#UDCアース
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●牙の暴虐
日本の片隅にある取り立てて珍しいこともない小さな村。周りを森に囲まれて少し閉鎖的な、周りからは「つきあいづらい村人たち」と思われている寒村だ。
若い人々が大きな街へ流出して高齢者ばかりとなった、わりとよくある話だったが。
それが起きるのは夜半のこと。
異形の影が建物を薙ぎ倒して中へ飛び込み、悲鳴をあげる村人を喰らって咆哮する。丸く満ちようとしている月の光は、血にまみれ四本の腕で肉を貪る異形をわずかに照らした。
ずらりと不揃いの牙が並ぶ口は当然頭にある。しかしその頭に目はなく、口はもう一つ、胴に縦にひとつついていた。
倒れかかる壁の下から、老女が足をひきずり外へ逃れようとする。が、青黒い腕にむんずと掴まれ引き戻された。悲鳴すらあげられない彼女に、血にまみれた頭部と腹の口がぐわんと開く。
恐怖に喘ぎ悲鳴すら上げられない老女が引き裂かれ、喰らわれた。
彼らに為す術もなくて当然だ。
これは現代の日本に蘇ったUDC(アンディファインド・クリーチャー)。なかでも生物を喰らって成長を続ける、暴食の邪神なのだから。
●猟兵の出陣
忌わしい予知を告げる三つ編みの少女は、不機嫌そうな表情だった。
彼女はテス・ヘンドリクス(人間のクレリック・f04950)、オブリビオンによる被害が起こる未来を予知し得る、いわゆるグリモア猟兵だ。
そして危機が迫っているのは、科学技術で発展した地球の日本。幾つもある世界の中でも比較的安全なはずだったが、今や「UDCアース」と呼ばれている。
太古から蘇る邪神や眷属たちUDCが凶暴化し、出現する頻度も上がっていた。これまでは出現数も少なく、個体も弱かったというのに、何が起きているのだろう。
予知された敵はもちろんUDCだ。
「知っている人もいるかもしれないけど、この暴食の邪神の名は『牙で喰らうもの』というの。成長するに従って、体中に牙のある口が増えて行くっていう特徴があるんだよね」
かつて一度だけ、体に100以上の牙のある口がついたこの邪神が現れたというが、その時は都市ひとつの住人を瞬く間に食らい尽くしたという。
この邪神が猟兵の知らぬところで復活すれば、村の人々は一人残らず喰らい尽くされるだろう。そして力を増した邪神は日本そのものを蹂躙してしまいかねない。
「だからね、絶対放っておけないんだ。でも出現する村は予知できたんだけど、村のどこで儀式をしてるのか、誰がやってるのかがわからなくて……」
予知された惨劇の舞台となる鳥乃杜(とのもり)村は隔絶された山中にあって、村人は閉鎖的で村の外からやってくる人たちを受け入れにくい。情報収集に苦労するだろうことは明白ではあるのだが。
「でも、邪神が復活するのを見過ごせないからね。なんとか情報を集めて儀式をやめさせなくちゃ。お願い、手伝ってくれないかな?」
テスがいないとテレポートができなくなる。だから予知した彼女は前線へ出ることが叶わない。
人を喰らう邪神の復活を阻止すべく、手の空いている猟兵たちが集まり始めた。
六堂ぱるな
はじめまして、もしくはこんにちは。
六堂ぱるなと申します。
拙文をご覧下さいましてありがとうございます。
●舞台
現代の地球です。しかし民間人は「UDC(アンディファインド・クリーチャー)」と呼ばれる太古の邪神と眷属たちが時折蘇っていることも、それらと人類防衛組織「UDC(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)」が戦っていることも知りません。
UDC組織は猟兵の存在を知っていて、民間人の情報統制や交通手段の確保などのバックアップをしてくれます。
●状況
「日本の中央部にある鳥乃杜村」で暴食の邪神が召喚されることが予知されています。
鳥乃杜村は閉鎖的な村で、村人たちの警戒心はかなり強いものです。
あまり話も聞いてくれないので、情報収集は難航が予想されます。場合によっては隠密行動や、得意分野を活かした交渉や籠絡も必要かもしれません。
民間人は猟兵という存在を知らないので、情報収集には役立ちません。
●『牙で喰らうもの』
暴食の邪神です。成長すればするだけ、体中に牙を持つ口が現れ、より多くの生物を喰らう事が出来るようになります。
このオブリビオンが鳥乃杜村のどこかにある魔法陣から出現することだけはわかっています。
そして魔法陣があるからには、召喚しようとしている何者かがいるのも間違いありません。邪神を崇拝する者と、魔法陣の場所を突き止めましょう。
皆さまのご参戦をお待ちしております。
第1章 冒険
『閉鎖的な村』
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POW : 腕力などの力を誇示する事で情報を引き出す
SPD : 村の要所に忍び込む等して情報を調査する
WIZ : 村人との会話で必要な情報を引き出す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
姫鶴・いろは
召喚、魔方陣、食べれば食べるほど強くなる邪神…これらの点を考えると鳥小屋や牧場など、動物が多く居ながらも込み入った場所が召喚場の可能性が高そうですね。
その辺りに重点をおきながら、ハングナイフで木に登り、村人の目を避けて探りを入れましょう。
邪神との接触時には妖刀・姫鶴で受け流して自衛しつつ、ハングナイフで撤退をしましょう。無理は禁物です
●寒々しい村
鳥乃杜村は陽が高いとは思えないほどに静まり返っていた。
時折遠くから、扉の音や車の音がする程度。空き地や畑の隅には夜に少し積もった雪がまだ残っている。建物はまばらで、家と家の間隔はかなり広い。どう見ても長閑すぎるほどに長閑な、辺鄙な村だった。
そんな村の様子を木陰から眺め、姫鶴・いろは(妖刀・姫鶴のヤドリガミ・f04359)はそっと眉を寄せた。
(「召喚、魔方陣、食べれば食べるほど強くなる邪神……」)
であるなら、鳥小屋や牧場など、動物が多く居ながらも込み入った場所が召喚場の可能性が高いのでは?
