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シンデレラ株式会社

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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 なぜ自分はこんな所でガラスの靴を磨いているのだろう。そう男は思った。来る日も来る日もひたすらに同じ事ばかりの繰り返しで我ながら飽きにも耐えてよくやるものだ。もっともその虚無の感情に耐えられなくなった同僚は、大声を上げると同時に謎のイソギンチャクのような手に連れ去られてそれっきり、今でもその後の不気味な物音と苦痛の叫びが耳に染み込んでいる。……もっとも救いはある、いや救いなのだろうか。まあどちらにしても少しはマシなはずだ。
 ある時また別の同僚が靴を磨いている最中、突如として扉が開いて一人の女が現れた。
「ああ、貴方が私の王子様なのね! こちらにいらっしゃって!」
 まるで絵本から出てきたような女の胸元には「CEO:シンデレラ」とバカみたいな名前が印刷されていた。どう考えても頭がおかしい女にその同僚は連れて行かれてそれっきり。まあそっちも無事かどうかは分かりゃしないが、触手に巻かれて殺されるよりはまだ生きる目はあるだろう。
 そう思いながら今日も自分はガラスの靴を磨く。……既に自分は狂ってしまっているのだろうか?


「まあ狂っているんだろうね」
 アラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)はひょいと肩を竦めた。彼は今回のお話について説明を始める。
「アリスラビリンスはシンデレラ株式会社という国の一幕さ。そこではアリスの男性たちが集められて、ひたすらにガラスの靴を磨かされているんだ。理由もなく、ね。それが嫌になって投げ出してしまえばどこからか触手が伸びて排除されてしまう。そして恐れながら仕事を続けていればシンデレラが現れて一人の男性を連れて行く」
 まあこのシンデレラもオウガなんだけどね、とアランは皮肉げに笑う。
「君たちにやってもらいたいのはこの国のトップのシンデレラを撃破することさ。ただまずは彼女をおびき出すために、社員の男性たちが仕事を投げ出さないようにコミュニケーションしてやって欲しい。……何、彼らは虚無と無為に満ち溢れてるからどんな話でも付き合ってくれるはずさ」
 要するに話をすればいい、と。上司や後輩、あるいは清掃等の人間っぽく振る舞えば彼らも安心するだろう。余りにも変化のない日常は容易に心を削るものだから、そのアクセントとなればいい。
「なんなら君たちの誰かがシンデレラに見初められるために靴磨きをしたっていい。……ただこちらは容姿に自信のある成人男性にしか反応しないだろうけどね」
 つまりはこの会社自体がそういう目的で作られたものだと言うことなのだろう。
「シンデレラが現れたら戦うことになる……のだが、その前にもう一つ触手の邪魔が入るだろう。そこから先はまあ君たちならなんとかなるだろう」
 グリモア猟兵は中指と人差し指を交差させると猟兵達を送り出す。
「それじゃ幸運を。良い報告を待ってるよ」


西灰三
いつもお世話になっています。
西灰三です。
今回はアリスラビリンスの依頼をお送りします。

詳しい内容はオープニングの通りです。

それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『嫌な現実の国』

POW   :    嫌な奴の嫌がらせに対して、「アリス」を正面から庇う

SPD   :    素早く細工や手回しを行い、嫌な奴の嫌がらせをわかりやすく妨害する

WIZ   :    親身になって「アリス」の話を聞き、慰めてあげる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カビパン・カピパン
社内に見慣れない屋台が存在していた。
「悩み聞くカレー屋」とバカみたいな名前だ。社員の男性たちがのれんを潜って席に座る。店主は愛想の良い顔でいらっしゃいと微笑み、オーダーを聞いてくる。
「カレーライス」
「なっ」
オーダーを言った瞬間に店主は目をくわっと見開いた。

「悩み聞くカレー屋で、カレーうどん以外を頼むなあぁぁー!!」

バシバシ!

店主はカウンターから身を乗り出して、男たちをハリセンでシバく。
「かかかカレーうどんにし、しますっ!」
「そうですか」
瞬間、店主は嘘のように普通の顔に戻ると、にこりと笑う。

「悩み聞くよ、カレーあるよ」
カレーうどんが置かれる。
そう、ここはカビパンの悩み聞くカレー屋第三号支店。




 黙々と靴磨きをする社員達、言葉もなく無表情の彼らは無心で働いている。まるでそれ以外が許されないとでも言うように。
「………?」
 しかしある時彼らの腕が鈍くなる、久しぶりに彼らの鼻が働いたのだ。……それはスパイシーな香りであった。その出本を探すために彼らは一時手を止めて立ち上がり歩き始める、そして目標を見つけたのはそれから程なくしてだった。
『悩み聞くカレー屋』
 とある部屋の一角にそんな看板を出している屋台が設えられていた。その中には腕を組んだカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)が立っていた。靴磨きの男性たちはお互いに目配せをしながらも、手前に置かれた椅子に腰掛けた。そしてその内の一人がおずおずと注文をする。
「ええと……カレーライス……?」
 半疑問形の注文が発せられると店主の目がくわっと見開かれる、
「なっ……!?」
 その形相と漏れた声に男性たちは首をすくめた、そんな彼らに店主は更に続けて怒鳴る。
「悩み聞くカレー屋で、カレーうどん以外を頼むなあぁぁー!!」
 どう考えても理不尽怒りを上げながら、席についた彼らを薙ぐようにハリセンで叩いていく。なにこれシュールギャグ?
「かかかカレーうどんにし、しますっ!」
「そうですか」
 とりあえずNPCのセリフをプレイングで指定するのはどうかと思うんだ。ともかく自分の思い通りのを発言した彼らに店主は菩薩のような表情を浮かべる。これただのパワハラじゃね?
「悩み聞くよ、カレーあるよ」
 そう言って彼らの前にカレーうどんが置かれる。……そう、ここはカビパンの悩み聞くカレー屋第三号支店。しかし店主は知らない、この店の寿命があと僅かであることを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ドゥルジー
記憶も行き場もねえアリスをシンデレラがとっ捕まえて強制労働とか何そのファンタジータコ部屋
触手がどうこう言ってたけど流石にそっちはタコじゃなくてイソギンチャクか
どっちみちおとぎの国にはそぐわなくね?
俺が云うのもなんだけど

ところでこう見えて俺、靴磨きってやつァ好きなんだ
お洒落は足元からっていうもんネ
労働を強いるのはダセェけどそこは同意よ

だから社員に紛れて真面目に靴を磨くぜ
容姿に自信はあっけどお姫様に見初められるタイプかは自信ねーなァ
ま、ひとりくらいPUNKな王子がいてもいいんじゃね?

