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体力に自信がある君へ

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●ドッジボール?ドッヂボール?
 深夜、だだっ広い運動場にやつらはいた。
 ビブス型ゼッケンを身につけ、一列に整列しているのはイソギンチャクの頭部と触手を持つ異形の怪人、そう、彼等はオブリビオンだ。
 何やらそわそわ落ち着かない様子だったり、手にのの字を書いては飲み込んだりしている姿はやや微笑ましが、敵である。
 しかし、撮影器具を弄っていたひとりが合図を出し、配信準備が整うと彼等は『怪人』へと変わる。
 3、2、1、キュー。

「フフフ、ハーッハッハハハハハハ!!」
「ヒュー!ココは我々、エクストリームドッジメンズが乗っ取ったゼー!」
「最早ココは我々の所有地!聖地!キングダム!」
「勝手に踏み込んで来たやつは、我々とドッジボールで対戦してもらうゼー!!」
「果たして生きて帰れるやつは現れるのかァーー?」
「「イィィィィッ、ハァーーー!!!」」

 喧しい。
 しかし、明らかにあれな感じのこの動画が、見事興味本位の一般人達の心を鷲掴み、人々を魔のコートの中へ引き込んでいったのである。

●まあ気にしなくていっか!
『みんなー!ドッジボールしようぜー!!!』
 身の丈ほどの水晶玉の上、フェアリー用のボールを手に笑顔を見せるのはグリモア妖精クイスリング。勿論、大人の思考を持つクールな猟兵はこれをスルーしようとする。

『あー、待ってーー!これでも事件なんだよぉ!キマイラフューチャーで怪人が暴れようとしてるのー!』
 ほんとなんだよー!と服にしがみつき必死に止める妖精に心優しき猟兵が立ち止まると、けろっとした顔でクイスリングは自分の見た予知の内容を話し出した。
 妖精の見た未来はこうだ。
 現在キマイラフューチャー流行りの動画サイトに怪人達による宣伝動画が配信される。
 内容はとある運動場の占拠と、侵入者の排除の宣言。それを見た一般市民が面白半分に怪人達へ勝負を挑むのだが、所詮は怪人と一般人、力の差は歴然である。
 敗北した人々は怪人達の手……というかボールにより無惨な死を遂げる。

『ま、オブリビオンと一般人じゃ、勝敗は見えてるよねー』
 そこで猟兵達の出番である。

『どうやらスポーツマンシップだけは持ち合わせてるようでね、選手の武器の持ち込みは禁止なんだけどキミ達なら問題ない』
 そう、体に埋め込まれた武器やユーベルコードの使用は禁止されてない。その辺は怪人達もルールに加えるなんて考えなかったようだ。
 また、見た目が武器っぽくないものも怪人達は武器と認識しないらしく、一部の武器は普通に持ち込めるときとあるらしい。
 即ち、猟兵達のやることはひとつ。怪人達と全力でドッジボールして勝てばいいのである。
 ただし、ドッジボールで勝利するだけではこの地に平和は訪れない。怪人達を逃さず倒してようやっとドッジボールキングダムは崩壊するのだ。

『なーんか嫌な予感もしてるんだよねー。こいつら倒しても続きがありそうというか……ま、キミ達ならイケるイケる!』

 超☆無責任!
 しかしながら放置することもできない猟兵達は、クイスリングのグリモアに呑まれて行くのであった。


日照
 お世話になります。日照です。
 突然ですが君達にはドッジボールしてもらう。

●シナリオの流れ
 ギャグと言うよりははっちゃけた感じ、テンションの高めな展開となります。無駄に叫ぶこともあります。

 第一章ではユベコもりもり技能もりもりにドッジボールしてもらいます。
 こちらには見るからに凶器!といった武器は動画配信している都合とスポーツマンシップに欠ける行為となるため持ち込めません。
 技能はプレイングに明記されたものを優先的に使いますが、こちらでも皆様のステータスを確認し、使えるものは盛っていきます。とにかくドッジボールしてください。

 第二章ではイソギンチャク怪人達との戦闘となります。こちらの章以降は武器の制限はございません。手に馴染んだ相棒をお連れください。

 第三章はイソギンチャク怪人達の指揮官、別称コーチと戦っていただくことになります。
 基本的に体力勝負です。まあみんなこの程度のことでへこたれないよね!!と妖精は笑っております。

●あわせプレイングについて
 大歓迎です。
 ご検討の場合は迷子防止のため、お手数ではございますが【グループ名】か(お相手様のID)を明記くださいますようお願い申し上げます。

 では、良き猟兵ライフを。
 皆様のプレイング、お待ちしております!
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第1章 冒険 『遊戯決闘』

POW   :    とにかく正攻法!力強いプレイングで勝負!

SPD   :    経験に基づいた熟練のプレイヤースキルで勝負!

WIZ   :    重要なのは心理戦!常に優位を取ってゲームを支配して勝負!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●実況席より
 さァー!やってきましたキマイラフューチャーの明日を決める世紀のドッジボール大会ッ!!
 実況は私、通りすがりの熱いやつ!スポーツ大好き地文(じのぶん)がお送りいたします!解説はー?
『はーい、みんな大好き妖精さん、クイスリングがお届けするよー』
 クイスリングさんは諸事情により会場まで来られないため音声での参加となります。遠いところよりお疲れ様です!
 さて今回全国ネットでの宣戦布告により一躍トレンドにもなりましたエクストリームドッジメンズ。噂によれば実力派揃いということですがクイスリングさんはどう見ますか?
『んー、あんな大胆な挑発するくらいなんだから自信はあるんじゃないか?強いていうならチームの団結力が強そう?』
 成る程!ドッジボールはチーム戦。彼等のコンビネーションこそが最大の武器ということでしょうか?
『おそらくねー。そこらは予知できてないから知らないけど』
 これは今後の試合運びの注目ポイントですね。
 対するは、昨今キマイラフューチャーにもその名を轟かせる謎の集団、猟兵(イェーガー)!クイスリングさん、猟兵って何者なんです?
『詳しいことは省くとして、とりあえず正義の味方(ベビーフェイス)だと思っておけばいいよ』
 お子様にも分かりやすいご説明ありがとうございます!戦隊ヒーロー的何かだと思って実況を進めさせていただきましょう!
 さあ両チーム運命のコートに出揃いました。人数は同数のため、人数によるハンデはなしとなります。
 お揃いのゼッケンをつけて平行二列に並ばれると中々の迫力がありますね。
『だねぇ。ともあれせっかくの余興だ。どっちのチームにも清々しく戦ってほしいものだね』
 はい!正々堂々、互いの全力を出し合っていただきたいものです!
━━それでは間もなく試合開始となります。皆様、お飲み物の用意はお忘れなく!
『チャンネルは、そのまま!』
エダ・サルファー
体力には自信があるぞー!
ドッジボールは知らなかったけど、勉強してきたから大丈夫!
覚悟しろよ怪人ども、私の祈りと拳ではっ倒してくれる!

さて、ドッジボールはボールで相手をぶっ倒す球技とのこと。
投げる際には、鍛えた力(怪力)と格闘術(グラップル)を応用して、回避困難で重いボールを投げていくよ。
相手のボールへの対処としては、同じく格闘術の応用で回避を試みよう。
捕球の際にはなんか不思議な力(念動力)を利用して、勢いを削ぎつつ捕球するのが良さそうかな?
なかなか相手が倒せない場合、必殺聖拳突きでボールを打ち出し、文字通り一撃必殺のつもりで相手を狙っていこう。



●ルール説明
 試合開始前にルール説明をさせていただきます!
 ルールは極めて単純(シンプル)ッ!相手にボールを当てて、全員をコートの外に追い出せれば勝利です!
 しかし当たった後のボールがバウンドする前に自分でキャッチ、もしくはチームメンバーの誰かがキャッチした場合はセーフ。また、続けて二人以上の選手にヒットした場合は最初に当たった人のみが場外(アウト)となります!
 なお外野メンバーの復活は今回なし!怪人のボールが当たって無事な人間がいるとは彼らの誰も思っていなかったので復活とか必要ないね?ということになったらしいです!
 この他に、5秒以上ボールをキープしてはいけない、投球時や捕球時にラインを踏んではいけないなど細かいルールはありますが基本的にはスタンダードなドッジボールのルールに則って改変されているようです。
 なお必殺技?につきましてはご利用いただけますので存分に披露してください!

●第一投から波乱だらけ
 今、運命のプレイボール!
 まずは挑戦者である猟兵チームの攻撃です。ボールはゼッケンNO.1エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)選手に渡されました。随分と小柄な選手ですが怪人達相手にどんな戦法を取るのでしょうか。

「シュククククシュシュ、あんなお子ちゃまのボールなどたかが知れている」
「ニニニニニ、半端な気持ちでこのコート内に入ってきたことを後悔させてやるわ……」

 エクストリームドッジメンズ余裕の表情、まずは相手に胸を貸してやるという事なのでしょうか。全員真っ向から受け止めるためにやや前傾気味に体勢を整える!
エダ選手腰に捻りを入れて思いっきり振り被りぃ……投げましたぁ!

「へるぶしゅっ」
「な、NO.5――――!!!」
「っし!!ひとりめぇ!」

 おおっとぉ!!?
 なんという事でしょう!エクストリームドッジメンズNo.5仮名御所泉選手、エダ選手のボールをキャッチしようと試みましたが錐揉み横回転しながら外野まで吹き飛ばされました!これにはエダ選手盛大にガッツポーズ!いやぁ、ボールの威力とは思えない圧倒的破壊力でしたがこれは一体どういう事でしょう解説のクイスリングさん!

『んー、恐らくはドワーフの潜在能力に加えて当人の洗練された格闘術と怪力が綺麗に組み合わさった結果だと思うねー。さらには腰をしっかり捻って全身を使っての一投、ボールに籠められたパゥワァーは並大抵の怪人は吹き飛ばしちゃうだろうねー』

 普段は聖職者であるというエダ選手、やはり悪魔程度一撃粉砕するほどのパゥワァーが必要なのでしょう。まさに鉄拳制裁ともいえる見事な攻撃です!いやはや、第一投から波乱だらけとなってまいりました。試合前インタビューにおきましては今回初ドッジということだったのですが予習復習はばっちりだったようです。「覚悟しろよ怪人ども、私の祈りと拳ではっ倒してくれる!」と力強く宣言した通り、まずは一人目御所泉選手にクリーンヒット!猟兵チーム先制に成功します!

『あ、視聴者の皆様には念のため言っておくけど、今回ドッジしてる連中は特殊な訓練を行っているからこういう事ができるだけだからね。真似しようとか考えないようにね』

 ちなみにNo.5御所泉選手、やや足元がふらついてはおりますが無事です!アウトとなりますので猟兵チーム側の方へ移動お願いいたします!

