向こうから、「モフッ、モフッ」というモフィンクスの鳴き声がビリーの耳に届く。不思議と何を言っているのかが解った。
『実は今欲しい物は?』
 答えてやる義理は無いが、ビリーは気紛れで回答してやる。
「俺が今欲しい物は…………スチームシールドや冒険靴だな――んなっ!?」
「お兄ちゃん!?」
 ――ビリーが答えるが先か、靄が爆発を起こす。膝を突いた兄に、ミリィが悲鳴を上げた。
「……クソッ、この技、このオブリビオンたちのユーベルコードか!? しかも――」
(――質問に対して本当のことを言わないとダメなのか!?)
 1回受けただけで敵の技の全容を見破ったビリーは見事だったが……彼自身は辿り着いた答えに苦虫を噛み潰したような顔になる。
 そんなビリーを追い詰める如く、再び漂い始める靄。聞こえる質問もまた同じ……。
 このまま喰らい続けるとまずいことはビリーにも解っていた。舌打ちし、ヤケクソ気味に彼は叫ぶ。
「……気になってる髪飾りや帽子がある! ……ミリィに似合いそうだなと思ってな……」
 後半は出来る限り小さい声にしたつもりだったが――瞬く間に晴れた靄の向こうに、驚いた顔で口元を手で覆う妹の姿を見てしまい、何とも言えぬ苛立ちがビリーを突き動かした。
 今また靄を吐き出そうとしていたモフィンクスたちへ紅蓮の矢を雨あられに放ち、その毛並みを焼き焦がすビリー。
「……ミリィ、俺がさっき言ったことに、妙な期待はするな」
 言い含めた兄へ、妹は堪え切れない微笑みを浮かべながら頷く。
「お兄ちゃん、私は気にしてないよ。それに、私はお兄ちゃんから貰うプレゼントなら、何でも嬉しいよ」
 そう返したミリィから、ビリーはそっぽを向くように未だ残るモフィンクスたちへ視線を走らせた。
「俺たちの本番はドラゴン退治だ。ここで赤っ恥を掻いてる暇は無いんだ……」
 また魔法を吟じるビリーに遅れまいと、ミリィが霊符を引き抜く。
 ライジング兄妹とモフィンクスたちの戦いは、激しさを増していくのだった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エグゼ・エクスマキナ
●モフ~ン対策→脱力しきる前にエクスターミネーターソード!!(メイスデス)を振り抜けば良いじゃない。

●モフ~zzz対策→ここに来る前に紅茶飲料(ノンカフェイン)をがぶ飲みしてきたので眠くないわどうしよう。

●モフッ、モフッ(実は今欲しい物)対策→いや、そもそも何言っているのか質問がわからん。

可愛さ対策→あ、我は猫派なんで。

『疲れている所悪いが、ドラゴンの尻の槍を根元まで打ち込む仕事があるんで(違う……違うのか?)そのまま永眠してくれ』
『次合う時は猫になれ。我得だ。』



 こちらの地下迷宮の一角でも、モフィンクス駆逐に乗り出している猟兵が居た。
 エグゼ・エクスマキナ(エクスターミネーターソード・f00125)である。
 彼女は事前にモフィンクスの情報を知っていたらしく、彼のオブリビオンに対して様々な対策を講じてこの場に立っていた。
 ダックスフントよりも短い脚で懸命に駆けてくるモフィンクスの群れ……そのなごむ姿を見遣り、エグゼはクールに言い切った。
「あ、我は猫派なんで」
 ……猫派じゃ……しょうがねえよなぁ……!
 そんなわけで、モフィンクスの愛らしい見た目に一切惑わされること無く、エグゼのオブリビオン殲滅活動は開始される。
 愛用のメイス……というより、むしろ巨大なモンキーレンチを手に、エグゼが疾走するモフィンクスたちの中に突っ込んだのは、彼らの脱力によるユーベルコード無効化能力への対策故に。
 曰く……。
「脱力し切る前にエクスターミネーターソード!! を振り抜けばいいじゃない」
 言葉通り、エグゼは実践した。
「「「モフぶぎゅっ!?」」」
 全力で走っており、当然脱力などしているはずもないモフィンクスたちへ、カウンター気味にぶち込まれる巨大モンキーレンチ。……愛らしいオブリビオンたちが、愛らしくない肉塊へと変わる。ついでに迷宮の地面も放射状にひび割れさせ、そこに足を取られて転んだモフィンクス数体も動かなくなった。
 ……後ろから追ってくるドラゴンも怖いが、眼前のエグゼもモフィンクスたちにはとても怖かったらしい。『窮鼠猫を噛む』の心持ちか、彼女に向けてユーベルコードを発動させる。
 けれど、それらにもエグゼの対策は万全のはずで……。
「「「モフ~zzz」」」
 実に眠気を誘う欠伸が、モフィンクスたちの口から放たれる。それは、共感した対象を夢の世界へと誘うはずであったが……。
「ここに来る前に紅茶飲料をがぶ飲みしてきたので眠くないわどうしよう」
 瞼が半ば落ちた表情ではあるが、エグゼ的には今は全然眠くないらしい。容赦なく振り上げられた巨大モンキーレンチが叩き下ろされ、可愛くない肉塊が数を増やす。
 ……ところで、エグゼががぶ飲みした紅茶飲料は実のところノンカフェインであったのだが……まあ、気分の問題なのだろう。
 最後の手段とばかりに、モフィンクスたちは怪しい靄を放出し始めた。それに包まれたエグゼの耳に、「モフッ、モフッ」というオブリビオンたちの声が幾重にも届く。
 真実を答えなければ回答者にダメージを与えるこのユーベルコード、エグゼの対策は……。
「いや、そもそも何言ってるのか質問が解らん」
 ……複数のモフィンクスが慌てて同じユーベルコードを仕掛けた為、鳴き声が重なってエグゼには上手く聞き取れなかったらしい。
 ――である以上、エグゼの回答は『真実』だ。
「「「「「モフモフーンッ!?」」」」」
 哀しげな断末魔を上げたモフィンクスたちから、肉塊が量産されていく……。
 血と肉片が飛び散り、床や壁も砕け散ったこの近辺の恐るべき惨状に、新たに駆け込んできたモフィンクスたちの足が止まる。
 回れ右するべきか、強行突破するべきか悩む彼らに向け、エグゼは巨大モンキーレンチを翳し、告げた。
「疲れているところ悪いが、ドラゴンの尻の槍を根元まで打ち込む仕事があるんで、そのまま永眠してくれ」
 可愛くない肉塊をさらに生産しつつ……とんでもないことを宣言したエグゼ。
 逃げて。ドラゴンさん、超逃げて。
 そんな誰かの切なる願いをBGMに、エグゼ無双は続く。
「次会う時は猫になれ。我得だ」
 ……この場で死んだモフィンクスたちは、もしも来世を選べるのならきっとそうするはずだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トラゴス・ファンレイン
うわ、ふかふかしとる。しかも集団でおる。
こいつら柔らかいんやろな……あ、拳でやれば触れるし倒せるし一石二鳥やん!行くで!

まずユーベルコード『閃光弾』で敵の動きを止めよか。
上手く行ったら近くにおる奴から順に拳使って倒していく。もちろん撫でくり回すのも忘れずにな!
敵の攻撃は「見切り」で回避や。
は、質問?今欲しいモンは……布団かなぁ。お前らみたいな柔らかいやつ。

いや、しかし今回はドラゴンにちょっと同情するわ。尻はデリケートな部分やのに、槍とか……(ぞっ)

※アドリブ・絡み・ネタオール歓迎


リョウ・サイバ
さぁって、お仕事の時間だね。

オジサンは美女か美少女以外の可愛いってものへの情けは無いんだよねぇ?

(ユーベルコード&技能のクイックドロウでリボルバー拳銃でマシンガンの様に早撃ちと連射でオブビリオンを撃ち貫く)

