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荒野の町ロレース2~遺跡と温泉とヌルニュル?~

#アックス&ウィザーズ

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●奇妙な音に怯える街
「村長、やはり妙な音が聞こえるようです……今は何もないようですが……」
「あぁ、わかっておる! しかし我々だけではどうしようもない……やはり冒険者様に頼むしかあるまい」
 荒野に存在する小さな開拓の町ロレース、町民は現在言いようのない不安に陥っていたのだ。
 かつてこの町が死霊山賊団に襲われた際に冒険者たちの活躍によって救われたのだが、山賊団が住みかとしていた洞窟に異変が起きたのだ。
 洞窟の場所はロレースから西に向かった小高い山地、その麓である。
 異変とは……【ゴボボ】と何か響くような音が聞こえてくるのだ。

「せっかく町のそばに出来たクレーターを“英雄の足跡”と呼んで観光に使おうと思っていたのに!」
「これ! あれは戦闘の跡じゃ! 観光等に使えるわけがなかろうが!」
 山賊団と冒険者の激戦により丘が消滅、逆にクレーターが出来たので観光に使おうとする若い衆を諫める町長。
 しかし町長も町を発展させるために、蜂蜜を作ろうと柑橘系植物の苗を購入したり、王都で人気のぬいぐるみショップや水着店の誘致をしているのであった。
 そんな愉快な町ロレースに迫る危機……無事に解決できる冒険者とは?

●冬にぴったりの予知?
 寒さが厳しい季節、グリモアベースでどてらを羽織ったプリマステラ・リコールドは、温かいほうじ茶を飲みながら猟兵達を迎える。

「おお! お前さんら、よう来てくれたのじゃ! ちょっと妙な予知をしたのじゃよ!」
 ズズズ……ぷはーとお茶を飲み干すと猟兵達に予知した出来事を話し始める。
 その内容とは、ロレースの人々が恐れている異音の正体が【遺跡】に関係しているというのだ。
 そして遺跡には強力なオブリビオンの反応も確認したという。

「その遺跡では危険な生き物は【オブリビオン】だけっぽいのじゃな! なので、町の人達がオブリビオンに襲われる前にハントしちゃうのじゃ!」
 空になった湯飲みを持った右手を天高く突き上げ、皆へとオブリビオンハントを依頼する。
 オブリビオンを倒すために、異音の原因である洞窟を調査、遺跡を探らなければならないだろう。
 また、遺跡に関する予知で【ヌルヌルとニュルニュル】とした生き物の反応を感じたと告げられる。
 あまり気持ちの良い予知では無いが、目的であるオブリビオンを倒すためには係わらずを得ない。

「そして一番大事な事なのじゃ! ふっふっふ……何処かに【温泉】もあると分かっておるのじゃぞー!」
 温泉の存在を予知したプリマステラはドヤ顔で猟兵達に告げる、寒い時には温泉で温まりたいじゃろ~?
 温泉楽しみじゃのう! と何故か自慢げであった。
 さぁ、猟兵達よ荒野の町の危機を救うために転送陣に乗るのだ!
 町の発展と温泉は君たちの手にかかっている!


伊吹ノ樹
 初めましての方は初めまして、またお会いしました方はこんばんは。
 へっぽこマスターの伊吹ノ樹でございます。

 今回は荒野にある開拓団の町、ロレースを再び舞台にしました。
 以前起きた事が少しだけ反映されております。
 でもこのシナリオに連続性は無いので、お気軽にどうぞですよー!

 では軽く章の解説を!
 ●第一章!
 洞窟を調査するシナリオとなっております!
 調査方法は猟兵さん次第なアドベンチャーです!
 ●第二章!
 発見した遺跡を調査します!
 しかし先に述べておくと……温泉とヌルヌルと触手が居ます。
 ちょっぴりピンクなハプニングが起こりえるかも?
 ●第三章!
 ボスでございます!
 遺跡に住み着いたオブリビオンを撃破するとエンディングです!

 今回のシナリオの結果でロレースの町の未来が変わるかも!
 なのです。
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第1章 冒険 『地下にて呼ぶものあり』

POW   :    手当たり次第に入り口を掘り当てる

SPD   :    仕掛けや目印を探す

WIZ   :    文献や言い伝えなどを調べる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ロレースの町近くに転送された猟兵達。
 この先は問題の洞窟を探索すると良いだろう。
 もしくは町の人に【遺跡】に関する情報を聞いてみたりするのも良いかもしれない。
 古い知識を知っている人であれば、遺跡に関する情報を覚えているだろう。

 洞窟を探索する者は洞窟内部の情報から辺りを付けても良いだろう。
 洞窟内は山賊が集団生活を送っていた大きな広間が一つと山賊達が倉庫にしていた小部屋がある

 どちらも物が散乱しているが、最も声が響くのは小部屋だそうだ。
 小部屋は壁際に木箱が置かれ、土壁があまり見えないようになっている。
 近くには鶴嘴やスコップ等の道具も存在するが、地形変化系の能力があるのならもっと楽に掘る事も出来る。
 音に関するユーベルコードがあれば反響の具合等を確かめれるかもしれない。

 逆に大部屋はどうも【蒸し暑い】ようである。
 蒸し暑さの原因が分かれば異音の正体に迫る事も出来るだろう。
 熱源感知等の能力があれば更に素早く分かるはずだ。
ティエル・ティエリエル
「よし、じゃあボクは町の人に遺跡の話を聞いて回ってみるね♪」
ロレースの町にくるのは2度目だけど、町の人覚えててくれてるかな?

町についたら「コミュ力」を使って西にある【遺跡】について詳しい人がいないか聞いて回るね♪
詳しい人を見つけたらさっそく突撃だよ!あっ、でも教えてもらうんだから礼儀よくしなきゃね☆
ふふーん、ボクだって「礼儀作法」くらい心得ているよ!

「あの、初めまして。ボ……、わたくしティエル=ティエリエルと申します。西にある遺跡のことに詳しいと聞きまして……」
とか、最初は丁寧に話してるけど、話を聞いてるうちにどんどんいつもの調子に戻っちゃったよ!


大河・回
遺跡ねえ、まあオブリビオンが関与しているっていうなら頑張りますか。

町の人から遺跡の情報を集めるとするよ
まず、誰が情報を持っていそうかを聞いて回るね
情報を持っていそうな人が見つかったらその人に話を聞きに行こう
素直に教えてくれればいいけど偏屈だったりする可能性もあるからね
そういう場合は町の為になるとか何かあったら被害が出るかもとかそういう話を提示して言いくるめて教えてもらおう
(使用技能【コミュ力】【言いくるめ】【情報収集】)



●癒しの都。

 遺跡についての調査を担当するのはフェアリーのティエル・ティエリエルとバーチャルキャラクターの大河・回だ。

「よし! ボクは知ってそうなお爺さんお婆さんに聞いてみるよ!」
「私は知識層、町の長を当たってみよう」

 二人は町人に聞き込みをするに辺り、まずは知ってそうな人を探し出す事にする。
 ティエルは訪れるのが二度目であり、回に町長の家を教えると一度解散、夕方に集合する約束を取り交わした。

「あの、初めまして。ボ……、わたくしティエル=ティエリエルと申します。西にある遺跡のことに詳しいと聞きまして……」

 ティエルはお爺さん、お婆さんに聞き込みをした結果、薬師のお婆さんが詳しい事を知る。
 その際に美味しそうに蜂蜜を食べる姿は覚えられていたらしく、お菓子を貰ったのはここだけの話である。
 さて、順調に薬師のお婆さんを紹介して貰えたティエルは丁寧なノック後、お姫様らしい優雅なふるまいで自己紹介、そして遺跡について心当たりがあるか聞くのだ。

「あぁ、丁寧にありがとうねぇ……でも遺跡かい? やっぱり冒険者さんだねぇ……ばばあの知ってることなら何でも教えてあげるよ、蜂蜜の妖精さん」
「わぁ! ありが……とう、ございます」

 ティエルの態度が元のお転婆なモノに戻りかけるも、ギリギリで踏みとどまった。
 その様子を優しく微笑みながらお婆さんが教えてくれたこと……それは遺跡はかつて荒野になる前、はるか古代の都市だという。
 【古代都市の名前は癒しの都】と呼ばれており、訪れれば身も心も癒され若返ると言われる街であったという。

「へぇ~そんな遺跡があったんだ! どんな癒しだったんだろ?」
「ふふ、なんでも癒しの温泉に一日浸かれば怪我が治り、毎日浸かれば【人より背が高くなる】と有名な温泉だったようだよ? ただ……大昔にあった大きな戦争で無くなったんだね、あたしも聞いただけで見た事ないんだよ」

 どうやら町の人々は知っている人でも遺跡の事は昔ばなし程度であり、調べるのも物好きな、それこそ冒険者位であると話す。
 そして肝心な遺跡である癒しの都には【温泉と寺院】があったようだ、予知と合わせて遺跡=癒しの都で間違いないだろう。

「あぁ、そういえば温泉と言えば……こういう生き物が昔居たらしいね」
「え、どんな……うわわ!?」

 薬師のお婆さんが特殊な術式が施された瓶を二つ持ってくると、ティエルの目の前に置く……その瓶の中身とは……。
 【10cm程の大きさのスライム】と【20cm程のタコようのような生き物】の標本であった。
 どうやら瓶の中は腐食が進まないようで、しっかりとどんな生き物なのか観察できる。

「このスライムみたいな生き物は【浄化の水精】、タコみたいな生き物は【癒しの舞手】って言うんだよ」
「これ……大丈夫なの?」

 心配そうなティエルに笑顔のまま答えるお婆さん、【危険な魔獣ではなく精霊に近い生き物】らしい。
 【浄化の水精】は水や人、動物から何でも汚れを吸収、綺麗する事が趣味の粘液生物であり、この生き物が居れば毒すら真水になると言われる程である。
 【癒しの舞手】は他の生き物の悦びの感情が大好物で、8本の腕を巧みに操りマッサージで癒そうとする生物であり舞手に癒されると新陳代謝が向上し健康&美容に最高であると語る。
 しかし二つの生物は発見する事すら難しい希少生物となっているようだ。

「これは【南西の川】で偶然みつけてね、もしかしたら何か関係するかもしれないからねぇ……小さな冒険者さんに見せたかったんだよ」
「そうなんだ! ありがとね、おばあちゃん☆」