「くっ、まさか我々ドッジメンズ一番のパワーファイター御所泉が真っ先に潰されるとは」
「だが奴らはまだ本当のドッジボールを知らない……」
「我々の真の力、とくと味合わせてやろう!マハハハハハハハハー!!」

 御所泉選手、移動終わりましてボールはエクストリームドッジメンズに移ります。投じるはNo.2仮名西堀選手……おっとこれは!

『わぁ、思いっきり振り回してるねぇ』

 西堀選手、片手でボールをがっちり掴んだ?まま腕を回す回す!そしてその勢いのまま――投げました!ボールは真っ直ぐエダ選手へと!速い!非常に速い球がエダ選手に迫るしかしこれを回避ぃ!!ボールは外野へと移りますがここで先程アウトとなった御所泉選手ややあくどい顔!

「ソーッソソソソソ、早速復讐のチャンスってわけか。容赦はしないぜ嬢ちゃん!」

 パワー自慢と噂の御所泉選手、大きく振り被りおおっとこれは意趣返しか!?エダ選手同様にしっかり腰を捻っての投球です!全身の力を余すことなくボールに籠めての痛烈な一球!万事休すか!!!
 ここで一旦CMです!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルル・アークライト
【POW】
ジャージ&体操服姿でやる気満々

普通に試合に参加させて貰うわね、
立ち回りは運動苦手なか弱い女子っぽく。
きゃーきゃー言いながらもたもた走り回って逃げ回っちゃう。

但し『見切り』で偶然を装い球を避けつつチャンスを伺い
『武器受け』で甘い球をキャッチさせて頂くわ

ふふふ、女子だからって手加減しちゃった?
きゃー優しーいありがとー!
…それじゃあ今度はこっちのターンね!死になさい!(悪い顔)

『属性攻撃』を加えての
【トリニティ・エンハンス】で攻撃力アップ。
ドッジボールのお約束(?)、
燃える魔球よ!受けてみなさーいっ!
あ、ちなみにそれ受け止めたら爆発するから気を付けてネ?

連携歓迎あどりぶもおっけー!



●提供
 この番組は、キミの未来にハッピーエンドを!旅団『劇団』と、
ご覧のスポンサーの提供でお送りしています。

●本物の燃える魔球
 さあCM明けましてエダ選手に御所泉選手の剛速球が迫るっ!!!が!!!華麗に見切られボールはドッジメンズ陣地へリターン!そのままゼッケンNo.6仮名村松選手の前に!

「チャチャクチャー……仮にも世間を賑わす猟兵軍団、我々の想定を超える行動を起こしてくるようだな……」

 村松選手、なんだか眉間のあたりをクイっとしてますがこれは。
『普段は眼鏡なんでしょうねー』
 本日はコンタクトでのご参加なんですねー。

「おおっ、あやつが眼鏡(幻)を光らせておるわ」
「No.6は我々の中でも頭脳派にして分析能力の高い男……最早あやつに捕れないボールはない!」
「その通り……奴らの身体能力は読めた。さあ、反撃しようじゃないか……」

 ほんのりアンニュイな雰囲気の村松選手、ボールを拾うと脅威となりえるからかエダ選手から標的を変更!ジャージに体操服が眩しい健康的美少女アルル・アークライト(星剣使い・f01046)選手へ!!さっきからボールが近くを飛んでくたびに可愛らしいリアクションを見せておられましたアルル選手、やはり身体能力的には若干他メンバーより劣ると判断されたか!村松選手、腕をしっかり回して回して……

「あっ」
「あっ」
「あー」
『あらまー』

 あっ、すっぽ抜けました!これは痛い!アルル選手ふんわーり飛んできましたボールを優しくキャッチー!

「ふふふ、女子だからって手加減しちゃった?きゃー!優しーい!紳士―!ありがとー!…それじゃあ今度はこっちのターンね」

―― 死 に な さ い 。

 か、かなりの悪い顔ぉぉぉぉぉぉ!!!これは放送してもよかったのでしょうか?
『まー大丈夫でしょー。猟兵だって人だもの、性格はピンキリ、可愛いも悪いも紙一重だって』
 お茶の間の皆さん、悪い顔はしていましたが彼女はちゃんと正義の味方側です!勘違いなきようお願いします!
ええ、そんな凶悪スマイルアルル選手ですが、おもむろにボールを投げました!フォームもボールも一見何の変哲もないように見えますが……おおっとこれは!燃える!燃えています!投げたボールが突然燃え上がりました!まさか生きている間に本物の燃える魔球を見ることになるとは思いもしませんでした!
 対するはエクストリームドッジメンズ村松選手!これはさっきのドジっ子を挽回するチャンスです、真っ向から受け止める姿勢を整えます!

「問題ない、燃えているしパワーはあるが受け止められないことはない!!こなくそぉぉぉぉぉ!!!」
「おおっ!流石だNo.6!」

 村松選手強引にキャァァァッチ!!すごい!これはすごいぞ!完全に燃え上がって、アンニュイキャラは放り投げてもボールは離しておりません!恐ろしい執着!恐ろしい根性!これが!これがエクストリームドッジメンズを名乗る男たちの勇姿かぁぁぁぁ!!!

「あ、それ爆発するよ?」
「へっ」

 こ、これはああああああ!!無情の爆発!村松選手場外に吹き飛ばされてしまいました!ドッジメンズ全員村松選手の飛んでった方向へ全力で叫んでおります!これはどういう判定になるでしょうかクイスリングさん!?

『えー、そのまま猟兵チームのボールになるんじゃないかなぁ?ボール持ったまま吹っ飛ばされちゃったし、たぶんあれじゃない?五秒以上所有しちゃだめってルールに触れちゃうし、そもそもボール持ったまま外行っちゃったからねぇ。あ、でも相手の選手はちゃんとボールをキャッチしてるからそのまま内野に戻ってきてもらうことになると思うよ』

 レフェリー同意見!村松選手はアウトにはなりませんがボールは猟兵チームへと渡ります!なお先程のボールは跡形もなく爆発してしまいましたので新しいボールがレフェリーより猟兵チームへと渡されます。そしてふらっふらの村松選手、ちょっと香ばしい匂いを漂わせながら内野に戻ってまいりました。

「無事か!?いや無事ではないが一応聞いておくぞ?」
「くそっ、美味しそうになりやがって……」
「チャ、クチャ……奴ら、我々の想定を遥かに超えてくるぞ……」
「くっ、我々動画デビュー戦から苦戦し過ぎじゃないか?」

 猟兵達の予想だにしない剛速球や魔球に思わずビビり始めていますドッジメンズ。このまま試合続行不可能となってしまうのかー!!?

大成功 🔵​🔵​🔵​


●血と汗にまみれた特訓の日々
「諦めるんじゃない!」
「お、お前は……No.4!」

 ここで激励に立ち上がりました、ゼッケンNo.4仮名吉野選手!堂々たる立ち振る舞いから恐らくリーダー格の選手と思われますがどうしてNo.4なんでしょうね。
『野球か何かでもやってたんじゃない?』
 花形選手としてここ一番の強さを見せてくれるか、はたまた不吉の四番を背負ったままとなるのか、注目の一投は――

「思い出せ!俺達の血と汗にまみれた特訓の日々を……雨の日も、風の日も、雪の日も……俺達は、ドッジボールし続けてきたじゃないか……!!」
「な、No.4……」
「そうだ……あの特訓を思い出せ……俺達はあれを乗り越えてこのコートまで来たんだ……!」

『あー、これ回想シーン入っちゃったねー。ちょっとそっとしといてあげましょう』
 回想シーンが終わりましたらお声かけ致します!

●回想
 雨の日も、風の日も、雪の日も……
 俺達は、ドッジボールし続けてきたじゃないか……!!
(スポーツアニメとかでよくある特訓風景の回想が流れています)
ユキ・パンザマスト
【団地ーム/POW】
体を動かすゲーム!? 賛成賛成、あっそびましょう!
皆でやってきました運動場! 
ルール順守、手加減無用のざんぎゃくファイトが今はーじまるぞー!

小柄さと俊敏さ、刻印強化された体をフル活用!
やちよさんの派手ムーブの間を縫い、たからと二手で低位置をダッシュで躱し、野生の勘で察知しボールを受ける!
投げる時には衝撃波起こしてぶっ飛ばす勢いの、鎧無視剛速球!
灰治さん妹さん等のパス回しを妨害しそうな奴、仲間狙おうとする奴が近くに居たら、先制攻撃に恐怖を与える獣の一睨みと威圧で、竦ませたりボールを甘々にしてやろう!

ええ、ええ、勝負の世界に卑怯という文字は無し!
チーム連携の勝利って奴ですね!


有栖川・灰治
【団地ーム】
ドッヂボールなんて小学校以来かも!
みんな張り切ってるねぇ。じゃあ僕もがんばろっと!
あんまり運動って得意じゃないから、僕は操羅と外野でパス回ししよっかな。
【SPD】
左掌が裂け、無数の黒い触手がこんにちは!
灰治本人は主にみんなの応援で、触手の操羅がすごい吸着力でみんなのボールをキャッチアンドシュート!触手がしなる!力強い!すごいぞ操羅!心なしかウキウキと楽しそうだ!
ちなみに灰治にボールが飛んでくると普通に取りこぼすぞ!気をつけろ!


鎹・たから
【団地ーム】
ドッジボール
それは誰もがボールに魂を込めてぶつけあう遊び

POW勝負で行きましょう
敵の攻撃は小柄な体を活かし【ダッシュ】で躱していきましょう
ボールを受け取ったら【暗殺、気絶攻撃】で素早く撃ち落としていきます
味方にボールが当たりそうな時は荒雪で操作
【念動力】で更に操作しやすくなっている筈
その場にゆっくりボールを着地させます

おやおや、「偶然にも」スピードを急激に落としてしまいましたね
これはたから達の陣地に落ちていますから、たから達のボールです
(ガッと投げつけたあと更に荒雪で操作し攻撃

全てはチームの連携あってのもの
声を掛け合いしっかり的を集中攻撃しましょう
…的ではありませんでした、敵です


花邨・八千代
【団地ーム】
きみは!ドッジができる!フレンズなんだね!たーのしー!
ってな訳で全力POW勝負だ。POW勝負だけど【空躁】使って縦横無尽にコートを支配しつつ『怪力』使ってボールぶん投げるぜ。
狙いは脚だ脚、潰れろ。
向かってくるボールは『第六感』使って避けつつ、避けられなきゃ顔面で受けに行くぜ。もし仲間がボールに当たったら地面に落ちる前にキャッチ。
あとは外野にいる灰治と執拗なパス回しで嫌がらせしまくるぜ!
姑息?勝てばイイんだよ勝てばなァ!

とにかく、全力で、楽しむ!
団地ームの底力見せてやるぜ!



