君が!君達が!ジャックポットだ!
●一つ、其処は硫黄と潮騒の賭博場である。
ドン! ドン! ドン!
と、島が吠えた。此処は元は――アックスだとかウィザードがどうたらいう世界の大地の一部だったらしい。
炎の魔石というのを抱え込んでいる小さな島は、そこかしこで湯気を吹いて、植生もおかしなことばかり。何故か硫黄の匂いもする。
潮の音と合わさって喧しい島は、けれども負けないくらいに騒ぐ「ダンガン海賊団」に「ダンガン島」と名付けられ、根城として親しまれてきた。
……そう、過去形だ。昨日までの話し。
●二つ、彼はダンガン。熱血のギャンブラーであり、海賊である。
「うおぉおおおーーー!?」
「なんだなんだなんだ!?」
「ふ、副船長はどうなっちまったんだ!?」
屈強な海の男達が慌てふためく。ザクザクと、あとずさる足跡が砂浜に刻まれた。……それも、背後の海から同じ脅威が這い出してきて止まる。
鱗を纏った異形だ。手に手に携えたマスケット銃は轟音を響かす機会を窺っており、カトラスのギラつきは、さながら鮫の牙のよう。
「狼狽えんじゃねえやい!」
「キ、キャプテン!」
「ダンガン船長!」
だが、恐れぬ者もいる。
海賊達にキャプテンと呼ばれたのは良く日に焼けた中年男。潮と海に鍛えられた筋肉を不摂生の贅肉で包んだビア樽のような体躯。
厳つい顔立ちを何処か愛らしい丸い瞳が和らげている。
「野郎共!とっとと武器を構えやがれ!ベルガンの野郎はもうダメだ」
「でもよ、キャプテン!あいつらには剣も銃も効かないんだぜ!?」
「試練を終えてんのはキャプテンだけだ!オレたちぁみんな、死んじまうんだぁ!副、副船長に殺されるんだぁ!」
絶望する海賊達。ソコに――
「ガハハ!ッガーーーッハッハッハ!」
「キャプテン?」
潮と火に負けない、ダンガンの笑い声が轟く。
「おうよお、分が悪い賭けだろうさ負けるんだろうさ!だが!挑まなけりゃ!そもそも勝負にもならねえ!」
「お、おお!?」
「億が一の勝機に命賭けろや!ほとんど絶対負けるって分かっていようが!あいつに!俺達の意地ってもんを見せてやんのよ!」
太く笑う海賊、ダンガンの拳から、火の粉が舞い散り。
「逝くぜダンガン海賊団!出港!」
「「「「お、おおぉおおおーーーー!!」」」
●三つ、彼の名はベルガン。冷血のディーラーディーラーにして新しきコンキスタドール。
「駄目だよダンガン。それじゃ駄目なんだよ……命を賭けてほんの数分の時を稼いでなんになる?」
高みの見物。昨日までのダンガン海賊団副船長、現在のコンキスタドール……ベルガンは紳士めいたその容貌を酷薄に歪めた。
「君はいつだってそうやって燃える拳と勢いで出たとこ勝負。……だが、今回ばかりは通らないだろう」
眼下で、新しい配下である異形に必死の抵抗をするかつての仲間達が小さく見える。 ……躊躇い無く視線を切って、空を、海を見渡す。
「何処に希望を見出だせる?どうやってこの窮地を生き延びるというんだダンガン。……私には、もう、分からないな。なにをもって、絶望せずに、そうやって命を賭けられるのか――」
――私にはもう、分からなくなってしまったよ。
●最後に――君が、君達こそがジャックポットなのである!
「よくぞ来てくれたっすみなさん!取り急ぎ説明するっすよ!」
モルツクルス・ゼーレヴェックス、翼持つ魔術師の声がグリモアベースに響いた。
「目的地はダンガン島!絶体絶命のダンガン海賊団を助けてもらうっす!ちなみに、敵は元副船長のベルガンというコンキスタドールっす!」
メガリス、というモノがある。それは未だユーベルコードを持たない者に試練を与え、生き残った者を覚醒させ、失敗して死んだ者をコンキスタドールに変えるモノ。
「彼等も粘っているっすけど、いつ犠牲者が出ても不思議じゃないっす!先ずは彼らを取り囲んでる異形の海賊達を殲滅してほしいっすよ!……それも、出来る限り被害を防ぎながら!」
陸から、海から、無数に現れる鱗を纏った異形達とて強敵だ……。
「コンキスタドールに成って時が浅いベルガンにはまだ心の残滓のようなものが残ってるっすけど、かつての仲間が死んでしまう度にそれは磨り減っちゃうんすよね!もし海賊達を一人も死なせず救ってからベルガンとの決戦に持ち込めたなら、彼等の言葉がベルガンに影響を与える……かも、知れないっすねえ」
けれども、厳しい、と、モルツクルスは言葉を続けた。
「海と陸の狭間の砂浜で立ち往生の海賊達、取り囲む異形の海賊、何処に転移するか、どう守るか、どう殲滅するか、よく考えて戦場に赴かれますように!」
願わくば、思い出させてほしい。既に希望を亡くしてしまったディーラーに――ギャンブルを挑む限り、たまにはジャックポットも有り得ることを。
影帽子
ここまで読んで頂きありがとうございます。影帽子と申します。今回は熱い島で絶体絶命の海賊団を救って頂きます。
第一章
ベルガン配下の異形の海賊達を倒して頂きます。もしも判定がことごとく悪いなどでも、全滅はしません。何故なら彼等も命を賭けて頑張っているからです……が、やはり犠牲者は出るかもです。工夫は歓迎です。
第二章
ベルガンとの決戦です。一章で海賊団を生き残らせる事が出来たなら、彼等からベルガンに言葉が飛びます。……こういう言葉をかけてほしいというアイデアも、その際は大歓迎です。
第三章
生き残った海賊団と一時の日常です。この島には温泉がみんなで飲んでも飲み尽くせないほどあります。楽しみましょう。
よろしければご参加のほどをよろしくお願い致します。
第1章 集団戦
『異形の海賊』
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POW : 欲シイモノハ何時ダッテ早イ者勝チサ
レベル分の1秒で【防御が極めて困難なマスケット銃による魔弾】を発射できる。
SPD : 早速オ宝拝見サセテ貰オウカイ
【回避が極めて困難なカトラスの斬撃】による素早い一撃を放つ。また、【戦場の空気や褒美を約束された高揚感】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 残念ダケドアンタノ攻撃ハ効カナイヨ
全身を【物理攻撃を無効化する魔性の鱗】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負の感情と負傷】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
イラスト:らぬき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サジー・パルザン
ふん、銃か。どんな敵が相手だろうと前に出る。
それが俺達。それがヴァイキングって奴だ。そうだろ、ファイアヘッズ、フォルティス?
