モルト・カリーナ・シニョリーナ
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「ミミリー、どうしよう……! あの中におかしらはいるんだろう?」
おろおろとした島民の声に、ミミリーと呼ばれた巨人の娘は、やっぱりおろおろとした表情でこくりと頷いた。
「うん、今日は『試練をする日だー!』って言って船に乗ったから」
島の高台にいる彼女たちは、皆、一方向を見ておろおろとしていた。
港から少し離れた場所に停泊する海賊船――それを不気味な紫の光が覆っている。
砲撃の音が聞こえてくる。
「助けに行かなきゃ!」
「ま、待って!!」
駆け出す島民を止めるミミリー。
どん! と大地に大きな手を打ちつけて、島民の足を止めた。
「危ないよ、駄目だよ! こういう時、皆は絶対に来ちゃ駄目だってアーチェニットは言ってたでしょ?!」
「だが、ミミリー」
巨人の娘を見上げる島の男――ミミリーは何かを決めたように、くっと顔を上げた。
「あたしが行く。――大丈夫だよ、様子を、少し見てくるだけ……船の皆が生きてたら、連れ帰ってくるから」
ミミリーは少女であるが、力は強い。泳ぎも得意だった。
――けれども、試練で覚醒したモノは『コンキスタドール』
島民たちの願い虚しく、海賊船はコンキスタドールに呑まれ、ミミリーもまた、その船から放たれた砲弾に海へと沈む。
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グリモアベースへと入った猟兵たちを、ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)が迎える。
「鉄甲船での航海をしてきた猟兵さんは、お疲れさま! そしてありがとう。新しい世界を発見出来たわね」
先日発見されたグリードオーシャン。異世界から落ちてきた島々がある大海原の世界。
「早速だけれど、皆さんに赴いてもらいたい島があるの。名前はモルト・カリーナ島。
この島を治めているのはアーチェニットっていう名の海賊なのだけれど、どうやらこの世界、手に入れた呪いの秘宝『メガリス』を使っての試練があるらしくってね」
ポノの説明によれば。
メガリスを手に入れた海賊たちは、まだユーベルコードに覚醒していない部下に『メガリスの試練』を受けさせることがあるという。
だがそれも諸刃の剣で、死ぬこともある。死んだ部下はコンキスタドールへと覚醒することもあり、そうなったならば、海賊たちが責任を持ってケリをつけるのが『海賊の掟』だ。
「船長の役に立ちたい、力を持ちたい、独立したい――色々な理由で志願者も多いのでしょうね。
けれども、近年コンキスタドールが強大化しているのか、その掟が履行できずに返り討ちにあってしまう海賊たちが多いみたい」
今回私が予知したのは、その返り討ちにあってしまう海賊団なのよね、とポノは言う。
「モルト・カリーナ島は、二人の少女が主に中心となって治められている島なの――まあもっとも、少女の見た目っていうだけで、実年齢は分からない二人なんだけどね」
名前は、海賊船長のアーチェニット。種族はフェアリーで覚醒者。
もう一人は、島の頼られ者となっている巨人・ミミリーだ。こちらは覚醒者では無い。
「この日、試練を志願した部下のため、アーチェニットは近場の海へ海賊船を出している。
部下がコンキスタドール化するかもしれない可能性を思って、島から離れたんでしょうね」
そして、アーチェニットの部下はコンキスタドール化してしまった。
彼女の海賊船は今にも呑みこまんとする不気味な紫の光に覆われている――部下は『幽霊船』そのものへと変じてしまったのだ。
「海賊たちは現在、奮戦中。皆さんを周囲の海上へと送るから、現れたコンキスタドールたちを撃破して欲しいの」
このままでは海賊たちや後で来るミミリーが殺されてしまい、そのあとは島にも当然被害が及ぶ。海へと乗り出せば、コンキスタドールたちは世界を蹂躙していくことだろう。
船の周囲には、脱出用の小舟が放たれていて、幾人かの海賊たちが海賊船の外から攻撃を行っている。猟兵たちが到着するのは、その小舟の上だ。
「足場が不安定といえば不安定だから、皆さんの戦いやすい方法が何かあればどんどん試してみてね」
敵は幽霊船から跳躍し海上の戦場へ。そして海中と至る所にいる。
「厄介そうな敵だけれど、皆さんの力ならきっと撃破できるわ」
ご武運を。
そう言ってポノは猟兵たちを送り出したのだった。
ねこあじ
ねこあじです。
う~み~!
第1章では、集団戦。
第2章では、幽霊船との戦い。
第3章は、無事敵を撃破したら、島や海でのんびり過ごします。
3章はポノもあちこち歩いてたりしますので、何か御用などありましたらお気軽にお声がけください。
だいたい火曜日・水曜日、8時半からのプレイング受付になるかと思います。
第1章は24日(火曜)の8時半からでお願いします~。
あとはマスターページまたはTwitterに記載していきます。お手数お掛けしますがご確認のほどよろしくお願い致します。
第1章 集団戦
『異形の海賊』
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POW : 欲シイモノハ何時ダッテ早イ者勝チサ
レベル分の1秒で【防御が極めて困難なマスケット銃による魔弾】を発射できる。
SPD : 早速オ宝拝見サセテ貰オウカイ
【回避が極めて困難なカトラスの斬撃】による素早い一撃を放つ。また、【戦場の空気や褒美を約束された高揚感】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 残念ダケドアンタノ攻撃ハ効カナイヨ
全身を【物理攻撃を無効化する魔性の鱗】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負の感情と負傷】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
イラスト:らぬき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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グリモアベースからグリードオーシャンへ。
青い空と煌く海――潮の香りと、瘴気。
猟兵が小舟の一つへと降り立てば、ぎょっとしたように乗り手である海賊団の一人が振り向いた。
「な、なんだアンタは――!」
だが、誰何の声は轟音にかき消される。
砲弾が放たれ、高らかな水飛沫。海賊が舌打ちし、視界を覆う水飛沫へ散弾銃を放った。
耳を劈く銃音はどこか割れている。それよりも、と水飛沫の『向こう』へと目をやれば何かの気配が遠ざかる。
海の中からも気配を感じ、船のオールを鋭く突いてみれば手応え。
「な、なんだぁ、助っ人か? 気を付けろよ、奴ら、うじゃうじゃいやがる」
海賊の声に促されるように辺りを見てみれば、開けた視界には不気味な光に覆われた海賊船――否、幽霊船か。
そこから跳躍してくる異形の海賊。
ダン! ダダダダン!!
と、船上から鳴り止まない銃音が響き渡っている。
「ありゃおかしらだ。あの音が続く限り、おかしらは生きている――」
頭領の獅子奮迅の働きに、部下である海賊たちも不屈の精神であるようだ。
小舟にはパイレーツロープが備わっている。
敵は空から降ってきて、さらには海の中にも。
水上、水中、空中と、立ち回る方法はたくさんある。
まずは襲いかかってくる異形の海賊たちの撃破――その一体を、猟兵は見据えた。
宮落・ライア
いい気概だな?ならば最後まで諦めるなよ?
さて、と。これは小船に居ない方が海賊に流れ弾が行かないか?
まぁいっか。どちらにせよ小船の上じゃボクが戦いにくいし。
小船から飛び出して、気合いと怪力で水面を蹴って力任せに海上を走る。
野性の勘で殺気とか気配を見切って真っ直ぐに異形の海賊に突っ込んで
剣刃一閃。影にいようが水中にいようがかまわず水ごと斬る。
別にさー?どんなに早かろうと防御が困難であろうとさ?
守る気も避ける気も無い相手にはただの一発の銃撃でしかないだろ?
で、一発の銃撃でしかないのなら…やっぱり気にする必要なんてないじゃないか。【激痛耐性・継戦能力・覚悟・捨て身の一撃】
「いい気概だな――ならば、最後まで諦めるなよ?」
小舟の縁に足をかけ、宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は海賊へと言った。その意識と赤い瞳は既に戦場へと向けられている。
ああ! と、旺盛な返答に僅かな笑みを見せ、ライアは小舟を飛び出した。
彼女の目がまず捉えたのは異形の海賊。そして漂流している木片だ。
僅かな、それも刹那的な足場をライアは駆けた。
彼我の距離をつめるライアに気付いた異形の海賊がマスケット銃による魔弾を撃つも、その射線は読み切っていたのか、ライアは浮き樽を使い跳躍した。
鯉口は既に切っている。
降下の勢いと共に抜刀したライアが敵への一刀。
防御として咄嗟に掲げられた敵マスケット銃を、ライアの剣刃一閃はいとも容易く斬り抜け、異形の海賊を袈裟懸けた。
「グゥ……ッ」
すらりと肉を断つ刃が、敵を真っ二つにする。
「悪いが、足場にさせてもらう」
敵胴を踏みこみ再び跳躍した。対峙した敵は骸の海へと沈み、ライアの意識は次敵へ。
マスケット銃による攻撃がライアへと放たれた。
戦場においての一対一。
(「別にさー? どんなに早かろうと防御が困難であろうとさ?」)
狙い定められた一撃がライアの肩を撃ち貫く。彼女の早駆けで飛沫する水に、少しの赤が入り混じった。
銃による攻撃に――だが、ライアは怯むことなく更に前傾し敵へと突っこむ。
彼女の動きに敵銃口が追うも、低く、低く、雷閃の如し奔りはあっという間に剣の間合いへと到達する。
刃が異形なる肉を斬り裂いた。
ギャッ、と悲鳴めいた、どこかくぐもった声がライアの耳に届く。仰向けに倒れようとする敵を一時的な足場にしたライアは刀を振り、付着した体液を払った。
「守る気も避ける気も無い相手には、ただの一発の銃撃でしかないだろ?」
接敵に要した距離に、彼女が許したのは銃撃一発のみ。駆け抜ける様はまさに獲物を狙い定めた獣のようであった。
「やっぱり、私には気にする必要がないな」
攻撃を受けようとも、痛みには耐性がある。
声は届いたのか、否か。ばしゃんと海中へと沈みゆく異形の海賊。更に沈めるように踏みこみ跳躍したライアが海中に揺らめく影を見つけた――刀を振りかざし、次なる敵へと向かう。
成功
🔵🔵🔴
クリスタル・ファイアヘッズ
『憑依の守り手』
サイボーグのブラスターガンナー×鎧装騎兵、31歳の女です。
基本的な口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
探索時は自身の目を使い慎重に情報を集めて探索するのを好みます。
戦闘時はパワードスーツを着用した上で光学迷彩装置を起動、敵に存在を気取られないように倒します。もし、正面からの戦いになりそうであればユーベル・コードの機械仕掛けのヴァイキングを発動し、集団に紛れて闇討ちを行います。
「標的、多数確認しました」
クリスタル・ファイアヘッズ(ディープレッド・f18277)はその青髪を潮風になびかせ、呟く。
深い青に彩られた海原は、海洋災害の届かない島湾でありながらも戦場の様相。
彼女が降りた小舟には誰もいない――既に、アーチェニットを頭とするここの海賊は倒され海へと沈んでしまったのだろう。
肘に在る海光学迷彩発生装置により、海面を反射する光にも紛れ身を隠したクリスタルが、小舟から粒子ブラスターで敵を狙い撃つ。
「攻撃ダト?」
「一体ドコカラ!?」
攻撃を受けた異形の海賊たちの警戒が伝播し、意識は狙撃手探しのものへと切り替わった。
その間にも、一体、二体と、適確な射撃。
「――アノ舟ダ!」
だがその射線は直ぐに割れ、見えぬクリスタルへと意識が向けられた。
即座に銃撃を切り上げ、クリスタルは次の手に移る。
「海賊には、海賊を、ですね――さぁ、行きましょう」
ユーベルコードを発動させれば、ゆらり、大きな船が現われた。
「な、なんだありゃあ」
「こん前みた船に似てるな……!」
あちこちから海賊たちの声が上がり、周囲の異形の海賊たちの意識が『近未来風海賊船』へと向けられた。
船に乗るのは、全身を鋼鉄鎧で包んだヴァイキングたち。
「あなた達の生き方を見せつけなさい」
クリスタルがそう号令を掛ければ、呼応するヴァイキング。
船上からの投げ斧や、ダガーを投擲する攻撃は敵の魔性の鱗を強化させ、マスカット銃やカトラスによる一手を増やしていく。
けれども意識はクリスタルの船へと大きく向けられていて――その隙をついたクリスタルが敵を一体また一体と葬っていった。
成功
🔵🔵🔴
草野・千秋
大丈夫ですかみなさん!
ご安心下さい
僕達猟兵はあなたがたの助っ人に参りました
試練が一気に大変な事になってしまいましたね……
本当なら海賊さんもコンキスタドールにならない方がいいに決まっている
アーチェニットさんの事を思うと、とても心が痛いですし
ミミリーさんの事も心配です
これ以上犠牲を出すわけにはいかないですよ!
僕は空を狙います
UC【Fly me to the Moon】で飛翔能力を得た後は
空からやってくる異形を空中戦、スナイパー、範囲攻撃で撃ち落とす
僕の撃つ弾は狂いを知らない!
敵攻撃は第六感、視力、戦闘知識でかわして
当たるようなら激痛耐性、盾受けで耐えしのぎ
味方に被弾するようで近くにいたらかばう
ガーネット・グレイローズ
見えたぞ、あれが幽霊船か。
メガリスの試練に失敗した…そのけじめか。
海賊の世界とは非情なものだな。
だが、このままではまずいことになりそうだ…
どうやら多勢に無勢の様子、手助けしよう。
海賊に共闘を申し出る。海賊もこの世界の「味方」と認識。
【闇の住人】を使い、仲間の猟兵や海賊の近くに
瞬間移動しながら、敵を攪乱して戦う。
<ジャンプ><船上戦>の業も駆使し、敵のスピーディな
戦法に対応。<念動力>でスラッシュストリングを操り、
コンキスタドールの群れを高速で薙ぎ払う。
カトラスによる斬りつけは、ブレイドウイングによる
<武器受け>で防御し、偽翼刃による<カウンター>と
ブラックバングルからの<衝撃波>で反撃するぞ。
火土金水・明
「少しでも早く、そして多くのコンキスタドール達を倒さないといけないようですね。」
魔法の箒に跨って【空中戦】の技能を使用します。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】し【破魔】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『異形の海賊』達を巻き込めるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
鈍・小太刀
メガリス…(桜雨をそっと胸に抱き
そうね、放っては置けないよね
私達も力を貸すよ
海色の【オーラ防御】を展開すると共に
UCでウサミミな海の仲間達を召喚する
海は彼らの領域よ
足場の不安定さなんて問題ない
空だって飛べるしね
海賊達を【庇い】ながら戦って
戦線を支えて貰うね
ふふ、攻撃は効かないって?
