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明日咲う花をきみへ

#アルダワ魔法学園 #戦後

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#アルダワ魔法学園
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#戦後


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●贈るは未来のつぼみ
 ――魔王の討伐。
 創立から課せられてきた重責から解き放たれたばかりのアルダワ魔法学園に、春風のような歓喜の気配はまださわさわと細波を立てていた。
 永く恐れてきた脅威、それも特大のそれがひとつ潰えたのだから、素直に喜ぶべきことだ。けれど一方で、地下迷宮には未だ巣食うという災魔たちが気にかかるのも事実。
 いっそ全てを倒し、後顧の憂いを断ってしまえたら。そう考えるのは当然の成り行きだ。その末に、その未来を拓く力が自分たち魔法学校生にあるだろうか、未だ足りない、と思い悩むところまで。
 そして自然と、彼らは思い至る。
 『魔王』を倒した真の英雄、知恵と勇気と力を撚り合わせ、困難の果てに勝利を勝ち取った猟兵たち。
 彼らと災魔討伐の戦場を共にして、その戦い方に学べたなら、自分たちはきっともっと強くなれるはずだ。
 続く明日も一緒にいたいと『つぼみ』を贈ったひとと、並んで歩いていけるはずだ――と。

●『これからもきみと』歩むために
「皆様に『蕾の祝祭』へのお誘いが届いているのです!」
 くるりと巻かれた羊皮紙を広げ、ジナ・ラクスパー(空色・f13458)は羨望のまなざしを仲間たちへ贈った。
「アルダワ魔法学園には明確な卒業の季節や学年は定められていないそうですけれど、この祝祭は毎年この季節に生徒有志が主催する、歴史の古い舞踏会なのだそうです。大切な方にまだ咲いていない春の花のつぼみを一輪贈って、ダンスにお誘いするそうですよ」
 蕾とは、今日は未だ咲かない花、明日咲くかもしれない花だ。それを贈ることはすなわち、花咲く未来もきみと一緒に、と伝えること。
 明日も明後日もその次の日も、この蕾が咲いて、枯れる日も。蕾を飾って手を取ってくれたきみと、これからもずっと笑って過ごしたい。
 友達や家族、恋人や想い人へ。春兆す風が吹く頃、微笑ましい願いを伝えてくれる、華やかな非日常の一夜だ。
 ――そんな祝祭への誘いが何故、猟兵たちに舞い込んできたのかというと。
「魔王戦争で皆様が勝利を収めたことは、魔法学園の皆様にとってはつぼみを見つけたのと同じことなのです。今ごろ終わっていたかもしれない花咲く明日を、今日まで繋いでくれたのですから」
 だから戦争の英雄たちにこそ、だれかと続く日々の始まりを楽しんで欲しい。羊皮紙の手紙にはそんなことが書かれ、そしてもう一つ、舞踏会が終わった後には――と依頼の言葉が連ねられていた。
「大切な方と楽しく過ごした後で、地下迷宮の災魔討伐に力を貸して欲しいそうです。戦場での心の在り方や立ち回りを、ぜひ皆様と一緒に戦って学びたいと」
 温かなひとときに誰かとの明日を想えたら、その日々が続く道を自分で切り拓きたい。
 そんな生徒たちの望みはきっと、蕾とともに踊るひとときを過ごした後で、皆の胸にも燈るかもしれないから。
「まずは皆様、めいっぱい舞踏会を楽しんできてくださいませね! 正装でと書いてありますけれど、衣装の心配も不要なのです。学生の皆様に大人気の仕立て屋さんが、素敵なドレスを貸し出してくださるそうですから!」
 憧れに胸を膨らませ、ジナはグリモアに視た光景を、少しばかり物語がかった口調で語った。
 光の魔法で飾り付けられたアルダワ魔法学園のバンケットホールへ、背筋を伸ばして一歩踏み出せば、そこはめくるめく世界。
 金色の光の下、飾った蕾より一足早く花の装いを咲かせたら、大切な誰かの手を取って誇らしく游ぎ出るのだ。
 奏でられる音色も様々に、格式高い華やかなものから若者に好まれる軽やかなものまで。賑やかな円舞曲が流れたら、作法を知らないことを恥じる必要はない。手を繋いでぐるぐる回り、勢いに身を任せるばかりの無邪気な踊りもきっと楽しい筈だから。
 疲れた足を休ませにバルコニーや庭園へ出れば、夜風を染める柔らかな音色はそこまで漏れ届くだろう。ホールの片隅に設えられたバーカウンターでは、魔法の鍋やシェイカーが宙を躍り、軽食や飲み物を提供してくれる――。
 焦がれるような溜息で締め括り、きっと素敵なお土産話をお願いしますと笑って、さあ、とジナは皆を追い立てた。
「まずはお花からなのです! 皆様の大切などなたかにぴったりの、素敵なつぼみを見つけてきてくださいませね」

 いつかは笑い咲くその蕾を、だれかの手が受け取ってくれたなら。
 ――はじまりの夜が幕を開ける。


五月町
 五月町です。
 『これからもきみと』の願いを楽しんでいただけたら幸いです。
 お目に留まりましたらよろしくお願いします。

●1章:蕾の祝祭について
 冒頭部追加後はいつプレイングを送信いただいても大丈夫です。
 締め切りはマスターページでお報せしますので、お手数ですがご確認ください。

 アルダワ魔法学園の生徒たち主催の舞踏会。プロムのようなイメージですが、相手は気になる相手や恋人に限られません。友達や家族を誘っても、異性でも同性でも大丈夫です。
 『まだ訪れていない未来』の象徴である『まだ開いていない蕾』を一輪、相手に贈ることでダンスに誘うならわしです。贈られた人はお返しの蕾を贈り、お互いに身に着けて参加します。
 ご参加の方は予め蕾を贈り合ったことになります。お相手の方のお名前・IDと自分が贈られた花をご記載ください。花の名ではなく、ふんわり雰囲気や色指定でも構いません。
 当日は学生に人気の仕立て屋『ホーカス・ポーカス』が出張し、ドレスやタキシードの貸し出し・着付けまでを担ってくれます! ぜひ自分のお好みの正装でご参加ください。
 ※リプレイには蕾を贈るシーン及びドレス選びのシーンの描写はありません。
 ※衣装の装飾や形状は、検索で調べられるくらいの言葉でお願いします。

 舞踏会にはもちろん魔法学園の生徒たちもいます。参加者が楽しいひとときを過ごすことで、彼らは自然と2章以降に向ける気持ちをより強いものにしていきます。1章では彼らに触れる必要はありません。
 二名様でのご参加が基本となりますが、オープニングや冒頭部で語られた状況に適った行動をされていれば、それ以上のグループも描写します。迷子防止のため、合言葉かお名前・IDの記載をお願いします。
 また、プレイングの送信時間が朝8時半をまたいで分かれないよう、ご協力をお願いいたします。

●2章・冒険、3章:集団戦
 アルダワ魔法学園の生徒たちを率い、地下迷宮へと進みます。彼らを導き、明日を切り拓く姿勢を示してあげてください。
 詳細は冒頭部の追加をお待ちください。

 それでは、どなたにも素敵な夜を。
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第1章 日常 『はじまりの日にパーティーを』

POW   :    スペシャルメニューを楽しもう

SPD   :    とっておきの装いでダンスをしよう

WIZ   :    これからの楽しみを語らおう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●てのひら預けて
「……あっ、猟兵の皆さん!?」
「わあ、本当に来てくれたんだ……!」
 胸や髪、思い思いの場所に一輪の蕾を携え、大切なだれかの手を取って。目利き腕利きの仕立て屋の手になる、一夜限りの衣装を纏って。
 華やかに飾られたバンケットホールを訪れた猟兵たちを、同じように着飾った生徒たちは目を輝かせて出迎えた。
「ええと……今日はよろしくお願いします!」
「俺たち、教えて欲しいことが山ほどあって……!」
 強くなりたいのだと訴えるまなざしは、僅かな不安を湛えながらも希望と熱意に満ちていた。彼らが思い描き、守りたいと願う『これから』は、きっとその思いに相応しいものなのだろう。
 でも、まずは堅い挨拶はなしにして――と笑ってみせれば、そうでしたねと彼らもはにかんだ。
「猟兵の皆さんを歓迎します。――ようこそ、『蕾の祝祭』へ!」

 主催を名乗る生徒たちの案内で、燈代わりのあたたかな光の花がふわふわ漂うバンケットホールへ踏み入れる。
 中には少し背伸びをした少年少女たちや、とうに成年を迎えているだろう大人たちまで多くの生徒たちが集い、そわそわとその時を待っていた。
 人だかりができていたのは、自律する調理器具たちが忙しく行き来する大テーブル。思い思いに立食を楽しんでいるようだ。
 銀色の大皿に美しく盛り付けられた料理の数々に、甘いものに目がない学生たちのため、流行りのスイーツも豊富に用意されているという。
 宙を躍るシェイカーが用意してくれるドリンクは、踊り疲れて渇いた喉を潤してくれることだろう。
 成年に満たず酒を求めた少年には、飲み物の代わりにコツンと一撃が。入れ替わりにやってきたカラフェが、今日ぐらいいいだろうとぼやく少年のもとへ、カラフルなノンアルコールドリンクを置いていく。
 賑わいと美味しい匂いの傍らを通り過ぎ、広々としたダンスホールへ歩み出る。流れ来る穏やかな音色はどこからだろうと見渡すと――教師だろうか、指揮者がひとり。タクトの代わりに機嫌よく振る杖に、奏者不在の楽器たちが見事な音楽を紡ぎ上げている。
 待ちきれずに輪をつくり、くるくる踊り始めた少年たちを認めると、静かな曲調は足取りを弾ませる愉快な曲へ遷っていく。こんな曲をとリクエストがあれば、かの指揮者はきっとこうして叶えてくれることだろう。
 すっかり息を切らした少年たちがホールの中心を譲れば、続くは正統派のワルツ。それを合図に、游ぎ出す人々によって舞踏の夜は花開いていく。

 次々に紡ぎ変わる音色の中で、明日の花を共に見たいだれかと共に。穏やかに、賑やかに、朗らかに、不器用に――どんな色が咲き誇るかは、それぞれの手に委ねられたもの。
 その色が華やぐほどに、守るべき明日はきっと眩いものになるはずだから。
 ――今はただ心弾むまま、きみのてのひらに身を任せよう。
ファルシェ・ユヴェール
ネルウェザさん(f21838)と

贈られた白い撫子の蕾を胸に飾る
想いを告げた日の、思い出の花

白のタキシードを纏い、彼女に手を差し延べる
こういう華やかな場に馴染みのない彼女に気後れが見えれば
柔らかく微笑み
先ずは甘いもので緊張を解しましょうか

ノンアルドリンクで乾杯
大好きなスイーツの山を築く彼女の姿、愛らしさに思わず笑って

予知に奔走し、今はまだ殆ど外を知らぬ貴女
これから先
ずっと共に歩めたら
沢山の未来を繋げたら

ゆったりしたスローワルツが流れれば
一曲、踊って頂けますか?と誘う
踊れたと喜ぶ顔が見たくて
初めてでも大丈夫、私に合わせて……左、右、と
優しく支え、足運びを伝えながらリード
抱き止め、流石ですと微笑んで


ネルウェザ・イェルドット
ファルシェ君(f21045)と

贈られた純白のカトレアを胸に飾り
衣装は動き易そうな白のドレスを

舞踏会も踊りも知らないのだけど、と小声で囁く
気後れしつつも彼の微笑みと会場の甘味が目に入れば
緊張が解れ、つい皿の上にスイーツの山を築き
乾杯と同時に我に返る
ああ、ええと…食べ過ぎだろうか

やはり未だ私は何も知らないなと
己の無知と経験不足に嘆息しかけ
逆に考えよう
まだ彼と歩める世界が沢山あるのだと
沢山の未来を彼と繋いでいけるのだと

誘われれば勿論と頷くも
踊る…って、どうすれば
慣れない衣装にふらつきながら
彼の手を少し強く握り、声に耳を澄ませ
踊れたと嬉しそうに、誇らし気な笑顔を見せて
…気が緩み、思わず彼の胸へ



●明日はきみと知る
「……舞踏会も踊りも知らないのだけど」
 華やかな場に慣れたひとの耳に届くことを恐れるように、そろり呟いたネルウェザ・イェルドット(彼の娘・f21838)に、ファルシェ・ユヴェール(宝石商・f21045)は柔らかな笑みで白手袋の手を差し出した。
 会場の多くが魔法学園の生徒というだけはあり、付け焼き刃の作法を笑い合う朗らかな声も辺りに飛び交っている。それでも、と気後れするネルウェザをゆっくり光の中へ導いて、
「先ずは甘いもので緊張を解しましょうか」
 ほら、と青年の差し出す皿の上には、宝石のようなスイーツたち。生徒たちに人気だというそのどれをも数多く味わえるよう、一つ一つは小さくつくられたそれらを映すと、鮮やかな緑色のネルウェザの瞳はいっそう眩く輝いた。
 受け取った皿にあれもこれもと積み上げて――はたと、
「……ああ、ええと……食べ過ぎだろうか」
 きまり悪そうに見上げる眼差しも愛らしくて笑みが零れるのに、そんなことがある筈もない。可笑しげに首を振り、ファルシェは喉をからからにした客人たちの為に働き続けるシェイカーから、グラスを満たすふたつの甘露を受け取った。
「どうぞ。大丈夫ですよ、アルコールは入っていません」
「ああ……ありがとう」
 大人にはまだ遠い娘たちをも魅了するカクテルは、後をひく甘さと美しい彩りだけでも酔えそうだ。自分の瞳の色とよく似たそれを頭上の光に透かし見て、ネルウェザはその陰からこっそりとファルシェを眺める。
 知らぬものに出会うたび、自分は未だ、何も知らないと思う。場慣れした連れの佇まいを見るにつけ、経験が足りていないと溜息が零れそうになる。
 予知に奔走する日々に明け暮れて、ネルウェザはまだ殆ど外を知らない。揺れるカトレアの蕾と、ウエストにたっぷりとあしらったリボンやフリルが動き易くも愛らしい純白のドレス。非日常で身を飾るひとときも、きっと彼女にとっては目新しいものだ。
(「……だからこそ」)
 そんな彼女と、ずっと共に歩めたら。沢山の知らないことを、未来に繋いでいけたなら。密やかに胸に落とす想いに、ファルシェの微笑みはただ深まるだけ。そして、零れかけた吐息をきゅっと結んだ唇に留めたネルウェザも、
(「……違う、不足じゃない。逆に考えよう。まだ彼と歩める世界が沢山あるのだと」)
 これから咲く蕾も知らない未来も、ひらかれるときに傍らにあるのは彼がいい。ようやく微笑みを浮かべたとき、気が付いた。
「曲が変わったな……」
「――ネルウェザさん、一曲、踊って頂けますか?」
 ゆったりとしたワルツの音色に切欠に、紳士は恭しく淑女に乞う。ファルシェの正装は見慣れている筈なのに、白いタキシード姿の眩しさに思わず目を細める。自分が贈った白撫子が胸を飾るのも擽ったかった。
「勿論。でも、踊る……って、どうすれば」
「初めてでも大丈夫、私に合わせて……ほら。左、右、――簡単でしょう?」
 引き寄せられた耳元に落ちる声のまま、ただ必死に追いかける足に不慣れな衣装がふわふわとついてくる。踵の高い靴のお蔭で、地面が揺れるようだ。
 けれど、強く握れば支え返してくれる手に、澄ました耳から心まですんなりと落ちていく声に、体は次第に心地好く動き出す。
「……踊れた」
 湧き溢れる誇らしさが足を取ったのか、それとも背を押したのか。そのどちらでもなく、自分の意思で、ネルウェザはファルシェの胸に飛び込んだ。咲き待ちの可憐な花が微かに薫る。
「ええ。流石です」
 抱き留める腕も声も、どこまでも優しい。満ち足りた心の熱を糧として、明日の花はきっと誇らしげに咲うのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花筏・篝
【桜月】桜
アドリブ可