しかしドラゴンへは男として同情するねぇ…早く苦しみから解放してあげたいもんだよ。

うん、終わらせてお風呂だね。邪な心なんかないよ?お風呂に入ってリフレッシュしたいだけだよ?うん。



 他の所ではそろそろモフィンクスの殲滅が完了する中、この場にはまだまだ多くのモフィンクスが走り込んできていた。
 ……別の道がとても怖いので、そこを避けてこちらに来ている可能性もある……。
 そんなモフィンクスの集団を前に、トラゴス・ファンレイン(エスケープゴート・f09417)は歓喜の声を上げていた。
「うわ、ふかふかしとる。しかも集団で居る。こいつら柔らかいんやろな……」
 モフモフの群れに若干心を奪われ気味のトラゴスに対し、同じくこの場を任されたリョウ・サイバ(何でも屋(美女&美少女限定)・f05025)は冷静だった。
「オジサンは美女か美少女以外の可愛いってものへの情けは無いんだよねぇ?」
 そううそぶいたリョウの手には、既にリボルバー拳銃が握られていた。その引鉄を引く指には、言葉通り容赦が無い。――些かアンティーク染みたリボルバーのはずなのに、銃口から吐き出される銃弾の数は最新鋭機関銃すら上回りそうであった。
「「「「「モフー!?」」」」」
 驟雨の如き弾丸にて、モフィンクスが次々に命を散らす。しかも、正確に1発の銃弾で1体を絶命させている。
「『抜き打ちが速いだけじゃなくって精度も連射速度も抜群なんだぜ?』」
 射撃の合間の刹那の時間にリボルバーの弾倉へと弾丸を込め直し、硝煙を纏ったリョウは粋に言った。
 そうやってリョウが数を減らしていくモフィンクスを、僅かに惜しそうに見遣りつつ、トラゴスははっと気が付く。
「……あ、拳でやれば触れるし倒せるし一石二鳥やん!」
 思い付けばトラゴスも猟兵、踏ん切りと実行は早かった。
「『そら、食らえや』」
 トラゴスがポケットより取り出し、その挙動のまま投じたのは――閃光弾。いわゆるスタングレネードだのフラッシュグレネードだの呼ばれる物。それはモフィンクスたちの眼前にカンッと落ち、転がり……真っ白い閃光を炸裂させた。
「「「「「モフー!?」」」」」
 炸裂まで数瞬のタイムラグがあったせいか、アルダワ魔法学園の世界原産、他の世界のことなど何も知らないはずのモフィンクスたちは、文明の利器たる閃光弾を攻撃とは認識出来なかったらしい。ほぼ全ての個体が直撃して目を焼かれ、脱力によるユーベルコード無効化が間に合った個体は見当たらない。
「行くで!」
 それを確認し、トラゴスはモフィンクスの群れの中へ駆けた。バンテージを巻き、天然石が煌めくブレスレットを握り込んだ拳で、モフィンクスたちを目に付く端から殴り飛ばしていく。……余裕がある時は、抱え込んで撫でくりさすり回すのも忘れない。
「……うおっ!? ほんま、凄いふかふかやん! オブリビオンやなかったら、1匹連れて帰りたいほどやわ……ぅお?」
 名残惜しげにモフィンクスの毛並みを堪能していたトラゴスは、その撫で回している個体から靄を吐き掛けられた。他の個体は、トラゴスが攻撃を見切るまでもなく、視力を奪われて反撃どころではない様子だが……撫でられている個体はそのおかげでトラゴスの位置が解ったのだろう。
「モフッ、モフッ」
 割と切羽詰まった様子のモフィンクスから、何故か「実は今欲しい物は?」という問い掛けに聞こえる鳴き声が上がった。これに真実を答えなければ、トラゴスはダメージを受けるのだが……。
「今欲しいモンは……布団かなぁ。お前らみたいな柔らかいやつ」
 ――微塵も揺るぎない、真実の回答であった。
 本当に、本当に名残惜しそうに、トラゴスは決死の反撃を仕掛けてきたモフィンクスにとどめを刺す。
 リョウの方も、トラゴスの閃光弾で視界を奪われたモフィンクスはより容易な的となっていた。ますます効率良く撃破を進めていく……と。
「「「モフ~zzz」」」
 目が見えぬまま、モフィンクスたちが眠気を誘う欠伸を漏らした。それに、寸前まで布団のことを思い浮かべていたトラゴスは思わず共感してしまう。
「……あ、あれ?」
 ……トラゴスの体力が若干回復した……ような?
 ――同時に、モフィンクスたちの一部も急に動きが良くなった。その鳴き声もまた、モフィンクスたちのユーベルコード。トラゴスが奪った視覚をそれで治療したのである。
 ……とはいえ、それは遅過ぎたかもしれない。既にこの場の大勢は決していた。
 トラゴスに殴殺され、リョウに銃殺され……とうとうモフィンクスたちはその進行をここに追えたのである……。

 しかし、猟兵たちの戦いはこれで終わりというわけではない。
 さらなる脅威を、リョウもトラゴスも迷宮の向こうに感じ取る。
 ただ……それでもトラゴスはポツリと漏らす。
「いや、しかし今回はドラゴンにちょっと同情するわ。尻はデリケートな部分やのに、槍とか……」
 寒気を感じた風に震えるトラゴスに、リョウも同意する。
「ドラゴンへは男として同情するねぇ……早く苦しみから解放してあげたいもんだよ」
 猟兵として出来る『苦しみからの解放』は、『抹殺』に他ならないのであるが。
「さぁって、お仕事の時間だね。そして……うん、終わらせてお風呂だね」
 そう言って歩き出したリョウの足取りがやや軽いことを、トラゴスは見咎める。
「……何考えとんねん?」
「……邪な心なんかないよ? お風呂に入ってリフレッシュしたいだけだよ? うん」
 明後日の方を向くリョウに、トラゴスは半眼になるのであった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『錬金術ドラゴン』

POW   :    無敵の黄金
全身を【黄金に輝く石像】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    ドラゴンブレス
【炎・氷・雷・毒などのブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    アルケミックスラッシュ
【爪による斬撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に錬金術の魔法陣を刻み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 アルダワ魔法学園の地下迷宮、その上層階の中で、そこの部屋は格段に大きいと言えた。
 この地下迷宮に蔓延るオブリビオンの中でも特別に巨大と思われるそのドラゴンでも、悠々と闊歩出来るのだから。
 とはいえ、当のドラゴンの様子はあまりにも『悠々』とは掛け離れている。
 数歩進むと、ビクンッ! と痙攣して背を反らし、硬直した。
 次いで、咆哮を上げながら口より炎やら雷やらを周辺へ吐きまくる。
 全身に冷や汗すら浮かべているように見える彼の竜の様相の原因は……尻にあった。
 そこの、ちょうど穴に……槍が、それもものすんごいデカいのが突き刺さっている。
 何かジャストフィットしているのか、或いは槍穂に返しでも付いていたのか、抜ける気配は微塵も見えない。
 それが、天井近くまで積み上げられた四角く巨大な石材にカーンッと当たる。
 ――その衝撃でまたドラゴンが泣き叫び、ブレスを吐きまくって爪で辺りを砕き回した。
 ……アレといえばあまりにアレな光景であるが、笑えるのはそれが地下迷宮の中だからである。
 あのドラゴンがこのまま学園にまで到達すれば、そこでこの調子で暴れ回ったとしたら……余裕でアルダワ魔法学園は今日が最後の日となるだろう。
 この部屋こそが、猟兵たちにとっての最終防衛ライン。
 面積は広く、高さもあり、積み上げられた石材や石柱などで、身を隠す障害物やドラゴンの頭上を取る為の足場も豊富。
 あの巨大オブリビオンとの戦場として、充分相応しい場所である。
 だが、気を付けてほしい。
 この広大さは、同時にあのドラゴンが存分に大暴れ出来るということでもあるのだから……。
 ――両者、真っ向勝負である。
エグゼ・エクスマキナ
心情:幾多のモフィンクスを可愛くない肉塊にしたいじょう、
しっかりと目的は達しないとな。


尻の槍がきになって集中力は落ちているだろうと判断。
無理にブレスの範囲や爪の攻撃の中を押しとおるのは止めておいて、
ユーベルコード、コード:ラプターで透明化してそそくさと回り込み
技能:怪力3を生かして尻の槍に
愛用のエグゼ・ザ・ヴァリアヴルメイスをフルスイングして撃ち込む。


トラゴス・ファンレイン
※アドリブ・絡み・ネタ歓迎

(刺さった槍の大きさに唖然)
……想像の十倍はデカいやん、槍。

あんなん刺さったら誰だって暴れるわ、倒して楽にしてやるのが一番や。
ここ広いし遮蔽物と足場が豊富やから、隠れつつ飛んでドラゴンの頭上が狙える場所まで行こか。攻撃は「見切り」で避けるか隠れて回避狙いで。
高い場所まで到着したらタイミング狙って、ドラゴンの頭か背中に「覚悟」と「気合い」を込めた『灰燼拳』や!

男としてはあの槍抜いて助けてやりたいけども、大惨事は正直勘弁して欲しい。
せめて他の痛みで紛らわしたるから、すまんな!



