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偽りの繁栄に終止符を

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●その福音は過去より来たる
「もう、絶望する必要はありません。わたしが貴方達を繁栄に導きます」
 たおやかな声と目映い光輪と共に、それは悲嘆に暮れる人々の前に降臨した。
 純白の衣に身を包んだ美しい少女のような、しかしヒトならざる気配を放つ何か。
 暗黒と絶望が支配するこの世界で、それは余りにも神々しく人々の目に映る。

「立ち上がりましょう、絶望に折れぬ足で。進みましょう、希望に満ちた未来へ。わたしと共に歩む限り、貴方達の歩みが止まることはなく、その先には無限の繁栄が待っているのです」
 慈愛に満ちたその言葉を聞いているうちに、人々の体からは力が湧き上がってくる。
 この方と一緒なら、何でもできる。そんな、根拠のない自信と希望が溢れてくる。

 それの言葉に耳を傾ける人が、一人、また一人と増えていく。
 やがて輪を成して集った大群衆の前で、それは微笑みと共に宣言する。
「わたしの名はラグナソピア。貴方達に繁栄の未来を約束する者です」

 ――人々は、まだ知らない。
 過ぎ去りし『過去』より出でしそれに、約束できる未来など無いことを。


「その町の名はラグナ。1年前、この地に現れた"救世主"の名から付けられたそうです」
 グリモアベースに招かれた猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)はそう話を切り出した。
「この町はダークセイヴァーでは珍しく、圧政や悪政を敷かれておらず、オブリビオンの被害も受けていません。住民はみな勤勉で仕事熱心で、町は豊かに繁栄しているように見えます」
 これだけ聞けば、奇跡のような話だ。
 しかし、それを語るリミティアの表情に喜びの色はない。

「町を実質的に支配しているのは、"救世主"を神として崇拝する教団です。彼らは秘密裏に町の住人を誘拐しては洗脳し、町と教団のために奉仕する手駒に変えています」
 町が繁栄しているのは、洗脳された住人たちが休息も取らずに働き続けているからだ。
 満足な睡眠や食事すら摂らず『繁栄』のために奉仕し続ける人々は、過労に肉体が耐え切れずに斃れていくが、誰もそれを気にしない。
 洗脳された者たちにとって、『繁栄』の礎となれることは幸福なのだ。
「既に町の住人の大半は教団の洗脳下にあります。そして、彼らが崇拝する"救世主"とはオブリビオン。現世に降臨した異端の神の一柱です」
 このままでは遠くない未来、この町の住人は異端の神がもたらす『繁栄』によって全滅するだろう。
 一人や二人ならともかく、町中の人間たちの洗脳を解くためには、その元凶たるオブリビオンを討つほかない。

「"救世主"は普段は『聖地』と呼ばれる場所に隠れ潜んでいるようで、その所在は掴めませんでした。ですので、リムは救世主教団の調査を提案します」
 教団は町中に教会を設け、表向きの"救世主"信仰の布教に努めている。
 その裏で、まだ洗脳を受けていない人々を誘拐し、今も手駒を増やし続けているのだ。
「この教団に接触して『聖地』の所在を探る。あるいは誘拐の現場に介入する。もしくは手駒にされた人間の洗脳を解き、情報を聞き出す……他にも方法はあると思われます」
 無事に『聖地』の所在が判明しても、そこまでの道のりに罠や障害が仕掛けられている可能性もある。教団にとって"救世主"は絶対に護るべき救いの神なのだから。
「障害を排除して『聖地』に到達。そして異端の神を討伐してください――例えそれが、町から繁栄を奪うことになっても。リムは人々が偽りの繁栄に沈むことを望みません」
 オブリビオンの支配下にある限り、彼らに待つのは未来の滅亡。
 それは避けねばならないことだと告げ、リミティアはグリモアを手のひらに浮かべる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回の依頼はダークセイヴァーにて、異端の神に支配された町の解放が目的となります。
 第一章で教団を調査し、第二章は『聖地』への道中。そして第三章で異端の神を討伐できれば、シナリオクリアとなります。
 教団の調査については、OPでリミティアが挙げた以外にも思いついた方法があれば可能な限り拾っていきます。多少荒っぽい手段でも大丈夫です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『偽りの救世主』

POW   :    教団の誘拐現場を押さえ、拉致されそうになった一般人を救出する

SPD   :    変装や言いくるめ、忍び足などの手段で教団内部に潜入し調査する

WIZ   :    洗脳された人々に説得を試み、精神的な呪縛を解く

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キア・レイス
アドリブ即席共闘可

誘拐現場に張り込み、現場を抑えたら【スカウトドローン】を少数展開、目立たないようドローン経由で追跡する。
最終的には教団に関係する場所に辿りつくだろう、そこから潜入を試みる。

あるのなら聖地に関する情報を盗むことが目標だな。
聞き耳を立て忍び足で移動、おそらく教団員は洗脳されただけの一般人だろう、殺しはせず暗殺の応用で不意をついて無力化し口と手足を封じておけばいいだろう。
鍵付きの引き出しや金庫などに狙いを絞って捜索、鍵はツールナイフでこじ開ける。


「立派な町、それだけに惜しいな…」
ダークセイヴァーの人々はこれだけの町を作れるのだ、きっとオブリビオンの力がなくとも作れただろうに。


河南・光
まったく邪神だの異端の神だのと、神を騙る輩になんて碌なのがいるはずないのにね。
まぁいいわ。いずれであろうと殺すだけよ。

とはいえ、私はまだまだ未熟だわ。
洗脳の度合いも分からず説得でどうにかできるとも思えないし、
潜入調査に使えるような技能も乏しい。
……あんまりやりたくないけど、誘拐現場を押さえた上でわざと誘拐させて、シャドウチェイサーで追跡させるのが一番成功率が高いかしら。

正直他に有効そうな手段で実行してる猟兵がいれば、そっちの手助けに行きたい所ね。誘拐成功させて拠点を突き止めても、私一人で助ける自信は無いもの。



「立派な町、それだけに惜しいな……」
 真新しい立派な建物が立ち並ぶ町を眺めながら、キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)が呟く。
 人々に話を聞けば、この町並みは"救世主"が現れた1年前から、急速に整えられたものらしい。
「ダークセイヴァーの人々はこれだけの町を作れるのだ、きっとオブリビオンの力がなくとも作れただろうに」
 彼らの純粋な汗と努力の成果を見たかったと惜念を漏らすキアに、隣を歩く河南・光(神殺し・f12216)も頷く。
「まったく邪神だの異端の神だのと、神を騙る輩になんて碌なのがいるはずないのにね」
 神と称されるオブリビオンは少なくないが、いずれもオブリビオンである以上、世界に災厄をもたらすのは必定。
 それでも彼らを信仰する者が後を絶たないのは、人の弱さゆえか。
「まぁいいわ。いずれであろうと殺すだけよ」
 その光の言葉にキアも頷き、二人は偽りの繁栄を終わらせるべく行動を開始する。