 丁寧な態度はどこにやら、しかしティエルと薬師との会話は暖かくスムーズに行ったのである。
 そしてティエルは気付くだろう、薬師が【浄化の水精】と【癒しの舞手】をみつけた川は遺跡があると言われる小高い山から流れ出ている事に。 

 妖精姫が薬師のお婆さんから遺跡に温泉がある事を聞いている時、同じように回は町長から話を聞いていた。

「遺跡ですか……」
「ええ、その異音と関係しているようなんだよね」

 唸りながら考える町長、冒険者に恩があるので協力したいようだが、さすがに情報が情報だけに言いよどんでいる。
 だがその様子を見た回は真剣な表情を見せ、ジッと真摯に町長の目を射抜く、コミュ力と交渉術の一種であり先ほどまでの接しやすそうな雰囲気から真面目な雰囲気を作り出すことでギャップを演出したのだ。
 更に声色をやや低くして町長に語り掛けるようにゆっくりと、言葉を紡ぐ。

「遺跡だけであれば問題ない、けれど異音が魔物の可能性が高いのです。 そうなれば遺跡に関する情報が約に立つ、情報があると無いとで違いがあるのは町長殿にも分かるでしょう」
「確かに……わかりました、我が家に伝わる話になりますが……」

 魔物が迫るという事は町の危機である、その魔物の対策になるのであれば……と本棚から一冊の古ぼけた書物を持ち出した。
 その書物には遺跡に関するであろう情報が記されている、その内容とは。
 遺跡の中央に寺院があり、その寺院には【生命力を司る古代魔道具】が安置されている。
 寺院には一つの大通りと三つの中通りが存在し、その大通りには【等間隔に巨大で丈夫な石柱】が設置されている。
 また【寺院の東側】には【黒屋根の建物】がありそこには【遺跡を守る為の武装隊が使う爆発系魔道具】が存在する危険な場所である、と書かれている。

「お役に立てましたでしょうか?」
「ええ、ありがとうございます。 それでココの部分ですが……」

 遺跡に関する伝承を手に入れた回はすぐさま脳内に簡易であるが遺跡の見取り図を思い浮かべる事ができるだろう。
 また危険な場所も把握できた、逆に【黒屋根の建物】を利用する事が出来るであろう。
 爆発物も【魔力攻撃を撃ち込まない限りは爆発しない】という事が分かったのだ、【黒屋根の建物】に対して攻撃しない限り危険はなさそうな遺跡である。

「では、万が一の事もありますので町民の方には勝手に洞窟に近づかないように」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします冒険者様」

 町長から改めて遺跡の調査と、魔物の討伐を受ける事で町民が洞窟に勝手に近づくことは無いだろう。
 これでロレースの人的被害は十中八九無いだろう、冒険者としても猟兵としても完璧な仕事といって良い。
 後は洞窟から遺跡に繋がる道が発見されれば、問題の遺跡に到達可能だ。
 合流したティエルと回は【温泉が関わる以上、湿気がある場所が怪しい】と睨み洞窟へと歩を進めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キョウ・ヴァゼラード
再びあの街に危機が訪れているというならば放ってはおけぬ。
プリマステラよ、行ってくるぞ!

「我らが先行して安全確保と遺跡への入り口を探索する、気を抜くなよ」
『御意』
私は片手に松明を持ち、護衛騎士『盾のアイギス』と共に洞窟内を隈なく探索する。
特に小部屋は怪しい、アイギスと分担し【怪力】で木箱や散乱する物を片付けてしまおう。
「壁、か」
奥に空間が広がっているなら音の響きで分かるはず、私さ聖剣で叩き、アイギスには盾を使わせて異音がする箇所を探そう。
怪しい場所を突き止めたら聖剣解放を行い、思い切り壁に突き込む。
「まさかグランネージュで穴掘りとはな…」
『閣下…!民の為です…!』

※アドリブ歓迎


ルナ・ステラ
温泉初めてだから楽しみだな♪探索がんばろ♪

【温泉が関わる以上、湿気がある場所が怪しい】んですね。貴重な情報ありがとうございます!

(ライオンもネコ科だから湿気とかに敏感かな?『猫が顔を洗うと雨が降る』とも言いますからね)
ライオンさんと一緒に探索しようかな?
ライオンさん出てきて!お願いね。

ライオンさんだけじゃなくて、わたしにもできることはないかな?

あれ?声が響く?
ーそうです!音が何か手掛かりにならないかな?
音の反響具合で何か怪しい場所がないかも探索してみようと思います!【楽器演奏】

ライオンさんお互い頑張ろうね!!


エルーゼ・フーシェン
二人が調べてくれたおかげで、ある程度のめどはたったし、被害も出そうにないわね。
他の猟兵と協力して、洞窟から遺跡につながる道を探しましょ。
【野生の勘】である程度の目星はつけられるかも。
小さな違和感を見逃すな、って散々言われてるから、においにも気を付けたほうがいいかも。
道が塞がってるなら障害物を退かすけど、加減してしないといけないわね。



 ●遺跡への誘い。

 時折異音が響く洞窟の調査に赴いたのは伯爵位を持つキョウ・ヴァゼラード、動物と心通わせる魔女っ子ルナ・ステラ、自由を求めて旅に出た女戦士エルーゼ・フーシェンの三人だ。
 手分けして大きな蒸し暑い広場と、物置に使われていたであろう小部屋を調べると決めた三人は気合十分で調査を開始を開始した。

「確かに蒸し暑いわね」
「本当です……土壁もジトってしています」

 艶のある仕草で頬を伝う汗を手で拭うエルーゼ、ただの女戦士とは思えないどこか気品のある仕草で美しい銀の髪を指で軽く梳く。
 それは指に触れる湿気と汗から洞窟内が軽くサウナ状態になっている事を確かめる意図があった。
 同じく汗を拭うルナ頬に張り付く白髪を指で軽く払い、そのまま濡れた土壁から湿り具合を調査、ロレースに調査にいった猟兵から聞いた情報と壁の濡れ具合からこの部屋が怪しいと目星をつけるのだ。

「さて、それじゃ調べましょうか」
「はい! あ……助っ人を呼びましょう」

 助っ人? とエルーゼがルナを見ると、静かに意識を集中……構築した魔術により門を開く姿があった。
 ルナに呼ばれた助っ人……それは魔物とも互角に渡り合えるであろう大きな黄金のライオン。
 威風堂々とした姿での登場……しかしルナを見つけると飼い猫のようにゴロゴロと喉を鳴らし頬をすり寄り甘えるのだ。
 威圧感も無く、可愛い程の態度であるがまさしく頼れる助っ人の登場であろう。

「よろしくね」
「がお!」
「ふふ、素敵な仲間の登場ね。 さ、頑張りましょうか」
「はい!」

 こうして二人と一匹の大部屋調査が始まった。
 先ほども述べた様に蒸し暑い部屋での調査だ、エルーゼもルナも汗と湿気で衣服をしっとりとさせながらの作業になる。
 体に張り付く衣服にどこかもどかしさを感じるだろうが、調査中であるがさっぱりしたいと思う程であろう。
 そんな蒸し地獄でエルーゼはふと違和感を感じた。

「うん? これは……」

 壁の濡れ方だが洞窟の入り口近くはまだサラサラと感じる所があるのに対し、奥へ向かうにつれ湿気が強くなっているのだ。
 更に上部よりも下部……地面に近い程湿りが強い。
 原因である遺跡は洞窟よりも下に存在する事になるだろう、屈みこみ特に湿り気の強い部分を触っていたエルーゼの横に、ライオンと一緒にルナが現れる。

「……がお!」
「え、ここなの?」

 ライオンがエルーゼが触れていた土壁の前で鼻を小刻みに動かす、どうやら一人と一匹の野生の勘は怪しい場所を特定したらしい。
 そしてその野生の勘は正解にたどり着く、何故ならば……どこか温かな湿った土を少し堀り払ってみれば硬い石にぶつかったのだから。
 その石は自然の物ではなく、何か彫刻が刻まれている――まさしく大当たりだ。

「それじゃあココを掘ってみようか」

 露出度の高いハイレグアーマーを纏ったエルーゼは自身に魔力を循環させ始める。
 ライオン前足で柔らかい土を掘るつもりのうようで、気合十分だ。
 そんな一人と一匹を前にルナはライオンから降りると申し訳なさそうに進言する、それは異音の正体への挑戦であった。

「あの、フーシェンさん。 わたし向こうを手伝って来ても良いでしょうか?」

 ルナは黄金ライオンを撫でながら、自分の考えをエルーゼに伝える。
 それは獣奏器を奏でる事で異音の原因が分かるかもしれないというモノだった。
 確かに遺跡に繋がる道は確保できそうで、後は力仕事だとエルーゼは刹那の合間に思考する。

「ええ、大丈夫。 後は私とこの子でなんとかなるわ」
「がおお!」

 大人のお姉さんらしい微笑みでルナを送り出すエルーゼ、黄金ライオンもまかせておけ! と告げるようだ。
 そんな一人と一匹に同じように微笑みで応えるルナは獣奏器を手に小さな部屋へと駆けていく。

「それじゃ、がんばりましょうか」
「がおー!」

 魔力で身体能力を強化したエルーゼが硬い石を退かし、黄金ライオンが土を掘り退かしやすくする。
 案外良いコンビネーションを見せながら濡れた土を掘り続けるのであった。
 そしてどうしても退かすことのできない大きさの石が見つかれば……。

「ちょっと壊さないとダメかな……よし、どいててね」

 エルーゼは大型可変武器である“雨月”を取り出すと、すぐさま威力重視形態である斧へと変形させるとライオンへと退避するように促す。
 その声に素直に従う黄金ライオンをどこか微笑ましい気持ちで見送るエルーゼ、両手でしっかりとグリップすると大きく足を開く力を籠めやすいスタンスを取るのだ。
 そして魔力によって強化された肉体を更に強化、ギチギチと武器を握る音が響く程に強く握ると……唐竹割一閃。
 雨月によって巨大な石を破壊するのだ。