一見したところ中学生になるかならず、幼くすら見えるいろはであるが、猟兵として必要な知見は備えている。邪神相手とわかっていて無理は禁物、まずは村人の目を避けて探りを入れることにした。
ハングナイフを巧みに使って木に登る。幸い村には針葉樹も多く、いろはの姿を隠してくれるだろう。
細心の注意を払って探った結果、幾つかのことが判明した。
鳥乃杜村は閉鎖的なばかりでなく、かなりの過疎だ。幾度か見かけた村人ももれなく高齢なせいか、現在この村で動物を飼っているところは見当たらない。
過去には酪農を営んでいたところもあるようで、数か所、もとは牛舎や鶏舎だったと思われる大きな建物を見かけた。しかしいずれも今は閉鎖されているようだ。
村は南北に走る大きな通り沿いにまばらに住宅があり、村の中央部には集会所らしき建物がある。コンビニはおろか商店もなく、村人は不便な生活を強いられているように見えた。
成功
🔵🔵🔴
逢坂・宵
これ以上の犠牲は見るに忍びません
しかし100以上の牙のある邪神とは、気になりますね……
閉鎖的とのこと、正面の正攻法では簡単に情報は得られないでしょう
放浪する世捨ての旅人を装って、道を伺うついでになにか話が聞けないものでしょうか
安全な道の行き方や、逆に避けた方がいいところなど
あくまで旅人が必要な情報を、最低限の範囲だけでも聞ければと
拒絶や身の危険を感じたら即座に下がりましょう
最初の一歩は深入り厳禁です
シズホ・トヒソズマ
んー。UDCの方から希望する人を募り、着て貰い来ましたが…さてどうしますか。肉体派な私なら腕力誇示等ですが、見るからにご老人ばかりですからね……となると、ここは地道にヒーローらしく行きましょう
村を周り、力仕事や体力関係で手伝えそうなことや助けられそうな事を探しましょう。
過疎が進んでいるとなれば自然力仕事や畑仕事に人手が足りなくなりますし、もしも何者かが動いているならば、その影響が田畑や村のどこかに出ていて、それも確認できますしね。
体力的にきつくなってきても、ジャスティスペインで人助けの行動の為として身体能力を引き上げ、手伝いとついでに情報収集を行う。
事前の評判からして閉鎖的とあっては、正攻法では情報は得られないだろう。だからと言って犠牲が出るのは見るに忍びない。
そこで逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は、旅行者を装って道を尋ねてみることにした。安全な道や、逆に避けたほうがよいところなどを聞くついでであれば、何か得るところがあるかもしれない。
であれば、シズホ・トヒソズマ(ヒーローマスクの人形遣い・f04564)も同行することにした。高齢者ばかりなら体力を使うことに人手が足りないに違いない。得意の腕力で力仕事などを手伝えば、聞き込みの間口を広げられるかもと頷いた。
「ここは地道にヒーローらしく行きましょう」
ぱっと見たところ出歩く人すらおらず、二人は連れ立って道沿いの家から訪ねてみることにした。大抵の家の玄関には呼び鈴すらなく、引き戸の前で声をかけると住人が顔を出すということが数度繰り返される。
顔すら出してくれない家もあったが、五軒目でやっと老女が戸口まで出てきた。物腰の柔らかな宵を目にして頑なな態度が少し緩む。
「今、旅の途中でこちらに立ち寄りまして。道を伺いたいのですが」
「はあ。この村、バスも通ってないけど歩いてかね?」
「そうなんです。この辺りは初めてですので、気をつけた方がよい場所など伺えると嬉しいのですが」
はあー、と考え込むように首を傾げた老女の腰は曲がっていて、歩くのも億劫そうだ。シズホはにこやかに話を切り出した。
「実は他の家もお邪魔したのですが、お留守が多くて。あ、何か困っていることはありませんか? 私、力仕事とか得意なので、お手伝いできますよ」
「そうかい? 実は納屋から荷物が出せなくてね……」
ぱっと老女が表情を輝かせた。冬支度に雪かきの道具やら庭木を冬囲いするための藁束やら、出したくても出せないでいたらしい。
シズホが母屋の裏にある納屋から荷物を運び出し始めると、老女はそうだ、と手を打って宵を見上げた。
「道はうちの前の通りをずうっと行けば新潟に出られるよ。ただね、途中に店とかないから、食べるものとかないなら集会所の前で少し待ってたらいいよ」
「集会所ですか? 何故です?」
「今日は移動販売の車が来る日なんだよ。坂崎って人なんだが、商売のついでに力仕事とかもやってくれるからね。あたしもこの荷物出しを頼もうと思って待ってたんだ」
「では、その人が来ないと村の人は不便ですね」
宵の相槌に老女はそうなんだよ、と困った顔で頷いた。
店のない村の為に、その坂崎という人物は週1、2度やってきて食料品や雑貨を販売しているという。そのついでに雑用もこなしてくれるというわけだ。
「あたしら、大抵のことは坂崎さんに頼んでるからね。そうだ、なんなら車に乗せてって貰えないか頼んだらどうだね?」
老女はそう言うと、宵とシズホにしわくちゃの笑顔を向けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ジョルジュ・ドヌール
村人達は邪神の召喚について気が付いていない、のかな?
――それなら、召喚の儀式は逆に村人の人目に付かない場所で行われているんだろうね。ざっと村の地図を確認しながら、日中の人の動きを見て儀式場所の当たりを付けてみようかな。闇雲に動き回っても村人に警戒されるだろうしね……
あとは儀式の担い手が誰か、というのも気になるなぁ。村人の誰かが召喚の儀を行っているのか、それとも人里離れたこの地を利用した第三者が潜り込んでいるのかな。
姫鶴・いろは
地理は把握して、アテも外れた。と…目立つ建物は集会所位、道はほぼ一本。
となると次は集会所周辺で隠れて様子をみましょうか?