フィッシュテールの綺麗なドレス
背の高いヒール
全部慣れなくてバルコニーでひと休み


ルーチェさんはお友達といるから大丈夫
そう思っていたのに


申し訳なさ半分、見つかった嬉しさ半分

前にもこんなことがあった気がする。
"その時(前世)"の私は見つけて欲しくて隠れる子だった。

あなたはいつも見つけてくれた。
ルーチェさん、隠れんぼ得意ですか?
ふふ、そうですか

髪に私が贈った桜の蕾
いつか薄紫の花が咲く
私達にとって特別な色

彼女の温もりに心が安らぐ

初めてで不安だけど
ルーチェさんのエスコートがあるのなら

思いだした。見つけてくれるのも連れ出してくれるのも、いつもあなたでしたね。


ルーチェ・ムート
【桜月】勿忘草
アドリブ◎

彼女を誘った理由
未来を紡いでいきたい、今度こそ
そんな衝動

ミニ丈の白いワンピースのようなドレス
赤いヒールを鳴らす

あれ?居なくなってる
でも、わかるんだ
この先にきっと

ほら、見つけた

桜が薄紫に揺らぐ
時折、キミが別の人に見える不思議

隠れんぼはキミ限定で得意かも
こんな所に居たら冷えるよ

胸元にはボクが贈った蒼華の蕾
―――忘れないで
篝に向けてなのか
篝に被る誰かの影に向けてなのか
わからないけれど

繋いだ手を引き寄せて抱き締めたなら
ボクの温もりを伝え、咲ってダンスへ誘おう
初めてだから下手だけどね
軽やかなステップで

抱擁は別離の為にあるんじゃない
未来の為の道標
この温もりをどうか覚えていて



●遠い日の誰かから、明日の私までずっと
 煌めきの海をひらひらと泳ぐ魚の尾鰭が、気づけば視界から消えていた。
(「あれ? どこに……ああ、でも」)
 耳もとに挿した桜の枝には、いつか淡い紫に染まる蕾が一輪。それと赤いヒールだけを彩りとした純白の装い。裾からすらりと伸びるルーチェ・ムート(无色透鳴のラフォリア・f10134)の脚は、迷うことなく窓辺へ突き進む。丈の短いドレスの代わりに、長く裾ひく白い髪がふわりと戦いだ。
(「わかる。この先にきっと」)
 何故、という問いに論理的な答えはない。賑やかな人波をすり抜け、バルコニーへ続く両開きの木戸を押し開ける。
 夜影の中、ごく淡い勿忘草の彩りを贈ったひとがこちらを振り返った。長く裾ひくフィッシュテールをふわりと翻し、ルーチェを認め、目を瞠る。
「見つかってしまいました。……ふふ、ルーチェさんはお友達といるから大丈夫だと思っていたのに」
 申し訳なさに眉を下げても、拭いきれない嬉しさが花筏・篝(🌸・f24099)の胸を擽っていく。
「大丈夫じゃないよ、心配する。……少し疲れた? こんな所に居たら冷えるよ」
 そう叱ってくれるのが嬉しくて、姿を隠したことが前にもあった。思い起こす『いつか』は、『篝』で辿った道程とは交わらない日々だ。
(「その時の自分は、見つけて欲しくて隠れる子だったけれど……あなたはいつも見つけてくれた。何も変わらない」)
 微笑む篝をショールで包んでやりながら、ルーチェは瞬く。
 いつもはフードで、今日はヴェールで隠された満開の桜。夢のような薄紅と薄紫のはざまに色が揺らぐたび、輪郭が滲む。
 彼女が時折、違う色持つ別のひとに見えるのは――誰かの面影が透けるような気がするのはどうしてだろう。
 受け取ったショールを掻き合わせ、目を細めて篝は笑った。
「ありがとう。ねえ、ルーチェさん、隠れんぼ得意ですか?」
「隠れんぼ? そうだね。キミ限定で得意かも」
「ふふ、そうですか」
「……? おかしな篝」
 ふと落とした視線の先、篝の胸元に揺れる小さな花は、自分が贈ったものだ。ささやかで愛らしい花を結ぶ勿忘草の、蕾はいっそう慎ましい。それでも、
(「『忘れないで』、……か」)
 けなげに訴える花言葉を伝えたかった相手は、篝だろうか。それとも、彼女に被るあわい影なのだろうか。
 揺れ動く気持ちのいずれであってもいい。どちらの思いもこの体の持つものだと自分に言い聞かせるように、ルーチェはそっと篝の手を取って、そのまま強く抱き締めた。高いヒールの不慣れな足許を気遣いながら。
「……ルーチェさん?」
「ね、中で一曲踊ろう。こうしていても温かいけど、きっともっと温まる」
 初めてだから下手だけど、とはにかんで、弾む足で光の方へ連れてゆく。委ねる手にこんなに安らぐのに、拒む返事がある筈もない。
「私も初めてです。不安だけど、ルーチェさんのエスコートがあるのなら」
 返る微笑みに、またひとつ思い出す。遠いいつか、こうして連れ出してくれた掌も――、
「ねえ篝、この温もりをどうか覚えていて」
 ルーチェはきゅっとその手に力を込めた。
 未来を紡いでいきたい、今度こそ。そう胸裏に囁いただれかに急かされるまでもない。
 抱き合って手を引いて、一緒に咲った今日の温かさが、未来に花を結ぶその日もきっと――頷き微笑んだ彼女は、隣で変わらず綻んでいてくれるから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【華舞】

貰った蕾:朝顔
服装:赤紫のスーツ

舞踏会の経験は無いが、一通りのダンスはインストールしといたよ
とはいえ紳士的からは程遠い男だから…期待はしないでくれ
それで良ければ、どうぞお手を拝借

ま、仕事の一環だしな
ついでに付き合ってもいいかと思ってね…ちょっとしたサービスだよ
この後の闘いに備えて、体力を使い過ぎるんじゃないぜ?
…しかし、相手は俺で良かったわけ?
仲良い友達とかの方が、楽しめそうだけど…まぁいいか

(ラッパスイセンの花言葉は『尊敬』だ。だがもう一つ…『報われぬ恋』なんて花言葉もある)
(コイツにこの花を渡すのは酷だが…どうか未来では、俺の事はスッパリ諦めてくれ。俺はその気持ちには応えられない)


斬断・彩萌
【華舞】
貰った蕾:ラッパスイセン
服装:深い紫色のドレス。Winter Blessingを忘れずに

こういう処は苦手かしら?それともダンスはお得意?
音楽に合わせて華麗にステップ、あなたの手をとりくるくる回る
握られた手に温度は感じないけれど、私には何よりも暖かくて

少し疲れたらバルコニーで一休み
ねぇ今日はお誘いノってくれてありがとね
貴方にとっては何てことない一日かもしれないけど
私にとっては大切な思い出になるから
だめよ、今日のはヴぃっちゃんじゃないと意味がないの

(――朝顔の花言葉は愛情、固い絆…そしてはかない恋。まるで今の私みたいね、なぁんてちょっと自虐。ラッパスイセンの花言葉も、実は知ってるのよ)



●明日、散るとも知れない蕾でも
「こういう処は苦手かしら? それともダンスはお得意?」
 問う声に舞踏会の経験は無いと語りながら、一通りのダンスはインストールしておいた、なんて薄らと微笑んで。
「とはいえ紳士的からは程遠い男だから……期待はしないでくれ。それで良ければ、どうぞお手を拝借」
 ひとを選ぶ赤紫のスーツをさらりと着熟して、胸のポケットには白いチーフと、贈られた蕾――朝顔のひと蔦を覗かせて。白手袋の手を躊躇いもせず伸べて、何でもなく笑う。
 そうだ、彼は――ヴィクティム・ウィンターミュート(End of Winter・f01172)は、そういうひとだ。
 それをよく知っているから、斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は恥じらいも躊躇いもなくその手に手を預け、繋ぐ指先の下でくるくる回る。支える掌は彼のものでも、その手のあるところを踊る場所に選んだのは、ほかでもない自分だと胸を張って。
 ひんやりした手の、恐らく自分だけが感じている温もりを惜しみながら、彩萌はヴィクティムをバルコニーへ連れ出した。熱を帯びた体に心地好い夜気が、ふたいろで一つの大切なイヤリングと、夜に溶け込みそうな紫色のドレスの裾を揺らしていく。
「ねぇ、今日はお誘いノってくれてありがとね」
「ま、仕事の一環だしな」
 遠慮のない一言に小さく笑ってみせれば、相手も凪いだ笑みを見せはするけれど。
「ついでに付き合ってもいいかと思ってね……ちょっとしたサービスだよ。学生たちの士気昂揚にもなるって話だし。踊るのはいいけど、この後の闘いに備えて、体力を使い過ぎるんじゃないぜ?」
 容赦なく連ねる言葉には信頼こそあれ、甘やかさや熱は見えない。朝顔の蕾を贈った彩萌の思いを知ってか知らずか――いや、勿論知っているから、ヴィクティムは酷い男と思われようとする。とどめのような一言を贈る。
「……相手は俺で良かったわけ? 仲良い友達とかの方が、楽しめそうだけど……まぁいいか」
 彩萌の指が、くるくるの巻き髪に飾られた光のような花の蕾をそっとなぞるのを見ていた。ラッパスイセンの花言葉は、『尊敬』、そしてもう一つは、『報われぬ恋』――それを贈る意味は。
(「その花を渡すのが酷なのは分かってる。だが……どうか未来では、俺の事はスッパリ諦めてくれ。俺はその気持ちには応えられない」)
 その代わりに今この時、目を逸らさずにいる誠実。それもまたヴィクティムらしいと、彩萌は目を細める。
「だめよ。貴方にとっては何てことない一日かもしれないけど、私にとっては大切な思い出になるから。……今日のはヴぃっちゃんじゃないと意味がないの」
 掌に残る熱を奪いゆく風が、彼に贈った蕾を震わせていく。
 朝顔の花の語るものは『愛情』、『固い絆』――そして『儚い恋』。まるで今の自分だと眉を下げ、笑った。笑ってみせた。
(「……なぁんてちょっと自虐。ねえ、ヴぃっちゃん。私、ラッパスイセンの花言葉も、実は知ってるのよ」)
 ――それとも、知っていて欲しかった?
 ふたつの蕾は答えることなく、夜風に清かに揺れていた。花咲う日の在処はまだ、知れないままに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花染・あゆみ
・先輩(f13905)と参加です
・露出が控えめなドレス姿で、スズランは髪に
・アドリブ歓迎です

誘っておいて何ですが、とても賑やかですね
気後れしそうです…
先輩の傍に居れば、大丈夫でしょうか?

わたし、ダンスの経験が無いですが…
それでもよろしければ…お願いします

皆さん、ダンスが上手ですね…
えっと、先輩だけを…?
ふふ。分かりました、騎士様
今日は先輩も、格好良いと思います

何曲か踊りましたし、端で休憩しませんか?
あ、そうだ…
先輩、大学進学おめでとうございます
これからもお願いしますね
ノンアルコールドリンクを掲げて、乾杯しましょう?

何だかんだで、先輩と一緒にここまで来ましたね…
もうすっかり相棒って感じです


影杜・梢
あゆみ(f17667)と
八重桜

ドレスや燕尾服は、窮屈で苦手だからね
ポニーテールと適度に着崩したタキシード姿で、あゆみの手を取ってホールへ
あゆみ、そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。ボクもいるから

そうだ。せっかくだし、ダンスはどうだろうか?
お手をどうぞ、お姫様
大丈夫。ボクがリードするよ
ダンスはボクもちょっと体験したくらいだけれど、何とかなるさ

隅の方でゆったり踊ろう
あゆみ、もっと堂々としてよ
今日のキミはとびきり可愛らしいんだから
ボクだけを見てれば、緊張もしないだろ?

適当な所で一休みっと
そう、大学生だよ。ま、適当に頑張るさ
ああ。ボクらの未来に乾杯だ
相棒……か
そうだね。こんな日々がずっと続くと良いね



●明日、立つ場所が変わっても
 編み上げた髪に飾ったまだ窄んだままの鈴蘭の代わりに、ベルのようにふんわりまるく膨らんだ袖と裾。
 露出は控えめに、との注文を汲んでくれた仕立て屋たちに感謝しながら、花染・あゆみ(夜明けの星くず・f17667)はそろりとホールへ進み出て、
「……わあ、とても賑やかですね」
 思わず足を止めた。
 流れてくる優雅な音色、手を取り合い踊る生徒たちの装いの華。料理や飲み物を傍らに立ち止まる人たちも、賑やかに話の花を咲かせていて――なんだか、
(「気後れしそうです……」)
 つい床へ向かいかける視線を、八重桜の蕾を飾り高く括ったポニーテールが攫った。
 はっとして顔を上げれば、
「どう、似合う? ドレスや燕尾服は、窮屈で苦手だからね」
 線が細く華奢な体にぴったりのタキシードを品よく着崩し、影杜・梢(月下故蝶・f13905)はにっと笑いかける。
「あゆみ、そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。ボクもいるから」
 優しくもさっぱりした梢の気性に、男装の麗人はとても似合っている。こんな場所でも当たり前のようにあゆみの背を押して、きらきらと輝き増すホールの中心へ連れていく先輩はいつも通りの顔。――なんて頼もしいのだろう。
「そうですね……先輩の傍に居れば、大丈夫でしょうか」
「任せてよ。……ね、そうだ。せっかくだし、ダンスはどうだろうか?」
 踊る生徒たちの間へ流されゆきながら、お手をどうぞと瞑った片目にきょとんとして、指先をそろりと預けてはみたけれど、
「わたし、ダンスの経験が無いですが……」
「大丈夫。ボクがリードするよ。ボクもちょっと体験したくらいのものだし、何とかなるさ」
 周りだってほら、と言われて見渡せば、畏まった互いが可笑しくて今にも笑い崩れそうなふたり、つたない足取りでくるくる回るふたり――煌びやかな夜が別世界に思えるのは、自分だけではないと知れる。それでも、
「皆さん、ダンスが上手ですね……」
 初めてのあゆみには、そう見えてしまうのも仕方のないことだ。梢は小さく笑い、ステップを少しずつずらしていく。
 運ぶ足は輪の中心から隅の方へ――それなら、可愛い後輩もゆったり踊れるはず。
「ねえ、あゆみ。もっと堂々としてよ。今日のキミはとびきり可愛らしいんだから」
 どうしても大人っぽくはならなかったドレスも、髪に揺れる鈴蘭の蕾も、編んで纏めた髪も全部。他を気にする必要なんてないほどなのにと口を尖らせ、
「ボクだけを見てれば、緊張もしないだろ?」
 自信たっぷりにそう笑ってみせるものだから、つい笑ってしまう。
「えっと、先輩だけを……? ふふ。分かりました、騎士様」
 笑み咲けば、肩の力もふっと零れて。おどおどと進めていた足も少しだけ力を取り戻す。
「わたしだけじゃないですよ。今日は先輩も、格好良いと思います」
「ええ、それはいつもじゃなくて?」
 軽口を交わしながら何曲かを游ぎきり、少し休憩しませんか、とダンスの輪を外れてテーブルへ流れつくと、銀色のシェーカーたちがとろりとした飲み物をグラスに注いでくれる。
 甘い飲み物でひと休みのお供は、歩いてきたこれまでと歩いてゆくこれからの話だ。
「あ、そうだ……先輩、大学進学おめでとうございます」
「! そう、大学生だよ。ま、適当に頑張るさ」
「そんな何でもないことみたいに……せっかくですから、乾杯しましょう?」
 グラスを掲げて強請る後輩に、梢は目を細める。
 進学がささやかな日々の延長だとしても、続いていくことは当たり前ではない。病床にあった記憶もまだ遠くない梢は、それを知っている。
「ありがとう。じゃあ、ボクらの未来に乾杯だ」
 ノンアルコールカクテルのグラスをかちりとぶつけて、笑い合って――肩を並べて思い返す。
「何だかんだで、先輩と一緒にここまで来ましたね……もうすっかり相棒って感じです」
「相棒……か。そうだね」
 その先は言葉に結ばなくとも、分かり合えている。
 立つ場所が変わっても、こんな日がずっと続いていけばいい。蕾のほどける日の先までも、ずっと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マレーク・グランシャール
【神竜】篝(f20484)と

