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女海賊の矜持

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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「キャプテン・ブラッディ・ローズ、いや、ローズ! あんたはもうお仕舞いさ!」
 強い日差しが照り付ける中、穏やかな波に揺られる船の上に声が響き渡る。
 その様相は険悪そのもの。
 何故ならばその船の縁には多くの人影が縛り上げられ、船の外へと今まさに突き落とされんとしていたからだ。
 それは正しく絶体絶命――船の外には落ちてくるであろう獲物を求め、巨大な背ビレが波を切る。
「見苦しい真似は止めな! リリー!」
 その中で一際存在感を放つはいかにも女傑といった様相の女海賊。
 しかし彼女もまた、絶体絶命。
 その命を握る女海賊は、愉快でたまらないとばかりに笑い声をあげる。
「どちらが見苦しいのさ! それにあたしはもうただのリリーじゃない! あたしはキャプテン・ブラッディ・リリーさ!」

 短く別れを告げた女海賊は人々を海へと突き落とす。
 己が力を示すように。
 己が力に溺れるように。


「新たな世界が現れたな」
 グリモアベースで猟兵たちに語りかけるのは、普段とは違い海に似合った服装に身を包んだテオ・イェラキ(雄々しき蛮族・f00426)だ。
 テオによれば事件はグリードオーシャンに浮かぶ島の一つ――どこかアックス&ウィザーズを思わせる自然豊かな島、占拠している海賊団の名前に因み、ローズ海賊団の島と呼ばれる島で起こるという。

「どうやらそこの海賊団に所属するものがオブリビオン、あの世界ではコンキスタドールだったか、に襲われるようだ」
 件のコンキスタドールはユーベルコードに覚醒するためのメガリスの試練に失敗し、オブリビオンと化した様子。
 そのコンキスタドールと化した海賊自身は救えないものの、処刑されようとしている海賊たちだけでも救って欲しいとのことだ。

「海賊たちの安全を確保するため、まずは周囲を泳ぐ敵に対処して欲しい……敵の首魁はその次だ」
 いきなり首魁を相手取っていては、その間に多数の死者が出てしまう。
 まずは海に突き落とされた者たちが死なないよう、対処が必要だろう。
 彼女らの安全を確保した後に、首魁のコンキスタドールを倒すことで、被害を最小限にすることが可能なはずだ。

「事件を解決すれば、きっと海賊たちも歓迎してくれることだろう。異文化交流は後でゆっくりと楽しめば良い……その為にも、人命救助を宜しく頼む」
 赤きグリモア猟兵は猟兵たちを送り出す。
 彼らの安全を願い、礼をとりながら。


きみはる

 海世界に心打たれながらさっそく依頼を出させて頂きました、きみはるです。
 新しい船出を一緒に楽しみましょう。

 一章プレイングは順次募集致します。
 二章以降につきましては、MSページにて連絡させて頂きます。

 また、申し訳御座いませんが、キャパの問題にて全採用出来ない場合が御座います。
 大変申し訳御座いませんが、ご了承下さい。
 また、新世界の新キャラさんは出来れば優遇したいとは考えております。
 しかしながら、さすがに初期ステシではイメージが掴みきれませんので、皆さんの想いを書きなぐって下さい。
 プレイングの中身もこんなキャラです! という自己紹介で埋まっているくらいでもかまいません。

 それでは、宜しくお願いします。
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第1章 集団戦 『巨大魚』

POW   :    船喰らい
【頭部からの体当たり】が命中した対象に対し、高威力高命中の【鋭い牙によるかみ砕き攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    テイルフィンインパクト
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    ウォータービーム
レベル×5本の【海水】属性の【水流弾】を放つ。

イラスト:傘魚

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セゲル・スヴェアボルグ
要はあの魚どもを捌いちまえばいいんだろう?
食えるかどうかは知らんがな。
まぁ、せっかくなら焼き魚と洒落こもうじゃねぇか。
体当たりしてくるんなら、それに合わせてまとめてブレスで焼いてやろう。
最悪体当たりが当たっても噛みつかれるだけだろう?
まぁ、割と鋭い歯をしてるみたいだが、気にするほどでもないな。
むしろ、血の匂いでこっちによって来るってんなら、焼き払いやすくなるし、海賊どもの囮になれるしで一石二鳥だろう。
最も、俺の鱗と甲殻を食い千切ろうなんざ、100年早いって話だがな。
おっとそうだ。焼けた魚は宴会用にでも取っておくか。
いずれにしても、コンキスタドールを倒してからだがな。




「要はあの魚どもを捌いちまえばいいんだろう?……食えるかどうかは知らんがな」
 セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)は今まさに海中へと突き落とされていく海賊たちを見つめ、言葉をこぼす。
 新しい世界に新しい種族、そして新しい敵。
 何だかんだと様々な出来事が起きていくが、猟兵であるセゲルがやるべきことは変わらない。
 オブリビオンを討つ――つまりは、この魚どもを捌いてやればいいのだ。

「まぁ、せっかくなら焼き魚と洒落こもうじゃねぇか」
 こちらへと突撃する巨大魚を豪胆に真正面から受け止めるセゲル。
 その腕へと鋭い牙を突き立てる巨大魚に対し、眉一つ動かすことも無い。
 身動きの取れない魚へと口を開けば、放たれるは灼熱の息吹――朱竜回禄。
 真朱の炎は色鮮やかな怪魚を黒く染め上げ、その身をこんがりと焼き上げていく。
 香ばしい香すらあげ始めたそれを船へと捨て置くと、次なる敵へと狙いを定めるのであった。

 ぽたぽたと己が腕から滴り落ちる赤い滴を舐め上げながら、セゲルはにやりと笑う。
 縛り上げられながらも、懸命に溺れまいともがく海賊たち。
 彼女らをいたぶらんと周囲を回遊していた巨大魚たちは、セゲルの血の臭いに反応し、狙いを変える。
 群れ集まる巨大魚たちを見下ろして尚、彼は余裕の態度を崩さない。

「俺の鱗と甲殻を食い千切ろうなんざ、100年早い」
 喰えるものなら喰らってみせろと、むしろ喰らってやるとばかりに牙を剥きながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガイ・レックウ
【POW】で判定
『どの世界でも全くこいつらは変わらんな…さあ、暴れるか!!』

ユーベルコード【絶刀鬼神『破天修羅王』】を発動し、鬼神とともに攻撃するぜ
【オーラ防御】で防御を固めながら、フックシューターで縦横無尽に動き回り、【怪力】で振るう刀による【鎧砕き】や【なぎ払い】とランスによる【串刺し】で鬼神とともに攻撃を仕掛ける。
相手の攻撃を【武器受け】のスキルで受け流し、着実に数を減らしていくぜ!!
『この魚…捌いても食えそうにないな…』




「どの世界でも全くこいつらは変わらんな」
 ガイ・レックウ(相克の剣士・f01997)は縦横無尽に海中を泳ぐ巨大な魚のコンキスタドールを見つめ、ため息を吐く。
 これまで数多の世界でオブリビオンを討伐してきたガイ。
 どのオブリビオンもこの世界におけるコンキスタドールと同様に、人々を襲っていた。
「さぁ……暴れるか!!」
 であるからこそ、ガイの猟兵としての務めは変わらない。

