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ご城下美食珍騒動~春を告げる山菜

#サムライエンパイア #戦後 #ご城下美食珍騒動

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●――極上の馳走を求めて
「春よのう」
「春に御座いますな」
 三寒四温を繰り返し、道の端には辛夷や梅の花が咲き始めてきた。
 積もっていた雪も解けて川の水嵩を増し、岩肌の苔を洗っていく時分。
 そう、季節は正に春である。
 陽気に当てられて土の下からは新芽がその息吹を漂わせ、吹き降ろす山の風が春の香りを運んでくる。
 こうなれば、やる事は一つだ。
「山菜だな」
「山菜で御座いますな」
 とある藩の城主、佐合篤胤。
 筆頭家老、石渡実継。
 二人は麗らかな日差しを浴びながら暫し春の風に身を委ねていた。
 傍仕えの小僧の持ってきたお茶で唇を濡らしては、日頃の疲れを吐き出すように深く息を吐いている。
「今の時期は独活やタラの芽辺りか」
「それだけでは御座いませぬぞ。軽く塩を振った野蒜の天麩羅や蕗と鎌簿の煮物は正に絶品、何より炙った筍に味噌を塗り頬張った時の旨さたるや、これはもう筆舌に尽くし難いもので御座いますな。更に春の恵みは山だけに有りませぬ。昆布締めにした鯛や、煮付けにした鰆を米の上で解しながら一気に掻き込むと口一杯に旨味が広がり、気付けば箸が止まらぬ始末」
 石渡の言葉に献立が浮かんだのか、佐合はぐびりと喉を鳴らした。
「ううむ、聞いているだけで腹が減ってくるな。今回の旨いもの市は春尽くしと銘打つか」
「良いかもしれませぬな。……そう言えばこの間、同心から妙な報告が有りましたな」
「ぬ、妙な報告だと?」
 石渡の声に顔を上げ、そちらへ視線を向ける佐合。
「伊予ヶ岳で行方知れずになった山師を探しに山に慣れた者達で探しに行った所、不思議な事に凍死した山師が見付かりましてな」
「春とは言え山はまだ冷え込みが厳しい。そう言う事も有るのではないか?」
「いえ、殿。ここからが不思議な所で、山師が山へと踏み入ったのは捜索が入る二日前。加えてその山師、全身が凍り付いた状態で見付かったと言うので御座います」
「氷漬けか……それは確かに、妙と言えるな」
「幾ら夜の山が冷えるとは言え精々が足元に霜が降りる程度。人の身を凍り付かせるにはとても寒さが足りませぬ」
「ふうむ……凶事の前触れで無ければ良いが」

●――奇妙な予知とその行方
「と言う訳で今回の旨いもの市は春の味覚ですね!」
 ゆんゆん、と謎の擬音を響かせながら歩いてくる巫女、望月・鼎。
 脳内ではより取り見取りの料理が所狭しと並んでいるのか、普段に輪を掛けて顔が緩い。
「皆さんもこの時期ならではの料理を楽しんできてくださいなー♪ あ、それで今回のリビオンなんですが、如何やら雪女や雪鬼が出て来そうです。春の訪れが嫌なんですかね?」
 いつもの様に持ってきたホワイトボードに雪女のイラストを描き込んでいく鼎。
 昔話に出て来そうな雰囲気の絵だ。
「まぁ雪女ですから、山師の人を凍らせるくらい訳もないんでしょう。寒さ対策をしていけば苦戦する相手でもなさそうです!」
 そう言って口を閉じる鼎。
 何か他に情報は無いのか、と猟兵が視線で問うと彼女は思い出したように言った。
「あ、細かい座標は謎なので旨いもの市を楽しみつつその辺の情報収集もしてみてください。件の山の周辺の村落からも人は来ているみたいなので!」


一ノ瀬崇
 春の味覚。
 何を思い浮かべますか?
 こんばんは、一ノ瀬崇です。
 今回は山に潜む雪女と雪鬼が相手ですね。
 季節に逆行しようとするオブリビオンに、過行く時の残酷さをバチコン叩き込んでやってください。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『嬉しや春のお祭り』

POW   :    屋台でたくさん食べましょう。

SPD   :    のんびりお祭り見物しましょう。

WIZ   :    お花見しましょう。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栗花落・澪
わー春の味覚!
お菓子には詳しいけど、料理…特に和食系はまだお勉強中なので
どんな食事もわくわくしちゃう
味も知りたい、レシピも知りたい
和食好きな同居人がいるからね
覚えたら作ってあげたいんだ
そのためにもまずは食べ歩きしつつ…気になったら料理名を聞いてみる
流石にお店の人にレシピは聞けないしね…
名前さえわかれば、後で自分で調べられるじゃない?

※食べ歩きする料理の種類お任せ

梅の花も綺麗だねぇ…
すみません、この辺りで花見向けの休憩場所ってありますかね
お茶屋さんはもちろん広場や川辺とか…
色んな自然が綺麗に見える場所
もしあれば教えてほしいです

自然が大好きだから
戦い前の鋭気を養うためにも、休憩はしっかりしないとね


ワズラ・ウルスラグナ
山菜か。実に善いな。
山菜採りでは加減が分からず難儀するのだが、既に採った物を買い食いする分には加減など要らぬだろう。
手加減無しと言う奴だな。
偶には使い道に困る金をばら撒いて豪遊させて貰おう。

最低限、他の者の分まで奪うという事が無い様に気を遣う
後はそうだな、出された物は残さない、喰うのに夢中で味わう事を忘れない
食もまた戦いだ、英気を養い来たる決戦に備えねばならん
また市を楽しむ者達を見ておくのも、守るべきものを明確にし闘志を昂ぶらせるのに有効だ

何にせよ楽しませて貰う
好き嫌いは無いが舌が肥えているわけでもない
そんな俺でも旨い物を喰らいたい所だ



「わー春の味覚!」
 賑やかな祭りの中を楽し気に笑う少年が一人。
 栗花落・澪は服の裾を翻しながら、通りの左右に立ち並ぶ露店を興味深げに眺めていく。
 旬の食材を使った様々な料理。
 山菜に魚に果物に、と材料も多岐に渡る。
「おじさん、これくださいな!」
「はいよー」
 間延びした声と料理とお釣りを受け取り、栗花落はご機嫌な様子で歩き出す。
 買ったのはタラの芽の天麩羅に抹茶塩を振り掛けたものだ。
 ほろ苦さと鮮烈な野の香りが堪らない人気の一品。
 早速爪楊枝を刺して口へ運ぶ。
「んー、美味しい♪」
 口の中に広がる旨味と香りに顔を綻ばせる栗花落。
 お菓子への理解は深いが和食はまだまだ勉強中。
 今回の旨いもの市で味とレシピを覚えて、和食好きな同居人に振舞ってあげようと考えている。
「知らない料理も楽しめるし、一石二鳥だね!」
 わくわく気分で歩いていくと、人混みの奥から何やら賑やかな声が響いているのに気付いた。
 声の調子や集まっている人達の様子から、喧嘩や言い争い等の剣呑なものでは無いと解る。
「なんだろ? すみませーん、通ります」
 人混みを縫う様にすり抜けて行くと、黒い巨大なものが見えてきた。
 その正体に心当たりのある栗花落は大きく手を振りながら声を掛ける。
「ワズラさーん!」
「む? おお、栗花落か」
 巨体を動かしのっそりと顔を向けてきたのはワズラ・ウルスラグナ。
 全身が漆黒の鱗で覆われている竜派のドラゴニアンだ。
 遠くに居ても目立つその身体の横には、大きな籠が置いてある。
 栗花落が中を覗いてみると、露店や出店で売っている料理の数々が入っていた。
「山菜採りでは加減が分からず難儀するのだが、既に採った物を買い食いする分には加減など要らぬだろう。と言う訳で他の者の分まで奪うという事が無い範囲で、普段使い道に困る金をばら撒いて豪遊させて貰った」
 口の端を持ち上げて歯を煌めかせながら笑うワズラ。
 慣れぬ者達はその威容に若干腰が引けているが、栗花落は大量の料理に目を輝かせながら籠の中身を覗き込んでいる。
「見た事無い料理が結構有る……!」
「表通りを外れた所で開いていた店のものが多いな。客の目を引く為か変わり種の料理もそれなりに有る。さて、この場で立ち止まっていては通行の妨げになるか。何処かに腰を下ろしてゆっくり味わうとしよう」
「あ、それならあっちに梅が一杯咲いてる所が有ったから、休憩出来そうな所でお花見といきませんか?」
「花見か。善き哉善き哉」
 話が纏まった所でワズラが籠を持ち上げる。
 軽々と持ち上げて見せるが、籠自体は大きく撓んでおり中の重量がかなりなものになっている事を教えてくれる。
 その重量感に軽く目を見張りつつ、栗花落は通りを行く。
 勿論、途中途中で美味しそうな料理を見付けては買い足していたが。
 暫く歩くと、梅の木が道の端に現れ始めた。
「おー……!」
 思わず、と言った様子で栗花落が声を上げる。
 街道の横に梅の木が群生しておりまるで雲海が降りてきた様な、幻想的な層が木々の頭に出来上がっている。
 道行く人も足を止めて花を見上げていたり、中には道の端に腰を下ろして買ってきた料理を食べたりしながら花見を楽しんでいる。
 向かいから歩いてきた老夫婦を見付け、栗花落が声を掛ける。
「すみません、この辺りで花見向けの休憩場所ってありますかね? お茶屋さんはもちろん広場や川辺とか……色んな自然が綺麗に見える場所、もしあれば教えてほしいです」
 持ち前のコミュ力で物怖じせず話し掛けていく栗花落。
 世間話を交えつつ花見に丁度良さげな広場が有ると聞き出し、老夫婦と別れる。
 道なりに進み木組みの段差を上って行くと、大きな広場に出る。
「ほう、元は神社が有った場所か」
 神社移転の立て札を見付けたワズラ。
 今はすっかり更地になっているが、結構な大きさの社と本殿が有ったらしい。
 綺麗に切り拓かれた広場は眺めも良く、遠くの山裾の梅林もはっきり見える。
「ここならゆっくりとお花見が出来ますね!」
「あぁ、楽しむとしよう」
 持ってきていたシートを広げ、二人が腰を下ろす。
 途中で買い足していた栗花落の持つ料理の量も多い方だが、ワズラの持っている籠からは尽きる事無く料理が出て来る。
 レジャーシートの半分を埋め尽くした所で取り出すのを止め、後は食べて容器が空いたら順次取り出していく事にした様だ。
「凄い量ですね……」
「食もまた戦いだからな、英気を養い来たる決戦に備えねばならん」
「おぉ、確かに! 僕も戦いに備えて、しっかり休憩を取りつつ楽しみます!」
「うむ、では早速頂こう」
 両手を合わせてワズラが箸を伸ばす。
 先ずは鞘えんどうとじゃがいもの煮物。
 出汁の染みたじゃがいもと、軽く爽やかな口当たりの鞘えんどうの取り合わせが、何ともほっとした気持ちにさせてくれる。
 続いては芹と豆腐と鴨肉を醤油で煮た汁物。
 鴨肉の旨味を吸った芹の歯応えと、豆腐のつるりとした喉越しが堪らない。
「うむ、旨い」
 好き嫌いは無いが舌が肥えている訳でも無い。
 凡そのものは旨いと言って食べ尽くすワズラであったが、これらの料理は掛け値無しに美味しいと言える。
 花わさびと小豆菜のお浸しを味わいながら満足そうに笑っていると、栗花落が興味深げに料理を見ているのに気付く。
「良かったら食ってみるか?」
「え、いいんですか?」
「旨い料理は独り占めにせず、分け合ってこそだからな。代わりと言ってはなんだが、栗花落が買ってきたものも摘まませてくれ」
「ええ、どうぞどうぞ!」
 いそいそと取り皿を用意しながら、一つ一つの料理の味や料理法を見ていく栗花落。
 そんな彼と梅の花を眺めつつ、ワズラは暫し舌鼓を打つのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アマータ・プリムス
そういえばもう暦上は春ですね
桜はちょっと早いですが梅は見頃かもしれません
ちょっと探してみましょうか

というわけでお祭りを眺めながら花の咲いている木を探します

「大勢の方が来ていらっしゃいますね。それだけ有名な市なのでしょうか?」

花を探しながら本命の雪女についての情報収集もしておきます
異常に寒い場所などがあれば怪しいですね
この時期の山ですと雪はまだあるかもしれませんが場所を絞ることはできるでしょう
お店の人や道行く人に聞いてみます
もちろん情報を聞けたらお礼はしましょう

「この市でおすすめなどはあるのですか?」

ついでですしお土産も買っておきましょう
情報がある程度集まったら梅の木を見に行きたいですね


浅間・墨
自分の故郷のはずなのに随分久々な気がします。
サムライエンパイアは…もう春も近いのですね。
春といえば桜なのですが…もう咲いているでしょうか。
もう梅は咲ききって花を落としているはずですが。
もしまだ梅が見れるのならばそれはそれで嬉しいです♪
少し早足で花見ができる場所まで行きます。
よい匂いや賑やかな祭囃子に後ろ髪はひかれますが…。
花見…季節の花がみたい気持ちが強いので後回しです。
「…わ…ぁv」
やっぱり故郷の生まれた国の花はとてもよいですね。
言葉になりません。しみじみと帰ってきてよかったです。
他の見物する方々の邪魔にならないように移動します。
私が見物する場所は…可能なら高台がいいです。
そこでのんびりと。