まぁ、いい。物理攻撃が無効化されるようだが俺のクリムゾンウルフバードなら属性攻撃だ。
いくぞお前ら、俺もユーベルコードでヴァイキングを呼び出す。全員飛び掛かれ!お前らの気合を見せてみろ!たとえお前たちの攻撃が無効化されようが薙ぎ払って(なぎ払い)やる。
ヴァイキングばかりに注意を向けてる敵に脳天目掛けて唐竹割りしてやるぜ!動くなよ!ルーンアックスを投げて(投擲)やる!当たれば寒さに凍るぜ?死ぬ気でかかってきやがれ、被弾は恐れねえ。
(捨て身の一撃)をくらえや!
クリスタル・ファイアヘッズ
サジー・・・。何も考え無しに前に出るのは少し違うような気がしますが。
まぁいいです。あなたはそのまま行ってください。私は別の方法で行きます。フォルティスさんも好きに動いてみてください。
サジーのユーベルコードだけではいかんせん数が足りなさそうですね。私からもユーベルコードを使用して、私仕様のヴァイキングを召喚しましょう。
サジーのヴァイキングを援護して敵を引き付けなさい!
私はクリスタルのアーマースーツを着込んだ後、光学迷彩発生装置を使って姿を隠します。ヴァイキングに気を取られている敵にビームナイフを使った(暗殺)を試みますよ。エネルギー体のナイフですから、威力に不足はないでしょう。
フォルティス・ワーライン
よし、サジー。ファイアヘッズ。俺たちはもっとも敵の多い場所に移動させてもらうか。
いや、サジー。お前は正攻法で前にいくのがお前らしいよ。
ファイアヘッズとサジーは正面から行くようだな。なら俺は別の方向から襲撃しよう。
俺もユーベルコードを使用させてもらう。お前たちと違って遠距離主体だがな。全員ジェットパックを使用して上空から敵に向かって撃ちまくれ!
どうせ効かないかもしれんが。気ぐらい散らせるだろ。足ぐらいは止めてやれ!
俺は近未来肩撃ち式ガトリングガンと携行型粒子ブラスターで敵を撃つ!(範囲攻撃・一斉発射)になるがな!
もし相手が近づいてきたら手袋式粒子フィールドを展開(盾受け)し、零距離射撃を狙うぜ。
シーザー・ゴールドマン
ハハハ、諦めない姿勢はとても良いね。
そうとも、挑まなければ勝負にもならない。
喜びたまえ、この勝負は君達の勝ちだ。
『クノッソスの迷宮』を発動。ダンガン海賊団と彼等と交戦している異形の海賊達の間に壁をせり上げ、分断します。
然る後に壁上から『雷の豪雨』を降らせて殲滅します。
(属性攻撃:雷×串刺し×鎧無視攻撃×範囲攻撃)
敵WIZUCに対して
おや、物理に強そうな鱗だね。(という事で魔法攻撃)
アドリブ歓迎/ステラと
ステラ・リデル
メガリス、生きてユーベルコードを得るか死んでオブリビオンとなるか、ですか。まさに呪われた秘宝ですね。
今回の副船長は自ら進んで試したのでしょうか?