●連携の勝利って奴です
「ドッジボール……それは誰もがボールに魂を込めてぶつけあう遊び……」

 おおっと、訳知り顔でちょっと前に出てきたのは鎹・たから(雪氣硝・f01148)選手だぁー!回想シーンに割って入るあたりかなりの猛者とみたぁ!!
『たぶん放置してたらいつまでも思い出に浸っちゃうと思ったんだろうねー、ナイス割込みだねー』
 我々的にも有り難い限りです!たから選手、神妙な顔からきりっと強気な表情に!腰に手を当てびしっと相手チームを指差します!

「ですが遊びだからと手を抜くこともない。だって……たから達も、あなた達も、このコートの中にいる以上戦士なのですから!」
「ほう……若いながらに戦いを理解しているな……それでこそ我らの好敵手」

 これにはドッジメンズリーダー吉野選手もご満悦!チームメンバーもなんだか気持ち嬉しそうです!やはりスポーツ系チームにライバルチームは必須という事なのでしょう。思わぬ形ではありますが、エクストリームドッジメンズようやく士気が高まってまいりました!ボールを渡したもののドッジメンズが一向に試合に戻って来てくれなかったために中断扱いとしてくれていましたレフェリーもこれにはにっこり!
『やー、長い回想だったねー。三日間分くらい?』
 体感はそんなところです!さあ改めまして試合再開!猟兵チームの攻撃です!ボールは猟兵チームゼッケンNo.3花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)選手へ渡ります。

「きみは!ドッジができる!フレンズなんだね!」
「むむっ、そういう貴様もドッジができるフレンズなのだろう!」

 おや?どうやらチームを超えた友情が育まれているようです。エクストリームドッジメンズNo.3仮名幸橋選手、ゼッケンの番号が同じという事もあるのでしょうか、なんだかテンション高めな様子の花邨選手と意気投合!
 対する花邨選手にこやかな笑顔のままですがしっかりボールは構えます!どんなに楽しくても敵同士、正々堂々戦おうという事なのでしょうか。幸橋選手も浮かれながらもしっかりと構えは解きません!プロですねー!

「そうだよ!たーのしー!!」
「たぁーのしぃー!!!」
「隙ありゃああああああ!!!」
「あぶぃっ!!?」

 あああああっとここで鋭い一撃ぃ!花邨選手、胴体狙いかと思いましたら狙いは幸橋選手の両足へシュゥゥゥゥゥゥ!!!結構エグい音がしましたが無事でしょうか!
『んー、イソギンチャクに骨があるかは知らないけど、あるなら確実に骨イっちゃってるかな~。彼女、情報によるとパワフル系種族だし、かなりの力籠ってたと思うよー』
 幸橋選手、両脚を抑えてプルプルしております。先程までが威嚇する子アリクイだというなら今は生まれたての小鹿といったところでしょうか!

「な、No.3ぃぃぃぃぃぃ!!」
「き、貴様ぁ!!我らの中でも一番弱くて一番ドッジボールが大好きなNo.3を!なんて卑怯で姑息な真似を!」
「卑怯ぅ?姑息ぅ?……はッ、勝てばイイんだよ勝てばなァ!」

 これは花邨選手かなりクズい感じ!!!先程までとは打って変わり悪どい笑顔ぉぉ!!キャラも変わったような気がしますが正義の味方的にはセーフなんでしょうか!
『最初のは猫かぶってただけだろうねー。あとヒーローにだってこういうタイプの人がいないと敵に裏かかれたりしたら大変なんだよ。なので合法合法』
 敵を知るためにはまず己からという事でしょうか!ダーティーヒーロー花邨選手、見事に幸橋選手を外野送りに!しかしボールはドッジメンズ陣地に取り残されたままです!脚は砕かれましたがボールは守り切りました幸橋選手!
『一番ドッジ弱いらしいけど代わりに味方と運に愛されてるようだねー』

「任せておけNo.3……お前の仇は私が討つ!!」

 ボールはゼッケンNo.2仮名西堀選手の手に。外野に転がされていった幸橋選手の分も挑戦者チームを打ちのめすことはできるのでしょうか!しっかり振り被って……投げましたぁ!仇と言いつつ狙っているのは運動が苦手っぽい雰囲気のある有栖川・灰治(操羅・f04282)選手!突然自分を狙われたからか、それとも身体がついていかないか、迫るボールに対処できません!

「わっ」
「よおぉぉぉぉぉっし!!!」
「あちゃぁ、当たっちゃったか」

 おっと、ここで猟兵チーム初の脱落者です!有栖川選手、外野へ向かいます!しかし思ってたよりダメージは低そうですね。
『今まで猟兵サイドの攻撃見続けてきたせいで視聴者の感覚にインフレが起こってる可能性もあるかなー』
『あとはさっきのボール、途中で失速してたようだからねぇ。速度のない球ってそんなに痛くないから平気だったんじゃないかなぁ』
 言われてみれば、ちょっと過激でバイオレンスな猟兵チームのボールに慣れ過ぎてたかもしれません。そうですね、普通のドッジボールではまず在りえない投球が多かったですね!これがエクストリームドッジボールというものなのでしょうか。
 さあ、有栖川選手も外野に移動。外野は猟兵チームは有栖川選手、ドッジメンズは御所泉選手と幸橋選手の二名となっております。

「はぁ、やっと外野に来られたね。……それじゃ、始めるよ操羅」

 う、うわああああああっ!!!?ななな、何が起こっているのでしょうか!ええっと、有栖川選手の左手からこう、どゅるんと、どゅるんと黒い物体が!あ、あれは一体……?
『あー、彼の連れてる黒い子は妹の操羅(クララ)ちゃんだねー。諸事情合って見た目はあの通り怖いしやることも怖いけど基本的にひとには優しいはずだから気にせず解説して大丈夫だよー』
 一瞬カメラを留めていただくべきか議論が入りましたが、デリケートな事情もありそうなのでここはゴーサイン!あれとか物体とか失礼いたしました!改めましてくららちゃん選手にもお兄ちゃんと一緒に頑張っていただきましょう!
『この番組は、特殊なカメラにより皆様のSAN値が減りにくくなっております。よろしくお願いします、ねこはいます』
 さて、ボールは猟兵チーム。鎹選手が手に取り、鋭いボールがドッジメンズNo.1仮名市島選手へ!しかしこれを難なくキャッチ!そのまま攻撃へ移ります!腕を回しての非常に鮮やかな攻撃が鎹選手へ!おっとぉ、サイドステップで着弾回避です!
避けたボールは外野、No.5御所泉選手へと渡ります! 御所泉選手、自慢のパワフル投法で狙い打ちます!

「たから!後ろ!」
「はい!!」

 背面からの攻撃へユキ・パンザマスト(暮れ泥む・f02035)選手が声掛けしての回避!何故だか一瞬ボールが減速して見えたのですが速度を変化させるボールを投げられるという事でしょうか。回避して落ちたボールは猟兵サイド、ユキ選手の手に!
『やー、やっとドッジボールらしいラリーが見られましたねー』

「さっきから我々のボールの調子が悪いな……」
「あ、ああ……あのNo.5がチェンジアップなんて器用な真似ができるはず……」

 さあ、ユキ選手投げ……ななな、なんでしょうこの迫力!なんというか、踏み込む力の強さで足元の土がべきべきに割れています!そして投げ放ったボールは――ソニックブーム!狼狽える面々を容赦なく薙ぎ払います!
『うわー、最早触れる前に相手を吹き飛ばしてるねー』
 残念ながら誰にも当たらずワンバウンドしてボールは外野へ!おおっとぉ!あの衝撃波ボールを操羅選手難なく受け止めます!見た目によらず力持ちの妹さんです!そしてそのまま衝撃波で飛ばされ倒れたままの市島選手へシュート!!これはしっかりヒット!市島選手外野に移動してください!

「すごいぞ操羅!えらいぞ操羅!やっぱりみんなと遊べてうれしいのかな?ウキウキしちゃってるね!」
「やっぱり身体を動かすゲームっていいですねー!やちよさんじゃないけど、たぁーのしー!」
「くっ、No.1!これで外野は三人だ!囲め!三方向からのパス回しで対抗するぞ!」

 吉野選手ボールを……おや?ボールは猟兵チームの陣地へ転がっていってますね。吉野選手追いつこうとしますがぎりぎり届かず!まるで待ち構えていたかのように立っていた鎹選手が拾い上げます!

「これはたから達の陣地に落ちていますから、たから達のボールですよ」

 そのまま体勢を立て直しきれてない吉野選手へシュート!高速のボールが肩へ見事にヒット!跳ねたボールは再び外野!操羅選手ががっちりキャッチしております!これにはお兄ちゃんもにっこり!応援する声にもラブが籠っております!
『お兄ちゃんは全く運動できないみたいだしね、妹さんかなりがんばってるよー』

「くっ……貴様らそんな、途中からいきなり増えるとか卑怯じゃないか!」

 おっとここにきて爆発ダメージが落ち着いてきたんでしょうかNo.6村松選手、操羅選手のボールを避けながら抗議の声です。ちなみに途中から増えたとのことですが、操羅選手はルール的にはどうなんでしょう。
『んー、妹さんはお兄ちゃんと一心同体みたいだからね。増えてるように見えてほぼ一人と同じようなものだからセーフセーフ』
 レフェリーも問題ないとジャッジしております。村松選手がっくり肩を落とすが真正面にはユキ選手がスタンバっております!

「ええ、ええ、勝負の世界に卑怯という文字は無し!ぐちぐち文句を言ったところで結果は変わらず!ユキ達の連携の勝利って奴です!」

 勝利宣言から無情にも叩きつけられる衝撃波ボール!村松選手そろそろオーバーキル入りそうです!近くにいた西堀選手、村松選手にヒットしたボールに触れる事すらできませんでした。村松選手アウトでこれでドッジメンズ外野は一気に五人へ!すごい、すごいぞ猟兵チーム!
『特に今連携を組んで動いてた子たちは同じ団地に住んでるご近所さん同士みたいだからねー。団地の行事等で磨かれたチームワークがドッジメンズを上回っているんだろうねー』
 成程、チームワークが要となっているのですね!猟兵チーム、もとい団地ご近所さんメンバーの連携がドッジメンズのコンビネーションを見事に崩しているようにも見えます。
さあ、ドッジメンズずんずん追い込まれてきております。果たして勝敗の行方はどちらに!
気になるところではありますがここで再度CMです!
『チャンネルは、そのまま!』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒瀬・ナナ
【POW】
体力には自信あるわよ!任せて!
……ところで運動するときはこの格好って聞いたんだけれど、あってる?(体操服とブルマ姿で参戦)

……えぇと、これ、取ったらどうすれば良いの?このボール握り潰せば良いの?等と周りの人にルールを聞いたりして『時間稼ぎ』をしつつ、持参した唐揚げ弁当を頂きます。
え?だってお腹が空いてちゃ戦は出来ないでしょ?試合中に食べちゃいけないってルールは無いでしょ?
『大食い』でお肉をたらふく食べて【フードファイト・ワイルドモード】でいざ勝負!
お肉パワー全開の渾身の一投で、おねえさんが全員薙ぎ倒しちゃうから覚悟しなさい!そーぉれっ、と!

