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ただ、一つの愛を花嫁に捧く

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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「ダークセイヴァーの辺境にある小さな村をとあるオブリビアンが支配している様だ」
 グリモアベースの片隅にいた北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)が集まって来た猟兵達へと説明を始めている。
「そのオブリビアンの名前はシュヴァリエと言そうだ。騎士の風貌を持つそのオブリビンによって制圧されている辺境の村。君達にはこの村を救って欲しい」
 シュヴァリエは時折ある年齢に達した少女を一人、生贄として村人に要求し、村人達がそれに応じて生贄を捧げているのだそうだ。
 もしも贄を捧げる事を拒めば、村は蹂躙され多くの働き手や女達が奪われてしまう。
 .....その村の存続が不可能にならない程度に。
 故に、村人達は抵抗の気力を失いその贄を捧げる儀式を「シュヴァリエの鎮魂祭」としてこの村の儀式としているそうだ。
「これは、 この村で古来から行われてきた生の儀式だ。だから、村人達はシュヴァリエが何時何処から来るのかは分かっている。けれども 、もしそれを話そうものならシュヴァリエに報復される事を恐れている。そこで、 だ......」
 優希斗が一つ息をつく。
「先ず、君達には村人達のシュヴァリエへの従属から解き放ち、 そして実際にシュヴァリエの居場所を突き止めて彼が何処にいるのかを村達から上手く聞き出した上でシュヴァリエのいる場所に突入して彼を撃退して欲しい」
 最も、 シュヴァリエのいる場所に何が存在しているのかは分からない。
 それは実際にその場所に向かわなければ、分からない事だろう。
「色々と大変だと思うが、どうか皆、よろしく頼む」
 優希斗の言葉に背を押され、猟兵達 はグリモアベースを後にした。


長野聖夜
 _災禍を退けるに古来より使われる古典的手法の一つは、生贄。
 初めまして。或いはご存知の方はいつも大変お世話になっております。
 長野聖夜です。
 と言う訳で、今回皆さんにはよくある生贄を求める支配者を倒していただきます。
 尚、シュヴァリエが何処にいるのかは村人達は分かっていますが。 もしそれをばらせば自分達の危機となるので最初は容易に心を開いてません。
 先ずは、情報収集と人々の心を解きほく"す事を試みて、シュヴァリエが何処にいるのかを探事から始めましょう。
 そこから先は、賽の目と皆様方の行動次第。
 ――それでは、初めての冒険を。
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第1章 冒険 『支配された村』

POW   :    強さを見せて村人を信頼させる

SPD   :    村周辺の探索を行う、村人達と密かに接触する

WIZ   :    会話や行動で信頼を得る、村人たちから情報を引き出す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フローリエ・オミネ
先ずは何故このような事になっているのか、村に潜入し事実確認から参りましょう
至って有効的に、村を助けに来たと説明いたします
その上で、村人達を説得いたします

シュヴァリエがこの村を選ぶ理由は何か?
おめおめと従ったままでは、村から女が消えてしまうのでは?
そうすれば村は滅亡当然、シュヴァリエは結局用済みとなった村を滅ぼすのでは無いでしょうか。

……少し驚かせてしまいましたでしょうか、申し訳ございません
ですが、全て村のことを思ってなのです

シュヴァリエの報復はとても恐ろしいです
しかし、もう怯える必要はございません

私達が、倒してしまいますから

奇襲を仕掛けたいのです。どうか、シュヴァリエの居場所を教えてください。


オブシダン・ソード
無力は罪ではないよ、僕達『武器』はそんな人達のために在るからね
でも抵抗を望まないのは、あんまり良くないなぁ

出自をはっきりさせつつ…オブリビアンの居場所は話してくれないよねぇ
村人からは世間話の体で鎮魂祭のことをメインに話してもらおう
祭ってくらいだから出し物とかやるんでしょ?
誰に捧げるの、どっちに祈るの?その辺から推理を

敵の場所か、生贄が誰か当たりを付けたい

本命は、生贄の女性
何と言おうと、覚悟を決めていようと、助かりたい気持ちがないとは思えない
接触したら、聞き出せないかな?

大丈夫、望んで良い
僕が君の剣になってあげるから


クリストフ・ポー
「やぁ!こんにちは☆僕はクリストフ・ポーと言うんだ。恐い伝記を書く為に各地を回って伝説を集めてるんだよ♪」

トランクから玩具やからくりを出して見せて、村の子供達に近づき一緒に遊んで打ち解ける。
年端もいかぬ子程警戒心も薄いだろうけれど、具体的な情報を得るならある程度ものが解る年頃の子がいい。
でも年端もいかぬ子と打ち解けることで、そういう子の警戒心も薄められたらいい。
「…西の村で人攫いをしてた怪物が猟兵に倒されたって話があってね、どんな恐い怪物の支配も永遠じゃないのだと知ったよ。大切なのは、諦めないことだ。」
「この村を支配してるシュバリエは、何時、何処からやってくるんだい?」



(「どうしてこの様な村を支配しているのでしょうかね?」)
 村に入り様子を見ていたフローリエ・オミネはふと思う。
 見た限り、それ程大きな村でも無ければ、村人も然程多いという訳ではない。
 寧ろ、閑散としている位だろう。
 そうして見知らぬ者達が入ってきたのを村人……特に大人は警戒と怯えを感じさせる目で見ていた。
(「こういう時はやっぱり子供達から、だよね!」)
 クリストフ・ポーはそう思い、子供達の輪を探す。
 村の少し外れで子供達が遊んでいた。
「やぁ!こんにちは☆僕はクリストフ・ポーと言うんだ。恐い伝記を書く為に各地を回伝説を集めてるんだよ♪」
 告げながらクリストフがトランクから玩具やからくりを取り出して子供達の前でお披露目すると、子供達は興味深げに其れを眺めている。
 クリストフの機転によって子供達が警戒心を解き始めていくのを見ている内に、やや年上と思しき少年が此方へと駆け寄ってくる。
「お前達、こんな所で何やってんだよ!余所者に気を許しちゃ行けないって大人達も言ってただろ?!」
「でもエイジ兄ちゃん、この人のトランク、色々な面白いものが沢山出てくるんだぜ? これなら、きっとア……」
 子供の一人が何事かを言おうとしたのを咄嗟に口止めするエイジと呼ばれた少年。
「バカ、姉ちゃんの事を言うのは止めろ! って、あっ……」
 ハタと、しまったと言う様に自分の口を押さえるエイジだが、その様子からオブシダン・ソードがそれと察してエイジを見る。
「もしかして、その姉ちゃんが次の鎮魂祭の生贄なのかな?」
 オブシダンの言葉にうっ、と詰まる少年。
「私達は、シュヴァリエと言いましたか、皆様が生贄を捧げているその方を倒すために此処に来ました」
 フローリエがそう告げるとエイジは信じられない、と言う表情になる。
「シュヴァリエ様を倒す? ……そんなこと、出来るわけ無いだろ……」
 エイジの呟きにですが、と軽く頭を振るフローリエ。
「もし、このまま女性を生贄に捧げ続けていけば何時か村自体が滅んでしまうのではありませんか?」
「……」
「鎮魂祭って言うくらいだから祈りとか捧げたりするんだよね? どちらの方向に捧げたりするのかな?」
 祭りのことを聞かれたエイジは益々顔を俯ける。
(「これ程余所者への警戒心は強いものなのですね……如何しましょうか?」)
 もう少し上手く警戒心を解く必要がありそうだ、とフローリエは考える。
 そこでハタと、そう言えば、と言うように呟くのはクリストフ。
「……西の村で人攘いをしてた怪物が猟兵倒されたって話があってね、どんな恐い怪物の支配も永遠じゃないのだと知ったよ。大切なのは、 諦めないことだ」
「諦めない事……」
「それと君が姉ちゃんと呼んだ人が次の生贄になるみたいだが、その事を君はどう思っているのかな?」
「……姉ちゃん……アイナ姉ちゃんは……」
 ――分からない。
 そう口に出さずとも態度で示すエイジにオブシダンは人好きのする柔らかい笑みを浮かべて問いかける。
「それなら、そのアイナさんからも話を聞いてみたいね。僕達を彼女に会わせて貰えないかな?」
「……分かった。じゃあ、俺に付いてきて」
 静かにエイジが頷き子供達と分かれて猟兵達を村の奥にある教会の様な所へと案内する。
 オブシダン達がそこに入ると、凡そ10代後半位の少女が頭を垂れて祈りを捧げている様が見えた。
 彼女は人の気配に気が付いたかふわり、と此方を振り向く。
 華奢で美しい金髪で物腰こそ柔らかいが、何処か村人達のために覚悟を決めた表情とフローリエ達への警戒心を見せている。
「エイジ、この方達は……?」
 ――君達はこうして生贄に選ばれた少女に出会うことに成功した。
 だが、まだ物語は始まったばかり。
 彼女の心を勝ち取り、彼女を通じて居場所に詳しいであろう村の大人達の信用を勝ち得て居場所と時期を教えて貰う必要が有るだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

クリストフ・ポー
うーん、覚悟を決めた女は強いよ!
小細工無しの真っ向勝負だ
「初めまして、アイナお姉ちゃん♪僕の名前はクリストフ、エイジ達の友達さ!」
だから案内して貰ったのと笑いかけて本題に入る
僕等はアイナさんを
うぅん、アイナさんだけじゃないこの村の未来を救いに来た
今度の生贄はアイナさんが我慢すれば済むのかもしれない
でも、じゃあ次は?その次は?
僕と遊んでくれた小さいあの子供達が生贄になるの?
アイナさんはそれも仕方のないことだって思えるんだろうか?
…思える訳が無いよね
シュヴァリエを倒さない限りこの儀式は永遠に続く
今までも、これからも、皆がずっと泣き続けるんだよ
こんなの、終わりにしなきゃ
僕等がこの命と力を貸してあげる


