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その掟をブチ破れ!

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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●この支配者、変態につき
「ハッハァー、今年はなかなかの上玉揃いじゃねえかオイ!」
 下衆な笑みを浮かべ、この島の支配者が少女達の肩に手を回す。
 少女達はいかにも嫌そうな顔をしているが、抵抗は許されない。
 もしそんな事をすれば、皆殺しにされるのがオチだからだ。
「こ、これで今年はよろしいのですね……?」
「おうよ、また来年も楽しみにしてるぜェ!」
 ガハハと笑うと、手枷をされた少女達を連れて船に乗せていく。
 どうやら今年も無事に過ごせるようで、島民は内心ホッとする。
 差し出した少女は二度と戻らないが、これも生きるためには必要な犠牲。
 島民もその事を理解した上で、黙って差し出す事しか出来ない。

 この島で一年に一度訪れる掟、それは年頃の少女を生贄として差し出す事だ。
 そうする事で、住民は細々と生き延びてきたのである。
 そして、連れて行かれた少女達の年齢は十代半ばと言った辺り。
 何故その年齢ばかりなのかと言えば、支配者の趣味だからなのだとか。
 ……そう、こいつはロリコンと言うロクでもない輩だったのだ!

●なんで掟を破るのさ(答:相手が悪人だから)
「と、言うのがわたしの見た限定的な予知なんだけど。なんて言うか……」
 うん、ひどいね!
 ……さて、このグリードオーシャンではグリモアの予知とテレポート、そして島間の飛行が阻害されているため、グリモア猟兵は普段通りに動く事が出来ない。
 それ故、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)も鉄甲船に乗っており、その過程で前述の予知が見えたと言う訳だ。
「目的地は今航行している近くにある『ニューダブリン島』、そこはオブリビオン……この世界ではコンキスタドールって言うそうだけど、そいつが島を支配しているの」
 島の外観はビルのような近代的建物があちこちに立ち並んでおり、UDCアースかヒーローズアースのどちらからか落ちてきたようだ。
 もっともその文明レベルは大航海時代にまで退化しているようで、ビルは巨大な住処になっているのだとか。

「みんなの目的は生贄として連れ去られた子達の奪還と、あの島の支配者を倒して解放する事の二つよ。……ただ、予知が見えたのは連れ去られた光景までで、そこから先は何があるのか分からないの」
 つまり、島に入った後は全て出たとこ勝負だ。
 まずは島民に話を聞くところから始める事になるだろうが、その先は何があっても対処出来るようにすべきだろう。
「今までと違って右も左も分からない世界で大変だけど……ここが第一歩、みんなでこの大海原へ乗り出していきましょう!」
 猟兵達を激励するアヤカ。
 さあ、ニューダブリン島までもうすぐ……悪いロリコンを成敗だ!


NS
 はいどうも、NS(えぬえす)でございます。
 グリードオーシャン、かなり斜め上の世界でちょっと驚いたりも。
 それでは早速やっていきましょう、今回もよろしくお願いします。

●目的
 生贄として連れて行かれた若き(むしろ大分若い)少女達の救出、並びにニューダブリン島の支配者(と書いてロリコン野郎と読む)を倒して島を解放する。
 章構成は以下の通り。

 第一章:海賊マーケットに連れ去られた少女達を見た!
 第二章、第三章:???(アヤカの予知が見えなかったため詳細不明)

 OP文章やグリードオーシャンの世界説明にもありますが、この世界ではグリモアの予知とテレポートが使えないため、第二章と第三章の内容は不明となっております(が、戦闘が起きると言う事は薄々感付いてるようです)。

●ご注意
 多少コミカル寄りのリプレイになるんじゃないかと思います、多分。
 どの範囲までそうなるかは皆さんのプレイング次第です。

 プレイング受付は章の導入部分を書いてからになります。
 リプレイはいつも通り、ある程度集まってから書けそうな人を少しずつ。
 最低でも失効までには必ず仕上げる方針でやっていきます。

 それではグリードオーシャンへの航海を始めましょう……いざ出航!
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第1章 冒険 『潜入・海賊マーケット』

POW   :    荒くれ者の雰囲気を出して、堂々と盗品のやりとりをする

SPD   :    店舗に忍び込んで探索したり、目的の物を盗み出す

WIZ   :    海賊マーケットの関係者を買収するなどして、必要な情報を集めていく

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●解放者達、上陸す
 ニューダブリン島に上陸した猟兵達は、まず集落へと向かう。
 一行は島の解放に来た事を話すと、島民は天を仰ぐようにして喜んだ。
 長らく待ち望んでいた解放者がついにやってきてくれた、と。
 そして詳しい話を聞く事が出来た訳だが、内容はこうだ。

 支配者が連れて行った少女達の半分はこの島の海賊が経営するマーケットに売りに出され、もう半分は支配者のアジトに持ち帰られてしまうのだとか。
 そこで何をされているのかまでは分からないが死ぬまで奴隷にされているのか、はたまた慰み者にされているのか。
 いずれにせよ、あの支配者の事だ……二度と戻ってこない以上はそのような扱いを受けていもおかしくはない。
 そう言った意味で考えれば、マーケットに売りに出されてしまう方が『まだ』マシなのかもしれない。
 買い手が付けば、この島から出られるからだ。
 ……もっとも、買われた先での扱いがどうなるかは本人にしか分からないが。

 こうして話を聞いた一行は、まず海賊のマーケットへと向かう事にした。
 その際、島民の子供から『ねーちゃんをぜったいにつれてかえってきて』と言う言葉を胸に、奪還の決意を固めるのであった。

●海賊マーケット潜入
 ……集落から少し歩いた場所にそのマーケットはあった。
 遠目からその様子を見ていると、まだ客はほとんど見られない。
 今なら潜入も容易いだろう。
 因みにこの島の海賊は支配者の圧倒的な戦力に屈し、命令で人身売買などに已む無く手を染めていたのだが……
 その儲けの良さから、自ら進んで商売に加担するようになったそうな。
 どうやらここの支配者には商才もあるようで、金で海賊の人心掌握を行ったらしい。
 要するに彼らは『金に目が眩んだ類の人間』であって、コンスキタドールではないのだ。
 仮に戦う事があっても、せいぜい懲らしめる程度に済ませるべきであろう。

 ……さて、売りに出された少女をどうするか。
 ストレートに大金か物々交換で買うか。
 或いは忍び込んでこっそり逃がすか。
 はたまた自分が少女と同じくらいの年頃ならば、自らを売り込みに行くフリをしながら解放を狙うか。
 出来る手段は色々とある事だろう。
 まずは下手に騒ぎを起こさないよう、事に当たらねばならない。
 さあ、どうした物だろうか……?
清里・柚月
小さい女の子を連れ去って酷いことする気だね!
そんなコト絶対させないんだから!

というわけでマーケットへ女の子達を捜しに行くよ。
そっち系の趣味があるっぽい風を装いながら、こう、可愛がってあげたくなるような小さい女の子いませんかーって、手当たり次第に探し回るよ。
目的の子が見つかったら、お金を積んでお買い上げ。…ちょ、ちょっとくらいは必要経費ってコトで!
もし、なんかのトラブルで買えない流れになったら、コード・クロックワークヘッドで放水砲装備のサメを召喚。【属性攻撃】で粘着属性を付けた水を浴びせて邪魔する人を制圧して、女の子達を連れ出しちゃうよ。
連れ出した子達は、とりあえず鉄甲船に連れてけばいいかな?



●キヨミズ・ダイブ(覚悟を決め、思い切った事をすると言うこの世界の言葉)
「小さい女の子を連れ去って酷いことする気だね! そんなコト絶対させないんだから!」
 清里・柚月(N.D.O・f26171)は子供達の奪還に意欲を燃やしている。
 今もこの瞬間、支配者のアジトで連れ去れた少女がどんな目に遭っているのかと思うと、いても立ってもいられないようだ。
 まずは目的の物の情報を得るべく、近くを歩いていた海賊に話しかけてみる。
「あの、すいません。探し物があるんですけど……こう、可愛がってあげたくなるような小さい女の子を……」
 その言葉を聞いた海賊が柚月を値踏みするような目で見る。
 ……なるほどね、と言った感じで頷くと。
「奴隷売り場ならここから近いのは、そこの通りを行けばすぐだぜ」
 場所を聞き、柚月は礼の言葉を言うとその場所へと向かう。
 その後ろ姿を見て、海賊はこう思った……そう言う趣味か、と。
 でも柚月はそう言う風を装っているだけであって、実際には違う事を本人の名誉のために(念のため)言っておく。

 そして奴隷売り場へとやってきた柚月は渡されたリストと値段を見て固まった。
 今日入荷したての新入り……つまりはこの島の少女達の値段はゴールドにして安くとも20ゴールド。
 高い物では40や50は当たり前である。
「……じゃあ、この子とこの子を」
「はいよ、ええと……二人で43ゴールドだが……アンタ、払えるのか?」
 怪訝そうな目で見る売り場の店主の前に、ゴールドが入った袋を黙って置く。
 この世界で稼いだゴールドを惜しまず投入である。
(……ちょ、ちょっとくらいは必要経費ってコトで!)
 柚月が心の中で泣いているのは多分気のせいではないだろう、多分。
「ヒューッ! 一つ、二つ……あぁ、確かに43ゴールドあるな。よし、連れていきな」
 出す物を出すなら誰であろうが歓迎する、それがここのルールだ。
 海賊は檻の鍵を開け、二人を解放した。
「これであなた達は自由よ……大丈夫、わたしに付いてきて」
 不安そうな目で柚月を見ている少女二人を安心させるように言う。
 そして売り場を出て、安全な場所へ移動しようとした時の事であった。
「おう待ちな、そこの姉ちゃん。そのガキ二人を俺に寄越しな」
 背後から屈強な海賊に声をかけられる……どうやら横取りのようだ。
 力の無い相手なら脅せば差し出すだろうと思っているのだろう。
 しかし、柚月は退かない。
「お断りよ、この子達には指一本触れさせないんだから!」
「ハッ、言うじゃねぇか。なら痛い目……ぶほッ!?」
 言い終える前、何か液体のような物が海賊に直撃する。
 柚月が先手を打って『Code-CC/18"CrokworkHead"(コード・クロックワークヘッド)』で放水砲装備の機械化サメを召喚し、粘着属性を付けた水を浴びせたのだ。
「な、なんだこりゃあ!? う、動けねぇッ!」
 建物の壁に磔にされてもがく海賊。
「よし、今よ!」
 騒ぎにならない内に、少女二人の手を取って柚月は走り出した。
 ……そしてマーケットから脱出すると、助けに来た事を話し、鉄甲船へと匿う。
「お姉ちゃん達が悪い奴をやっつけてくるから、ここで待っててね?」
 そう言い、マーケットへと戻っていく柚月の姿に少女二人は目を輝かせていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

雨咲・ケイ
……すみません、ちょっと船酔いしました。
……はい、薬を飲んだのでもう大丈夫です。
話は分かりました。島の今後を考えると
マーケットも何とかした方が良さそうですね。

では、私は女装(チャイナドレスを着用)して
忍び込み、売りに出された少女を装いましょう。
そして【影の追跡者の召喚】を使用して関係者を追跡。
支配者の名前と居場所、更にマーケットの地理に関する情報を
集めましょう。

情報が揃ったら、マーケットの監視のいない道を使って
少女達を解放していきます。
海賊に見つかった際は【グラップル】で【気絶攻撃】を
仕掛けたり、締め落とす等して凌ぎましょう。

アドリブ歓迎です。



●海賊の目はザルだったようです
「あなた大丈夫? 顔色、悪いよ……?」
 ……ところ変わってここはマーケットの奴隷売り場の一角。
 その檻の中で、少女に声をかけられている猟兵が一人。
「……すみません、ちょっと船酔いしました……はい、薬を飲んだのでもう大丈夫です」
 雨咲・ケイ(人間の學徒兵・f00882)である。
 しかもチャイナドレスを着て女装し、売りにやってきた少女に紛れていたのだ。
 海賊が騙されるほど、女装は完璧にハマったらしい。
 ただ、船酔いはどうにもならず今も少し気分が優れないようだ。
「そっか、別の島から連れてこられたのね……私達、どうなるのかな……」
「……大丈夫、無事にここから出られて家族のところへ帰れますよ」
 自身がどこへ売られるかも分からず、ただ絶望している少女を落ち着かせるようにケイが話しかける。
 自分達には(ケイも含めて)法外な値段を付けられている事もあって、やってくる客はなかなか手出しが出来ずにいるようだ。
 ……その間にも、ケイは密かに行動を行っていた。
 マーケット内を召喚した影の追跡者があちこち動き回っており、様々な情報を収集している。
 まずはマーケットの地理。
 大きな集落跡地に造られたこのマーケットは、実質的に一つの町と言ってもいいレベルだ。
 奴隷売り場の他にも武器や防具、乗り物、海洋生物、食料品etc……
 酒場に宿もあると言う徹底ぶりではあるが、その支配は比較的緩い。
 巡回している海賊もサボり癖があるのか、警備は大分いい加減であった。
 続いて海賊の話を盗み聞きすると、ここの支配者は『キャプテンの旦那』と呼ばれているようだ。
 残念ながらアジトの場所までは話していなかったが、その口ぶりからすればおそらく把握はしているはずだろう。

(大体はこんな物でしょうか。監視の目が緩いのは幸いと言うべきか……)
 おおよその偵察を終え、逃がすルートは大体分かった。
 後はタイミングを見て脱走させ、鉄甲船に匿うのみだ。
「……皆さん、ちょっといいですか?」
 ケイは檻の中にいる少女達を小声で集め、脱走計画を話す。
 すぐにでもここから出られるのならと、少女達は迷わずそれに乗った。
 客も来ず、暇を持て余すあまりウトウトしている海賊から檻の鍵を影の追跡者がこっそり盗み出し、檻を開く。
 そのまま売り場から脱出しようとした時、海賊が目を覚ましてしまう。
「う、ん……? ……な、お前ら、一体何を!?」
「ハッ!」
 気付かれた事を察知すると有無を言わさず、速攻で海賊を殴り倒す。
 そのまま気絶した海賊を昼寝しているように見せかけると、少女達数人を連れて脱走する。
 監視ルートの無い場所を通る以上、ある程度遠回りとなってしまうが安全に出るにはこれしかない。
 曲がり角を抜けた先でたまたま歩いていた海賊と鉢合わせになった時も、ケイは慌てず背後に回り込んで締め落とすなどして障害を排除していく。
 ……やがてマーケットから無事に脱出すると、ケイは連れ出した少女達を鉄甲船へ匿う。
 少女達は無事に脱出出来た事を抱き合って喜んでいた。
「凄い……あなた、本当に強い人なのね!」
「ええ、言った通りでしょう? ですが、まだやるべき事が残っています。それが終わったら、また迎えに来ます」
 そう言い、ケイは仲間のサポートをすべくマーケットへと戻っていった。
 ……ただし、まだ女装をしたままであったが。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
それでは、頑張って参りましょうかぁ。

まずは「見せ金」を御用意しましょう。
【豊艶界】の倉庫から丁度良い品を出すか、普通に通貨を御用意する形でも良いですねぇ。
そして「買い手」のフリをして接触、商品を選ぶ為ということで「閉じ込めている場所」にご案内いただきましょう。
到着しましたら『刀』による峰打ちで[2回攻撃]&[範囲攻撃]、案内者と見張りを気絶させ少女達を救助、脱出しますねぇ。
彼女達には、私の胸に触れて【豊艶界】に一時避難していただけば安全ではないかとぉ。
中には「モリフクさまの羽毛布団」や「モフィンクス実毛縫いぐるみ」等も有りますから、ゆっくり御寛ぎ下さい。



●少女達は隠れている間、別世界のぬいぐるみに夢中だったそうです
 この海賊マーケットは広い。
 まるで競い合わせるように同じような種類の店が各地に配置されていて、同じ海賊同士で商売のしのぎを削っている。
 奴隷売り場もその一つだ。
 この島の各地の集落から集められた少女達の数は多く、何箇所にも分けて売りに出されているのが現状である。
「……ってな訳よ」
「そうなんですかぁ、売り上げを出そうとみんな頑張っているんですねぇ」
 海賊からマーケットの事を聞き出していたのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)である。
「ええっとですね、今は人が欲しいんです。それで、いい売り場を教えて欲しいんですけどぉ……」
「つっても売り場は多くあるからなぁ、一概にこれだってのは……」
「お礼は、しますよぉ?」
 そう言い、るこるは胸の谷間からシルバーを何枚から取り出す。
 元々そこに挟んでいた訳ではなく、『豊乳女神の加護・豊艶界(チチガミサマノカゴ・ホウエンナルセカイ)』の無限倉庫から取り出した物だ。
「そうか……お礼付きならしょうがねぇな! よし、付いて来な!」
 海賊は嬉しそうにシルバーを受け取ると、るこるを案内する。
 ……この男、なんともチョロすぎである。