「ふう……なんだかどんどん蒸し暑くなってきたわね」

 雨月を地面に突き刺す形で固定すると、再び汗をぬぐうエルーゼ。
 掘り返す土もやや泥に近い印象になってきている事から目的地は近いと確信したのだ。

 ――さて、ここで少し時間を巻き戻し。

「我らが先行して安全確保と遺跡への入り口を探索する、気を抜くなよ」
「御意」

 キョウは部下のアイギスと共に異音が聞こえると思われる小部屋の調査に赴いている。
 松明を片手にアイギスと揃ってまずは小部屋の整理を行う二人、普段の役職――伯爵と騎士という立場を考えればめったに見ることに出来ない光景だろう。
 土埃と汗に汚れながら二人は部屋を綺麗にし終える、すると小部屋に反響する形で予知通りに【異音】が聞こえてきたのだ。

「壁、か……こちらからだな」

 キョウは土壁に空いている手をかざし、響きの強弱を聞き分ける。
 大体の方角を感知し終えた時、小部屋に来客が現れたのだ。

「お手伝いに来ました!」

 それは獣奏器を手にしたルナであった。
 その格好と持つ物を目にしたキョウはすぐさまルナと同じ結論にたどり着く。

「なるほど、音の反響に楽器を用いるのだな」
「はい! では……いきます」
「うむ、よろしく頼む」

 目をつむり獣奏器を奏で始めるルナ、キョウとアイギスも耳を澄まし反響する音に異変が無いかを調べるのだ。
 響き渡る癒しを与える清らかな音色……それがある一点から妙に先細り、滑らかさを急速に失っていく。

「これ……」
「あぁ、どうやら地下からのようだな」

 ルナとキョウは反響する音色から小部屋の土壁、その下方に本当に小さな穴が開いている事に気づいたのだ。
 大きさは鼠が出入りできるかどうか……それほどの小さな穴である。
 その穴が笛の要領で異音を響かせていたのだ、そして響く異音は水が吹き上がる音に近い事が分かる。
 予知の内容から異音と温泉に関係があるのではないかと関連付けれるだろう。

「では、一度壁を掘り進めて見よう。 アイギス」
「はっ! 準備万端です閣下!」

 スラリと聖剣を抜き放ち、適度に魔力を籠めるキョウ。
 生み出されるであろう衝撃と埃からルナを守るように大楯を構えるは精鋭騎士アイギス。
 ルナは盾からひょっこりと伯爵の穴掘り作業を覗くのであった。

「まさかグランネージュで穴掘りとはな…」
「閣下…!民の為です…!」

 キョウはアイギスの言葉に小さく頷くと魔力を込めた聖剣を目標の土壁へと突き刺す!
 そしてイメージするのだ……聖剣に込められた魔力で螺旋を描き細く、長く、掻き出すように。
 刹那聖剣はキョウのイメージ通りに魔力を放出!
 破砕音と共に人一人通れるほどの穴を見事に開けるのであった。
 勿論そんな事をすれば土で汚れてしまうのであった、キョウの端正な顔立ちが土に汚れ、どこかワイルドな雰囲気を漂わせてしまうのである。
 そんな量の土埃故に、アイギスに守られたルナも土埃に汚されてしまっていたのだ。
 だがルナは何か閃いたようで……。

「あの、湿気と異音は原因が同じかもしれません」

 こうしてキョウ、エルーゼ、ルナは一同に集まる事となる。
 そこでルナが地面に簡単な洞窟の地図を描くのだが……小部屋から掘り進めた場合の線A、そして大部屋から掘り進めた線Bはある程度進めた地点で交差する事が分かったのだ。
 こうなれば目標地点が明確に決まったような物である。
 キョウは聖剣を振るい、エルーゼは魔力で強化する事で土を掘り、石を割り進める。
 ルナは楽器を演奏する事でルートを選択、最短距離で目的地点へとナビするのだ。
 結果……。

「グランネージュよ!」
「これで、終わりです!」

 キョウとエルーゼが最後に貫く土壁……もはや粘度と石が混じった状態になったソレを破砕した先に待っていた物。
 それを見た大きく目を開き歓声を上げる。

「わぁ!! 地底湖です!」

 そう、熱気と蒸気が漂う巨大な地底湖へとたどり着いたのだ。
 そして予知されていた通り。

「水没していますね」
「あぁ、地底湖に沈んだ遺跡か……」

 美しく澄んだ巨大な温泉湖、そこに半ば沈む形で古代の遺跡が鎮座していたのだ。
 幻想的で美しいその光景を見ていた三人の猟兵は達成感を胸に、新たな問題に挑むことになる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『目的地まで泳ごう』

POW   :    どんな困難も何のその、力強く泳いで向かう

SPD   :    舟を作ったり水の上を駆け抜けたり

WIZ   :    迂回路を調べる、特別な突破方を考える

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ●温泉と粘液と触手と。

 猟兵達の活躍で異音の正体は分かった。
 洞窟と繋がった細い穴が笛のような役割である音を反響させていたのだ。
 細穴と繋がっていた場所……そこは巨大な地下空間であり地下湖であり。
 その地底湖はなんと温泉、時折間欠泉のように水柱が吹き上がっているでは無いか、その水音が異音の正体である!

 さて、目の前に広がる地底温泉であるが、ただの温泉ではない……温泉に水没する形で古代の遺跡が存在して居たのだ。
 この遺跡が情報通り【癒しの都】なのであろう。
 そして魔力を感知できる猟兵であれば、地底湖の中央付近からマジックアイテムの気配を感じるだろう。
 そう、調査した猟兵の情報通り、地底湖から半分顔をだしている建物は寺院であり、そこから感じる気配が【生命力を司る古代魔道具】なのだ。
 地底湖の水深はやや深く、歩いては渡れない、寺院に向かう為には【泳ぐ】【飛ぶ】【船等の乗り物を利用する】【水面に出ている遺跡を足場にする】等が考えれるだろう。
 しかし遺跡建造物はボロボロで足場にしようとしても崩れる可能性がある、【しっかりとした足場】があれば安心できるだろう。
 勿論【しっかりした足場】らしき物も見つかる、中央に続く大通りと思われる道に【等間隔で柱の上部が顔を出している】のだから。

 そんな遺跡が8割水没している地底湖の【変わった点】はまだ存在する。
 それは1m程のスライム状の生物と2m程のタコのように見える多腕生物が優雅に泳いでいるのだ。
 これは前もって聞いていなければ危険な敵と判断しかねない生物である……だが、君たちは既に知っているだろう。
 スライム状の生物は【浄化の水精】と呼ばれ【人や動物、物の汚れを綺麗にしてくれる粘液生物】だと。
 タコ型生物は【癒しの舞手】であり、【他の生き物の悦びの感情が大好物でマッサージをしてくるだけの8本腕の生命体】なのだ。
 つまり、対処方法は思いつく上に、万が一【自分たちが襲われても何の危険も無い】のだ。
 ただ、温泉か魔道具の影響なのか二匹とも【かなり巨大になっており、ココで無ければ見る事が出来ない】進化を遂げている。

 さあ、猟兵達よ遺跡の中央に向かい、潜んでいるであろうオブリビオンと戦うのだ!
キョウ・ヴァゼラード
……これは泳ぐしか無いな、まぁ先ほど汚れてしまったから丁度良いか。

「アイギス、脱げ」
『閣下…!今はそんな場合では…!』
妙な勘違いを始めた『盾のアイギス』と私は衣服を脱ぎ【予め着ていた、先日ロレーヌで試着した物を買い取った水着】姿になる、そしてアイギスの盾にお互いの服や鎧を乗せ、盾を持ちながら泳ぎ始める。
我らは【怪力】による力強い泳ぎで目的地を目指す。
スライムとタコが近づいて来たらアイギスの身体を【盾として身代わりに】して私は一足先に遺跡中央へ。
「アイギス、悪いが私より需要がありそうなお前が犠牲になってくれ!」
『そんな!あっ…ん…あ!』
すまんアイギス…しかし天がこうせよと囁くのだ!

※アドリブ歓迎



 ●主従温泉

「アイギス、脱げ」
「閣下……! 今はそんな場合では……!」

 地底温泉を前に男女でこんな会話をしているのはヴァゼラード伯ことキョウ・ヴァゼラード、彼が団長を務める聖霊騎士団の精鋭騎士、アイギスである。
 ロマンスを感じそうな光景であったが、実は違う。
 衣服や道具、武装をアイギスの大楯を船代わりにして温泉湖を渡る作戦だったのだ。
 そしてこんな事もあろうかと、キョウは以前二人で水着モデルした際に着用していた水着を買い取っていたのだ!
 これで濡れても良い恰好も確保、後は無害な生物が泳ぐ温泉を渡るだけなのである!

「うむ、これで準備は万端だな」
「うぅ……閣下、恥ずかしすぎます……」

 キョウは泳ぎやすそうな黒地に金の刺繍が眩しい競泳用のビキニパンツで簡単に準備体操を終わらせ自信満々に頷く。
 大してアイギスは長い黒髪を纏め、グラマラスな身体にピッタリの黒い三角ビキニだ。
 こちらは泳ぐよりも、遊ぶもしくは着飾る事が目的の水着であるが、問題は無いだろう。
 逆に問題なのはアイギス自身であり、慣れないシチュエーションゆえ羞恥に悶えていたのだ。

「なに、気にする事は無い似合っているではないか」
「か、閣下……って、もう出発ですか!?」

 二人は盾を船として温泉に入り、泳ぎ始める。
 温泉は丁度良いもしくは少し熱い程度と抜群の温感で、浸かるだけで身体の芯から疲れを取ってくれるのだ。
 粘りも無く、毒も無い……癒しの都とはよく言ったものだと感心出来る温泉である。
 問題は……。

「閣下! 来ました!」
「来たか……」

 すい―っと波も立たせず忍び寄る無害な生き物……浄化の水精と癒しの舞手である。
 汚れを取り、疲れを癒すまるで温泉客の為に存在するような生き物を前にヴァゼラード伯は無数の策から採った手段とは!