集会所までは朱子織りの着物で忍び足、ハングナイフでの木登りを活用して、村人の目を避けて接近します。
集会所周囲に木か茂みがあればそこに身を隠して…集会所の物音、裏手の様子、車の不審な動きを観察してみる。
特にこんな町では移動販売は外来なのに地元民に受け入れられている分、何か別の目的を隠している可能性を視野に入れましょうか?
もちろん、妖刀での自衛も警戒は続けた上で、ですね
地理は把握したけれど、いろはのアテは外れた。思った以上にこの村に生物が少ないことに驚きつつ、方針を切り替えることにする。
「村人達は邪神の召喚について気が付いていない、のかな?」
いろはの話を聞いたジョルジュ・ドヌール(咎人が来たりて咎を討つ・f05225)が首を捻った。召喚が村ぐるみのことでないのなら、逆に儀式は村人の目に付かない場所で行われていることになる。そしてこの村には廃屋が多い。
「それなら、日中の人の動きを見て儀式場所の当たりを付けてみようかな。闇雲に動き回っても村人に警戒されるだろうしね……」
「集会所周辺で隠れて様子をみましょうか?」
目立つ建物が集会所ぐらいでほぼ一本道なら、観察すべき場所も絞られたようなものだ。
いろはは朱子織りの着物が人目につかぬよう、忍び足で集会所の裏手へ回った。松やシラビソの陰に身を隠して様子を見る。集会所からは物音もせず、名の割に人が来ることもないようだった。時折道をゆく村人は高齢者ばかりで、立ち話も体調の話と移動販売者を待ちかねた話がほとんどだ。
地図と村人の動きを突き合わせて確認しながら、ジョルジュが独りごちた。
「……あとは儀式の担い手が誰か、というのも気になるなぁ」
見張るべき人物がはっきりしないままでは、防ぐのは困難になってしまう。
「村人の誰かが召喚の儀を行っているのか、それとも人里離れたこの地を利用した第三者が潜り込んでいるのかな」
村の外から来ている第三者、となると話は限られる。ジョルジュの言葉をうけて、いろはは通りから目を離さずに同意を示した。
「特にこんな町では移動販売は外来なのに、地元民に受け入れられている分、何か別の目的を隠している可能性を視野に入れましょうか?」
念のため妖刀での警戒は忘れずに、いろはは様子を窺う。
昼から一台の車も通ることなく午後三時になると、白いコンテナ車が集会所の前にやってきた。運転席をおりたのは30代ぐらいの人のよさそうな男だ。あれが坂崎だろう。
コンテナ車は後部の貨物部分に商品と陳列棚を設置してあり、村人が必要とする食品や雑貨を満載していた。時折奥から冷蔵が必要な商品を持ってくるところを見ると、冷蔵室もついているらしい。
買い物の多い村人には家まで荷物を運ぶなど、坂崎は確かに親切だった。付き合いづらいという話の村人たちも彼には随分と気を許しているようだ。
「坂崎さん、日が暮れちまうよ。大丈夫かね?」
「あー、本当だね。今日も泊まっていこうかな」
村人に問われた坂崎が天を仰ぐ。しかめっ面の老人が彼の横を歩きながら首を振った。
「大の男が道が暗いぐらいで情けないのう」
「いやあ。うちの車、馬力もそうないし、あんまり暗いと怖いんですよ。車中泊は慣れてますから」
この村を出れば次の町までろくな明りがないだろうから、無理もない話ではあった。しかし今日、この村に泊まるとなると疑惑が濃くなってくる。
すっかり暗くなるまで販売を続けた坂崎は、村人が居なくなると車のエンジンをかけて移動を始めた。大きな通りから逸れて、林の多い廃屋の前へ車を止める。
そのまま動かないのかと思いきや、坂崎は車を下りて人目をはばかるように辺りを見回した。廃屋の玄関へ向かうと、音を立てないよう引き戸を開けて中へ入っていく。
車中泊と言っておいてこの行動は、あからさまに怪しかった。
大成功
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第2章 集団戦
『嘲笑う翼怪』
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POW : 組みつく怪腕
【羽毛に覆われた手足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 邪神の加護
【邪神の呪い】【喰らった子供の怨念】【夜の闇】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 断末魔模倣
【不気味に笑う口】から【最後に喰らった子供の悲鳴】を放ち、【恐怖と狂気】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:yuga
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●廃屋の怪
廃屋は地図では『糸井宅』となっていたが、住人が居なくなって久しいように見えた。坂崎の足音が聞こえなくなるまで待って廃屋へ近づく。
と、突然横あいから異形の怪物がわらわらと姿を現した。
人と鳥の怪が混じりあったような姿、血に塗れた口周り。どうやら廃屋の開け放された窓から出てきたようだ。1体、2体と数はどんどん増えて5体にもなる。
これは戦わずには済みそうにない。
織譜・奏
囀ずるのかい?生憎だけど私が聞きたいのはそうじゃない……君達の悲鳴だよ。
【wiz】
シンフォニック・キュアで味方の回復を。敵の断末魔なんて私の歌声でかき消してあげよう。
さぁ恐怖に打ち勝って、共に戦おう!
