鳥籠遊戯(作者 真魚
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●辿り着いた先は
 花々が咲く道を、一人の少女が歩いていく。さらさら流れる絹糸のような髪、道の先を見つめる栗色の瞳。軽やかな足取りは水色のワンピースを揺らして、それにじゃれつくように二足歩行の犬がついていく。
「いやあ、もうお別れかと思うと淋しいワン!」
「私もよ、犬さん。この国、とっても綺麗でとっても楽しかった!」
 愉快な仲間である犬に、笑顔で答えて。少女――アリスは助けてくれてありがとうと言葉を続けた。
 オウガから逃げ延び、国を渡り歩くアリス。そんな彼女を迎え入れてくれた住人と、お別れするのはやはり寂しい。思えば僅かに表情が曇って、それ見た犬は首を振る。
「いけないワン、アリス。君の帰りを待っている人が、きっといるワン。その人と会えることだけ考えるワン」
「うん、そうね。何も覚えていないけど、きっと……私、大好きな人がいた気がするの」
 言葉を紡げば、少女の表情はふわりと緩んだ。記憶はない、けれどこの国の住人が言う通り大切に想ってくれる人がいたように、アリスは思うのだ。
 会えたらどんなに嬉しいだろう。思い出せないからこそ、彼女の期待は膨らんで。その想いに背中を押されるよう、少女は道を進んでいく。
 やがて、道の先に扉が見えて。その前には時計ウサギが待っていた。もうアリスはわかっている、この扉をくぐれば次の国だ。
「さあ、アリス、気を付けて行くんだワン」
「うん! 犬さんも、時計ウサギさんも、ありがとう! みんなにもどうぞよろしく伝えてね!」
 笑顔で手を振り、アリスは扉を開ける。そして跳ねるように一歩、二歩と踏み出して――バタンと扉が閉じた瞬間、世界は闇に包まれた。
「……? こっちの国は、ずいぶん暗いのね」
 きょろり、辺りを見回して。瞬間、彼女は栗色の瞳を見開いた。
「扉が、こっちに……!」
 存在する国に辿り着きさえすればわかると言う、『自分の扉』。それは確かにここにあるのだと、理解したアリスは駆け出す。
 息を切らせて、真っ直ぐ、真っ直ぐ――しかし、流れる景色は突然変わり、たくさんの情報が彼女の脳へと流れ込んできた。
「――っ、なに、これ」
 それが自身の『記憶』だと、気付いた時には少女は座り込んでいた。扉の先に待ち受けている、『元いた世界』。忘れていたその正体を、知った彼女は。
「あ、あっああ、やだ、やだそんなの、こわいこわいこわい!!」
 悲痛な叫びは、闇に響いて空間を震わせる。自身をぎゅうっとかき抱き、首振る姿は小さな子供のようで。
『――嗚呼、嗚呼、アリス。素敵ね、貴女。お友達になりましょ?』
 闇の中から降る声。クスクスと笑い声を零すそれは、絶望する少女を鳥籠へと閉じ込めた。

●鳥籠遊戯
「ん、と。みんなにおねがいがあるのです」
 エメラルドグリーンの瞳を、落ち着かない様子で彷徨わせ。呼びかけに応えた猟兵達に、メリル・スプリング(アリス適合者のプリンセス・f25271)はぺこりと頭を下げた。
「アリスラビリンスのある国に、アリスがいるのです。そこは、アリスの『扉』がある国。『扉』をくぐれば、アリスは元いたところへ帰れるのです。でも……」
 その前に、彼女は記憶を取り戻したのだと、幼い少女は言葉を続ける。視得たアリスの取り乱しよう。それは痛々しいものだったのだと、メリルはテディベアを強く抱き締めながら語った。
「そんなアリスは、オウガにねらわれているです。『友だち狩りの』テレサ。このオウガは、アリスの絶望をつかって、オウガへの変異をさそおうと思ってるのです」
 そのために、テレサはこの国を少女の昏い記憶を反映した『絶望の国』に塗り替えている。暗い空間が続く国、あちこちに浮かぶのは鳥籠。小さいものも、人ひとり入れるものも、もっと大きなものも――その中のひとつにアリスは閉じこもっており、すぐ傍でテレサが見ているのだという。
「このままじゃ、アリスはテレサにさそわれるままオウガになっちゃうのです。その前に、テレサをやっつけて、アリスを絶望からたすけてあげてほしいのです」
 猟兵達が現れれば、テレサは彼らを狙い攻撃してくる。アリスが攻撃されることはないだろう。まずは戦闘を仕掛け、オウガを倒し――アリスの説得は、それからだ。
「アリスはテレサの近くにいるから、戦いながら声をかけても聞こえるとは思うのです。でも、こんらんしてるみたいだから、お話を聞いてもらうというより、お話を聞かせてもらうほうがよさそうなのです」
 彼女が絶望から救われるには、『元いた世界』の記憶が鍵となるだろう。説得の材料を得るためにも、積極的に話を引き出した方がいいだろうと幼きグリモア猟兵は語る。
「それから――」
 続けて言葉紡ぎ、小さくため息。メリルは猟兵達を伺うように見つめて、これはたぶんのお話なのですと前置いて。
「アリスの思い出した、元いたところ。そこはたぶん、ダークセイヴァーなのです」
 近頃変化が生まれているとは言え、荒廃した世界だ。アリスの身の上までは、視得た情報ではわからないが――帰ることが即ち幸せであるとは、断定しない方がいいとメリルが告げる。
「猟兵のみんながやらなくちゃなのは、アリスを絶望からすくうことなのです。だから、アリスが『扉』をくぐらないって決めても、おこらないでほしいのです」
 どんな結末にせよ、少女が選び取ることが重要で。猟兵達はその手助けをするだけ。それはどうか忘れないでと、メリルは語って。それからぽつりと、アリス適合者である自身の想いを零す。
「メリルも、おぼえてないこといっぱいあるけど……思い出したのがつらいことだったら、きっと泣いちゃうのです」
 だから、助けてあげてください。大きな瞳でじっと猟兵達を見つめ、メリルはグリモアを起動する。
 昏い記憶に埋め尽くされた、アリスの『絶望の国』。抜け出す先に、幸せがあるように――。


真魚
 こんにちは、真魚(まな)です。

●お願い
 プレイングの受付につきましては、マスターページの「お知らせ」ならびにTwitterにて都度ご案内します。
 期間外に届いたプレイングは不採用とさせていただきますので、お知らせをご確認の上ご参加ください。

●シナリオの流れ
 第1章:ボス戦(『友だち狩りの』テレサ)
 第2章:冒険(籠の鳥のアリス)
 第3章:集団戦(道先案内人)

 全章通して、説得と心情重視。
 技能を並べたプレイングより、キャラクターの心情を篭めていただいた方が採用率が上がります。

●戦闘について
 「絶望の国」での戦闘になります。
 広さは十分にあり、戦闘に支障となるものはありません。
 敵とは会話可能ですが、説得はできません。
 ボス戦の最中、アリスは敵から狙われません。集団戦の際は狙われないよう守る行動も必要です。