ティア・レインフィール
「初めまして、私の名前はティアと申します。見ての通り、旅の修道女です。
私も祈らせて頂いてよろしいでしょうか?」

会釈をし、微笑を浮かべて丁寧にお願いを
祈りを捧げた後、話を切り出す

「エイジ様から生贄の事は聞きました。
家族や村人の為に自身を捧げる……並大抵の覚悟では出来ない事だと思います」

「ですが、アイナ様が生贄となっても暫くすれば新たな生贄が捧げられるだけ。
悲劇の元を断ち切らなければ、真の幸福は得られないのです」

「どうか生贄を受け入れる覚悟ではなく、悲しみの連鎖を終わらせる勇気を出してください」

苦しみに負けず、立ち向かう少女の勇気を讃えた聖歌を歌います
勇気を出して欲しいという願いを【歌声】に込めて


オブシダン・ソード
可能なだけ説得を。実力は、問われれば示せるけど
できればこの子には信じて欲しいな

よかった、会えて嬉しいよアイナ
僕達は君を救けに来たんだ
胡散臭いでしょう、わかるよ、ふふふ

不躾は承知で言うよ
「自分を犠牲に」って選択のできる聡い君なら分かってるんじゃないかな
このままじゃ、この村の皆もじり貧でしょ?
君を一人贄にしても問題の先送りでしかない

ここでダメにしちゃったら今までの犠牲に申し訳が立たないのもわかるよ
でも、今までの彼女等も、不要な道連れは欲しくないはずさ

で、君の願いはなに?
村の皆の平和? 君自身が助かりたい?
ただただ贅沢に、言ってくれないかなぁ
両方欲しいって

そしたら僕等は手を貸せる。信じて欲しいなぁ



「初めまして、 アイナお姉ちゃん♪ 僕の名前はクリストフ、 エイジ逹の友達さ!」
 だから案内して貰ったのとエイジにクリストフ・ポーが笑いかけると、なんとも言えぬ微笑を浮かべた。
「エイジが……村の外の方と……?」
 緊張と覚悟と警戒心の甲冑を身に纏ったアイナが目を瞬かせている。
 戸惑うアイナに会釈を一つし微笑を称えるは、ティア・レインフィール。
「初めまして、 私の名前はティアと申します。見ての通り、旅の修道女です。私も祈らせて頂いてよろしいでしょう?」
「あっ……はい、どうぞ」
 答えながら少し場を譲るように横に退くアイナ。
 アイナにありがとうございますと丁寧に礼を述べ、そっと膝をつき、祈りを捧げる。
 ――静謐。
 天使が通り過ぎていくかの様に束の間訪れたそれを破り口火を切ったのは、オブシダン・ソード。
(実力は、問われれば示せるけどできればこの子には信じて欲しいな)
 そう願いながら飄々とした微笑を浮かべたアイナに告げる。
「僕達は君を助けに来たんだ」
「えっ……?」
 怪訝そうなアイナに戯けたように肩を竦めてふふふ、と笑うオブシダン。
「胡散臭いでしょう、わかるよ」
「でも、僕等はアイナさんを……」
 うぅんと頭を振り、アイナを見つめるクリストフ。
「アイナさんだけじゃないこの村の未来を救いに来た」
「……どういう、ことですか……?」
「エイジ様から生贄の事は聞きました。家族や村人の為に自身を捧げる……並大抵の覚悟では出来ない事だと思います」
「そうでしょうか? これは私の村にとっては当然のこと。私はそれを特別だとは思いません」
 ティアの言葉にそう返すアイナの表情には迷いがない。
「不躾は承知で言うよ」
 そんなアイナを諭すべく告げるはオブシダン。
「「自分を犠牲に」 って選択のできる聡い君なら分かってるんじゃないかなこのままじゃ、 この村の皆もじり貪でしよ? 君を一人贄にしても問題の先送りでしかない」
「それは……!」
 冷静に告げるオブシダンにアイナが息を飲み、僅かに取り乱すのを穏やかに諭すティア。
「オブシダン様の言う通りです。アイナ様が生贄となっても暫くすれば新たな生贄が捧げられるだけ。悲劇の断ち切らなければ、 真の幸福は得られないのです」
「……それは、そうかも知れません。ですが、今私が生贄になれば、村の皆も、貴方方にも危険が及ぶことはありません。だから、私は……」
 祈るようにキツく両手を胸元で握りしめるアイナ。
「……今度の生贄はアイナさんが我慢すればすむのかもしれない」
 でも……と、頑なな様子のアイナに切り込んだのは、クリストフ。
「じゃあ次は? その次は? 僕と遊んでくれた小さいあの子供達が贄になるの?」
「……!」
 クリストフの問いに思わず、と言った様に目を見張るアイナ。
「アイナさんはそれも仕方のないことだと思えるの?」
「そ……れは……」
「……思える訳が無いよね」
 クリストフの呟きに俯くアイナ。
 エイジが心配そうにアイナを見ると、アイナは大丈夫よ、と気丈に微笑みかけるが、動揺は隠し切れていない。
「でも……私が犠牲にならなければ……姉様達、皆の……」
「ここでダメにしちゃったら、今までの犠牲に申し訳が立たないのもわかるよ」
 ここぞとばかりにでも、と畳みかけるはオブシダン。
「今までの彼女等も、 不要な道連れは欲しくないはずさ。……君のお姉さんなら、尚更ね」
「……うっ……うう……」
 ――ポタリ。
 アイナの瞳から滴り落ちる涙を見て、クリストフが続ける。
「シュヴァリエを倒さない限、りこの儀式は永猿に続く。今までも、 これからも、皆がずっと泣きけるんだよ」
 クリストフの囁きに、ティアが頷きかけ、そっとアイナの手を取り、優しく見つめた。
「どうか生贄を受け入れる覚悟ではなく悲しみの連鎖を終わらせる勇気を出してください」
「 君の願いはなに? 村の皆の平和? 君自身が助かりたい?」
 ティアに続けて問いた後、微笑を称えてオブシダンが告げた。
「ただただ贅沢に、 言ってくれないかなぁ? 両方欲しいって。そうしたら、僕等は手を貸せる。信じて欲しいなぁ」
「こんなの、 終わりにしなきゃ。僕等がこの命と力を貸してあげる。だから……」
「……」
 クリストフの言葉に震えるアイナ。
 先程までの覚悟とは異なる感情が、その顔から滲み出ている。
 それは、恐怖。
 可能性に賭けたい、けれども上手くいくか分からない、と言う不安から来るそれ。
 だから……。
「~♪ ~♪」
 ティアは、歌う。
 ――苦しみに負けず、 立ち向かう少女の勇気を讃えた聖歌を。
 ――勇気を出して欲しいという願いを【歌声】 に込めて。
 それは聖女たる彼女が戦いのために、誰かを守るために授かったユーベル・コード。
 ――シンフォニック・ギア。
 聖歌が響く。
 教会全体を優しく包み込むように。
 それは、先の静謐の如く美しきもの。
「……Amen」
 ティアの賛美歌が最後の聖句を紡いだ時。
 アイナの瞳には強い意志と希望の光が宿っていた。
「どうかよろしくお願い致します。皆さんの力で村を……私達の未来を救って下さい」
 その言葉にティアが。
 クリストフが。
 オブシダンが。
 笑みを浮かべて頷き返した。
 かくて、猟兵達は生贄の少女の信頼を勝ち取り、シュヴァリエの住まう場所……南方の古城の情報を得る。
 そして猟兵達は、その古城へと向かうべく、辺境の村を後にした。
 ――シュヴァリエを倒すために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。

イラスト:トギー

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


――辺境の古城。
 アイナから情報を得た猟兵達が向かったそこは、異様な気配に包まれていた。
 何処かおぞましさを感じさせるが同時に何故か奇妙な位手入れの施されたその城は、なるほど、花嫁を迎える場としてある意味相応しいとも言える。
 中世の騎士の住まう館と言えば、分かりやすいだろうか。
 様々なことを思いながら、猟兵達は古城へと足を踏み入れる。
「ウオオオン」
 それは雄叫びか、はたまた嘆きか。
 猟兵達が其方を見ればそこにいるのは、数十体に及ぶ篝火を抱えた亡者達。
 或いは、これが贄となった少女達のなれの果てか。
 それぞれに思考を張り巡らせながら戦闘態勢を取る猟兵達。
 此処にいるので全てかは分からないが、いずれにせよ撃退するなりなんなりして群れを突破しなければシュヴァリエの下に辿り着けそうには無かった。
 さあ、武器を取り、己が力を示せ猟兵達。
 いざ、戦いの始まりだ。
クリストフ・ポー
大人気だね~!これが生贄になってきたお姉ちゃん達なのかな
どうしよう?
こうもゾロゾロやって来られちゃうと、僕等も手に余っちゃうや…
なーんてね!
安心してlady's、ちゃんとその為のユーべルコードも用意してあるよ♪
【ブラッド・ガイスト】
これでアンジェリカの封印を解除して殺戮捕食態にする
うん、戦うなら一人より二人だ!
王子様じゃないのはごめん…
生贄にならなければ、君らにもそんな未来があったろうにね
それでも向かってくるなら、殉じるというなら
君たちの下した結論を拒まないよ
アイナやエイジ達、今の村人達は別の道を行くけれどね!
さぁ、僕達と血の舞踏を踊ろうじゃないか