そっちが無理そうだったら靴を磨きつつ
俺今日から入ったばっかなんすよ
先輩はいつからここで働いてんすか?
とか雑談を振る




(「記憶も行き場もねえアリスをシンデレラがとっ捕まえて強制労働とか何そのファンタジータコ部屋」)
 ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)は彼らに並び靴を磨いている。その視線は時折靴ではなく周囲に向けられている。
(「そういえば触手がどうこう言ってたけど、流石にそっちはタコじゃなくてイソギンチャクか。……どっちみちおとぎの国にはそぐわなくね? 俺が云うのもなんだけど」)
 悪魔たる彼が御伽噺の世界の、妙に地球的な会社で、ガラスの靴を磨くというのがなんともおかしい。それはそれとして彼の手は丁寧にガラスの靴を磨いている、日頃から身だしなみに気をつけている彼は足元の重要性を理解している。
(「労働を強いるのはダセェけどそこは同意よ」)
 確信に満ちた彼の手はよく働く、そんな新人の手の動きに気付いた隣の男が彼に声をかけてくる。
「……大分頑張ってるな」
「ええ、こう見えて俺、靴磨きってやつが好きなもんで」
「こんな所で気合を入れたってなんにもなりゃしねえよ」
 疲れた声が帰ってくるがまだ狂気には染まってないらしい男にジャスパーは続けて雑談を振る。
「先輩はいつからここで働いてんすか?」
「さあな分からねえ、ここには時計もカレンダーもありゃしねえから。……ただ」
「ただ?」
「何人いなくなったかは覚えてる。『腕』にさらわれたのが5人、女に連れて行かれたのが2人だ。全部気づけてりゃな。お前は女の方に連れて行かれるかもな、顔が良いのが命取りだったな」
「容姿に自信はあっけどお姫様に見初められるタイプかは自信ねーなァ」
「まあそのうち分かるさ、そのうちな」
 PUNKな王子候補はその時を待つ、ここで話していればいずれ現れるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

弥久・銀花
ん~? なってない、なってないですね

ほらここ、まだ少しガラスが曇ってますよ

まだ終わってないガラスの靴を貸してみて下さい、お手本を見せてあげます


ユーベルコードの傷跡の記憶でパワハラ攻撃を予測し、一番アリスの負担が軽くなる様に対応します

とりあえずは仕事をスムーズに行えるようになると気が楽になる物です

さっさと自分の分の仕事を終わらせた、頼れる先輩の同僚って感じで仕事を手伝いましょう




しかし、今回の私のユーベルコードの技量……、動きに悲しみが染みついているような……?




「ん~? なってない、なってないですね」
 必死に磨いているガラスの靴の一つを突然取り上げて弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)がベテラン口調でダメ出しをする。
「ほらここ、まだ少しガラスが曇ってますよ」
「……後でやるつもりだったんだが」
 自分より年下の、というか中二病真っ盛りっぽい少女にそんな事を言われては流石に来るものがあるのだろう。もっとも彼女はそんな機微も気付けてはいないようだが。
「まだ終わってないガラスの靴を貸してみて下さい、お手本を見せてあげます」
 そう言って彼女は彼の隣に座ると、いつも刀を磨く時と同じように丁寧に仕上げていく。まあ元の能力値からして違うしね。
「はい、一丁終わりです。……こうやって仕事をスムーズに行えるようになると気が楽になる物です」
「別に早くやろうが遅くやろうが変わらねえよ」
 銀花の隣の男はそう呟いた。ここではガラスの靴を磨くことしかできないのだ、早く磨けたところで、次の靴を磨くだけ。それに終わりはない。
(「この動き……悲しみが染み付いているようですね……」)
 そういう意味で言えばここでは疲れない程度にやるのが最適解なのかもしれない。銀花は辺りから出てくるという触手を窺いながら、彼らの手伝いを行うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アハト・アリスズナンバー
WIZ判定の挑戦 アドリブ歓迎

私はアリスの物語を幸せに導く者。それがどんなアリスの物語でも。
……仕事なんでしょうかこれ。ガラスの靴でも売ってるんでしょうか。

あまりにも疲れてるだろうアリスに、会社の同僚に扮して終業後にお酒をあげて【宴会】ついでに話を聞いてあげます。
疲れましたよねえ。ええ。ええ。ささ、ぐいっと飲んで全部愚痴吐いちゃいましょう。