 賑やかに通りを行き交う人々。
 サムライエンパイアのとある藩で毎月開催されている旨いもの市。
 良心的な値段で全国各地から集まった美味しい料理を食べられるとあって、他藩からの観光客も数多い。
 ともすれば真っ直ぐ歩く事さえ難しい程の人の波の中を、二人の女性が行く。
 一人はメイド服を着込んだアマータ・プリムス。
 ゆるゆると祭りの様子を眺めつつ、道の端に生えている木に花が咲いていないかを探している。
 もう一人は白い小袖と袴を履いた年若い少女、浅間・墨。
 人見知りなようで、アマータの後ろに隠れるように動きながらも近付き過ぎない微妙な距離を保っている。
「大勢の方が来ていらっしゃいますね。それだけ有名な市なのでしょうか?」
「…………」
 アマータの疑問に多分そうじゃないかと首を振って答える墨。
 自分の声が嫌いらしく、基本は身振り手振りで意思の疎通を図っている。
 無論そう言った機微を読み取って対応するのが『出来るメイド』だ。
「テレビやインターネットの片鱗すらないこの世界でこれだけの宣伝力が有るのは凄いですね」
「…………!」
「ええ、その分情報を持っている人に出会える可能性も上がりますね」
 しっかりと意図を汲み取り、会話を投げ掛けてくれるアマータ。
 一緒に祭りを歩く相手としてこれ以上やりやすい人は居ないかもしれない、と墨は少しばかり気を緩める。
 お花見の時に軽く摘まむ和菓子とお茶を買い、序に近頃変わった事は無かったか、山に異常は無かったかを聞き込んでいく。
「この市でおすすめなどはあるのですか?」
「そりゃあウチの桜餅さ! 後は通りを一つ渡った先にある茶屋の茶が程良い苦みで甘味に丁度良いかな」
「では道すがら寄ってみましょう。そう言えば、近頃変わった気候だった所とかは有りましたか? 急に雪が降っていたとか」
「あー、何日か前に向こうの山で雪雲が出来てたな」
「雪雲が……ありがとうございます。先程買ったものですが、宜しければどうぞ」
「おっ、姉さんありがとよ! 売るのに忙しくて中々他の店を回れなくてなぁ」
 アマータが店主や並んでいる客達との会話を、墨が商品の受け取りと会計を行う。
 途中荷物を半分持とうかとアマータが尋ねるも、墨は聞き込みが出来ない分のお礼だと両手に買い物袋を提げている。
 ありがとうございます、と軽く頭を下げて進んで行くと通りに涼しい風が吹いた。
 そよぐ髪を手で押さえて風が吹いてきた方向を見ると、人混みの奥に木組みの階段が見える。
「高台ですかね」
「……!」
「そうですね、行ってみましょうか」
 人の波を掻き分けながら進み階段を上がっていく。
 花見に良さそうな場所との予感が過ったのか、墨は少し速足になっている。
 すいすいと進むその背中を追い掛けていくと開けた広場に出た。
 如何やら町の拡張の際に材木置き場として使っていた場所の様で、今は長椅子や切り株の台を設けた憩いの場となっている。
 休んでいる人も多いが、丁度二人で座れそうな椅子が空いていた。
 そこへ腰を下ろすと、町の様子が遠くまで見渡せる。
「……わ……ぁ!」
 思わずと言った様子で、墨の喉から小さく声が漏れた。
 町の端々に生えていた梅の木に咲いた花と、町の向こうに生える桜と、遠くの山裾に広がる梅林が見える。
「これは……壮観ですね」
 暦の上ではもう春も半ばを過ぎている。
 梅は満開か終わりかけ、桜は蕾かと思われていたが、その予想は外れた。
 眼下に広がる風景は満開の梅と五分咲きの桜が、町や森を春色に染めていた。
 人の流れが川の水の様にも見え、情緒溢れる景色となっている。
(やっぱり故郷の生まれた国の花はとてもよいですね。言葉になりません。しみじみと帰ってきてよかったです)
 前髪に隠れた目を輝かせながら景色を楽しむ墨。
 そんな彼女を邪魔しない様に見事な手際でお茶と和菓子の準備をするアマータ。
 気付いた頃には、切り株の台の上に桜餅と緑茶の入った水筒がセットされていた。
 頭を下げてお礼を伝えつつ桜餅を摘まむ。
 口一杯に優しい甘さが広がっていく。
 緑茶を飲むと爽やかなお茶の香りと程良い渋みが口の中をさっぱりと洗い流してくれる。
 もう一口桜餅を食むと、一口目とはまた違った味わいが感じられる。
(美味しい……!)
「美味しいですね。ほっとする味です」
「……!」
 同意を返しつつ、風にそよぐ花を眺める。
 花見と言えば大抵は木の根元から花を見上げてのものだが、こうして花を見下ろす花見と言うのも中々乙なものだ。
町の喧騒を暫し忘れ、二人はのんびりと花見を楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

緋神・美麗
ベルカ(f10622)と参加
【POW】

今度の旨いもの市は春の味覚なのね。山菜の天婦羅や煮つけ、炊き込みご飯も美味しそうね。今回もすごく楽しめそうね♪

晴れて恋人になったベルカと手を恋人繋ぎして移動し美味しそうなものを物色して周る

「椎茸は七輪で焼いて醤油を垂らして食べるのも美味しいわよね♪」
「旬の魚の粗汁とか贅沢よねぇ。」
「この地域の春告魚って何になるのかしらねぇ。鯛や鰆はあるみたいだけど」
座れる席で食べたり食べさせたりしながら仲良く食事を楽しむ
「はい、あ~ん」

あ、勿論オブリビオンに関わってそうな異変や事件の情報収集もするわよ。村人や屋台の人に【コミュ力】を活かして【情報収集】する


ベルカ・スノードロップ
美麗(f01866)と一緒

【コミュ力】で山の異変や、事件の噂を【情報収集】

「美味い物市ですよ、美麗」
前回も来ましたが、今回は関係が違います
指を絡ませ手を繋いで食べ歩きデートです

山菜汁に筍ご飯は定番ですけど
「天然の椎茸や木耳は春が旬なのですよね」
どちらも煮物も合いますが、椎茸は、やはり美麗の言う通り
七輪で焼くのもいいですよね

魚も昆布締めの鯛とを探して購入
「『春告魚』を探してみましょうか。地域によって違いますので、その楽しみもありそうですし」
座ってゆっくり食べられる処を見つけて
「美麗。はい、あーん♪」
としたりしながら、一緒に食べます



「今度の旨いもの市は春の味覚なのね。山菜の天婦羅や煮つけ、炊き込みご飯も美味しそうね。今回もすごく楽しめそうね♪」
 楽し気に微笑む緋神・美麗。
 毎回旨いもの市に参加している彼女。
 四季折々、季節ごとに代わる食の祭典を最も楽しんでいるのは彼女かもしれない。
 その隣ではベルカ・スノードロップが静かにテンションを上げている。
「旨いもの市ですよ、美麗」
 お祭りへの参加は初めてでは無いが、今回は少し特別だ。
 その理由は、繋がれた二人の手。
 ついこの間までは、ただの友人同士だった。
 しかし今は押しも押されぬ恋人同士。
 絡み合う指から伝わる互いの体温にくすぐったい様な幸せを感じつつ、二人は道を歩いていく。
「天然の椎茸や木耳は春が旬なのですよね」
「椎茸は七輪で焼いて醤油を垂らして食べるのも美味しいわよね♪」
 屋台を回りながらそんな会話をしていると、呼び込みをしていた男性が声を掛けてきた。
「よっ、ご両人! 椎茸なら丁度焼き上がった所だぜ!」
「あら、良いわね」
「それじゃ一つ頂きましょうか」
「へい、まいど!」
 炭火で炙った椎茸の串焼きを買って歩いていく。
 自分達ではもう立派な恋人だと自覚しているが、こうして他人から恋人と認識されて声を掛けられると言うのは、また違った感慨が有る。
 ちょっとした照れ隠しに美麗が絡めた指でベルカの手の甲をなぞると、ベルカも指を動かして応える。
 道行く人も、そんな二人の幸せそうな、初々しい様子に当てられてか少し浮ついた空気になっている。
「この地域の春告魚って何になるのかしらねぇ。鯛や鰆はあるみたいだけど」
「春告魚を探してみましょうか。地域によって違いますので、その楽しみもありそうですし」
 今度は魚の屋台を中心に回っていく。
 勿論、はらぺ娘の名を欲しいが儘にする美麗が他の屋台をスルーしていく筈も無い。
 気になった屋台の料理を次々に買い込んでいく。
 荷物はどんどん増えていくが、それでも二人の指は絡み合ったまま。
 時折屋台の店主がお腹一杯と言った様子で苦笑いを浮かべている。
「おや、これは……」
 ベルカが道の角の屋台であるものを見付ける。
 ひょいと美麗が脇から覗き込んでみると、鰆が氷の皿に乗せられていた。
「お、ご両人お目が高い。これは今朝揚がったばかりの鰆だよ! やっぱ春と言えばこの魚が一番さ」
「へぇ、鰆ね。これはどんな料理になるのかしら」
「刺身にしても良いが、折角の祭りだ。ちょいと豪勢にいこうじゃないか」
 そう言うと店主は鰆を手際良く捌いていく。
 そのまま食べても美味しそうな身だが、血合いを切り取ってから皮目を炙る。
 色が変わり表面が縮んだ所で氷水に落として粗熱を取れば、鰆の焼霜造りの完成だ。
「美味しそうねぇ」
「後は水を切って酢橘を絞って醤油でも垂らせば最高の味になるよ。どうだい?」
「勿論買うわ!」
「毎度!」
「あ、そうそう。この氷のお皿、どうしたの? もうだいぶ暖かくなってきたし氷を用意するのも大変そうだけど」
「あぁ、向こうの山裾の洞窟周辺が如何言う訳かすっかり凍り付いていてね。不思議な事も有るもんだと思ったけど、使えるんなら何でも使うさ。それじゃ、これ二人分ね」
「どうもありがと♪」
 笹の葉の包みを受け取りほくほく顔の美麗。
 そんな彼女の横顔を眺めつつ、歩き出すベルカ。
 十分に食べ物を買い込んだ二人が向かったのは川辺の広場。
 川を渡ってくる爽やかな風と立ち並ぶ梅の木に咲く満開の花を楽しめるスポットだ。
 空いている場所を見付けて腰を下ろし、料理を広げていく。
 山菜に魚に茸に炊き込みご飯と実に様々。
 鯛の昆布締め、椎茸の炙り醤油掛け、山菜の天麩羅蕎麦等、平時では財布の残りが心許なくなる豪勢な料理が格安で食べられるのが良い所だ。
「それじゃいただきましょうか」
「ええ、いただきます」
 両手を合わせて箸を構えたベルカの口元に、鰆の焼霜造りが突き出された。
 視線を向けると美麗が笑顔で箸を持ち上げている。
「はい、あーん」
 恋人特有のイベント、食べさせっこである。
「あーん」
 拒む理由等何一つ無いので、ベルカは大きく口を開ける。
 鰆の旨味と炙った事でパリパリと香ばしくなった皮目の味わいがまた絶妙。
「美麗。はい、あーん♪」
「あーん♪」
 お返しに鯛の昆布締めを摘まんで差し出す。
 美麗は幸せそうな顔でもぐもぐと口を動かしている。
 その後も互いに食べさせ合ったりしながら、買ってきた春の味覚を楽しんでいく。
 花見も良いが、ベルカの隣にはどんな花よりも美しく麗しい花が一輪。
 その満開の花の前では、梅も桜も霞んでしまう。
 求愛の果ての幸福を噛みしめながら、ベルカは美麗と幸せな一時を堪能していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨音・玲
【ファブル】
花見ござ準備OK- 屋台メシ買い込みOK- 酒は十分てな-
忘れ物ないよなー?

冬も終わって今年も来たぜ!
花見の季節!!

ふふふ、ソチもわるよのぉ~
さささっ、オリフィスもご一献

カンパーイ!
(一気飲みしつつ周りの人も巻き込んで大宴会に移行)
宴会は楽しくバカ騒ぎ
持ち込んだ他の世界の酒- 良い地酒を分けてもらったし
飲まなきゃソンソン♪
酔えば口から色々こぼれるもんさ♪
イェーイ♪飲みニケーションだ♪イェーイ♪
さぁさぁ世にも珍しい烏の舞い踊りだぜ、けらけらけら♪
おっあっ?ヘザー?
ちょうどいいや、こちゃこいこちゃこい♪

(ぱぱっと「双子の炎」を繋ぎ、毒耐性の向上でアルコール分解)

さぁ~飲み直すぞ~~♪


ヘザー・デストリュクシオン
【ファブル】で参加!

春のみかく食べながらお花見するの!
ルトルファスくんとエイルちゃんにもおみやげ持って帰ろうね!
ついでにじょうほうしゅーしゅーもするの!

さくらもち、三色だんご、うぐいすもち、おはぎ…ぜんぶはじめてなの!
はっ魚の匂い!鯛だ!わたしも食べるのー!ってダッシュで出店に行くの!
おじさん!鯛ちょーだい!
ん~しゃかにゃ~おいしーのー!
ところでおじさん、氷づけになるうわさ聞いたことある?