※アドリブ、他の猟兵さん達との絡み歓迎です。



●メンバー
 この番組は、エダ・サルファーさん、アルル・アークライトさん、
 花邨・八千代さん、ユキ・パンザマストさん、鎹・たからさん、
 有栖川・灰治さん、有栖川・操羅さん、黒瀬・ナナさん、
 そしてこのボク、クイスリング・ブルーメ!
 ご覧のメンバーの皆様でお送りいたしました!

●腕力
 はい、試合も佳境。ついにエクストリームドッジメンズ内野メンバーは二名となりました!残るはNo.2仮名西堀選手と、No.7仮名南郷選手!さあ、試合続行です!

「くっ、外野にもメンバーはいるが正直不詳者続出で誰が役に立つのかちっともわからん……」
「もうキャラ作りとして考えてきた笑い声とかやってられないしな」
「ああ、どうにかしてあの連中を打ちのめさなければ……ん?」

 おや?なにやら内野陣様子が変ですね。猟兵チームの方をじっと見つめているようで……ああっとぉ!?これは釘付けにもなります!今や廃れしブルマスタイルにて参戦、猟兵チームのゼッケンNo.7黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)選手がまさかのお弁当ターイム!!
『実はさっきのラリーあたりからずっとご飯食べてたんだよねー、彼女』
 なんという豪胆さ!!いや、団地チームの皆さんの圧が強くてうまく隠れ切れていたんでしょうか。あまりのことにレフェリー確認に向かいます!しかしどうしてお弁当食べちゃってたんでしょうか。

「え?だってお腹が空いてちゃ戦は出来ないじゃない!試合中に食べちゃいけないってルールは無いでしょ?」

 まったくもってその通り!ルールには書いておりません!見事一杯取られましたがレフェリー困った顔をしております。黒瀬選手おねだりのまなざしでこれを鎮圧!!レフェリーよりごはんOKのサインが出されました!
『にしてもおいしそうだねーあのお弁当。なに?からあげ弁当?いいなー!』
 結構なボリュームのから揚げです。それを大きく口を開けてがぶり!んー、実に美味しそうです!見ているこちらもお腹空いてきますねー。

「いやいやいやいやいやいやいやいや!!!止めよう!!!」
「これドッジボールだからね?スポーツの!試合の!真っただ中!!!」
「もー、二度も同じこと言うのやーよ?」

 言いつつもお箸は止まりません!実に清々しい食べっぷりです!
『まあこのまま飯テロ動画に移行する前にドッジボールに戻ってほしいかなー』
 ですねー、我々のお腹も限界が近づいてきております!あとそのお弁当どこでノックすればいいのでしょう!後程ご連絡お願いいたします!

「実況さんたちが言うなら仕方ないなぁ。よぉし、おねえさんお肉パワー全開でいっちゃうからねー!」

 さあ、残ったお弁当を……えっ、食べ切って?あの、今半分くらい残ってたのが一瞬で消えましたが?
『あ、ナナ選手は本職にフードファイターやってるって情報があるし、あれくらいの量は余裕なんだと思うよ』
 なんと!これはまた別の番組でも人気となりそうです黒瀬選手!さあ、美味しく完食しまして試合今度こそ再開です!ボールは猟兵チーム外野有栖川選手より内野の黒瀬選手へ!お腹いっぱい気力全開の彼女はどんなボールを見せてくれるのか!注目の一投です!

「こうなったらあれしかないぞ、No.2」
「あれ!?しかしあれはまだ未完成の技……やれる、のか……」
「馬鹿野郎!やるかやらないかじゃない!やらなきゃならないんだ!行くぞ!フォーメーションΩ!!」
「お、おう!!」

 おっと、ドッジメンズ二名、何やら横に並んでおります。これはどういった作戦何でしょう。
『んー、恐らくだけど、本来ならもう少し多い人数でボールを受け止めるための陣形を組むものなんじゃないかなー。もう二人しかいないからボールが来る方向に並ぶだけになってるっぽいね』
 この局面、何があってもボールだけは捕るという決意の籠った陣形なんですね!外野の無事なメンバーも心配そうに見つめています!

「そう、ならおねえさんも全力を尽くすわ。全員薙ぎ倒しちゃうから覚悟しなさい!」

 おおっ、なにやら黒瀬選手から並々ならぬオーラを感じます!
『これはさっき食べたごはんを完全に吸収してるね。あのジューシーな唐揚げを、ほくほくのしろいごはんを、ちょこんと乗ってた梅干しをこの一球に捧げる……ってところかな』
 フードファイターでもある黒瀬選手のとっておきという事でしょうか!食べた力を即変換しての一撃、さあどうなるか!今……

「そー、ぉー、れっとぉ!!!」

 投げましたぁ!!!すさまじい速さ!寧ろよくボールが破裂せずこれだけの破壊力を出せるのかを聞きたいところです!さあドッジメンズ決死のキャッチ、受け止めきれるのか!!今着弾!

「くっ、ぬおおおおおおおおおお!!!」
「こ、これしきのことでぇぇぇぇぇぇ!!!」

 二名の選手、互いの腕を交差させまるで一本の腕のように!二人分の力で止めにかかります。が、押されている、押されています!受け止めた両の腕が先端から解けていき……

「ぐああああああああ!!!」
「ば、ばかなああああああああああ!!?」

 ああっとぉ!二名とも吹き飛ばされました!!!これはどう判定が下るのか!
『ええっと……ちょっと待ってね。正直どっちが先とかわからなかったしなぁ……あ、VTRある?』
 あ、カメラさんありがとうございます。ここで映像判定に入ります。どうやら受け止めた時点では特に問題はなさそうですが。そこから……ああー、これはボールが腕を突き抜けて両名の肩に当たっておりますね。
『タイミングは同時っぽいし、レフェリーさんもこれは見分けつかないみたいだねぇ』
 おっ、判定が出ました!本来ならば複数人に当たった場合は最初の一名のみアウトとなりますが、今回は二名でキャッチに挑んだことも加味し、ヒットではなく捕球失敗によるアウトという扱いとなるそうです。よって!両名アウトで場外となります!
『まあすでに場外に吹き飛ばされて動けなくなってるけどねー』
ここで試合終っ了うぅぅぅぅぅ!!勝者は挑戦者、猟兵チームです!いやぁ改めて見返してみますとかなり一方的な試合運びとなりましたねぇ。勝因と敗因は何でしょうか。
『そうだねー、まず猟兵チームがごりごりの力任せスタイルで押してくる子が多かったこと、けど力押しだけじゃなく作戦自体もしっかり練り込まれてて相手の妨害も忘れなかったこと。何よりあれかな、腕力』
 腕力。
『今回ドッジメンズに対して遠慮も容赦もなく全力でボールぶん投げてたでしょ。きっと一般人相手だったらそれなりにセーブして投げると思うんだけど、相手が相手だったから加減とかしなかったからね。一般人が受け止めてたら死んでるような球の数々が延々トンで来るんだからドッジメンズのみんなも相当つらかったと思うよ。うん』
 画面の前のよいこの皆さんは絶対に真似しないでくださいね!!
 では、これにて本日の放送は終了!実況は通りすがりの私、地文と!
『キミを導くキューティーフェアリー、クイスリングがお送りしたよ!』
 では皆様!また会う日まで!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『イソギンチャク怪人』

POW   :    テンタクル・テンペスト
予め【触手を振り回しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ウネウネ・アネモネ
自身の肉体を【ウネウネモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ポイゾナス・ポリプ
【頭部】から【毒針のついた触手】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●あれから数日が経過した
 動画投稿後、盛り上がりの冷めやらぬグラウンド。
 この場に再度集まった猟兵達とエクストリームドッジメンズメンバー七名は熱く視線で火花を散らす。
 前日は熱い戦いを繰り広げた――というよりも一方的にぶちのめされた彼らではあるが、今日はそうはいかない。彼らにだって矜持はある。

「試合は試合、死闘は死闘。我々かて野望のために動く者」
「ドッジボールによる一般人虐殺計画は塵と消えたが我々も怪人!」
「このまま終われるはずがなかろうが!!!」

 ボールを投げ捨て、本来の姿で襲い来るイソギンチャク怪人七名!
 こっちもわざわざ傷が癒えるまで待ったのだ。文句ひとつも言わせず、今度こそ戦いに終止符を打とう!
エダ・サルファー
よっしゃ、もうボールは使わなくて良いんだな!
ドッジボールは楽しかったけどそれはそれ。
私の拳は主に敵を殴るためにあるのだ!
実は殴り合いのほうが得意だってところを見せてやろうじゃないか!

イソギンチャク怪人たちは、頭の触手を使った攻撃をしてくる様子。
触手の動きをよく見て攻撃を避けたり受けたりしつつ、距離を詰めていくよ。
接近できたら格闘戦を仕掛けよう。
敵の動きを見つつ、殴ったり蹴ったりしていくよ。
隙があれば組み付いて、そのまま一気に聖職者式脳天逆落としを食らわせてやる!

……そういえば、この間は私のことを子供だと思って油断してくれてたけど、一応私は大人の女なので。
油断してると(物理的に)痛い目を見るぜ!



●ライバルは君だ!
 各怪人たちはそれぞれに相対すべき相手を決めていたのだろう。互いに戦闘準備が整えば流れるように各々の標的へと攻撃を仕掛けた。猟兵達も仕掛けられた攻撃に対して反撃し、気付けばグラウンドの各所へ分断されていた。
 ここから先は各戦場ひとつひとつをご覧いただこう。

●人を見かけで判断してはならない事例
 エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)の眼前には先の試合で御所泉と呼ばれていた怪人、No.5が立ち塞がっていた。仮にも力自慢として売り出していた身、初手で吹き飛ばされたのは余程悔しかったのだろう。

「ソーッソッソッソッソ……この間はいいボールを有難うよ。お前の相手はこの俺以外に務まるまい」
「へぇ、そこまで言ってもらえるのは嬉しいね」

 触手を振り回す怪人に対し、エダは嬉々として構えた。

「ドッジボールは楽しかったけどそれはそれ。今度は私の得手でお相手してあげようじゃないか!」

 言うより早く、エダが姿勢を低く保ったまま怪人へと突進。狙うは怪人の胴体だ。高めに束ねた樺色の髪を激しく揺らして軽やかに、且つ力強く接近を試みる。が、それを怪人が許すはずもなく、No.5は触手を鞭の如くしならせ、エダを打ち据えんと低く薙いだ。
 整備されたグラウンドが深く抉られるも、エダは跳躍ひとつで回避してさらに接近。触手が回避された怪人は素早く体勢を整え、今度はリーチの有利があるうちにと長い腕での殴打を狙ってきた。
 腕一本を盾にする形で受け止めれば、そのまま直進。既に相手の間合いの中、そしてエダ自身の得意範囲。互いの声も届きやすくなったこの距離で、エダは試合中表には出さなかったものの気にしていたことを投げつけた。