響かせるは優しい調べ。竪琴(本体)を柔らかく弾き、癒しの声を傷付いた者へ届けよう 。
穂積・廉太郎
口周りに血がべっとりとは。坂崎さんとやらは喰われちまったのかねぇ。
まぁ、考えてても無駄か。
早々にブッ倒して追っかけましょうや。
まずは大通りのある方向と廃屋の間に布陣し、村人を襲いに行かないように注意しとかないとね。
人と鳥が混ざったような格好してるし、飛ばれたりしたら厄介だな。もし飛ぶような素振りを見せればサイキックブラストを放って阻止しよう。感電させられれば儲けものだ。
弱っている敵を優先的に攻撃して、一匹ずつ確実に減らしていこう。
ジェイソン・スカイフォール
戦闘中に、飛び込んでくる。
「自分はジェイソン・スカイフォール、猟兵です。援護します!」
集団戦では、猟兵間の連携が重要。
UC「正当防衛」によって応戦しながら、敵と味方それぞれの能力を見極める。
自身がサポートできると考えた猟兵との連携を試みる。
・命中率の高い自UCで敵を牽制し隙をつくる
・敵の攻撃からかばい、とどめを任せる
など。
「坂崎さんとやらは喰われちまったのかねぇ。まぁ、考えてても無駄か。早々にブッ倒して追っかけましょうや」
素早く敵から距離をとり、穂積・廉太郎(人間のシャーマン・f04204)は村を貫く通りのほうへ翼怪を行かせないよう位置どった。あの口の血を考えれば、何かが食われたことは間違いない。
一方翼怪たちにとっては猟兵たちの存在は予想外だったようで、面喰らったように動きが鈍った。ここを突き止めた仲間が慎重だったおかげで、あちらも驚いているようだ。
廉太郎が衝撃波を叩きつけると、一番前にいた翼怪の身体はざっくりと引き裂かれた。お返しとばかり別の翼怪が近づくと、羽毛に覆われた腕で廉太郎に掴みかかり絞めあげる。傷ついた翼怪はわずかに退くと、もう1体と共に大きく歪んだ口を開いた。
『ヤだ……こワい、やダアああ!』
『おバケ! オばケえエえ!!』
子供の声だ。鳥が人の言葉を模して鳴くように、翼怪は喰らった子供の断末魔を模して鳴く。悲痛な悲鳴は聞く者を恐怖と狂気で人を蝕むだろう。
しかし織譜・奏(冥界下り・f03769)には通用しなかった。
「囀ずるのかい? 生憎だけど私が聞きたいのはそうじゃない……君達の悲鳴だよ」
爪弾く竪琴はヤドリガミである奏の本体。紡ぎ出される美しい旋律と美しい歌声が廉太郎の傷を塞いでゆく。
「助かるよ……おっと」
殴りかかろうとする羽毛の生えた腕を避け、廉太郎は顔をしかめた。
少しばかり敵の数が多い。一番後ろにいる翼怪が血を噴き出しながらも、呪わしい怨念をまとって力を増すのが見えた。さっき傷を入れた翼怪ともう1体が血に塗れた腕を伸ばして、廉太郎を引き裂こうと――。
その瞬間、傷ついた翼怪が銃弾を浴びて吹っ飛んだ。更にもう一回、対UDC用に特別に誂えた銃が翼怪に鉛玉を叩きこむ。
「自分はジェイソン・スカイフォール、猟兵です。援護します!」
戦場に飛び込んできたのはジェイソン・スカイフォール(界境なきメディック・f05228)だ。羽毛まみれの腕をかわし、廉太郎は起きあがろうとする翼怪にトドメの衝撃波を叩きこんだ。見るからに荒事慣れしている援軍が現れるとは僥倖だ。
「ありがたいねぇ」
後方から殴りかかってくる翼怪の怨念をまとった攻撃はジェイソンが真っ向から受け、奏へは近づかせない。
「集団戦では連携が重要です。連携攻撃を願えますでしょうか?」
「もちろん、私たちからもお願いするよ」
ジェイソンの傷を塞ぐための演奏を続けながら奏も頷く。
翼怪たちは猟兵たちを敵と認識したのか、餌と思っているのか、囲い込むようにして前衛の二人へ襲いかかった。それでも攻撃対象を一人に絞る知恵はないのか、単に数で劣る二人を侮っているのか。
叫びは再び上がったが、ぎくしゃくといびつな動きで近づいてきた翼怪の殺意を感じ取り、ジェイソンはユーベルコードを解放した。
「正当防衛により制圧します!」
懐へ飛び込むと鳩尾へ重い一撃。続いて顎を打ち上げた肘で逆立つ羽毛まみれの腕を食い止め、流れるような身ごなしでこめかみに蹴りを捩じこんだ。がくんと膝が崩れたところへ再び廉太郎の衝撃波が唸りをあげ、引き裂かれた翼怪が動かなくなる。
羽毛が生えて翼になりかけているせいか、巨大化した腕に殴られて廉太郎はたたらを踏んだ。すかさず奏が柔らかな旋律と歌声で、二人の傷を塞ぎ支援を続ける。
業を煮やしたか、翼怪が腕とも翼ともつかない上肢をばたつかせ始めた。この怪異が飛べるのかは知らないが、だとして見過ごす理由もない。
「みすみす行かせると思うのかねぇ」
廉太郎の両掌が眩く輝く。不格好にはばたく翼怪めがけて高圧電流が襲いかかった。夜目にも鮮やかに火花が弾け、肉の焼ける匂いをあげて1体が凍える土の上に崩れ落ちる。もう1体も羽毛を散らし、体を痙攣させて地に落ちた。だがまだ戦う力は残っていそうだ。
無傷の1体がにたりと笑うように顔を歪ませる。
『イたイ、やダ、いたイよお!』
「くうっ!」
子供の断末魔というものは、まともな精神の者であればあるほどに打撃を受ける。狂気に蝕まれかけたジェイソンの耳朶を、その時美しい旋律が打った。
「敵の断末魔なんて私の歌声でかき消してあげよう。さぁ恐怖に打ち勝って、共に戦おう!」
歌い奏でる美しい神秘が体現する。奏のシンフォニック・キュアは辺りを震わせ、廉太郎とジェイソンの傷を再び塞ぎ、歌声は彼らを異形の叫びから守った。
残る翼怪はあと2体。そう手こずる敵ではないだろう。
しかしこれほどの騒ぎが起こっていながら、廃屋へ入っていった坂崎の声もしなければ姿も現さないのはどういうことなのだろうか。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
鳴宮・匡
遠目に確認した感じ、既に戦闘は始まってるみたいだな。
「おっと、こりゃちょいと遅刻かな」
まあその分の働きはするさ。
殺しとなれば俺の本業、相手がバケモンだろうが変わりやしない。
120m程度離れたあたりまで辿り着いたら、戦場を眺められる高いところに位置を取ろう。
動きをしっかりと見て「回避できない」と見えるタイミングを狙って、
ユーベルコードによる狙撃を行う。
できれば他の猟兵を援護できるようなタイミングだとベスト。
ただの拳銃だって、プロが使えばこんなもんだ。
雑魚払いが終わったら合流しよう。
流石に建物の中へ向かって狙撃するのは現実的じゃないしな。
「よう、手伝うぜ」
シズホ・トヒソズマ
よし、残り2体!一気に畳みかけましょう!