シーザーと共に戦場へ。彼の創造した迷宮の壁上に立ち異形の海賊達のwizUCを『無効化術式』で消し去ります。
「貴方達の負の感情も負傷も、全て私達にとっては無価値なものです」
その後、シーザーの雷圏外の者がいれば鋼の矢の雨を降らせて屠ります。
(属性攻撃:鋼×串刺し×誘導弾×範囲攻撃×全力魔法)
アドリブ歓迎/シーザーと
●さあドゥデキャプルをお見せしよう
「ぐぁあ!?」
「キャプテーン!?」
一分間……海賊達はお互いを庇い合ってよく戦った。采配を主に担当していた副船長がもういないことを踏まえると驚嘆ものだ。
「騒ぐんじゃねえ!かすり傷だぜ!」
「でも、サメに噛まれたみたいに血が!」
二分間……精神、そして戦力の要はダンガン。その炎が敵の銃弾を防ぎ、遠距離から牽制し、唯一の決定打となる。
「血だぁ?そんなもん、見えねえな!」
「う、うぅう~~!」
三分間……早くも限界が見える。被弾した傷を焼いて強引に止血するも、さすがに精細を欠いてしまう。
「負けらんねぇ……絶対……」
四分……守られた海賊団よりもダンガンの限界が先に来た。刃を降り下ろさんとする異形を前に掲げた震えるその手から、しかし炎は出ず……。
「負けられねぇんだーー!」
叫び虚しく、無慈悲な刃が彼の命を奪い――
『全ての奇跡は無価値である』
――奪い取る前に、異形に鋼の矢が突き刺さった。
「……は?」
その鱗に、本来、鋼は歯が立たないはず……状況が把握出来ないダンガンと海賊団を前に、一人の猟兵が降り立った。
「ハハハ、諦めない姿勢はとても良いね」
彼こそシーザー・ゴールドマン。血を思わせる赤を身に纏う美丈夫は、ぐるりと海賊団を見回した。眩しいモノを見るように金の瞳を細めて。
「そうとも、挑まなければ勝負にもならない……出でよ」
付け加えられたそれは詠唱だったのだろうか。古代の神殿のような荘厳な壁がダンガン一味を囲むようにそそり立ち、生ある海賊団と死せる海賊団を分断する。
「な、なんだあぁ?」
「……ふふ」
まるで酒場で吟遊詩人が紡ぐ戯曲めいた現実に、海賊達はポカンと口を開ける。
赤い男は笑って。
「喜びたまえ、この勝負は君達の勝ちだ」
「シーザー」
「ステラ」
シーザーが海賊団に束の間の別れを告げて壁上へ躍り出ると、其処には一人の女がいた。
彼女こそはステラ・リデル。白皙の美貌を僅かに綻ばせ……その手が宙を揺蕩うように動く都度、応じて編まれた魔力が鋼の矢と化し放たれ、異形の海賊団を穿っていくのだ。
「さあ、往くとしようか」
「ええ、心のままに」
オーケストラを前にした指揮者のように、シーザーが魔力を振るえば雷が轟く。それに応じて矢を見舞うステラはさながら彼を信頼し、存分に己を表現するソリストか。
破壊の源泉がこの異色の男女であることに気づいた者達が如何に弾薬を集中したとて……。
「貴方達の負の感情も負傷も、全て私達にとっては無価値なものです」
二人が壁上より正面の敵を殲滅するのに――四分は長すぎたことは言うまでもないだろう。
●特殊ルール:そのスリーカードを揃えた時、山札から好きなだけカードを引いてよい
「きゃ、キャプテン!重いっすよ!」
「はやくはやく、はやく登って!」
「じゃかましい、野郎ども!……くそ、最近ちょっと太ったからな」
突如気付かれた敵と味方を隔てる壁面を、部下達を積み上げて梯子にしてダンガン登る……まさか現れるとは思わなかった救援者達の戦いを、見届けるために、その身に刻まれた重症も厭わずに。
「か!登ってやったぜ!……ん?」
彼が登りついたのは『二人』のいる陸側の反対、海側であり……。
「……船、か?」
その円らな視線が、やってきた『ヴァイキング』達を捉えた。
ダンガンが困惑したのも無理はない。その船は、この世界の文明には些か異質な機械仕掛けの海賊船。……その上に立ち、男が言った。
「ふん、銃か。どんな敵が相手だろうと前に出る。それが俺達。それがヴァイキングって奴だ。そうだろ、ファイアヘッズ、フォルティス?」
サジー・パルザン。オールバックの赤髪を風に靡かせ、その厳しい風貌は燃え盛るような活力を発散しているかのようだ。
「サジー……何も考え無しに前に出るのは少し違うような気がしますが」
応じたのがクリスタル・ファイアヘッズ。後ろで括った青い髪を抑え怜悧な流し目がパートナーに注がれる。
「いや、サジー。お前は正攻法で前にいくのがお前らしいよ」
そう言って笑ってみせたのはフォルティス・ワーライン。一行では最も小柄で、少年のように若々しい。
船はいよいよダンガン島に迫る。……戦の空気が段々と濃くなっていく。……海。最も敵の多いであろう、異形の海賊達のホームグラウンドを敢えて往く。
「来るか」
「来ます」
「来るな」
海は凪いでいる。接岸までは誘い込むのが敵群の総意なのだろう。……不気味に静まり返った海を割り進む近未来の海賊船。その船首が浜に被さった……その時だ。
陸の岩影から、海中四方八方から、異形の海賊団が波涛の如く押し寄せて来る。
「いくぞお前ら……」
サジーのUCが起動する。剣と盾を持った者、大斧を振りかぶった者。彼に従い浜を駆ける――ヴァイキングだ。ヴァイキングの行進だ。
屈強な彼等は異形を前に一歩も退かず、その刃は明らかに血と闘争をこそ求めていた。
「全員飛び掛かれ!お前らの気合を見せてみろ!」
鱗が刃を弾こうが関係ない、というのがサジーとヴァイキング達だ。カトラスを持った異形達に、切り込むはヴァイキング。
力と体格で勝る益荒男達が獲物を叩きつければ、異形達は仰け反った。例えその身をカトラスに抉られようとも笑って反撃を繰り出すヴァイキング達に、異形達が連携しようと……。
「いぃいやぁああーーー!」
砕かれた。
燃え盛る、大剣唐竹割り、颶風を纏って飛来する、氷でできた斧。
「死ぬ気でかかってきやがれ」
暴力の具現。サジーの威容に、しかし異形達は前進する。……その仮初めの命など、元より惜しくはないゆえに。……サジーは歯を剥いて笑った。手下と同じような、敵と同類であるかのような、捨て身の猛攻。
「……くらえや!」
「まぁいいです。あなたはそのまま行ってください。私は別の方法で行きます。……フォルティスさんも好きに動いてみてください」
「はいよ。……なら俺は別の方向から襲撃しよう」