「……そういえば、この間は私のことを子供だと思って油断してくれてたけど、一応私は大人の女なので」
「は?」

 思わず間抜けた声で聞き返す怪人。至近距離で止まるふたつの影。

「おいくつ?」
「27歳」
「お嬢ちゃん、見栄張っちゃいけねぇって。大人びたい年頃なのはわかぶゅ!!」
「オーケー、殴る」
「もう殴ってるんですけどぉ!!?」

 抗議の声は余所に、ばきり、軽く握った指を鳴らして最高満点笑顔。種族柄小柄なのは仕方がない、だからと言って子ども扱いは許されないお年頃だ。小さな眼鏡も逆光する。
 まず一撃目は鳩尾に行った。次はないに等しい顎らしき部分に飛び上がる勢いも加えての掌打。ふらついた相手の腕を掴んだならば、そのまま関節が外れんばかりの勢いで背負い投げを食らわせると、倒れたところにストンピングの嵐。その間、蛙が潰されたような声が聞こえてきたが誰から漏れていたかなど言う必要もないだろう。
 抵抗する間もなく殴られ蹴られ、自分一人で立ち上がれなくなっていたNo.5はついに、無理矢理に立たされた上に腰をがっちりと捕まえられた。身を捩り、どうにか振りほどこうとするも微動だにしない。

「学んで逝こう!他人を見た目で判断して、油断してると痛い目を見るんだぜ!!」

 物理的にな!!!
 自身の倍はある相手へと組みついたまま、エダは後方へ軽く跳び上がる。二人の影が美しい弧を描いてゆけば、祈りと経験と技術とひとつまみの怒りが詰まった跳躍式バックドロップ――聖職者式脳天逆落としがドッジメンズNo.5の頭を見事にかち割った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花邨・八千代
【団地ーム】
なぁんだ、てっきり泣き寝入りしたかと思ってたぜ。
だがな、仮にもエクストリームドッジメンズメンバーとして売ってきた喧嘩を今更捨てるたァ意気地がねェな。
アンタらのドッジ愛ってのはそんなもんなのか!?

◆戦闘(POW)
っていう感じで『恫喝』した後、敵が捨てたボールを拾ってそれで戦闘するぜ!
『怪力』を乗せて敵の顔面避けながらボールぶつけつつ【ブラッド・ガイスト】だ、全力で行くぜ。
ボールが手元に戻ってくるたびに『怪力』『2回攻撃』『傷口をひらく』をフル活用して敵を攻撃だ。
敵の攻撃は『第六感』で避けるだけ避けつつ、万が一の時は『捨て身の一撃』で最後まで暴れるぜ!
俺ァ最後までドッジがしてーんだよ!


鎹・たから
【団地ーム】

皆さんの仰る通りです
あなた達から伝わるドッジボールへの情熱は並々ならぬ物とお見受けしました
最後まで自分達が信じたものを貫かなくてどうするのですか!【恫喝】

灰雪で飛び跳ねながら攻撃を 主に連珠を使って拳をフルに使います
【空中戦】は得意です、小柄な身を活かし【ダッシュ】で躱しつつ皆さんとボールを渡し合いましょう
投げられたボールを受け止めたら【2回攻撃、グラップル、鎧砕き、衝撃波】をボールに込めます
どうぞ遠慮なく食らって下さい
これがたからの必殺技です

此処はコートの中
最期まで堂々とあなた達のドッジボールを魅せて頂けると、たからは信じています


ユキ・パンザマスト
【団地ーム】
ゲーマーの端っくれとしちゃあ、負けたからって流儀も手法も掌返すやり方はなぁんか気に入りませんねぇ。
先制攻撃がてら、放映端末で足元にドッジボールのコートを具現投影!
にっひひ、ドッジ愛問われてコートが敷かれたからには、選手としちゃ応えざるを得ないでしょ?

変形した右腕の火力、ダッシュの勢いも乗せて鼻の骨も折れる程の恐怖を与えるなぎ払いを、顔面に放ちましょう!
目元がシビれて視界や感覚がマヒするくらいに!
おっと今のは顔面セーフです、外野に逃げんじゃねーですよ?
ボールが上手いことバウンドして戻るようにして、早業で素早く仲間にパス回し! 
向こうの攻撃は、速度と野生の勘を駆使して避けますよー!


有栖川・灰治
【団地ーム】
あはは、もうみんなやる気満々だねぇ。ここから先は延長戦かな?
口からずるんぶるんとグロテスクに触手を吐き出すと見たものに[恐怖を与える]であろう人型UDCが現れた!
あは、操羅もまだ遊び足りなかった?はい、これボール♡
あ、ちなみにコートから出ようとしたら操羅の可愛い触手で捕縛するから。…逃げようとしてもだめだめ。
さぁてと、これでルール無視して戦おうなんて野蛮なこと考える人いなくなったかな。あとは好きなだけ戦い合おう!



●他の猟兵の出番?やつらに奪われたよ。
 No.5爆発四散とは別所、他のドッジメンズはひとところに集められていた。そこはコート。そう、先日彼らが猟兵達に苦汁を舐めさせられたドッジボールのコートだった。
 試合の後、ドッジメンズが一度去ったこともありグラウンドは整備されてしまったため、もうあの日の激闘の舞台はただの砂地と成り果てていた……はずだったのだが。

「ゲーマーの端っくれとしちゃあ、負けたからって流儀も手法も掌返すやり方はなぁんか気に入りませんねぇ」

 そう、このコートはあの日とは別物。しかしあの日と同様。ドッジ愛を問う彼女━━ユキ・パンザマスト(暮れ泥む・f02035)が放映端末で映し出したリアルなヴィジョンはドッジメンズの足を確実に止めていた。
 例え、彼らにとって侵略手段のひとつであったとしても、ドッジボールは彼らの青春と化していた。雨の日も、風の日も。回想シーンは省くが彼らはドッジボールと共にあった。
 故に、動けない。怪人としての矜持と、ドッジメンズとしての矜持。板挟みになったまま彼らは震えていた。

「仮にもエクストリームドッジメンズメンバーとして売ってきた喧嘩を今更捨てるたァ意気地がねェな」

 一歩歩み出て、ドッジメンズの投げ捨てたボールを拾うのは花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)だ。片手で鷲掴んだそれを指先で器用に回して、両手で掴み直す。赤々と燃える紅玉髄の目が、ドッジメンズを射抜いて逃さない。

「アンタらのドッジ愛ってのはそんなもんなのか!?」
「皆さんの仰る通りです」

 八千代の後ろから雪散る黒曜石の角を出した鎹・たから(雪氣硝・f01148)も続く。丸く大きな銀色へ、鏡のように怪人達を映す。

「あなた達から伝わるドッジボールへの情熱は並々ならぬ物とお見受けしました……最後まで自分達が信じたものを貫かなくてどうするのですか!」

 なお彼女達、卓越した恫喝スキルで拳を握り締めながらこの熱い台詞を吐いてくれている。実質脅しに近いものがあるのだが、怪人達の心は、揺さぶられていた。自分達の愛は、燃やす情熱は、本当に彼らをただの暴力で打ち倒していいものか。

━━━━否!!!

「……大切な事を思い出した。ありがとう、我らが同胞(とも)よ」
「そうだ、俺達は……エクストリームドッジメンズ!」
「ああ、俺達がドッジを捨てて何で戦うってんだ」
「いいだろう!今度は我らが挑戦者(チャレンジャー)となり、貴様ら王者(チャンピオン)を打ち砕く!」

 覚悟しろ!!!
 怪人達の雄叫びが重なった。完全に乗せられているうえに上がる土俵を間違えていることに彼らは気付かない。彼らは学習能力がないのだろうか。先日の戦いで何があったのかを思い出せないのだろうか。そんなものだ。
 情熱は時に過去の失敗さえも消し飛ばし、現在だけを真っ直ぐと見つめさせるのだ。

「あはは、もうみんなやる気満々だねぇ。ここから先は延長戦かな?」

 ずるぅり、口から有栖川・灰治(操羅・f04282)が愛しい妹を溢れさせる。見る者へ確かな恐怖を与えるはずの、黒い触手の乙女姿も今の熱狂の中では通用せず。怪人達は純粋な脅威のみを感じていた。

「ふっ、現れたなお嬢さん。悪いが容赦はしない。顔面は狙わないがその華奢な四肢を潰させていただこう!」

 いや、SAN値は無事ではなかったようだ。普通に可愛い女の子に見えている。
 ともあれ、予想だにしないリベンジマッチが今始まろうとしていた。先攻はボールを所持していた八千代率いる団地―ム改め王者チーム。歯を見せて挑発的に笑う黒髪の羅刹は、その怪力を持って試合開始のゴングを鳴らす。

「よォし、試合開始だ!歯ァ食い縛りな!!」
「陣形を整えろ!No.1、No.2、No.3!フォーメーションαだ!」
「「「おう!」」」

 三体のイソギンチャク怪人が三角形に並ぶ。そのうち二体、後方に控えたNo.2とNo.3が互いの肩を掴むように腕を伸ばした。
 真っ向!八千代の荒々しい一投を受け止めたのはNo.1だ。円錐状の両足で地面を抉りつつも踏ん張るがやはりこれだけでは羅刹渾身の一投は止められない。それをカバーするのが後ろの二体だ。ウネウネモードで伸縮性を上げた両腕でNo.1が外にはじき出されないように受け止める。二体がブレーキとなり、辛うじてコート端で止まるNo.1。ボールは離さなかった。

「二度も三度もお前たちの好きにさせるか!俺達にも!俺達の意地があるんだ!」

 受け止めて間もなく、ボールを掴んだ腕を振り回すNo.1。たとえ時間は短くとも、振り回した分投擲時の力は嵩増しされる。怪人はボールの所持を許されるギリギリ、約四秒をそれに費やした。
 ここにレフェリーはいない、ルール違反を誰も咎めない。それでも怪人達はルールを守って戦う事で、ルールの中で相手を打ち破ることでの勝利のみを求めた。眼前のライバルたちを超えるために。

「喰らええええええぇぇぇぇぇぇ!!!」

 四秒分の力の加わったNo.1のボールが敵陣へと投げ込まれる。狙いはたからだ。先の戦いでは避けられた一撃は、今度こそ外さんと言わんばかりに速い。その鋭さ、念動力による速度操作が間に合わない。しかし、たからへ着弾するより早くボールを掠め取る黒い影。玩具にはしゃぐ子供のように、ボールを奪い取ったのは操羅だ。

「操羅もまだ遊び足りなかった?なら、もっと遊んでおいで」

 兄の言葉に、恐らくは満面の笑みを浮かべただろう。異形の乙女は触手をしならせてボールを発射、油断していたNo.3の脚へと的確にボールを命中させた。まだ完全には癒えていなかったのだろう。両脚から亀裂が走り、No.3はその場へ倒れた。