篝に返したのはピンク色の蓮の花
たくさん種子を付ける蓮の花に、たくさんの子と、たくさんの幸福を願って
彼女から貰った蓮の蕾は胸に挿してテールコートを飾ろう

女神として生まれた篝は恋を知っているのだろうか
俺の元に来なければ、他の誰かに恋をしていたかもしれない
だから今日は夫婦というより、恋人同士のつもりで彼女と踊ろう
髪に挿した蕾を見て、その恋の花が自分に向けて開かれることを希いながら

華やかな円舞曲に乗って踊り、踊り疲れたら何か飲もうか
そして表情に出すのは苦手な分、口でこう言うのだ

お前と一緒に過ごせて嬉しい
お前と一緒に踊るのは楽しい
お前と一緒に飲む酒は美味しい

お前が愛しい、と


照宮・篝
【神竜】まる(f09171)と
蕾:春の花には少し早いけれど、真白の蓮を
衣装:背中の空いた真紅のAラインドレス

このような装いは、慣れないのだけれど…
まる、おかしくはないか…?
どんな服でも篝は篝だとかはなしだぞ!
うう。いっそ、何も纏わない方がまだ恥ずかしくないのではないか。
何だか、まるを見るのも、見られるのも恥ずかしくて。

踊りは?食べ方は大丈夫か?
まるにとって、私はおかしくないか?
どんな私でもまるはきっと一緒にいてくれるし、私も死んだ後までも一緒にいようと
蓮にはその想いを込めていて…

恋は多分、した事が無いけれど
私もまるを愛しているぞ
まるを愛して、愛されている、わかっているとも
私はその為にここにいる



●人恋うこころを知る明日
 艶やかに磨き抜かれたホールの床へまっすぐ広がる、真紅の裾。透き通りそうに白い背筋を惜しまず晒す、大胆なデザインの鮮やかなドレスは、女神然とした照宮・篝(水鏡写しの泉照・f20484)の美貌をいっそう際立たせていた。
 見惚れる視線の雨から守るように傍らに立つマレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)は、鍛え上げた腕を当たり前のように彼女の背に回している。細い肩になだれる金の髪を緩くまとめた一点を、彼が贈った薄紅の蓮の蕾が彩っていた。
 多くの種子を結ぶその花に願うのは、多くの恵み――たくさんの子とたくさんの幸い。ふくよかな蕾と髪を撫でたマレークの指先に目を細め、篝は僅かに不安を残したまなざしを、男の胸を飾る真白の蓮から男の静かな瞳へ移した。
「このような装いは、慣れないのだけれど……まる、おかしくはないか……?」
「――、……ど」
「どんな服でも篝は篝だとかはなしだぞ!」
 告げようとしたそばから的確に遮られた。口を噤んだマレークから恥ずかしそうに身を逸らし、篝は両の手で薔薇色に染まった自分の頬を包み込む。
(「うう……いっそ、何も纏わない方がまだ恥ずかしくないのではないか」)
 うら若き乙女たちの流行りの装いに身を包むことにこそ、こうして恥じらいを見せるのは、超然の美を持つ女神ゆえの思考なのだろう。美しい、などと臆面もなく思っていそうな、それでいて頑なに色には表れない男のまなざしに、そんな自分の姿が映るそれだけで――篝の心は震えてしまう。
 美しい音の波に揺られ、ゆるりと並べ進める不慣れなワルツのステップや、銀の突き匙で恐る恐る口に運ぶ、神への供物と見紛うほどの豪奢な料理や。居慣れぬ舞台に身を置く自分のすべてが、
「私は、大丈夫か? まるにとって、私はおかしくないか?」
 隣に添い立つ彼を損なうものになっていはしないかと、自分が損なわれるよりももっと胸が痛いのだ。多弁とは言い難いマレークの視線が、いつどんな時も揺らがないことを、どんな自分とも一緒に居てくれることを知っていても。
 そして自分もそんな彼と――死んだ後までも一緒にいようと、贈る蕾に想いの丈を託したのだけれど。
 篝、と回された手が強く女神を引き寄せる。ゆるやかに確かに誘う足は、明日を思う笑い声の溢れるホールの中心へ、篝を連れていった。
「女神として生まれたお前は、恋を知っているのだろうか」
 ――こい。
 唐突な問いにきょとんと目を瞠る娘を、穏やかな足取りで流れに導きながら、マレークは思う。
 自分の元に来なければ、彼女は他の誰かに恋をしていたのかもしれない。そんな感情の機微を通り越して夫婦となってしまった今を、少しだけ惜しむ思いがある。だから今日は、
(「夫婦というより、恋人同士のつもりで踊ろう。いつかこの髪の恋の花が、自分に向けて開かれるように」)
 華やかさを増す円舞曲に傾けた篝への熱が、取り合う手から伝わっていけばいい。不安や慈愛や、あらゆる想いに揺れる篝の心、こんなにも慈しみ守るべきものを、守ってくれるものを、自分は他に知らない。
 そしてきっとこれからも、ただひとつ守り続けるのだから。
 想いは強くもかたちには見えない筈の自分の心を、こんなとき、篝は女神らしい聡さと優しさでそっと掬い上げる。
「恋は多分、した事が無いけれど……私もまるを愛しているぞ。まるを愛して、愛されている、わかっているとも」
 花開くように微笑んで、想いごと抱くように柔く腕を回して。照らすいのちをひとつに定め、自分はその為にここにいるのだと。だから、
「ああ。俺も……」
 熱の燈らない表情の代わりに、言葉で伝えよう。花綻ぶ未来を誓おう。
 お前と一緒に踊るのは楽しい。お前と一緒に飲む酒は美味しい。お前と一緒に過ごせて嬉しい――そう、何度でも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

戀鈴・イト
【硝華】リナリアの蕾

白を基調とした長めのドレスを着て
髪に赤を飾る
鏡に映るのは母と同じ女性の体
残念ながら男なのだけれど
苦味を転がし笑みに変える

シアンの正装
格好良くて顔が熱くなる
よく似合ってるよ、シアン

目を輝かせる君は子供のよう
可愛くて格好いいなんてずるい、最強だ
君と過ごすから、こんなに楽しい
料理も全部美味しい
これが幸せってものなんだね

流れるようなエスコート
練習って誰と?
合わせたステップにやきもち
え、誰?

僕も上手くなった?
一人で練習したから

君と少しでも長く共に
祝祭に願う
ところで、この蕾は何の花のもの?

送った蕾は、いつか小さな紫の花を咲かせる
(その意味は知らなくていい)
だから、僕も秘密


戀鈴・シアン
【硝華】

白基調のスーツに、蕾と同じ色のネクタイを
胸ポケットに蕾一輪
鏡の前に立ち、父のように襟を正す
イトはどんな衣装にしたんだろう

贈ったのは赤い赤いゼラニウムの蕾
色素の淡い彼の髪に赤が映える
うん、イトによく似合ってる

二人並んでバンケットホールへ
見たことのない料理がいっぱいある!
二人で分け合って、笑いあって
この先もきっと、こうやって幸せを分かちあっていける

イトと踊るのは二度目だよな
ワルツに合わせて、手をとり脚を運び
イトが踊りやすいよう、一番美しく咲けるよう
あれから少し練習したんだ、前よりマシになった?
誰とって、一人に決まってるだろ?

花の名は秘密
花言葉まで知られそうで気恥ずかしく
この蕾は何て名前?



●明日萌す花は秘密のまま
 水面にはらりと裾を浮かべるように、身にやわらかく添う白いレース地が揺れた。
 見下ろし確かめるシルエットも、通り過ぎる大窓に映る影も、母と同じ女性のそれでありながら、どんな因果であるのだろう―― 戀鈴・イト(硝子の戀華・f25394)はどうしようもなく男で。そのことを惜しむ心の苦みを笑みで甘やかに彩れば、少しだけ上手に自分を騙せた気になった。
「――……わあ、イト」
 そんな自分を真っ先に見つけたかたわれの戀鈴・シアン(硝子の想華・f25393)は、淡い髪に挿した鮮紅の花、彼の贈った美しい蕾に誇らしく綻んだ。それから儚く美しい純白の装いをなぞり、惜しみない賞賛のまなざしをくれる。
「どんな衣装にしたんだろうって気になってたんだ。うん、イトによく似合ってる」
「……ありがとう。シアンもよく似合ってるよ」
 白を基調としたスーツに、イトが贈った胸ポケットの淡いリナリアと、共布のように彩り揃えたタイ。きちんと正した襟が格好良くて、熱くなる頬を微かに俯け隠すつもりが、目が離せなくて困っているというのに、
「どうした? 早く行こう! ほら、見たことのない料理がいっぱいある!」
「――……、もう、子供みたいだ、シアン。可愛くて格好いいなんてずるい、最強だ」
「ええ? なんだよそれ」
 きらきらの瞳で料理の海を渡り、集めた料理を一皿に積み上げて。子どもじみた振る舞いを笑われて、褒められて、彼が見せる複雑な顔さえも――イトには眩しい。
 君と過ごすから、何もかもがこんなに楽しい。ふたりで分け合う料理も、ひとつ残らず美味しくなる。
 お腹も心も満ち足りたころ、流れ出すのは覚えのある軽やかなワルツ。これって――と、シアンは笑う。
「イトと前に踊った時の、だよな。なあ、もう一回踊ってみようぜ」
 指先掬うエスコートも、澱みなく流れに乗る足運びにも、いつかのつたなさが消えていて。首を傾げるイトににやりと、
「あれから少し練習したんだ、前よりマシになった?」
「え……何それ、練習って誰と? え、誰?」
 他の誰かと合わせたステップなんて悔しくて、胸がちりちり音を立てるよう。つい進む足に逆らって、手をぎゅっと握り返してしまうイトに、
「ちょ、ちょっと、なんだよイト! 誰とって、一人に決まってるだろ?」
 イトが踊りやすいよう、一番美しく咲けるようにと励んだのに――そう唇尖らせてみせたシアンは、ほっと零れた温かな吐息に笑う。
「イトも上手くなった?」
「そうかな? 一人で練習したから」
 少しでも長く、君の手を取って踊っていたかったから。心の奥にひっそりと燈らせた想いや願いを、イトは祝祭の席に預けた。明日咲く蕾に願うこれからか――、
「ところで、この蕾は何の花のもの?」
 不意に問うかけると、目の前の顔はそっぽを向く。
「え? ……秘密」
「なにそれ、ずるい」
「ずるくないだろ、別に」
 華やかなゼラニウムの告げる言葉は、今のシアンの気持ちそのままだけれど――そのままだから、伝えない。溢れた熱に照れてしまうから。
「……イトのこの蕾は何て名前?」
「わあ、自分だけ教えてもらえると思ったの? 僕も秘密」
 気づけばステップはめちゃくちゃで、じゃれあって笑って。紳士淑女の嗜みにはまだもう一息のふたりでも、
「ねえ、シアン。これが幸せってものなんだね」
「うん。この先もきっと、こうやって幸せを分かち合っていける」
 対であるように生まれ、作られた奇跡を笑い合える幸いに、ふたりはそっと額を合わせた。
 麗しの硝子の花に、守るべく創られた硝子の花瓶。寄り添い続ける明日の日は、終わりなど想わず互いを輝かせる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霄・花雫
灯くん(f00069)と
貰った蕾:花水木(花言葉は英語)

自前のフィッシュテールが目立つようラベンダーのミニ丈ドレス
ヒールだって履きこなしちゃう
楽しいな、キラキラしてる場所って大好き!

あ、灯くん灯くん踊ろっ!
引っ込みそうな彼を見つけたら、駆け寄って腕に抱き着いて、勢いよくダンスホールへ引っ張り出しちゃえ
こんな日に踊らないなんて勿体ないもん!
心底楽しそうに、満面の花咲く笑顔で尾鰭を翻して軽やかにリードを取っちゃう
今とーっても楽しい!

灯くんがペースを取り戻して来ると、それがまた楽しくて楽しくて
きゃらきゃらと笑う声は幸せいっぱい
だって大好きな君と大好きなダンスを踊るんだもの、楽しくないはずがないよね!


皐月・灯
【花雫(f00523)と】
蕾:白のアネモネ
衣装:襟開けシャツ+藍色ベスト着用

――舞踏会。場違いにもほどがあんだろーが。
最近こういうガラじゃねーの多くねーか、オレ。
……蕾も服も、選べっつーから選んだが、律儀に居るこたねーや。一足先に――。

……ああ、何でもねーよ。来るんじゃねーかと思ったって話だ。
あのな花雫、分かってんのか?
お前はダンサーが本職だろーが、オレはただの魔術師だぞ。
……はしゃぎまくってて聞いちゃいねー……。

しょーがねーな。
オレも体捌きにゃ覚えがある。……格闘術だけどな。
いつまでもコイツのペースってのも癪だし、合わせてやるとするか。

ったく……いいか、今回だけだからな!