黒門・玄冬
村人には戦場に近づかないよう頼んでおく
新たにシュバリエの手勢を増やしては切りがないから
不安だろうけど待ってて欲しい

「…加勢しよう。」
地形全体を一瞥して亡者の位置を把握
プログラムド・ジェノサイド
可能なだけ多数に打撃を与えらる応戦プログラムを組み
「完了…実行する。」
亡者の群れに乗り込み、攻撃を展開する

たとえこの亡者がその結果だとしても
村の人々が今まで繋げてきた命と決断を
猟兵たちが繋げてきたチャンスを、ここで無駄にはさせない


ビジュ・ラマン
嗚呼。怖い。
何と言う変わり果てた姿。
元は人だったとは思えぬ醜き亡者。
私と同じだ。醜き私と同じだ。

……怖いのは、彼らの姿ではない。隣に並び立つ彼ら猟兵達よ。済まない。私に意思疎通を求めないで。
せめて敵と思われぬよう、彼らを守ろう。

彼ら、彼女らに。
せめて、せめて永遠の安寧を。

「オオオオオオ……ッ!!」

己の肉体を拳と為し、殴り抜く。砕く。微塵に。
済まない。済まない。
どうか、これが救済となりますよう。
 
仲間をかばい、存在感で敵を惹きつける。
共に戦う猟兵達よ、進みなさい。
私は貴方達と話すことはできない。
「オオ゛……!」
だからどうか、私を踏み台にしなさい。
そして、絶望に暮れる人々の光とならん事を。


オブシダン・ソード
ああ、君達も道連れが欲しいのかな?
でも、すまないね、僕達は生者の味方なんだ

仕掛けるよ。皆、合わせてくれるかな

ウィザードミサイル
手始めに篝火の中心に向かって炎の矢を降り注がせてもらうよ
君達の篝火が効果を及ぼす前に、僕が燃やしてしまおう
その後は黒剣で切り裂いて各個撃破を目指す

同行する仲間とは積極的に連携を取りたい
敵の数が多いなら背中合わせになったり死角を埋めて戦おう
まだまだ、親玉はこの先に居るんでしょう?
腕自慢は力を残しておいてよね


ティア・レインフィール
古城を見て思い出すのは、両親と共に暮らした幼い頃の事
胸を締め付けられるような思いにかられながら
今は目の前の亡者達に集中します

「神よ……どうか哀れな魂に、救済を」

短く祈りを捧げ【シンフォニック・キュア】による聖歌で
皆様の傷を癒して援護を致します
アイナ様の願いを叶えたい
その想いを【歌声】に精一杯込めて

ですが、消耗戦となれば不利なのはこちら
城の主であれば恐らく城の奥か、最上階に居るのではないでしょうか
周囲を見回し、そのような場所に通じそうな階段や通路を探します

そして亡者が少ない所を集中して攻撃し
突破口を開いて先に進む事を皆様に提案を致します


満月・双葉
僕は一緒に行ったメンバーの後方支援に徹するよ。
相手の生命力…存在するのに必要な場所、そこを見極めて攻撃し、削ぎ落とすことに徹しようかな。
勿論トドメをさせるようなら積極的に狙うよ。
でもまぁ戦闘は初めてだし皆の足を引っ張らないように注意して無理はせず、戦場を広く見渡して変化に注意、危険があれば即周知するように努めようかな。
…ママに教えて貰ったことが生きるなんて癪だけど、仕事に私情は挟まない。
気絶したら相手に利用されるかも知れないね、だからそれも警戒しないと。
女の子を虐めると後悔するよ。




(思い出してしまいますね。お父様達の事を)
 アイナから聞いて辿り着いた古城を見ながら微笑を称えていたティア・レインフィールは、その瞳に何処か悲哀を感じさせる眼差しを浮かべている。
「大人気だね~!これが生贄になってきたお姉ゃん達なのかなどうしよう?」
 ティアとオブシダン・ソードと共に目前に立ちはだかる亡者達を見つめながら、クリストフ・ポーが小首を傾げた。
「仕掛けるよ。皆、合わせてくれるかな?」
 その手に漆黒の炎球を生み出しながらオブシダンが飄々と問い掛ける。
 その問いにティアは軽く頭を振った。
(感傷には、後でも浸れますわね)
 今は。
 そう、今私達がやるべきことは。
「神よ……どうか哀れな魂に、 救済を」
 祈りを籠めて十字を切りながら、目前の亡者達を浄化するべく戦うことだ。


(嗚呼。怖い。何と言う変わり果てた姿。かつては人だったとは思えぬ醜き亡者。私と同じだ。醜き私と同じだ。) 
 亡者の大群が放つ炎からティアを守りながら、ビジュ・ラマンはそう思う。
 人としての形をきちんと留め切れておらぬ醜悪な自らの姿。
 今、この場で共に戦う自分のことを猟兵の仲間達はどう思うだろう。
 亡者達と変わらぬ化物と思うだろうか。
「オオオオオオ……ッ!!」
 絶叫と共に、ビジュはその拳を構える。
 動きだす直前、オブシダンが素早く合図を出しながら亡者達を睥睨した。
「手始めに、簧火の中心に向かって炎の矢を降り注がせてもらうよ」
 呟きと共に手に作り出していた炎球を天に向かって解放する。
 解放された75本の炎の矢が天井から驟雨の様に降り注ぎ、次々に亡者達の篝火の勢いを強め、亡者達の体を焼き払っていく。
「アアアアアッ!?」
 喘ぎ叫びながら暴れ回る亡者達の杖の先端から放たれた炎が次から次へと着弾するが、その全てをビジュが受け止め、そして全身に火傷を負っていた。
 ――だが。
「~♪ ~♪」
 美しき賛美歌が古城内を満たしていく。
 それは、仲間に安らぎと癒しを。
 亡者達の魂に安息を与える天使の歌声。
 ――エンジェリック・キュア。
「大丈夫ですか?」
「ォ……ア゛……」
 傷を癒され、形を整えられていきながらビジュは小さく首を横に振る。
(すまない。私に意思疎通を求めないで)
 労りを、温もりを無碍にするほど傲慢では無いけれど。
 この様な醜悪な容姿の私には……あなた達の想いに答える事が出来ないから。
 ビジュがクリストフの前に立った時。
「こうもゾロゾロやって来られちゃうと、僕等も手に余っちゃうや……なーんてね!」
 茶目っ気たっぷりにクリストフが口元に笑みを浮かべながら、自身の指に傷をつけ、ポツリと一滴の血を滴らせる。
「安心してlady's、ちゃんとその為のユーべルコードも用意してあるよ♪」
 術式を解放すると同時に現れたのは、【殺戮捕食態】に変化した女の子。
「1人よりは、2人。2人よりは、5人ってね! 行くよ、アンジェリカ!」
 クリストフの滑らかな動きに従って、アンジェリカがまるで人の様に身軽に動き、亡者達を喰らう。
 オブシダンが放ちし炎の矢に降り注がれ、何体かは急所を撃ち抜かれて焼き尽くされ、それでも完全にその攻撃を避け切った亡者達が、鬼気迫る勢いで篝火を天へと掲げ赤々と燃え盛る炎を生み出し、後方で賛美歌を歌い続けているティアを焼く。
 ビジュがそれ以上はやらせぬとばかりにティアの眼前に再び立ち、その炎の一部を浮け切るが、如何せん数の差による劣勢は未だに覆せていない。
(彼女等に)
 ――せめて、せめて永遠の安寧を。
「オオオオオオ……ッ!!」
 雄叫びを上げながら自らの体を拳へと変形させ、焼き焦げた体に鞭打ちながら、ひたすらに亡者達を叩き潰す。
 それに追随する様に、黒剣を抜剣したオブシダンが薙ぎ払い。
 ビジュの背後に迫った亡者を一閃で蹴散らすが、まだまだ亡者達の勢いが衰えることはない。
(さて……どうしようかな?)
 如何せん数の差に押されて、このままでは不利になるかと微かに考え始めた時。
 