なら試してみようじゃないの
片時雨を手に私も前へ
波の動き掴み反動に乗り【地形の利用】しつつ
敵の動きを【見切り】【武器受け】したら
【カウンター】に【鎧無視攻撃】
物理攻撃は無効化されても【破魔の力】はきっと届く
未来を願い試練に挑んだ彼らの魂が
呪いから解放され安らかな眠りへとつけるように
【祈り】を込めて
※合わせ・アドリブ歓迎
数多の海洋災害が広がる『外』に比べ、島湾である海域は比較的穏やかな海であるようだ。
けれどもその海域は、今、瘴気に満ちている。
「見えたぞ、あれが幽霊船か――」
紫の光に覆われた船を視認したガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が呟いた。
「メガリスの試練に失敗した……そのけじめか。海賊の世界とは非情なものだな」
「メガリス……」
ガーネットの声に、そっと、鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)は玉手箱を胸に抱く。黒漆に舞う桜は螺鈿細工。馴染む質感を指先に捉えつつ――小太刀は柔らかに頷いた。
(「そうね、放っては置けないよね」)
成否の見えぬ試練。それでも挑むのはその者にとって明確な理由があって、メガリスに道を託すのだ。
けれどもアーチェニットの部下は試練に失敗してしまった。海賊の掟も叶わないその先にあるものは。
「このままではまずいことになりそうだ」
キキッ、と微かな金切り声めいたもの――ガーネットの指先には一羽の蝙蝠。カトラスとマーケット銃を備え、身体能力の優れた敵は数多に。そして幽霊船は海賊船を襲撃している。
戦況は明らかに押されており、アーチェニット率いる海賊団が壊滅状態となるのは時間の問題だろう。
「少しでも早く、そして多くのコンキスタドール達を倒さないといけませんね」
ガーネットの言葉に頷き言った火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は、魔法の箒を使って青の空へ。強い潮風に彼女のポニーテールが大きく揺れ動いた。
黒色のマントをはためかせながら、明は詠唱へと入る。
時を同じくして、空。
ユーベルコード、Fly me to the Moonによるナノマシンで全身を覆った草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)が敵の群れを惹きつけるように飛翔していた。
「大丈夫ですか、みなさん!」
降下し小舟に乗る海賊、そして海賊船に届くように声を張る。
「ご安心下さい! 僕たち猟兵があなたがたの助っ人に参りました!」
空を駆け、高速旋回ののちに踵を返してordinis tabesを撃てば、やや密となり追ってきた敵陣めがけ数束の光が走った。
「僕の撃つ弾は狂いを知らない!」
敵に翼があるわけではない。跳躍の最中での回避は難しいのだろう――千秋が放つ射線は敵を的確に貫いた。
「ギギィッ……」
その身を撃たれ落ちながらも敵は腕を掲げ、銃口を千秋へと向ける。
(「させませんよ」)
「我、求めるは、冷たき力――」
青き空に煌々と。月の光のような朧を放つ魔法陣が展開され、明の声と共に氷の矢が放たれた。
空から降る氷雨は落ちゆく敵を更に穿ち、数多の水飛沫が辺りに発生する。
次はどうするの? という風に促すのは、肩の黒猫。
「もちろん、陣はこのままに――範囲を拡げますよ」
明が七色の杖の杖を回せば、速度に応じてぐるりと回った魔法陣が広がり、先程よりも広範に氷の矢を撃ちだしていく。
「空、警戒……!」
「ナラバ、海中カラダ!」
魔性の鱗が発達した異形の海賊たちが、次々と海へと潜っていった。
「明! あとは――」
「ええ、お任せします」
小太刀の声に応じる明。氷結の魔力を直ぐに施行できるよう辺りに漂わせながら、海面を見据え、待つ。
海へと潜り数拍。纏わりついていた泡が消える――視界がクリアになり、尾を振りながら海中を泳ぐ異形の海賊は、海上に浮かんでいる一艘に狙いをつけた。
マスケット銃を握り、銃口を上げる。
だがその時、大きな水の抵抗を感じた――流れてくる方へと目を向ければ、そこにはウサミミを生やした『鯨』。
強い水圧を受けた異形の海賊は、海中から空へと弾き出された。
「ガッ……ハァッ!?」
覆った鱗でその攻撃は充分に耐えられたが、突然空に放られてしまう。
「残念ダケド、アンタ達ノ攻撃ハ効カナイ……!」
最中に飛んでくる猟兵の攻撃をも無効化した鱗。それを見た小太刀が微かに笑んだ。
「ふふ、攻撃は効かないって? ――なら試してみようじゃないの」
空中で身を捻り降下してくる異形の海賊を見据えた小太刀の一刀が、敵のカトラスを受け、更には流れた刃が相手の鍔を打ち弾く。ギンッ、と金属音が耳を打った。
「……ッ」
「そこっ!」
隙を捉え、鋭い呼気と共にがら空きになった敵胴を薙ぐ片時雨。硬質な手応えが小太刀の手へと伝わってくるも、乗せられた破魔の力が敵の鱗を砕き、刃が肉へと到達する。
その間にも、ばしゃん! ばしゃんッ! と、周囲では次々と水飛沫が上がっていく。落下時に発生するものではなく、海の仲間たちが海中の敵を跳ね上げたものだ。時折、やってやったぞという感じで満足気にウサミミがぴるぴる動いた。
「今です!」
明が力を解き放つ。
空に放られ、態勢を整えるまでのタイムラグ。晒された敵陣は、降ってくる明の氷矢に穿たれ、または千秋の狙撃により撃破されていった。
「チィッ……」
海上を駆ける新手の異形の海賊たち。
浮樽を使い、小舟に乗る海賊目掛けて跳躍した異形の海賊がカトラスを振るう。その剛剣は人の肉を真っ二つにするものであり、当然上がるのは血飛沫――違えようのない未来はけれども転じた。
柔らかな肉を通るはずであったカトラスが弾かれる。
「――!?」
発生した闇、否、蝙蝠の群れ。突如として現れたガーネットが、瞬時的に液体金属の翼を硬質化させ、鋭くなったエッジで斬線を阻害すると同時に敵を払った。マントに仕込まれたそれは、ガーネットが一回転する三拍に三手分。
「はあっ!」
呼気に伴い振られた腕――ブラックバングルから衝撃波が放たれ、異形の海賊は吹き飛ばされる。
次いで海賊による「ダダダダンッ!」と散弾の追撃。ガーネットは追撃を彼に任せ吸血コウモリの群れと共に飛んだ。
闇を抜け、開けた視界に視認は一瞬。
小太刀の海の仲間の背に降り立ってスラッシュストリングを操りだし、迫りくる敵陣を高速で薙ぎ払うと風刃の如き鮮血が広がった。
直ぐに薄れはするものの、敵の体液が海に広がる。その光景に勇ましき海の男たちも思わず息を呑んだ。
彼らは『海賊船』から放たれ続けている銃声に自らを鼓舞し、小舟を進めている。少しずつ、少しずつ、銃や剣で、猟兵の援護を多大に受けて敵を倒しながら。
『幽霊船』の瘴気の中から飛び出してくる異形の海賊を倒していた千秋は、そんな彼らを空から眺める。
(「本当なら、海賊さんもコンキスタドールにならない方がいいに決まっている」)
部下を失ったアーチェニットのことを思うと、とても心が痛かった。
それでも強くなりたいと願った心。それは幽霊船へと変貌してしまったけれども。
小太刀は斬り伏せる一刀に祈りをこめる。未来を願い試練に挑んだ彼らの魂が、呪いから解放され、安らかな眠りへとつけるように。
きっと彼らが行なう『海賊の掟』は、彼女の祈りそれそのものなのだろう――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リュカ・エンキアンサス
倫太郎お兄さん(f07291)と
そうだね。ちょっと数が多いかな……
ま、何とかなるんじゃないかな。よろしくね、お兄さん
そういうわけで、まずは早め小船や敵を踏みつけて空中戦の要領で移動
狙撃に適した場所を探す
船とかになるのかな。見つけたらその場で即お兄さんの援護射撃を行うよ
お兄さんに向かってくる敵を優先して散らして、
その周辺から制圧していく
お兄さんが敵の気を引いてくれるから、こちらは心置きなく撃てるので助かります
勿論、接近されないように警戒は怠らないけれどもね
……あ。手を振ってる
何だろう。戦闘終了の合図かな
了解。って軽く片手を上げておくよ
え。なんか違う?
……まあ、いいか。
篝・倫太郎
リュカ(f02586)と
おーおー……
わらわら居るなァ
さて、リュカよぅ
後方から確実にヨロシク!
手をひらり一振りしたら拘束術使用
射程内の空中水中水上、総ての敵を攻撃と同時に拘束
俺自身も敵に肉薄して華焔刀でなぎ払いの範囲攻撃
敵への接近はジャンプで小舟の間を移動したり
ダッシュを利用してく
ジャンプじゃ距離が足りねぇ場合は
華焔刀を棒高跳びのポールの要領で水中の敵に突き立てて移動
その間は割と無防備になるだろけど
ま、リュカが居るし大丈夫デショ
こっちが派手に動いて気を惹ければ
リュカも攻撃しやすいだろーし
あ、フォローは俺もするぜ?
全部倒し終えたら、リュカに手振って見っかな
微妙な顔されるんだって知ってるけども!
青い海、青い空。
数多の海洋災害が広がる『外』に比べ、島湾である海域は比較的穏やかなのだが、鎮座する幽霊船が不気味な光を放つ光景。
「おーおー……わらわら居るなァ」
どこかのんびりとした声を放ちながらも、視認した敵の群れを鋭く見つめる篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
そんな彼の言葉に、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)はこくりと頷く。
「そうだね。ちょっと数が多いかな……」
海上を見遣った目は直ぐに愛用のアサルトライフルへ落とされた。
ま、何とかなるんじゃないかな。続けて呟いた少年の手は灯り木の調整をしていく。
「そうだな。何とかなる――さて! リュカよぅ」
華焔刀の長柄を回しがてら、持つ手を目釘部へ。
「後方から確実にヨロシクな!」
手をひらりと振り、ダンッ! と弾みをつけて船を踏み切り、倫太郎は跳躍した。
「よろしくね、お兄さん」
その後のリュカの声は確実に倫太郎には届いていないけれども、両者気にした様子はない。アサルトライフルを抱えリュカもまた跳ぶ。浮樽、大きな木片を踏みつけ軽やかな跳躍。
誰もいない――血の飛沫に染められた小舟へと着地したリュカは、うつ伏せの姿勢となりスコープを覗いた。
空、水上、水中。存在する災いへと意識を向け、
「縛めをくれてやる!」
それらを縛る見えない鎖を放つ倫太郎。跳躍した敵が体を強張らせ海へと落ちる――否、掬い上げるように華焔刀が敵胴を斬り、とどめを刺した。
いくつかの水飛沫が上がり、それに紛れるように銃声。倫太郎に向かうように駆けていた新手の敵が弾き飛ばされ海へと沈んだ。
拘束術で一旦落ちた敵から、新たに向かってくる敵へと標的を変えたリュカ。
遠くから見ていると、敵群は倫太郎の術で網漁に掛かった魚のようにも見えた。
(「お兄さんが敵の気を引いてくれるから、心置きなく撃てるよ」)
ゆらりゆらりと動く小舟のも、規則性さえ掴んでしまえば後はリズムに応じるのみだ。
敵が落ちた波がうつ伏せるリュカの小舟に届き、大きく揺れる。ピッチングに身を委ね、時折、移動する倫太郎の足場――異形の海賊を撃ち落とす――を作ってやる。
リュカの銃で倒された敵を踏み渡る倫太郎。
魔性の鱗で強化された異形の海賊は良い踏み具合であった。
「ジャアァァッ!!」
「!」
水中から突如として飛び出してくる敵群の一体を長柄で打ち据え、返す刃でなぎ払う。
「おっと」
ぐっと膝が海中へと沈みかけ、刃先で倒した別敵を引っ掛ける倫太郎。敵の体を寄せ、払う動きののちに長柄を突き立てた。
最上部から打てば倫太郎自身が振り子のようになる。棒高跳びの要領で跳躍した倫太郎を援護するのはリュカの銃だ。
間合いに入り過ぎている敵一体を撃ち、もう一体、迫る敵は遠心のかかった華焔刀が斬り払う。
適宜放たれる拘束術と、海上の道を切り開く薙刀。止まることの無い倫太郎の動きは舞いのようでもあった。
動きに惹かれて集まる敵を間引くように、リュカが撃破していく。
周囲の敵が粗方――新手も途絶えたか否かを確認する。
「ひとまずは片付けかんりょーっと」
小舟の上で周囲を見回した倫太郎は、そのままリュカの方を振り返った。丁度、彼も立ち上がるところだ。ぱんと服を払うしぐさをしたリュカがこちらに気付く。
何となく、笑顔で手を振ってみた。
一方。
「……? 手を振ってる」
一瞬どころか数拍分の時をかけてリュカは考えた。
(「何だろう。戦闘終了の合図かな」)
了解、と、軽く片手を上げてみれば失速する倫太郎の手の振り。
「え。なんか違う?」
既に下ろした手は愛用の銃に添えられている。
「? 倫太郎お兄さんのあれは何だったんだろう」
とりあえず「何だろう?」と二回くらいは考えてみた。それでも分からなかったので「まあ、いいか」と、あっさりざっくり、リュカは片付けるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
城島・冬青
【橙翠】
海だ!船だ!海賊だー!!…って新しい世界を堪能する暇もないですね
まずはこいつらを蹴散らしましょうか、アヤネさん
新世界初バトルです!
アヤネさんの水上バイク・シロイルカに乗せてもらい水上戦!
あ、うっかり落ちないようにウロボロスくんシートベルトをお願いしてもいいですか?
では発進!
UCクラーニオ・コルヴォを発動し見えないカラス君達に攻撃して貰ったり
シロイルカでのスピードを生かして刀で海賊達を叩っ斬る
ウロボロスくんの力を借りて空中アクションもしちゃいますよ!
マスケット銃からの魔弾はUCのカラス君や衝撃波で軌道を逸らしシロイルカで回避しやすくする
防御が困難なら当たらなければ良かろうってやつですね!
アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
文字通り洗礼ってやつだネ
海賊相手に大立ち回りなんて面白い
受けて立とう
雑魚は僕らが蹴散らすから
ここは任せて
少し下がってくれるかい
さあソヨゴやっつけて!