あ、そうそう。なんでもこの会社に今度、労基が入るらしいですよ?
そしたら会社も変わらざるを得ないから、それまでの辛抱ですよ。

この不思議な国にまで来て、虚無に働くなんて悲しい物ですよね。
それじゃあ、CEOに経営指導に行きましょうか。




『私はアリスの物語を幸せに導く者。それがどんなアリスの物語でも』
 とはアハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)が自身を規定する言葉である。そんな彼女だがこの国のこの状況には面食らう。
「……仕事なんでしょうか、これ。ガラスの靴でも売ってるんでしょうか」
 どうもそうは思えない。少なくともここにいるのは靴磨きのアリスだけで、販路に関わる者は見えない。とりあえず彼らとともに靴磨きに精を出し、頃合いを図る。
「……疲れましたね。どうでしょう、休憩がてらに、一杯」
 彼女はくいと呑む動作を隣の『同僚』に見せる。
「……さ……け?」
「はい、お酒です。美味しいですよ?」
 久しぶりに言葉を発したのだろう靴磨きは、彼女に誘われるままその場を離れて屋台へと向かう。なんかカレーうどんしか置いてない店だが、小分けすればつまみ程度にはなるだろう。
「疲れましたよねえ。ええ。ええ。ささ、ぐいっと飲んで全部愚痴吐いちゃいましょう」
 アハトが彼に猪口を持たせて酌をすると、男はその中身をすぐに飲み干してその代わりに大きな溜息を放つ。
「……あぁぁ……」
 端から見ればただの呻きにしか過ぎないが、その響きの中には余りにも多くの感情が含まれているのが察せられた。そしてそれが感情の蓋だったかのように、溢れる言葉がひたすらに流れていく。それはそれは淀みを伴って。彼が一旦言葉を尽くした時、アハトも手にしていた猪口を机に置いて口を開いた。
「あ、そうそう。なんでもこの会社に今度、労基が入るらしいですよ? そしたら会社も変わらざるを得ないから、それまでの辛抱ですよ」
「本当か!?」
 身を乗り出す彼の前で再び一杯を傾けながら彼女は返す。
「この不思議な国にまで来て、虚無に働くなんて悲しい物ですしね」
 彼女はそう言うと椅子から立ち上がり、男はそれを見上げる。次の彼女言葉に唖然とした表情を浮かべて。
「それじゃあ、CEOに経営指導に行きましょうか」
 アハトの整った顔が不敵な笑みを浮かべていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユヌ・パ
ねえ、おじさん
あたしの靴も磨けるかしら?
と、自分の足元をさして話しかけてみるわ
彼らの気が紛れれば、なんでもいいんでしょ

あたし、この仏頂面だから笑顔で聞くのはムリだけど
相づちをうったりして、親身に話を聞くわね
なんでもいいの
おじさんのこと、教えてちょうだい


仕事を投げ出しそうなヒトが居たら
優先して護りに入るわ
あたしの眼の前で、だれひとり連れて行かせやしない

触手には、触手で対抗してやりましょう
ほどいた「髪の毛」を複数の手の形に変え、捻りつぶす
遠距離位置の触手は、髪を盾代わりにしてカバーする

驚かせてしまったらごめんなさい
でもほら、見ていたでしょ?
これならイソギンチャクにもシンデレラにも、負けないと思うの




 男は無心で硝子の靴を磨いていた、それは現実からの逃避でもあるし、或いは辛うじて生き残れるかも知れない行動であったから。……だから二色の皮で設えられた革靴を差し出された事に最初は気付かなかった。
「ねえ、おじさん」
 垂れた頭の上から少女の声で、それでいて倦んだ大人のような口調で呼びかけられた。男がようやく視界の中に見慣れない靴があるのに気付き、それを履く足を遡れば彼を見下ろすユヌ・パ(残映・f28086)の顔があった。
「あたしの靴も磨けるかしら?」
 男は再び顔を下ろすと磨きかけの硝子の靴を脇に置き、新しい布を取り出して彼女の靴を磨き始める。そんな男を見ながら彼女は適当な物に腰掛けてじっとその作業を見る。
「おじさん、ここで靴磨きして長いの」
「あぁ」
 初めて男から帰ってきた声は肯定にも聞こえるし、肺から空気が漏れ出ただけの音にも聞こえた。しかし彼女は表情を変えず「そう」とだけ返す。
「なんでもいいの。おじさんのこと、教えてちょうだい」
 淡々と少女は問い、男は手を動かしながら言葉を零していく。何も分からずにこの世界を彷徨っていた事、人食い鬼達から逃げ惑っていた事、そして南瓜の馬車に捕まってここに連れてこられた事。少女は仏頂面のまま頷きを返してはいるが、果たして興味があるかどうかは分からない。……その時だ、叫び声が上がったのは。
「……もう、もう沢山だ! いっそ殺してくれ!」
 そう叫んだ男が立ち上がると、その周囲の床が薄紅の肉塊と変じてそこから触手が伸びて襲いかかる。
「おじさん、お願い」
 少女は磨いている途中の靴を脱ぎ捨てて裸足で走り寄る。それと同時に彼女の束ねた長髪が解け手の形をとって触手を掴む。髪の手の力は強く触手を括って千切る、短くなった触手は痛みから逃げるように床へと引っ込み元の状態へと戻る。それを確認した少女は磨かかれた靴を履き直して、男に言葉を投げかける。
「驚かせてしまったらごめんなさい。でもほら、見ていたでしょ?」
 少しだけ、そうほんの少しだけ軽い響きがこもっているのを男は聞き取った。
「これならイソギンチャクにもシンデレラにも、負けないと思うの」

大成功 🔵​🔵​🔵​

涼風・穹
……自分磨きならぬガラスの靴磨きをしていると女性に見初められる、かもしれない、と…
……UDCアースなら犯罪行為に加担させるとかもっと質の悪いブラック企業もあるような気が…

売店の出張販売のような感じで菓子類や飲み物、カップ麺等の軽食を売り歩きます
退屈な日々に、文字通り一味加えるアクセントを…なんてな
ついでに前職は何か話を振ってみます
代金は…払えそうなら貰いますが、まあ無理そうなら何か一点位ならサービスという名目で渡しておきます
福利厚生どころか給料も払わずに働かせているなら経営者が悪い
全てシンデレラへのツケにして後で纏めて請求しておきます
……まあ命で払わせるのならかなりの暴利のような気もしますが…




 仕事場にガラガラと音が鳴り響き、にわかにアリスたちの顔が上あがる。その彼らの視界の端にはカートを押す涼風・穹(人間の探索者・f02404)の姿があった。
(「……自分磨きならぬガラスの靴磨きをしていると女性に見初められる、かもしれない、と……」)
 彼は自身の出身地である世界を思い浮かべそれと比べる。
(「……UDCアースなら犯罪行為に加担させるとかもっと質の悪いブラック企業もあるような気が……」)
 しかしそれは甘い考えだろう、何故ならばここは逃げることも許されないオウガの国である。どう転んでも無事に抜け出せる世界ではない。何故なら狂う事すら許されないのだから。そんな彼らの少しでも救いになるかと、彼が持ってきたのは菓子類やドリンク。カップ麺の類であった。
「いらっしゃいまーせー。退屈な日々に、文字通り一味加えるアクセントを持ってきたぜ」
 そんな彼の元に三々五々に男たちが集まってくる、見た感じ手持ちはなさそうなので適当に見繕って渡していく。そもそもこのアリスラビリンスで共通して使える貨幣等はないだろう。そもそも福利厚生どころか給料さえなさそうだ。
「代金は良いのか?」
「ああ、経営者から出るからな」
 後払いでな、と彼は言葉を飲み込んだ、シンデレラの命で払わせるのは暴利な気もしなくは無いが、問題は無い。
 ……何故なら彼女は人食い鬼(オウガ)であるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祓戸・多喜
賽の河原の石積み?目標も分からない仕事って拷問じゃない!
そんな悪い会社もといオウガなんて滅茶苦茶にしてアリス達を助けないと!