「No.3!!」
「すまない兄弟……結局、役立たずのままだったな……」
「そんなことはない、お前は誰よりもドッジボールを楽しんでいた」
「俺達は、お前のそんな姿に励まされたもんだ」

 消え逝くNo.3が、嬉しそうに笑った。
 残り五体、次の攻撃はNo.7が受け持った。ボールを構え、腕を一回転させてからのアンダースロー。低空を走るボールは灰治の片腕へと着弾しようとするが、それを妹の触手が懸命に受け止める。が、体勢を整えるのが間に合わなかったか、操羅越しにぶつかったボールの強さに灰治の片腕から骨の軋む音が聞こえた。ボールがそのまま地に落ちる。

「あったたた……大丈夫、操羅?痛かったね、ごめんね?……みんなもごめん、外野で大人しくさせてもらうよ」
「大丈夫です、こっちはユキ達に任せて」
「うん、頼んだ」

 灰治と操羅が外野へ移動すれば、ボールはユキの手に。黄金を秘めた鳶色が猛禽のように怪人達を捉える。
 ユキの片腕から肉が剥がれ落ちた。露わとなった白い骨は何のものなのか、少なからず人間ではない歪で、複雑で、禍々しい剛腕。握りしめたボールを僅かに変形させる程度の力で握り込めば、軽く助走をつけて放つ。槍の如き攻撃を待ち構えるのはNo.7だ。ここで避けてしまえば背後に控える触手によって確実に削り飛ばされる。それに自分の後ろには仲間たちがいる。腕を組み上げて待ち構える二体が、自分をボールごと支えてくれる、やらねばならない。このボールを落とすわけにはいかない。
 判断は誤りだった。何物でもない怪物の一撃は眼前に迫るだけでNo.7の両腕を痺れさせ、罅割れさせた。いや、もうそれだけではない。身体がこのボールに耐えられないと察した。後ろの二人に支えてもらったとしても、これはきっと取り零す。避けることもできない。ならば、判断は一つだ。

「すまん。俺もここまでだ」
「No.7!」
「ボールは置いていく……腕を解いてくれ」

 No.2とNo.6が、無念に心を捩らせながら互いの腕を離した。No.7は最期の力を振り絞り、ボールへ走る。その身をもって受け止めれば、どうにか勢いを殺せる。あとは外野の触手乙女へ届く前に仲間たちがボールを受け止めてくれたなら……

「お前ひとりで止められるはずがないだろう」
「な、No.6!」
「悪いみんな、俺達は先に外野に行ってるぜ」

 No.7のその後ろを、No.6が追走する。この方が勝算があるだろう、とNo.6は笑う。No.7は仲間の言葉に恐れを消した。狭いコートの中を迷いなく走り、ボールへ突進。二体分の命と引き換えにボールは怪人達の前に転がった。
 残り三体。No.2がボールを拾い上げる。もう三人、コートを去っていってしまった。それでも自分たちは戦いを止められない。

「行くぞ……俺達の意地を見せてやる!!!」

 No.2が触手を伸ばす。コートのぎりぎり、敵の外野に捕られぬように気を付けながら。そして、伸ばした腕を急速伸縮。勢いをつけたままボールを敵へと撃ちこんだ。速い、今までのどれよりも速いボールだ。
 が、それへ駆ける娘がいた。たからだ。

「最期まで堂々とあなた達のドッジボールを魅せる、あなた達は素晴らしい選手です」

 がっちりと両腕の間にボールを納め、しっかりと足を踏ん張って、No.2の放った高速弾を受け止める。速さもあった、鋭さもあった。だがそれほど重くはなかった。くすんだ金髪を揺らして、投擲体勢を整える。

「だからたからも全力で、あなた達を倒します!!」

 轟音、そのけたたましさは鬼の咆哮にも似ていた。たからの放ったボールは衝撃波を纏ってNo.2へと投げつけられる。No.2はまだ伸縮の反動からか体勢を整え切れていなかった。そこへ容赦なく叩きつけられ、No.2は別れの言葉も告げることなく打ち砕かれた。
 残り、二体。

「No.2!」
「まだまだぁ!ですよ!」

 狼狽えたNo.1は、No.2の身体に当たった後に跳ねて猟兵達の陣地へ戻ったボールを追いきれなかった。自陣にバウンドしてきたボールをたからは空中で再び手に取り、着地――しない。空中を蹴って体勢を整えれば勢いを殺さぬままにもう一投。

「これが!たからの!必殺技です!!」

 一投目よりも勢いのついたボールは隙だらけのNo.1の胸を穿った。その場に声無く崩れ、怪人はまた一体、骸の海へと還される。

 残り、一体。
ボールを拾ったのは今まで戦線に参加していなかったNo.4だ。この時まで、この怪人は力を蓄え続けていた。触手を振り回し続け、最大の力を持って敵を討たんと。仲間たちの無念を晴らさんと。

「お前達は、強い」

 一歩、触手を振り回すことを止めた怪人がボールを手に踏み込む。この一投に全てを乗せる。その先にある運命を悟りながら、それでも怪人はボールを離さない。

「だからこそ、俺はこの一撃に全てを賭けよう。そして、お前達を超えてみせる」

 腰を捻り、振り被る。今まで攻撃した誰よりもこのボールは重く、強い。これを投げればきっともう戦う事などできないだろう。それでも一度は投げ捨てた信念をもう手放したくなかった。どんなに古臭く青臭い感情であろうと、このボールで、決着をつけたいと思ってしまった。
 それを悟り、八千代は怪人の真正面に立ち、不敵に笑った。

「ああ、倒れるまで立ち向かってくれよ!俺ァ最後までドッジがしてーんだ!」
「いいだろう好敵手!俺は!俺達は最期まで勝利を諦めない!!」

 鬼が吠えた。それに応えた。二つの間に割って入るものは最早風さえ許されない。
 No.4の全身全霊の一投が八千代を襲う。間違いなく、素直に受け止めれば四肢に甚大な被害が出るであろうそれを前に、八千代は己を組み替えた。その血をもって肉体自体に外見からはわからぬ変化を与える。捕らえ、喰らい、殺す。そのための力。この一瞬だけ食物連鎖の頂点に座す。それほどの力を籠めて、残るたった一人の好敵手のボールを食らい、止める。
 八千代の姿を見て、No.4はどこかで安堵した。ああ、なんと恐ろしい奴だと。なんと強い存在だと。己へと満身の力を注ぐ鬼の姿を、美しいと思った。
 八千代のボールにNo.4は真っ向から挑む。その背には何もいない。けれど不思議とぬくもりを感じていた。共に戦った仲間達、散っていった兄弟同然の同胞達。彼らが支えてくれているような気がした。何一つ、恐れるものはない。

――ああ、やはり楽しいな。

 最後の一体、No.4は膝から崩れ落ち、地に伏した。

●願い
「なあ」
「あんだよ」
「俺達は……負けたんだよな」
「ああ。負けたよ」
「……悔しいな」
「だろうな」
「なあ」
「なんだ」
「……またいつか、戦ってくれ」
「次があったらな」

 最期の戦士は満足げに消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『怪人アルパカマッスル』

POW   :    ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●黒幕は最初からそこにいた
 コートは消え、ドッジメンズの全員を倒し終えた。
 これでこの場所に平和が訪れる、そう思っていたのだが。

「ふむ、ドッジメンズを倒すとは。お前達もまた熱き戦士であったか」

 撮影器具を下ろし、一部始終を撮り続けていた男が一歩前に出る。
 怪しげな黒い頭巾を取り払うとそこには――もこもこの毛並み、つぶらな目、愛くるしいアルパカの顔。
 ……と、それを乗せた筋肉質な肉体。猟兵の誰かが驚愕の真実に声を上げる。

「カメラマンが、黒幕だったというのか!」
「如何にも、私こそがドッジメンズの監督にしてコーチにして上司」

 見た目の割に慇懃無礼な態度を見せるアルパカマッスル。

「お前達のソウル、魅せてもらったし撮らせてもらった。……どうだね、私と共にドッジボールで世界を制さないかね」

 勿論、猟兵達の答えはNoである。各々、武器を取り最後の戦いへと挑む。
キファ・リドレッタ
……キマイラフューチャーは、いつ来ても、その、個性的なオブビリオンがいるわよね。
なんてオブラートに包んで、困ったように薄ら笑い。

とはいえ。
『金枝の罪』など負わぬとばかりのあの体躯。
ならば数で攻めましょう。
金枝の罪――大花の蔓は『早業』なの。
重くはないけどいくらでも。切疵を増やすことはできるわ。
素肌にだけは触らないで。
『毒』でどろりと溶けてしまうわよ。

私声が出ないのよ。
けれど必要なら水で宙に綴るから、あまり気にしないで。



●さすがに視線も凍り付く
 照り輝く褐色のボディー、眩いブーメランパンツ、そして――もこもこの毛並みとつぶらな瞳。ドッジメンズコーチもとい怪人アルパカマッスルは胸筋をぴくつかせながら微笑んだ。

「どうしたかね、私のあまりの美しさと愛くるしさに声も出ないかね」

 そのうえこの口調である。あまりのアンバランスさにギャップ萌えどころかドン引き状態の面々が一斉に首を横に振った。違う、見惚れてるんじゃない。ただ眼前の情報量の多さを処理しきれていないだけなのである。
そんな中、薄いというよりやや冷ややかな笑みを浮かべてコーチを見ていたのはキファ・リドレッタ(涯の旅・f12853)だ。弧を描く唇からは声は漏れず、代わりに指先から滴る水が彼女の心を描き出す。

『キマイラフューチャーは、いつ来ても、その、個性的なオブビリオンがいるわよね』

 オブラートに包んでくれてはいるがその心情は大体表情から察せられる。わかります、この世界の侵略者はネジの外れ方に限り他の追随を許さない。勿論実力もあるのだが、まずはヴィジュアルから攻撃してくる。実質現状全員に精神と視界ダメージが加わっているようなものだ。
 こんな奴でも倒さなければならないのが猟兵の辛いところである。ふぅ、と溜息一つ。キファは水鞠の上からアルパカのつぶらな瞳へ絶対零度の眼差しを向けた。手には柔らかにしなる大花の蔓。
 おもむろに構えれば、しなやかに一撃。手元さえも見えない人魚の早業は怪人の両腕にうっすらと赤い筋を作り出す。が、ダメージは微々たるもの。

『嗚呼、それにしても。傷を与えるのも苦労するわ』
「なんだね、なんだね少女よ。あっ、イタイ。痛いぞ少女」
『ちょっと両腕の筋肉痛も覚悟しておいた方が良いわね』
「なんだね!無言は!無言は止めたまえなんだかちょっと寂しいぞ!!」

 びしっ、びしぃっ。と人魚の鞭がアルパカマッスルの二の腕を鋭く打擲する。集中的に狙えば怪人自慢の上腕二頭筋にも相応のダメージが蓄積されていった。
 そう、石を穿つ水滴のように、幾度も打ち据えてやれば堅い筋肉の壁にだって傷はつくのだ。そのうえ鞭の連撃を見切ろうと必死な怪人はキファの描く水文字が読みにくいのだろう。会話のドッジボールどころか会話が別車線状態。全くお互いに届いていない。