攻撃を終えた方々を守るよう、真正面から普通なら無謀な突撃という感じで人形を構えて突っ込みます!
当然まともに敵の攻撃も受けてしまうでしょう、本当ならもっと賢いやり方もあります……ですが、私はこうやって攻撃を受けめっためたにされるのが、これはこれで好きというアレな性分なので…ですが正直にやった分の見返りは、私のユーベルコード『被虐英雄の庇献身』による身体能力向上で出しますよ!攻撃してきた部位を力ずくで抑え込み、その間にからくり人形や味方の攻撃に敵を攻撃していただきます!
「私の信条は『因果応報』!痛み与えし者には更なる痛みを、ですよ!」
空廼・柩
ふーん、まさか俺みたいなのにまで救援要請が来るとはね
まあ、俺には交渉よりも討伐の方が性に合ってる
(眼鏡を外し、棺型の拷問具を手に)
――『灰色の男』の力、見せてやるよ
攻撃には【咎力封じ】を使用
相手にリスクがあるとはいえ強化は厄介だ
全て命中せずとも弱体化は可能だろう
数が多い分死角からの攻撃に気をつけなければ
全てを受けては一溜まりもない
敵の攻撃は極力武器で防御または受け流し直撃は避ける
断末魔による攻撃も、呪詛耐性で効果軽減出来るならば試してみる価値はあるだろう
あんたのその翼、奪えば空も飛べそうだね
――そんな穢れたもの、頼まれても要らないけれど
戦闘が終わったら皆の応急処置を済ませ
坂崎って男を追わないと
翼怪と猟兵が入り乱れて戦うさまを見て、鳴宮・匡(凪の海・f01612)は思わず呟いた。
「おっと、こりゃちょいと遅刻かな」
まあその分の働きはするさ、とごちて戦場を見下ろせる丘へ向かう。100メートルは優に離れるが、廃屋の横手からなら狙撃にはちょうどいいだろう。見たところ元は人なのか鳥なのかもわからないほどの異形だったが、匡にとっては大した問題ではなかった。
(「――殺しとなれば俺の本業、相手がバケモンだろうが変わりやしない」)
「よし、残り2体! 一気に畳みかけましょう!」
仲間を鼓舞するシズホの声に振り返れば、空廼・柩(からのひつぎ・f00796)が前線へ出たところだった。
「ふーん、まさか俺みたいなのにまで救援要請が来るとはね」
もとより交渉より討伐のほうが性に合っている。威嚇するように羽毛を逆立てる翼怪と相対し、眼鏡を外した柩は棺型の拷問具を構えた。
血にまみれた翼怪が近づいてくる。悪夢のような異形とたどたどしい足取りながら、動きは素早い。強化された攻撃をまともに受けてはひとたまりもないだろう。
振り上げられた腕を棺で受け流し距離をとる柩へ、雷撃で羽を焼き焦がされた翼怪がよろけるように近づいた。
「――『灰色の男』の力、見せてやるよ」
翼怪の裂けたような口へ猿轡がかまされる。何が起きているのかわからない怪異の羽毛まみれの腕に手枷が、脚に拘束ロープが、柩の一閃でがっちりと組みついた。
断末魔を放とうとした翼怪が、激しい魔力抵抗で身悶える。【咎力封じ】は翼怪の叫びを封じ込めていた。
「あんたのその翼、奪えば空も飛べそうだね――そんな穢れたもの、頼まれても要らないけれど」
囁きに続いて、夜気を引き裂き銃弾が飛来する。羽毛を飛び散らせ貫いた弾は有無を言わせず翼怪の息の根を止め、地面へ崩れ落ちさせた。
拳銃の有効射程など度外視して丘から翼怪へ放たれた狙撃は、匡の【千篇万禍】だ。
「ただの拳銃だって、プロが使えばこんなもんだ」
仲間意識などなかろうが、残された翼怪が柩へ向き直る。その前へシズホが飛び出した。人形を構えて無謀にしか見えない突撃を仕掛ける。
「我が身を捧げても正義を為します! と言う訳で攻撃してきなさい!」
目標を選り好みしない怪異が羽毛を逆立てる。まともに攻撃を喰らうのは明白だった。
人形遣いであればアイアンメイデンを模した人形こそが囮だが、シズホの場合は逆だ。賢いやり方とは言えないが攻撃を受けてめっためたにされるのも、それはそれで好きという嗜好の持ち主であるわけで。
(「あぁ一体どんな目に遭わされてしまうのか……ふふ」)
彼女の願いに応えるように血まみれの翼怪が掴みかかる。肩と腕の肉は無残に穿たれ、骨がぎしりと悲鳴をあげた。
「あぁ……っ!」
苦痛とも歓喜ともつかぬ声がもれる。と同時に彼女の全身に力が湧き上がった。【被虐英雄の庇献身】は真っ正直に攻撃を受けた見返りに、自身の身体能力を強化する。
「私の信条は『因果応報』! 痛み与えし者には更なる痛みを、ですよ!」
シズホの操るアイアンメイデンが翼怪をくわえこむ。己の強化と引き換えに血を流していた怪異は、鉄の処女の針に穿たれ身をよじった。
シズホを殴りつけようと振り上げた翼怪の上肢に、再び柩の手枷が食いつくように嵌まる。壊れた人形のようにぐにゃりと振り返る怪異の口を猿轡が覆い、退こうとする脚を再びロープで縛めて。
「諦めるんだな」
「見えた。そこだな」