 戦い、暴れ、敵を討つ。

 これまでも、これからも……ガイはオブリビオンを討つべく、戦い続けるのだ。
「天に轟け! 天下無双の鬼神伝説よ!! 我が名のもとに降臨せよ!!」
 ガイが呼び出すは彼の倍はあろう背丈の漆黒の鎧武者。
 天を貫く一本角を額に輝かせたその鬼神は、ガイの動くがままに暴れて見せる。
 
「いくぜぇ!」
 ガイがフック付きワイヤーを射ち出す装置――フックシューターで飛び出せば、鬼神もまた宙を舞う。
 そうして襲いかかる武者鎧を迎え撃つべく、巨大魚たちもまたは飛び出すのだ。
 その強靭な尾びれで空気を叩けば、その巨体を浮かせて見せる。
 その勢いのままに襲い来る巨体魚たちを、鬼神は人間離れしたその膂力でもって粉砕する。
 大ぶりの刀を振るえばその強固な鱗を砕き真っ二つに斬って落とし、強大な槍を突き出せば串刺しにする。
 鬼神がその猛威を振るえば、一匹、また一匹と敵を屠っていくのだ。

「この魚……捌いても食えそうにないな……」
 ガイは戦い続ける――鬼神と共に。
 怪魚など、食えるか否か、その程度しか問題ないとばかりに、切って捨てながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリスティア・ラヴィット
人食い魚の海にダイブなんて面白そうな遊びしてるわね!え、遊びじゃないの?

じゃあ【S・K・A】で召喚したサメちゃんに指示して海に落っこちた海賊を助けるわ。
大丈夫大丈夫。見た目は怖いけどいい子だし、爆弾も私が指示しない限り爆発しないから。
あーでも暴れたらドカンだからそこんとこヨロシク。

アタシはアサルトライフルで巨大魚を撃つわ。
んー……でもやっぱり爆発がないと刺激が少なくてタイクツね。
手が空いたサメちゃんには自爆してもらおうかしら。




「人食い魚の海にダイブなんて面白そうな遊びしてるわね!」
 トリスティア・ラヴィット(KABOOOM!!・f26249)は楽しそうに声をあげる。
 彼女が小舟の上から語り掛ける先には、いの一番に海へと突き落とされた女海賊――ローズが必死に足を動かしながら呼吸を続けていた。
「ば、かっ野郎! っ……これの、ど、こが遊んでんだ!?」
 両手を縛り上げられているローズは、海水を飲みながらも必死に声をあげる。
 助けてもらわねば死ぬ……そう思うからこそに必死に罵詈雑言を飲み込むが、その声色が恨めしそうな色を含むこと自体は仕方の無いことなのだろう。

「え、遊びじゃないの? じゃあサメちゃんで助けてあげる……あーでも、暴れたらドカンだからそこんとこヨロシク」
 心の底から意外だとばかりに目を見開くトリスティア。
 どうにも頭のネジが外れたような言動が目立つ彼女だったが、それは全てはサメを神と崇める悪の秘密組織に拉致され無理矢理改造されたが故。
 生前はむしろ無口で控えめと言うべき性格であったが、それはデットマンと化した際に狂気的なものへと変貌したのだ。
 言葉の端々から恐怖を感じたのだろう、口内にメカメカしい兵器が内臓された鮫――サメちゃんことサメランチャーに身体を持ち上げられたローズは顔色が悪く小さく震える。
 それでも言葉の通りの爆発を憂慮し、凶悪な外観の鮫に持ち上げられて尚身じろぎ一つしない彼女の胆力は、海賊団の頭を張っていただけのことはあるのだろう。

「さぁ、アタシは人食い魚でも撃とうかしら……でもやっぱり爆発がないと刺激が少なくてタイクツね」
 海賊たちを助け、同時に鮫たちを爆発させながら少女は嗤う。

 高らかに。
 楽しそうに。
 腹の底から声をあげ。

 その両目は狂気に染まり、赤く輝いていたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴァリージオ・ホークアイ
(※アドリブ絡み歓迎)
ヨーホ~っとぉ、どうやら『試練』に失敗しちまったレディか。
う~む、美しい肌を斬るには忍びないが…これも悲しい宿命だ。
…でその前に、とりあえずアレは三枚おろしで良いよな?
(飛びついてくる魚を見て居合の構え)

初撃…巨大魚の一撃である、飛びつき体当たりは【残像】で回避。
初撃をかわしたら、先ずはその鱗を【鎧砕き】して剥しとりだ。
あとは固くて邪魔な牙『UC』で斬り落としてから
骨を取り除くように斬り落として、三枚おろしの完成っと。
まっ、数を減らして良ければ上場って所かね。




「ヨーホ~っとぉ、どうやら『試練』に失敗しちまったレディか」
 軟派な物言いをする青年――ヴァリージオ・ホークアイ(気取ったシャープ・ブレイダー・f26315)は残念だとばかりに声をあげる。
 本来であればヴァリージオにとって女海賊すら口説きの対象。
 しかしそれがメガリスの試練に失敗し、コンキスタドールと化したのであれば話は別だ。
「う~む、美しい肌を斬るには忍びないが……これも悲しい宿命だ」
 その言葉とは裏腹に、その目には悲し気な色は浮かんでいない。
 硬派な父から徹底的に海賊としての生き様を叩きこまれたヴァリージオ。
 もし部下が死んでコンキスタドールになったのならば、本来はその海賊団が責任を持ってケリをつけるのが『海賊の掟』なのだ。
 今まさにそのコンキスタドールに敗北した彼女らではその掟は履行できそう無い。
 であればこそ、海賊としての生き方が染みついたヴァリージオにとって、コンキスタドールを見過ごすという選択肢は無いのだ。

「ではその前に……とりあえずアレは三枚おろしで良いよな?」
 彼が思案している最中にこちらを発見し、襲い掛かるべく向かってきている巨大魚たち。
 まずはヤツらを倒さねばならないと、ヴァリージオは愛用のサムライブレイドを手に腰深く構えを取る。

 海賊には珍しい居合の構え。
 噛み砕かんと牙を剥き飛び上がる巨大魚に対し、ヴァジーリオはその不安定な船の上で僅かな身じろぎだけで避けて見せる。
 それは正しく船上に特化したサムライ。
 残像すら見えそうな滑らかな動きで敵を往なし、強固な鱗を全力で断つ。

 一つ、二つ、三つ。

 一瞬の交差の間に、剣豪たるヴァリージオは数度刃を走らせる。
 その怪魚がすれ違った船の上に残るは、綺麗に捌かれた三枚おろし。

「まっ、数を減らして良ければ上場って所かね」

 海の剣豪はへらりと笑う。
 その目は油断なく周囲を見回しながら……その身に確かに染みついた武を振るいながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