●咲き乱れる明日を待たないで、今
 歩むたびひらひら躍るフィッシュテールは、まるでドレスの一部のよう。愛され慈しんで育てられた空泳ぐ熱帯魚は、今日はラベンダーのミニ丈ドレスと履きこなす高いヒールで、悠々とホールを游ぐ。
「楽しいな、キラキラしてる場所って大好き!」
 食べ物も、音楽も、踊る人もみんな。華やかに着飾って幸せを示しているのが嬉しくて、霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)は口許を綻ばせずにはいられない。
 ――そんな彼女とは裏腹に。
「舞踏会。――場違いにも程があんだろーが」
 賑わいの中にぼそり。皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)は溜息を吐いた。
(「最近こういうガラじゃねーの多くねーか、オレ」)
 選んだ――というより選ばされた装いは、シンプルな開襟シャツ藍色のベスト。胸ポケットには花雫に贈られた白いアネモネが慎ましく収まっている。
 いつもはフードの影に沈みがちなふたいろの瞳も、今日は余すことなく絢爛の光の下に曝け出されて――正直、眩しい。細めた目に映る世界も自分を引っ張ってきた少女も、やけにきらきら鮮やかだ。
(「律儀に居るこたねーや。一足先に――」)
「あ、灯くん灯くん踊ろっ!」
「……」
 そうは問屋が卸さなかった。まあ予測できていたことだ、来るんじゃねーかと思ってはいた。
「どうしたの? その服も似合うねっ、あっお花ありがとー! 花水木だよね、かわいい!」
「……言っとくが、蕾も服も選べっつーから選んだだけで――」
「あたしのアネモネも似合ってる! ねえねえ、早く踊ろうよ!」
 腕に抱きついた花雫の思いもよらない力と情熱で、あっという間にホールの中央に連れ出された。一片の翳りもない無邪気な笑顔に、抵抗する方が疲れそうだが、敢えて言っておく。
「……あのな花雫、分かってんのか? お前はダンサーが本職だろーが、オレはただの魔術師だ」
「うんうん! ほら手を貸して、こっちこっち! こんな日に踊らないなんて勿体ないもん!」
(「……はしゃぎまくってて聞いちゃいねー……」)
 そうだ、こいつはそういう奴だった。知ってはいた。彼にとっては縁遠くあるはずのこの賑やかしさに、永続を謳う蕾を贈ることになったのは偶然か皮肉か――それとも。
 強く引かれる手につんのめることもなかったのは、日頃鍛えた体術の賜物か。尾鰭を翻しくるくるひらひら、魅せることを知る体捌きで周囲を魅了する花雫は、こうすればこう躱すはず、ああすればこう動くはず、そんな直感で無意識に灯を踊らせている。――今は。
(「……それも面白くねーな」)
 そのつもりはなくとも端から見れば立派に踊っていて、それが花雫に踊らされているだけなんて。不意に胸に点いた火に、灯はしょーがねー、と地を蹴った。
「! わあ、灯くんの本気だー!」
「お前がうるせーから仕方なくだ。ったく、……いいか、今回だけだからな!」
 ダンスの手解きなど要らない、体捌きなら格闘術の延長で十分だ。躱すように打ち合うように、入り乱れては躍動する息の合ったふたりが周囲を魅了すれば、コンダクターはアグレッシブな楽曲で合わせにかかる。
 花雫はきゃらきゃらと、光放つような笑い声を響かせた。――たのしい。いま、しあわせでしかたない。
「ふふっ、でも、当然だよね」
「……ああ? 何か言ったか」
「ううん、今とーっても楽しい!」
 怪訝な顔ににっこりと笑い、ターンを決める。胸元を飾る蕾はまだ揺れるだけだけれど、その奥のこころはもう満開に咲いている。
「大好きな君と大好きなダンスを踊るんだもの、楽しくないはずがないよね!」
 ――咲き笑うひとときのはじまりは、明日まで待たない。いつだって今だって、きみの隣にはそれがあるから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラウン・メリー
リグリグ(f10093)と

贈られたスノーフレークの蕾は胸元に
クロスタイを付けた黒い燕尾服に白手袋

まじまじと姿を見つめて
……思わず見惚れちゃった!とっても似合ってる!
えへへ、ありがとう!

彼女に手を差し伸べて
お姫様、俺と一緒に踊ってもらえますか?
ふふ、どう?紳士っぽいかな
なんて戯けながら手を取り

作法はわからないけど目一杯楽しみたい!
音楽に身を委ねつつ、彼女を支える
わ、リグリグ上手!
くるりと咲く黄色いお花を見て
なんだかお花畑で踊ってるみたい!

本格的な踊りに切り替われば輪から抜けて
大丈夫?少し休憩しよっか

二人分の飲み物を取りに行き
手渡した後、彼女の手を取りバルコニーへ
きっともうすぐ咲くよ
うん、何度でも


リグ・アシュリーズ
「クラウ」ことクラウン(f03642)と

贈られた蕾は赤いベゴニア
纏うのは友達に貰った、ひまわりのように明るい黄色のドレス

あ、ありがとう……!
注がれる視線にたじろぎながら、裾をつまみ。
クラウだって似合ってるわ!
彼の目と差し出された手を交互に見つめ。
ええ。よろこんで!

マナーは知らずとも、楽しむ気持ちは十分に!
はじめは周りを見て、段々とリズムを掴んで。
でも、きっと上品になんてできない。
クラウ、見てて!
手を掴んでもらってシューズのつま先で立ち、
くるくるって何回も回って裾で花を咲かせるの!

手を引かれれば、バルコニーへ。
ね。皆のお花、いつ花開くかしら。
この先何があっても咲いてほしいわ!
何度でも、何度でも。



●明日の花畑
 夏の陽のように、ひまわりのように。ホールに光を放つような朗らかな黄色のドレスは、集まるものたちの目を惹いた。
「わあ、……思わず見惚れちゃった! リグリグ、とっても似合ってる!」
 いつもとは違うリグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)の装いに、まじまじと見つめたクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)の顔にも笑みが咲く。耳元に挿した真っ赤なベゴニアの蕾も、華やかなアクセントだ。
「あ、ありがとう……! 友達に貰ったお気に入りのドレスなの。ふふ、そんなに見られると恥ずかしいわ」
 素直で率直な彼のまなざしが、嬉しくも少し気恥ずかしくて。たじろいでしまうけれど、クラウンの装いを前にしたら、リグも見つめずにはいられない。
 クロスタイで印象を締めた、黒の燕尾服。その胸に可憐に揺れる、スノーフレークのちいさな蕾。
「クラウだって似合ってるわ!」
「えへへ、ありがとう! それじゃお姫様、俺と一緒に踊ってもらえますか?」
 恭しく差し出す手に、紳士っぽいかな、なんて笑みふくめる彼はいつもどおりで、リグは思わず吹き出してしまう。
「――ええ。よろこんで!」
 手を取り合ってホールへ進めば、折よく音色は楽しげに弾んでいて。ふたりは音楽に身を委ね、見よう見真似で踊り出す。
「……手はこう? わあ、なんだか難しい……!」
「ステップは、右、左……こんな感じかしら? ……あっ、ごめんなさい、逆だったわ!」
「だいじょうぶ! ふふっ、楽しいね、リグリグ!」
 対の動きは考えるほどはちゃめちゃで、ぶつかったり踏んだりする足にもつい笑ってしまう。そうするうちに少しずつ、流れもリズムも軽やかに、ふたりの体に染み込んでくる。
 きっといきなり上手にも、上品にもできないけれど――楽しむことなら!
「ねえクラウ、見てて!」
 クラウンの片手を支えに、つまさきからすっと伸ばした背筋。陽を目指す植物のように素直に立ち、リグはその場でくるくると回る、回る――、
「わ、リグリグ上手! なんだかお花畑で踊ってるみたい!」
 繰り返すターンにふわりと広がった裾は、あたたかな大輪の花を咲かせるよう。賛嘆は周りで踊る生徒たちのまなざしにも広がっていく。
「ああ、楽しかった! ねえリグリグ、大丈夫? 少し休憩しよっか」
 あんなに回ったから疲れたでしょ、とつま先立ちを真似てみるクラウンがおかしくて、リグは笑いながらその手を取った。次の楽曲は荘厳な響き――作法を知るひとたちにその場を譲って、ふたりはバルコニーへ抜け出していく。
「はい、リグリグ! 乾杯しよう!」
「ええ、ありがとうクラウ!」
 二層になった不思議なジュースのグラスをこつんと合わせ、華やかな室内をゆっくり眺める。大輪の花を咲かせたリグだったけれど、ホールを賑わしている生徒たちも猟兵たちも、もちろん隣に立つ友達も――明日咲く蕾を宿したひとり。
「どうかした?」
「ね、皆のお花、いつ花開くかしら」
 明日か、それとも明後日か。固い頑固な蕾なら、もしかしたら一週間?
 踊る中ですれ違ったたくさんの花たちが、順に咲き匂い彩る日々。そんな咲みの花畑を思い浮かべたなら、心は春の色に浮き立っていく
「この先、何があっても咲いてほしいわ!」
 何度でも、何度でも。華やかな希望に咲うリグに、クラウンもにっこりと綻んだ。
「うん、きっともうすぐ咲くよ。何度でも」
 贈り合った蕾がふたりの瞳を彩る。――それはいつか咲うときを望まれた、幸せな未来のいろだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディイ・ディー
🎲🌸
胸には志桜からの白いペチュニアの花を
黒の燕尾服を軽く着崩して
舞踏会で一曲踊った後に庭園へ

いやあ、大変だった
まさか志桜にあんなに足を踏まれるとは
俺がもっと上手くリードできたら良かったんだけどな
大丈夫、怒ってないぜ
慌てた顔も恥ずかしそうな今の顔も好きだ

夜風が届ける音色を聴いてふと思い立ち、手を差し伸べる
志桜、もう一曲付き合ってくれないか

次は互いにちゃんと踊れるように練習しよう
なんて誘いはただの口実
本当はもう少し志桜と手を繋いでいたい
此処なら誰もいない、ふたりきりだから
間違えたって笑いあえる

明日も隣で微笑みの花が咲くのを見ていたい
これからもきみと歩みたい
言葉にはしないが、想いはきっと一緒だろ


荻原・志桜
🎲🌸
贈られた赤いラナンキュラスを髪に飾り
オフショルダーロングドレス。常なら桜色だけど今日は青色
彼を連想させる彩。なんだか恥ずかしさが増すけど我慢

うう、ホントにごめん…!
ダンスって初めてだったし、難しいとは思ってたんだけど
あ!ディイくんのリードは問題なかったよ、
ただ自分があんなにも下手だとは思わなかった…
羞恥と申し訳ない気持ちで顔が上げ辛い

もう一曲? でもその、
彼の手を取ろうとするけど失敗を思い出し躊躇ってしまう
…そうだね。何事も練習あるのみ!
自分の手を彼の掌に重ねてドレスの裾をふわり揺らす

あたたかな温度と笑う彼が傍にいる
それがこんなにも幸せで
これからもずっとふたり笑う日々が続くように希う



●咲み並ぶ明日をきみと
 ダンスホールにひらひらと躍るは、まるく赤いラナンキュラスの蕾を挿した桜の髪。
 普段ならあまり見かけることのない、冴えた青色のドレスを纏ったその姿は、穏やかに流れる曲のさなかに幾度となく――不自然に跳ねていた。
 白いペチュニアの花蕾を胸に、燕尾服を着崩した相手の青年が、その度に僅かに顔を背けて笑う。桜色に染まった顔に慌てきった言葉を向けられて、彼は何事もなかったような足運びで、少女をなだらかなダンスの流れの中に連れ戻す――。
 それを何度か繰り返した後。次の曲との繋ぎ目を潜って出たバルコニーで、顛末は当人たちの語るところとなっていた。
「いやあ、大変だった。まさか志桜にあんなに足を踏まれるとは」
「うう、ほんとにゴメン……! ダンスって初めてだったし、難しいとは思ってたんだけど」
 手摺りに身を預け、にやりと笑ったディイ・ディー(Six Sides・f21861)の胸で、白いペチュニアの蕾が笑みを映して揺れていた。ひやりとする夜風にも関わらず熱をもったままの頬で、わたわたと謝る荻原・志桜(桜の魔女見習い・f01141)にいや、とまた笑みを深める。
「俺がもっと上手くリードできたら良かったんだけどな」
「あ! ディイくんのリードは問題なかったよ! ただ……」
 自分があんなにも下手だと思わなかった――と、オフショルダーの肩が小さくなる。彼女としては珍しい、彼の瞳を思わせる色を纏った姿を見下ろして、ディイは吐息で柔く笑った。
「大丈夫、怒ってないぜ。慌てた顔も、恥ずかしそうな今の顔も好きだ」
「ええっ……もう、ディイくん!」
 ますます赤く染まった顔はただ可愛いだけ。叩くふりの手が止めようとしても、これではもっと言いたくなるばかり。
 外まで風が運んできた音色に、ディイは志桜の手を受け止め、瞳を覗き込んだ。
「志桜、もう一曲付き合ってくれないか」
「もう一曲? でもその、」
「次は互いにちゃんと踊れるように、練習しよう」
 また下がってしまうまなざしが、何度も踏んでしまった彼の足を見つめる前に。そう連ねれば、前向きな志桜のこと、すぐに花咲くような笑顔と元気を取り戻す。
「……そっか、そうだね。何事も練習あるのみ!」
 つまんだドレスの裾をふわり広げて、瀟洒な一礼。ふたりだけのバルコニーでゆっくりと、確かめるようなステップを導きながら、ディイは預かった手に微かに力を込めた。
 練習なんて、自分には口実だ。本当はもう少し、彼女と手を繋いでいたかっただけ。
 誰の目も気にすることないこの一角で、上手くいっても間違っても構わない。ただふたりだけで笑っていたかっただけなのだ。
「……少しは上手くなったかな?」
「ああ、たぶんな」
「たぶんって!」
 ディイくん! と諫める先から咲ってしまう志桜の声。あたたかなてのひらの熱と笑う自分を、さいわいと感じてくれていることがわかるから、
(「――それ以上は言わなくていい。きっと一緒だろ」)
 曲が終わっても、その手は離さなかった。少し驚いて、はにかむ志桜の顔を見ても。
 明日も隣で、微笑みの花が咲くのを見ていたい。これからもきみと歩みたい――。
 そんな願いに今はただ、ふたり笑みを深めるだけで充分だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

水無瀬・香唄
【遠理】
アドリブ◎

揃いの指輪を左手薬指に
優歌ちゃん:依存・護衛対象で歪愛
蕾貰って驚いてた

服装:コルセット、燕尾服
贈られた花:紫のクロッカス

褒めて頂き有難う御座います
優歌ちゃんこそよくお似合いですよ
本当に

僕もダンスはどちらかといえば不得手でして
ですが
貴女からの誘いを断る筈ないでしょう(握る手が力み
一曲と言わず
何度でも
(貴女の相手が務まるのは
僕だけでいい
僕がいい)

音楽に合わせ野生の勘でリード
表情は楽しげで幸せ

(嗚呼、このまま時が止まればいいのに)

気遣わせてしまいましたね
優歌ちゃんは大丈夫ですか?
っ…僕の翼は、綺麗とは程遠いです
でも優歌ちゃんと同じなら(髪飾りに軽く触れすぐ手離す
少しはそう思えます


雛瑠璃・優歌
【遠理】
(お揃いの指輪を右手中指に、守り石のペンダントを首に。相手の想いは露も知らぬ無邪気)
贈られた花:青色。花言葉が愛関連でお任せ
服装:空色からサファイアにグラデーションしたドレスとボレロ、白い羽根の髪飾り

「うん、香唄格好良いよ。思った通りっ」
あたしはちゃんとした社交ダンスは知らなくて
だからごっこ遊びみたいなものでも構わない
大切な人と蕾を贈り合って踊る…それならあたしは香唄とがいいと思ったの
「だから、あたしと踊ってください」

「楽しいね、香唄」
勿論疲れたらちゃんと休むよ
香唄は我慢強いし誘導してあげないと
「あ、この髪飾りはあたしが選んだんだ。色は違うけど、香唄とお揃い」
香唄の翼は本当に綺麗だから