 ――新たなる猟兵達が姿を現す。


(少しばかり、遅くなってしまったか)
 物見も兼ねて戦場の様を眺めながら、黒門・玄冬はそう思う。
 母であるクリストフ達が、アイナと言う今回の生贄となる筈だった少女を通じてこの場所を見つけていたことは知っていた。
 しかし、亡者達は殺した、或いは気絶した相手を力こそ低けれど24時間動く亡者を量産する能力を持っている。
 ともすれば、勇敢にも……否、この場合には無謀にも、と言うべきか……玄冬達の道に同道を村人もいたかも知れぬ。
 そうなれば、敵の増加は必定。
 故に根回しを行ってから此方に来たのだが、その分少し遅れてしまったかも知れなかった。
 けれども、戦いの女神は未だ、その接吻をどちらにも向けていない。
 故に……。
「……母上、皆の者。……加勢しよう」
 告げながら、地形全体を把握し、亡者達の群れを確認しながら、プログラム・ジェノサイドを起動する。
 それは正しく、鷹の様に、燕の様に。
 オブシダンとビジュが倒しそびれた亡者達へと猛打を放ち、確実に屠って行く。
 それは……自らの脳に、予めプログラムしていた連続攻撃。
 その動きは、正に疾風怒濤。
 けれども、故意か、偶然か。
 その攻撃を避ける亡者もいる。
 玄冬の攻撃を回避した亡者が、彼を自らの仲間にするべく篝火を解き放ち、その体を焼いた時。
『命…視えた』
 努めて淡々とした口調で、満月・双葉が呟き、その指から亡者達の生命力を削ぎ落とす矢を解き放つ。
 放たれた矢は即座に亡者を射抜き、その命の終焉を生み出した。
「~♪ ~♪」
 高らかながらも澄んだ声音で清らかな歌をティアが紡ぎ出し、傷を負った玄冬の傷を見る見るうちに癒していく。
「おっ、玄冬君も来たんだね♪ そっちの子は、なんていうのかな?」
「私? 双葉だよ」
 戦場を睥睨しながら呟く双葉にアンジェリカを戦わせながらクリストフが微笑する。
「双葉嬢か♪ うんうん、良い感じ、良い感じ。これなら巻き返せそうだね、オブシダン君」
「約束したからね、アイナ君と。それに、これだけ人数が揃えば一気に行けるよね?」
「そうですね。私達は、アイナ様と約束しております」
 オブシダンの呟きに、憂い気な瞳の色のままに、微笑を口元に翻して頷き返すティア。
「皆、亡者達の後ろから、増援が来るよ」
 軽口を叩きあいながら、戦いの手を止めぬオブシダン達に警告する様に、双葉が声を張り上げる。
「オオオオオ……」
 双葉のその声掛けに応じるかの様に。
 半数以上の亡者達が片付いたその戦場の後方に更に10体程の亡者が姿を現していた。
「ああ、君達も道連れが欲しいのかな? でも、すまないね、僕達は生者の味方なんだ」
 増援達を叩き続けて、余計な体力を消耗したくない。
 そう思ったオブシダンが、再びその手に炎球を生み出し、天空へと放り投げる。
 放り出された漆黒の炎球が75本の炎の矢となって降り注ぎ、亡者達を一斉に焼き払った。
「皆様、あちらです」
 このまま戦い続けていてはジリ貧になる。
 高らかに聞く者全ての心を奮い立たせる讃美歌を歌いあげながら、ティアが一点を指差した。
 それは、階段。
 その先から感じ取れるのは、この亡者達よりも遥かに禍々しい気配。
「左翼に一点集中して下さい。恐らくそれが最適解です」
「了解だよ! 玄冬君、双葉君、それから、君も!」
(……ママに教えて貰ったことが生きるなんて癪だけど)
 ティアの指示にクリストフがアンジェリカと共に亡者達を蹴散らしながら声を張り上げて来るのに、双葉がそっと息を一つ。
 ――忌々しい話ではあるけれど、ママから教えて貰った生き残る術こそが、現時点での最適解であることは否めない。
 それが分かっているからこそ、双葉は【生命を視る力】で、100m範囲内にいる亡者達全体へと【生命力を奪う矢】を出鱈目に撃ち出す。
 無数の矢が双葉を中心に扇状に広がっていき、次々に亡者達を射抜いて、その動きを縫い留める。
「オオオオオ……!」
 ビジュが動きを止めた亡者達に拳を振るい、次々に亡者達を屠りながら殿に。
「まだまだ、親玉はこの先に居るんでしょう? 腕自慢は力を残しておいてよね?」
 オブシダンがくつくつと肩を震わせて笑いながら、クリストフとアンジェリカと共に前進する為、増援の亡者達を切り伏せて道を切り開き。
 玄冬が再計算して【脳にプログラムし直した】連続攻撃で間隙を拭い。
 双葉が解き放つ生命を奪う矢が玄冬の撃ち漏らした亡者達に確実に止めを刺した。
 ティアが常に声を張り上げて歌い続ける讃美歌が、傷だらけになりながら殿を務めるビジュを初めとする仲間達を支えている。
 そうして猟兵達は、奥へ、また奥へ。
「皆さん、この先から強い気配が致します……」
「そうだね。多分、この先にシュヴァリエがいる」
 ティアが感じ取った気配に、双葉も又同意する様に頷き、それにオブシダンとクリストフ、そして玄冬が目配せを交わし合った。
 けれども、殲滅とまではいかず、まだ若干の亡者達が後ろから追撃を仕掛けてきている。
 亡者達の前に立ちはだかるは、ビジュ。
 言葉こそ交わさぬが、此処は自分が食い止める、という意志はこの場にいる猟兵達の全員が気付いていた。
 ――だからこそ。
「それじゃあ、此処は任せたよ!」
 クリストフが励ましの声を掛け。
「神よ……どうか、あの方にご加護を……Amen」
 ティアが聖句と共に祈りを捧げ。
「気絶したら相手に利用されるかも知れないからね。それだけは気を付けてね」
 手向けとばかりに双葉が【生命力を削ぎ落とす矢】で亡者達の篝火の灯った杖を射抜いて炎の勢いを弱め。
「……此処は任せた」
 玄冬が小さく一礼し、クリストフ達と共に最上階へと続くであろう階段を駆け上っていく。
 その様子をちらりと見ながら、ビジュは思う。
 共に戦う猟兵達よ、進みなさい。
 私は貴方達と話すことはできない。
「オオ゛……!」
 雄叫びをあげ、その身に力を籠めながら。
(だからどうか、私を踏み台にしなさい)
 ――そして……。
(絶望に暮れる人々の光とならん事を)
『オオオオオオオオッッッ!!!!!!』
 吼えながらビジュは自らの身を巨大な拳へと変貌させ、ティアのユーベルコードでも尚、癒しきれなかった傷の焼け付く様な痛みに耐えながら、残り僅かになった亡者達に襲い掛かった。

 ――かくて、猟兵達は辿り着く。

 ……シュヴァリエ。
 かの村を支配せし、主の元へと。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:神手みろふ

👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


――古城、最上階。
 まるで、日本の古城の天守閣の如き趣を見せるその小部屋にその男はいた。
「まさか、此処まで来るものがいるとは思わなかったぞ」
 漆黒の闇に包まれた人の背の丈ほどは有るであろう両手剣を軽々と振り回しながら、漆黒の甲冑に身を包んだその騎士が鷹揚に告げる。
 両手剣、そして甲冑の全身から仮に歴戦の猟兵達であっても、一人では気おされてしまうであろう程に『黒い』瘴気にその身を包んだ甲冑姿の『騎士』
 その姿を見て、猟兵達は直観した。
 今、目前にいるこの存在こそが、辺境のあの村を苦しめる全ての元凶、『シュヴァリエ』なのだと。
「出来る事であれば、花嫁達と戯れるだけで、穏便に済ませたかったのだが……其方等はそういう訳ではあるまい?」
 圧倒的な存在感と共に問いかけるシュヴァリエ。
 それは正しく目の前の存在が、『強者』と呼ばれる者なのだと、実感させられる。
「さて……此処まで来た其方等だ。我が求めるは何かは分かるだろう?」
 ――クツクツ、クツクツ。
 その兜越しでは表情は分からない。
 だが、シュヴァリエが何を望んでいるのかだけは、明白だ。
 それは……戦。
 血沸き肉躍る死力を尽くした死の舞踏(ダンス・マカブル)。

 ――さあ、猟兵達よ。

 遂にその時は来た。
 かの存在……生贄として花嫁を求めそして辺境の村を支配し続けてきたかの異端の騎士……シュヴァリエに最後の戦いを挑むが良い。
 そして、見事にシュヴァリエを打ち払い。
 辺境の村の人々の細やかな幸せを、掴み取って見せるのだ。
満月・双葉
先ず行うのは戦場の把握。死角になりそうなところは特に注意。そして常に変化に注意し、危険を感じたら仲間に知らせる。
敵の攻撃も早期に把握するように務め、危険な攻撃の前触れに注意。行動の癖等把握。弱点も見極め仲間に知らせる。

連携を重視し乱さぬよう注意。

生命を見極め削ぎ落とす攻撃を使用し、仲間の援護に務める。

全てが終わったあと思うこと。
やっている事全てがママに教えてもらったことだ…気に食わないけどママが優秀な戦人であることは確かなんだよね。


クリストフ・ポー
……何だ、哀れな花嫁達は余興か。
戦好きなら死ぬまで戦場に居ればいいものを
辺境の村に引き篭ってお茶を濁してたのは
この地を離れられない訳でもあるのかい?
いいや、興味ない
趣味の悪いクソ野郎に
怒っている僕が話し込んでやる必要はないね

血を流せば力を与えるから
【フェイント】で敵の攻撃を避けるながら戦う
馬を出すなら室外だろうか?
殺傷力も範囲攻撃もヤバいな
ここで食い止めなければ不味いという場面で【オペラツィオン・マカブル】で引き受け
剥ぎとって無力化してやろう
一か八か、賭けるだけの価値はある

付き合わされた彼女達の怒りと悲しみや口惜しさ
残ったビジュ君の叫び
そのすべてが今日の僕達の刃となって、貴様の喉笛に突き刺さる


黒門・玄冬
「不愉快なのは同感だ…それ以上喋るな、腐臭が漂う。」
隙を与え必要はない。
強者を相手に出し惜しみはしない。
『怪力』『グラップル』『見切り』を駆使して『灰燼拳』を交え戦う。
仲間を『かばう』と見せかけ、奴の手の内に落ちれば。
『だまし討ち』の『2回攻撃』を見舞ってやろう。
懐に入り込むのと同時に動きを封じ、仲間への攻撃を妨害する。

撃つ際に狙うのは一番面積の大きい同体だ、
騎乗していればよりヒットする確率が高い馬の胴体を狙う。
生贄にされた娘達、その為に涙を流した村の者達。
此処へたどり着くまでに力を合わせた猟兵の仲間達、
その願いを叶える為、希望を灯すために。
僕にはこの拳を振り下ろすことしか出来ない。


レガルタ・シャトーモーグ
…正面からぶつかり合うのは不利だな
絡め手でいくか…

咎力封じで布石を打つ
シュバリエの周囲を回り込むように走って攻撃を分散させつつあちらの出方を見る
どの攻撃も厄介そうだが、一番に警戒するなら、あの両手剣…
範囲攻撃の威力を落とせば、多少は戦いやすくなるだろう

悪いが貴様の舞台に上がってやるつもりはない
騎士道ごっこも勝手にやってろ


オブシダン・ソード
ダンスの相手がご所望なら相手をしてあげよう
でも願いまでは叶えてあげられない
僕はあの姉弟の願いを叶えると決めたからね
今まで踏みにじってきた願いの分、ツケを払うと良い

錬成カミヤドリ
さあ、僕の分身たる黒耀石の剣たちよ
踊ってやれ

とはいえ一人で同行できる相手ではなさそう
だから仲間の攻撃に合わせて剣を振るう
隙あり、とか思ってる相手に一矢報いてやりたい
調子にならないでね?