●アリスについて
 十代前半の女の子。金の髪と栗色の瞳、水色のワンピース。オープニングの通り、元いた世界に何かしら事情がありそうです。
 第1章時点では籠に閉じこもり絶望の国を漂っています。ボス戦の合間に声をかけることで、説得の材料となる情報を引き出せるかもしれません。
 説得できるのは第2章から。絶望から彼女を救うことがシナリオ成功条件です。

●その他
 ・ペアやグループでのご参加の場合は、プレイングの冒頭に【お相手のお名前とID】か【グループ名】をお書き下さい。記載なき場合は迷子になる恐れがあります。プレイング送信日を同日で揃えていただけると助かります。
 ・許容量を超えた場合は早めに締め切る、または不採用とさせていただく場合があります。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『『友だち狩りの』テレサ』

POW ●みんなで一緒に遊びましょ?
自身が装備する【禍々しい白色テディベア 】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
SPD ●私のお友だちになって
【友だちが欲しいという欲求を迸らせる事 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【ドレスの下に潜めていた凶器の群れ】で攻撃する。
WIZ ●ずうっと一緒にいようね?
【執着心 】を籠めた【無限に伸び、自由自在に動く黒髪】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【心】のみを攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ダグラス・ブライトウェルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●お友達になりましょう
 暗闇が落ちる世界に、無数の空の鳥籠が浮かんでいる。
 ゆらりゆらり、揺れるそれらは仄かに光を放っていて、猟兵達が進み戦うのに支障はなさそうだ。
『嗚呼、嗚呼、アリス――』
 響き届くは、オウガの声。誘うように穏やかで、けれどどこか冴え冴えとして。その不気味な声の主は、傍らの鳥籠へと語り掛けている。
『悲しいことがあったのね。つらいことがあったのね?』
「――そう、そうなの。私ったら、どうして忘れて……」
 返る声は、アリスのもの。虚ろな音はか細くて、それ聞いたオウガ――『友だち狩りの』テレサがクスクスと笑いを零す。
『いいのよ、アリス。つらいことは忘れましょ。ここにいれば平気、平気なの』
 そうして、私のお友達になって?
 ぬいぐるみ抱いた白い手が、アリスへと差し伸べられる。けれど金髪の少女はそれには目もくれず、膝を抱えたまま呟いた。
「大切な、人だったの。なんで、どうして……帰れるって、思ってたのに」
『アリス、アリス、忘れていいのよ。ここは安全だわ』
 オウガの呼びかけは、今のアリスには全てが届くわけではないようだ――尤も、それも時間の問題だが。
 鳥籠のアリスは、果たしてテレサに閉じ込められたのか。自ら閉じ籠ったのか。無気力に膝抱えて座り込む少女は、猟兵達の耳に届く限界の小さな声でもう一度だけ呟いた。
「私を置いてかないでよ……パパ」
 パパがいなきゃ、私にはなんにもないんだよ――。
御園・桜花
「アリスさん…そこに閉じ籠って、大事な方を悲しませる人になっても平気ですか」
「貴女の大事な方は、同じように貴女を大事だったと思いますから。その貴女が下を向いて悲しんでいる。貴方の大事な方も、貴女その今を知れば、同じように悲しんで、心を痛めるのではないでしょうか」

「テレサさん…独りはお寂しいことでしょう。それでも貴女にアリスさんは渡せません…本当にごめんなさい」
UC「桜吹雪」使用
高速・多重詠唱で破魔の属性乗せた桜吹雪で本体髪を切り刻む
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す
テレサが倒れたら、いつかの転生願い鎮魂歌で送る


「出て来て下さい、アリスさん。そして、貴女の大事な方のことを、私達に教えてくれませんか」


シャルロット・リシュフォー

絶望の国……なんて寒々しくて寂しい世界なんでしょう
「こんな所にアリスさんを長居させるわけには行かないですね……。シャルロット、参ります!」

【ハーモニックワールド】で双剣に炎属性をエンチャントし
歌と共に突撃してテレサの相手をしますです
髪を伸ばしてこようが巻き付かせてこようが、炎の剣なら問題なく焼き切れますです!
「この国にアリスさんを縛ろうとするなら!私は貴女を止めますです!」

あとはUCで歌う歌の中に、アリスさんに聞きたい事に関するワードを混ぜて反応を伺うです
「ねぇ、私をあなたの家に連れて行って♪あなたの家はどんな家かしら♪」
「パパとママが待っている♪シチューを作って待っている♪」