「よう、やってるか」
「おう、らっしゃ……なんだお前か。何しに来たんだぁ?」
「上客を連れてきたのさ」
 自分の後ろにいるるこるを親指で指す。
 なるほど、こうしてわざわざ来たのを見るに金をもらったなと察する。
「人が必要なんです。それで、ここがいい売り場と教えてもらいまして……」
「そう言う事か。嬢ちゃん、アンタは見る目があるねぇ!」
 嬉しそうな目でるこるを見る。
 ……若干いやらしい目をその豊満な体に向けられているような気もするが。
「もちろんゴールドなら」
「ああ、言わなくても分かってる。今日入荷した子、見てみるかい?」
 るこるが頷くと、近くの檻に案内される。
 その中には数人の少女が怯えたような目でこちらを見ていた。
「どうだ、いい子揃いだろ?」
「ええ、とっても。……全部欲しくなっちゃいますぅ」
「そうだろそうだ……がはッ!?」
 その瞬間、売り場の男とるこるを案内した男が突然、悶絶し倒れる。
 霊刀『純夢天』で峰打ちを範囲攻撃で二回、確実に叩き込んだのだ。
 何が起きたのか分からないまま、意識を失い倒れる男二人。
「ええっと、鍵は……あ、これですねぇ」
 そこへるこるは気絶した男から鍵を奪うと、檻を開いた。
「え、え……今、何が……?」
「はい、皆さんを助けに来ましたよぉ」
「本当に!? でも、どこへ逃げれば……」
 外には海賊がうろついている事を思えば、脱出は容易ではないだろう。
「ここに触れてくださいねぇ」
 と、るこるは自身の胸を指差す。
 意味がよく分からないと言った顔をしつつも、少女の一人がるこるの胸に触れるとその中へと吸い込まれた。
 シルバーを出した時に使った豊艶界だ。
「え、どこへ消えたの!?」
「理由は後で話しますから、他の皆さんもどうぞ」
 まるで意味が分からないが、少なくとも自分達を助けてくれた相手なら信じられる。
 そう思い、他の少女達も豊艶界へと吸い込まれていった。
 その中はモリフクさまの羽毛布団やモフィンクス実毛縫いぐるみが……あ、これホントに作ったんですね。
「まずは一つ目、ですねぇ」
 最初の売り場を潰したるこるは、次の奴隷売り場へと向けて歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ
人身売買ですか、どの世界でも良く見る光景ですね。
大体の場合、似たような「商品」が同じ場所に集められている事が多かった様な気がします。

となれば、島民から生贄として差し出した少女が着ていた感じの服を調達し、売りに出されて来た様な顔をしてマーケットに潜入します。
【物を隠す】技術でダガーくらいは持ち込みたい所ですね。
海賊や人身売買に関わる商人辺りに見つけてもらえれば、自ずと少女達の所に辿り着くはず。
後は機を見てユーベルコードで敵の動きを止め、鍵や情報を奪い少女達を解放します。
【闇に紛れる】事で見つからず脱出したいですが、場合によっては【マヒ攻撃】や【捕縛】によって敵を無力化する事も必要でしょうね。



●後に海賊は「生きた心地がしなかった」と語る
(人身売買ですか、どの世界でも良く見る光景ですね)
 そんな事を考えながら、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)がマーケット内に潜入し、様子を探る。
 大体の場合、似たような『商品』が同じ場所に集められている事が多かった様な気がする、と言う判断で奴隷売り場を探そうとしていたのだが、案内板にはその手の店が何件も点在していたと言う点は予想外であった。
 因みにこれは物陰から盗み聞きをして分かった事だが、売り上げの良かった店舗は支配者との取り分が半々になると言うルールがこのマーケットにあるそうだ。
 だからこそ同じ商品を扱う店がいくつもあり、同業者が客引きに火花を散らしているのだとか。
 こうしてマーケットの仕組みを理解したハロは、次に少女達の奪還に出る。
 そのための準備は既に仕込み済だ。
 何故ならば……
「む、そこのお前! 止まれ! 脱走者だな!?」
(……かかりましたね)
 首尾よく巡回している海賊に発見されたハロの姿は、この島の住民が着ている服を(出発前に島民から借り受けて)身に着けていた。
 ついでに言えば彼女は12歳の少女、その容姿で島民の服を着ていれば地元民と誤認されるのも当然であった。
「こいつ、どこの売り場から逃げてきたんだ……まあいい。脱走者を捕まえればシルバー一枚だからな……ヘヘ」
 海賊は思わぬ儲けが出たとばかりに喜びつつも、ハロの両手をロープで縛ると売り場へと連行する。
 こうなってしまえば、もう逃げる事は出来ないかと思われるだろうが……

「……つ、冷てぇッ!! な、なんなんだよこれ!?」
 情けない声を上げ、奴隷売り場の海賊の体が凍り付いていた。
 一体何があったのか、簡単に説明すればこうだ。
 売り場へ連行されたハロは建物内の檻に入れられようとしたが、隠し持っていたダガーで両手のロープを瞬時に切り落とすと『コールド・ブラッド』を使い、海賊を凍らせたのだ。
「私の言う通りにすれば命は取りません。……いいですね?」
 更にその状態で、ハロは首筋にダガーを突き付けていた。
 もちろん、ただの人間である海賊を殺すつもりなど毛頭無かったが。
「……檻の鍵をこちらに」
「そ、そんな事をしたら……俺は」
「もう一度言います、檻の鍵をこちらに」
 有無を言わさぬプレッシャーに、海賊は失禁寸前であった。
「お、俺の腰に付いてる鍵束がそれだ……」
 何も言わずハロはそれを奪い取り、檻を開くと今日入れられたばかりの少女数人が解放される。
 思わぬ助けが来た事で、少女達は喜んでいるようだが海賊の顔色は真っ青だ。
「お前、こんな事をしてタダで済むと……」
「……少し黙っていてもらいましょう」
「な、何を……むぐ、むぐぐー!」
 ハロは海賊を捕縛し、動けなくした上で猿轡をして黙らせる。
 後は騒ぎになる前に脱出し、安全を確保すれば最初の仕事は完了だ。
「さあ、私に付いてきて下さい。安全な場所へ案内します」
 店の裏口を開くハロに少女達は黙って付いていく。
 そこから路地裏に入り、闇に紛れつつマーケット内を進み……避けられそうにない見張りがいた場合はハロが先行し、マヒ攻撃などで気絶させて突破する。
 その手際のよさに、少女達はただ感服するばかりであった。
 ……そして、鉄甲船に戻ってきた時には他の仲間が救出したであろう少女達が既に何人か匿われていた。
「どうやら奪還作戦は順調に進んでいるようですね」
 ハロはその事に少しだけ安心しつつも、次の仕事へ向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴァリージオ・ホークアイ
(アドリブ絡み歓迎)
(自前の海賊船(UC)を持つ海賊の一派として)
…何だよ、オンナがモノ売りされてるって聞いたから
俺が買い取ってやろうと思ったケド、殆ど子供じゃねぇか。
…チッ、安請け合いしちまった。(とは言うが根は良い人で)

ま、とりあえず十分な年の女は正当に買ってやってもいいが…。
碌な価値がない子供は、裏で俺の手下(UC)を回して解放だ。
なぁに、同じ女同士だ…男の騙し方も、少女の扱いも知ってる。

悪いが…俺は子どもに興味はねぇよ、早く帰んな。
俺様の船に乗るなら、もっと成長してイイ女になってから出直しな。



●少女達が海賊に憧れるようになった日
「……何だよ、オンナがモノ売りされてるって聞いたから俺が買い取ってやろうと思ったケド、殆ど子供じゃねぇか」
 マーケット内の様子を見たヴァリージオ・ホークアイ(気取ったシャープ・ブレイダー・f26315)が呆れたように呟く。
 彼はこの世界の海賊であり生粋の女好きだが、未成年は射程外であった。
 しかし、救助対象の大半がその射程外の少女達である。
「……チッ、安請け合いしちまった」
 などと言うも、彼の脳裏には集落の子供やその親から『どうにかして連れて帰ってきて欲しい』と言う懇願の様子が離れなかった。
 なんやかんやあっても助ける気はある辺り、彼の心根はいい人なのだろう。

「ま、さっさと済ませるか」
 マーケット案内板を見るまでもなく、ヴァリージオが近くの海賊に声をかける。
「よう、今日入ったばかりの女があるって聞いたんだが?」
「お、さすがは耳が早いねえ……いい子が揃ってるぜ、兄さんよ」
 ヴァリージオを同業者と見抜いた海賊が馴れ馴れしい様子で接する。
 そのまま流れるように売り場へと案内されると、早速少女の物色が始まる。
「一通り見たが……ったく、子供ばっかりじゃねぇかオイ」
 檻越しから少女に一人ずつ年齢を尋ねたが、(分かっていたとは言え)どれも彼の射程外だらけであった。
「兄さん、若い子は好かんのかい? 顔の良さは保障するが……」
「まあ顔は悪くねえが、最低でも育つとこが育ってなきゃ論外……あー、しゃあねえな。確か17の女が三人いたな? そいつらを買うぜ」
「はいよ! あーと、三人で……60ゴールドだな」
 どうやら売られている少女達は歳が上がる毎に価値が下がるのか、一人頭20ゴールドのようだ。
 それをヴァリージオはゴールドの入った布袋をテーブルにジャラリと置いた。
「確かに60ゴールドだな、毎度あり! ほら、出ろ! 自由だぞ!」
 檻の鍵を開け、三人の少女が解放される。
「よーし、今日からお前らは俺の物だ。さ、来な」
 海賊に買われてしまったと言う事に怯えつつも、少女達は後に付いていく。
 ……その直後、入れ替わりで女海賊と思しき者達がやってきた。
「なぁ、女の子売ってるんだって? いくらだい?」
「値段はピンキリだが、そうだな……アンタらなら多少の値引きには応じるぜ?」
「それじゃあ、別のとこで交渉……するかい?」
 ニヤリと怪しく笑い、誘うような仕草をする。
 それを見て鼻の下を伸ばした海賊が喜んで応じると、二人揃ってマーケットのどこかへと消えていく。
 店番がいなくなった売り場で、残った女海賊が檻をこじ開けると檻の中に残っていた少女達を解放する。
「え、これって……?」
「さ、これでもう大丈夫だよ。アタシらに付いてきな」
 助けてくれると言う事を悟った少女達は、その後に付いていく。
 ……実はこの女海賊達の正体は、ヴァリージオが『欲深き女傑たちの猛襲(グリーディ・レギオン・レディ)』で召喚した幽霊であった。
 真っ当な手段で買った後、事前に召喚した彼女達と入れ替わるようにして海賊を誘惑し、少女達を連れ出すと言う二重の手段だったのだ。

 こうしてマーケットから連れ出された少女達は一箇所に集められると、ヴァリージオにこう言われた。
「気が変わった。お前らは自由だ」
「え、で、でも私達を買ったんじゃ……」
「悪いが……俺は子どもに興味はねぇよ、早く帰んな」
 その言葉に少女達は困惑する。
「ま、そうだな……俺様の船に乗るなら、もっと成長してイイ女になってから出直しな」
 それだけ言いヴァリージオは背を向け、行ってしまった。
 その様子を少女達はただ、憧れるような目で見送っていたとか……。

成功 🔵​🔵​🔴​

七那原・望
取引なのです。わたしの年齢は相手の好みの範囲には入ってないはずですし、きっと大丈夫なのです。
服装的に裕福な商家の娘とか言えば大丈夫ですかね?目隠しはファッションとでも言って押し切りましょう。

こちらの要求はもちろん売りに出された少女。使用人にはぴったりですから。
わたしの家、結構色んな島で取引してますからね。
証拠に色んな武器を生み出す結晶、【Laminas pro vodis】や、不思議な能力を持つ装備アイテム等を見せて【誘惑】を。
こちらは私物なのでお渡しできませんけど、これと同じくらいの不思議で珍しい物も幅広く取り揃えているので、あなたの希望には大体沿えると思うのです。
さぁ、何がお望みですか?



●「とんでもねえ商才を持った嬢ちゃんだった」と海賊は後に語る
 海賊達の目が一人の少女……否、(見た目的には)幼女に集中している。
 彼女は豪奢な服に身を包み、目隠しと言うファッションも注目を集めるのには十分すぎる物であった。
(わたしの年齢は相手の好みの範囲には入ってないはずですし、きっと大丈夫なのです)
 そんな海賊達の視線など微塵も気にせず、七那原・望(封印されし果実・f04836)がマーケット内を歩いている。
 因みに望は7歳……もし彼女も支配者の射程内であれば、最早ロリコンどころでないペド野郎扱いされていてもおかしくはなかったであろう。
「もし、そこのあなた。人が欲しいのです。売り場へ案内してもらえますか?」
「お、おう。分かったぜ……付いてきてくれ」
 ふと、自分を見ていた海賊の一人に声をかける望。
 これが普通の幼女であれば、まともに相手すらしなかったであろうが……何かただならぬ雰囲気を感じた海賊は、それに応じた。
「あー、嬢ちゃん。一つ聞くんだが……見えてるのか、それ?」
「これはファッションです。いいですね?」
「アッハイ」
 いやそれで納得するのかよ。
 ともかく、まずは奴隷売り場に行く事が出来た望。
 そこで彼女は更なる交渉術を発揮する事となる……。

「……で、嬢ちゃん。人を買いたいってのかい?」
「はい、取引なのです。今日売りに出されたばかりと聞いて……使用人にはぴったりですから」
 売り場の男は瞬時に『この娘はやり手だな』と確信する。
 耳が早いと言うのは商売において重要な事の一つだ。
「わたしの家、結構色んな島で取引してますからね」
「ほう……言うじゃあねえか。さぞ凄い物か大金を持っていると見たが?」
「では、お見せしましょう。まずはこの結晶……」
 望は手持ちの結晶『Laminas pro vodis』を取り出すと、赤い光が放たれてその中から……なんと武器が生み出されたではないか。
 それを見た売り場の男は目を見開く。
「なッ……こいつぁメガリスか!? いや、それに相当する……!?」
「まだまだありますよ。例えばこれは……」
 望は自分の装備品をプレゼンし、ハッタリではない事を証明する。
 こうなっては彼女を疑う事など出来ようはずもない。
「こちらは私物なのでお渡しできませんけど、これと同じくらいの不思議で珍しい物も幅広く取り揃えているので、あなたの希望には大体沿えると思うのです」
「す、凄ェ……ッ」
 ゴクリと唾を飲み込む男。
 最早彼女のペースに完全に乗せられてしまっていると言ってもいいだろう。
「さぁ、何がお望みですか?」
 ふふっと笑って、余裕さをアピールする。
「一つ聞きたい、その『結晶から生み出した武器』はいいのか?」
「ええ、生み出した武器ならば。ある程度は選べますよ?」
「なら貴重な珍しい武器を頼む。いくらでも出せるのなら、売り場の娘達と……全部引き換えでどうだ!」
「決まり、なのです」
 交渉成立である。
 ……こうして望は売り場の男が求める武器をリクエスト通りに生み出し、それを引き換えとする事で、少女達を全て穏便に確保する事に成功した。
「いやあ、こんな早く店仕舞いする事になるたぁな。俺も運がいいぜ!」
 早々に商品を売り切った売り場の男はさぞ上機嫌な様子であったと言う。
 なお、この後買われた少女達は現地解散となり、それぞれが生まれた集落へと帰っていったそうな。
「……さて、後は諸悪の根源を叩きのめすだけなのです」
 少女達は奪還出来たが大元を潰さない限り、この悲劇は終わらない。
 望はふんすと決意を新たにするのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

久遠・翔
アドリブ絡み歓迎


やれやれ…ここでも奴隷売買っすか
世界が変わってもやる事が変わらない…本当に下衆いっすね


選択UCを使い金貨作成
海から引き揚げた物って言えば作りの粗さが逆に信憑性を帯びると思いますし、実質純金ではあるっすからね
奴隷の少女達の値段を聞いて、作っておいた金貨を多めに渡します

早くに店仕舞いになってしまう迷惑料と彼女達への衣服。それと他にこのマーケットの情報がないかって言うのを聞く為

不足時は荷物から取り出す振りをして再度UCで金貨作成


少女達はその後UC小さな庭園世界に匿います
その前に事情を話し少女達を安心させます(UC無自覚の魅了&交渉術)
ただ何でか少女達の顔が赤くなってたんだろう?(汗)