フォーリングローゼスがきたら全力を示そう
花びら全部叩き斬るつもりでいくよ

基本的に援護重視
さあ、後は任せた
よろしくね

不幸な花嫁なんて見たくないんだ、わかる?
それじゃ、ダンスはお終い


美星・アイナ
死の舞踏、上等じゃない
私もダンサーの端くれして受けて立つよ

軽くステップを踏んだ後レガリアスシューズで動き回りながら相手を引き付けながら蹴りを足下めがけて集中的に叩き込む

攻撃手達と声を掛けあって効率よく攻撃へ

仲間達が深手を負ったらユーベルコード【ブレイブハート・シャイニングホープ】を発動し治療
コード発動と同時にロックディーヴァ系の勝気キャラに人格切替

『ここまで来たんだから、全力でぶっ潰すわよ!』

やっとエンカウントした悪意の根源
何度ぶちのめしても足りない位の思いの根源は
流す涙も枯れる程までに追い込まれてた村人達の姿
大事な人を見送り続ける悲劇の連鎖はもう見たくない
忌まわしい因習もこれで終わりよ


ティア・レインフィール
「……花嫁達と、戯れる?」

今まで、どれだけ悲痛な覚悟をもって多くの女性達が犠牲となったのか
残された家族が、友人が、恋人が、どれだけ嘆きを重ねてきたのか
それを戯れと呼ぶならば、間違いなく目の前に居る者は神の敵
何より、私自身が彼を許せません

「神の名の下に、断罪します……!」

短く勝利を願って【祈り】を捧げ
【シンフォニック・キュア】による聖歌を【歌唱】し
皆様の傷を癒して援護を致します

アイナ様や村の人々を救いたい
その気持ちを込めて、精一杯歌い続けます

自力でも攻撃の回避や防御が出来るよう
常に敵の様子には注意

そして敵の動きを観察し、攻撃の予備動作や癖を始めとした
弱点が分かれば皆様に伝えたり警戒を呼び掛けます



「……花嫁達と、戯れる?」
 シュヴァリエの嘲笑を交えたその一言に、決して絶やすことの無い微笑を口元に讃えながらも、何処か冷たく呟くは、ティア・レインフィール。
 その呟きは、正しく真冬の如く凍り付いている。
「……何だ、哀れな花嫁達は余興か。戦好きなら死ぬまで戦場に居ればいいものを辺境の村に引き篭ってお茶を濁してたのはこの地を離れられない訳でもあるのかい?」
 告げるクリストフ・ポーの言葉も又絶対零度。
「さて……其方等にそれを話す必要など、我にあるかな……?」
 大仰に肩を竦めるシュヴァリエのその様子。
 だが、クリストフにはそんなシュヴァリエの様など興味の対象になりえぬものだ。
(趣味の悪いクソ野郎に怒っている僕が話し込んでやる必要はないね)
「ダンスの相手がご所望なら相手をしてあげよう」
 クリストフの抱える怒りを感じ取りながら、オブシダン・ソードが飄々と肩を竦める。
 ――でも。
「君の願いまでは叶えてあげられない」
(僕はあの姉弟……)
 脳裏を過るは、アイナとエイジ。
 今になって思えば、あの二人はまるで姉弟の様に面影が似通っていた。
 つまりは……そういうことなのだろう。
 なればこそ、エイジがあれ程までに必死であった理由も腑に落ちる。
 ――だからこそ。
「不愉快なのは同感だ……それ以上喋るな、腐臭が漂う」
 黒門・玄冬が、努めた冷静な声音で語り掛ける。
 その口調には抑えきれぬ殺意と闘志が滲み出ていて。
 仲間達が其々に抱える激情に流される事無く、満月・双葉は、戦場の把握に努めていた。
(死角になりそうなところは特に注意ってところだね)
 何ヶ所かそう言うところに目星をつけ、シュヴァリエの観察を続けて息を一つ。
 この場所はシュヴァリエにとって、武器を振るうには十分余裕のある場所だ。
 となると、真正面からのぶつかり合いになるだろう。
「そこの娘……どうやら、この戦場を観察している様だな。だが、我にとって此処は庭の様なものだ」
 つまり……と兜越しにクツクツと笑い声を上げるシュヴァリエ。
「此処は、我にとっての『死の舞踏場』と言う訳だ。さあ……存分に来るが良い」
 告げながら軽々と両手剣を大上段から振り下ろした。