離れた丘の上、匡は翼怪が避けられない一瞬を予測のもとに見極めた。構えた拳銃が放った銃弾は、狙い過たず翼怪の頭を撃ち抜いていく。
最後の怪異が鳴き声もあげず地面へ崩れ落ちると、戦いは終わりを迎えた。さすがに建物の中への狙撃は現実的とは言えず、丘を下りてきた匡がにかりと笑う。
「よう、手伝うぜ」
「支援をありがとうございます」
まだ傷口からだらだら血を流しながらシズホが微笑んだ。彼女の傷を手早く応急手当てして、柩が廃屋へ視線を向ける。
「さて。坂崎って男を追わないと」
●邪神の顕現
廃屋の中へ踏み込んだ。人が住まなくなって長いはずだが、土間から上がり框、奥へ続く板張りの床には人が出入りしている形跡がある。
襖をあけると、窓には板と、剥がした畳を壁や天井に打ち付けた部屋が現れた。血にまみれた部屋には人の骨が何人分も転がっている。あの翼怪が子供の肉を喰らっていたのだろう。畳は悲鳴を外へ漏らさぬための防音対策と思われた。
骨をみる限り、少なくとも今日生命を落としたわけではないだろう。だがあんな怪異が5体も断末魔を真似られるぐらいの被害は出ていたのだ。
猟兵たちが唇を噛んでいると、不意に奥のドアが開かれた。
「やけに静かだ、な……」
猟兵たちを見て言葉が止まる。顔を出したのは坂崎だった。温厚そうな顔は驚愕の後、見るに堪えないほどの狂気に染まる。
「俺の邪魔をする奴らか?! 村の爺や婆に手間かけて、やっとここまで来たのに!」
唾を飛ばして言い募り、懐からナイフを抜いたもののよろけて後ろの部屋へ戻る。そこには床に魔法陣が描かれ、何のものともわからぬ肉の乗った供物台のようなものが設えてあるのが見えた。
「あのお方の降臨を邪魔させはしない! ああ、俺の使命なんだから!」
止める暇もない。坂崎は躊躇なく、ナイフで己の咽喉をかき切った。
魔法陣がしぶく血を吸い上げる。
輝く光芒は拍動し、異形が陣の中から染み出るようにして現れた。人の形をでたらめに模した体、不揃いの牙がずらりと並んだ口。坂崎の流す血をすすり、長い舌がうねる。
彼を喰らおうとした暴食の邪神は、猟兵たちに気づいて向きを変えた。喰らえる肉は多ければ多いほどいい――。
成功
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第3章 ボス戦
『牙で喰らうもの』
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POW : 飽き止まぬ無限の暴食
戦闘中に食べた【生物の肉】の量と質に応じて【全身に更なる口が発生し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 貪欲なる顎の新生
自身の身体部位ひとつを【ほぼ巨大な口だけ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 喰らい呑む悪食
対象のユーベルコードを防御すると、それを【咀嚼して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:もりさわともひろ
👑17
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鳴宮・匡
うえー、近づきたくねえなあ。絶対噛まれるだろあれ。
いやこの距離だと今更だ。
しょうがねえ、やるか。
とりあえずあの口は狙わない。
なんか嫌な予感がするんだ。銃弾まで食われちゃたまんねーからな。
基本は口のない部位を狙って、ユーベルコードで狙撃していく。
しっかり観察して確実に当てていくようにするよ。
他の猟兵がいれば、連携して戦う。
そのときは相手に隙を作るような「援護射撃」を心がけるぜ。
なるべく距離を空けて立ち回るけど、無理なら無理でいい。
「零距離射撃」もできんことはないしな。
距離は選ばないぜ。プロだからな。
◆真の姿
「視る」ことに特化している。
見た目は変わらない。両目がわずかに青色を帯びるのみ。
ジェイソン・スカイフォール
坂崎氏の様子を見る。
(可能なら救命できれば……しかし、あの出血では、もう……)
邪神の信徒とはいえ、人間の生命が失われるのは痛ましい。
せめて、後で弔いができればいいのだが、などと考えつつ、臨戦態勢をとる。
「オブリビオンは殲滅します」
アサルトウェポンを展開し、銃撃を浴びせる。
反撃を受けても「戦場の亡霊」に後をたくすことができるので、
恐れず果敢に攻め入りたい。
空廼・柩
狂信者とは知っていたけれど
…此処まで躊躇がないなんて、本当に狂ってる
後始末をするこっちの身にもなれっての
愚痴りつつ手には棺型の拷問具
真の姿の一部解放、かつての黒装束を纏い
灰に染まる瞳で見据える
――殺してやろう、化物
使用するのは【咎力封じ】
攻撃ついでに回復なんて厄介この上ない
此方への損害を減らす為
可能な限り攻撃の…手?