●ゴールドが偽物だったと気付くのは、大分後になってからだそうです
「やれやれ……ここでも奴隷売買っすか。世界が変わってもやる事が変わらない…本当に下衆いっすね」
 はぁ、と溜息を吐く久遠・翔(性別迷子・f00042)。
 どうやら他の世界でも、似たような物を何度となく見てきたようだ。
 人身売買はどこでも飯の種になる、と言う事なのだろう。
「ともかく、今は穏便に済ませて女の子達を解放しなきゃっすね……」
 腰にぶら下げた、何かがパンパンに詰まった皮袋へ視線を向ける。
 これが翔の用意した軍資金と言う事なのだろうか。
 その軍資金を手に、早速案内板に書かれた奴隷売り場へと向かう翔。
 売り場の前には『奴隷入荷、早い者勝ち』と言う文字があった。
 店の入口を前に、よしと頷くと翔はその中へと入っていく……

「おう、らっしゃい。……なんだ、嬢ちゃんは奴隷を買いに来た口かい?」
「そんなとこっすよ。ゴールドならここに」
 翔は腰にぶら下げた皮袋を差し出すと、海賊は袋を開けて中身を見る。
 中にはゴールドがぎっしり詰まっているが、歪な形をしていた。
「ん、んん? なんか歪んでねえかこれ? まさかとは思うが偽物……」
「海から引き揚げた物っすから、形がそうなってるのは仕方ないっす。なんならよく見てみるといいっすよ」
 海賊の疑問に対し、翔はキッパリ言い切る。
 因みにこれはレプリカクラフトで作成した偽物であり、歪な形をしているのはそれが理由であった。
 そんな事とは知らず、怪訝そうに鑑定用レンズでじっとゴールドを観察していた海賊であったが……
「……確かにこれはゴールドだ。嬢ちゃん、疑ってすまねえな」
 海賊の目を見事に誤魔化す事が出来たようだ。
「じゃあ取引っす。欲しいのは今日入ったばかりの子達を、全部」
「ああ、全部……全部ッ!? いや、それだとこの倍のゴールドが……」
「なら、ええと……」
 そう言い荷物から何かを取り出すフリをし、再びレプリカクラフトで大量偽造を行う。
 そうして、再び大量の偽造ゴールドを用意するとそれを全て差し出した。
「これなら文句はないっすね? あ、因みにこれで完売してしまうのでその迷惑料と彼女達の衣服の分も含まれてるっす」
「マジか……いや、嬢ちゃん一体何者なんだよ……」
 ポカーンと売り場の海賊が驚愕する。
 やってきた客が、とんでもない大金持ちだったのだから仕方ないとも言えるが。
「ところで、ここのマーケットの偉い人ってどんな人なんすか?」
「あぁ、ここだけの話だが……商才のある恐ろしく強い御仁だよ。一度怒らせたら、命は無いってほどにな。それで飼っている魚のエサにされた奴もいるくらいさ」
 だから嬢ちゃんも、長生きしたいのならここで厄介事を起こさないこった。
 そんな事を海賊は口にしていた。
 一体この島の支配者は何者なのであろうか……?

「あ、あの……私達はこれからどこへ……?」
 マーケットを出た後、翔に買われた少女達は不安そうに尋ねる。
「あ……いや、別に何がどうって訳じゃないっすけど。ただ、俺はみんなを、その、そう、た、助けに来ただけなんすよ!」
 女性に対しては免疫がない翔はしどろもどろに答える。
 島の支配者を倒し、このふざけた掟を終わらせるためにやってきた。
 その事を何度も言葉に詰まりながら説明する。
「と言う訳で……全てが終わるまで、こ、この中に隠れていて欲しいっす。ここにいる限りは、その、安全っすから」
 そう言い、『小さな庭園世界(ニホンテイエン)』で中に匿おうとしたが。
(あ、あれ? なんでこの子達の顔が赤くなってるんすか……?)
 無自覚の魅了と交渉術が効いたのだろう、すっかり少女達は翔が気に入ってしまったようだ。
 ……その後、ちょっとしたアクシデントで仲間との合流がやや遅れたのは秘密である。

成功 🔵​🔵​🔴​

ソナタ・アーティライエ
そのような非道、見過ごせません
奪還のためにわたしも協力させて頂きますね

荒事は苦手ですので
情報収集と逃走の補助を目的に動きたいと思います

UCで呼んだ猫さんの力で姿を消してマーケットへ潜入
身を隠しながら会話を盗み聞きしたり
マーケットの構造や見張りの配置等を調べて
逃走経路の中りをつけておきたいです

頃合いをみてわざと見つかって捕らえられ
少女たちと同じ場所へ
具合が悪そうな子がいれば手当したり
もうじき助けが来ることをこっそり伝えて落ち着かせ機を待ちます

逃走の際には再び猫さんの出番です
監禁場所をもぬけの殻の様に見せ混乱させたり
猫さんの一匹に先導してもらいつつ
他の皆は透明になって目撃されないように逃げましょう


ミネルバ・レストー
このロリコンどもめ(直球)
全員アレを切り落としてやろうかしら、と思ったけれど
今はまだおとなしくしてないと駄目だったかしら、命拾いしたわね

わたしは15歳を気が遠くなるほど続けているけど
見た目が年相応ならセーフよね?
ならマーケットに自分を売り込みに行くわ
身なりをあえて貧相なものに変えて、
天涯孤独の身で借金がある的な設定の「演技」と
それなりの値が付くんじゃないかしらとの「誘惑」で
逆にこちらがオトしてやろうじゃないの

首尾よく他の少女たちと合流できたら
助けに来たことをヒソヒソ話で説明
わたし一人で何とかできる建物ならそうするけど
難しそうならスマホやドローンで外部の猟兵に連絡を取って
手助けしてもらいましょ



●インターミッション
「このロリコンどもめ」
 初手からどこかの目玉の怪物めいたド直球な事を口にするミネルバ・レストー(こおりのむすめ・f23814)。
 犯罪行為は当然、許せないと言ったところである。
「はい、そのような非道、見過ごせません」
 ぐっと拳を握り締め、ソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)も続く。
 支配者の欲望のためだけに、家族が引き裂かれてしまうと言う悲しみは察するにあり余る程だ。
「全員アレを切り落としてやろうかしら、と思ったけれど……」
 ネリーさん、早々に物騒すぎやしませんかね!?
 海賊の人達も売買に加担してはいますが、それは已む無くですし……
「……えっ、切り落とす、ですか!? い、いえ、さすがにそれは少しやりすぎではないかと……」
 その物騒な発言にソナタがそれとなく止めようとする。
 ……多分この子は首を切り落とすと勘違いしているようですが、詳しくは言わないでおくのが花でしょう。
「今はまだおとなしくしてないと駄目だったかしら、命拾いしたわね……さて、どうしたものかしらね」
「やはり潜入してわざと捕まるのがいいのでしょうか? ユーベルコードもありますし……」
「ん、そうね……なら、それで行きましょう。気を付けてね」
「はい、ネリーさんも……」
 二人がそれぞれ散って、マーケットへの潜入を開始する。
 果たして、奪還作戦は上手く行くのであろうか?

●奴隷奪還作戦・ソナタの場合
 仔猫を抱っこした状態でソナタがマーケット内を歩いている。
 ただし、その姿は他者からは見えていない。
 何故ならば『幻妖童歌 其之百六十六『迷子の仔猫』(アナタトアソブカクレンボ)』を使用しているからであった。
「警備は厳しいと思ってましたけど、見張りの人達はほとんどいませんね……ふぅ」
 使用中は疲労すると言うデメリットこそあれど、逃走経路を安全に把握するにはこれが一番の手段だ。
 幸いだったのは、ここの警備は大分緩かったと言う事であった。
 これなら脱出は案外難しくないかもしれない。
 そうなれば、次の行動に移るのみだ。
 ソナタは『迷子の仔猫』を解除し、その身を晒す。
 海賊が彼女を発見するのは早かった。

「おい、止まれ! ……んん? この辺じゃ見ない奴だが……いや、かなりの上玉じゃねぇか。よし……せっかくだ、売り物に加えておくかねぇ」
 ヒヒヒと笑いつつ、海賊はソナタを奴隷売り場へと連行する。
 そのまま檻へと入れられると、中にいた少女達の一人が声をかけてきた。
「あなた、この島の人じゃなさそうだけど……どこかで捕まってしまったの?」
「はい、そんなところです……」
「そう……」
 少女が溜息を吐く。
 どこか諦めにも近い物であるのはソナタにも分かった。
「大丈夫です。もうすぐ助けが来ますよ」
「助けだなんて……私達は誰かに買われて、これからどうなるかも分からないのに……」
「今は機を待ちましょう。そこから先はわたしに任せてください」
 檻の中の少女達にこっそりと言い聞かせると、外の様子をじっと見ながらその時を待つ。
 客は少数訪れたが、自分達が買われる事もなく、やがて暇になった海賊の男が欠伸と共に居眠りし出す。
 それが最大のチャンスであった。
「今ですね。皆さん、この子達に触れてください」
「えっ? この子達、どこから? しかも触れてって、どう言う……」
「触れれば分かります」
 言われるがまま、少女達はソナタが召喚した仔猫達にそれぞれ触れる。
 すると、皆の姿が透明になった。
「え、姿が……!?」
「この状態でも、物音は消せませんので静かにしてくださいね? さもないと見つかってしまいます」
「う、うん、わかった……!」
 少女達はソナタに従い、息を潜める。
 ……少しすると居眠りしていた海賊が目を覚まし、檻の中には誰もいない事に気付き、慌て出す。
 一度檻を開けて中を見るが、やはりそこには誰もいない。
 そのまま檻を開けた状態で海賊が逃げた少女達を探しに出ていった。
 よほど慌てていたのだろう。
「皆さん、すぐにここから出ましょう。逃げ道はこの子が案内してくれます。でも、仔猫達から手は離さないでくださいね」
「にゃー」
 ソナタ達を先導するように、一匹の仔猫が歩き出す。
 仔猫に導かれるがまま、透明状態で事前に確認した逃走経路を辿り、誰にも見つかる事なく一行は無事に脱出する事に成功した。
「皆さん、お疲れ様です。無事に逃げ切れましたね……ふぅ」
 透明化の代償でかなり疲労したが、ソナタはまず脱出出来た事を喜ぶ。
 少女達はまだ信じられないと言った表情をしているが、それでも逃げる事が出来て安堵しているようだ。
(さて、少し休んだらやるべき事に戻らないといけませんね……)
 ソナタの視線はマーケット、更にその奥へと向けられていた……。

●奴隷奪還作戦・ネリーの場合
「わたし、ゴールドが必要なのよ」
 海賊を前に訴えかけるネリー。
 ご丁寧に、その身なりは島民から借り受けた衣装(しかもボロ着)を着て、いかにもそれっぽい感じを演出している。
「両親は早々にいなくなって、生きるためにはとうとう自分の身を売らなければならなくなったの……親の残した借金だってあるわ。合計5000兆円……じゃなくて5000ゴールドよ」
 元がネットゲームのアバターだったネリーは、かつて中の人がロールプレイをしたであろうノリを思い出すような感じで演技を続ける。
「ま、まあ自分で言うのもなんだけど……見てくれだけはちょっとだけ自信があると言うか? だから、そのえっと……それなりの値が付くんじゃないかしら」
 ただ、さすがにこのセリフは初めて言う事もあってか、少しだけ恥ずかしそうな様子である。
 しかし、このノリが海賊に通じるのかと言う疑問もあるが……
「そうかぁ、お前さんも大変だったんだなぁ……」
 ……信じてました。
 やっぱりここの海賊ってみんなチョロいのでは?
「……だが、買われたら主人の命令が第一だ。何でも言う事を聞かないと、何をされるか分からんぞ」
「そ、それくらいは覚悟の上よ」
「わかった、それじゃあついて来な。ま、お前さんを買ってくれる奴に出会える事を祈るんだな」
 海賊が先導し、ネリーを奴隷売り場へと案内する。
 そのまま檻の中へと入れられると、少女達が一斉にこちらを見てきた。

「……よし、もういいかしら。あなた達を助けに来たわ」
 演技が疲れたとばかりに、ネリーがいつもの調子に戻って少女達にこっそりと打ち明ける。
 最初は本当に助けに来たのかと半信半疑な様子であったが、仲間達が時を同じくして動いている事や今日ここに連れてこられたのを予知していた事、この島の支配者がロリコン趣味である事を罵倒しつつも倒しに来た事などの説明を聞くと、彼女達はすぐにそれを信じた。
 まずは一定の信頼を得たネリーは、支配者について尋ねてみる事に。
「それで、この島のロリコン野郎……もとい、支配者ってどんな奴なの?」
「……恐ろしい海賊よ。何年か前に突然この島にやってきて、あっと言う間に征服してしまったわ」
 ……その後、支配者に関する恐ろしい噂をいくつか聞いた。
 それがどこまで本当なのかは分からないが、ネリーの怒りに更なる火を付けたのは間違いない。
「それを聞いて、ますます生かしておく訳にはいかなくなったわね」
「でも、あいつは物凄く強いわ。島の海賊が束になっても……」
「わたし達は猟兵、オブリビオン……あ、こっちだとコンキスタドールか。そいつを倒すための存在よ。……倒せるわ、わたし達なら」
 ネリーが自信を持って、そう宣言する。
 その言葉に、少女達も『この人達なら、多分なんとかしてくれるのではないか』と言う希望が湧いてきた。
「さて、そのためにもまずはここから出なきゃいけないけど……」
「でもどうやって? この檻から出るには……」
「来るわ。もうすぐ助けが、ね」
 ネリーがそう言った直後……
「ん、客か? いらっしゃい、いい子が揃って……ぐほッ!?」
 何者かに殴り倒され、売り場の男が気絶する。
 時を同じくして行動していた仲間が来てくれたのだ。
「ホ、ホントに来た!?」
「ほら、言った通りでしょう?」
 そう言うネリーの手には、隠し持っていたスマホが握られていたのであった。

●海賊マーケット最後の日(主に人身売買)
「てめえら、なんて事をしてくれやがったんだ……この事がキャプテンの旦那に知られたら、この島はおしまいなんだぞ!?」
 捕縛された海賊が絶望したように言う。
 奴隷として入荷した少女達は、一部真っ当な手段で猟兵に買われたりもしたが気付けば半数以上が知らぬ間に奪還されてしまったのだ。
 こうして高値で売れるはずだった物がパーになった事が支配者に知られれば、奴は激怒して皆殺しにやってくる。
 海賊はその事を何よりも恐れていたのだ。
「ですが、そのために何も罪の無い島の人達を犠牲にするのですか?」
「うぐ、そ、それは仕方ない事なんだ……島の平和のためなんだ……」
 ソナタの真っ直ぐな問いを受け、罪悪感を少しは感じているのか。
 海賊の返答は歯切れが悪い。
「家族が引き裂かれ、悲しい思いをしている人が毎年出るのよ?」
「こ、拒んだら皆殺しにされるんだよ! 旦那はそれくらいの事は平気でやる!」
 次いでネリーにそう言われ、ついに本音をブチ撒けた。
 檻の中で聞いた噂通りの人物なら、確かにやりかねないだろう。
「なら、そいつのアジトはどこにあるか言いなさい。わたし達が始末するわ」
「そうすれば、もうこんな非道に手を染める事もありませんよ……?」
「……あぁ、分かった。こうなったら俺達も腹ァ括るぜ! だが、絶対に、絶対にあいつを倒してくれよ! でなきゃ、何もかもおしまいだ……」
 海賊は折れ、ついに支配者のアジトの場所を吐いた。
 ついでにこれから真っ当な商売のみをする事、と釘も刺しておく事は忘れない。

 こうして、いよいよ支配者のアジトへと殴り込みをかける事となるのであった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『巨大魚』

POW   :    船喰らい
【頭部からの体当たり】が命中した対象に対し、高威力高命中の【鋭い牙によるかみ砕き攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    テイルフィンインパクト
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    ウォータービーム
レベル×5本の【海水】属性の【水流弾】を放つ。

イラスト:傘魚

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●カチコミの時間です
 支配者のアジトはこの島の集落の一つ、港の跡地にあった。
 その中に、ひときわ大きな海賊船が見える。
 きっとあの中に支配者がいるのだろう。
 因みに海賊達から教えてもらったのだが、奴の名は正式には『キャプテン・ロゥリィ』と言うらしい。
 ……果たして、名前と性癖に関係はあるのだろうか。

 それはともかくとして、猟兵達が桟橋を渡って海賊船へと近付く。
 すると水中に何か大きな影がいくつも写り、一行は警戒態勢を取る。
 おそらく、海賊が話していた『キャプテンの飼っている魚』であろう。
 その時、水中から”それ”は飛び出してきた。
「ギシャアァァァッ!!」
 獰猛な鳴き声を上げ、鋭い牙が光る。
 一行はそれぞれ散開し、奇襲攻撃を避けると大きな水飛沫が上がった。
 ……デカい!
 下手すれば鉄甲船すらも易々と破壊しかねないほどの大物だ。
 これほどの魚を飼っているともなると、人間をエサにしていると言う噂もあながち嘘ではないのかもしれない。
 しかし、今はそんな事を考えている場合ではない。
 ロゥリィと遭遇するには、邪魔をしてくるこいつらを倒さなければならないのだ。

 襲い掛かってくるなら容赦はいらない、返り討ちにしてしまおう!
清里・柚月
わ、やっぱりすんなりとボスのトコまでは行けないか。
でも相手がお魚ならこっちだって!