そんな訳で新入社員の祓戸です!よっろしく!
明るい感じのノリで自己紹介しつつ靴磨きに取り掛かる。
後輩が入るっていうのはなんか刺激になるのかも?ぐいぐい押す感じでアリスの皆に仕事聞く名目で話しかけて状況調査。
特にメンタルギリギリそうな人には手伝ったり馬鹿話したりして少しでも気を紛れさせてみる。
アタシも仕事頑張らないとね!
…ところで仕事投げだしたら触手ごあんなーいらしいけど不可抗力で壊れたら…?
力加減ミスらないように気を付けるけど、やらかしたらゴメン!

※アドリブ絡み等お任せ🐘




 祓戸・多喜(白象の射手・f21878)が予知の内容を聞いた時、彼女はこう言葉にした。
『賽の河原の石積み? 目標も分からない仕事って拷問じゃない!』
 怒りのままにのっしのっしと悪い会社、もといオウガを倒して彼らを救うために転送された彼女は開口一番。
「そんな訳で新入社員の祓戸です! よっろしく!」
 「どんな訳だよ」「というかあれ象だよな?」「でも女の子の声だったぞ?」「俺、ここに来るまでああいうの見た事ある」「本気で?」「じゃあ『愉快な仲間』か」とまあ流石のアリスの男性たちもあまりのインパクトに言葉を交わす。よいしょっと、と彼女が座った椅子が頑張っている。無論その上も彼女も仕事やお話に頑張ってる。
「すみません! ここってどう磨くんですか?」
「お、おう。それはな……」
 アリスは本来この世界の住人ではないからか、やや戸惑っている。なんかもう彼女の存在自体が強すぎる。そんな彼女の図太い指がガラスの靴を磨いていた時、事件は起きた。
 ……ぱりん。
「あっ」
「あっ」
 ついうっかり力を込め過ぎてしまったばっかりにガラスの靴が割れてしまった。そして彼女をお仕置きせんと触手が伸びて襲いかかる。
「ゴ、ゴメン!」
 触手が彼女の手に巻き付き動きを封じようとするが、すかさず頭を下げ手を両脇にピッタリとくっつけた姿勢を彼女は取る。縛ったつもりの触手は逆に引っ張られhきぬかれてしまう。
「あ、あれ?」
 彼女は今自分がした事に気付いていない。青春力恐るべし。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『迷路実験の主』

POW   :    心因性の負荷課題
戦場全体に、【対象の心的外傷を模す敵を配置した、肉】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    可能性の袋小路課題
戦場全体に、【対象が渇望するものを模す敵を配置した、肉】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    不可逆性の報酬課題
戦場全体に、【対象が失くしたものを模す敵を配置した、肉】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑5
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達が社員であるアリスたちと交流していると、扉が開かれる。
「さあ! 今日の王子様は誰かしら!」
 現れたのはシンデレラ、彼女の姿を見るとアリス達の顔が強張った。しかし、表情を変えたのはオウガも同じであった。
「なんで部外者の人がいるのかしら? 警備員の皆さん、この人達を放り出して!」
 彼女がそう叫ぶと社内がの様子が一変する。白系の壁がや灰色の床が、薄いピンク色の肉塊に置き換わり猟兵達だけを隔離するように壁が生まれる。しかもそれぞれの前に記憶の中から作られたセキュリティまで付いている。これを撃破してついでに何処かに隠れている警備員も倒さなければCEOの部屋にはたどり着けないらしい。
 猟兵達は曲がりくねった廊下を走り抜け、シンデレラを追うことになる。
弥久・銀花
アドリブ、他の人との絡み、ピンチシーン歓迎です



気持ち悪っ!
人を化かしてたにしてもこれはあんまりですよ!

溶かされそうな気もするので早めに出て行きたいですね。



どこか見覚えの有る嫌なモノが敵として現れました……、さっさと斬り倒して先へと進ませて貰います!(銀花のトラウマは、子供の頃に数年ほど捕らえられて、捕らえられている間、ほぼ完全に身動きが取れない様に拘束されて実験動物にされてしまっていた事です、拘束してくる敵が出て来るでしょう。 敗北もありです。)


何か出てきたらユーベルコードの鋭刃線閃で斬り裂いて通路の先へと進みます
あの頃とは違うんですよ




「気持ち悪っ!? 人を化かしていたにしてもこれはあんまりですよ!」
 弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)は空間が変じた瞬間には走り出していた。経験上この手の相手には碌な目には会った記憶はない。溶かされるとか。ブーツ越しの感触も気持ち悪く長居は無用だ、出口をさっさと見つけるべく手当たりしだいに角を曲がった所でばっと後ろに飛び退いた、彼女の視界にはこの肉の迷宮に似つかわしくない存在が表れていた。
「……なんです? これは、なにか嫌な感じですが……」
 それは黒尽くめの人型で、手に縄などの彼女を捕らえるための道具を持っていた。それが自身より強い存在だとは到底思えないにも関わらず、背中を冷たいものが走る。
「……さっさと切り倒して先へと進ませて貰います!」
 しかし迷いも一度、彼女は一気に通り過ぎ、その後には真っ二つになった人影が残るだけ。剣を収めて再び彼女は走り出す。
「あの頃とは違うんですよ。……あの頃って何がありましたっけ?」
 今の相手が自らの記憶から呼び出された敵であることも知らず、彼女は駆ける。彼女にとってそれは遥か遠くに置いてきたものに過ぎなかっただけのモノだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アハト・アリスズナンバー
【SPD】
これはまたえぐい感じの迷路ですね。シンデレラはなんでこんなセキュリティを置いたんでしょうか。
こういう迷路を解くのは私は苦手です。仕方ありません。救援を要請しましょう。
UCを起動して、私より優秀な者たちに迷路を探らせます。ついでにドローンも飛ばしておきましょう。彼女たちに【第六感】を使用させて居場所を割り出します。
警備員を見つけ次第、【団体行動】を利用してネットワークで総員に居場所を送信。
総員で攻撃して蹂躙しましょう。ドローンは【騙し討ち】で意識外から攻撃させます。

