●『天鳥船』
巨大鉄甲船。
それは、サムライエンパイアのオブリビオンフォーミュラ・第六天魔王『織田信長』がエンパイアウォーにて用いた巨大水上艦である。戦争によって海中に没した巨大鉄甲船は、戦後、猟兵によって引き上げられ、徳川幕府による修繕が行われていた。
幕府直轄の造船所で修復された鉄甲船『天鳥船(アメノトリフネ)』もその一隻である。
――その『天鳥船』から、いま不気味な紫色の光が立ち上っていた。
●グリードオーシャンへの道~海底火山帯
「皆さん、お集まりいただき、どうもありがとうございます」
電脳魔術師のアイ・リスパー(f07909)が猟兵たちの前に3次元立体映像を表示した。それは、先のエンパイアウォーの後に引き上げ、修復された鉄甲船の一隻『天鳥船』のワイヤーフレームモデルだ。
鉄甲船『天鳥船』は、数百人は楽に乗れるほどの巨大な船である。大きな帆と無数の櫓を動力源として推進し、鉄の装甲と多数の大砲で武装した船体は、サムライエンパイアの外洋航海にも耐えられると考えられている。
「この巨大鉄甲船のスペックを考えると、織田信長が最期に残した言葉『グリードオーシャンへの侵略』とは無関係とは思えません。そして、いまここに、もう一つ『グリードオーシャン』との繋がりが明らかになりました」
それは、ヒーローズアースで戦い、何故かサムライエンパイアに現れて儀式をおこなっていたレディ・オーシャンを撃破したことによって起こった現象だ。レディ・オーシャンの撃破と時を同じくして、鉄甲船が『紫色の光』を発生するようになったのだ。
「鉄甲船の艦首から放たれる光は、一定の方角を指し続けています。まるで、どこかに導こうとするかのように」
この謎を明らかにするため、『天鳥船』による外洋調査計画が行われることになったのであった。
「ですが、外洋は未知の領域。調査も危険を伴うものになるでしょう」
予知によれば、『天鳥船』の航路上には活発な海底火山が待ち受けているという。
海上から顔を出した噴火口からは、絶え間ない噴火によって火山弾が打ち上げられている。
雨のように降り注ぐ大小様々な灼熱の岩石。いかに鋼鉄の装甲を持つ鉄甲船といえど、火山弾の直撃を受け続けては沈没を避けられない。
「そこで皆さんには、火山弾を撃ち落としたり、鉄甲船の守りを固めたり、船の速度を速めたりと、この海底火山地帯を無事に切り抜けていただきたいのです」
『紫の光』の導きに従うには、この海域を避けるわけにはいかない。何としても船を守り抜く必要がある。
「この海域には、それ以外にも脅威が待ち受けていると思いますが……。皆さんでしたら、無事にグリードオーシャンの手がかりを持ち帰ってくださると信じています」
そういうと、アイは巨大鉄甲船『天鳥船』へのゲートを開くのだった。
高天原御雷
オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
今回は、サムライエンパイアでの外洋調査です。鉄甲船に乗って危険な海域を突破してください。
その先には、グリードオーシャンへと繋がる手がかりがあるはずです。
なお、途中の章からの参加も大歓迎です。(その場合、鉄甲船に乗っていた扱いとなります)
以下、シナリオ詳細です。
●一章:冒険
一章は、空から火山弾が降り注ぐ海底火山地帯をいかに抜けるか、という冒険になります。
火山の海面から出ている部分は航海には支障はないものの、絶え間ない噴火によって火山弾を雨あられと降り注がせています。船への被害を抑えるように対応をお願いします。
●二章:集団戦
詳細は二章に入ったときに説明いたします。
●三章:ボス戦
詳細は三章に入ったときに説明いたします。
●鉄甲船『天鳥船』について
数百人が乗れる規模の大型の鉄甲船です。
鉄の装甲と多数の大砲を装備しています。
動力は、巨大な帆による風力と、櫓による人力(幕府の皆さんが協力してくれています)です。
飲み物、食べ物は十分にあるのでご心配なく。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 冒険
『脅威の海洋災害』
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POW : 肉体の力で体力任せに海洋災害に立ち向かいます
SPD : 素早い行動力や、操船技術で海洋災害に立ち向かいます
WIZ : 広範な知識や、素晴らしいアイデアなどで海洋災害に立ち向かいます
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィーナ・ステラガーデン
冬の海ならへっちゃらよ!太陽も暑くないわ!!(艦首上でガイナ立ちで風を浴びつつ)
それにしても冒険心がうずくわね!この光の先に何があるのかしら?鍋かしらね!
(火山を見つつ)おおー!なかなか見れる光景じゃないわねこれ!景気がいいわ!
とりあえずはそうねえ!振ってくる火山弾目掛けて【属性攻撃】による火球やら爆破やらで打ち落としたり砕いたりしていくわ!
やばくなってきたら奥の手よ!
上空に質量のある炎の壁(UC)を撒き散らして船を面で防ぐとするわよ!
こんなもんじゃ私達の冒険は止められないわよ!
(アレンジアドリブ連携大歓迎!)
エメラ・アーヴェスピア
こちらでも判明している外側の世界…SSWに…規模が小さいけれどDSにもそんな話が合ったわよね…
これは一度、他の世界も気にしてみるべきかしら…いけない、今は今回の仕事ね
何が起こるかわからないし、慎重に行きましょうか
さて、やれる事はいろいろと浮かぶのだけど…
猟兵の中でやれる人が少なそうな行動をしましょうか…趣味と実益を兼ねて、ね
『我が紡ぐは戦装束』、対象は船、蒸気船にしてしまいましょう
と言っても内部に手を入れる訳にはいかないから外付けでの強化になるけれど
他には浮遊型の防御装置も付けておくべきかしら…まぁ必要に応じて付けましょう
…戦装束…水回りの稼働データだけ妙に増えていくわね…
※アドリブ・絡み歓迎
彩波・いちご
【恋華荘】
未知の世界への船旅ワクワクしますよね
危険もありますけれど、せっかくなので楽しんでいきましょう
件の海域までは船員の皆さんとも仲良くなれるよう交流を
料理の手伝いしたり、娯楽代わりに歌を提供したり
あとまゆさんが船酔いしないように面倒見たり
甘えてべったりしてくるのは、嬉しいですけどっ(なでなで
「火山弾…可能な限り私が打ち消しますね?」
歌声で無機物を破砕するコツはとある先輩アイドルから学びました
今こそその時
船の舳先に立って【天使のような悪魔の歌声】の超音波で、船に直撃しそうな火山弾を破砕していきますよ
歌は皆さんを鼓舞できるような勇壮な曲を
まゆさん、消しきれなかった分のフォローはお願いしますねっ
白雪・まゆ
【恋華荘】
いちごさんは、おねーちゃん。
おねーちゃんと未知の世界への船旅なのです!
安全な旅というわけではないですけど、
2人で旅行なんて初めてですので、ちょっと嬉し楽し、なのですよ♪
火山の海域に着くまでは、おねーちゃんにべったり甘えて、
いまのうちに、No.1妹の座を不動のものにしておくのです!
おねーちゃんが火山弾を歌声で消していくみたいですので、
わたしは、おねーちゃんの息継ぎの間や、
消しきれずにとんできたものを【Cannonball Crush】でたたき落としていきますですね。
「おねーちゃんと鉄甲船は、わたしが守りますのですよ!」
船が沈んじゃったら、おねーちゃんと旅行もできなくなってしまうのです。
ミスタリア・ミスタニア
鉄甲船か、戦争中に沈めた時にも思ったが水の上に浮かぶ船ってのはどーにも違和感があるな?
オマケにこの貧相なナリで軍艦とか言われてもなぁ
まぁそこは世界の違いと納得するしかないだろうな。それよりも仕事の時間だな
鎧装のプラズマジェットで鉄甲船の上空を飛ぶぜ
そのまま船を護るように前に出て、射程まで引き付けて【フルバースト・マキシマム】だっ!
メガビームランチャーを発射したまま横薙ぎにして纏めて吹き飛ばして、射ち漏らした小さめの火山弾はアームドビットとダガービットで迎撃するぜ
そんでもってデケェやつはランチャーの冷却待ちの間に突っ込んで対艦用大型パイルバンカーで粉砕してやる!
冷却が終わったらもう一回全掃射だ!
大神・狼煙
巨大な機械の掌を呼び出して、船を包み込むように浮遊させれば、火山弾『は』問題ない
問題は、帆船である故に風を受けるため隙間を作らねばならず、間から潜り込む火山弾の欠片はその都度弾かなくてはならないこと
そして火山弾が海面に落ちて発生する衝撃を防げないこと
船が揺れるのはどうにでもなる
衝撃に合わせて重心を傾け、関節の屈伸でいなせばいい
問題は火山弾の欠片
例え小さな欠片でも、木造の船をぶち抜くには十分
鉄の装甲部分は大丈夫と信じて、船体を守る為に構え、落下してくる物には爆薬を投擲
破壊する必要はなく、甲板に落とさず海に逃すだけなら、UCである必要はない
直上からくるデカブツだけ防いで、後は弾いて逃げ切りましょう
●船上パーティー
「冬の海ならへっちゃらよ! 太陽も暑くないわ!」
金髪赤目のダンピール魔女フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)が、鉄甲船『天鳥船』の舳先で両腕を組んでデーンと立ちながら海に叫ぶ。身にまとった黒い外套が海風になびき、細く細やかな金髪が風に揺れた。
暗黒世界ダークセイヴァーの雪国出身であるフィーナにとって、冬のエンパイア外洋に吹く風の冷たさは故郷の寒さを思い起こさせる心地よいものだった。
「それにしても冒険心がうずくわね! この光の先に何があるのかしら? 鍋かしらね! きっとサムライエンパイアの竜宮城とやらの名物、海鮮鍋に違いないわね!」
遥か遠い水平線を眺めるフィーナの頭は、タイやヒラメやスッポンが煮込まれた鍋への期待で一杯だ。
「さすがに、この先に鍋はないのではないかしら?」
フィーナの叫びに思わずツッコミを入れたのは、黒を基調としたドレスを着た幼い少女、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)である。長い金髪と緑色の瞳を持ったその姿は、まるで人形のようだ。だが、幼い頃に身体を機械化し成長が止まった彼女の実年齢は、外見から推し量ることはできない。エメラの魔導蒸気技術者としての熟達した知識と技術が、彼女が外見通りの少女ではないことを如実に示していた。
エメラが『天鳥船』の舳先にいたのは偶然ではない。彼女は舳先から進行方向を眺め、『世界の外』に思いを馳せていたのである。サムライエンパイアの他にも、スペースシップワールド、ダークセイヴァーといった世界では、これまで知られていなかった『世界の外の未踏査領域』の調査が始まっている。アックス&ウィザーズでも天空に浮かぶ広大な群竜大陸が発見されたという。ヒーローズアースの戦争も、知られざる文明からの侵略であった。
これは、他の世界でも『世界の外』を気にしてみる必要があるのではないか。エメラがそう思索に耽っていると、隣で同じ様に悩んでいたフィーナがポンと手を打って、閃いた考えを口に出した。
「そうか、鍋がないなら刺し身で我慢すればいいのね!」
「いえ、そもそも、私達は外側の世界を調査しにいくのであって、食べ物を探しに行くわけではないのよ?」
タイやヒラメの刺し身とスッポンの生き血で脳内を埋め尽くしたフィーナに、エメラがさらなるツッコミを入れた瞬間。
「おや、お嬢さん方、お刺身をご所望で?」
キラーンと眼鏡を光らせてフィーナとエメラに声をかけてきたのは、怪しげな眼鏡……もとい、喫茶店の店主、大神・狼煙(コーヒー味・f06108)だ。その手に持つのは一本の釣り竿。足元にはピチピチと跳ねる魚が入ったクーラーボックス。船の舳先でのんびり釣り糸を垂れていた狼煙なのだった。
「あーっ、タイじゃないの、それっ!」
「ええ、タイもヒラメも釣れましたよ。何なら、今ここで捌きましょうか?」
ロングコートを仕立て直した『店長のエプロン』を取り出して身につけた狼煙は、シャラリ、と神をも殺す妖刀『緋桜鳳凰』を抜き放つ。
――神速の抜刀と目にも止まらぬ連撃。フィーナ(と、ついでに巻き込まれたエメラ)が気づいた時には、テーブルの上の皿にはタイとヒラメの活け造りが並んでいた。
「さあ、お嬢さん方、椅子におかけください」
ずらりと刺し身が並べられたテーブルを指し、狼煙は椅子を勧めてくる。
「そうね、釣れたての魚の活け造りっていいわね! UDCアースで食べた焼きサバも美味しかったけど!」
「え、あの、私もなの? じゃあお言葉に甘えて……」
喜び勇んで椅子に座るフィーナと、困惑しながらも刺し身の誘惑に抗えず着席するエメラ。
「どうせなら、他の皆さんも呼ぶとしましょうか」
狼煙の一言で、猟兵たちを巻き込んだ刺し身パーティーが始まることとなった。
「お誘いいただき、ありがとうございます。未知の世界への船旅ワクワクしますよね。せっかくなので楽しんでいきましょう」