ってコトでコード・アポカリプス発動、機械化サメ軍団を呼んで戦わせるよ。
基本は装備させた火器類での攻撃だけど、敵が水流弾で攻撃してくるようならその間を突っ切っての噛み付き攻撃をさせようかと。サメなんだしやっぱり一番の武器はこれだよ!
水中に逃げるなら追撃を指示。いくらコンキスタドールでも海の中でサメに勝てるワケ無いでしょ!
わたし自身の護衛にはKillerWhaleがいるからこの子にお任せ。もし不意打ちで攻撃してくるならこっちも【武器改造】で付けた水流弾で対抗だよ!


七那原・望
随分大きな魚を飼ってるのですね。
流石にペットではないと思うのですけど。海では優秀な番犬代わりの定番なのです?けれど水中が得意なのはそっちだけではないのですよ。

【果実変性・ウィッシーズウンディーネ】を発動して【高速泳法】の【水中機動】力を獲得し【水中戦】を挑みます。

【第六感】と【野生の勘】で相手の動きを【見切り】、先回りするように動いて、スタッカートで弱点を【狙い撃ち】して【早業】で刻んじゃいましょう。

例え水中から離脱したとしても、逃げ場はないのです。

空中には分離したセプテットを展開。敵が水中から出て来たら【一斉発射】で【狙い撃ち】なのです。

大人しくなりましたね。これで安心して進めるのですー。



●激突!大水中戦!!
「わ、やっぱりすんなりとボスのトコまでは行けないか」
 突然として現れた巨大魚を前に、柚月は足を止めざるを得ない。
 このまま突っ切って突撃は自殺行為も同然である。
「随分大きな魚を飼ってるのですね」
 一方の望はと言うと、それほど動じている様子は見られない。
 7歳にしてこの落ち着きっぷり……ある意味大物なのか、はたまた天然なのか。
「流石にペットではないと思うのですけど。海では優秀な番犬代わりの定番なのです?」
「ど、どうなのかしら……? でも、この船を守らせているのは確かなようね」
 視線を下に向けると、水中で巨大魚の影が激しく動き回っている。
 奇襲は失敗したが、次の一撃を虎視眈々と狙っているに違いない。
「何にしても、アレをなんとかしない事には船に行けないのです」
「そうね……望ちゃん、準備の方は?」
「いつでもおっけー、なのです」
 親指をビッと立てて柚月に応えると、二人揃って迎撃体勢を取る。
 巨大魚との戦いが、いよいよ始まろうとしていた。

「水中が得意なのはそっちだけではないのですよ。わたしは望む……ウィッシーズウンディーネ!」
 望が『果実変性・ウィッシーズウンディーネ(トランス・ウィッシーズウンディーネ)』を使い、魔法による自己強化を何重にも重ねる。
 そして水中戦特化形態に変身した彼女の姿は……えっ、水着!?
 なんと可愛らしい水色の水着である!
 もしロゥリィがこの様子を見ていたら、何かしらの反応はあったやもしれない!
「相手がお魚ならこっちだって! さあみんな、機械化サメ軍団の力、見せてあげちゃってね!」
 それと同時に柚月はCode-CC/2"Apocalypse"(コード・アポカリプス)を使い、機械化サメ軍団を大勢召喚する。
 機械化サメ軍団VS巨大魚の群れ……まるでUDCアースかヒーローズアースで公開されたであろうB級鮫映画のようなノリである!
 しかもサメ軍団は大口径ビーム砲と機関銃を装備していると来た。
 ……ホントに鮫映画みたいなノリっすね、これ。

「それでは、始めるのです。とぉっ」
 華麗な飛び込みフォームで望が海中へとダイブする。
 水中は巨大魚のフィールド、腕利きのオーシャンハンターでもない限りまともに戦う事など不可能……かに見えた。
 しかし、自己強化を重ねた望は水中呼吸すら可能な状態であり、彼女自身も水を得た魚のように水中を泳いでいる。
 自らエサが飛び込んできたとばかり思っていた巨大魚が、余裕で追従されている事に気付いて焦り出す。
 大口を開けての体当たりなど、動きを見切っている望には当たるはずもない。
「ふふ、どちらが狩られる側なのか……知るのです」
 ニヤリと水中で笑い『夢奏・スタッカート』を両手に巨大魚ハンターと化した望は獲物を見つけると、素早く仕掛ける。
 まず、弱点であるヒゲの部分をスパッと切ると、平衡感覚を失って動きが明らかに悪くなる。
 その隙を逃さず、更に斬撃を叩き込むと巨大魚は真っ二つに斬り捨てられて水底へと沈んでいく。
 この状態で、巨大魚は完全に狩られる側となったのは明白だ。
 ……同じ頃、桟橋の上では巨大魚と機械化サメ軍団が激しいバトルを繰り広げていた。
「ギシャァァァッ!」
 巨大魚がウォータービームで無数の水流弾を放つ。
 例え水流弾と言えども、当たれば負傷は避けられない威力だ。
「SHAAAAAAAARK!」
 ベタな鳴き声とともに、機械化サメ軍団が大口径ビームで迎撃!
 水流弾がジュワッと蒸発する。
 戦闘が始まってから既に何度か行われている攻防戦だが、それに痺れを切らしてか巨大魚が更に水流弾の勢いを強める。
「よし、このタイミングっ! サメ五号、突撃よ!」
 柚月の命令を受けて水中から勢いを付けて飛び、回転しながら機械化サメ軍団の一つであるサメ五号が水流弾の間を縫うように巨大魚へと突撃する。
 そのまま鋼の牙が巨大魚の一匹を噛み砕く!
「ふふん、サメなんだしやっぱり一番の武器はこれだよ!」
「ギシャアァァァッ!?」
 この一撃で陣形が崩れ、巨大魚が体勢を立て直すべく飛び跳ねながら、水中へと一旦退避する。
「逃がさないわ! 追撃よ!」
「SHAAAAAAAARK!」
 追撃命令を受けたサメ軍団が水中に逃げた巨大魚を追う。
 巨大魚の視線の前には望が、そして後ろからはサメ軍団が。
「もはや袋のネズミ、なのです」
 当然のように、望はやってきた巨大魚のヒレを切り落とす。
 こうなっては敵わないとばかりに、今度は水上へと逃げるべく水面へと向きを変える。
「例え水中から離脱したとしても、逃げ場はないのです」
 望の言っている事は確かだった。
 こんな事もあろうかと、彼女は空中に『銃奏・セプテット』を展開していたのだ。
 そうとも知らずに巨大魚が水中から出て、テイルフィンインパクトで空中を飛ぼうとしたと同時にセプテットが七門まとめて火を噴き、巨大魚を蜂の巣にした。
「大人しくなりましたね」
 水上に漂う巨大魚の残骸を前に、望が淡々と言う。
「進むなら今ね。行きましょう」
 柚月の方も、自身に襲い掛かってきたであろう巨大魚をサメ型ガジェット『KillerWhale』で迎撃し終えた後らしく、合流してきた。
 ……その最中で水飛沫などを浴びて、ちょっと濡れてしまったのはご愛嬌だ。
「はい、これで安心して進めるのですー」
 二人は足早に、ロゥリィのいるであろう海賊船へと向かっていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ソナタ・アーティライエ
『名は体を表す』と言いますし……
いえ、きっと何か深い事情が有るに違いありません
とは言え、その悪行は許されるものではないのですけれど

しばし頭をひねってみましたけれど、この状況を無事に切り抜ける方法は思い浮かびませんでした
ならば怪我はたどり着いた後に癒す、と覚悟を決めて
神に祈りを捧げ、怯える心を励ましダッシュです
波や水面に移る影に出来る限り気を配り
第六感にも頼って、とにかく直撃をもらわないよう走り抜けます

後が変に騒がしいようですけれど、今は気にしている暇はないです
雷が落ちたような轟音が鳴り響いたとか
偉丈夫さんが巨大魚を三叉の鉾で貫いてるのが見えたようなとか
たぶん気のせい……です

アドリブ歓迎です



●「その時、不思議な事が起こった」のバーゲンセール
「うぅん……『名は体を表す』と言いますし……いえ、きっと何か深い事情が有るに違いありません」
 ソナタは一人、支配者であるキャプテン・ロゥリィについて考えていた。
 出来れば戦わずに済めばいいとも思っているのだろうか。
 とは言え、相手はコンキスタドール……つまりはオブリビオンであり、蹂躙と殺戮こそが奴らの存在意義だ。
 当然話し合いで済むような相手では無いのだが、やはりソナタは穏便を第一に考えてしまうようである。
 ……天使かな?
「とは言え、その悪行は許されるものではないのですけれど……」
 ……そう、年に一度、自分の趣味の範囲の少女を生贄として差し出すと言う掟を島の住民に強要しているのだ。
 それで引き裂かれた家族は決して少なくはないし、差し出された少女達がどんな扱いを受けたのかも分からない。
 犠牲となった者は戻らないが、今なら今日連れて行かれた少女達は助けられるはずなのだ。

「だからこそ、行くしかありません……」
 ……さて、どう進んだ物かと考える。
 仲間のように派手に戦うと言う事が得意ではない彼女からすれば、この状況を無事に切り抜ける手がどうしても出てこない。
 なら、多少のダメージは覚悟の上で一気に進むしかなさそうだ。
「わたしと連れ去られた人達にご加護を……」
 いつものように神に祈りを捧げ、すぅっと息を吸い込むとソナタが走り出した。
 バシャアッと水中から姿を見せる度、恐怖で心が張り裂けそうになるが……
(大丈夫、わたしなら出来る……絶対に、助けてみせる……!)
 自らを励まし、奮い立たせる事で前へと進んでいく。
 波や水面に移る影に出来る限り気を配り、少しでも被害を抑えられるようにするが巨大魚は無慈悲に攻撃を仕掛けてくる。
 それで少し足がフラつくも、ソナタは全力で避け、走った。
 だが突然顔を出した巨大魚が水流弾を放とうとする!
 ……危ない!
 その時、轟音と共に閃光が巨大魚を貫いた。
 続いて現れた巨大魚が大口を開けて飛び込んでくる!
 今度は避けられないか!?
 だが、次の瞬間海中から偉丈夫(?)が現れ三叉の鉾で巨大魚を貫いた。
「い、今のは……? いえ、気のせいですよね……」
 何か見えたような気がしたが、気のせいで済ませるソナタ。
 いや、それでいいのか……

 結局その後も、命の危機が迫る度に不思議な現象や、彼女を助けてくれる何かが現れ、巨大魚を次々と返り討ちにしていき、奇跡的に無傷で桟橋を渡りきる事が出来た。
「な、何か後が変に騒がしいようでしたけど……きっと神のご加護のおかげ、ですよね」
 海賊船まで目と鼻の先と言うところに辿り着いた後、ソナタは後ろを一度振り返る。
 ……なお、何度となく彼女を救っていた現象は突入前に『神罰(カミノイトシゴ)』を無意識に発動させており、危機が迫る度に神々が報復を与えていたのが理由であった。
 神への祈りが通じたのであろう……多分、きっと、おそらく。

成功 🔵​🔵​🔴​

雨咲・ケイ
なるほど、実にこの世界らしいオブリビオンですね。
食用ではないようですが、サクッと三枚におろしちゃいましょう。
……刺身が食べたくなってきました。

【POW】で行動します。

時間がなかったので女装したままですが問題ありません。
チャイナドレスは戦闘服です。(力説)

敵が水中に潜っているうちは【第六感】であたりを付け
ルミナスからサイキックエナジーを【2回攻撃】で放ち
あぶり出していきましょう。

敵が体当たりを仕掛けてきたら【グラップル】でいなし
【カウンター】で【魔斬りの刃】を放ってスライスしちゃいましょう。
これがチャイナドレスの力です。(力説)

アドリブ・共闘歓迎です。



●チャイナドレスの ちからって すげー!
「なるほど、実にこの世界らしいオブリビオンですね」
 初手で巨大魚の奇襲をかわしたケイが冷静に相手を評する。
 ここは海と海賊の世界であるグリードオーシャン……魚類オブリビオンの存在は海の世界らしいと言えば確かにそうであろう。
 因みにケイは女装したままである。
 少女達を奪還してすぐ、マーケットにいる仲間のサポートへとそのまま駆けつけたため、着替えている余裕が無かったようだ。
 ……それにしても、結構似合っていますねその衣装。
「食用ではないようですが、サクッと三枚におろしちゃいましょう……刺身が食べたくなってきました」
 あの、それはこいつらを食べたいと言う事でいいんでしょうかね!?
 いやまあ、中には食べられるであろうオブリビオンもいるそうですし、その気になれば……イケるんですかね、これ?
 ……それはともかく、油断は禁物である。
 奴らはいつどこからでも、水中から襲いかかってくるはずだ。
 水中で蠢く影が少しずつ、こちらに迫ってくるのが桟橋の上から見える。
 図体の大きな相手、気を抜けば余裕で喰われてしまうのは間違いない。

「さて、まずはこちらから軽く仕掛けるとしましょう」
 ケイはブレスレット型のサイキックエナジー増幅器『ルミナス』から水中へ向け、サイコキャノンを放つ。
 第六感でおおよそのアタリは付けてあるので、もし当たればそれでよし。
 例え当たらずとも、牽制攻撃になるで問題はない。
 水中に一条の閃光が走り、攻撃の機会を伺っていたであろう巨大魚の群れが散らばる。
 向こうから先手を打たれるとは思わず、放たれたサイコキャノンが軽く当たった事に腹を立てた巨大魚の一匹が猛然と水面へ向けて泳ぎ出す。
 当然、ケイも向こうがやってくる事は把握済みであり、彼の思惑に見事引っかかったと言ってもいいだろう。
 ……それにしても、ここもその格好で戦うんですね?
「チャイナドレスは戦闘服です」
 アッハイ、確かに戦闘服です。
 などとやってる間にも、巨大魚の影は少しずつ大きくなり……
「ギシャアァァァァァッ!!」
 バシャアッと水中から出ると同時に頭部の体当たりを仕掛けてきた。
 鉄甲船ですら易々と穴を開けてしまうであろう強烈な一撃、喰らえばそのまま鋭い牙で噛み砕かれ、エサとなってしまうのは避けられまい。
「かかりましたね。ただ突っ込んでくるだけの攻撃など……」
 ケイは冷静に体当たりを見切り、グラップルで軽く受け流す。
 それと同時にカウンターで『魔斬りの刃(マキリノヤイバ)』を横薙ぎに一閃!
 氣をのせた光輝く手刀は、巨大魚を易々と両断し海の中へ。
 まるでどこかのサメ映画のごとく、飛び込んできたサメをチェーンソーで真っ二つにするかのようなバッサリぶりである。
「これがチャイナドレスの力です」
 えっ、決めセリフそれなんです!?
 しかし、巨大魚の群れはまだまだ健在だ。
「まだまだ来ますね。では、邪妖を斬り裂く刃……その身で味わうといいでしょう」
 そう言うと、再び手刀を構える姿勢を取る。
 その後も次々と襲い来る巨大魚を切り裂き、その場を無事に突破する事に成功したケイ。
 チャイナドレスの力は確かであった(多分)。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
確かに、随分と巨大なお魚さんですねぇ。
島の方々が怖がるのも解りますぅ。

此処で飛行が可能かは微妙ですが、可能であれば『FBS』を四肢に嵌めて飛行、難しければ「移動のブースター」に使用し「桟橋の根元」迄一気に移動して距離をとりましょう。
相手は必ず「水の中」から来ますから、配置で「相手の攻めて来る方向」を絞れば『FRS』『FSS』による迎撃は容易ですぅ。

その上で【乳焔海】を使用して広域を[範囲攻撃]、『波動』の触れたお魚さんを焼きますねぇ。
姿を見せた相手は当然、生態系上、お魚さん達の影響で他の生物を巻き込む心配が薄いなら、この周囲の海域ごと炎で包み[料理]、塩茹でにしますぅ。