 ――『百聞は一見に如かず』という言葉がある。
 100回言葉で説明されるよりも、ただ一目見た方が物事を理解し易い……そんな意味だ。
 それが事実であると、トラゴス・ファンレイン(エスケープゴート・f09417)は痛感する。
「……想像の10倍はデカいやん――」
 元は、この地下迷宮の資材置き場だったのかもしれない……今も無数の石材や石柱が積み上げられ、しかしそれでも充分な余裕がある広大な空間を足音で揺るがすドラゴン、その巨体をトラゴスは物陰から見上げる。
 身長190cmに達するトラゴスをして、見上げていると首が痛くなるほどの大きさのドラゴンだ。彼の想像以上だったという感想も頷ける……。
「……本当に、想像の10倍はデカいやん――槍」
 ――否、そっちだった。
 ただ、確かにそちらも……デカい。仮にあの槍がトラゴスの尻に刺さったら……そのまま身体が縦に真っ二つになるだろう。
「あんなん刺さったら誰だって暴れるわ、倒して楽にしてやるのが一番や」
 せめてもの情けとして――その誓いを胸に、トラゴスは物陰から物陰へと疾駆していく。
 彼はそこまで潜伏に長けているわけではないが、遮蔽物が多く、かつ、当のドラゴンは尻の槍のせいで細かいことを気にしている余裕は無さそうである。積み上がった石材をよじ登り、トラゴスはやがて巨大オブリビオンのさらに頭上へ到達した。
「……ん?」
 そこでトラゴスは見付けてしまう。自分と同じようにドラゴンの周りでコソコソと動く影を。
 もっとも、はっきりと捉えられるわけではない。ある物陰に居るかと思ったら、数秒後にはまた別の物陰に現れて……神出鬼没という他なかった。
 それは、エグゼ・エクスマキナ(エクスターミネーターソード・f00125)である。
 エグゼの顔には、彼女なりに真剣な表情が浮かんでいた。
「幾多のモフィンクスを可愛くない肉塊にした以上、しっかりと目的は達しないとな」
 地下迷宮の高い天井に数多のモフィンクスの顔を幻視しながら、エグゼはユーベルコードを発動させた。
「『コード、ラプター発動。光学迷彩起動』」
 途端、エグゼの姿は、携えた巨大モンキーレンチ……正確にはそういう形状のメイスごと周囲の風景に溶ける。その状態で、エグゼはやや大回りにドラゴンの後方を目指していた。
(……やはり、尻の槍が気になって集中力は落ちている)
 姿は消しているとはいえ、物音や体温までは消せていないエグゼ。しかし、ドラゴンは欠片も彼女に気付いていないように見える。
 時折、尻の痛みに耐えかねたドラゴンが爪を振るい、ブレスを吐いて暴れるが、距離を取っている為にエグゼの許にまではその影響は及ばない。
「……でも、少し疲れた」
 ユーベルコードの代償として若干の疲労を感じつつ、それでもエグゼはドラゴンの後ろ、ちょうどいい角度へと回り込めた。
 そこの物陰で透明化を解除し、モンキーレンチ型メイス、『エグゼ・ザ・ヴァリアヴルメイス』の素振りを始めるエグゼ……。
「……おい、ちょ、待ちぃな?」
 エグゼの様子を高みから見下ろし、トラゴスは冷や汗が滲んでくるのを自覚した。
 トラゴスとエグゼは、モフィンクス戦で受け持った戦場が違う。その為、エグゼがモフィンクス戦の最中に漏らした『恐るべき目的』を、トラゴスは知る由も無いが……それでも彼の嫌な予感が止まらない。
 そして、ドラゴンが何度目かの爪による斬撃を迷宮の地面に叩き付けた直後――エグゼは動いた。
 赤茶色の、胸とお尻は豊満で腰はくびれたエグゼの見事な肢体が、それに似合わぬ怪力を発揮して巨大モンキーレンチを振り被る。捻られた彼女の全身の筋肉が、溜められるだけのパワーを溜めて……それを一気に解き放った。
 エグゼ自身の名を冠された巨大モンキーレンチが、風を砕き……。
 ――凄絶な爆音を上げ、ドラゴンの、その尻の穴に突き立っている槍の石突きへ衝突した。
 ……ッッ!? ……A……Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhh――――――!!
 ……ドラゴン、狂戦士と化したかの如く、大暴れ。
 彼のオブリビオンの周囲が、振り回される爪と吐き出される炎や氷や雷や毒の嵐で粉砕されていく。
 ……ドラゴンの両目からは大粒の涙が零れ、その瞳は焦点が合わず、虚ろに宙をさ迷っていた……。
「なななな何ちゅうことしてんねんー!?」
 ドラゴンの吐息で自分が足場にしていた石材まで砕け始めた為、トラゴスは慌てて別の石柱の天辺へと飛び移る。
 ……ドラゴンの尻の槍をぶっ叩いた当人は、その反動でゴロゴロと後方へ転がり、さらに阿鼻叫喚の様相のドラゴンの間近からは離脱していっていた。
「……根元までは打ち込めなかった」
 しかも、ここまでやっておいて些か残念そうだ。
 未だ飛び交うブレスやら爪やらを何とか見切りつつ、トラゴスはドラゴンが尻に受けただろうダメージを想像し、自分も尻が痛くなってくる気持ちである。
「男としてはあの槍抜いて助けてやりたいけども、大惨事は正直勘弁してほしいかんなー!」
 ……エグゼの所業で、危険度は増していると言えるし。
「せめて他の痛みで紛らわしたるから、すまんな!」
 覚悟と、気合いと、割と大きな同情を胸に抱いて……トラゴスは足場としていた高い石柱の天辺を、蹴った。
 耳元で風が鳴る音を聞き、全身に重力による加速を感じながら、トラゴスが落ちるのは――ドラゴンの背中。
 落下の勢いも乗せて、そこへトラゴスは全身全霊の殴打を放った。
 エグゼが槍に打ち込んだ一撃よりもなお大きい音が上がり――直後、迷宮の床へ墜落したトラゴスは、辛うじて受け身を取って衝撃を殺す。
「……どうや!?」
 背中へ強烈な一撃を喰らったドラゴンは、その威力で一旦大暴れを止めていた。鱗が金色の輝きを強め、強固な石へと変化していっているが……不意打ち気味だった為、その防御行動は間に合わなかったらしい。
 なのだが……素の状態の鱗を殴っただけで、トラゴスの拳は大きく震え、今は握り込めなくなっていた。
 文字通り、並のオブリビオンなら灰燼に帰す威力があるユーベルコードを叩き込んだにもかかわらず、このドラゴンはまた動き出そうとしている。
「……ほんまは、マジで強いオブリビオンなんやろうな……」
 尻に槍が刺さってどうにもならない状態だからこそ、この程度で済んでいるのかもしれない。
 そんな風にトラゴスは思い、少々戦慄するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リョウ・サイバ
んー、間近で見ると大迫力だねぇ、ドラゴン

オジサンはドラゴンスレイヤーじゃぁないけど何でも屋さんだし頑張ろうかねぇ。

とりあえず遮蔽物も多いし隠れて背後に回って…

弱点を突くのは基本だよね?

(ユーベルコードと技能を駆使して銃弾をピンポイント連射…槍を体へ食い込ますように撃ち続け)

抜いたら大惨事なら逆に貫けばいいじゃない…ねえ?

無敵の黄金?槍は体じゃ無いんじゃないかな?ドラゴンブレスには気を付けたいねえ。錬金術の魔法陣は地面をと銃撃でバイクで削って妨害したいね。

※アドリブ絡み汚れなんでもOK万が一にナニカを全身で浴びるもOK浴びたら絶叫ですね!


四軒屋・綴
《アドリブ改変絡み歓迎》

……すごく……大きいです……

いや何を言ってるんだろうな俺は……。

ともあれ迷宮の主にこれ以上醜態を晒させるのは臨時的学園生徒の身としてもなんかこうアレだッ!確実にケリをつけるッ!

メインの行動は武装の【一斉発射】による【援護射撃】ッ!味方と足並みを揃えつつ味方がピンチなら【ダッシュ】で駆け込んで【オーラ防御】で【かばう】ッ!

ユーベルコードは敵の『アルケミックスラッシュ』対策に使用ッ!魔方陣を吹き飛ばしつつ足元を狙うぞッ!どこがとは言わないがソコは狙わないッ!

その……万一アレがアレしたら【一斉発射】で出来る限り打ち落とすが……

「『ワイルド』にッ!そして『タフ』にッ!」



「んー、間近で見ると大迫力だねぇ、ドラゴン」
 感心したように呟くリョウ・サイバ(何でも屋(美女&美少女限定)・f05025)に、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)も同意するように呟いた。
「……凄く……大きいです……」
 ……リョウと綴で若干視線の角度がずれていた気もするが、追及してはいけない。
「いや何を言ってるんだろうな俺は……。――ともあれ迷宮の主にこれ以上醜態を晒させるのは臨時的学園生徒の身としても何かこうアレだッ! 確実にケリを付けるッ!」
 カッコいいポーズを決め、『勇蒸連結ジョウキング』はドラゴンとの戦端を開いた。
 巨大オブリビオンに向かって加速していく綴を見送り、リョウもホルスターからリボルバー拳銃を抜く。
「オジサンはドラゴンスレイヤーじゃぁないけど、何でも屋さんだし頑張ろうかねぇ」
 言って、こちらは積み重なった石材の陰へと飛び込んでいくのだった。
 ドラゴンの真正面に突っ込んだ綴は、背負っていた蒸気機関車型のユニットを変形させ、腕部に移動させる。その煙突から、黒煙をたなびかせる砲弾を連射した。
「まだまだッ!」
 綴の攻撃はさらに続く。同じく腕部の武装から、まるで赤熱化した石炭の如き弾丸も雨あられにばら撒いた。
 鼻っ面に連続砲火を受け、ドラゴンは涙を滲ませた目の焦点を綴へと合わせる。横薙ぎにされた爪を、綴は増加推進機に喝を入れて回避した。
 なおも攻撃の手を緩めず、今度は両手に握ったハンドガンでドラゴンに銃弾を浴びせていく綴。
 ドラゴンの目の前で派手に動き、彼のオブリビオンの意識を自分へと集中させているのは、綴なりの味方への援護だった。
 確かに、それによってリョウは格段に動き易くなる。遮蔽物を縫い、彼は悠々とドラゴンの背後へ回ってみせた。
 そこで、リョウはクールに告げる。
「弱点を突くのは基本だよね?」
 ――アンティーク風のリボルバー拳銃が、その外見に似合わぬ機関銃の如き連射を見せる。発射された銃弾の群れは細く真っ直ぐな軌跡を描いて……ドラゴンの尻に刺さる槍の石突きへ連続衝突した。
 Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!?
 それによって細かく振動する尻の槍に、ドラゴンが悲痛な鳴き声を上げる。
「抜いたら大惨事なら逆に貫けばいいじゃない……ねえ?」
 逆転の発想をうそぶくリョウ。ドラゴンは流石に彼の存在を察知し、首を巡らせた。その口内に、怒りを象徴する如き雷火が輝き始める。
「――させるかッ!」
 そこに、まさに蒸気機関車を思わせる疾走で綴が割り込んだ。リョウを背に庇い、吐き出された炎と稲妻のブレスを我が身で受け止める。
 ……オーラを全身に漲らせ、護りを強化しても……それでも装甲が焦げるほどの威力であった。守られているリョウにも熱気が伝わってくる。
 如何に強力なオブリビオンとはいえ、度を超した出力……。ふと周囲を見回して、リョウも綴もその理由を悟った。
「――魔法陣だねぇ」
「ドラゴンを強化しているッ!」
 これ以前に猟兵たちへと振るわれていたドラゴンの爪……それは無作為に叩き下ろされていたわけではなく、削った地面に錬金術による魔法陣を敷いていた。そこから供給されるエネルギーが、ただでさえ強いドラゴンをよりパワーアップさせている。
 それ故のこの高威力ブレス……だが、タネが解ればやり様はいくらでもあるのが猟兵だ。
 リョウは、銃撃の目標をドラゴンの周囲の地面へと変える。炎と雷の吐息の僅かな隙間を通し、鉛弾で魔法陣の要所を削った。
 途端、ドラゴンのブレスの威力が微かに落ちる。
 その隙を突いてブレスの中から離脱したリョウは付近の石材の陰へ身を隠した。同じく離脱した綴は、腕部の蒸気機関車型ユニットを振り上げながらドラゴンへと突貫する。
「『爆・圧・列・車ッッ!!』」
 単純かつ重い一撃は流石にドラゴンも見切って躱すが、綴の狙いはドラゴンそのものではない。迷宮の床へとめり込んだ綴の両腕は、着弾地点を中心に迷宮の床石材をクレーター状に陥没させる。
 ――強化の魔法陣が粉々になって、ドラゴンに供給されていたエネルギーが断たれた。
「『ワイルド』にッ! そして『タフ』にッ!」
 その隙を綴は見逃さない。2発目の『爆圧列車』をドラゴンの前脚へ叩き付ける――が。
「くぅッ!?」
 ――黄金に輝く石へと変貌したドラゴンの鱗は、綴の超重量級の一撃さえ余裕で受け止めた。
 ……黄金の色は、ドラゴンの全身に及んでいく。このままでは、如何なる攻撃を通じなくなってしまうことが予感された……その瞬間だった。
 けたたましいエンジン音を上げ、リョウが宇宙バイクに乗って再び戦域へ飛び出す。……リョウの愛車は、リモコンによって呼び寄せることが出来るのだ。
 巧みな運転で宇宙バイクを操ったリョウは、再度ドラゴンの後方へ回り込んでいる。その口元がニヒルな笑みを刻んだ。
「無敵の黄金? だけど――槍は身体じゃないんじゃないかな?」
 2回目の、尻の槍への集中砲火。小刻みに振動する槍が徐々に刺さる深さを増し……ドラゴンは耐え切れず絶叫した。
 黄金の色が、潮が引くように失せていく……。
 ……にもかかわらず、綴の表情は冴えなかった。
「いや、そんなにソコを狙って……大丈夫なのかッ!? その……万一アレがアレしたら、出来る限り撃ち落とすつもりだがッ……!」
 ……だからこそ、綴自身は決して『その部分』は狙わなかったのだが……。
 リョウは強気に肩をすくめる。
「言っただろ? 抜いたら大惨事なら逆に貫けば――んんっ?」
 ……その時、リョウは気付いた。リョウの目線を追って振り返った綴も気付く。
 ドラゴンが両手で尻を押さえ、プルプルと震え出していた。……槍も、何かに押されているかのように、じりじりと微かに……抜けてきているような……?
 ――リョウは全速力で宇宙バイクを急発進させる。綴も増加推進機を加熱するほど稼働させ、ドラゴンから距離を取るのだった。
 ……幸い、ドラゴンは今回の波には耐え切った……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ビリー・ライジング
ミリィ・ライジング(f05963)と共に行動。