●明日の日も、僕だけを
「――うん、香唄、格好良いよ。思った通りっ」
 浮き立つ雛瑠璃・優歌(スタァの原石・f24149)の声、綻ぶまなざしは、世界中の誰から贈られる賛辞より水無瀬・香唄(がらんどう・f24171)の心を舞い上がらせる。
 コルセットの上にぴしりと着込んだ燕尾服、胸のポケットには彼女に贈られた紫のクロッカス。まだ綻ぶときを知らない蕾を愛おしそうに見つめた瞳は、ドレス姿の優歌を熱っぽく見つめ返す。
「褒めて頂き、有難う御座います。優歌ちゃんこそ、よくお似合いですよ。――本当に」
 いつもと変わりなく胸元に収まる、護り石のペンダント。空色から青玉へ、美しいグラデーションを奏でるドレスにボレロを纏い、白い羽の髪飾りの根本には、香唄が贈った蕾がころころと揺れている。
「そう? ありがとう。この花も可愛いね」
 香唄は目を細めた。ブルーサルビアの語る言葉は『永遠にあなたのもの』――受け取った優歌の驚いた顔を反芻する。きっと一生忘れないだろう。
 あのね、と誘いの口を開いたのは、優歌が先だった。
「あたしはちゃんとした社交ダンスは知らなくて、だからごっこ遊びのようなものでも構わない。でも、大切な人と蕾を贈り合って踊る……それなら、香唄がいいと思ったの」
 ――だから、あたしと踊ってください。
 無垢な言葉が自分と同じ思いには染まっていないことを、香唄は知っている。嬉しくて嬉しくて仕方がない言葉も、自分のような熱情に支配されてはいない。分かっている。
 けれど、それは、『まだ今は』。
「僕もダンスはどちらかといえば不得手でして……ですが、貴女からの誘いを断る筈ないでしょう」
 彼女の相手が務まるのは、これからもずっと自分だけでいい――自分がいい。自分を拾い、今を生きる名をくれた大切な優歌。
 その右の手を握りしめた香唄の左手の中で、揃いの指輪がかちりと音を立てた。籠もる力に痛いよ、とくすくす笑みが返る。すみませんと微笑んで、ふたりはそのままホールへ進み出た。
 頼りにするのは、獣の耳に良く届く音色と野生の勘。それでもなんとか、上手にリードできているようだ。
 楽しいね、と笑う優歌が腕の中にいる。それだけで心は弾み、幸福に満ちる。
(「嗚呼、このまま時が止まればいいのに――」)
 香唄、と呼ばれてはっと我に返る。見透かされてしまっただろうかと案ずる青年に、
「少し疲れたみたい。香唄もでしょ? ちょっと休もう」
 瞬く香唄に、すぐ我慢するんだから、と澄んだまなざしが言っていた。
「――気を遣わせてしまいましたね」
 気遣うべきは従者たる自分の方だったのに、と自身を戒める青年にううんと笑って、それよりみて、と髪を示す。
「この髪飾りはあたしが選んだんだ。色は違うけど、香唄とお揃い」
 香唄の翼は、本当に綺麗だからと微笑んだ少女に、
「――っ、それは」
 触れようとした香唄の指は思わず軋んだ。自分を掬い上げてくれた少女を彩る翼と違って、自分のそれは綺麗とは程遠いもの。賞賛には値しないもの。けれど、
「……優歌ちゃんと同じなら」
 貴女がそう言ってくれるなら、少しはそう思えるのだと。
 不思議そうに首を傾げる優歌に、香唄は淡く目を細めてみせた。ほんの一瞬、その白い羽を指先になぞって。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・ゆず
ジュリアさん/f17335
あげた蕾は
胸元のポケットではなく、髪に挿しましょう
ふふ、お似合いです

制服のままで良いと言ったのに…
あれよあれよと着付けさせられ、濃紺の膝丈Aラインドレスに
星のようなビジューはとても素敵ですが
は、恥ずかしいです
腰や腕に付けていた銃は流石に外します
…脇に吊ったコルトポケットだけはそのままに
頂いたネモフィラの蕾を胸に刺し
…瘦せぎすのみすぼらしいこと

緊張しながら手を引かれ、見様見真似でダンス
綺麗なのは、ドレスです!
バルコニーへエスコートされて、ドリンク片手にお喋り
そう、ですね。誰かと出掛けることもありませんでしたし
お誘いありがとうございます
目を合わせるのは恥ずかしいので伏せて


ジュリア・ホワイト
御園・ゆず(f19168)さんを誘い参加
贈られた蕾:ベルフラワーを髪に飾って

ご要望もあった事だし、ピシッと黒タキシードを着込んで行こうじゃないか
「とはいえ、余り緊張しなくても大丈夫さ。実のところ、社交ダンスなんて心得が無いものでね」
女子力が壊滅してる系ヒーロー?さて何のことやら
紳士の心得としてドレス姿を褒めるのも忘れずに

ややぎこちない動きで踊ったり(さも当然のごとく男側)
バルコニーでお話できたら良いかな
「ゆずさんはこういう場所は余り慣れていない?ならここは欲張らず、空気を楽しむ位に留めておくのが吉、かな。料理だけでも美味しいしね」
「ボクこそ、お付き合い感謝だよ。キミの事を知れて良かったとも」



●明日はもっときみを知る
 手を伸ばせばこちらへ屈んでみせるジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)の髪に、ベルフラワーの蕾のひと枝をそっと添えて、御園・ゆず(群像劇・f19168)は満足げに綻んだ。
「ふふ、お似合いです」
 ゆずの要望に応え、ぴしっと決めた黒タキシードに、いっそう際立つ薄青い髪と色白の肌。その装いに、青い蕾はよく映えていた。
 一方のゆずは、
「……制服のままで良いと言ったのに、それでは駄目だと」
 情けなさそうに見下ろした濃紺、なだらかなラインを膝まで結ぶショートドレス。なめらかな生地に鏤められたビジューは星の海のようで、眺める分にはとても心豊かな気分になれるけれど――着ているのが自分だと思うと、自己肯定感の低いゆずは少々居たたまれない。愛用の銃の重みが腰や腕にないことも、なんとも心許ない心地がする。
(「いただいたネモフィラも……痩せぎすのみすぼらしいこと」)
 大窓に映る華奢な我が身に飾られた蕾を、慰めるように指先で撫でる。
(「……は、恥ずかしいです」)
 そんな心地でいるのもいざ知らず――いや、知ってのことか、
「ふふ、ゆずさんが追い出されなくてよかったよ。ボクひとりで過ごさなきゃいけないところだった!」
 ふふっと笑って、ジュリアは当然のように淑女をダンスホールへエスコートする。
 手足に伝う緊張は、なんとか気持ちで押さえつけた。周囲をきょろきょろ観察し、見よう見まねの足運びの彼女に、
「余り緊張しなくても大丈夫さ。実のところ、社交ダンスなんて心得が無いものでね」
 ――女子力が壊滅してる系ヒーローだって? さて何のことやら!
 ジュリアはからりと笑って開き直ったもの。堂々とした振る舞いのおかげか、初心者の拙さが目立たない彼女になるほど、と頷くゆず。
「でも、踊っているとドレス姿の美しさが映えるね。ネモフィラもよく似合っているし、綺麗だよ」
「……! 綺麗なのは、ドレスです!」
 ジュリアにとっては単なる紳士――と振る舞う女性だが――の心得、他意のない言葉だとしても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
 勢いよく切り返すと、至近距離で視線が重なった。慌てて目を逸らす。――恥ずかしがり屋のゆずには、ダンスの距離はそもそも近すぎるのだ。
「そうか、ゆずさんはこういう場所は余り慣れていない? ならここは欲張らず、空気を楽しむ位に留めておくのが吉、かな」
 料理だけでも美味しいし――とバルコニーに連れ出して、差し出すグラス。戸惑いながら受け取ったゆずは、そうですね、と小さく頷いた。
「これまで、誰かと出かけることもありませんでしたし……。お誘い、ありがとうございます」
 視線を重ねるのはやはり恥ずかしくて、逸らしたままおずおずと告げたお礼の言葉。それでも、そんなことなど気にしないジュリアの笑顔が、明日を待たずに目の前で咲いている。
 ――視界の端になんとか映り込んでいるだけで、直視なんてとてもできないけれど。
「ボクこそ、お付き合い感謝だよ。キミのことが知れてよかったとも!」
 明日はもっと、友達のことを知れるはず。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティル・レーヴェ
故殿(f19541)と
蕾:コデマリ

『デビュタントを迎える初めてのドレス』
そんなイメージを込めて
彼が嘗て作ってくれた
置き型サシェに似た物を纏いたくて

柔らかな紗のドレスはペパーミントの彩り
胸には白薔薇の代わりに
彼から貰った白蕾で飾る

如何じゃろう?
纏う姿は
其方のイメージに添うておるかえ?

綺麗と言われれば
その響きが面映くて
擽ったい気持ちを隠す様に
凛と前見て手を預け

此れが妾のデビュタント
エスコートは任せるぞ

ダンスの自信は……まぁ、無いが
舞う足が軽やかなのは
彼のリードが上手いから
嬉しい気持ちを言葉に乗せて

其方の衣装、似合っておるよ
踊る姿もまた格好いい
と囁いて

あゝ楽しい
翼使わずとも飛べそうな程!
のぅ、故殿?


逢月・故
ティルちゃん(f07995)と
貰った蕾:ベルフラワー

誘ったのはオレから
春風と若草の似合う彼女が少しだけ大人に向かう日に、オレがエスコートするなんて最高じゃない?なぁんて

暗色のドレススーツに、鮮やかなマンダリンオレンジのタイをして
彼女の淡色を引き立てるように
花を引き立てるのはオレの役目。でしょ?

ん。やっぱり良く似合ってる
かわいい、より、そうだねえ、こういう日は……綺麗だよ、ティルちゃん

さあ、お手をどうぞリトルレディ
小さな手を取ったらダンスホールへ
人の隙間を縫うように、慣れた様子でリードして踊るよ
オレの国はパーティーもお茶会も日常だからね!

ふふ、もっちろん!
君が楽しんでくれればオレも楽しいよ!



●明日はすこし大人なきみと
 思い描いたのは、いつかの日の贈り物。
 薔薇の香りの置き型サシェに込められたイメージは、『デビュタントを迎える初めてのドレス』。それに似たものを纏いたくて、ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)が選び取ったのは、ペパーミントグリーンの紗のドレス。
 薄くかろやかな生地をひらひら重ねた胸元に飾った、愛らしい蕾の一群れは真白のコデマリ。揺れる小さな蕾たちを、一輪の白薔薇の代わりとして。
 藤色の瞳を輝かせ、少女はくるりと裾を戦がせ笑ってみせる。
「如何じゃろう? 纏う姿は、其方のイメージに合っておるかえ?」
 自分の見立てた贈り物を準えたのだと分からぬ鈍い目も心も、時計ウサギは持ち合わせていない。逢月・故(ひとりぼっちのワンダーランド・f19541)は満足そうに頷いて、裾にとったフリルが揺れるドレススーツの長身を、少女の傍らに添い立たせ、
「――ん。やっぱりよく似合ってる」
 満足げな笑みで頷いた。
 どんな新たな風景も、凜と映して相対する大人びたまなざしのティル。春風と若草の似合う彼女が少しだけ大人に向かう日を、自分がエスコートできるなんて最高だ――。
 だから今宵纏うのは、淡く優しい少女の装いを引き立てる、しんと落ち着いた暗色。マンダリンオレンジのタイと、贈られたベルフラワーの蕾の彩りだけは華やかに。
「かわいい、より、そうだねえ、こういう日は……綺麗だよ、ティルちゃん」
 輝かしい日に歩み出るきみに、相応しい言の葉を。長身を屈めて覗き込む青いひとみに、
「ふふ、なんとも面映ゆい響きじゃの」
 擽ったさを隠すように肩を震わせ、凛と前へ向かったティルのまなざしは、光溢れるホールへと。
「さあ、お手をどうぞリトルレディ」
 小さな手を故の掌に委ねたならば――さあ、
「此れが妾のデビュタント。エスコートは任せるぞ」
 胸を張って、背筋を伸ばして――煌びやかな世界への最初の一歩!
 華やかに装った人の溢れるダンスホールを、ふたりはひらひら、隙間をすり抜け躱すように越えていく。つっかえる足もなく、誰かとぶつかる直前でくるり鮮やかに進路を変える、楽しい道行き。
「流石のリードじゃ故殿。慣れておるの」
「それはもう。オレの国はパーティーもお茶会も日常だからね!」
 お手のものだと笑う故が、ダンスの自信のない足を軽やかに舞わせてくれる。スマートなリードを惜しまず讃え、囁きをひとつ。
「其方の衣装、似合っておるよ。踊る姿もまた格好いい」
「おや、小さな淑女にお褒めいただくなんて光栄だ!」
 新しい世界へ踏み出す楽しさも、きみに手を引かれる嬉しさも――弾む心を見えないままになどしていられない。上気する頬で、まなざしで、語る言葉と花咲く笑顔で伝えずには!
「あゝ楽しい! ――翼使わずとも飛べそうな程! のぅ、故殿?」
「ふふ、もっちろん!」
 心も足も羽が生えたよう。ふわり爪先が浮かんだ瞬間、
「わあ……!? ……ふふっ、故殿!」
「きみが楽しんでくれれば、オレも楽しい!」
 高く抱き上げられたからだが宙を踊る。見合わせた顔に、ふたつの笑みが並び咲く。
 次の舞台へ踏み出す足は、きっと今日より軽やかだ。今はまだ少女のようにも、今日の日に仲間入りした淑女のようにも――綻びはじめのこのときを、朗らかに手を引いてくれる彼とともに、踊り続けよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
ヴォルフ(f09192)と

贈った花は
メコノプシス

いつも新しい世界を、景色を
俺に教えてくれて
手を差し伸べてくれるから
鮮やかに、毎日が彩るんだ
……ね、ヴォルフ
ゆっくり少しずつ時間を重ねていこう
きみとなら永い時もあっという間に感じてしまうから

白とグレーのタキシードで
すっきり纏めた正装を
差し伸べられた手は迷わず取って

…もう。格好良いんだから
……此方こそ、御相手下さいますか?
たいせつなひと、

久しぶりに踊るワルツは
多少拙くはあったかもしれないけれど、くるくると音楽に合わせれば
胸が高鳴ってなんて楽しいんだろう
手を引いて翻弄し翻弄されて
きみとなら十二の時の鐘なんて
関係ない

この幸せが続くようにと
今はただそれだけ


ヴォルフガング・ディーツェ
千鶴(f00683)と

贈った花はプリムラ・マラコイデス
…俺の時間は止まった儘だった
それを動かしたのは――変えたいと思ったのは君に出会ってからだ
俺は俺を未だ怪物としか思えないけれど――君となら変えられる気がするんだ

ありったけの気持ちを込めて、仕立て屋さんにお願いしたとびきりのタキシードにベストを合わせた正装で君に手を差し伸べたい
…踊ってくれますか、大事な人

刻むステップは流れる音楽に見様見真似、けれど楽しい気持ちは本物
振り回して、時に振り回されて
そんな時間もとても愛おしくて――童話のお姫様や王子が抱いた気持ちは、こんな感じだったのだろうか