 暗闇の中、鳥籠の中で震えるアリス。その小さな姿の傍を、ひらり薄紅の桜が舞う。
「アリスさん……そこに閉じ籠って、大事な方を悲しませる人になっても平気ですか」
 紡ぐ言葉は穏やかに。御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、桜色の髪揺らしながらアリスへと語り掛けた。
「だいじな、人……」
 少女の栗色の瞳が、光失ったまま周囲を見回す。きっと、その人を探しているのだ――今この場にいない、記憶の中の大事な人を。
「パパ……私の、パパ。大好きなのに……愛してるよって、言ってくれたのに」
 頬を伝うは、涙。止まらぬそれ見て桜花の胸も痛むけれど、彼女を救い出すためには言葉を続けなければならない。
 しかし瞬間、桜花の視界が黒で埋め尽くされた。咄嗟に横へ跳べば、彼女が立っていた場所を不気味な長い黒髪が貫いていく。
『邪魔、しないで。アリスを悲しませないで。この子は……私とずうっと一緒……』
 蠢く黒髪は、再び桜花を襲う。その髪の持ち主――『友だち狩りの』テレサを見れば、そのくぼんだ瞳には淀んだ感情が浮かぶようだった。友達を求めそれを狩るオウガ。そんな彼女の、アリスへの執着心――。
「テレサさん……独りはお寂しいことでしょう」
 桜花の翠玉の如き瞳は、テレサの姿も悲しげに見つめている。けれど、彼女はその力の揮う先を間違えたりはしない。
「それでも貴女にアリスさんは渡せません……本当にごめんなさい」
 謝罪の言葉を紡ぎながら、手に握るは『破魔の銀盆』。それは手の中で桜の花弁へ姿を変えて、夜に吹き荒れる桜吹雪のように闇の中を舞い踊る。
「ほころび届け、桜よ桜」
 びゅうと風切る花弁達が黒髪を切り刻み、さらにオウガの体にも襲い掛かる。その全てを避けることは叶わずテレサが身を震わせるうち、背後に接近する者があった。
 紫色のポニーテールをなびかせて、両手に握るは金と銀の双子剣。
(「絶望の国……なんて寒々しくて寂しい世界なんでしょう」)
 駆ける少女、シャルロット・リシュフォー(歌声アステリズム・f00609)は周囲にちらり視線をやって、それから敵を見据えて距離を詰めていく。
「こんな所にアリスさんを長居させるわけには行かないですね……。シャルロット、参ります!」
 軽やかに地を蹴り、回り込んだオウガの背後。桜花のユーベルコードと重ねるように繰り出された剣戟は、テレサの身に一筋、二筋と傷を生んでいく。
『ああああっ、やめて、貴女もお友達に――』
 悲鳴上げる孤独なオウガは、すぐさまシャルロットにもその黒髪を伸ばす。迎え撃たんとクリスタリアンの少女は、大きく息吸い唇を開いた。
「パパとママが待っている♪ シチューを作って待っている♪」
 口ずさむ歌と共に、揮う剣には炎を纏い。テレサの髪を焼き切り攻撃を阻みながら、シャルロットはアリスへ視線を向けた。ユーベルコードの、浄化の歌。その歌詞は、全て鳥籠の少女へ歌ったものだから。
 果たして、シャルロットの歌は確かにアリスの耳へと届いたようだ。涙の乾かぬ虚ろな瞳でアリスは歌い手を見つめ、それから小さく首を傾げる。
「パパと、ママ……? ママなんて、知らないわ。私にはパパがいるからそれでいいんだって、パパが言ってたもの」
(「ママを知らない……?」)
 それは、この異世界より来た少女の背景を知るには必要な情報に思えた。『パパ』へ向けられたものとは明らかに異なる、『ママ』への言葉。彼女は片親に育てられたのだろうか。
 そのままシャルロットがユーベルコードを編み込んだ剣でオウガと対峙する間に、桜花が再びアリスへと声掛ける。
「アリスさん。貴女の大事な方は、同じように貴女を大事だったと思いますから。その貴女が下を向いて悲しんでいる。貴女の大事な方も、貴女の今を知れば、同じように悲しんで、心を痛めるのではないでしょうか」
 貴女が、パパと呼ぶその人が。紡ぐ言葉は心からのもの、けれどオウガに囚われた今のアリスにその全てを受け止められる余裕はない。だから少女は駄々こねる子供のように首振って、感情的に声を荒げた。
「パパが悲しむ? どうやって? パパは私がここに来る直前に死んじゃったのに!」
「……!」
 悲痛な声が暗闇に響いて、桜花は思わず息を呑む。一瞬の間の後、少女は鳥籠の中で泣き崩れた。言葉にしたことで、よりその記憶を突き付けられたように。
 大好きで、記憶失ってからも会いたいと想った人。その人はもう失っていたのだと言う、現実。それは確かに、絶望する理由になるだろう――。
『アリス、アリス、泣かないで。私が貴女を助けてあげる。ずっと一緒にいてあげる』
 少女の慟哭に寄り添うように、テレサが囁く。その声は蠱惑的で、聞き続ければアリスはその手を取ってしまいそうだ。しかし、決してそうはさせまいとシャルロットが動く。
「この国にアリスさんを縛ろうとするなら! 私は貴女を止めますです!」
 絶望に沈み、オウガへと変異する。そんな道を、進んでほしくないから。再びユーベルコードを操ろうと、シャルロットは歌を紡いでいく。
「ねぇ、私をあなたの家に連れて行って♪ あなたの家はどんな家かしら♪」
 浄化の歌を、剣戟に載せて。アリスとの間に割って入って敵の動きを封じれば、その歌を聞いた金の髪の少女が絞り出すような声で答える。
「私の、おうち……。パパが、いたわ。優しいパパ。それから、ベッドと、机と、本と、灯りと扉」
(「……?」)
 アリスの紡ぐ言葉は、弱々しいながらもはっきりしたもので。その内容に、シャルロットは僅かに首を傾げる。見れば桜花も瞳を瞬かせているから、違和感は気のせいではないのだろう。
 シャルロットは、アリスの家について説明を求めたのだ。しかしアリスの答えは家というより――家の中の一室のことを、言ってはいないだろうか?
(「もしかしたら……パパの死以外にも、絶望したことがあるんでしょうか……?」)
 鳥籠に入った、アリスの理由。まだ聞き出すべきことがあると感じながら、二人の少女はテレサへの警戒を続けるのだった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

琴平・琴子


アリスさんは兎の穴に落ちる前
どこかに閉じ込められていたと感じるような場所にいたのでは?
そして今、鳥籠にいる様に心を閉ざしていたのではないでしょうか

兎の穴に落ちる前のアリスはそういう不安な場所や時から逃げたいと思った時に穴に落ちる話もあるとか
アリスさんにもそんな事があったのでは

敵の髪や熊には革命剣で切り裂いて
UCでガード
「そんなに友達が欲しいだなんて哀れですね」
私、一人だとしても友達を欲した事などありませんよ

ねえアリスさん聞こえてますか?
貴女がもしも絶望の中を彷徨って明日が見えないのなら
この手は、この足は、貴女の方へ向かいますよ
私、これでも王子様ですから


アルベルト・エコーズ
…大切な方を亡くされたのですか

物であった頃に幾度も見た別れを思い出す
悲しむ人の傍にはその人を思いやる誰かがいた
だがあのテレサは違う
あれは悲しみに寄り添う者の笑みではない

お前がアリス様に寄り添う未来は絶たせてもらう
ぬいぐるみも近寄らせはしない
纏めて来ようと個別で来ようと、薙ぎ払い、串刺しに
道が開ければテレサへ迷わず剣を揮いUCを
私がお前にやれるのはこれのみだ

…しかし、アリス様はお部屋の外をご存じない様子
そういう育て方もある?という疑問は胸の内に

お父様はアリス様を大切になさっていたのですね
お父様とは、どのように過ごされていたのですか?
食事
遊び、勉強
お父様と過ごした記憶から、何か見えれば良いのですが