私?いやだってそこに酒があるんですもの。
待って取り上げないで




「これはまたえぐい感じの迷路ですね」
 アハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)はぐいっと一献やりながら座って周りを見ていた。
「シンデレラはなんでこんなセキュリティを置いたんでしょうか。……あ、結構良いお酒ですわねこれ」
 こんな気持ち悪い空間が現れたときに彼女の目の前にあったのが晩酌セットであった、これはもう飲まざるを得ない。自分の分身を呼び出してドローンもつけて迷宮の探索に赴かせて、自分は一杯。良い御身分である。そして彼女が一瓶空にして、次の瓶を開けようとした所で分身が一体帰ってくる。
「もう一本飲んだの? ……早く行きましょう」
「思いの外美味しくって。ああ待って! 引っ張らないで! もう一杯、もう一杯だけだから!」
 分身の一体が彼女の手を引き体勢を崩した瞬間、彼女の体のあった空間をピンクの触手が貫いた。
「ほら敵ですよ! ……酔いが足に来てるじゃないですか!」
 千鳥足で彼女達は敵から逃げ出した、迎撃を完了した頃には既に酔いはさめていて、代わりに。
「うう、気持ち悪い……」
 あからさまな罠にかかった代償を受けていたそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ドゥルジー
おいおい随分物騒な警備員だな
そんな奴らで俺が止まるとでも?

手にした折り畳みナイフで腹ァ掻っ捌いて【ジャバウォックの歌】
相棒の魔炎龍を召喚して騎乗する
重役が逃げねェうちにさっさと脱出しようぜ
『障害物』は相棒の炎で纏めて焼き払う
――なるべく視界に収めたくねェ

黒い炎で燃えて崩れ落ちる『心的外傷の模写』は
俺がオウガブラッドになる前の記憶
別世界に逃げてでも生き延びたかった
それだけだったのに、そのせいで、
何百もの人間が死んだ

ちげェよ、俺は
ジャスパーだ
アリスラビリンスのジャスパー・ドゥルジーだ
この身に宿るジャバウォックがその証拠だ

地獄へ誘う幻影へとナイフを投げつける
生き延びた俺は
生き続けるぜ




 腹部から血を流しそれと同じくらいの鱗の上にジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)は乗っていた。鱗の主はその口から黒い炎を吐き、肉の迷宮のところどころを焦がしながら道を走り回る。『カノジョ』はある曲がり角を差し掛かった所で、相棒の命ずるままに炎を吐き、そこにあったものを焼く。しかし黒炎に巻かれたそれはなお、両の足で立っていた。
 『カノジョ』はどうしようかと視線を向けようとしていたが、背の上の彼は既にナイフを人影に投げつけていた。鋭い切っ先が炎の中に吸い込まれると、人影は力尽き床に倒れて炭へと変わっていく。『カノジョ』は事が済んだと再び迷宮を行く。相棒が何かを呟いていた。

 ――それは記憶だった。
 彼が彼ではないときの。逃げて、逃げて、また逃げて。異界にまで逃げたその足跡には無数の人の死体が踏み場もなく積まれていた。
(ちげェよ)
 それは自分ではない。
(俺は、ジャスパーだ。……アリスラビリンスのジャスパー・ドゥルジーだ)
 自分の血肉そのものであるジャバウォックはここにある。だからアレは俺じゃない。
「生き延びた俺は、生き続けるぜ」

 生き延びられなかった焼死体を後にして彼は行く。悪魔になった彼は振り返らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユヌ・パ
一面の肉塊を見るなり、うわ、と眉間に皺
……さっき千切ったのはコレ?
あんな肉塊に触られるくらいなら
相棒に肉をかじられる方が、いくらかマシってものだわ

迷路なら出口があるのよね
出口があるなら、しらみつぶしに探せばいいのよ
警備員は…とりあえず
壁床天井に、目玉みたいのがないか探すわ
それで、目潰しでもしてやればいいかしら?


意識を残し、身体はオウガへ
ほどいた髪も手の形にして
全方位の護りを固める

セキュリティは
生前、ユヌを生贄にしようとした邪神(呪い神)
オウガごと殺された

さあ。もう一度よ、相棒(オウガ)
あの屈辱を覚えているでしょ
あんたも、あたしごと殺されたんだから

あいつと再開した時のための
予行演習といきましょう




「……さっき千切ったのはコレ?」
 眉間に皺を寄せてユヌ・パ(残映・f28086)は迷宮の壁を見る、脈動する壁に決して手を触れようとはせず慎重に道を行く。ここが迷宮なら何処かに出口が有るはずだ。
「こんなのに触られるくらいなら、相棒に肉をかじられる方がいくらかマシってものだわ」
 先程自らの髪で引きちぎった触手の感触を思い出して身震いする。あれの持ち主ともう一度戦うとなると、少々気が滅入る。それでもここで無防備に歩くわけには行かないと、体内のオウガに肉をくれてやる。先程触手を握りつぶした髪の手も再度まとめ直して、慎重に歩みを進める。
 ……そんな彼女を待ち受けていたのは思いもよらない相手であった。
「こいつは……!」
 ユヌの血とオウガの炎が同時に沸き立った。忘れもしない、それは自らの仇、自分達を取り込もうとした呪神の姿であった。恐るべき相手にして倒すべき敵。ただこの中には生贄となった己を感じ取ることはできない、恐らくただの模造品に過ぎないのだろう。
「さあ。もう一度よ、相棒(オウガ)。あの屈辱を覚えているでしょ」
 だがそれを模っているという理由だけで倒すには十分すぎる理由であった。
「あんたも、あたしごと殺されたんだから」
 再びそれと見えたときにの予行練習として彼女とオウガは怯むこと無くそれに挑みかかる、あとでこれを呼び出した警備員とやらにも礼が必要だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