疲れたら魔法のシェイカーを楽しみに
夜は未だ始まったばかりだ



●動き始める明日
 止まったまま、それで良かった時間を動かしてくれたのは――動かしたいと思わされたのは、プリムラ・マラコイデスの蕾を贈った彼と出会ってからだった。
 添い立つ姿が彼に適うように、好ましく思って貰えるように、誠実な想いが伝わるように――怪物としか思えない自分を、一緒にいれば変えられると思わせた彼へ。
 ありったけの思いを語る一着を、と仕立屋たちに伝えて選んだヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)の装いは、きっちりと身に添うタキシードとベスト。ホールの絢爛の光の中へ、明日をともにと望む人の姿を探して歩み出る。
 その胸に揺れるメコノプシスに、ひとたび瞠った目をたちまち綻ばせ、探しびと――宵鍔・千鶴(nyx・f00683)は白とグレーのタキシードにきっちりと包んだ腕を伸ばした。差し出されたヴォルフガングの手に、言葉を口にするより早く掌を預ける。
 ――こうしていつも、新しい景色への入り口に立っては手を差し伸べ、導いてくれる。今纏う正装にも似た色の毎日を、いつだって鮮やかな彩りで染めてくれるから、
「……ね、ヴォルフ。ゆっくり少しずつ時間を重ねていこう」
 二人でいれば、時はいつだってあっという間に過ぎてしまうから。惜しむように、大切に過ごしていこう。そう微笑む千鶴に頷いて、ヴォルフガングは恭しく例を取る。
「……踊ってくれますか、大事な人」
「……もう、格好良いんだから。此方こそ、御相手下さいますか? ――たいせつなひと」
 はにかむ笑みで応えた人を、目眩く光の中へ連れていく。見様見真似のリードが走り過ぎないように、千鶴が久し振りのワルツを思い出しながらこっそり、巧みに誘導していることは秘密だ。
 それでも、互いに多少拙いステップでも構いはしない。くるくると音楽に合わせ、翻弄し翻弄されて――胸の高鳴りはただ心地好く、楽しいばかりで。
「……童話の姫や王子が抱いた気持ちは、こんな感じだったのだろうか」
「ふふ、そうかもね。きみとなら十二時の鐘なんて関係ないけれど」
 閉じればお終いの物語ではなく、これは間違いなく明日へ続く現実だ。――けれど、この夜はまだ明日には少し遠いから、
「次の曲まで一休みしようか。魔法のシェイカーが楽しみだ」
「うん、少し喉も渇いたし」
 共に在れる、すべての時を大切にしようとふたりは誓う。――取り合った手は離さぬままに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ドゥルジー
【邪蛸】
シャンパン風のノンアルドリンクを飲みながら呟く
故郷…アリラビ以外でも食器が動いたりするんだなあ、と
あっちじゃそう珍しくもねえ光景だったけど
違う世界で見るのはなんか新鮮

パウルに送った蕾はその名も「パウル・クレー」
ピンクオレンジのバラを彼に
俺はパウルに貰った花をプレーンなタキシードの胸元に差す
ほんとだな、ちっちゃいパウルみてえだ
パウルに言われたい言葉が眠っているとは知らず無邪気に笑う

今日ばかりは化粧落として髪も束ねた紳士然とした出で立ち
美味しそうな料理も気になるとこだけど
折角なら、とパウルの側に跪いて手を差し伸べる
――踊ってくれませんか、俺の王子様
恭しく言った後、ニヤリといつもの調子で笑う


パウル・ブラフマン
【邪蛸】
星色弾ける魔法のシャンパン風ドリンクで乾杯~☆
興味津々な様子で周囲を見渡す
オレの可愛いダーリンの様子にほっこり。

美丈夫たるジャスパーへ贈ったのは
その瞳の色を想わせる錨草の蕾。
ちょっとタコみたいで可愛いでしょう?
熾烈な花言葉を覆い隠してキミの胸元へ。

紫紺の3ピースは
ジャスパーと一緒に『ホーカス・ポーカス』に依頼したモノ。
愛しい指先に触れ、同じく屈んで。
歓んで、オレの王子さまっ♪

手を繋いで躍り出るダンスホール。
優美に、けれどいつもの
朗らかな笑みも絶やさずにエスコート。
くるりとターンすれば
仕立て屋さんが開けてくれたホールから覗く触手が
バラの『パウル』に負けじと
花弁の如く開いて煌いちゃうかも!



●捕らえ囚われるは明日か、それとも
「へーえ……アリラビ以外でも食器が動いたりするんだなあ」
 金色の照明を跳ね返しながら、シェイカーは頭上をくるくる、思うままに躍る。凭れたカウンターの上に背を丸め、そのさまを見上げるジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)は、戯れにそれを突つこうと長い指を伸ばしてみた。飛び跳ね逃れた銀の口がしゅるっと回り、こまやかな星の泡をしゅわしゅわ立てる金色のドリンクを、二つのグラスに注ぎ分ける。
「魔法もなんでもありだな。故郷じゃそう珍しくもねえ光景だったけど、違う世界で見るのはなんか新鮮」
「ふふ、きょろきょろしちゃって。ほらほら、泡が消えちゃう前に、星色弾ける魔法のシャンパン風ドリンクで乾杯~☆」
 急かすそぶりのシェイカーと、諦めずに指先で狙い定める可愛いジャスパーにはにっこり、目を細めて。パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は自分のグラスをずらし、かちんとジャスパーのそれにかち合わせた。
 佇まいにくっきりと個性を添える化粧も堂々と肌を晒しがちな体躯も、今日は慎ましく。顔にはピアスだけを、髪は束ね、正統派のタキシードに身を包んだジャスパーの紳士ぶりは、パウルに溜息を零させるに充分だ。
「お、そうだ。似合ってるぜ、その薔薇。同じ名を持つだけある」
 不意にそう笑われて胸が弾んだ。紫紺のスリーピースに身を包んだパウルの胸には、ピンクオレンジの薔薇の一輪。『パウル・クレー』と名づけられたそれは、蕾が解ければ、中に詰まった芳香と密な花片が姿を現すのだろう。
「同じ名前なんて照れちゃう! オレからはねえ、錨草って知ってた? ダーリン」
「いいや? 初めて聞いた」
 見下ろす胸ポケットに挿した一輪は、まだ窄んではいたけれど。その先端からほっそり伸びようとするものは、
「色はダーリンの瞳によく似てるけど――ちょっとタコみたいで可愛いでしょう?」
「――ああ、ほんとだな。ちっちゃいパウルみてえだ」
 笑い声に胸ポケットで傾いだ蕾を、伸ばした指先でついと直して、パウルは微笑む。
 『あなたをつかまえる』――花に託した苛烈な意味は、知られぬままでと笑みで隠して。そして、知らぬままのジャスパーから、その意味の通りを自分が望まれているなどとは露ほども知らないで。
「……さて、いい感じの曲だな。美味しそうな料理も気になるとこだけど――折角なら」
 カウンターから身を放し、跪くはパウルの足許。手を差し伸べて恭しく、
「――踊ってくれませんか、俺の王子様」
 見上げた顔にはにやり、いつもの不敵な笑み。
「ふふ、歓んで、オレの王子さまっ♪」
 指先に愛しげな指が応えたら、もう放さずにダンスホールへ躍り出る。曲に合わせた歩みは優美に、大事な人を導いて。
「……お? パウル、それ」
「ん? ――あはは、いやだ!」
 弾む心に呼応したのか、それとも明日には咲く胸の『パウル』に負けまいとしたものか。
 華麗なターンにひらめいた裾や袖から、するり――我先にと咲いた触手が、妖しくもお茶目な花を咲かせてみせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーヴェニア・サンテチエンヌ
鈴木・志乃さま(f12101)と
貰ったキバナコスモスは髪に
アド歓迎

レースで彩るホルターネックにマーメイドライン。今日は遠慮なく『好き』でドレスを選ばなきゃなの。…たとえ似合わなくても。

志乃さまへはオレンジのガザニアを。世界の色を変えてしまうほど「きらびやか」。わたしはそんな「あなたを誇りに思う」の。こんなわたしを救ってくれることも含めて。それに、その瞳の色に同じだから。

志乃さまの振る舞いひとつひとつがドレスを輝かせるようで素敵ですわ。
なんて言ってる間に掛けられた言葉に戸惑って。
否みながら、頬を赤らめながら浮かれ気分で誘われるまま踊るの。

信じてみるの。親友以上に、憧れの人であるあなたの言葉を。


鈴木・志乃
ルーヴェニア・サンテチエンヌ(f13108)と
貰ったオレンジのガザニアを胸に
アド歓迎

Aラインのシフォンドレス
その他デザインはお任せしますね
何分着飾るのは久々なので
足だけは恋人から貰ったOver The Rainbowを履いて行く

普段なら恋人を誘うかもだけど今日は女子会
親友のルーちゃんと一緒
彼女のキバナコスモスは彼女の誕生花
花言葉も合わせて、貴女はそのままで素敵だと意味を籠めた

ん、とびっきり綺麗だよルーちゃん
これなら好きな人もバッチリおとせるねー
んー? 気づいてないと思ってたのかなー?
さ、思いっきり楽しもうか
リードは任せて、UCで完璧にフォローしたげる
今度彼と踊ってみれば?



●明日の勇気をくれるあなたと
 ――ふんだんなレースの彩るホルターネックに、体を包むやわらかな生地が描き出すのはマーメイドライン。
 今日は遠慮せず、胸を張って。自分の『好き』に正直に、望むままに装うことを、ルーヴェニア・サンテチエンヌ(人と狼の狭間が産むのは・f13108)は決めていた。
(「……たとえ似合わなくても」)
 髪に飾ったキバナコスモスの蕾に、勇気を貰って。丸くなりかける背をしゃんと伸ばして、志乃さま、と進み出れば、
「ん、とびっきり綺麗だよルーちゃん」
 その姿を映した鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、躊躇いなくそう言い切った。
 いつだってそうして望みに忠実にいればいいのに、と親友に志乃は思う。贈った彼女の誕生花が示すとおり『貴女はそのままで素敵』だと、少し人の悪い笑みを浮かべて、
「これなら好きな人もバッチリおとせるねー」
「……!? そ、そそ、そんな……!」
「んー? 気づいてないと思ってたのかな?」
 くすくす笑う志乃に真っ赤に染められてしまった頬を両の手で冷やしながら、ルーヴェニアは改めて志乃の姿を見つめ直した。細いウエストを強調する大きなサッシュリボン、美しく広がる真紅のドレスは、まるで華やかな手品の舞台を見ているよう。
 恋人に贈られたのだというオレンジ色の軽やかな靴は、ルーヴェニアが贈ったガザニアの蕾ともよく調和していた。
「志乃さまこそ、振る舞いひとつひとつがドレスを輝かせるようで素敵ですわ」
「そう? ありがとう。――さ、思いっきり楽しもうか」
 リードは任せて、と片目瞑る志乃に手を引かれるまま、ホールへ進めるステップ。舞台慣れした彼女の振る舞いを、操るユーベルコードがより一層鮮やかに魅せる。
 ウィッグの髪を彩る蕾に託した思いを思い出し、ルーヴェニアは溜息を零した。
「志乃さま。世界の色を変えてしまうほどきらびやかなあなたを、わたしは誇りに思うの。――あなたは、こんなわたしをいつも救ってくれていますの」
「ふふ、それは嬉しいな。ねえルーちゃん、折角こんなに綺麗なのに、女子会なんて勿体なかったね?」
 今度は彼と踊ってみればと、屈託なく志乃は笑う。そんなこと、と慌てながらも、彼女がそう言うのなら――と、ルーヴェニアは胸にちいさな灯を燈した。
 親友である以上に憧れてやまない彼女だから。その言葉がかけてくれた魔法の熱も、兆す明日も信じてみたい。――せめてこのひとときだけでも。
 少しだけ胸を張ることができた親友を、志乃は明日へ送り出す。奮い立つ一歩がきっと、彼女の幸せを叶えるようにと願いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
アレス◆f14882
ネモフィラ
マントのついた服
アドリブ◎

こんだけかっこよけりゃ踊る相手に困らねえだろうに
一緒に居るのがうれしくて

やっぱ…騎士サマしてるアレス
なんか擽ってぇなぁ
クスクス笑って手を取って
ちゃぁんとエスコートしてくれるんだろうな?

踊れねえとは言わねぇけど
堅苦しい踊りはあんましねえし
アレスに合わせてゆっくりと
…けど、気遣われてばっかも癪だな
おいアレス、エスコートしろとは言ったけど
退屈させろとは言ってねえぜ?
なんて挑発するようにしてリードを奪おうと
…って!おい!
突然の回転に慌てつつ
それでも振り回されるだけ、なんてんな情けない事できるかよ

拗ねることすら悔しいから
仕返しに軽く足を踏んでやろう


アレクシス・ミラ
セリオス◆f09573と
アドリブ◎
白い正装にマント
真っ白な雪の花の蕾

折角の舞踏会だから
改めて、と恭しく手を差し伸べて
―セリオス・アリス
私と、踊っていただけますか?
彼が僕の手を取ってくれた事が
共に過ごせるこの瞬間が素直に嬉しくて
お任せを、と笑む
一緒にワルツを踊ろうか

ダンスは人並みには
彼が堅苦しいというものの方が慣れている
…少し、慣れていないのかな?
大丈夫。ゆっくり、僕に合わせて
その調子、と彼が合わせやすいように踊ろう
負けず嫌いに火が点き始めた彼に
ちょっとした悪戯心
彼を抱えてくるりと回る
慌てる様子が何だか可愛らしくて
でも、退屈はしなかっただろ?
なん、て…!?
…セリオス〜?
彼の小さな仕返しに苦笑する



●完璧ならざる明日も近くで
 純白の正装にマント、光に輝きを強める金の髪。その完璧さを、揺れる雪の花の蕾がほんのり愛らしさで和らげている。
「改めて――セリオス・アリス、私と踊っていただけますか?」
 折角の舞踏会だからと、恭しく手を差し出すアレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)の佇まいは、王子様そのものだ。
 幼馴染みの贔屓目を抜きにしても、これだけ格好良ければ踊る相手になんて困らないだろうに――自分に差し出してくれる手が、
「やっぱ……騎士サマしてるアレス、なんか擽ってぇなぁ。――誘うからには、ちゃぁんとエスコートしてくれるんだろうな?」
 傍に居られるのがただ、嬉しくて。茶化しながらこちらも恭しく、乗せ返したセリオス・アリス(青宵の剣・f09573)の掌を掬って、彼はお任せをと微笑んでみせる。
「……にしても、ワルツなぁ」
「あまり好みではなかったかい?」
「嫌いってことはねぇし、踊れない訳でもねけど。堅苦しい踊りはあんましねぇし」
 セリオスらしい物言いに、リードを取るアレクシスは思案する。堅苦しいと彼が言う調べには、自分の方が慣れているだろう。それならこちらから気遣ってやらなければ――
「大丈夫。ゆっくり、僕に合わせて……わっ!?」
「ふん、油断大敵ってな」
 唐突ににやり笑って、掴むように組み直した手。リードを奪い取り、穏やかな流れから抜け出すステップで中央を目指したなら、
「エスコートしろとは言ったけど、退屈させろとは言ってねえぜ――……って、おい!?」
「ふふ、随分余裕があるみたいだから。こんなのは如何かな」
 ぐい、と回る腕に距離が近づいて、不意打ちに巡った景色にセリオスが抗議する。ははは、と軽やかに笑って、アレクシスはくるくる彼を回しながら、自分の導く流れの中へ連れ戻した。
 顔を出した負けず嫌いには、少しくらい強気でお返ししよう――胸を張って得意と言えるダンスだから。
「……振り回してくれるじゃねぇか」
「でも、退屈はしなかったろう?」
「……お前な、いつまで笑ってんだよ!」
 慌てたり抗議をしたり、拗ねてみせ――るのは悔しさに堪えたらしいその様子に、アレクシスのまなざしは暖かく和らぐばかり。
 髪を飾る空の彩、ネモフィラの蕾ごと、心緩まされるだけなんて癪だから――、
「あんまり余裕ぶってると痛い目見るぜ、こんなふうにな」
「! ……セリオス〜!?」
 わざと踏みつけた足は勿論、手加減してはいたけれど。
 明日も明後日も、これからも――ささやかな仕返しに崩された完璧さを、こんな間近に見られるのは自分だけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
オズお兄さんf01136と
星空みたいに澄んだ青い蕾で
正装、お兄さんとあんまり違わない燕尾服にしてもらったけど
着なれないので緊張してる

(…これ、大丈夫かな
転んで破いたり…(はっ))
あ、うん。踊ろう、お兄さん
これで、結構あれから練習したんだから
お兄さんより、絶対うまくなってるよ
(そして真剣な顔で何度も足を踏む
…お兄さんが優しい。…すみません