 鳥籠の中、泣くアリス。その悲痛な叫びを聞いて、アルベルト・エコーズ(ひかり・f25859)は金色の瞳を僅かに伏せた。
「……大切な方を亡くされたのですか」
 脳裏に浮かび上がるは、ヤドリガミたる彼が『物』であった頃に幾度も見た別れの数々。その中には悲しみに暮れる者もたくさんいたけれど、その人の傍には思いやる誰かの姿もあった。
 ――だが、あのテレサは違うとアルベルトは思う。
(「あれは悲しみに寄り添う者の笑みではない」)
 包帯の巻かれた白い腕をアリスへ差し伸べ、怪しく微笑むオウガ。
『嗚呼、アリス。私がいるわ。ここにいるわ』
 闇に広がる深紅のドレスが、ゆらりゆらりと弱り切った心を誘う。あれは、違うのだ。彼女はただ、己が欲望を満たそうとしている。
 そうはさせまいと、アルベルトが駆ける。身を包む執事服を翻し、けれど無駄のない動きは優雅に、流れるように。
 テレサの顔が、執事の男へと向けられる。小さな唇は怪しく歪み、零れるは無邪気な笑い声。
『貴方も……一緒に遊びましょ?』
 言葉と共に腕を広げれば、解放された白いテディベアが瞬く間に数を増やした。宙吊りにされたような熊達は無感情な瞳でアルベルトを見つめ――テレサへ接近しようとする彼へ、一斉に襲い掛かる。
 それでも、アルベルトは進路を変えない。ただ真っ直ぐオウガと鳥籠の少女を目指し、握り締めるは炎めいた装飾持つ剣、『Blaze glaive』。
「お前がアリス様に寄り添う未来は絶たせてもらう」
 一閃、揮う刃はテディベアを切り落とし、次の個体を跳ね除け、最後は串刺しに。障害全てを切り伏せる剣戟を前に、テレサは僅かに後退する。
『嫌だわ……私はお友達と遊びたいだけなのに』
 拒絶するよう、翳した手から再びテディベアを生み出す。けれどその攻撃はアルベルトへ届くより先に、美しき革命剣が切り裂き止めた。
「そんなに友達が欲しいだなんて哀れですね」
 凛と響くは幼き子の声。琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)はその大きな緑色の瞳にテレサを映し、彼女の攻撃を受け止める。
 私、一人だとしても友達を欲した事などありませんよ。紡ぐ言葉ははっきりと、オウガの歪んだ友情を否定して。繰り出す刃は最後のテディベアを切って捨てて、敵の動揺を作り出した。
 その隙に、アルベルトはアリスの鳥籠へと近付き少女の様子を伺った。流れる涙は止まることがないけれど、先程の興奮は少し冷めたようだ。虚ろな瞳は決して籠の外へ向けることなく――それがまるで、今までのアリスの生き方そのもののように感じられる。
(「……アリス様はお部屋の外をご存じない様子。そういう育て方もある?」)
 浮かぶ疑問は胸の内に、アルベルトは言葉を変えて少女へ語り掛ける。まだ、彼女に聞くべきことがある。
「お父様はアリス様を大切になさっていたのですね。お父様とは、どのように過ごされていたのですか?」
 思い出した中から、楽しい記憶を。促す金髪の執事の声に、アリスの瞳に小さく光が戻った。
「そう、パパは私を大切にしてくれたの。一緒にごはんを食べて、ご本を読んでくれて。たくさんお話もしたの」
「それは、素敵ですね。遊びや勉強はどうされたのですか?」
「べん、きょう?」
 続けて尋ねた言葉に、返ってきたのは戸惑い。その問いの意味を分かりかねているような様子だが――少し考えた後、少女はぽつぽつと答えた。
「ご本をたくさん読むのは、お勉強? 私、ひとりでだって読めるのよ」
「では、アリス様は文字が読めるのですね。書くことは」
「か、く? 考えたことがなかったわ。だって、パパにお話しすれば全部それで済むんだもの」
 ――知識はある。けれど本から得たもののみで、書くことはなく、恐らく計算だってできないだろう。元の世界によってはそれが普通であることもあるだろうが……果たして彼女の環境は恵まれていたのだろうかと、アルベルトは思案する。
 オウガを警戒していた琴子も、二人の会話を聞いて考えていた。兎の穴に落ちるように、不思議の国へと召喚されるアリス。中には、不安な場所や時から逃げたいと思った時にこちらへやってきてしまう者もあると聞くけれど――。
「アリスさんは、どこかに閉じ込められていたと感じるような場所にいたのでは?」
 そして、今鳥籠の中にいるように、心を閉ざしていたのではないか。推論を少女へ投げれば、アリスは『そうね』と呟いた。
「私、知ってたわ。パパと一緒にいるお部屋の外にも、世界が広がってること」
 外があるのだと知っていて、小さな部屋の中だけで過ごす生活。しかしそんな過去を語る時、少女は楽しそうに微笑みを浮かべるのだ。
「パパがね、ここにいるのが一番だって言ってたの。お部屋の外は、ヴァンパイアっていうのがいてとっても『危険』なんですって」
 その言葉に、はっとしたのはアルベルトだ。猟兵ならばぴんとくる、オブリビオンの名。
(「ヴァンパイア……やはりアリス様がいたのは、ダークセイヴァーなのですね」)
 夜と闇に覆われた、絶望の世界。しかしこの少女はその絶望に晒されることなく、暮らしていたのだと言うのだ。
 アリスは続ける、だから外のことは何も知らないのだと。本の中の物語は楽しいものばかりだったけど、それは本の中だけだとパパから聞かされていたのだと。
「でもパパが死んじゃったから、お外に出なくちゃいけないの。何にも知らないのに。私、不思議の国のことの方が、よっぽど知っているのに!」
 声に滲むは、悲しみと困惑と――恐怖。籠の中でアリスが震えれば、それ聞いたテレサが這うように近付いてきた。
『アリス、アリス。悲しまないで。貴女には私がいるでしょう』
 ねえ、お友達に――。
 続く言葉は、最後まで紡ぐことなく。アリスとテレサの間に割って入った琴子が、その手の剣で敵の腕に斬りつけたのだ。
『アアァァア!!』
 紅い筋生まれた腕押さえて、テレサが仰け反る。怒れる敵は再びテディベアを向けてくるが、琴子には効かない。一歩もそこを動かないことを引き換えに、ユーベルコードで全身守りを固めているのだ。
「ねえアリスさん聞こえてますか? 貴女がもしも絶望の中を彷徨って明日が見えないのなら、この手は、この足は、貴女の方へ向かいますよ」
 私、これでも王子様ですから。真摯な瞳で少女を守りながら、琴子は語り掛ける。アリスの心を動かすには、先にテレサを倒す必要がある。それでも、彼女はその誓いをアリスへ届けたかったのだ。
 敵の意識が琴子へ向かっている間に、アルベルトが駆ける。彼の周囲にテディベアはいない、絶好の機会だ。
 飛び込んだ懐、握る刀身の装飾が炎のように揺らめく。力篭めて揮う刃は、テレサの体を袈裟に斬りつけた。
『アアアアアアアッ』
 響く声は、断末魔の如く。けれど彼のユーベルコードは、これだけでは終わらない。
「危険なものは、こうして“しまう”に限る」
 言葉紡いだ瞬間、敵の身に沈む剣が光放って無数の鍵へと姿を変える。それらは全てが傷口に突き刺さり、鍵をかけ、決して抜けない『痛み』を生み出して。
『――!!』
 最後は、びくりと体を震わせて。ゆっくりと消滅していくテレサを見つめ、アルベルトは淡々と語り掛けた。
 ――私がお前にやれるのはこれのみだ、と。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第2章 冒険 『籠の鳥のアリス』

POW力ずくで籠を破壊する
SPD錠前を針などで開ける
WIZ鍵を探して開ける
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鳥籠アリスを導くのは
 オウガが消滅した世界は、しかし変わらず闇の中にあった。
 時が経てば愉快な仲間達が修復してくれるだろうが――アリスの心までは、そうはいかない。
 未だ籠の中で震える少女は、こわいのと言葉を繰り返す。
 彼女の出自はダークセイヴァーだと言うことが、猟兵達との会話でわかった。
 衣食住に困らぬ彼女の暮らしぶりは、あの世界にしては平和なものだったと言うこともできるだろう。
 それを守ってきた、彼女の父。その守り方が正しかったのかどうかは疑問も残るところだけれど――その父も、死んでしまったのだとアリスは言った。
 ただ一人の頼る者を失った、悲しみ。
 そして、本の中のこと以外何も知らぬ世界に突如放り出される、恐怖。
 これらが少女を絶望へと落としたことは、想像に難くない。
 戻ったところで、ただ一人。彼女はどう生きていくと言うのだろう?
 少女を囲う鳥籠が、大きく揺れる。籠を開ける必要もあるだろう。力ずくでも、鍵を開けるでも、それ自体は容易い。
 けれど――開いた籠から、少女と言う鳥が飛びたてるか。どこへ飛んでいくのか。
 それは猟兵達の導きがなければ、アリスと呼ばれる少女には困難なように思えるのだった。
琴平・琴子