涼風・穹
完全に隔離されるまでに間に合うのならシンデレラへ《影の追跡者の召喚》でストーカーをプレゼント
迷路をどう抜ければ良いのか手本を示して貰うとするさ

……まあそれはそれとして
確かに俺は平穏な日常を失くしたし、今更取り戻せるかは兎も角それを求めてもいるという自覚はある
しかしだからといってただの学生だった頃の俺がセキュリティとして役立つとも思えないし、戦闘能力は強化してあるとしてもこの世で一番殴り易い相手なのは変わらないんだけどな…

迷路を進む際は迷わないように要所に傷を付けて目印を残しておく
警備員は見付け出して『風牙』で斬る
しかし敢えて言いたい
男相手に触手って誰得…?
まさかシンデレラは腐っているとでも…?


祓戸・多喜
うわなにこれ!こんな所にアタシ達入社しようとしてたの?
とんでもない詐欺会社ね!欠片も残らない位くしゃくしゃにしてやるんだから!

最初に全力で引き絞った矢を壁に一射。
んーこれは普通に突破した方がよさそうね。
そんな訳で迷路を進めば敵っぽいのみっけ!
何となーく大学生っぽい敵だけど…やっぱアレかな、夢のキャンパスライフ。
勉強頑張って大学受かって青春!っていうのが今の目標だし!
それともそこでの新しい友達なのかよく分からないけど…でもまあ、倒さなきゃ大学生活どころじゃないし。
割りと躊躇いない感じで空に弓引き絞ってUCの矢を降らせるわ!
もしアリスとか巻き込みそうなら一体一体叩き潰す!

※アドリブ絡み等お任せ🐘




 そこは肉の迷宮、ではなかった。むしろそのようなおぞましいものでは無く、アースなどに見られる平穏な大学のキャンパスであった。
「何、ここ? 大学?」
 祓戸・多喜(白象の射手・f21878)が余りにも平穏な世界に戸惑う。ここには敵意はなく、そして先ほど見えた肉の壁も、無機質な会社の名残も見えない。行き交う学生たちはまるで一般的なそれと見分けがつかない。
「いつの間にか夢のキャンパスライフを過ごせる国に来ちゃったの?」
 たとえここが不思議の国のアリスラビリンスだとしても急に移動したでもあるまい。戸惑う彼女の前で両手をポケットに突っ込んだ涼風・穹(人間の探索者・f02404)が歩いていく。何かを探して迷っているようだが、この空間に惑わされて見つけられてはいないようだ。
(「校舎を抜けたら大学か……、何も無ければ俺もこういう生活を送っていたんだろうが」)
 かつて過ごしていた普通の日々が懐かしい。こんな世界を見せつけられて出られないのなら、やはりまだ未練はある。そんな事を考えているとドタドタと足音を立てながら多喜が彼の元へ向かってくる。
「……俺の記憶には二足歩行の象はいなかったはずだが」
「あなた猟兵ね、ここ何処だか分かる?」
 彼の呟きが彼女の大きな耳に拾われなかったのは幸いと言っていいだろう、ともかく2人はこの状況を相談する。
「これは俺たちの記憶から作り出されたものなんだろう、大方さっきの会社も似た感じで作られたものなんじゃないか?」
「うわなにそれ! とんでもない詐欺会社ね! ……記憶?」
 多喜がふと腕を組んで考える。
「勉強頑張って大学受かって青春! っていう今の目標も記憶?」
「そうだろうな。多分俺のと近かったから近くに出られたんだろう」
 そんな話をしていると目の前で穹とそっくりな冴えない男が歩いていく。
「あなたあんな雰囲気の生活に戻りたいの?」
「……まあ。多分だがあれを含めた人型のがこの世界の核だろうから全部倒せばいいだろうぜ」
 彼は風牙を抜くと自分そっくりの存在へと斬りかかる。その彼を見て多喜も弓を手に取り、天に向かって弓を引く。
「欠片も残らないくらいにくしゃくしゃにしてやるんだから!」
 空に向かって放たれた矢が地上に帰ってくると共に無数に分かたれて、キャンパスやそこにいる学生の幻影を撃ち抜いていく。偽物の大学キャンパスじゃなくて本物のキャンパスに行きたいのだ、彼女は。

 矢の雨が終わると周りは肉の壁の迷宮へと戻る、そして彼らを観察していたであろう迷路実験の主が逃げようとするのを穹が背後から切り捨てる。
「迷路が無くならない? ……えいっ!」
 多喜が壁に一射するが単に突き刺さるだけで壊れる気配はない。どうも迷宮を他に作っている存在がいるのだろうと判断して彼女はため息をつく、ここからまた正解の道を探すのかと。しかし穹は確信した様子で足を踏み出す。
「問題は無い。さっきシンデレラの手本を見せてもらったからな」
 周りが迷路になる前に彼は追跡者を放っていたのだ、あとはそれを追うだけでいいと彼は言う。穹と多喜は迷宮をスムーズに抜けていく、その中でふと彼が呟く。
「ところで男相手に触手って誰得なんだ……? まさかシンデレラは腐ってるとでも?」
「……大学行けててもダメだわアンタ」
 同年代の猟兵2人はそんな事を話しながらCEOの元へと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『シンデレラ』

POW   :    カボチャキャバリア
自身が操縦する【カボチャの馬車に乗り、そ】の【UC耐性を持つ馬車の重装甲】と【轢き逃げ攻撃の威力・速度】を増強する。
SPD   :    魔性の硝子細工
【ガラスの靴】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、ガラスの靴から何度でも発動できる。
WIZ   :    ビードロキック
【防御貫通効果を持つ、蹴り】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達が肉の迷宮を抜けてたどり着いたのはふかふかの赤い絨毯の敷き詰められた小さな部屋、そして彼らの前には大きい両開きの木造り豪奢な扉、猟兵達が扉をあけるとそこには広いダイニングキッチンがあった。
「わっ!? ここまで来てしまったの!? プライベイトって読めなかったかしら?」
 そしてそこにはキラキラした大振りなキッチンナイフを持ったシンデレラがいた、これから料理をするつもりだったらしく、ボードの上には『肉』が置いてある。彼女はナイフを置き、タオルで手を拭いて猟兵の前に来るとプリプリと怒りながら指を立てる。
「アポイントメントの無い方はお引取り願えますかしら? もし直ちに帰らないのなら少々手荒な扱いになりますわ」
 シンデレラの瞳は猟兵を見る、どうやら王子様とは見なされてはいないらしいが、もとより猟兵たちにとっても単なるオウガだ。早々に退陣要求を通すべく猟兵達は武器を抜いた。
弥久・銀花
え!? アポイントメントなら取って有りますよ?