本当に、いつ咲くだろうか
一緒に見られたらいいし
え、星…?
そうだなあ。
俺は…(お兄さんのつぼみを見て)おひさまみたいなのじゃないかなあ、と思うんだけど

俺だって、お兄さんが隣にいてくれたらいつだって笑顔になる
…ん、お祭りもお兄さんも俺は好きだな
これからも、よろしく


オズ・ケストナー
リュカ(f02586)と
おひさまみたいに明るい色のつぼみ
いつものに似た燕尾服

リュカ、にあってるっ
見慣れぬ姿に嬉しくなって

リュカとダンス、にかいめだね
おどろうっ
手を取って

わあ、れんしゅうしてくれたの
エスコートしながらかんたんなステップ
前よりもっとじょうずになってるね
それでも緊張したような顔に笑って

リュカの挿す蕾を見て
つぼみ、いつさくかなあ
たのしみだねっ
さいたところ、いっしょに見たいもの
どんな花だと思う?
中は星みたいにぴかぴかしてるかも
ふふ、そしたらどっちも空だ

どんな花でもうれしくて笑顔になるから
そのときリュカがとなりにいたなら、もっとうれしい
いっしょにおまつり来られてよかった
わたしも、だいすきっ



●ひかり咲う明日を一緒に
 チェックや色に飾られた燕尾服に、頭には小さなシルクハットをちょこんと載せて。割と着慣れた装いでくるくる回るオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)を、
「この服でそんなに身軽に踊れるなんて……お兄さん、すごいな」
 リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)は心の底から賛辞を贈る。勝手が分からないまま、オズと似た装いにしてもらったけれど――正直なところ、
(「……これ、大丈夫かな。転んで破いたり……」)
 借り物の服はそんなことも気がかりで。心にちらちら降りかかるささやかな不安を、オズの笑顔と掌があっという間に吹き払っていく。
「リュカ、にあってるっ。ふふ、ちょっぴりおそろいだ」
 軽やかなワルツが流れたら、おどろうっと朗らかに。
「リュカとダンス、にかいめだね」
「あ、うん。踊ろう、お兄さん」
 踊る人で溢れるホールへ向かうリュカの歩みには、前よりもほんのりと自信が満ちているようだ。なにしろ、
「これで、結構あれから練習したんだから。お兄さんより、絶対うまくなってるよ」
「わあ、れんしゅうしてくれたの」
 ――それでも少し、ほんの少しだけ強張った表情を緩めるように。簡単なステップでさりげないリードをとるオズの足を、
「あっ」
「ふふ、だいじょうぶだいじょうぶっ」
「……お兄さんが優しい。すみません」
 何度か踏んでしまったのもご愛嬌。だってこんなに真剣にがんばってるんだもの、とオズは笑って、懸命なリュカの胸に揺れる、星空のような青い蕾を優しく見つめた。――この蕾はいつ咲くのだろう。
「さいたところ、いっしょにみたいもの」
「つぼみ……うん、本当に、いつ咲くだろうか」
 ターンする度に小首を傾げるオズの胸の蕾は、込めた光を透かすような淡いいろで。どんな花だと思う? と返る問いかけに、リュカは蕾と揃って首を傾げた。
「そうだなあ。俺は……おひさまみたいなのじゃないかなあ、と思うんだけど」
「リュカのは、中は星みたいにぴかぴかしてるかも。ふふ、そしたらどっちも空だ」
 朝と夜と、手を繋ぎ交互に迎える空の花。くるくる踊る自分たちにも似ているようで――花開く日を胸に思うと、幸せな気持ちがふわふわ漂い出すのが不思議だ。
「でもね、どんな花でもうれしくて笑顔になるから、そのときリュカがとなりにいたなら、もっとうれしい」
 そんな明日を願うお祭りの日に、一緒に来られて良かったと。なにひとつ伝え余すことなく、おひさまにも似た笑顔を浮かべてみせるから、リュカも星のようにかそけき笑みで偽らずに伝えるのだ。
「俺だって、お兄さんが隣にいてくれたらいつだって笑顔になる。……お兄さんもお祭りも、俺は好きだな」
「わたしも、だいすきっ」
 曲の終わりをくるり、弾むようなターンで締め括って、一礼したふたりは笑う。一緒にお辞儀をした二輪の蕾は、その一瞬に囁き合ったかもしれない。
 ――贈り主たちの笑顔のように、咲うときはきっと一緒にと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『銀鱗の誘い路』

POW   :    運動神経に物を言わせて泳ぎ切る

SPD   :    群れの動きを予測して一体となる

WIZ   :    魔法で泡や水流を操り助けとする

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「真壁真人」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
燈夜・偽葉(サポート)
★これはお任せプレイングです★
『ぶった斬ってあげます!』
妖狐の剣豪 × スカイダンサー
年齢 13歳 女
外見 黄昏色の瞳 白い髪
特徴 長髪 とんでもない甘党 柔和な表情 いつも笑顔 胸が大きい
口調 元気な少女妖狐(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)

性格:
天真爛漫年下系ムードメーカー(あざとい)

武器:
刀9本
黄昏の太刀(サムライブレイド)を手に持ち
場合によっては念動力で残り8本を同時に操る

ユーベルコードはどれでもいい感じで使います

敵の動きは見切りや第六感を生かして回避
避けられなければ武器受けで対処します

多彩な技能を持っていて、問題に対していい感じで組み合わせて対処します


ヴィヴィ・ジーヴ(サポート)
キマイラの力持ち×精霊術士、15歳の女。
名前はヴィヴィ、一人称は自分の名前でビビ。表記はどちらでも。

服の下はフクロウ。
腕はハーピー(鳥の羽)、器用な作業は少しだけ苦手。
「あまりお手手は見ないでね、女の子の秘密よ。」

《力持ち》
素早いの、苦手。お目目くらくらする。一撃ドーン、が得意よ。

《精霊術士》
困った時は精霊さんに聞く!

《好き》
美味しいもの、食べる事、大好き!
あとね、ビビ、空中浮遊でふよふよするの好きよ。

◆冒険
お空を飛んでも良いなら、ビビに任せて。
探し物は、精霊さんに助けてもらうの。
力仕事なら任せて!
嘘は上手につけないの。おクチむーーってしておくわ。
地図は上下にぐるぐるしたり、宝探しは第六感!


フェリス・シー(サポート)
『フェリスちゃんにお任せなの』
 ちっちゃい妖精さんです。
 普段の口調は語尾に「なの」ってつけて話す(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、)」

年齢相当で無邪気で難しいことは分かんない。
楽しそうな事は積極的に参加する
時には無邪気にハチャメチャ
いたづらしてみたり
バッタの群れで蝗害起こしてみたり、
溶解液入り水鉄砲撃ってみたり
軍人さん呼んで戦争してみたり

ユーベルコードはマジックザギャザリング由来のものですが、原型とどめていない物もあり元ネタを特に気にする必要はないです。


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!



 アルダワ魔法学園の生徒たちが主催した舞踏会は、華やかにその幕を閉じた。
 一晩が明け、待ち受けるのは冒険の時間だ。
 目指す階層に出現している災魔は、強くはないものの数が多い。
 普段から迷宮で戦っている学生達も、その掃討のための戦力だ。
 着飾った服を、探索のための服に着替えた学生を率いて、猟兵達は災魔の出現した階層を目指して進んでいく。

●虚ろなる水の回廊
 ヴィヴィ・ジーヴが重い扉を開ける。
 その先にあったのは、水中のような空間だった。
「わっ、びっくりしたよ」
 目を大きく開けて飛び退くヴィヴィだが、水は扉の外に溢れ出してくることはなかった。
「でも、本物の水じゃないみたいなの」
 フェリス・シーが、誰が止める間もなく、その水の中に飛び込んだ。
 羽の動きを遮る水の抵抗を受けつつ、フェリスはその空間を泳ぎ回る。
 視界こそ悪いが、水によってフェリスの翅の動きが妨げることもない。
「息はできるみたいなの!」
 元気に泳ぎ回っているフェリスの姿に、姫神・咲夜は自らもその水に触れてみた。
「幻影の類でしょうか。服も濡れていませんが……」
 咲夜の言葉を受け、ヴィヴィも、恐る恐るその空間にフクロウの翼状の腕で触れてみた。
「ビビの羽も濡れてないね。一安心」
「服とか刀とか、濡れると後が大変ですからね!」
 安堵するヴィヴィに、燈夜・偽葉はそう言葉をかけつつ、幻影の水の中へと踏み込んでいった。

「先が見通せないですね……」
 偽葉は、奇妙な現象に首を傾げた。
 猟兵達がいるのは、幻影の水で満たされた広間のような空間だ。
 水は透明度が高く、どこかからの光源もあるのだが、なぜかある程度より先が見通せなくなっている。
 幻影と同様に、視覚に影響を及ぼす魔法的なものが影響しているのだろう。

 そして先に進むにつれて、さらなる奇妙なものも見えて来る。
「銀色の壁、でしょうか?」
「動いているように見えますね」
 咲夜と偽葉がさらに近付くと、その正体は明らかとなった。
「おさかなさんなの!」
 何千、あるいは何万という数の魚達が、渦を巻くように動いている。ヴィヴィは思わず、その動きをじっと見つめた。
「お目目、くらくらする……」
「あまり、見続けない方がいいですよ。……これも、幻影でしょうか?」
「水と違って、触らない方が良さそうですね……ほらっ」
 偽葉がここに来るまでに拾っていた小石を弾くと、銀鱗を持つ魚達がそれに群がり、バラバラにする。
「意外と危険かもしれませんね。……魚達がこちらに近付いています。少し、下がりましょう」
「分かりました!」
 泳ぎ慣れない者達を引っ張りつつ、猟兵達は魚でできた「壁」との距離を取る。

「あの魚達を、回避して通れ、ということのようですね」
 昨夜は、この空間の意図をそう理解する。魚も幻影のようだが、攻撃時は実体を得るようなのでおそらく防御はできる。勿論、無数の魚を捌き切る手段を持っていれば、の話だが。
「出口はどっちなの?」
「精霊さんが教えてくれたよ。あっち」
 フェリスの言葉を受け、ヴィヴィが指差すのは、また別の魚群が動き回っている方角だ。
 魚達の居場所は一様ではなく、常に動き続けていた。
 猟兵や学生達も、それに合わせて移動することを余儀なくされている。
「あまり長居はしない方が良さそうですね」
 偽葉の言葉に、猟兵達は頷く。

 魚達を回避することは、猟兵達だけならば、そう困難でもないだろう。だが、同行している学生達の動きは、猟兵達ほど迅速ではない。
 魚達の壁を避ける形で、猟兵達は幻影の水の中を泳いでいった。だが、それだけでは間に合わないところも出て来る。
「上から、近付いて来てる」
 ヴィヴィが短く警告する。
 それぞれの魚群の動きは、共通点が少ない。
 突然に、離れた位置にいたものが接近して来ることもある。
「侵入者の存在を検知しているわけではないようですが、動きが読みにくいですね」
 学生達に移動するよう促しつつ、偽葉は黄昏の太刀を抜いた。
「いきますよー!! 応援、お願いしますね!!」
 水中でシンクロナイズドな応援を披露しているチアリーディング管狐の群れを背に、偽葉は迫る魚群へと向かう。
「はっ!!」
 黄昏の太刀、そして念動力で操られる8本の刃が、学生達を押し包まんとする魚の群れを切り裂いた。
 無数の剣閃が、壁の如き魚達の動きと拮抗し、押し留める。
「アスモデウス!」
 咲夜の声に答え、炎を司る悪魔が水中に現れる。幻影の水などに構うことなく、悪魔は炎の壁を形成、魚の壁は、その炎の中に飛び込み、消えていった。

「今度は左下なの!! なんだか、数が増えてるみたいなの!」
「出口が近いから、かも」
 フェリスの警告に、ヴィヴィは端的に告げた。
 その体表面では、現れたライオンの頭部が、突っ込んで来る魚を片っ端から喰らい続けている。相手が倒せば消える幻影だからか、腹が満ちるということもなさそうだ。
「じゃあ、ここはフェリスちゃん達にお任せなの!」
 学生達をラッパを吹いて励ますと、フェリスは対抗呪文(カウンタースペル)を放った。
 出口までの道を遮るように出現しようとしていた、新たな魚群が不意に消滅した。
 学生達の脱出への動きは加速していく。
「皆さん、もう大丈夫です!!」
 学生達をまとめていた最後の一人が、猟兵達にそう声をかけて来る。
「分かりました」
「では、私達も行きましょう!!」
 咲夜と偽葉は、そう返すと自分達も出口へ向けて泳いでいく。
 守りを担当するのは、八刀を駆け巡らせ、魚群を切り捨てる偽葉だ。2人が出口の扉をくぐると、ヴィヴィがすぐに扉を閉める。
 幻影の水から、通路に足を下ろした猟兵達は、安堵の息を吐きながら顔を見合わせるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 集団戦 『スチームゴーレム』

POW   :    対猟兵捕獲ネット弾
【対象の回避行動を予測した後、両腕】から【ユーベルコードを封じる捕獲用ネット弾】を放ち、【対象をネットで捕獲する事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    掘削用誘導弾ランチャー
レベル×5本の【先端が削岩用のドリルになっている、機械】属性の【、迷宮の壁や床を掘削して襲来する、誘導弾】を放つ。
WIZ   :    ニューバイパス
【迷宮を掘削して構築していた別通路を利用】【して、対象を包囲する様に別部隊が攻撃】【を行い、部隊間で連携して攻撃する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


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※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「真壁真人」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
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 学生達を連れ、猟兵は災魔の出現したという階層へと辿り着いた。
 階層自体は、このアルダワ学園迷宮によく見られる、蒸気の吹き出すパイプで構成されたものだ。
 迷路のように入り組んだ構造となっており、そのあちこちに、複数のスチームゴーレムからなる集団が、幾つも徘徊している。

 まだ、集団全てを統率するオブリビオンが現れたり、一斉に地上へ向かおうとするような動きを起こしたりすれば厄介な事態になることは間違いない。
 猟兵達の手で、ようやく魔王が討伐され、平和を迎えたアルダワ魔法学園。
 その平和を保つため、猟兵は学生と共に、災魔の掃討を開始するのだった。
霑国・永一
成程、こんな狭苦しい場所に、どこに居るかもわからないゴーレムたちかぁ。長期戦も不利だ、サクサクやろう。
――任せるよ、《俺》
『ハハハハッ!任されたぜ!俺様が片っ端からぶち壊す!こういうのでいいんだよ、こういうので!』

狂気の戦鬼を発動。迷宮を高速移動で素早く駆け、ゴーレムを発見次第衝撃波を叩き込んで破壊していく。
此方への誘導弾は駆け抜けて無視して逃げるか、逃げ切れないor通り道の邪魔であれば衝撃波で砕いていく。
また、誘導弾の出た方角から、敵の位置を何となくでもいいので把握して向かっていく。
『迷路の壁を無視して追うとかうぜぇなッ!うぜぇ真似した分、爽快に壊されろよ、ジャンク品ども!ハハハハハッ!!』



 先程まで通って来た階層とは異なり、現在の災魔が徘徊する階層は天井も足元も、金属のパイプで出来ている。
「全く、狭苦しいったらないね」
 そう愚痴をこぼしつつ、霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)は周囲に目をやった。
 噴き出した蒸気が冷えたものだろう、足元には水たまりが出来ている。
「長期戦も不利だ。サクサクやろう」
 ──任せるよ、《俺》。
 心の中で、もう一人の自分に呼び掛ける。
 一瞬、大きく揺れた永一のかぶっていたフードが落ちる。
 水たまりに移る永一の形相が、狂気を帯びた戦闘狂のものへと切り替わった。