一駒・丈一
【砦】

小舟で敵出現地帯に接近し、
そこから魚どもを掃討する作戦だ。海面に近い方が乱獲しやすかろう。

地に足がついていないような戦場は苦手だ。できれば小舟での移動は控えたかったが、効率よく敵を倒すためには止むを得まい。早めにケリを付けたいところだ。

空中に飛び出して来た魚やアノンがこちらに飛ばして来た魚に対しては
UC『贖罪の雨』にて杭を複数【投擲】し串刺しにしていこう。

おぉっと、小舟が揺れる…おいアノン、そんなに勢いよく叩き落とすと船の揺れが増してひっくり返るだろう。出来ればもうちょっと穏便にっと、危ない(飛んで来た魚を今度は刀で斬り伏せる)


水鏡・怜悧
【砦】
詠唱改変省略可
人格:アノン
UDCを纏って黒狼の姿になると、そのまま小舟を飛び出して宙を駆ける。
「派手な魚だなー。味見してェ所だけど今回はオトリだからな」
触手を突き刺すように伸ばして挑発しつつ魚の上空を駆けまわる(空中戦)。空中に飛び出してきた敵はUCを使用した野生の勘で回避。空中ですれ違いざまに、丈一が乗ってる船の方へ魚を体当たりで突き飛ばす。思い切り体当たりしてやればカウンターにもなるだろうし体勢も崩れるだろ。
「ひっくり返ったらあとで回収してやるよ、魚でも喰って待ってろ。そっちこそオレに杭当てんなよ。飛んできても避けるけどなッ、ヒャハハハ」




「できれば小舟での移動は控えたかったが……効率よく敵を倒すためには止むを得まい」
 海へと突き落とされた海賊たちを狙う巨大魚を討つべく、一駒・丈一(金眼の・f01005)は他の猟兵同様小舟を海賊船へと寄せる。
 これまで歴戦の傭兵として、そして猟兵として数多の戦場を渡り歩いた丈一であったが、海戦のような船上での戦いは陸での戦いと比べ不慣れ。
 故に本来であれば何とか安定した足場での戦闘が望ましいところ……だが効率を考えればそうも言っていられず、気乗りしないながらもこうして小舟にて移動をしていたのだ。
「派手な魚だなー」
 憂鬱気な丈一に対し、隣で呑気な声をあげるのは水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)であった。
 否、彼は怜悧であって怜悧では無い――普段のレイリと違い何処か粗野な雰囲気を放つ彼は怜悧の内在人格の一人であるアノンだ。
 新たな世界における新たな敵にも興味津々といった様子のアノンは、いざ戦場へ飛び込まんと姿を変える。
「グルゥ……ガアアァァ!!」
 黒き狼へと姿を変えたアノンは波立つ度に揺れる小舟という不安定な足場をものともせず、海上へと駆け出すのであった。

「ヒャハハハハハハッ」
 異形の黒狼と化したアノンは海上を駆ける。
 己が小舟を、仲間たちの小舟を、時には巨大魚自身すら足場とし移動する。
 その素早さは宙を駆けるが如く。
 足場の不自由さなど関係無いとばかりに自由に船上を飛び回る。
「味見してェ所だけど今回はオトリだからなぁ……ッラアァ!」
 アノンが振り回すは黒狼から生え出た漆黒の触手。
 アノン目掛けて飛び跳ねる怪魚を往なし、突き刺し、刎ね飛ばす。
 乱暴に、乱雑に暴れまわるアノンが弾いて回る巨大魚の一つは、その暴れ様を眺めていた丈一目掛けて吹き飛んでしまうのであった。

「これは禊だ。その血と共に己の罪を洗い流せ」
 突如として自身目掛けて飛来する怪魚で視界が覆われんとしても、伊達男は焦らない。
 その手から弾き出すは無数の杭。
 穿たれた牙――贖罪の銘を持つ杭は飛来する巨大魚へと突き刺さると、その強固な鱗を容易に粉砕する。
 次から次へと弾き出される杭の飴は、豪雨の如き勢いで降り注ぐ。
 その一つ一つが必殺の威力を以って、海中を泳ぐ獲物すら狩ってみせるのだ。
 余裕綽々といった様子の丈一。
 次なる獲物を求めて視線を這わす彼は、突如襲い掛かる揺れにより膝を着く。

 敵の攻撃か、新手か……咄嗟に背後を振り返った丈一の視界に飛び込んだのは、“不自然な孔”が開いた巨大な魚。
「おいアノン、そんなに勢いよく叩き落とすと船の揺れが増してひっくり返るだろう!」
 トラブルの原因は暴れまわる気ままな狼。
 ちらりちらりとこちらへ視線を飛ばす様子を見れば、読み取れる思考は単純。
 人外の面を見てすらも、その笑みが悪戯をする悪童のそれだと見て取れるほどだ。
「出来ればもうちょっと穏便にっと、危ない」
 次から次へと飛び交う魚を切っては捨てながらも声をかけるが、その返事は魚と共に返るのであった。
「ひっくり返ったらあとで回収してやるよ、魚でも喰って待ってろ。そっちこそオレに杭当てんなよ。飛んできても避けるけどなッ、ヒャハハハ」

 一人と一匹は戦う。
 その戦いぶりは常識外。
 しかしその一見無駄のある動きを取って尚……付け入らせることも無く、暴れまわるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マナナ・マンボゥ
※外見は黒い燕尾服を着たすらりとした男性、ただし頭だけマンボウのオネェです。

あらヤダ大変なことになりそう、マナナも力を貸すワ!!

【WIZ】
事情はよく分からないケド、まずは海にいる魚達をやっつけないとネ! 美しい彼女達が海の藻屑なんて見ていられないワ。

マナナは海中行動はちょっと得意なの、[水中機動]でスタイリッシュに素早く敵に接近ヨ。敵の水ビームは敢えて避けずに、その水流の中を泳ぎきるワ!!

釣り餌のようにあちこちを泳ぎ、海中の女海賊達から敵の注目を逸らすワヨ。敵が集まったところにUC発動!
あんた達幽霊だから海の中好き勝手にできるでショ、海の漢(オンナ)を見せてやんナ!!

※連携・アドリブ歓迎ヨ!




 一人、猟兵たちが飛び交う戦場を眺める者がいた。
 燕尾服に身を包むすらりとした男性。
 特注のソレは海水を弾き、その身の大半を海中へと沈めて尚皺ひとつ無くエレガントに揺蕩う。
 体格、そしてその装いから見るに美丈夫。
 そう人々が確信しても、その頭部に目をやったその瞬間――人々の脳裏に一つの言葉が過るだろう。

 “奇怪”

 その言葉が相応しい存在、マンボウ頭の深海人――その男の名前こそ、マナナ・マンボゥ(オネェマンボウ鮫魔導士・f26229)だ。

「あらヤダ大変なことになりそう、マナナも力を貸すワ!!」
 口を開けばその存在はさらなる複雑怪奇さを見せる。
 彼は男では無くオネェ……否、このジェンダーフリーの時代のそのような言葉は似つかわしくは無い。
 漢(オンナ)!、彼が、彼女こそが漢なのだ!