 彼女たちが向かったのは町の裏路地。
 教団員による市民の誘拐、その現場を押さえるのが第一の目的だった。
 キアはスカウトドローンを、光は影の追跡者を召喚すると、犯行を起こしやすそうな場所に目星を付けて索敵を行う。

 夜も更けた頃、影の追跡者に反応があった。
「!」
 それは黒装束を纏った数名の人間が、路地裏を歩いていた一人の市民に襲い掛かる光景だった。
 抵抗する市民が気絶し拘束される様子を、共有された追跡者の視界越しに見る光は、歯噛みしながらそれをキアに伝える。
 ここで彼を助けることはできない。あえて教団員に誘拐を起こさせ、足取りを追跡するのが作戦なのだから。

 教団員たちは捕まえた市民を大きな麻袋に入れると、どこかへ歩いていく。
 ドローンと追跡者を経由してその後を追うと、やがて彼らは一軒の建物の中に入っていった。
 表向きの布教を行う教会とは違う。ここが教団の"裏"の拠点の一つなのだろう。

「中にいる人間は5人。2人が誘拐した人を運んで地下に続く階段を下りていくわ。あとの3人はバラバラの部屋にいるけど、ここから見て右側の窓のある部屋には誰もいない」
「分かった」
 隠密性能が高い影の追跡者の五感を通じて、光が建物内の状況を伝える。
 その情報を元にキアはシーフとしての技能を活かして音もなく建物に忍び込んだ。
 そして、まさか自分たちが追跡されていたとは露ほども知らぬ教団員たちの背後に忍び寄ると、一撃で無力化させていく。
(やはり、教団員は洗脳されただけの一般人か)
 オブリビオンから力を与えられていたわけでもない。殺すまでもなく、拘束するだけで済んだのは幸いだろう。
「済んだぞ」
 全員の無力化を確認すると、キアは外で待機していた光を呼んだ。

「正直助かったわ。私一人で拠点を突き止めても、助けられる自信は無かったもの」
 麻袋に詰められた市民の拘束を解きながら、光が言う。
「構わない。また火力支援やスカウトが必要になったら呼べ、手伝おう」
 そう答えながら建物内を捜索していたキアは、地下室で鍵のかかった机の引き出しを見つけると、ツールナイフでそれをこじ開ける。
 そこには洗脳に使われるのであろう薬品の瓶と、教団の内部資料と思しき羊皮紙の束が入っていた。
 この資料の中には恐らく『聖地』に関する情報も記されているだろう。
 情報を持ち帰るべく、キアと光は被害者を連れて静かに建物から脱出した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロベリア・エカルラート
行動は【POW】

そうだね、役者としての腕の見せ所だ。
【存在感】を出して、余所者が居ることをアピールしよう
私自身が囮になって、誘拐しようとする教団の実行犯をおびき出すよ
来た所を逆に拘束して、1人を尋問するよ

咎人殺しとしての技能もあるしね
愛用の拷問具『ラ・ヴェ・ダムール』に収納されてる入墨針で【傷口をえぐる】よ。教団の入り口を聞き出そう
爪抜きペンチもあるけど、そこまで行く前に吐かせられたら良いなぁ……

「きゃっ……!な、なんですか……!?」

「なぁんて……ね。お仕事ご苦労サマ。ちょっとお話聞かせてもらっていいかな?」
「私もあんまりヒドイ事はしたくないんだよねぇ。爪抜きとか凄い痛いよ?」



 同じ夜、別の路地裏では同様の事件が起こっていた。
「きゃっ……! な、なんですか……!?」
 不安そうな声を上げる赤髪の少女。存在感のある立ち居振る舞いや風貌に装束は、彼女がこの町の住人でないことをアピールしている。
 余所者であれば、たとえ「消えた」としても誰も疑問に思わない。誘拐犯に彼女が狙われるのは必然だった。

「心配することはありません、お嬢さん。貴女も我らが"救世主"の導きで、繁栄の未来を享受できるのです……」
 薄気味の悪い笑みを浮かべながら、教団員の一人が怯える少女に手を伸ばし――
「なぁんて……ね」
 ――次の瞬間、その男の視界は一回転し、地面に倒れ伏していた。
「お仕事ご苦労サマ。ちょっとお話聞かせてもらっていいかな?」
 少女――ロベリア・エカルラート(花言葉は悪意・f00692)は囮としての演技を止めて微笑んだ。
「な、なぁっ……?」
 呆気に取られている隙を突いて、ロベリアは残りの教団員を昏倒させる。
 意識があるのは最初の一人で十分。彼が起き上がれないうちに手早く拘束すると、ロベリアは尋問を開始する。

「さて、じゃあ聞かせてもらおうかな。教団の『聖地』の入り口はどこにある?」
「き、貴様まさか"救世主"様を狙っているのか?!」
 ロベリアは無造作に愛用の拷問具『ラ・ヴェ・ダムール』から入墨針を取り出し、男に突き刺す。
「ぎっ?!」
「質問しているのはこっちだよ」
「い……言うわけが……ぎぃぃっ?!」
 男が抵抗を見せるたび、ロベリアは入墨針を肉を抉るように刺していく。
「私もあんまりヒドイ事はしたくないんだよねぇ。爪抜きとか凄い痛いよ?」
「ひっ! し、知らない、『聖地』の場所は教団でも一部の者しか知らないんだ!」
「なぁんだ。でも"裏"の仕事に関わっているなら、知っている事もあるよね?」
 爪抜きペンチをこれ見よがしに弄びながら、ロベリアは尋問を続ける。
 彼からすべての情報を引き出すのに、そう時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェム・ポー
(一見して普通な様な修道服に身を包み)
洗脳なんて、いけない事するのねぇ。
『人』はみんな、みんな、この世に満ちた、痛みと、苦しみと、悲しみと、向き合って、《悦びの野》に辿り着かなくちゃ、いけないんだからぁ。
……どうしても押しつぶされてしまいそうならぁ、その時は、フェムがぜーんぶ、受け止めてあげるけどねぇ。

えっとねぇ、フェムのお歌を聴かせてあげるねぇ。
フェムのお歌を聴くとぉ、みんな元気になるのよぉ?
それで正気に戻せたらぁ、その後はみんなの話を親身になって聞いてあげてぇ、命を使い捨てにする様な救世主はおかしいって、説得して、救世主さんのお家について聞いてみるわぁ。(技能:誘惑。心の隙間に入り込む)



 一夜明けて、朝。
 町の片隅から、耳をくすぐるような美しい歌が聞こえてくる。
「ウフフ。お歌の時間だよぉ。みんなぁ、元気になってねぇ」
 歌声の主はフェム・ポー(聖者の残骸・f12138)。治癒の力を秘めた慈母の子守歌が、町行く人々の疲れを癒していく。