●後にこの巨大魚は島民もおいしくいただいたそうです
「確かに、随分と巨大なお魚さんですねぇ。島の方々が怖がるのも解りますぅ」
 さて、るこるの言う島民が怖がると言う部分は実に正しいと言えるだろう。
 巨大魚はこの港跡地(兼ロゥリィのアジト)を縄張りとしており、近付かなければ何も無いがうっかり船で入ろう物なら侵入者と見なされ、容赦なく襲い掛かってくる。
 そんな話をマーケットの海賊から聞かされていたのだ。
 漁に出た際、波に流されてこの近隣に近付いてしまったがために巨大魚に喰われてしまった、と言う島民も少なくはないのだとか。
「……やっぱり、食べたら美味しいんでしょうかぁ?」
 って、君もか! 君もなのか!!
 まああれだけデカければ、さぞ身も詰まっていそうな感じはしますけども!
「うーん……試してみましょうかぁ?」
 えー、好きにしてください……倒せばOKですし、これ。

「地の利は向こうにありますけど、そうとなれば距離を取るべきですよねぇ」
 ガッションションとるこるが四肢に『FBS』を装着し、低空飛行モードに移行。
 その後で一旦、桟橋の根元まで後退する。
 水中からでも巨大魚はるこるの姿を把握しているのか、彼女を追いかけるように水中の影も動くのが見えた。
(相手は必ず『水の中』から来ますから、配置で『相手の攻めて来る方向』を絞れば……)
 るこるの思惑通り水中から巨大魚が飛び出し、体当たりを仕掛けてくる。
「ギシャアァァァーーーッ!」
「はい残念、そう来るのは分かってましたよぉ」
 飛び込んでくる巨大魚の頭に、展開していた『FRS』と『FSS』が容赦無く火を噴いた。
 そのまま強力な砲撃を一斉に浴びせられると、突撃してきた巨大魚はバラバラになって四散し、海の中へと落ちていく。
 そこへ更に一匹、二匹と飛び込んでくるが結果は同じ事であった。
 これこそまさに、飛んで火に入るなんとやらである。
 ……が、相手側も学習したのか定かではないが、仲間が何匹かやられたのを見たからか、水中で急に大人しくなる。
「むむっ、こっちに来なくなりましたねぇ。でもそれで終わりだと思ったら大間違い、ですよぉ」
 空中で静止した状態から、るこるを中心に何かの光を放射状に放つ。
 それは水中であっても関係なく、巨大魚を貫く。
 すると、突然海中の一部……いや、巨大魚が燃え出した。
 不可解な現象に水中で燃えながらバタバタと悶絶する巨大魚……これこそが『豊乳女神の加護・乳焔海(チチガミサマノカゴ・シロキホノオノウミ)』であり、放たれた女神の波動が命中すれば例え水中であっても、女神の力を帯びた乳白色の炎が相手を焼き尽くすのである。
「そう言えば、この海域は巨大魚しかいないと聞きましたっけ。なら、ちょうどいいですねぇ」
 元いた魚は食われて駆逐されてしまったかどうかは分からないが、この近隣にいる魚類は巨大魚だけ。
 ならば、駆除してしまおうと考えたようだ。
「ここはシンプルに塩茹でにしましょうねぇ」
 攻撃範囲はある程度限定されるが、海域ごと炎で包み無情にもボイルされる。
 その少し後で、丁度いい具合に仕上がった巨大魚が何匹も浮かんできた。
「それでは、ちょっと味見を……おー、これはなかなかですねぇ」
 右腕に嵌めた『FBS』で軽く身を切り一口食べたるこるはその出来に満足げだ。
 まあ、やってる事はなんともえげつないですが!

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴァリージオ・ホークアイ
(アドリブ絡み歓迎)
(※お眼鏡にかなうレディに会えず、ちょっと気が立ってる?)
…あ?何だよ邪魔しやがって。
…俺はちょっと、テメェらの主人に用が有るんだよ。
退きな、さもなきゃ…三枚におろすぞコラ(殺気)

と言った所で、魚が言葉を理解する訳が無いので
【サムライブレイド】を抜く。
先の攻撃を見た所、初撃が重要を見て、残像を放って惑わして
飛びついてきた所で、鱗を殴って【鎧砕き】しながら
牙を斬り折る、それでも未だ暴れるってんなら
身の線に沿って【UC】で斬り下ろし、無駄な骨は抜き取って
三枚おろしの完成。

…喰えるかは知らんし、俺はこんなのに用はないんだよ。
(だけど手下が勝手に回収していく)


ハロ・シエラ
本命の前にまずは魚ですか。
前菜と言うには大きすぎますが、魚は魚。
刃物に勝てる道理はありません。

とは言う物の大きいですし、相手は水中。
なるべくならば桟橋の上で体当たりしてくるのを待ち、それを【カウンター】のユーベルコードで斬ってしまいたい所ですね。
一刀両断とは行かずとも、口を開けて噛み付いてくるのならば上顎から頭部にかけてを【部位破壊】して無力化したいですね。
数も多いので【第六感】で飛び出してくるタイミングを察知しながら戦う事になるでしょう。
もし橋から落とされて【水中戦】となれば【水中機動】で姿勢を保ち、やはりカウンターのユーベルコードですれ違い様に三枚に下ろしてやりましょう。



●巨大魚は意外と美味しいと言う噂らしいです
 突然ではあるが、ヴァリージオは気が立っていた。
 もしかしたらマーケットでお眼鏡にかなうレディが売られていたかもしれない、と言う僅かな希望があったようだが……結果は前回の通りである。
 そんな彼の前に現れた巨大魚は、ある意味不運であったと言えよう。
「……あ? 何だよ邪魔しやがって。……俺はちょっと、テメェらの主人に用が有るんだよ」
 コワイ!
 善良な市民であれば、震え上がる事間違いなしの恫喝だ。
「退きな、さもなきゃ……三枚におろすぞコラ」
 殺気全開である。
 ……とは言え魚に人の言葉が通じる訳でもないし、仮に通じたとしても主人であるロゥリィの言いつけ……即ち、侵入者を通すなと言う命令は忠実に守っていただろうが。
「本命の前にまずは魚ですか」
 一方、ハロは巨大魚を前に警戒態勢を取る。
 海賊から人食いザメよりもデカい魚をロゥリィは飼っていると言う話を聞いて、最初は噂に尾ひれが付いただけなのではとも思った。
 しかし実際に遭遇して、それは単なる噂ではなかった事を知る。
 ……と、言うかデカすぎであった。
「前菜と言うには大きすぎますが、魚は魚。刃物に勝てる道理はありません」
 ハロは愛用の『リトルフォックス』を抜く。
 なるほど、文字通り捌いてしまおうと言う訳なのか。
 それはさながら、サムライエンパイアの板前のようなノリでもある。
「俺と似たような得物を使うんだな」
 その横でヴァリージオがメガリスでもある『妖刃・【露霧(ツユギリ)】』を手にする。
 奇しくも剣豪同士の二人が並び立ち、巨大魚を迎え撃つ事となったようだ。
「そうなりますね。ならば、まとめて斬り捨ててやるとしましょう」
「あぁ、どうにもこいつらを叩き斬ってやらねえと俺の気が済まねぇからな」
 それぞれが得物を構え、迎え撃つ体勢を取る。
 向こうが動かない事に気付いた巨大魚はチャンスとばかりに水中から飛び出してこようと水中から上がってくるのが見えた。
 激突まで、あと数秒……一体どう立ち回るのであろうか!?

(……先の奇襲を見るに、初撃が重要と見た。であれば、だ)
 精神を集中し、ヴァリージオは相手の攻撃に備える。
 父親から叩き込まれた剣術の教えは体に嫌と言うほど染み付いている。
 その時、水中から巨大魚が大口を開けて体当たりを放ってくる。
 勢いのある体当たりが桟橋の上にいたヴァリージオに叩き込まれた。
 このままでは鋭い牙で噛み砕かれてしまうのは間違いないだろう。
 ……しかし、その噛み砕き攻撃は虚しく空を切った。
「残念だったな、そいつぁ残像だ。それに、てめぇとやり合うのは初めてじゃねえんだよ!」
 残像に惑わされて横っ腹を見せた巨大魚に、ヴァリージオが素早く踏み込む。
 以前にも巨大魚と交戦した経験がある事から、ある程度は相手の特性と言う物が理解出来ているつもりだ。
「おらァッ!」
 峰打ちによる鎧砕きで硬い鱗を打ち砕く。
 そこから更に返す刃で一閃すると、牙を斬り折った。
 タツジン!
 これほどの素早い動作を行うには相当な修練が必要とされるであろう。
「ギシャシャァァァ!?」
 思わぬ攻撃をもらい、痛みで悶絶する巨大魚。
 まだ暴れてくるであろう事を予測したヴァリージオは確実にトドメを刺すべく、更に追撃する。
「せめて苦しまずに……逝きな!」
 剣刃一閃!
 身の線に沿って斬り下ろし、更には骨も抜き取るような斬撃が疾風のごとく走る!
 その恐ろしい速さは素人にはとても見切れるような物ではなく、巨大魚は空中でバラバラに斬り捨てられた。
 まずは一匹目を叩き斬ったが、水中から更なる影が迫ってくるのが見える。
「チッ、まだ来やがるか……いいぜ、それなら斬られてえ奴からかかってきな」
 まだまだ戦いは続く事を予感しつつも、ヴァリージオは不敵に笑ってみせた。

「あの腕……やりますね。頼もしいものです」
 ヴァリージオの早業に感心しつつ、ハロも巨大魚を迎え撃つ体勢でいた。
 彼女も相手が飛び込んできたと同時にバッサリとやるつもりのようだが、初めて戦う相手であるが故どれほどの物かは実際に戦わない限り分からない。
 こうして集中して待っている間にも、水中からの影が少しずつ大きくなっていき……
「ギシャァァァーッ!」
 ザバッと水中から巨体が飛び出て激しい体当たりをハロへと仕掛ける。
 そのタイミングと同時に、すれ違い様にカウンターで剣刃一閃を叩き込む、が。
(浅い……一刀両断にはもう少し相手の具合を確かめる必要がありますね)
 斬撃は鱗の一部を切り裂いただけだったらしく、手応えは薄い。
 飛び込んできた巨大魚は水飛沫を上げて水中に潜ると高速で反転。
 再度ハロを狙うべく、大口を開けて飛び出してきた。
 今度は噛み砕くつもりらしい……危ない!
「ならばこれで……どうです」
 痛烈な峰打ちが巨大魚の上顎から頭部にかけて叩き込まれる!
 ミシッと何かが砕けたような手応えが感じられ、頭部の骨と牙の一部が砕け散ったようだ。
 これで仕留めたかは分からないが、まずは一匹。
 しかし、巨大魚の猛攻は続き……遂には桟橋が飛び込みで破壊されると、ハロは水中に落ちてしまう。
 水中は奴らのホームとも呼べる状況、さすがにこれは危険か!?
「今ので大体分かりました。そして、私を水中でなら仕留められると思ったようですが……」
 慌てる事なく水中機動で姿勢を保つと、猛然と突っ込んでくる巨大魚にハロはカウンターで剣刃一閃を叩き込む。
 戦う中で斬るべきポイントも把握した事で、巨大魚は水中で三枚おろしとなった。
「私に水中戦は出来ないだろうと侮ったようですね」
 まるでオーシャンハンターのように水中でも難なく動けるハロに恐れる物はない。
 更にやってくる巨大魚を次々と斬り捨てていくのに、そう時間はかからなかった。

「ヴァリージオさん、ご無事だったようですね」
 ハロが水中から上がってきた頃には、ヴァリージオの方も終わっていたようだ。
「当たり前だ、俺を誰だと思ってやがる。しっかり斬り捨ててやったぜ」
 桟橋の上にはいくつかの巨大魚だった物が散らばっていた。
 その切り口は実に鮮やかな物である。
「ったく……喰えるかは知らんし、俺はこんなのに用はないんだよ」
「では急いで目的地へ向かいましょう」
「ああ、言われるまでもねえ」
 静かになった桟橋の上を走り出し、目的の海賊船へと二人は向かう。
 ……その途中、ハロが一度後ろを振り返るとヴァリージオの手下と思しき女海賊が桟橋上の巨大魚の残骸を回収している様子が見えた。
 なんやかんやあっても、保存食として回収しておこうと言う部下の考えなのか。
 それを気にする事もなく、目的地へと再度走り出すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミネルバ・レストー
ますますイヤな予感しかしないけど、仕事は最後までやりとげなきゃ
邪魔をするなら容赦はしない、まったくだわ
わたしたちの前に立ちふさがったことを、後悔させてあげる

【永久凍土に乙女よ踊れ】発動、戦場をわたしに有利なように塗りかえる
海水はそうそう凍らないそうだけど
逆に凍った建物や樹木の陰に隠れれば、攻撃はやり過ごせるわね
物陰からこちらも反撃よ
「全力魔法」で生み出した氷の「属性攻撃」は
氷柱となって一匹ずつ確実に仕留めてやるんだから
この寒さで動きが鈍ってればなおいいわね、狙いがつけやすいわ

…ねえ、もしかしてわたし、寒さについて来れない味方を
巻き込んでないかしら
この技使う時、そこだけ気を遣うのよね…


久遠・翔
アドリブ絡み歓迎



で、出遅れたと服を少し整えながら登場
前回の少女達と何かあったけど色々聞かないで欲しいっす…

とりあえず次は…魚っすか?
あー…水中に潜られたら俺では追えませんね…カナヅチなんで(苦笑)
でも、水中にいるなら…と手を海水の中に入れて選択UC起動し電撃を流します
感電して出てきた魚に対してUC無限の錬成で作成した槍などの武具を魚の急所に刺していきます
引き上げた後は持っている十徳包丁で魚をその場で解体していきます
魚市場でのバイトが生きたっすねーと次々解体してUC小さな庭園世界から呼んだ使役獣達にそのまま持って行ってもらうっす

…まぁ、食い扶持増えちゃったんでね?
何で皆帰らなかったんだろう…?



●凍ったりしたり痺れたりしたりしろ
「ますますイヤな予感しかしないけど、仕事は最後までやりとげなきゃ」
 ネリーさん、イヤな予感と言うのは果たして何に対してなんでしょうかね?
 やっぱり、マーケットで聞いたロゥリィの噂あれこれなんですかね……?
 と、そこへ……
「や、やっと追いついたっす……遅れて申し訳ないっす」
 遅れて翔が息を切らせてやってきた。
 何かあったのか、服を少しだけ整えたらしい。
「翔? ちょっと、遅かったじゃないの。どこで何してたのよ?」
「色々聞かないで欲しいっす……」
 ジト目で尋ねるネリーに対して、何か恥ずかしそうな様子で答える翔。
 前回救出した少女達に(無意識で誘惑やらをしたせいか)気に入られて、そこで色々あったらしい。
 そこで何があったのかについては、多分色々とNGな内容になるかもしれないので割愛と言う事で一つ。
「とりあえず次は……魚っすか?」
「そうよ、聞いてた以上にデカかったわ」
「あー……水中に潜られたら俺では追えませんね……カナヅチなんで」
 たはは、と苦笑する翔。
 むしろそれで落ちたら色々と大変な事になるのは目に見えているだろう。
「先に言うけど落ちないでよ? 魚のエサになるところなんて見たくないんだからね」
「ぜ、善処するっす……」
「さて、それじゃあ準備の方はいいかしら?」
「こいつらを何とかしなきゃ進めないって事っすよね……え、ええ、やるっすよ」
 若干ネリーのペースに押されているような感もあるが、翔も覚悟を決める。
 いずれにせよ、巨大魚を倒さない限りロゥリィのところへは行けないのだ。

「邪魔をするなら容赦はしない、まったくだわ。わたしたちの前に立ちふさがったことを、後悔させてあげる」
 ネリーは冷たい視線を水中へと向ける。
 一部の嗜好の人間からすれば、半ばご褒美めいた物だ。
「ここはわたしの世界、誰が一緒について来られるかしら?」
 その言葉の後、温暖な気候であったはずのこの地域の景色が一変。
 降り止まぬ冷たく白い雪が降り、戦場全体が氷雪地帯と同じ環境に変化した。
 ネリーの『永久凍土に乙女よ踊れ(ソング・オブ・ツンドラ)』である。
 かつてネットゲームで召喚魔法や氷魔法の使い手として活躍していたアバターであるが故に、この手の魔法はお手の物と言う事なのだろう。
「え、なんで急に雪が……さ、寒いっす……」
 しかし、翔は突然やってきた寒さに身を震わせてしまう。
 もっともこんな状況になっては、ごく当たり前の反応と言ってもいいだろうが……
「巨大魚を倒すためよ、ちょっとだけ我慢しなさい」
 口ではそう言うネリーだが、実際に寒さに馴染めない仲間を巻き込んでしまうと言う事に少しだけ負い目を感じているようだ。
 当然ながら、この気候の変化に巨大魚もたまらず水中から顔を出すと、水流弾で攻撃をしてくる。
 仮に直撃すれば負傷も避けられない水流弾ではあったが、凍り付いた樹木や難破した船がそれを防ぐ盾となった。
「よし、上手くやりすごせているわね。なら反撃と行くわ」
 物陰に隠れつつもネリーが全力魔法を使い、飛び出した巨大魚に氷の属性攻撃を放つ。
 魔法で海水が突然氷柱に変化すると、その中に巨大魚がピキーンと閉じ込められて氷漬けとなる。
「おお、凄いっす! なら、俺も負けてられないっすね」
 寒さに震えつつも、ネリーの戦いぶりを賞賛する翔も動き出す。
「相手が水中にいるなら……はうっ?! つ、冷たすぎるっす……」
 海水に手を入れる翔であったが、ネリーの発動させたフィールド効果で海水の温度も激減していたらしい。
「で、でもやるっすよ……ぬんっ!」
 翔は『雷光一閃(セツナ)』を起動し、全身を紫電と自身のオーラで覆う。
 その状態から、水中へと電撃を……流す!
 ある意味広範囲なマップ兵器とも言える攻撃を行う事で巨大魚がまとめて感電し、たまらず水中から飛び出してくるのを見逃さない。
「狙い通りっす! てえぃっ!」
 そこから『無限の錬成(カリモノノコウヤ)』を使い、作成した槍などを巨大魚の急所へと射出し、貫いていった。
 グッドハンティング!
 それはさながらオーシャンハンターが素潜りで銛を使い、魚を狩るかのような勢いである。
 たった一刺しだけで得物を仕留めると言う事は、素人には到底マネ出来る物ではないだろう。
 こうして翔の作成した槍が、感電により次々と飛び出した巨大魚を的確に貫き仕留めていく様子をネリーはしっかり見ていた。
「……ふぅん、少しはやるじゃない。なら、このままどんどん狩っていくわよ」
「了解っすよ。今なら負ける気はしないっす! ……凄く寒いっすけど」
「そこは我慢しなさい」
 我慢だけでなんとかしろと言うのには、ちょっと厳しい環境ではないですかね?
 それはともかくとして、ネリーは氷の魔法で。
 翔は電撃と作成した槍の投擲などで少しずつ巨大魚の数を減らしていく。
「この寒さで動きが鈍ってるから、狙いも付けやすいわね」
「今なら狩り放題っすね。俺の方も寒さで辛いっすけど……」
「もうすぐ終わるわ、もうすぐ」
 ネリーの言葉通り、襲い来る巨大魚の数もあと少しと言うところまで来ていた。
 一匹、また一匹と倒していき、水中からやってくる巨大魚の存在は確認されなくなった。
 最早この辺りには氷柱のオブジェとなった巨大魚に、槍で急所を貫かれて水上に浮かんでいる巨大魚だけしか残っていない。
「ふぅ……片付いたようね。環境を元に戻したらあの海賊船へ急ぐわよ」
「あ、その前にちょっとだけ……」
 と言うと、翔は狩った巨大魚を手持ちの十徳包丁で慣れた手付きで捌いて、次々と切り身や刺身に変えていく。
「やー、魚市場でのバイトが生きたっすねー」
「……あなた、何やってるの?」
「食べられる物は有効活用するっす。捨てるには勿体無いっすからね」
 いや、君も巨大魚を食う気なのか……
 まああんだけデカいなら、さぞ身が詰まってるかもしれないけど。
 などと言っている間にも翔の小物入れバックから使役獣達が出てくると、切り身などを持たせて再び小さな庭園世界へと戻っていく。
「……まぁ、食い扶持増えちゃったんでね?」
「はいはい。それが済んだのなら、早く行くわよ」
 そう言うユーベルコードなのだろうとネリーが理解すると、急かすように言うと桟橋を早歩きで進み出した。
「あ、待って欲しいっすー……。それにしても、何で皆帰らなかったんだろう……?」
 と、翔は少女達が避難している小物入れバックのストラップを不思議そうに見る。
 ……うん、それは君が無意識に誘惑とかしたせいだと思うよ!

●巨大魚の群れを抜けて
 こうして猟兵達は番犬的存在である巨大魚の群れを突破した。
 桟橋の先には目的地の海賊船が、キャプテン・ロゥリィが待ち構えているだろう。
 果たして奴は何者なのか、そしてその真意とは!?
 ……まあ十中八九ロクでもない変態なのは間違いないだろうけど!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『略奪船長』

POW   :    海賊船長の長口上
自身の【敵を見下して悦に入り虚栄心を満たす欲求】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    海賊流戦闘術
いま戦っている対象に有効な【取り回しの良い片手武器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    彷徨える海賊船
【ボロボロのカトラス】で武装した【ガリガリに痩せた奴隷戦闘員】の幽霊をレベル×5体乗せた【朽ち果てた海賊船】を召喚する。

イラスト:山庫

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●遭遇、変態紳士キャプテン・ロゥリィ
 ……何か外が騒がしい。
 真っ先にそれに気付いたのは、この船へと連れてこられたロゥリィのお気に入りの少女達であった。
 もしかしたら……誰かが助けに来てくれた?
 そんなありもしないが僅かな希望を胸に、少女達は部屋を出て船上へと向かう。
 同じ頃、猟兵達が船に上がり込むと同時に船室から出てきた少女達と鉢合わせになった。
「えっ、見知らぬ人達……!? お、お願いです、助けてください!」
 どうやらまだ無事である事に一行はまず安堵する。
 そう言えば連れて行かれた少女達はロゥリィに『とても言葉には出来ないひどい仕打ちを受けている』と言う噂を聞いたが……
 その点で一つ、気になるところに気付いた。
 何故か、少女達は皆メイド服のような物を着ていたのだ。
 これは一体……?

「なんだなんだ、騒がしいじゃねえかオイ……お前ら持ち場から離れるなって言っただろ、お仕置きされてえのか……ったく」
 その時であった。
 背後から気怠い声と共に一人の男の声が聞こえる。
 間違いない、おそらくは奴こそが……キャプテン・ロゥリィだろう。
「……って、なんだァ? 誰だてめえら……ん、いや、待てよ? 海中にはペットがいたはずだが……てめえら、何者だ!?」
 見知らぬ侵入者の存在に気付いたロゥリィがここにいる事に気付き、ただならぬ顔になる。
 お前が連れ去った少女にひどい事をする前に生きて返してもらう、そう告げると……
「オイオイオイ、てめえら何か勘違いしてねえか? 確かに俺の趣味でこの島の娘っ子達は毎年差し出す掟は作ったが、ひどい事をしているたぁ心外だな」
 ……一体それはどう言う事だ?
「俺ァな……この子達に身の回りの世話をしてもらってんだよ。それこそ一人前のメイドとして育てるために、一から教育してんのさ」
 えっ、なにそれ。
 いや、それこそ身の回りの世話と偽って、裏であんな事やこんな事をしているのでは?
「せんわ! ノータッチこそ俺の掟! 可愛い少女はただ愛でるに限るって言うだろうが!!」
 ……どうやら変態は変態でも割と紳士な方であったらしい。
 やってる事は大分アレだし許されないけれど!
「まあ、何年かして賞味期限の切れた奴ァ他の島にメイドとして売りに出してるがな。……いいか、少女ってのは(ピー)歳を過ぎたらもう化石なんだよ。今この瞬間が一番輝いてんだぜェ?」
 前言撤回、やはりこいつは生かしておいちゃいけない奴だ!
 キャプテン・ロゥリィ殺すべし、慈悲は無い!!
火土金水・明
「ここに、女性の敵が居ると聞きました。見逃すわけにはいきません。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【先制攻撃】で【高速詠唱】し【破魔】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【フレイムランス】を【範囲攻撃】にして、『略奪船長』と召喚されたもの達を巻き込めるようにして【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●ヒーロー登場!
 キャプテン・ロゥリィの(しょうもない)目的と真意は分かった。
 それぞれが思うところは色々とあるだろうが、共通点は一つ。
 こいつは絶対に生かしておいてはいけないと言う事である。
「ここに、女性の敵が居ると聞きました。見逃すわけにはいきません」
 どこからともなく聞こえてくる声。
 おそらくここにいる者ではないようだが、一体どこから!?
「ぬう、誰だ!? そしてどこに……のおぉぉぉぉぉッ!?」
 ロゥリィが言い終える前、頭上から炎の槍……フレイムランスが無数に降り注ぐ!
 咄嗟の反応でそれをかわし、飛んできた方向に視線を向けると……

「避けましたか。多少の強さとあると見ました」
 海賊船のマストの辺りに、当の本人が直立していた。
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)、その人である。
 どうやら、いつの間にか援軍としてやってきたようだ。
「てめえ、こいつらの仲間か!? それにしてもいつの間にあんな場所に……」
「うら若き少女を差し出すと言う非情の掟、今日ここで終わらせてみせましょう」
「しゃらくせえ! それに俺がただ一人だけで戦うつもりとでも思ったか!?」
 ピィーと指笛を吹くと、猟兵達のいる海賊船の真横から朽ち果てた海賊船が海の底より現れる。
 ボロボロのカトラスで武装したガリガリに痩せた奴隷戦闘員が朽ち果てた海賊船に乗っており、その数はかなりの物である。
「ハッハァ! どうだ、これが俺の手下よ。これでも勝てるとでも思っ……」
 ロゥリィが言い終える前に、明がマストから飛び降りると同時に炎の槍が雨のごとく降り注ぐ!
 今度は広範囲を狙った二回攻撃、その数は更に多い。
 炎の弾幕を前に奴隷戦闘員の幾人かが巻き込まれ、燃え尽きていった。
「ウッギャーッ!? い、言い終える前に撃ってくるな、卑怯だぞッ!?」
「悪党にかける情けはありません。お覚悟を」
「クソッ、てめえら……やれ、やれーッ!」
 ロゥリィが指示を出すと同時に、奴隷戦闘員がカトラスを手に明へと殺到する。
 戦闘力自体はそこまででもないが、何分数が多いのはアドバンテージとなるだろう。
 しかし、そんな状況であっても明は冷静であった。
「残念、それは残像です」
 振り下ろされたカトラスが彼女の体を斬りつけたが、それは残像であった。
 更に、空中浮遊でアクロバティックな動きを見せつつ、フレイムランスを次々と放ち襲いくる奴隷戦闘員を撃ち抜いていく。
「少しでも、ダメージを与えて次の方に……そこです!」
 僅かな隙間を狙うかのように、炎の槍をロゥリィへ向けて放つ。
 その何本かは見事ヒットし、最初の一撃を叩き込む事に成功した。
「く、くそ……ッ! なめやがって……」
 ダメージはまだ軽いが、相手が油断ならぬ相手である事を認識せざるを得なくなったのは確かだ。
 ……その戦いの様子を見ていた少女達は、まさに待ち望んだ救世主が現れた事に心の中で歓喜していたと言う。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
まあ、そういう意味で手出しされていなかったのは良かったですぅ。
だからと言って許されるわけでは無いですが。

性格的にしないとは思いますが、人質等を取られても困りますし、此処は虚栄心を満たされる前に速攻ですねぇ。
【耀衣舞】を使用、『光の結界』を纏った『光速の突撃』を繰返し(=[2回攻撃])、船長さんを吹き飛ばしましょう。
出来れば「甲板」等の「開けた&少女達の居ない場所」に追い込みたいですねぇ。
成功したら、後はマスト程の高さを飛行し[砲撃]の雨を降らせますぅ。

それでも虚栄心を満たそうとしたら、にっこり笑って「少女達が居なければ、船ごと沈めた方が早かったのですが」と告げますねぇ。



●ロゥリィ、大いにビビるの巻
 実際のところ、ロゥリィ本人と遭遇するまでは残虐非道な輩であると言う印象が猟兵達の間であったのは間違いない。
 己の欲望を満たすために、とても言葉に出来ないような事をしていたと思っていたからだ。
(まあ、そういう意味で手出しされていなかったのは良かったですぅ)
 るこるは内心ホッとしていた。
 もっとも、手出しされていた場合は絶対に伏字が入ったりするような事態になって、色々とマズい事になっていただろうが。
(だからと言って許されるわけでは無いですが)
 ですよねー。
「チッ、俺とした事が油断を……ん、んん?」
 ロゥリィが立ち上がると、るこるを何か品定めをするような目で見てきた。
 彼女の服装に反応したのであろうか?
「あぁ……惜しいな、実に惜しい」
「何が、ですかぁ?」
「てめえの事だよ。見た目は合格……なんだが、育つとこが育ちすぎちまってらァ。その無駄な脂肪が」
 なんたる事か、ロゥリィは貧乳専だった……それにしても、なんとシツレイな発言!
 しかしそれに怒りを覚えたのか、ズドンとFRSの砲撃がロゥリィの真横を掠めた。

「あらぁ、残念。外れちゃいましたぁ」
「て、てめえ、危ねえだろ!?」
「とりあえず、生かしておいちゃいけない事だけは分かりましたぁ」
 るこるは笑顔であった。
 ただし、その裏には明確な怒りとか殺意めいた物が……コワイ!
「ま、まあいい。てめえは少なくとも高く売れる、いたぶった上でじっくり……」
 その瞬間、凄まじい速度でるこるが突進してくるのが見えた。
 あまりにも早いその一撃は『豊乳女神の加護・耀衣舞(チチガミサマノカゴ・カガヤクコロモノマイ)』、加護による『光の結界』を纏い、光速で行う突進である。
「グワーーーッ!?」
 その速度に反応しきれず、ロゥリィが召喚し横付けされた海賊船の甲板へと弾き飛ばされる。
 船室から出て、こちらを見ている少女達を巻き込まないと言う意味もある行動だ。
 実際に人質に取られると言う可能性も考えていたが、少なくともロゥリィはそのような行動に出るつもりは無かったらしい。
「こいつ……見た目より素早い!? さすがにここまで来るだけの事は……」
 突進で弾き飛ばされるも、甲板上を転がりどうにか着地するロゥリィ。
「まだまだ終わりませんよぉ」
 その声は上から聞こえてきた。
 四肢にFBSを装着し、浮遊状態となったるこるがマストの辺りの高さまで浮かび上がり……展開していたFRSを一斉に向ける。
「情け無用、ファイアーですぅ!」
 そのまま砲撃の雨が降り注ぐ!
 無慈悲な攻撃が甲板を貫き、船上に残っていた奴隷戦闘員とロゥリィをまとめて吹き飛ばした。
「グワーーーッ!?」
 そして、元いた海賊船へと吹き飛ばされる事で戻ってきたロゥリィ。
 虚栄心を満たすどころではなく、先手を打たれまくって見せ場がまるで無い!
「む、無茶苦茶だ……なんなんだ、てめえは……」
「少女達が居なければ、船ごと沈めた方が早かったのですが」
 その言葉に、ロゥリィはおろか戦いの様子を見ていた少女達も恐怖する。
 あの人はやると言ったらやる人だと本能で察していたからであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ
なるほど、そう言う物ですか。
まぁ想定よりはマシな結末になりそうですね。
だからと言って見逃そうとは思えませんけど。

とにかく、敵が出してくる武器を見極めなければ。
まずは剣を抜き、剣士である事を敵に印象付けます。
そうすれば剣士に有効な武器を出してくるでしょう。
近接武器ならともかく飛び道具かも知れませんし、回避の為に【第六感】を働かせておきましょう。
敵の感じからして、すぐに仕留めにかかっては来ない気がしますね。
こちらを見下す為に余裕を見せそうです。
その隙を突いて、ユーベルコードで生み出した雷を【投擲】して【だまし討ち】します。
油断させる為なら、勝てないと思った振りをして一旦剣を捨てる事も考えましょう。



●ロゥリィ、騙されるの巻
「なるほど、そう言う物ですか。まぁ想定よりはマシな結末になりそうですね」
 事の顛末を聞いたハロの感想はこうであった。
 最悪、少女達が無言の帰還を果たす事になる覚悟も少しはしていたのだろう。
 そう言う意味では、相手が変態紳士で良かったと言うべきか……いや、全然良くないが。
「だからと言って見逃そうとは思えませんけど」
 そう、こいつが生きている限り、この島のふざけた掟は続くのだ。
 万一生き延びたとしても、他の島で同じような事をまたやらかすに違いない。
 悪いロリコン滅するべしだ。
「む、むぅッ!? この幼い声は!!」
 ふと、ハロの独り言を耳にしたロゥリィがガバッと起き上がる。
 ……何か嫌な予感がしてきましたね?
「……お、おおッ! 素晴らしいッ! 俺好みの少女が目の前に!!」
 あっ、やっぱり。
 そう言えばハロは13歳、ロゥリィの射程範囲内ジャストでしたね。
「おいてめえ、俺のメイドになれ。一から教育してやんぞォ?」
「嫌です」
「即答ッ!? なら、力ずくで従わせてやろうじゃあねえか……グヘヘ」
 その笑い方は性犯罪者のそれであった。
 おまわりさん、へんたいふしんしゃさんです!