(……乾坤一擲っていうのは正しくこれなのね……!)
 真っすぐに放たれたその一撃の重さと鋭さに肌が泡立つのを覚えながら、美星・アイナはふと思う。
 ギリギリで見切って辛うじて避けることが出来たが、その頬は袈裟に斬り裂かれ、ポタ、ポタと血を滴り落ちていた。
 ――これぞ、正しく死の舞踏。
 刹那の油断が大敵に繋がる、最初で最後の舞踏大会。
(死の舞踏、上等じゃない)
 軽くステップを踏みながらの刹那の見切りと同時に、一瞬でその懐にレガリアスシューズでその場を走って双葉が目配せで伝えてきたシュヴァリエの死角に潜り込みながら、その足下めがけて蹴りを放つ。
「なるほど。確かに理に適っている。正しく舞踏そのものよ」
 トン、と軽く一歩その身を引いてその攻撃を躱しながら、返す刃で正面から放ったオブシダンの錬成カミヤドリを叩き落としながら笑むシュヴァリエ。
「……まさか、僕の分身である黒曜石の剣達の踊りを全て叩き落とすとはね」
 感嘆の声を飄々とした調子で上げるオブシダンだったが、内心の驚きは隠し切れていない。
 まさか16本の黒曜石の剣達の舞をただの一太刀で躱されるとは思っていなかったからだ。
 しかし、オブシダンの口元から零れ落ちる笑みから余裕の色は消えない。
 ――何故なら。
「……そこだ」
 玄冬が呟きながら、自らの怪力を生かして、まるで弾丸の如く飛び出し、【素手】による超高速の貫手を放つ。
 そうしてシュヴァリエの鎧を貫き内側からその身を抉る様に手を回転させる。
 ――この場に、『仲間』がいたから。
「……ぬっ!」
 その動きに微かに唸り声をあげたシュヴァリエが力を籠めて、玄冬の腕を掴んでその手を引き抜き、玄冬を振り回して宙に放り出そうとしたその時。
(……正面からぶつかり合うのは不利だな。絡め手でいくか……)
 レガルタ・シャトーモーグが拷問具を解き放ち、シュヴァリエの腕を締め上げ、更に気合を入れられぬ様、その口元を一瞬だが猿轡で塞ぎ、拘束ロープでその足を締め上げる。
 それは本当に一瞬の事であったが、玄冬が致命傷を負いかねない一撃を抑えるには十分であった。
 レガルタの拷問具により、シュヴァリエの馬力は弱まり、壁に叩きつけられながらも、呼吸が一時的に困難になり、一瞬だが意識を失うだけですんだ。
 もしレガルタの一撃が無ければ一撃で意識を奪われていたかも知れぬ。
 玄冬が思いながらも、体中の軋む様な痛みに呻き声を上げた時、高らかで清らかな讃美歌が周囲を覆った。
「~♪ ~♪」
 それは、この戦いの中で聞きなれた讃美歌。
 村のアイナを鼓舞し、彼女に自分達の目的地への情報を渡させ、そして先の亡者達との戦いの中でも、誰一人倒れる事無く、この決戦の場へと送り込んでくれた、天使の歌声。
 ――今まで、どれだけ悲痛な覚悟をもって多くの女性達が犠牲となったのか。
 ――残された家族が、友人が、恋人が、どれだけ嘆きを重ねてきたのか。
 あの村で苦しめられていた人々への想いを籠めたティアのエンジェリック・キュアが戦場を包み込み、玄冬の傷を癒し、アイナ達が戦う為の士気を高めていく。
「クリストフ、オブシダン、続いて!」
 アイナが叫びながら再び舞を踊り、シュヴァリエの左足を狙って軽くステップを踏み、一撃を加える。
「行くよ」
 クリストフが淡々と呟き、アイナが傷つけた左足を狙って攻撃を仕掛ける。
 シュヴァリエはその攻撃を咄嗟に躱すが、それは『フェイント』
 くるりと一回転してその懐に捨て身で潜り込み、玄冬が先程生み出した傷口を抉る。
「行くよ」
 オブシダンが呟きながら、黒曜石の剣を抜剣、クリストフに傷口を抉られ呻き声を上げるシュヴァリエの左足を斬り裂き、シュヴァリエの動きを阻害。
「さて、此処から先は任せたよ、皆」
『命……視えた』
 オブシダンに促される様に、双葉が静かに頷き返し、『生命力を削ぎ落す矢』をシュヴァリエへと射かけてその身を貫く。
「ぬぐっ……!」
 微かに苦痛の声を上げるシュヴァリエが、けれども決してその歩みを止める事無くダン、ダン、とその場でステップを刻む。
『ヒヒィ~ン!』
 嘶きと共にシュヴァリエの身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚してシュヴァリエがひらりと飛び乗り、戦場を両手剣を左右に振り回しながら縦横無尽に搔き乱した。
(やれやれ、なんて殺傷力と範囲攻撃だ)
 血を滴らせぬ様、最大限に務めてきたつもりだが、それでも尚、シュヴァリエの衝撃波を完全に殺すことが出来ず、脇腹に鋭い痛みを感じると同時に地面に血を滴らせながら、クリストフが溜息を一つ。
(貴様の舞台に上がってやるつもりはない……そのつもりだったが……)
 いや、拷問具によるレガルタの拘束は、現時点でシュヴァリエの攻撃を十分に弱める事が出来ている。
 だが、其れでも尚、シュヴァリエの舞台に自分達がのこのこと上がってしまっていると考えてしまうのは……純粋な実力差故だろう。
 それは、現在の猟兵達の能力では決して埋められない歴然とした力の差。
 最も……それ位の実力が無ければ辺境とは言え、村の一つを支配できる筈も無いのだが。
 四方八方に滅茶苦茶に見えてその実洗練された形で振るわれた両手剣がこの場にいるレガルタ達をズタズタに斬り裂き、瀕死、と言っても差し支えない状況に陥ったその時。
「神の名の下に、断罪します……!」
『ここまで来たんだから、全力でぶっ潰すわよ!』
 ティアの【祈り】を籠めたエンジェリック・キュアと共に、アイナの歌声が戦場全体に響き渡った。
『明日への希望は光の中、立ち向かう勇気は君の心の中、だから迷わず信じる道を進め! 大切な人達の笑顔と幸せ、明日を護るその為に!』
 そのアイナの高らかでありながら激しい旋律が『動』を生み出し、ティアの『静』と絡み合う。
 それは……【希望を綴った祈りと願いの歌】となり、先のシュヴァリエの攻撃に蹂躙されていた玄冬達の傷を癒し、『勝つ』ための活力を与えていた。
「玄冬君、行くよ♪」
「……了解だ」
 アイナとティアのデュエットに賦活され、クリストフがウインクを玄冬に一つするのに、玄冬が軽く頷きかける。
「隙は私が作るね」
 双葉が突進していくクリストフ達に呼びかけながら【生命力を奪う】矢で、シュヴァリエの肩を撃ち抜きレガルタが拘束ロープでシュヴァリエの右腕を一瞬だが締め上げ、その動きを微かに鈍らせた。
 その間にクリストフがシュヴァリエの懐に潜り込み、アンジェリカに命じて彼女を囮にしながら、その腹部に強烈な痛打を与えようとする。
 捨て身で放たれた其れに腹部を撃ち抜かれ、僅かに仰け反るシュヴァリエに向けて玄冬が左拳による裏拳を、シュヴァリエの頭部に決めかけるが。
「ふん……その程度、とうに見切っておるわ」
 驚いた様子も無く優雅な仕草で軽く体を傾けるだけでその攻撃を避けるシュヴァリエだったが、それに心中で玄冬が微笑した。
「裏の裏は……表だ」
 誰にともなくそう告げながらクリストフが与えた傷へと右拳を正面から決める玄冬。
【騙し討ち】による【騙し討ち】……裏の裏を掻いたその一撃は、容赦なくシュヴリエの甲冑越しに強かな一撃を与えていた。
「ぬう……?!」
 呻き声を漏らすシュヴァリエの様子に、ニコニコとした笑みを浮かべたオブシダンがパチン、と一つ指を鳴らす。
「此処だね……さあ、僕の分身たる黒耀石の剣たちよ。踊ってやれ」
 呟きと共に解き放たれた16本の黒曜石の剣が、全包囲から其々に動きを変えて、シュヴァリエへと襲い掛かる。
 ――薙ぎ払い、袈裟切り、逆袈裟、斬り上げ、斬り下ろし……etc。
 16本のオブシダンの分身足る黒曜石の剣が驟雨の如く降り注ぎシュヴァリエの身を斬り裂こうとする。
「ふん……!」
 舞踏する剣達を、シュヴァリエが叩き落とそうとしたその時。
 ジャラリ、という醜い音と共にシュヴァリエの片手に、【手枷】が嵌め込まれる。
 それは、レガルタの放った拷問具。
 即座に力任せにそれを外したシュヴァリエだったが、その隙を見逃さぬ様、オブシダンの16本の剣が次々にシュヴァリエを斬り裂いた。
『この程度で我の命を奪えると思うな、汝等!」
 裂帛の気合の咆哮と共に、シュヴァリエが自らの持つ両手剣を無数の【血の色をした薔薇】の花弁へと変えて戦場全体へと解き放つ。
(ブラッディローズ……?!)
 辛うじてその攻撃を躱そうとするアイナの脳裏にちらりと過るはそんな想い。
 ……その時、だった。
「やらせないよ」
 オブシダンがこの状況下でも尚、歌うことを止めず自分達を鼓舞するティアやアイナ達の前に立ち、その手に持つ剣を一振りする。
 振るわれた刃が、全てとは言わずとも、多数の血の色をした薔薇を叩き落とし、その被害を最小限に抑える。
 だが、それでも尚、猟兵達の被害は甚大だ。
 ――だから。
「~♪ ~♪」
 ティアが、歌う。
 村にいるアイナや村の人々を救いたい。
 ただ、その一身を籠めて声を高らかに張り上げて清らかな声音で歌い続ける。
『まだ、まだよ!』
 アイナもまた激しさと強さを重ね合わせた【歌】を重ね合わせ、フォーリング・ローゼスで受けた傷を癒していく。
 しかし……それでも尚、周囲には猟兵達の『血』が滴り落ち、戦場を赤黒く染め上げていた。
 その血を吸いあげたシュヴァリエの両手剣が禍々しい瘴気を帯びている。
「汝等はよくやった。だが……これまでだ……!」
 告げながら、その両手剣を大上段から振り下ろす、シュヴァリエ。
 その前に立ちはだかっていたのは、クリストフ、だった。
「母上!」
 玄冬の声が聞こえた気がしたが、クリストフは気に留めていなかった。
 彼女の脳裏を過るのは、シュヴァリエの『戯れ』に付き合わされた彼女達の怒りと悲しみや口惜しさ。
 そして、今も尚、下の階で亡者達を食い止めているであろう、『彼』が自分達を見送る様に送って来た叫び。
(そのすべてが……今日の僕達の刃となって、貴様の喉笛に突き刺さる)
 ――だから。
『……?!』
 その激しい衝撃に目を見開いたのは、シュヴァリエだった。
 目の前にいたクリストフは、この一撃で間違いなく物言わぬ肉塊と化していた筈だった。
 だが、クリストフはまだ自分の眼前に笑みを浮かべて立ち、何処からともなく現れた人形……アンジェリカの放った一撃が、自分の全身を打ちのめしている。
 ――それはまるで、自分自身の一撃を鏡に返されてしまったかの様で。
『命……視えた』
 自らの受けた衝撃に僅かな動揺を見せるシュヴァリエの兜越しに光る紅い瞳を双葉が【生命力を奪う】矢で射抜く。
 利き目を守るために僅かに首を傾け、左目の損傷だけでその被害を抑えたシュヴァリエだったが、その身に抱く驚愕と高揚は果てしなく大きい。
「クククククッ……! これ程までに愉しませてくれるとはなぁ……!」
 それは、紛れもないシュヴァリエの称賛であろう。
 それを耳にしながら、アイナが地を舞い、その足元へと蹴りを放つ。
 ――やっとエンカウントした悪意の根源。
 ――何度ぶちのめしても足りない位の思いの根源は。
 ――流す涙も枯れる程までに追い込まれてた村人達の姿。
「大事な人を見送り続ける悲劇の連鎖はもう見たくない。忌まわしい因習も、これで終わりよ」
 呟きながら放たれたアイナの蹴りがシュヴァリエの左足を縺れさせ、更にオブシダンの剣が合わせた様にシュヴァリエの右足を斬り裂いている。
「不幸な花嫁なんて見たくないんだ、わかる?」
 飄々と告げた傷だらけのオブシダンの身を、美しい讃美歌の調べが満たし、その傷を見る見るうちに癒していく。
 ――其れは正しく、ティアによって生み出された『天使の癒し』
(騎士道ごっこも勝手にやってろ)
 オブシダンが放った袈裟の一撃を受けきったシュヴァリエに、内心で吐き捨てる様に告げながら、レガルタが『拘束ロープ』でシュヴァリエの首を締め上げる。
 体を激しく揺さぶる事で拘束ロープの戒めを破ったシュヴァリエの鳩尾に向けて玄冬はすかさず巨大化した拳を放った。
 深く腰を落として放たれた正拳突きはシュヴァリエの鳩尾を深く抉る。
『ゴハッ……!』
 人であれば間違いなく喀血と共に上げていたであろう声をあげながらシュヴァリエはよろけながらも、再びその両手剣を構えなおした。
『此処まで我を滾らせるとはな……! 愉快だ……実に愉快だぞ、汝等!」
 フラフラ、と何処か覚束ない足取りながらも、シュヴァリエはまだ立っている。
 そして、まだ戦う余力を見せている。
 だが……同時に彼は瀕死の重傷だ。
 最もその消耗は……猟兵にとっても同じこと。
(弱点は、恐らく鳩尾……)
 そこに真正面から強烈な一撃を与えれば、恐らくシュヴァリエはよろけるだろう。 後は一気阿世に攻撃を仕掛ければ、此方が倒れるよりも早く、倒しきれる筈。
 双葉がティアと共にシュヴァリエの様子を見ながら出した答えは其れだった。
(やっている事全てがママに教えてもらったことだけれど……)
 でも、それだけママは優秀な戦人だったのだ、と双葉が思いながら、次の一手を決めるべくシュヴァリエの様子を見定めた。
 ――さあ、猟兵達よ。
 いよいよ決着の時だ。
 次に開かれる幕こそが、この戦いの終焉の時となるだろう。
 その終焉の時に奏でられるのは、勝利の凱歌か、はたまた敗北の涙なのか。
 ……それは、君達の戦い次第だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