「なんだろう、この歌は?」
 歌を聴いた人の多くは少し足を止めた後、再び『繁栄』のための労働に去っていく。
 しかし、フェムの歌声に強く共感した一部の人間は、ふっと憑き物が落ちたような表情で立ち止まったままだ。
「あれ……なんで俺、こんなボロボロになるまで働いて……?」
 フェムの歌は教団による洗脳さえも「癒し」、その支配を揺らがせたのだ。

「洗脳なんて、いけない事するのねぇ」
 フェムは正気に戻った人々の話を親身になって聞いていく。
 なぜ"救世主"の力と信仰に縋ったのか。かつての悲惨な生活を彼らは切々と語る。

「そう……でも、命を使い捨てにする様な救世主はおかしいわぁ」
 苦しみを訴える彼らに、フェムは甘く優しく囁く。
「『人』はみんな、みんな、この世に満ちた、痛みと、苦しみと、悲しみと、向き合って、《悦びの野》に辿り着かなくちゃ、いけないんだからぁ」
 それは、成れ果てた今でも聖者として救いあれと願う、彼女の理念。
「……どうしても押しつぶされてしまいそうならぁ、その時は、フェムがぜーんぶ、受け止めてあげるけどねぇ」
 フェムの言葉は人々の心の隙間にすうと入り込み、いつしか人々の眼差しは、新たな"救い主"を見るものになっていた。

「ねぇ、みんなは救世主さんのお家について知らないかしらぁ?」
 人々の心を掴んだフェムが問いかけると、ぽつりぽつりと彼らは語る。
「ぼうっとして、よく覚えてないけど……大きな教会を見た気がする」
「長くて暗い道を進んで……」
「視界が開けたら、光り輝く美しいひとが居たの」
 記憶は曖昧だが、洗脳後に『聖地』に送られ、"救世主"に会ったのは確からしい。
 フェムは彼らの断片的な話に耳を傾け、情報を繋ぎ合わせていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

神元・眞白
続きがある街に終わりを打つ。…無駄。無駄なのは嫌い。
調査する。上手くいく様に演技しないと。

【SPD】
飛威(からくり人形)を主に見立てて、私が人形として演技。
会話を元に相手に干渉してるのかも?相対した時は意識せずに聞き流し。
上手く進めて誘拐される様にして、潜入できれば。
ある程度筋道が見えたら後は流れで。

相手の誘導に乗れば障害の情報が手に入りそう。
演技の中でそれとなく聞くイメージ。


セリオン・アーヴニル
信仰を語る奴にロクな奴は居ないな…
オブリビオンなら尚更だ。

目的は教団員に直に接触し情報を引き出す事。
(狂人には狂人を。『適材適所』といこうか)
等と思いながら「…解放」と呟き人格変動を起こしつつ、
堂々と町中の教会の門を叩く。

遠方から噂を聞き付け入信しに来たという『設定』で情報奪取を試みる。
信者共に対し救世主様のお言葉やこの町の人々の満ち足りた顔がどんなに素晴らしいかを、
涙を浮かべた狂信的も言えそうな満面の笑みで滔々と語りかけ、
是非とも直接救世主様にお目通り願いたいと談判し聖地の場所、道筋を聞き出す。

知り得た情報はリヴ・レリクトで召喚した別人格の一人を使い、町中にいる他の猟兵に展開する。



「信仰を語る奴にロクな奴は居ないな……オブリビオンなら尚更だ」
 不機嫌そうに呟くセリオン・アーヴニル(並行世界のエトランジェ・f00924)がやって来たのは、"救世主"の教団が運営する教会の一つだった。
 その目的は教団員に直に接触し、情報を引き出す事だ。

(狂人には狂人を。『適材適所』といこうか)
 等と思いながら、セリオンは「……解放」と小さく呟き、教会の門を叩く。
「はいはい……何の御用でしょう?」
 門が開き、教団員が出迎えた時、そこに立っていたのは満面の笑みを浮かべたセリオンの別人格だった。

 遠方から"救世主"の噂を聞きつけた入信希望者という『設定』をセリオンは語る。
「この町に来てからより強く確信しました……"救世主"様のお言葉や、この町の人々の満ち足りた顔が、どんなに素晴らしいかを!」
 涙を浮かべながら、狂信的とさえ言える笑みで語るセリオンの姿は、とても演技とは思えない。
 それを見た教団員たちは喜びをもって彼を迎え入れた。

「いやぁ、嬉しいですな。遠方にも我らが"救世主"の教えが広まっているとは」
「ええ、ええ。ついては是非とも、直接救世主様にお目通り願いたいのですが……」
「はは、お気持ちは分かりますぞ。ですがお慌てにならぬよう」
 機嫌のよい教団員がなだめるように言う。
「『聖地』への道程には幾つもの罠が仕掛けられ、教団の者が常に警備しています。それだけ重要な場所なのだとご理解いただきたい」
「ほう……」
 それを聞いたセリオンの目がすっと細まる。
 だが、それ以上のことを聞き出す前に、再び教会の門が開いた。

「失礼します。新しい"入信者"の方をお連れしました」
 黒装束を着た教団員が連れてきたのは、縄で縛られた若い女性だった。
 その顔にセリオンは見覚えがあった。自分と同様この町に潜入した猟兵の一人、神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)が連れていた人形だ。
 どうやら人形のほうを主に見立ててあえて誘拐させることで、情報を引き出す策のようだ。
 主である眞白の姿は見えないが、人形を操れる距離にはいるのだろう。

「私を、どこに連れて行くつもり?」
 生きた人間と区別のつかない自然な動きで、眞白の人形――飛威が問いかける。
 教団員はご心配なく、と優しげな笑みを浮かべながら答える。
「まずは"入信の儀"を受けていただいた後、貴女を北の教会にお連れしましょう。"救世主"様のために、この町で最初に建てられた教会です。そこに、我らが"救世主"の御許に至るための入り口があるのですよ」
 それを知っているということは、この男は教団でも高い地位にいたらしい。
「おっと、話しすぎてしまいましたな。まあ、すぐに覚えていられなくなりますよ」
 狂信者の笑みで飛威にそう告げてから、彼はセリオンを教会の奥に手招きする。
「さて、では貴方もこちらに。彼女と一緒に"入信の儀"を受けていただきましょう」
 それは十中八九、洗脳のことを指しているのだろう。

「……この辺が潮時か」
 そう判断したセリオンは瞬時に人格を切り替えると、目の前の男に拳を打ち込む。
「ごふっ?!」
 まるで彼のことを疑っていなかった教団員は、その一撃であっさりと昏倒した。
「貴様、何を――っ!?」
 驚いた黒装束の教団員も、背後から衝撃を食らって倒れる。
 いつの間にか拘束を解いていた飛威が、彼を気絶させたのだ。
 他に誰もいないのを確認してから、人形の主――眞白がひょこりと姿を見せた。