あ、魚の匂いにつられて玲くんとオリフィスちゃんおいてきちゃったの。
二人のところにもどったら…お酒臭い!
うにゃ~、お酒の匂いでねむくなってきたの…。
サクラの木の下で丸くなってちょっとだけ寝るの。
あとよろしく~。


高砂・オリフィス
【ファブル】
おはなみっおはなみったのしみー♪
も、もちろん情報収集もするさっ、でもこういうのは腰を据えてじっくりとねっ
雪女、だなんて季節外れにも程があるしっ

甘いものにはお酒だよねっ! 桜を見ながらいただきましょーっ! あははっ
ささ玲さんもご一献、エイルさんたちお子様には秘密で、こっそりねっ

カンパーイ! こういう時こそ笑顔笑顔、楽しくねっ
桜吹雪の中で踊って歌えば、ますます陽気にテンションアップだよ!

お眠だなんてもったいない! のみつくすぞのみあかすぞっイェーイ!(へべれけ)



「さくらもち、三色だんご、うぐいすもち、おはぎ……ぜんぶはじめてなの!」
 きゃっきゃと子供の様にはしゃぎながら行くヘザー・デストリュクシオン。
 春の味覚を存分に味わえる旨いもの市を、全身で楽しんでいる様子だ。
 取分け魚を出している屋台を見付けた時は、一際テンションが高くなっている。
「はっ魚の匂い! 鯛だ! わたしも食べるのー!」
「おーい、余り先に行き過ぎるなよー?」
 ダッシュで屋台を目指すヘザーの背中に声を掛けるのは雨音・玲。
 背中には花見に使う茣蓙や持ち込んだ酒類、容器や箸が入った袋がある。
 お花見準備は既に万全。
 後は目に付いた料理を買い込んで良さ気な場所を見付けるだけだ。
 そして今回の参加者はもう一人。
「おはなみっおはなみったのしみー♪」
 ご機嫌な歌と共に腕を振って歩くのは高砂・オリフィス。
 ついこの前、玲の旅団地下バル『ファブル』へ参加したニューフェイスだ。
 金色のポニーテールをふりふり揺らし、ヘザーと同じくらいのテンションで歩いていく。
「冬も終わって今年も来たぜ! 花見の季節!!」
「祭りで騒がず何して騒ぐ!! ってね」
 元より宴会好きらしく、呑んでもいないのに出来上がっていそうな二人である。
 と言うより空いた手は早くも酒を求めてわきわきと開閉されている。
 そんな二人の視線の先には地酒の試飲をやっている屋台が。
 もう未来は決まったようなものである。
 道の先では鯛の塩釜焼を売っている出店にヘザーが刺さっていた。
「おじさん! 鯛ちょーだい!」
「はいよー」
 魚の匂いを嗅ぎ付けて、ヘザーは目を輝かせながら鯛を購入する。
 どうせならと店主は塩の表面を軽く割る程度に留め、食べる際に自分で覆いを外せるようにして渡してくれた。
 箸を突き入れれば罅が広がり、簡単に塩釜を除けられるだろう。
「おーっ、ありがとおじさん!」
「良いって事よ!」
「おいしそうー♪ あっ、ところでおじさん、氷づけになるうわさ聞いたことある?」
 突然振られた話題に一瞬目が丸くなるも、店主はふむと一つ頷いて答えてくれた。
「そう言えばお客の誰かがそんな話をしてたなぁ。凍った猪が川辺で転がってたとか」
「どのへん?」
「ほれ、あっちに山が見え……はっはっは、人出で山所か向かいの店すら見えないわな。あっちの方にある山の東にちょっとした小川が流れてるんだが、それを少し上った所らしい」
「そうなんだ。ありがと、おじさん!!」
 しっかりとお礼を言って出店を離れるヘザー。
 そう言えば二人を置いてきてしまったと振り返り辺りを見回してみる。
 探し人は直ぐに見付かった。
 が、彼らの手には先程まで無かったお猪口が一つ。
「ただいまー……お酒臭い!」
 漂ってくる甘い独特の匂いにウッと後退るヘザー。
 それを見た二人はくいっと日本酒を飲み干して彼女を出迎える。
「悪い悪い、ちょっと誘惑に負けちゃってさ」
「甘いものにはお酒だよねっ!」
「もー、楽しむならいっしょに、だよ!」
 戻ってきたヘザーを迎え、三人で道をどんどん進んで行く。
 目指すは通りを二つ過ぎた所にある花見会場。
 どこもかしこも人だらけで、見渡す限りの宴会場と化している。
 幸い、入れ替わるように空いた所へ腰を下ろす事が出来た。
「よっし、茣蓙引くぞー」
「オリフィスちゃん、そっちもってー♪」
「おっけい!」
 場所はお誂え向きに桜の木の下だ。
 満開、とは行かないが五分咲きの綺麗な花が楽しめる。
 手際良くお花見の準備をしたら、いざ乾杯。
 成年組の玲とオリフィスは日本酒を、未成年のヘザーは渋みの少ない緑茶の入ったカップを掲げる。
「花見茣蓙準備OKー屋台メシ買い込みOKー酒は十分てなー。忘れ物ないよなー?」
「だいじょーぶっ!」
「桜を見ながらいただきましょーっ!」
「では僭越ながらおいらが音頭を。カンパーイ!」
「「カンパーイ!」」
 玲の声に二人が続いて、グイっと飲み干す。
 後は形式など無い自由な宴会の始まりだ。
 買ってきた鯛の塩釜焼を皆で割ってみたり、持ってきた酒と買ってきた地酒を呑み比べてみたり、周囲の人達と歌を歌ったりと大騒ぎ。
「おいしーい!!」
 鯛の身を口に含んだヘザーが、頬を抑えながら目を輝かせた。
 薄すぎずしょっぱ過ぎず、濃厚な風味を宿した鯛の身が舌の上で解れていく。
 磯の香と鯛の香が交じり合い、絶妙な美味しさに仕上がっている。
 そこへ冷えた緑茶を流し込んでやると、口の中が一気に清涼感溢れる春の香に変わる。
 摘んだばかりの新茶だからこそ出る味だ。
「ふふふ、ソチもわるよのぉ~。さささっ、オリフィスもご一献」
「あははっ、ささ玲さんもご一献、エイルさんたちお子様には秘密で、こっそりねっ」
 玲とオリフィスは即興の悪巧みごっこをしながら、都合が付かず来れなかった仲間達へ思いを馳せて酒を呑み交す。
 時折桜の花が風に吹かれて舞い散る中で、歌って踊って。
 いつしか彼らの周りでは知らない人同士が肩を組み笑い合って、楽し気な輪が生まれていた。
 料理に歌にと声を上げて笑っていたヘザーだったが、徐々に瞼が重くなっていく。
「うにゃ~、お酒の匂いでねむくなってきたの……」
 丁度頭の上には桜の木の枝があり、程良い木陰を作ってくれている。
 くるりと猫の様に丸くなると、ヘザーは静かに微睡み始めた。
 それに気付き、玲はユーベルコード【双子の炎】を使う。
 自身とヘザーの身体を、炎の鎖が繋ぐ。
 使用目的は毒耐性の付与。
 アルコールの匂いによる酔いなら毒耐性で緩和されるだろうとの目論見だ。
「んおぉ? お眠だなんてもったいない! のみつくすぞのみあかすぞっイェーイ!」
 横になったヘザーを見て、オリフィスが持ってきた酒瓶を掲げる。
 もうすっかりへべれけの様だ。
「おー、良い飲みっぷりだな! 粗方料理も食べたし、さぁ~飲み直すぞ~~♪」
「おぉー!」
 盃を打ち鳴らす様に掲げ、二人で次々に飲み干していく。
 その様子に、周囲は大盛り上がりだ。
 我こそはと酒豪達が集まり飲み比べをしたり、喉に自信のある者が歌を披露したり。
 賑やかな笑いが木霊する中で、ヘザーは何処か満足そうな笑みを浮かべていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

七々澤・麒麟
【ラボ】アドリブOK
一人称「オレ」

屋台で色々買い込んで花見と行くぜー!
ふむふむ、こっちの世界の屋台も美味しそうじゃん
えーとみたらし団子に苺大福だろー、
鯛の昆布締めや鰻の蒲焼…
なんだこれ、筍か?初めて見るぜ
…行くまでにちょっと齧るくらいいいよな★
我慢出来ず少し食べながら桜並木へ
ん~、うめー!!

空いてる場所に座り込むと持参した弁当を広げる
ハラヘリセツナの為に天むすも用意しといたからな、有難く食うがいいぜー!
他にも唐揚げや卵焼き等シンプルに

団子を齧りながら開花と周りを眺めて
「ん~~桜に美少女に美味い物…これがこの世の幸せってモンだな!」
その満足げな鼻先に花びらが舞い降り、ムズムズ
へ…へっくしょん!


久篠・リジェリ
【ラボ】
花見…!
それは素晴らしく咲きほこる桜の美しさを楽しみながら、おいしくご飯を食べたり屋台をまわったりする楽しいイベント…。
へえ、色々あるのね、いいわ、これよね、これなのよ。
そう、桜を眺めながら、食べる…(何かかみしめてる
知人が屋台と言ったらベビーカステラと言ってたわ、あるかしら(探しつつ

みんな屋台で買ったものも並べましょうよ、どれもおいしそう
麒麟のお弁当もいただくわ。
シンプルな卵焼き、良いわ…。
なんだかロシアンみたいなお好み焼きもあるのね。
そうね、気持ち良い天気だわ
桜もとても綺麗、やっぱり眺めながら食べるのは美味しいわ…(桜餅ぱく


リシェア・リン
【ラボ】アドリブ歓迎
私もお花見は初めて…!
屋台って色んなものが売っててわくわくするの

私はどれにしようかな…。
そのパンケーキみたいなの、お好み焼きっていうの?
わ、ほんとだ…美味しい!(辛党)
あわわ、セツナさん辛いの苦手?
お水は逆効果よ、乳製品や酸っぱいものがオススメ
…売ってたかな(きょろきょろ)

麒麟くんのお弁当、今日も美味しそう!
いつも思うけど、女子力高いわ…!
この唐揚げも冷めても美味しい、んー幸せ…!

桜を眺めながら美味しいものを食べるって贅沢
お花見ならこれもなくちゃね(買ってきた桜餅を振舞う)

ぽかぽかでお腹もいっぱいだとほんと、眠く…(うとうと)
(くしゃみに驚く)きゃあ!…もう、悪戯な桜さんね


セツナ・クラルス
【ラボ】
ふふ、あらゆる世界の素敵なものを味わえるのは猟兵ならではだよね
賑やかな花見風景に目を細めて

タコヤキに苺飴、べびーかすてら…ふむ、どれも気になるね…
あっ、これは知っているよ
お好み焼きの屋台を指差して
これはシェフの好みや気分次第で具が変わるらしいよ
やや勘違いしたまま注文

腰を落ち着けると早速お好み焼きを一口
あれ、辛いぞ…(キムチ入りだった)
リシェアさん…辛さを抑える方法を教えてくれないかい
水は駄目だったのか…危ないところだった
オレンジジュースで中和し一息入れて
麒麟さん、本当にテンムスを作ってくれたのだね、嬉しいなあ
うん、美味しい

美少女…?
私もその「美少女」に含まれるのだろうか
(真面目な顔)


夢召々・ねゐ
【ラボ】
(アドリブ大歓迎)
初めてのお花見
みんなと一緒に行けて、ねゐ嬉しいなあ
くんくん、屋台?からいい匂いがするよ
ころころまあるい…これがたこ焼き?
こっちのキラキラの苺は……いちご飴…っていうんだね
たこ焼きといちご飴…買ってもいいかな?
みんなは何を買ったのかな?
きょろきょろ…甘いのと…辛いのもあるの?
わああ、一面の桜並木
見て見て…!花びらがひらひらしながら降ってくるよ!
みんなで楽しみにしてた、麒麟特製のお弁当だねえ
天むす?おにぎりもたくさん種類があるんだね
卵焼きもふわふわ…麒麟の作ってくれたお弁当、どれも美味しいよ
お天気ぽかぽかだと…ちょっと、眠たくなっちゃうくらい…気持ちがいいねえ……うとうと


桜枝・冬花
【ラボ】
呼称:一律「名前+さま」

皆様がお楽しみでおられる隙に
わたしは情報収集をいたしましょう
皆様が憂いなく楽しめるよう取り計らうのもメイドのつとめです
山村の方面からいらした方でしたら服装等で見分けがつくでしょう
山師の方の足取りなどをお聞きして現場を割り出すといたします
その後、何食わぬ顔で皆様の集まっている場所へ
仕事をしてきたことは悟られぬよう振舞いますね