……あのバカ、何やってんだ!?
倒した方が良いかもしれないが、大惨事も回避したい……そうだ!

「ミリィ、あの槍を抜くぞ!」

真の姿を解放、容姿は変わらないが、魔法剣がレイピアに変化。
トリニティ・エンハンスは防御力重視の水の魔力。
俺よりミリィの方が速い為、ドラゴンの攻撃を引き付ける囮役に。

ミリィが槍の引き抜きに掛かったら、
俺もドラゴンの背後へ回り、ドラゴンの槍を引き抜く。

ドラゴンの槍が引き抜けたら、
俺のレイピアをドラゴンの尻目掛けて、突き刺す。

「汚物は消毒だッ!」

レイピアに纏った水の魔力をドラゴンの体内へ流し込む。
無敵の黄金でも「内側」への攻撃は防げまい。


ミリィ・ライジング
ビリー・ライジング(f05930)と共に行動。

……まずい、このままだとドラゴンの槍が抜けて、大惨事に……。
お兄ちゃん、何か閃いたの……って!?

「待って!お兄ちゃんッ!?」

真の姿を解放、容姿は変わらないが、私に憑いてる陰陽師の亡霊が現れる。
(亡霊は周囲の猟兵、敵にも可視出来る)
降魔化身法で超強化した後、スピードを活かして、ドラゴンの背後へ。