もしも自分の両親が亡くなったら
一人で生きていけと言われたら
…私とて、それは怖いです

鍵、どこにあるのでしょうね
アリスさん見覚えとかありませんか?
籠の中にあったりとか…あとは、アリスさん自身でしょうか

怖がるお気持ちも理解できます
ですが、アリスさんのお父様はその姿を見て安心できるでしょうか
【勇気】を【鼓舞】し、踏み出す一歩が怖いのならどうかこの手を取って【手を繋いで】頂けないでしょうか
手を引っ張るのは簡単です

始めの一歩はご自身の足でないと意味が無い
そう思う気がして、ならないのです


数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。



 闇に浮かぶ鳥籠を見上げ、琴子は真っ直ぐアリスへと歩みを進める。
(「もしも自分の両親が亡くなったら、一人で生きていけと言われたら。……私とて、それは怖いです」)
 自分を愛し大切に育ててくれた両親。そんなもしもがあったら――思いながら黒髪を揺らして、琴子は周囲を見回した。
「鍵、どこにあるのでしょうね。アリスさん見覚えとかありませんか?」
 問いかけるが、少女はうつむいたまま首を振る。それは確かに琴子への返答だろうけれど、幼い娘は考える。外へ出るために、必要な鍵。例えそれがすぐ近くにあったとしても、未だ外に怯えるアリスは気付かないのではないだろうか。
(「籠の中にあったりとか……」)
 もしくは、アリス自身が鍵なのかもしれない。鳥籠をのぞき込もうとするが、宙に浮くそれは琴子には高すぎて、死角が多すぎる。
 それでもなんとか、とつま先立ちで見ようとすれば、彼女の横に真っ赤な宇宙バイクが滑り込んできた。
「アタシの力が入用かい?」
 バイクを操る女性、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が声を掛ける。そしてそのまま琴子を【宇宙カブJD-1725】の後ろに乗せると、エンジンかけて跳躍した。
「――!」
 鳥籠を飛び越え、その上から。見下ろし琴子が視線巡らせれば、鳥籠の隅に金色の鍵が転がっている。
 きっと、あれがアリスの鳥籠の鍵だ。このまま近付き鍵を取ることもできるだろうけれど、でも――。
 琴子の想いを察したように、多喜が頷く。そして彼女はそのまま地面へ着地して、琴子をアリスの前へと連れて行った。
「アリスさん」
 緑色の瞳を真っ直ぐ向けて、琴子はアリスへ呼びかける。王子様である彼女は、手を差し伸べる者になりたいから。
「怖がるお気持ちも理解できます。ですが、アリスさんのお父様はその姿を見て安心できるでしょうか」
 狭い籠に閉じ籠り、震えるアリス。彼女を守ってきた父親であれば、娘の今の姿を望んだりはしないだろう。
「踏み出す一歩が怖いのなら、どうかこの手を取って手を繋いで頂けないでしょうか」
 琴子が差し出すのは、小さな手。迷いのないその手は、アリスを光ある場所へ導ける。――しかし、それは彼女が応えるならばの話だ。手を引っ張ることは簡単だけれど、それではだめだと琴子は思う。
(「始めの一歩はご自身の足でないと意味が無い。そう思う気がして、ならないのです」)
 だから、琴子は籠の外でアリスを待つ。進むべき道が見つかれば、そこへ連れて行ってみせると。
 その姿は凛々しくて、顔上げたアリスは茫然と見つめる。そして、小さく呟いたのだ。
「私――ここを出ても、大丈夫なのかな」
 その声にはまだ戸惑いが多く滲んでいるけれど。やっと前を向き始めたアリスを見て、琴子はほっと息を漏らした。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

シャルロット・リシュフォー

お父様と、彼の庇護で暮らす部屋
それだけが彼女の世界、彼女の人生だったのですね
その全てが壊れてしまったのなら
彼女の絶望も納得です

「どんなに嘆いてもお父様は戻らない。それでも貴女は生きていかなければならない。―恐らく、貴女のお父様がそう願っていたように」
「それを前提に話をしますね。アリスさん、貴女の本来の世界―ダークセイヴァーは、確かに貴女に優しくない所もある場所です。でも、あの世界の人々はとても優しいんですよ」
「ヴァンパイアという共通の敵が居るせいなのでしょうか。その分人間同士の結束は強いんです。弱者でも見捨てない、お互いに助け合うんだ、と。だからアリスさん、貴女を助けてくれる人も居るんです」



 鳥籠の外へ、栗色の瞳を向けるアリス。しかしその表情は未だ昏く、シャルロットは彼女の境遇を思い小さく眉を寄せた。
(「お父様と、彼の庇護で暮らす部屋。それだけが彼女の世界、彼女の人生だったのですね」)
 その全てが壊れてしまったのなら、彼女が絶望したことにも納得がいく。しかしそれでも、そこから掬い出したいとクリスタリアンの少女は思うから。
「どんなに嘆いてもお父様は戻らない。それでも貴女は生きていかなければならない。――恐らく、貴女のお父様がそう願っていたように」
 ゆっくりと言葉を紡ぎながら、シャルロットはアリスの前に立つ。見上げれば、少女達の視線は交わって。相手の瞳に浮かぶ不安を払うように、シャルロットは微笑みながら口を開いた。
「それを前提に話をしますね。アリスさん、貴女の本来の世界――ダークセイヴァーは、確かに貴女に優しくない所もある場所です。でも、あの世界の人々はとても優しいんですよ」
「あなたは……知ってるの? 私と、パパのいた世界のこと」
 尋ねる言葉、瞬く瞳。それにシャルロットは頷き答える。アリスが知らぬ、彼女の本来の世界。その姿の一端を、教えることができるのだと。
「ヴァンパイアという共通の敵が居るせいなのでしょうか。その分人間同士の結束は強いんです。弱者でも見捨てない、お互いに助け合うんだ、と」
「人間……怖いヴァンパイア以外にも、人がいるのね?」
 確かめるように紡がれた問いにも、シャルロットはそうですと肯定して。ヴァンパイアに支配された世界にも、懸命に生きる人々がいることを少女へ教えた。
「だからアリスさん、貴女を助けてくれる人も居るんです」
 一人で、怯える必要はないのだ。周囲に助けを求め、支え合い――そうして生きていけるのが、少女のいた世界だから。
 ゆっくりゆっくり真摯に語り掛けるシャルロットは、アリスの変化に気付いていた。絶望に沈んでいた表情は前を向き、その瞳には小さく光が煌めいている。
 それは、見つけた希望を求める光。絶望の闇から抜け出そうとするその表情に、シャルロットは優しく笑いかけた。
大成功 🔵🔵🔵