「くっ、くおぉぉぉ!!流石に私も紳士的にはいられないぞ!少女よ!」
『あっ、駄目よ』

 流石に一方的にやられ続けるわけにもいかない。怪人は鞭の雨の中を真っ直ぐ突進。鞭振るう少女の細腕を掴もうとして――触れた瞬間に叫びながら手放した。掌は一瞬であるにもかかわらず焼け爛れ、激痛を伴いながら身体を侵食していく。

『だから駄目って言ったのに』

 全身、皆凶器。真白の肌に隠された猛毒は、怪人により効果的なダメージを与える。キファはそれをただ静かに。月長石に鴨頭草の滴を溶かしこんだ青の眼で、淡い金色の睫毛の下から変わらぬ冷たさで見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鎹・たから
【団地ーム】
黒幕がこんな近くに居ただなんて
いえ、驚いている場合ではありませんね
あれはほろぼすべき悪
自分の手を汚さないなど、言語道断です

そもそもアルパカはかわいい筈です
かわいくないアルパカなど存在してはいけません

妖怪を宿し強化
どのような代償を払おうと
この痛みはたからが皆さんと戦う証

オーラを纏い連珠を握った拳で攻撃
【先制攻撃、ダッシュ】で素早い動きによるパス回しで連携を
【2回攻撃、気絶攻撃、グラップル、鎧砕き、衝撃波】で追い詰めます

たからはあなたと世界を目指したくて
ドッジボールをしたのではありません
この仲間と遊びたかったのです

仲間に入れることはできませんが
最後まであなたと勝負することはできます


ユキ・パンザマスト
【団地ーム】
世界、ね。 ドッジボールでわいわい遊ぶのは楽しいです。
けど世界制覇にゃキョーミねえですし、何よりもう手を組む仲間はこの通り決まってましてね!
黒幕が最初からいたっつー仕込み、なかなか面白かったですよ!

さて、ラストバトル! ドッジボール三回戦目!
先制攻撃早業ダッシュで、かったい筋肉とふっかふかの毛皮を衝撃波で串刺し貫通するような鎧無視の一撃を、只咢状態の右手でぶっ放つ!
回避と見せかけて投げられたボールに向かい、激痛耐性で正面キャッチ、からの捨て身の一撃で投げ返す!
最後ぐらいは避けず真っ向勝負! ドッジ愛があんたの原動力?
なら充分に生命力吸収として、ボール越しに堪能しましょうかね!


花邨・八千代
【団地ーム】
うわぁあああアルパカだ!めっちゃ筋肉やべェ!きもい!
お前出る種目間違ってね?大丈夫?ぼっちじゃドッジはできねーぞ?
こっちは中々イカれたメンバーが揃ってるんだぜ、羨ましいだろ。

◆戦闘(POW)
ドッジはドッジに始まりドッジに終わる!
「怪力」使って腕振り回しつつ【羅刹旋風】用意!
「第六感」で自分に向かってくるボールは受け止めつつ全力でぶち込んでくぞ!「なぎ払い」だ!
跳ね返ってくるボールで「2回攻撃」、「傷口をえぐる」ぜ。
「捨て身の一撃」で俺がどうなろうと確実にぶっ潰す!

その頭にしか残ってねぇ毛並み、丸刈りにしてやるぜ!
あと乳首気持ち悪いんだよ引き千切るぞ!!!


有栖川・灰治
【団地ーム】
な、なんだってーお前が黒幕だったのかー(棒読み)
でもごめんね、ドッヂは楽しかったけど世界を目指したくはないかな。そもそも僕強くないし…。(1人だけ敵のボールあたったの少し気にしてる)

あ、なんか胸がちくってした。僕傷ついてるよ今。というわけでアルパカには死んでもらいます。(八つ当たり)

それ自分のせいじゃなくない?って[疑問]に思ったよね?
ふふ♡……いっておいで操羅。
アルパカを操羅の触手で絡め、緊縛。お腹と顔面あけておくから、みんなの渾身のボール、最大限喰らってよ。
え?敵のコートに入ってる?知らないよそんなの。いつまでも〝普通のドッヂ〟してあげるほど、優しくないんだよね、僕。



●MVPは彼らに耐えきったボールです。
 キファの猛攻の横で三者三様もとい四者四様、実にノリ良く反応してくれているのは団地のご近所さん仲良しチーム改め真エクストリームドッジメンズだ。もう名乗っていい。たとえアルパカが許さなくとも散っていった当人達が認める。

「な、なんだってーお前が黒幕だったのかー」

完全に棒読みだがノリがよろしい有栖川・灰治(操羅・f04282)。

「うわぁあああアルパカだ!めっちゃ筋肉やべェ!きもい!」

 思いっきり指差しながら絶叫するのが花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)。

「黒幕がこんな近くに居ただなんて……」

 驚愕の事実にそのままでも大きな目をさらに大きく丸くした鎹・たから(雪氣硝・f01148)。

「…………!!」

 無言で口元を抑えてそれっぽく驚いて見せているのがユキ・パンザマスト(暮れ泥む・f02035)。
 実に演技派な彼らに、毒で片手を負傷し既にやや危うい感じのアルパカマッスルが迫る。熱いドッジ魂を見せてくれた彼らにはアルパカもやや嬉しい反応。
 握手するためにこの手をどうにかしなければと思ったか、「ふぅん!!!」と力強い声を上げて筋肉を膨張させ、内から沸き立つ熱い何かでキファの毒を瞬間で蒸発させて被害を抑えた。

「えっ、それあまりに無理があるんじゃ」
「溢れるドッジ愛があれば解毒も余裕」
「キモッ!!」

 思いっきり嫌な顔をして握手拒否する八千代。そもそも毒された手で握手してくるなという話である。

「つかお前出る種目間違ってね?大丈夫?ぼっちじゃドッジはできねーぞ?」
「私かてドッジボールしたいさ。しかし……私は強すぎた。その強さゆえに他者の嫉妬を煽り、ついには膝に矢を受けてしまってな」
「溢れるドッジ愛でどうにもできなかったのそれ???」
「出来ないからお前達をスカウトしてるんだ!さあ!私と握手してドッジ戦士となろう!!」
「絶対(ぜってー)ヤダ!!!!」

 どうやら当人としてはどうにもできないものがあるようで。
 握手拒否を相当悔しがってるアルパカにとりあえずは一撃加えようとする八千代。が、無駄に無駄のない無駄のような無駄な動きでポージングしながら華麗に回避。避け切れば非常に馬鹿にしてるような顔で八千代を見た。八千代さんガチギレである。

「どっちにしろその頭にしか残ってねぇ毛並み、丸刈りにしてやるぜ!」
「ドッジだからか?ドッジだからか?」
「乳首引き千切るぞ!!!」

 気持ち悪いんだよ!!と羅刹は腕をごきゃりと鳴らす。ドッジボールで戦おうという彼女、絶対物理で殴った方が強い。それでも真摯にドッジで決着をつけようとする当たり非常に律儀なのかもしれない。物理で殴った方が強いだろうけど。
 止められない止まらない怒りを露わにする八千代の隣から静かに距離を置いて退避したのは灰治だった。申し入れにうーんどうしようかなー、と悩む姿にアルパカもちょっと期待。が、

「でもごめんね、ドッヂは楽しかったけど世界を目指したくはないかな。そもそも僕強くないし…」

 そう、作戦の都合とはいえひとりボールを食らい、外野へと移動していたこのお兄さん。実は自分だけ攻撃を食らったことを気にしていらっしゃった。

「あ、なんか胸がちくってした。僕傷ついてるよ今。というわけでアルパカくんには死んでもらいます」
「えっ、それ私関係なくないかね」
「……って[疑問]に思ったね?」

 どゅるるるるん、と現れるのはもうおなじみ、灰治さん愛しの妹UDC繰羅ちゃん。対戦後疲れたのか一旦お兄ちゃんの体内に戻っていたけどすっかり元気にこんにちはした触手がアルパカへとその腕を伸ばす。

「ふふ……いっておいで操羅」

 アルパカマッスルを足元から丁寧に締め上げるとあっという間に緊縛させるおぞましきもの。しかし、全身隈なくというわけではない。もこもこのお顔とバッキバキに割れた腹筋だけが散ら見えている。このままではこのアルパカの胸を夏が刺激してしまう。

「ふおおおっ!?なんだこれは!」
「お腹と顔面あけておくから、みんなの渾身のボール、最大限喰らってよ」

 その辺で見つけた適当な棒でアルパカの周りにがりがり線を引いたならコートが完成。準備は整った。ここから先、行われることは一つ。

――エクストリーム・ドッジボール(集団で囲んで敵にボールを投げつける危険な遊び)だ。

 ボールをぱしーんぱしーんと叩きながら威嚇してくるのはたからだ。どうにもこのアルパカマッスルに憤慨している様子。それもそうだ。年齢的には健全なJCたからちゃん、やはりかわいい動物を前にすればそれなりのときめきもあるだろう。きっとアルパカさんだってだいすきだ。
 しかし目の前のこれはアルパカマッスル。ふあふあもこもこのアルパカさんではない、筋肉(マッスル)に満ちた異物である。

「そもそもアルパカはかわいい筈です。かわいくないアルパカなど存在してはいけません」
「私可愛くないかね!!!?」
「どこが!!!???」

 言葉と共に思いっきり投げつけるボール。が、身動きが取れないことを逆手に取ったか、鋼の如き筋肉の鎧によって怪力だけで投げつけたボールはいともたやすく弾かれる。ぱいーんと跳ねてくボールはユキがキャッチ。

「メレヘヘヘヘヘヘヘ……我が筋肉、決してお前達には屈しない……さあ!どこからでも投げてくるがいい!」
「よぉーっし!じゃあ遠慮なく!」

 その右腕が肉を弾け飛ばした。この場に事情に詳しい第三者がいたのなら、「あ、あれは!ドッジメンズNo.6とNo.7を消し飛ばした必殺のフォーム!」などと叫んでくれるだろうが残念ながらこの場には彼ら彼女らだけしかいない。
 鳶色の目が獰猛に見開かれる、捕食者のそれで身動きの取れない――否、取らない敵を見据えれば以前よりさらに精度を高めた鋭い投擲。ボールと同じ色の残像が尾を引いて、アルパカの腹部へと鋭角に吸い込まれていき、ダンプカーと衝突でもしたかのような音と共に衝突した。

「えぶぅ!!?」
「あっ、やっぱこういうのは効くみたいですねー。みなさーん!やっちゃいましょー!」
「はーい!次はたからの全力ですよ!」

 続くたからがその身に宿すのは妖怪の力。その代償は毒、身を焦がす熱い痛みが身体の内側を這い回る感覚に食い縛り、一歩。踏み締めた足に力を注いで、跳ね返ったボールを捕ると