槍を掴んだら、それを引き抜きにかかる。
「お兄ちゃんッ、引き抜いた後、どうするつもりなの!?」

水の魔力を纏ってる……もしかして。
お兄ちゃんだけが大惨事に巻きこまれる訳にはいかない、
最後までお兄ちゃんと一緒だよ。

「汚物は消毒よッ!」


百地・モユル
あんなの刺さってたらすごくつらいだろうけど…
こんなとこで大惨事にはさせたくないよ!
今、楽にしてやるから…もう少し耐えてくれ…

暴れにくいように灼熱の束縛でドラゴンを拘束したい
なるべくお尻とお腹は狙わないようにしなきゃ…
これ以上そこを攻撃しちゃったら…そろそろ…

技能の怪力、属性攻撃、二回攻撃も使えるかな?
できれば直接頭を狙って押さえつけたい
ドラゴンの攻撃は武器受けで軽減するぜ
大剣を盾のように使ってしのぐ

もし最悪の事態になっちゃったら…
なるべく離れるしかないかも…



 ……猟兵的にもドラゴン的にも、ひとまずの窮地は脱したところで……。
 百地・モユル(ももも・f03218)は決意をその瞳に宿していた。
「あんなの刺さってたら凄くつらいだろうけど……こんなとこで大惨事にはさせたくないよ!」
 全くもってその通りである。
「今、楽にしてやるから……もう少し耐えてくれ……」
 せめて、決壊する前に……綺麗な姿で命を絶ってやりたい。そんな思いと共にモユルはドラゴンへと駆け出す。
 ……まあ、尻の穴に槍が刺さった姿という時点でアレなのは、気にしない方向で!
 眼前に駆け込んできたモユルは、ドラゴンからしてみれば酷く矮小な生き物に見えただろう。先までの苦しみの八つ当たりとばかりに、彼へと巨大で鋭い爪を振り下ろす。
 しかし、その爪撃はモユルの両手のひらより噴出した超高熱の炎により遮られた。
「『ボクに触れたら、火傷どころじゃすまないぜ!』」
 モユルの炎は、自身も火のブレスを吐くドラゴンをして耐え切れぬほどの熱量のようだった。それを浴びたドラゴンの腕の鱗が融解している。さらに、焼け付き、引き攣る鱗と皮膚が、ドラゴンの腕をまともに動かないように阻害もしていた。
 モユルは疾走しながら、ドラゴンの腕以外の部位にも炎を浴びせていく。それによりドラゴンの行動を拘束しようという狙いなのだ。
 ……腹部とか、臀部とか、その辺りは可能な限り狙わないようにしているが……。
(これ以上そこを攻撃しちゃったら……そろそろ……)
 胸中に膨れ上がる危機感に、内心ガクブルのモユルである。
 やがてドラゴンのほぼ全身を拘束し、残るは首から上のみという状況に持っていったモユルだが――そこからがなかなか上手くいかない。
「このっ……大人しく、しろ……!」
 流石に、実際に火の息を吐く口がある頭部は、ドラゴンの身体の中でも特に熱に強いらしい。モユルのユーベルコード『灼熱の束縛』も効き難いようだった。
「ぐっ……!?」
 ドラゴンは首を振るって角をモユルに叩き付けてきた。握った大剣を盾とし、持ち前の怪力で凌ぐモユルだが……決定打が足りない。
 しかも――ドラゴンの様子が、段々とおかしくなり始めていた……。
「……あ」
 そこで、モユルはしまったという顔をする。
 モユルは、自身の炎を直接ドラゴンの腹や尻には浴びせないようにしていたが……何分その熱量だ。金属製である槍は炙られて……その熱を、ドラゴンの腸内へと伝導していたのである。
 その刺激に、ドラゴンがプルプルと震え始めた……。
 ……決壊は、間近か!?
 それを目撃し、慄くのはミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)である。
「……まずい、このままだとドラゴンの槍が抜けて、大惨事に……」
 彼女の隣で、兄のビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)も表情を硬くする。
「……この隙に倒した方が良いかもしれないが、大惨事も回避したい……そうだ!」
「お兄ちゃん、何か閃いたの!?」
 突如声を上げた兄へ、ミリィは藁にもすがるような眼差しを向ける……。
「ミリィ、あの槍を抜くぞ!」
「……え?」
「…………ぅえっ!?」
 ミリィばかりでなく、現在進行形でドラゴンと交戦中のモユルも、聞こえてきたビリーの叫びに目が点になる。
 他の猟兵たちの困惑を余所に、ビリーはドラゴンの巨体へ突撃した。――一歩目を踏み出した瞬間、彼の姿が真なるそれへと変貌する。容姿そのものは大きく変化しないが、携えた魔法剣が細く、鋭く、レイピアと呼ぶべき形状へと転身した。
 同時に、ビリーの全身を水の色をした魔力のオーロラが取り巻く。
「待って! お兄ちゃんッ!?」
 ビリーの本気を感じ取り、ミリィも数瞬の逡巡の後――兄に続いて駆け出した。刹那、彼女の背後にゆらりと、陰陽師を思わせる狩衣姿の亡霊が可視化する。ミリィもまた、真なる力を解放したのだ。
 直後、ミリィと陰陽師の霊の祝詞の如き詠唱が重なり、ミリィの肉体が人ならざる者たちを宿して超加速する。
「ミリィ、お前の方が速い。俺がドラゴンの意識を引き付けるから、槍の方を任せた!」
「ああ、もう――うんッ!」
 追い付いたミリィへ指示すると、ビリーは消耗したモユルと入れ替わりにドラゴンの真正面へ。その鼻っ面へレイピアの切っ先を突き込む。
 もう、色々と切羽詰まっているドラゴンは、角や牙、吐息で対応するのも煩わしかったのか、顔面を黄金の石へと変えてビリーの刺突を弾いた。
 その間に、ミリィはドラゴンの後ろへ回って、尻の穴に深々と刺さっている巨槍へと肉迫する。……想像以上にアレな様に、女の子のミリィはちょっとばかり引くが……兄からの頼みの方が重要とばかりに、槍へと抱き付くように取り付いた。
 モユルによって籠められた熱も、超強化中のミリィならば耐えられないことはない。
 そして――いざ引っ張る!
 Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!?
 石に変化し掛けのドラゴンが、いきなりの行為に悲痛過ぎる絶叫を上げた。
 それを合図に、ビリーもドラゴンの後ろへと回り込む。妹と共に槍へと手を掛け――渾身の力で引く!
 纏う水の魔力で、こちらもモユルのもたらした高熱は耐え凌いだ。
「お兄ちゃんッ、引き抜いた後、どうするつもりなの!?」
「いいから、その時はミリィは逃げろ!」
 問うミリィへ回答にならぬ返事をするビリー。……だが、流石に兄妹である。ミリィにも気付くことはあった。
(お兄ちゃん、水の魔力を纏ってる……もしかして――)
 ――その瞬間、いくら何でも真の姿を解放した猟兵2名の力には負けたのだろう……槍が……ドラゴンの直腸を深々と抉っていた大槍が、何とも形容に困る生々しい音を立てて……引っこ抜けた。
「う、うわわわわわっっ!?」
 最早何があっても避けられない大惨事を予感して、モユルは回れ右、一目散にドラゴンから距離を取る。
 けれど――ミリィは逃げなかった。
「ミリィ、お前……!?」
「お兄ちゃんだけを大惨事に巻き込ませるわけにはいかない……最後までお兄ちゃんと一緒だよ」
「――好きにしろ!」
 ミリィの横顔に言っても聞かないだろうことを理解して――ビリーは全身全霊でレイピアを、槍が抜けたドラゴンの尻の穴へと突き放った。兄のその手に自らも手を重ね、ミリィも己の力を上乗せする。
 未だモユルによる拘束が生きているドラゴンに、それを回避する術は無い。
「汚物は消毒だッ!」
「汚物は消毒よッ!」
 兄妹の叫びの唱和と共に、ビリーの水の魔力がドラゴンの体内へ雪崩れ込んだ。清浄なる水の属性が、悪しきオブリビオンを体内から洗い流す。
「無敵の黄金でも『内側』への攻撃は防げまい……!」
 そのビリーの予想は、今回は正しかった。体内からの圧力で、黄金色へ変じようとしていたドラゴンの鱗はひび割れ、その身から剥がれ落ち……巨躯そのものにも亀裂が走っていく。
 ドラゴンが崩壊する時が訪れようとしていた――が。
「あ?」「え?」
 ――ドラゴンの崩壊は、まあ、結局のところ……最も負荷の掛かっていた部位から訪れたのである。
 ……要するに、『尻』から。
 ビリーとミリィの眼前で砕け散ったドラゴンの尻から……まあ、つまり、『迸ったもの』があるわけで……。
 ……一応、こんな策を取った以上、ビリーは覚悟を決めていただろう。
 ミリィも、その兄の覚悟を汲んで付き合うことにしたはずだ。
 それでも……実際に頭上から大瀑布の如く降り注いでくる『それ』を目の当たりにした時の兄妹の悲鳴は、モユルの心にちょっとトラウマを残しそうなレベルであった……。
「……ええと、うん。皆……ドラゴンも、頑張ったよ……」
 ぐったりと巨大なる身体を横たえ、だけど何処かスッキリした様子のドラゴンの顔の前に立ち、モユルはそんな風に語り掛ける。
 彼の大剣が大いなるオブリビオンの介錯を果たして――後に猟兵たち、及びアルダワ魔法学園の生徒たちの間で『ウコン色の惨劇』と呼ばれることとなるこの事件は、ひとまずの解決を見たのであった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『学園大浴場でリフレッシュ!』

POW   :    じっくり湯船につかり、温まって疲れを癒す

SPD   :    素早く体を洗ったりして隅々まで綺麗にする

WIZ   :    浴槽や脱衣所などで交流し、精神を癒す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 カポーン! ……という音が何処かで鳴る。
 真っ白い湯気がもうもうと立ち込め、石造りの空間を幻想的に彩っていた。
 最早プールと言っても良いサイズの浴槽にはなみなみと温かな湯が張られ、竜の石像の口からはさらなるお湯が浴槽へと追加されていく。
 ……ちょっと、例のドラゴンに似ている気がしないでもない……。
 何はともあれ、アルダワ魔法学園が誇る自慢の大浴場は、グリモア猟兵の必死の交渉によって、本日は猟兵たちによる貸し切りである。
 ここで、オブリビオンたちとの連戦の疲れを存分に癒してもらおうという、グリモア猟兵、及びアルダワ魔法学園の配慮であった。
 ……もちろん、色々と汚れてしまった人の為に、それを落とすことも前提としている。
 男湯か女湯のそれぞれで、のんびり過ごすも良し。
 混浴でキャッキャウフフするのも良し。
 グリモア猟兵もアレな依頼をした手前、誘えば可能な限りのサービスをしてくれる……かもしれない。
 或いは、脱衣所などでも何か面白いことがあるか……?
 さあ、公序良俗を逸脱しない範囲で――リフレッシュしようじゃないか!
四軒屋・綴
《アドリブ改変絡み歓迎》

湯上がり気分でさっぱりしつつ単体のマスク状態で浮遊。

しかし、そこに待っていたのは負けられない戦い……ッ!

その名は『コーヒー牛乳』ッッ!!

速やかにゴーグルの機能を使用し具現化プログラム製の手を作成ッ!帽子から小銭を取り出しつつ売店のおばちゃん(?)に叫ぶッ!

「コーヒー牛乳おくれッッッ!!!」

「バカな……開かない……」

「フッ……勝利の味だ……」



 ――そんなわけで、誰よりも早く大浴場へ赴き、疲れも汚れも綺麗さっぱり洗い流したのは四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)だった。
「ああッ、実に良い浴場……良い湯だったッ!」
 ホコホコ湯気を上げて大満足の様子の綴は、今は『勇蒸連結ジョウキング』の姿ではない。ゴーグルが特徴的な、小豆色のヘルメットの如きヒーローマスク本来の姿である。
 ……彼がどのように入浴したのか、実に興味深いが……それが判明するのは今ではないようだ。
 着替える必要も無い綴は、ふよふよと空中を浮遊して大浴場の周辺を見て回っていたが――そこで『それ』を発見する。
 ――すっきりシンプルな、レトロなる形状の瓶。
 ――その中に満たされた、焦げ茶色の魅惑的な液体。
 ――しかも、湯上りには嬉しいことにケースの中で冷やされている……!
「その名は――『コーヒー牛乳』ッッ!!」
 売店の前で目を光らせ、凛々しく叫ぶ綴。もしも首から下の身体もあれば、超カッコいいポーズも決めていたはずである。
 風呂上がり、コーヒー牛乳を前にして、それを飲むという欲求に勝てる者は居るか?
 ――居るはずがない!
「何故なら、入浴は意外に身体の水分を消費するからだッ! 失われた水分を補給しようとするのは、生物の本能として当然のことッ!!」
 ……果たして、ヒーローマスクという種族にそれが当て嵌まるのか……?
 そんな無粋なツッコミは抜きにして、綴は直ちにゴーグルの機能でプログラムから手を形成、帽子の中から小銭を取り出した。
「おばちゃんッ! コーヒー牛乳おくれッッッ!!!」
「あいよー」
 ……その帽子、財布でもあるのかとか細かいツッコミを入れたい筆者の思いを余所に、百戦錬磨の売店員たるおばちゃんは一切動じずに綴から代金を受け取り、コーヒー牛乳を1本、彼に手渡した。
「おおッ……絶妙に冷えているッ……!」
 風呂から上がって飲む時に、冷た過ぎず、温くもないパーフェクトな温度が、瓶を握った綴の手に伝わる。
 これを、この温度の内にぐいっと一気に飲み干すのだ――期待感に綴は目を輝かせた。
「いざッ! ……ん? ……えッ……!?」
 ――しかし、そこで綴を襲ったのは予想外の危機だった。
「バカな……開かないッ……!?」
 コーヒー牛乳の瓶の口を塞ぐのは、段ボールよりも薄いはずの紙の蓋だ。だが、決してペラペラというわけではなく、一定の硬さがある。
 そして、摘めるような部分が一切無いのだ。
 ……その硬さと摘み難さが問題で、引っ張って開けるというのが難しい。かといって蓋を押してひしゃげさせて開けようとすれば、力加減を万が一間違った場合、中身のコーヒー牛乳が飛び散ってしまいそうである……。
 あのドラゴンに匹敵する、もしくは上回る難敵として『コーヒー牛乳の蓋』が綴の前に立ち塞がったのだ。
 どうする、綴? 如何にする、ジョウキング!? 急がねば、コーヒー牛乳が最適な温度から温まってしまう……!!
「――ああ、お兄ちゃん、『これ』を使うといいよ」
 ……そこに、売店のおばちゃんから助け船が。
 差し出されたのは、ちょっと太めの針状の器具。その先端をコーヒー牛乳の蓋に刺し、てこの原理で動かせば――いとも容易く蓋は瓶から外れてしまった!
「お――おおッ!? 何という……こんな便利な道具がッ!」
 まるで伝説の聖剣でも見付けたような様子で、牛乳瓶の蓋開けを掲げる綴……。
 何にせよ、急がねば折角のコーヒー牛乳が温くなってしまう。売店のおばちゃんに礼を述べると、綴は満を持してコーヒー牛乳を口へと含んだ。
 ――冷たく、爽やかでさえある喉越し。
 ――牛乳のコク、コーヒーのほろ苦さ、両者を結び付ける程良い甘味……。
(風呂上がりの身体に、染み込んでいくようだッ!!)
 ……気が付けば、綴は瓶1本分のコーヒー牛乳を瞬く間に飲み干していた。
「フッ……勝利の味だ……」
 満足げに呟く綴だが――今日の勝利はさらに特別とも言える。ならば、自分にもう少しサービスしても良いかもしれなかった。
「おばちゃん――コーヒー牛乳もう1本おくれッッッ!!!」
「あいよー」
 2本目、突入である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リョウ・サイバ
んー、オジサンはもう年だし癒されたいし是非ともころなちゃんから整体マッサージを受けたいと思うねぇ
ああ、体も洗ってもらえたら最高だね、もちろん洗われるだけじゃなく洗ってあげるよ?