「アイギス、悪いが私より需要がありそうなお前が犠牲になってくれ!」
「そんな! あっ……ん……あ!」

 読者サービスを意識した作戦である!
 水精と舞手もキョウの意思を感じ取ったのか、有無を言わせずにアイギスの長身グラマーボディに絡みつくのだ。

「ひゃっ!? そ、そんな所揉まなくてもっ!?」

 甘い声が響く中、すまんアイギス……しかし天がこうせよと囁くのだ! と天からの意思に抗えなかった事に胸中でアイギスに詫びながら一人で安全にたどり着くキョウであった。
 キョウが寺院跡に到着したしばらく後、やや水着を乱したアイギスがたどり着いた、その頬は紅潮し、ガクガクと膝を震わせていた……が。
 肌はツルツルピカピカで肩こりも解消されていたのでした。

成功 🔵​🔵​🔴​

エルーゼ・フーシェン
「さっき汗かいたし、泳いでいこうっと」
目に見える遺跡まで泳いでいくわ。
スライムもタコ型生物も無害らしいから、オブリビオンとの戦闘前に疲れをとるのもいいかも。
【動物と話す】能力でオブリビオンについて聞けたらいいけど。
もし害悪を及ぼしてるようなら退治すると約束する。



 ●エルーゼと不思議ないきもの。

「さっき汗かいたし、泳いでいこうっと」

 キマイラの女戦士、エルーゼ・フーシェンは洞窟でかいた汗と土埃を洗い流せると特に準備せずに泳ぎ始める。
 エルーゼの着用する防具は泳ぐ事に問題が生まれにくいオタードアーマーであった事も功を奏した。
 高い透明度、芯から温まる温泉にゆっくりと足から入ったエルーゼはふぅ……と自然と恍惚の溜息をついてしまう。
 このままゆっくりしたい気持ちを振り切り、平泳ぎで寺院跡へと向かうのだ。

「来たみたいね」

 ゆっくりと温泉を楽しみがら泳ぐエルーゼに向かって、話に聞いていた浄化の水精と癒しの舞手が近づいてくる。
 予め知らなければ危険な魔物に見えるが、無害で恩恵があると知れば何の問題もないのだから。
 エルーゼは迫る二匹に自らの差し出すように無抵抗に晒す。
 そうすれば二匹はやったー! 疲れをいやしてね! キレイになってね! とでも言わんばかりに楽しそうに纏わりついてくるのだ。

「ん……これは、確かに気持ちい……い……は、ぁ……」

 エルーゼが溺れないように支えるタコ型生物である癒しの舞手、8本の腕を巧みに操り、大きな胸のおかげで生まれる肩のコリを丹念にほぐしていく。
 首の付け根を押し、撫でるように下がった触手が鎖骨周辺をマッサージ、更に両肩の可動域を確認する様に四本の腕で左右から押し解す快感……。
 温泉の熱で火照った身体は自然と触手を受け入れてしまうだろう。
 受け入れてしまえばまさしく全身をくまなく揉み解される、まさに天国のような心地よさにエルーゼは包まれるのだ。

「ん……そういえば、ここに危ないやつが居るらしいが……あ、ぅ……ふぅ……」

 心地よいマッサージと浄化の水精のヌルヌルボディで全身を磨かれている最中、甘い声が漏れながらもエルーゼは二匹に声をかけてみる。
 動物と会話できる技能があったエルーゼの言葉に二匹は……。
 きゅいー……とか、むにゅー! とか奇妙な鳴き声を上げたのだ。

「な、ん……だって……んっ!」

 二匹とまさかのコミュニケーションを取ってしまったエルーゼは意外な事を教えられる。
 ここのオブリビオンは巨大な水の塊で出来た【水の大蛇】であるが、この【地底温泉で身体が構成】されており、通常以上に成長し温泉を大量に吸収しているのだ。
 なので【オブリビオンの体積に対して吸収されている水の密度が大きく、その量は温泉湖の数十倍ある】と考えられる。
 つまり、撃破すれば圧縮された温泉が解放されこの【遺跡温泉は完全に沈んでしまう】と教えられたに等しい。
 勿論、【猟兵であるキミたちが溺れる事は無い】が、普通に撃破すれば【二度とこの温泉は使えなくなるだろう】。
 しかし、浄化の水精が教えてくれた情報によれば【遺跡の壁を爆破できるような火力や道具等を用いて、遺跡東側の壁を脆弱にすれば近くの水脈に温泉が流れ込む】と告げるのだ。
 その水脈は位置的に【最近クレーターが出来た場所】に繋がっているとエルーゼは計算。
 【壁を爆破してからオブリビオンを倒すor壁の爆破に巻き込んで倒すことで、ロレースの町の近くにあるクレーターに温泉が湧きだす】事になってしまうのだ!

「それは、また……」

 マッサージと浄化を終え、全身のコリを解して貰い、湯上り卵肌になったエルーゼは思案しながら寺院跡に急ぐ。
 浄化の水精と癒しの舞手は手(?)を振りながら見送ってくれている、さて……オブリビオンを倒すにしてもどうするべきであろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・ステラ
地底温泉綺麗ですね!
ただ、話に聞いてるより大きいのが泳いでないですか⁉︎

中央に向かうのにライオンさんは少し危ないかもなので、お留守番組してもらっておきましょうか。ありがとうライオンさん!

寺院に向かうのに箒で【飛ぶ】方法を選ぼうと思います。
順調にいけばいいな...(フラグ)

きゃあ!!下から沢山の触手が!
箒が引っ張られてます!
前から大きいスライムが!!
(もしかして、二つの生物が協力することも進化の一つですか!?)

うぅ...危険がないと分かっててもヌルヌル、ニュルニュルはいやです...

ひゃん!?
ー土埃で汚れたところに吸い付いてきました!?
ちょっと...そこは...だめですー!!


アドリブ等歓迎です!



 ●魔女っ子とスライムエステ。

「うわぁ……本当に綺麗です……」

 地下洞窟内に存在する透明度の高い温水湖、そこに水没している遺跡。
 中央に存在する寺院跡が神秘性を更に増す。
 蒸し暑く、土埃が舞った洞窟での作業で疲れた心を癒す風景……だが。

「やっぱり居ますよね……」

 温泉を音もなく泳ぐスライムとタコ、はっきりと視界に捉えたルナ・ステラは折角の温泉の前でため息を吐いてしまう。
 情報通りなら無害であるのは間違いない……が、どうしてもいやな予感がするのだ。
 しかしルナには秘策がある! 空飛ぶ箒の“ファイアボルト”に跨り、泳がずに中央に鎮座する寺院跡を目指すのである!

「ライオンさんありがとうございます、次はお留守番お願いしますね!」
「がおお!」

 可愛らしく右前足でルナに行ってらっしゃいとアピールする黄金ライオンさん。
 何処か応援のように見える仕草を背中にルナはファイアボルトに跨り宙を翔ける!
 温かな水上を疾走するルナを見上げる浄化の水精と癒しの舞手。
 まるでお客さん? お客さんかな? お客さんかも! 癒してあげなくちゃ! と張り切るような雰囲気をルナは感じるだろう。

「うう……泳いでいたら危なかったです、でも空さえ飛んでしまえばこちらのものですね!」

 集まり始める無害なスライムと触手達……高さが足りないので一安心と最後にちょっとドヤ顔しちゃうルナ。
 そう……所謂フラグである。
 そのフラグはごごごご……という音と共に回収される事になる。

「……なんだか嫌な音が聞こえてきたのです」

 箒に跨り空を飛ぶルナの胸がざわめいた……瞬間、大きな水しぶきを立ててナニカがルナの眼前に出現したのだ!
 ナニカの正体、それは浄化の水精が何匹も重なり合って高さを克服した所謂、スライムの壁であった!

「わぁ!? あぶなっ! ひゃぁぁ!?」

 突然の出現に慌てて回避行動を取る、左右はダメ、上に逃げる……は、スライム達がこちらに倒れてきているので捕まる!
 残る回避ルートは倒れるスライムを避けながら水面ギリギリまで曲がりながら加速、波をくぐる様に避けようとする。
 しかし水面近くまで迫った瞬間、ルナの可愛らしい足をタコの触手が掴んだのだ!
 ヌルッとした感触に急に襲われ可愛らしい声を出してしまうルナ、この時点で勝負は決まったようなものだ。

「だ、だめです!! 捕まっちゃって……あ! ひゃぁ!? 」

 細いルナの右足からウゾウゾと這いずり上がる触手さん、強弱をつけてマッサージしながら捕らえられたルナの頭からスライム達が包み込むように倒れ込んだのだ!
 こうして全身をスライム包まれた事でヌルヌル垢すりとニュルニュルマッサージを受けることになったルナなのであった。

「うぅ……危険がないと分かっててもヌルヌル、ニュルニュルはい……ひゃん!? そこは、ふぁぁ!?」

 情報通りこちらへの攻撃等考えもしない二匹、お客様であるルナを歓迎するかのように執拗に身体をはい回る。
 その効果は抜群で、汚れた衣服や下着はスライムによって清められ、歩き疲れた両足は触手によって解される。
 特に触手マッサージは足の指先から太腿の付け根までを柔らかすぎず、硬すぎない絶妙な弾力の触腕で押され、揉まれ、回されるのだ。
 最初はくすぐったいだけであったが、次第に身体の芯まで解され、熱を持ってしまう。
 声は甘く蕩け、身体は自然と脱力してしまう程だ。

「ひゃん!? ちょっと……そこは……ひゃめれすー!!」

 更に上半身まで伸びてきた触手に加え、頑固な土埃を見つけたスライム達がちゅうちゅうと汚れを舐めるように吸い始める。
 甘いすぎる刺激が全身の至る所から生まれてしまったルナ。
 スライム達に解放され赤ちゃんのようなツルツルプニプニお肌、疲れも取れたパーフェクト魔女っ子となりながら這う這うの体で寺院に到着するのでした。

成功 🔵​🔵​🔴​

大河・回
う~ん、あまり現場に出たくはないのだが仕方ないか。

しかし、あまり体力を使いたくはないな
よし、サーベルドッグ(昭和特撮風な右腕の肘から先がサーベルになった犬の怪人のAIプログラム、会話可能で回にはプロフェッサーT呼びで敬語を使う、掛け声は犬の鳴き声)を召喚しよう
サーベルドッグよ、私を抱えて柱上部を渡って寺院へ向かうのだ
お前は具現化されているがプログラムだから地底湖の生物も反応しないだろう
あとは【運悪く】足を踏み外したりしなければ何も問題ないはずだ
あ、右腕のサーベルで私を傷つけないように気をつけてね