背後の扉から私のユーベルコードのオルタナティブ・エネミーで作ったシンデレラを登場させます


さて、新しいシンデレラも来たので中古のシンデレラには出て行って貰いましょう

抵抗する気ですか?
やってみて下さい!

SPDのユーベルコードの撃ち合いになったらシンデレラの無限増殖になってしまうので、私の動きが肝要ですね……

【先制攻撃】のスキルで一体を全力で倒したら後は数の均衡が崩れます

どんどん畳みかけて数の暴力で圧し潰しますよ!


アハト・アリスズナンバー
アドリブ歓迎
貴方がここのCEOですね?
我々はこの会社が、労働基準法を守られてないと聞き、経営指導に来ました。
端的に言えばあなたを倒して社員を解放します。武力行使ストライキです。

WIZ
相手の威力ある攻撃は怖いですが、そもそも近づけさせなくすればいいのです。
近づいてくるなら【逃げ足】をしつつ、【制圧射撃】で足止めします。
距離を取ってUCを使用し、弾幕を張りつつ私も【スナイパー】を使用してガラスの靴を【貫通攻撃】の性質を持った弾を【誘導弾】で撃ちます。

シンデレラと言えば、童話としては女性のあこがれと言われますが、これに憧れたいとは思いませんね。
こんな会社にはさっさと退職届を出しましょう。




「貴方がここのCEOですね? 我々はこの会社が、労働基準法を守られてないと聞き、経営指導に来ました」
「そんな勝手に土足で入り込んできて勝手な事をおっしゃるのね?」
 アハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)が厳しい口調で言うと、シンデレラもまた同じ口調で怒気を滲ませる。そんな緊張感が高まる最中、弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)がすっとぼけた口調
「勝手? アポイントメントなら取って有りますよ?」
「私は出した覚えが無いのだけれど、貴女の勘違いじゃないかしら?」
「いえ? 確かに私は『シンデレラさん』からアポイントメントを取りましたよ?」
 銀花がそう応えると同時に扉を開けて目の前のシンデレラと瓜二つの存在が現れる。……無論これは銀花のユーベルコードによる仕込みであり、本物ではない。しかし、これによりアハトの言葉に名目が立つ。
「さて、新しいシンデレラも来たので中古のシンデレラには出て行って貰いましょう」
「端的に言えばあなたを倒して社員を解放します。武力行使ストライキです」
 2人が言い放つとシンデレラはふうと息を吐く。
「分かりましたわ、社員の代行という事でしたら受けて立ちましょう」
「抵抗する気ですか? やってみてください!」
 剣を手に『シンデレラさん』と共に接敵する銀花、2人のコンビネーションで攻撃を仕掛けるが、ガラスの靴同士がぶつかった時に戦場に2人のシンデレラが現れる。
「しまった!」
 このままだと倍々ゲームで戦場がシンデレラだらけになってしまう、それは避けねばならない。
「なら、全員近づけなくすれば良いのです」
 混乱しかけた戦場へとアハトが刃付きのドローンとレーザーを投げ込んだ。即席の舞踏会の中でシンデレラコピー達が数を減じていく、が本体は未だ健在だ。……逆に言えば狙いが絞れたという事でもある。
「アリスコード送信。対象をジャバヴォックと認識。ヴォーパルソード射出用意」
 そしてアハトの周りに無数の剣が生まれる。それは対怪物に特化した、シンデレラという美女の皮を被った怪物を討つための剣。それが放たれればシンデレラ一人の剣の舞が始まる。
「このまま私も畳み掛けて数の暴力で圧し潰しますよ!」
 剣の嵐の中に身の危険も顧みず銀花が飛び込む、刃の嵐の中できりきり舞いのシンデレラを見てアハトは肩をすくめる。
「シンデレラと言えば、童話としては女性のあこがれと言われますが、これに憧れたいとは思いませんね。こんな会社にはさっさと退職届を出しましょう」
 少なくとも童話のシンデレラは怪物ではなかろう。怪物株式会社ならもっと穏当なものもあるはずで、どちらにせよ碌なものではない、早期退職の代行申請をするのが優先されるべきことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高宮・朝燈(サポート)
『私とおかーさんが居れば、どんなオブリも大丈夫!』
 妖狐のガジェッティア×電脳魔術士、7歳の女です。
 普段の口調は「ちょっとだけメスガキ(私、あなた、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、機嫌が悪いと「朝燈スーパードライ(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは、レギオンガジェット>お料理の時間>その他と言った感じです。レギオンガジェットで出てくるガジェットはお任せします。大抵補助的な役割を好みますが、多少の怪我は厭いません。口調はませたメスガキですが、性格的には良い子で、基本的に犯罪的な行為はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「……シンデレラ?」
「ええ、私がシンデレラですよ」
 応援要請を受けてアリスラビリンスに降り立った高宮・朝燈(蒸気塗れの子狐・f03207)は怪訝な表情を浮かべた。
「ウッソだ~! シンデレラがオウガなわけないって」
「本当ですってば、信じてくれませんか?」
 UDCアースの小学生的にはシンデレラと言えば物語のお姫様である、少なくともガラスの靴で強烈なキックをドレス姿でしてくる存在ではない。当たったらバール先生が粉々になりそうな攻撃をなんとかかわして朝燈は赤いボタンをぽちっと押す。
「よーし、今回もレギオンガジェット、行ってみよう!」
 そして彼女の搭乗するバール先生の口から小さな魔女のお婆さん型のロボがわらわらと現れてシンデレラを取り囲む。
「お婆さんの言うことを聞かないシンデレラもどきなんて退治しちゃえ!」
「私、何一つ悪いことなんてしてないのに……、趣味が悪いですわ」
 杖でボコボコ殴ってくるレギオン達を蹴っ飛ばしながらもダメージを受けていくシンデレラ。しかしてその精神はオウガそのものの思考であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

祓戸・多喜
あーいたいた!アンタがあの悪趣味な会社の黒幕ね!
あーんな迷宮とか諸々趣味悪いしブラック企業ごと潰しちゃうんだから!
アポイントメント?これがアンタの最期の予定だからもう気にする必要もないわよ!