「どうやって自分だけ誘拐されずに済んだんだ?」
「人形の演技をしてたら、放置された」
「なるほど」
 セリオンの問いに、ミレナリィドールの令嬢が答える。
 誘拐犯もまさか、主と人形が入れ替わっていたとは思わなかっただろう。
「ともかく、情報は掴んだな」
 セリオンはリヴ・レリクトを発動すると、自身の別人格の一つを分身として顕現させ、町中にいる他の猟兵への伝令へと向かわせる。
 ここで掴んだ情報と仲間たちの情報を統合すれば、『聖地』へ至る道程は明らかになるだろう。
 猟兵たちの戦いは、次の段階に移行しようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『秘密の拠点への通路』

POW   :    罠や障害を力尽くで突破する

SPD   :    発動した罠を素早く回避する

WIZ   :    慎重に罠を見つけ出して安全に進む

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが集めた情報を統合し、齟齬が無いかすり合わせた結果、教団の『聖地』の所在は判明した。
 町の北にある教会の地下にある秘密の通路。そこが『聖地』へと繋がる唯一の道となっている。

 その地下通路は不届き者を『聖地』に入れないよう、落とし穴や吊り天井、隠し扉といった様々な仕掛けが施されている。
 加えて警備のために地下通路を巡回する教団員もいる。戦力としては猟兵に敵う相手ではないが、油断は禁物だ。
 慎重に進むか、力尽くで突破するか、その判断は猟兵ごとに委ねられる。

 深夜、集った猟兵たちは北の教会に忍び込む。
 潜入は滞りなく成功し、地下通路の入り口もすぐに発見できた。
 ――ここを越えた先に、この事件の元凶たる異端の神が待ち受けているのだ。
セリオン・アーヴニル
【WIZ重視】
「先行する。勘と『手段』には多少自身はあるが…フォローは頼んだぞ」
先行して出来る限り多くの罠、待ち伏せの発見を試みる。
オルタナティブ・ダブルを使用し単純に手数を倍加させ、
片方は上と右方、もう片方は下と左方に対し感覚を研ぎ澄ませ、注意深くかつなるべく迅速に道中を進んでいく。
必要に応じての罠の解除・破壊は要望がない限り基本的に後続に任せ、
あくまでチーム全体の安全確保・確認に努める。

他の猟兵達には予め何か見つけた時のごく簡単な『罠』『敵』『おおよその位置』『数』の4種のハンドサインを共有し、
罠や違和感、敵を発見した時はサインで注意を促しつつ静かに行動する事を心掛ける。


キア・レイス
アドリブ即席共闘可

とりあえずは静かに潜入、音をたてると警備に感ずかれるかもしれない、強くはなくとも大量に出てこられたら厄介だし「救世主」に逃げられるかもしれない。
【スカウトドローン】で警戒させておこう。

罠はどのような物があるのかわからないが、致死性の物があった場合は後続の猟兵や帰り道が不安だ、可能ならば罠使いとしての知識で探し、見つけたらナイフ類で鍵明けや破壊工作の腕前をもって解除や破壊しておく。
落とし穴は以外と手が出せないな、ジャンプで越えれる幅ならいいがそうでないならフックショットで一人づつ人員輸送しないといけなくなる。
隠し扉にまでなってくるともうお手上げだ、第六感の働くやつにでも任せる。



 猟兵たちが地下通路に突入すると、その内部は想像以上に広く、迷路のように入り組んでいた。
「先行する。勘と『手段』には多少自身はあるが……フォローは頼んだぞ」
 そう言って一行の先陣を切ったのはセリオン。
 オルタナティブ・ダブルによって現れたもう一人の自分と手分けして周囲を警戒しながら、罠や待ち伏せの発見に当たる。
 そのすぐ後からは、キアが足音も立てず静かに追随し、スカウトドローンに同様の警戒と索敵を行わせていた。

(止まれ)
 ふと、通路の途中でセリオンが立ち止まる。続くキアに事前に共有した『罠』のハンドサインを示しながら。
 床の石畳に仕掛けられたスイッチを踏むと、床が抜ける落とし穴のトラップだ。
 うっかり誰かが踏んでしまうと、後続だけでなく帰り道も面倒なことになる。これは解除しておいたほうが良いだろう。
(落とし穴自体は意外と手が出せないが、これなら何とかなりそうだ)
 キアはツールナイフを取り出すと、罠のスイッチとなっている石畳を剥がし、それが作動しないよう解体していく。
 解体の完了までに数分とかからない、見事な手際だった。

 その後も罠や警備の目をかいくぐりながら進んでいく二人は、L字型に曲がった通路に行き当たる。
 曲がり角の向こうには何が待ち受けているのか、慎重に様子を窺おうとするキア。だが、そこでセリオンが(待った)と彼女の肩を叩いた。
 彼の第六感は「そちらではない」と告げていた。その直感に従って、二人のセリオンは付近の壁や床を調べはじめ――。
(あったぞ)
 それは、巧妙に壁と偽装された隠し扉だった。
 これを知らない者が曲がり角を曲がってもその先には何もないか、凶悪なトラップが待ち構えていたのだろう。

 しかし、隠し扉を開けようとするセリオンに、今度はキアが(待った)をかけた。
 罠使いの知識を持つ彼女は知っている。こういった罠は二重三重に仕掛けておき、最初の罠を解いて安堵したところを、本命の罠に嵌めるものだと。
 キアが念入りに隠し扉を調べると、予測通り、それはあった。何も知らずに扉を開けると、ワイヤー仕掛けで毒針が飛び出す罠だ。
 巧妙に隠されてはいたが、仕掛け自体は単純だ。キアがナイフでワイヤーを切れば、それは二度と作動しなくなる。

 もうこれ以上の罠が無いことを再確認すると、キアとセリオンはゆっくりと隠し扉を開けた。
 その先には薄暗い通路が再び続いている。まだ先は長そうだと判断しつつ、二人は慎重にその先へと足を踏み入れた。

 地下通路に仕掛けられた数々の罠には、不届き者を絶対に"救世主"に近づけさせまいという、教団の執念すら透けて見える。
 二人の猟兵は身に付けた技術を頼りに、慎重かつ迅速に通路を攻略していく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フェム・ポー
(普通の修道服を着ている)
罠なんてあったらぁ、救いを求める迷える子豚ちゃんたちが訪ねてこれなくなってしまうのじゃないのぉ?
ここの救世主さんはぁ、助けを求める相手にぃ、寄り添ってあげる気はないのかなぁ?