自前の水上バイクシロイルカにソヨゴを乗せて発進
シートベルト?
用意しておくから好きなだけ暴れて
いざとなればソヨゴを持ち上げて空中アクションもできるよ
ワイヤーアクションならぬ触手アクションだネ
運転騎乗スキルを生かして敵の攻撃をかわしながら戦闘
攻めは任せて守りに集中する
電子ゴーグルで敵の動きをトレース
構えから射撃までの時間を計算させて
攻撃のタイミングを予測させる
これで敵の数が多くても動きを把握しつつ回避行動できる
敵を捌いたら幽霊船に向かおうか
青い海。青い空。
(「海だ! 船だ!」)
数多の海洋災害が広がる『外』に比べ、島湾である海域は比較的穏やか。
潮風が城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)の前髪を煽る。冬青は両腕を広げて海の空気を胸いっぱいに吸いこんだ。次に勢いよく隣を向く。
「そして! 海賊さんだー!! こんにちは、はじめまして!」
「お、おう! ハジメマシテ!!?」
現れた猟兵の姿に、ぎょっとしながらも海の男は一瞬にして動揺を収めた。
乗っていた小舟とは違う、繋いだもう一艘に現れた冬青たち。
「あ、あんたら先日の鉄甲船のやつらか――ワリィ時に来ちまったな」
どこか気まずげに海賊が言う。彼の視線の先には紫の光を放つおどろおどろしい幽霊船が、海賊船に被るように。
遠く、幽霊船から飛び出してくる異形の海賊たちを、電脳ゴーグルに映しとるアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)。
「まずはあいつらを蹴散らしましょうか、アヤネさん」
「うん。――海賊相手に大立ち回りなんて面白い」
受けて立とう、とアヤネは頷き応えた。
「いやいやいやいやあんたらみてぇなお嬢さんたちじゃあ、危ねぇって!」
やっぱりぎょっとした海賊が慌てて冬青とアヤネを止める。
「大丈夫。雑魚は僕らが蹴散らすから、ここは任せて少し下がってくれるかい?」
「お、おお?」
そう言って、水上バイク「シロイルカ」へと乗るアヤネ。
「さあ、ソヨゴ。乗って」
「はい! ――あっ。アヤネさん、ウロボロスくんシートベルトをお願いしたいんですけど」
「シートベルト……? そうだネ、あった方がいい」
術式を起動させ、アヤネの影から二重螺旋のウロボロスが出てくる。冬青の腰にしっかりと異界の触手が巻きつけられた。
うっかり落ちないようにシートベルトも装着完了。準備万端。
「では発進~!」
海賊の「そっちは任せるぞ~」と見送る声に手を振って。
真っ白なボディの水上バイクが海を駆ける。
ユーベルコード、クラーニオ・コルヴォを放ち見えないカラスたちが空を旋回し、狙い定めた敵の群れを攻撃する。
「ナ、ナンダ!?」
ガン! と敵がマスケット銃を撃っても手応えはなく、異形の海賊たちはカトラスを振り回した。
「ソヨゴ!」
「はいっ!」
隙の出来た敵群めがけ、一気にシロイルカを加速させるアヤネ。
「――!」
水上バイクの推進を活かした斬撃がまず一体目を起点に――刃先が舞った。
アヤネが車体と体を傾けての一回転半するスピントリック・ファイブフォーティーに応じ、冬青の花髑髏も、より遠心がかかった一閃。
鋭い水飛沫をすり抜ける刃――ほぼ同時に敵の血飛沫が花開くように海面に広がった。
「行きます!」
フル回転した車体から勢いそのままに跳んだ冬青が、同じく跳躍し降下してくる敵を迎え撃つ。
速度の乗った技に、敵の強化されていた魔性の鱗も砕けた。――相殺という形から、互いに次の一手。
「「……ッ!」」
異形の海賊と冬青、呼気による威嚇ののちマスケット銃と花髑髏がかち合った。だが更に引鉄が弾くという一手が敵にはある。
ガン!!
「何ダト!?」
されど敵の銃弾は明後日の方向に。冬青の起こした衝撃波が軌道を逸らし、続くシロイルカの旋回に応じてウロボロスの何本かが冬青を放った――腰には残った触手が一本。
敵よりも高度を取った冬青が更に衝撃波を叩きつけ、眼下の敵を海へと落とす。
追撃を行うのはコルヴォたち。上がった水飛沫へと突入し、異形の海賊たちを穿った。
「やったネ、ソヨゴ!」
ウロボロスに迎えられ、速度を落としたシロイルカの後部座席に再び座った冬青に、アヤネが笑顔を向ける。
「やりましたね、アヤネさん!」
冬青もまたにっこり笑顔だ。
あらかじめ電脳ゴーグルで敵の動きをトレースし、構えから射撃までの時間を計算していたアヤネ。
攻撃のタイミングを予測可能なものにすれば、敵数が多くても動きを把握しつつの回避行動ができるとの判断。
「防御が困難なら、当たらなければ良かろうってやつですね!」
そして回避が困難なら、防御してカウンターでも何でも押し切ればいいのだ。
敵のユーベルコードを的確に対処しつつ、二人は幽霊船へと向かって行った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レテイシャ・マグナカルタ
「ちっ、こんなに綺麗な海が残ってるっつーのにどの世界に糞野郎(オブリビオン)は生えてくるんだな」
紺碧の翼を広げ小舟を蹴って、落下してくる敵へ急上昇
銃で狙われるだろうが、目とかがある顔は腕で隠しつつ気合(魔力)で体を硬くして突っ込むぜ
そんじょそこらの銃撃なら弾くぜ! 無理でも多少の傷はきにしねぇ!
あっちは翼がねぇぶん避けられねぇだろう、そのまま体当たりして腕なり足なり尻尾なり掴む!
「これでリーチは十分だ!」
気合(魔力)で尋常ならざる怪力を発して捕まえた敵を獲物に落ちてくる他の敵集団を上に向かって殴り飛ばす!
「下には降ろさせねぇよ!」
もう一体捕まえられたら片手ずつで竜巻の様に回転しながら突っ込むぜ
ブルース・カルカロドン
口調:『映画』以外の漢字はカタカナ
共闘・アドリブ歓迎
グリードオーシャンでの初仕事
海だったら誰にも負けないよ
「さあ、サメ映画をハジめよう」
UCで頭を二つに増やして、巨大化
変身形態は体長8m超えのダブルヘッドシャークだ
さっさと小舟から降りて、海中の敵を相手に【怪力】で暴れ回るよ
頭が二つあるから噛みつく速度は二倍だ。
抵抗は【恐怖を与えて】怯ませよう
逃げようたって、サメに【水泳】で勝てるはずないしね
敵のマスケット銃の魔弾にしたって、海中では威力半減
ボクのサメ肌があれば死ぬことはないだろうし、殲滅のために多少のダメージは許容する
まあ、サメがいる海に飛び込んできたのが運の尽き
二度と海上に上がれると思うなよ
ガガン!!
造りが甘いのか、散弾の銃声は割れた音がする。
「コンキスタドールめ……よくもッ――わわっ!」
ラッパ銃を持ち悪態をつく海賊が放たれたマスケット銃の弾を避けると、ぐらりと体が傾いて小舟が転覆しそうになる。
それを支えるように降り立ったのはレテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)であった。
青の目は鋭く降下せんとする敵を見据えている。
レテイシャはドラゴンの紺碧の翼を広げると同時に小舟の縁を蹴って、一直線に飛んだ。
「ギ!?」
迫るレテイシャへとマスケット銃が放たれるも、彼女の上向く顔は自身の腕が掲げられ、弾が弾かれる。
だが、気合という名の魔力による防御が行なわれるも、弾はレテイシャの血肉を削いだ。
「多少の傷は気にしねぇ!」
こちらは正しく気合いのままに放った言葉通り、勢いはそのままに、レテイシャは異形の海賊へと体当たる。魔弾とはいえ、装填に時間のかかるマスケット銃が相手なら、一発を許す程度の彼我の距離だった。
敵尾を掴んだレテイシャは、翼を一度大きく羽ばたかせ、
「これでリーチは十分だ!」
羽ばたきによる推進力を利用し、掴んだ敵を振り回し敵群を殴り飛ばしにかかる。
「チョッ……!?」
彼女たちの上空に迫っていた異形の海賊が戸惑いの声を上げるのだが、敵たちは軌道修正も叶わないただの跳躍。見事に強い一撃を受け、海に叩きつけられた。
水飛沫が上がる。
「――ちっ、こんなに綺麗な海が残ってるっつーのに、どの世界にも糞野郎は生えてくるんだな」
新手としてやってくる異形の海賊を見て、レテイシャが呟く。
それをややぽかんとした顔で見上げる海賊――伝って来る波に小舟が大きく揺れた――否――どんっと何かが乗った。
「ダイジョウブだった?」
「うおおおあああああ!? ってなんだ、サメか」
グリードオーシャンでよく見るやつである。ブルース・カルカロドン(全米が恐怖した史上最悪のモンスター・f21590)の姿を改めて見て、海賊はほっと息を吐いた。
ずり落ちるように入った海から顔を覗かせるブルース。
「ブルース! 『そっち』は任せるぜ!」
「おまかせだよ。ウミだったらダレにもマけないよ」
レテイシャの言葉に、歯をむき出しにしてニコリ(?)と笑う(?)ブルース。グリードオーシャンでの初仕事に、彼は張り切っていた。そしてここは海だ。
「さあ、サメ映画をハジめよう」
ブルースはぐるりと回って海へと潜った。
改造手術によって獲得した変身能力で体長八メートルを超える巨大サメとなったブルース。
海の中は深い青の色。
ゆらりと一度体をくねらせて、悠々と泳ぐ。今、ブルースの胸鰭から上にある頭部は二つになっていた。
ダブルヘッドシャークとなったブルースが向きを変えれば、易々と異形の海賊を捉えることができた。
マスケット銃が放たれる前に、大きな口を開き、がぶり。
銃を砕き、異形の海賊の肉を喰い破りまた砕く。鮮血がブルースの視界を染めるも少ぉし、頭を振れば視界はクリアになる。この時には既に敵は息絶えており、今度は尾鰭で打った敵に喰いついた。
ぐるんぐるんと旋回して暴れれば、周囲の敵が弾き飛ばされていく――敵の体内部が粉々になる音がブルースの耳穴には良く伝わってきた。
水泡が頭上で発生する――新手か。
(「まあ、サメがいるウミにとびこんできたのがウンのつき。にどとカイジョウにあがれるとオモうなよ」)
辺り一帯を血の海にして、敵の群れを片付けたブルースは海面へ。
水から顔を出せばキラキラと眩しい光――空中では、敵をもう一体捕まえたレテイシャが片手ずつに敵尾を持ち、竜巻のように回転していた。飛んで火にいる虫の如く、跳躍してきた敵を敵で殴り飛ばしていく。
「――っと、千切れそうだな」
あれだけぶん回していれば、敵の部位も当然千切れる。使い物にならなくなった敵だったモノを海上の敵に投げつけるレテイシャ。
「うわあ……」
海から大きな頭二つを覗かせて、ブルースはちょっと引いたような声を出した。
新しくて頑丈な武器(敵のことである)を探すレテイシャもまた、眼下の海が血に染まっていることに気付き「うわ」と小さく呟くのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
菫宮・理緒
いよいよ本格的に海だね。
ということで、わたしも海仕様!
今回は水中戦、いってみるよ。
初めてだから勝手がわからないことあるけど、なんとかなるよね。
【Craobhoga an whirlwind】で大気の層を作ったら、
小舟から海に潜って、海中の敵を倒していこう。
バランス感覚にあまり自信はないけど、海の中なら関係ないしね!
攻撃は
【E.C.O.M.S】で【Octagonal Pyramid】を展開。
魚雷っぽく使って、敵を攻撃していきたいな。
アーチェニットさんもミミリーさんも、島の人たちには慕われてるっぽいし、
試練に打ち勝てなかった海賊さんには申し訳ないけど、
ここはしっかり倒させてもらおう。
ジョン・ネレウス
流石、海賊を治める船長に相応しい気概
私も感服致しました――故に、
微力ながら力をお貸し致しましょう
足場が不安定であろうと問題ありません
戦うのは私ではありませんので
…さあ、存分に暴れなさい
召喚するは【幽霊海賊団】
数が多ければ多方からの奇襲も容易いかと
宜しいですか?
敵は負の感情、負傷の度合いに応じて守りが堅固になります
ならば攻撃を分散させるのではなく
連携し、各個撃破に努めなさい
己の従える幽霊船員の指揮を行いつつ周囲を注視
負傷が大きい敵を発見した場合は即座に声掛け
此処は戦場――私が狙われぬ謂れはなく
然し私も守られ、慢心している訳ではありません
敵が眼前に迫ろうとも冷静に
忍ばせていた銃で一撃を与えましょう
数多の海洋災害が広がる『外』とは違い、島湾である海域は比較的穏やかであった。
限られた位置へ。小舟の上に降りたジョン・ネレウス(冥府の門・f26261)は揺れ動くそれに対して難なく立ち、
「わわわ」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は揺れに応じてぐらついた体を懸命に整える。
そして独特な海の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。吹く潮風に血臭が混じっている。
剣戟の音、銃声――このうち幽霊船上から止まずに響く銃声はアーチェニットのものだろう。
「流石、海賊を治める船長に相応しい気概に、私も感服致しました」
ジョンが見るに、幽霊船に覆われた海賊船――近くに行かなければ詳細は分からないが、損害は今だ無いようだ。何らかの力が働いているのかもしれない。
「――故に、微力ながら力をお貸し致しましょう」
彼の言葉に理緒もまた頷いて、Craobhoga an whirlwindを手に。
「アーチェニットさん率いる海賊さんたちは、島の人たちにも慕われてるっぽいし、試練に打ち勝てなかった海賊さんには申し訳ないけど、ここはしっかり倒させてもらおう」
「ええ」
小舟の縁に足を掛け、跳躍したジョン――普通ならば海へと落ちるなりするところではあるが、彼の足は何かに着地した――ぐんっと彼が急浮上するとともに何かが構築されていく。
「足場が不安定であろうと問題ありません。戦うのは私ではありませんので」
穏やかな笑み。今、ジョンが立つ甲板は召喚した幽霊船のもの。
それも一隻二隻ではない。
理緒は目を瞬かせ、現れた『海賊団』を見上げる。
『海の老人』号の船長である彼は、見慣れた顔ぶれである海賊の幽霊たちを見遣った。
「……さあ、存分に暴れなさい」
――オオオオォォォ!!!