「おねーちゃんと未知の世界への船旅、二人で旅行なんて初めてですけど、こうしてパーティーに誘ってもらえて嬉し楽し、なのですよ♪」
狼煙に誘われてやってきたのは、『天鳥船』に同乗している猟兵の彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)と白雪・まゆ(月のように太陽のように・f25357)の二人だ。
姉妹のように仲の良い二人だが、実の姉妹というわけではない。いちごが管理人をしている寮に、まゆが暮らしているので、こうして妹のようになついているのだ。
「わぁ、美味しそうなお刺身なのです、おねーちゃん♪」
まゆが、いちごに抱きつきながら嬉しそうに頬を擦り寄せてくる。
いちごも、まゆのピンク色の髪を愛おしそうに撫でながら、改めて狼煙にお礼を言う。
「ごちそうしていただき、ありがとうございます。大神さん」
青い長髪を首の後ろで束ねたいちごは、着ている和ゴス風の服のスカートを潮風に揺らしながら、狼煙に微笑みかけ、椅子に腰掛けた。
いちごは先のアルダワの戦争で狼煙の依頼を受け、熾烈な戦いをくぐり抜けたことがあるのだ。
その戦いは一部が記録に残されていないほどに激しいものだったらしく、参加した猟兵たちも戦いの内容に関しては一様に口を噤んでいるという。
「私は、おねーちゃんの隣に座りますっ」
白いロングジャケットに身を包んだまゆも、いちごの隣の椅子に腰掛ける。
「お? オレも食わせてもらっていいのか?」
『天鳥船』の甲板で大型ビーム砲『メガビームランチャー』の整備をしていた鎧装騎兵のミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)も、狼煙から声をかけられて刺し身パーティーにやってきた。
いつでも出撃できるようにと、鎧装を装着したままのミスタリアだが、彼女の鎧装は機動性を重視したものだ。軽量化と可動域の確保のために露出の多いデザインになっているため、そのまま食事をするにも邪魔にはならない。
「ミスタリアおねーちゃん、今回の依頼も頑張ろうね♪」
「おう、火山だか何だか知らないが、オレが全部吹き飛ばしてやるぜ」
まゆの言葉にミスタリアが自信をもって答える。ミスタリアもまた、いちごが管理人をしている寮に住んでいる同居人であった。
「それじゃー、全員揃ったし、レッツ・パーティーよ!」
フィーナの音頭で、船上での刺し身パーティーが始まった。
「魚はまだまだありますので、皆さん、どうぞごゆっくり」
「あ、狼煙さん、あとで私もお手伝いしますね」
追加の刺し身の準備を始める狼煙に、いちごが声をかける。
「わたしも、おねーちゃんのお手伝いするのですっ! けど、まずはお刺身食べるのですっ! はい、あーん」
まゆが刺し身を差し出すと、いちごは恥ずかしそうにしながらも口を開いてパクリと一口。
「しかし鉄甲船か。戦争中に沈めた時にも思ったが、水の上に浮かぶ船ってのは、どーにも違和感があるな。オマケにこの貧相なナリで軍艦とかいわれてもなぁ」
刺し身に箸を伸ばしつつ、ミスタリアは『天鳥船』を眺めて呟く。
ミスタリアの出身世界であるスペースシップワールドには惑星が存在しない。そのため、艦といえば宇宙空間を飛翔する宇宙戦艦のことを指す。水の上を進む船に乗るのは新鮮な感覚だ。
「それに、動力が風力と人力というのにも驚きね……あ、タイのお刺身美味しいわね」
魔導蒸気技術者であるエメラが、『天鳥船』の動力について呆れたような声を出す。
鉄甲船『天鳥船』は、巨大な帆で受ける風力と、人が櫂で漕ぐことで進む、いわゆるガレー船だ。船の下層には、何十人という幕府の武士が乗り込んで交代で櫂を漕いでいる。魔法も蒸気も内燃機関も用いない乗り物というのは、他の世界ではなかなかお目にかかることはできないものだ。
こうして猟兵たちはパーティーを楽しみ、存分に交流を深めていった。
「さすがに獲れたての海の幸は味が違ったわね!」
「おねーちゃん、とってもおいしかったですっ♪」
「そうですね、まゆちゃん」
「戦闘前の腹ごしらえは十分だな!」
「たまには、こういうのもいいわね。さあ仕事といきましょうか」
猟兵たちが満足したところに、狼煙が淹れたてのコーヒーを持ってくる。
「皆さん、食後の飲み物が入りましたよ」
配られたコーヒーを猟兵たちが一口含み――。
――筆舌に尽くしがたい味のコーヒーによって、阿鼻叫喚の地獄絵図が広がったのであった。
普通、喫茶店の店主が淹れるコーヒーが地雷だなんて思わないものである。
●海底火山地帯
猟兵たちの船上パーティーが一段落してしばらく経った頃。
『天鳥船』の行く手に海上から頭を出した巨大な山が姿を現した。その山頂からは、もくもくと黒い噴煙が吹き上がっている。さらに海上から姿を見せている山は一つだけではない。行く手には噴煙を上げる山々――海底火山地帯が待ち受けていた。
絶え間ない噴火に伴う轟音と共に、激しく火山弾を打ち上げる海底火山群。はるか上空まで打ち上がった大小様々な火山弾が、重力に引かれて雨のように付近一帯に降り注ぐ。
「おおー! なかなか見られる光景じゃないわねこれ! 景気がいいわ!」
どっかんどっかんと爆発する海底火山群と、周囲の海面に落下してくる火山弾を見て、フィーナが楽しそうな声を上げた。
確かに激しい爆発と周囲に上がる水柱を見るだけであれば、それは花火や遊園地のアトラクションのようなものだ。――火山弾が自分たちの頭上にさえ落ちてこなければ。
「ここはまず、私にやらせなさいっ!」
フィーナが薄い胸を張り、赤い瞳で上空を睨みつける。その目は、先程までのようにアトラクションを見て楽しむような雰囲気のものではなくなっていた。
「あの落ちてくる岩を全部撃ち落とせばいいのよね! 楽しそうじゃない!」
その目はアトラクションを見て楽しむ子供のものではなく――参加型アトラクションに挑んで楽しむ子供の目だ。
フィーナは外套のポケットからスッポンの生き血の入った輸血パックを取り出し一気飲みすると、杖を構えて魔力を集中させる。杖の周囲に生み出されるのは、フィーナが得意とする炎魔法による火球だ。常識外れの魔力量を誇るフィーナによって生み出された火球の数は数十個……いや数百にも及んでいた。
「行くわよ、全部砕け散りなさいっ!」
ぶんっ、と杖を一振り。その動作に合わせて対空砲の弾幕のように上空へと放たれた火球が、飛来する火山弾を迎え撃った。火球は火山弾に命中すると爆発し、空中で岩を粉々に砕いていく。
まるで無数の花火が咲いたかのように、『天鳥船』の上空一帯を真っ赤な閃光が染め上げる。
「ふふん、どんなものかしら!」
フィーナの顔は、まるでアトラクションでハイスコアを叩き出した子供のものだった。
「なるほど、撃墜数勝負だな! 面白い、受けて立つぜ!」
「ふふん、私のスコアを上回れるかしら?」
フィーナの活躍を見て対抗心を燃やす子供が、ここにも一人。フィーナとは対照的な大きな胸を強調するような鎧装に身を包んだミスタリアである。
「翠の疾風と呼ばれたエースの腕、見せてやるぜっ! エメラ、撃墜スコアのカウントよろしくな!」
「え、私……?!」
エメラを勝手に巻き込み、ミスタリアがその身長よりも長大なメガビームランチャーを構えて上空へと飛翔する。
「あーっ、ちょっと、空飛ぶのはずるくないっ!?」
「これが鎧装騎兵の戦い方だ! 悪く思うな!」
プラズマジェットの尾を曳きながら、ミスタリアは上空から迫る火山弾に向かって飛翔する。
ミスタリアの鎧装から無線飛行型の砲台とビームダガーが射出された。『アームドビット』と『ダガービット』が、ミスタリアからの司令に従って縦横無尽に宙を駆けていく。
「いけっ、ビット!」
アームドビットから放たれた荷電粒子が火山弾を撃ち抜き、ダガービットのビームの刃が岩石をバラバラに切り刻む。
だが、降り注ぐ火山弾の数は海底火山地帯に近づくほど多くなる一方だ。
「全武装、セーフティー解除! こいつで決めるっ!」
鎧装の【フルバースト・マキシマム】モードを起動したミスタリアの視界に、ホログラフィによるターゲットサイトが浮かび上がった。ミスタリアの視線を感知して、ターゲットサイトが火山弾を次々とロックオン。ミスタリアの視界を赤いターゲットサイトが埋め尽くしていく。
「いっけええええっ!」
気合の声と共にミスタリアはメガビームランチャーのトリガーを引いた。対艦ビーム砲の巨大な光条が蒼天を貫き、さらにアームドビットからの荷電粒子砲の雨が天へと一斉に放たれる。
「まだまだあっ!」
ミスタリアはメガビームランチャーを発射したまま無理やり横薙ぎに振り抜いた。極太のビームが半円を描くように空を割り、その軌道上にあった火山弾をことごとく蒸発させていく。
ビームを発射し終えると同時に、ガシャンという音とともにメガビームランチャーの砲身に強制冷却材が送り込まれ、銃身から白い蒸気が吐き出された。
「へっ、どうだっ! オレの方が撃墜しただろ!」
ミスタリアは勝ち誇った表情で『天鳥船』を見下ろして問いかける。
「いーえっ! 絶対に私の方が撃墜してるわっ!」
ちゅーちゅーと輸血パックからスッポンの生き血を飲んでいたフィーナが自信に満ちた表情で不敵な笑顔を浮かべた。
「え、えーと……、撃墜数は同じくらい……かしら?」
律儀に撃墜数をカウントしていたエメラが、苦笑しながら答えるのだった。
「おねーちゃん、次はわたしとおねーちゃんの番なのですっ!」
「まゆちゃん、あの、これはアトラクションじゃないんですからね? あ、エメラさん、すみませんが撃墜カウントお願いしますね」
次にエントリーしたのは、自身の身長ほどもあるバトルハンマー『Feldwebel des Stahles』を野球のバットのように振り回すまゆと、保護者のように付き添ってきたいちごのコンビだ。
「ええ。もう諦めたわ……。撃墜数のカウントは任せておいて」
諦観の表情を浮かべ、ちょっと瞳からハイライトが消えかけたエメラがこくり、と頷く。
「おねーちゃんと鉄甲船はわたしが守りますのですよ! そしてハイスコアはわたしとおねーちゃんのものなのです!」
わくわくとした表情でバトルハンマーを振りかぶるまゆ。
「私は、とある先輩アイドルから学びました。歌声で無機物を粉砕するコツを」
和ゴスのアイドル衣装に身を包み、マイクが内蔵された杖を握るいちご。
……アイドルとして学んではいけないコツを学んでしまっているように思えるが、果たして大丈夫だろうか。
「行くですっ!」
最初に飛び出したのは、まゆだ。
鉄甲船の甲板上を俊敏に駆け回り、落下してくる火山弾をバトルハンマーのフルスイングで次々と打ち返していく。全長150cmもある重厚なバトルハンマーだが、まゆはそれを野球のバットのように軽々と振り回していた。降り注ぐ火山弾を片っ端から打ち返していく様子は、まるで千本ノックのようだ。
だが、甲板上を駆け回るだけでは、どうしても打ち漏らしが出かねない。
「まゆちゃんが迎撃できるよう、火山弾は私が歌で可能な限り打ち消しますね」
キリッとした表情で意味不明のことを口走るアイドル、いちご。
だが、決してふざけているわけではなかった。
船の舳先に立ったいちごは、すうっと息を吸うと【天使のような悪魔の歌声(スーパーソニック・ドラゴンブレス)】で歌をうたいはじめた。いちごの可憐な声でうたわれる勇壮な歌。その歌声は降り注ぐ火山弾に向かっていき――超音波の音域で火山弾と共鳴。岩石を粉々に打ち砕いていく。
「おねーちゃんの歌が効かないものは、わたしに任せるです!」
いちごの歌が破壊できなかった巨大な火山弾に向かって、まゆがバトルハンマーを振りかぶり【Cannonball Crush】の一撃を叩き込んだ。
超重量を誇るバトルハンマーが岩石の中心を捉える。
「Feldwebel des Stahlesに砕けない物なんて、ないのです!」
気合いの声とともに、バトルハンマーが命中した場所から岩石に亀裂が入っていき――。
ゴォォオンという轟音と共に、巨大岩石が砕け散った。
「見ましたかっ! わたしとおねーちゃんのコンビネーション!」
自信満々に胸を張るまゆに、いちごが歌を続けながらにっこりと微笑むのだった。
「では、次は私の番ですね。撃墜数などには興味はありませんが、お嬢さん方ばかりに危険なことをさせておくわけにはいきませんので」
続いて前に出たのは狼煙だ。先程までのエプロンは外し、ワイシャツにネクタイの喫茶店の店主の格好に戻っている。
狼煙は眼鏡の奥で鋭い瞳を天に向ける。流星のように降り注ぐ火山弾を眺めながら、狼煙は冷静に思考を巡らせた。
そして、おもむろに天に片手をかざして呟く。
「転移門解放……転送、古代機械兵器・機巧巨人」
船の上空に巨大な魔法陣が展開され、幾何学模様の中から巨大な機械の手が姿を現す。
それは狼煙が呼び出した【古代機械兵器・機巧巨人(エンシェントギア・ゴーレム)】――その掌だ。機巧巨人はあまりに巨大なため、その一部、掌だけでも鉄甲船を包み込むほどの大きさがある。
「なるほど……。その掌を鉄甲船上空に固定召喚することで、落下してくる火山弾を防ごうというわけね……」