ここが唯一の道ならぁ、巡回している信者の人はぁ、罠の場所とかぁ、一時的に止める方法とかぁ、知ってると思うのぉ。
その人達を見つけてぇ、そう言うのぉ、教えてもらったりぃ、聖地まで案内して貰えるようにぃ、『説得』(ユーベルコードを使用し、技能:誘惑、催眠を交えて堕とす)してみるよぉ。

一人で進むのはぁ、やっぱり不安だからぁ、誰かとご一緒するのはぁ、歓迎するよぉ。


河南・光
さっさと自称神……いや、救世主だったかしら?……にお目通りしたいし
スピード重視で行くわ。

とはいえ、途中で罠に引っかかって離脱なんて無様は避けたいし
最低限周りには気を付けつつ進みましょう。
回避できる罠は回避、破壊できる罠は破壊。
まぁ当たり前っちゃ当たり前の事だけどね。

できれば同じペースで行ってくれる他の猟兵も居てくれれば有難いんだけど。

あ、私より速いペースの人がいたら悪いけどシャドウチェイサーで追跡させてもらいましょ。
同じように進めばかなりの罠は気にせず進めるはずだものね。


神元・眞白
飛威、お疲れ様。
続きがある様だけど、これには終わりを打つ。

【WIZ】
呼び出すオブリビオンなら罠にかかっても使い捨てるし、罠を潰して回れる。
進めなくなる罠は誰も聖地に行けなくなるからないと思う。
だから壊せる罠は壊して進む。
飛威には最初と同じ様に私と役柄を入れ替わり。変装?…変装。



 先行して罠の発見と解除に当たる者たちを追跡する影がある。
 それは光の操るシャドウチェイサー。影との視界を共有することで、光は先行する者が踏破した比較的安全なルートを知り、同じように地下通路を攻略していく。
 もちろん、その手順を同道する他の猟兵に伝えるのも忘れない。

 基本的には既に攻略された道を辿るとはいえ、すべての罠が解除されたわけではなく、見落とされた罠が無いという保証も無い。
 周辺への警戒を怠らず、避けられる罠は避け、壊せる罠は壊す。
 ……そう光は考えていたのだが、仲間の一人はよりシンプルな解を用意していた。

「オブリビオンなら罠にかかっても使い捨てるし、罠を潰して回れる」
 飛威に操られた眞白……傍からはそのように見える……が召喚した死霊騎士と死霊蛇竜が、彼女たちの前を先行して歩く。
 罠に対処する技能を持たない死霊に襲い掛かるのは、落石、吊り天井、毒矢といったトラップの数々。
 その被害を主たちの身代わりに受けながら、トラップを物理的に解除していく死霊たち。
 強引ではあるが有効な手段には違いなかった。

「ん、いい調子」
 飛威に自分を操らせながらどこか満足げな眞白に、ふと光が問いかける。
「えっと……あんたの方が人形遣いなのよね? なんで役柄が入れ替わってるの?」
「……変装」
「変装?」
「変装」
 こくりと頷く眞白。
 町中ならともかくこの場所で変装を続ける必要性は分からないが、当人には意図あっての事だと感じた光は、それ以上聞かないことにした。

 そんな一幕を挟みながらも、猟兵たちは攻略を続ける。
「罠なんてあったらぁ、救いを求める迷える子豚ちゃんたちが訪ねてこれなくなってしまうのじゃないのぉ?」
 修道服に身を包んだファムは、死霊に破壊されていく罠を眺めながら呟く。
「ここの救世主さんはぁ、助けを求める相手にぃ、寄り添ってあげる気はないのかなぁ?」
 その真意を確かめるには、ここを突破して異端の神に直接見えるしかないだろう。

 しかし死霊を駆使した攻略法は、少々騒々しかったかもしれない。
「貴様ら、侵入者か?!」
 罠が作動する音を聞きつけて、警備に当たっていた教団員が駆けつけてくる。
 咄嗟に身構える光と眞白。しかしファムは微笑みを浮かべてすぅっと教団員に近寄る。

「く、来るなっ」
「ウフフ、そんなこと言わずにぃ。フェムと一緒に、遊びましょぉ?」
 小さくとも蠱惑的なフェムの肢体から、あらゆる存在を惑わせる色香が放たれる。
 所詮は一般人に過ぎない教団員は、彼女の淫虐の芳香を浴びて瞬く間に魅了された。

「ここが唯一の道ならぁ、巡回している信者の人はぁ、罠の場所とかぁ、一時的に止める方法とかぁ、知ってると思うのぉ」
 様子を見ていた猟兵たちに、フェムはそう説明する。
 警備の教団員に出会ったらそれを『説得』し、彼らから地下通路を抜ける手順を聞き出すのが、フェムの作戦だった。
「ねーぇ、フェムたちを聖地まで案内して貰えないかしらぁ?」
「はい……貴女の為なら、喜んで……」
 フェムに魅了された教団員は、陶酔感に満ちた表情でふらふらと歩き出す。

 警備の教団員は、地下通路のすべての道順や仕掛けを知っている訳ではなかった。こうして警備が裏切るケースを想定して、情報を制限されているのだろう。
 それでも教団員の手引きと情報を得たことで、攻略のスピードは格段に上がった。
「さっさと自称神……いや、救世主だったかしら?……にお目通りしたいわね」
「ん。続きがある様だけど、これには終わりを打つ」
「救世主さんとぉ、ちゃぁんと『お話』しないとねぇ」
 光の呟きに眞白が頷き、フェムが微笑む。
 猟兵たちは異端の神の待つ『聖地』へと着実に迫っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フロッシュ・フェローチェス
(SPD行動)

情報を得たか……Good job
後は【野生の勘】と【メカニック】としての知識を総動員……ホロデバイスゴーグルによる感知も合わせて、【ダッシュ】で突っ切って行こう。
残りの罠が作動したなら【早業】で掛る前に抜け出す――アタシのスピードをなめるな。
万一を考えて【選択したUC】による曲芸突破も考えておくか。

強引に行け、というなら……ショットガンでぶち破る。
――出て来いよカミサマ。
そのドタマ――カチ割ってぶちまけてやる。



「情報を得たか……Good job」
 通信から他の猟兵たちの探索状況を聞き、フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)は呟いた。
 彼女の野生の勘は、すでに目的地までの距離が近いと訴えている。これだけ情報も揃えば、あとは一気に突っ切るのみ。
 ホロデバイスゴーグルをかけ直し、周辺の熱源を探知。鬱陶しい警備が付近にいないことを確認すると、フロッシュは全力で駆け出した。

 その疾走はさながら風の如く――否、風よりも速く。
 途中、カチリと足元で何か音がした、気がした。罠が作動した時には既に、フロッシュはその場を駆け抜けている。
(――アタシのスピードをなめるな)
 さらにその前方、障害物あり。しかしフロッシュは速度を緩めずに、たんっ、と床を蹴って障害を飛び越え、そのままスカイステッパーで空中を駆ける。
 何物も彼女を止められない。翡翠の右眼を見開いて、フロッシュは一直線にゴールを目指す。

 やがて、フロッシュが行き着いた先に待っていたのは、一枚の鉄扉だった。
 取っ手も鍵穴もないその扉には、こう記されている。
『汝、"救世主"を奉ずる者なれば、宣誓の言葉を述べよ』
 要は、合言葉を言わなければ開かない扉、ということらしい。