蓮条・凪紗
いつもと然程変わらぬ笑みで声かけよか。
飄々と自然体でアリスのお嬢に接し。

おとん亡くなりはったのはご愁傷様や。
独りぼっちなって寂しい上に、ましては箱入りやったもんな。
お外は怖いって聞いとったんやね。

でもお嬢、考えてみぃ?
既にお嬢は家の外である、この世界で逞しく生きて、此処まで来れたやないの。
途中で脱落しとる子も多いのに大したもんや。

あともう一つお嬢が知らん事伝えるわ。
さっきのオウガと同じように、吸血鬼もオレらの仲間でぶちのめしとる最中や。
向こうじゃあんま知られてへんけどな。
(しぃっと人差し指を口に当て)
吸血鬼もオウガも大差あらへん。

彼方と此方と、好きに選ぶとエエ。
お嬢が大人になりたい道を進みや。



「そうや、この世界の愉快な仲間達みたいにな」
 顔を上げたアリスへ笑み浮かべて、シャルロットと言葉重ねるのは蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)。彼は常盤色の髪を揺らして歩み寄り、飄々と自然体で鳥籠の少女へ語り掛ける。
「おとん亡くなりはったのはご愁傷様や。独りぼっちなって寂しい上に、ましては箱入りやったもんな。お外は怖いって聞いとったんやね」
「そう、そうなの。私、お外のことは何にも知らなくて、こわくって……」
 紡ぐ声は震えて、少女は縋るように凪紗を見た。助けを求める、栗色の瞳。その心を解きほぐそうと、陰陽師の青年は悪戯っぽい笑顔で続ける。
「でもお嬢、考えてみぃ? 既にお嬢は家の外である、この世界で逞しく生きて、此処まで来れたやないの」
「あ……」
 凪紗の言葉に、少女は思わず声を漏らした。そしてここまでの道程を思い出す。追いかけてくる恐ろしいオウガ、助けてくれた愉快な仲間達、渡る世界はどこも素敵で、楽しくて――。
「途中で脱落しとる子も多いのに大したもんや」
 それは、『アリス』として生きた少女を肯定する声。そう、彼女にはすでに一人で生き抜く力があるのだ。未知の世界に足を踏み出し、初対面の者と打ち解け、力を借りて進む力が。
 拳を握るアリスの姿に頷いて、男はあともう一つ、と言葉を続ける。
「あともう一つお嬢が知らん事伝えるわ。さっきのオウガと同じように、吸血鬼もオレらの仲間でぶちのめしとる最中や」
 向こうじゃあんま知られてへんけどな。小声でしぃっと、人差し指を口に当てながら語れば、アリスが瞳を瞬かせる。
「お兄さんの、仲間が? 吸血鬼――ヴァンパイアを、倒してくれる人がいるの?」
「そうや、吸血鬼もオウガも大差あらへん」
 凪紗の頷きに、金髪の少女はさらに瞳をパチパチさせる。そうしながら彼女は彼の言葉を咀嚼しているのだ――考えることが、できるようになったのだ。
「じゃあ、それじゃあこの世界も、ダークセイヴァーも……」
 もしかしたら、あまり変わらないんじゃないかしら――。
 恐ろしい化け物がいるけれど、それを倒してくれる人がいる。共に生きようと助けてくれる人がいる。生き延びながらも進む先、見える景色は違うのだろうか?
「彼方と此方と、好きに選ぶとエエ。お嬢が大人になりたい道を進みや」
 どちらを選んだって、大丈夫だから――ゆるり笑いながら告げた凪紗は、そのままさりげなく鳥籠へ近付き中へと手を伸ばす。
 手に入れたのは、金の鍵。それを鳥籠につけられた錠前へ差し込めば、カチャンと音立て扉は開いた。
大成功 🔵🔵🔵

アルベルト・エコーズ


鳥籠が揺れた時はそっと支えましょう
こじ開ける事も可能ですが…
アリス様の「こわい」を増やしたくはありません
開けるかどうかはアリス様の心に任せましょう
…それは、酷な事かもしれませんが

アリス様
お父様から教わった事の続き…
お勉強をこの不思議の国でやる、というのは如何でしょう
アリス様はご本が読めます
読めるという事は多くを知れるという事
知識は力となります
それは、未知であるお部屋の外での生活でも役立つでしょう

恐れを超える力を手に入れてから、扉を通る
それも一つの生き方ではないかと

いつか帰らねばと匂わすのは卑怯かもしれない
だがアリス様は
外に出なくてはと言っていた
理解していた

ならば
踏み出す勇気を得られれば
きっと



 キィと音立て、扉開いた鳥籠が揺れる。それをそっと手で支えながら、アルベルトは中のアリスの様子を伺った。
 扉は開いた、後は少女がその外に出るだけ。力ずくも可能だが――それは避けたいと、ヤドリガミの男は思う。
(「アリス様の「こわい」を増やしたくはありません」)
 だから、扉を押し開き飛び出すかどうかは、彼女の心に任せたい。それは酷なことかもしれないけれど、彼自身が鍵のヤドリガミであるからなおのことそう願うのだ。
 扉を確かめるように顔向けたアリスと、アルベルトの視線が交わる。その瞳にまだ少しの迷いがあるのを感じ取って、男は彼女を導く言葉を紡ぐ。
「アリス様。お父様から教わった事の続き……お勉強をこの不思議の国でやる、というのは如何でしょう」
「……お勉強を?」
 聞き返すアリスに、アルベルトは頷く。彼女は、本が読めるのだと言った。それであれば、この世界でも学ぶことができるから。
「読めるという事は多くを知れるという事。知識は力となります。それは、未知であるお部屋の外での生活でも役立つでしょう」
 それは、このアリスラビリンスでも、そしてダークセイヴァーでも。身につけた知識を『恐れ』を超える力にして、それから扉を通る――それも、一つの生き方ではないかとアルベルトは語った。
(「いつか帰らねばと匂わすのは卑怯かもしれない。だがアリス様は、外に出なくてはと言っていた。理解していた」)
 ならば、踏み出す勇気を得られればきっと――。
 願いを篭めて、アルベルトはアリスを見守る。すると少女は顔を上げ、真っ直ぐ彼を見つめながら口を開いた。
「今、答えを出さなくていいの……? それなら私、もっと世界を知りたいわ」
 パパが読んでくれたみたいにご本をたくさん読みたいし、いろんな人のお話を聞きたい。そう語る彼女の表情には、ひとつの決心が見て取れた。
 そうしてアリスは、鳥籠から飛び出す。扉を押し開き、自分の足で着地して――未だ不安げな表情で見上げてくるその少女に、その勇気に、アルベルトは恭しく一礼した。
大成功 🔵🔵🔵