 ●プロフェッサーと間欠泉。

「ふぅ」

 温泉の熱気が伝わる水没遺跡、あまり現場に出る主義ではない大河・回にとっては嬉しくないシチュエーションである。
 そう、悪の組織“デスペア”の幹部であり情報戦に長け“プロフェッサーT”と呼ばれている設定の自分には似つかわしくないのだ!
 と、いう事で肉体労働派ではない自分が泳ぎもせず、安全に中央にある寺院跡に向かうにはこれが一番だろう。
 そう考えた回のとった手法とは……。

「出でよ、サーベルドッグ!」
「アオーン!」

 自分を安全に運んでくれる手下の召喚である!
 呼び出されたのは“サーベルドッグ”と呼ばれる右腕の肘から先がサーベルになっている名は体を表すを地で行く怪人だ。
 グルル……と犬の唸り声を漏らしながら回の目の前で跪き首を垂れるサーベルドッグ、子供に人気の出そうなデザインの彼は召喚を喜ぶような声色で回へと問う。

「プロフェッサーT、お呼びでしょうか」
「うむ、サーベルドッグよ、私を抱え寺院へと向かうのだ」

 回の言葉一つ一つを噛みしめるサーベルドッグは、ゆっくり頷くとスクリと立ち上がる。
 そして足場にするように回に言われた丈夫な石柱を観察し確信するのだ。

「アオ――ン!! お任せくださいプロフェッサーT! このサーベルドッグ、見事に任務をこなしましょうぞ!」
「頼もしいね、お前は具現化されたプログラムだ、やっかいな生物には捕まる事は無いだろう」

 はっ! と男らしい返事を返すサーベルドッグの腕に抱かれる回、これで安全に目的地に到達するだろう。
 その予測は大当たり、回を抱えたまま俊敏に石柱間を飛び移っていくサーベルドッグに浄化の水精も癒しの舞手も関心を示さない。
 数匹が運ばれる回の様子を伺うがサーベルドッグの動きに追いつくのを諦めるのだ。

(計算通りだね、これで余計なトラブルに巻き込まれずに目的を達せる)

 運ばれる間温泉湖を眼下に捉え、自分の作戦が成功した事を確信する回。
 視界には他の猟兵が二匹の生物に全身を絡めとられているのが見えるだろう。
 その光景にふと回は思考を走らせてしまったのだ。

(もし、私があいつらに捕まったら……)

 もしもの世界……回がスライムと同じ粘液生命体である浄化の水精に捕獲されてしまえば……。
 きっと大きく両腕を上げ、スタイルの良い身体を隠せなくなるだろう。
 そしてヌルヌルと粘る身体で汗のかきやすい部分をはい回ってくるのだ……足の指……胸の谷間……太腿の付け根……お臍に腋……。
 その粘りと粘液は敏感な肌をなぞり、甘い電流を神経に流してくるだろう……その感触に私は耐えられるだろうか……。

(な、何を考えているんだ私は!)

 ぶんぶんと首を振って思考の海から出ようとする、しかしまるでドツボに嵌ったように再びありえなかったもしもの世界を分析してしまう。
 この時ばかりはプロフェッサーと呼ばれる自分の頭脳が疎ましくなったかもしれない。
 しかし思考は走る続ける、もしも……もしもタコのような長い触腕を持つ生命体に捕まってしまえばどうなってしまうだろうか……と。
 きっとマッサージしやすいように両足を大きく広げられるだろう、そして両手も叩く上げら拘束されるのだ。
 そうなれば抵抗も出来ず八本の長い触手に全身を弄られることになる……。
 肩を、お腹を、足の付け根を、指の間を……スライムと共にもみくちゃにされるだろう、もしかしたら捕まっている猟兵のように甘い声を漏らしてしまうのかもしれない。
 その後は……その後は……。

「プロフェッサーT、もうすぐ到着です」
「はっ!? そ、そうか……」

 幸か不幸か温泉湖を無事に渡りきることが出来そうだ。
 寺院跡まで残り石柱1本、これを飛んでしまえばあとはしっかりとした足場が確保される。
 サーベルドッグの脚力なら数秒で飛び移れるであろう……そう、このまま何も起きなければ……。

「なっ!? 間欠泉!?」
「プロフェッサーT!?」

 最悪のタイミングで最悪の現象が最適の場所で起きたのだ……残り一歩を踏み出したサーベルドッグの眼前に間欠泉のように温水が吹き上がってしまったのだ!
 空中ではさすがに急な方向転換は出来ず、回とサーベルドッグは残り少しで温泉へと落ちてしまう。
 そして、泣きっ面に蜂とはよく言うもので……。

「ぷはっ!?」
「ご無事ですかプロフェッサーT!」

 少し離れた場所に落ちたサーベルドッグが回に向かって泳ぎ始める、回の場所は後少しで寺院。
 泳げばたどり着ける位置である……だが、もちろん回の周囲にはスライムと触手が群れていたわけで……。
 回はこの後スライムに美肌エステを受けてしまったのか、触手に全身をマッサージされてしまうのか。
 それを知っているのは回本人だけである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティエル・ティエリエル
「ここが薬師のお婆さんが言ってた【癒しの都】なんだね!」
仲間と情報共有が出来たら、「わーい!冒険だー!」とさっそく地底湖の中央目指してレッツゴー☆

もちろん、背中の翅で【飛んで】いくよ☆
せっかくだし、水面近くにいる【浄化の水精】と【癒しの舞手】を観察してみようかな?
薬師のお婆さんが見せてくれたのよりすっごく大きいね!ボク、びっくりだよ!
【癒しの舞手】はマッサージが得意なんだよね?ふふーん、ボクも結構得意だよ、マッサージ!

※危険はないと聞いたので油断しているよ
※マッサージされたらくすぐったがります

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



 ●妖精姫と二匹のいきもの?

 小さな妖精姫ティエル・ティエリエルは温泉湖に水没した遺跡を前にワクワクを抑えられずにいた。
 想像していた以上の遺跡と湖の大きさ!
 話に聞いていた以上の大きさの希少な生き物たち!
 溢れ出る好奇心! パタパタと翅を羽搏かせティエルは飛び立つのだ!

「ここが薬師のお婆さんが言ってた【癒しの都】なんだね! 冒険だー! れっつごー☆」

 水没した民家、崩れた宿屋であろう建物、公園の跡……中央に向かう道程だけでもこれだけ遺跡を堪能できたのだ!
 と、そんなティエルを手招きするように浄化の水精と癒しの舞手が水面下で蠢いているではないか。

「わわ! お婆さんのところで見たのよりずっと大きいね!」

 妖精さんだー! ほんとだーキレイになってー! まっさーじするよー!
 と言わんばかりにスライムと触手は空を飛ぶティエルにアピールしてくるでは無いか。
 どこか微笑ましい光景であり、無害だと聞いていただけに油断していたティエル。
 そんな彼女に襲い掛かるのはマッサージが大好きな触手さん事癒しの舞手だ、ティエルの身長に対して大きすぎる八本の触手の先端の細くなった部分、そこを巧みに使い喜んでもらおうと奉仕する。

「きゃっ! びっくりしたなぁ……って、ひゃん♪ こ、こらぁ! くすぐった、ぃ♪」

 幼いティエルにとって舞手のマッサージはくすぐりに近いであろう。
 敏感な身体が這いずる触手に反応し、激しいパルスじみた感触を送ってくるのだから。
 肩を、腕を、足を、お腹を……舞手は撫でるように刺激を送る、お返しに喜びの感情を貰う為に。

「ふにゃぁ!? そこは……ひゃ、あははははは!!」

 触手の動きはただ撫で上げるだけではない。
 時折ヴァイブレーションを伴って刺激し、時にはヌルヌルとした触感を利用して惚けさせる。
 場所も四か所、五ケ所と同時にマッサージしてくるのだ。
 人知を超えた極楽がティエルの全身から稲妻のような甘美な刺激を送り続けるのである。

「ひゃぅ!! あはは! そ、そこは……だめ、だよぉ!! ……はぅ、ぅ、ふえ?」

 先ほどまでの触手マッサージフルコースに加え、首筋と翅の付け根を丁寧になぞり上げられ、押し揉まれていたティエルは甘く蕩けた笑い声を響かせてしまう。
 しかし遂にマッサージの前に色んな意味で限界に達する直前――ダメと言葉として紡ぎだした瞬間の出来事であった。
 ピタリと舞手は動きを止め、心配そう(?)にティエルの様子を伺うのだった。

「はぁ……はぁ、ふぅ……キミたちもしかして!」

 ティエルの観察によりはっきり分かった事がある、【浄化の水精と癒しの舞手は人語を理解し止めてと言えば止まる知能を持っているのだ】。
 つまり、姿形という問題点であるが【ロレースの町の人々とも共存が可能】なのである。
 ティエル達猟兵が話せばあの町長達なら受け入れてくれるだろう。

「これはなんだか凄い事になっちゃうかも?」

 大きくなった浄化の水精と癒しの舞手が町の人達と仲良く暮らす未来が猟兵達の手によって紡がれるかもしれないのだ。
 わくわくに胸を踊らせながら息を整えたティエルは浄化の水精と癒しの舞手に別れを告げ、目的の場所へと急ぐ。
 面白そうな未来も邪悪なオブリビオンを倒さなければ意味が無いのだから!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『水の大蛇』

POW   :    水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ   :    身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ●温泉遺跡と水の蛇。

 無事(?)に寺院跡に到着した猟兵達が見たモノ、それは遥か古代に存在していた人々の生活そのものだ。
 遺跡の一階部分は完全に水没していたので、少しだけ床上浸水している二階部分に侵入した君達は様々な物を見つけた。
 そんな寺院の二階には寺院としての荘厳さのある大広間や、温泉に浸かりに来たであろう人々が利用していたと思われる休憩室。
 一休みする人が利用したのか、それとも宿替わりに使っていたのか、朽ち果てたベッド。
 他にも風化した湯浴み着や『この温泉のおかげで背が伸びました、胸が大きくなりました』等の古代の広告まであるではないか。
 まさしく人々に密着した都市であった事が伺えるだろう、そんな遺跡で最も魔力を感じる場所……それが一階から完全に崩落した三階部分まで吹き抜けで作られた広間だ。
 そこに安置されている大きさ1mはある魔導具にして温泉を生み出す宝珠……これがオブリビオンの目的そのものだろう。
 魔力に詳しいものならば分かる、この魔道具によって生み出された温泉は【生物の成長を早めたり、限界以上に成長させる効果】があるのだ。
 そんな宝珠の力で限界以上に成長した存在、それが自分の領域を侵す猟兵達を排除するべく現れる!