いの一番に切り込んだサジー。動き出した敵の群勢。……次なるヴァイキングが戦場に現れる。
「さぁ、行きましょう。あなた達の生き方を見せつけなさい」
クリスタルが率いるは機械仕掛けのヴァイキング。全身鋼鉄製の鎧を纏って静かに、しかし猛々しく突き進む軍団だ。
「サジーのヴァイキングを援護して敵を引き付けなさい!」
主命に従って、新手のヴァイキング達は敵群の側面をつくように展開していく。
異形達の対応は速く、未だその数は多い。……しかし、それが仇になることもある。余剰戦力を迅速に割り振る対応はクリスタルには読めていた。
「……ふっ」
自身と同じ名の鉱物を纏いクリスタルは戦場の影を駆ける。……光というモノを支配する。そういう戦い方を魅せていた。
「さて、俺は俺のやり方でやらせてもらうぜ」
フォルティスの呼び掛けに応えて船が来る。
「さぁ、今日の仕事だ。今回も頼むぞお前たち!」
浜に乗り上げる……否、陸すら走る未来の船。そこから、背のジェットパックの音を鳴らして兵達が飛び上がる。主に負けず劣らず小柄な彼等は自身の役目を知っている。
「……お前たちと違って遠距離主体だがな。全員ジェットパックを使用して上空から敵に向かって撃ちまくれ!どうせ効かないかもしれんが。気ぐらい散らせるだろ。足ぐらいは止めてやれ!」
サブマシンガン武装した亡霊特殊部隊が散会する。異形達のマスケット射撃は素早いが、ばら蒔かれる弾薬で優越する。
戦は数だ。ならば撃ちはなつ鉄量こそが正義であることは疑いはない。敵の足が止まる、状況が傾く……徐々に敵が溶けていく。
叩きつける大剣。
振るわれる光線剣。
撃ち放たれる携行型粒子ブラスター。
三人は真正面から戦を仕掛け……そして撃ち勝っていったのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『狡猾なるベルガン』
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POW : ブラインドベット
【カードシャッフル】を披露した指定の全対象に【賭けで決着をつけるべきという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD : ノットフォールド
【博徒としての歴戦の勝負勘で】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : ゲームスタート
【メガリス『ドットダイス』】を降らせる事で、戦場全体が【賭博場】と同じ環境に変化する。[賭博場]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:山本 流
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠エルディー・ポラリス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
仲間達が好きだった。この海を愛していた。……ギャンブルに取り憑かれていた。
冒険末に手にいれたダイス型のメガリス。その誘惑にどうして耐えることが出来たろう?
そして、ベルガンは賭けに負けたのだ。そういうこともある。
勝負挑めば……負けることだってあるのだ。
●その男ベルガン
「驚きましたね、一体、どれほどの奇跡なのやら」
異形の海賊達が残らず消え去った静けさの中、元副船長、ベルガンが現れ出でる。……その目は酷薄、一片の慈悲無く生者を殺す、コンキスタドールの本能寺に支配されている。
「遥か彼方よりお越しの皆様、此処は大切なナニカを張る場所です……ご説明致しましょう」
メガリス『ドットダイス』が瞬いた。
「己の行動に――命を賭ける、記憶を賭ける、財産を賭ける……このダイスにレイズするごとに行動の威力と成功率は上がっていきます。反面、ナニも賭けず起こすアクションは酷く弱まる……もちろん、賭けたあげく失敗すれば、没収されますのでご注意を」
コンキスタドールは嗤った。
こんな賭けに乗るはずがあるだろうか?
見ず知らずの薄汚い海賊団を救うために、重すぎるリスクを好んで背負う――そんなはずが、あるのだろうか?
サジー・パルザン
賭け事だと?知らんな。
常に俺達は、命を賭けてこの瞬間を生きている。全てを得るか、全てを失うか!余計な賭け事に賭ける元手はないのさ、そんなことしたらヴァルハラに迎えいれてくれねえからな!
いいか!お前が俺を殺したらお前の勝ちだ。俺がお前を殺したら俺の勝ちだ!
ヴァルハラ・アウェイツ!
お前の息の音を止めてやらあ!
喰らえ、俺の偉大なる筋肉を。そのまま突っ込んで体当たり食らわしてやるわ!
サジー・パルザンが、目前の男に向けて吠えた。
「賭け事だと?知らんな」
「なるほど、命を賭した闘争がお好みのようだ」
昨日を省みず、明日に期待せず、今日という刹那に徹する生き様に、メガリスが呼応する。
そもそも己の全て、命とて……惜しくはない。
「いいか!お前が俺を殺したらお前の勝ちだ。俺がお前を殺したら俺の勝ちだ!」
「単純明快……コール」
対するベルガンは悠々とカードシャッフルを披露する……それを侮るサジーではない。
躊躇わず振り下ろされる大剣。迎撃するトランプが真っ向から受け止めた。
「ぬう!?」
「ダンガン海賊団では……私は臆病者で通っていてね……」
サジーとの賭けに応じた瞬間から、ベルガンの体が心なしか膨らんだ……筋肉隆起か。
「命が惜しくはない……おそらく君にとっての命より、私にとっての命の方が『重い』」
「……面白い!」
サジーの筋肉が優れているのと同様、どうやらこの賭博場の地の利はベルガンにあるようだ。それがサジーにとって愉快極まる。
振り下ろす――受け止める。切り払う――受け流す。
「お前の息の音を止めてやらあ!」
「それを食らうわけにはいかない……っ!」
そして、その身を駆使した体当たり。二人の男は正面からぶつかり合う……ダイスがそれをドローゲームと判定するのに、潮目が変わるほどの時間を要した。
成功
🔵🔵🔴
クリスタル・ファイアヘッズ
全く、サジー。
あなたと言う人は人の話を最後まで聞いてあげたらいかがですか?