「美しい彼女達が海の藻屑なんて見ていられないワ」
 強く美しい海賊たちが海の藻屑と化すなどと、気高きマナナには許せない。
 深海人としての身体能力をフルに活かし、スタイリッシュに水中を滑るように移動する。
 美女が行なえば煽情さすら感じるポージングで泳ぐマナナ。
 そんな彼女を気持ち悪いなどと思ってはいけない。
 気高い彼女こそが、美しいのだ。

 マナナの動きに注意を引かれるように、取り残された海賊たちから離れ、集まる巨大魚たち。
 体格差を考えれば丁度良い餌。
 しかし海の漢(オンナ)は安くはないのだ。

「あんた達幽霊だから海の中好き勝手にできるでショ、海の漢を見せてやんナ!!」
 マナナが呼び出すは姦しい海賊服とメイクに身を包んだきらびやかなオネェ海賊たち。
 飛び交うように海中を移動すると、煌びやかにデコられた銃剣を突き立てる。
 けばけばしい海賊幽霊たちは、次々と巨大魚たちを討ち取るのであった。

「皆、完璧ヨ~!」
 全てを討ち取った海賊幽霊。
 浮かび上がった彼女らを見て、海賊たちは阿鼻叫喚の渦へと陥るが……それを攻めるのは、酷というものだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『キャプテン・ブラッディ・リリー』

POW   :    『麗しの黒竜』号、出航!
【日に焼けた強靭な筋肉】で武装した【飛行可能な荒くれ海賊】の幽霊をレベル×5体乗せた【幽霊海賊船『麗しの黒竜』号】を召喚する。
SPD   :    海賊式我流格闘術
【型に捕らわれない格闘技】による素早い一撃を放つ。また、【海賊服を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    支配の海賊旗
【メガリス『支配の海賊旗』】から【反抗の意志を挫く威圧のオーラ】を放ち、【逆らえぬように屈服させる事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:森乃ゴリラ

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「テメェら、余計なことしやがって!」
 その美しい髪を掻きむしりながら怒りの声をあげる女海賊――キャプテン・ブラッディ・リリー。
 彼女こそが事件の発端であり、メガリスの試練に敗れ、コンキスタドールと化した悲劇の女性。
 しかし彼女に憐憫をかけることは無意味。
 コンキスタドールと化した以上、彼女を元に戻すことなど出来ない。
 これ以上の被害を出す前に討つことこそが唯一の選択肢なのだ。

 猟兵たちは海賊船へと乗り込み、キャプテン・ブラッディ・リリーと対峙する。
 力に飲まれた彼女へと、救いを与える為に。
 終わりという――唯一の救いを。
マナナ・マンボゥ
ヤダ、露出が多ければいいってモンでもないのヨ!

【WIZ】
素肌の上から何かを羽織るってマナナはあまり好きじゃないノ。汗は染みやニオイの元ヨ!

無理やり屈服させるやり方はエレガントじゃないわネ。彼女の攻撃をハート型の盾状にした[オーラ防御]で防ぎ時には回避しつつ、肩の[チャッピー]に声をかけるワ。
チャッピー、[大声]で叫びながら彼女の頭上を飛び回りなサイ。威厳も何もあったもんじゃなくなる筈ヨ!

マナナも張り切ってUC発動。海だろうが陸だろうが船だろうが、サメ達はアンタ達を引き寄せて食べちゃうワ。
やぁ~だ、こっち見るんじゃないワヨ!! あの女海賊と船を木っ端微塵にしちゃいナ!!

※連携・アドリブ歓迎ヨ!




「ヤダ、露出が多ければいいってモンでもないのヨ!」
 マンボウを頭に刺した燕尾服の男性――マナナ・マンボゥ(オネェマンボウ鮫魔導士・f26229)は事件の元凶であるコンキスタドール――キャプテン・ブラッディ・リリーをその視界に収め、憤慨する。
 美意識の高い彼……否、彼女にとって、露出度の高いリリーの服装は色気を通り越して下品。
 若い女は直ぐに露出が多いことが色気があるなどと考えているようだが、エレガントさに定評のあるマナナにとって、それはあくまで美しさの一つの切り口。
「見せない色気ってもんも有るってことを教えてやるのヨ!」
 小娘に女の奥深さを教えてやると意気込み、いざ戦場へと足を踏み入れるのだった。

「気持ち悪い面して気持ち悪いこと言ってんじゃねぇよ!」
 一目見たその瞬間から生理的に無理だと判断したキャプテン・ブラッディ・リリーは、殺意を全開にして拳を振るう。
 戦闘の邪魔だとばかりに羽織るコートを投げ捨てれば、徒手空拳を以ってマナナへと躍りかかるのであった。
「素肌の上から何かを羽織るってマナナはあまり好きじゃないノ。汗は染みやニオイの元ヨ!」
 そのつぶらな瞳ごと奇怪な頭部を粉砕せんと、リリーは拳を振るう。
 より身軽さを増した彼女の拳は空気を裂き、常人であれば視認すら出来ないほどの速度で接近する。
 しかしその拳は、マナナには届かない。
 無粋な拳は、その気高き美しさを侵すことは出来ないのだ。

「無理やり屈服させるやり方はエレガントじゃないわネ」
 その苛烈な拳を往なしながら、マナナは分かってないとばかりに嘆息する。
 彼女が構えるのは不可視の壁、
 否、僅かに視認できるその壁は、淡いピンク色を持ちハートを形どる。
 マナナの愛の深さは、海賊の暴力すらも受け止めて見せるのだ。

「チャッピー!」
 マナナの掛け声を受け飛び立ったルリコンゴウインコのチャッピーは、リリーの動きを妨害するように耳元で大声をあげる。
 その甲高い声はマナナに良く似通い、行動を阻害するように適度に人を不快にさせる。
 苛立たし気にチャッピーに向かい拳を振るうリリーを尻目に、マナナは必殺の技を放つのであった。

「あの女海賊と船を木っ端微塵にしちゃいナ!! ちょっとやぁ~だ、こっち見るんじゃないワヨ!!」
 召喚されるは凶悪なサメたち。
 空中を優雅に泳ぐメガドロンは……リリーと共にマナナも一緒に追い回したとか何とか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴァリージオ・ホークアイ
(アドリブ絡み歓迎)
ご機嫌麗しゅうレディ、先程は飛んだ御無礼を。
(礼儀っぽく、海賊帽を取って一礼)
ですがコレは海賊の流儀に乗っ取ったまで…、悪く思わぬ様に。
ついでに黙って斬られてくれるなら、美しい姿を残して
差し上げるんですがねぇ?


(メガリスはメガリスを以て弔う)
己の秘宝(メガリス)・【露霧】を構え、【殺気・覇気】を放つ。
退けよ筋肉達磨、テメェらじゃあ相手にならんよ?
判らんようなら、溜め込んだ力を【UC】で解放して
残像を残すほどの斬撃を放ち、突破を図る
そしてブラッディ・リリーと決闘に持ち込む
狙うはカウンターによる一刀両断

綺麗な顔と体が斬られても、文句言わんでくれよ?