号令一下。幽霊たちの『声』が戦場へと響き渡る。
一斉に舵輪が回され、散開する幽霊海賊団。
海上から行うただの跳躍では乗り込めるものではない。異形の海賊たちがロープをかけ、伝い走ってくる。
充分に惹きつけてから、部下がラッパ銃による散弾で撃破する。
一方。群れへと突撃した二隻は甲板上での戦いが繰り広げられていた。剣戟の音が鳴り響くも、各船、乗り込む敵数は少ない。敵群が見事に分散されてしまっている。
「マズイ……!」
異形の海賊が唸る。三体を幽霊の海賊たちが取り囲みつつあった。
「宜しいですか? 敵は負の感情、負傷の度合いに応じて守りが堅固になります」
ジョンの言葉通り、敵の魔性の鱗が途端に強化され、背を預け合った敵が連携を取り始めた。
「ならば攻撃を分散させるのではなく、こちらも連携し、各個撃破に努めなさい」
彼の指揮に三体を分断しようと海賊たちが動き始めた。
海中の敵に対応するのは理緒だ。
作られた空気の層を纏い、泳ぐ。
バランス感覚にはあまり自信はないけれど、海の中ならそれも関係ない。
ハシバミの枝で作られたミニワンドを使って作った空気を噴射すれば、海の中でも素早く、かつ自由自在に動けた。
(「あ、お出ましだね」)
幽霊船団を『下』から攻撃しようと敵群が泳いでくるのを視認した理緒。
(「作戦行動、開始」)
正八角形のユニット、Octagonal Pyramidたちを召喚し、こちらへと向かってくる異形の海賊たちに放つ。
捉えている敵一体へ一直線に、または旋回する航行軌道でOctagonal Pyramidは着弾していった。
一撃は一撃、けれども、三七〇ものユニットが次々と的確に敵へと当たれば撃破も容易い。実際、消費したユニット数は一対につき七体。十のユニットが必要になった敵は、恐らく鱗が強化されたもの。いかに敵の攻撃回数が増えようとも、接敵される前に撃破してしまえばいいのだ。理緒は自身と敵の彼我の距離を保つ。
ユーベルコード・E.C.O.M.Sで減った分を補充しつつ、索敵も兼ねて理緒はユニットたちを動かした。その動きはまさしく魚雷そのもの。
ジョンの幽霊海賊団は良い『囮』となっていて、敵が近寄ってくる。
新手として乗り込んできた敵に、一瞬海賊たちが気を分散させる。
その隙を狙い眼前に突出してきた敵がいるも、全体の動きを見ていたジョンは慌てることもなく忍ばせていた銃を一発。
その銃声を耳にした海賊がジョンへの道を塞ぐように出てくる。
あとは任せても大丈夫だろう。
船の外を見る。
異形の海賊たちが、猟兵や部下たちによって一掃されたようだ。残るはこの船の敵だけの様子。考えつつ、海中の敵は、と視線を落とす。
丁度、理緒が海上へと顔を出したばかりで、ふと目が合った。
ひらひらと手を振る理緒。どうやら海の中の敵群も撃墜完了となったようだ。ジョンも笑みを浮かべ、片手を軽く上げた。
そしてアーチェニットのいる幽霊船へと船団を向ける手配をする。
コンキスタドールである幽霊船。
不気味な紫の光は、先程よりも強いものとなっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『幽霊船』
|
POW : 幽霊船一斉砲撃
【海賊船に搭載された全ての大砲】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 幽霊団の船出
レベル×1体の、【カトラスを装備した右手の甲】に1と刻印された戦闘用【幽霊海賊団員】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 聖エルモの炎
全身を【不気味な紫の光】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃回数】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:猫背
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「おかしら! 異形の海賊どもがいなくなった……!」
「何だと……?」
複製したラッパ銃を浮かべ、海賊船を覆う幽霊船を攻撃していたアーチェニットは部下の言葉に、一時的に銃を止めた。
ギギィィと軋む船の音――海賊船が鳴いているのか、はたまた幽霊船が泣いているのか――。
「おい、ゲイツエル! 無事か?」
「無事です!」
アーチェニットの声に即応したのは、彼女の部下であるゲイツエル。樽の中から顔を出し、皆から守られるように隠れている。
「そのままユーベルコードの力を展開してな。アタイらの船が沈んじまったら、アタイらだけじゃなく島民にも影響が出る」
「はい!」
そんなやり取りをする間にも周囲の紫光が濃くなり、新手の幽霊海賊団員が甲板に現れる。アーチェニット率いる海賊たちは疲弊の色を浮かべた。
「しつっこいなぁ……」
「そういやあ、ジジの奴、いっつも酒ばっか飲むなきちんと食事もしろ!! ってしつこかったよなぁ」
「うるさかったなー」
辟易とした表情を浮かべながらも、会話はどこか楽し気だ。
その時、
「おかしら、助っ人らしきもんが来る!」
「おー、しばらくココを頼むぜ。ちょいと交渉してくらぁ」
部下の報告を受け、アーチェニットは翅を広げた。
●
紫の光を放つ幽霊船に猟兵たちが意識を向ければ、檣楼にひらりと飛んできた者がいた。
人間の六分の一程の身長である金髪のフェアリーだ。翅を動かし、滞空する。
いかにも少女といった容貌のフェアリーは猟兵たちを見て、声を張った。
「よお、厄介な海賊どもを片付けてくれてあんがとな! 悪ィけど、このままちぃっと助力を請いたいんだが」
少女の可愛い声色でありながら、言葉遣いは荒々しい。
「見ての通り、アタイたちの船、喰われかけてんのよ。
部下が志願して試練を受けるのは別に構わねぇんだが、試練の結果、幽霊船(コンキスタドール)となった奴を逃すわけにゃいけねぇ」
アーチェニットが言うには拠点防御に長けた部下たちと共に、去ろうとした幽霊船の足止めを行うも、逆に侵食するが如くの攻撃を受ける事態となったらしい。
「アタイらはこのまま足止めしてっからさ、巨人の鉄球でも大砲でも何でもコッチにぶっ放してきな。なーに、コッチの船にゃ、船自体を守る使い手もいるし、案外頑丈なんだよ」
自衛はするからと、幽霊船撃破の助力を猟兵たちに依頼するアーチェニット。
「コトが終われば、報酬は弾む。金貨、宝石、ウチの島の名産品、はたまた美味しい食事といったところか?」
何か合図でもされたかのように、パイレーツロープや縄梯子が船上から投げられる。
海賊船に乗り込んで海賊たちと共に、敵である幽霊海賊団員や幽霊船を攻撃するか。幽霊船の外側から攻撃するか――などなど、猟兵たちの戦法は色々とあるだろう。
にっこりと笑顔を見せていたアーチェニットは、ふと真顔になって「頼む」と言葉を続けた。
「幽霊船(コンキスタドール)になっちまったジジは、気の利くイイ奴だったんだ」
だから、頼む。
――この島湾に沈めてやってくれないか。
猟兵たちに向かって、アーチェニットはそう言うのだった。
草野・千秋
みなさんご無事でしたか!
ジジさん、気の利くいい人だったんですね
年下の方に色々な注意をするのは、その人を愛している証拠
どうでもいい人に、わざわざとやかくなんて言わないです
でも、それでも今はコンキスタドール……
(歯痒そうに悲しそうにきゅっと目を閉じ)
僕らの手で終わらせなければ、ですね
勇気で戦いに挑みますよ
戦闘前に歌唱、楽器演奏、存在感、パフォーマンス
UC【Vivere est militare!】を発動
仲間に力が宿ったら自分も攻撃に切り替え
怪力、2回攻撃で接近戦に挑む
戦闘知識、視力で敵の動きをよく見定めて
可能なら第六感も交えて攻撃をかわし
激痛耐性、盾受けで耐えて仲間はかば
宮落・ライア
真の姿:透き通る大剣の
あ、容赦なく船を攻撃していいんだ。
とは言え巻き込みそうだから穏便に行こうか。
【星剣の担い手の継嗣】で
【鎧無視攻撃・破魔・属性攻撃・呪詛耐性】習得
【空蹴】で幽霊船に飛び乗りど真ん中に突っ込む。
本体も幽霊。そして召喚されるのも幽霊なんだろ?
なら、星の加護の敵じゃない。
UC【星の加護】を、破邪属性をのせて発動。
対象は邪気と悪意だけだから、海賊には効果はない。
星の加護は邪悪な物を退かせ、焼き払う。
使っていれば海賊の守護にもなるし、
幽霊を払う攻撃にもなる。
菫宮・理緒
ジジさん、だっけ。
仲間としてみんなに好かれていたみたいだし、
お話聞くと、優しすぎて勝てなかったのかなぁ……。
でも、コンキスタドールになっても仲間は仲間。
せめて愛したこの島の海で、ってことだね。
そういういことなら、わたしもしっかりお手伝いさせてもらおう。
相手は幽霊船だし、中途半端な攻撃をするよりは、
攻撃は火力の高い人に任せて、みんなの防御に回ろうかな。
【等価具現】で相手の攻撃を相殺していきたいと思うよ。
仲間を攻撃しちゃってることに、苦しんでる気がしちゃうし、ね。
「あなたの大事な仲間は傷つけさせないから、安心していいよ」
最初は完全には防げないかもだけど、
どんどんしっかり防御できるようになる、はず!
篝・倫太郎
引き続きリュカ(f02586)と
報酬弾んでくれるンだってさ……
リュカ、なんか欲しいモンってあっか?
俺?俺はまぁ……名産品が気になるけども
報酬に目がくらんでる訳じゃないデス
はは!その選択はなんつーかリュカらしい気がする
んじゃ、引き続き頑張りますか
篝火を攻撃力強化に使用
リュカに砲撃が届かないくらい
距離取りてぇけどいけっかな?
目算しつつ、水上歩行で接近
や、歩かない、うん
ダッシュで接近して華焔刀でなぎ払い
刃先返して2回攻撃からの鎧砕き
手応え感じた箇所を重点的に
フェイントも交えて狙ってく
敵の攻撃は見切りと残像で回避
リュカに海賊団員が向かうなら華焔刀で範囲攻撃して足止め
要らねぇかもしんねぇけど、念の為?
リュカ・エンキアンサス
倫太郎お兄さん(f07291)と
報酬として貰えるようなもので、欲しいものねえ…
何がっていわれると、ちょっと悩んでしまう
名産品?お菓子とか漬物とかお酒とか?
ああ。じゃあ俺は携帯食料がいいな。長期保存できて小さくてもお腹が膨れるの
なんて軽口をたたきつつ
先ほどまでと同様に、適当に足場を確保しながら撃ちに入る
お兄さんとは、多少離れているほうがお互いにやりやすいと思うから距離は取るけれども、離れすぎないように注意もしておく
砲弾をお兄さんがひきつけてくれるならありがたい。そのまま遠慮なく船のどてっぱらに穴をあけていくよ
勿論、お兄さんに何かあったら援護射撃で助けられたらいいと思います
何でも安全第一だよ
アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
海賊の頭がフェアリーなのは意外だった
かわいいって言ったら怒られそうだから言わずに我慢しよう
そうだネソヨゴ
一緒に大物はけっこう倒しているよネ
今回は乗り込むかい?
ok
飛ぶなら僕も連れてって
ソヨゴに抱き抱えられて海賊船へ
乗り心地って今聞く?
回避行動に落ちないようにぎゅっとしがみつく
上からお邪魔するネ!
大鎌を袖から引きずり出して手にする
UC発動
敵を拘束して斬りつけたりマストにぶら下がって奇襲をかけたりしよう
ソヨゴの背中を守れるように立ち回る
ソヨゴ操舵室に向かおう
たぶんその辺りに弱点かヒントがあるだろう
切り進むたびにアーメンと唱える
アーチェニットからの伝言だ
ジジはいい奴だったと
故郷の海に沈め
城島・冬青
【橙翠】
宇宙で戦艦と戦ったりダークセイヴァーで動く城型オブリビオンと戦ったりしましたけど
幽霊船と戦うのは初めてですね
アヤネさん
幽霊船も間近で見てみたいんでちょっと船へ行ってみませんか?(わくわく)
アヤネさんをお姫様抱っこして
UCで空から侵入!
撃ち落とされないよう砲弾は回避
アヤネさん、乗り心地はどうですか?
次は終点幽霊船です
なんちゃって
おー、幽霊団員が向かって来た来た
よーし受けて立つ!(刀を抜いてダッシュで斬りあう)
アヤネさんの援護を受けてガンガン攻めます
…しかしこれって除霊(物理)になるのかな?
この幽霊船と団員、お父さんに見せてあげたかったな
でもお父さんもグリードオーシャンに来れば
見られるよね
レテイシャ・マグナカルタ
●心情
強がりを言ってるってわけじゃなさそうだ
頑丈だってならこっちの船の事は気にせずやらせてもらうぜ!
●戦闘
さて問題の大砲だが、ただ鉄の玉を飛ばしてくるだけなら空中でつかみ取って投げ返してやるぜ! 砲丸投げの要領で思いっきり勢い付けてやる
問題は火薬が入ってて爆発するタイプの場合だが、こいつは即海面に落しちまおう。海中でなら爆発しても水柱があがるくらいだしな
近づかれるほどに撃ちづらくなるだろうからそうやって対処しながら飛んでいくぜ
幽霊船に接近できたら大砲を掴んで全力で引っこ抜くぜ”
「うおりゃああああっ!!」
そのまま振り回して他の大砲を壊したり投げつけて潰したり大暴れだ!
鈍・小太刀
どうしてもって言うなら仕方ないわね
私も力になってあげるわよ
…だから、アンタ達も無茶はしないで
死んだりしたら承知しないから!(無駄にツンデレ
桜雨からオーラ防御展開し海賊達に加勢
共に幽霊船へ挑む
幽霊船の動きを読み攻撃見切り
大砲の雨を衝撃波で叩き落とし接近
カウンターに大砲を切り落とす
名前、ジジっていうんだね
彼はメガリスにどんな未来を願ったのだろう
全てを承知の上で彼は彼らは覚悟を決めた
だからこそ振るう刃に迷いは無くて
海賊達と幽霊船
戦う彼らの間に感じる絆はこんなにも温かい
うん、わかるよ
最期の最期まで仲間、なんだね
桜花鋭刃で幽霊船の邪心を斬る
例え倒す事しか出来なくとも
彼の彼らのその想いは
確かに届くと信じて
ガーネット・グレイローズ
(ビジネスモードにつき丁寧な口調で)
あなたが海賊の頭領ですか?