口になれそうな部位を縛っていく
共に戦う者在れば連携を試みよう
敵の攻撃は極力見切り
回避するなり拷問具で防御するなり直撃は避ける
…あんな物に噛みつかれたら一溜りない
何より腕一本くれてやる心算もない
戦闘後応急処置を済ませたら
遺骨を集めよう
せめて弔い位しないと寝覚めが悪い
…ゆっくりおやすみ
倒れ込んだ坂崎から血色が失われていくのを、ジェイソンは忸怩たる思いで見るしかなかった。前に邪神が立ちはだかっているのでは手の打ちようがない。
(「可能なら救命できれば……しかし、あの出血では、もう……」)
たとえ邪神の信徒だとしても、人間の生命が失われるのは痛ましいことだ。
まさかの自決を目の当たりにして、柩もつい愚痴がこぼれる。狂信者とは知っていたけれど……此処まで躊躇がないなんて予想の他だった。本当に狂ってるとしか思えない。
「後始末をするこっちの身にもなれっての」
「うえー、近づきたくねえなあ。絶対噛まれるだろあれ」
溢れる血を踏みしめ、ずしゃりと一歩前へ出る邪神を匡は顔をしかめて眺めた。室内とあっては狙撃向きの状況ではない、が。
「いやこの距離だと今更だ。しょうがねえ、やるか」
後方の襖を開け放ち距離をとって匡が拳銃を抜くと、ジェイソンもやむなく銃を手に臨戦態勢に入った。せめて後で弔いができれば、と願うしかない。
柩も棺型の拷問具を手に息をついた。かつての黒装束を身に纏うと、灰色に染まる瞳で邪神を見据える。これこそ真の姿の片鱗だ。
「――殺してやろう、化物」
ずらりと並ぶ不揃いの牙。あんなものに噛みつかれたらひとたまりもないだろうが、何よりも腕一本とてくれてやる心算はない。
彼の殺気に呼応するように邪神が咆哮した。
「オブリビオンは殲滅します」
銃弾を浴びせながら前進するジェイソンめがけて、巨大な腕を振り上げる。万が一の時の手段がある彼が避けずにいると、腕は牙がびっしり生えた口だけの頭に変じた。いやな音をたててジェイソンの肩に食いつく。
「おっと、大丈夫か?」
「問題ありま、せん……?」
匡に応えながらも彼が見たのは、じゅるじゅると血をすすった口が蠢いて、邪神の弾傷が塞がっていくところだった。
「攻撃ついでに回復なんて厄介この上ないな」
顔をしかめた柩が【咎力封じ】を放つ。新たに頭となった腕へ猿轡をかませた。振り上げたもう一方の腕へカウンターで手枷を食らわせる。次いで脚も縛められ、邪神が苦痛と怒りの叫びをあげた。これで邪神はユーベルコードを使えない。
大きく開いた口を狙おうか考えた匡だったが、嫌な予感に襲われてすぐに思い直した。
「銃弾まで食われちゃたまんねーからな」
暴食の性はユーベルコードにすら及ぶかもしれない。
攻撃は確実に。二人の仲間の向こう、暴れ回る敵が次の一瞬どこにいるのか。
「見えた。そこだな――!」
わずかに青を帯びた匡の両目は、確実に最大ダメージを与える時と場所を見定める。構えた銃は紫煙と共に弾を放ち、狙い通り正確に邪神の胸を貫いた。拳銃弾のダメージとも思えぬ出血に巨躯が身悶える。
振り回される爪に空を切らせ、跳び退いた柩は部屋の隅の骨を視野に納めて唇を噛んだ。戦いが終わったら、せめて弔いぐらいしないと寝覚めが悪い。
傷ついてもジェイソンの攻撃は果敢で、頭が二つになったような相手でも懐へ入っては銃撃を浴びせた。たとえ深い傷を負ってもユーベルコード【戦場の亡霊】に後を託せる、という想いもある。
なるべく距離をあけて立ち回るつもりの匡ですら、時折目の前にまで邪神の接近を許すことになった。ほぼ零距離で相対そうとも、匡の立ち回りに乱れはない。銃弾が今度は至近距離から青黒い体に穴を穿つ。
「まあ距離は選ばないぜ。プロだからな」
邪神の咆哮は苦悶の色を見せ始めていた。
成功
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鳴宮・匡
「アヤメ、遅刻だぞ」
次弾を装填しつつ
合流してきた弟子の彩萌(f03307)を見るなり第一声
遅刻の理由を聞けば呆れ顔
「どーせ戦ったら乱れるんだしいいだろ……」
……まあいいや
仕事さえきっちりやればチャラだ
狙う場所は……口以外かな
下手にやると喰われる
狙うならうまく塞げよ?
アヤメが後ろから射撃に徹してる間はこっちが前衛
要所でダガーを使いながら、攻撃はきちんと受け流す
アヤメが前に出てきたら入れ替わりで後衛へ
動き出しを制するように「援護射撃」
アヤメが危なそうなら相手の足元をアサルトライフルで狙って「破壊工作」
自由には動かせないぜ、悪いけどな
狙撃は先に負傷させた部位をしっかり狙う
さて、そろそろ終わらせたいな
斬断・彩萌
【同行者:鳴宮・匡(f01612)】呼称:師しょッピ
遅れてめんご~★髪がうまく巻けなくて時間くったんだわ。許して卍
そいで今回の敵情報量多すぎなんですケド、とりまどこ狙うべき?
・POW
銃撃。効果が薄いなら弾丸にサイコキネシスを込めて放つ
手応えないなって感じたら接近戦に移ろうかな。後ろに師しょッピいるし、ガチヤバになる前には助けてくれるっしょ
接近戦はOracleで傷口を抉る。隙あらば2回攻撃
銃痕があればそこ狙って、なかったら敵が師しょッピに背を向けるように誘導。弾さえ当たればこっちのもの!
さてと……つけま取れそうだから早く死んでくれる?
敵の攻撃は最大限避けつつ、無理ぽだったらTraitorでガード
拳銃に次弾を装填しつつ、振り回される腕をかわして匡がつかず離れずの距離を維持する。と、するりと隣に荒事とは縁がなさそうな少女が並んだ。
「アヤメ、遅刻だぞ」
「遅れてめんご~★ 髪がうまく巻けなくて時間くったんだわ。許して卍」
言葉のとおり金の髪を綺麗に巻いた少女のノリは軽かった。斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)、見た目に反し彼女も猟兵であり、ついでに言うなら匡の弟子である。
「どーせ戦ったら乱れるんだしいいだろ……」
まさかの遅刻の理由に匡は呆れ顔になったが、彩萌は相変わらず軽い口調で問いかけた。
「そいで今回の敵情報量多すぎなんですケド、とりまどこ狙うべき?」
情報量ばかりか頭までひとつ多い始末だ。拳銃を抜く彼女を眺めやり、匡はまあいいや、と息をついた。ここまでが何であれ仕事さえきっちりやればチャラだ。
「口以外かな。下手にやると喰われる。狙うならうまく塞げよ?」
口以外。全面に口を押し出しているも同然のこの敵を相手に。
新たな敵を認識した暴食の邪神がぐるりと頭をめぐらせ、彩萌を正面に捉えると咆哮した。咄嗟に彼女の代わりに前に出た匡が、人間の首ぐらいもぎ取りそうな腕をダガー一本でかいくぐる。弟子の為に邪神の足元を乱れ撃ちして援護も忘れない。
「自由には動かせないぜ、悪いけどな」
後方へ退がった彩萌は青黒い体に穿たれた傷口へ狙いを定めて引き金を引く――瞬間、弾丸にサイキックエナジーを集中させた。ありえないほどに加速した弾丸は傷口を深く抉り、一気に貫通する。
「弾さえ当たればこっちのもの!」
人の口からは発しようのない濁った悲鳴が轟いた。苦痛に震える牙の化け物の動きが見るからに鈍ってくる。
「そろそろ終わらせたいな」
大きく距離をとった匡は、彩萌によって文字通り風穴のあいた傷口へ照準を合わせた。動き続ける邪神が避けられない一瞬、かわしようのない弾道。
「そこだな」
千篇万禍の弾丸はその一点を撃ち抜いた。ばっと血がしぶき、一歩、二歩と畳の上でたたらを踏んだ邪神が身悶える。なかばよろめいて匡のほうへ向かう巨体の前へ滑り込み、彩萌はOracleを揮って傷を刻みつけた。
「さてと……つけま取れそうだから早く死んでくれる?」
乙女にとっては重大な理由だが、邪神のほうはそうは思わなかったようだ。苛立たしげに咬み合わせの悪そうな牙を鳴らして尚も敵意は露わ。
とはいえ、動きはかなり鈍ってきていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シズホ・トヒソズマ
よし、皆様のお蔭で動きも鈍ってきましたし、勝負に出ますか!