 残念ながらフロッシュは合言葉を知らない。
 だが何も問題はない。残る障害がこの鉄板一枚ならば、何を躊躇うことがある。
 フロッシュは無造作に手にしたショットガンの銃口を扉に向けて。
「――出て来いよカミサマ」
 轟音。
 至近距離からの散弾を浴びた鉄扉は吹き飛び、『聖地』への道は開かれる。
 銃声を聞きつけた他の猟兵たちも、すぐさま駆け付けてくる。
「そのドタマ――カチ割ってぶちまけてやる」
 咬み喰らわんばかりの敵意も露わに、フロッシュは次弾を装填しながら『聖地』に足を踏み入れた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『繁栄の代行者・ラグナソピア』

POW   :    繁栄の時、来たれり
【周囲を鼓舞し能力を引き出す声援】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
SPD   :    栄耀の時、来たれり
【正】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【光輪】から、高命中力の【限界を超えて能力を引き出す光】を飛ばす。
WIZ   :    最盛の時、来たれり
【死亡させた人々】の霊を召喚する。これは【自身が創造した肉体】や【他者に憑依する事】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリーヴァルディ・カーライルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 地下通路の障害を突破し、遂に『聖地』へとたどり着いた猟兵たち。
 その光景は、彼らでさえ一瞬言葉を失うほどに異様なものだった。

 聖地という言葉に違わず、その空間は地下でありながら眩い光に満ちている。
 だが、そこに安置されているのは――数え切れないほどの墓標と、棺。
 それも、どれもまだ新しい。1年より前に作られたものばかりだと分かる。

 ――地下墓地(カタコンベ)。
 そんな単語が一部の猟兵の頭をよぎる。

「ついに来てしまったのですね。わたし達の繁栄を妨げる者達が」
 並べられた棺と墓標の中心に、一人の少女が立っている。
 整った容貌、純白の衣、頭上の光輪……一目でそれがこの領域の主なのだと誰もが理解する。
「わたしの名は繁栄の代行者・ラグナソピア。この地にあまねく繁栄をもたらす者」
 微笑を浮かべてすっと一礼すると、それは静かに名乗りを告げた。
「イェーガー。わたしの敵。あなた達がこの町の繁栄を奪うというなら、容赦はしません」

 ラグナソピアの宣言と同時に、その周囲の棺の蓋が開いていく。
 その中から姿を現したのは、亡霊。恐らくは、"救世主"を信じ、この町の『繁栄』の犠牲となった者たちの。
「わたしはこの地の人々に約束しました。わたしと共に歩む限り、貴方達の歩みが止まることはないと」
 それはすなわち、死してさえ彼らの魂は異端の神に束縛され、『繁栄』のために酷使されるということ。
「繁栄の未来のために、わたしの愛する貴方達、共に戦ってください」
 信奉者の亡霊を召喚し、統率し、鼓舞する。それが彼女の力なのだ。

 この町に生きる者と死せる者を解放するには、この異端の神を討ち取る他にない。
 猟兵たちは決戦の覚悟と共に戦闘態勢を取った。
キア・レイス
アドリブ即席共闘可


「死者は安らかに眠らせてやるものだ…遺体は綺麗に残せそうになくてすまない」
できるなら周囲の棺や遺体に流れ弾がいかないようにしたいが、ゼロは無理だろうな。

先制攻撃で身体装着型カノン砲を発射、周囲の亡霊ごと吹き飛ばしてやる。
爆風や破片で早速周囲が無茶苦茶になってないか気にかかる…開幕のこの1発だけでカノン砲は使うのを止めよう。
【スカウトドローン】を展開、亡霊の対処や他の猟兵への援護射撃はドローンに任せ「救世主」の妨害に注力する、目を離したらすぐに亡霊を呼び出し強化してきそうだ。
死にかけるでもしない限りダメージを喰らってでも視線は常に「救世主」に向けておこう、痛みには慣れている。


神元・眞白
終わってる。でもそれを無理に続けてる。
終わっても戻ってこないもの。戻れないもの。終わりに、しよう。
最後はこの場所を閉じる…べき?分からない

【WIZ】
飛威、もう少しだけ協力お願い。符雨は……適当に。元々適当だけど。
“聖地”に入る前から符雨と役柄を変わる様に変装。カモフラージュ。
私は目立たない様にして、飛威と符雨メインに動いてもらう。
2人がそれぞれ近・中だから、こっちは遠?ならユーベルコードを主に。


ロベリア・エカルラート
「へぇ……噂には聞いてたけど、神サマってのを見たのは初めてだよ」

神ってのが一体どういうものなのか気になるけど、死体を操るだけなら悪趣味ってだけだね

「ま、いいや。聞く所によるとダンピールってのは神殺しの力があるらしいね。……試してみようか」

ユーベルコード・血統覚醒を使用

配下は無視してラグナソピアに突撃
肉壁になる敵はヴァンパイアの翼と【空中戦】技能で飛び越すよ

連続攻撃で敵が配下を支援する隙を与えないように立ち回る

「言うことはご立派だねぇ。従ってるのが死体じゃなければ、だけどさ」

「あ、ちなみにアンタが立派な神様でも遠慮はしないよ?オブリビオンが人を支配してるってだけで気に食わないんだよね、私」



「へぇ……噂には聞いてたけど、神サマってのを見たのは初めてだよ」
 ソレが一体どういうものなのかは気になるが、ただ死体を操るだけなら悪趣味なだけだとロベリアは思う。
「ま、いいや。聞く所によるとダンピールってのは神殺しの力があるらしいね。……試してみようか」
 少女の緑色の瞳が真紅に染まっていく。ヴァンパイアの血統を覚醒させたロベリアは、その背に漆黒の翼を広げる。

「終わってる。でもそれを無理に続けてる」
 眞白もまた、自らの人形と死霊たちに戦闘態勢を取らせる。
 近接戦闘用戦術器「飛威」。中・遠距離戦闘用戦術器「符雨」。そして死霊騎士と死霊蛇竜。
「終わっても戻ってこないもの。戻れないもの。終わりに、しよう」
 異端の神に囚われた魂を眠らせるために、人形遣いは戦いに臨む。

 開戦の号砲を放ったのはキアだった。
「死者は安らかに眠らせてやるものだ……遺体は綺麗に残せそうになくてすまない」
 腰部にマウントした二門の身体装着型カノン砲の照準を異端の神に合わせ。轟音と共に、放つ。

 周囲の亡霊たちは即座に主の元に集い、肉の盾となってラグナソピアを守る。
 着弾と同時、凄まじい爆風と衝撃波が『聖地』に吹き荒れ、着弾点付近の棺と墓標は粉々に破壊される。
 ラグナソピアを守って直撃を受けた亡霊たちは勿論のこと、余波の爆風や破片を食らった周囲の亡霊も大きなダメージを受けていた。
 それでも、ラグナソピアはかすり傷を負った程度。恐るべきは信者たちの献身か。