『ハハハハッ! 任されたぜ!』

 応諾の言葉と共に、体を低くした永一は足裏で突き飛ばすようにパイプを蹴りつけた。強烈な勢いで、永一の体が通路の奥へと跳んでゆく。
 通路を遮るパイプへと激突する寸前、体を捻ると共に衝撃波が発生。
 抉られるパイプから吹き出す蒸気と、衝撃波の反動を受けて、永一の体は通路を強制的に曲がった。
 そうして、彼はさらに奥へと加速しながら進んでいく。
 破壊と加速。それらを繰り返すうち、見えて来るのは機械で出来た災魔、スチームゴーレムの姿だ。

『まずはひとぉつッッッ!!』

 衝撃波が、出会い頭にスチームゴーレムの頭部を叩き割った。発射されようとしていた誘導弾が、天井にあたって無意味な破壊を撒き散らす。
『高速移動対象ヲ確認。誘導弾、発射シマス』
 他のゴーレム達が、一斉にランチャーを構えると、誘導弾を発射する。
 ドリル状の弾丸が、永一を追って宙を駆ける。
 迷路の壁すら突き破りながら追って来る誘導弾に、永一の狂相が愉しげに歪む。

『迷路の壁を無視して追うとかうぜぇなッ! うぜぇもんは、片っ端からぶち壊す!』

 永一が哄笑と共に通路の壁へと拳を打ち付ける。
 放たれた衝撃波が、彼の身に届く直前の誘導弾をことごとく粉砕した。その勢いのまま、永一は方向転換。
 炸裂音を後に残し、永一は誘導弾を放ったゴーレム達へ向けて突き進む。
『うぜぇ真似した分、爽快に壊されろよ、ジャンク品ども! ハハハハハッ!!』
 最大加速から繰り出された衝撃波は、ゴーレム達をまとめて破壊し尽くしていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

寧宮・澪
おや、たくさんの蒸気機械ですねー……ううん、これは、頑張って倒しましょね……

Resonance……謳いましょ……
これも、未来の、切り拓き方の一つですよー……皆さん自身が、前に出て戦うのも……後ろから、支援するのも……どちらも、大切なんです
決して、ここから災魔を地上に出さぬよう……戦うための、姿です
怪我をした人へ、届くように……癒やしを謳って、届けましょ……
世界は、私達の歌で、干渉できるんですよー……

少しは、シンフォニアらしく、できたでしょか……?

生徒さんに向かう蒸気機械がいましたら、その進路上に割って入りますー……で、庇いましょね……
自分への攻撃は、オーラ防御でしのぎ、傷を癒やしましょ……



 金属のパイプで構成される迷宮のあちこちに点在するスチームゴーレム達を撃破するべく、猟兵達は階層の入り口から、思い思いの方向へと進んでいく。
 戦いの音が響き始める中、階層の入り口付近で、後から現れるスチームゴーレムを待ち受けるのは、寧宮・澪と学生達の役回りとなっていた。
 学生達も、戦い慣れた者もいれば、まださほど戦いの経験のない者まで様々のようだ、と澪は彼らの表情を見て思う。
 過剰に怯えたり、戦意に逸ったりする様子が無いのは幸いだ。
『蕾の祝祭』で士気が上がり、猟兵も共にいるからだろう、

 近付いて来る金属の響きを感じ、澪は学生達に呼び掛ける。
「たくさんの蒸気機械がいるみたいですねー……ううん、これは、頑張って倒しましょね……」
「はい!」
 返事が返ると同時、澪達の側の壁のパイプが、不意に崩れ落ちる。
 現れるのは、1体のスチームゴーレムだ。
 一瞬、浮足立った学生達だが、現れたゴーレムは、学生達の集中攻撃で一気に撃破される。だが、学生達がほっとしかけたところで、澪が口を開く。
「まだ終わってないから、気を付けましょね……」
 そう呼び掛けると同時、別の方向の頭上のパイプに大穴が開いた。
 破壊されたパイプと共に落ちて来るのは、新たなスチームゴーレムだ。
「別の個体!?」
「落ち着いて……大丈夫……」
 ゴーレムの振り下ろした剛腕が、澪に直撃する。
 だが、叩き潰されるかに思われた澪は、その身に纏ったオーラでゴーレムの腕を受け止め切っていた。
「それじゃあ……攻撃して」
 澪が離れると同時、学生達の再びの一斉攻撃で、ゴーレムは破壊される。動かなくなるのを見届けると、澪は落ちて来たパイプに巻き込まれ、負傷した学生の傷を癒しにかかった。
「あ……ありがとうございます!」
「Resonance……謳いましょ……これも、未来の、切り拓き方の一つですよー……皆さん自身が、前に出て戦うのも……後ろから、支援するのも……どちらも、大切なんです。決して、ここから災魔を地上に出さぬよう……戦うための、姿です」
 歌声に込められた澪の言葉に、感激と共に何度も頷く学生の傷が癒えていく。

「少しは、シンフォニアらしく、できたでしょか……?」
 そんな風に考える澪を中心に、学生達は慎重に守りを固め、こちらを包囲しようとするゴーレム達を撃破していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

戒道・蔵乃祐
限界突破+聞き耳で迷宮の破砕音を探知。クイックドロウ+早業でダンジョンの壁を突き破って飛来する掘削用誘導弾を切り払う

再装填中の隙を突くことで戦輪を投擲し、ゴーレムの照明装置を破壊
暗視+視力で優位に立ちつつ闇に紛れる
一瞬の内に距離を詰める無拍子で切り込み+怪力の剛剣で撃ち込み、ゴーレムを両断します

ウームー・ダブルートゥを滅ぼして既に久しいですが、災魔の残滓未だ健在といったところでしょうか
レディ・ハンプティもアリスラビリンスで討たれ、魔王の血脈は全て途絶えたと思いたいところですが…
何れは猟書家のアルダワ侵攻の時期も近いはず。油断せずに、猟兵としての責務を全うしなければなりません

次々いきましょうか。



 猟兵の存在を感知してか、階層中のスチームゴーレムは動き出していた。
「勤勉なことですね」
 戒道・蔵乃祐はそう嘯きながらも無造作に『百八式山本五郎左衛門』を振り抜いた。
 遺失技術で鍛え上げられたブシドーブレードは、金属のパイプを突き破って飛来した掘削用誘導弾を一瞬のうちに両断。
 少しの間、勢いのままに飛んだ誘導弾は、パイプに落ちて軽い金属音を立てる。
「こちらですか」
 誘導弾の飛来した方角から、敵のおおよその位置を把握した蔵乃祐は、幾重にも曲がる通路を進んでいく。
 そして、ある角に差し掛かった時、瞬間、撃ち出されて来る何発もの誘導弾が彼を出迎えた。
「狙いは正確ですね」
 一言の元に、それらをことごとく切り捨て蔵乃祐は、通路の向こうにスチームゴーレムの姿を見る。
 短い呼気と共に、総身に力が満ち、彼はたちまち距離を詰めていく。
 ランチャーから再び誘導弾を放とうと、再装填を行うゴーレム。
 その僅かな隙の間に蔵乃祐は瞬く間に独特な歩法で、ゴーレムの死角へと潜り込んだ。
『敵、ろすと……』
 一瞬、蔵乃祐を見失い、ゴーレムが狼狽えたようにランチャーを構えたまま頭部を動かす。
 そこにある照明装置へと向け、蔵乃祐は指先で勢いをつけた戦輪を投じる。
 甲高い金属音がして、周囲に暗闇が満ちた。
『照明装置、破損。機能回復を開始……』
「流石に、そこまでの時間は与えられません」
 山本五郎左衛門が、力強く振り下ろされる。
 戦輪のつけた傷を撃つようにして、振り下ろされた山本五郎左衛門は、ゴーレムを見事両断してのけていた。残心の態勢から、蔵乃祐は刀を静かに納める。
「ウームー・ダブルートゥを滅ぼして既に久しいですが、災魔の残滓未だ健在といったところでしょうか」
 魔王の血脈も途絶え、この世界の戦いは終わったと思いたいのだが……。
 それでも、思いもよらぬ『過去』に現れるのがオブリビオンであることを蔵乃祐は経験から理解していた。
「油断せずに、猟兵としての責務を全うしなければなりません」
 別のスチームゴーレムの駆動音を察知しながら、彼は迷宮を足早に進んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

蛇塚・レモン
それじゃ、後片付けを早く終わらせよっか!

迷宮のあちこちから出ては攻撃する一撃離脱戦法ってところかなっ?
まるでモグラ叩きだね~っ?
だったらこっちは一網打尽だよっ!

ユーベルコードを踊りながら、範囲内のゴーレム部隊を攻撃するよ
シャーマンの霊感と第六感を働かせて、出現地点を予測してみるね
隠れたって無駄だよっ!
この光線は壁を貫通するよっ!
仕留め残っても大丈夫っ!
この攻撃を一発でも食らったオブリビオンはユーベルコードが使用できなくなる上に、不運のバッドステータスが付与される
つまり、不運が付与された個体が仲間の元へ戻ると……?

(遠くで迷宮が崩落する音と振動が響く)

ま、そーなるよねっ?
ほら、どんどん行くよっ!



 猟兵達の攻撃によって数を減じつつあるスチームゴーレム達は、猟兵の動きを察知しては攻撃する、一撃離脱戦法を取り始めていた。
「まるでモグラ叩きだね~っ?」
 レモンは、敵の動きをそう評する。

「だったらこっちは一網打尽だよっ!」
 そう判断するが早いが、レモンはその場で『蛇塚ミツオロチ神楽』を踊り出す。
 シャーマンとしての霊感、第六感とを働かせ、スチームゴーレムの動きを感じとる。一心不乱に舞い踊るレモンは、霊感の高まりと共に、自分の周囲に既に複数のスチームゴーレムが展開していることを感じ取っていた。
「踊るステップの震動を感じ取りでもしたかな……」
 ゴーレム達が、パイプを破壊している音は、次第に近付いてきている。
 一気に包囲し、そして攻撃にかかるつもりのようだ。
 だが、ゴーレム達がレモンの元に辿り着くよりも早く。彼女のユーベルコードは発動していた。
「蛇神様っ! ライムっ! お願い、一緒に踊ってっ!」
 心の中に宿る蛇神達が、レモンたちだけの神楽を生み出す。
 その神楽が最高潮に達すると共に、レモンのかざした蛇腹剣クサナギから、光線が撃ち出された。
「隠れたって無駄だよっ……!!」
 壁を傷つけることなく貫通した光線は、そのまま奥にいたゴーレムを貫いた。
 掘削する機能が強制停止させられ、ゴーレム同士の連携が混乱を生んでいく。
「だけど、それだけじゃないよ……!!」

 掘削の動きを止めたところで、通路を使えばレモンの元を目指すことは出来る。
 そう判断し、近接戦闘のために移動を開始しようとしたゴーレム達。
 だが、彼らはその目的を果たすことは出来なかった。
『何故か』『ゴーレム達にとって不幸なことに』、ここまで掘り進んで来たパイプが崩れ、ゴーレム達の往く手を遮ったのだ。それがレモンの霊光線のせいであると、ゴーレム達には想像することすらも出来ない。
『後退セヨ、後退セヨ……』
 方向転換しようとしたゴーレム達。その頭上から落ちて来る重い鉄塊が、ゴーレム達を押し潰した。

「ほーら、不幸になった」
 レモンはやれやれといった面持ちで、重い音の聞こえて来た方角を拝んだ。
「それじゃ、どんどん行こう!」
 レモンの霊光線の射程はおよそ90m。広い階層全てを覆うとまではいかない。
 再び踊るのに良い場所を探し、レモンは敵の残存する方角へと移動していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マレーク・グランシャール
敵の数は多い上に、壁や床を掘り進んで迫る誘導弾はどこから攻撃されるか分からぬだけに脅威だ。
無傷とは行くまい。
たが俺は、今さら傷付くことを怖れないし、血を流してからが本番だ。

槍よ、我が血を吸って赤竜の槍となり、ゴーレム共を血祭りにあげろ。
【赤竜血祭】を唱えて槍を変化させたら、敵の一体に向けて槍を投げる。
槍は血を持たぬ機械の敵さえも捕捉するだろう。
誘導弾を飛ばすときのタイミングや挙動を記憶させたら、迷彩と残像、それからダッシュやジャンプを駆使して敵の目を欺き急速接近。
一体一体確実に槍で駆動部を部位破壊し、硬い鎧を撃ち砕く。

ここより上へは行かせない。
永久にこの迷宮で眠るがいい。



「まともに戦えば、脅威になりうる性能をしているな」
 マレークは、破壊したスチームゴーレムの一体から槍を引き抜きながら、性能をそう評価する。
 壁や床を掘り抜いて迫る誘導弾は、この地下迷宮アルダワという環境によく適応したものだ。
 当然ながら、金属の壁や床を掘り抜く威力は、侮るべきものではない。
 マレークも、直撃こそ免れているが、既に交戦したゴーレムの集団からの一斉攻撃は、彼の腕に軽い傷をつけていた。
 だが、マレークとて、最初から無傷で済むとは思っていない。
「今さら、俺が傷付くことを怖れるものかよ」
 マレークは手にした槍を腕の傷口へと近付けた。
 赤竜の紋様が赤く輝き、滴る血が、手にする槍の力に変化を与える。
「槍よ、我が血を吸って赤竜の槍となり、ゴーレム共を血祭りにあげろ」
 竜が咆哮するかの如く、槍はその力を解放した。

 自身も疾走しながら、マレークは遭遇したスチームゴーレムの一団へと、渾身の力を籠めて槍を投じる。
 通路の奥へと飛んだ槍は、一団の先頭にいたゴーレムの装甲を突き破り、頭部へと突き立つ。
 それに反応し、ゴーレム達が誘導弾ランチャーを放つよりも早く、槍を追って走ったマレークは、貫かれたゴーレムから、槍を捻りながら引き抜く。
「まずは一つ!」
 金属の悲鳴と共に機能を停止して崩れ落ちるゴーレム。その陰に隠れるように身を低くしたマレークに対し、ランチャーを撃とうとしていた残りのゴーレム達の動きが止まる。
「誤射防止の機能、か」
 槍が与えて来る知識を利用し、マレークは敵の攻撃を防いでいた。
「あって悪いものではないのだろうが、考え物だな」
 自分のように悪用する者もいる。そう思いながら、彼はさらに槍を振るい、残骸と化したゴーレムを撃ち出した。異常な膂力は、赤竜の槍の機能強化によるものだ。今の槍は、繰り返し同じ相手へ攻撃する際の威力を増強させ、その敵について学習していく。
「性能が同じなのが災いしたな」
 知識を蓄えた赤竜の槍は、スチームゴーレムという種を圧倒し、己の主と共にひたすらに猛威を振るっていく。繰り出す刺突、高速の疾走と共に繰り出される振り回しの一撃は、易々と金属の装甲を噛み破るだけの威力に達していたのだ。
 マレークと赤竜の槍が、その場にいたスチームゴーレムを全滅させるまで、そう時間は要しなかった。

 戦闘を終え、ゴーレム達を全滅させた猟兵達が、階層の入り口付近へと戻って来る。
 同じ階層で戦っていた学生達にも、学ぶところは大きかったことだろう。
 猟兵が訪れるまで、アルダワの地で代々戦い続けて来た学生達。
 未来を拓く力は、彼らにも必ずや宿っている。
 それを、この戦いを通して気付いてくれたなら良い──猟兵達はそう思いながら、共に地上へと帰還するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年10月09日


挿絵イラスト