満月・双葉
続けて他の猟兵との連携を重視します。
戦場の変化に常に注意。

1番の教え…勝つ為に手段は選ぶな、か。

【虹薔薇の静踊】による攻撃を主軸に。
【パパ直筆の御札】による呪詛によりジワジワと生命力を減らしてみたり、騙し討ちを行ったり。
衝撃波による吹き飛ばしも狙います。
残像を残す動きで動き回り怪力による鎧砕きも狙います。
生命力を吸収する攻撃で残り少なくなってそうなものも頂きましょう。
武器は【桜姫】【薔薇の涙】【大根】【馬の置物】などフル活用。クルクル武器を変えてパターン色々で攻撃法を把握されにくくします。
忍び足で目立たない動きで敵の死角に入り込み串刺しにし更に傷をえぐったり、とまぁ…悪趣味ですね。遺伝ですよ。


白波・柾
真打ち登場か
未熟者の俺でもわかる、強大な覇気だ
だが、ただで帰るつもりはない
無論、奴も俺たちをただで帰らせてはくれないだろうが
さあ、尋常に―――勝負だ

基本は可能ならヒットアンドアウェイ
正剣一閃で攻撃
猟兵仲間とは敵の行動の特徴、負傷状態等を含めて声かけ等で情報共有
連携がなければ勝てない敵であることは明白だ
俺は俺の役目を果たすべく、前衛としてアタッカーの役割をこなそう
ただし無理はせず、危険と判断したら退き、いけると判断すれば畳み掛ける
臨機応変に、柔軟に対応していこう
どの技もそうだが、ブラッドサッカーが特に厄介そうだ
注意して、気を引き締めていこう


美星・アイナ
鳩尾が弱点なら話は早いよ
ここをぶち抜いて大地に沈んで貰おう

『さぁ、ラストナンバーと洒落こもうか、アンコールはお断りだよ!』
ロックディーヴァ系の勝気キャラの人格のまま行動続行

攻撃手達と声を掛け合いつつ障害物を有効活用してレガリアスシューズで疾走
フィールドをステージに見立ててユーベルコード【ブレイブハート・シャイニングホープ】を歌いながら、鳩尾を狙ってダンスに折り込んだヒールキックを叩き込む

以後は治療をメイン
攻撃手が足りない場合は支援に

状況終了と共に普段の人格へ

負傷者の治療、並びに周囲の状況確認
治療完了後は村人達へ全て終わったと報告に行こうと促す

死の舞踏の最後に流れる歌
それは私達の勝利の凱歌よ


ティア・レインフィール
此処が正念場、ですね
私達は、負けられない……いえ、勝利しなければならないのです

アイナ様の勇気、村の方々の涙
そして、これまでの多くの犠牲
その全てに報いる事が出来なければ、私は何の為に此処に立っているのか

「神よ……どうか、見守りください」

最後の一斉攻撃を必ず成功させる為
聖歌を【歌唱】し、神に【祈り】を捧げます
その為に限界まで私の力を使い
【生まれながらの光】で皆様に同時に高速治療を行います

「後は、託しました……どうか、これで悲劇を終わらせてください……!」

例え立つ事が出来なくとも、気力だけで意識は保たせます
最期の瞬間まで、この目で

そして、冥福を祈ります
憎むべきは罪であり、人ではないのですから


オブシダン・ソード
ああ、うん
さすが、大した実力だね騎士殿
興が乗った、正面から打ち破ってあげたくなったよ
強がりついでに仲間の様子を見て

ねぇ、負けたくないよね。僕達はあの村の人達の、エイジの、アイナの、そして仲間達の願いを背負っているはずだ
【鼓舞】し、応える者を選ぶ

僕も、そうだ。だから、協力しよう
『僕が君の剣になる』
使っていた黒剣、自らの器物をその人に渡す
乗ってくれるタイプかわかんないけどね、僕は武器として、持ち主に合わせて攻撃を放ってあげるだけだよ

さあ行こうか、相棒
即席でも構わない。一緒に、あいつを真正面からぶった斬ってやろうよ

僕はあの子達に、ちゃんと良い報告をしてあげたい



「此処が正念場、ですね」
 先程までの戦いでの消耗で切らした息を整えながら、ティア・レインフィールが呟き、静かに十字を切る。
「私達は、負けられない……いえ、勝利しなければならないのです」
「ああ、うん、そうだね。その通りだ」
 ティアの言葉に頷き返したのはオブシダン・ソード。
 それにしても……とオブシダンは思いながら、大仰に肩を竦めて見せた。
「さすが、大した実力だね騎士殿。興が乗った、正面から打ち破ってあげたくなったよ」
 軽口を叩いている様に見えるが、それは強がり。
 実際の所、そう余裕が在る筈が無い。
「まだ立てると言う事か……流石だな、汝等よ」
 傷を負いながらも尚、甲冑越しに笑い声をあげるシュヴァリエ。
 シュヴァリエの様子を見ながら、美星・アイナが声を張り上げる。
『さぁ、ラストナンバーと洒落こもうか、アンコールはお断りだよ!』
 アイナの声に合わせる様に。
 その場に姿を現した、銀髪の青年。
 名を、白波・柾。
(真打ち登場、か)
「来たね、新しい猟兵君が」
 オブシダンの軽口に柾が軽く頷きを一つ。
「これ程だったか……未熟者の俺でもわかる、強大な覇気だな。だが、ただで帰るつもりはない」
「そうだね。合わせるよ」
 満月・双葉が告げるそれに、オブシダンが頼もしい話だね、と笑いかける。
「さて……この世との別れの挨拶は済んだか、汝等」
 シュヴァリエが静かに問いながら戦場に満ち満ちている血を自らの両手剣に収束させていく。
 刃が研ぎ澄まされ、真紅の魔剣がその姿が露わにした。
(やはり奴も俺たちをただで帰らせてくれるつもりはない訳だ)
 だからと言って、此処で退くつもりもない。
 故に……。
「さあ、尋常に―――勝負だ」
 柾が静かに呟きながらアイナや双葉と共に、シュヴァリエへと向かい。
「神よ……どうか、見守りください」
 ティアの神への聖句と【祈り】によって齎された光が、戦場を覆った。