私はガーネット、旅の商人です。
どうやらお困りの様子、私でよければ
手助けいたしますが。…ふふ、では参りましょう
用意してきたのは二足戦車のマシンウォーカー
これで幽霊船を足止めするぞ
コクピットに乗り込みマシンを〈操縦〉、そして
【目覚める巨兵】で機体を巨大化させる。
「危ないですよ、離れてください!」
マイクロミサイル、戦車用ブラスター、機銃を
次々に撃ち込んで幽霊海賊団員を一掃。3回攻撃だ!
カトラスごときでは、この機体を傷つけることは
できんぞ。
最後は〈グラップル〉で船体に組み付き、
ヒートクローで引っ掻いて船体に穴を空けてやろう。
●
声掛けた近くの猟兵の元へ飛んでいくアーチェニット。
彼女の動きを眺めたのち、倫太郎は隣のリュカを見た。
「聞いたか? リュカ。報酬弾んでくれるンだってさ」
先程の海賊船長の『ご挨拶』を聞いて「お?」と倫太郎が僅かに声を上げた部分である。
「なんか欲しいモンってあっか?」
その問いに、リュカはほんの少し目を伏せ考える表情。
「報酬として貰えるようなもの、で、欲しいものねぇ……倫太郎お兄さんは何か欲しいものって、ある?」
「俺? ――俺は、まぁ……名産品が気になるけども」
「それは、お菓子とか漬物とか、お酒とか?」
交易に使われている物品などがあるのだろう。「そうそう」と頷く倫太郎と、再び考えるリュカ。
「――じゃあ俺は携帯食料がいいな。長期保存できて小さくてもお腹が膨れるの」
リュカの答えに、倫太郎はからりと笑う。
「その選択はなんつーかリュカらしい気がする!」
んじゃ、引き続き頑張りますか! と、倫太郎は動き始めた空気を読み、リュカへと言うのだった。
「みなさんご無事のようで何よりです……!」
飛翔能力を解き船上へ降り立った千秋は、いつでもアーチェニットの部下たちを守れるようにmurus lamentariusを構えた。
「あなたが海賊の頭領ですか? 私はガーネット、旅の商人です」
縄梯子を使い、一度船へと上がったガーネットがビジネスモードで話しかければ、アーチェニットの背筋もまた伸びた。翅を動かし、ガーネットの元へと飛んでくる。
「申し遅れた。モルト・カリーナを治めているアーチェニットだ」
どちらからともなく、差し出した手が結ばれる。
「どうやらお困りの様子だ。私でよければ手助けいたします」
後ろではガーネットが使った縄梯子がぎしぎしと軋み始めた。にゅっと出てきた手が船縁を掴み――小太刀が顔を出す。
「どうしてもって言うなら仕方ないわね、私も力になってあげるわよ」
片時雨を手に、小太刀。
「……だから、アンタ達も無茶はしないで。死んだりしたら承知しないから!」
「ってコトだ! てめぇら、防御に専念しろよ! 油断してたら、どてっぱらに穴が開くぞぉ!」
「「「へい!!」」」
小太刀の言葉と、続くアーチェニットの号令に船員たちの返事がぴたりと合った。
「その方がいい――少々、派手になりそうですから」
微笑むガーネット。
白星色のマントをなびかせ飛び乗ってきたライアと入れ替わるように、後ろへ。そのまま待機させていた二足戦車のマシンウォーカーのコクピットに入り、機体を起動した。
甲板上へと降り立ったライアから星の光が放たれていく。
「本体も幽霊。そして召喚されるのも幽霊なんだろ? ――なら、星の加護の敵じゃない」
刀を片手に、大剣を振るえば勢いよく星が飛び、広範に輝き始める。
邪気を駆逐し悪意を遠のかせる星の光が、幽霊海賊団員と船の隙間へと入っていった。
シロイルカを走らせて、幽霊船に覆われた海賊船へと近付くアヤネと冬青――外から見ると、ほぼほぼ幽霊船だ。
「アヤネさん。私たちって今まで、宇宙で戦艦と戦ったり、ダークセイヴァーで動く城型オブリビオンと戦ったりしましたけど、幽霊船と戦うのは初めてですね」
冬青の言葉にこくりとアヤネは頷いた。
「そうだネ、ソヨゴ。大物は、けっこう倒しているよネ」
「幽霊船も間近で見てみたいんで、ちょっと船の上へ行ってみませんか?」
わくわくと冬青が指差した幽霊船。乗り込んでいく猟兵たちの姿も見えた。
シロイルカを停止させながら応じるアヤネの「ok」の声に、それじゃあ失礼しますね、と冬青。
アヤネの膝を掬い、お姫様抱っこ。黒蘭の花弁を纏い飛翔すれば、海上に散る猟兵たちを追っていたのだろう――ドンドン! ドォン! と全ての大砲が一斉に火を噴いた。
「耳が痛い~!」
――と声を上げてみる冬青だが、彼女のスピードに当然狙いをつけて動く砲身はついていけない。というか既に明後日の方向へと砲弾が放たれたみたいになっている。
「アヤネさん、乗り心地はどうですか?」
「乗り心地って今聞く!?」
返しながらがくんと揺れ、アヤネはぎゅっとしがみついた。
一気に上空へと飛翔した冬青が眼下を見れば――、
「レテイシャさん、すごーい!」
なんと砲弾を受け止めたレテイシャの姿。
一抱えもある弾を魔力による肉体強化で受け止めるレテイシャ。しかし、一投目。衝撃はかなりのもので砲弾速度はそう簡単に殺せるものではない。
いなすようにぐるんと空中回転した彼女は、真下の海へと落とすように弾の方向を変えてやった。
火薬仕込みの砲弾は海に落ちると同時、高く大きな水飛沫を上げた。
「うぉしゃああ!! なんとなく、コツは掴めた気がするぜ!」
「え、何の……?」
水上を進んでいた倫太郎は、レテイシャの声を聞いて思わず呟いてしまう。
――猟兵たちが分散していれば、大砲の狙いも分散される。時に浮き樽を使い跳躍もしつつ、海上を進む倫太郎は出現する幽霊海賊団員たちを華焔刀でなぎ払っていく。
時折、海に沈んだ刃先が水飛沫による軌道を描いていた。
再び小舟を狙撃場所に選んだリュカは、スコープ越しに今にも弾を放たんとする砲身の中めがけて、改造アサルトライフルを撃ちこむ。一度、二度、三度、と撃てば内部爆発。
大砲が一つ沈黙した。
そのまま狙いを下に、船体への攻撃を続けた。
目立つ中央のマストへ向かって冬青は飛ぶ。
「次は終点幽霊船で~す。ご乗車ありがとうございましたー」
なんちゃって、と言いながらも、二人は繰り広げられている戦いの場へ。
対、幽霊船。猟兵たちが投入された戦場にて、千秋の力強い歌声が響き渡る。
『――生きて、抗い、戦うんだ』
アーチェニット率いる海賊団船員たちをも鼓舞する奏では、皆の戦闘力を増強させるもの。
『沈黙したままでは空に羽ばたく自由は得られない』
Vivere est militare! を歌いながら、迫るカトラスの刃を盾で受け、弾く。
歌による、生きる者のための加護は、確かに活力を与えた。けれども同時に――、
「ジジ。お前、本当に死んだんだなぁ――」
戦闘力の増した船員が、幽霊たちのカトラスを的確に受けそう呟いた。判別された差異。
「ジジさん、いい人だったんですね」
千秋が呟いた船員へと声掛ける。
「仲間に色々な注意をするのは、仲間たちを愛している証拠。どうでもいい人に、わざわざとやかくなんて言わないです」
(「でも、それでも今はコンキスタドール……」)
歯痒そうに、悲しそうに、ぎゅっと目を閉じる千秋。
不気味な紫光が増し、生きる者たちの力を吸収する――それらを相殺する力を放つのは理緒だ。
「同位、検索……具現化シークエンス起動」
聖エルモの炎の等価存在を具現化させる。――夜の色であった。
ライアの星の光をより輝く方へと導き、歌声を渡らせ、紫炎を安らぎへと誘うような、夜。
幽霊船が、かつて仲間だったものを攻撃していることに苦しんでる……そんな風に理緒は感じていた。
(「仲間としてみんなに好かれていたみたいだし、皆の話を聞いていると、優しすぎて勝てなかったのかなぁ、って……」)
夜に立つ紫炎であったが、少しずつ、少しずつ、その威力は理緒の等価具現によって相殺されていく。
「あなたの大事な仲間は傷つけさせないから、安心していいよ」
仲間に攻撃を任せ、理緒は『守ること』に専念する。
●
甲板上に設置された幽霊船の砲台が動き始めた。
外側に向けられていた大砲が一部内向きに回され――、
「伏せて!」
小太刀と理緒の声を聞き一斉に伏せる船員たち。展開された夜の星空が彼らを覆う。
ドン! ドン! と、どこかリズムの良く連なっていく砲撃音。
内側へ向けられた砲弾を迎撃するは小太刀だ。腰を落とし、片時雨を振れば桜雨のオーラがのった衝撃波が放たれた。
下方からの斬り上げは、下部から砲弾を押し上げ軌道を変える。
そのまま駆け、次弾が放たれる前に一刀で破壊した。
刃に残る紫光を、払い落しながら小太刀は切り離されたそこを見る。邪心のみを斬る攻撃は、本来の船色を取り戻していた。
対角の大砲を千秋が怪力を振るい、壊している。
伏せていた冬青は跳ね上がるように、夜色が覆う甲板を駆けた。
同時に、威勢の良い船長の声が船員に向けられる。
(「海賊の頭がフェアリーなのは意外だった。かわいいって言ったら、怒られそうだから言わずに我慢しよう」)
という感想はアヤネのものだ。
「ソヨゴ!」
メインマストのヤードに二重螺旋のウロボロスを巻き付け、ウロボロスの大鎌を振るい遊撃していたアヤネが冬青を呼ぶ。
敵と切り結んだ冬青は、幽霊を撃破してからアヤネの方を見上げた。
「操舵室に向かおう。たぶんその辺りに弱点かヒントがあるだろう」
「はい! アーチェニットさん、操舵室ってどちらに――」
「船尾方向にあるぜ」
答えを受け、二人は駆けだした。
「衝撃がきますよ、気を付けてください!」
巨大化したマシンウォーカーからガーネットの声が響き渡れば、ばたばたと船員たちが備え始めた。
左舷に向かって複数のマイクロミサイル、機銃が撃ちこまれていく。彼女が今狙っているのは、船体から直接這い出てくる幽霊たちだ。一見粗い造りの幽霊船は今やぼこりぼこりと幽霊が湧く異様な様相となっている。
大きく一発、戦車用ブラスターを撃てば弾け飛んだ幽霊たちが海へと落ちて行く。
続け、二発、三発。
「まるで最後の足掻きのようだなァ」
撃ち落とされ、けれどもまだ元気な幽霊を華焔刀で斬る倫太郎。
刃先を返して描いた弧は、落ちてくる敵を斬り払う。
「何だか、ぶよぶよしていそうだね」
スコープ越しに見た感想をぽつり呟き、蠢く船体を撃ち続けていくリュカ。
数多の敵を、悲劇を、乗り越える為の弾丸に貫かれた幽霊は海に落ちれば溶け消えるように。
水飛沫は上がらなかった。
デコレーションされたケーキを少しずつ、切り崩していくように、幽霊船の戦力を削いでいく――のは左舷。
一方、右舷側。
ドゴオオン!!