「ご機嫌麗しゅうレディ、先程は飛んだ御無礼を」
 ヴァリージオ・ホークアイ(気取ったシャープ・ブレイダー・f26315)は慇懃無礼に礼をする。
 片手を胸に、もう一方で脱帽し膝を折る。
 粗野な海賊らしからぬその態度に、眼前のコンキスタドール――キャプテン・ブラッディ・リリーは苛立たし気な視線をヴァジーリオへと投げかけるのだった。
「ですがコレは海賊の流儀に乗っ取ったまで……悪く思わぬ様に。ついでに黙って斬られてくれるなら、美しい姿を残して差し上げるんですがねぇ?」
 ヴァリージオの言葉を聞き、にやりとと拳を鳴らすリリー。
 海の女たるリリーにとって、迂遠な言い回しは不快。
 だが相手が海賊の流儀を持ち出すならば別だ。
「喧嘩を売ってんなら、勝ってやんぜ!」
 力を以って、全てを通す。
 彼女もまた彼女の流儀を通すだけなのだから。

 ヴァリージオが腰深に構えるは己が試練に打ち勝ち手に入れたメガリス――妖刃・露霧。
 露霧は呪われし妖刀――死を幻視するほどの濃密な禍々しい気配を放つ“ソレ”を眺め、リリーは冷や汗を浮かべる。
「面白れぇじゃねぇか!」
 ヴァリージオの放つ威圧を刎ね飛ばすように、己に檄を飛ばすように旗を振るうリリー。
 その旗こそ、彼女をコンキスタドールへと堕とした元凶――メガリス、支配の海賊旗。
 支配の海賊旗から放たれる圧力。
 常人であれば膝を着きかねないほどのオーラに対し、ヴァリージオは何でもないかのように己から敵の懐へと飛び込んでゆく。
 弱者すら殺戮者へと変える狂気を放つ露霧――この妖刀と日々付き合うことと比べれば、この程度の圧力など春のそよ風の如き児戯。
 接敵するヴァリージオに対し咄嗟に振るう拳を紙一重で避ければ、その手に握る刃を滑らせる。

「綺麗な顔と体が斬られても、文句言わんでくれよ?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

一駒・丈一
【砦】
グラマーな女性との肉弾戦は心惹かれるものがあるが
生憎と俺は紳士なのでね
相手が「型に囚われない格闘術」を使うならば、此方も型に囚われない小細工で応戦しよう

アノン、言っておくが、敵とはいえここでカニバるのは厳禁だぞ

アノンがマストの方に敵を蹴り飛ばしたら
UC【罪業罰下】でマストを一閃して柱を倒し、敵の頭上から帆を降らす。
ちょうど敵に帆を被せて、敵の視界と行動阻害を同時にやるのが目的だ。

敵の視界を奪うことに成功すれば、その隙に【早業】で背後に回り
更に一撃加えた後で、アノンが投げる樽の液体を躱すべく再度後方に下がる。
流石に、船上で感電は避けたいのでな

ここまで翻弄すれば、相手の型破りを上回れるだろう


水鏡・怜悧
【砦】
詠唱改変書略可
人格:アノン

UDCで耳と尻尾を象り獣人のような姿になる
美味そうな敵だと尻尾を揺らすが
「カニバ…?あー、コイツは喰うなってことか?わーった、ガマンする」
一瞬残念そうにするが、戦いも楽しみだとニヤリと笑う

「トンファー構築」
雷を纏ったトンファーを構える
相手の棒術は受け流し、カウンターで殴り付け
敵の加速は野生の勘でタイミングを合わせ、電撃でマヒ攻撃
棒の布をトンファーで巻き取って怪力で棒ごと奪う
追ってきたら棒を返すと同時、マストの方へ蹴り飛ばす(騙し討ち)

距離を取り、敵の視界が塞がれたら近くにあった液体入りの樽をUDC触手で掴んで投げつけ
濡れたら全力で電気を流す
丈一、巻き込まれンなよ




「グラマーな女性との肉弾戦は心惹かれるものがあるが……生憎と俺は紳士なのでね」
 一駒・丈一(金眼の・f01005)は猟兵たちと戦いを繰り広げるコンキスタドール――キャプテン・ブラッディ・リリーを眺め、言葉を零す。
 海賊たちであれば粗野な野次を飛ばし、涎を垂らしそうな煽情的な恰好をしたリリー。
 一見、丈一の台詞もまたその露出の高い恰好に惹かれたような物言いであるが、声色は淡々としたもの。
 特別気が逸った様子も無く飄々と話す丈一には、特有の落ち着きが見られた。

(美味そうな敵……)
 水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の内在人格の一人であるアノンは、隣に立つ丈一の言葉を聞いている様子は無い。
 先ほどまでの黒き獣の姿の名残か、その身体には獣の特徴がみられるアノン。
 ふらふらと揺れる尻尾とその口元から垂れる涎が、通常の男性から想像される欲とは違った意味合いのもであることを察した丈一は、念のためにと声をかける。

「アノン、言っておくが、敵とはいえここでカニバるのは厳禁だぞ」
「カニバ?……あー、コイツは喰うなってことか? わーった、ガマンする」
 不承不承といった様子のアノン。
 そのリアクションから己の懸念は正しいものであったと確信した丈一は、念のため釘を刺しておいて良かったと小さく嘆息する。
 オブリビオンと化した以上、見眼麗しい女性であれ倒すことは覚悟済。
 だがさすがに仲間が人を喰らう姿は見たくは無いのだ。

「ちぃ、新手か……来なっ! 野郎ども!」
 丈一とアノンのやり取りからその存在に気付いたリリーは、数の不利を悟ると配下を召喚する。
 虚空から現れるは、幽霊海賊船――麗しの黒竜号。
 リリーは過去この海を荒らしまわった海賊たちの幽霊を召喚すると、二人へとけしかけるのであった。
「トンファー構築」
 こちらへと駆け寄る幽霊海賊を見据え、アノンが生み出すは二本の金属が繋がった武具。
 バチバチと空気を鳴らす雷を纏ったトンファーを構え、アノンは待ちきれないとばかりに戦場へと飛び込んでいく。
「ハッハァーッ!」
 先ほどの腹を満たせぬことへの不満など露と消え、アノンの表情に浮かぶのは戦いへの期待と興奮。
 幽霊海賊たちの集団のど真ん中へと飛び込むのであった。

 リリーと同じく徒手空拳を以って戦いを挑む海賊たち。
 全方向から飛び交う拳を踊るように体を捻り、避ける。
 回転する勢いを利用し蹴り、殴る。
 雷を以って動きを封じれば、そのまま船のマストへと蹴り飛ばす。
 その常道にそぐわない暴れぶりは正しく縦横無尽。
 死を恐れぬ幽霊たちを畏怖させるほどに、暴れつくすのだ。

「さて……相手が“型に囚われない格闘術”を使うならば、此方も型に囚われない小細工で応戦しよう」
 戦況を見据え、己が策が最大限の効果を発揮するタイミングを伺っていた丈一。
 目にも止まらぬ一閃で以てマストを切断する。
 そびえ立つ帆柱が音も無く倒れ、幽霊海賊たちを押しつぶす。
 しかしそれらの行動は、決してそれだけの意味では無いのだ。

「テメェらっ!」
 丈一とアノンを部下の海賊幽霊へと任せていたリリーは、ふと気付けば配下が全滅している様子に驚愕を浮かべる。
 戦場を俯瞰していた彼女だからこそ気付いていた――敵の混乱の隙を突き、アノンがワインが詰められた樽を全て破壊して回っていることに。
 みるみるうちに甲板の上はワインで満たされていく。
 咄嗟に高所へと避難をしようとしたその瞬間――背後からの衝撃に膝を折る。
 とっさに振り返ると、音も無く背後へと立つ丈一がこちらへと冷たい視線を投げかけるのが見て取れた。
「しまっ!」
 反射的に怒声を投げかけようとするも束の間、指に触れる“濡れた”感触から、襲い来る未来を直感したリリー。
 しかし背後に一撃を受け体勢を崩した彼女は間に合わない。