第3章 集団戦 『道先案内人』

POW ●どうぞアリス、それを連れて一緒にお逃げください
戦闘用の、自身と同じ強さの【アリスを追い立てる獣たち】と【怪我をしているリス】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD ●おやおや、オオカミに食べられたのでしょうか?
自身と自身の装備、【任意のアリスである】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
WIZ ●そうそう、ここから先は道が険しくなっておりますよ
見えない【ように隠れた『道先案内人』による地形変化】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●扉の前へ
 鳥籠から飛び出し、猟兵達の前へ降り立って。少女は周囲の猟兵達へありがとうと言葉紡いで、それから小さく微笑んだ。
「私、決めたわ。もう少し、この世界で過ごしてみる。だってまだまだ知らないこと、知りたいことがたくさんあるんだもの! それで……元の世界にもっと興味がわいた時、扉をくぐろうと思うの」
 それは、猟兵達の導きによって、彼女自身が選び取った道。絶望から抜け出したアリスの表情は晴れやかで、安堵した猟兵からはため息が零れる。
 オウガも倒し、アリスの心も掬った。これで一件落着といきたいところだが――まだ払いきれぬ災いがあることを、猟兵達は理解していた。
 いずれくぐることになる、アリスの『扉』。それを確かめようと少女に道案内頼み進んでいくと、それは居たのだ。
 黒衣に身を包み、顔があるはずのところは覆面で覆われて。袖からのぞく青い手で少女を手招く、邪悪な存在達。
『アリス、どうぞこちらへ。あなたの道は、この扉とは別の場所にありますよ』
 行くべき場所を教えましょうとそれらは告げるけれど、猟兵達にはわかっている。彼らもまた、オウガなのだ。誘いに乗ってはいけない。
 彼らは群れとなって、アリスの『扉』の前に立ちはだかっている。片付けておかなくては、いずれアリスが帰りたいと願った時の障害となってしまう。ここで戦い仕掛ければアリスもまた狙われるだろうが、放置するわけにもいかない――。
「ええと、これ……どう考えても、怪しいわよね?」
 少女の栗色の瞳が、猟兵達を見る。戦いになることを説明すれば、アリスは猟兵達に従いおとなしくしたり身を隠したりするだろう。
 少女の安全を守りつつ、数多のオウガ――道先案内人を撃破する。そこまで完全にこなしてこそアリスを掬うことになるのだと、思う猟兵達は敵と対峙するのだった。
琴平・琴子
その意志、その心、先程までの臆病なアリスさんと違ってとても立派ですよ
貴女のその一歩が輝かしくあるために
私はこの道を切り裂いて行きましょうか

道先案内人ですって?
その道は明るくなさそうなのでお断りしますね

アリスさん、後ろにいて下さいね
この体は彼女を守りますから

スカート翻し、落とすのは玩具の兵隊達
ブリキはアリスさんの守りを重視して下さい
どんなに道が困難でもそれに立ち向かうのが兵士というもの

道先案内人だなんて御冗談を言わないでください
貴方がたが地に落ち這いつくばるのでしょう?



 扉の前に立ちはだかり、別の道へと誘うオウガ達。それらを前にアリスが足を止めているのは、彼女がすでに道を決めたからに他ならない。
 膝を抱えて震えていた少女が、今は真っ直ぐに立って目の前の障害を見つめている。そんな姿に小さく微笑んで、琴子はアリスの前へ進み出た。手にした細身剣で風切れば、ペリドットが気高き光を放つ。
「その意志、その心、先程までの臆病なアリスさんと違ってとても立派ですよ」
 彼女のその一歩が、輝かしくあるために。琴子は、この道を切り裂いて行こうと思うから。
「アリスさん、後ろにいて下さいね。この体は彼女を守りますから」
 誓いを言葉にすれば、アリスが『わかったわ、ありがとう』と返して琴子の後ろへ身を隠した。あの日助けてくれた王子様のように。この少女を守ってみせようと、幼き王子様は敵へと瞳を向ける。
 すると、それに反応するように――数体のオウガの、姿が消えた。
『そうそう、ここから先は道が険しくなっておりますよ』
 虚空より響く声は、道を示すように聞こえて困難へと誘うよう。次にくるであろう攻撃を警戒しながら、琴子は凛と声と張り上げた。
「道先案内人ですって? その道は明るくなさそうなのでお断りしますね」
 ふわり軽やかに跳ねれば、緑色のスカートが風に踊る。そして現れたのは、彼女のユーベルコードである玩具の兵隊達。
 彼らは短い手で器用に銃剣を操り、琴子の示す敵達へとその銃口を向けて――。
「どんなに道が困難でもそれに立ち向かうのが兵士というもの! 一斉射撃準備良し! 放て!」
 主の声に応じて、引かれる引き金。見た目愛らしい兵隊達だが、その威力は確かなものだ。身を隠す者すら構わず襲う銃撃に、二体、三体と道先案内人が倒れていく。
「御冗談を言わないでください。貴方がたが地に落ち這いつくばるのでしょう?」
 道の案内など、不要だと。背にアリスを庇う琴子は、そうはっきり断じて敵を撃破していくのだった。
大成功 🔵🔵🔵

政木・朱鞠(サポート)
確かに集団相手の対応は厄介だけど悩む時間が勿体ないし、困っている人をほったらかしにしてたら、あっと言う間に未来が過去に喰い潰され無いように、今は目の前のターゲットを倒すことに集中しないとね…。
死ぬこと以外はかすり傷とまでは言わないけど、ここで退くわけには行かないよね。

戦闘
相手は多勢…手数で押し負けないようにしないとね。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして、『咎力封じ』を使用して動きを封じて、【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い【傷口をえぐる】でダメージを与える戦法を取ろうかな。

アドリブ連帯歓迎



 ゆらりゆらりと揺れながら、誤った道へと誘うオウガ達。その姿を深紅の瞳で見つめながら、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は拷問具『荊野鎖』を握り締めた。咎人襲う棘のついた鎖が、じゃらりと重厚な音を立てる。
 敵は複数。集団相手の対応は厄介だけれど、悩む時間がもったいない。それに、困っている人を放っておけばあっという間に未来が過去に食い潰されてしまうのだ。
「今は目の前のターゲットを倒すことに集中しないとね……」
 言葉紡ぎ、ユーベルコードを発動すべく身を低くする。それを警戒したか敵は青い手広げて蠢き始めるが、朱鞠に襲い掛かるより先に拘束具が彼らを動きを封じた。
 妖狐の手が、鎖を操る。それは彼女の手足の如く自在に宙を舞って――一体、二体と敵に絡みつき、黒き衣を裂き、その体へ棘を突き刺していく。
「死ぬこと以外はかすり傷とまでは言わないけど、ここで退くわけには行かないよね」
 くすり笑えば、狐の尻尾も揺れて。朱鞠は敵を動きを封じながら、確実に黒き人型達の数を減らしていくのだった。
成功 🔵🔵🔴

シャルロット・リシュフォー
立ち上がって前に進む決意をしたんです
その道行きを阻むことは許しませんよ
「アリスさんに見ていって貰いましょうか
オウガや吸血鬼と戦う、猟兵の頼もしさを!」

アリスさんの近くで敵を警戒しつつ【双翼舞華】で案内人達を攻撃していきますです!
「さあ行って、アストライア!子供を良くない所に連れて行こうとする人はお仕置きです!」
数を減らしていけば、隠れても居られなくなるはずですぅ
念の為、自分やアリスさんの足元には十分注意を払って
異常が起きたらすぐアリスさんを連れて退避出来るようにしますです!