麒麟さまには及びませんが……とこちらもお弁当を
山菜おこわのおにぎりや、季節のものを使った煮しめなど
和風のメニューをお出しします
お茶もお淹れいたしますね

年中桜のある景色に慣れておりましたが
この季節だからこそ楽しめる花、というのも
風情がございますね



 とある藩主催、旨いもの市。
 今回のお題目は『春の味覚』だ。
 全国各地から集まった春を代表する食べ物の数々が、この町に集められている。
 行き交う人々の顔も華やかに咲き、梅や桜の花に負けないくらいの眩さだ。
 そんな通りを行く【S・T Labo.】ご一行。
 先頭で辺りをキョロキョロしながら目を輝かせているのは、今回がお花見初体験と言うリシェア・リンと夢召々・ねゐの二人だ。
「くんくん、屋台? からいい匂いがするよ」
「屋台って色んなものが売っててわくわくするの」
 興味津々と言った様子で屋台を覗き込んでいる。
 二人の視線の先では若い店主が針の様なものを使って球体の生地をくるくると回しながら焼いている。
「ころころまあるい……これがたこ焼き?」
「おぉー……」
 暫したこ焼きが丸まっていく様子を眺めていた二人だったが、鼻をくすぐる香りに顔を上げて探索を始める。
「こっちのキラキラの苺は……いちご飴……っていうんだね」
「本当に色々売ってるのね……! こっちは……何を焼いたもの?」
 目を離したら迷子になってしまいそうな程にアグレッシヴな二人を追ってきたのはセツナ・クラルス。
 屋台の出し物に見知ったものを見付け、二人に教える。
「あっ、これは知っているよ。お好み焼きだ」
「そのパンケーキみたいなの、お好み焼きっていうの?」
「そう、これはシェフの好みや気分次第で具が変わるらしいよ」
 リンへ説明をしているが、微妙に間違っているのはご愛敬である。
 店主も苦笑いを浮かべているが敢えて指摘はしない。
 折角なのでとセツナはお勧めのお好み焼きを一つ注文していく。
 そんな三人に追い付いてきたのは久篠・リジェリ。
「知人が屋台と言ったらベビーカステラと言ってたわ、あるかしら」
 如何やらベビーカステラを探しているらしい。
 流石に横文字の書かれた暖簾を掲げている店は無いので、人形焼の屋台を中心に見て回っている。
 狙うは餡の入っていない、生地だけで作られた人形焼だ。
「人形焼?」
 ねゐが振り向いてこてんと首を傾げる。
「そう、人形焼。小さな人型に焼かれたお菓子で、甘くて美味しいのよ」
「こっちのお店にあるみたいな、お菓子?」
「そうそう、こんな形の……ってこれよ!」
 くわっと目を見開いて屋台へ並ぶリジェリ。
 ねゐが見付けたのは正しく餡を使っていない生地百パーセントの人形焼。
 砂糖も惜しげ無く使われている本格派ベビーカステラと呼んで差し支えないものだ。
「へえ、色々あるのね、いいわ、これよね、これなのよ。そう、桜を眺めながら、食べる……」
 何やら思いを馳せて噛み締めている表情を浮かべる。
 少し不思議な反応のリジェリを見つつ、ねゐも一緒に列に並んだ。
 美味しいものは一人で食べても美味しいが、皆と一緒に食べると何倍も美味しくなる。
 それにこうして一緒に並んで買って帰ると言うのも、少し楽しい。
「ふふ、わくわくしてきちゃう」
「私も思わずはしゃいじゃうわ」
 顔を見合わせ、笑い合う二人。
 そんな風に仲良く買い物に勤しむ四人達から少し離れた所で、するすると人の波を縫う様に泳いでいくメイドさんが一人。
 桜枝・冬花。
 彼女もラボの一員である。
 皆が買い物を楽しんでいる間に情報収集を済ませてしまおうと、単独で動き回っている。
 彼女が目星を付けたのは山村から来ているであろう人達。
 足袋に苔や岩に擦った跡があれば、山道を通ってきた可能性は高い。
 平地での畑作業でそうした跡が出来る事は稀だからだ。
 そう言った特徴を持つ人を中心に話し掛けていくと、幾つかの興味深い話を聞く事が出来た。
「ここ数日は林の向こうの気温がえらい低いんだよなぁ。ずっと日が差さない場所って訳でも無いんだが」
「あの辺りは普段山菜の宝庫なんだが……今年はまだ何も出ていないな。それ所か霜まで降りていた」
「薪木になりそうなの拾ってたら急に吹雪いてきてなぁ。そう言えばその時えらい別嬪さんを見掛けた気がするんだが……見間違いだったかな」
 こんな具合である。
 話から凡その場所は割り出せた。
「……これぐらいにして、そろそろ戻りましょうか」
 それなりの時間が経っていたので、急いで皆の所へ戻る。
 幸い皆は直ぐに見付けられた。
 さも最初から控えておりましたよー、と言わんばかりのおすまし顔で付いていく。
「さて、色々と買い込んだしそろそろお花見の場所を探そうかな」
「食べ物いっぱいなの」
「麒麟くんは……あれ?」
「先程から麒麟さまはいらっしゃいませんね」
「どこ行ったのかしら」
 皆で周囲を見渡していると、通りの向こうで両手に買い物袋を提げた七々澤・麒麟の姿が見えた。
 みたらし団子に苺大福、鯛の昆布締めに鰻の蒲焼、炙った筍と多種多様。
 迷子にでもなったのかと思ったが、あれだけの買い物をしていれば逸れるのも道理である。
「よーよー、お待たせ」
「また随分買い込んだね……」
 にかっと笑う麒麟へ驚きを含んだ笑みを向けるセツナ。
 彼は確か手作りのお弁当も持って来ている筈だと思い出す。
 果たしてこれだけの量は食べ切れるのだろうか。
 そんなちょっぴりの不安も抱きつつ、一行は改めて歩き出す。
 暫し歩いて辿り着いたのは、桜の並木道。
 表通りの周囲の桜は五分咲きが殆どだったが、こちらではちらほらと七分咲きの桜も見える。
 花見を楽しむには絶好の場所だろう。
「わああ、一面の桜並木! 見て見て……! 花びらがひらひらしながら降ってくるよ!」
「風流なの……!」
 舞い散る桜の花びらを前に、一段と目を輝かせるねゐとリン。
 セツナや冬花もこの景色には感動した様子だ。
「年中桜のある景色に慣れておりましたが、この季節だからこそ楽しめる花、というのも風情がございますね」
「ふふ、あらゆる世界の素敵なものを味わえるのは猟兵ならではだよね」
 春と言う景色の素晴らしさを詰め込んだ様な光景に、唯々胸を震わせている四人。
 とは言え、中には花より団子を地で行く者も居るようで。
「ん~、うめー!!」
「あっ、つまみ食い禁止よっ」
 美味しそうな料理に耐え切れず、苺大福を一つ頬張った麒麟を見咎めるリジェリ。
 てへへと笑う彼の姿に、思わず皆で笑い声を上げる。
 気を取り直し、改めて花見の場所を見繕う六人。
「おっ、ここなんて良さそうじゃない?」
 リジェリが示したのは並木道を少し逸れた場所。
 平らで開けており、四方には桜の木が並ぶ。
 元の道にも近くそれでいて通りからは見えにくい絶好の位置。
「では早速準備を致しましょう」
 冬花がささっと動き出す。
 こう言った準備の手際は彼女の得意分野。
 あっと言う間に花見を楽しむスペースの出来上がりだ。
 広げられた料理は先程屋台で買ってきたものの他に、麒麟が作ってきた唐揚げや卵焼きに天むす、冬花が作ってきた山菜おこわのおにぎりや季節のものを使った煮しめと言った豪華絢爛なもの。
 とても美味しそうな料理を前に、誰かの喉がごくりと鳴った。
「それではいただきましょうか」
 こぽこぽとお茶を淹れながら箸と取り皿も配っていく冬花。
 全員に行き渡った所で、いただきますの大合唱だ。
「ん、お好み焼き美味しい……!」
「私も一口……あれ、辛いぞ……」
「あわわ、セツナさん辛いの苦手?」
「天むす? おにぎりもたくさん種類があるんだね」
「麒麟くんのお弁当、今日も美味しそう! いつも思うけど、女子力高いわ……!」
「冬花のも旨そうだな」
「麒麟さまには及びませんが……」
「この唐揚げも冷めても美味しい、んー幸せ……!」
「卵焼きもふわふわ……麒麟の作ってくれたお弁当、どれも美味しいよ」
 賑やかに会話を楽しみながら、時折桜を見上げて目を楽しませる。
 偶に、落ちてきた桜の花びらが一枚、ふわりと湯飲みの中に降りてきたりと実に風流。
 美味しい料理と楽しい会話に、皆も上機嫌である。
「ん~~桜に美少女に美味い物……これがこの世の幸せってモンだな!」
「美少女……? 私もその『美少女』に含まれるのだろうか」
 団子を齧りながらそんな事を宣う麒麟へ、天むすを齧りながら真顔を向けるセツナ。
 その遣り取りを見て、笑い声を上げる女性陣。
「桜もとても綺麗、やっぱり眺めながら食べるのは美味しいわ……」
 桜餅を摘まみながら、リジェリはまったりと呟く。
 お花見は初めてのリンとねゐも、大満足の様で先程から笑みが絶えない。
 そこへ舞い落ちる、一枚の花弁。
 ひらりひらりと空を泳ぎ、麒麟の鼻先へ着地する。
 その感触がくすぐったかったのか、彼は大きなくしゃみを一つ。
「へ……へっくしょん!」
「きゃあ!……もう、悪戯な桜さんね」
 ぽかぽか陽気で若干うとうとし掛けていたリンがくしゃみに驚く。
 平和で和やかな空気のまま、六人は花見を楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『『雪女』雪華』

POW   :    氷柱散華
【巨大な氷柱】による素早い一撃を放つ。また、【自壊させて大量の氷柱や氷刃にする】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    雪華輪
自身が装備する【冷気吹き出る雪結晶】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    我が身は雪と共に在りて
肉体の一部もしくは全部を【吹雪】に変異させ、吹雪の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。

イラスト:リタ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 旨いもの市を堪能し、花見で英気を養った猟兵達。
 名残惜しくも町を後にして目撃情報の有った山へと足を進める。
 幾つかの噂や目撃情報を纏めて、怪奇現象の起きた地点へと向かってみると、そこには一面の雪景色が広がっていた。
 とても春とは思えない冷気が身を突き刺す中、ふとこちらを窺っている気配に気付く。
 警戒したまま視界を巡らせると、突如周囲に吹雪が吹き荒れ始めた。
 ハッと空を見上げるが、視線の先に広がるのは雲一つない快晴。
 つまりこれはオブリビオンが引き起こした事象だ。
「猟兵ね」
 何処からか声が届く。
 少女の声だ。
「悪いけれど、貴方達には此処で氷漬けになってもらうわ」
 底冷えするような声に、猟兵達は己が得物を握り締める。
 過行く季節を認めようとしない、雪女との戦いが始まる。
ヘザー・デストリュクシオン
【ファブル】で参加!

敵ね!
なんで春にこんなことしてるのか知らないけど、わたしは壊しあえればそれでいいの!
楽しく壊しあうの!

敵の攻撃と寒さは玲くんのUCで環境耐性と氷結耐性をかりて耐えつつ、素早くダッシュで敵に近づいて属性攻撃と焼却をかりて力溜めして攻撃力重視のラビットキックで攻撃!
敵の攻撃はダッシュやジャンプ、スライディングでなるべく避けるけど、ちょっとのケガは気にしないの。
ほら、こんなものじゃないでしょ?
もっともっと壊しあうの!
って敵をおびき寄せて、オリフィスちゃんと玲くんに攻撃してもらうの。

ふふふ、わたしたちのチームワークに勝てるわけないの!
ああ、ボスとも早く壊しあいたいの!


雨音・玲
【ファブル・POW】

ブツブツブツ…
美味い酒と肴で、気持ちよく酔ってたのに…
こうも寒いと酔いが醒めちまう…

愚痴りながら、うわばみ瓢箪を煽り
両手を二人に翳しながら『双子の炎』を発動
二人とLV660まで上昇させた技能を共有しつつ
攻撃力重視を選択

うちの姫様達は、ほんと足が速い
さぁ、準備完了…今の俺らを攻略するのはなかなか厳しいぜ

地形・環境・凍結耐性の3耐性で仲間を守りつつ
限界突破、リミッター解除
焼却、属性攻撃、なぎ払い…
両手に宿した業火で、仲間以外を焼き払い
吹雪を消し飛ばします

雪解けの一撃になったか?…うん多少は暖かくなった
さてまだやるか?やるなら付き合ってやるよ
俺の炎を鎮めれるもんならやってみな!!


高砂・オリフィス
【ファブル】で参加

出たなーっ雪女!
さっ、握手握手! 手が冷たい人ほど心があたたかいって言うしね!
しない? そっかー残念!

敵をおびき寄せてもらうまで、連携しつつ接近
残りはダッシュで近寄って、至近距離まで近づけばそこはぼくの射程内!
手を握ってもらえないならかわしてそのまま蹴り上げを叩き込むよっ
吹雪より紙吹雪が好きだなっぼくは! どうぞ喝采を、歓声を、ちょーだいなっ!

大丈夫? 怪我はない?
ちょっとの負傷は大丈夫!
燃えるぼくらに敵はないよ、こういう時こそ笑顔笑顔! 声出してこ!