「丈一、巻き込まれンなよっ!」
 直後――爆音と共に辺りを電光が覆った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セゲル・スヴェアボルグ
欲望に負けて堕ちちまったら世話ないわな。
生憎だが、そっちが黒竜ならこっちは蒼竜だ。
筋肉?飛行?それがどうした。
せめて俺が持ち合わせてないもので武装すべきだったな。
むしろ、鱗も尻尾も翼も爪も牙ない。
かろうじて髭があるやつはいるが……まぁ、役者不足ってもんだ。
俺の腕は、掴めないものを掴む。
それが幽霊だろうが何だろうが、そこにあるなら関係ない。
筋肉達磨どもをまとめて女海賊に投げ返してやるとしよう。
特大の砲丸だ、下手な大砲より威力は出そうなきはするし、ちょうどいいだろう。
一度沈んだ船なら、大人しく沈んどけって話だ。




「糞がぁ!」
 猟兵たちの攻撃により、配下の幽霊海賊たちを失ったキャプテン・ブラッディ・リリー。
 しかし宙を飛ぶ幽霊海賊船――麗しの黒竜号は未だ健在であり、劣勢となったリリーを支援するかのように次なる新手を送り込む。
「欲望に負けて堕ちちまったら世話ないわな」
 しかし、猟兵――セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)は焦らない。
 敵が増えたのならば、倒せば良いだけだ。

「生憎だが、そっちが黒竜ならこっちは蒼竜だ。筋肉?飛行?それがどうした……せめて俺が持ち合わせてないもので武装すべきだったな」
 こちらへと駆け寄る幽霊海賊を眺めて尚、セゲルは堂々と仁王立ちする。
 殺れるものなら、殺ってみろと。
 いくら数だけ揃えようとも、貴様らの拳では己が蒼き龍鱗は砕けないと。

「俺の腕は、掴めないものを掴む」
 セゲルが放つは心胆ヲ握緊メル腕――その拳は、全てを掴む。
 たとえ相手が幽霊であろうと、彼の拳につかめないものは無い。
 周囲から振るわれる拳を何ら意に介さず、セゲルは目の前の敵を掴めば放り投げる。
 ちぎっては投げ、ちぎっては投げの活躍を見せるセゲル。
 その一切の攻撃が効いていないかのような暴れぶりは、幽霊である海賊たちですら躊躇させる。

「面倒だな……まとめてやるか」
 遠巻きに囲み始めた幽霊海賊たちの様子を眺め、セゲルはつまらなそうに鼻息を鳴らす。
 こちらから追いかけ、一人一人倒すのも面倒。
 であれば……叩き潰すのにちょうどよいものがあるでは無いか。
 その両翼を羽ばたかせ空へと飛び立てば、ゆっくりと浮かんでいた幽霊海賊船――麗しの黒竜号の船首を掴む。
「一度沈んだ船なら、大人しく沈んどけって話だ」

 次の瞬間――戦場と化した海賊船に大きな影が覆ったという。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガイ・レックウ
「力におぼれた哀れな海賊か……いま、終わりにしてやるよ」

ユーベルコード【獄炎解放『爆心』】を発動し、さらに【オーラ防御】で防御力を上げてから【フェイント】織り交ぜつつ、一気に突進するぜ。
【怪力】での【なぎ払い】や【鎧砕き】で連続して攻め込みながら、相手の攻撃を【見切り】で見極めて避けるぜ。
「せめて、楽に終わらせてやるぜ」




「ぐわぁあっ!」
 全身を血にまみれながらも、キャプテン・ブラッディ・リリーは立ち上がる。
「あたしは、強いんだ……姉さんじゃなく、あたしがっ! 選ばれた!」
 その姿は正しく満身創痍、目の焦点は彼方を向く。
 しかしそのその表情は鬼気迫り、決して容易には倒れないという気概が伺える。

「力におぼれた哀れな海賊か……」
 ガイ・レックウ(相克の剣士・f01997)はその荒々しい姿をむしろ痛ましげに見つめ、ゆっくりと目を瞑る。
 少ない言葉に浮かぶのは、憐憫と迷い。
「いま、終わりにしてやるよ」
 しかしその眼が再び開かれたとき、その瞳には一切の曇りも無くただ決意の色を浮かべる。
 猟兵として――オブリビオンを討つ。
 己の役目は、ただそれ一つなのだと。

「我が刀に封じられし、炎よ!! わが身を包み、すべてを焼き尽くせ!!」
 ガイが纏うは己が妖刀に封じられし呪詛の炎。
 禍々しい炎はガイの命すら燃やす勢いでその身を蝕む。
 しかしガイは躊躇わない――敵を討つ、その為に全力を尽くすことを。

「行くぜっ!」
 目にも止まらぬ動きで接敵するガイ。
 その身を焼き尽くすを炎は尾を引き、彼の軌道に陽炎を残す。
「こな、くそっ!」
 反射的に蹴りを放つリリー。
 その動きを目で捉えられずとも捉えるその感性は、確かに一角のものなのであろう。
 しかしその渾身の一撃でさえ、ガイには届かない。
 命を燃やしてすら力を与える覚悟の炎は――貫けないのだ。

「せめて、楽に終わらせてやるぜ」
 そうして放たれるは、衝撃波すら放つ神速の一撃と煉獄の炎。
 傷口から燃え上がるリリーを一瞥し、ガイは小さく声をかけるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリスティア・ラヴィット
あっ!やっぱり助けないほうがよかった?ごめんね~。
お詫びにアタシがあなたを海に落としてあげる!

それがおばさんのメガリス?確かにオーラを感じるわ……!たぶん、きっと。
反抗しないから仲直りしましょ?はい、仲直りの握手。【グラップル】でガッチリ握っちゃうわ!
え?これは仲直りの握手だから反抗じゃないよ?

じゃあ人食い魚の海にダイブごっこ始めよっか?【怪力】でしっかり掴んでるから逃げられないよ。
さっきの魚たちは全部倒しちゃったから【S・K・A】のサメちゃんを海に召喚するよ。
爆発のおまけもついてるからさっきよりももっと楽しいよ!