 たった一発の砲撃で随分と荒れてしまった『聖地』を見て、キアはカノン砲の装着を解除する。
 できるならこれ以上、棺や遺体を傷つけることは避けたい。
 キアはスカウトドローンを展開すると、計二十機のそれらに亡霊への攻撃と他の猟兵への援護を指示する。
 そして自らは自動拳銃を手に、異端の神へと向かっていく。

「立ち止まってはいけません。わたしがあなたたちの勝利を約束します」
 ラグナソピアが声援を送ると、傷ついた亡霊たちは光に包まれて立ち上がる。
 神の力によって受肉した彼らは、元は一般人とは思えない戦闘力を持っている。
 また、一部の亡霊は霊体のまま、猟兵たちに憑依し操る隙を狙っている。

「飛威、もう少しだけ協力お願い。符雨は……適当に。元々適当だけど」
 押し寄せる亡霊の群れを受け止めるのは、眞白が操る戦術器が一、飛威。
 両手に携えた双刃を閃かせ、舞うように無駄のない動きで、亡霊を仕留めていく。
 亡霊たちからの反撃は死霊の騎士と蛇竜が受け止め、動きが止まったところにもう一体の戦術器、符雨の放つ符と銃弾の雨が浴びせられる。
 そこにキアのスカウトドローンが追撃を加えれば、蜂の巣になった亡霊は存在を維持できず、消滅していく。

 符雨は現在、眞白と役柄を交換し、自らが主人に見えるよう変装している。
 そのため敵の攻撃はいかに前線を突破して符雨を倒すかに意識が向けられていた。
「あの指揮官を倒すのです。人形遣いが倒れれば、人形の動きも止まります」
 異端の神でさえ、そのカモフラージュに気付かない。
 真の人形遣いである眞白は符雨のさらに後方から、安全に指揮と操作に専念できていた。

 数においては有利でありながら、なかなか猟兵の戦力を切り崩せないラグナソピアは、さらに亡霊たちを鼓舞する。
「もう一息です。この苦難を乗り越えれば、わたし達の求める繁栄はすぐそこに。わたしは、いつでも貴方達を見守っています」
「言うことはご立派だねぇ。従ってるのが死体じゃなければ、だけどさ」
 不意に、その声は刃と共に、ラグナソピアの頭上から舞い降りた。
「!」
 まさに間一髪、身をよじった彼女の眼前を、白と黒の刃が通過していく。
「惜しいな」
 縁切り鋏、ロメオジュリエッタを構えたロベリアは真紅の瞳を輝かせ、口元から牙を覗かせ笑う。
 ヴァンパイア化によって得た翼で亡霊たち肉壁を飛び越え、強襲を仕掛けたのだ。

「くっ……!」
 ラグナソピアは咄嗟に近くにあった棺に手をかざし、自身を守る亡霊を召喚する。
 だが、召喚された亡霊が動き出すよりも早く、一発の銃弾が亡霊の眉間を撃ち抜き、消滅させる。
「お見通しだ」
 銃弾の主はキア。ラグナソピアが何か動きを見せれば、即座に妨害できる距離で銃を構えている。
 どんな些細な挙動も見逃すまいという鋭い視線が、異端の神を射抜く。

 信者の盾を失ったラグナソピアに、ロベリアの縁切り鋏が襲い掛かる。
「あ、ちなみにアンタが立派な神様でも遠慮はしないよ?」
 その宣言通りに一切の容赦も慈悲もなく振るわれる刃を、異端の神は羽のような身のこなしで避ける。
 しかし、このオブリビオンが配下の召喚と強化に長けている分、直接的な戦闘力に劣ることは明らかだった。
 次第にラグナソピアの衣は切り裂かれ、その肌からは赤い血が滲み出す。
「オブリビオンが人を支配してるってだけで気に食わないんだよね、私」
 何でもない調子を装いながら、ロベリアの瞳に宿るのは深い憎悪。
 この気に食わない神サマ気取りの表情が歪んでいくのを見下しながら、咎人殺しは大鋏を叩き込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

セリオン・アーヴニル
【WIZ対抗重視】

召喚霊の相手をしながら本体の能力を分析。
(霊を操作…もしや呪詛の類いによる強制隷属に近い?)
なら…試してみるか。

呪詛耐性を利用し憑依攻撃を耐えつつ、取り憑かれたフリをして相手に近接を試みる。
武器を一時的に放り捨て、敵対心を表に出さず可能な限り近付き、片膝をついて頭を垂れながら油断を誘う。
相手が更に近付いたり声を掛けてきた瞬間を狙い一気に顔を上げ、笑みと共に殆ど予備動作がない全力魔法の『閃紅の魔眼』を瞳から放つ。
敵の虚を突く一撃を与え、一時的にでも戦線を崩す事が狙い。
尚、演技を見破られた場合はその時点で舌打ちをしながら閃紅の魔眼を放ち後退。

その後は武器を回収し白兵戦へ移行。



(霊を操作……もしや呪詛の類いによる強制隷属に近い?)
 黒剣『ラーゼ』を振るい亡霊たちを切り払っていたセリオンは、戦闘中に異端の神の能力を分析し、その性質に気付く。
(なら……試してみるか)
 それは危険を伴う策だ。だが実行する価値はある。

 ラグナソピアに召喚された亡霊には、受肉し物理戦闘を行うタイプと、霊体のまま憑依攻撃を行う二つのタイプがある。
 セリオンは後者、霊体タイプの前にあえてその身を晒し、敵の憑依攻撃を受ける。

 取り憑かれたセリオンは虚ろな表情で武器を手放すと、ラグナソピアが他の猟兵の攻撃を受けているのを見て駆け出した。
 振り下ろされる猟兵の刃の前に飛び出し、傷つきながらも"救世主"を庇う。
「!」
 敵であるはずの猟兵が身を挺して自分を守ったのを見て、ラグナソピアは即座に何があったか理解する。
「そう、そうなのですね。貴方は『説得』に応じてくれたのですね」
 セリオンは、無言のまま異端の神の前に跪き、頭を垂れる。
 その態度を見たラグナソピアは喜びの笑みを浮かべ、新たな信徒に命を与える。
「良いのです、そのように畏まらないで。さあ、共に繁栄の敵を滅ぼしましょう」

 そう告げられた瞬間、セリオンは弾けるようにぱっと顔を上げ――
「――射殺せ!」
 笑みと共に瞳から放たれた魔力のレーザーが、ラグナソピアの胸を貫く。
「かは……っ?!」
 まったく予期していなかったのだろう、痛みよりも驚愕に目を見開きながら、ラグナソピアが血を吐いた。

 セリオンは憑依にかかってなどいなかった。
 自らの呪詛耐性によって亡霊の憑依に耐えながら、あえて憑依されたフリをして敵に接近し、虚を突く一撃を与える。それが彼の作戦だった。