一緒に温泉に浸かって体を熱でほぐして後にころなちゃんの手で色々とほぐして欲しいね

(マッサージをしてもらえたら)
あ゛ー効く、すごく効く、ほんとオジサン年だよ…でも若くて可愛い子に触れたり触れられたりでリフレッシュだねぇ、あ、仰向けになるね?体の前もよろしく、足とか手だよ?
後でお返しにオジサンがマッサージをしてあげるよ、お礼お礼、大丈夫!オジサン上手だよ!

いろんな意味で恐ろしい戦いだったけど最後はリフレッシュだつやつやだねぇ



 さて、その頃……男女共に入れる混浴用の大浴場では、リョウ・サイバ(何でも屋(美女&美少女限定)・f05025)が調子に乗っていた。
「んー……この辺? それともこの辺が痒いん?」
「あー、そこそこ……気持ちいいよ、ころなちゃん」
 リョウは、今回の事件を予知したグリモア猟兵、灘杜・ころな(鉄壁スカートのひもろぎJC・f04167)に頭を洗ってもらっていたのである。
 此度の事件の解決に尽力してくれた猟兵たちを労いたい……そんな思いから、ころなから「背中くらい流すで」と表明があり、それにリョウが挙手したわけだ。
 ……とはいえ、流石に40歳のリョウが14歳のころなと全裸で混浴は公序良俗が許さない。双方水着の着用がアルダワ魔法学園側からきつく言い渡された。
 それでも、リョウはご満悦である。
 ――ころなの水着は、結構大胆なビキニであったから!
『……ワンピースやと、他んトコにサイズを合わせると、胸だけきつくなるんよ……。胸にサイズを合わせると、他んトコがゆるゆるでなぁ……』
 そう言い訳したころなの胸部は、なるほど……服を着ていた段階で解っていたことだが、年齢不相応の見事な発育である。
(まるで重力を無視するように、前方へグンッと突き出していて……ロケットおっぱいってやつだねぇ)
 ――そして。
 さっきから、洗髪中のリョウの首筋やら背中には、張りと弾力に富んだその物体がぷにっ、ぷにゅっと当たっているのである!
 ……ころな自身は、リョウの頭を洗うのに一生懸命で接触に気が付いていないらしい……。
(もぎたてのフルーツのような瑞々しさと、仔猫や仔犬のような温もり……! これで枕とかクッションとか作ったら爆売れ間違いなしだ!)
 ……もしも発売されたら、リョウも買うかもしれない……。
 とはいえ、そんな楽しい洗髪の時間もやがて終わってしまう。シャワーのお湯で髪から泡を流されたリョウは、その濡れた髪を掻き上げてころなへ微笑んだ。
「洗ってもらってばかりじゃ申し訳ないからね。今度はオジサンがころなちゃんを洗ってあげるよ?」
「あ、それは遠慮するわー」
 そこはころなもガードが堅かった。リョウ、轟沈である。
 ともあれ、一通り身体を洗ったリョウところなは、今度は浴槽へと並んで身を沈めた。
「――な、何だと……!?」
 隣で湯に浸かるころなを見て、リョウは目を見開く。
 彼女のそのロケットおっぱい……湯に、沈まない!
 圧倒的浮力で湯の表面に浮かび、たゆっ、たゆんっと揺蕩う……!
「あ、あの……あんま見んでな?」
 のぼせたわけでもないのに頬を赤くするころなを、そうは言われてもガン見せざるを得ないリョウである。
 そうやって程良く身体が温まったところで――リョウは、それこそ本願とばかりにころなにお願いをした。
「んー、オジサンはもう年だし癒されたいし、是非ともころなちゃんから整体マッサージを受けたいねぇ」
「へ? えぇ……?」
 対してころなは困った顔をする。
「整体マッサージって……うち、そんなんやったこと無いよ?」
「大丈夫、大丈夫、そんなに本格的なものじゃなくていいからっ」
 リョウの重ねてのお願いに……元々、今回非常にアレな依頼を出した負い目があるころなである。リョウに押し切られる形でコクンと頷いた。
 手近な岩盤の上に移動し、マッサージ開始である。
 俯せになったリョウの、まずはふくらはぎから、ころなは五指を駆使して揉み揉みしていく……。
「あ゛ー、効く、凄く効く、ほんとオジサン年だよ……」
「そんなことあらへんやろー? リョウさん、うちのお父さんとほとんど年齢変わらへんやん。うちのお父さん、『40歳はまだオジサンじゃない』言うてるでー?」
「………………」
 名も知らぬころなの父と同年代……リョウのハートに若干突き刺さるものがあったか、無かったか?
 とはいえ、ころなのマッサージはかなり拙いものではあったが、リョウ的には悪くない。……まあ、彼の場合、女性……それも若くて見目麗しい相手なら、どんなに下手なマッサージでも気持ち良く感じていたかもしれないが……。
「ああ……若くて可愛い子に触れたり触れられたりでリフレッシュだねぇ……」
 ……そんなことを呟いているし。ころなも呆れたようなジト目になるが、太股、腰と揉んでいく手は、まだ一応丁寧だ。
 そして、背面を一通り揉んでもらったリョウは、そこからさらに要求をエスカレートさせていく。
「あ、今度は仰向けになるね? 身体の前もよろしく」
「ま、前~!? 一体何処を揉めっちゅうのっ!?」
「もちろん、足とか手だよ?」
 いくら何でもと顔を真っ赤にするころなに対し、悪戯っぽく言ってみせるリョウ。
「ね? 後でお返しにオジサンもころなちゃんにマッサージしてあげるから。お礼お礼、大丈夫! オジサン上手だよ――」
「――サイバさん?」
 名前呼びから姓呼びへ変わったころなの微笑みに、リョウは思わず口を噤んだ。
「これ以上は、流石にセクハラやで?」
「……はい」
 目は一切笑っていないころなからのお叱りに、リョウも正座して頷くしかなかったのであった。
 まあ、それでも……。
「色んな意味で恐ろしい戦いだったけど、最後はリフレッシュだ。つやつやだねぇ」
 自分の肌の元気な色を眺めて、リョウは心地好さそうにまとめるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

百地・モユル
ふぅ…残されたアレの掃除をしてたら汚れちゃったしボクもお風呂だ…

もちろん男湯だよ
ボクだってもう6歳、ちゃんと1人でお風呂に入れるぜ!
アレの汚れなんて残したくないし念入りに体を洗ったらおっきいお風呂を堪能する

同じ男湯に入ってる猟兵さんたちがいたらWIZで湯船に浸かりながらお話したいな

その…いろいろと大変だったね…
不幸な偶然が重なって、こんなことになっちゃったなんて…
ドラゴンも災難だったろうなあ…

…こんな話をしてたら、なんかあの石像があいつに見えてきたよ…
楽にしてやれてよかったのかな


トラゴス・ファンレイン
※アドリブ・絡み・ネタオール歓迎

酷い事件やったな……(視覚的な意味で)