「たからはあなたと世界を目指したくてドッジボールをしたのではありません。この仲間と!遊びたかったのです!」

 お断りの心も詰め込んで力いっぱい投げつけた。衝撃波を伴うボールはやはり的確に腹筋へと叩き込まれ、アルパカは苦悶の表情を浮かべる。ちょっとかわいそうな気がしてきたかもしれないが猟兵達は心を鬼にする。なんてったってその首から下はただのマッスル。
 跳ね返ったボールをさらにキャッチして、たからは続けざまにもう一発。今度は顔面に綺麗にシュート。首からやばい音が聞こえてきているにもかかわらず、怪人は微動だにしない。ちょっと不気味になって来た。
 そのまま跳ねたボールを捕っては投げ、捕っては投げを三人で繰り返し続けるがやはりこの筋肉並大抵の攻撃は受け付けないだけの事はある。只咢状態ユキのボールはダメージを蓄積しているようではあるが、毒の回り続けた身体で投擲するたからや、そもそもがパワー不足の灰治ではダメージ効率も落ちて来ていた。

「やっぱり頑丈ですねこいつ」
「そうだね。僕のボールとか普通にダメージ通ってないし」

 ぽこーんとボールを当ててる灰治。これは一般人でも怪我しなさそうなやさしいボールだ。安心して普通のドッジボールできるだろう。そんなボールまで受けてか、流石にしびれを切らしたアルパカ。身体を固めて歯を食いしばるのを止めると一気に脱力。

「くっ、しかし身動きが取れない以上仕方がない……あれを使うか」
「あれ?なんですか、命乞いですか?」
「ア~~~ル~~~パ~~~カ~~~」

 ぐっと力んだアルパカマッスルが目蓋を閉じ、見開く。その視線の危険さに気付いた面々は咄嗟にアルパカの視界正面から離脱する。

「ビィィィィィィィィィィィィィイッム!!!!」

 彼らの離れたその場所に、二条の熱が通り過ぎる。地面を焼け焦がし抉る強力な熱線がアルパカの目から放たれた。何でもありだこのアルパカ。

「ぅわっあぶなっ!!」
「なんでビーム撃てるのこいつ!!」
「説明しよう!アルパカはそのつぶらな眼にカワイイを集わせることにより具現化させたカワイイを目から高熱で発射する事ができるのだ!相手は死ぬ!!!」
「ただのビームですよねぇ!!?」

 避難轟々、それもそうだ。こんな怪人のカワイイが凝り固まったビームで死んでは末代までの恥となる。しかしその気持ちはアルパカも同じであったようだ。こんな状況下でも緊縛を緩めない繰羅の触手から覗くつぶらな目に怒りを湛え、アルパカは語気を強めた。

「そもそもお前達ドッジしてないよなぁ!!これいじめだよなぁ!!」
「知らないよそんなの。いつまでも〝普通のドッヂ〟してあげるほど、優しくないんだよね、僕ら」
「ひどい!!正義のヒーロー的存在じゃないのかお前達!!」
「しったこっちゃぁ、ねぇなぁ」

 冷たくあしらう灰治の後方、八千代が腕を回しながらゆっくりと歩む。そう、この戦法はまさに死闘の限りを尽くした好敵手と同様。最大の攻撃を与えるためにと温存し続けたその力、最早鬼神の如く。あまりの迫力に唖然とするアルパカ、安全圏に避難する繰羅。

「正義の味方だろうが、悪党軍団の雑魚だろうが、ここじゃあ関係ねぇ」

 転がったボールを拾い上げ、首を斬る手前の処刑人の如く構えれば、最早逃げる事叶わず。

「ただドッジボールする!!!それだけだァ!!!」

 八千代の手から、指先から、ボールが離れる。真っすぐと旋風を纏ってアルパカマッスルへと撃たれたそれは隕石にも似ていた。突然に降り注ぐ脅威、眼前に迫っても避ける事すらできず立ち竦むだけの絶望。アルパカマッスルはそれでも抵抗した。再度全身を力ませて、筋肉を鋼の鎧へと転換し迎え撃つ。

 激突。

 ボールはアルパカを穿つと共に弾け飛んだ。今までの無理が祟ったのだろう、もう形を保てぬほどに散り散りとなってしまった。それでもアルパカマッスルのその胸に深々と丸いクレーターを残して、ボールだったものはひらりひらりと地面に落ちていく。
 八千代も、灰治も、ユキも、たからも、繰羅も、無意識のうちにボールを見つめ、心の中で敬礼していた。この戦い、ここまで駆け抜けられたのはひとえにお前がいたからだと。
 ありがとうボール、さよならボール。

 しかし戦いは終わっていない。アルパカマッスルは最期の力を振り絞り、そこに立っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エダ・サルファー
(また変なのが出てきた、という顔)
……あ、そうか。
ドッジメンズに黒幕がいるみたいなことを最初から説明されてたな。
イソギンチャク怪人倒して満足してたわ。
よし、倒さなきゃ。

筋肉を誇示してるあたりパワーに自信があるんだろうけど、私もパワーには結構自信があるんだよ。
というわけで、例によって近づいて格闘戦を仕掛けるよ。
なんか度々ポージングして隙を作ってくれてるみたいなので、その隙を逃さず殴って殴って殴りまくろう。
せっかくだから、自信のあるっぽい腹筋を狙おう。
その筋肉、私の聖拳突きで打ち抜いてやるぜ!



●ゴングは高らかに鳴り響く
 男は――立ち上がった。その愛ゆえに、その情熱ゆえに、内に燃える闘志がゆえに立ち上がらねばならなかった。
 なぜドッジボールを愛しているのか。男にはもう理由を語ることすらできない。切掛となった出来事も骸の海の底なき深みへと消え去ってしまった。
 それでも愛していた。ボールを手にすれば心を踊らせ、血肉沸き立たせ振りかぶった。相手のボールを前にしたとき、捕れるか避けるかの駆け引きを楽しんだ。
 今もそうだ。――ああ!こんなにも熱い!!
 人々を陥れる道具としながらも何処かで求めていたものが目の前に!こんなにも!!

「お前達の魂……確かに受け取った」

 男は立ち上がる。膝が笑っていようとも、今目の前に、これほど待ち望んでいたものがあるのだから、立ち上がらねば失礼だ!!と。

「ボールが無くとも私は諦めない。私は、待っていたのだ!!好敵手達よ!!!」
「いいね、そういう熱いのは私も大好きだよ」

 男へ走るひとつの影。その正体は!
 身長105.9cm!体重は乙女の事情で秘密!エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)だ!
 皆が戦っていたその最中、戦闘スタイルの都合上巻き込まれてはいけないと判断したエダは邪魔にならないよう戦場から離れた場所でアップを続けていた。屈伸、伸脚、手首足首を回して、軽く跳躍。先のNo.5戦で温まった身体を、感覚を逃がさないように各部の状態を確認し、今最高のタイミングで舞台上へと躍り出る。
 大地を蹴る脚がバネのように弾む。普段より身体が軽く感じる。眼鏡越しの世界が兎にも角にもクリアに見える。ベストコンディション!

「さあ!最終ラウンドいってみよう!」

 男の熱意に応えるべく、エダは真っ向から技を仕掛けにいく。アルパカマッスルもまた彼女を前にフロント・ダブル・バイセップス――上腕二頭筋を見せつけるようにエダと向かい合う。しかし、八千代のボールを受けたダメージは深かった。一度は立ち上がったものの片膝をついてしまうアルパカマッスル。エダの接近を許してしまう。
 膝を駆け上がり顔面へと華麗なシャイニングウィザードを決めれば、アルパカマッスルは大きく仰け反る。例え筋肉を固めていたとしても、顔面までは守りきれなかっただろう。
 だが、ただでは終わらせない。鍛え抜かれた二の腕でエダを捕まえると、崩れた体勢を利用し背面へ倒れつつ地面へ脳天を叩き付けた。
 瞬間、衝撃でぐらつく視界。緩んだ両腕。眩めきながらも即座に離れれば、共に頭部を押さえて向かい合う。アルパカマッスルのつぶらな瞳が、鋭く相手を射抜く。

「どうした少女よ!お前のドッジ愛はそんなものか!!」
「少女じゃないって!!……それに、これドッジ愛とかそういうのではないけどね……」

 視界の揺らぎが消え、焦点を合わせれば、絶好の攻撃チャンスを捨ててまで接近することなくサイド・チェストを決めて圧倒的胸筋を見せつける怪人の姿を捉える。
 こっちを舐めているわけではない。力を溜めているのだと理解すれば、頬をぱんっ!と叩いて気合い注入。不敵に笑って突撃した。

「でも、面と向かって思いっきり戦り合うのは、たまらなく好きだね!」
「そうだ!!それもまたドッジ愛!!!」

 飛び込んだ懐。急に低くなった姿勢の影響で自身の視界から彼女の姿が消えると、怪人は思わずポージングを解き左右を瞬時に確認。が!

「下だぁ!!!」

 ドワーフの怪力を持って叩き込まれた拳は腹を強打。身体をくの字に折って苦しむ怪人。すかさず二撃、三撃、庇おうとする腕ごとドワーフの怪力で撃ち込む拳は最早砲弾。一撃一撃が

「ぐ、ぐぅぅぅぅぅぅ……!!!」
「いい筋肉だよ。だけど、私の拳はその上を行く」

 両膝から崩れた怪人が苦痛に声を漏らす。既に満身創痍の肉体にいくら身体能力を追加しようと効果は微々たるもの。その追加分さえも最早完膚なきまでに打ち砕かれていた。
 エダが胸の前で握り込んだ拳に祈りを籠める。確かに、変な奴だ。見た目はちぐはぐだし、やってることだってよくわからない。だが間違いなく、男には矜持があった。そこは誇るべきことではあったのだ。故に――籠めるべき祈りはただ一つ。

「次はもっと、純粋に遊ぼうぜ」

 崩れた男の胸部を、エダの全身全霊と祈りを籠めた聖拳突きが深く抉る。怪人の顔に満足げな笑みが浮かび、消えゆく。
 その瞬間だけは、男の表情はただの愛らしいアルパカそのものとなっていた。


●終幕――きっと彼らのハッピーエンド
 ドッジボールによる凶悪事件を起こすはずだった強敵、エクストリームドッジメンズとそのコーチ怪人アルパカマッスルは倒された。
 しかし、決して忘れてはいけない。彼らは悪としてこの世に溢れ出でながらも熱き魂を持った、まごうことなき戦士であったことを。

『いや、まあこんな熱い展開になると思わなかったけどね』
『ともかくみんな、お疲れ様!たっぷり遊んだろ?』
『今日のところはこれで解散、家に帰ったらしっかりマッサージしておきなよ』
『でないと筋肉痛がひどくなっちゃうからね!』

――こうして、また一つの物語が綴じられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月06日


挿絵イラスト