狼煙の考えを瞬時に見抜いたエメラが感心して声をあげた。
「けれど、それでは火山弾の直撃は防げても、海面に落ちた火山弾の衝撃を防げないのではないかしら……?」
「ご明察です。ですが、それに対する対応も考えていますよ」
降り注ぐ火山弾を、鉄甲船上空の掌が弾き返していく中、狼煙がまるでオーケストラの指揮者のように優雅に手を動かした。
その指示により、機巧巨人の手が鉄甲船の船体を掴んだ。
「船が揺れるのはどうにでもなります。ならば、衝撃で転覆しないように船の重心を傾けてあげればいいのです」
船の周囲に火山弾が落ちるたび、機巧巨人の手が関節を動かし衝撃を逃していく。
「これで火山弾そのものは脅威ではなくなりました。ですが、機巧巨人の手で直撃を防いでいるものの、指の隙間から入り込む火山弾の欠片は鉄甲船にとって脅威です。……ゆえに」
狼煙が取り出したのは爆薬だった。甲板に降ってくる火山弾の欠片に対し、狼煙は爆薬を投擲する。
空中で轟音と共に爆発した爆薬の爆風によって、火山弾の欠片は進路を変え海へと落ちていった。
「欠片だけなら、破壊する必要はありません。こうして爆薬で進路を変えればいいのです」
狼煙はクールに笑みを浮かべながら、爆薬で欠片の処理を開始するのだった。
「なるほど、これならば私も手伝うことができそうね……」
狼煙が呼び出した機巧巨人の手を眺めつつ、エメラが不敵な笑みを浮かべた。
「色々とやれることは思い浮かぶのだけれど……。大神さんが船の守りを固めてくれるのならば、私はやれる人が少なそうな行動をしましょうか……趣味と実益を兼ねて、ね」
鉄甲船を包む機巧巨人の指の間には隙間があるとはいえ、召喚前に比べると当然ながら船の帆が受けられる風の量が減っている。また、転覆の恐れはないものの、激しく揺れる船の中では、幕府の侍たちが操作する櫓での推力も期待できない。
「やはり船の速度が落ちているわね……」
船の速度を確認したエメラが小さく頷く。
いくら機巧巨人の手で守りを固めても、同じ場所にずっと留まっていては、いつかは船が沈むことだろう。
「蒸気機関と外輪を召喚……鉄甲船『天鳥船』に装着……蒸気機関の起動を確認」
エメラが使ったのは【我が紡ぐは戦装束】。それは魔導蒸気兵器を召喚し、対象に装着させるものである。そして今回召喚したのは蒸気機関。装着対象は鉄甲船だ。
すなわち、鉄甲船に蒸気機関が搭載され蒸気船になるということだった。
「さあ、出航よ! 蒸気鉄甲船『天鳥船』!」
操舵輪を握ったエメラが蒸気機関の出力を上昇させると、『天鳥船』が加速を開始した。
風力と人力だけに頼るのとは異なり、蒸気機関によって回転する外輪によって推力を得た蒸気鉄甲船は機巧巨人の手に守られながら海底火山地帯を突き進むのだった。
●迫りくる超巨大岩石
「へえ、蒸気船? よくわからないけどすごいわね!」
「プラズマジェットエンジンじゃないのが残念だが……まあ、さっきよりは速くなったな!」
「おねーちゃん、なんかおっきな手が空に浮いてるのです!」
「これなら火山弾は防げますね。あ、大神さん、欠片は手分けして処理しましょう」
「ええ、そうしていただけると助かります。代わりに私はコーヒーを……」
「「「「いりません」」」」
猟兵たちが一息つき、順調に航海が進むかと思われたその時――。
「みんな、どうやらそう簡単にはいかないみたいよ……」
舵を握るエメラの硬い声が響いた。
蒸気鉄甲船『天鳥船』が進む先。ひときわ大きな海底火山が激しい音を立てて噴火を起こした。噴火によって打ち上げられた超巨大な火山弾――それが『天鳥船』の上空から落下してくる。
「あれはさすがにやばそうね! こうなったら奥の手よ! あんな岩っころじゃあ、私達の冒険は止められないわよ!」
落下してくる巨大岩石を睨みつつ、フィーナは飲み干した輸血パックを放り捨てる。
「ああ、オレも出し惜しみはなしだ!」
メガビームランチャーのエネルギーパックを交換したミスタリアが鎧装のプラズマジェットで飛び立つ準備をする。
「さすがにあの巨大な岩石は機巧巨人でも支えきれません!」
狼煙は二本目の機巧巨人の手を召喚し、船の守りを強化する。
「こちらも魔導蒸気兵器の浮遊型防御盾を召喚するわ……」
エメラも防御兵器を召喚することで狼煙のサポートをおこなう。
「落ちてきたものは、わたしとおねーちゃんに任せてです!」
まゆがハンマーを握りしめ。
「細かい破片は私の歌で!」
いちごがマイクを強く握った。
「まずは落下速度を遅くするわ! 炎の壁を受けなさい!」
フィーナが杖を掲げると、遥か上空、落ちてくる岩石の前に燃え盛る炎の壁が生み出された。
【炎ハ衝撃ヲモ喰ラウ】によって生み出された質量を持った炎の壁だ。フィーナの濃厚な魔力によって編まれた壁は物理的実体を持った炎として、面で岩石を受け止める。
ジュウウッという岩が焼け、表面が溶ける音を立てる巨大岩石。炎の壁で溶けて多少小さくなり、落下速度が大幅に減速した巨大岩石は、それでもフィーナの魔法を突破して『天鳥船』に迫りくる。
「とっておきを食らわせてやるぜっ!」
メガビームランチャーを構えたミスタリアが、『天鳥船』の甲板からまっすぐ全速力で巨大岩石に突撃していく。
「うおおおおっ!」
ミスタリアは衝突の瞬間、メガビームランチャーの銃身に装着されたパイルバンカーを巨大岩石に打ち込んだ。
「くだけろおおおおっ!」
同時にメガビームランチャーの引き金を引き、全力のビームを岩石に叩き込む。
もしも岩石が砕けなければ、ミスタリアは岩石と衝突し無事では済まなかっただろう。
だが、フィーナの魔法によって脆くなっていた岩石は、ミスタリアのパイルバンカーとビームの連撃に耐えることができなかった。
岩石はミスタリアによって穿たれた点を中心にして複数に分裂して落下していく。
「岩石の破砕に成功しましたね。ミスタリアさんも無事なようです」
「待って……分裂した岩石の一つがこっちに落ちてきているわ。蒸気機関を全開にしても落下範囲からの離脱は困難ね……」
狼煙が安堵の息をつくが、エメラの報告に一同は背筋を凍らせる。
蒸気機関が悲鳴を上げ『天鳥船』が最大速力で離脱を試みるが、分裂した岩石は着実に蒸気鉄甲船の直上に迫っていた。
「ならば、残りも打ち砕くのみ。文字通り鉄拳制裁をくれてやる……」
狼煙は機巧巨人の両腕を岩石に向かって振りかぶらせ――その重い一撃を岩石に向かって叩き込んだ。
ゴッ、という鈍い音とともに、岩石が砕け散る。
だが、船のほぼ直上で砕けた岩石の欠片――それでも巨大なサイズ――が『天鳥船』に降り注ぐ。
「防御装置、最大出力……!」
エメラが浮遊型の防御装置の出力を臨界まで高め、岩石の欠片に衝突させる。
衝突した防御装置は、動力炉を暴走させ、岩石の欠片を巻き込み爆散。消滅させた。
「今のうちに最大速力で……」
急加速する蒸気鉄甲船だが、落下してくる欠片を避けきることはできない。
「あとは、わたしとおねーちゃんがやるです!」
「いきましょう、まゆちゃん!」
降り注ぐ欠片に、まゆが【Cannonball Crush】による一撃を叩き込み。
いちごが【天使のような悪魔の歌声】による破壊音波を打ち付ける。
蒸気鉄甲船『天鳥船』は、蛇行しながら降り注ぐ岩石の欠片の隙間をすり抜け――。
「どうやら、超巨大岩石は切り抜けたようね……」
無事に危機を乗り越えることに成功したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『からくり忍者軍団』
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POW : からくり・自己犠牲術
【死角から超高速で接近し、忍刀】による素早い一撃を放つ。また、【壊れたパーツを破棄する】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD : からくり・自己複製術
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【からくり忍者】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ : からくり・麻痺拘束術
【麻痺毒の煙幕爆弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【鎖】で繋ぐ。
イラスト:なかみね
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
海底火山地帯での危機を乗り越えた猟兵たち。
だが、まだ海底火山地帯での苦難は続いていた。
鉄甲船『天鳥船』の周囲に突如、オブリビオンたちが湧いて出てきたのである。
場所はいまだ火山弾の降り注ぐ海底火山地帯。火山弾に対処しながら、オブリビオンたちを撃退する必要がある。
●マスターより
この章では、火山弾への対処、もしくは火山弾を利用した戦いをおこなうことでプレイングボーナスを得ることができます。
シャルロット・シフファート
先にコーヒーを飲んでダウンして海鮮が食べられなかったわね...
それはともかく、新しいユーベルコードを使うときが来たようね。
『空間を万象が炎属性で構築された異世界に変換し、その権能を操る』このユーベルコードは余波の『空間を炎に変換する』ことで火山弾を空間毎燃やし尽くして対処するだけでなくそこから炎属性の最高位魔術を行使するわ。
不死鳥の創生と使役、核融合の五月雨、高い空間付与性による敵のみを焼き付くす空間炎変換魔術、全てが炎に置き換わった炎の異界の四大魔術--炎の大波、熱風でなく純粋な炎で出来た竜巻、結晶化した業火の砲弾等でからくり忍者軍団を吹き飛ばすわ。
●炎の支配者
「あのコーヒー、一体どうやって淹れたらあんな味になるのかしら」
巨大火山弾をくぐり抜けた後、長い金髪を縦ロールにした、これぞザ・お嬢様な外見のシャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス CV釘宮理恵・f23708)が甲板に上がってきた。声までお嬢様っぽい気がするのは気のせいだろうか。
どこかの喫茶店の店長が淹れたコーヒーを飲んでダウンしていたため、刺し身パーティーに参加できなかった少女は、どこかぐったりした様子で火山のそびえる海域をみやるのだった。
気分を晴らそうかと船の舳先に近づいたシャルロットは、船の周囲に起こった異常にいち早く気がついた。
船の周囲の空間がぐにゃりと曲がったかと思うと、空中から溶け出すように、からくりでできた忍者たち――オブリビオンの集団が音もなく姿を現したのだ。
「っ! みんなっ、敵襲よっ!」
船の各所に散っている仲間たちに声をかけたシャルロットは、襲いかかってくるからくり忍者たちを悠然とした態度で迎え撃つ。貴族の令嬢のようなドレスを纏ったシャルロットは、実際に元は何不自由なく暮らす貴族のお嬢様だった。だが、何の因果かアリス適合者として不思議の国のデスゲームに巻き込まれた彼女は、そこで猟兵として覚醒。電脳魔術と精霊術を融合させた電脳精霊術を操る能力に目覚めたのである。
身じろぎもせずにいるシャルロットを見て、恐怖で足が竦んで動けないと思ったのか、からくり忍者の一体が忍刀を振りかざしてシャルロットに飛びかかった。
しかし、シャルロットは動けないのではない。動く必要がなかっただけだ。
ふっ、と余裕の笑みを浮かべた彼女は、まるで優雅なダンスを踊るかのようにその忍刀の一撃を軽いステップで回避した。
表情のないからくり忍者から、まるで驚愕の表情を浮かべたかのような気配が漂う。
「その程度の攻撃、私の現実ハッキング能力の前には無意味よ」
優雅な笑みとともに、シャルロットが一礼する。
その余裕に溢れた表情を見て、からくり忍者たちは相手が強敵だと初めて気がついたのだった。
敵が強敵だと認識したからくり忍者たちは、物量で圧倒する作戦に出た。
船の周囲からは次々とからくり忍者が湧き出してきている。からくり忍者たちはシャルロットの逃げ道を塞ぐように周囲を取り囲み、手に持った煙幕爆弾を投げつけてきた。
煙幕爆弾は、命中した相手に麻痺毒を与え、さらに相手とからくり忍者を鎖で繋いで動きを封じるという厄介なものだ。
それが周囲の何十体というからくり忍者から投擲されては、いかに歴戦の猟兵といえども回避は不可能――それがからくり忍者のからくり脳が導き出した答えだった。
「私も甘く見られたものね」
だが、爆弾の迫りくる中、シャルロットは悠然と金髪をかきあげて対処を開始する。
「新しく習得した最高位の電脳精霊術を受けてもらうわよ」
シャルロットの周囲の空間が歪み、捻じれ、異世界へと変貌していく。そこは電脳精霊術によって純粋なる炎の属性で構築された異空間だ。シャルロットは、この異空間を自在に操る管理者権限を持つ。まさにこの領域においては神といっても良い存在だった。
「其れは、異なる灼滅。其れは異なる生きる真。炎産霊が捧げる全ての理を焼く邪炎にして聖火。それ即ち創造と終焉司る神話の起源なり」