無事撃退したら、アリスさんにエールを送って帰還です
「助けて欲しくなったら声を上げて下さい。きっと聞き届ける人が居ますから」



 猟兵達の攻撃受けて、黒衣のオウガ達は警戒するように重なり合った。
 それは、アリスが扉へ進むのを妨害するように。そして口々にこう言うのだ。
『アリス、この道は間違っていますよ』
『アリス、あなたの道はこちらです』
『――そうそう、ここから先は道が険しくなっておりますよ』
 一体がそう告げ、身を隠せば地面が波打つ。地形変え惑わせる敵に、シャルロットはアリスを護るように前へ出る。両の足で地を踏みしめて、構えるのは双子剣。
(「立ち上がって前に進む決意をしたんです。その道行きを阻むことは許しませんよ」)
 そのために、この力を揮おう。決意に剣を強く握り締めて、少女は煌めく紫色の髪を揺らして声を上げた。
「アリスさんに見ていって貰いましょうか。オウガや吸血鬼と戦う、猟兵の頼もしさを!」
 アリスラビリンスでも、ダークセイヴァーでも、猟兵達はきっとこの先もアリスの力となる。それをどうか覚えていてほしい――願う少女はアリスを背に庇いながら、金と銀の剣を天にかざした。
「アストライア展開形態……!」
 紡ぐ言葉が、ユーベルコードを発動させる。『アストライアの金なる護り』、『アストライアの銀なる護り』。そう名付けられた双剣は、一瞬の内に砕けて散った――ように見えた。
 しかし彼女の護りは、ただ形を変えたのだ。金と銀の輝き放つ、無数の宝石の花弁。その美しい煌めきは、未だ闇に沈むこの絶望の国を明るく照らして。
「さあ行って、アストライア! 子供を良くない所に連れて行こうとする人はお仕置きです!」
 声に応え、花弁が動く。それは立ちはだかる敵も、身を隠す敵も、等しく襲い掛かり降り注いで。
 宝石の嵐に、道先案内人が次々と消滅していく。遠距離攻撃ができる敵でも、その隙与えず倒してしまえばアリスが傷付くこともない。そうして周囲の敵を一掃すると、シャルロットはアリスへと振り向き、にっこり笑って語り掛けた。
「助けて欲しくなったら声を上げて下さい。きっと聞き届ける人が居ますから」
「うん。ありがとう」
 そう、今シャルロットが少女を助けているように、この先もきっと。信じるように頷くアリスを見て、シャルロットはもう一度笑顔を浮かべるのだった。
大成功 🔵🔵🔵

アルベルト・エコーズ
アリス様
どうか、ご自身が安全と感じる場所へ
私は、アリス様が選ばれた道を守りに行きます
怪しい者の対応は、お任せを

敵がアリス様に近づけぬようアリス様を背にした形で戦闘を
向かってきた獣たちをアリス様から離すように薙ぎ払い
奥へ押しやったそこでUC
案内人も射程に捉えられればいいのですが
範囲外であれば剣での直接攻撃や槍を放つなど対応を
…リスは無害かもしれませんが
アリス様を捕らえる為の罠なら容赦はせず

お前達はアリス様が選択した道を誤りだと言った
アリス様の道は
誰よりもアリス様自身が知っているというのに
その非礼は身を以って詫びるがいい

…アリス様は多くの事と出逢うのでしょう
どうか
その未来に、幸いが溢れますよう



 猟兵達の活躍により、道先案内人はその数を減らしていた。それでも、彼らはアリスを通すまいと扉の前で蠢いている。この世界を作り替えた、テレサに命令でもされていたのか――。
『どうぞアリス、それを連れて一緒にお逃げください』
 オウガの一体が、言葉紡いで召喚のユーベルコードを発動する。現れたのは傷付いたリスと、それを追い立てる獰猛な獣達。それらはアリス目掛けて駆けてくるが、その前にアルベルトが立ちはだかった。
「アリス様。どうか、ご自身が安全と感じる場所へ」
 男がそう声掛ければ、アリスは頷き後退する。けれど、少女は逃げはしない。猟兵達の傍が一番安全だと、彼女は信頼を寄せてくれているのだ。
 その期待に、必ずや応えようと。執事の男は『Blaze glaive』を握り直して敵を見据える。アリスが選んだその道を、守ることこそ務めだと思うから。
「怪しい者の対応は、お任せを」
 少女を背に庇い、アルベルトが地を蹴る。獣達もまた、男へ飛び掛かろうと向かってくるが――炎の剣の一薙ぎが、その身を後方へと吹き飛ばした。
『――!』
 声にならぬ咆哮。後方へと押し込まれた獣達は難なく着地し再びアルベルトを睨み付けるが、その間に男はユーベルコードを編み上げて。
「通してもらう」
 彼の周囲に現れたのは、無数の金の鍵。アルベルトの本体と全く同じ形状したそれらが矢のように放たれれば、獣達も道先案内人も、攻撃受けてかき消えていく。
 打ち漏らしたリスも、罠の可能性高いからと刃で切り捨てて。男はそのまま踏み込んで、撃ち漏らしたオウガ達へ迫る。
「お前達はアリス様が選択した道を誤りだと言った」
 男の金の瞳は、冴え冴えとした光を放っている。この少女が絶望し、葛藤し、やっと選び取った道。その過程を見守ってきたアルベルトにとって、オウガ達の言葉は許せないものだった。
 ――アリス様の道は、誰よりもアリス様自身が知っているというのに。
 執事の男の手が、『White blitz』を掴む。無垢な心映して輝く、白銀の槍。道先案内人が対応するより早く、アルベルトは跳躍してそれを放った。
「その非礼は身を以って詫びるがいい」
 言葉と共に降り注ぐ槍、それは一条の雷の如く。頭上よりの一撃受けた最後の道先案内人は、声も上げることなく虚空へと消え去っていった。


 オウガが全て撃破された後、そこに残るは扉のみ。
 アリスはそれにそっと近付いて――開くことなく振り向いて、猟兵達へ笑顔を浮かべた。
「ありがとう! 私、いつか必ずこの扉から帰るから」
 きっとその時には、この絶望の国も愉快な仲間達に修復されて美しい光景が広がっていることだろう。アルベルトは小さく微笑んで、アリスへ願いを口にした。
「……アリス様は多くの事と出逢うのでしょう。どうかその未来に、幸いが溢れますよう」
 それはきっと、尽力した猟兵達も同じ想いだろう。絶望から掬い出せた、少女の笑顔。その明るい表情のまま、この扉をくぐれるように――彼らはそう願いながら、アリスへ別れを告げるのだった。
大成功 🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年07月08日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