 身も震える寒さが立ち込める山中。
 旨いもの市を開催していた町からそう遠くない距離にある山、伊予ヶ岳を流れる小川を二十分程上った所で猟兵達を取り囲む様に幾つもの影が差す。
 待ち構えていたのは雪女のオブリビオン。
 共通しているのは白い肌に白い小袖、青い髪だ。
「敵ね!」
 真っ先に反応したのはヘザー・デストリュクシオン。
 動きやすさを重視した薄手の『猫兎の衣装』の裾を翻して、包囲してきた内の一体に向き直り警戒を露にする。
「出たなーっ雪女!」
 高砂・オリフィスもびしっと人差し指を突き出して雪女を見遣る。
 極地対応性能が売りのサイバースーツ型決戦装備『Força』とラテンの風が薫る舞踏着『calça』を纏い、いつでも動けるように構えている。
 二人に共通しているのは動きやすい服装であり、雪女を相手取るには少しばかり寒そうと思える所だ。
 だが二人が寒さに怯む様子はない。
 その理由は後方で不満げな顔をしている雨音・玲だ。
「美味い酒と肴で、気持ちよく酔ってたのに……こうも寒いと酔いが醒めちまう……」
 ブツブツと愚痴を零しながら、右手に持った『うわばみ瓢箪』を呷っている。
 傍から見ると酔拳モノの映画スター、若しくは赤提灯を出たサラリーマンみたいな足取りで山道を登ってきたが、それはポーズだ。
 炎を扱い戦うスタイルの玲にとって、酒は単なる嗜好品以上の意味を持つ。
 体内に取り込んでいるアルコールは毒素ではなく、内なる炎を燃やす為のエネルギーとなる。
「麗らかな春に雪は合わないぜ。季節は過行くから風情が有るんだ」
 ぐっと握り込んだ拳を開いてヘザーとオリフィスへ向ける。
 ユーベルコード【双子の炎】を発動。
 彼の掌から生まれた炎は渦巻きながら両手首へ絡み付き、片方ずつヘザーとオリフィスの腰元に鎖となって絡み付く。
 双子の炎の効果で、三人は強化された地形耐性・環境耐性・氷結耐性を得る。
 炎の鎖の効果で、更に三人の攻撃力も強化された。
 これで何が起きるか。
「なんで春にこんなことしてるのか知らないけど、わたしは壊しあえればそれでいいの!楽しく壊しあうの!」
 飛び上がる様に駆け出したヘザーが、凍った坂を物ともせず登って行く。
 雪女達オブリビオンの猛威を受けた周辺の地形は雪が積もり地面は凍り付き、真冬の大地と相違無い状態になっている。
 勿論専用の装備も無しに動き回れば、一歩二歩と踏み出した所で転倒してしまうだろう。
「へっ?」
 当然、雪女もそれを狙っていた。
 不用意に動き出せば相手は転倒し身動きが取れなくなる。
 そこを狙って遠くから氷柱でも投げ続ければ容易く倒せると考えていた。
 そんな彼女の目の前には、楽し気に嗤う猟兵の姿が。
「壊れちゃえーっ!」
 腹部を突き刺す飛び蹴り。
 ヘザーのユーベルコード【ラビットキック】を受け、雪女の身体が後方へと吹き飛んで行った。
 杉の幹にぶち当たり、枝葉に積もっていた雪がどさりと落ちてくる。
 双子の炎で増幅された属性攻撃と焼却の力を込めた渾身の飛び蹴りは、吹き飛ばした雪女の身体を内部から溶かし尽くしていた。
 落ちて積もった雪の周囲から湯気が上がり、人型に空いた地面が現れる。
 驚異的な威力と絶対に避けたい最期の光景に、雪女達は身を震わせた。
「な、なんなのこいつ!」
「よそ見しなーい!」
 狼狽えた雪女の元へ、オリフィスが駆け寄る。
 攻撃が来るものと身構えた雪女へ彼女が差し出したのは右手。
「さっ、握手握手! 手が冷たい人ほど心があたたかいって言うしね!」
 気さくに笑ってみせるオリフィスへ、雪女は一瞬ぽかんと呆けた顔をし、即座に手を振り払った。
「馬鹿にして! あなたから氷漬けにしてあげるわ!」
「しない? そっかー残念!」
 残念そうな様子には見えないオリフィスへ、雪女は【雪華輪】を繰り出す。
 自身の周囲に漂っていた冷気が噴き出る雪結晶を複製し、念力で動かし飛ばしてくる。
 見る分には美しい雪の結晶だが、武器として見た場合は中々に凶悪な見た目をしている。
「さっきのはあの子が油断しただけ、この氷の世界で自由に動き回れる筈がないわ……!」
 色黒の肌に鮮烈な赤を添えようとする雪女。
 対するオリフィスはニカっと笑いつつ足を進めた。
 凍り付いた地面と深い雪が行く手を阻むが、彼女は構わず突き進む。
 繋がれた炎の鎖が与えてくれる環境耐性のお陰で足を取られる事無く接敵出来る。
 先程の雪女と同じように容易く懐まで潜り込まれた雪女。
 その顔には何故と問う驚愕と共に苛立ちが浮かんでいる。
「どう、握手してもらえる?」
「巫山戯ろっ!」
 手にした氷柱で薙ぎ払おうとする雪女。
 オリフィスはそれを仕方ないなぁという顔で見送りつつ、ユーベルコード【今なお来たる瞬間】を発動する。
 鍛え抜かれたアイソレーションの動作で氷柱を事も無げに避け、そのまま蹴り上げを叩き込む。
 顎先を爪先で穿たれ、雪女は力無く倒れ伏した。
 あっと言う間に二体のオブリビオンが葬られる。
 その手際に玲は感嘆した様子で口笛を吹いた。
「うちの姫様達は、ほんと足が速い」
 残った雪女達はと言うと、二人を相手取るのは危険と判断したのか玲へと狙いを定めたらしい。
 だがそれは最悪の判断。
 ヘザーとオリフィスに力を分け与えたのは誰なのか、そして二人に繋がっている『炎』の鎖は誰が生み出したものだったのかを、よく考えるべきだった。
「さぁ、準備完了……今の俺らを攻略するのはなかなか厳しいぜ」
 仲間を守る事に注力していた玲が、動き出す。
 両手に宿した業火を束ね、棒の様にしならせる。
「炎の束……!?」
 流石にあれは拙いと、雪女達はその身を吹雪へと変えて熱から逃れようとする。
 最後の一人が吹雪へと変わったのを見届け、玲は両手を左右に突き出してその場をくるりと回った。
 掌から放たれる炎が周囲へ熱を撒き散らしていく。
 炎は器用にヘザーとオリフィスを避けていき、吹雪を水蒸気へと変えていった。
 吹雪に変異していた雪女達は当然、ただでは済まない。
 運よく身体の一部を溶かされただけで済んだ者以外は、最早影も形も無い。
「なんて威力よ……!?」
「雪解けの一撃になったか? ……うん多少は暖かくなった」
 炎に煽られ元の色を取り戻した周囲の景色を見て満足そうに頷いている玲。
 そんな彼に怖れを抱きながら、雪女は雪結晶を空高く放り投げた。
 陽光を受けた結晶は眩く輝いている。
「もしかして仲間を呼ぶ気かなっ?」
 オリフィスの呟きを聞いてか、雪女は口の端を吊り上げる。
「その通り、もうすぐ仲間が集まってくるわ。たかが猟兵の癖に生意気な真似をするから、私たちの怒りを買うのよ。みっともない姿を氷漬けにして飾ってあげるわ!」
「てぇーい!」
「がはっ」
 話している途中だった雪女へ、ヘザーの飛び蹴りが突き刺さる。
「ほら、こんなものじゃないでしょ? もっともっと壊しあうの!」
 にこやかに笑うヘザーだったが、雪女は口から雪結晶の欠片を吐き出すと動かなくなった。
「あれ、もう壊れちゃった」
「大丈夫? 怪我はない?」
「だいじょぶー♪ オリフィスちゃん心配してくれてありがと!」
 いえー、とハイタッチを交わし合うヘザーとオリフィス。
 怪我も消耗も無い様で、まだまだ元気いっぱいらしい。
「増援が来るみたいだけど、二人とも行けるかい?」
「大丈夫っ、燃えるぼくらに敵はないよ、こういう時こそ笑顔笑顔! 声出してこ!」
「ふふふ、わたしたちのチームワークに勝てるわけないの! ああ、ボスとも早く壊しあいたいの!」
 問い掛ければ頼もしい言葉が返ってくる。
 この分なら雪女達の戦力を大幅に削る事が出来るだろう。
「頼もしい姫様達だな。よぉし、おいらも気合入れていくか! 雪女だろうが雪男だろうが、俺の炎を鎮めれるもんならやってみな!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
白ベースのもこもこ上着を着用
更に炎魔法を組み合わせた【オーラ防御】を纏うことで
温かな熱気で自身を守りながら戦うよ

冬は好きだけど、夏も好きだからね
ごめんね

翼の【空中戦】で空から翻弄
【高速詠唱、属性攻撃】で炎魔法を放ち攻撃
話の通じる相手なら…もう少し優しくしてあげたかったんだけど
甘さじゃ誰も救えないから
自分勝手な雪女さんには…お仕置きだよ

足場に★花園を広げながら【指定UC】
本来は追尾する花嵐の刃…だけど
纏った炎のオーラを通過させることで花嵐に火炎を付与
本体を確実に狙い撃つよ

勿論吹雪回避の対策も万全
花畑の意味教えてあげる
万一外れても引火させることで【破魔】の花炎嵐による【範囲攻撃】

浄化してあげるよ


アマータ・プリムス
吹雪ですか……厄介ですがここは科学の力で対抗しましょう

幸い当機は人形なので寒さへの耐性はそれなりに
視界が悪いのが難点ですがそこは音を聞き分け何とかします

さて、古来より雪を相手にするには炎です
ですが周囲に被害が出ては元も子もありません
今回は一工夫いたしましょう

ミサイルに塩化カルシウムを装填し天に向け射出
塩化カルシウムは融雪剤
つまり雪を解かす効果があります

多少の害はありますが炎よりはましでしょう
これで雪を溶かしてしまいましょう

「ああ、やけどに気を付けてくださいね」

スコパェで巻き起こす風で吹雪を防ぎつつ
当機は雪を削ります
攻撃手段としては少々物足りませんがそこは他の方がどうにかしてくださるでしょう


浅間・墨
冬季は好きですがそれだけというのも味気ないです。
納得できかねる気持ちを想像するとツライですが…。
退く気がないでしょうし斬るしか…ありません…か。
「…ご、ごめ…なさ…」
『国綱』を用います。使用UCは【蓑火】です。
足場が不安定なので回避以外はあまり動きません。
雪に足を取られて隙を作ってしまうかもしれませんし。
相手が間合いに入ってきたところを斬ることにします。
状況次第で相手の懐に入り斬りつけてみましょうか。
飛び道具は蓑火で斬り…地面へ焼け落とします。
(早業、2回攻撃、属性攻撃、破魔、鎧砕き、見切り)
各個撃破されないよう他の方との連携や協力は必須。
冷気の耐久対策で氷結耐性とオーラ防御を纏います。