「私の真の姿は、装着者の意志や記憶を読み取り、この身と人形に反映する!UDCフォームチェンジ、バインドM!…ん?」
あれ?UDCっぽく触手がスーツや人形から出てきたのはいいのですが、なぜそれが更に私の体を縛るようにぬめぬめっと!いや好きですけど!
敵の前に出てそのまま攻撃を受け、オペラツィオン・マカブルを使用
「っ……縛りと痛みでダブルにいいの貰いました……でも、痛みの方はお返しします!」
カウンターで人形の触手で敵を縛り、開いたアイアンメイデンの内を敵と同じく巨大な口に変え、噛み返します
「『因果応報』、貴方の牙はもう、自分以外喰らう事は無し」
斬断・彩萌
【同行者:鳴宮・匡(f01612)】呼び方:師しょッピ
いったーー!大丈夫だけどマジでムカつく~!ネイルも禿てるし最悪。
……ん、イケるいける。師しょッピも頑張ろ!(空元気の笑顔を見せる)
【WIZ】
どうすっかな、しばらくコッチの腕は使えないし。
サイコキネシスも連続で使うのは精神的にちょい厳しい感じ……。
んじゃ私もちょっぴりマジになってみよっか。
師しょッピは祭具の方お願い、アイツの足止めは私にやらせて!
『スチームエンジン』で自己強化、Executionerに想いを込めて。
おらっ、貫けぇええええ!!
邪神は執拗に襖を跳ね飛ばし迫りくるが、痛みもあってか攻撃は前よりもぞんざいだ。それでも振り回される腕が彩萌の腕に爪を引っ掛け、血がぱっと舞った。
「いったーー! 大丈夫だけどマジでムカつく~! ネイルも禿げてるし最悪!」
幸い傷は深くはないが、彩萌は細い眉をひそめた。せっかくのネイルがこれでは美意識に傷がつくではないか。とはいえ【サイコキネシス】の連発はちょっと難しい。
「よし、皆様のお蔭で動きも鈍ってきましたし、勝負に出ますか! 前を受け持ちます!」
もとより前衛で攻撃を引き受けることこそ大好物、もとい得意なシズホだ。
「私の真の姿は、装着者の意志や記憶を読み取り、この身と人形に反映する! UDCフォームチェンジ、バインドM!……ん?」
途端に彼女がまとう猫型のボディスーツやからくり人形から、ずるりと触手が現れた、のみならず。
「あれ? なぜこの触手、私の体を縛るようにぬめぬめっと! いや好きですけど!」
「いやそれでいいの?!」
スーツの仕様として正解なのかツッコまずにいられない彩萌である。だがシズホは構わず邪神の前へ飛び出して注意を引いた。反撃の意思すら感じられない無手の彼女を、邪神の新たな頭と化した手が鷲掴みにし、肩からばっくりと喰らいついた。
ありがたく後方へ退いたものの、一瞬で血にまみれたシズホに彩萌は声をあげた。
「ちょっ、大丈夫?!」
「っ……縛りと痛みでダブルにいいの貰いました……でも、痛みの方はお返しします!」
【オペラツィオン・マカブル】が発動する。
傷を塞ぐはずの相手の生命力が流れ込んでこず、邪神が訝るように巨大な頭を寄せた――瞬間、触手が巨躯に絡みつき、シズホのアイアンメイデンが弾けるように開いた。獲物を求める巨大な口と化し、異形の頭を咬み返す。
「『因果応報』、貴方の牙はもう、自分以外喰らう事は無し」
シズホへ叩きこんだダメージをそのまま返され絶叫する邪神に、Executionerの銃口を向けて彩萌は不敵な笑顔を見せた。カラ元気であろうとも、それが彼女の矜持。
【スチームエンジン】が駆動して彩萌の銃を強化する。狙いはひどく傷つき歪んだ邪神の頭だ。深い針の傷へ照準を合わせ、想いをこめて。
「おらっ、貫けぇええええ!!」
ありったけの精神力を形とした弾丸は空を裂き、あらゆるものを喰らう異形の頭を捉え、言葉どおりに撃ち貫いた。青黒い体が吹っ飛び畳に叩きつけられる。それきり、巨体は動くことはなかった。
「……仕留め、ましたね」
「ちょっぴりマジになっちゃった、かも?」
シズホと彩萌が顔を見合わせて笑いあう。
かくして人を喰らう邪神は最期のひと鳴きすら許されず、息の根を止められた。
村人の懐に入り込み召喚の魔法陣を設え、あわよくば村人を供犠としようとした坂崎の企みは猟兵たちによって防がれたのだ。
異形の翼怪に貪り食われた子供たちの骨も、有志によって弔いを受けた。それ以上の被害が出なかったことを慰めに、猟兵たちは村を離れたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