「GAAAAAAAAAAAAAA!!!!」

 水没した遺跡を我が物顔で泳ぎ、極大に成長した水蛇が鎌首を擡げてキミ達の目の前で大きな口を広げる。
 水蛇の大きさは全長30mはあるだろう、胴回りも小さな家程はある……それだけ長い間温泉を吸い上げ続けたのだ。
 幸い寺院跡が足場になるので戦いに不利にはならない!

 さて、ここで今まで手に入れた情報により【このまま倒してしまえば高密度の温泉が解放され、遺跡が完全に沈んでしまう】と分かっている。
 勿論【キミ達猟兵はそれで溺れる事は絶対に無い! 生還できる】から安心して欲しい!
 また、【寺院の東側、洞窟の壁に近い場所には黒屋根が見える、ここに爆発関係の魔道具が保存されている】のだ。
 黒い屋根が見える場所まで行くには【《空中戦》等で空を飛ぶ】のが一番簡単であり、他には【足場を器用に渡る】【水蛇や足場を《吹き飛ばす》】事でたどり着ける。
 また水没した爆発魔道具を爆発させるのは【《なぎ払い》などを代表する広範囲攻撃で巻き込む】他【遠隔から《ハッキング》する】事で起爆が可能だ。
 もし誘爆すれば【新たな水脈と結合してしまい町の近くのクレーターに温泉が湧く事が分かっている】どう利用するかはキミ達次第だ。
 そしてこの地底湖に住む浄化の水精と癒しの舞手も悩みの種だ、【爆発で死んだりはしないし本人達は何も考えずに地底湖で泳いでいるが人語を理解する事が判明したので、共存も可能】なのだ。
 勿論【ロレースの人々に受け居られらるには実績のある冒険者であるキミ達の紹介が必要】だが、紹介さえすれば問題は無いだろう。
 水精も舞手もロレースに誘えば人に喜んでもらいたい性質上必ずも喜んで付いて来る。

 さぁ、猟兵達よ! オブリビオンを倒し町の未来を掴むのだ!!

 ※MSより(消せるようになれば消します)
 今回の選択でロレースの町が温泉町になるかの分岐となります。
 お気軽に選んで頂けると嬉しいです、もちろんプレイヤーさん同士で相談しても良いですが相談の場はMSから用意できません、ご容赦下さい。
 なので、本当にお気楽に恨みっこなしで選んでくれると嬉しいです。
ティエル・ティエリエル
「せっかくの遺跡、水没させちゃうのは勿体無いよね☆」

水蛇をレイピアでチクチク刺して意識がこっちに向いたら
「存在感」のあるボクが囮になって【黒屋根】まで誘導するね!

自慢の翅と【スカイステッパー】の機動力で華麗に「空中戦」を決めて東側におびき寄せるよ!
【口からの水弾】は「見切り」で回避するね♪ふふーん、触手くん達のマッサージのおかげか身体が軽いよ♪

戦闘が終わったら、町長さん達に水精や舞手が悪い子じゃないってこと説明するね!
「そうだ!薬師のお婆さんにもこの子達が悪い子じゃないって説明してもらえばいいよね♪」


ルナ・ステラ
汚れも疲れも取れて元気です!
ーですが、なんか少し酷い目にあった気も...

ヌルヌル、ニュルニュルは苦手ですが、よい生き物たちのようなので、共存できるといいですね。とりあえず安全な場所にいてもらいましょうか。

水蛇大きい...!!
わたしなら、箒で飛べば黒い屋根に行くのは簡単ですね。
水弾などに気をつけながら、向かいましょう。
(びしゃびしゃにはなりたくないな...)(フラグ?)

爆発させるかどうかは皆さんの考えと状況次第でしょうか...

どっちにしろ、とりあえず水蛇は【属性攻撃】の氷魔法で凍らせて、動きを封じたり攻撃が通りやすくしておきましょう。

爆発させないなら、凍らせた後、星魔法で攻撃しようと思います。


キョウ・ヴァゼラード
※アドリブ歓迎
※他の猟兵から温泉について戦闘前に聞いた事として行動
※ロレーヌ温泉計画推進

成る程、いくつかの要因を上手く重ねればこの戦い…民の生活を潤わせる事も可能となる訳か。

「機を待つ、まずは牽制と惹きつけに徹するぞ」
『御意』
私の役割は【水没した爆発魔道具を《なぎ払い》で巻き込み爆発させる】事だろう。
その準備が整い、機が訪れるまではアイギスに【盾受け】させて守りを固めつつ【怪力】を伴った【二回攻撃】で牽制攻撃をかけていく。

「今が好機!聖剣、解放!」
機が訪れたら【高速詠唱】の【聖剣解放】で長大な光の刃を聖剣に纏い、【薙ぎ払い】で敵ごと爆発魔道具を一刀両断にして誘爆させる。


エルーゼ・フーシェン
【空中戦】で飛行しながら黒屋根を狙ってみる。
双剣『ストライダー』を構えて【衝撃波】を【なぎ払い】で放って誘爆を狙ってみる。
問題は水の大蛇が何もしてこないというのはないでしょうから、そっちもなんとかできればね。
「こんなとき、トリガーがいれば……」

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


トリガー・シックス
水の大蛇に『トール』を大蛇の頭に撃ち込みながら現れる。
「まったく、まだ新米気分が抜けないのか?」
エルーゼたちになにか目的があるのは察して大蛇の気を引くために【援護射撃】を行う。
トール自体撃つまでに数秒のチャージが必要になるため、相手の攻撃を【見切り】で回避する。
口を開けたらそこに弾を撃ち込む。
「薬は打つより飲むに限るだろ、大蛇さん」
冗談交じりの言葉を言いながら『吹雪の狼』を砲撃し、時間を稼ぐ。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


大河・回
ふむ、温泉をどうするべきか。((温泉が町の近くに湧く→町が温泉業で栄える→(いずれ)私が征服する!))よし、温泉を町の近くに湧かせよう!

町長から聞いていた爆発魔道具を利用しよう
遠隔からのハッキングで安全に起爆する
どうせなら水蛇を巻き込んでダメージを与えたいな
引き続き召喚しておいたサーベルドッグを水蛇にけしかけ建物近くへの誘導を試みさせよう
私は水蛇から離れた位置で【迷彩】を使用しいつでも起爆できるように待機しておく
爆破後は水蛇がまだ生きていれば引き続きサーベルドッグを戦わせ私自身もアローガンからの銃弾による援護射撃を行おう

※アドリブ歓迎



●遺跡防衛戦。

 轟音と共に多量の水しぶきを噴き上げ現れるは水の大蛇、魔道具の恩恵を一身に受けた神話に登場しうる化け物だ。
 これ以上放っておけば遺跡だけでなくロレースの町をも飲み込む程に成長する。
 そうなれば世界が滅びていてもおかしくない強敵なのだ。
 だが、だが今は違う!
 強大になりうるオブリビオンの目の前には猟兵達が居るからだ!

「GUU……GAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 自らの前に立ちはだかる障害……そう認識した水蛇は巨大な口を大きく広げ、限界まで圧縮された水弾を作り出す。
 それが開戦の合図となる!
 放たれた水弾は轟音を伴い飛来、遺跡を粉々に破壊するであろう密度、質量である事はこの場に居る全員が分かっている。
 回避するだけなら容易い、しかし躱せば寺院跡に大穴が空くのは必定。
 で、あるならば……!

「アイギス!」
「イエス! マイロード!」

 迫りくる圧倒的質量の水を受け止めるのはキョウ・ヴァゼラードとその部下にして精鋭騎士であるアイギス。
 アイギスは大楯を構え、キョウは聖剣を構える。
 勿論馬鹿正直に全てを盾で受けるつもりはない、キョウとアイギス……阿吽の呼吸で指示も無く乱れ無く動くのだ。
 キョウは構えられた聖剣に魔力を宿し、白き光を纏わせる。
 その光を剣先に集中、迫りくる水弾の一点を穿つように突き放つ!

「穿ち抜け! グランネージュ!!」

 本来極大の魔力光を放つ聖剣の一点集中攻撃だ、消費魔力を抑えて放たれたとはいえその閃光は水弾に衝撃を与える。
 その衝撃は物質的にも術式的にも構成を弱め、不安定な状態へと変貌させたのだ。

「やあああああああああ!!」

 黒髪を靡かせ騎士が往く、白き双大楯を構え、繊細なコントロールの末に水弾を跳ね上げ、流し受けたのだ!
 遺跡も守る、敵の攻撃も防ぐ、難題をこなした主従に続けと猟兵達は作戦を開始する!
 これまでの冒険で手に入れた大事な情報、みんなの力で手に入れた情報を使い町の人々を笑顔にするために!