賭け事ですか。あまり、経験はないのですが少し付き合うとしましょうか。
私が賭けるのは私個人が持つ武装1つずつ賭けましょうか。私が求めるのはあなたの服、眼鏡。何もとるものがなければそのメガリスをいただきましょう。私の銃器の数だけゲームという形で如何でしょうか?
無論、サジーのようにシンプルな果たし合いでもかまいませんが。
もしゲームが出来るなら私の目は高度な処理能力を持ちます。そこにカードやカップの汚れ等を記憶して、それにあった解答を用意するとしましょう。
「全く、サジー……」
『あなたと言う人は、人の話を最後まで聞いてあげたらいかがですか?』……という言葉をこそ、戦いに夢中のヴァイキングは聞いてはいない。パートナーがディーラーと一頻り『遊ぶ』のを待って。
「……賭け事ですか。あまり、経験はないのですが少し付き合うとしましょうか」
「ならばオーソドックスなポーカーなど如何?」
「ではそのように」
クリスタル・ファイアヘッズはトランプを手に取った。
ゲームを始める、両者がそう認識したときには既に、卓は現れ二人は席についている。賭博場とはそういうものだ。
「私が賭けるのは私個人が持つ武装……1つずつ賭けましょうか。私が求めるのはあなたの服、眼鏡……何もとるものがなければそのメガリスをいただきましょう。私の銃器の数だけゲームという形で如何でしょうか?」
「コール」
クリスタルの提案に、ベルガンは躊躇わずに乗った。……彼女が心理を探るものの、眼鏡の向こうの瞳は海の如く。
――暫し、勝って、負けてを繰り返す。互いに成果物をとっては返し合うようなギャンブル。
「ベット」
「レイズ」
「……フォールド」
「ベッド」
「コール」
「……ふむ」
確率論でいって、ポーカーとは大きく勝つのも負けるのも難しいはずである……が。
「レイズ」
此処でクリスタルは確信を持って大きく賭けた。
「気迫を感じますね……コール」
ベルガンは応じる。……クリスタルは、ソコに喜悦の感情を確かに見た。
「……なるほど、なるほど」
クリスタルの手はJのスリーカード、ベルガンの手はKと6のツーペア。
クリスタルの目は高度な処理能力を持っている。先の戦いで微かについたカードの傷を見逃さなかった。
ベルガンは悠々と背広を脱いでクリスタルへと渡す。……ついでとばかりにネクタイを緩める仕草……ふと、彼女がカードに視線もどすと有ったはずの傷が全て消えて新品同様となっている……どうやら勝負はここかららしい。
成功
🔵🔵🔴
緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
人間で21歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。
基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。
武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、スプーンの特性が活かせそうな場合は『もぐもぐ欲張りスプーン』を使用することもあります。
不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。
「いいね!ヒリつくようなギャンブル!そういうスリル大好きだよ!」
緋月・透乃にとって、この賭博場は楽しい楽しい遊び場だ。……純粋に楽しみたい。現れた猟兵の意を汲んだベルガンは……。
「君の得意とする勝負をしよう、そうだな例えば……」
「大食い!」
「え」
「私は大食いが得意だよ!!ちょうど小腹がすいたところだったしちょうどいいね!」
戸惑う持ち主に忖度せず、メガリスダイスが光を放ち、用意されたのは所狭しと並んだ出来立て料理。
「分かった、大食いで戦おう……互いに誇りを賭けて」
「乗った!」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……。
肉、肉、魚、強い酒、酢漬けの野菜、肉、魚、肉、肉……強い酒。
生前のベルガンの記憶を反映したメニューは基本的には大雑把で重たいものだ。無論、コンキスタドールと化したベルガンの胃袋は物理法則から解放されているが……。
「もぐもぐ……美味しい!もぐもぐ……おかわり!もぐもぐ……これはたまらない! 」
透乃が食べるペースが一向に緩まらない。……むしろ……。
「なぜ……」
「もぐもぐ……ん?なーに?」
「食べるほどに、ペースが上がっているのです?」
そのベルガンの問いかけに、透は初めて食べるのを止めて。
「え、だって食べたら調子よくなるじゃん?」
「……はい」
「それに美味しいじゃん?」
「……はい」
「だからだよ!」
「……ははは」
その答えに、分かっていたことだがベルガンの心は折れた。男の誇りとも言えるナニカは果たして永遠に失われたのであった。
成功
🔵🔵🔴
ステラ・リデル
ふふ、面白い事を言いますね。
命、記憶、財産、全てコンキスタドールに成り果てた貴方にとって価値のないものでしょう。それを賭けて勝負をするのはアンフェアでは?
ですが、良いですよ。私の命を賭けましょう。
賭け事は何でも。
ただし、いかさまをすればシーザーが制裁をするのでお忘れなく。
(純粋な戦闘であればオーラセイバーと振るい魔法を行使して戦います)
SPDUC対策
歴戦の勝負勘は侮れませんが……
(『魔眼』により数秒先から数分先の未来を視て、回避した先に攻撃を或いは賭け事の勝利を掴みます)
世界は広く、勘だけではどうしようもない事も存在します。
アドリブ歓迎/シーザーと
シーザー・ゴールドマン
ステラとの決着がついてから行動を開始。
もしベルガン側にイカサマの類があった場合は見切って、その場で介入。
(見切り×第六感)
では、そろそろお開きと行こうか。
『オージンの言詞』により賭博場と化したフィールドを消滅させます。
ここからは遊戯ではなく君の処刑だ。
かつての仲間に遺す言葉があれば今の内に言うのだね。
(オーラセイバーを振るって戦います)
シーザーは感情を強制を許す気はないので自身は賭博をせず。
ステラが付き合ったのはコンキスタドールになる前のベルガンの鎮魂の為。
アドリブ歓迎/ステラと
ステラ・リデルは艶然と笑ってみせた。
「ふふ、面白い事を言いますね……」
「そうかね、よく言われたものだ。私はユーモアのセンスがある、とね」
先のギャンブルによる消耗をおくびにも出さず、ベルガンはそう剽げて笑みを返す。
「命、記憶、財産、全てコンキスタドールに成り果てた貴方にとって価値のないものでしょう。それを賭けて勝負をするのはアンフェアでは?」
「そうでもないさ……」
ベルガンはちらり、と、賭博場の隅に佇むダンガンと、手下達を見る。彼等は、どうやら自分達では手出しが出来ないこの勝負の行方を、それでも黙って見守るらしい。
「ナニも感じない……その筈だが……何かこう、空虚さを覚えるんだ。……彼等と、君達を見ていると」
ベルガンは目前の二人の猟兵を見遣る。……そう、先の猟兵にも言えるが……絆というヤツは……。
「……私の空虚に障るようだ。……この虚しい命に賭けて、君を打倒させてもらおう」
少しばかり、ステラの予想をベルガンは超えた。……このコンキスタドールは『終わってる』のではなく『終わり続けている』のだと。
「ですが、良いですよ。私の命を賭けましょう」
賭け事は何でもいい。元よりステラとて純粋なギャンブルの専門家ではない。ならば乗ってみた上で、持ち前の異能で上回るのみ。……シーザーが、彼の背後に立った。
「ならば、コイントス」
「……?」
「一回勝負だ」
賭け事を受諾したメガリスダイスが輝き回る。
ベルガンが取り出したのは一枚の金貨。……そこに細工があるのだろうか?
一見、なんの変哲もない小さな金貨。表には髑髏、裏には道化師。
軽い音を立てて弾かれる金貨一枚。……音もなくコンキスタドールの手の甲へと落ちて、隠された。
ステラは空中で行方を追っていた。……その瞳は邪な力を宿す魔眼。数瞬後の未来を見抜くその眼力に、彼女本来の動体視力による見切り……全てが、髑髏が上であると告げていた……しかし。
「さあ、どちらです?」
本当に、そうだろうか?
仮にも互いの命運を賭けているギャンブルをこんな無造作に行い、一切のイカサマも勝算もないなんて……そんなことが。
「……っ」
「……さあ……お答えを」
ならば逆に張るべきか……そんな考えすら湧いてくる……ステラは、シーザーを見た。その、瞳を見た。
――それで心は決まった。
「表です」
「……よろしいのですか?」
「ええ」
ステラは、自分自身を信じることにして。
「……ふふ、髑髏です、ね」
――勝つべくして勝った。
瞬間、幾つかの事態が同時に進行した。
「……無価値だ」
「っ!メガリスよ!」
シーザー・ゴールドマンは刃を振るった。……感情を強制される事ほど興醒めなことはない。そんな状況下で行うギャンブルに如何程の価値があろうか?
目前のコンキスタドールが、ハッタリだけで勝ちを拾いかねない素晴らしい海賊の……残骸であるからこそ、一思いに殺しきるつもりだった。
「では、そろそろお開きと行こうか」
その言詩に従って賭博場と化したフィールドを消滅していく。……その力から逃れるように、メガリスダイスがベルガンの手に収まった。
「ぐっ!?」
だが、その秘宝は既に諸刃の刃。互いに命懸けの勝負に負けた主の命を、掌中のダイスは容赦なく吸い上げていく。……そう、それでなくとも彼は、ベルガンは余命幾ばくもなく……。
「ここからは遊戯ではなく君の処刑だ。……かつての仲間に遺す言葉があれば今の内に言うのだね」
それは、だから、紛れもない慈悲だった。……ダイス負けて、カードで負けて、ついにコインにも負けた……その負けっぱなしの元海賊は、首に刃を添えられたままに、ダンガンと、ダンガン海賊団を振りかえる。
「ベルガン……」
ぼろぼろと、顔を真っ赤にして涙を溢す……そんな人間達の姿に、更に拡がる胸の空虚を抱えて。
「I had a good time thanks to you guys.……Good luck to you!」
最後は、洒落た仕草で、いつか何処かの島で聞きかじった賭博の決まり文句をいい放つ。
――痛みすら無く舞う……断たれた首はそれこそコインよろしくクルクルと。
ベルガンの顔は、とても、とても、晴れやかで。……地面に落ちることもなく、体と一緒に消え去った。
……島と、潮が哭いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『島に温泉が沸いた』
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POW : いっそ温泉施設を作ってしまおうか?
SPD : 温泉を肴に宴会だ宴会。湯の中で飲む酒は美味しい。
WIZ : のんびりゆったりと温泉に浸かってただただ休もう。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
松永・柚月
温泉か……身体は女だけど心は男だから混浴に入る方がいいよね?
というわけで混浴で宴会するよ。
僕はお酒強くないからそこまで好きじゃないけど、水やジュースは腐りやすいからラム酒で我慢することも多いから飲めないわけじゃないよ。
とはいえ宴会だから飲むってノリもそこまで、なんだよね。
(メタいこというと背後が酒を『飲まない』ためキャラに酒を飲ますロールをさせずらい)
というわけでジュースがあるならジュースを飲ませて貰うよ。
女の身体で酔ったらどうなるのか分かった物じゃないしね。
宴会で出る肉とかは勿論美味しくいただくけどね。
「温泉か……」
グリモア猟兵の召集を受けて現地に転送されたものの、先行した猟兵達によって事態が終息しているというのはよくあることだ。
松永・柚月は、さて、どうするかと暫し悩んだ。
美しい女性、彼女の容姿を一言で表すならばそうなるだろう。
脚がいい、腰がいい、全身のバランスがいい。快活な印象を宿す美貌の彼女は……。
「身体は女だけど心は男だから混浴に入る方がいいよね?」
というわけで混浴で宴会に参加したのだ。
「ジュースはあるかな?」
「へ、へい!」
「ちょいとお待ちを!」
此処はダンガン海賊団の中でも見習い層が押し込められている小さな浴場だ。
そもそもダンガン海賊は男女比10:0の完全なる男所帯であり女湯も混浴も存在せず、そういった場合は源泉を利用するしかない……が、途中参加の柚月はそんなことは知るよしもなく宴に踏み込んだのだ。
「いやあ、悪いね至れり尽くせりで……」
「とととんでもないっす!」
「あの、あの、なんでもいってくださいね!」
白い肌が湯で上気して、新鮮な島の果実から絞ったトロピカルジュースに微笑んで、世話をしてくれる少年達にその笑みを向ける。
その艷姿に、初な海賊見習い達は前屈みになり、恥じ入るように少し離れた湯に浸かる。
(気持ちいいし、美味しいけど、僕が思ってたより海賊の宴って静かなもんなんだな)
……今、柚月はこの島の誰よりも罪深いと言えた。
自身が女であるという自覚に乏しい妙齢の女、柚月はぬるま湯の快楽に浸りながら、運ばれてきた血の滴る肉を噛みきって咀嚼する。
神秘の秘宝メガリスのもたらす悲劇、これもその一幕……なのかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
シーザー・ゴールドマン
メガリスを得て覚醒する者としない者、その差は何なのか、興味深くはあるね。ダンガン君とベルガン君の差とも言える。
それは実力なのか精神のありようなのか、それとも単に運なのか……
ステラと温泉を楽しんでから、ダンガン海賊団と酒を交えて交流。
この世界の情報、現地の声を収集する。
『創造の魔力』で酒や必要なら施設を現出させます。
アドリブ歓迎/ステラと
ステラ・リデル
結果としてダンガン海賊団に犠牲者を出さずに終息しました。
ベルガンさんは喜んでいるのではないでしょうか?
海賊団の皆さんを見ていると、コンキスタドール化……死の危険性を知りながらベルガンさんがメガリスに手を出した理由も何となくわかる気がしますね。
シーザーと温泉を楽しんだ後、彼と海賊団の交流のお供を。
シーザーが施設を創った場合、その運営を行うスタッフを『悪魔召喚Ⅱ』で呼び出します。なお、宴の後、施設は海賊団の好きに使って下さいと。
アドリブ歓迎/シーザーと
「おお……なんだぁ」
「すげえな、猟兵ってのはこんなこともできんのかよ……」
大理石というのだろうか?
無学なダンガン海賊団には美しい石であるという理解しかままならない不思議な材質の施設、つい先刻まで此処は源泉が湧き出て溜まっているだけの海賊団御用達の場所だったのだが……。
シーザー・ゴールドマン。戦場に砦を造る男が、同じようにして囲ってしまったのだ。
「野郎共……ちょいと待つぞ」
「はあ……」
「へい……羨ましいっすねえ」
「なにが?おい、入れねえなら飯と酒を持ってきて宴の準備しようぜ」
そう、同じく戦場に立った白い美女、ステラ・リデルはどうやら彼のツレらしい。
大半が情緒がガキなダンガン海賊団の男達は切り替え早く、施設の前に火をおこし、肉を焼き、酒を食らうことにした。
「おや……」
「なんだか、盛り上がっていますね」
風呂上がり、火照った身を薄着に包み、風を浴びに出てきた二人を出迎えたのは、高速で出来上がったダンガン海賊団。
「お!英雄様がたの登場でござい!」
「ふー!ステラさん色っぺぇな!」
「やめとけやめとけ!恩人に!それにシーザーさんがいるじゃねえか!」
「俺……シーザーさんの方が……」
ギャハギャハ笑いながら、海賊団は大いに飲んでいる、食っている、歌っている……ベルガンが死のうと、いやきっと、死んだからこそ。
ステラには、その姿が眩しく見える。 仲間との別れが悲しくないわけがないし今日の戦場に恐怖がなかったわけがないのに、それでも底抜けに明るい彼らを見ると、ベルガンがメガリスに更なる力を望んだ理由が分かるような気がするのだ。
「おう、お前ら……あんがとな」
ダンガンは、その喧騒から離れて一人で飲んでいた。シーザーとステラ、二人を見詰める瞳に酔いはもちろん、恨みも疎みもない。
「メガリスを得て覚醒する者としない者、その差は何なのか、興味深くはあるね。ダンガン君とベルガン君の差とも言える。それは実力なのか精神のありようなのか、それとも単に運なのか……」
「運だろうな……だがそれは、あれがダイスだったからだ」
「……というと?」
シーザーは遠慮はしなかった。ダンガンにその必要はないと感じたからだ。そしてそのの通り、ダンガンは淀みなく持論を述べる。
彼は被った帽子を撫でながら。
「俺のメガリスは俺がどんだけ海を愛してるか試してきたぜ。長いこと海を彷徨う夢を見せてな」
「ほう……」
「だが、ベルガンが挑んだ試練は単純な出目の勝負だった……ダイスのメガリスが望んだのは、運だったってことだと思う」
ぐい、とダンガンが酒を呷る。シーザーが同じだけの酒を飲む。
ステラが思うに、コンキスタドール……になり続けていたベルガン、生前の彼ならば……もしもベルガンが船長同様に精神力を問われていたのならばきっと……それも、今はもう虚しい想像だが。
宴は続く。世が更けても、空が白んでも。……死屍累々の青い顔をした海賊団を、ステラが召喚した悪魔で助けることになるのは、やはり、出目が悪かったのだろう。
大成功
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サジー・パルザン
で、俺達の入れる温泉はどこにあるんだって?
無い?ウソだろおい・・・。
まぁいい、無いなら作る。ここでいちいち文句言ってもしょうがねえ。
そんじょそこらに湯気たってんだから。あとは掘って木材で囲めばいいだろ。ファイアヘッズ、ちょっといい場所探して穴掘っとけ。俺は木、切り倒してくるぜ。
よし、デーンアックスで斬り倒していくとするか。切り倒したらハチェットで枝を斬り落として、木材として使えるようにする。ある程度板材を作ったらあとはファイアヘッズに任せればなるようになるだろ。
じゃあ行くぞお前ら。人手が足りねえ、戦じゃねえが付き合ってくれよ。
ヴァイキングの行進、木材持ってな!
クリスタル・ファイアヘッズ
しょうがないですね。
私はこの目を使って、温泉が湧きだしやすいような場所を探してみるとしましょうか。演算してみて過去のデータと照らし合わせればなんとかなるでしょう。
スコップは・・・どうやら無いようですね。純粋なエネルギー弾なら害無く穴も掘れるでしょう。粒子ランチャー(ヘヴィマシンガン仕様)を地面に固定し、見繕った場所に湧き出るまで打ち込んでみます。穴は非常に大きくなりますが。問題は無いでしょう。
私のほうもヴァイキングを呼びましょうか。サジーのヴァイキング達から木材を受け取ってお湯が逃げないように囲いをしましょう。大丈夫、特殊な合金でできた機械仕掛けは、錆びたりしませんよ。
「で、俺達の入れる温泉はどこにあるんだって?」
「へえ、そこいらじゅうに湧いてるっすよ」
「いやそうじゃなくてな……」
下っ端海賊の言葉に、サジー・パルザンは苦笑する。ここの連中ときたら純粋な男所帯でデリカシーというやつが死滅しているのだ。
パートナーのクリスタル・ファイアヘッズが具体的な要望を出すことにする。
「贅沢は言いませんのでせめて男女を隔てるものがある所は何処ですか?」
「え、うーん……」
「無い?ウソだろおい……」
「これは……しょうがないですね」
まぁいい、と、サジーとファイアヘッズは前向きにUCを発動する。
「無いなら作る。ここでいちいち文句言ってもしょうがねえ。そんじょそこらに湯気たってんだから。あとは掘って木材で囲めばいいだろ」
……温泉作りには人手が必要だ。サジーの召喚に従って現れたヴァイキング達は手に手に斧を持ち、森へと挑みかかっていく。
「ファイアヘッズ、ここじゃ湯が足りねえからな。ちょっといい場所探して穴掘っとけ。俺は木、切り倒してくるぜ」
「任されました」
ファイアヘッズは金瞳を輝かせる。ここに来るまでの経路で島の様子は観察していた。データ蓄積と運用こそは彼女の得意とするところだ。
森の奥、太く聳える樹が傾ぐ。
「うおぉおりゃあぁーーーっと!」
ヴァイキングたるサジーが振るうは大きく重いデーンアックス。戦闘ではほぼあり得ない、威力のみを追求した打ち込みに耐えられる樹はなく、みるみる木材が量産される。
「……と、こんなもんか。じゃあ行くぞお前ら。人手が足りねえ、戦じゃねえが付き合ってくれよ」
倒れた樹の枝を打ち、皮を削いでいたヴァイキング達が頷いて立ち上がる。鍛えぬいた肉体を駆使して出来立ての丸太を担ぎ上げて。
「ヴァイキングの行進、木材持ってな!」
「ここですね、ここを掘れば更にたくさん湧いてくるとみました」
一方のファイアヘッズは粒子ランチャー(ヘヴィマシンガン仕様)を地面に固定し、必要ないとは思いつつもその眼をよく凝らすと……引鉄をひいた。
純粋エネルギーの弾丸が大地を抉り、コンコンと蒸気と湯を噴出させる。島に与える影響を考えながらの作業でもその乱射に、温水プールが出来上がるのは直ぐだった。
「おーし、戻ったぜ」
「では、建設を始めましょう」
そこにサジーが木材を運搬する。
機械仕掛けのヴァイキング達が、それを引き継いだ。膂力に優れた彼等がお湯なぞ恐れずファイアヘッズの指揮に従えば、ダンガン海賊団でも維持管理が容易な施設の建設も造作もないこと。
「っかー!」
「……ふぅ」
それでも、流石に日は暮れる。
温泉を掘り、温水を造り、その温泉に二人、同時に入って一番風呂を分かち合う。……泥も汗も体の疲れも、全て湯にとけて消えていく。
二人は共に月を見上げて、海賊団が用意した酒を楽しんだ。この島でとれる不思議な果実から作られる強い酒を呷れば喉が焼け、舌で転がせば甘くも苦い。
遠くから、海賊団の笑い声。
残った者がある。去った者がある。勝った者がある。負けた者がある。
――噛み締めるように二人は過ごし、湯を上がって宴に加わった。熱くて長い夜だった。
大成功
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