 山道を過ぎ行き幾許か。
 春の陽光に照らされて青々と茂っていた筈の草木は、次第に漂い始めてきた冷気の層に圧し潰されて、その身を凍らせている。
 見た目にも寒々しい景色が広がっているが、猟兵達は気にせずざくざくと雪道を踏破して駆け上がる。
「凍らせ甲斐の無いやつ!」
 雪女達は距離を取りながら氷柱を投げ付けたり雪の結晶を飛ばしてきたりしてみるが、それらの攻撃は一切当たっていない。
「ちょろちょろと、当たりなさいよ!」
「また随分な無茶を」
 普段着の『ゆるふわロングパーカー』の上にもこもこの白い上着を着込んだ寒さ対策万全の栗花落・澪は、呆れた様に首を振って氷柱を避ける。
 氷柱が彼の周囲を掠める度に、じゅうっと氷が解ける音が鳴る。
 彼の持つ技能『オーラ防御』と『属性攻撃』を組み合わせで作られた、即席の温熱バリアが薄く展開しているからだ。
 これにより周囲を雪に囲まれても凍える事無く行動が可能だ。
「冬は好きだけど、夏も好きだからね。ごめんね」
 澪は翼を大きく広げると空高く飛翔を始めた。
 白く染まった枝葉を抜けると、春の暖かさが戻ってくる。
 そのまま佇んでいたら額に汗の珠がぷくりと浮かんできそうだ。
「この暖かさこそ春の楽しみだよね」
 両掌を地面に向けて詠唱を始める。
 高まる熱量に雪上の雪女達は慌てた様子で身体を吹雪に変えていく。
「話の通じる相手なら……もう少し優しくしてあげたかったんだけど、甘さじゃ誰も救えないから。自分勝手な雪女さんには……お仕置きだよ」
 掌から生まれた火球が勢い良く打ち出され、数人の雪女を巻き込んでいく。
「うわぁっちゃっちゃっちゃあい!?」
 お世辞にも可愛いとは言えない悲鳴を上げて燃え尽きる雪女。
 大半は吹雪にその身を変えて如何にか攻撃を回避した。
「吹雪ですか……厄介ですがここは科学の力で対抗しましょう」
 いつもの『ヴィクトリアンメイド服』を吹雪に棚引かせつつ、アマータ・プリムスは長く美しい灰色の髪を払う。
「幸い当機は人形なので寒さへの耐性はそれなりに。視界が悪いのが難点ですがそこは音を聞き分け何とかします」
 先ずは箒型仕込み刀『アウラ・スコパェ』を抜き周囲の吹雪を撒き散らす。
 一先ずの安全を確保したアマータは持ってきた指を躍らせ、空中に小さな鍵穴を開ける。
「できる演者は道具の準備も怠りません。開演の準備はとうに終えております」
 ユーベルコード【Exitus acta probat】を発動、小さな鍵穴から子供程の大きさのミサイルを取り出した。
「さて、古来より雪を相手にするには炎です。ですが周囲に被害が出ては元も子もありません。今回は一工夫いたしましょう」
 そのままミサイルを射出する。
 爆発でもしたら周囲は一気に火の海になってしまうが、当然対策はしてある。
 今回はミサイルに燃料や薬剤を積まず、代わりに塩化カルシウムを装填して打ち上げた。
 塩化カルシウムは言わずと知れた融雪剤の原料である。
 雪女達には抜群の威力を誇る。
 上空に辿り着いたミサイルが爆発し周囲に塩化カルシウムがばら撒かれると、木立の陰から悲鳴が聞こえてきた。
「いたっ、いだだだっ、融ける融けるぅ!?」
「ああ、やけどに気を付けてくださいね」
 アマータの言う様に火傷で済めば良い方で、中にはそのまま水になってしまった雪女も居た。
 科学の力ってすげー。
 そんな爆撃で混乱する雪女達の背後に忍び寄る影が一つ。
「……ご、ごめ……なさ……」
「んぁっ? 誰か何か言っ」
 言葉は途切れ、木の陰に白銀が舞う。
 直後、きらきらと輝いていた残滓は炎に包まれ、直ぐに消え失せた。
 今はまだ、誰も気付かない。
(冬季は好きですがそれだけというのも味気ないです。納得できかねる気持ちを想像するとツライですが……)
 その早業が雪女の目に触れたのは、もう五人も始末した後だった。
「えっ、あ、誰よっ!」
 見咎めた雪女が回り込んできた影に氷柱を投げ付けると、氷柱は真っ二つに分たれて激しく燃え上がった。
「嘘……っ、氷が燃えるなんて!?」
 ユーベルコード【蓑火】により切り捨てられた氷が燃え、水になり水蒸気が立ち上る。
 温度差が生み出した陽炎の中で、浅間・墨が静かに佇んでいた。
 右手に握るは二尺二寸九分(約69cm)の太刀『粟田口国綱』だ。
 不安定な足場に注意しつつ逃げ惑う雪女が近付いてきた所を素早く一閃して仕留めるスタイルで静かに戦っていたのだ。
「こそこそ動いて、さっさと凍っちゃいなさい!」
 やや幼い口調の雪女が両手に氷柱を構えて突撃してくる。
 滑る様に雪の上を走る相手に、墨は静かに国綱を構える。
 切っ先を相手に向け、距離を測る様に真っ直ぐ伸ばす。
「てぇぇい!」
 勢い良く氷柱を突き出す雪女。
 その懐へと、腰を落とし這う様に潜り込んだ墨。
 交差は一瞬。
 背後へと切り抜けた墨は国綱を軽く振って冷気を払い、天然木黒呂塗の鞘へと納刀する。
 鍔が鳴るのと同時、雪女の身体に燃え上がる線が一つ入り、その華奢な身体は炎へと溶けていった。
「…………」
 ふぅ、と小さく息を吐く墨。
 その隙を狙って雪女達が殺到してくる。
「一対一で倒せないなら!」
「囲んで始末するだけよ!」
 勝利を確信してか口の端を歪める雪女達。
 その笑みが驚愕へと変わるのは直ぐの事だった。
「香り高く舞い遊べ」
 澪がユーベルコード【Orage de fleurs】を発動。
 振り撒いた熱気で元の生命力を取り戻させた色とりどりの春の花を集め、その花弁を舞い上げ嵐と成していた。
 周囲を舞う花弁は炎に煽られ、やがて炎花の渦へと変わる。
「ちょ、まず……っ!?」
 気付いた時にはもう遅い。
 雪女達の大半は炎花の渦に巻き込まれて焼失していった。
 姿を吹雪に変えて難を逃れた雪女達は死角に回り込んで急襲しようとするが、それを阻むのはアマータが巻き起こしたスコパェの風。
「申し訳ありません。当機は雪掻きや雪掃除も得意ですので」
 カーテシーをしてみせながら風を這わせるアマータ。
 彼女が巻き起こした風は三人の周囲を守る様に流れていく。
 更に流れる風の外側には塩化カルシウムの粒が舞っており、下手に近付けば雪を融かされてしまう。
 吹雪の状態ではとても近付けそうにない。
「ちっ、厄介な……」
 悪態を吐きながら元の姿に戻った雪女の背後から太刀が突き立てられる。
「…………」
 ぺこり、と頭を下げて雪女を屠る墨。
 飛んできた雪結晶も、蓑火で切り捨てられて行く。
 攻守共に隙が無い。
 状況を打開出来る有効な手を打つ事も出来ず、雪女達は撤退する他無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

緋神・美麗
ベルカ(f10622)と参加
アドリブ歓迎

さて、怪異の正体はこれかしらね。オブリビオンじゃ無ければ村の人達に重宝されたかもねぇ。まぁ、さっさと倒して旨いもの市に戻りましょうか。

ベルカと協力して速攻で倒す構え
出力可変式極光砲を威力重視で使用し、気合い・力溜めで威力増幅、誘導弾で命中強化、鎧無視攻撃・衝撃波で確実にダメージを通す
「悪いけど、さっさと終わらさせてもらうわよ。」


ベルカ・スノードロップ
美麗(f01866)と参戦
アドリブ歓迎

そうですね、早く解決してデートに戻りましょう♪

敵の動きを、動体視力で見切り、プラトニック・チェインを飛ばして
武器を落とさせて、そのままその武器を奪う
そのまま、敵の腕に巻き付け生命力吸収をしながら捕縛、おびき寄せ

だまし討ちするために、窮地に陥らない程度にUCは温存
いいタイミングになったら、空気の温度と流れを《選択UC》で操作
熱く乾いた風を雪女に対してぶつける

「季節は巡るものです。次の冬までお眠りなさい」

■使用技能
全力魔法、視力、見切り、生命力吸収、属性魔法、だまし討ち、捕縛、おびき寄せ、武器落とし、盗み、鎧無視攻撃


ワズラ・ウルスラグナ
花見の後に銀世界を見渡せるとは贅沢な。
しかし季節は移ろうもの。
次の冬を待てぬと言うなら骸の海で眠って居て貰おうか。

養った英気と蓄えた熱量を戦獄龍火輪に注ぎ込む
範囲は絞り、火力を増し、氷雪対策として周囲に帯びる
氷柱は細かくするほど容易に溶ける
溶けぬ分だけ剣と身体で対応する

間を置けば氷柱を量産されるとも気化した端から凍て付かされるとも知れん
故に速攻で肉薄し、攻め続ける
無理矢理に距離を離そうものならその隙に戦獄龍火輪を直接最大火力で叩き込む

火力で負ければ押し切られるのは俺の方だが、そうならぬ様に春の恵みを鱈腹喰らって来たのだ
空より眩い銀景色も乙なものだが、
悪いが、次の市の為にも雪解け水となって貰おう



 此方は山中を流れるか細い川辺を上って行くルート。
 すっかり凍り付いてしまった川の水と、周囲に積もった雪を踏み砕きながらワズラ・ウルスラグナは歩く。
 彼が通った道はその体躯の分だけ融けて水溜りが出来ている。
 帰り道を探すのには困らないだろう。
 とは言えそれだけ目立つと言う事はオブリビオン達に見付かり易くなると言う事でもある。
 銀世界に足を踏み入れて数分と経たずに、彼の元へ雪女達が集まってきた。
「暑苦しいのはお呼びじゃないのよ!」
 忌々しそうに遠くから氷柱を投げ付けてくる雪女。
 接近しようにも、ワズラはユーベルコード【戦獄龍火輪】を発動中だ。
 極狭い範囲ではあるが、彼の周囲には戦獄の焔が渦巻いている。
 その焔の温度は太陽の表面よりも十倍以上高い。
 下手に近付こうものなら一瞬で影も形も無くなってしまう。
 雪の結晶を飛ばしてもその切っ先が届く前に融け、万一形が残った状態で刃が届いても解けかけの鈍らでは彼の強靭な肉体に傷一つ付けられないだろう。
 かと言って、彼を放置するのは拙い。
 今はまだ身体の周囲に纏わせているだけの焔を解き放たれでもしたら、周囲の雪も氷も融け果て、忌々しい春の陽気が戻ってしまう。
「馬鹿みたいな熱さで……!」
「火山の底にでも沈んでなさいよっ!」
 その為、効果は薄いとは察しつつも雪女達は氷柱を生み出してワズラへ投げ付け、その歩みを少しでも遅らせて足止めし続けなければならないのだ。
「花見の後に銀世界を見渡せるとは贅沢な。しかし季節は移ろうもの。次の冬を待てぬと言うなら骸の海で眠って居て貰おうか」
 融け切らずに届いた氷柱の一部を尻尾で叩き落としながら、ワズラは口の端を歪める。
 圧倒的な火力差で捻じ伏せているが、氷を融かせなくなったなら押し切られるのは彼の方だ。
 とは言え、そうならない様に旨いもの市で春の恵みを鱈腹喰らってきた。
 お腹も元気も活力も満タン。
 今の彼を押し切るのは絶望的と言って良いだろう。
 そして勿論、彼は一人で動いていた訳では無かった。
「全力で行くわよーっ、てぇぇぇぇぇい!!」
 空から、少女の声が響く。
 緋神・美麗は雷の翼を纏い、上空から雪女達の動きを暫く観察していた。
 ワズラと言う解りやすい標的を見付ければ、少なくとも雪女達はそちらへ向かう。
 驚異度が高く見過ごす訳にも行かなかったのは彼女達にとって不幸だったと言うべきか。
 雪女達が見上げた先に有ったのは巨大な電球。
 眩く青白い光を放ちながらバチバチと爆ぜる音を響かせて、電球が落ちてくる。
「あががががが!?」
 急襲に対応出来ず電球の直撃を受けた雪女は全身を痙攣させながら肌を焦げ付かせていく。
 空からの攻撃に為す術無く倒れていくのを確認して、美麗は地上のワズラへと声を掛ける。
「陽動ありがとー! もう寄ってくる雪女はいないわ!」
「応。ならば俺もそろそろ攻めに回るとするか」
 背負っていた巨大で武骨な鉄塊剣『暴風龍サルヴァ』を抜き放ち、一度深呼吸をするワズラ。
 滲み出る闘気で大気が震える。
 気圧されたのか、雪女達は上空からの攻撃に注意しつつ山の上へと移動を始める。
「季節は巡るものです。次の冬までお眠りなさい」
 伸びて来たのは黒と銀が交互に編み込まれた鎖。
 ベルカ・スノードロップの操る『プラトニック・チェイン』は、雪女達の右手首を拘束し握っていた氷柱を雪上へ落とす。
「なに!?」
「うそ、まだ居たの!?」
 鎖を外そうと藻掻く雪女達。
 それらの抵抗を無視し、ベルカは右腕を大きく振り回して地面に向ける。
 鎖に繋がれたまま振り回された雪女達は受け身を取る事も出来ず、凍った川の上に叩き付けられた。
 そこへ、上空から電球が落ちてくる。
 美麗のユーベルコード【出力可変式極光砲】による一撃だ。
「悪いけど、さっさと終わらさせてもらうわよ」
 集められた雪女達は大半が何も出来ず直撃を受けてしまう。
 ほんの二人程、その身を吹雪に変えて難を逃れた様だ。
 その雪女達は吹雪のまま空へ舞い上がり、美麗に襲い掛かろうとする。
「おっと、させませんよ。ワズラさん、ちょっと熱お借りしますね」
「存分に使ってくれ」
 快諾を得たベルカはユーベルコード【エレメンタルノヴァ】を発動する。
 ワズラの周囲に漂う熱気を操り、吹雪となった雪女達へと流し込んでいく。
 背後から熱く乾いた風に煽られた雪女達は悲鳴を上げる暇も無いまま、ただの水となって地面へ染み込んで行った。
「ありがと。さっさと倒して旨いもの市に戻りましょうか」
「そうですね、早く解決してデートに戻りましょう♪」
 にこりと笑い合うベルカと美麗。
 二人の熱い様子に、残っている雪女達は辟易顔だ。
「くっそ、惚気始めたわあいつら」
「こっちは出会いの少なさに嘆いているのに……!」
 戦いとは別の所でヘイトを稼いだらしい。
 雪結晶をくるくると回して勢い良く飛ばし、空に居る美麗へと向かわせる。
「おっと、当たってやれないわね」
 幾つかを電球で打ち落としながら、美麗は地面に居るベルカの元へと降り立つ。
 ベルカは降りてきた美麗に笑顔を向けつつ、雪女達の視線を遮る様にさり気無く前へ出る。
 この辺りの気遣いがリア充か否かを分けているのかもしれない。
 当然、それを見た雪女達はケッと吐き捨てて氷柱を投げ付けてくる。
「モテモテねぇ」
「今は美麗以外にモテても仕方ないんですけどね」
「イチャつくんじゃないわよオラァ!!」
 憎しみの宿った氷柱が飛び向かう。
 凌ぐには少し面倒そうな大きさの氷柱にユーベルコードで対抗しようとする二人だったが、躍り出た漆黒の巨躯がそれを叩き落した。
「俺を忘れてもらっては困るな」
「げっ、でかいの!」
「はっはっは」
 嫌そうな顔をする雪女にでかいの呼ばわりされているが、ワズラは何処吹く風だ。
 当人は色恋よりも闘争の方がお気に召す、戦闘狂。
 熱の宿る言葉を交わし合うよりも、底冷えする様な刃の交わし合いを求めている。
「空より眩い銀景色も乙なものだが……、悪いが、次の市の為にも雪解け水となって貰おう」
 飛んできた氷柱を愛剣サルヴァで圧し潰す様に殴り付ける。
 鈍い音と共に氷柱は砕け散るが、幾つかの氷塊は元来た方向へと吹き飛んで行く。
「へっ?」
 呆けた様な声を出す雪女。
 次の瞬間、その頭が氷塊に消し飛ばされた。
 雪女だからと言って雪や氷の攻撃が無効になると言う事は無い様だ。
「ふむ、いまいち手応えが無いが……まぁ、良かろう。戦に貴賎無し!」
 鉄塊剣を構え直し不敵な笑みを浮かべるワズラ。
 いつの間にか退路にはベルカの操る熱い乾いた風が渦巻いており、美麗の両掌には電球がいつでも発射出来る態勢で構えられている。
 残った雪女達が全滅するのに、そう時間は掛からなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『雪鬼と雪女見習い』

POW   :    『こおらせてみる おねがい』『ぶっとべええ!』
【雪鬼渾身の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【対象を氷漬けにする雪女見習い】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    『あぶないよ たすける』『すまねえ!』
【客観的に動きを予測し協力する雪女見習い】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    『がんばれ まけちゃだめだよ』『うおおお!』
【雪鬼が奮闘する中、雪女見習いの応援】を聞いて共感した対象全てを治療する。

イラスト:煤すずみ

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 雪女達を撃退した猟兵達は更に山の奥へと足を進める。
 暫く進むと、周囲の景色がまた変わる。
 先程まで雪の積もっていた木々が消え、代わりに周囲が氷の壁で覆われ始めた。
 足元は益々悪くなっていき、氷の上に雪が積もり気を抜くと足を滑らせてしまいそうな程。
 そんな道無き道を進むと、氷の丘が見えてきた。
 遠くには巨大な影が一つ。
 雪鬼の姿が有った。
緋神・美麗
ベルカと

これはまた明らかな近接特化型ねぇ。高高度からの空爆が常套手段かしらねぇ。

雷天使降臨で飛翔し、雪鬼の頭上高くから空中戦で機動戦闘しながら超巨大電磁砲で空爆を行う
存在感・長髪で雪鬼の気を引いてベルカへの狙いを反らしつつ、気合い・力溜めで威力増幅、フェイント・誘導弾で命中強化、二回攻撃・鎧無視攻撃・衝撃波で確実にダメージを通す
雪鬼がベルカへ攻撃しようとしたら援護射撃で雪鬼の体勢を崩す

雪鬼と見習いが片付いたらベルカの傍に降り立ち
「お疲れ様ね」
それじゃぁ旨いもの市に戻ってデートの続きね
ベルカの腕に抱きついて移動


ベルカ・スノードロップ
美麗と

見習いだけなら多少穏やかな手もありましたが
雪鬼相手は、本気で行かないといけません

空中の美麗と息を合わせて行動

まず状況を【見切り】つつ《選択UC》の前提となる≪紅蓮を纏う真紅の槍≫
を【スナイパー】【投擲】【槍投げ】による射出
【誘導弾】で直撃させ【鎧無視攻撃】で【串刺し】にして《選択UC》を発動
このUC味方の武器にも効果を及ぼせます
【毒使い】で最大限、雪鬼に対して、内側から毒針の効果を発現させる

雪女見習いに対しては《神父の誡告》
「こんな事をしては、めっですよ」
と【優しさ】を持って諭しながら【手をつなぐ】ことで【生命力吸収】によって
骸の海へと還します

全部が終わったら、美麗とデート再開です♪


ヘザー・デストリュクシオン
【ファブル】で参加!

…なんか、でっかいのと小さいのがいるの。
でっかいののほうが強そうだから、わたしはそっちと壊しあうの!

引き続き玲くんのUCで地形・環境・凍結耐性があがってるの。
あとは属性攻撃の炎をかりて足につけておけば足元の雪もとけてすべらないし、氷づけにもならないかな。
でっかいし、攻撃当たったらやばそう?
敵が突進してきたら自分の体の小ささを生かしてスライディングで足と足の間を抜けて回避しつつ、背後に回って力溜めして攻撃力重視のUCで足を狙って攻撃するの。
たーおーれーろー!
これでみんなも攻撃しやすくなったかな?
敵が倒れたら属性攻撃の炎と焼却をかりて、回避を考えない捨て身の一撃を食らわせるの!


雨音・玲
【ファブル】

継続して二人に対して『双子の炎』発動
ダメ押しで状態異常強化に振りつつ
地形・環境・凍結耐性で戦場確保っと

自身から発生させる炎の熱で雪女見習いの攻撃を妨害して
二人が動きやすいように立ち回ります
俺が引きつけとけば、予測観測の暇も与えないし
氷漬けにさえされなければ、優位に立ち回れるだろう
2人ならただの突進とか絶対当たらないしね

俺の方に向ってきたらガチンコで戦うよ
足場習熟で地面を踏みしめ、一気に懐へ
限界突破+リミッター解除 溢れる覇気を纏いながら
焼却付の属性攻撃でぶん殴る

ご愁傷様、相性が悪かったな!!
俺を止めたきゃ俺の炎を超えてきな!!


高砂・オリフィス
【ファブル】で参加!

タッグの相手だねっ、望むところさ!
小さい方は任されたっ、ぼくの動きで連携っ封じてみせる! いっくぞーっ!

玲さんサンキュー! 地形・環境・凍結耐性があれば足回りは確保したもドーゼン!
武器受けやカウンターを重視して、機を見ながらぐっと拳を握って構えるよ
じーっくり腰を据えて、地を踏み抜いて、《一撃必殺》!
相手が体勢を崩すってのは味方の連携をアテにして、ともかく大威力の一発をブチ込む!
あははっ、ぼくらの連携の方が上手ってことだねっ

腹ごなしにいい運動になったよ
帰ったら晩ご飯がおいしいだろうなあ!


栗花落・澪
ふわぁ、おっきい敵だねぇ
感心しつつ【空中戦】で空から応戦するよ

回復される可能性を考慮して少しでも手数を増やしたいね
【高速詠唱】から放つ炎魔法の【属性攻撃】で
火球を作り出し攻撃
更に【多重詠唱】で火球を増やし
風魔法で軌道を操る事で動き回らせ翻弄

同時に【催眠】を乗せた【歌唱】を響かせる事で
連携の際仲間の攻撃も当たりやすいように

さて、それじゃあそろそろ…変えさせてもらいますか
【指定UC】を発動し、戦場を【破魔】で満たしてあげる
貴方は悪い鬼?悪い雪女?
この場所にいる限り、悪は浄化される
痛みは与えない…暖かな日差しの下で眠るといいよ