「こっちだよ☆ おいでおいでー!」
「援護します!」

 華麗に空中に躍り出たのは風を味方にする妖精ティエル・ティエリエルと箒にのった魔女っ子ルナ・ステラだ。
 二人は洞窟内で円周軌道を描きながらオブリビオンに肉薄、ティエルはレイピアで、ルナは魔力弾で攻撃を開始した。

「水蛇大きい……けど!!」

 ルナはファイアボルトに跨り水蛇の真下から急上昇、大きな口が眼前ギリギリにまで迫る距離を飛行し、魔力の塊を牙目掛け放つのだ。
 放たれた魔力弾は水の牙を打ち砕く、がそれはすぐさま周囲の水によって修復されてしまう……が、ルナの目的は破壊だけではない。
 敵への攻撃と観察を繰り返し、目の前を飛ぶ小さな妖精の援護をする事が一番の責務なのだ。

「わわ! あっぶなーい☆ けど、ボクにはあたらないよー!」

 せっかくの遺跡、水没させちゃうのは勿体無いよね☆
 そう言って遺跡を護る為に戦場変更の先導を買って出たティエルはわざとオブリビオンの視界に移り続ける事で存在感を発揮、そして空中を踊るように華麗に飛び回る事で視線を独占するのだ。
 水蛇と妖精姫との対格差は歴然、普段であれば簡単に押し潰し、飲み込み、砕いている……しかし水蛇は目の前の妖精に触れる事も出来ずにいた。
 勿論体当たりだけではない、水弾を吐き出す事で遠距離から潰そうと試みる……しかし全てが当たらない、紙一重で躱されるのだ。

「隙あり! てやー☆」

 しかもそれだけではない、ティエルの攻撃……まさしく蚊がさすが如き小さな一撃、普段のオブリビオンであれば何のダメージも負う事のない攻撃なのに。
 パンッ!! と軽くも大きな破裂音と共に自らの身体を構成する圧縮された水が砕け散ってしまう。
 勿論すぐさま修復が開始されるが、この小さな妖精の攻撃は十分な脅威となっている、つまり無視できない状況に陥ってしまったのだ。

「GAA!! GUAAAAA!!」
「へへーんだ! あったらないよー☆ そして隙ありー!」

 高速で吐き出される水弾、当たれば吹き飛ぶであろう攻撃を前にティエルは笑顔を浮かべて宙を蹴りつけた。
 タン、と音が聞こえる程軽い動きであったが、暴風を孕んで迫る水弾をしなやかに半回転して避ける。
 まるで新体操を演じるように小さな妖精は飛び続ける、空中を舞台に華麗に踊り、隙を見つけては鋭く刺すのだ。

「全然あたらないよ☆ こっちこっちー♪」

 余裕を見せオブリビオンを翻弄するティエルの攻撃には絡繰りがある、小さな妖精姫の振るうレイピアは“風鳴りのレイピア”と呼ばれる風と関わり深い音色を奏でる秘宝である。
 ティエルはオブリビオンのある攻撃を回避する際に、ただ避けるだけでは無くそのレイピアで風を掬いあげる織紡ぐように集めているのだ。
 紡ぐべき風は強風、その強風はオブリビオンが吐き出す水弾が連れてくる!
 こうして風を味方につけたティエルは絶対に触れられぬ囮をこなしつつ、レイピアに絡ませた暴風を突きと同時に解放する事で巨大な質量をもつ敵に傷をつけるのだ。

「GAAA!!」
「ひゃ! ちょっと危なかったかも☆」
「次はわたしです!」

 オブリビオンの目の前をフラフラと飛び、誘うように踊る妖精と魔女っ子。
 右から左へ、上から下へ、その逆へ、または急停止に急加速。
 おいでおいで、鬼さんこちら。
 二人の少女は水蛇の攻撃を躱しながら、隙を見つけては攻撃を繰り返す。
 小さな攻撃と優雅な空中乱舞、まるで挑発するように飛行の結果、寺院から徐々に離れていく水蛇……自らが死地へと向かう事を知らぬオブリビオンは二人に導かれるまま黒屋根の建物へ移動する。
 ゆっくりと遺跡群を傷つけないよう大回りに。

「そろそろだね! ってうわわわ!?」
「危ないです!?」

 目標地点付近まで見事無傷で誘導をこなしたティエルとルナ、だが苛立ちが限界に達したオブリビオンは一際大きく口を開け始めた。
 今までの水弾と違う――二人は経験と第六感からすぐさま回避行動を取った、瞬間水蛇の口から無数の散弾の如き多数の水弾が発射されたのだ。
 点ではなく面での制圧射撃、辛うじて回避したティエルとルナだったが二人の躱した水弾が黒屋根の建物に流れて行く。
 マズい! 勿論オブリビオンが猟兵達の意図を察して黒屋根の建物を狙ったわけでは無い、更に言えば水弾が命中しても誘爆はしないかもしれない。
 しかし二人は万が一の可能性を過らせると、最悪に備え空を翔けようとする――が、その必要は無くなってしまった。

「そこよっ!」

 無数の水の散弾は黒屋根の建物に届く寸前で、見えない壁のような何かに衝突し霧散してしまう。
 水弾を防いだモノの正体……それは大型の双剣“ストライダー”を高速で振りぬく事により生じた衝撃波。
 衝撃波を生み出した者こそ大型双剣を自然体で構え、水蛇を睨みつけるキマイラの女戦士エルーゼ・フーシェン。
 彼女は一呼吸置くとストライダーの切っ先をオブリビオンに向けて言い放つ――次は私と遊びましょう、と。

「GU……GUAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 巨大な水蛇は目を爛々と妖しく光らせると怒りのままにエルーゼ目掛けて豪雨の如く水弾を飛ばす。
 しかしエルーゼはそれを何でもないように最低限のステップとストライダーでもって捌き続けるのだ。
 頬を掠める程度であらば防がず、身体に当たる物は最低限のスウェーと身体の動きで回避。
 それでも当たる弾は右刀の切っ先にて払い弾道を変えてやる、更に連続で命中弾を確認すれば左刀にて叩き落す。
 まさしく双剣、乱舞は嵐が如く水弾豪雨を弾き飛ばす。

「もう少し、もう少しこっちに来なさい」
「GAA!?!?」

 水蛇とエルーゼが近づけば近づく程に水弾防御の難易度は上昇する。
 もはや見てから回避等は不可能な領域……しかしエルーゼの防御は崩せない。
 所か剣閃は更に加速し、一手攻撃にも転じているのだ。
 遺跡を舞台に華麗に舞う踊り手エルーゼ、水弾を防ぎつつ抜き放たれた双剣の十文字斬り。
 重ねられた剣はまさしく“空を斬り”水蛇の胴体に鋭い裂け目を生み出した。
 鎌鼬とも呼ばれる飛ぶ剣撃である。

「あと少しよ」

 エルーゼの呟きに気付かずにオブリビオンは更に水の散弾を放つ。
 だが幾度放とうとも本命であるエルーゼに届かず、逆に自らが傷を負うだけであった。
 この剣の速度、エルーゼは魔術により限界まで肉体を強化しているのだ。
 周囲には水の魔力が過剰なほどに存在する、勿論限界以上の負荷に身体は悲鳴を上げ始めるが目標まであと少し……耐えられるはずであった。
 エルーゼの第六感は不意に警報を鳴らす、場所は背後、その危機感の正体は……。

「――尻尾!?」

 そう水蛇は水弾を雨あられのように打ちながら、静かに水中で尻尾を迂回させていたのだ。
 こんなとき、トリガーがいれば……時間の流れが遅くなる無音の世界にて女戦士は一人の男の名前を呟く。
 そして襲い来るであろう衝撃に備え防御姿勢を取るのだ。
 水の身体が水中で見えるわけもなし、完全な不意打ちにより形勢はエルーゼの不利に傾く――はずであった、この男が居なければ。

「まったく、まだ新米気分が抜けないのか?」

 爆音と同時に吹き飛ぶ水蛇の尾、悲痛な叫びを上げて暴れ回すオブリビオンの姿を視界に捉えながら静かに、だがどこか温かな声の主はトリガー・シックス。
 特徴的なの銃を咥えた狼の紋章と三本の爪と傷の紋章が飾られた闇のように黒いクローク、と巨大なロケットランチャーを手にした傭兵だ。
 トリガーは偶然にも援軍として駆けつけ、遠くから見る事で水面の違和感を察知したのだ。
 水中に潜ませた尻尾をエルーゼの背後に向かわせているのだと……そこからトリガーの反応は早かった、温泉湖から顔を出す遺跡を足場に風の如く移動する。
 足場が無ければ拳銃に仕込んだフックショットを使用、洞窟の壁や遺跡の柱を利用し最短距離でオブリビオンを射程に入れたのだ。

「BFGタイプFL『トール』効くだろ?」

 水大蛇の尻尾を吹き飛ばした装備を見せつけるように翳すトリガー。
 彼が放ったモノ、それは大型複合式ランチャーと呼ばれる武装であり発射された弾を電磁加速させ敵に直撃、爆発させる扱いの難しい代物だ。
 それを足場の悪い遺跡群で使い、的確に尻尾に命中させた事からトリガーの射撃センスは窺い知れるだろう。

「トリガー!」
「おっと、詳しい話は後だエルーゼの動きから大体の狙いは分かったからな」

 スタリと軽快にフックショットを利用しエルーゼと合流したトリガーは、エルーゼの消極防御的な行動から何かを察するのだ。
 そして二人は遺跡を足場に見事なダンスを披露する事になる。

「そこだエルーゼ!」
「了解!」

 巨体で押し潰そうと二人に圧し掛かるオブリビオン、しかしトリガーがエルーゼを抱き寄せ天井にフックショットを放ち回避。
 それを察知し、槍のように高圧縮された水の蛇尻尾で空中の二人を突き殺そうとする……が。
 軌道を完全に見切ったトリガーが銃器と刀を華麗に操り、最後は右足で軽く横に蹴りだし二人の身体を突き破る軌道から見事にずらしてしまう。
 そうして出来た隙を二人は見逃さない、短い合図でトリガーは抱き寄せていたエルーゼを空中に放すのだ。
 ストライダーを構えたエルーゼは、尻尾を完全に伸ばし切っていた隙だらけのオブリビオンの右目へと突き出し、そのまま十字に切り裂いた!
 轟音に近い絶叫をあげる水蛇、暴れだした身体から投げ出されるエルーゼだが、トリガーがワイヤーを使い回収する。
 息の合った二人の動きに翻弄されるオブリビオンは再び水の散弾を放つべく大きく口を開くのだ。

「トリガー!」
「あぁ、薬は打つより飲むに限るだろ、大蛇さん」

 一度見た攻撃は二人には通用しない、素早く位置をスイッチしたエルーゼとトリガー。
 大口を開けた水の大蛇に向かい放たれるのは大型複合式ランチャー“トール”だ。
 火薬の爆発により得た推進力を電磁加速し初速にして音を置き去りにする一撃は見事にオブリビオンの頭部を吹き飛ばす!
 だが、オブリビオンにはこの地底湖がある、ここに水が存在する限り傷を、何度でも何度でも部位を修復するのだ……だが、水の大蛇は気づいていない。
 自分が見事に洞窟の壁際に釣りだされた事を。

「アオーーーーーーン!!」
「来ました! 合図です!」

 突如洞窟に響き渡る猛犬の遠吠え、その声を合図に箒に跨ったルナが再生を始めるべく水を取り込み始めた大蛇の頭上で両手を振りかざした。
 温泉の蒸気で蒸し暑いはずの洞窟が徐々に底冷えしはじめる。
 それはルナの詠唱に伴い加速度的に具現化し始める……魔力にって生み出されるのは現実の改変、“蒸し暑い場所に雪を降らせる”程の温度変化を実現させる!