「そうはいきません。ここであなたは終わりです」
 ハロはリトルフォックスを抜く。
 それを見て、ロゥリィの目付きが変わった。
「……ほーう、剣術の心得はあると見た。なら、見せてもらおうじゃあねえか!」
 ロゥリィはショートソードを召喚し、右手に持つ。
 相手が小さい事、取り回しの効く武器として選んだようだ。
 ……そして剣と剣による打ち合いが始まる。
 金属同士が激しくぶつかり合い、火花が飛び散る真剣勝負だ。
 ハロは隠し武器として拳銃か何かを忍ばせているのではと警戒もしたが、少なくともそのような卑怯な手は取らないつもりか、相手はショートソード一本のままだった。
「ハハッ、小さいながらに腕は立つなァ! ますます俺の物にしたくなったぜェ!」
 相手が自分好みの少女と言う事もあってか、ロゥリィはすぐに仕留めにはかからない。
 それどころか、見下す余裕すら見せているようだ。
(ですが、その慢心を利用すれば……)
 一太刀叩き込める、ハロはそこを狙うようだ。
「俺もてめえを傷付けるのは本意じゃねえ、降参した方が身のためだぜェ?」
 その言葉を聞きハロは構えを解くと、静かにリトルフォックスをその場に投げ捨てた。
「どうやら認めるしかない、ようですね……」
「そうだ、俺の物になるのなら傷付けやしねえ。約束するぜ?」
「分かり……ました」
 戦意を失い降参するハロ。
 それを見てロゥリィがニヤリと笑う。
「よーし、決まりだな! てめえは今から俺の……」
「物にはなりません……!」
 ハロは『窮地を穿つ秘匿の雷剣(ライトニングダガーオブインヴァージョン)』で生み出した雷の短刀を手にすると、それをロゥリィに投擲し……右腕に突き刺さった!
 だまし討ち!
「て、てめえ……騙したなッ!?」
「卑怯な手を使うのは本意ではありませんが、悪党なら話は別です」
 激痛に悶絶し、ショートソードを落とすロゥリィ。
 そこへハロが一度投げ捨てたリトルフォックスを拾い、形勢が逆転する。
 まさか自分が騙されるとは思わず、悔しそうな顔を見せるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雨咲・ケイ
……はい、酷い話だという事はわかりました。
そして人身売買を行っている事に変わりはありませんからね。
あなたを骸の海に送る事に躊躇いはありません。

【SPD】で行動します。

引き続きチャイナドレスを着用していますが、
戦闘服なので(略)
とりあえず少女達には適当な場所に避難していただきましょう。
敵に対しては【グラップル】で接近戦を仕掛けていきます。
敵がUCを使用したら【盾受け】と【オーラ防御】を併用してガード。

そして「武器の使い方を間違っていませんか?なんかおかしいですよ?」
と適当な事を言って揺さぶりをかけ【シールドバッシュ】で【カウンター】を仕掛けて隙を作り、更に【退魔集氣法】を使用して一気に攻めます。



●ロゥリィ、また騙されるの巻
「……はい、酷い話だという事はわかりました」
 ケイが一連の流れに軽く頭を抑えつつ言った。
 酷い話と言うのは今更言うまでもなく、主にこいつの動機や手口である。
「そして人身売買を行っている事に変わりはありませんからね。あなたを骸の海に送る事に躊躇いはありません」
「フン、賞味期限切れになったところで殺されないだけマシと思……む、むッ!?」
 ケイを見るロゥリィの目が鋭く光った。
 あ、あれ……この流れって……?
「てめ、てめえ……なんて扇情的な格好してやがんだ! どこの島の衣装だ!」
「おや、知らないのですか? これは戦闘服ですよ」
 二人とも何か色々滅茶苦茶な事を言ってるんですが!?
 因みに、ケイはマーケットの時から女装のまま。
 その身長と見た目で海賊を騙してきた事もあってか、ロゥリィもケイが少女だと思い込んでいるようで。
「……よーし、気に入った! てめえも俺の物にしてやんぜェ!」
 ……こんな事を言い出す始末である。
 ダメだこいつ、早くなんとかしないと……
「ならばやってみるといいでしょう。出来る物なら、ですが」
 ケイが構えを取る。
 武器は持たず、盾と拳のみで戦うつもりのようだ。
「ステゴロか、面白ェ!」
 ロゥリィは格闘戦用のアイアンクローを召喚し、右手に装着する。
 こんな輩でも、戦闘術の心得は色々とあるらしい。
「皆さんはもう少し下がっていてください。巻き込まれるやもしれませんからね」
 ケイに言われると、少女達は頷いて今いる場所から離れていく。
 そして双方が改めて構えると、格闘戦が始まった。

 ……ケイの拳とロゥリィのアイアンクローが何度となく交錯する。
 素早い攻撃の応酬で、双方とも様子を見るような感じで戦っていく。
 ロゥリィがナックルガードで受ければ、ケイは盾とオーラ防御でクローの攻撃を防ぎ、まさに一進一退の攻防が繰り広げられていた。
「口だけかと思ったが、なかなかやるなァ!」
「なるほど、確かに出来るようですね」
 一旦距離を開けると、双方ともその力量を認める。
(ですが、癖は掴めました。どうやら変にプライドだけは高いはず。なら……)
 一呼吸置いて、ケイがこう言った。
「武器の使い方を間違っていませんか? なんかおかしいですよ?」
「なッ!? お、俺の戦闘術は無敵だ、ふざけた事をぬかすなーッ!」
 激昂し、ロゥリィが踏み込んでくる。
 やはりここぞと言う時の煽りに弱いようだ。
 怒りに任せたアイアンクローが宙を切り裂くが、その隙を狙いケイは盾で殴り付けカウンターを仕掛ける。
「あがッ!?」
 顎にクリーンヒットし、ロゥリィがよろめく。
「はあぁぁぁぁッ!」
 ケイが退魔集氣法(タイマシュウキホウ)を使い、その身に闘氣を纏うとマシンガンのごとき勢いで拳の乱打を衝撃波と共に叩き込む!
 最早こうなってはガードするどころの話ではなく、猛ラッシュを叩き込まれロゥリィが〆の一撃を食らい、船室の壁に叩き付けられた。
「ぐっはァッ!?」
「ほら、言った通りでしょう? 爪の使い方が間違っていたと」
「そ、そんなバカな事が……ぐぐ」
「……あぁ、それともう一つ。私は、男ですからね?」
「んなッ!?」
 その言葉を受け、ロゥリィが唖然とする。
 少女と思い込んでいた相手が実は男だった事、そして自分の目が節穴だったと言う事に衝撃を受けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ソナタ・アーティライエ
皆様が無事でよかったです
(悲しき宿命をその名に刻み歪んでしまった人物ではなかったのですね)
あらぬ誤解をしていた事を素直に謝ります

思っていたような酷い人物ではなかった事もあって
戦闘にはいっそう消極的
少女たちが怪我をしないよう守りつつ
召喚された海賊船の足止めに回りたいと思います

祈りに応え展開されるのは、光の紗幕で形作られる大輪の花のような迷宮
かつては自覚も無かったこの加護も
幾度かの経験を経て権能へと昇華し自在に操れるようになりました
薄い紗幕のようにも見える空間の断絶は身を守る障壁となり
オーロラの如く変化し続ける迷宮を海賊船が踏破する事は至難です
申し訳ありませんが……そのまま彷徨い続けてもらいます


清里・柚月
ほ ほ う(びきびき。柚月27歳は怒っている!)
何にしても生かしちゃおけない存在だってのは理解したよ…生まれてきたコトを後悔させたげようじゃない!

Reviathanを呼び出して搭乗、機銃での【制圧射撃】やビーム砲での【砲撃】で攻撃。
敵も何か武器を取り出して対抗してくるだろうけど、射撃とかでわたしを直接狙ってくるなら【ジャンプ】の立体機動も織り交ぜて狙いを絞らせない。そのまま敵の真上に着地して【重量攻撃】を食らわせるのもアリかな。
チャンスと見たらコード・アナイアレイター発動、機銃やビーム砲に加えてミサイル(【誘導弾】)も加えた【一斉発射】で総攻撃を食らわすよ。



●特大の地雷を踏み抜いた男
「ああ、皆様が無事でよかったです……」
 ソナタがまず、無事であった少女達を見てホッとする。
 戦闘中にも関わらず、まず他人の身を案じる辺りやっぱり天使かな?
(悲しき宿命をその名に刻み歪んでしまった人物ではなかったのですね)
 などとも思うソナタであるが……いやあ、それはどうなんですかね?
 しかし、その一方でまさに仁王がごとき憤怒の表情を浮かべている者もいた。
「ほ ほ う」
 柚月さんにじゅうななさいである。
 ロゥリィの発言が逆鱗に触れたのは最早言うまでもない。
「(ピー)歳を過ぎたらもう化石? ふふ、ふふふ……言ってくれるじゃない」
「あ、あの……柚月様?」
「止めないで、ソナタちゃん。アレは女の……女の敵なのよ」
 柚月のあまりにも怖い雰囲気を感じ取ったソナタがそれとなく止めに入ろうとするが、こうなっては気が済むまで止められないだろう。
「いえ、その前にですね……」
 ソナタがロゥリィに向き直ると。
「島の方々の話を聞いて、わたしはあらぬ誤解をしていました。途轍もなく残虐な行いをしていると。……ですが、実際には身の回りのお世話をさせていただけだったのですね」
「お、おうともよ?」
「ですので、まずその誤解していた事について、謝らせてください」
 ぺこり、とソナタが頭を下げる。
 ……いやあの、こいつ倒すべき敵なんですけどもね!?
 こんな状況なのにそんな事で謝るとか、やっぱり天使なのでは?
「ちょっと、ソナタちゃん!? あいつは曲りなりにも人身売買をしていたのよ!?」
「あ、はい。それについては許されない事ですけれど……」
「ここで倒さないと、また来年も犠牲者が出ちゃうのよ?」
 正論でなんとか軌道修正を試みる柚月。
 先生、大変っすね……
「な、なんなんだこいつら……? いや、それはいいとしてだ」
 さすがにロゥリィもこの状況には困惑せざるを得ないようだが、すぐに海賊の目に戻る。
「まず俺に頭を下げたそこのてめえ。……いい、実にいい。慎ましさと気品が感じられて実に俺好みだ! 気に入った!」
「えっ? あ、ありがとうござい、ます……?」
 と、ソナタに言い(ご丁寧にソナタ本人も反応したのを見た上で)、続いて柚月の方を見ると。
「そして隣のてめえ……あー、あと十五年くらい若ければ……」
「よし殺りましょう、すぐに殺りましょう! 何にしても生かしちゃおけない存在だってのは理解したよ……生まれてきたコトを後悔させたげようじゃない!」
 柚月、キレる!
 いやまあそりゃこんな発言したらそうもなるよね……

「それで、どうするつもり? ご自慢の部下はほとんどやられちゃったようだけど?」
 柚月が横目で横付けされた、召喚した朽ち果てた海賊船を見る。
 先の戦闘で奴隷戦闘員はやられた上にダメージが嵩み、大破寸前であった。
「確かに部下共はやられたがな……」
 再度ロゥリィが指笛を吹くと今度は少し離れた位置の水底から、新たな朽ち果てた海賊船が浮かび上がってきた。
「俺が生きている限りこいつは何度でも呼び出せるのさ!」
 勝ち誇ったように笑うロゥリィ、そして新たに現れた朽ち果てた海賊船の上には奴隷戦闘員が大勢乗り込んでいた。
「さあどうする、こいつらを前にそれでもやる気か、アァン?」
「く、厄介ね……」
 このままロゥリィだけを狙っていても、いずれ戦闘員が乗り込んできてしまう。
 逆に戦闘員を減らそうにも、ロゥリィが邪魔をしてくるだろう。
 そこへ、ソナタが意を決したかのように前に出た。
「このままでは無事だった方々も巻き込まれてしまいます。なら、わたしはわたしの出来る事を……迷える子羊、導く御手……」
 ソナタが祈りを捧げると、この海域に光の紗幕で形作られる大輪の花のような迷宮が展開される。
 かつては自覚も無かったこの加護も、幾度かの経験を経て権能へと昇華し自在に操れるようになった『天の回廊(ソウテンニサクイチリンノハナ)』だ。
「何をしたのかは知らねえが、そんな物で……」
 そんな紗幕など突き抜けて……否、出来ない!
 海賊船はあらぬ方向へと出て行き、そのまま迷宮内を彷徨う。
 薄い紗幕のようにも見える空間の断絶は身を守る障壁となり、オーロラの如く変化し続ける迷宮を海賊船が踏破する事は至難であった。
 まさに戦う事を好まないソナタらしいやり方である。
「なッ、てめえらどこへ行きやがる!? こっちだ、こっちに……」
「申し訳ありませんが……そのまま彷徨い続けてもらいます」
 これで頼みの綱であった部下はこちらに来る事は出来なくなった。
 つまり、こうなってしまえば……
「凄いわ、ソナタちゃん! よし、これなら……!」
 柚月は全環境適応の二足歩行戦闘機械型メガリス『"Reviathan"』をその場に召喚し、華麗に飛び乗る。
「ぬぅッ、メガリスか!? だが、そんなデカブツ……!」
「先手必勝よ!」
 Reviathanが機銃で早々に制圧射撃を行い、矢継ぎ早にビーム砲で砲撃する。
 もちろん、今乗っている船を沈めないように気を付けて射撃する事は忘れない。
「うおおぉぉぉッ!?」
 猛攻を受け、慌ててロゥリィが回避行動に出る。
 予想以上の火力に舌を巻いているようだ。
「く、くそ……どこの島にあったメガリスだ、ありゃあ! だが、俺だって!」
 ロゥリィはブラスターを召喚し、右手に持つと反撃として射撃する。
 しかし柚月はそれを立体機動を織り交ぜて飛ぶと、一気にロゥリィの真上目掛けて重量攻撃として着地した。
「ぐぎゃッ!?」
 さすがに船にダメージを与えないレベルの着地なので、殺人的な威力は無いがそれでも大質量による攻撃は非常に痛い。
「今がチャンス、コード・アナイアレイター起動! 徹底的にやっちゃうんだからね!」
 そこから素早く飛び退き、射程範囲内に収めると『Code-MA/AX"Annihilator"(コード・アナイアレイター)』を起動。
 照準をロックすると、もんどりうって倒れているロゥリィへ向けて一斉発射による総攻撃を叩き込んだ。
「ぬ、ぬおおぉぉぉーーーッ!?」
 海賊船のマストを消し飛ばすほどの火力を受け、ロゥリィはボロ雑巾のごとく吹き飛んだ。
 もちろん、ここでトドメを刺す事も出来たが……
「ふぅ、ちょっとだけスッキリしたわ。でも、これで終わりだと思わない事ね!」
 柚月が頭から甲板に突き刺さったロゥリィへビシッと宣告する。
 そう、奴の地獄はまだまだ終わらないのだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミネルバ・レストー
…どこかの誰かさんとは真っ反対ね、連れてくればよかった
でも、ベクトルが違うだけで変態ってことには変わりないわね
まあいいわ、サクッと片付けて早くお茶にしましょ

【全ては静寂の白へ】で氷竜を喚んで
満ちあふれる「威厳」でこう命令するの
「しばらく表に出てなかったから身体がなまってるでしょ、
あいつらを軽くしばいて少し慣らしてらっしゃいな」
うちのクソダサドラゴンったらチョロいから
「言いくるめ」るならこの程度で充分なのよ