アタシがまともじゃないって?なんでアタシがまともだと思ったのかな?変なおばさん。




「何なんだ、テメェらは何なんだっ!」
 見るからに重傷である件のコンキスタドール――キャプテン・ブラッディ・リリーはそれでも尚倒れない。
「横からしゃしゃり出て、余計なことしやがって! こいつはアタシとあいつらの喧嘩なんだ!」
 その眼に映るは焦燥と憎悪。
 それでも負けたくない、負けられないのだという確固たる意志を見せる。

「あっ!やっぱり助けないほうがよかった? ごめんね~、お詫びにアタシがあなたを海に落としてあげる!」
 しかしそのような覚悟など……トリスティア・ラヴィット(KABOOOM!!・f26249)には関係無い。
 コンキスタドールの事情になど一欠けらの興味も無いトリスティアは、ケラケラと小馬鹿にするように声をかける。
 彼女にとって重要なのは飽くなき破壊衝動をいかに満たすか、ただそれだけなのだ。

「失せなっ!」
 そんなトリスティアの狂気から己が心を守るように、己自信を鼓舞するかのように、リリーは腹の底から声を出す。
 その手に握るはメガリス――支配の海賊旗。
 反抗の意志を挫く威圧のオーラが、猟兵たちの心を屈服させるべく戦場を覆う。
 それだけで倒せずとも、時間稼ぎにはなるだろう。
「ねぇ、仲直りしましょ? はい、仲直りの握手」
 そう信じるが故に、何事も無く眼前へと歩み寄りその掌の握るトリスティアに上手く反応が出来ない。
 自然な動作でその手を取られると、覗きこまれる彼女と視線を合わせ、リリーは絶句するのだ。

「じゃあ人食い魚の海にダイブごっこ始めよっか?」
 その目に映るは、圧倒的狂気。
 それまで交わした会話など、メガリスの威圧など、彼女の心には一欠けらの波紋すら起こすに値しないのだろう。
「爆発のおまけもついてるからさっきよりももっと楽しいよ!」
 楽しそうに嗤うトリスティア。
 その彼女の視線の方向へと向けば、そこには凶悪な鮫たちが回遊しているのが視界に入る。

「狂ってやがる……」
 満身創痍故にトリスティアを引きはがすことも出来ず、リリーは恐怖の色に染まった乾いた笑みを浮かべる。
「アタシがまともじゃないって? なんでアタシがまともだと思ったのかな? 変なおばさん」
 しかしその程度の侮蔑など、何ら意味を成さないのだ。

 二人の影が甲板から消えた後――辺りに爆音が響き渡る。
 連鎖するように次々と連なる爆発。
 そこにはコンキスタドールの姿は無く――船もまた、煙と共にゆっくりと沈んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『異世界文明交流会』

POW   :    異世界文明の道具や食材をたくさん持ち込んで、それらを用いて交流するよ

SPD   :    相手の知りたい事や、興味のある事を見つけ出して、ニーズに合った交流を試みる

WIZ   :    異世界の物語を読み聞かせたり、独自の技術を教えてあげる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「手間をかけさしちまってすまなかったね……本当なら、アタシらが何とかしなきゃいけなかったのにさ」
 海賊船の船長――キャプテン・ブラッディ・ローズは猟兵たちに向かい、申し訳なさげに感謝の言葉を述べる。
 本来であれば、メガリスの試練に失敗しコンキスタドールへと堕ちた者はその海賊団で処分するのが掟。
 ローズとてそうできるのであればそうしたかったが……実際は返り討ちに合ったのが現実だ。

「アタシらにも矜持ってもんがあるんだ。せめて、歓待させておくれよ」
 そう笑うローズは、配下の海賊たちに宴の準備をさせる。
 生憎と薪には苦労はしない惨状。
 心機一転にと壊れた船の残骸をくべると、彼女らにとってのご馳走でもって猟兵たちをもてなそうと言うのだ。

 今、宴が始まろうとしていた。
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『さあ、戦いが終わった後は飯だ!!騒ぐぜぇ!!!』

【釣り】のスキルで魚を釣ったり、しれっと集めてスターチェイサーに積んだ肉とかを自身の刀から発した炎で焼き上げるぜ!
あ、果物や飲み物とかはアイスサファイアの冷気の力で冷やすからな
スターチェイサーの貨物スペースからハーモニカでも取り出して演奏するか【楽器演奏】
あとはこの付近のこと、世界のことを【情報収集】のスキルでさりげなく集める

『しかし、この世界に来てから俺の刀もなんか強くなったな……』

いつの間にかメガリスに覚醒した【相克・百花妖炎刀『ヴァジュラ』】と【相克・封魔雷神刀『ヴァジュラ』】を見ながら少し考えこむ。




 宴――それは飲食を共にし、互いのコミュニケーションを深める行為。
 そう、宴には酒と食べ物は欠かせない。
 それは海賊たちにとっても変わらず、むしろ彼らの文化を鑑みれば、その傾向はより顕著なものと言えよう。

 海賊たちはもちろん己が矜持を守る為……命の恩人である猟兵たちを全力で持て成そうとする。
 そこには打算や後の計画など入っていない。
 しかしふと冷静に考えれば、コンキスタドールによる被害から癒え切らない海賊たちが貴重な食糧を豪快に開放して、後に困らないのだろうか?
 海賊たちは細かいことは気にするなと笑う。
 だが、その心配をしながらも喰らう飯もまた、美味いと言えようか?

 否、それは否だ。

「さあ、戦いが終わった後は飯だ!! 騒ぐぜぇ!!!」
 香ばしい香りの元で豪快に肉や魚を焼く男の名こそ、ガイ・レックウ(相克の剣士・f01997)だ。
 ガイは得意の釣りで魚を確保し、愛用の宇宙バイク――スターチェイサーに予め積んでおいた肉を焼く。
 食べて良い飯の量を気にしながらの飯など、美味いはずが無い。
 ならばむしろこちらの食糧を喰らえとばかりに、ガイは海賊たちに飯を配っていく。

「これじゃあ、アタシらが歓迎されているみたいじゃないか」
 困ったように、だが美味しそうにガイに渡された肉を喰らうローズ。
 嬉しそうに焼かれた肉を食い、ガイによって冷やされた酒を飲む楽しそうな部下たちを見て、まぁ仕方が無いかとばかりにはにかんでいた。
「なぁ、せめて何か出来ることが無いのかい?」
 これじゃあ自分たちの矜持が守れないと、困ったようにガイへと語り掛けるローズ。

(そういや、この世界に来てから俺の刀がなんか強くなったな……)
 回答に困り思案していたガイが悩まし気に辺りを見回せた際に視界に入ったのは、己が愛用の双刀――ヴァジュラ。
 この世界に入り何故か変化のあったこの愛刀について、何か情報が得られるのではないかと……。

「だったら、この世界のことを教えてくれないか?」
 ならば対価として、情報が貰えないかと。

 この海を越えた新世界について――語り合うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マナナ・マンボゥ
あらまっ……やぁ~だ、お祭り騒ぎはマナナ大好きヨ!

【WIZ】
喜んで彼女達のもてなしを受けるワ! マナナも飲み食いするだけじゃなくて、宴で減って行く飲み物や食べ物の補充作業と給仕を手伝おうかしラ。[礼儀作法]を発揮して流れるような身のこなしでお手伝いするワ。
マナナを海産物と間違えてかじろうとする不届きものには[チャッピー]が噛みつくから気を付けてネ、とっても痛いノ!

宴が盛り上がったら……マナナもじっとしていられないワ。UC発動してオネェ海賊を召喚! 驚くほど統制の取れたセクシーダンスを披露して魅せるワ。
踊りに混ざりたい酔っ払いや猟兵も大歓迎、一緒に踊って盛り上がるワヨ!
※連携・アドリブ歓迎ヨ!