風で花弁達を巻き上げながら
夏の日差しのような光の【全力魔法】で攻撃


アマータ・プリムス
さて……いささか面倒な相手ですね
そちらも2人で一組ですか

見たところ小さな子の方は補助がメインの様子
では当機はそちらをどうにかしましょう

アルジェントムで弾幕を張りつつ他の方の援護をしながら雪鬼の動きを観察し隙を伺います
そして大技の後にUCを発動
指先から鋼糸を伸ばし狙うのは見習いの子

一本釣りの要領でこちらに確保してしまいましょう

「厄介な相手は分断する。戦闘の基本ですね」

鋼糸の拘束で動けなくして声も出せなくすれば雪鬼の補助はもうできないでしょう
見たところ雪鬼が本体の様子
他の方が雪鬼を討伐してくれるまで拘束しておきます

雪鬼が倒れても消えぬようならとどめを刺します

「雪が消えればもう春ですね」



「これはまた明らかな近接特化型ねぇ。高高度からの空爆が常套手段かしらねぇ」
 ユーベルコード【雷天使降臨】を使い雷の翼で上空を翔けながら様子を窺っていた緋神・美麗は、ほうと白い息を吐き出しながら呟く。
 静かに佇んでいるオブリビオン、雪鬼は氷で出来た丘の下へと顔を向けている。
 如何やらまだ美麗には気付いていない様だ。
「これは、上手く後ろに回り込めるかしら?」
 なるべく視界に入らない様に高く飛びながら、美麗はゆっくりと旋回する様に雪鬼の背後側へと移動する。
 その際、左肩に乗る小さな人影に気付いた。
 白い着物を纏った幼い女の子。
「成程、あれが雪女見習いってやつね」
 潜伏状態を維持しながら、美麗は力を溜めていく。
 狙うは一撃必殺。
 ユーベルコード【超巨大電磁砲】を構える。
「チャージ、セット、いっせーのっ!!」
 電磁加速して射出された巨大な鉄塊が打ち出され、大気を切り裂いて雪鬼に飛ぶ。
『あぶないよ』
 無防備な脳天に命中すると思ったその瞬間、か細く少女の声が聞こえた。
 直後、轟音と共に氷の破片が周囲に撒き散らされた。
 衝突の勢いで足元の氷は砕け、雪は粉となって辺り一面を白く覆い隠す。
「これは……やってなさそうね」
 フラグを立てるまでも無く、晴れた雪煙の中から腕を十字に組み防御姿勢を取っている雪鬼の姿が見えた。
 左肩には雪女見習いの姿もある。
『たすける』
『すまねえ!』
 互いを気遣う様に声を掛け合う二体。
 如何やら先の戦いで相対した雪女達とは役者が違う様だ。
「それならそれで、こっちも力を合わせるまでよ」
 再度超巨大電磁砲を放ち、視線を釘付けにする。
 よそ見をしながら対処出来る威力では無い。
 美麗の思惑通り、雪鬼は手にした氷の金棒……氷棒とでも言うべき得物を構える。
 風を切り裂きながら飛ぶ鉄球を打ち返そうと雪鬼が氷棒を振った瞬間。
『あぶない』
 雪女見習いの声に従い、雪男は右腕を振り切った態勢のまま左側へと倒れ込む様に飛ぶ。
 直後、赤く燃える槍の雨が水平に飛来する。
「全身に当てるつもりでしたが、そう上手くは行きませんか」
 どうと倒れ込む雪鬼の右腕に突き刺さった槍を眺めながら、ベルカ・スノードロップは次なるユーベルコードを繰り出すべく構える。
 彼が放った【紅蓮を纏う真紅の槍】を基点に、今度は【ポイズンリアクター】を発動。
 突き刺さった槍が突如海月へと姿を変える。
 そしてこの海月、そんじょそこらのものとは訳が違う。
 変化したのはキロネックス。
 この海月が持つ毒は、世界でも特に致死性が高いとされているものの一つ。
 人間が刺されたなら激痛でショック状態になるか、心臓麻痺で死んでしまうかだ。
 運良く生き残っても激痛と酷い傷跡は残り続けると言う性質の悪さもある。
『がんばれ』
 徐々に深い水色から紫に染まっていく右腕を庇う様に起き上がった雪鬼へ、雪女見習いが声を掛ける。
『まけちゃだめだよ』
『うおおお!』
 呼応するように雪鬼が叫び、左手で右の肩を抑える。
 すると右腕が砕け散り、氷で出来た骨が露出した。
 そこへ何処からともなく集まってきた雪が纏わり付き、数秒もしないうちに腕は元通りとなった。
 足元に転がっていた氷棒を持ち上げ、何事も無かったかのように立ち上がる雪鬼。
「再生能力、いえ……治癒ですか。見習いだけなら多少穏やかな手もありましたが、雪鬼相手は、本気で行かないといけません」
 タフな相手らしく、雪鬼は二、三回右腕を振って感覚を取り戻すと、丘を登ってきた猟兵達に向き直る。
「……なんか、でっかいのと小さいのがいるの。でっかいののほうが強そうだから、わたしはそっちと壊しあうの!」
 到着早々気炎を上げるのはヘザー・デストリュクシオン。
「タッグの相手だねっ、望むところさ! 小さい方は任されたっ、ぼくの動きで連携っ封じてみせる! いっくぞーっ!」
 その隣で気合を入れるのは高砂・オリフィス。
「お膳立ては任せてくれよ、お二人さん」
 その二人へユーベルコード【双子の炎】で生み出した炎の鎖を繋いでいるのは雨音・玲だ。
 先程は抜群の連携で雪女を破った三人が、今度は雪鬼と雪女見習いに挑む。
「数の上ならこっちが有利か。突進に注意しつつ行くぜ!」
「「おぉーっ!」」
 玲の号令で一気に走り出す。
 氷の足場だろうが何だろうが、双子の炎で得た地形・環境・凍結三つへの耐性が有る。
 都会の舗装路を駆ける様な速さで動き回る三人へ、雪鬼は威嚇とばかりに氷棒を振り抜いた。
「わったったっと」
「おぉぅっ!」
 空中に居たら吹き飛ばされそうな強風と吹雪が前衛のヘザーとオリフィスを襲うが、耐性を得ている二人は一瞬立ち止まるだけで耐え抜く。
 自身も炎熱で吹雪を振り払いながら、玲は雪鬼の動きを観察する。
「攻撃に雪が乗るから雪鬼か。攻撃は最小限の動きでのすり抜けじゃなく、完全に当たらない位置取りを意識して動いた方が良さそうだな」
「そーゆうのは得意!」
 早速、ヘザーが仕掛けていく。
 体躯の小ささを活かしての機動戦だ。
 右に左にと的を絞らせない様に動き回り、雪鬼の氷棒を掻い潜っていく。
「おーにさーんこーちらー♪」
『ちょこまかと!』
 中々攻撃が当たらない事に業を煮やした雪鬼は、突進の構えを取る。
 透かさず傍に居た雪女見習いが援護しようとヘザーへ両手を向ける。
 が、その眼前に炎熱が揺らぐ。
「おっと、そりゃ頂けねぇな!」
 雪女見習いが目を向けた先に立っていたのは玲。
 両手に装着した戦闘用ガントレット『レッドショット』に炎を宿して肉弾戦を仕掛けていく。
『じゃましないで』
「そう言うなって!」
 玲の攻撃を風に乗る様な動きでするすると避けていく雪女見習い。
 回避に専念しているのか、こちらに攻撃は仕掛けて来ない。
 とは言え雪鬼を援護する暇も無い様なの玲はこのまま相手を引き付けておく事に専念する。
『ぶっとべええ!』
 そうこうしている間に、雪鬼が突進を仕掛けた。
 解り易い攻撃ではあるが、威力は折り紙付き。
 当たれば例え猟兵と言えども無事では済まない。
「ちゃーんす!」
 しかしヘザーは怯む事無く雪鬼に向かっていった。
 狙うは大股で駆けてくるが故に生まれる足と足との間。
 速度を乗せたスライディングで迫る足裏を回避し、背後へと回り込む。
 雪鬼は獲物が消えた事に気付き振り向こうとするが、それよりもヘザーが動き出す方が早い。
「たーおーれーろー!」
 切り替えしてのユーベルコード【ラビットキック】を見舞う。
 飛び込む先は雪鬼の膝裏。
 筋肉の鎧も無く直に間接へとダメージを与えられ、更に行動の阻害も可能な急所だ。
 振り返ろうと軸足にしていた左足の膝裏へと強力な一撃を浴びせられた雪鬼は、呻きにも似た声を上げながら倒れ込む。
 その顔の先では、オリフィスが腰溜めに構えていた。
「待っていたよ、この瞬間っ!」
 巨大な相手に痛撃を与えるには確りと溜めてからの一撃を真っ直ぐ通すのが良い。
 倒れてくる雪鬼の勢いと体重も破壊力に変えて、オリフィスは【一撃必殺】の拳を突き出した。
「爆砕!」
 腰の入った綺麗な正拳突き。
 脳天へと打ち込まれた雪鬼は大きく目を見開き、両腕を滅茶苦茶に振り回してきた。
 流石にこれへカウンターを打ち込むには分が悪いとオリフィスは一度離脱する。
「手応えは有ったけど、やっぱ頑丈だね」
「オリフィスちゃん、ナーイス!」
「ヘザーさんイエーイ!」
 駆け寄ってきたヘザーとサムズアップを贈り合う。
 会心の一撃と言って良い手応えが有る。
 少なくとも満足に動き回るには時間が必要だろう。
 そこへ飛んでくるのは雪女見習いの声だ。
『だいじょうぶ、きずはあさい』
『おおおっ!』
 雪女見習いの声援を受け、雪鬼は立ち上がる。
 かなりの衝撃を受けていた筈だが、ふらついた様子はない。
 そのまま二人の方へと氷棒を振り下ろしてくる。
「まずっ」
「だいじょーぶっ!」
 攻撃を避けようと身構えるヘザーへ声を掛けるオリフィス。
 彼女はニヤリと笑うと右の拳を足元の氷に振り下ろした。
 鳴動する地面の先から巨大な氷の塊が突き出してくる。
 その氷の塊は今まさに振り下ろさんと掲げられていた雪鬼の手元へと当たり、氷棒ごと雪鬼の身体を大きく後ろへ仰け反らせる。
「秘儀、畳返しならぬ氷返しってね!」
「おぉーっ、オリフィスちゃんすっごい!」
「おいらも忘れないでくれよ!」
 体勢を崩した雪鬼へ追撃するのは玲。
 雪女見習いが牽制を嫌い大きく離脱したのに合わせ、彼も仲間達の元へと走ってきた。
「うおおおおお!」
『うしろにとんで』
 裂帛の気合と共に掌底を突き出す。
 捉えたのは雪鬼の顎先。
 人体と同じ形を取っているオブリビオン相手には、対人用の技がそのまま通用する。
 先程オリフィスが放った脳天への一撃に比肩する勢いの打撃が頭蓋を揺らす。
 しかし相手もさるもの、雪女見習いの導きで後方へと蹴り飛んだ雪鬼は間一髪直撃を避けた。
 それでも今のは効いたらしく、氷棒を地面に突き立て身体を支える様に立っている。
 顎先からは白い水蒸気が立ち上っていた。
「ご愁傷様、相性が悪かったな!! 俺を止めたきゃ俺の炎を超えてきな!!」
「玲くんひゅーひゅー!」
「玲さんひゅーひゅー!」
 抜群のコンビネーションを見せるファブルの三人へ忌々し気な視線を向ける雪鬼。
 すると、雪女見習いが空に気付いた。
『きをつけて』
 直後、多数の火球が降り注ぐ。
 雪鬼は氷棒を振り回し吹雪の層を重ねて対応する。
 吹雪と火球が鬩ぎ合い、周囲には白い霧が掛かり始めた。
「ふわぁ、おっきい敵だねぇ」
 感心した様に声を漏らしながら火球を打ち続けるのは栗花落・澪。
 一見すると余り効果の無い攻撃とも思える連打だが、当然これは策の一端。
 ファブルの三人が離脱したのを見届け、澪は降らせる火球の数を更に多くしていく。
 流石に吹雪の層無しで耐えるのは厳しいのか、雪鬼は愚直にこの鍔迫り合いに参加してくれている。
『いったいなにを……とにかくがんばって』
『がってんしょうち!』
 直接の攻撃で無い為か、雪女見習いもその意図を読み切れていない様子だ。
 風魔法で火球の飛来するコースを操りつつ、こっそりと催眠を乗せた歌声を聞かせているのも効果を出しているらしい。
「さて、それじゃあそろそろ……変えさせてもらいますか」
 満を持して、澪はユーベルコード【心に灯す希望の輝き】を発動する。
 彼を中心として空からこの世のものとは思えぬ美しい花や柔らかく輝く破魔の光が降り注ぐ。
 戦場全体に広がっていくそれは環境を悪を浄化する天上世界へと作り替えていく。
『まずいかも、はなれて』
『おうっ! っ、なぁっ!?』
 嫌な気配を感じてか雪女見習いが指示を飛ばす。
 それを受けて雪鬼も動き出そうとするが、身体の動きが鈍い。
 見れば足から腰に掛けてが凍り付き地面の氷と一体化していた。
 吹雪と火球のぶつかり合いで生まれた水蒸気が霧となり、雪鬼の身体に付着して凍り付いていったものだ。
 あの連打はこの為の布石。
「貴方は悪い鬼? 悪い雪女? この場所にいる限り、悪は浄化される」
 如何にか抜け出そうと藻掻く雪鬼。
 脱出までの手順を弾き出した雪女見習いが口を開こうとすると、多数の弾丸が襲い掛かってきた。
『なんだぁ!』
 魂を蝕んでくる痛みに顔を顰めつつ雪鬼が左手を翳して、弾丸の雨から雪女見習いを守る。
 一発一発は然程脅威では無いものの、雪女見習いに当たれば大怪我は免れないだろう。
 動けないこの状況下では非常に厄介な攻撃だ。
「さて……いささか面倒な相手ですね。そちらも二人で一組ですか」
 銀色のトランク型ガジェット『アルジェントム・エクス・アールカ』を改造して組み上げた中距離用ラピッドライフルを構えたアマータ・プリムスは、そのピンク色の瞳をダットサイトから外す。
「やはりあの小さな子の方が司令塔の役割ですかね。直接戦闘力は無く補助がメインの様子」
 アルジェントムをバズーカ型に変形させつつ、手頃な高さの足場へと移動する。
 雪女見習いと雪鬼とを分断したいが、現状では雪鬼のガードが堅い。
 二体を引き離すには多少の下準備が必要になるだろう。
「こんな事も有ろうかと」
 組み終えたバズーカを肩に乗せる様に構えて引き金を絞る。
 発射された弾頭は雪鬼の頭上で破裂し、周囲に融雪剤を撒き散らす。
『やっかい』
『あっちぃ!』
 ぱらぱらと降り注ぐ石礫よりも小さな融雪剤が二体に当たっていく。
 痛撃と言う程では無いが、無視するには多少鬱陶しさが勝る。
 続けて次弾を発射していくと雪鬼は氷棒を振り上げて吹雪を起こし、弾頭を弾き飛ばす。
 近くで破裂するが、降ってくるのは人体には無害と言って良いタイプの融雪剤だ。
 隙間からポケットに入って洗濯が厄介になる程度である。
「足元がお留守ですね。当機は一人で戦っている訳ではありませんよ?」
 アマータが左手を上げて合図すると、雪鬼の背後に回り込んでいた美麗とベルカがユーベルコードを構えて立っていた。
「今度は防げないわよ!」
「行きますよ、美麗」
 息の合ったコンビネーションで、同時に鉄球と槍が打ち出される。
 左の膝裏には美麗の電磁加速を受けた鉄球が表面の氷ごと破砕してぶち当たり、右の膝裏には紅蓮の炎で氷を溶かし破りながら幾つもの槍が突き刺さる。
 左右の膝を破壊された雪鬼は自重を支え切れず、前方へと倒れ込んだ。
 身動きの取れない状態では雪女見習いも助言のしようが無いのか、勢いで転げ落ちない様に肩へしがみ付いている。
「次は注意と武器を奪ってみましょうか」
「まかせて!」
 今度は上天より光が落ちてくる。
 澪が束ねた光の杭だ。
 単なる光波では無く質量と破魔の力を宿して落ちるそれは、氷棒を握る右手首を貫いていく。
『まずい』
『うおお!?』
 避けようとするも、両膝は砕かれて立ち上がる事も出来ず地面に右手が縫い付けられた。
 これで氷棒の攻撃と突進は繰り出せない。
 重要なのはこれで雪女見習いへのガードがこじ開けられたと言う事だ。
「厄介な相手は分断する。戦闘の基本ですね」
 アマータはユーベルコード【Festina lente】を発動。
 指先から鋼糸『マギア・フィールム』を射出し、雪女見習いへと伸ばす。
『あっ』
 気付いた時には遅く、その華奢な身体は鋼糸に絡め捕られていた。
 轡を噛まされ縛られ転がされ、あっと言う間に制圧完了だ。
 これでもう雪鬼への補助は出来ない。
「後は火力で押し切りましょう」
「よーし、壊しちゃうの!」
「あははっ、ぼくらの連携の方が上手ってことだねっ」
「一気に畳み掛けるぜー!」
 ヘザー、玲はそれぞれ左右の肩口を、オリフィスは雪鬼の額を狙って攻撃を繰り出す。
 如何に強靭な肉体を持つ雪鬼と言えども、治癒の力を封じられた状態で猟兵達の高火力を凌ぎ切る事は出来ない。
 数度の一斉攻撃の後、遂に雪鬼は斃れた。
 同時に雪女見習いも静かに雪へと還り、消え失せる。
 冷え込んでいた周囲の気温も正常化し、俄かに春の暖かさと陽光が戻ってきた。
「……終わりましたか。皆様、お疲れ様でした」
 アマータの声を受け、皆の身体から余分な力が抜ける。
 中々の強敵では有ったが、今回も無事乗り切る事が出来た様だ。
「おっし、お疲れさん!」
「腹ごなしにいい運動になったよ、帰ったら晩ご飯がおいしいだろうなあ!」
「今日一日はお祭りやってるみたいだし、帰ってからも楽しむの!」
 ファブルの三人は程良く運動してお腹が空いたらしく、帰ってからどんな出店を回るかの話し合い。
「僕はお花見の続きですかね。今度は桜の花を見に行きたいです」
 梅の花を堪能した澪は、次は夜桜だと期待に胸を膨らませている。
「お疲れ様ね。それじゃぁ旨いもの市に戻ってデートの続きね」
「えぇ、デート再開といきましょう」
 美麗とベルカは腕を組んで仲良く下山しつつ、途中見掛けた雰囲気の良い茶屋に寄ろうと計画している。
「さて……当機は如何しましょうかね」
 特にやる事も決まっていないアマータはぼんやりと木の枝を見上げる。
 先程まで凍り付いていた筈の枝には小さな蕾が付いている。
 辛夷の花だ。
「雪が消えればもう春ですね」
 生命の息吹を肌に感じながら、アマータは戦場を後にした。
 もう、春本番は目前である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月01日
宿敵 『雪鬼と雪女見習い』 を撃破!


挿絵イラスト