と、撃ち放ったはずの砲弾が、投げ返されるという状況になっていた。
船体が大きく揺れ、
「ちょ、アーチェニットさん! 船、大丈夫そうですか!?」
「まあ、大丈夫じゃねぇかな?」
千秋の叫びに飄々と応じるアーチェニット。千秋が船縁へと寄ってみれば、海賊船と幽霊船と二つ分の縁。ひしゃげているのは外側の幽霊船のもの。
一瞬、他船の攻撃かと思われそうな衝撃が船体を襲ったが、実は、撃たれた砲弾を受け止めて、ぐるんと遠心を利用して投げ返したレテイシャの攻撃である。
「よし。着いた、っと!」
船体上部の狭間から突き出ていた大砲を掴み、『着地』するレテイシャ。腰を落とし、引っこ抜く態勢となり――バキバキという音が鳴らない代わりに、一瞬、ごうっと紫光が炎のように巻き起こった。
「レテイシャさーん、その幽霊大砲で何をするつもりなんですー?」
「ぶん回して、他の大砲を壊したり、投げつけて潰したりする!!」
千秋の問いかけにとても分かりやすい答え。
「って、あ、こっちにも幽霊が」
船体からぶくぶくと幽霊が沸き出し始めて、千秋はordinis tabesで撃ち落としていく。
「すげーいっぱいいるぞ!?」
幽霊大砲でレテイシャは幽霊海賊団員たちを叩き落としたり、船体から削り取ったり。
その時、夜の色から飛び出した光が流星となる。
右舷側の幽霊たちを払う攻撃――ライアだ。
「ちなみに、船への被害って今のところあったりするのか?」
アーチェニットを見遣り、問うライア。
船員たちを護り、幽霊を払い攻撃する星の加護は、今や船全体へと拡がっている。
彼女の言葉に頷き、アーチェニットは声を張った。
「大丈夫だろう。今は船体の防衛に力を注いでるしな――そうだろう!? ゲイツエル!」
「たぶん大丈夫です!!」
●
深い闇の色。
淀んだ紫が負けじと光る――マストに登ったライアが見た船尾は、濃霧が漂っているかのようだ。
「濃いな……」
大剣を振り星をばら撒いていけば、仲間の力でより輝きを増した星が邪気を払っていく。
少しずつ視界がクリアになる。
アヤネと冬青、二人がそちらへと向かうのを見て、ライアもまた同方向へと移動した。
星が導く道の先。そこにいたのは、
「幽霊船の、船長――? いえ、船員さん……?」
呟いた冬青が目にしたのは幽霊であった。だが舵を取ることなく、佇む男。
袖から引きずり出したウロボロスの大鎌を手に、アヤネは近付いた。メガリスの試練で覚醒したコンキスタドール。
「アーチェニットからの伝言だ」
大鎌を振り被る。
「ジジはいい奴だったと――故郷の海に沈め」
男の首めがけて鎌刃を流すアヤネ。敵の抵抗はなく、跳ね飛ばした首は放物線を描き船の外へ――。
「アーメン」
言葉を贈る。
崩れ落ちる胴の音は聞こえたけれども、戦闘や波の音に紛れてしまったのか、首が海に落ちる音は聞こえなかった。
ぼこり。
大きな塊が船体から排出される。
「リュカ!」
倫太郎の声を耳にしながら、闇纏う紫光の塊――その中心部をリュカが撃ち貫いた。
収束しゆく光の輝き。
「レテイシャ!!」
「おう!!」
ガーネットの呼び掛けに、向こう側からレテイシャが応じる声。
マシンウォーカーの腕を大きく振り被り、叩きつけるガーネット。機体から突出したヒートクローを幽霊船に突き刺し、引っ掻けば内部から紫光が迸る。
大きく傾ぐ船体――否、幽霊船。
常態の海賊船から引きはがされるように傾いていくコンキスタドール。補助するように、海から出てきた船底を押し上げたレテイシャは幽霊大砲を持ったままメインマストへと飛ぶ。
彼女がマストの先端へと降りれば一気に船は傾き、ばさりと幽霊船の帆がはためいた。
大海原へと出る風を受けたかのように。
「おかしら!」
「……チッ、帆を張れ! 今すぐだ!」
彼はメガリスにどんな未来を願ったのだろう。ふと、小太刀は想う。
動く船たちの帆を見て、共に航海をしたかったのかもしれないと考える。
(「全てを承知の上で、彼は彼らは覚悟を決めた。だからこそ振るう刃に迷いは無くて」)
すり抜けたり、引っ掛けて何かを道連れにしたりしながら幽霊船が傾く。
(「戦う彼らの間に感じる絆はこんなにも温かい」)
海賊船の帆が風を含み、ギギィと僅かに動いた。
「うん、わかるよ。最期の最期まで仲間、なんだね」
質量のある幽霊船のロープを斬り払い、続く一刀は目前の船体に向かって桜花鋭刃。
例え倒すことしか出来なくとも、きっと彼の彼らのその想いは確かに届く――そう信じて小太刀は振るう。
邪心を斬る刃が紫光を切り離した。
「あの幽霊船と団員たち、お父さんに見せてあげたかったな~」
沈む幽霊船を見送りながら、冬青が小さく呟く。
(「でもお父さんもグリードオーシャンに来れば見られるよね」)
周囲を見回せば、皆、倒したコンキスタドールを見守るように眺めていた。
「――ジジさんは、愛したこの島の海で眠り続けるんだね」
本来のモノへと戻った甲板から広げた夜を消す理緒。
(「倒さないといけないけど、コンキスタドールになっても仲間は仲間、なんだね」)
モルト・カリーナ島の海賊たちの矜持でもあるのだろう。
オブリビオンは骸の海へと還る――生まれて還る、それは船路のようだと猟兵たちもまた思う。
「眠りに行く海の男を見送ってやりな、『お嬢さん』」
海に溶け消えゆく紫光。アーチェニットは猟兵たちに微笑んだあと、海賊船へと声を掛けたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
第3章 日常
『島を一巡り散歩』
|
POW : お弁当を持って一巡り散歩。良い景色の場所で食べるお弁当は、きっと、美味しいよ。
SPD : 一巡り散歩のタイムアタック、誰が一番先に一周できるでしょう
WIZ : 島の住人達と交流したり、観光名所を巡りながら、島を一周してみます
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「おかえり!」
アーチェニット率いる海賊団と猟兵たちが港に到着すると、島民たちが出迎えてくれた。
怪我をした船員を運んでいったり、喜びあったり、悲しみあったりと忙しくしている。
猟兵たちに気付いた島民が、一段落するまで少しお休みになられてください、と声掛けてきた。そのまま休憩所へと案内してくれるようだ。
港には海賊船、鉄甲船、そして島民たちが使う小さな船がいくつか。
島の顔である港周辺は賑わっているようだ。交易に訪れる船のための店がある。
貝殻や真珠のアクセサリーを売るドワーフ。保存食を売るケットシーの店のお勧めはお魚ハーブや蜜を何かと一緒に練り固めたもの。
目を惹くのはあちこちにある緑だ。植え込みはもちろんのこと、家々の窓に飾られる鉢にも葉が繁り、花も黄色や白、水色や赤といった彩り豊かな花々が咲いている。
潮や植物の香りの中に、芳醇なものが含まれているのもどこか不思議だ。――香りを辿れば大きな樽に行き着いた。
猟兵たちが飲み物を貰って休憩していると、アーチェニットと巨人の女の子がやってきた。
「船の皆から聞いたよ、アーチェたちを助けてくれてありがとう! あたしはミミリーっていうの」
にこっと微笑んで、ちょっとだけ屈んだミミリーが猟兵たちに挨拶をした。
「御馳走、いっぱい用意するからたくさん食べてってね! 今、みんなで準備しているんだけど、今夜は宴を開くんだよ」
ジジのために、夜通し騒ぐのだとか。
とはいえ、準備には時間がかかるので、猟兵たちにはそれまで自由に過ごしてほしいとミミリーは言う。
「この辺りの露店で買い物をしたり、海で遊んだり――え? 観光名所?
そうだなぁ、ちょうど島の反対側になるんだけど、花の名所があるの。ふわふわしたまぁるい黄花が崖にいっぱい咲いていてね、地面には白い花もたくさん咲いているの」
「食いモン持ってちょいとしたピクニックとか、まあイイ感じじゃねぇの?」
食いモンは適当に、あの辺りから持って行きな、とアーチェニットが共同調理場の方を指差し言う。
「あと、この島のワインはお勧めだぜ」
にっこりと笑むアーチェニット。
島の中心には支えなしで栽培するブドウ畑があり、製造したワインは商売の要とのこと。
「飲めない子にはブドウジュースもあるからね。とっても美味しいんだよ」
島を散歩して、景色を見ながら弁当を食べるもよし。
買い物をしたり、商談をしたり。とっておきの景色を探しに行ったり。
宴の準備の手伝いをするのなら、散歩がてら花や果物を探して採取してみるのも良いだろう。
「それじゃ、また後でねー」
アーチェニットを頭に乗せたミミリーは手を振り、猟兵たちを送り出すのであった。
菫宮・理緒
海とお花もきにはなるんだけど、
せっかくだから、お土産買っていきたいかな。
可愛いアクセとか、似合う人たくさんいるし、
珍しかったり美味しかったりする食材とかも、
喜んでくれる人、たくさんいるんだよね。
海賊さんと島の人たちを見ていたら、みんなに会いたくなっちゃうなぁ。
いつか、ここの島の人たちみたいに素敵な絆になるといいな。
お土産だけじゃ、ほんとの絆は結べないけど、
ないよりはあったほうが絶対いいよね!
寮のみんなのことを思いながら、
アクセや食材、お花、ワインと、いろんなものを探してみよう。
こんどここにくるときは、
だれかを誘っていっしょに遊びに来たいなー♪
たまには島でバカンスとか、してもいいよね!
道は舗装されているわけではないが、色のついた敷石が間隔を置いてはめ込まれている。
理緒の辿る足取りは軽く。
海辺の、どこか彩りあるちょっとした露店の通りは色んな物が売られていて、理緒は琥珀色の瞳を輝かせて品を一つ一つ見ていった。
ふと、彼女はとある店の並びに足を止める。
串付きのブドウ飴や干しブドウや、ジャムの甘い香りが満ちた露店では、なんと茶葉も売られていた。
「……あれ? お茶っぱだ」
紅茶のような色でもなく、よく知る緑茶のような色の茶葉を見つけた理緒が不思議そうに呟けば、売り子のお姉さんが朗らかに話しかけてくる。
「それは野ブドウの葉なのよ。冷やして飲むととても美味しいの、飲んでみる~?」
と、お姉さんは言いながら動き始めた。
「わあ、氷だ」
カラカラとグラスに入れられる氷。
「ええ、うちの島には魔法使いが何人かいてね。氷屋も繁盛しているの」
透き通ったグラスに、注がれた馴染みのある茶の色。
受け取った理緒が一口飲んでみると、すっきりとしたほんのり甘い味。
口の中がリセットされるように、さっぱりとする。
「すごく飲みやすいね」
感想を言うと「そうでしょう?」とお姉さんも笑顔だ。
ブドウを使った色々な食材を購入して包まれるのを待つ間は、ちょっぴり手持無沙汰で、お姉さんのアクセサリーをついつい見てしまう理緒。無駄のない手の動きにしゃらりとしたものが、特に目を惹かれた。
「そのブレスレット可愛いですね」
「ありがとう! お気に入りなのよ♪ 普段使いできる可愛い物って良いわよねぇ。
あなたもしてみてはどうかしら?」
お姉さんが教えてくれたオススメの店は、キラキラとしていた。
さくら貝だろうか。淡いピンクや、濃いピンク、オレンジやレモンの色に近いもの、白もあったりする。
薄い貝をそのまま使ったアクセサリーもあれば、樹脂でコーティングされドロップ状になったものもある。
「わあ、可愛いデザイン~」
すべてが女性である店主の手作りで、一点もの。同じように見えても全然違っていて、これだ、と思うものを幾つか見つけていく理緒。
「ちょー可愛いよな。それっ!」
試着させてもらっていると、話しかけてくる人物――理緒が視線を上げればそこにはアーチェニットがいた。
「あ。アーチェニットさんも、首にアクセサリーをつけているんですね」
フェアリーの首元に気付いた理緒が言えば、アーチェニットは自慢げに胸を反らす。
「お気に入りの一品! 金で作られたアクセもいいんだけどな、やっぱウチの島のが一番だ。ほら、こっちのバングルタイプは貝がメインだけど、砂金が一粒ワンポイントに入っていたりするんだぜ」
店の一か所を指差す彼女に、理緒も視線を向けた。
「ほんとだ、可愛いー」
「お客さん、おかしら、こっちこっち、サンダルに付けるやつも可愛いの作ってみたんだ~」
見て見て! と主張する店主。あ。これも可愛い! と、アーチェニットと理緒がそれぞれ口にする。
きゃっきゃとした声になる女子の図。
(「アーチェニットさんや島の人たちを見ていたら、みんなに会いたくなっちゃうなぁ」)
理緒が歩いていて感じたのは、島民たちは皆なかよしだということ。
今は休んでいる海賊たちにも、差し入れが幾つか届けられていくのを、彼女は見た。
(「いつか、ここの島の人たちみたいに素敵な絆になるといいな」)
理緒が思い浮かべるのは寮のみんなのことだ。
「お土産だけじゃ、ほんとの絆は結べないけど、ないよりはあったほうが絶対いいよね!」
一人、一人に思いを馳せて、似合うアクセサリー、楽しんでくれそうな食材、好きそうなワインを購入する理緒。あと、皆で食べられるお菓子とか。
練り香は海の匂いをベースに、清涼感のあるミント系、花のようなフローラル系が揃っている。
掌サイズのピカピカに磨かれた貝の置物。上にちょこんと乗っているのは、やっぱり貝で作られた小さな亀。
白い砂粒が入ったビンには花ひとつ。赤や青、水色と、部屋に飾れば明るく楽しげな雰囲気になるであろうお土産もあったり。
一つ一つが、海を思わせる物で、目にすればちょっとした南国気分を味わうことができるだろう。
「こんどここにくるときは、だれかを誘っていっしょに遊びに来たいなー♪」
ふふ、と理緒は微笑んで。
「たまには島でバカンスとか、してもいいよね!」
綺麗な景色、可愛い小物、美味しいものを食べたり飲んだり。
そして白い砂浜と青い海で全力で遊ぶ。
手にするお土産は少しずつ増えて重くなっていったけれども、理緒の足取りは更に軽くなる。
敷石を辿る足音も、楽しげに弾むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ガーネット・グレイローズ
ひとまず船長との約束は果たせたね
ジジの冥福を祈り、海賊たちの絆に敬意を。
…さて、私はもう一仕事だ。
取り出したのは商船『シルバーホエール号』を収めた酒瓶。
酒瓶を港の海面に浮かべると、たちまち巨大な船となる。
ユーベルコードで【ガーネット商会】の船乗りを
呼び出し、貨物の積み込みや荷降ろしを頼むぞ。
アーチェニットとミミリーはここの顔役だから、
キチンと話を通しておこう。
「島の名産品を見せてもらいませんか?」
島を歩き回って商店を訪問し、目ぼしいモノを
店主と<取引>して買い付け。
このワイン、素晴らしい味ですね。いい葡萄を使っている。
どうです? 私の会社にご依頼いただければ、
販路を拡大することもできますが…
波止場の一画にて献花が行なわれていた。
ジジに手向けられた花を積み、祈りを捧げる島民たち。ガーネットもまた幽霊船の沈んだ海へと向き、ジジの冥福を祈り、海賊たちの絆に敬意を表す。
「……ひとまず船長との約束は果たせたね」
ふ、と息を吐き、ガーネットが海から港へと目をやれば、当の船長。見回り中のアーチェニットを見つけた。
「なかなか忙しそうですね」
「――ああ、ガーネット。どうかしたか?」
声を掛ければ、翅を羽ばたかせてアーチェニットが寄ってくる。
「ええ、少し相談と商談を。こちらに船を出してもよろしいですか?」
そう言ったガーネットが掲げたのは酒瓶――ボトルシップだ。ひと目見て察したアーチェニットが頷き、船を出すのに適した場へと案内してくれた。
「では失礼して」
酒瓶を港の海面に浮かべると、たちまち巨大な船――シルバーホエール号が出現する。
「お~! おっきな船だな! 造りからして商船だろうか?」
背伸びするように飛んだアーチェニットの声が降ってくる。
「ええ、そうです。――さあ、仕事だ」
言葉後半、ガーネットの声は『ガーネット商会』の船乗りたちを呼ぶものであった。
「ガーネット様」
秘書の役割をする船乗りがファイルとリストを彼女に手渡す。数枚に渡るリストを改め、ガーネットはアーチェニットへと渡した。
ファイルの中身は船荷証券で、こちらは手元に控えておく。
ガーネット商会が現在取り扱っている品や販路が記されたリストを読むアーチェニットは、ひとつ頷く。
「ふむ……大体は分かった。それでは、商談といこうか」
「島の名産品を見せてもらえますか?」
「いいよ~。主な名産品は船乗りに人気のワインなんだけど~、あ、こっちでーす」
ミミリーの案内で、島の商店を回ることにしたガーネット。
まず案内されたのは、いわゆる地下ワイナリーであった。試飲のための一杯がグラスに注がれる。
「このワイン、素晴らしい味ですね。いい葡萄を使っている」
香りは僅かに甘く、芳醇。口当たりはしつこくない。口に含めば広がる味は、ほんの少し違うものへと変化した。
「この島は、大昔は火山だったらしいんです。土が良く、ワイン用のブドウも質の良いものが実ります」
店主がそう説明する。肥沃な土で育ったブドウで作られるワインは、辛口、甘口と取り揃えられており買い付けにくる海賊もいるのだとか。
「ガーネットさん、こちらも如何でしょうか」
店主に勧められ、次に試飲したのは同じ土で育つ野ブドウの茶葉だ。
「こちらは健康作用がありまして、古くから伝わる茶葉なのです」
「健康作用、ですか。野ブドウならば血液循環、体内の整えといったあたりでしょうか」
「それが、言い伝えられているだけでして、どのような『健康作用』なのかは分からないのです……」
心なしか、しょんぼりとして店主が言う。
「ふむ……宜しければ、こちらで詳しくお調べしましょうか?」
健康志向の客に売れそうだが、成分の詳細は明らかになった方がいいだろう。ガーネットがそう進言すれば「いいんですか?」と店主は目を輝かせて言う。
「万能薬って言われてたから飲んでたけど、分かるトコ分かった方がいいよね~」
と、ミミリーも嬉しそうに頷いた。
「どうです? このまま私の会社にご依頼いただければ、販路を拡大することもできますが……」
ワインも茶葉も、出来高は充分にある。
答えは「是非」で、話はトントン拍子に進み、島側の要望としてガーネット商会を通じ砂糖が卸されることとなった。安定した供給は島としても欲しいところなのだろう。
「わ~い、お砂糖があれば、色々作れるね♪ 花の砂糖漬けに、ブドウも色々できそう」
「やはり女性が顔役ですと、可愛らしい商品が多くなりますね」
ミミリーの言葉に、微笑みながらガーネットが言う。
海賊船の名は『シニョリーナ』――確かアーチェニットは『お嬢さん』と呼んでいた。島花の種が多く、店に並ぶ商品は可愛らしい物があり、これはモルト・カリーナ島の特徴ともいえるだろう。
他には、淡いピンク、濃いピンク、黄や白といった小貝のアクセサリーや、同じ色のガラス瓶などの雑貨。この島の花の種などを買い付け、ガーネット商会の船乗りたちに運ばせた。
送り状とパッキングリストをミミリーから受け取り、更には原産地証明書作りと、上役の仕事も多くなる。
「紙も水に強そうな素材ですね」
ガーネットが指で弄ると、ペコンと小さな音。
「うん、他の島から買っている紙なの。羊皮紙みたいにくるくるもできないんだけど、貴重なんだぁ」
グリードオーシャンにはまだ猟兵たちが知らない島がたくさんある。
それぞれの島にはそれぞれの特産品。海洋災害に邪魔されながら、必死に交易をする覚醒者もいるだろう。
世界は広い――まだ見ぬ商品を想い、高揚感を覚えた。
商談を終え、今度は気晴らしの視点で露店を見て回るガーネットは、土産を買う猟兵の姿を見つける。
「あれは……」
こちらに背を向けている彼女の、灰色の髪はツインテール。悩んでいるのか、ゆらゆらと揺れていて思わず笑みが浮かぶ。
声を掛けるべく、ガーネットは彼女へと向かって歩み始めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
草野・千秋
アドリブ連携等歓迎
ひとまずは戦いは一旦終わりということでしょうか
まだまだこの世界、グリードオーシャンには
数々の危機は訪れるでしょうけど
その時はまた僕ら猟兵が駆けつけます
……ジジさんも安らかでいるといいですね
食べ物を持ってちょっとしたピクニック
共同調理場で魚や貝を料理技能でさばいて焼きます
うーん、この旨みのありそうなおつゆ!