「あらまっ……やぁ~だ、お祭り騒ぎはマナナ大好きヨ!」
 マナナ・マンボゥ(オネェマンボウ鮫魔導士・f26229)はどんちゃん騒ぎの海賊たちの宴を眺め、楽しそうに掌を合わせる。
 最初こそ、その奇妙とも言える出で立ちから海賊たちに驚かれていたマナナ。
 しかし一度交流を始めたのならば、それはやはり女同士(と言って良いのかは定かでは無いが)、とたんに意気投合をしていた。
 グラスを重ね、共に皿をつつき、気づけば共に給仕をこなしている。
 恰好こそ海賊たちとはその装いの差が目につくものの、動き回っている様を見ればもはや海賊団の一員と言っても違和感を感じないほどに馴染んでいた。

「おいっ、俺はただ魚を! 痛ってぇー! 」
 その声からマナナが振り返れば、そこには相棒のチャッピーに突かれ逃げ惑う海賊の姿。
 その顔色は一目見て酔っ払いだと分かるほどに赤らんでおり、どうやらマナナを料理と勘違いして無体を働こうとした様子。
「こーら、酒の席だからって乙女にちょっかい出しちゃ駄目ヨ!」
 激しく追い掛け回すチャッピーをそっと受け止めながら、優しく海賊を窘めるマナナ。
 本来であれば怒っても問題ない内容なのだが、良い漢(オンナ)は楽しい席で無粋なことはしないものなのだ。

「さぁーって、楽しくなってきたわヨ!」
 気を取り直して宴を盛り上げるべく、マナナは宴の中心へと踊り出る。
 海賊たちが楽器を鳴らし、ジョッキを片手に踊っていた宴の中心地。
 その場に踊り出たマナナは、オネェ海賊幽霊たちを召喚する。
 マナナと共に、統制の取れたセクシーダンスを披露する海賊幽霊たち。
 一人、また一人と海賊たちが飛び込み参加をする度に、歓声は一際大きくなっていく。

「一緒に踊って盛り上がるワヨ!」
 楽しい時間はまだまだ終わらない。
 宴はまだ、始まったばかりなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

一駒・丈一
【砦】

宴での労いか。

ここで遠慮すれば却って失礼というものだ。ご相伴に預かろう。
ここの人々は海賊生活は長いのだろうか。
海の上でずっと生活するのは、ずっと陸で生活して来た俺にとっては想像出来んので、その辺の事情でも聞いてみようかね。

アノンはわざわざ果物を持って来てくれたのか。
何かわざわざ悪いな。
先ほどの魚ぶん投げを気にしてるのか?
あまり気にすることでもないさ。あれで小舟がひっくり返ってればお説教だったが、まぁ結果オーライだ。あまり気にしなさんな。
せっかくなので、果物の方もいただこう。…お、中々に美味いな。これは何という果物なんだろうか。

そんな感じで、戦い後の憩いの時間を楽しむとしよう。


水鏡・怜悧
【砦】
人格:アノン

UDCで耳と尻尾を象った獣人の姿
一旦丈一と別れて珍しい果物を採りにいくぜ。場所は海賊に聞けばわかるだろ。遠そうならUDCの空中浮遊で飛んでく。見つけたら何個か採って丈一のトコに戻る

「魚ぶつけて揺らすのはダメだってロキが言うからな、よくわかんねーケド悪かったよ。詫びに果物採ってきた」
謝るという行為の意味を理解していないので、不思議そうな顔で首を傾げつつ果物を丈一へ渡す
「船はひっくり返しちゃダメなのか。わかった」
笑顔で頷き
「名前は知らねー。珍しいの、って聞いた」
場所を聞いた海賊に果物の名前も聞く。ついでに串刺しの焼魚を貰う
「宴?ってのはわかんねーケド魚は美味いな」
嬉しそうに笑う




 宴は盛り上がり続ける。
 高らかに輝いている太陽は傾き始め、薄暗くなりはじめた陽の光の変わりに煌々と焚き火が焚かれる。
 一駒・丈一(金眼の・f01005)は最も大きい焚き火を中心に輪になって踊る海賊や猟兵たちを眺め、ゆっくりとグラスを傾けていた。
 普段から報酬を求めることはせず、唯々世界の為に戦い続ける猟兵たち。
 お礼を受け取ること自体に抵抗を覚える者もいたが、対して丈一は大人の余裕。
「ここで遠慮すれば却って失礼というものだ。ご相伴に預かろう」
 とは丈一の言。
 必要以上の遠慮もまた、相手の為にはならない。
 好意を受け取ることもまた必要なのだと、大人の対応を見せていた。

「おっ、これが海賊たちの言ってた珍しい果物か」
 対し、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の内在人格の一人であるアノンは、一人宴から離れ森に入っていた。
 アノンの目的は海賊に聞いたこの島にしか生えていないという一際美味と噂の果物。
 少し思うところのあったアノンは、一人こうして果物を取りに来たのだ。
 アノンはいくつか果物を採取し、抱えたまま戻る。
 キョロキョロと誰かを探し、辺りをうろついていた。
 目当ての人物――丈一を見つけたアノン。
 歩み寄るものの、かける言葉に悩んでしまう。
 そうして思案しているうちに視線が合い、何とも決まず気に果物を放るのであった。

「アノンはわざわざ果物を持って来てくれたのか? 何かわざわざ悪いな」
 グリードオーシャンの世界について知るべく、海賊たちと会話をしていた丈一。
 戻ってきたアノンに声をかけるも、何とも歯に物が挟まったような様子のアノンを見て、不思議そうに首をかしげる。
「魚ぶつけて揺らすのはダメだってロキが言うからな……よくわかんねーケド悪かったよ。詫びに果物採ってきた」
 そもそも謝る、という行為の意味が理解できないアノン。
 彼は同じ内在人格の一人であるロキに散々小言を言われたことから、己が悪いことをしたのだということを薄々理解していた。
 しかしながら、アノンは人生軽々における交流のほとんどが同じ内在人格同士で済まされてきたのだ。
 そこは他人格でありながらも同一人物という特殊な関係。
 そこには謝罪など必要が無く、そうしした人間関係や心の機微に、どうしても疎くなってしまっていた。

「先ほどの魚ぶん投げを気にしてるのか?あまり気にすることでもないさ。あれで小舟がひっくり返ってればお説教だったが、まぁ結果オーライだ。あまり気にしなさんな」
 故にその謝罪も傍から見ればおざなりのもの。
 だがそこには一切の悪感情が無いことを理解している丈一は、何でもないとばかりにくすりと笑う。
「船はひっくり返しちゃダメなのか。わかった」
 ロキのように怒った様子のない丈一を見て、アノンは安心したようにほっと一息。
 屈託のない笑顔を見せると丈一のと隣に座り、並べられた食べ物に手を伸ばすのであった。

「……お、中々に美味いな。これは何という果物なんだろうか」
「名前は知らねー。珍しいの、って聞いた」
 猟兵たちの夜は更けていく。
 彼らの行動は、決して営利目的では無い。
 
「宴?ってのはわかんねーケド魚は美味いな」
 だが、こうして感謝を受け取り、仲間と共に騒ぐ夜も……案外悪くは無いものだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月04日


挿絵イラスト