ともあれ無事に解決したので男湯へ。
貸切にしてくれたグリモア猟兵さんに感謝しつつアルダワ魔法学園の大浴場にはしゃぎ、まずは身体を綺麗にしてから湯船に浸かる。

「たまらんわ、極楽ってこんな感じなんかな……」

連戦で疲労した身体(とくに拳)を労わり、そのまま目を閉じて
……zzz

「……ぶはっ、寝落ちしとった!?」



「酷い事件やったな……」
 アルダワ魔法学園の大浴場、その男湯に、トラゴス・ファンレイン(エスケープゴート・f09417)の感慨深い呟きが響いた。
 もちろん、視覚的な意味で……である。
 あのような惨劇が二度と起こらないことを、トラゴスは願って止まない……。
 ともあれ、無事に解決した以上、今後の英気を養う為に心機一転するのも猟兵の仕事の内だ。
「うわぁー。想像以上に立派な風呂やなぁ」
 各所に精緻な彫刻が施されたアルダワ魔法学園自慢の大浴場に、トラゴスは感嘆の声を上げる。
「これは、貸し切りにしてくれたグリモア猟兵さんに感謝やで」
 足を滑らせない程度にウキウキしつつ、まずはマナーとして身体を洗うトラゴス。
 ……彼自身は『浴びた』わけではないが……それでもあんな依頼の後だ。いつもより念入りに身体を擦っていく……。
「……お? おおっ! この備え付けの石鹸もシャンプーも、物凄く泡立ちがええでっ」
 そんな部分でもこの浴場がアルダワ魔法学園のご自慢なのだと確認し、トラゴスの気分はますます盛り上がっていった。
 さて、そうして全身の泡を流し終えたら……トラゴスもいよいよ、湯船に身を浸からせる時である。
「すんごい広い湯船やなぁ。腕も脚も思い切り伸ばせそうや。……おおっ、お、おっ……」
 熱過ぎず、温くもない湯の中に肩まで身体を沈ませれば、トラゴスの口からは断続的に吐息が上がる。
 湯の熱がじんわりとトラゴスの五体を温めていき、戦闘で緊張していた筋肉が解されていった。
「たまらんわ。極楽ってこんな感じなんかな……」
 モフィンクスからドラゴンへと連戦したトラゴスの肉体は、本人が思っていた以上に疲れ果てていたらしい。
 自分の身体を……特に拳を労うようにマッサージしていたトラゴスはいつしか瞼を閉じ……穏やかな寝息を立て始めたのである……。
 ――そのタイミングで男湯へ足を踏み入れた小柄な人影があった。百地・モユル(ももも・f03218)である。
「ふぅ……残された『アレ』の掃除をしてたら汚れちゃったし、ボクもお風呂だ……」
 そう、なんとモユル――あの『大惨事』の後始末を率先してやっていたのである。
 6歳の少年が何という良識ある心掛け……彼の成長が今後も楽しみであった。
 そんなモユルは意気揚々と壁際の蛇口から熱めのお湯を桶に注ぎ、頭から被る。
「ボクだってもう6歳、ちゃんと1人でお風呂に入れるぜ!」
 そう、誰に聞かせるでもなく宣言するモユル。……もしかしたら、入浴前にグリモア猟兵から「大丈夫?」と訊かれたことが複雑だったのかもしれない。この辺り、6歳なりに男のプライドがあるのだ。
 ともかく、泡立てた石鹸やシャンプーでしっかりと身体を洗っていくモユル。シャンプーハットなど使わないが……垂れてきた泡が目に入ったので慌ててシャワーの栓を捻る。
 お湯の雨を頭から浴びつつ、モユルはさらに頭髪を擦っていった。
「……アレの汚れなんて残したくないし……」
 ……それは、きっと今回の事件に参加した全ての猟兵の共通認識だろう。
 そうやって身体を洗い終えたモユルが、いざ行かん、浴槽へ――と振り向いた時だった……。
「………………ぶはっ!?」
「うわっ!?」
 ――目の前の浴槽内から、トラゴスが急浮上してきたのである。
 何度か激しく咳き込んだトラゴスは、どうにか自身の陥っていた状況を理解した。
「……俺、寝落ちしとった!? うわぁ、危なぁ……」
 湯船の中で寝てしまい、ふとしたことで湯の中に頭まで沈んでそのまま……という事故は、実のところ少なからずある。皆、気を付けよう。
「……って、ん?」
「あ、こんにちは……」
 顔を見合わせるトラゴスとモユル。
 同じ戦線に挑んだ猟兵同士、何となく共に湯に浸かる両名。
「その……色々と大変だったね、今回の戦い……」
「……ほんまになぁ……」
 モユルの言葉に、トラゴスも頷く。
「不幸な偶然が重なって、こんなことになっちゃったなんて……。ドラゴンも災難だったろうなあ……」
 猟兵とオブリビオン、決してなれ合える立場ではなかったものの……モユルはあのドラゴンに同情してしまう部分があった。
 だからこそ、彼は戦闘では終始、せめて苦しませずにあのドラゴンを葬ってやろうと、心を割いていたのである。
「………………せやなぁ」
 それは、トラゴスも一緒であった。20歳も年下の猟兵へと共感し、彼は深く首肯する。
 その内に、モユルはこの浴槽へ口から湯を供給している竜の石像を見付け、目が離せなくなった。
「……こんな話をしてたら、なんかあの石像があいつに見えてきたよ……」
 トラゴスから見ても、その石像はあのドラゴンと似ているような気がした。
 2人でそれを凝視し……モユルがポツリと零す。
「……楽にしてやれて良かったのかな?」
「――当たり前や」
 それにはトラゴスも即答する。
「きっと、猟兵として出来る最大限のことをやれたわ、俺たちは」
 断言したトラゴスに、モユルも何度も頷く。
「また猟兵として、頑張らないとな!」
 幼き猟兵の心身もリフレッシュされ、その魂に新たな火が点ったようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

村雨・ベル
ころなちゃんがすごいサービスしてくれると聞いて!

ころなちゃーんにお土産持参です
(ロケットサイズの大人な雰囲気の下着を)

イヤ~交通機関ガ混ンデイテ、戦イニ間ニ合ワナカッタワー(カクカク)

さあお風呂ですお風呂!
魔眼でばっちり観察して

ころなちゃん誘ってレッツお風呂という名の洗浄へ!
背中とか流してもらおーかなー♪
お返しにUC百腕巨人の腕で作った
大量の私の手で洗い返してあげるから!

アレな敵を予知してしまってお疲れだろうし
こんな時しかお返しできませんしねー
それはもう念入りに!

あとはもう湯船いっぱい一緒に浸かるとか
風呂上りの牛乳とか愉しみましょう

調子乗ってたら天照様にお仕置きされるか
鼻血出して自滅がお約束



「――ころなちゃんが凄いサービスしてくれると聞いて!」
「……え?」
 そう言ってアルダワ魔法学園へ推参したのは村雨・ベル(錬金術師・三世村雨・f03157)だった。
「あ、ころなちゃーんにお土産持参です」
「……は? ――って、何やの、これー!?」
 満面の笑みでベルがグリモア猟兵の灘杜・ころな(鉄壁スカートのひもろぎJC・f04167)へ渡したのは、精緻なレースが透け透けのブラジャー。色は黒でアダルトな雰囲気。ついでにころなにもピッタリなロケットサイズ。
「さあ、お風呂ですお風呂!」
 頬を紅潮させてわなわなと震えるころなの手を取り、テンション高めの黒髪眼鏡っ娘エルフはアルダワ魔法学園ご自慢の大浴場へレッツゴー! ころなは既に一度入って上がっているのだが、そんなことは気にしない。
「魔眼でばっちり観察して……んんっ、げふげふ」
 ……ちなみにベル、見ただけで相手のスリーサイズを看破する魔眼の伝承者であるらしい……。
 ジト目のころなは、そもそも根本的なことをベルにツッコんだ。
「……ベルちゃん、ドラゴンとの戦いにも、その前のモフィンクス戦にも居らんかったよね?」
「イヤ~交通機関ガ混ンデイテ、戦イニ間ニ合ワナカッタワー」
 カクカクと片言でごまかすベル。
 とにかく、ベルに押し切られる形で、ころなもお風呂という名の洗浄へ再び足を踏み入れるのだった……。
「背中とか流してもらおーかなー♪」
「はいはい、了解や」
 そんなわけで、大浴場の女湯である。
 ころなのスタイルの良さは他の猟兵との入浴で前述した通りだが……ベルのプロポーションもかなりのものであった。
 普段の言動でごまかされがちだが……このおねーさん、脱ぐと凄い。たっぷりの泡でベルの背中を擦りつつ、ころなも彼女の細い腰やそこから続く臀部の魅惑的な曲線に感嘆の息を吐く。
「ベルちゃん、物凄いスタイルええねー。肌もとっても滑らかやし」
「ありがとー。じゃあ、お礼に、私からも洗い返してあげるから!」
「……へ?」
 いつの間にか、ベルところなの周囲には、17に及ぶ手が群れを成して浮いていた。それらの繊手はよく見れば、ベルのそれと瓜二つである。
 ベルのユーベルコード、『錬成・百腕巨人の腕』で構築されたもので、彼女と感覚を共有するのだ。
 こんもりとクリームのような泡を纏ったそれらは、全周囲からころなへ襲い掛かる。
「へ? や、ちょ――んきゃああああああああああ~~~~っ!?」
 ……流石にユーベルコードを使われては、ころなに為す術は無い。17のベルの手の複製が、ころなの全身に泡を塗りたくる。腕や脚、背中やお腹など、比較的無難な部分ももちろん洗われているが……ベルの手のコピーが猛然と群がるのは、ころなのもっと繊細で敏感な箇所だ。
「やっ、駄目ぇ……そこ、揉むんは……ひぃんっ!?」
 ここは当然外せないとばかりに、ころなの張りと弾力に富む乳房を根元から搾り上げるように揉んでいくベルの手たち……。その先端部までも指先で摘み洗いする。
 普段はスカートに隠されて絶対見えないころなのヒップラインも、ベルの手のひらたちが泡を塗り込むようにナデナデ。その渓谷にまで指を這わす……。
「ちょぉ……待っ……堪忍してぇ……。そんなんされたら、うちぃ……!」
「アレな敵を予知してしまってお疲れでしょうし、こんな時しかお返し出来ませんしねー。それはもう念入りに!」
 ……確かに、ころなはグリモア猟兵でもあるベルが予知した事件の解決にも加わったことがあるが……その時のお礼では多分ない。ベル自身が楽しみまくっている。
 そして、とうとうベルの方が複製の手だけでは満足出来なくなったのかもしれない。自分の身体の泡を手に取り、指をワキワキさせながら直接ころなへ迫る。
「ひゃあっ!? だ、駄目、駄目やからっ。そこだけは絶対無理! 許してぇ~!!」
「何言っているんですか女の子としてここが一番大事でしょう特に念には念を入れて洗わないと!!」
「――あっ……!?」
 ベルの手がそこに触れ、ころなが艶めいた声を上げた瞬間……。
「……お主はいい加減にせぬかぁ!!」
 ころなから神気が迸り、その奥の手たるユーベルコードが発動する。『天照』の名を冠する超高次元の存在がころなの身体へ宿り、その神意を炸裂させた。
 ベル自身の手も、彼女の手の複製たちも振り払うころな――が、咄嗟の発動だったせいか、あくまでも一瞬でそのユーベルコードは解除される。反動で、泡に塗れていたころなの足は滑った。
「ひゃっ!?」
「ひぇっ!?」
 ころながベルを押し倒す形で転倒する。しかも、ちょうどベルの顔面へころなのツンッと突き出たロケットおっぱいが……。
 ぷにゅぉおんっ♪
「……痛ったぁ……って、へ? ベルちゃん!?」
「~~~~♪」
 自分の下敷きになって目を回しているベルに、ころなは焦った声を上げる。
 ……まあ、ベルはきっと大丈夫だろう。目を回しつつも何処か幸せそうな表情で、鼻血を流しているのだから……。
 ――この後、脱衣所へと運ばれたベルは数分後には目を覚まし、ころなと並んで風呂上がりの牛乳を楽しんだり、まだ湯船に浸かっていなかったことを思い出して再びころなを連れて女湯へ特攻したりして、彼女を振り回すのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビリー・ライジング
ミリィ・ライジング(f05963)と共に入浴(混浴)。