基本はUC使用後の剛弓での支援射撃中心。
足癖悪いみたいだから勢いに乗りそうな所をでっかい矢で妨害。
カボチャ馬車に乗ってきたら真っ向勝負気合で挑む!
轢き逃げに対し重装甲馬車の車軸、或いは馬を一点狙いで砕いて馬車の転倒狙い。
この力は障害、邪魔したりしてくるものを払いのける力。
真っ向から踏み潰そうとしてくるならまさにうってつけよね!
止まる等隙が見えたら連続で矢を番えオウガをハリネズミに!

※アドリブ絡み等お任せ🐘




「アンタがあの悪趣味な会社の黒幕ね!」
「そう言われるのは心外よ。私のために働くのってとても素敵な事よ?」
「あーんな迷宮とか諸々趣味悪いしどう考えてもこんなブラック企業潰しちゃんだからね!」
 CROであるシンデレラに対して祓戸・多喜(白象の射手・f21878)は弓を構える。
「アポイントメント代わりに受け取りなさい!」
「申し訳ありませんわ、出口はあちらよ?」
 放たれた矢がシンデレラの顔面に突き刺さりそうになった所で、彼女のサマーソルトキックが矢を天井へと蹴り上げる。シンデレラはその勢いのまま後ろに飛び上がると、その着地地点に何処からかやってきた南瓜の馬車が走り込んできてその上へと飛び乗る。
「私、これから用があるので、そろそろお暇いたしますわ」
 その馬車の進行方向上にはもちろん多喜の姿、その頑丈な巨体を轢き潰すつもりなのだろう。
「そんな馬車、跳ね飛ばしてやるんだから!」
 多喜は障害を司るものの力を発現させ複数の腕を生やし、高速で突っ込んでくる馬車を迎え撃つ。真っ向正面から立ちはだかる彼女と馬車が激しく衝突し、そして。
「……捕まえた!」
「え? え?」
 多喜が捕らえたのは馬車を曳く馬であった。両の手で馬の胴を挟むと、力任せに振り回し馬車もそれに連れて動く。そしてその上に乗っていたシンデレラは不意を突かれて馬車から振り落とされる。
「これがアンタの最期! 王子様も使い捨てにするブラック企業ごとおしまいよ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ドゥルジー
あらやだ、フられちまった

しゃーねェな、俺の「お姫様」は他にいるし
「カノジョ」だったらこいつがいる
さっきから乗ってたジャバウォックに引き続き騎乗

どうやらあの馬車にゃUCへの耐性があるらしい
抜かりなく行こうぜ
相棒の炎を広く広範囲に、派手に拡散
威力は劣るが目くらましにゃなる
奴が轢き殺す対象を見失った所に飛来するのは
UCでも何でもねえ、俺のバタフライナイフ投擲
どんなに堅牢つっても南瓜の馬車だろ?
車輪の動きを封じちまえばいい

あとは――…
本人を引き摺り降ろしゃ、防御もクソもねェよな

囚われてたアリス共、行く所の目途はついてるんかね?
扉のアテが無ェなら近隣の安全な集落まで送るぜ
俺可愛い子とアリスにはやさしーの




「そんなに王子様がご所望なら俺がなってやってもいいぜ?」
「あらやだ、私、悪食の趣味はありませんわよ?」
 馬車から顔を出すシンデレラと並走するジャバウォック、その魔獣の背に乗ったジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)はつれない返事にやれやれと首を振る。
「しゃーねェな、俺の「お姫様」は他にいるし、「カノジョ」だったらこいつがいる。さあ楽しいドライブにしようぜ!」
 ジャバウォックは黒炎を吹き南瓜の丸焼きを作ろうとするが、ユーベルコードに耐性のある南瓜の皮には焦げ一つつかない。
「そのようなものは効きませんわ!」
 高らかに声を上げたシンデレラが馬車に命じてジャバウォックに体当たりをさせる。
「チッ、下がれ!」
 体当たりから逃れるように速度を落とすジャバウォック、しかしそれは馬車からの真正面攻撃を許す行為であった。馬車は旋回すると高速で彼らに突撃してくる。
「もう一度だ、派手に火を吹け」
「そんな炎は通じないと分かったでしょう!」
 黒い炎が広がるが、そんなものをものともせずに馬車は突っ込んでくる。しかしその黒い炎は馬車を焼くためではなかった。
「……あれ、居ませんわ?」
 瞬間、シンデレラの椅子の下からばきり、と音が鳴り響く。慌てて彼女が窓から身を乗り出して音の出どころを見れば車輪の軸受の部分にナイフが突き刺さり、そこからヒビが広がっていた。どんな奇跡も使っていない、ただのバタフライナイフだ。
「そんな……っ!?」
 驚くシンデレラの体がジャスパーの手によって引きずり出される。そして彼はその白く細い首元に赤い一文字を描くのだった。

 シンデレラが果てるとこの部屋もその外にあった肉の迷宮も崩れていく。そしてその崩壊が終われば残るは緑の平原と猟兵、そしてアリス達だけだった。
「よう、生きてるかい?」
 呆けている彼らにジャスパーは軽く声をかける。とりあえず疲れた彼らに土地勘のある彼は近くの集落まで案内する。
「ところで、なんであんた達は俺たちを助けてくれたんだ?」
「他の奴は知らないけど、俺可愛い子とアリスにはやさしーの」
 不敵に笑ったジャスパーは彼を見送るとその場から姿を消すのであった。これから沢山のやることが待っているから。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月02日


挿絵イラスト