【万象を灼す未踏級の理たる聖火世界】――バーニング・ナインワールド・レーヴァテインによって生み出された異界の炎による竜巻は、迫りくる爆弾を飲み込みそれを消滅させた。純粋なる炎の竜巻は周囲の酸素を消費し尽くし、爆弾に爆発させることを許さずに灰塵に帰さしめたのだ。
「さあ、燃え尽きなさいっ」
シャルロットの合図で炎の竜巻が燃え広がると、周囲のからくり忍者たちを飲み込み、燃やし尽くしていく。炎属性の異界の炎は、からくり忍者の木製のボディだけでなく、金属製の忍刀まで跡形もなく消滅させた。シャルロットの完全な支配下にある炎は、木製の鉄甲船の甲板には焦げ目一つ付けないという精密さである。
「あと、火山弾にも対応しておかないといけないのよね」
上空を見上げ、鉄甲船に向かって降ってくる火山弾を見つめ――シャルロットは炎属性の異界から赤い結晶を撃ち出した。それは業火を結晶化して作り出した砲弾だ。
シャルロットの目測通りに飛翔した業火の砲弾は、降り注ぐ火山弾に命中し、それを蒸発させたのだった。
「まあ、花火だと思えば、こんなものかしらね?」
大成功
🔵🔵🔵
エメラ・アーヴェスピア
あら?またこの場に似合わないオブリビオンが襲ってきたわね…
それにどうやら、まだ危険地帯は続いているようだし…忙しくなりそうね
とりあえず蒸気船の【操縦】…操舵は続けるとして
『出撃の時だ我が精兵達よ』、元々いる乗組員の護衛にも向かわせたいし、数が居て自由が利くこれね
ついでにこれなら、攻撃自体はただの兵器だから無効化もされないでしょうし
火山弾の防御は引き続き浮遊型の防御装置に頑張ってもらうわ
…本当は火山弾を『流星』で撃ち出そうと思ったのだけれど…ちょっと小回りが利きそうにないのよね…
まぁ、今回は【援護射撃】に回るとしましょう
※アドリブ・絡み歓迎
●からくりVS魔導蒸気
装着された蒸気機関から白い蒸気を吹き上げる、蒸気鉄甲船『天鳥船』。
その操舵輪を握るのは、黒と赤でコーディネートされたドレスに身を包んだ金髪の人形のような少女、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)である。鉄甲船を蒸気鉄甲船に強化したのは、魔導蒸気機械技術者であるエメラであり、その舵を切るのも蒸気船の操縦技術をもつ彼女だった。
エメラの操縦によって水上を疾走る蒸気鉄甲船は、降り注ぐ火山弾を器用に避けながら、紫の光が指し示す方角へと向かっていた。火山弾を避けられるのも、鉄甲船本来の動力である風や人力ではなく、蒸気機関で動く動輪による高速で柔軟な機動力の賜物だ。この蒸気による機動力は、本来であれば徳川400年の治世が終わる時代にならないと現れないはずのオーバーテクノロジーだ。その機動力は眼を見張るものがあった。
さらに、機動性だけでは防ぎきれない火山弾は浮遊型の防御装置が船を守るように展開。その直撃を防いでいく。機動力と防御力を併せ持った蒸気鉄甲船なら、巨大火山弾が再び降ってくるようなことでもない限り安泰かと思われた。
だが、そこに突如、異変が起こった。蒸気鉄甲船の周囲の空間から溶け出すようにオブリビオン――からくり忍者軍団が姿を現したのだ。
「まだ危険地帯は続いているというのに、招かざるお客様とは……忙しくなりそうね……」
操舵輪を握り、船長の役割を果たしているエメラがため息一つ。海上という場所に似合わないからくり忍者たちを眺めて対策を考える。
「私は操舵と防御装置の制御で手一杯かしら。本当は【闇切り裂くは我が流星】で火山弾を撃ち出して敵の迎撃をしたいところだけれど……あれだと敵ごと船の甲板も突き破りそうだから、ちょっと小回りが利きそうにないのよね……」
エメラが躊躇したのは、魔導蒸気カタパルト砲による砲撃だ。遠方にいる敵を狙うならともかく、船内に入り込まれた状態でカタパルト砲を放っては、いかに頑丈な鉄甲船とはいえ無事には済まないだろう。
「それに、幕府から派遣されてきている武士たちの護衛も欲しいし、ここはこれかしらね……さぁ出番よ、私の勝利の為に出撃なさい」
エメラが【出撃の時だ我が精兵達よ】によって喚び出したのは、70体の魔導蒸気兵だ。軍服をきて魔導蒸気銃を持ったモノアイの機械兵たちが、エメラの後ろで隊列を組んで主の命令を待つ。それはまるで鋼鉄と蒸気の兵団だった。
兵団の前でエメラが不敵に笑う。
「さあ、私の鋼の兵士たち。あんなブリキのおもちゃなんか敵ではないことを証明してきなさい……」
エメラの指示に従って、鋼鉄の兵団がザッザッと甲板上に一糸乱れぬ足音を響かせ、縦隊を組んだ。
鋼鉄の兵士たちに気づいたからくり忍者たちも、不規則な動きで忍刀を構えて飛びかかってくる。
「今よ、一斉射撃!」
ドォンという射撃音とともに魔導蒸気兵たちが持つ魔導蒸気銃から魔力の込もった弾丸が発射される。それは無防備なからくり忍者たちに命中すると――無効化されることなく、からくり忍者たちを貫通し、蜂の巣にしていく。
対象のユーベルコードを無効化する【からくり・自己複製術】が銃撃に対して効果がないことに動揺するからくり忍者たち。
次々と放たれる銃撃によって、からくり忍者たちはその数を減らしていく。
「魔導蒸気兵たちの攻撃はその技では無効化できないようね。このまま殲滅させてもらうわよ……。分隊は、幕府の武士の皆さんの護衛に回りなさい」
甲板上でからくり忍者たちを銃撃させつつ、エメラは魔導蒸気兵の一部を船内に向かわせた。
船の胴体内部の広大な空間。本来、幕府の武士たちが櫓を漕ぐためのスペースであるが、蒸気機関による動輪が設置された今、無用の長物となったそこでは、幕府の武士たちが突然襲撃してきたからくり忍者相手に刀を抜いて切り結んでいるところだった。
徳川家光に率いられ、織田信長との戦に勝ち残った武士たちは、そう簡単にオブリビオンにやられることはなく、なんとかその猛攻を防いでいた。だが、やはり有利なのはオブリビオンであるからくり忍者たちだ。
一人の武士の背後に回り込んだからくり忍者が音もなく忍刀を振り上げ不意打ちを行おうとした瞬間――轟という射撃音と共にからくり忍者の頭が木っ端微塵に吹き飛んだ。
「おお、かたじけない!」
銃を撃った魔導蒸気兵が味方だと分かった武士たちは、陣形を立て直す。
前衛に武士、後衛に魔導蒸気兵という布陣だ。
武士たちが刀を抜き、各自が得意とする流派の構えでからくり忍者に切りかかり、鍔迫り合いにもちこんでいく。
からくり忍者の足が止まれば、それはもはや魔導蒸気兵たちの的にすぎない。魔導銃によって、その身体を撃ち抜かれたからくり忍者たちは、骸の海に還っていったのだった。
「それにしても、このからくり忍者たち、どこから来たのかしら……」
言い知れない不安を感じるエメラだった。
大成功
🔵🔵🔵
大神・狼煙
なんですかいきなり!?敵襲!?
ちょっ、爆弾とかやめ……ぐぁー!?
敵の攻撃をモロに受け、殺虫剤を浴びたムシケラの如くビクンビクン
見たところ浮遊能力を持たないのであろう敵が船に乗り、トドメを刺そうとしたその瞬間、何も無い空間から機械骸骨の軍勢が出現
船を取り囲んでいたはずの敵を逆に取り囲み、数の暴力で叩き壊す
さっきまで火山弾という鉱物を爆破していたもので、辺りには無機物が充満
追加の火山弾という素材は勝手に降ってきてくれるおまけ付き
え?麻痺?
私、毒物には耐性あるんですよね
ぶち壊した敵をさらに素材として、骸骨は船が沈まない程度に増え続ける
おっと、逃げられると思うなよ?鎖で繋いだのは、お前自身だ……
●からくりVS機械骸骨
「おかしいですね。何故私のコーヒーで倒れる人が続出するのでしょうか?」
船倉にいる幕府の武士の皆さんにオムライスの差し入れをしつつ、セットでコーヒーを振る舞った大神・狼煙(コーヒー味・f06108)は、死屍累々と倒れ伏した武士たちを船室のベッドに押し込めてから、甲板に戻ってきていた。
その顔は、どうして皆、コーヒーを飲んだら倒れるのだろうかという深遠な問題に悩む哲学者の顔だ。
「……はっ、もしや、この時代の人々には、まだ舶来品の珈琲は早かったということでは!?」
ぽん、と手を打った狼煙。その思考からは、先の刺し身パーティーで猟兵たちに大打撃を与えたり、味方の猟兵を戦闘不能に陥らせたりしていたことは、都合よく忘れ去られていたのだった。
そんなすっきりした笑顔を浮かべる狼煙の周囲の空間が揺れ、突如、からくり忍者軍団が空中から溶け出すように姿を現した。
「なんですかいきなり!? 敵襲!?」
甲板上に突如現れたからくり忍者たちを見て、とっさに戦闘体勢をとろうとする狼煙だが、腰に手をやって思わず舌打ちする。
「しまった、緋桜鳳凰は生ものを捌いたので、滅菌消毒中なのでした!」
神をも殺す妖刀をキッチンに置いてきたのを思い出し、狼煙は仕方がないと思い直す。狼煙は喫茶店の店主たる身。万が一にも食中毒など出すわけにはいかないので、生ものを捌いた刃物を消毒するのは当然の処置と言えた。それは、敵の迎撃よりも優先される最重要事項なのである。
狼煙が反撃の手段を持っていないと見て取ったからくり忍者たちは、一斉に狼煙に向かって爆弾を投げつけた。
四方八方から飛んできた爆弾は狼煙の足元に着弾すると灰色の煙幕を噴出する。それは視界を遮る効果のみならず、吸い込んだ相手を麻痺させる麻痺毒も含んだ凶悪な煙幕だ。
「ちょっ、爆弾とかやめ……ぐぁー!?」
煙幕爆弾をまともに受けて、麻痺毒の煙幕を吸い込んだ狼煙は、全身を細かく痙攣させると、まるで糸の切れた操り人形のごとく甲板に倒れ伏した。
そして、その狼煙に対してからくり忍者たちの腕に内蔵された鎖が伸び、がんじがらめに絡め取ったのだった。
麻痺毒で指一本動かせず、さらに鎖で動きを封じられた狼煙に、からくり忍者たちが忍刀を構えて忍び寄る。
チャキっと忍刀を振りかぶったからくり忍者たちが無表情に狼煙を見下ろし。その刀を振り下ろそうとした瞬間――。
「本来は機械兵器を転移できない時に備えた奥の手なんだがね……!」
動けないはずの狼煙の口から言葉が紡がれた。
狼煙がパチンと右手の指を鳴らすと、刀を振り下ろそうとしていたからくり忍者の目の前に機械でできた骸骨が姿を現した。機械骸骨はその鋭い爪で、からくり忍者たちをボロくずのようにバラバラに引き裂いていく。
【古代機械兵器・機巧師団】。狼煙の周囲に存在する無機物を元にして古代機械兵器の武装兵団――機械骸骨を生み出す能力だ。
「機械巨人のような一撃の破壊力はないですが、数で攻めてくる相手には相性いいんですよね、これ」
麻痺毒を食らって動けないはずの狼煙がケロリとした表情で立ち上がる。それを見たからくり忍者たちから、表情がなくても分かるほどの驚愕の気配が伝わってくる。
「ああ、麻痺毒ですか? 私、毒物には耐性あるんですよね」
なるほど。道理で自分で淹れたコーヒーを自分で飲んでも大丈夫なわけだ。
「ここからは、私の反撃の時間ですよ?」
狼煙が、周囲のからくり忍者たちを眼鏡の奥の鋭い瞳で眺め回した。
狼煙の視線に恐怖したのか、からくり忍者たちは半ばパニックになりながら煙幕弾を投げつけ、鎖を放ってくる。
「やれやれ、数を撃てば毒が効くと思っているのか。それともただの目くらましか。はたまた私の動きを封じるのが狙いか。……いずれにせよ無駄です」
狼煙はパチンと右手の指を鳴らす。それに応じて、周囲に散らばっていた火山弾の欠片から、さらに機械骸骨たちが生成された。
煙幕によって閉ざされた視界の中、機械骸骨たちがからくり忍者を引き裂き倒していく音だけが響き渡る。
さらに狼煙が指を鳴らすことで、からくり忍者の破片――これも無機物である――が機械骸骨へと変貌していき、さらにからくり忍者を撃破していくという無限増殖体制が整っていた。
勝てないと悟ったからくり忍者たちが逃げようとし――ジャラリ、と狼煙に繋がった鎖が音を立てる。
「おっと、逃げられると思うなよ? 鎖で繋いだのは、お前自身だ……」
狼煙が鎖を引っ張り、からくり忍者の逃亡を阻止すると、そこに機械骸骨が殺到。煙幕の中から何かを引き裂き、噛み砕くような音が聞こえてくる。そこでは、さながらゾンビ映画のような光景が繰り広げられているのだろう。
やがて、風に吹かれて煙幕が晴れた時には、狼煙の周囲のからくり忍者は全滅していたのだった。
「さて、どうやら船の各所で戦闘が起こっているようですね。――私はコーヒーを淹れて皆様を労う用意をしておきましょうか」
不穏な発言を残し、船のキッチンに向かう狼煙だった。
大成功
🔵🔵🔵
フィーナ・ステラガーデン
いやいや!?あんたらどっから湧いて出てきたのよ!?
ちょっと今忙しいからそこで正座でもして待ってなさいよ!
(えっちらおっちら火山弾射的ゲーム中)
ああ!もううっとうしいわね!涼音!そこの忍者どもを切り払いなさい!
(鈴の音と共に現れる涼音さんは会話などは完全お任せ)
私は火山弾と投げられる煙幕爆弾を引き続き火球で打ち抜くか
【範囲攻撃】での爆破に巻き込ませる形で処理を続けて
そこまで大きくない火山弾が振ってくるようなら
【怪力、気合、吹き飛ばし】でバッティングフォームで
杖で忍者目掛けてホームランして涼音の援護するわよ!