船乗りたちを、有り得ざる雪と氷の世界に誘いなさい
何なら凍らせて海の底に沈めてもいいわ

…でも、ロゥリィをどうこうする前に
捕らわれた女の子たちの意見も聞いてみたいわね
こいつをどうして欲しいか、って



●まさに「こおりのむすめ」
「……どこかの誰かさんとは真っ反対ね、連れてくればよかった」
 ネリーがボソっと一言。
 その誰かとは、お付き合いしていると言う禄郎さんの事なんでしょうかね?
「でも、ベクトルが違うだけで変態ってことには変わりないわね。……まあいいわ、サクッと片付けて早くお茶にしましょ」
「お、おごご……またも素敵少女の気配が……」
 甲板に突き刺さった状態から抜け出すと、ロゥリィはネリーをじっと見る。
「……ほう、ほほう、気の強そうな娘じゃねえか。いいぜ、実にいい。そう言う奴は”分からせたくなる”からなァ」
 案の定、ネリーをロックオンしたロゥリィがニヤリと笑う。
 ホント、こいつブレないっすね……

「さて、それじゃあじっくり”分からせて”やらねえとなァ」
 ロゥリィは三度指笛を吹いて、今度は近くに朽ちた海賊船を呼び出す。
 今度は邪魔されずに横付けさせようと言うつもりのようだ。
「はぁ、吐き気すら覚えるわね……出なさい、クソダサドラゴン」
 まるでロゥリィを豚を見るような目で一瞥すると、ネリーは『全ては静寂の白へ(ホワイト・ミュート)』を使い、首飾りからアイストルネードドラゴンを召喚する。
 これほどの強さを持った存在を従わせるには、相応の交渉が必要となるが……
「しばらく表に出てなかったから身体がなまってるでしょ、あいつらを軽くしばいて少し慣らしてらっしゃいな」
 満ちあふれる威厳で堂々と命ずる。
 すると、あっさり言いくるめられてしまったか勇ましい鳴き声を上げて、朽ちた海賊船へ向けて飛翔していった。
 朽ちた海賊船上でたむろっていた奴隷戦闘員達は、やってくるアイストルネードドラゴンに気付きボロボロのカトラスを振り上げて威嚇するが……当然その行為は無意味であった。
 吐き出されたアイスブレスは容赦なく奴隷戦闘員を氷付けにしていく。
「お、おおぉぉおい!? ちょっと待てなんなんだありゃあッ!?」
 部下が瞬殺されていく様子を見て狼狽するロゥリィ。
「船乗りたちを、有り得ざる雪と氷の世界に誘いなさい。何なら凍らせて海の底に沈めてもいいわ」
 その様子を慈悲の欠片すらないように言い放つネリー。
 そうしている間にも反撃を試みようとしていた奴隷戦闘員は一人、また一人と氷のオブジェと化し、ついには朽ちた海賊船そのものが大きな氷像となり海の底へと沈む。
 ターゲットを沈めたアイストルネードドラゴンは標的をロゥリィに変え、アイスブレスを放つと仰向けに倒れて手足が凍り付いた。
「アーッ!? う、動けねえッ!?」
「さて……こいつをどうこうする前に、捕らわれた女の子たちの意見も聞いてみたいわね」
 そう言うと、ネリーは海賊船後方の辺りに退避していた少女達を手招きする。
「こいつをどうして欲しい?」
 ネリーが少女達に尋ねてみた。
「えっ? ここに連れて来られて怖い事されるかと思ったら、そうでもなくて……」
「でも私達、ずっと帰れなくて……苦しんでたから……」
「……倍返し! 倍返しにして! それで私達を帰して!!」
 ある意味、死の宣告が告げられてロゥリィの顔が青ざめた。
「だ、そうよ。……やりなさい」
 ネリーはアイストルネードドラゴンに命ずると、死なない程度に雪と氷の力で痛めつける。
「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ーーーッ!? サムゥイ!? サムゥゥゥゥイッ!?」
 そしてロゥリィが責め苦を受け、絶叫がこの場に鳴り響いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

久遠・翔
アドリブ絡み歓迎


うわー…変態な上に凝り固まった思考の人っすね
こりゃ敵作るわー…あと、俺男っすよ?

行き遅れの化石呼ばわりされても中身男っすから特にイラつかない
言い返さないから悦に入ってどんどん言いまくるロゥリィの周囲に何故か呼んだわけでもないのに召喚門が円を描くように現れる!
だが、悦に入ったロゥリィ気づかず…気づいた時には青筋浮かべ怖い笑顔の全使役獣(全員女性)がお出迎え

あ、あのー…俺呼んでいな「主様は黙っていてください」アッ、ハイ
そこから先は戦いと言うかリンチと言うか…何か起きているみたいっすけど使役獣が壁になって見えないが叫びは聞こえる…

ちなみに奴隷の子達の説得は…「今忙しいので」アッ、ハイ



●ボコれ!女の敵!
「うわー……変態な上に凝り固まった思考の人っすね。こりゃ敵作るわー……」
 いや、仰る通りで。
 相変わらずドン引き不可避な発言と無礼極まりない暴言が何度も奴の口から出たのだから、そう思うのは当然である。
「ま、まだだ……俺はまだ死なねえぞ」
 だが猟兵達からあれだけボコボコにされても、ロゥリィはまだ立てるようだ。
 まるでゴキブリのような生命力と言うべきか。
「そのしぶとさだけは凄いと言えるっすけど……あと、俺男っすよ?」
「アァン? てめえが男だぁ? どっからどう見ても女じゃねえか! しかも脱いだら凄い奴と見たぜ!」
 ロゥリィのドスケベアイが的確に翔の体の秘密を見抜く。
 節穴な部分もあったが、どうやら分かるところは分かる……らしい。
「まあ、あいにくそっちは俺の趣味じゃねえがな。見た目はいいが惜しいなァ」
「そ、それは別にいいっす! それよりも、なんで(ピー)歳から先は化石だなんてひどい事を言うんすか?」
「なんだ、聞きてえのか? ……いいか、時の流れってなぁ残酷なモンなんだ」

 ……そこから、ロゥリィの勝手な理論がズラーッと語られていく。
 やれ可愛かった少女が数年経っただけでひどく劣化しただの、やれ歳を食っただけの女は見るも無残なバケモノだの、おそらくはロゥリィがまだ人(?)であった頃の実体験を長々と、しかも極めて失礼な発言も込みでベラベラと喋っていった。
(うわー……共感出来る部分がまるで無いっすね、これ……)
 翔は当然のようにその話を聞いてドン引きしていた。
「だからこそ、女ってのは若くて美しい頃の年齢に限るって……」
「さっきから聞いていれば好き勝手言ってくれるじゃない?」
「アイエッ!? な、誰だ!?」
 背後からの声に驚いたロゥリィが慌てて後ろを向くと……
 そこには笑顔で青筋を立てた使役獣(全員女性の姿)が何人もいた。
 ロゥリィは自己語りで全く気付いてなかったが、足元の周辺に何故か召喚門が円を描くように現れ、そこから使役獣が大集合していたのだ!
 因みに、これは翔の『使役獣召喚(シエキジュウショウカン)』で本来出てくる物なのだが……
「あ、あのー……俺呼んでいな」
「主様は黙っていてください」
「アッハイ」
 いや、なんで出てきたんすかね?
「そんなの俺が知りたいっす……」
 ホントにナンデ?
 ……などとやっている間にも、後ろの方では使役獣達の怒声とロゥリィの悲鳴が聞こえてくる。
 そしてその集団リンチの現場を少女達に見せないようにか、一人が壁となって立ち塞がっている。
「ちなみに奴隷の子達の説得は……」
「今忙しいので」
「アッハイ」
 女性に頭が上がらない翔は、何も出来なかった。
 否、結果的には(何故か現れた)使役獣達がロゥリィを囲んで棒で叩く事になっていたので、一応はダメージを与える事は出来ているのだが。
「この女の敵め! 私達の怒りを思い知りなさい!」
「アーッ! アバーッ!」
 殴る、蹴る!
「女はいつだって宝石なのよ! それを、あんな言い方で!」
「グワーッ! グワーッ!」
 殴る、蹴る!
「このロリコンめ、この、このっ!」
「やめろ蹴るな踏むなーッ! ふ、踏まれるならせめて少女達にィーッ!!」
 殴る、蹴る、そして踏む!
 ……いや、お前そっちの趣味もあったんかい。
「最後までドン引きっす……」
 ホントにね。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴァリージオ・ホークアイ
(アドリブ絡み歓迎)
(※ロウリィの爆弾発言が逆鱗に触れました)
…テメェ今なんて言った、オンナが成人したら化石だと…?
(肯定したりしたら、プッツーンしまして)
よし決定、テメェはサメの餌行きだ…いっぺん死んでこいやコラ!!

テメェ如きに振るうなんて錆でも勿体ないと思うぐらいだが
【堕ちたメガリスは、メガリスを以て葬る】の礼儀に沿って
メガリス・【露霧】を構えながら【UC】を発動。
仲間の怒り…以上に、自分のロウリィに対する不倶戴天の怒り
を全身全霊に込めて攻撃回数増加。

怒ってる割りには戦い方は真面っぽくて、突貫しつつも
相手の攻撃を【残像】で躱しながら、【カウンター】気味の
抜刀で斬り伏せる。


七那原・望
変態死すべき慈悲はなし、なのです!

【果実変性・ウィッシーズアリス】でねこさん達を召喚なのです。

化石なんかじゃないのです。そのくらいの年になると身長が伸びて大人のレディになれるのです!……身長……身長……いいなー……

気を取り直して、とにかく!大事な子供達を奪って、いらなくなったら売って、そうやってみんなの未来を奪うなんて許さないのです!

【動物使い】でねこさん達に【全力魔法】の幻覚を。

惑わされてさえいればこちらに有効な武器であっても上手く活かせないでしょう。
とはいえ怖いので、オラトリオを使って武器の奪取を試みます。

成功したら船にダメージが入らないように気を付けながら魔法でトドメを。



●キャプテン・ロゥリィの最期
 ここまでボコボコにされて満身創痍のロゥリィは最早勝ち目が無いと判断した。
 この島を捨てる事になるのは惜しいが、何とか生き延びる事が出来れば流れ着いた島を改めて征服し、再起する事が出来る。
(な、なんとか逃げ延びねえと……)
 そのためにはどうするかを必死で考えていたのだが、そんな悪いロリコンを許さない影がまだ二人、残っていた。
「変態死すべき慈悲はなし、なのです!」
 バシッと宣言する望。
 そして、もう一人……怒れる修羅がいた。
「……テメェ今なんて言った、オンナが成人したら化石だと……?」
 ヴァリージオである。
 先の失礼極まりない発言の数々を聞き、いよいよもってその怒りは爆発寸前だ!
「ヘ、ヘッ……さっきも言ったろ、経年劣化した女なんざブロンズ以下の価値もねえ石コロってな……」
「よし決定、テメェはサメの餌行きだ……いっぺん死んでこいやコラ!!」
 その発言がトドメとなり、ヴァリージオがついにブチギレた。
 せめて誤魔化す発言か何かをした後に逃走を図れば、少しは生き延びられる可能性はあったやもしれないが……やはり趣味が相容れぬ者同士、こうなるのは宿命なのか。
「化石なんかじゃないのです。そのくらいの年になると身長が伸びて大人のレディになれるのです!」
 ぷんぷんと言った様子で望が反論する。
 やはり例の化石発言には我慢ならなかったようだ。
「おう、そうだそうだ! もっと言ってやれ!」
 分かってるじゃないかとばかりにヴァリージオも加勢する。
「……身長……身長……いいなー……」
 が、途端にしょぼんとした様子で声のトーンが落ちてしまう。
 やっぱりそこは気にするところなんですね……って、いや君まだ7歳じゃないか。
 成長期はこれからだよ、きっと、うん!
「あー……望も何年かすれば、きっと素敵なレディになるぜ。俺が保障する」
「……! で、ですよね!」
 ナイスフォロー、ヴァリージオ!
 その言葉に調子を取り戻したか、望が続ける。
「気を取り直して、とにかく! 大事な子供達を奪って、いらなくなったら売って、そうやってみんなの未来を奪うなんて許さないのです!」
「テメェだけは生かしちゃおけねえ……特に女を愚弄する奴ァなッ!」
 二人の怒れる猟兵を前に、ロゥリィもいよいよ覚悟を決める。
「なら、てめえらを何とかした上で逃げ延びてやらァ!」
 いよいよ、最後の戦いが始まろうとしていた。
 さあ、この悪しき変態ロリコン野郎にトドメを刺す時だ!

「さあ、ねこさん達……出番なのです!」
 望が『果実変性・ウィッシーズアリス(トランス・ウィッシーズアリス)』を使い、その場に四匹の猫を呼び出す。
 おおよそ、この戦場には場違いとも思える猫を前にロゥリィが面食らう。
「は? オイオイ、なんだこいつら……俺をおちょくってるのか?」
 とは言え、それで油断をしてボコられた事は忘れていない。
 その事を自ら戒め、取り回しの良い武器……ブラスターを召喚し、右手に持つ。
「動物いじめは趣味じゃあねえが、射的なら好きだぜェ!」
 バシュッと言う音と共に、召喚した猫へ向け赤い光弾が射出される。
 光弾は猫の胴体に当たったが、その直後にふわりと姿を消してしまう。
「なッ!? くそ、どうなってやがる!?」
 更にブラスターを連射し、命中したように見えて猫が掻き消えていった。
 この四匹の猫は極めて強力な魔法と幻覚を操る事が出来、ロゥリィはその幻覚にまんまと引っかかってしまっていたのである。
「ふふふ、どれも幻覚なのです。……とは言え、流れ弾は怖いので……」
 望の足元から影が伸びていくと、スゥッとロゥリィの背後に回る。
「まさか、幻覚か!? だが、どこかに本体が……」
 油断した隙を見せたと同時に、その影はロゥリィの右手からブラスターを奪取する。
 影の正体は『影園・オラトリオ』と呼ばれるあらゆる姿に変化する、実体のあるエクルベージュ色の影であった。
 幻覚に気を取られ、足元からの接近に気付かなかったロゥリィの迂闊!
「しまったッ!? 武器が……」
「ヴァリージオさん、今なのです!」
 その隙を見て、素早く望が呼びかける。
「テメェ如きに振るうなんて錆でも勿体ないと思うぐらいだが、『堕ちたメガリスは、メガリスを以て葬る』……その礼儀に沿って」
 ヴァリージオが露霧を構え、海賊王の怒りで全身に沸き上がるオーラを纏う。
 仲間の怒り、そして何よりも女を軽視するロゥリィへの不倶戴天の怒りが原動力となり……
「……テメェをブッタ斬るッ!」
 そのまま飛び掛り、ロゥリィへ向けて斬りかかる!
「ぬおぉッ!?」
 咄嗟にカトラスで受け止めるロゥリィであったが、ヴァリージオの猛攻はまだ始まったばかりだ。
 怒りに身を任せた連続攻撃はまさに暴風雨が如し勢い!
 素人ならば受けきれずに速攻で細切れとなるのがオチであるが、ロゥリィの腕はそれをどうにか凌いでいく。
「ぐ、こいつ、なんて無茶苦茶な攻撃をしてきやがる!?」
「どうしたどうしたァ! 受けるだけで精一杯かオラァッ!?」
「な、なめるなーッ!」
 どうにか僅かな攻撃の隙を狙い、反撃を試みる。
 カトラスの刃に手応えが来たのをロゥリィは感じた。
「取ったァーッ!」
「……バカが、残像だ」
 しかしカウンターで逆に斬られていた事に気付かず、ロゥリィの胸部がバッサリ切り裂かれていた。
 そして、流血!
「……が、がはァッ!?」
「よォし、望……トドメと行こうぜ!」
「はいなのです!」
 望が猫達に命ずると、マジックミサイルやファイアボールを次々と放つ。
 大ダメージを受けて回避もままならず、ロゥリィはそれを避ける事すら出来ない。
「グワアババババババーーーッ!?」
「更に大きいの、行くのです! ……変態吹き飛べ、なの、ですー!」
 そこへ船を巻き込まない範囲でエクスプロージョンを叩き込み、大きく上へと吹き飛ばす。
 そのまま重力に引かれ、ロゥリィが落下していく。
 その下にはヴァリージオが抜刀状態で待ち受けていた!
「これで……終わりだッ!」
 トドメにヴァリージオが一閃すると、ロゥリィは真っ二つに両断されて海へと落ちていく。
 最後の言葉を口にする事も出来ないまま、この島を支配していた諸悪の根源はついに討たれたのであった。

 ……こうして海賊船内にいた少女達は全て救出され、ニューダブリン島には平和が戻ってきた。
 島の制圧の際に皆殺しにされた人々、そして他の島に売られた少女達は戻ってくる事はないが、生贄などと言うふざけた掟で苦しめられる人が出る事はもう二度とないだろう。
 しかし、この世界には猟兵の助けを求める島が多く存在している。
 今回解放したのは、その一つでしかないのだ……

 ――さあ猟兵よ、次なる航海へ出発だ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年04月03日


挿絵イラスト