じっくり湯船につかりたいが、まずは身体を洗おう。
……『あれ』をミリィと一緒に浴びたからだろうか。
周りの猟兵達が俺達を避けてる気がするが、気にしないでおこう。

「…ミリィ、背中、流そうか?」
兄妹で風呂に入るのは何年ぶりだろうか。
気付いたら、お互い一人で入っていたから、緊張感がある。

何で槍を引き抜こうと思った?
ひょっとしたら、ドラゴンの『あれ』を浄化出来ないかと思ってだな。
けどそれを聞くのなら、ミリィもどうしてあの時逃げなかったんだ?

……ミリィ、無茶するのは構わないが、無理するなよ。
お前は俺のたった一人の肉親だ……今度はミリィの番?ああ、頼んだ。


ミリィ・ライジング
ビリー・ライジング(f05930)と共に入浴(混浴)。

お兄ちゃんと一緒にお風呂に入るなんて、何年ぶりかな。
何だか、周りの猟兵の皆が私達を避けてない?
……ああ、お兄ちゃんと一緒に『あれ』浴びたからかぁ……。

お兄ちゃん、背中流してくれるの?
ありがとー、ってお兄ちゃん、声震えてない?

そういえばあの時、何で槍を抜こうと思ったの?
私が逃げなかったのは、こうして一緒に入りたかったからかな。
モフィンクスの時、私、本当に嬉しかったから、これは私からのお返し。

……お兄ちゃん、そんな事言うんだったら、私も同じだよ。
お兄ちゃん、今度は私が洗ってあげる。
(あれ、お兄ちゃんの背中、こんなに大きかったのかな?)



 ……さて、そんな感じで今回の事件の解決に尽力した猟兵たち(約1名例外)のその後の姿を眺めてきたが……他のメンバーから距離を置かれていたかもしれないのが、残る2人である。
 ――ビリー・ライジング(輝く黄金・f05930)とミリィ・ライジング(煌めく白銀・f05963)の兄妹だ。
 ……仮に、それが本当だったとしても、他の猟兵たちを責めることは出来ないだろう。それは、ビリーもミリィも充分に承知していた。
(……『あれ』をミリィと一緒に浴びたからだろうな)
(……ああ、お兄ちゃんと一緒に『あれ』浴びたからかぁ……)
 アルダワ魔法学園の混浴用の大浴場で、兄妹は奇しくもほぼ同時に似たようなことを思う。
(じっくり湯に浸かりたいが、まずは身体を洗おう……)
 そうしておかないと他の猟兵たちも嫌だろう……そんな気遣いが、騎士道精神を旨とするビリーの脳裏を過ぎったのかもしれない。普段以上に丁寧に、髪も身体もシャンプーや石鹸の泡で擦っていく……。
 ……が、そこでふとビリーは、隣で同じように身体を洗うミリィの存在を意識した。
(……兄妹で風呂に入るのは何年ぶりだろうか?)
 思い返してみると、最後に一緒に入ったのがいつだったのか、ビリーは思い出せなくなっていた。
 そこに気が付いてしまうと、ビリーは何やら緊張してくる。ビリーとミリィが入って以降、そもそも利用者も少なかった為、混浴用の大浴場は完全に兄妹の貸し切り状態であった。2人きりというのも、緊張感を増す原因かもしれない……。
(いや、だが……ミリィの裸が他の男の目に晒されないわけだから、僥倖なのか?)
 深く考えるとまた訳が解らなくなる気がして、ビリーはミリィへと声を掛けた。
「……ミリィ、背中、流そうか?」
「え? お兄ちゃん、背中流してくれるの? ありがとー、ってお兄ちゃん、声震えてない?」
「……気のせいだ」
 ミリィの指摘に、実際に震えていたことを自覚していたビリーは憮然とした顔でごまかした。
 ロングヘアをまとめて身体の前に回したミリィの背中を見て、ビリーは唐突に感じる。
(……華奢だな)
 ビリー自身の身体と比べて細いのは、やはり女の子だからだろう。肌もビリーのものと比較してずっと滑らかだった。
 あまり力を入れ過ぎないように、ビリーはミリィの背筋を擦っていく……。
「そういえば……あの時、何で槍を抜こうと思ったの?」
 大人しく背中を洗われていたミリィが突然そんなことを訊いてきて、ビリーは数秒だけ手を止める。
「ひょっとしたら、ドラゴンの『あれ』を浄化出来ないかと思ってだな」
 結局は質量が大き過ぎて浄化し切れなかったわけだが。答えて、再びミリィの背中を擦り始めたビリーは、少しだけ目を細めて今度は自分が訊きたかったことを妹へ問い掛けた。
「けど、それを訊くのなら、ミリィもどうしてあの時逃げなかったんだ?」
 ビリーがドラゴンの尻の前で、ミリィに逃げるように言った時――あのタイミングで離脱していれば、少なくともミリィはあのようなウコン色の惨劇を回避出来たはずである。
 それに、ビリーに背を向けたままのミリィは、兄からは見えない角度で微笑していた。
「私が逃げなかったのは、こうして一緒に入りたかったからかな、お風呂」
「……は?」
 本当に訳が解らないという風に首を傾げたビリーへ、ミリィはやや頬を染めながら続ける。
「モフィンクスの時、私、本当に嬉しかったから。これは私からのお返し」
「………………」
 モフィンクスのユーベルコードにより、ミリィへ贈りたい物があることがバレてしまっていたビリー。その照れをごまかす意味で――しかし、それだけでなく本心も大分含んで、妹へ苦言を呈する……兄として。
「……ミリィ、無茶するのは構わないが、無理するなよ? お前は俺のたった1人の肉親だ。だから――」
「――お兄ちゃん、そんなこと言うんだったら、私も同じだよ」
 僅かに憤りを籠めて、ミリィはビリーへ反論する。……妹として。
 兄ビリーが妹ミリィを思い遣るように、妹ミリィも兄ビリーを思い遣っているのだ。
 どちらかが死地に赴くのなら、きっともう片方も一緒に死地に赴く。
 どちらかが死地に残るのであれば、もう片方も絶対に1人で逃れたりはしない。
 今回はたまたま、ビリーが死地に残ろうとしたわけだが……ミリィが残ろうとしたのであれば、ビリーも必ず此度のミリィと同じ選択をしたはずだ。
 ぐうの音も出ないビリーの眼前でミリィはすっくと立つと、今度は彼女がビリーの後ろに回る。
「ミリィ?」
「お兄ちゃん、今度は私が洗ってあげる」
 言って、ミリィはビリーの許可も待たずに彼の背中を擦り始めた。いざ洗い始められると、途中で止めるのも違う気がして……ビリーはミリィの為すがままになる。
 そうやって兄の背中を洗いながら……ミリィは不思議な感覚に囚われた。
(……あれ? お兄ちゃんの背中、こんなに大きかったのかな?)
 それは、ミリィの過去の記憶の中にあるものよりもずっと広く、逞しくて……。
 最後に一緒にお風呂に入ってから、こんなにも時間が経過していたのだと、ミリィに思い知らせる。
 その事実に、ミリィの胸を寂しさが過ぎって……。
 ……思わず抱き付いてしまいそうになった自分を、ミリィは首をぶんぶんと横に振って自制したのであった……。

 地下迷宮アルダワの一角にて引き起こったとあるフロアボスオブリビオンの悲劇……そこから始まった大騒動。
 それは無垢で弱いオブリビオンを巻き込み、猟兵たちにとんでもない惨劇まで巻き起こして……どうにかこうにか収拾された。
 猟兵たちの身にも心にも途轍もない重荷を掛けたこの事件は、参加した猟兵たちの胸に様々な感情を刻み込んで、こうして幕を閉じたのである。
 まあ、何はともあれ……。
 ――お尻は大事、そういう話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月27日


挿絵イラスト