ちょろちょろうっとうしいのよ!どっせーーい!!
(アレンジ、アドリブ、連携大歓迎!)
●からくりVS女剣士
「うおおおっ、堕ちなさいっ!」
金髪の魔女フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は、鉄甲船のマストの上、見張り台にいた。彼女がなぜこんな場所で叫んでいるかと言えば。
「火山弾撃墜のハイスコアは私のものなんだからっ!」
高い所に登って炎の魔法を乱打し、降り注ぐ火山弾をひたすら撃ち落としていたのだ。
フィーナの膨大な魔力によって、彼女の周囲に無数の火球が浮かび上がる。それは魔力によって高速で撃ち出され、空を裂いて落ちてくる燃え盛った岩石の近くで大爆発。爆発に巻き込まれた火山弾を消滅させていく。
「だんだんコツが掴めてきたわ! 的が小さくて当てづらいなら、こっちの弾を爆発させて巻き込めば良いんじゃない! 私ってば天才ね!」
火山弾の落下軌道上で次々と爆炎を咲かせながら、フィーナが自信満々に胸を張った。
異変が起こったのは、フィーナが火山弾射的ゲームに夢中になっているときだ。
船の周囲の空間から溶け出すように、からくり忍者軍団が姿を現し、船に乗り込んできたのだ。
船の各所で猟兵たちの戦う音が聞こえ始め――フィーナのいるマスト周辺に現れたからくり忍者たちもまた、マストの上を駆けてフィーナに迫ってきた。その手には忍刀と爆弾を握り、狭い足場と高所をものともせずに襲いかかってくる。
「ちょっと、何もないところから湧いて出るなんて、アンタら忍者か何かのつもり!? ……え、本当に忍者なのかしら?」
忍刀を持ち、忍び装束を着て、手裏剣まで放ってくるからくりの兵士を見て、さしものフィーナも気がついた。あ、これ、からくりだけど忍者だ。と。
だが、今、フィーナは火山弾に向ける魔法を止めることができなかった。なぜなら先程から火山弾をノーミスで迎撃中のため、パーフェクトボーナスが付いているのだ。ここでやめたらせっかくの苦労が水の泡だ。
「ああ! もう、うっとうしいわね! 涼音! そこの忍者どもを切り払いなさい!」
フィーナの魔力が膨れ上がったかと思うと、その魔力が人の姿を取る。
――凛、と鳴った鈴の音と共に実体化したのは、緋色の着物を着た黒髪の女剣士、帯刀涼音だ。涼音が持つのは、かつて愛するものの命と引き換えに彼女に力を与えていた赤き刀身の妖刀ではない。流水の如き細やかな刃紋の浮かんだ業物の刀である。それは、涼音が過去と決別した証であり、フィーナという無二の相棒との絆の証でもあった。
その刀を振るい、フィーナに迫るからくり忍者を一刀両断した涼音は――。
「敵を放っておいて、一体なにを遊んでいるのでしょうか?」
無二の相棒に向かって棘のある言葉を放つのだった。
「今いいところなんだから仕方ないじゃない!」
「遊ぶのは敵を倒した後にしてください。今は船に命中する火山弾だけ撃墜すればいいでしょう?」
フィーナに対して正論をぶつけた涼音は、着物の短い裾を翻してマストに飛び乗ると、無数のからくり忍者たちと対峙する。
マスト上の狭い足場を跳び回るからくり忍者たちは、涼音を全方位から取り囲むと、手に持った爆弾――麻痺毒の仕込まれた煙幕弾を投擲した。導火線に火が付いた爆弾は、時間差を持って涼音に迫るが、投擲された爆弾が爆発することはなかった。
「我が斬撃、嵐の如く――」
ゆらりと涼音の身体が揺らいだかと思うと、シャリンと鈴の音が鳴り響く。その瞬間には、すでに目に見えないほどの高速の斬撃が無数に放たれた後だった。
斬撃によって導火線を切られた爆弾は、爆発することも出来ずに甲板に向かって落ちていく。
だが、涼音が斬撃を放った直後の隙を狙って、からくり忍者たちが忍刀を振りかぶって一斉に飛びかかる。爆弾を無効化した相手が油断していたら、この攻撃を避けきることはできなかっただろう。
「水の如き立ち振る舞い――」
涼音に飛びかかったからくり忍者たちに、次々と涼音のカウンターによる斬撃が命中し、その首を切り飛ばしていった。涼音は、からくり忍者たちの攻撃を完全に予想していたのだ。
「オブリビオン相手は心置きなく斬れていいですね。――もう愛する人は斬りたくないですから」
涼音に襲いかかったからくり忍者たちは一瞬で全滅した。それを見て、残りのからくり忍者たちも、ようやくこの少女がただの小娘ではないと認識した。慌てて距離を取ろうとするが――。
「――遅いです」
涼音はその身にフィーナの魔力をまとい、高速でマスト上を駆け巡る。放射された魔力によって涼音の姿を知覚できなくなったからくり忍者たちは、抵抗する暇もなく斬り伏せられていった。
「って、このままじゃ、涼音に全部美味しいところを持っていかれちゃうじゃない!」
慌てたフィーナが杖を振りかぶると、上空から落ちてきた燃え盛る岩をバッティング。
「どっせーーい!!」
ホームラン級の当たりは、涼音の頭上から彼女を狙っていたからくり忍者に命中。その身体を粉々に打ち砕いた。
「まったく、ちょろちょろとうっとうしいのよ!」
「助かりました。ありがとうございます」
フィーナに向けられた涼音の笑顔は、いつか見た晴れ晴れとした笑顔と同じものだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミスタリア・ミスタニア
あぁ?こいつら何処に潜んでやがった……って、そりゃ海中か
やっぱ慣れねぇなぁ、こういう戦場は
まぁ文句言っても仕方ねぇか
あー、オレは火山弾の対処をメインで引き受けてやるぜ
変わらず鎧装のプラズマジェットで船の上空に陣取って、傘の役割だな
アームドビットとダガービット飛ばしてメガビームランチャーで薙ぎ払っての【フルバースト・マキシマム】だ!
忍者がこっちまで跳んで来たらパイルバンカーで串刺しだ!ハッ、死角から来ようがレーダービットにゃ映ってるんだよ
忍者を串刺しにしたまま火山弾にパイルバンカーぶつけてどっちも粉砕してやるよ!
こいつはついでだ。砕いた火山弾の破片はビットで弾いて忍者共の上に落としてやるぜ!
●からくりVS鎧装
白い蒸気を吐き出しながら進む、サムライエンパイア世界で最速の乗り物になった蒸気鉄甲船『天鳥船』。
その上空で飛行機雲を生み出しながら、ミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)が飛翔する。身にまとった漆黒の鎧装――機動性のため極限まで軽量化がはかられ、いたるところから肌が露出している――の脚部ブースターと背面スラスターからプラズマジェットを勢いよく吹き出し、ミスタリアはポニーテールにした緑色の長髪を彗星の尾のようになびかせる。風と一体になって飛び回る姿はまさに翠の疾風の異名そのままだ。
「この世界最速の船で、あの程度の速度とはなあ……」
スペースシップワールド出身の彼女にとって、やはり海とは星の海のことであり、船とは宇宙船のことだった。
ワープドライブを用いて光よりも速く目的地に着く宇宙戦艦。鎧装騎兵たるミスタリアを最前線に迅速に運ぶための突撃艇。鎧装騎兵と激しいドックファイトを繰り広げる宇宙戦闘機。
それらの高機動力を備えた『船』に比べると、蒸気船になったとはいえ『天鳥船』はなんと遅いことか。
「ま、だからオレがこうしてデブリ掃除してるんだがな、っと!」
上空から降り注ぐ火山弾は、ミスタリアの故郷でのスペースデブリを思わせた。鎧装の腰部に装着された無線式兵装のアームドビットとダガービットを展開し、『天鳥船』に命中する軌道にある火山弾を撃ち落としていく。
「そういや、昔はよく、宇宙船がスペースデブリ帯に突入するたびにデブリ掃除に駆り出されたもんだよな……」
思い出に浸りながら、ミスタリアは対艦ビーム砲を個人携行可能に魔改造したメガビームランチャーを大型の火山弾に向け――引き金を引いた。
対宇宙戦艦用兵装であるメガビームランチャーの直撃を受け、燃える岩程度が耐えられるはずもない。大岩は塵一つ残さず空中に溶けて消え去った。
「ま、こんなところか」
メガビームランチャーの砲身から強制冷却材の蒸気を吹き上げ、一息つくミスタリアだった。
「なにっ、船の周囲に敵性反応だとっ!?」
ミスタリアは鎧装の骨伝導スピーカーから聞こえてきた敵襲を告げる警告音に驚きの声を上げた。火山弾を撃ち漏らさないようにと船の周囲に展開していたレーダービットが、突然現れた敵の反応を伝えてきたのだ。
眼下の『天鳥船』を見下ろすと、船の周囲の空間から溶け出すように、からくり忍者軍団が姿を現したところだった。船の各所で猟兵たちが迎撃戦を始めている様子がミスタリアの目に映る。
「ちっ、どこに潜んでいやがった!? やっぱ海の中か!? これだから海上の船での戦いってのは!」
舌打ちし、文句を言いながらもミスタリアは『天鳥船』の救援に向かおうと背部スラスターを下方に向けて急降下――する直前、脚部ブースターを全開。急上昇した。
その直後、ミスタリアのいた場所をからくり忍者の忍刀による一撃が斬り裂いた。死角からの攻撃を外したからくり忍者は、降り注ぐ火山弾を足場にして跳び回り、再度ミスタリアの死角に回り込む。
「ハッ! 死角から来ようがレーダービットにゃ映ってるから丸わかりなんだよ!」
ミスタリアの視界に投影された立体レーダーの映像。そこには、ミスタリアの周囲の火山弾を足場にして死角を跳び回る10数体のからくり忍者たちが映し出されていた。
船を守るために周囲に放った小型情報収集兵装レーダービット。それが作る観測網は、ミスタリアを狙うからくり忍者たちを完全に捉えていたのだった。
「どこから来るか分かってりゃ、死角も何もないってな!」
ミスタリアはプラズマジェットを吹き出すスラスターを機敏に動かして四方八方から迫る奇襲を避けつつ、メガビームランチャーを構えた。
ミスタリアの周囲に降り注いでいる火山弾。それを足場にして空中を跳び回るからくり忍者たち。常に死角から襲ってくるからくり忍者には、正面からメガビームランチャーの一撃を当てる隙はない。
「ちいっ、ちょこまかとっ!」
アームドビットのビームとダガービットのビーム刃でからくり忍者に攻撃を仕掛けるミスタリア。からくり忍者の腕や脚に、ビームやビーム刃が命中し、からくり忍者にダメージを与えていく。
だが、高速で動き回るからくり忍者に致命傷を与えるのは難しかった。
傷ついたからくり忍者たちは、壊れた腕や脚をパージすると、より高速で火山弾の間を跳び回る。こうなっては、もはやアームドビットとダガービットで捉えられる速度ではない。
「そうかよ! だったらこうしてやらあっ! フルバースト・マキシマムモード!」
ミスタリアがアームドビットとメガビームランチャーを周囲に向ける。レーダービットによって作られた三次元映像に映るターゲットをロックオンしていき――。
「くらええええっ!」
ミスタリアの全武装一斉発射が、『周囲の火山弾』を跡形もなく消し飛ばした。
攻撃が命中しなかったからくり忍者たちは反撃に移ろうとし――そこで、ようやく気がついた。周囲に足場に出来る岩が一つも残っていないことに。
にやり、と笑みを浮かべるミスタリア。
「飛び回れなければ、空はオレの独壇場だよなぁ!?」
空を自在に駆けるミスタリアは、自由落下するしかないからくり忍者たちを次々とパイルバンカーで串刺しにして粉砕したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
彩波・いちご
【恋華荘】
まだ火山弾も収まっていないのに、オブリビオンの登場ですか
どちらにも対処するのが猟兵というものですっ
【異界の顕現】で3尾に変化して戦闘力を高めつつ
【異界の守り】で火山弾を防ぐ結界を張りましょう
まゆさんが避けきれないときや、船にダメージ来そうなときは、結界で防いで
私はまゆさんと共に前に出て迎え撃ちます
徒手空拳で戦いもしますが、まゆさんの手助けに【異界の抱擁】の触手を無詠唱でサクッと召喚して忍者の足に絡め、ハンマーが殴った瞬間にそれを解けば、船の外にホームランですね
「私なら大丈夫ですから、まゆさん落ち着いてっ」
まゆさんが殺気放って暴走しそうなときは、声をかけたり頭撫でたりで宥めましょう
白雪・まゆ
【恋華荘】
いちごさんは、おねーちゃん。
紫の光の先にいくのは課題が多いですね。
火山弾を【野生の勘】と【第六感】で躱しつつ
忍者は【Cannonball Crush】に【衝撃波】と【吹き飛ばし】を乗せて、倒すというよりは、船からたたき出すことをメインに戦いたいと思います。
あ、もちろん、火山弾がおねーちゃんにあたりそうになったり、
おねーちゃんを狙った忍者がいたら、最優先でぶっ飛ばしますですね。
そのときは、めいっぱい【殺気】も纏っておきましょう。
「おねーちゃんに手を出すとか、どういうつもりなのです?」
おねーちゃんに声をかけられると、つい甘えてしまいそうになりますが、
そこは戦い終わるまでがまん、なのです!
●からくりVS狐と子犬
「猛烈な火山の噴火は収まりましたけど、まだ火山弾が降ってきますので油断せずにいきましょうね、まゆさん」
和ゴス風のアイドル衣装に身を包んだ彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が、白雪・まゆ(月のように太陽のように・f25357)の頭をなでながら船の前方を眺めて呟いた。
「はいなのです、おねーちゃん! 紫の光の先に行くには課題が多いですね」
ぎゅっといちごにしがみつきながら、気持ちよさそうに頭をなでられているまゆ。肩の長さで切りそろえられ頭上でツインテール風に縛られたピンク色の髪が嬉しそうに揺れる。白いコートの下から覗くミニスカートとハイソックスで構成された絶対領域が一部の幕府の侍の間で大人気だという。
海底火山地帯を航行する『天鳥船』。最も活発な海底火山は抜けたようだが、行く手にはまだまだ海上に顔を出したいくつもの火山が見える。それらの火山からは、いまだに大小の火山弾が降り注いでいた。
「この火山地帯の先を紫の光が指しているのですかね?」
いちごは、妖狐の耳の生えた青髪ロングヘアの頭を可愛らしくかしげる。
「けど、このどっかんどっかんしてる山のどれかが目的地かもしれないです、おねーちゃん」
船の舳先から伸びる紫の光の指す先は判然としない。ましてや、その光の先には何が待っているのだろうか。
蒸気鉄甲船となった『天鳥船』は、海底が隆起して浅瀬になっている場所を避けながら紫の光の指す方向へと進んでいくのだった。
異変が起こったのは、いちごとまゆが船尾近くを歩いているときだった。
突如、周囲の空間が揺らいだかと思うと、空中から溶け出すようにからくり忍者軍団が姿を現したのだ。
「まだ火山弾も収まっていないのに、オブリビオンの登場ですかっ! まゆさん、気をつけてくださいっ!」
いちごがまゆをかばうように前に出る。
その後ろでまゆもバトルハンマー『Feldwebel des Stahles』を握りしめ、いつでもいちごの前に出られるように身構えた。
「おねーちゃんは、わたしが守るです」
普段は子犬のような雰囲気のまゆだが、敵を前にした今は、狼のように強烈な殺気を放っている。
だが、その殺気も意に介さず、無言で忍刀を構えたからくり忍者たちは、いちごとまゆに攻撃を仕掛けてきたのだった。
まず動いたのはからくり忍者たちだ。からくり忍者はその手に持つ爆弾を放り投げてきた。それは麻痺毒を含む煙幕弾。いちごとまゆを一気に無力化しようという戦法だった。
「いあ……いあ……、無限無窮の最奥より夢見る力をこの内に」
邪神の力に覚醒し、いちごは強大な力をその身に宿す。邪神の力を解放した証として、普段は一本であるいちごの妖狐の尻尾が三本に増えていた。
「いあ……いあ……、無限無窮の最奥にて見る夢の力を我らが守りに」
いちごは邪神の力によって結界を形成した。結界は、からくり忍者たちが投げてきた煙幕弾を弾き返し、結界の外側で爆発して発生した煙幕の侵入を阻む壁となる。
結界の効果が解けたときには、すでに甲板上の煙幕は完全に晴れていた。
「その攻撃は私の結界の前には通用しませんよ」
静かに宣言するいちご。
だが、そこには、からくり忍者たちの姿はすでになかった。忍刀を構えて縦横無尽に甲板上を駆け回るからくり忍者たちは、いちごとまゆを取り囲むと、その死角から襲いかかってきたのだ。
「まゆさんは傷つけさせません!」
「おねーちゃんに手を出すとか、どういうつもりなのです?」
まゆの死角から襲いかかったからくり忍者は、いちごから拳と蹴りを叩き込まれて吹き飛ばされる。
いちごの死角から襲いかかったからくり忍者は、まゆのバトルハンマーの直撃を受けて船から叩き出された。
からくり忍者たちにとっては、これは大きな誤算であり、理解不能の出来事だ。二人が互いに自分への攻撃を無視し、相手を守る行動を取るなどと、からくり兵器に予想できるだろうか。
「どうやら、私たちの行動が理解できない、といった様子ですね? いいでしょう、教えてあげます。これこそ、人の絆の……」
「これこそ、妹であるわたしとおねーちゃんの愛の力なのです!」
胸を張って、セリフを奪ったまゆに、いちごが突っ込みを入れる。
「ちょっと、まゆさん。ここは人の絆の力とか、からくりには分からないとか、そういう決め台詞ではっ!?」
「おねーちゃんと飼い犬の絆の力の方がよかったです? 絆(リード)だけに」
こてん、と首をかしげるまゆだった。
からくり忍者軍団の一部は倒したが、甲板上にはまだまだからくり忍者たちが忍刀を構えて、いちごとまゆを取り囲んでいる。
「さて、一気に片付けてしまいましょうか、まゆさん」
「はいです、おねーちゃん」
いちごは、からくり忍者たちに向けて邪神の力を解き放ち、大量の触手を喚び出した。
本来であれば呪文の詠唱を経て呼び出す必要があり、それでも暴走の危険のある異界の触手の群れ。だが、邪神の力に目覚めたいちごは、無詠唱で召喚をおこない、触手たちを完全に制御していた。
呼び出された触手は、いちごの思うままに、からくり忍者たちの脚に絡みつき動きを封じていく。
そこに飛び込んでいくのが、バトルハンマーを構えたまゆだ。
両脚を肩幅に広げて甲板を踏みしめたまゆは、バトルハンマーを大きく振りかぶると、からくり忍者に向かって【Cannonball Crush】で全力フルスイング。
ハンマーのインパクトの瞬間に、いちごが触手による拘束を解いたため、からくり忍者は船の外に場外ホームランになった。
「さて、次は誰がふっ飛ばされたいですか?」
きゅぴーんと目を光らせたまゆが周囲を見回し。一体、また一体と、からくり忍者たちが船外に吹き飛ばされていったのだった。
「まゆさん、よくがんばってくれましたね」
「えへへー、もっと褒めてほしいのですっ」
戦いの後、邪神化を解いたいちごは、まゆを褒めながら頭をなでていた。
頭をなでられたまゆは、まるで子犬のように嬉しがっていたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『最強無敵究極天魔城』
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POW : 最強無敵究極天魔拳
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 最強無敵究極天魔忍者隊
【城内から忍者軍団】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 最強無敵究極天魔砲
【両肩の砲身】を向けた対象に、【最強無敵究極天魔砲】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:8mix
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠砲撃怪獣・ガンドドン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
紫の光が指す先へと向かう、蒸気鉄甲船『天鳥船』。
海底火山地帯に降り注ぐ火山弾を避け、隆起した海底を避けながら進む『天鳥船』は、ついに紫の光が指す場所へと到達した。
海底火山地帯の中心部。いまだ火山弾が降り注ぐその場所に、「巨大な紫色の光球」が浮かんでいた。『天鳥船』の舳先から伸びる紫色の光は、その光球に吸い込まれるようにして消えている。あの光球が目的地で間違いないだろう。
だが、猟兵たちが「巨大な紫色の光球」を調べるために船を近づけようとした瞬間。
「巨大な紫色の光球」が光り輝いたかと思うと、ゴゴゴ……という轟音と共に、海底から何かがせり上がってきた。
「な、なんだあれは!?」
突然の事態に浮足立つ幕府の侍たち。
「海底火山の隆起か!?」
「島の浮上か……!?」
いや。その実態は。
「「「巨大な城だーっ!?」」」
それは、からくりで動く城のオブリビオン、最強無敵究極天魔城だった。
どうやら先程襲ってきたからくり忍者軍団は、この城の中にいる忍者部隊のようである。
腰から上を海上に出した天魔城は、蒸気鉄甲船を沈めようと攻撃をしかけてくる。
「巨大な紫色の光球」を調べるためには、天魔城を倒す必要があるようだ。
火山弾が降り注ぐ海底火山地帯で、猟兵たちと天魔城との戦いが始まったのだった。
●マスターより
今回は火山弾から船を守るプレイングはなくて大丈夫です。
また、『天鳥船』から一人~二人乗りの小舟を借りて、乗って戦うことができます。天魔城の攻撃に『天鳥船』が巻き込まれないようにしたい場合にお使いください。
シャルロット・シフファート
「さて、とっておきのを見せましょうか――『対地属性攻城兵装・シオウル・タルタロス』」
そう告げると同時に私の手元に重機械の破城槌と言うべきミニガンのようなグレネードランチャーが顕現する。
今回は対地属性――物質存在に対して絶対の性能を発揮する複合された属性の精霊炉を改造した高出力の砲弾を射出する兵装。
その砲弾が物質に直撃したら構造を一瞬で解析し錬金術の応用で分解され、爆発の影響を受けなかった部位も直撃した場所から波紋のように分解が伝わっていくわ。
これだけの巨体ですもの。当てるのに苦労はないわ。
無論忍者舞台にも接近される前に発射して対処するわ。
彩波・いちご
【恋華荘】
ここにきてお城…というかロボですよねあれ
なかなか予想外のモノが出ましたが…あれを越えなければ先には行けません
まゆさんと違って私は空中浮遊程度で早く飛べないので
「すみません、少し失礼しますね?」
まゆさんにしがみついて運んでもらう事に
…空中デートは違うと思うのですが、まゆさん嬉しそうなので、まぁいいか
しがみついた空中姿勢のまま、【幻想よりきたる魔法の演者】で破壊属性の象徴、攻城兵器、破城槌を具現化!
「城攻めなら、これがお約束ですっ!」
全力でロボの城門…股間あたり?にぶつけます
そしてまゆさんから離れて浮遊しつつ号令
「まゆさん!やっちゃって!」
まゆさんハンマーでそれを突き刺してもらいましょう
白雪・まゆ
【恋華荘】
いちごさんは、おねーちゃん。
これを倒さなければ紫の光の向こうにはいけないのですよね。
思いきりいきますのすですよ!
城ロボの側まではお空デート。
いつもと逆にしがみついてくれるおねーちゃんに喜びます。
【Vernichtung durch Granaten】をサポートにバランスを保ちつつ、
【Feldwebel des Stahles】のロケットで移動しますですね。
攻撃は【Centrifugal Hammer】をおねーちゃんの破城鎚に撃ち込んで追加打撃。城壁破壊を狙うのです。
「城を破壊するのは鎚って決まっているのです!」
愛の連携攻撃なのですよー!
「おねーちゃんといっしょ(物理)なのです!」
エメラ・アーヴェスピア
…また大きいのが出て来たわね…これもからくり…つまりこの世界の技術よね…
調べたくはあるけれど…仕事を優先ね
それに…あの光球も気になるもの
兵士に引き続き護衛…ついでに操舵を任せるとして
船に拳を叩きつけられる訳にはいかないし、私は足元から攻めましょうか
改めて『我が紡ぐは戦装束』、対象は「ドレスベース」で装備は水中用の推進装置や装甲、酸素ボンベや魚雷等の兵器
…この水中戦装備は割と出す回数が多いから最早慣れた物よ
今回は加えて耐熱や冷却用の装備も付けて地底火山の対策もしましょう
折角の海だもの、【地形の利用】をしつつその機動力を生かして戦うとしましょう
さぁ、着実に撃破しましょう
※アドリブ・絡み歓迎
フィーナ・ステラガーデン
あれは何!?島!?くじら!?塔!?に、日本城ロボだわーーー!!
サムライエンパイアに謎のテクノロジーを感じるわね!この世界の闇を見た気がするわ!
さて、城落としといくわよ!!
もうこんな狭い場所(船の甲板)で戦うのもうんざりだわ!
相手が城ならやることは一つ!乗り込むわよ!アクティブにいくわ!
ロボがパンチを撃ってきたら【スライディング】で避けて
【ジャンプ】でロボ腕に着地!そのまま【ダッシュ】で肩まで一気に走るわよ!風よ!風になるのよフィーナ!
肩までなんとか辿りついたら後は【零距離射撃、高速詠唱、全力魔法】でロボの顔面に杖を向けてUCよ!こいつでも食らいなさい!!
(アレンジ、アドリブ、連携大歓迎!)
大神・狼煙
ナァニアレェ?
機巧蜘蛛……は呼ぶと船が沈むサイズだから、その弾頭のみを転送
はたから見たらミサイルの雨が降り注ぎ海を凍らせ、船は逃げられないし敵は上半身普通に動くし、自ら窮地を招いている
が、それが狙い
敵の表面を凍らせて忍者の出入り口を塞ぎつつ、敵の足元を氷で隠しておき、本命は冷凍弾に混ぜてばら撒いた貫通弾
狙いは敵の足場
火山付近の海底は堆積物で高低差があるはず
そこをぶち抜き、相手の足場を崩して海に沈める
ダメージはなくとも、火薬がしければ砲弾は使えないし、仮にエネルギー系の大砲だとしても、雷管まで濡れた状態で撃てばショートして自爆する羽目になる
後は海から出てきた所にもう一発冷凍弾ぶち込めばいいかな?
ミスタリア・ミスタニア
おいおい、幾らオブリビオンだからってこりゃちっとばかし非常識だろ
なんで海中に城がいんだよ?
しかし、立って腰から上が水面から出るってことは此処は海底が浅いんだな。じゃあ、今までは座るか寝そべって隠れてたわけか?
だが、あの図体じゃ動きの遅い船にゃ脅威になるな。まっ、やらせねぇよ!
ハッ!タダでさえ鈍いデカブツが、下半身が水に浸かって余計動きにくくなってオレを捉えられるかよ!
鎧装騎兵らしく飛び回って翻弄するぜ、拳を避けてからぶったらその隙に突撃して懐に飛び込むぜ
おらっ!対艦用パイルバンカーで装甲ぶち抜いて、そのまま装甲ぶち抜いた箇所にメガビームランチャーの対艦ビーム砲をゼロ距離でお見舞いしてやるぜ!
●
猟兵たちが乗り込む蒸気鉄甲船『天鳥船』。その前方の海底からゴゴゴ……という音と共に何かがせり上がってきた。
海水を割って現れたのは、まさに巨大な城だ。それもただの城ではない。胴体である城に巨大な両腕と鬼瓦のような顔がついていた。海中に沈んだ部分には二本の脚が付いており、海上に腰から上を出した状態になっている。
それは巨大城型からくり兵器、その名も『最強無敵究極天魔城』――長いから天魔城と略す――なのだった。
「あれは何!? 島!? くじら!? 塔!? に、日本城ロボだわーーー!!」
三角帽子に真紅の衣服、金髪赤目に八重歯がトレードマークのダンピール魔女、お馴染みのフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)が『天鳥船』に乗り込んだ幕府の侍たちとともに、ノリ良く驚きの声を上げた。
「サムライエンパイアに謎のテクノロジーを感じるわね! この世界の闇を見た気がするわ! もしかして、江戸城も江戸城ロボとかに変形するんじゃないかしら! それはそれで浪漫だけど、だったら織田信長との戦いで投入しなさいって感じよね!」
まあ、もし仮に江戸城が変形したとしても、島原まで歩くのに時間がかかったのだろう、きっと。
「おいおい、いくらオブリビオンだからって、こりゃちっとばかし非常識だろ。なんで海中に城がいんだよ? 海中に座るか寝そべって隠れてたわけか?」
驚きを隠せないのは、漆黒の鎧装に身を包んだミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)も同様だ。スペースシップワールドで巨大な戦艦と戦ったり、小惑星サイズの要塞を舞台に暴れまわったこともある彼女だが、戦艦級の敵が海から出てくるなどという状況は初めてだった。
「ったく、暗礁宙域でもないのに戦艦級の敵がステルスしてるとか、勘弁して欲しいぜ」
自身の身長ほどもある対艦ビーム砲・メガビームランチャーを構えるミスタリアだった。
「ナァニアレェ?」
一方、大神・狼煙(コーヒー味・f06108)が天魔城を眺めて間の抜けたような声を出す。
鉄甲船を覆うほどの掌を持つ機巧巨人を操る狼煙だ。いまさら天魔城の大きさに驚いたりはしない。機巧巨人以外にも、狼煙が操る古代機械兵器には巨体を誇るものもいる。
そんな狼煙の声が意味するのは、すなわち――敵への呆れ声。
「城型のロボットですか。わざわざ重心が高くなるような不合理な構造、理解に苦しみます。さらに重心を上げるような両肩の巨砲……」
眼鏡の奥の鋭い赤い瞳で敵を睨み、その弱点をいかに攻めるか策を練る。
「ええ、あれでは海中にある両脚でバランスを取るのが精一杯でしょうね……」
狼煙と同じ結論に至った人形のような金髪少女エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が緑色の瞳で天魔城を見据えながら冷静に頷いた。魔導蒸気技術者として人型の魔導蒸気兵を操るエメラにとっては、その構造的弱点を見抜くのも容易いことだった。
二足歩行の弱点は、そのバランスの不安定さだ。特に天魔城のように重心が高い場合、足元への衝撃を吸収するのが難しい。
エメラもまた、敵への攻撃方法を思案する。
「ここにきてお城……というかロボですよねあれ。なかなか予想外のモノが出ましたが……あれを越えなければ先には行けません」
「紫の光の先におねーちゃんと一緒にいくためにも、あれを倒すのですよ! そして紫の光の先でおねーちゃんと二人で一緒に幸せに暮らすのです!」
突如現れた城型ロボに驚きながらも、紫色の光の玉の先へと向かうため、天魔城に瞳を向ける二人の猟兵。
青い髪に狐の耳を生やした妖狐の彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が青い目に決意の光をたたえる。
肩までの長さのピンク色の髪を頭上の二箇所で留めた白雪・まゆ(月のように太陽のように・f25357)も、ぎゅっといちごの手を握ると、もう片方の手で自身の身長よりも大きなバトルハンマーを構えた。
「あの、まゆさん? 私達は調査に来たのであって、光の先で一緒に暮らすわけでは……」
「おねーちゃん? 何か言ったですか?」
まゆの手ががっちりといちごの手をホールドしていることに気づき、いちごは沈黙したのだった。
「海の中から出て来た巨大な城、ね。大航海を乗り越えてきた私を歓迎する竜宮城――と言うには、無粋な外見よね」
シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス CV釘宮理恵・f23708)が赤を基調にしたドレスと金髪縦ロールを風になびかせながら巨大な城を睥睨した。
お嬢様然とした優雅な態度で城を眺めたシャルロットは、天魔城の腰の部分にある門が開いて、からくり忍者軍団が出てくるのを目にした。
「どうやら、お出迎えはタイやヒラメじゃなさそうね!」
天魔城から出て来たからくり忍者軍団は、水蜘蛛で水面を滑るように蒸気鉄甲船『天鳥船』へと向かってきたのだった。
――こうして、扉絵でバレバレなのに律儀に驚いてくれる猟兵たちに感謝しつつ、天魔城との最終バトルが幕を開けた。
●
海上を迫りくるからくり忍者たちに対し、甲板上で一歩前に出たのは余裕の表情を浮かべたシャルロットだ。
「では、まずは私からね。とっておきのを見せましょうか――『対地属性攻城兵装・シオウル・タルタロス』」
シャルロットは電脳精霊術【神戮人器・銀悠を奏するは臨界の聖剣にして魔弾なり(コレダー・イグナイター)】の呪文を詠唱する。
「暴虐の終焉は告死と鏖殺を宣する人の造りし神滅の剣にして弾丸。それは神界を砕く夕闇に染まる聖光に満ちている――」
精霊炉改造兵器を召喚する術によりシャルロットの眼前に現れたのは、まるでミニガンのようなグレネードランチャーだった。
「このシオウル・タルタロスは、対地属性――物質存在に対して絶対の性能を発揮する複合された属性の精霊炉を改造した高出力の砲弾を射出する兵装よ!」
胸を張ったシャルロットは、蒸気鉄甲船の甲板に固定されたシオウル・タルタロスの銃口を接近してくるからくり忍者軍団に向けた。
そして、シャルロットが構えたシオウル・タルタロスが毎分3000発もの勢いでグレネード弾を吐き出し始めた。
『天鳥船』に迫るからくり忍者軍団の周囲でグレネード弾が弾けて、激しい轟音とともに爆炎がからくり忍者たちを襲う。爆炎が命中したからくり忍者は、その身体がまるで砂に変わるように分解していき、風に吹き散らされていった。
「その砲弾は、命中した対象の構造を一瞬で解析し、錬金術の応用で分解する効果があるのよ!」
シャルロットの言葉通りに崩れ去っていくからくり忍者の大軍たち。
「さあ、あとは本命ね!」
からくり忍者軍団を文字取り粉々に分解したシャルロットは、ミニガンを天魔城へと向けた。
トリガーを引くと同時に、雨あられと吐き出されるグレネード弾頭。それは、攻撃を防ごうと差し出された天魔城の左腕に命中し、次々と爆発を起こしていく。
だが、巨大な城からくりの腕を消し飛ばすにはさすがに攻撃の規模が小さい――かと思った瞬間。爆発した部分から、天魔城の腕の崩壊が広がっていった。
「私の砲弾は、直撃した場所から波紋のように衝撃が伝わり、全身を分解させるのよ」
全砲弾を撃ち尽くしたシャルロットが、カラカラと空回りするミニガンの前で得意げな笑顔で言い放つ。
左手の先、肘、上腕と徐々に崩壊が迫ってくるのを見た天魔城は、左腕をパージして切り離すことで、本体への影響を抑えることしかできないのだった。
「さあ、敵は左腕を失ったわ! みんな、一気に攻めて頂戴!」
シャルロットの声が『天鳥船』に響き渡った。
●
シャルロットの攻撃によって、敵からくり忍者の第一陣を迎撃した猟兵たち。
続いて、エメラが白いフリルをふんだんにあしらった赤と黒を基調としたドレスを潮風に揺らしながら、『天鳥船』の舳先へと進み出た。
「……それにしても大きいのが出て来たわね……これもからくり……つまりこの世界の技術よね……」
魔導蒸気技術者であるエメラは、異世界の機械技術たるからくりに興味を引かれつつも、その誘惑を振り払うかのようにぶんぶんと頭を振った。
「調べたくはあるけれど……仕事を優先ね。それに……あの光球も気になるもの」
『天鳥船』の舳先から伸びる光が指し示す光球。それこそ、第六天魔王『織田信長』が侵略すると豪語していた『グリードオーシャン』の手がかりかもしれない。
今は、この世界のからくり技術よりも、光球を調べることが最優先である。
「……あの城のからくりは、光球を調べてから、ゆっくり調査しましょう」
――誘惑を振り切れていないエメラだった。
「さて、私は海中……敵の足元から攻めましょうか。船に被害を出すわけにもいかないし、ね……」
からくり忍者たちとの戦いで召喚した魔導蒸気兵たちに引き続き船の護衛と操舵を任せ、エメラは『天鳥船』の舳先に立つ。
「浮遊型魔導蒸気兵器固定用装備『ドレスベース』の水中戦用装備への換装を開始……完了。魔導蒸気機関起動確認!」
【我が紡ぐは戦装束】によって、エメラはバックパック型魔導蒸気兵器『ドレスベース』を水中戦用に換装する。
彼女が背負ったバックパックには、水中用推進装置や酸素ボンベ、魚雷などの水中戦用兵器が搭載される。さらにエメラの全身を覆うのはパワードスーツのような全身装甲だ。耐衝撃性に優れ、耐熱、冷却、耐水機能も完備した局地戦用強化装甲である。この装備であれば海底火山地帯の高温にも耐えられるだろう。
「大神さん、作戦通りにお願いね」
「お任せください、エメラさん。手はずは整っています」
眼鏡を怪しく光らせた狼煙の返事を聞くと、水中戦用装備に身を包んだエメラは『天鳥船』から海中へと飛び込んでいった。
「では、私はエメラさんや皆さんのサポートといきましょう」
『天鳥船』の舳先へと出た狼煙が、すっと右手を天魔城に向ける。
狼煙の眼前に展開されるのは、【古代機械兵器・機巧蜘蛛】を召喚するための転移門。だが、今回は機巧蜘蛛の本体を呼び出すわけではない。
「機巧蜘蛛を呼ぶと大きすぎて船が沈んでしまいますからね。転移門解放! 機巧蜘蛛の武装のみを召喚! 蜂の巣ならぬ蜘蛛の巣だオラァ!!」
狼煙の正面に浮かぶ転移門からは、機巧蜘蛛の武装である多数の砲台の砲門のみが顔を出す。
機巧蜘蛛の砲門から轟音と共に無数の弾頭が発射され、ミサイルの雨が天魔城に向かって降り注いだ。
天魔城の周囲に着弾したミサイルは、爆発と同時に周囲の海を凍らせていく。
「いかがですか、機巧蜘蛛の冷凍弾の味は?」
狼煙はにやりと怪しい笑みを浮かべ問いかけた。
凍結弾は、天魔城の周囲の海水を凍らせ、さらに天魔城の表面をも氷で包み込む。さすがに腕や天魔砲まで封じることはできなかったが、からくり忍者が出入りするための入り口をことごとく氷で塞ぐことに成功する。
凍結弾の影響は『天鳥船』の周囲まで及び、海底火山帯だったはずの場所は、一気に氷に覆われた極寒の世界に変わったのだった。
●
「大神さんの初手は成功のようね……」
水中を魔導蒸気式推進装置で進むエメラは、頭上の海が氷で閉ざされたのを見て、作戦が予定通りに進行していることを確認した。
だが、海底火山の活動で高温になっていた海水の表面が急激に冷却されて凍った今、海中の水流は不安定になっている。海底で熱せられて上昇する海水と、海上で冷却されて下降する海水が衝突を起こす様は、まさに台風発生のメカニズムと同じだ。エメラの周囲の海流はいたるところで渦を作り、海中の台風となっていた。
「あの渦に巻き込まれたら、さすがにただでは済まないわね……」
推進機のスクリューを細心の注意を払いながら操縦し、渦の間を抜けていく。
一体どれだけの渦をくぐり抜けただろうか。
無数の渦が荒れ狂う海中を進むエメラの視界に、ついに巨大な二つの城――いや脚が映った。城を模した形状をした脚は天魔城のものに違いない。
だが、その眼前に突如として巨大な渦が発生した。
「く……魔導蒸気推進機、出力全開……!」
とっさにエメラは進路を変更し、推進機をフルスロットルにした。駆動用魔導蒸気缶からエネルギーが供給され、推進機の魔導蒸気機関がフル稼働。最大出力で加速したエメラは間一髪、巨大渦を回避した。
「これは……」
目の前には城の壁。気がつけばエメラは天魔城の間近まで近づくことに成功していたのだ。
ここまで近づければ、魔導蒸気技術者としてのエメラの独壇場だ。専門家としての知識と経験、勘を総動員し、天魔城の内部構造を推測する。
「あの構造ならば……」
人型機械である以上、からくりの城とて魔導蒸気兵と基本は同じ。その駆動系の設計には大きな違いはないはずだ。
「脚部駆動の要は、あの歯車……!」
エメラは天魔城の構造上の弱点を発見すると魚雷発射装置を構えた。放たれた魚雷群は天魔城の脚部にある駆動用歯車に命中し、それを粉砕。両脚を動かすのに必要な歯車を破壊され、天魔城の脚の動きが止まったのだった。
「これで巨大からくりはバランスを取れなくなったわ。大神さん、作戦第二弾、お願いするわね……」
「エメラさんからの位置情報、確認しました」
『天鳥船』の舳先で機巧蜘蛛の武器を召喚したままの狼煙が、手元の魔導蒸気機械に向けて答える。
エメラから渡された通信機には、天魔城の足元――狙撃ポイントが表示されていた。
「私の狙いは初めから敵の足場。火山付近の海底は堆積物で高低差があるはずです。そこをぶち抜けば、あの巨体はバランスを保てなくなります」
ただでさえ上半身が重い天魔城だが、今は片腕をパージしたため、さらに左右のバランスも悪くなっていた。
その上、エメラに両脚の歯車を破壊されたのだ。天魔城は、もはや倒れる寸前の案山子に過ぎない。
「私が敵の足場を崩します。皆さんには城の外壁を破っていただきたいのです」
狼煙は『天鳥船』から出撃していった仲間たちの背中を眺め、呟くのだった。
●
「おねーちゃん、しっかり掴まっていてください、ですよっ!」
サブフライトシステムにもなる浮遊砲台『Vernichtung durch Granaten』の上に乗ったまゆは、自身にしがみついているいちごにむかって声を掛けた。
「はい、すみません。少し失礼しますね?」
いちごが、まゆの肩におずおずと手をかけるが。
「だめですよ、おねーちゃん。すごく揺れるので、もっとぎゅーっと掴まるのです!」
「ええっ、こ、こうですか、まゆさん?」
まゆの細い腰に手を回し、深呼吸ひとつ。いちごは覚悟を決めるようにまゆに抱きついた。
「では、いっくのですよーっ!」
それと同時に、まゆがバトルハンマー『Feldwebel des Stahles』からロケットを噴射させた。
通常は攻撃時にハンマーを振り下ろす威力を上げるために用いるロケット噴射だが、推進装置として使うこともできるのだ。
凍りついてキラキラと光る海面の上を高速で飛翔する二人。
「うわぁ、綺麗ですねぇ。この光景が見れただけでも、ここまで冒険してきた甲斐がありましたね」
いちごが感慨深げに呟く。それはそうだろう。一面の氷に閉ざされた海底火山地帯の海上を飛翔するなど、そうそう体験できることではない。
さらに周囲にはダイヤモンドダストが舞っている。これ以上ない幻想的な光景と言えた。
――前方に見える人型の巨大城からくりを除けば。
「わたしは、おねーちゃんと一緒ならどこでも嬉しいのですよっ!」
そんないちごを見て、まゆが輝くような笑顔を向けてきた。
その笑顔は、周囲の幻想的な光景にも負けない、とても魅力的な微笑みだった。
「おいおい、二人きりの世界に入るのもいいが、任務を忘れてないだろうな?」
そんな二人に並ぶようにプラズマジェットで空を駆けるのは、漆黒の鎧装をまとったミスタリアだ。
ミスタリアの声で我に返ったいちごが慌てて居住まいを正す。
「そうよ、二人が突入の鍵なんだからね!」
飛翔するいちご、まゆ、ミスタリアの下方、凍った海の上を猛速度で疾走しながら、フィーナも釘を差してくる。
「ずっと狭い船の中にいるのも退屈してきてたのよね! そろそろ全力で身体を動かしたいわ! それに寒い場所なら私得意だし!」
「全力飛行じゃないとはいえ、オレの鎧装の機動力に生身で付いてくるとは驚きだな……」
氷の海を蹴立ててダイヤモンドダスト(さっき幻想的と言ってたやつ)を撒き散らしながら、ときおり無意味にスライディングなども交えつつ猛ダッシュするフィーナ。当然、生身でこれだけの速度が出せるはずはないので、本人も無意識の内に肉体強化系の魔法を使っているのだろう。
両手を広げて駆けるフィーナが大きな声で叫ぶ。
「今、この氷原は私のものよ! 風よ! 風になるのよフィーナ!」
「翠の疾風であるオレの前で風を名乗るとはよく言った! こうなりゃ、どっちが先に城まで辿り着くか勝負だぜっ!」
「望むところよっ!」
フィーナは右へ。ミスタリアは左へと分かれていく。
「まゆさん、正面、気をつけて!」
「はいです、おねーちゃん!」
いちごとまゆの正面では、天魔城が残された右腕を振り上げ、猟兵たちを迎撃しようと待ち受けていた。
●
天魔城は、接近してくる猟兵たちに向かって残された右拳を振り上げ、横薙ぎに振り払った。
直撃すればどんなものでも粉砕する最強無敵究極天魔拳の一撃だ。
「ハッ! タダでさえ鈍いデカブツが、下半身を氷に閉ざされて駆動系までやられて余計動きにくくなって、オレを捉えられるかよ!」
向かって右を飛ぶ緑の髪の猟兵は、蜂のように素早く空中を飛翔し、天魔拳の軌道から逃れでた。
「おねーちゃん、しっかり掴まっててくださいです!」
正面から接近してくる二人乗りのからくりに乗った猟兵たちは、くるんと浮遊からくりの上下を反転させると拳の下をくぐり抜けた。
「あら! わざわざ足場をくれるなんて助かるわね!」
左を非常識な速度で走る猟兵は、あろうことか振り切った拳の上に飛び乗ると、そのまま肩まで登ってきた。
周囲をちょろちょろ動き回る猟兵たちをなんとかしようと、天魔城は拳を振るう。
だが、いかんせん、天魔城と猟兵たちでは大きさが違いすぎた。両手があれば違っただろう。脚が動かせれば違っただろう。こういうときのためのからくり忍者軍団が出撃できれば何の問題もなかっただろう。
しかし、今の天魔城には、何一つ存在しない。
ただただ、猟兵たちのなすがままとなっていた。
●
まゆといちごが乗る浮遊砲台が、天魔城正面に到着した。目の前には、からくり忍者軍団が出撃するための城門が、きっちりと閉められた状態で氷漬けにされていた。
「作戦のためには、このお城を穴だらけにすればいいのですね?」
「ええ、そのためにも、ここの城門を破りますよ、まゆさん! ここからは私の魔法のステージです! Object Stand-up!!」
いちごは、【幻想よりきたる魔法の演者】によって、破壊属性の象徴である攻城兵器、破城槌を具現化する。
「城攻めなら、これがお約束ですっ! まゆさん、やってしまってくださいっ!」
「はいですっ! お城を壊すのは槌って決まっているのです! 一撃必砕! 全・力・全・開っ!」
凍りついた城門の前に実体化した破城槌に向かって、まゆがバトルハンマーを振り上げた。
【Centrifugal Hammer】――ハンマーの後部からロケットを吹き出すことで打撃力を大幅に増大させた一撃が、破城槌の後部を強打する。
その打撃は今まさに天魔城の城門へと突き刺さろうとしていた破城槌をさらに押し込む形になり――氷が割れる甲高い音と、金属製の城門がひしゃげ吹き飛ぶ音とが周囲に同時に響き渡った。
「正面は上手くやったみてぇだな。なら、今度はオレの番だっ!」
天魔城の右側面に回り込んだミスタリアが、鎧装の脚部と背部に装着された大出力スラスターを独立稼働させた。吹き出されたプラズマジェットが縦横無尽な三次元機動を可能にする。
天魔城が振り回す滅茶苦茶な拳では、ミスタリアの機動を捉えることができるはずもなかった。
「そんな動きじゃ、直掩の鎧装騎兵や宇宙戦闘機のいない戦艦も同然だぜっ! 取り付いちまえば抵抗できねぇだろっ!」
ミスタリアは、メガビームランチャーを構えたまま、天魔城へと突進していった。
「行くぜ、【グリュンシュトゥルム】! バンカー、捉えた! ゼロ距離、これで! いっちまえよやぁぁぁぁ!」
天魔城に激突する勢いを乗せ、メガビームランチャーの銃身に装着されたパイルバンカーが炸裂。頑強な天魔城の外壁を、表面の氷ごと打ち砕いた。
だが、まだミスタリアの攻撃は終わらない。
「これで……とどめだぁああっ!」
メガビームランチャー――対艦ビーム砲の引き金を引くと同時に、眩いばかりの閃光が溢れ出し、ゼロ距離から放たれた荷電粒子の奔流が天魔城を貫き、反対側から吹き出した。
それは、まるで巨大な城を貫く光の杭――パイルであった。
「っしゃ! これだけ派手に穴開けりゃ、作戦通りだろ!」
メガビームランチャーの銃身を冷却材で強制冷却しつつ、ミスタリアは天魔城から飛び去った。
一方、光のパイルが穿った、天魔城の左半身の穴の前では――。
「って、ちょっと危ないわねっ! 誰よいきなり城の中から光の魔法ぶっ放してきたのは! さてはこの城ね! 城の防御兵器かなんかなのね!」
突如、目の前に吹き上がったビームで前髪を少し焦がしたフィーナが怒り狂っていた。
「もう許せないわ、あの偉そうな顔に一発ぶちこんでやるわ!」
だーーーーっと天魔城の胴体を駆け上ったフィーナは、鬼瓦を思わせる大きな顔の前に仁王立ちする。その右手には、フィーナ愛用の魔法の杖が握られていた。
杖を構えたフィーナの全身に魔力が迸り、杖の先端に集中していく。それは純粋な魔力から灼熱の火球へと変化し、まるで小さな太陽のような塊となった。太陽から発せられる熱が天魔城を覆う氷どころか凍結した周辺海域すらも溶かしていく。
「さあ、私の自慢の髪の毛の恨み、思い知りなさいっ! 消し飛べえええええええええ!!」
ぷすぷすと音をたてつつ、ちょっとパーマかかってしまった前髪のカタキとばかりに、フィーナが太陽のような火球を天魔城の顔面に叩きつけた。
【圧縮セシ焔ノ解放】は、天魔城の顔面に着弾すると同時に圧縮された炎のエネルギーを解放。カッと大爆発を起こして天魔城の上空に巨大なキノコ雲を発生させた。
「よし、これで任務完了ね!」
吹き飛ばされた天魔城の頭部には、胴体に通じる巨大な穴が空いたのだった。
●
天魔城の正面をぶち破った破城槌。
側面から貫いた光のパイル。
頭部を吹き飛ばした大爆発。
「どうやら、予定通りのようですね」
その様子を見ていた狼煙が、にやりと口角を釣り上げて笑う。眼鏡を光らせたその態度は、まるで悪の幹部のようで。
「アンタ、警察に職務質問されたりしないの?」
「何をいいますか。私はしがない喫茶店の店主ですよ」
シャルロットの突っ込みを白々しくかわす狼煙であった。
「それに、この策はエメラさんが鍵ですからね」
そう言うと狼煙は、海中のエメラから受け取ったデータに基づき、機巧蜘蛛の砲門の角度を変える。
先程の冷凍弾とは違い、貫通弾頭を搭載したミサイルが海中に向かって放たれた。
狙うは海中。天魔城の足元だ。
ミサイルは海中を進むと、天魔城の足元、堆積物でできた海底に着弾。激しい衝撃とともに、天魔城の右脚の下の地面を陥没させた。
「ターゲットの足元への着弾を確認したわ。駆動できない脚では、バランスを保つことはできない……」
海中のエメラが見守る中、天魔城――左腕を失い右半身に重心が偏っている――は右脚の支えを失い、右へと傾いていく。
天魔城の正面の城門跡と光のパイルの出入り口から、天魔城の内部に海水が侵入していき、さらに海中へと没していく天魔城。
「さあ、みんな、一気に決めるわよ……」
「了解したわ! 神戮人器・銀悠を奏するは臨界の聖剣にして魔弾なり!!」
シャルロットが放ったグレネード弾が天魔城を分解していく。
「メガビームランチャー、もう一発もってけっ!」
ミスタリアが直上から極太のビームを浴びせかける。
「もう一回、爆発しときなさいっ!」
フィーナの魔法が天魔城を爆破する。
「まゆさん!」
「いくですよ、おねーちゃん!」
いちごが、まゆのハンマーを巨大化させ、まゆがそれを振り下ろした。
「機巧蜘蛛、全砲門発射!」
狼煙の召喚陣から無数のミサイルが降りそそぎ。
「城の防御装甲の完全破壊を確認したわ……からくり動力炉、確認。これで終わりね……」
エメラの撃った魚雷群が、むき出しになった動力炉に直撃。
大爆発とともに、最強無敵究極天魔城は海の藻屑と消えていった。
●巨大な紫色の光球
最強無敵究極天魔城を撃破した猟兵たちは、ついに『天鳥船』の紫の光が指す『巨大な紫色の光球』に鉄甲船を近づけた。
「この先に海鮮鍋があるのね! 一体どんな鍋なのかしら!」
「いえ、さすがに鍋はないのではないかしら? 鍋が食べたければ知り合いの料理人を紹介するわよ?」
「それよりも、大航海時代といえば珈琲豆でしょう。店で出すための新しい珈琲豆を手に入れ、珈琲王に私はなりますよ」
「つい勢いで城からくりを破壊してしまったので、ここは光球の謎をなんとしても調べるわよ……」
「ったく、海はもうこりごりだぜ。海以外のとこ……できれば宇宙に続いててくれねぇかなぁ」
「まゆさん、楽しい船旅でしたね。あの光球を調査すれば、あとは帰るだけですね」
「おねーちゃんと一緒で楽しかったのです!」
各々の思いを胸に光球へと近づいた猟兵たち。
その瞬間。光球の紫色の中に、僅かな白い光が混ざったかと思うと、その向こうに『南国の島々』が見えた気がした。
――それが、織田信長が言い残した『グリードオーシャン』の光景なのだろうか?
謎が明らかになるまで、もう少しの辛抱のように思われた。
大成功
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