ポノさんにも軽く声をかける
魚介類つまみ食いしますか?なんて
ワインは白ワインあったらそれをいただきます
飲みすぎない程度に
うーんいい景色
僕スマホあるんですけど
さすがにここには電波は届かなくても
写真は撮れるでしょうか?
家で待ってる人に見せたいんです
この綺麗な海を
波止場では献花が行なわれている。
島民が花を積み、祈りを捧げていた。その様子を見守る千秋。
(「ひとまずは、戦いは一旦終わりということになりますね」)
とはいえ、このグリードオーシャンの海は広く、島はまだまだある。
今、千秋の目に映る海は青く晴れ渡り、水平線が見えるけれども、実際のところ、この世界は濃霧に包まれているようなものだ。
鉄甲船と猟兵は、さながら濃霧の先を照らそうとする灯。
「この世界、島々には、まだまだ数々の危機が訪れるでしょうけど、その時はまた僕ら猟兵が駆けつけます」
だから、
「……ジジさんもどうか安らかに」
穏やかな千秋の声が海へと落とされた。
共同調理場を借り、千秋は魚や貝を網上で焼く。
煙と一緒に立つのは潮の香ばしさ。
「うーん、この旨みのありそうなおつゆ!」
じゅわじゅわと出てくる水分はまさしく自然の調味料。
その時、香りに釣られて来たのだろう。エルフの姿を見つけて、千秋は声をかけた。
「ポノさん、ポノさん。魚介類をつまみ食いしてみますか?」
「え、いいの? わあ! ありがとう!」
千秋の言葉に、ポノがスキップで近寄ってくる。
焼きたての貝と魚――千秋も味見をしてみたが、さすがの海の幸。ぱりっとした魚の皮、ふわふわの白身。貝はぎゅむっと歯ごたえが良く。
「千秋さん、ごちそうさま! お礼に飴ちゃんどうぞ」
りんご飴みたいに、細い串に刺されたブドウ飴を渡し、ポノが去っていく。
笑顔で見送って、千秋もまた料理が冷めないうちにと良い景色探しに。
島民にオススメされた高台にやってきた千秋。
「うーん、いい景色」
海と、島の半分を一望できる高台で、ぐっと伸びをする。
広がる海は下で見るよりも、より深い青で、そして白い雲が近くなった気がした。
島民が作った木のベンチに座り、景色を眺めながらのピクニックだ。
程よく熱が飛んで、旨みがぎゅっとまとまってきた海の幸。飲み物は、白ブドウのワインを控えめに。
「あ、そうだ」
ふと気付いて、vetiti fructusを取り出し、まず見たのは電波。
「あ、やっぱり、さすがに電波はありませんよねー」
苦笑するけれども、オフでも使えるアプリケーションはたくさんある。
カメラを起動して、千秋は一面の青を画面に映した。
――カシャッ。
軽快な音が、小気味よい。
吸い込まれそうな青が、千秋の手元にやってきた。
「良かった、上手く撮れました」
ほっとして、微笑む。
家で待つ人に、この綺麗な海を見せたいな、と――そう思ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
篝・倫太郎
リュカ(f02586)と
パニーノ片手に露店を冷かしながらのんびり過ごす
リュカの示す先を眺め
明らかにお値段しますよねぇ?
流石に報酬弾むって言われたけどもアレは無理じゃねぇの?
明らかに報酬の域超えてね……冗談かよ!
携帯食料つか保存食はケットシーの店だって言ってたぞ?
味はどうでもいいのかよ……お前
まぁ、保存食って『長く持たせる』事に特化してっからなぁ
あ、そうだ!
リュカよう、珈琲豆、買ってかねぇ?
んで、また美味い珈琲淹れてくれよ
タカリに行くから
淹れてくれるンなら豆は俺が奢ってやる
俺?俺は土産にワインかな
名産つってたし
はは!リュカにはちっとばかし早いもんな
リュカが成人したら、そん時はイイ酒奢ってやるよ
リュカ・エンキアンサス
倫太郎お兄さん(f07291)と
露天巡りをする
んー
そうだな
あ、お兄さんあれ買って、あれ。溶かして弾丸にするから
(ものすごく高そうな宝石を示して
…ダメ?
ちぇ
とか、冗談言いながらぶらぶら歩く
そういえば携帯食料を補充したい
味はどうでもいいから、腹持ちのいいのはないかな…
そうだね。あとは珈琲が欲しい
この島特有の、とっておきのがいいな。
とか、自分の買い物はそんな感じ
露店をぶらぶらしつつ、いい出会いがあれば何か買う
お兄さんは?何か欲しいものとかある?
安いものなら俺が一つ奢ってあげよう。安いものなら
…って、ワインか。
それは俺が横取りできないからね。自分でどうぞ
うん。それまで生きていられたら、たかりに行くよ
パニーノを売る露店は、島にとってのご飯屋さんでもあった。海に出る者のため、畑に行く者のため。バゲットに挟む具は塩のきいたハムやタレに漬け込まれた肉類魚類。葉物とチーズ。個人の好みに合わせて作ってくれる。
そんなパニーノを片手に、露店を巡るのは倫太郎とリュカだ。
買い物をしてくる、とアーチェニットに言えば、ある程度のものは手に入れられるよう島の顔役は通貨をくれた。報酬の一部である。
――というわけで、早速ぶらぶらする二人組。
「リュカ、なんか目ぇ惹くモンあるかー?」
「んー……そうだな……」
「やー、金貨も貰ったし、今なら何でも買える!」
奢ってやんよ、というアニキ雰囲気マシマシな倫太郎の言葉に、ゆっくりと辺りを見回すリュカ。良さげな品を見つけたのだろう。「あ」と小さく声を上げ、目を瞠る。
「お兄さんあれ買って、あれ」
指差した先には鉱石屋。金は勿論のこと、海の輝きを持つ石やホタルのようにチカチカと光る石がある。
「あれ。溶かして弾丸にするから」
倫太郎がリュカの指先を辿れば、店の奥。ものすごーーーーー、く、高そうな宝石に目線がいく。
「……『リュカさん』よぅ……あれ、明らかにお値段しますよねぇ?」
キラキラとした石は、夜明ける海に陽が溶け流れたような輝き。
「流石に報酬弾むって言われたけども、アレは無理じゃねぇの?」
ひきっと頬が引き攣る倫太郎は言葉を続ける。
「明らかに報酬の域超えてね?」
「……ダメ? ちぇ」
あっさりとそう言って、パニーノにかじりつくリュカ。
ゆっくりと歩き始め「じょうだん、じょうだん」と淡々としているけれども僅かに弾みのついた声。
「……――って、冗談かよ!」
思わずツッコミを入れる倫太郎。力が入ったのだろう、食べかけのパニーノからハムがにぎゅっと出てきた。
「あ。携帯食料の補充をしないと」
気ままな猫のように、ふと思い出したリュカは再び店の並びを眺めた。
「携帯食料つか保存食はケットシーの店だって言ってたぞ?」
「――」
探す目を、売り子のつるつる肌のニンゲンからケットシーへと切り替える。
「あ、ほら、ネコチャン」
先に見つけたのは倫太郎で、彼が示す先を、次はリュカが辿った。
「いらっしゃいニャン♪」
海の男ならぬ海のケットシー。ねじり鉢巻きを装備し、深い青のエプロンをしている。
「味はどうでもいいから、腹持ちのいいのはないかな……」
「味はどうでもいいのかよ……お前」
「腹持ちがいいニョはコレかニャ。長期航海用ニャンだけど」
――試食。
色んな干物を粉状にして超香辛料を効かせたものを練り込んだいわゆる乾パン。
「えー……未知……まぁ、保存食って『長く持たせる』事に特化してっからなぁ」
倫太郎の味の感想がコレで、リュカは特に味の吟味もせずに黙々食べた。
携帯食料を手に入れて次を探す。
「あ、そうだ! リュカよう、珈琲豆、買ってかねぇ?」
んで、また美味い珈琲淹れてくれよ。と倫太郎が笑って言う。
「タカリに行くから。淹れてくれるンなら、豆は俺が奢ってやる」
そうだね、とか、分かった、とか。リュカの頷き一つには、色々な意味が含まれていた。
モルト・カリーナ島特有の、とっておきの豆。暖かな気候を活かし生産されたそれは生豆状のもの、焙煎されたものと品が揃っている。甘みのある豆で、浅煎り向けの物。
珈琲豆を購入し、再びぶらぶら。――と、ここでリュカがふと気付いた。
「お兄さんは? 何か欲しいものとかある?」
「俺? うーん……」
「土産とか。安いものなら、俺が一つ奢るよ。安いものなら」
リュカ。だいじなことなので、にかい。
「そだな。俺は土産にワインだな。名産つってたし」
「……って、ワインか。それは、俺が横取りできないね」
倫太郎の珈琲豆のように、たかりに行く予定だったらしいリュカ。ワインは自分でどうぞ、とあっさり告げる。
そんな彼に耐え切れず、倫太郎は笑った。
「はは! リュカにはちっとばかし早いもんな。
――リュカが成人したら、そん時はイイ酒奢ってやるよ!」
どこかおひさまのような笑顔で言う倫太郎を見て、リュカは瞬き一つ。
そしてつられたように、穏やかな笑みを浮かべた。
「うん。それまで生きていられたら、たかりに行くよ」
必ず、とは言わない約束は流れゆく雲のようにふわふわと。
けれどまた一つ。己が身に星が宿る――そんな約束であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レテイシャ・マグナカルタ
●行動
花の名所で写真を撮る。海をバックに一面の白い花をパチリ
崖に咲く黄花をパチリ、空を飛べる事を活かして普通じゃいけない場所や角度からも色々と撮影
そうこうしているうちにポノを見つけるんで声をかける
「今日はお疲れさんだ」
写真?実家の土産にするにも量が増えると危険だからな。その点写真データならいくら増えても心配はねぇ
ポノがOKなら被写体になってもらうかな、花の丘にエルフなんてぴったりだろ?
色々撮らせてもらったり時にはツーショットしたり
その後は宴に参加してその様子やアーチェやミミリーや島の皆も写真に収めていく
実家に戻ったら義弟妹達の息抜きにささやかなパーティでもするかと考えながら
鈍・小太刀
※合わせ・アドリブ大歓迎!
ガーネットいるかな?
ポノいた!
お願いちょっと手伝って!
私もお土産買おうかなって
真琴が喜びそうな玩具はっと…
杏と祭莉んにはやっぱり食べ物かな
海莉にはお茶を♪
シリンにはワイン…でもこれ絶対飲み過ぎるよね(汗
気になるのはお魚ハーブ
どんな味なんだろう?