『!!!!!!』
 ラグナソピアが不意を突かれたのを見た亡霊たちは、何としても"救世主"を守らんと、それまで他の猟兵と戦っていた者までもが殺到する。
 セリオンは亡霊の波に押し潰されぬよう、手放した黒剣の元まで駆け戻った。

 神は殺せなかったが、不意打ちを受けて動揺した敵の戦線は崩れかかっている。
 敵を切り崩す好機を生んだセリオンは、黒剣を手に再び戦場を駆けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キア・レイス
アドリブ即席共闘可


トドメをさせる好機、逃す手はない。
残ったドローンを露払いに回し可能なら【特殊機巧機動隊】も発動。
数で亡霊を押し出し筋道を作り、ダッシュジャンプでポジショニング。
【人の身に余る火砲】による射撃を強行する。

さっきは信者の挺身によって阻まれたが…偽りの救世主を慕う信者は遠ざけた。
「何度もすまない、騒がしいのはこれで最後になるはずだ」
自分が反動で吹き飛ぶような代物だが勢いを殺す必要はない、これで決めるつもりだからだ。


「生き残った者からしたら驚異がいなくなり、美しく整備された町が残った…が」
他のオブリビオンからしたら小癪にも人間が蔓延り繁栄した町でもある…目をつけられなければ良いが…


フロッシュ・フェローチェス
初めは散弾銃だ。とはいえ素のまま向かっても意味が無い。
ブーツから初手【衝撃波】で薄く煙幕を作り、散弾銃を撃つ……けどこれは【フェイント】。
撃った格好の【残像】を映し、弾が命中する前に追い越して背後へ。
そのまま【先制攻撃】、本命の0距離射撃を食らわせてやる。

そのまま反撃へは……雑魚が大量にいるし【敵を盾にする】のと、得意の【ダッシュ】合わせて攪乱して蹴り、斬り、撃つ。
隙間ができたならルートを【見切り】【早業】で接近し重撃を打ち込もう。

共感すると思うか?マヌケ。ドタマ、カチ割るって言ったろ。
トドメ刺せそうなら、【選択したUC】でカチ割って吹っ飛ばす。
違うなら、他者への援護だ。トドメへの道を作ろう。



「敵の戦列が揺らいだな」
 偽りの救世主にトドメをさせる好機、逃す手はないとキアが呟く。
 彼女は今も機銃で露払いを行うスカウトドローンに加えて、小型の人型警護ロボットからなる特殊機巧機動隊を召喚する。
「二重三重に隊列を組んで、防御と弾幕を厚くしろ!」
 浮き足立つ亡霊を火力を集中させて掃討し、火線上に異端の神へと続く筋道をこじ開ける。
 そしてキア自身は戦場を駆け跳びながら砲撃に最適なポジションを探し、トドメの一撃を放つ機会を窺う。

 キアのその動きに呼応したのはフロッシュ。
 機械ブーツの「衝角炉」から放つ衝撃波で土煙を巻き上げ、即席の煙幕でキアのポジショニングを支援する。
 同時に自身も煙幕越しに、ゴーグルの索敵機能を頼りに照準を合わせる――開かれた火線の先に居る異端の神に。
 ショットガンが咆哮し、散弾の嵐が放たれる。

「!!」
 煙幕の中に敵の影を見たラグナソピアは、瞬時に飛び退き散弾の範囲から逃れる。
「狙いが甘かったようですね――」
 笑みを浮かべるラグナソピアだったが、その直後、背中にこつんと当てられた冷たい感触に表情が凍りつく。
 振り返ればそこに居たのは、ショットガンを突き付けるフロッシュ。
「どうして、そこに……?!」
 煙の中に見たものは残像。本人は発砲の瞬間、散弾をフェイントにして接近し、その背後に回りこんでいた。
 銃弾よりも速く、神の目にも留まらない――文字通りの神速で。

 再び、ショットガンが火を噴いた。今度は、ラグナソピアの零距離から。
「っ、が、ぁっ?!」
 それで全身が吹き飛ばなかったのは、流石に神の一柱なだけはあるか。
 その衣を流血の朱に染め、よろめくラグナソピアは新たな亡霊を喚んで反撃に転じようとする。
 だが遅い。遅すぎる。フロッシュは得意の走力を活かして敵を攪乱し、蹴撃、斬撃、射撃で亡霊を蹴散らす。
「誰か!」
 焦ったラグナソピアが呼びかけても、亡霊のほとんどは猟兵によって倒され、残った者もキアの機巧機動隊が押し留めている。
 もはや完全に孤立無援だった。

「なぜ……なぜ、我々から繁栄を奪うのですか。わたしと共に来れば、あなた達も同じ繁栄を享受できるのですよ?」
「アタシは『繁栄』なんて要らない、ただ『速ければ』それで良い」
 命乞いにも似たその問いかけを、フロッシュはあっさりと切り捨てた。
 唖然とする異端の神を前に、キマイラの少女は翠眼に冷たい殺意を宿し。
「共感すると思うか? マヌケ。ドタマ、カチ割るって言ったろ」
 繰り出されるは刹砲『トリニダード・スコーピオン』――コンマゼロ秒以下の速度で放たれた蹴撃が、宣言通りにラグナソピアの頭部に直撃。
 頭蓋が砕ける鈍い音を立てて、異端の神の体が宙高く舞う。

「感謝する」
 舞い上げられた標的を見て、呟いたのはキア。
 中空であれば、これ以上周囲に被害を出す恐れもない。
 召喚するは人の身に余る火砲。重厚かつ長大な12cm砲の砲身を持ち上げて。
「何度もすまない、騒がしいのはこれで最後になるはずだ」
  口には死者たちへの謝罪の言葉を乗せ、隻眼は真っ直ぐに滅ぼすべき敵を見据え。
 耳をつんざく轟音と共に発射された榴弾が、異端の神に叩きつけられた。

『ああ――消える、消えてしまう――わたしの存在が――わたしの、繁栄、が――』

 猟兵たちの脳裏に響く断末魔の言葉。
 異端の神・ラグナソピアは爆炎に包まれ、灰すらも残さず消滅していった。
 彼女に従っていた亡霊たちも、その呪縛から解き放たれていく。

 発砲の反動で吹き飛ばされ、土埃を払いながら起き上がってきたキアは、消えていく亡霊を眺めながらふとこの町の今後に思いを馳せる。
「生き残った者からしたら驚異がいなくなり、美しく整備された町が残った……が」
 オブリビオンの支配から解き放たれたこの町が、他のオブリビオンに目をつけられる可能性もあるかもしれない。
 語られるとしても、それはまた別の物語だが。

 かくして神の支配には終止符が打たれ、町は偽りの繁栄を失うことになる。
 だが、それでも。猟兵たちはこの町の人々の未来を、確かに勝ち取ったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月20日
宿敵 『繁栄の代行者・ラグナソピア』 を撃破!


挿絵イラスト