『俺の一刀―――受けてみろ!』
 ティアによって齎された光を目晦ましにした柾が極限まで精神を研ぎ澄まして集中し、高速の一閃を放つ。
 一瞬、顔を覆っていたシュヴァリエだったが、直ぐに体勢を立て直し攻撃を真正面から両手剣で受け止め、返す刃で振り上げる。
(1番の教え……勝つ為に手段は選ぶな、か)
 この教えも確かママのものだったよね。
 叩きこまれた戦技を反芻しながら、カチャリ、と眼鏡を外してシュヴァリエをその視線で射抜きながら素早く術式を起動し、虹色のオーラを構成する。
 それは無数の薔薇の花弁となり、次々にシュヴァリエへと着弾。
「ぬうっ……!」
 呼気と共にシュヴァリエが柾への攻撃を中断、薔薇の花弁を切り払い、その被害を最小限に留めるが、その隙を見逃さず、アイナが天井をレガリアスシューズで蹴り、【ブレイブハート・シャイニングホープ】を口遊みつつ、空中から鳩尾に向けて蹴りを放つ。
「!」
 シュヴァリエが咄嗟に一歩引いて攻撃を躱しながら地面に両手剣を突き刺す。
 大地を満たしていた血が蠢いて収束し、シュヴァリエの二倍ほどの体格を持つ漆黒の軍馬がその場に生まれたのにひらりと跨るシュヴァリエ。
「さて……征くぞ」
 シュヴァリエが振りかざした両手剣に答える様に軍馬が嘶き、戦場を縦横無尽に駆け巡る。
「皆、散開して」
 双葉の咄嗟の指示を受け、オブシダン達が各々戦場に散らばっている。
 シュヴァリエの軍馬はそんな柾達を容赦なく追い立て、残虐に斬り裂いていくが。
「負けるわけには行きませんから……!」
 両手剣に腕を斬り裂かれ、焼き付く様な苦痛が脳を刺激してくるのに耐えながら、ティアが高らかに聖歌を歌唱する。
 それはティアの体を疲労させるが、それでも尚、聖なる光となって柾達の傷を癒していく。
 先程までとは異なる、命を懸けた旋律に、アイナも又、自らが口遊む歌の音調を変えた。
 歌こそ同じだけれども、全く異なる音として生み出された【ブレイブハート・シャイニングホープ】がティア達の疲労を癒していく。
 その中で、オブシダンが深呼吸を一つ。
「ねぇ、負けたくないよね。僕達はあの村の人達の、エイジの、アイナの、そして仲間達の願いを背負っているはずだ」
「うん、そうだね」
 ティアの旋律をBGMにしたオブシダンのその言葉に反応したのは、アイナ。
 ティアは口でこそ何も言わなかったが、頷きを持って其れへの返礼としている。
 双葉は返答の代わりに、残像を残す動きで戦場を疾駆しながら、桜姫を赤黒い大鎌へと変形させて大上段から薙ぎ払いつつ、懐から大根を取り出しシュヴァリエの鳩尾
向けて突き出した。
 そこには、時間稼ぎの意味籠められているのだろう、と少しだけ柾には思えた。
「同感だ、オブシダン」
 オブシダンの【鼓舞】に柾がそう返事を返すと。
「僕も、そうだ。だから、協力しよう」
 そう言って、オブシダンが微笑む。
『僕が君の剣になる』
 使っていた黒剣、自らの器物をアイナに渡した。
「これって……!」
「そうか、オブシダン、お前も……」
 アイナが驚きの声を上げ、柾が理解した、と頷くのに、アイナの手に渡った『黒曜石の剣』が明滅した。
「僕は武器として、持ち主に合わせて攻撃を放ってあげるだけだよ」
 オブシダンの言葉にアイナが頷き、シュヴァリエに向けて加速する。
「皆様の傷は私が癒します。ですから攻撃に集中を……!」
「了解だ。双葉!」
「分かっているよ」
 大根による一撃を危険だと直観的に見抜かれ躱された双葉だったが、柾の呼びかけに同意して【薔薇の涙】を懐から取り出し、シュヴァリエを殴打して、一旦離脱。
 シュヴァリエが追い打ちを掛けんとばかりに双葉に肉薄し、大上段から両手剣を振り下ろす間に、左右から柾とアイナが肉薄する。
「行くぞ……!」
「一気に攻めるよ!」
 振り下ろされた両手剣が地面を陥没させ、その衝撃に機動力を奪われつつも、居合の態勢から柾が腰に帯びた妖刀で正剣一閃。
 地面を擦る事で生み出されていた摩擦熱により火を帯びた妖刀が脇構えから振り上げられ、シュヴァリエの左脇腹から右肩までを斬り裂き、態勢を低くして疾走していたアイナが、レガリアスシューズで右脇腹を蹴り上げる。
 オブシダンの刃が阿吽の呼吸で蹴りに合わせて右脇腹から左肩に掛けてを斬り裂き、X字型に斬り裂かれたシュヴァリエがぐらりと傾いだ。
「ククッ……愉快だ……愉快だぞ、汝等よ!」
 腹の奥底からの笑い声を上げながら両手剣を横薙ぎに振るうシュヴァリエ。
 振るわれた刃が先程陥没した地面に足を取られて僅かに動きを鈍らせた柾とアイナを裂き痛手を負わせ、オブシダンの刃を欠けさせるが
「~♪ ~♪」
 アイナが魂を削って神に捧げる讃美歌が、柾達の傷を癒し、オブシダンの刃を研ぎ澄ましていく。
 歌うたびに直ぐにその場に蹲り、眠りたくなる様な疲労感を覚えるが、ティアの想いが、矜持が彼女にそれを許させない。
 ――アイナ様の勇気、村の方々の涙。
 ――そして、これまでの多くの犠牲。
 ――その全てに報いる事が出来なければ、私は何の為に此処に立っているのか。
 その想いを籠めて、ティアは【祈り】を籠めて【聖歌】を歌い続けていた。
「ティア君もあんなに頑張ってくれているんだ。即席でも構わない。続けて行こうか、相棒。一緒に、あいつをぶった切ってやる為に」
「うん! 分かったよ!」
 オブシダンから流れ込んでくる意志にアイナが頷き【ブレイブハート・シャイニングホープ】を口遊むのを止め、レガリアスシューズで踊る様にシュヴァリエの周囲を舞うアイナ。
 柾も又、大地を踏みしめて地面を蹴り、シュヴァリエへと肉薄する。
 双葉が詠唱と共に桜姫を大地に叩きつける。
 同時に生み出された三日月形の衝撃波がシュヴァリエに叩きつけられた。
「ぐう……!」
「まだまだ、だよ」
 そのまま、トン、と残像を生み出すほどの速さで双葉が移動する。
 鎧を解除し、更に機敏になった柾が三度放った正刀一閃が、シュヴァリエの胸をざっくりと斬り裂き、アイナが踊りながら放った空中回し蹴りが、シュヴァリエの鳩尾を強打するとともに、オブシダンの刃が、シュヴァリエの鳩尾に突き刺さりそこからシュヴァリエの身を斬り裂いている。
「ガハァ!」
 重傷を負わされながらも尚、両手剣を血の色をした薔薇の花弁へと変化させ戦場全体へと拡散させた。
 だが、其れとほぼ同時に、前面だけでなく、背面からも鋭い何かが突き刺さる痛みを受け、シュヴァリエが喘ぐ。
 そう……双葉が残像を残すほどの速さで忍び足で背後に接近し、大根で鎧を貫通させる鋭い刺突を行ったのだ。
 ……それは正しく、乾坤一擲の一撃。
「悪趣味だね……でも、これも遺伝だね」
 双葉が告げながら大根を引き抜くと同時に、全方位から血の色の薔薇が驟雨の如く降り注ぐ。
 降り注いだそれが、オブシダン達全員を貫き、甚大な被害を与えていた。
「よく此処迄我と戦った。その戦いには敬意を示そう。だが……これまでだ」
 全身から漆黒の血らしき何かを流しながらシュヴァリエが告げ再構成された真紅の両手剣を双葉に向かって振り下ろす。
「汝の戦いは称賛に値した。我が最大の一撃を受けよ」
 そのまま双葉に刃が振り下ろされ、袈裟に切り捨てられ大量に出血しながら地面に頽れかける双葉。
 ――けれども。
「~♪ ~♪」
 血の色の花弁と、両手剣による一撃で意識が途切れる程の傷を負った筈の自分達の傷が癒えていく。
 先程までよりも、高速で。
 それは、ティアの全身から発せられた【生まれながらの光】
 どうしようもない程の疲労感で立っているのがやっとで、声を張り上げ続ける事だけしかできないけれど。
 それでも……ティアは歌い続ける。
 その歌が……ティアの生命の光が、シュヴァリエの更なる追撃よりも前に、オブシダン達に最後の一撃を加えるチャンスを与えてくれる。
「後は、託しました……どうか、これで悲劇を終わらせてください……!」
 遂に限界に達したか、顔を真っ青に青褪めさせながらのティアの魂の叫び。
 それがアイナと、ティアとこれまで行動をずっと共にしてきたオブシダンを奮い立たせた。
「はぁぁぁぁ!」
 アイナが気合と共にレガリアスシューズによる蹴りをシュヴァリエへと叩き込む。
 その攻撃をシュヴァリエが両手剣で受け止めようとするが……。
「それでこそ、僕の相棒だよ」
 オブシダンの声が響き、アイナの放った蹴りと共に黒曜石の剣が踊る様に舞い、両手剣を斬り裂き血によって生み出された刃を破壊しアイナの蹴りが鳩尾に直撃する。
「ゴ……アッ……!」
「畳みかけるぞ!」
 雄叫びをあげた柾が姿勢を更に屈めて突進する。
 更なる加速により、妖刀が纏う摩擦熱が更に上昇・加速して、吸い込まれる様にその鳩尾を抉る。
 鳩尾を刃に抉られ、斬り裂かれて大きくよろけたシュヴァリエの正面に何時の間にか現れた双葉が薔薇の涙で殴打し、それから微笑を零す。
『一緒に踊らない?』
 呟きと共に双葉の裸眼による視線をまだ残されていた右目で射抜き、その手から虹色の薔薇の花弁でシュヴァリエを撃ち抜いた。
 ――虹薔薇の静踊。
 それがシュヴァリエが受けた最後のユーベルコード。
「我を倒すことが出来るものがいたとはな……最期に楽しい想いをさせて貰った……礼を言おう、汝等よ」
 そう告げて。
 シュヴァリエがぐらりと地面に倒れ、ビクビクと2、3度の痙攣を繰り返した後に、動きを止めた。
 ……そう。
 死の舞踏の最後に流れる歌は、猟兵達の勝利の凱歌だった。


「……勝ったわね」
 一部始終を見届けたアイナが息をつき、オブシダンも又、人の姿に戻り微笑む。
「どうやらそうみたいだね。ありがとう、君達のお陰だ」
 告げるオブシダンに頷きながら、アイナが改めて周囲を見やる。
 すると、限界ギリギリまで酷使した故か、その場に膝をつくティアの姿が目に入り、直ぐに其方へと向かった。
「……連携が無ければどうなっていたんだろうね?」
「勝てなかった。それだけだと思うよ」
 柾の言葉に、眼鏡を掛けなおした双葉がそう答える。
 いずれにせよ其々が其々の役割を果たしたからこそ今回の戦いは勝利できたのだ。
 それが無ければ……恐らく敗走していただろう。
 辺境にあるあの村も、ただでは済まなかったに違いない。
 アイナに支えられたティアが目を瞑り、鎮魂の祈りをささげ、冥福を祈っている。
 それは……今迄に犠牲になった人々だけでは無く、攻撃こそしなかったがその最期を看取ったシュヴァリエにも捧げられる祈り。
 ティアの祈りは、彼女にとっては当然のものだった。
 何故なら……。 
(憎むべきは罪であり、人ではないのですから)
「ねぇ、ティア、皆」
「どうかしたのかい、アイナ君?」
 アイナの問いかけに、オブシダンが問い返す。
「折角だし、皆でシュヴァリエを倒した事、報告に行かない?」
「ああ……そうだね。僕もそうしたいと思っていたんだ」
 ――あの子達に。
 吉報を齎したい。
 その想いだけで、自らの力を仲間に託したのだから。
「そうだな。俺もそうしたいと思う」
「良いよ、折角だし行こうか」
 柾と双葉も又頷きかけ、それにティアがアイナの肩にもたれたまま、一緒に行きますと言う様に微笑んだ。

 ――かくて、猟兵達は辺境の村へと戻る。

 もう、シュヴァリエの脅威に怯えなくて良い。
 その吉報を勝利の凱歌として、村人達に伝える為に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2018年12月23日


挿絵イラスト