「わたしの魔力で、世界を描き変えます!」

 オブリビオンが気付いたときには遅かった、温かく人を癒す温泉湖……その一部が急速な温度変化により水となり、ついに氷結し始めたのだ。
 周囲の温泉によって溶けては凍るを繰り返し、水の大蛇の周囲のみを凝結させるルナの魔法。
 ビキ、ビキ、とひび割れる音が響く中、修復の為に温泉を取り込んでいたオブリビオンの身体もついに固まり始めた!

「GA……GUAAUAGAUGAUAA!!!!」

 氷結から逃れようと魔力の中心地目掛けて大口を開くオブリビオン、水弾によって撃ち落とそうと企む……が、吐き出した水弾はすぐさま氷結の魔力に囚われ氷の塊となって砕け散ったのだ。
 白き氷の世界の具現、ルナの魔力制御によりオブリビオンの周囲のみが完全に固まってしまう。
 勿論オブリビオンはまだ生きている、現在は動きを封じただけなのだ。
 だが、それがこの作戦の要でもあった。

「アオアオーーーン!!」
「皆さんきます!」

 作戦通りにオブリビオンの動きを止めた事で氷結術式を中断、すぐさま箒に跨ってその場を離れる。
 水弾回避の際に浴びた水で透けている衣服をはためかせ、宙を駆けるルナ。
 合図を機に猟兵達がクライマックスに向けて動き出す!
 そんな様子を箒に跨り見ていたルナは急激な温度変化のせいだろうか、くしゅん! と可愛らしいくしゃみをしてしまうのであった。

 ――さて、ここで時間を少し巻き戻そう。
 遠吠えの正体と、その主が何を企んでいるのかを。
 大河・回はオブリビオンとの戦闘には参加せず、少し離れた場所で護衛兼連絡役にサーベルドッグを待機させたまま戦況を確認していた。
 プロフェッサーTこと回の目的は一つ『遺跡を保護する為に最小限の被害でオブリビオンを倒し、尚且つロレースの町の近くに温泉を湧かせる事』である。
 どれか一つを達成だけなら回も戦闘に参加していただろう、しかし二つの難題が重なったしまった。
 普通の人間であれば取捨選択の時間である、が幸か不幸か此処にいたのは世界征服を企む悪の組織「デスペア」の幹部【プロフェッサーT】なのだ!

「ふふふ、なるほど」

 腕を組んで傍に立つサーベルドッグの横で回は目を閉じ、意識を集中させる。
 彼女が行うのは魔術的なハッキング。
 魔道具を遠隔から起動……するだけでないプロフェッサーでしか出来ぬ絶技である。

「火薬による爆弾であればハッキングどころか爆発すら不可能だよね、でも……魔道具であるなら可能だ。 そう私ならね!」

 意識が闇へと潜る、深い深い深い場所……深淵の末に到達し回は自らを世界に浸透させるが如く領域を掌握していく。
 ゆっくりと、ゆっくりと広がる回……領域内の出来事を感知、確認していく。
 この大きく禍々しい魔力と反応はオブリビオン、小さくも明るい反応は妖精姫だろう、急上昇等鋭角に動くのは魔女っ子か。
 聖剣の力も確認、伯爵……これは獣に近い…キマイラの戦士。 おや、遠くからこちらに近づく反応、人間……援軍か。

(手に取るように分かるね、そして……この反応が【魔道具】だね) 

 完全に集中するが故に戦闘に参加できない回、しかし彼女はまるで自らの箱庭を覗くかのように世界を観察していたのだ。
 その結果目的物を発見する、爆発系魔道具――火と風の魔力を幾層にも封印し、ある一定の法則……この場合は魔力的衝撃により術式を解放。
 球状に爆風を発生させるモノだ。
 手に取るように魔道具を解析する回、後は爆発する法則を回の意思で行えるように改竄すれば終わりである。
 だが、だが! ここに居るのはプロフェッサーTなのだ! 不可能を可能にする悪の科学者なのである!

(このまま爆発させれば確かに寺院にまでは被害はないね、けど……遺跡の東側に多大な被害が生まれる。 ふふ、だったら!)

 更に意識を集中させる回、爆発の規模が大きい? ならば爆発の【方向を改竄】してやれば良い。
 深い闇の世界、術式が数式となり、回の周囲に飛び交い続ける疑似電子空間にてバーチャルキャラクターである回は魔道具のプログラムの書き換えに挑む!
 爆発の形状? そんな常識に囚われる事はない、魔法とはもっと万能であるべきなのだ!
 球状に広がるという法則、守るは古代のクリエイターの魔術防壁、しかし目の前にいるのは未来のプロフェッサー!

(魔術防壁α、β、γ……三層防壁、だけどね。 私はプロフェッサーTなのだよ!)

 闇の深淵にて高度魔術防壁との戦いが始まる、爆発の形状は法則により定められている、
 その法則を回の法則で上書きするのだ。
 防壁一層突破、起爆法則の掌握。
 防壁二層攻撃……突破、爆発の規模の法則を掌握。
 第三層……広大な砂漠に広がる大きさの知恵の輪を解くが如き難易度、複雑に絡み合う防護術式を解除等不可能に近い。
 だが回なら違う、防壁術式全てをスキャン、数式に変換、脆弱性を確認、一度の綻びを見つければ……。

(後は、書き換えるだけ! 糸を引っ張り解けるようにすれば良い!)

 たった一つ、しかも極小すぎる点の綻び……術式の脆弱性を感知すれば後は水を広げるようにジワジワを防壁を掌握していく。
 古代人の魔術防壁……攻略完了!
 回は全ての防壁を掌握、すぐさま魔道具の改竄を行う。
 起爆は回の意思を受けて行われ、爆発の規模は極大に、そして爆発に形を持たせる。
 指向性の付与、オブリビオンを吹き飛ばし、遺跡は守り、水脈と温泉を合流させる。
 魔道具を騙し、世界を騙し、悪の科学者が生還する!

「サーベルドッグ! 合図だよ」
「了解しましたプロフェッサーT!」

 ――時間は戻る、かくして遠吠えは放たれたのだ、そして猟兵達は起爆と保護、そしてオブリビオン討伐に動き出す!
 指向性を持たせたうえで、オブリビオンを動きを封じ、更に攻撃によって最低限の被害すらも出さないように!

「出番ね」
「エスコートは必要か?」

 水の大蛇の氷結を確認し、二度の遠吠えを聞いたエルーゼはすぐさまに動き出す。
 彼女の役割とは凍り動きを止めたオブリビオンを【黒屋根の建物を抱く様に地に伏せさせる事】である。
 両手にストライダーを構え、身体に魔力を滾らせればトリガーに抱かれる形でオブリビオンの上空へと翔ける!
 ワイヤーフックの巻き上げが最速に、目的地に到着すれば自らを宙へと投げ出すエルーゼ。
 両刃に力を込め、蓋をするように衝撃波を生み出す!
 凍り付いた大蛇は衝撃を受け全身に罅を生み出す、そして轟音と共に地底湖へと沈んでいくのだ。
 その様子を確認した瞬間、エルーゼは空を蹴り、再びトリガーの手を握る。
 任務完了だ。

「今が好機! 聖剣、解放!」

 寺院を保護する聖剣の光、オブリビオンを東に押しやり爆発の衝撃を相殺する聖剣の一撃。
 キョウが合図を確認し解放したグランネージュを横一文字に振りぬく、迸る光は寺院を守る盾でありオブリビオンを両断する剣である。
 氷結したオブリビオンが地に伏した最高のタイミングで聖剣の光が黒屋根の建物……起爆地点に到着。
 そして地底湖が激しく揺さぶられたのだ。

「お見事だね、それじゃ爆破っと」

 指向性を持った爆発が多重に生まれ、凍り付いた大蛇を砕き、消失させる。
 同時に洞窟の壁の最も脆弱な部分が破壊され、作戦通り水脈への道が生まれたのだ。
 刹那、オブリビオンの絶命と同時に高密度まで圧縮された温泉が解放、膨大な水流となって限界する。
 しかし猟兵達の活躍によって生み出された極大な温泉は水脈に流れ込んでいくのだ!
 遺跡は無事、爆発を四方から上、左右、後ろと抑え込む事で無事に景観を守り切ったのだ!
 轟音が落ち着けば温泉湖と遺跡も安全となるだろう。
 猟兵達は見事に遺跡を守り、オブリビオンを倒し、町に恵みをもたらしたのだ!

 ●温泉の湧く町で。

 荒野の町ロレース、いや名は今は間違いだ。
 冒険者たちの活躍によってロレースは【温泉の町】へと発展したのである。
 町の近くにある巨大なクレーター、そこに亀裂が入り膨大な量の温泉がわき上がった瞬間、町は歓喜と絶叫で支配された。
 あの冒険者たちがまたやってくれた! 今度は温泉まで齎してくれたんだ!
 町は幸福に包まれ、透明度の高い温泉に誰しも身体を休めたくなっただろう。
 しかし彼らは全員が分かっていたのだ、【一番風呂は冒険者さん達に】と。

 かくして猟兵達が遺跡から戻れば町の人全員から感謝と歓喜を告げられる。
 もはや町はお祭り状態だ。
 そんな時、猟兵達はある存在を町の人々に紹介する。
 それは【浄化の水精】と【癒しの舞手】だ。
 妖精姫の紹介と薬師のお婆さんの解説に奇妙な隣人は受け入れられる事になった。
 ティエルは笑顔で町長と舞手との握手(?)を見つめる、自分たちのしてきたことが実った瞬間。
 笑顔と幸せを一杯に生み出した瞬間を大切にするように。

 こうして猟兵達の仕事は終わった。
 最後に疲れた体を温泉で癒していると、町の人に受け入れられ喜んだ浄化の水精と癒しの舞手も感謝を伝える為に現れたのだ。
 もっとも彼らの感謝の表し方は一つだけなのだが。
 さぁ、猟兵達よひと先ずの休息とキミ達が掴んだ町の未来を楽しんでくれ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト