●某飛行場
帝都某所にある大きな飛行場にはとても大きな鐘があることで有名だった。
その飛行場では複葉機や飛行船が発着する際の注意を意味したり、操縦士への健闘の意を込めたりと、様々な意味合いで鐘が鳴らされていた。
「今日もよう鐘がなるなぁ……」
飛行場の待合室にいた民間人達は建物の天井を仰ぎ、それから硝子の向こうの空を見た。
桜の花びらが鐘の音に合わせるように風に吹かれていた。
「……ん?」
--ダンッ。
と新たな音、それにしては随分と汚い、が耳に入った。
鐘の音色とは異なるものだし、そもそも窓の外を見たところで今は何も離着陸していない。
各々がその異音を探す。しかし探す間もなく再びダンッと大きな音が聞こえる。次いで聞こえるのは荒々しい声と何かを無理矢理壊す音。
その雑音は空が見える窓とは逆方向、待合室の入り口から聞こえていた。待合室の入り口を見た民間人達は目に飛び込んできた光景に思わず口を開いた。
壁を刃が貫いていた。
今にも待合室の壁をこじ開けんとしている轟音がひっきりなしにそこにいる人々の耳に飛び込む。
悠長なことで、今更危険を知らせる警報が辺りに響き始め耳が痛くなるような調音を奏でていた。
「な、何がっ」
誰かが叫んだ。
しかしその叫びは轟音にかき消される。民間人達は何もできずにその場に立ち尽くす。強いてできることとすれば壊されんとしている扉から逃げるくらいだろう。
「こ、こっちも!」
しかし待合室にある飛行場自慢の窓の向こうにはいつの間にか物騒な奴らが姿を現していた。その後ろでは複葉機や飛行船、ありとあらゆるものが燃えていた。
兵士の一人が何かを叫ぶ。その首には黒い鉄でできた首輪がきらりと陽の光を反射させた。
一瞬のち、破裂音が響き渡り、大きな窓が木端微塵に破壊された。と同時に向かいの壁にも大穴が開き似たような連中が姿を現した。
そこにいたのは人間と思しき兵士と巨大な機械。
「この間違った世界を正すために、そして我々が進化するために。お前達には勇敢な犠牲となってもらおう!」
彼らの凶弾と凶刃が、民間人へと向けられた。
●グリモアベース
「と、いうわけだ」
グリモアベースの端っこで綿貫・武蔵(羅刹の剣豪・f13777)が今しがた視たという事件の概要を猟兵達へと話していた。
「幻朧戦線……まぁ何だか物騒なやつらだが、今回はそれだけじゃあ終わらない」
武蔵が手製の黒板に描いたのは事件にいたという機械。
「これは影朧甲冑と呼ばれる、いわば人道から最もかけ離れた所にある兵器だ」
乗ったが最後、降りたら中の操縦者は御陀仏。そして影朧を燃料とする大層立派な兵器、と武蔵は皮肉気に話した。
「今回こいつらが出てくるであろう場所は帝都の中心から少し離れた場所にある大きな飛行場だ。この中心街や周りの街々の物資や移動を担う重要な場所だな」
これが破壊されてしまえばどうなるのか、猟兵達の想像に難くない。
「すぐに飛行場へと向かってくれ。俺が視た景色が間違ってなければすぐに襲撃が始まっても遅くない。何としてでも関係のない民間人を助ける必要がある。そして--」
武蔵は一つ息を呑んだ。
「こいつら、幻朧戦線を捕らえる必要がある」
武蔵は首をトントンと指で示す。
「幻朧戦線の兵士たちは首に黒い鉄の首輪を着けている。そいつらを片っ端から捕らえてくれ。だが最優先はそれ以外の一般人だ」
ついでに言うなら、と武蔵は続ける。
「影朧甲冑に乗った彼らも一般人だが、一緒にしない方が良い。全力で戦わないとこっちが危ない」
頼んだ、と武蔵は猟兵達へと頭を下げる。それを皮切りに話を聞いていた猟兵達は各々、件の飛行場へと向かった。
荒木るんど
こんにちは。荒木るんどです。
今回はサクラミラージュでのお話です。
飛行場を襲う幻朧戦線と、捨てられたはずの兵器、影朧甲冑。
彼らを捕まえて、もしくは倒して民間人を保護しなければいけません。
●第1章 冒険『幻朧戦線の襲撃』
民間人を幻朧戦線から助けましょう。そして幻朧戦線の面々を捕らえましょう。
どちらをするも良し。役割分担も良し。
●第2章 ボス戦『物憑き文士』
影朧甲冑は影朧の形を身に纏います。まず初めに影朧甲冑の纏った影朧との戦闘です。
●第3章 ボス戦『影朧甲冑』
影朧を倒すと何が始まる? 影朧甲冑との戦闘だ!
色々お話を聞いてみても良いかもしれません。
今回のお話はこんな感じです。
プレイング受付は3/3~です。詳しい進捗に関してはマスターページをご確認ください。
それではお待ちしております。
第1章 冒険
『幻朧戦線の襲撃』
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POW : 襲い来る幻朧戦線の一般兵を肉壁となって阻止し、重要施設や一般人の安全を守ります
SPD : 混乱する戦場を駆けまわり、幻朧戦線の一般兵を各個撃破して無力化していきます
WIZ : 敵の襲撃計画を看破し、適切な避難計画をたてて一般人を誘導し安全を確保します
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィーナ・シェフィールド
アドリブ絡み歓迎です
【WIZ】
大空を翔ける翼を、人々が行き交う大切な場所である飛行場を狙うなんて、許せません!
「絶対、守ってみせます!」
飛行場の空へ白い翼を広げて舞い上がって、高い所から避難経路を確認しますね。
「想いを、響き合わせて…みんな、手伝って!」
幻朧戦線の兵士の居場所を確認、安全な方向が分かったら、【悠久に響く幻想曲】を使って小人の楽団を召喚。飛行場の各所に散って、楽器演奏と歌唱を行って注意を惹きながら、安全な場所まで民間人の避難誘導をしてもらいます。
「やめなさーいっ!」
空を飛びながら避難状況を見て、民間人や、飛行機を狙う幻朧戦線の人が居たら、上空からのかかと落としでおしおきです!
鈴木・志乃
UC光の鎖で戦闘を行う
自爆テロなんてえげつないことしやがる
罪もない人間達を大勢犠牲にしようったってそうは行かない
全てを繋ぐ神様の鎖
どうか力を貸して下さい
【オーラ防御】展開
【スライディング】で一般人と敵の間に割り入り鎖の【なぎ払い】で足払いを狙う
ダメージ? 知らねぇよ
退け
【第六感】で攻撃を【見切り】鎖で刃と弾を【早業武器受け】から【念動力】と【ロープワーク】の要領で捕縛を狙う。必要なら首を絞めて気絶させるよ
一般人に対しては【高速詠唱】で簡易バリアを張りつつ退路を確保
【早業全力魔法ロープワーク】で銀の糸によるワイヤートラップを張って、可能なら追撃を不可能にしたいね
最後の一人まで諦めない
絶対に
黒木・摩那
今までも怪しげな動きをしてきた幻朧戦線ですが、ついに動き出しました。
まずは一般市民への被害を抑えることを優先して事に当たります。
全体の状況を把握するため、飛行場の上空にドローン『マリオネット』を滞空させます【情報収集】。そこから見える状況を判断しながら、避難経路の作成と誘導を行います。
ただ、計画はしても敵側も妨害はしてくるでしょう。
そんなときはヨーヨー『エクリプス』で迎撃します。
【先制攻撃】からの【衝撃波】と【なぎ払い】、トドメのUC【サイキックブラスト】で構成員達を確保します。
猟兵達が飛行場へと辿り着いたと同時に、鐘の音色と汚らしい雑音が鳴り響いた。前情報からすれば幻朧戦線の突入だろうか。
猟兵達の間に緊張が走る。
「えげつないことしやがる……」
思わず鈴木・志乃(ブラック・f12101)の口から零れ落ちる言葉は他の猟兵達の同意を得る。各々が首を一度縦に振った。
「わたし達が絶対、守ってみせます!」
フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)の言葉と共に皆が一斉に飛行場へと走り出した。空へと翔けだしたのはフィーナと黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)の手から離れたドローン『マリオネット』だ。
「まずは一般市民への被害を抑えることを優先しましょう!」
地上からの摩那の言葉にフィーナは元気よく言葉を返すとドローンと共に、地上とはうってかわって平和な青空へと飛び込んでいく。ある程度の高さまで行けば、障害物のほとんどない飛行場は、遠くまでよく見渡すことができた。
フィーナは避難経路を確認し、一般人と幻朧戦線の兵士の場所を即座に頭の中で整理する。
「……うん、行ける!」
そう呟いて自身の手を身体の前で握った。
「想いを、響き合わせて……みんな、手伝って!」
フィーナの言葉は空に響き渡る。同時に楽器を持った可愛らしい小人がフィーナの周りに現れ、飛行場の至る所へと向かっていった。
ユーベルコード『悠久に響く幻想曲』。
戦闘能力は無いものの色々な支援や援助をしてくれる小人達は、飛行場に隠れていたり逃げ回っていたりする一般人達に近づき、非常出口へと案内を始める。
しかしそれを幻朧戦線の兵士達が見逃すはずもない。
「非常出口に敵接近中です!」
上空のドローンから辺りの情報を確認していた摩那が大声を上げる。摩那の眼鏡に映し出されたのはドローンからの情報だ。
摩那が今いる場所は非常出口から少し離れている今から走っていっても間に合うかどうか。
「任せて」
その時、摩那の隣を人影が通り過ぎていく。志乃だ。
できうる限り最速で足を動かし、志乃は非常出口へと向かう。志乃の瞳に映ったのは今まさに兵士達が引き金を一般人に向けて撃とうとしている瞬間。
その銃弾はかつての非人道兵器、グラッジ弾。
「――全てを繋ぐ神様の鎖。どうか力を貸して下さい」
志乃は口を閉じたまま呟く。
速さはそのままに、今まさに撃たんとしている兵士達の間をスライディングで突っ込む。
『な、なんだ!?』
『きにするな! 撃て!』
「退け」
志乃の手には鎖が握られていた。それは先ほど創造した志乃の武器だ。
ユーベルコード『光の鎖』。
兵士達は動揺で少し動きが止まった。それを見逃さず、志乃は手に持つ鎖を横に薙ぎ払った。鎖は普通ならば足に跳ね返されてしまう。しかし志乃の創造した鎖はそこいらの足に打ち勝ち、端から兵士達の体勢を崩していく。
その鎖に巻き込まれなかった兵士達は急に現れた志乃に驚きながらも拳銃やナイフで応戦する。
「遅い」
しかしその攻撃はすべて鎖で阻まれる。
「走って」
『あ、ありがとう!』
志乃は後ろを振り返らずに短く後方へと声をかける。そこにいた一般人達は互いに支え合いながら志乃の後方にある非常出口へと走っていった。
一般人達の足音が徐々に小さくなる。志乃は瞬く間に一般人との間に大きめのバリアを構築した。簡易的なものだが、多少の時間稼ぎにはなる。
次いでフィーナの小人達が一般人達を非常出口の方へと案内していく。しかしその進路を妨げるように、影朧が現れる。
否、影朧に見えるがその実は影朧甲冑と呼ばれるものだ。しかしその強さは影朧と同等で、一般人や戦闘能力のない小人達では太刀打ちできない。
『ひっ……うそっ』
一般人の悲痛な叫びが志乃の耳に入る。しかしそちらに動いてしまえば今まで相手をしていた兵士達が簡易バリアを破壊して非常出口の向こうへと行ってしまう。
かといって放っておくことはできない。
志乃は逡巡する。どうするか。
その思考をかき消すように天井から大声が降り注いだ。
「やめなさーいっ!」
そこにいた面々の眼に映ったのは天から舞い降りる――かかと落とし。
影朧の頭上から綺麗に脳天をぶちかますかの如く、重力を用いた一撃が入る。
「あなたたちはこちらへ! もうここは危険です!」
フィーナが一般人達へと近づき逃げ道を指し示す。
摩那も合流し、一般人と小人達に地図を渡す。それは摩那が描いた地図であり、現在の兵士達の位置と破壊されて外との交通が可能になった位置を考慮して作られた摩那手製の地図だ。
「小人さん達、どうかお願いしますね」
摩那の言葉に小人達は肯定の意を音楽で奏でると、テトテトと歩き再び一般人を案内し始める。
「あ、ありがとうございます!」
『くそっ、待てぇっ!』
「あなた達はもう少しお静かに話した方がもう少しお耳とお耳の間がまともに見えますよ」
ようやっと体勢を取り戻し一般人へと銃口を向ける兵士に摩那は少しだけ微笑みながら『エクリプス』という名のヨーヨーで出鼻を挫く。
「それとも、もう既にお豆腐あたりにでもなっているのでしょうか?」
凄まじい勢いのヨーヨーが辺りに衝撃を走らせ、再び兵士達を薙ぎ払う。しかしそれだけでは終わらない。
ユーベルコード『サイキックブラスト』。
摩那はヨーヨーを手放し両の掌を、ヨーヨーの攻撃にうずくまる兵士達へと向ける。バチバチ、と掌から乾いた音がする。と同時に摩那の掌から放たれたのは電気だ。
静電気の数倍、いやそれでは全く済まないほどの電気が兵士達に襲い掛かる。
『ぁがっ――』
電気は兵士達の全身を痺れさせ、筋肉を強引に収縮させる。伸ばす方向と縮む方向の筋肉どちらとも収縮するせいでがくがくと痙攣し、やがて白目を向いて泡を吹いた。
運良くその電流に巻き込まれなかった兵士も志乃によって首を決められ、辺りで伸びていた。
影朧は志乃がいつの間にか用意したワイヤートラップに引っかかっていた。しかし抜け出すのも時間の問題だ。
「翼を折ろうとするあなた達には、絶対に負けません!」
フィーナが目の前の影朧を睨み付け、叫んだ。
まだどこかで兵士と猟兵達が戦う轟音が聞こえた。
大成功
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シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】
避難もずいぶん進んできたようですから、逃げ遅れた方がいないか確認しながら、一般兵を無力化していくとしましょう。
「ハンドレット・ガンズ…目標を乱れ撃つ!」
【乱舞する弾丸の嵐】を発動して右手の真紅銃、左手の精霊石の銃、浮遊する4対のライフルビットをそれぞれ最大まで複製。
「黒い鉄の首輪をしているのが標的ですよ」
電脳ゴーグル・怪盗の単眼鏡に各個に自動で照準を付けさせ、一般兵を狙い撃っていきます。
「逃げ遅れた方はいませんか?」
物陰に隠れている方もいるかもしれません。安心させるように声をかけながら探していきます。
避難させる時は、閃光の魔盾を展開してかばいながら移動しましょう。
「逃げ遅れた方はいませんか?」
警戒を怠ることなく、シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は飛行場の中を歩き回っていた。シンが歩いていると通り越した拍子にガタッと大きな音が耳に入った。
「……ふむ?」
シンは周囲を見渡す。そこに横たえられていたのは大きなスーツケースだ。一週間の旅行でも予定しているのかかなり大きなスーツケースだが、その周りには大量の服が散乱していた。耳をすませば、中からは早くなった息遣いが聞こえた。
「もし」
シンはスーツケースに向かって声をかけ、コン、と軽くノックする。再びガタッと大きな音がスーツケースから聞こえ、ゆっくりとスーツケースが開き始めた。
「逃げ遅れた方ですか?」
「……うん」
スーツケースの中に隠れていたのは小さな子供。年は5つくらいだろうか。顔面を青白くしながら、小さく震えていた。
シンが目の前の子供の避難経路を思考し始めようとして、それを邪魔する雑音が二人の元へ響いてきた。
「もう少しだけ、我慢できますか?」
一瞬だけその雑音の方向を睨み付けたが直ぐに普段の表情へと戻るとシンは子供の頭に手を置く。子供は不安そうにシンを見つめていたが、うん、と一つ縦に頷くとスーツケースの中に再び入っていった。
「さて、と。黒い鉄の首輪をしているのが標的ですよ」
なるべく周りに響かないように、シンは独り言のように呟く。それを聞き取るのは真の右の眼にある単眼鏡。
すぐあとにシンの持つ右の真紅銃、左の精霊石の銃、更には周囲を浮遊するライフルビットが大量に増殖し始めた。キュ、キュ、と飛行場の床を蹴る音が徐々に近づいてくる。
『いたぞっ!』
やがてシンの視線の先に数人の武装した一般兵が現れた。一般兵は持っていた拳銃をシンへと向けようとして。
「ハンドレット・ガンズ……目標を乱れ撃つ!」
--銃弾の餌食になった。
ユーベルコード『乱舞する弾丸の嵐』。更には単眼鏡によって照準を付けていたおかげで弾丸一つたりとも外しはしなかった。
一般兵のなれの果てをひとまず確認し周囲の安全を確認すると、シンはスーツケースへと近づき、ゆっくりと開いた。
「それでは、行きましょう」
念のための光のフィールドを展開しながら、二人は避難場所へと向かって歩き始めた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『物憑き文士』
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POW : 狗憑き
【レベル×1体の呪詛もたらす狗霊】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【匂いと味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD : 狐憑き
自身が【興味】を感じると、レベル×1体の【混乱もたらす狐霊】が召喚される。混乱もたらす狐霊は興味を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : 物書き
【恐怖もたらす言霊】を籠めた【レベル×10枚の原稿用紙】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【精神】のみを攻撃する。
イラスト:路銀
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「玖・珂」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シン・ドレッドノート
フィーナさん(f22932)とコンビで行動します。
【SPD】
ふむ、次は影朧を剥がして甲冑を引きずりだせば良いのですね。
「狐霊とは…妖狐として放っておけませんね…」
ここは一つ、成仏させてやりますか。
「ふっ…遅いですね。」
怪盗の単眼鏡をキラリと光らせ、真紅のマントを翻してフェイントをかけつつ、【雷光閃く刹那の弾丸】を発動、クイックドロウで取り出した真紅銃、精霊石の銃、ライフルビットの照準を付け、【破魔】の力を込めた弾丸で狐霊を撃ち抜いて祓います。
「させませんよ!」
フィーナさんをかばいつつ、敵の攻撃に対しては閃光の魔盾の障壁で受け流し、カウンターの射撃を本体の文士に撃ち込みましょう。
フィーナ・シェフィールド
シンさん(f05130)と一緒に行動します。
【WIZ】
「援護します!」
影朧から距離を取り、インストルメントを構え、イーリスをシュッツエンゲルにセット。ツウィリングス・モーントを左右に配置したら戦闘準備完了です♪
「みなさんに、この歌を捧げます…♪」
インストルメントで【夜想曲嬰ハ長調】を演奏しながら、戦場中に響き渡るように全力で歌唱。ツウィリングス・モーントから増幅して放つことで、戦場に居るみなさんを強化して援護します。
曲と歌声に破魔の力を乗せて、みなさんに霊に対する耐性と攻撃力を強化。
「哀しき霊よ、せめて安らかに…」
破魔の力を秘めたエメラルドの髪飾りをキラリと光らせて、みなさんを援護しますね。
ある程度の残党を捕縛、もしくは倒して猟兵達は中にいた一般人達の避難を終えた。そしてそれは戦いの始まり、とも言う。
「ふむ、なるほど。次は影朧(そと)をはがして甲冑(なか)を引きずりだせば良いのですね」
シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は目の前に立つ血色が消え失せたような男を、単眼鏡越しに見据えた。
「一般兵とは、気迫が違いますね……」
シンの隣ではフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)も同様に目の前の敵――物憑き文士――を睨みつけるように一瞥する。
その実は影朧甲冑であり、物憑き文士の姿はあくまで影朧甲冑の燃料となっているが故のものだ。
猟兵達は各々の武器を取り出す。
シンは両手に真紅銃と精霊石の銃を。フィーナはキーボードとギターが一体化した楽器であるインストルメントを手に持つ。周囲にはフィーナのドローンプレートやシンのライフルビットが浮遊していた。
『 ァ 』
コキリ、と首が鳴る音と、物憑き文士が発する声が猟兵達の耳に届いた。
それと同時に物憑き文士の周りに溢れ出たのは、何匹もの『狐』だった。実体を持たない狐は猟兵達に向けて走り始める。
「援護します!」
「お願いします。狐霊とは……妖狐として放っておけませんね」
猟兵達の中で真っ先に動いたのはシンだった。
身に着けた真紅のマントをひらりと舞わせる。それほど大きくないマントとはいえ、一瞬狐霊の視線が妨げられる。
「みなさんに、この歌を捧げます……♪」
その一瞬を奪うように、フィーナがインストルメントをかき鳴らし始めた。曲の名は夜想曲嬰ハ長調。
『この曲が、みんなに届きますように!』
演奏だけではなく歌声が場違いなほど静かな飛行場に響き渡る。その歌声は猟兵達の力を漲らせ、その曲は猟兵達の肉体を強くし、宙に浮いたドローンスピーカーから放たれるその力は飛行場の隅から隅までを震えさせる。
きらり、と汗と共に翠玉の髪飾りが外の光を反射させる。
「さて、こちらの番です!」
シンは軽くなった身体を翻して、再びマントを舞わせる。狐霊達は既に学習しているのか、二度同じ攻撃は通用しない。
しかし、それでもなお、シンには追いつかない。
フィーナの歌声によって強化された身体を存分に使いこなしながら、シンは戦場を走り回る。
「ふっ……遅いですね」
狐霊達が気付いたころには既にシンの両手にある銃口は狐霊達へと向けられていた。逃げるには遅く、思考しかできない一瞬。
両手の銃と浮遊するライフルビットから暴風雨のような勢いで弾丸が飛んでいき、狐霊達を蜂の巣にした。
ユーベルコード『雷光閃く刹那の弾丸』。破魔の力が宿った嵐は次々と狐霊達を消していく。
どうやら物憑き文士にも能があるのか、やがてシン達前衛ではなく、フィーナ達後衛を中心に狙い始めた。物憑き文士は原稿用紙を手に取りぶつぶつと独り言をつぶやいたかと思えば、それをフィーナへと投げつけた。
「っ、と。させませんよ!」
しかしその原稿用紙はシンの腕に付けられていた魔盾から放たれる光によって阻まれる。その光に原稿用紙が触れただけなのに、シンの背中をゾワリと悪寒が駆け上がる。
「なんてものを投げつけるのでしょうか」
「シンさん、ありがとうございます!」
フィーナはシンに礼を言うと、再び歌をい始め、楽器をかき鳴らし始める。
その様子を不気味な笑顔で物憑き文士が見つめる。
『 ゥ 』
「哀しき霊よ、せめて安らかに……」
その視線を押し返すように、フィーナは物憑き文士を見つめて、そう歌った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鈴木・志乃
……どうしてまぁ、こんな事件ばっか起きるんだか。
この世界は思ったより闇が深いよ。来る度に神経がすり減りそうだ。
アド連歓迎
早業オーラ防御展開
開幕全力魔法UC発動、無機物であろう敵の原稿用紙を祈りと浄化の風に変換し、そのまま敵にぶつけて衝撃波でぶっ飛ばす。
私に向かって精神攻撃とはいー度胸だ。可能なら逆にこっちから精神攻撃を仕掛けてやりたいところだけどね。
生み出す幻想で架空の猟兵仲間を何人か召喚した体を装い、一瞬でも気が取られているようなら破魔を籠めた光の鎖で早業絞殺を狙う。難しければ足払いから鎧砕き出来る魔改造ピコハンでぶっ叩く。
……何があったんだか話してもらいましょーか、黒幕さん?
黒木・摩那
まずは影朧を甲冑から引きはがせば良いのですね。
引き続きヨーヨー『エクリプス』で戦います。
UC【偃月招雷】でヨーヨーを帯電します【属性攻撃】。
【念動力】でワイヤーを操作することで、回避困難にしながら、
外周の刃を出し入れして【なぎ払い】を狙います。
影朧にダメージが積み重なったところで、ワイヤーを絡ませて、甲冑から影朧を一気に引っこ抜きます。
防御は【第六感】とスマートグラス『ガリレオ』のセンサーで対応します。
【呪詛耐性】あります。
戦場の飛行場に塵埃が巻き上がる。それと同時に場違いな歌と音楽があたりに反響していた。その音楽は猟兵達の力を底上げする。それは鈴木・志乃(ブラック・f12101)と黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)も例外ではない。
「どうしてまぁ、この世界は思ったより闇が深いよ」
志乃は視線の先にいる物憑き文士を見遣りながら一つゆっくりをため息をつく。しかし志乃の手は光の如く動き、物憑き文士の放った狗霊の攻撃を防いだ。
「まずはあの影朧を甲冑から引きはがせばよいのですね?」
摩那の手には一般人を退避させた際にも使っていたヨーヨー『エクリプス』。
「ウロボロス起動……励起。昇圧、集束を確認……帯電完了」
物憑き文士の攻撃の隙を見て、摩那はサイキックエナジーを搭載させ、電気を帯びたエクリプスを敵へと投げつけた。
ユーベルコード『偃月招雷』。ヨーヨーの円盤だけでなく、紐も帯電している。さらにその紐はまるで生き物のように動き、物憑き文士を簡単に逃がさない。
敵もやられているだけではない。次々と狗、狐の霊を繰り出し、そして呪いのような言霊を込めた原稿用紙を猟兵達へとぶん投げ続けていた。
「もう少し良い紙でも使ったらいかがでしょうか?」
摩那はそれをスマートグラスで計算された距離を脳内で計算して華麗に避ける。避けきれないものはエクリプスで裂く。
「といっても、あなたでは私のエクリプスには勝てないのですけれども」
「なるほどね。そういうこと。いー度胸だ」
摩那の背筋には何も駆け上がらないが、志乃の背筋には何とも言えない気味悪い感覚が、二人へと向かってくる原稿用紙に触れるたびに駆け上がっていく。
肉体への攻撃ではなく、精神への攻撃。
志乃の片方の口角が吊り上がる。それは興味なのか、それとも怒りなのか。見るだけでは判断できない。
しかし、少なくとも、志乃の次の行動は怒りの方が強かった。
「今一時銀貨の星を降らせる……世界の祈りの風よ!」
物憑き文士は原稿用紙を辺りに巻いていたのだが、それが志乃にとっては好都合だった。原稿用紙は『無機物』なのだ。
ユーベルコード『流星群』。物憑き文士がまき散らした無数の原稿用紙はたちまち志乃の操る風に姿を変えた。
「こっちの手番だよ」
流星群と見紛うほどの突風が物憑き文士へと打ち付けられていく。一体敵はその風がもたらす幸福な幻想の中に何を見ているのだろうか。
二人にとっては、どうでもよいことだ。
幻想が、敵の動きを止めた。
「戦場で動きを止めるなんて、あまりお勉強はしなかったのでしょうか?」
「してたら、あれに乗ってないと思うけど」
それを好機、と摩那はエクリプスを操り物憑き文士の身体に紐を巻きつける。志乃が取り出した光の鎖も敵の首をピンポイントに狙う。
そこで物憑き文士はやがて我を取り戻したが、時すでに遅し。身体は動かず、息も詰まっていく。
「さぁ。その中身を見せてくださいね」
摩那がエクリプスを思い切り引っ張る。その勢いは辺りの空気が痛いくらいに震えて耳を襲いかねないほどだ。そして同時に、敵の姿がぶれた。
一瞬だけだが、機械の姿が見えた。
『 ぅ グ 』
志乃は手に持つ鎖の絞めをより強くしていく。ギリギリと擦れる金属の嫌な音が辺りに響けば、やがて敵の姿が保っていられなくなる。
――パキン
と遂に鎖が弾かれた。それと同時に、姿が完全に変化した。そこにいるのはもう物憑き文士ではない。そしてそれは猟兵達が追い求めていた敵だ。
「やっと、ですか」
摩那が呟くと、猟兵達が各々の武器を持ち直す。
「……何があったんだか話してもらいましょーか、黒幕さん?」
志乃はその金属の塊に話しかけた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『影朧甲冑』
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POW : 無影兜割
【刀による大上段からの振り下ろし】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 影朧飛翔弾
【甲冑の指先から、小型ミサイルの連射】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 影朧蒸気
全身を【燃料とされた影朧の呪いが宿るドス黒い蒸気】で覆い、自身が敵から受けた【影朧甲冑への攻撃回数】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:雲間陽子
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
草野・千秋(サポート)
最後の敵が現れましたか!
微力ながらお助けしますよ
悪があるところこの断罪戦士ダムナーティオーあり!
僕なりの正義で敵を倒してみせましょう(ぐっ)
基本は攻撃スタイルですが歌で回復や支援も出来ますよ
こう見えて歌い手やってまして自信はあります
銃撃もできますが(スナイパーなどで)
どちからというと怪力での接近戦が得意です
接近戦となればその場にあったUC、2回攻撃、怪力、グラップルで戦うでしょう
敵攻撃は激痛耐性、盾受けで耐えたり
第六感、戦闘知識でかわして
味方に被弾しそうならかばうそうとします
味方を守れなくて何がヒーローですか
ふう……みなさん大丈夫でしたか?
お助けになれたのなら幸いですよ
アレンジアドリブ連携自由
ステラ・クロセ(サポート)
真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!
正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!
スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、それがステラです。
一人称は「アタシ」ですが殆どの猟兵は先輩に相当するので話すときは「わたし、あなた」といった礼儀正しい振舞いとなります。
探索系はストレートな解決法を選び、
戦闘では正々堂々と敵の正面に立って攻撃を引き受け味方にチャンスを作る方が好みです。なお、近接戦闘派です。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
正義を大事にするので、他の猟兵の意図を阻害したり公序良俗に反する行動はしません。
アーレ・イーナ(サポート)
サイボーグの戦場傭兵×咎人殺し、20歳の女です。
普段の口調は「ボクっ娘(ボク、~君、~さん、だね、だよ、~かい?)」、敵には「冷酷(私、てめぇ、だ、だな、だろう、なのか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「さて、最後の敵が現れましたか!」
影朧の形を失い、まだ生気のあった姿から一転して無機質で無骨な機械へと姿を変えた影朧甲冑を見て、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)はグッと拳に力を込めた。
「真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!」
千秋と並んで、刀を構えながら前口上を告げるステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)。
「正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!」
「悪があるところ、この断罪戦士ダムナーティオーあり! 僕なりの正義で敵を倒してみせましょう!」
二人の息のあった前口上と、より強い姿へと変身した敵の姿はまるで、子供がこぞって見入るショーのようだ。
「何だか熱いところにいるみたいだね。ま、嫌いじゃあないけど」
アーレ・イーナ(機械化歩兵・f17281)はその間に挟まれて、上昇した気温に少しだけ居心地悪そうに、しかし少しだけ楽しそうに頬を掻いた。
『――どうして俺達の邪魔をする!?』
緩んだ雰囲気に氷を投げ入れるように、緊迫した声が辺りに響いた。猟兵達は声の発信源へと視線をずらした。先ほどまでは自身の言葉すらまともに吐いていなかった影朧甲冑。イライラしたように刀を振り回しながら辺りの壁を斬り刻む。
耳をつんざくような轟音が壁を震わせ、空気を震わせて、猟兵達の耳へと伝わる。度の過ぎる振動は鼓膜に痛みを走らせた。
『我々が進化するために、必要な犠牲なんだ!』
『この世界は間違っている!』
『この大正の世を終わらして、俺達は正義になるんだ!』
声を枯らして、影朧甲冑は間髪入れずに何度も叫んだ。影朧甲冑が叫び終われば、辺りを静寂が制した。場違いな鐘の音が耳に入った。
「正義になるために犠牲を作るなんて……正義の意味を取り違えているんじゃないか?」
薄っすらと瞳を細めて千秋が目の前の機械を睨みつける。
「正義ってのはね、未来を切り拓くためにあるんじゃないんだ。周りにいる弱い人達を救う正しい心ってのが正義なんだ!」
ステラも嫌悪、あるいは侮蔑の目を向ける。少なくともこの場の猟兵達の中に影朧甲冑の味方となる人は一人もいなかった。
「てめぇの正義のせいが何だかは知らねぇけどさ、誰かを犠牲にして得るものなんてそんなの、そこらの石ころよりも価値が無いものだな」
アーレはその場に落ちていた建物の破片を拾い上げ、拳で握り潰す。いともたやすく潰されたそれは砂のようにサラサラとアーレの掌から地面へと落ちていく。
『貴様達は何も分かっていない! 戦乱は人を成長させて――』
影朧甲冑は再び刀を振り上げた。しかし今度の目標は壁ではない。
猟兵達だ。
『進化するんだ!』
轟音が建物の隅々までを震わせる。兜割を思い出させるその一太刀は三人の上方へと振り下ろされて。
「……大丈夫ですか?」
その一太刀を押さえたのは千秋だった。その手にはヒーローの誇りである盾。ギリギリと金属の擦れるような音を立てて、刀から仲間を守っていた。
千秋はアーレとステラに目配せする。それを合図に二人が武器を持って動き出した。
アーレは自身に内蔵された武器を取り出す。ユーベルコード『ヴァリアブル・ウェポン』。
銃火器、鈍器、鋭器。全てをもって影朧甲冑へと襲い掛かる。影朧甲冑は何とか体勢を立て直すが、数多の武器による攻撃のほとんどをその身に受けてしまう。
「アタシ達の正義は、そんな傷だらけの物じゃない!」
さらに追い打ちをかけるのはステラの炎の刀だ。この機会を逃さないように、敵の甲冑を斬り刻んだ。
しかし影朧甲冑の動きは止まらない。
『――いや違う! 俺達が正義だ! 俺達がこの世界を進化させるんだ!』
そう、唸り上げ、刀を猟兵達へと振り回した。
成功
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フィーナ・シェフィールド
シンさん(f05130)と一緒に行動します。
【WIZ】
転生できたかもしれない影朧を、こんな風に使うなんて…
この世界に生きる者として、その暴虐、許しませんよ!
「今日のラストナンバー、いきます!」
純金のグランドピアノを召喚、【未完成協奏曲】を演奏し、影朧甲冑の動きを止めます。
併せて旋律に【破魔】の力を込めて、燃料として封じられている影朧の呪いを解放、甲冑の出力を低下させていきましょう。
演奏中の攻撃に対しては、モーントシャインをまとったシュッツエンゲルによるオーラ防御+盾受けで防御します。
「生まれ変わったら、平和な一生が迎えられますように…」
演奏後は立ち上がって一礼、影朧と兵士の冥福を祈りますね。
シン・ドレッドノート
フィーナさん(f22932)とコンビで行動します。
【SPD】
テロリストを制圧するスナイパーの腕、見せてあげましょう。
フィーナさんの演奏が始まり、敵の目がそちらに惹きつけられると同時に姿を隠し、物陰から狙撃体勢を取ります。
「ターゲット・ロック…この弾丸は外れない!」
ソードビットをバイポッドにし、連結してロングレンジモードにしたライフルビットを構えて【緋色の弾丸】を発動。怪盗の単眼鏡の望遠機能で敵を照準に捉えたら、甲冑の動力炉の継ぎ目を狙って最大出力の狙撃を行います。
狙撃の後は物陰から出て閃光の魔盾を展開、仲間をかばいつつ、数より質を重視して、高出力のエネルギー弾を確実にヒットさせていきましょう。
数多くの猟兵達が影朧甲冑と対峙していた。金属のぶつかり合う音、壁や天井が崩れる音、銃弾が弾ける音。様々な音がそこに反響しあい、邪魔し、雑音を生み出していた。
「今日のラストナンバー、いきます!」
その雑音の中に、その場にそぐわない、圧倒的に浮いている音色が流れ始めた。それはフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)が織りなす、音と音が組み合わさった旋律であった。
フィーナが弾いているのは純金のグランドピアノ。
ポロン、ポロン、と一音ずつ鍵盤を確かめていたフィーナは手首の力を抜き、両手を鍵盤の上にそっと乗せる。
ふー、と一つ息を吐いて、指先に力を込めた。
「皆さんの心に響く、黄金の旋律を!」
『未完成協奏曲』。
純金のグランドピアノから紡がれるのは、雑音をかき消すほど圧倒的な音色だった。腹の底に響くような低音は聴衆に安心を与え、蝶が舞うような高音は聴衆に感動を与える。それは猟兵達、そして影朧甲冑も例外ではなかった。
「……本当に、良い曲ですね」
思わずうっとりと聞きほれてしまう音楽を耳にしながら、シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は崩落してきた天井だった塊の陰に隠れていた。
匍匐前進の格好でなるべく目立たないように、左目を瞑り単眼鏡の向こうを除いた。
手に持っているのはロングレンジモードへと変更したライフルビット。
「これなら、必中です」
単眼鏡は音楽に思考の一部を奪われる影朧甲冑を捉えた。シンが狙うのはその甲冑の継ぎ目。動力炉の継ぎ目を狙い、影朧甲冑の動きを止める作戦であった。
「ターゲット・ロック」
シンは銃弾をセットする。あとは引き金を引くだけ。もうシンは両目を瞑っていようと構わなかった。ユーベルコード『緋色の弾丸』。
「この弾丸は……外れない!」
シンは引き金を弾いた。
丁度、フィーナが鍵盤を押していないタイミングで、影朧甲冑の動力炉の継ぎ目に、吸い込まれるようにして弾丸が着弾した。
『なっ……くそっ!』
「いかがでしょうか?」
影朧甲冑が首から上だけを狙撃元、もといシンの方へと向ける。それを悟りシンはとっとと立ち上がり物陰から姿を現すと、閃光の魔盾で防御しつつライフルビットで何度も影朧甲冑の、甲冑部分の継ぎ目を狙い撃ちする。
フィーナの奏でる音楽も影朧甲冑の動きをどんどん鈍くしていく。破魔の力が燃料である影朧自体を弱体化させる。
戦闘が長く続く。
争いが長くなるにつれ、先ほどまではあちこちを壊しまくっていた影朧甲冑の刀も、指先から発射されるミサイル弾も、ほとんど力を失ってしまっていた。
「っ……! いけない、離れてください!」
既に息も絶え絶え、立つのがやっとの影朧甲冑は、最後の足掻きと言わんばかりに甲冑から黒い蒸気を放出し始める。
それは甲冑が受けた攻撃回数に比例して甲冑自体が強くなる蒸気。さらに生命力までをも奪うという最終兵器だ。
近接で戦っていた猟兵達がフィーナの叫びで一気に影朧甲冑と距離を取る。
あと少しのはずなのに、あと一撃が入れられない。
「テロリストを制圧するスナイパーの腕、見せてあげましょう」
味方に当たらないように、シンが最大火力でエネルギー弾をぶっ放していく。一つ一つを丁寧に、弱点に当てることで無駄うちせず、全てが有効打となり着弾していく。
『なぜ……どうしてっ……正義、が』
影朧甲冑の中の兵士の呻きが聞こえる。それはまるで呪詛のように呟かれているが、シンは気にも留めない。
やがて影朧甲冑の一切の動きが止まる。呻きも聞こえなくなり、飛行場に静寂がやってきた。
猟兵達は色々と後片付けをしたり、談笑したりしながら次の場所へと向かっていく。
動きを止めた影朧甲冑の前にはフィーナとシンの姿があった。既に金色のグランドピアノは姿を消しているが、終わらない協奏曲の余韻はどこか残っていた。
「この方も、色々な想いを胸にしていたのですね」
「……そうでしょう。それが合っているのか、間違っているのかは……」
シンの言葉は最後まで続かない。二人は目を閉じて兵士と影朧へと一礼した。
「生まれ変わったら、平和な一生が迎えられますように……」
フィーナの呟きは、彼女の想いと共に空気に乗って、兵士を追いかけるように宙へと飛んでいった。
大成功
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