お土産の筈がちょっと減り…
ポノにもはい、口止め料ね♪
夜は宴へ
海賊達と共に賑やかに
そりゃお酒は飲めないけどさ
ジュースが美味しいからいいもんねーだ(開き直り
美味しいご馳走を食べながら
海賊達の冒険譚に
語られるジジの話に耳を傾ける
もし夜通し騒ぐ海賊達の中に
ジジの気配を感じたら
海賊達の確かな絆と
勇敢な海の男に敬意を表して
そっと杯を捧げるよ
●
「レテイシャ! お願いちょっと手伝ってー!」
「おあ、何だ何だ?」
よし好きなことしようぜじゃあ解散! と猟兵たちが休憩所を出て行くなか、レテイシャを呼び腕に手を掛ける者――振り返れば、小太刀と後ろにはポノの姿。
「? 今日はお疲れさんだったな」
「うん、お疲れさま!」
レテイシャが言えば、小太刀もにっこり笑顔で。
「お疲れさま、レテイシャさん。ちょぉぉーっと付き合ってくれるかしら?」
「……え゛」
やはりというかポノも笑顔で言ってきて、レテイシャは僅かに戸惑いの表情を浮かべた。
「付き合ってくれてありがとね、レテイシャ! 私、お土産を買おうかなって思っててね」
何のことは無い。小太刀が買っていく土産選びのお手伝い依頼である。
「レテイシャさん、子供たち……じゃなくて、人に合ったものを探すの得意そうだから」
小太刀がポノに声を掛け、ポノがレテイシャを巻き込んだ形となったようだ。
「真琴――あ、弟なんだけどね。喜びそうな玩具があるかなぁ?」
説明をしながら小太刀が露店を覗く。木で出来た玩具や、綺麗な貝殻のバラ売り。
小太刀の言う弟は八歳。少女のような容姿だとか趣味だとか、情報を聞き、ふむ、とレテイシャも思案顔。たくさんの『きょうだい』たちの顔が次々と思い浮かぶ。
「バラ売りの貝殻を集めてアクセサリーや風鈴の作成キットにするとか――ああ、こっち、変わった絵の具もあるぜ」
「貝殻の色々作成キットは女の子たちが喜びそうねぇ。お人形に付けてあげたり」
「え、やだ可愛い! こっちの貝はピカピカに磨かれてるんだね」
桜色、空色、淡い真珠粒のような貝を見て小太刀が目を輝かせている。
「絵の具も良い色だなぁ」
白く塗られた木板には色彩見本。夜明ける海色に陽を溶かし流したようなグラデーション。
「あとは、杏と祭莉んには食べ物と、海莉にはお茶だね♪」
ある程度日持ちがするようタレに漬け込まれた肉や魚。蜜で固めたお菓子。茶葉はブドウの葉を使ったもの――とても健康に良いらしい。
三人寄れば何とやら。友人への土産選びも捗る。
「あとはシリンにはワイン、っと……でもこれ絶対飲み過ぎるよね」
「そう言えば、さっきガーネットがワイナリーって所に入っていくのを見かけたな」
同じ戦場を駆けた赤髪の彼女は、今、商談に駆け回っているみたいだ。
買い物に疲れたら、立ち食いの店に寄った。
パニーノの店は島にとってのご飯屋さんだ。畑に行く者、海へと出る者など皆を支えている。
バゲットに挟む具は塩のきいたハムやタレ漬けの魚や肉、生野菜やチーズと、自由に選べた。
「お魚ハーブって、どんな味なんだろう?」
メインにグリルされた白身魚を選んだ小太刀は、先程買い求めたハーブを使ってみることに。小瓶に入ったそれをパパッと振りかけて。
干した魚と様々な香草を粉末にしたハーブは、良く知るコンソメスープのような味。
「レテイシャも、ほら」
「――う? お、うまいな」
(「そういや、孤児院でも色々ハーブを使ってたっけなぁ」)
と、どこか懐かしげにレテイシャがパニーノをぱくつく。
「小太刀さん、お土産、減っちゃってるわよ」
「あれ? ――…………ポノにもはい、口止め料ね♪」
●
レテイシャは花の名所で写真を撮る。
潮の香り、草木の香り、花の香り。胸いっぱいに吸い込んで。
海をバックに一面の白い花を、パチリ。
崖に咲く黄花をパチリ。下から仰げば、鮮やかな黄の花びらがレテイシャの金髪にふわり舞い落ちる。甘い香りがした。
紺碧の翼を広げて空へ。
下を見れば、海の青と白い砂浜。鮮やかな黄と、透かし模様のように在る白い花。
どこを見ても絶景で、最高の被写体であった。
パチリ。
ふと、二人に目を向ければ、こちらを見上げて手を振ってくる。
緩く、振り返した。
「わ。すごい、すごい。綺麗に撮れてるよ!」
レテイシャに写真を見せてもらう小太刀。これ、すごいね! と、改めて感動した声を上げたのは空から撮った写真たちだ。
「送ろうか?」
「え、いいの?」
「やったー!」
小太刀もポノも端末を取り出して、データを転送してもらいゲットした。
これが家族への土産がわりなのだとレテイシャは言う。
「実家の土産にするにも量が増えると危険だからな。その点、写真データならいくら増えても心配はねぇだろ?」
アポカリプスヘルに沢山の物資を持ちこめば、オブリビオン・ストームが発生する可能性がある。
「――そっか。早く、平和を取り戻していきたいね」
奪還者として。小太刀の言葉に、レテイシャもポノも頷いた。
「よし、次の被写体だ。二人とも、いいか?」
カメラを振って言うレテイシャはにっこり笑顔。
「ちょっと照れるわねー」
「ここはトリプルショットでしょ! ほら、レテイシャも!」
小太刀が二人と腕を組み、一枚撮ってしまえばそこには皆笑顔。色んなポーズに挑戦していく三人であった。
●
リュートが奏でられる。
港の近くでご飯を食べて、騒いで。時に鎮魂の音楽。
コンキスタドールとなってしまったジジは、パニーノの店に併設する料理屋で働き、時々船旅に同行していた若者だったらしい。
中年の海賊は、彼を若造扱い。だが孤児だったらしい彼にとって、船の男たちは爺のようであり父のようでもあったのだろう。
美味しい御馳走を食べて、ゆったりと寛ぐ小太刀はジュース片手に彼らの話に耳を傾ける。
(「きっと一緒にずっと船旅をしたかったんだろうなぁ」)
そう考えていると、夜風に紛れて、ほら、と誰かに促された――。
見れば、料理の並ぶ場所ではサラダが向こうに追いやられている。
しょうがないなぁ、と小太刀は思う。
「ほら、海賊のおじさんたち。野菜も食べないと!」
「酒ばっかりだと体に悪いだろ」
アーチェニットとミミリーのダンスを写真に収めてきたレテイシャも、戻ってきて便乗する。
「なんでぇ、ジジみてぇなことを言う嬢ちゃんたちだなぁ」
渋々と、嫌そうに食べる海賊たちの様子を、苦笑しながらカメラに収めるレテイシャ。
(「実家に戻ったら、義弟妹達の息抜きにささやかなパーティでもするか」)
見せて見せて、と小太刀が覗きこむ。何かに配慮したその動きは、頭一つ分。思わず少し目線を上げて振り向くレテイシャ。
誰もいない。
小太刀が杯を彼女へと手渡した。
「ね。レテイシャ」
「ああ」
海賊たちの確かな絆と、勇敢な海の男に敬意を表して。
杯を捧げる小太刀とレテイシャであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
海賊の島でピクニック!
まずは島の周りをぐるりと海上散歩しよう
シロイルカにソヨゴを乗せて出発
潮風が気持ちいい
海鳥や飛魚と競争しよう
これだけ見晴らしがいいと風景の一部になった気分だネ
次は水着?
いいネ
サーフィンとかしたい
さて目的の花畑はあの辺りかな
上陸して崖を登ろう
え?飛ぶの?
じゃあ僕も連れてって
お弁当にぶどうジュースとは
さすがソヨゴ
デキる女って
僕は本気でそう思っているネ
と笑いかける
美味しくお弁当をいただいたら
花畑の中に座って白い花を摘む
編んで花冠を作ろう
はいお姫様
冠をどうぞ
指輪をくれると言うので左手を差し出す
あ、ソヨゴ
薬指なんだけど
照れるソヨゴの額にそっと口付けする
ありがとう
城島・冬青
【橙翠】
おつかれでした
折角新しい世界に来たんですから
やっぱり探検!したいですよね?ね??
アヤネさんのシロイルカに乗って島をのんびり一周します
風が気持ちい〜
水着を持参してたら泳いでたかもしれない
次は持ってこよう
良さげなポイントを見かけたら
上陸してお昼にしましょう
崖はUCでサクッと登りますよ
そしてジャーン!
お弁当もあります
実はこっそりお弁当とぶどうジュースを買ってたんですよ
ふっデキる女は用意周到なのです
なんちゃって
えっ?!買い被りすぎですよ(照れ)
花畑で遊ぶのは子供の時以来
年甲斐もなくはしゃいじゃう!
わぁ素敵な花冠を有難うございます
では私からはお花の指輪を贈りますね
…ってつけた後に盛大に照れます
ちょっとだけ別行動。
港での待ち合わせに遅れないよう、そしてあまり鞄を揺らさないように冬青は駆けた。
「アヤネさーん?」
「ソヨゴ、こっちこっち」
到着してから、きょろり。見回してもアヤネの姿が見えずひとまず呼んでみれば、あっさりとアヤネの声が返ってくる。
声のした方――波止場まで出ると、水上バイクのシロイルカに騎乗したアヤネがスタンバイしていた。
「準備はできた? 出発しようよ」
「はい!」
すとんと飛び降りて、シロイルカの後部座席に冬青が収まる。
「あ。アヤネさん、アヤネさん、新しい世界での戦い、おつかれさまでした!」
「ソヨゴもお疲れさま! ――そして新しい旅立ちに」
「「しゅっぱーつ!」」
シロイルカを発進させ、探検の旅に出る二人。
島をぐるりと一周しようというシンプルな探検だけど、UDCアースのバカンスの場所とは違っていて港を離れれば人がいない。
「皆、宴の準備中なんですね~」
時折、ぽつり、ぽつり。砂浜の近くでは子らが貝を集めたり、釣りをする人がいたり。
長閑な光景を眺めて冬青はにこにこ笑顔になっていた。
「風が気持ちい~」
「ほんと。潮風が気持ちいいね」
シロイルカで水飛沫を上げて駆けていると、新しい生き物と勘違いした飛魚たちが寄ってきて、さらには魚を狙う海鳥。
「競争しているみたいだ」
飛魚はとても速く、アヤネはバイクを加速させる。
海は底が見えるほどの透明感。止まってじいいっと二人で観察してみれば、珊瑚礁と小さな魚群。島湾は人の手が入っていない場所なのだろう。
「これだけ見晴らしがいいと、風景の一部になった気分だネ」
「泳ぎたくなっちゃいますね。次は水着も持ってきたいなぁ」
「いいネ。サーフィンとかしたいかも」
「わ~、サーフィンですか。カッコイイー」
一緒にやりたいことはたくさんあって、新しくまた一つ見つけて。
他愛のないお喋りをしながら、再びシロイルカで走る二人であった。
「さて目的の花畑はあの辺りかな」
「きっとそうですよ」
ぐるりと島を周っていると、花が咲き誇る場所を見つけた。ちょっとした崖の上。
上陸して、あたたかな砂浜を踏む。風で飛んできたのか、黄色の花びらが砂浜にいくつか。
「貝殻拾いみたいだなぁ」
摘んだ冬青が言う。
「さて、こっちから登っていけるかな?」
「アヤネさーん」
一旦、身の丈ほどもある草むらへと入らなければいけないけれど――と道を見つけたアヤネへ、掛かる声。
振り向けば、冬青が仁王立ち。くいくいっと自身を指差している。
何を言わんとしているや――アヤネは理解した。
「お姫様抱っこ……?」
「はい! さあ、飛び込んできてください!」
お姫様抱っこ再び。冬青のユーベルコード・夜歩くであっという間に崖上につく。
崖上には白い花が咲いていて、木には黄色の花。
「なんだか、桜と菜の花が逆転した光景ですね~」
白い花はぽんぽんのようなものもあり、五枚の花びらであったり。縁にピンクや水色の斑模様のものもある。
「そして、そして、ジャーン! お弁当がありますよ!」
花畑の中に座った冬青が鞄から取り出したのは、別行動した時に買ったお弁当。
「こっちのボトルにはぶどうジュースです。魔法使いの氷屋さんに、氷も分けてもらったので冷え冷えですよ。おしぼりも作ってきました」
「さすがソヨゴ」
至れり尽くせりであった。
「ふっデキる女は用意周到なのです」
グラスに注いだジュースに氷も入れて、なんちゃって、と言いながらアヤネへと手渡す。
「デキる女って、僕は本気でそう思っているけどネ」
「えっ?! か、買い被りすぎですよぉ」
アヤネから返ってきた言葉と笑顔。そして、ぱちりとウインクされて冬青の頬が染まる。
「~♪」
どこかで聴いたことのあるようなフレーズ。
異なる曲でも、アヤネと冬青が交互に口ずさめば、この時だけの音楽が奏でられる。
「はー、花畑で遊ぶのは子供の時以来だなぁ」
気に入った花を摘んで、集めて。
アヤネが編むのは花冠。シロツメクサのような花茎に、艶やかな形の花を差し込んでいく。黄色の花も一房、宝石のように。
「はいお姫様。冠をどうぞ」
出来上がった花冠を両の掌に。戴冠式のようにそうっと、冬青の頭にのせるアヤネ。
「わぁ――素敵な花冠をありがとうございます」
オレンジの髪に白い花が映え、アヤネが見る冬青は笑顔もキラキラ輝いていた。
「では、私からはお花の指輪を――贈りますね」
「うん」
すらりとした左手が差し出され、自身の手を添える冬青。
僅かに開いた指に指輪を――と、なったところで「あ」とアヤネが声を上げた。
「ソヨゴ、薬指なんだけど」
「ふぁい」
(「はい、って言ったつもりが」)
手が震えた。白い小花を集めて作った指輪がアヤネの手を彩る。動く彼女の手は離れて行くのかと思えば、そのままきゅっと冬青の手を握った。
今、顔が真っ赤なんだろうなと思う冬青。顔が熱いうえに心臓もばくばくしている。
照れるあまりに視線が上げられず、アヤネの手を観察する事態に。
そんな彼女の額に、柔らかな感触が落ちてきた。
「ありがとう」
紡がれたのは同じく柔らかなアヤネの声。
顔を上げれば、近くには緑色の瞳。彼女の頬もまた赤い。
言葉に応じるように、冬青が手を握り返せば、滑らかな花が指先に触れた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